一般に高圧コンデンサの耐用年数は20年~30年程度であるが、稼動年数が10年を超える頃から故障率が急増するという技術報告*もある。
このため、更新計画の際には、低損失コンデンサを採用し、消費電力の削減やCO2排出量の削減を図る。
電極間に挟む絶縁材料の進歩により、最新コンデンサ機器は従来機器の1/2~1/5も大幅に消費電力を低減していることから、最新コンデンサ機器を採用する。
※地球温暖化防止京都会議でSF6ガスが排出抑制対象ガスに指定されたことから、SF6ガスを使用しない機器が製作されている。
設備更新費は割高となるが、長期間使用するため、設置・取り替え時のイニシャルコストだけで導入の可否を決定するのではなく、メンテナンス費用も加えたLCC(ライフサイクルコスト)、すなわち生涯費用で判断する必要がある。
受電端における力率を100%とすることを目標として、進相コンデンサを適正に運用又は増設する。
また、自動力率調整装置(APFC)を設置し、自動的に進相コンデンサを選択遮断/投入できるようにすることにより、細かな力率改善ができる。
20年前に比べて電力系統の電圧歪みは増大しており、高圧コンデンサを更新する場合には、直列リアクトルも高調波耐量の大きい機器に更新する必要がある。
省エネを優先する場合は,変圧器二次側母線に接続することや稼働率の高い低圧負荷に併設することも検討する。
コンデンサ1000kVar1台を低損失型のコンデンサに交換すると仮定。
①電気消費量の削減〔千kWh〕
(2110w-906w)×24h/1000)×365日/1000≒10.55〔千kWh/年〕
②CO2排出量の削減量〔t〕
10.55〔千kWh〕×0.555〔t・CO2/千kWh/年〕≒5.9〔t〕
「建築設備設計基準」(平成18年版)
(財)省エネルギーセンター ホームページ「電気管理Q&A」「省エネのためのコンデンサ設備設置とリニューアル(眞鍋技術士事務所・眞鍋 静夫)」
ニチコン 技術情報ライブラリー 進相用コンデンサの最新技術動向