温度・湿度の制御を代表室、或いは還気主ダクト内空気によって行う単一ダクト定風量(CAV)方式を採用しているビルの場合は、室ごとの温湿度のバラツキが大きく、過冷過温の発生頻度が多い。さらに、非使用室があればその室の熱消費は殆ど無駄となる。
このため、同一区画の空調エリアで、室内利用状況が違う場合には、区画の細分化、空調機ゾーンあるいは制御ゾーンの細分化を図り、空調エネルギー消費量を削減する。
同一区画内の部屋の負荷変動パターンや空調所要時間帯の相違、残業時の空調対策などを考慮して、空調と制御のゾーニングの再検討を行い、必要に応じて、空調機ゾーンあるいは制御ゾーンの細分化を図る。
一般事務室と人員密度や用途が異なる会議室や電算室などは、単独での空調ゾーニングの検討が必要である。
【実施手順】
①建物内の冷暖房負荷、室温、運転時間の確認 ※季節、時間帯別の変化を把握
※負荷や運転時間が大幅に異なる区画があれば細分化を検討
②空調ゾーニングの変更(以下代表的な事例を紹介)
単一ダクト定風量方式
⇒VAV方式・インバータ制御に変更⇒異質の室にファンコイルユニットを設置し、室内サーモ装置により制御
VAN方式、マルチゾーン方式等の場合
⇒制御ゾーンを増設
大幅に運転時間帯が異なる場合
⇒空調機を分けた上、上記を考慮
単一ダクト定風量方式にファンコイルユニットを追加設置する場合、中間期等にダクト系で冷房、ファンコイルで暖房運転するようなミキシングによるエネルギー損失が生じないようにする。
VAV方式を採用する場合は、「可変風量制御方式の導入」のVAV方式の実施上の留意点を参照する。
△:10年超
【参考資料・文献】
「ビル・建築設備の省エネルギー」中原信生著 (財)省エネルギーセンター