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京都メカニズムに関する検討会(第2回)議事録


1.日  時  平成14年8月23日(金)10:03~12:23
2.場  所  東条インペリアルパレス 千鳥の間

3.出 席 者

  (座   長)   西 岡 秀 三    
  (委   員)   青 山 俊 介   鮎 川 ゆりか
      荒 牧 英 城   今 井 千 郎
      大 塚   直   亀 山 康 子
      後 藤 則 行   小 林 紀 之
      塩 田 澄 夫   高 橋 秀 夫
      高 村 ゆかり   新 澤 秀 則
      畑 中 邦 夫   波多野 順 治
      松 尾 直 樹   山 口 光 恒
4.議  題
  京都メカニズム国内制度の在り方について
    [1] 政府における体制整備
    [2] CDM/JI事業の承認制度
    [3] 国別登録簿の整備 等
  京都メカニズム活用のため当面実施すべき施策について
    CDM/JI事業の支援 等
  京都メカニズムの国際検討状況について(報告)

5.配 布 資 料

  資料1   議事次第
  資料2   委員名簿
  資料3   京都メカニズム活用のための体制整備について
  資料4   平成14年度「排出量取引等の登録簿システム」に係る委託先の公募について
  資料5   JI及びCDMに係る事業の承認について(たたき台)
  資料6   京都メカニズム活用のための当面の施策について(たたき台)
  資料7   CDM/JI事業に関するアンケート調査結果
  資料8   京都メカニズムの国際検討状況について
  参考資料   「図説 京都メカニズム」
  参考資料   「地球温暖化CDMフォーラム2002」プログラム
                
                             
午前10時03分開会

○熊倉課長補佐 まだいらっしゃらない先生もいらっしゃいますが、定刻となりましたので、始めさせていただきたいと思います。4月から大分時間がたってしまって申しわけありませんでしたが、きょうは第2回目ということで開催させていただきます。
 まず、会議に先立ちまして、地球環境局長の岡澤より一言ごあいさつを申し上げたいと思います。

○岡澤地球環境局長 おはようございます。地球環境局長の岡澤です。
 本日は、夏休み中にもかかわらず、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。前回、第1回の会合を開いたのが4月でしたので、大分たってしまいました。その間の状況等についても、ちょっとごあいさつを兼ねてご説明させていただきたいと思います。
 4月の開催のときには、京都議定書、それから関連国内法を国会に提出した段階でございまして、まだ批准してはいなかったんですが、6月の初めに国会の審議が終わりまして、京都議定書の受諾書を国連本部に提出して、国内法も無事に成立いたしました。7月になりまして、今現在、きのうの段階だと思いますが、世界じゅうで80カ国が京都議定書を承認しておりまして、炭酸ガスのシェアでいきますと36.6%までいっていると思います。発効条件が55カ国、55%ですので、国の数は十分クリアしているわけですけれども、55%の方がもう少し残っている。今は36.6%ですので、ロシアが入っても1%ぐらいまだ足りないということでございまして、ロシアプラス1カ国ぐらいが必要だということになります。いずれにしても、各国の状況を見ていますと、ロシアも批准に向けて動いておりますし、時期的にいつというのはちょっと明言できないところがありますけれども、来年のそう遅くない時期には発効するんじゃないかと思います。そのために、我々としても、京都議定書の実施を目指していろいろな体制を整備していかなきゃならないというふうに思っております。
 7月の下旬に政府の地球温暖化対策推進本部を開催いたしまして幾つかのことを決めたんですが、その中の1つに、2000年度の温室効果ガスの排出量を数値として公表いたしました。これを見ますと、2000年度では90年の基準年に比べて8%の増加ということになっていますので、マイナス6%の議定書の目標を達成するためには、合わせて14%の削減が必要になるという状況になっております。もともと京都議定書の目標を達成するのは必ずしも容易でないということは広く言われておりますし、私どももそういう認識をしておりますが、なかなか難しい状況がますます積み上がってくるのかなという感じがします。
 京都議定書の実施のためには、幾つかのキーポイントがあると思います。1つは民生対策をどう進めるかということで、これは我々も一生懸命やっていかなきゃならないと思っています。2点目は、森林吸収源の方の確保、これは 3.9%枠がありますけれども、これもなかなか通常にやっていただけでは 3.9%まで達しない。ここを何とかしなきゃいけない。それからもう一つは、大綱の中でも 1.6%のすき間で、明言はしておりませんでしたけれども、京都メカニズムの活用の部分でございます。この3つをしっかりやらないと京都議定書は達成できないということですので、我々としては、この部分、特に重点的に取り上げていきたいと思っています。
京都メカニズムの部分については、7月下旬の推進本部におきまして、事業承認の枠組みをまずつくろうということで、後ほど詳しくご説明いたしますけれども、各省連絡会を設けまして、そこに事業者からCDM/JIについての事業承認を申請させて、その承認を行うというふうな仕組みをスタートさせようということで、今、準備を進めている段階でございます。早ければ10月にはCDM/JIの事業申請を受け付けることができるというふうに考えております。関係省庁でもCDM/JIの事業化に向けたいろいろな取り組みが進んでいるわけでございますけれども、私どもとしても、先ほど申し上げましたように、これは1つのキーポイントになるというふうに考えておりますので、その実現に向けて着々と準備を進めていかなきゃならないというふうに考えているところでございまして、特にその部分について、きょうはご検討いただきたいというふうに考えております。
 CDM/JI、仕組みそのものが、まだ国際的に詰まり切っているわけではありません。そうしたものも横目で見ながら、国内的に早く推進体制を整備していくということが求められているわけでございますので、これから先生方にいろいろなことでご厄介になるというふうに思いますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○熊倉課長補佐 続きまして、ことしの7月に地球温暖化対策課長の竹内が異動になりまして、後任に清水が着任いたしましたので、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。

○清水地球温暖化対策課長 7月22日に地球温暖化対策課長に就任しました清水康弘です。どうぞよろしくお願いいたします。

○熊倉課長補佐 では、続きまして、議事に入ります前に資料の確認をさせていただきたいと思います。
 配付資料一覧に書かれておりますように、資料の1として議事次第、資料の2として委員名簿、それから資料3といたしまして、京都メカニズム活用のための体制整備ということで、地球温暖化対策推進本部、それから幹事会の決定がついているかと思います。それから、資料4といたしまして「平成14年度『排出量取引等の登録簿システム』に係る依託先の公募について」というお知らせ紙、それから資料5といたしまして「JI及びCDMに係る事業の承認について(たたき台)」というものがあると思います。それから、資料6といたしまして「京都メカニズム活用のための当面の施策について」、同じくたたき台。それから、資料7、やや分厚いものですが、「CDM/JI事業に関するアンケート調査結果」、資料8といたしまして、横長の「京都メカニズムの国際検討状況について」。
 あと、参考資料といたしまして冊子を2つつけておりまして、1つは「図説 京都メカニズム」ということで、前回お配りしたものを製本化したものでございます。それから、もう一つ、「地球温暖化CDMフォーラム2002」プログラムということで、環境省のフィージビリティースタディー調査の結果発表会に使われたプログラムをお配りしております。
 以上です。もし不足している資料等がございましたら、事務局の方にお申しつけください。
 それでは、議事に早速入っていただきたいと思います。これ以降の進行は西岡座長の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○西岡座長 皆さん、おはようございます。ご参集ありがとうございます。
 きょうの検討会の議事次第でございますが、お手元の議事次第、資料1にございますように、大きく言いますと2つございます。1つは、これまで4月以降、幾つかの国内制度の原案といったものがつくられつつありまして、それに関するご意見をいただきたいというのが1つの区切りでございます。
 もう一つは、京都メカニズム活用のための当面実施すべき施策、あるいは国際的検討状況ということで、実際、CDM/JIの事業をどうやって支援していくかということについての案が出ているようでございますので、これについてもご意見をいただきたいということでございます。
 大体時間割といたしましては半分半分でございますが、後半の方にやや力が入って討議していただきたいというぐあいに考えておる次第でございます。
 それでは、まず、4月以降の政府の動きについて、事務局の方からご説明いただきたいと思います。

