本文へ
省エネ改修の実践事例

テナントによる取組み事例/シティバンク

事例6シティバンク

持続可能なビジネスを実現するためオフィスの省エネ・省CO2を推進(シティグループ)

この写真はシティグループイメージ写真です。

シティグループ(出所:シティグループアニュアルレポート(2015年)より)

1. シティグループとは

シティグループは、アメリカ ニューヨーク州に本社を置くグローバル金融機関である。シティグループでは、そのすべてのコア事業において持続可能性や環境負荷低減の観点を組み入れている。その中で、事業運営に関わる環境負荷低減の目標として、2020年までに、CO2排出量に関しては2005年比35%の削減、エネルギー消費量に関しては2005年比30%の削減を掲げるなど、省CO2・省エネに関わる取り組みを強力に進めている。

2. シティグループにおけるオフィスの省エネ・省CO2に関する取組み

シティグループは、自社が入居するテナントエリアの省エネ化を推進している。例えば、入居する候補となるビルを選定する際にCASBEE*の取得の有無などを調べ、省エネ性能の高いビルを選んで入居するとともに、ビルオーナーやデザイナーとの協議を通じてテナント空間の省エネ改修を実施する等の取り組みを行っている。
また、どれだけ環境対応ができているかを自ら把握することを目的として、米国発のビル環境性能認証であるLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)による評価・認証を推進している。LEEDの認証は、ビルの環境性能の高さに応じて「標準、シルバー、ゴールド、プラチナ」の4段階から構成されており、シティバンク銀行の日本国内のオフィスでは下記のように多くのゴールド認証を取得している。

CASBEE(建築環境総合性能評価システム):日本における、建築物を環境性能で評価し格付けするシステムである。評価は高いものから、「Sランク(素晴らしい)」「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」の5段階で構成される。

  • 東京コールセンター、シルバー認証取得(平成21年6月)
  • 青山支店、ゴールド認証取得(平成22年5月)
  • 日本橋支店、ゴールド認証取得(平成23年7月)
  • 東京駅前支店、ゴールド認証取得(平成23年7月)
  • 名古屋支店、ゴールド認証取得(平成23年10月)
  • 新宿東口支店、ゴールド認証取得(平成24年4月)
  • 神戸支店、ゴールド認証取得(平成24年4月)
  • 池袋支店、ゴールド認証取得(平成24年7月)
  • 新宿南口、ゴールド認証取得(平成24年9月)

(出所:シティグループ ディスクロージャー誌(2013年)より)
注)シティバンク銀行の旧リテールバンク事業は、2015年11月1日を以ってSMBC信託銀行に統合されている。(SMBC信託銀行Webサイトより)

【LEEDゴールド・シルバー認証取得事例】

LEEDにおいてシルバー認証を取得した東京コールセンター、およびゴールド認証を取得した青山支店に関して、それぞれ実施した環境対策は以下のとおりである。

LEEDの評価項目 東京コールセンター 青山支店
敷地
  • リサイクル水と貯留雨水利用による上水、下水道水全般の優れた利用効率
  • 国産植物による植栽と効率の良い灌水システムによる、植栽への散水用水の優れた利用効率
  • 建物の屋上緑化システムと雨水貯留・リサイクルシステムの利用による効率的な雨水利用
  • 貯留雨水利用による、全体的な水利用と植栽への散水用水の優れた利用効率
  • 便器洗浄水にリサイクル水を利用するシステムを有効利用
  • トイレと水回りに節水型設備を導入
エネルギーと大気
  • 太陽光が利用可能な場合は、自動的に照明が薄暗くなる太陽光センサーコントロールを導入
  • 高機能デザインと効率の高い照明を使用して必要な場所で効率よく照明を利用
  • 照明の調光制御を通じた太陽光の活用
  • 不在時の自動照明オフ機能の導入
  • 効率の高いオフィス用機器の利用を拡大※
  • 個々のエネルギー使用量を監視するサブメーターを導入※
資材・資源
  • 建設資材には、リサイクル含有量の高い材料や現地生産品を利用※
  • 建設廃棄物の50%以上は、建設業者によってリサイクル材として分別※
屋内環境の品質
  • 座席と間仕切りの配置は、屋外の眺望を最大限に生かすデザイン
  • 総合的な大気環境管理計画を建設段階から実施
  • 空間レイアウトは支店正面を全面ガラス張りにして屋外の眺望を最大限に生かし、屋外の自然光を利用したデザイン
  • 利用者が必要に応じて照明を調節できるよう、各業務スペースに個別の照明コントロール設備を配置
  • 支店接客スペースの快適性に対する要望を満たすために、空調システムが効率的に運転されているか確認するための、快適性モニタリング評価を実施
  • VOC(揮発性有機化合物)排出量の少ない接着剤、塗料、カーペットを選択※
  • 従業員にスペースが開放されるまでの1週間でVOCを外気とともに完全放出し、残留大気汚染物質を排除※
革新性と設計プロセス
  • 公共交通機関の利用を促進する通勤費払戻しプログラムの実施※

※印は、両店舗共通の対策
(出所:シティグループプレスリリース(2010年)より)

3. シティグループが省エネ・省CO2を推進する背景

シティグループは、このように環境対応を強化させている理由として以下の4つを挙げている。

事業上のメリットがある:

エネルギーや水の消費量、廃棄物量の削減は、単純に経費削減につながる。また、シティグループの顧客は環境問題に取り組んでおり、シティグループのように環境への取り組みを支援する企業と取り引きすることを望んでいるため、優良顧客の維持・拡大にもつながる。

企業としての名声・評価の向上:

単純に正しいことであり、シティグループの4つの基本原則(普遍的な目標、責任ある金融、独創性、リーダーシップ)につながるものである。企業が果たすべき役割を果たし、環境への影響軽減に対する責任に真剣に取り組むことへの期待が社会的に高まっており、これに明確に応えるために必要な取り組みと捉えている。

従業員の獲得:

責任ある会社、つまり、環境への責任を真剣に捉え、目標を設定し、これらの目標達成への取り組みがそれを裏付けている会社で働くことを望むような従業員の確保につながる。

業界のリーダーとしての地位の維持:

シティは2007年に二酸化炭素排出目標を公式に設定した最初の銀行の一つであり、その後、同業他社も目標を設定し、環境への影響軽減に取り組んでいる。シティグループは米国銀行セクターが環境への影響軽減に関する地位を高めることに寄与しており、そのリーダーとしての地位を維持することを目指している。

ページ先頭へ