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[B−4 森林の二酸化炭素吸収の評価手法確立のための大気・森林相互作用に関する研究]

(3)微気象学的方法による森林生態系の炭素収支の高精度化


[農林水産省農業環境技術研究所]

 

 環境資源部 気象特性研究室

●原薗芳信・宮田明・永井秀幸・鈴木智恵子・太田尚寿


[平成11〜12年度合計予算額]

9,959千円

(うち、平成12年度予算額 4,970千円)

 

[要旨]

 Ameriflux, EUROFLUX, AsiaFluxなどのフラックスネットワークでは,陸上生態系の炭素収支評価のうえでもっとも重要な生態系−大気間のCO2フラックスの測定に渦相関法が用いられている.本研究では,渦相関法による森林生態系の炭素収支の評価を高精度化するため,渦相関法の適用上の問題点の検討,データ処理・解析方法の改善や補正方法の検証,異なる測定システム間の相互比較などを行った.苫小牧フラックスリサーチサイト(北海道苫小牧市,苫小牧国有林内,カラマツ林, 98ha) の高さ41mに設置したオープンパス方式の渦相関システムによる観測データをもとに,データ処理・解析方法や補正方法について検討した.その結果,超音波風速計の座標変換やトレンド除去を適用する場合には,測定システムの点検(超音波風速計のゼロ点調整)やデータの質の確認(異常値やステップ状の変化がないこと)が必要なことや,密度補正の重要性が確認できた.とくに,密度補正の影響は吸収フラックスが大きくなる7月中旬でも50%を越えることがあり,日中のCO2交換量を正確に評価するためには密度補正は不可欠である.同サイトの高度25mで実施した3組の渦相関システムの相互比較観測の結果から,超音波風速計のプローブの形状によっては,主風向成分の風速を過小に評価する可能性があること,システム間のCO2フラックスのばらつき (標準誤差)は,日中の最大吸収量の10%強であることが示され,またオープンパス型ガス分析計の厳密な校正の重要性が指摘された.


[キーワード]

渦相関法,CO2フラックス,オープンパス型,密度補正,カラマツ林