○高橋温暖化国際対策推進室長 それでは、私の方から、資料の3から5を用いましてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず資料3でございますが、先ほど局長のあいさつにもございましたように、本年7月19日に、地球温暖化対策推進本部を開催いたしまして、京都メカニズム活用のための体制整備について決定をいたしております。ポイントは2つございまして、1つはCDM/JIの実施に必要な政府としての事業の承認を行う、また、その承認に必要な手続等を決めるということの目的で、この本部の下に京都メカニズム活用連絡会というものを設けるということでございます。これは、2にございますように、関係省庁の課室長レベルで設けるということでございます。それからもう一つは、4にございますように、国別登録簿の整備につきまして、経済産業省と環境省が共同で整備を進めまして、また共同で運営管理を行うということを決定いたしております。
 1枚めくっていただきまして、この本部決定を踏まえまして、22日に、その本部の下にございます局長級の幹事会の決定により、さらに詳細を決めてございます。これをごらんいただきますと、2でございますが、先ほど申しました京都メカニズム活用連絡会の構成省庁でございます。ここにございますように、プロジェクトに関連の深いところとして、内閣官房、環境省、経済産業省、それから外務省、農林水産省及び国土交通省という省庁の担当課室長で構成をするということを決めてございます。
 それから、3が具体的な事業の承認及びその支援の体制ということでございますけれども、1つは、事業の承認の申請につきましては、事業者の方は、この連絡会のメンバーのいずれかの構成省庁に対して申請を行うということができるということにしております。
 3の(2)にございますように、プロジェクト支援担当省庁というものを決めることにしておりまして、そこがそのプロジェクトの進捗状況の把握でありますとか、さまざまな支援を行う。それから事業承認の具体的な実務等を行うということでございます。そのプロジェクト支援担当省庁というものをどう決めるかということについては、一義的には事業者の方の意向を踏まえるわけでございますが、この連絡会においてどこが支援省庁になるかということを決定をするということにしてございます。これについては、複数の省庁が支援を担当するということも想定されるということでございます。
 それから、特に外務省につきましては、在外公館との連絡業務、あるいはホスト国、関係国際機関との外交的な手続、交渉というようなものについて、プロジェクト支援担当省庁と相談をしながら、必要な業務をやっていただくということを決めてございます。
 (3)が承認の具体的なプロセスでございますが、今、この細かいところの手続を政府部内で検討しておるところでございますが、この決定の中では、担当省庁が審査をいたしまして、その結果を連絡会へ報告をし、連絡会において事業承認を行う。承認された場合には、その支援担当省庁から政府承認のレターを事業者の方に発行するということでございます。
 その後は、(4)は結果の報告。幹事会は、本部に報告をするというようなことを決めております。
 4の登録簿については、先ほどの本部決定と同様でございます。
 以上のようなことを本部、その下の幹事会で決定をいたしまして、今、具体的な申請の手続等についての検討を行っております。後ほどたたき台につきましてご説明をして、ご議論をいただきたいと思っております。
 それから、資料4でございますが、先ほどの登録簿の整備について経産省、環境省が協力して進めるという決定を受けまして、今、具体的な登録簿のシステム開発等を行う依託先の公募を行っております。ここにございますように経済産業省が公募をいたしておりまして、この業務については経産省、環境省が協力をして行うということにしております。詳細は時間の関係で省略させていただきます。
 次に、資料の5でございますけれども、先ほどの本部・幹事会決定を踏まえまして、具体的なCDM/JIの事業承認はどういう手続で行うかということを、これは政府部内で調整をまだこれからやるところでございますので、現段階では全くのたたき台でございますけれども、きょうの機会にご説明いたしまして、いろいろとご意見をいただければというふうに考えてございます。
 まず1が、CDM/JIの事業の申請のあり方ということでございますが、先ほどの幹事会決定に沿った形で少し詳細にしてあるわけでございまして、(1)にございますように、事業者の方は、連絡会構成省庁のいずれかの申請窓口に申請をしていただく。その申請を受けた省庁が、その写しをすべての関係省庁に送付をする。
 (3)では、具体的なプロジェクト支援担当省庁の決定の仕方ということで、連絡会で決めるわけでございます。これについては、事業者の方から、この省庁に支援してほしいという希望が出てくる場合もございますし、特に希望がないという場合もございますけれども、いずれにしても連絡会で調整をして決める。どこが支援省庁になったかということについては、後で政府承認レターを出す際に、ここが担当省庁になりましたということを事業者の方に通知をするということでございます。
 (4)にございますように、支援省庁が審査の結果を連絡会に報告をする。
 (5)は、プロジェクトの資金の関係で、公的資金が使われている場合、含まれている場合のことでございますけれども、これはマラケシュ合意で、公的資金を使う場合には、それがODAの流用になってはならないという規定があるわけでございまして、これの関係で、申請者の方が当該資金がODAの流用でないということを政府に確認をしてほしいという場合には、ここでは外務省ということにさせていただいておりますが、その流用でないか否かということを審査をして、結果を報告するということでございます。
 それから、(7)にございますように、連絡会が上記の審査の結果を踏まえまして、プロジェクトの承認ないし不承認を決定する。
 (8)にございますように、その結果は、速やかに、承認された方には承認レターを発行するということでございます。もちろん不承認になった場合にも、その理由をつけて事業者の方には連絡をするということでございます。
 それから、承認を迅速に行うということが重要だと考えておりますので、できるだけ早く審査の業務を行いたいと思っておりますが、実際の標準処理期間というようなものについては、実際の承認手続を重ねる中で具体的に定めてまいりたいということを考えております。
 それから、2でございますが、承認基準ということでございます。どういう考え方で承認の審査をするかということでございますが、基本的な考え方としましては、マラケシュ合意の中で指定運営組織、あるいはCDM理事会が、そのプロジェクトの設計書等をもとに詳細な審査を行って、それがCDMとして適格かどうかということを審査をするということでございますので、そういう前提で、ここで行います政府としての承認については、そういう詳しい内容の審査に踏み込むということよりも、むしろ日本の事業者がどういうプロジェクトに関与しているかということを適切に把握するということに主眼を置くということが重要ではないかというふうに考えております。ただ、承認に当たっては、下にあるような事項については最低限審査を行いたいということで、申請書に記入漏れ等がないかということ。それから、(2)にございますようにプロジェクトの内容でございますが、京都議定書、あるいはマラケシュ合意、その他、今のCDM理事会でもいろいろさらに細かい事項を検討しておりますが、そういう国際的な合意事項に反するものではないということを確認をする。国際的合意事項等の詳細については、別途利用ガイド等というものを定めまして、事業者の方に参照していただくということを考えております。それから、事業者自体の適格性ということでは、プロジェクトの的確な遂行に支障がないということを見るということで、経営状況等が困難ではないということを確認するということを考えております。
 それから、3にございますように、プロジェクト実施主体の方は、承認を受けて事業を進められている過程においては、その進捗状況についてプロジェクト支援省庁の方に報告をしていただく。複数の省庁で支援する場合には、どこか1カ所に報告していただければ、その報告は関係省庁でシェアをするということにしております。
 それから、4にございますホスト国政府との連絡交渉等ということでございますが、プロジェクト支援担当省庁は、プロジェクトの進捗状況を把握するとともに、そのホスト国の承認を速やかに受けられるように、あるいはクレジットの発行が適切に行われるようにいろいろな側面支援を行っていくということでございまして、そういう観点から、支援省庁から指導、助言、あるいは報告を求めるというようなこともできるということを書いてございます。
 それから、次のページでございますが、外務省の役割ということで、ホスト国政府の窓口に対して政府承認レターの写しを送付するということを皮切りに、支援省庁といろいろ相談をしていきながら、相手国政府に対しても協力を求めていく。それから、在外公館においても担当者を決めていただきまして、支援担当省庁と協議をしながらホスト国の承認を得るということが非常に重要でございますので、そのための交渉支援、あるいは情報収集等を行っていきたいということでございます。
 次のページに、別紙1ということで、事業者の方が申請をしていただく際の具体的なやり方といいますか、どういう情報を提出していただくかというようなことについて書いてございます。まずは、最初にプロジェクトの実施主体ということで、国内、それからホスト国におけるプロジェクトの実施主体につきまして、どういう主体なのか、どういう事業活動をしているのかというようなことについての概要を報告していただくということでございます。
 それから、IIとして、プロジェクト自体の中身の情報ということでございますけれども、名称から始まりまして、対象地区の概要、それからプロジェクトの概要。概要と言いますのは、目的とか内容とか、温室効果ガスの削減・吸収のためにどういう具体的な措置が盛り込まれているかということでございます。それから対象とするガス、それから実施スケジュールというようなことでございます。
 それから、次のページにまいりまして、ホスト国の持続可能な開発の達成の支援。これはCDMの目的の大きな柱であるところでございますけれども、このプロジェクトによってホスト国の持続可能な支援がどういうふうに達成されるのかというようなことの説明をしていただく。
 それから、7)としてプロジェクトの課題ということで、支援担当省庁に期待する支援内容も含めて、課題について書いていただく。
 それから、Bとして、ホスト国の承認の可能性ということで、これは我が国政府に承認を申請する段階では、必ずしもホスト国の承認が得られているとは限らないわけでありますが、その承認が受けられる見込みについて、把握している範囲で書いていただくということでございます。
 それから、環境への影響ということでございますけれども、これにつきましては、マラケシュ合意の中で、プロジェクト実施主体自身が環境影響の分析、あるいは必要に応じて環境影響評価を行いまして、その結果を第三者認証機関に提出をして、そのプロジェクトの適格性の評価という中での審査を受けるという、環境アセスメントに関する手続が決められておりますので、ここではそういう合意を踏まえて、行われるべき環境影響分析等の見通し、対応策等について記入をしていただくということを考えております。
 それから、Dは資金源ということでございますが、プロジェクトの資金源、それから、先ほどちょっと言いましたODAの流用でないという旨の確認。これは私どもの理解では、マラケシュ合意の中では、ODAの流用でないという確認につきましては、政府または公的なODA実施機関等が確認をすることができるというふうに理解しておりますけれども、政府の確認を求める場合には、その旨を書いていただくということでございます。
 それから、IIIがプロジェクトを実施した中での効果の見込みということでございまして、プロジェクトを実施しない場合、ベースラインというふうに言っておりますけれども、その場合と比較して、温室効果ガスの追加的な削減、あるいは吸収の効果がどのぐらいあるかということについて記入をしていただくということでございまして、次のページにございますように、まずはベースラインをどういう考え方で設定をしているかというようなこと。それから、プロジェクトを実施した場合の予測される温室効果ガスの削減、あるいは吸収の増加について書いていただく。その際に、いわゆるリーケージといっておりますが、プロジェクトの境界の外で副次的に生じる温室効果ガスの増減についても考慮していただくということでございます。
 それから、プロジェクト支援担当省庁の選択。これは空欄でも構わないということですが、支援を希望する省庁を書いていただく。
 それから、その他として、実施主体の財務状況についての書類、また、申請書の内容は一般公開される可能性がございますので、事業者の方で、競争上の利益の確保等の観点から非開示を求めるというものがあれば、その旨記入をしていただく。最後に、代表者の署名を記入して申請をしていただくということを考えております。
 それから、別紙2として、先ほどの最初の方の説明で、事業が実施段階になったときに適宜プロジェクト支援担当省庁に事業の進捗状況について報告をしていただくということを盛り込んでおりますが、その報告のやり方につきまして、別紙2に書いてございます。
 1つは、その申請書の記入内容に重大な変更があった場合には報告をしていただく。場合によってはプロジェクト自体が別のプロジェクトとして再度申請をしていただくという場合も生じるかと思っておりますが、その変更について報告していただく。それと中止等をした場合にも報告していただく。
 それから、ホスト国が承認をした場合には、その証明書を提出をしていただく。
 それから、政府の承認の後、具体的なプロジェクトの設計書を第三者認証機関に提出をする。あるいは、プロジェクトの実施結果について、また認証を受ける。その認証の結果、プロジェクト審査報告書というのが出てくると、そういうマラケシュ合意に基づくさまざまな文書がございますけれども、そういうものについても提出をしていただくということでございます。それから、プロジェクトがCDMまたはJIとして適格であるという承認が正式に行われるという手続が、CDMで言えばCDM理事会の登録を受けるという段階がございます。その場合にも、その旨報告をしていただくということでございます。
 それから、最終的にクレジットが発行される、移転されるという段階でも、発行された--CDMであればCERでございますし、JIならばERUですが、そういうものの発行についても報告をしていただくという方向でございます。
 非常に早足でございますけれども、以上のような形で、資料5のようなものをこれから政府部内でも調整をしていきたいと思っております。とりあえずたたき台ということでお示しをいたしましたので、お気づきの点等、ご指摘をいただければ大変ありがたいと思います。
 なお、これにつきましては、今後政府部内で9月の上旬を目途に調整いたしまして、その後パブリックコメントをいただいた上で、10月に決定をするという段取りを考えているところでございます。
 以上でございます。

○西岡座長 どうも、説明ありがとうございました。
 今のお話は、まず1つは、4月以降、この京都メカニズム活用のための体制ができた。だれがどういう責任でもってどういう行動をやるかという割り振りができたというのが資料3であります。これにつきましては、もしご質問がございましたらお受けしたいと思っております。
 それから、資料4は、これはまだ当分先ではありますが、実際このレジストリーと言われている登録システムなるものをつくろうということです。CDMを成功させても、それをどこにどう持っていっていいのかわからないというようなこともあるかと思いますが、国としての登録システムをつくりたいということで、そのシステムをつくる依託先を公募しているという、また一歩進んだお話でございます。
 きょう、これから皆さんにご意見をいただきたいのは、資料5、たたき台とございまして、まだまだ皆さんのご意見を入れていいものにしていく余地が十分あるものでございます。CDM自身は、もう2000年からいいよということになっているんですが、具体的に承認手続等々が決まらない限りは、だれも手をつけないという状況にあったわけですけれども、日本の国としてはこういう方向でいきたいという承認の手続がここで示されているわけです。ここに出席の皆さん、既にCDMのパイロットをなさったり、あるいはそれに対して援助を考えておられたり、また、国際的な取り決めから見てどういうのがいいかということをいつも考えていてくださる方々と承知しております。きょうは、驚いたことに委員の方が全員出席しておられるというたぐいまれなる会議でございまして、ぜひこの機会に皆さんのご意見を集約したいというぐあいに考えておりますので、積極的にご意見をいただきたいと思います。
 まず、資料3と4について何かご質問はございましょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、またそのことに戻ってくることもあるかと思いますけれども、資料5「JI及びCDMに係る事業の承認について(たたき台)」ということをひとつ皆さんにたたいていただきたいと思いますので、まずご意見のある方、どなたでも結構ですし、どの部分からでもいいかと思いますので、ぜひご発言いただきたいと思います。ご発言を考えておられる方は、後で追加されて結構ですから、立てていただくと、私としては議事がやりやすいということでお願いします。
 それては、早い方ということで、まず畑中さんから、こう回りたいと思います。

○畑中委員 それでは、1番目ということで、非常に雑駁なことかもしれませんが、幾つか述べさせていただきたいと思います。
 まず、このたたき台でございますが、1つ、私の方からは、入札という切り口から考えて、実際問題としてどういうふうに動くのかなということを述べさせていただきたいと思います。プロジェクトは、まず施主、事業主体がどういう性格のところになるかということで、この入札の問題も随分違ってくると思いますが、途上国、CDMを中心にまずお話をさせていただきます。国、あるいは公団である場合と、民間企業である場合、あるいは国でもいいんですが、特定の事業目的のための会社をつくっている場合、SPCとかいっておりますけれども、そういう場合、あるいは、そのSPCに日本の民間企業が出資をしている場合、出資をしていない場合、いろいろあろうかと思います。これによりまして、国際入札といいますか、そういうものの必要性というのが変わってこようかと思います。一番極端な例から言いますと、国の場合は、入札というのは当然規則で決められておりますので、入札なしでは事業は進まない。民間の場合で特定目的の会社の場合は、その関連会社から随契で事業の請負会社を決めることができると、こういうことで、その両極端の間のどこにあるのかということによって、入札の方式と、その入札がある場合のどの段階で、この登録といいますか、政府の方に報告、承認を申請するのかという問題があろうかと思います。
 それに関連して、資金源というところがあるわけでございますけれども、過去におきましては、例えばCDMと関係なく、お金も入札の条件になっていることがあるような入札がよくありました。お金を持ってきなさい、条件を提示しなさいと。したがって、表面価格ではなくて、ついてくる資金の譲許性といいますか、こういうもので落札を決めていたような国がございまして、その後、その辺のところがOECDの輸出信用部会でいろいろ問題になって、今、金融条件の標準化が図られているということです。このCDMにつきましては、したがって、資金源を持ってきなさいというような入札条件が入ってくるような入札があるかもしれない、あるいは、資金源のかわりに排出権のどれくらいを欲しいんですかと、何%を希望されているんですかと、こういうものが入札の条件になってくるかもしれないと思います。こういう新しいことがまた起こってくると、OECDの場で議論をされていくようなことになるかもしれません。したがって、現段階ではちょっとわからないことがいろいろあるわけですけれども、どの段階によるかによりまして、資金源、あるいは書く内容が相当違ってくるのかなというふうに考えております。
 それから、もう一つはODAに関しましてでございますが、流用に関して申請書に書くということになっております。ここは実際問題として、今後OEがまず予備審査をして、CDMの理事会で承認されるというふうに理解しておりますが、その辺のところで、ここのところがどういうふうに、過去の国際会議の議論を踏まえてODAの流用という点がどれぐらい厳しく審査をされるのか、あるいは、それに対して我が国としてどう対応していくのか、この辺のところは早急に関係の方で議論をぜひ進めていただきたいと、そういうふうに考えております。
 とりあえず以上でございます。

○西岡座長 どうもありがとうございました。時々まとめてご意見をお伺いするかもしれませんけれども、もし答えられるところにつきましては、事務局の考え方、あるいはほかの省庁の方の考え方も含めて、一つ一つお伺いできればなと思っております。
 最初の件は入札の観点からということで、幾つかの条件をどういうぐあいに日本政府として把握しておくんだろうかという話かと思いますが、何かお考えはございますか。もしくは、これは重要だから、今後また検討するということでも……。

