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[A−3 衛星利用大気遠隔計測データの利用実証に関する研究]

(8)ILASデータ等を用いた雲/極成層圏雲の検出に関する研究



[環境庁国立環境研究所]

 地球環境研究センター

●横田 達也

 エコフロンティアフェロー

● Thomas Paul Kurosu


[平成11〜12年度合計予算額]

2,052千円

(うち、平成12年度予算額 1,052千円)

[要旨]

 本研究では、環境庁の開発した衛星センサーILAS(改良型大気周縁赤外分光計)による測定データから、極成層圏雲(PSC)を検出するための手法開発を行った。本 PSC 検出手法では、酸素分子の回転Aバンド付近のスペクトル領域(波長753 − 784 nm)の、ILASの可視チャネルによる観測情報を利用し、観測光路の接線高度の関数としてエアロゾルの光学的厚さを求めるために、データヘの線型または非線形のスペクトル・フィッティングを行った。 PSC の光学的厚さは、高度の関数として得られたエアロゾルの光学的厚さに線型関数のフィットを施すことによって求められる。
 PSC と判定された事象について、ILAS の運用処理プロダクトと比較したところ、プロダクト上にバイアス誤差を持つ可能性はあるものの、PSC の存在する高度領域において、脱窒現象、水蒸気の除去(減少)、そして低温現象が認められた。また、ILAS の観測透過率におけるエアロゾルによる多重散乱性について簡単なテストを行ったところ、相対的に光路長が長くなる効果や、濃いエアロゾル層で大気吸収が見られるなどの、多重散乱の証拠となるような現象は見あたらなかった。すなわち、ILAS の観測では、光の多重散乱を考慮に入れて処理を行う必要はないことが解った。
 さらに本研究では、高速かつ簡単な手法によって、ILAS の観測データから、PSC を観測している可能性のある候補事象を選定する手法を提示した。


[キーワード]

太陽掩蔽法センサー、非線形推定、スペクトル、酸素