変圧器は一般には常に運転(通電)状態にあることが多いため、その損失低減は重要な要素である。近年、主として鉄心材料の開発を主体に、従来品に比べて大幅に低損失化を図った超高効率な変圧器が出現している。このような変圧器の無負荷損の低減には、① 高配向性珪素鋼板の使用、② 積鉄心の珪素鋼帯素材の薄厚化、③ 磁区細分化珪素鋼板の使用、④ アモルファス鉄心の使用 といった技術が採用されている。
【省エネルギー効果】
高配向性珪素鋼板、磁区細分化珪素鋼板、アモルファス鉄心のいずれを採用しても標準仕様の変圧器に比べて損失が少ないが、その運転効率は変圧器の負荷率によって異なる。図1に、三相500kVAの標準仕様変圧器と、これら3種類の超高効率変圧器の負荷率と効率の関係を示す。磁区細分化珪素鋼板あるいはアモルファス鉄心を使用した変圧器は、他の変圧器に比べてその負荷率においても損失が少なく効率が高い。両者とも標準仕様の変圧器に比べて、損失が約1/2 に低減されている。また、磁区細分化珪素鋼板とアモルファス鉄心を使用した変圧器の比較では、負荷率50%から60%を境に、低負荷ではアモルファス鉄心を使用した変圧器、高負荷では磁区細分化珪素鋼板を使用した変圧器の効率が高い。従って、導入する際には年間の負荷率を充分考慮する必要がある。表1に三相300kVA の変圧器を平均負荷率60%で運転した時の各変圧器の年間損失電力量を示す。
アモルファス鉄心は無負荷損が最も小さいため、休日、夜間等の低負荷時間帯が長い場所での利用に適している。
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超高効率変圧器の導入