○高橋温暖化国際対策推進室長 重要なご指摘なので、検討したいと思っています。とりあえずの感じとしては、我々としては、事業申請をしていただく段階というのは、かなりフレキシブルに考えておりますけれども、入札の前であっても可能ではないかなと思っています。ただ、入札によって、そのプロジェクトの申請内容まで大きく変更があれば、また報告していただくということかと思うんですけれども、入札の前でもよろしいんではないかなという感じでございますけれども。いずれにしても、十分検討させていただきたいと思います。

○西岡座長 それでは、もう一つ、ODAの関係につきましてはいかがでしょうか。

○高橋温暖化国際対策推進室長 そこにつきましては、まさにご指摘のとおりで、実際の相場につきましては、具体的なプロジェクトの申請、OE審査等を行わないとわからない部分があるかと思いますけれども、いずれにしても、私どもとしては、政府としてそこの部分については確認をするという手続を盛り込みたいというふうに考えております。

○西岡座長 今の2点につきまして、何かほかの方のご意見はございましょうか。
 よろしゅうございますか。それでは、次へ進みまして、松尾委員、お願いします。

○松尾委員 レジストリーに絡んだ話ですけれども、CDMのクレジットを獲得するときには、それをどこかへ入れなきゃいけないというわけで、レジストリー内にアカウントを持たなきゃいけないわけですね。それが申請するときの要件には、ここには少なくとも書いていないようですね。これに関するお話というのは、そもそもレジストリーに申し込むときのスクリーニングの問題にもかかわってくると思うんです。そのあたりは、今、どういうぐあいにお考えなのかなということが1つあります。
 同時に、それと絡んで、もうちょっとそれの応用問題として考えてみますと、例えばほかの国の企業などが日本の国のレジストリーの中にアカウントを持ちたいという申請がある可能性があるわけですね。一番簡単なのは、日本法人などがあったらそれを通じてやる。あるいは日本法人をつくってやるという考え方が1つありますし、もうちょっと言えば、アカウントは単なる銀行口座みたいなものだから、外国の企業のままでもできるかもしれないなんていう考えでやってくるかもしれない。そうした場合に、それに対してどう考えるかですね。したがって、ほかの国の企業、極端なことを言うとアメリカの企業が日本発のプロジェクトとしてCDMを行うということも可能ですし、もう少し別の考え方で言いますと、今のマラケシュアコードでは、途上国がエミッション・トレーディングできないか、できるか、よくわからない状態ですから、逆に言いますと、その途上国の企業が日本のレジストリーの中にアカウントを持ってやるならば、ユニラテラルCDMであろうが何であろうができるという解釈も成り立ちます。そういうところの考えを、ここではスコープの外にあるようなので、少し考えておいていただいた方がいいのかなというのが1点。
 あと、英語でもかまわないのですかという問題があります。どうせ英語の資料をつくらなきゃいけないものですから、わざわざ日本語をつくるというのは大変かもしれませんので、そういう意味では英語でもいいのかな。逆に言うと、英語だけでやられると、今の外国の企業の話にも、また若干絡んでくるかもしれません。
 以上です。

○西岡座長 そうですね。それじゃ、今の件はいかがでしょうか。

○高橋温暖化国際対策推進室長 かなり今回の、とりあえずきょうご提示したもののスコープを超えている部分もいろいろあるかと思います。レジストリーの準備に絡んでくるお話もいろいろあろうかと思いますので、今ご指摘の点、すべてこの事業承認の手続の中に盛り込むかどうかといったことは、ちょっと検討を要すると思いますが、いわゆる外国企業の関与という観点かと思いますので、そこら辺は、もう一回、必要があるかどうか検討してみたいと思います。基本的には、これは日本の企業のCDM/JI事業を支援するという側面でございますので、基本的には日本企業に対する対応を主体に考えているということでございます。

○西岡座長 言葉の問題はどうしますか。

○高橋温暖化国際対策推進室長 基本的に日本語ではないかと思っているんですが。
もちろん日本の企業の方のご意見を踏まえて、英語だけでもぜひ認めてくれということが強ければ考えたいと思いますが、今のところ、日本語で考えております。

○西岡座長 基本的に承認自身はCDM理事会、あるいはOEでなされるということを前提にしておられるから、このたたき台自身は、ここにあるように、日本の企業はどういうことをやっているかを把握するということが一番重要なんですね。ですけれども、かなり政策に絡んでくるところも出てくるんではないかなという気はしますので、今みたいな考慮も要るんじゃないかなという気がいたします。
 それでは、よろしゅうございますか。今の件で何か補足のご意見がございましたら。
 それでは山口委員、お願いします。

○山口委員 山口です。
 今の件で、日本法人の外国企業というのは日本企業だという点を確認しておきたいと思います。
 このCDM/JIについて本質的なことは、どうもこの資料6に出てくるようなので、資料5に関しては、事業の承認のやり方、これだけに絞ってお話をしたいと思います。
 まず第1に、これは要するに、JIやCDMの事業を国として支援するという目的じゃないかと思うんですね。そうすると、このタイトルが「承認」、国が承認する。CDMとかJIを承認する。JIはそうですけれども、CDMを承認するのは相手の国の政府なので、日本の政府がノーと言うのはどうかなという気がするんですね。むしろ、これを「CDM/JIに係る事業の支援について」というふうに直したらどうなんだろうというのがまず第1です。
 それから、2番目に、いずれにしても、日本としてこういうプロジェクトをたくさん出そうということであれば、できるだけ煩雑さを避けるということが必要ではないかと思うんですね。そして、今、承認ということを申し上げましたけれども、ページが振ってありませんけれども、2ページ目の基準を見ると、例えば記入漏れとかなんとかという、ここは要するに指導すればいいだろうと思うんですよ。記入漏れがあったら「ちょっとここが抜けていますから」ということで、不承認だということじゃないんじゃないかなと。それから、例えばプロジェクトの内容が京都議定書に反する--反するってどういうふうに見るかは難しいと思うんですが、その場合でも、もしかしたらこういうところがひっかかるかもしれないので、こういうところをもう少しこういうふうにしたらいいんじゃないかとか、要するにそういう方向で、指導という言葉がまたいいかどうか知りませんけれども、ノーという意味ではない方がいいんじゃないかなという、これが1つです。
 それから、実は、さっきの資料3とも関係あるんですけれども、各省庁との役割で、いわゆる相手国との関係で、外務省の在外公館を通してやる。そして、もちろんこれはルートとしてはそういうことだと思うんですが、結構内容は複雑ですよね。日本のCDM/JIプロジェクトは、随分あちこちで、東欧とかアジアでいっぱい出ると思うんです。そうすると、本当に在外公館の人が相当知っていないと、かえって相手国との間でトラブルを生じるおそれがあると思うんですね。ですから、もしこういうシステムでやるのであれば、外務省で担当者を指定するとありますから、その人をぜひ日本に集めてもらって、かなりきちんとした教育をする。これをやらないとちょっとまずいんじゃないかというのが2番目の意見です。
 それから、今度は3ページと4ページになるんでしょうか。別紙1「申請の手引き」ってありますね。これは、ちょっと私も実際に申請するわけじゃないのでわからないんですが、例のプロジェクト・デザイン・ドキュメントをつくりますよね。そうすると、これはPDDと相当ダブるんじゃないかなと。そうすると、ある意味ではPDDを出せばいいよと。それ以外のところはここに幾つかあるかわからないんですが、あれば、そこは出してもらってもいいんですけれども、そうじゃないなら、もうつくってあればそれで代用しますよと、こういう形でやった方が、僕はやる方にとってはやりいいんじゃないかと思うんですね。余りにあっちも出せ、こっちも出せ、これは日本語でしなきゃいけないとかいうことになると大変だろう。要するに、PDDは恐らく間違いなく英語で出すんだろうと思うんですね。そういうことです。
 それから、もう一つ、申請手引きにいろいろなことが書いてありますけれども、これは個々に調べないとわかりませんが、例のスモールCDMですね。あれに比べて、恐らくこれは細か過ぎるところがあるような気が、ちょっと見たところするんですね。そうすると、スモールCDMで国際的に決まって、これだけやればいいよとなっているところが、日本政府に対してはもっと細かいことを出さなければいけないということになってしまうのは、これはちょっと……。むしろスモールCDMをもっとやろうという意味では、少しブレーキをかけるということになってしまうのではないかなというふうに思うんですね。そして、例えば1つの例ですけれども、この別紙1の2ページ目というんでしょうか。Cと書いてあるところで、環境への影響、環境影響評価。これはスモールCDMの場合にはマストじゃないんですよね。相手国政府がやると言ったらそれをやるんですけれども、そうじゃなきゃやらなくていいわけです。それに対して日本は、それでもやると日本で決めれば別なんですけれども、僕はそういう必要はないかなという、こういう感じなんですね。それで、例えば資金源で「ODAの流用でない」、これはJIは必要なんでしょうか。

○高橋温暖化国際対策推進室長 それは関係ないです。

○山口委員 そうですよね。何かちょっといろいろなのがごちゃごちゃしていまして、それから、例えば次のページの例のリーケージ、さっき説明がありました。ここも最終結果は僕はまだ知らないんですが、例のスモールCDMでは、リーケージはもう勘案しないと、途中経過は間違いなくそうなっていましたけれども、そんなことじゃないかと思うんですね。そうすると、それについてもここで何か考慮しなさいということなのかな。だから、そこは要するに基本的になるべく煩雑さを避けて、しかも支援すると、そういう姿勢で全部見ると、そういう点がちょっと気になるなということがあるんですね。
 それから、例えば別紙2のIVの「プロジェクト設計書及びプロジェクト審査報告書」というのがあります。いわゆる第三者機関に提出して云々、例えば「JIの場合には独立組織」とありますが、むしろ恐らくJIは、この下のただし書きのところですね。要するに、トラック1がただし書きになっているわけですけれども、トラック2でJIをやるというのは本当に大変だと思うんですね。ですから、むしろトラック1があるからJIにいこうということが多いわけで、だから、むしろこっちが本文で、大した話じゃないんですけれども、何か非常に難しいのが先に来ちゃうとちょっと面倒だなという感じがあるような気がするんですね。
 ですから、細かいことを幾つか申し上げましたけれども、まだスモールCDMの中身、あるいはプロジェクト・デザイン・ドキュメントの中身、ここで全部照らし合わせたわけではありませんが、できるだけ支援するという方向でもう一度見ていただければいいんではないかと、こういうふうに思います。
 以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。全般的に役所は手続というのを非常に大切にして、それがしばしば活性をそぐ可能性がありますが、そういう意味で、今のご意見は非常にいいご意見ではないかと思っております。何かレスポンスするものがあったら……。

○高橋温暖化国際対策推進室長 簡単に申し上げますけれども、基本的に山口先生の考え方は、我々も全く同じでございまして、事業者の方に過大な負担をかけずにやっていきたいと。なおかつ、マラケシュ合意ということで決まっているものより厳しいものを要求するということは一切考えておりません。
 1点だけ、承認につきましては、私どもの理解としては、ホスト国と投資国、双方の承認が必要であると、そういう考え方で、それに基づいて本部決定をしております。ただ、もちろん、ホスト国と投資国では承認の考え方がかなり違うということで、投資国としての承認については、審査をしていく中の動向というのもきちんと把握をして支援をしていくという要素がかなり強いということでございます。
 それから、もちろんこれをやらなければ承認しないということではなくて、実際には事業者と縷々連絡をしながら、必要があれば助言等をして、内容が適正になるようにということで、基本的にできるだけ承認できるように誘導していくということだと思いますが、万が一、どうしても内容がふさわしくないという場合については、やはりやむを得ず承認しないということもあり得るわけです。その場合、承認の基準は何なのかということを一応明確にしておかないと、逆に、何でこれが承認されないのかということについて説明できないということにもなりかねませんので、一応最低限の承認基準といいますか、そういうものは示していく必要があるんじゃないかという考え方でございます。
 それから、スモールCDM、これは今、私どもの理解ではパブリックコメント中ということであると思いますが、フルスケールのものとは若干違う部分がある。今の私どもの理解では、環境影響評価についてはフルスケールのものと考え方は同じで、まず環境分析をして、それで影響が著しいということであれば環境影響審査をする。ですから、フルスケールの場合の環境影響審査はマストではないということで、そこはたしか今の案では同じだったと思います。ただ、リーケージについては、スモールスケールについては考えなくていいという感じになっていると思います。いずれにしても、その辺も決まり方を見まして、必要があればスモールスケールとの関係を整理したいと思っております。いずれにしても、PDDのような詳しいものを出していただくというよりも、この部分の承認については、もっと定性的な内容でできるんではないかという考え方で今はおります。

