加熱炉や熱処理炉等の工業炉では、炉壁の断熱を十分に行い、放散熱量を極力低減することが重要である。図1に示した炉壁の表面温度に対する放散熱量(計算値)から分かるように、炉壁からの放散熱量を減らすには炉壁表面温度を低く保つ必要があり、このために熱伝導率の低い材料が炉壁に用いられる。ただし、温度範囲によって使用できる材料が異なること、非定常操業が行われる工業炉では熱容量の小さな断熱材を使用すること等に注意を要する。
出典:地球温暖化対策技術移転ハンドブック2008 年改訂版 温暖化対策技術(NEDO 技術開発機構)
近年、炉壁断熱材料として耐火煉瓦やキャスタブルに替わって軽量で断熱性のよいセラミックファイバが多用されるようになってきている。セラミックファイバの特徴を以下に示す。
軽量であるため、炉のフレーム等構造体や基礎も軽量になる。
熱容量が小さく、非定常操業時の蓄熱損失が低減される。
施工が容易で、乾燥や予熱が不要で工期が短縮される。
高温での長期使用につれて結晶化による脆化、収縮、炉内ガス流れによる剥離を起こす。
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高断熱材を用いた工業炉の導入による、断熱、保温の強化