○西岡座長 ありがとうございました。
 山口委員、よろしゅうございますか。
 それでは青山委員、お願いいたします。

○青山委員 私は、この資料に沿って、気がついたところをお話しさせていただきたいと思います。
 まず、提出受理という1のところのプロセスがあるわけです。我々もいろいろな地域承認ということをよくコンサルとしてやっているんですけれども、提出ということと受理というのはかなり違っていまして、事前調整というか、ここで言えば、先ほどおっしゃられた指導という、ここは記入漏れがあるよとか、この内容をちょっと変更しろというようなことの検証・調整があって、受理するときには、少なくとも書面とか条件的では満たしていて、あとは、関連省庁の意見を聞くとかということで正式のプロセスに入っていくというようなことがよくあります。ここでいう提出という行為と受理するというのは同一なのか。提出は我々が事業者として提出するということだと思いますが、受理は省庁側がやるわけです。ここのところが同一時機といいますか、同一の行為として提出と受理があるのか、それとも、そこに差があるのかというところが1つ気になりました。
 2点目として、やはり先ほどお話があった承認か届出なのかです。承認を緩めると、多分承認取り消しということがもう一つ出てくるんではないか。承認という行為自体は、私はCDM事業の手続プロセスに入っていることだと思うんですけれども、そこで届出的なもので承認するということは、かなり条件的には緩い環境でやるわけですけれども、事業条件が変わっていく中で問題になってくる事例が出てくると思います。そうすると、承認を緩やかにやるということは、どこかで取り消しとか取り下げとか、そういうことはあるのか、ないのか。ちょっと素人的かもわからないんですけれども、その辺をどうお考えなのかということです。
 3点目は、私もこの外務省の窓口が、むしろいろいろな事業をやる上で制約になるといいますか、そういうことにならないようにするのは、かなり準備が必要だろうと思います。この担当課の方がどうかということもありますけれども、結局CDM事業というのは、相手国側との人的関係とか、お互いの理解とか、そういうところのプラットフォームがないとほとんど動かないですし、個別事業をやっていても、結局ほかの事業との関連で、相手国側がどういうふうにCDM、例えば日本のやるCDMについてどういう考え方で来るのかというところがあって、その点と個別事業の重要性、CDMの効果ということをどのぐらい事業採択の中に入れ込めるかという2つがあると思います。そこで、やはり大きいのは、ホスト国側が日本がやる事業に対して信頼してもらえるとか、お互いの理解が非常になっているとか、あるいは事業の立ち上げに対して相手国側と非常にうまいリンケージが--例えば北九州市とかいろいろなところで、自治体の関係での人脈でいろいろやってきているとか、当該国と日本との関係の中で、CDMに対する人的関係はもう既にいろいろなところにあるとかが重要となります。そういうものを含めて、窓口として外務省が出先としてやっていただけるということ、その辺のプラットフォームをきちんとつくるという中で、この窓口というものをお考えいただきたいというふうに思いました。
 あと、先ほど申し上げた提出情報ということに対しては、実は私自身は、このぐらいあった方がやりやすいかなということを感じます。要は、この仕様といいますか、内容のレベルをどのレベルで言われるかということで、事業対象化の意味で、ある程度基本的な事項について最低限の事項を把握していただけるという視点でこれを出すのであれば、非常にありがたいと思うし、チェック的な対応でやられると非常に煩わしくなる。先ほどの承認ということで、余りここがずるずるにならないような意味で、あるいは非常に不適切な事業が上がらないということも含めてのチェックをする上で必要な事項はむしろ入れていただいた方が、申請する方としてもやりやすいこともあるんじゃないか。これは後で議論していただければと思います。
 ここで一応切らせていただきます。

○西岡座長 どうもありがとうございました。今の幾つか出た件につきまして、どなたかほかに追加の似たような意見というのはございますか。
 なければ、事務局側の考え方はいかがでしょうか。

○熊倉課長補佐 お答えいたします。
 最初の申請と受理の関係でございますけれども、基本的には行政手続法の精神にのっとって考えておりまして、申請をしてきたのに不受理にするということは、基本的に余り想定されないと思っていますので、時期的には一致するという理解で考えております。
 それからあと、承認なのか届出なのか、それから承認の取り消しという事態があるかということですけれども、マラケシュ合意上はアプルーバルということで、日本語に翻訳すると、届出と訳すのは厳しいので承認かなと思っておりますが、実態としては届出に近いものという形で考えております。つまり、よほどのことがない限り、はねるということは想定しておりませんで、基本的に申請書に書く事項は情報把握のためというのをメーンに考えております。あと、承認取り消しについては、一応、このたたき台におきましては、承認した事項、申請書に書いてある事項が著しく大きく変更するという場合には、もはやそれは無効というか、承認したことにならないということで、再度改めて承認申請をやっていただくという形で、一応このたたき台は書かせていただいています。取り消しということを考慮するということでは今は考えていないということです。
 それからあと、外務省との関係がありますけれども、あくまでもプロジェクト支援担当省庁というのが決まりますので、そこがいろいろな面で現地との人脈なり、ないしは事実上外郭団体を扱って、出先なりを持っている場合もございます。そこは外務省の外交的な作業と並行して、お互い相談しながら進めていくということで、十分支援の体制をやっていきたいと思っております。
 あと、最後のプロジェクト情報のところですけれども、もちろんおっしゃるように、我々、最低限の情報把握ということを中心に今回はつくっておりまして、かつ、この情報内容をもってはねるということは考えておりません。基本的にはねるということは、よほどのことがない限り想定されないという理解でおります。
 以上です。

○西岡座長 ありがとうございました。
 それじゃ、鮎川委員に移りたいと思います。

○鮎川委員 今までのお答えの中で、申請の手続というものがPDDのような詳しいものではないものを日本政府が求めているということはちょっとわかったんですけれども、この「申請の手引き」というのが、環境省を通じて申請する事業者だけのものなのか、またはほかの省庁と共通のものになるのか、その辺をまずお聞きしたいんですけれども、ぜひ共通のものにしていただきたいというふうに思ってコメントさせていただきたいと思います。
 この中には、PDDほど詳しいものではないとおっしゃっていますけれども、PDDで求められるようなものが、申請の手続きには、例えばベースライン設定方法とかモニタリングとかパブリックコメントについてとかが言及されていないんですね。これらの点について日本政府が確認しなくていいのかどうか。特に追加性について、プロジェクト効果の見込みのところで一言、「追加的な削減または吸収の効果があることが求められる」とありますけれども、この追加性は重要になると思っています。というのも、ビジネスアズユージュアルのプロジェクト、つまりCDMがなかった場合にも起こっていた事業によってクレジットが発生すると、世界の排出量全体としてはふえてしまうということがあるので、ビジネスアズユージュアルの事業ではないこと、つまりCDMがあったから初めて事業が起きたというようなことであるかどうかということを、日本政府としてぜひ確認していただきたいというふうに思います。それは、プロジェクトを日本政府が承認したとしても、エグゼクティブボードの段階でとか、国際的な場面に来たときにパブリックコメントで承認対象から外されたりとか、または承認されなかったりとかいうような事態が起きてきた場合に、そういう意味では日本政府がきちんとチェックしていなかったということになると思いますので、追加性についての確認の仕方というものをもう少しはっきり、日本語で、この手引きの中に入れていただきたいなということを言いたいと思います。
 今のところではそれぐらいです。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 2件ございましたけれども、いかがでしょうか。

○高橋温暖化国際対策推進室長 最初の点につきましては、もちろん各省共通のものをつくるということで準備をしているということでございます。
 それから、もう一つの点につきましては、追加性については、国際的にもまだ若干議論が残って、ニュアンスが国によって違っている部分もありまして、どこまでそこを求めるかというのは、途上国、先進国の間でも若干、資金の追加性なんかを強く求めている国もあるわけですけれども、そこにつきましては、そこにございますようなCDM事業を行うことによって、行わなかった場合に比べてきちんと効果が上がるかどうかということを最低限確認をしたいと。原理的に見てもCDMにならないようなものを承認してしまうことのないようにしたいという考えで、今つくっております。

○西岡座長 それでは、次へ移りまして、荒牧委員、お願いします。

○荒牧委員 国際建設技術協会の荒牧と申しますが、私は極めて簡単な質問を1つだけさせていただきたいと思います。資料5で、事業者とか実施主体という言葉が出てきておりますが、一体どういう資格がある人が実施主体とか事業者になれるのかということが1点、それだけです。
 実は私どもの協会は、建設コンサルタントとか建設会社がメンバーの法人なんですが、例えば海外での建設コンサルタントは、ほとんど9割がJICA、JBICの仕事で、いわゆるODAの仕事をやっております。建設会社の方は、ODAの率は低いんですけれども、いずれも要するに仕事を受注している。知恵は出すけれどもお金は出していないというようなことなんですが、いろいろプロジェクトを仕組むに当たっては、こういった温暖化防止とかということに貢献はかなりできるはずだと思うんですが、そういった場合に、建設コンサルタントとか建設会社が事業者、あるいは実施主体になり得るのかどうかということを1つお聞きしたいと思います。自分が出資して海外で事業をやるということは、最近は多くなっておりますけれども、今までのところは、日本の会社は非常にそういうところは少ないということなんです。果たしてそういう状況で、このCDMの事業主体になり得るのかどうかということをお聞きしたいと思うんですが。

○熊倉課長補佐 まず、事業主体の定義としては、企業、それからNGO、いずれも可能ですので、そこで特段の何か要件というのがあるということは想定していません。
 今おっしゃっていたのは、自分が出資しないで、例えばODAの受注を受けて実際事業をやるとか、そういう場合だと思うんですけれども、そこは出資者が申請をするのか、それともまさに現場でトンカチをするところをするのかというのは、ちょっとまだ詰めた議論をしておりませんので、そこは引き続き検討させていただきたいと思います。いずれにしても、プロジェクト実施主体が複数あることが十分想定されますので、今のイメージとしては、どこか代表みたいなところを決めていただいて、そこが申請書を出してくるということかなと私は考えております。

○西岡座長 どうもありがとうございます。
 今の件について、ほかの委員の方からのご意見はございましょうか。よろしゅうございますか。

○松尾委員 済みません。今、複数の実施主体があるのはよくわかるんですけれども、問題は、それがインターナショナルになった場合なんですね。例えば日本とイギリスのステークホルダーがいっしょにマレーシアに進出した。そのようなケースでCDMを行う場合に、日本ではアプルーバルが必要で、なおかつイギリスでも必要なのか、あるいはそのうちの1つだけあればいいのかという話は、どう……。マラケシュの合意の中に決まっていませんよね。

○波多野委員 マラケシュにはない。

○松尾委員 ですよね。ですから、日本政府としては、そこはどういう解釈をしているかということでお伺いしたいのですけれども。

○塩田委員 先ほど荒牧先生が指摘された質問に関連して、このプロジェクトを実施していくときに、今お話が出ていましたように、コンサルタントがコンサルタンテーティブな業務を引き受けてやるということ。それから、その後、それを受けて建設事業を実施する。当然これが一体として行われる場合が多いんでしょうけれども、別々に行われるということは、そもそもこの手続で想定しているかどうか。その点をお伺いしたいと思います。

○熊倉課長補佐 済みません。前半の部分、もう一回おっしゃっていただけますでしょうか。

○塩田委員 例えば1つのプロジェクトを実施する際に、コンサルタントの仕事として設計の仕事を引き受ける。それで、今度は設計に基づいて建設の業務を行うと、この2つの事業に分かれることがあり得ますね。そういうことを想定しているかどうかということですが。

○熊倉課長補佐 今回の事業承認というのは、クレジット削減量を生み出すプロジェクトに対する承認でありますので、申請が出てきた内容で、果たして削減量が出てくるのかどうかというのにかかってくると思います。コンサルティング業務が削減量を生み出すかどうかというのは、ちょっとそこは議論があるんじゃないかなと思いますけれども、実際の建設をして、施設を操業するという段階で削減量が発生するということになりますので、やはり事業主体としては、そういうのが一部としてないと成り立たないんじゃないのかなと考えますけれども。

○波多野委員 ここの事業主体って、マラケシュのプロジェクト・パティスパンスと基本的には同じ定義でしょう。だから、CERを取得する予定の人から出すんでしょう。そういうことですよね。そうすれば非常にわかりやすいですよね。コンサルタントが予定していればコンサルタントが出すし、コンサルタントが予定していなければ出さない。

○西岡座長 今、前の松尾委員の方のご質問と、それから荒牧委員の方のご質問に対しては、例えばマラケシュとの2カ国共同の合弁会社をどうするかという話。

○高橋温暖化国際対策推進室長 その話は、今の波多野委員のご指摘のとおりで、日本の企業がクレジットを取得して、日本の登録簿に入れるつもりがあるんだったら、出してもらわなきゃいけないということだと思うんですね。それがなければ要らないのかなという気がしますけれども。

○西岡座長 何か。

○畑中委員 関連のことで1点だけですが、非常に単純に考えますと、私が冒頭に申し上げたように、事業主体というのは施主のことですが、施主が排出権をすべて持っていて、それをどう分配するかということだと思います。他方、施主との契約によって請負契約をとって、そこで仕事をする人たち、簡単に分けると、施主の方には排出権、処分する権利はあるんだけれども、請負で工事契約をやっただけ、あるいはコンサルタント契約をやっただけと、ここには排出権は全く来ないという考え方は非常に単純で分かり易いと思います。ただし、CDM事業に関しては、そういう請け負った方にも排出権が一部なりとも交渉によって、あるいはお話し合いによって渡る可能性があるのかどうか。そこが1つの分かれ目だと思います。

○西岡座長 今の関連ですか。どうぞ。簡単にお願いします。だんだんと時間が厳しくなってまいりました。

○波多野委員 それは具体的な契約によるんだと思うんです。我々のやっているやつだと、例えばジョイントベンチャーがあって、片方の側だけがCERを受け取るという契約をするときもあれば、そうでない、両方がちょっとずつ受け取るという契約をするときもある。それから、施主だけが受け取るときもあれば、EPCコントラクターが一部工事の代金として受け取る場合ということもある。それは個別の契約だと思うんです。そういうふうに受け取ることに決まった人がここに申請をしてくると、そういう了解だと思うんですよね。それで全部通るんじゃないかと思うんですけれども。

○西岡座長 わかりました。それでは、今の件は幾つかのご意見が出ましたので、また検討いただきたいと思います。
 次へ移りまして、亀山委員。

○亀山委員 非常に簡単なコメント1つですが、承認のために提出されたさまざまな情報の公開について伺いたいと思います。ここではそれがどういうふうな形で公開されるのか、されないのかについて何も書かれていなくて、一部だけ、一番最後の「その他」のBの「企業秘密」というところだけで、その秘密が申請を求めない場合には一般的に公開されることがありますということだけが書かれているんですが、個人的な希望といたしましては、日本の企業がどういうようなCDMをやっているのかということをどこかで一覧表で見ることができましたら、我々研究者ですとかNGOもそれを見ていろいろ判断することもできます。また、事業者の方々にとって、こういうCDMもあるのかというようなアイデアの発掘にもなるかと思いますので、できればもう少し前向きな書き方で「一般公開することになります」とか、そういうふうに入れていただけるとありがたいかと思います。また、その際には、受付窓口が各省庁に分かれているようでありますけれども、どこか1つの省庁がそれを一元的にまとめてホームページか何かをつくるとか、そういうようなふうにしていただきたいと思います。
 以上です。

○波多野委員 たびたび済みません、非常に簡単にやります。
 ディクスロージャーについては段階が違うと思うんです。この段階でディスクローズするのか、実際CERを獲得した段階でディスクローズするのか、そこをよく分けないと、しかもこれは物すごく早い段階で持ち込んでいますから、プロジェクトが進むものもあれば進まないものもあるし、人に見せたくないものもある。自分のところのペットアイデアだけで一応担当省庁には話すもの、そこでは無理だと思うんですね。ただし、おっしゃっていることはよくわかるから、将来的にCERを獲得されれば、それは当然ディスクローズされなきゃならない。ただ、それはレジストリーの方の話になると思って、ここではないんではないかと僕は思うんです。

○西岡座長 今の件について、何かほかのご意見。

○青山委員 うちはたまたま今、環境省さんのご協力を得て、マレーシアでパームオイル事業を対象とするモデル事業に参画していますが、この間、向こう側と話し合いをやったときに、実はいろいろなところから「何で日本がこんなところに出てきたのか」というようなことで、随分議論があったわけです。そういう点から考えても、私は余り日本だけ、ということではなくて、ある程度、ほかの先進諸国等の情報開示のレベルという点については、ぜひ検討していただきたい。私もできるだけ前向きに出すという方に賛成する一方、やはり戦略的に言うと、個別プロジェクトというと必ずすごい競争になってしまうわけですね。それで優先プロジェクト、どうしてもやはりCDM対応のプロジェクトというのは、同じ国であっても有意義なプロジェクトとそうでないプロジェクトが当然あるわけですから、その辺をどういうふうにやるのかということは、戦略論と、それから情報開示ということで、ぜひ一度きちんと整理していただく方がいいと思います。

○西岡座長 今の公開の問題につきましては、いずれにしても考え方をまとめてもらいたいということだと思います。

○小林委員 小林ですけれども、資料5、6につき幾つかの点にコメント、それから質問をしたいと思います。私の意見は、あくまで実際に我々がプロジェクトを実施する場合の観点からご質問をしたいと思います。
 まず最初に持続可能性の問題です。この6)のところに「プロジェクトがホスト国の持続可能な開発の達成を支援するものであることを説明してください」というふうにあるんですけれども、ご存じのとおり、持続可能性の判断はホスト国にかかっておりますし、ホスト国によってその判断は違うと思うんですけれども、どの程度これを説明するかですね。
 その前に、全般的なことを申し上げますと、基本的に私は、山口委員が指摘された問題は非常に多くの面で同感のところが多いです。さらに全体として、PDDとの関係ですね。今のホスト国のこともそうなんですけれども、それからOEとの役割分担、それからもう一つはタイミングの問題ですね。手続をどの段階でするのか。さらに、先ほどから言われている定義的な問題。その辺のことをどこかまとめていただいた方がいいと思います。特にプロシジュアについては、今までいろいろな委員会で検討されていると思うので、わかりやすいチャート的なことがあれば、より理解しやすいんではないかと思います。
 続けさせていただきますと、持続可能な開発についてはそのとおりなんですけれども、次に、ホスト国の承認の可能性です。これは非常に微妙な問題だと思うんですけれども、ホスト国の承認が先なのか、それとも我が国の承認が先なのか、後先の問題ですね。この文面から見ますと、どうもいろいろ解釈できるような感じがするんですけれども、どちらでもいいというのか、それとも、やはり我が国としてはまず日本国政府の承認、もしくは原則どおりとってほしいということなのか。その辺のところですね。
 その辺で在外公館に対して、これは山口委員、ほかの委員からも指摘がありましたけれども、どの辺の段階から私たちは相談できるのか。打診とか、その他いろいろなことがあると思うんです。そのときに、何人かの委員から幾つか指摘がありましたように、在外公館にいらっしゃる方がかなり、相手国と日本、両方の立場から判断できる方がいると思うんですけれども、その辺のことをぜひお願いをしたいと思います。といいますのは、私ども、以前にAIJをやった経験があるんです。今回とAIJのときは違うと思うんですけれども、そういう面で非常に苦労した記憶があります。
 それから、次に環境影響の問題なんですけれども、申請の手引き集では、環境への影響について分析または評価を行い、これはOEのことだと思うんですけれども、第三者認証機関の審査を受ける必要があるというふうになっているんです。OEは環境アセスの審査の判断までする必要があるのかどうかですね。私はその辺の問題はよくわからないんですけれども、ここではOEが審査する必要があるようなことになっております。そうすると、先ほどからパブリックコメントとの関係も出ておりますけれども、例えばOEがどこまで責任を持つかということは、パブリックコメントをやる場合、非常にOEが矢面に立つ可能性が出てくるんですけれども、どういうふうに考えてておられるのか。
 それから、ホスト国の了承。先ほど我が国の方が先なのか、相手国の方が先なのかということをお聞きしました。確認のためなんですけれども、私は、ホスト国の承認というのは、OEに出す前だというふうに思っているんです。この一連の流れの中では、その辺がちょっと明確ではないと思うんですが、この辺を含めまして、先ほど言いましたようにプロシジュアというのがチャートができればいろいろわかりやすいと思います。
 それから、追加性の確認の問題、これも非常に大事なポイントだと思うんです。現在煮詰まっていない問題が多くあると思うんですけれども、特に植林プロジェクトの場合、何をもって追加性とするか。資金的追加性、それから技術的追加性、特に技術移転の問題等があるんですけれども、その辺のことで何かお考えがありましたらお願いしたいと思います。
 以上です。

○西岡座長 五、六点ございましたけれども、答えられるところにつきましてはお答え願いたいと思います。

○熊倉課長補佐 非常に広範な観点でご質問、ご意見をいただきました。これにすべてお答えすることは難しいかと思うんですが、いずれにしても、私ども、ご指摘を踏まえて、具体的な手続をもう少し詰めて、チャート的なものに整理するというような対応も必要ではないかという感じです。ただ、私どもの理解では、今のマラケシュ合意の中でも、その辺の手続についてはかなりフレキシビリティーというか、あいまいさというか、どっちが先かということについては、どちらでも読める部分がかなりありますので、そこはどちらと決める必要があるのかどうか。必ずしもないんじゃないかなと思っております。例えば国の承認のタイミングも、プロジェクトの状況に応じて変わってくる部分もあると思います。ただ、一般的には、ホスト国の承認よりも投資国の承認の方がとりやすいと思いますので、そちらが先行して、それを踏まえて政府としてもホスト国の承認が受けられるように支援していくという流れが一般的ではないかなという感じがしてございます。
 とりあえず以上です。ご指摘の点につきましては、また検討させていただければと思っております。

○林野庁 シンクのプロジェクトの追加性のことでご質問があったんですが、ご承知のように、これはまだ決まっていなくて、今後議論して、来年のCOP9までに決めようということになっているんですけれども、現在、私どもの方で国としての意見を出そうということで準備しているんですが、その中では私どもの立場は、プロジェクトがあることによって吸収するものがふえれば、それでいいんではないかということを今やっています。つまり、今、小林委員のおっしゃられたような技術的追加性、それからほかの意味での追加性等は、マラケシュ合意にも書いてございまして、そういうことは要らないんではないかということを一応主張しようというつもりでおります。ただ、それがどう決まるかについては、今後議論を見ないとわからないんですが、一応そういうふうに考えております。
 以上です。

○西岡座長 それじゃ、時間もございませんので次へ移ります。高橋委員、お願いします。

○高橋委員 簡単に1点だけご質問したいんですが、今、小林委員からもありましたけれども、環境アセスメントが必ずしも十分できていない国もあると思うんです。何をどれだけだれがやればいいのかというルールみたいなものは、一体どこがつくるのか、だれがつくるのか。それは双方で話し合って決めるのかですね。例えば、相手が環境アセスメントはいいから早く事業をやってくれと言われたときに、これは無視できるのかとか、そういういろいろな問題があると思うんですが、ここはどういうふうに整理されてくるんでしょうか。環境影響の分析と申請との関係ですね。どれだけやらなきゃ申請できないのか。1年かけて公聴会までやらないと申請できないんでしょうか。

○高橋温暖化国際対策推進室長 環境アセスメントにつきましては、マラケシュ合意の中では、まず事業主体が環境の影響についての分析を行うということが義務づけられている。その結果を見て、これはホスト国の意見もあるでしょうし、環境への影響が著しいと判断される場合には環境影響評価を行うということが決められております。ですから、環境影響評価をどう行うかということについては、マラケシュ合意でそこまで決まっているわけではありませんで、私どもの理解としては、ホスト国のアセスメント制度なんかを踏まえて行われるべきものではないかというふうに考えておりますけれども。

○西岡座長 今のことで、日本国政府のホスト国のシステムに乗るということだということですか。日本国政府としては何かありますか。

○高橋温暖化国際対策推進室長 一義的には事業が行われるホスト国の制度というものが基本になるんではないかと。まだ非常にそれが整備されていなくて、何もないというときにどうするかというのは、また別の問題だと思いますけれども、一義的にはホスト国の制度にのっとった手続をとってもらうという理解でございます。

○西岡座長 それでは、高村委員。

○高村委員 高村でございます。2点コメントさせていただきたいと思いますが、まず第1点目は、先ほど情報のディスクロージャーの議論がございましたけれども、少なくともCDMとJIの監督委員会を通るものに関しては、事業の登録という段階でパブリックコメントを受けたかどうかというのが必要とされていますので、少なくとも国際ルールとしては、そこの段階でディスクロージャーは要求されているというふうに理解をすることができるのではないかというふうに思います。その観点からは、個人的にはできるだけ早い段階--いずれにしても、その段階ではオープンになるわけですから、最低限の情報に関して早い段階でオープンにするということについては、何ら問題がないのではないかというふうに考えています。まずそれが第1点目です。
 第2点目が、環境影響の議論がされておりますし、この承認の文章の中で一定の環境情報に関して提出することが求められていますけれども、少なくとも、大規模な環境への悪影響、それから人権等の、事業を受け入れる国の社会的な影響が大きいものに関して、一定の統一的なスクリーニングができるということが、承認の段階であってもよいのではないかというふうに思っております。とりわけその中でも公的資金が入った形での事業に関しては、既に畑中委員もいらしておりますけれども、国際協力銀行ではガイドラインをつくっていらっしゃいますし、同じ公的資金を投入をした事業に関して、異なる環境ガイドラインに沿って投融資の案件を決めるということについて、必ずしも適当な理由はないのではないかというふうに思います。
 さらに、先進国間でも、OECDではできるだけ投融資の案件に関して統一した環境の配慮ができるような方向での議論が進められており、国際的な動向に照らしても、とりわけ公的資金が入った事業に関しては、そのような配慮ができるだけ早い段階でされるということは必要ではないかというふうに思います。ただ、JI、それからCDMのそれぞれの監督委員会なり理事会を通る案件に関しては、そちらの機関で一定の審査が行われることになっておりますので、恐らく最も留意をしなければならないのは、JIの中でも6条監督委員会を通らない案件です。これらの案件に関するルールはホスト国と事業者の間で決められるわけですが、ホスト国において事業が環境や社会に与える影響を、恐らく承認の段階で考慮しなければならないかと思います。先ほど高橋委員の方からもありましたけれども、必ずしもホスト国の方に積極的な意思がないとか、必要な法制度がないという場合というのもあり得るというふうに思いますので、その点について検討が必要ではないかというふうに考えています。
 以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 何かございますか。今の幾つかのアジェンダに対するご意見だったと思いますので。

○高橋温暖化国際対策推進室長 1つだけ、当然JBICさん等の事業であればJBICのガイドラインがあるので、それに従ってやると思いますので、私どもとしては、このCDMの承認手続の中で、何か環境アセスメントのガイドラインを別途設けるとか、そういうことは必要ないんじゃないか。既存のいろいろなものでカバーされているのではないかという、基本的にはそういう考え方でございます。

○西岡座長 非常に活発なご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。非常に具体的になってきますので、多くのいい意見が出たかと思います。しかしながら、私の方としては時間を使い過ぎまして、まことに申しわけなく思っておりまして、もう1ラウンドというようなことはちょっとできません。次の検討課題もこれに関連するところでございますので、1つその中でもまたご意見をいただきたいというぐあいに思っております。資料6のポイントをご説明いただきまして、今度は一括してご意見をいただきたいというぐあいに思っておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、事務局の方でお願いします。

○高橋温暖化国際対策推進室長 時間もございませんので、手短にご説明いたしたいと思います。
 資料6でございます。これは私ども環境省の方で来年度予算の要求の検討をしているわけですけれども、そういうものを踏まえまして、今後の当面の施策の概要というものを書かせていただきました。
 1番、2番はもうご説明いたしましたので、省略させていただきたいと思います。承認制度、それから登録簿の整備でございます。
 それから3として「民間事業者等による京都メカニズム活用の支援」ということで、(1)は連絡会を設置して支援をするということで、2番目が、具体的な民間事業者に対する支援ということでございます。[1]は11年度からフィージビリティ・スタディをやっているということで、その資料は別添で参考までに、この間のCDMフォーラムの事業の成果発表の資料をつけさせていただいております。これは引き続きやっていきたいと思っております。
 それから、[2]が来年度新しく要求をしたいと思っておるものでございまして、CDMの具体的な事業が始まりつつあるということで、これはもうケーススタディではなくて、具体的なCDMクレジットを獲得することを目的とした事業について、プロジェクトの本体ではなくて、CDMとして承認を受けるために必要ないろいろな手続、ベースライン、PDDの作成でありますとか、モニタリング、検証等に必要な追加的な費用を交付するという形でモデル的な事業を行うということで、早期クレジットの獲得支援をする。あわせてクレジットが発行されれば、費用の交付に対して一定のクレジットを国にも配分をしていただくというようなことも考えております。
 それから、次にまいりまして、京都メカニズム相談支援ということで、これも大綱に盛られておりますけれども、事業者に対する支援を的確に行うという観点で、さまざまな情報がございますが、これを一元的に集約しまして、そういうものを事業者の方で提供していく。それからホスト国の政府との調整についても側面的な支援を行うという体制を、これも来年度の予算でそういう体制整備について予算を要求したいということを考えてございます。
 それから、(4)は、これは既に今年度から予算がとれておりますけれども、OEのモデル認証事業を行うことによって、指定を受けられるような経験の蓄積を図るということでございます。
 それから、4の「国際調整」ということで、これはホスト国からの理解の促進、あるいは国際的なルールへの参画ということでございますけれども、(1)については、私どもの方では、実は先般、7月末でございますけれども、バンコクで、これはもう12回目になりますが、地球温暖化アジア太平洋地域セミナーというようなものを開催いたしまして、そういうところでCDMについてもかなり重点的に取り上げて、情報交換なり途上国側からの発表等をしていただいております。また、これに関連してAP-netという情報システムを構築しておりまして、CDMも含めた関連情報を集約をして、アジア太平洋諸国における情報の円滑な流通、あるいは今後はさらにイーラーニングをする形で、キャパシティ・ビルディングについても活用していくというようなことを考えております。
 それから、5として、もう少し長期的なものも含めて、ちょっと大げさですが「京都メカニズム活用に関する国家戦略の立案」ということを書いておりますが、戦略的な取り組みについて検討していかなければいけないということでございます。具体的には、次のページにございますように、プロジェクトの早期獲得とか備蓄、こういうようなものを考えていかなきゃいけない。海外では英国における国内排出量取引でありますとか、オランダでは国によるクレジットの買い上げ制度、あるいは世銀によるファンドというような取り組みがされております。そういうものも参考にしながら、こういうことについて検討していかなきゃいけない。あるいは、3つの京都メカニズムの適切な組み合わせによって、費用効果的な目的達成を図っていくという観点での戦略をつくるというのが必要ではないかということです。
 それから、6として、2008年以降本格的に国際排出量取引を開始するということで、それに備えた検討というものもしていかなきゃいけないだろう。事業者が国際排出量取引にどういうふうに参画していくかというようなこと。これに関連して、いずれ日本でも、排出枠を事業者に配分していくのかどうかというようなことも含めて考えていく必要がある。それから、民間事業者でいろいろと、今後クレジットの獲得をされていくわけですが、それを最終的に目標達成に使うためには特別の口座に入れていかなきゃいけないということで、これをどういう形でルール化していくかというようなことも必要になってくると思います。
 それから、国内での排出量取引制度の導入の検討ということで、2008年から国際排出量取引が始まるわけですが、やはりその前に試行的な実施を行うことによって経験をするということも重要かと思っています。私ども環境省の方でも、来年度予算で自主的な事業者の参加を得て、この排出量取引の試行を行うということを考えておりまして、今、そのやり方について決定しているところでございますが、その予算も要求したいと思っております。
 最後に、クレジットの法的、あるいは会計上の性格・位置づけ等についても検討する必要があるというふうに考えております。
 以上のようなことで、来年度予算でも今検討しているところでございますけれども、今後の進め方について、いろいろとご指摘をいただければありがたいと思っております。
 この関連で、参考として、事業者に対するアンケート調査を最近行っておりまして、その結果を配付させていただいております。CDM/JIに関連のありそうな事業者にアンケートをしたものでございます。ちょっと時間の関係でご説明はできませんが、例えば後ろのA-32というページを見ていただきますと、CDM事業について関心が低いという企業についての理由としては、情報が不足しているとか、あるいは手続コスト、時間等がちょっと支障だなというようなご意見があります。
 それから、37ページ、一番最後のページでございますけれども、国に対してどういう施策を期待しているかというふうなことも聞いてございます。この中では、比較的ご要望の多かった点としては、A-37ページにいきますと、1番の情報の収集、発信とか、3番のベースライン等の技術的なガイドラインの作成とか、それから事務的な手続のガイドラインを作成するとかか、ホスト国との交渉、それから、7番にあるようなクレジットの登録制度について、そういうようなことを比較的多くいただいています。こういうものを踏まえて、今後私どもで検討していきたいということでございます。
 以上でございます。

○西岡座長 この最後の「京都メカニズムの国際的検討状況について」はいかがでしょうか。

○熊倉課長補佐 資料8の「京都メカニズムの国際検討状況について」というのは、議論のご参考までに簡単にご説明したいと思います。
 おめくりいただきまして、2ページ目ですけれども、CDMの関係でCDM理事会というものが設置されておりまして、その下に3つのパネルがございます。1つは小規模CDMパネルということで、小規模なものについての簡易な手続を用いるということでありまして、その手続案の作成ということについて作業をしております。
 それから、CDMの認定パネルということで、Operational Entityの認定に係る手続、さらに実際の認定という作業をやるパネルが設けられております。その下に、実際にOEの候補を審査する認定のチームというものも設置されております。
 それから、3つ目といたしまして、ベースライン・モニタリング方法開発パネル、メソドロジーに係るパネルということで、ベースラインの設定、モニタリング方法に係るガイドラインの作成を担当するところでございます。現在、特にベースライン、モニタリングを記入するプロジェクト設計書、PDDにつきまして、その仕様についての案を作成しているという状況でございます。
 次の3ページ目でございますが、おおむねのカレンダーでございます。小規模CDMにつきましては、簡易な手続の案が現在公開されておりまして、これに対するコメントを日本政府の方でも作成をしているところでございます。
 それから、2番目のCDMの認定パネルにつきましては、認定手続は決定されておりまして、それに基づく実際の認定審査というのが開始されております。現在、その候補につきまして募集をかけておりまして、これから審査がされるような順番ということでございます。
 それから、ベースライン、モニタリングのパネルにつきましては、プロジェクト設計書の仕様案・様式案についてコメントの募集がされておりまして、一たん、もう既に打ち切られておりまして、今、最終案のものについてのコメント募集ということで、政府の方でも最後のコメントをつくるということを今やっております。これは今月中には決定、公開される予定というふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、COP8における第6回のCDM理事会におきまして、関係の手続等の決定、さらにはOEの認定指定というところまで行くことが現在予定をされております。
 あと、最後に、ちょっと飛ばして恐縮ですが、6ページ目でございますけれども、重要なインフラガード、レジストリーにつきましては、俗にSBSTAと言われている科学及び技術の助言に関する補助機関というところで、具体的な技術規格の策定作業が進んでおります。これは規格案につきまして公開、コメント受け付けというのがされておりまして、8月16日までの受け付けということで、日本政府の方でも、期限を過ぎておりますが、コメントを出すべく現在作業中でございます。
 とりあえず以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今、主として資料6に基づきまして、今後、この京都メカニズムを活用するためにどのような施策を考えていくかというお話がございまして、これに対する皆さんのご助言をいただきたいということでございます。順不同ということで、一通り皆さんのお話をお伺いして、最後に事務局の方で答えられるものについては答えていただきたいというぐあいに考えております。先ほどと同じようにいきたいと思います。申し上げておきますけれども、私の手違いで、ちょっと時間が延びるであろうかと思います。もし早目にご退席なさる方がありましたらお申し出ください。
 それでは、まず山口委員。これだけたくさんいますので、皆さん、短くいきましょう。

○山口委員 済みません。ちょっと午後に授業があるので12時に失礼します。
 資料6で、ポイントは、国が何をするのかというところに絞って申し上げたいと思います。
 1つは、この委員会が京都メカニズムに関する委員会、そして、この2ページ目の下の5ですか。「京都メカニズム活用に関する国家戦略の立案」、これはいわゆるナショナルストラテジースタディーではないわけですね。日本の戦略というふうに理解をしてお話をします。京都メカニズムを1.6%、これ自身が非常に少ないと思いますけれども、この点は一応大綱でそうなっているので改めて問題にはしません。問題はこの1.6%を誰が調達するかという事です。これは国が買うということだと思うんです。それ以外にあり得ない。そこについては何も出ていない。もちろんそれは簡単に出せないということはよく知って言っているんですけれども、やはりこれはおかしいと思うんですね。それが第1です。
仮にそれをしばらく置いておいて、CDMとかJIをいろいろ支援するということでいくと、実は今日本に一番要請されているのは、相手国政府との合意だと思うんですね。きのうもちょっとあるところで言ったんですけれども、いわゆるMOU、メモランダム・オブ・アンダースタンディング。それも言ってすぐできるわけじゃないんですが、要するに、事業者が幾ら個別にやっても駄目で、相手国とひとつこういう方向で一緒にやろうよということを政府と政府で話し合いをしてサインをする。やはりそれがないと非常にやりにくいということがありますので、それはぜひお願いしたい。
 そして、そういう話をすると、すぐこれはオランダの話でしょうと言うんですけれども、そうじゃない、MOUを結んでいる国が既にいっぱいあります。これは世銀を介して国と国がやっているケースなんですけれども、やはり日本としても戦略的に動くには、政府自身が相手の国の政府と直接そういう形で交渉、話し合いをしていただくのが一番必要だというふうに思います。
 以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、こちら側からいきましょう。後藤委員、お願いします。

○後藤委員 後藤です。ある程度基本的な質問になると思うんですけれども、先ほどから少し頭の中がコンフューズしています。というのは、このメカニズムを動かすメーンエンジンといいますか、それはどこに置いているのか。エンジンというと言い方は相応しくないかもしれませんが、現時点では国が、この京都議定書を達成していく責任というか義務を負っているわけですね。これをいかに国民、あるいは産業界に、実際に行動できる主体に移していくかということがポイントになると思われるのですが、それをいわゆる割り当てとか課税とかいう義務のようなものとして移すのか。先ほどから支援か承認かという、こういう議論が出ておりますけれども、これはどちらを使うべきかという言葉の問題じゃなくて、どちらの移転形態を基本にするかということが自動的に決まると思うんですよね。いわゆる義務として国民、あるいは特定の主体に課すなら、これは承認という形でこの手続がつくられるべきでありますし、恐らくその場合、これも先ほどからずっといろいろ議論になっています対象者というのもおのずと決まってくる。恐らく基準というのもおおむね決まってくる。
 一方、そういう義務じゃなくて、いわゆる政府が支援する、あるいはインセンティブを与えてお願いすると、こういうふうな形でメカニズムを位置づけるとすると、意味合いが全然違うと思うんですね。ですから両者では全く別になるんじゃないかと、2通りあるんじゃないかと思うんですね。後者の場合には恐らく支援であって承認じゃない。恐らく基準も相当緩くなる。しかも、ボランティア活動も含めてさまざまなものを対象に入れることができる。どこにエンジンというか、そういうものを想定するかによって、ある程度自動的に決まってくるというものと、そうじゃないものがある。それとも環境省さんがある程度そういう制約的なものとの組み合わせを前提に、ここで承認という言葉でお考えになっているのか。それとも、山口委員が先ほどからおっしゃられていますように、いわゆる支援というものとの組み合わせで、今のところはそうなのかもしれませんが、柔軟なものとしてこれを位置づけているのか。その辺、ちょっと頭の中がクリアにならないので、少しはっきりさせていただければというふうに思います。

○西岡座長 どうもありがとうございました。本日は環境省だけでなくて、ほかの関係省庁の方も多くいらっしゃいまして、国全体としてどうやって考えていくのかというのが非常に重要なポイントだと思いますので、後ほどお答え願いたいと思います。
 それでは、次は大塚委員、お願いします。

○大塚委員 1点は当たり前のことで、もう一点はちょっと質問させていただきたいんです。先ほど松尾委員の方からお話があったときに、必ずしも明快に答えていただいていないと思いますけれども、この承認というのが、その後の国別の登録簿の登録の要件に多分なるんだろうと思うんです。当たり前のことだと多分思っていらっしゃると思うんですけれども、その点は明示をしていただいた方がいいんじゃないか。そうしないと、例えば申請をしない場合にどうなるかというようなことを考えた場合に、必ずしも明確ではないところがあると思いますので、当然のことだとは思いますが、お書きになっていただいた方がいいんじゃないかと思います。
 それから、もう一つは、これは質問ですけれども、この資料6の最後の方にも出ていますが、クレジットについて法律上、会計上の位置づけ、性格づけをどうするかというのが今後非常に重要になってくると思います。マラケシュ合意では、排出枠取引については権利ではなくというふうに書いてあったと思いますけれども、この点について、国際的にその後どういう議論が展開されているかということについて、いろいろな委員会で検討されていると思いますので、何か出ていたら教えていただきたいというのと、それから、我が国の中の話としては、この間、RPSの法律が通りましたので、RPSの法律で、あそこで出てくるクレジット的なものについての法的な性格というのは、私が仄聞したところですと、必ずしもちゃんと議論されていないような気がします。もし何かご存じでしたら教えていただきたいということでございます。

○西岡座長 それでは、先へ進ませていただきます。今井委員、お願いします。

○今井委員 JICAの国際協力専門員の今井です。途上国の持続可能な支援という観点で、3点ほど簡単に述べたいと思います。
 最初の2点は、突き詰めれば、買い手のつくようなプロジェクト・デザイン・ドキュメントをどうやってつくるのか。特に小規模のCDMで本当に買い手がつくようなPDDをどうやってつくるのかというのが非常に重要だという事です。これに帰結する話で、その下に2つほどあると思うんですね。1つは途上国の関連の人材です。キャパシティ・ビルディングというのが非常に重要ですが、これに関してはJICAもいろいろ研究をやりまして、JICAのいろいろなスキームがございますので、それをどうやって活用できるかというのを今検討中だという状況でございます。特に途上国、そして小規模のプロジェクトといいますと、やはりステークホルダーズの中には、地域の住民団体、あるいはNGOとかが随分参加してくると思うんですね。このようなグループにどうやって支援をしていくかというのが、キャパシティ・ビルディングの中でも重要ではないかと思われます。
 それから次は、まさに小規模のPDDの作成の問題です。これはまだJICAでも検討中でありますが、ちょっと個人的なアイデアを申し上げます。もしいいプロジェクト・デザイン・ドキュメントを、JICAの、あるいはいろいろな協力のスキームでやろうとすると、一つ一つが小さ過ぎて取り上げるのが困難なのですね。ですから、これはちょっと大胆な意見かもわかりませんが、例えば地域で幾つかの中小PDDを集めて、それを全体として支援していっていいPDDをつくるとか、あるいはある地域での分野、例えばバイオマスの利用とか、幾つか同じ分野のプロジェクトが複数あったら、それをパッケージにしていく。パッケージのような形で、その中でいいPDDをつくっていくとういうような支援の形態というのを、1つこれから考える必要があるんじゃないかと考えています。ただ、これは全く私の個人的な意見です。
 それと同様で、先ほどの3番目ですが、買い手がつくようなということなんですが、小規模なPDDでいろいろ出てきたものをだれが買うのかという点です。この点に関しては購入を支援するようなシステムがやはりどうしても、特に小規模のPDDに関しては必要になってくるんではないかと思われます。日本として、そういう小規模のPDDを購入するに際しての支援ですね。特にこれは基金の問題とか、いろいろ出てくると思います。特に基金の問題を考えたときに、何かうまくスモールスケールのPDDの購入を支援するようなものを考える。特にこの点に関しては、公的資金をうまく活用するというのもやはり検討課題であり、少し切り込んでいくというのも必要ではないか。これもまた個人的な意見なんですけれども、以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。幾つかのいい提案があったと思います。
 次の荒牧さん、お願いします。

○荒牧委員 この相談支援というところの民間事業者等が必要としている情報の中に、クレジット発行が期待できる事業案件というようなものがありますけれども、ここら辺は我々としても非常に知りたいところであります。環境省がおやりになっています事業調査、例えばバイオマス利用とか植林とかというのは非常にわかりやすいんですけれども、例えば交通渋滞の解消とか、それから下水道、都市緑化とか、副次的かもしれませんが、こういったインフラ分野にも効果が大きいものがあるはずですので、そういったプロジェクトについて、どういうものが考えられるか。どういう効果が期待できるか。関係省のいろいろな調査といいますか、勉強をできればお願いしたいと思っております。

○西岡座長 それでは、鮎川委員、お願いします。

○鮎川委員 繰り返しになりますけれども、この国家戦略という言葉が突然出てきたり、国がクレジットの一部を獲得というようなことが何か唐突に出てきた感じなので、どのようにして国が、民間事業者が獲得したクレジットを約束達成に用いるのかという、その辺をもう少し明確に出さなくてはいけないと思います。
 その際なんですけれども、やはり国家戦略としては、これは環境保全の協定であるというところを踏まえて、やはり民間事業者の取り組みがきちんと持続可能な開発を促して、追加的な削減量をもたらし、そして環境にマイナスの効果をもたらさない事業からのクレジットを買い上げるというような、そういう方向性を示していただきたいというふうに思います。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、松尾委員の方にお願いしましょうか。

○松尾委員 2点ほど確認をしたいんです。まずオペレーショナルエンティティーなんですが、普通、CDMのプロジェクトを行うときに、オペレーショナルエンティティーにバリデーションを頼むわけでしょうけれども、それはアクリディテートされればいいのか、ディデクネートされないといけないのかという問題をちょっと1つ確認したいと思います。というのは、要はCOP8で幾つかのオペレーショナリティティーがディデクネートされるでしょうけれども、それはまだかなり数として限られてくる。それがあと1年間、多分COP9までの1年間、例えばずっと5つぐらいしかディデクネートされなかったわけですね。そのオペレーショーナリティティーしかその1年間は使えないのかという話ですね。アクリテーションのプロセスは、もっと連続して行われるでしょうから、もっといっぱい出てくると思うんですけれどもというのが1点。
 それから、CDMのクレジット、CERに関する、それの販売とか購入とかというお話がいろいろ出てきておりますけれども、少なくとも私の理解では、CDMのクレジットが一たん発行されて、CDMレジストリーからステークホルダーがどこかのアカウントに入った段階以降はエミッション・トレーディングの扱いになるんじゃないかなと思っているんですけれども、その場合は、エミッション・トレーディングであれば2008年以降じゃないとできないということがありますので、単に売ったり買ったりと簡単に言っても、2008年までできない。もうちょっと言いますと、先ほどのお話で、ステークホルダーの中に下請がいて、とりあえずどこかに入れておいて下請に移そうと思ったら移せないということだってあり得るわけですね。それはエミッション・トレーディングの扱いになってしまうわけですから、そういうことのあたりをちょっと少し確認したいと思います。それでいいのかどうかということです。

○西岡座長 波多野委員、お願いします。

○波多野委員 前半ではちょっとしゃべり過ぎまして、時間超過の元凶になって済みませんでした。今度は短く……。
 ここでいろいろ案をお出しになって、僕はすごくよくできていると思うんです。ちょっとお世辞になっちゃって申しわけないんですけれども、もちろんこれからやらなきゃいけないのもいっぱいありますけれども、前に比べて非常に進んできていると思うし、私は、この仕事も何年かやっているんですけれども、1年ぐらい前までは海外の人から非常に気の毒がられていまして、「おまえのところは、幾ら本人が一生懸命やっても、国がちっとも動かないから気の毒だな」と、こう言われていました。ここへ来て非常にそれが変わってきて、日本は何かいろいろなことが起きている。「おれも日本に移って一緒にやりたい」と言う人が非常にふえてきている。そういう意味では、相対的な問題かもしれないけれども、すごくよくなってきていると思うんです。
 1点だけコメントしたいんですけれども、キャパシティ・ビルディングです。これはペットワードで、言うのは易しいんですけれども、実際はよく考えないと非常にむだになるおそれがある。相手国の事情によって非常に違います。そこをもうちょっとファインチムにしてやっていく努力をJICAさんを含めてやっていった方がいいと思うんです。
 例えば、今までやっていたのは、大体の場合ナショナルストラテジーと、それからフォーカルポイントの人を助ける。これが主でしたけれども、それはほとんどの国では終わってきているわけです。まだ最貧国でできていない国もあるけれども、ほとんどの国が終わってきている。その次は何かというのを考えないと難しくて、それ、ちょっと長くなりますからここでは言いませんけれども、国によっていろいろ違います。例えばフォーカルポイントの人たちはわかっているんだけれども、同じ政府の中でもほかの省庁がわからないから、そこに説明してほしいとか、あるいはフォーカルポイントの人は、自分はわかっているんだけれども、それを具体的省令に落とさなきゃならないから、それをヘルプしてほしいとか、あるいはファイナンスの人がわからないとか、いろいろなのがありますから、これをもうちょっときちんと相手のニーズをアイデンティファイして進めていくようにしたら、なお一層いいのかなと思います。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 新澤委員、お願いします。

○新澤委員 国家戦略、大いに議論したいと思うわけですけれども、特にこれまで最終調整メカニズムというのが国家戦略でしたよね。そのままでいくとなると、大分ここでの議論というものが制約されますので、その点についても含めて議論していただけたらと思っております。
 2つ目ですけれども、後藤委員の発言とちょっとオーバーラップしますが、大きく分けて国内で義務型と補助金型というのが考えられて、最近の新聞報道ではどちらかというと補助金型の方がポピュラーのようですけれども、私の個人的な意見は、緩い義務型から徐々に始めていくのがいいのではないかと思っております。特に補助金の場合は予算制約というものがあって、日本の場合、ビジネスアズユージュアルと目標とのギャップが非常に大きくて、それを全部補助金でやるなんていうのは、恐らくそんなことは考えておられないでしょうけれども、財政が破綻してしまいますし、そうすると、やはり1億、2億という数字が出てきたところに、それは一体全体計画の中でどういう位置づけになるのかということが非常に難しいと思うんですね。必ずしも環境の要請だけで予算がつくわけではないという状況では、全体計画の中の位置づけというものが大変難しくなるだろう。
 補助金の場合も、何をもって削減とするかで考える場合、ある種の義務的なものと同じ問題が発生してきて、その難しさというのは変わらないんだろうと思いますね。あと補助金をどうするかですけれども、補助金の率ですね。予算が制約されている中で補助金率を比較的厚くすると、特定の排出源だけに金をかけて削減するということは費用効果的とはとても言えないだろう。ちょっと考えるだけでそういうこと。特に将来的には、やはり義務型に移行せざるを得ないとした場合に、最初補助金から始めますよといった場合に果たして移行できるのかどうかとか、あるいは共存させる場合の考え方はどうなのかとか、これは今日直ちにご回答というわけではなくて、今日の資料を見てそういうことを考えましたということです。
 3番目、ごく簡単ですが、よく2008年以降に排出量取引の開始ということが言われるわけですけれども、これは別に2008年から12年までのAAUを2006年、7年で取引することはマラケシュ合意では禁止されていないと思います。これ、よく出てくるんですけれども、これを言っていたらちょっとおくれるんじゃないかなということを常々考えておりまして、これはちょっと理解が間違っているんじゃないかというのが3番目の意見です。

○西岡座長 それでは、高橋委員、お願いします。

○高橋委員 簡単に最後の国内排出量取引について、1つは質問で1つはお願いですが、質問というのは、何でやるのかよくわからないなというのがあって、経団連の自主行動計画で産業を 0.0にするということを言っていますし、そのことは大綱にも書かれていて、我々、やる予定にしていますので、国内排出量取引はどういう趣旨で、国際との関係で実験的にするのかなということについて、まだちょっとご説明いただきたいなというのが1つ。
もう一つは、やる場合であっても、我々は長い間キャップ・アンド・トレードみたいな規制的な仕組みに反対してきましたので、ぜひ産業界とよく対話をしていただいて、余り理念的な形のものを打ち出さないでほしいということをお願いしたいと思います。

○小林委員 3点お話ししたいと思います。
まず第1点は、国家戦略にも絡むことなんですけれども、こういったいろいろな会合等で、どうも私はシンクの問題が欠落しているというふうに思います。 わが国の削減率6%の内で国内の森林による吸収(シンク)により3.9%というふうになっておりますけれども、私は非常に大事な案件だと思っております。
そこで、やはり特に国内問題、排出量取引等、いろいろ考えておられるようなんですけれども、シンクの実現について、ぜひよくお考え願いたいと思います。これは両刃の刃だと思うんですけれども、これはうまくいきますと、現在非常に困っている森林経営者にとってインセンティブになると思います。一方、これは誤ってすると補助金がふえるだけということになると思うので、その辺でぜひご検討を願いたいと思います。
それから2点目は、CDMのことなんですけれども、それとあわせて申します。ETのこと、今、高橋さんもおっしゃいましたけれども、国内でETをやる場合の問題を含めまして、どのようなことを考えていらっしゃるのか。これは昨日のIGESの会合で松尾さんの発表のときに非常に議論になったところなんですけれども、もしお考えがありましたらお聞きしたいと思います。
 以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。

○塩田委員 2ページ目の(3)の「京都メカニズム相談支援」というところです。この特定の機関に情報を一元的に蓄積するというこのアイデアですけれども、基本的な構想としては非常に当然のことだと思いますけれども、すべてのプロジェクトについてこういうことが期待できるのかどうか。特定の機関に情報を一元的に蓄積するという目的は、これは先ほどからたくさん出ておりますスモールCDMというような、そういうようなものを主として中心に考えられているものかどうか。すべてのプロジェクトに関して、この特定の機関に情報を集中できるのかどうか。その点についてお伺いしたいと思います。

○西岡座長 どうもありがとうございました。
 時間が迫ってきて申しわけありませんが、これまで、どちらかというと、この京都メカニズムというのは余り触れないでおこうよと、あるいは触れるといつか何か爆発しそうな感じがあるということで、どっちかというと抑えられてきたような感じでございます。しかしながら、しっかりと議論しないと、それが非常に非効率的なものであったり、あるいは先ほど鮎川委員のご意見もございましたけれども、本来の環境を守るという目的から逸脱するものであったり、あるいは自主的な取り組みを阻害するものだったり、いろいろなことがあるかと思います。それで、国内制度をどうやってつくっていくかということについては、もっともっと討議する必要があると思っておりますので、この委員会も、できましたら余り間を置かないで開いていただきたいなというのが私の方の意見でございます。
 幾つか今出た中で、まず質問が幾つかありましたので、それについて簡単にお答え願いたいというのが1つと、それからもう一つ、全体の国内制度をどういうぐあいに持っていくか。後藤委員からお話がありましたように、メーンエンジンは一体どこを想定しているんだろうか。それから、例えば議論になりましたけれども、国内取引制度等々まで含めて、どういうぐあいのステップで考えていったらいいのか。これは既にもう方針というのは一度出ているわけですけれども、もう少し様子を見てみようということで出ているわけでございますけれども、しかし、検討としてはある程度進めていく必要があるのかと思っております。こういう点につきましての現在の考え方、もしほかの省庁も含めまして、ございましたらお聞きして終わりたいと思っております。
 まず簡単に、質問の幾つかについてお答え願いましょうか。

○高橋温暖化国際対策推進室長 済みません。質問のすべてを、今、お答えするのは難しいですが。いずれにしても、よく発言内容を精査して、メール等で個別にご回答なり、またご協議をさせていただきたいと思っています。
 松尾さんから質問があったかと思いますけれども、要は今のマラケシュ合意では、CDM理事会のアクリディテーションでCOP8まではみなすという、CDM理事会によるアクリディテーションによってOEとして機能できると、たしかそういう規定だったと思うんですが、COP8からCOP9の間をどうするかという明示的な規定はないというところなんですかね。そこについてはないので、やはり確認する必要があるんだろうと思うんですが、一義的には、議定書が発効するまでの間は、OEとCDM理事会はCOP/MOP1で決定したときと同様の活動ができるという規定がCOP自身にもあったと思いますので、原則としてはそういうことで、CDM理事会のアクリディテーションで動けるんじゃないかと思うんですが、確かに読んでいる限り、ちょっとはっきりしないかなということだと思います。これはまた事務局と確認する必要があるんだろうと思っています。

○西岡座長 私のメモでは、大塚委員の、承認が必要かという話がありましたけれども。

○高橋温暖化国際対策推進室長 登録簿の要件ということでしょうか。恐らく、将来登録簿に口座を設けるという主体は、いろいろな主体があると思いますので、必ずしもCDM/JIの実施主体だけではなくて、いろいろな主体が持ち得ると思うんですが、少なくともCDM/JIを発行されるクレジットを受け取るというために口座を設けたいという人は、この承認手続をとるんだろう。ただ、複数の事業者がいて、その代表者が承認を受けるということになると、承認申請をした人だけが設けられるのか、それを協力してやる人があわせてクレジットを受けるということになり得ると思いますので、その辺のお話があると思うんです。原則としては、CDM/JIのクレジットを受け取るという人は申請をしていただくという必要があるだろうと思います。ただ、それを明記するかどうかは、ちょっと検討させていただきますが、いずれにしても承認を受けないと、我々としてはクレジットの受け皿どころかプロジェクトの登録を受けられないだろうと思っていますので、国の承認は必須ではないかと思っております。
 それから、国内取引をなぜやるかというご質問だったかと思いますが、私どもとしては2008年以降--2008年以降という解釈もちょっとおかしいと。恐らく先物があるということだと思いますが、登録簿を通した取引というのは2008年以降だろうと思いますけれども、本格的な国際的な取引に備えて、日本ではほとんど経験のない排出量取引というものについての経験を積むということが目的であるというふうに考えております。
 とりあえずそんなところでございましょうか。
 それから、今後の基本的な方針といいますか、今後どうやって進めていくかということで、ちょっと局長の方から一言。

○岡澤地球環境局長 この質問の多くも、多分政府が将来的な方針をしっかり示していないところから、お互いに思いがちょっと違ったり、そういうのが前提となっているようなご質問が出て、多少混乱しているのかなという気もするわけです。実は私がしゃべっても混乱が解消するわけでもないんですが、多少解消の材料になるかなというようなことをお話ししたいと思います。
 京都議定書の約束を守るというのは国の義務でして、国民あるいは事業者の義務ではないんですね。国が守るということですね。国は自分の義務を達成するために事業者に対して働きかけをして、国として義務を達成できるように協力していただくと、こういう立場になるわけです。ですから、事業者が自発的にそういう協力ができるような枠組みを国としては整備したいということが基本的な姿勢です。ですから、これはあくまで京都メカニズムも同じことでして、京都メカニズムを活用するというのは、国として活用して、それで国の義務を達成しようということで、事業者に京都メカニズムを使用させるということを義務づけるということでは全くないわけです。私どもは、京都議定書の目標を達成するために京都メカニズムの活用が必要だというふうに認識しているから、その必要な京都メカニズムの活用というものに対して枠組みを用意して、それを進めていきたいということが今回の一連の手続になるわけです。
 ただ、これ、当然、事業者がクレジットを獲得するというのは面倒な手続もありますし、そのための費用もかかりますから、やってくださいと言って、ただやるという話ではもちろんなくて、クレジットを獲得するということは、そのクレジットに経済的価値があるからクレジットの申請をするというようなことに当然なると思うんですね。それは2008年以降であれば、国際的な取引市場にクレジットを得ることができますから、そういう形で、多少面倒な手続をし、あるいは費用を負担してでもクレジットを獲得したいという人たちがあらわれるということはあると思います。
 ただ、2008年以降の国際マーケットの中で、日本企業が獲得したクレジットが国際市場にどんどん放出されてしまうと、日本の企業には義務づけがありませんから、日本の企業はこのクレジットを買うというインセンティブが全く働かないわけですね。ですから、働くのは義務づけをされている外国の企業か、あるいは、日本政府ももちろんあるんですが海外の政府か、義務づけされた人。つまり、国は義務づけされていますから、みんなどこの国でも買うというインセンティブがある。事業者に義務づけされている国では、事業者も買うというインセンティブがあるわけです。日本は事業者に義務づけされていませんから、日本の事業者が買うというインセンティブは働かないということなんです。要するに、義務づけされている人たちが買い手としてマーケットの中に出ていくことになります。どんどん海外の企業や海外の政府に買われてしまうと、せっかく日本の企業が獲得したクレジットというものが、結局のところ、京都メカニズムの利用というふうにならずに海外の方に流出してしまうわけですから、これは大綱でいっている 1.6%のすき間を埋める材料にはならないわけですよね。ですから、最終的には国がそれを獲得するということが必要だということは、もう多分皆さん、だれもわかると思います。ただ、それをどうやって獲得するか。マーケットの中で政府が調達するのか、あるいは入札のような形で調達するのか、あるいは強制的に収容するのかというような--最後の話はほとんど冗談ですけれども、幾つかのやり方があると思います。それについては、これはちょっとやはり今の段階ではっきり言えません。それは2012年までに最終的にかたをつければいい話ですから、これは時間もありますし、もうちょっと様子を見て、政府としての獲得方法というものについては考えたいというふうに、今の段階では決めないというふうにしたいと思います。
それから、京都メカニズムの活用自体も、大綱の中ではすき間が 1.6%あるということはご存じだと思いますが、 1.6%のすき間を京都メカニズムの活用で埋めましょうというふうに言っています。ただし、CDM/JIでとりあえずそれを推進するということまで言っていますが、排出権取引については言及していません。ですから、排出権取引によって 1.6%のすき間を日本政府が埋めるというところまでは、大綱の中でまだ決めていないということです。先ほど言った、政府としてクレジットをどういうふうに獲得するかについては決めていないのと同じことで、要するにそういうことはだれが見ても明らかなんですが、そのやり方について具体的な明示をしていないということです。
ですから、そこは、とりあえずまずCDM/JIという事業を事業者に推進していただく枠組みをつくり、それは日本政府が買わないとしても、海外の企業、あるいは海外の政府に売れるというところはありますから、とりあえず、まずそれは経済的インセンティブをそういう形で与えておいて、しかし日本政府がそれを何らかの形で獲得しなければならないこともわかっていますから、その獲得手段については追い追い検討していこうと、こういうストーリーで考えているということでございます。
国内の取引は、これは国内の中での温室効果ガスの削減のための手法として考えているわけで、国内で排出権取引をすることによって国内での排出量が全体として減っていけばいい。そういう位置づけで考えていますから、経済的インセンティブを利用しながら国内での取引を通じて削減させるという考え方、海外での国際的な取引とは全く考え方が違うということでございます。

○西岡座長 ありがとうございました。
今のお話を聞きますと、物事にはタイミングがあって、今、むしろ弾込めといいましょうか、CDMならCDM、あるいはJIのいいものをどうやって発掘していくか、今井委員の方からもお話がありましたように、それをどう援助していくかというのも1つのポイント。2つ目が、それを承認という形で商品化するといいましょうか、まだそういう段階なのかというお話を今お伺いしました。また、そうは言いながらも、どんどんと物事は進んでいきますので、またこの検討会で幾つかの論議が出てきましたら、ぜひ開催してご意見をいただきたいと思っております。
 きょう発言できなかったこと、いろいろあるかと思いますけれども、メール、ファクス等で適宜事務局にいただければ、次の審議、あるいは進行中の案件に盛り込めるんではないかなと思っております。
 次回の会合の日程、議題につきまして、このような状況ですので、私としてはなるべく早くと思っておりますけれども、事務局と相談の上、また設定したいと思っておりますので、そのときはよろしくご参集ください。
 最後に何か一言。

○林野庁 林野庁でございます。先ほどの小林委員に一言だけ。シンクの件も、今、私ども林野庁としても、おくればせながら一生懸命検討しておりますので、間もなくまた皆様方のご意見を伺うような形でやりたいと思いますので、今後またご支援をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

○西岡座長 どうもありがとうございました。

○国土交通省 国土交通省の長谷川と申します。
 先ほどの荒牧委員のご指摘ですけれども、国土交通省では、15年度の重点施策の1つの項目として、建設部門、それから交通部門を含めて、国土交通省の擁しております分野についてのCDMの推進を図るための体制を整備するということを挙げてございまして、ご指摘のような検討をこれから進めていきたいと思います。
 それからもう一つ、きょう、いろいろな先生方にいろいろなご指摘をいただいたわけですけれども、これをどうするかということについてなんですが、この資料の6に出ておりますところについては、これまでに既に各省庁で検討した結果も盛り込まれておりますし、今回環境省さんからのご提案というような形で出ているものもございます。それについて、きょういただいた意見というのは環境省さんなりでまとめていただいて、例の省庁連絡会議あたりで図って、政府全体として取りまとめていくというようなことでよろしいんでしょうか。

○熊倉課長補佐 済みません。環境省からご提案させていただいている事項については、一応来年度の予算要求事項の概要という形で考えておりますので、これを政府全体のものにするかどうかというのは、また別途議論させていただきたいと思います。

○西岡座長 どうもありがとうございました。ほかにございませんか。
 それでは、本日はいささか不手際がございまして、時間が延びて申しわけございませんでした。本日の会議はこれで終了したいと思います。
                              

午後0時23分閉会