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省エネ改修の実践事例

ビルオーナーによる取組み事例/三井物産都市開発株式会社

事例2三井物産都市開発株式会社

環境配慮や省エネ・省CO2をコンセプトとした総合的な大規模改修で
中小既築ビルをバリューアップ

省エネ改修 成功のポイント

  • ハード・ソフト双方の省エネ対策を総合的に実施し、カロリーハーフ50%を実現
  • テナントとのコミュニケーションを非常に重視。居ながら工事で省エネ改修実現
  • グローバルな環境性能基準の要求性能を尺度に建物・設備性能や管理運営手法を再構築
この写真は三井物産都市開発株式会社所有のビル外観です。
この写真は同ビルエントランスです。
この写真は同ビルエレベータホールです。
この写真は同ビル専用室内です。
この写真は同ビル屋上設備です。
この写真は同ビルビオトープです。
この写真は同ビル雨水槽です。
事業主体 オーナー:三井物産都市開発株式会社(当時:物産不動産株式会社)
ビル管理:三井物産フォーサイト株式会社(当時:物産プロパティマネジメント株式会社)
改修工事:2013年3月プロジェクト完了
ビル概要 東京都港区西新橋1丁目4番14号、1982年竣工、地上7階/地下1階 延床面積3,376m2
省エネ改修内容 屋上緑化、外壁断熱・ペアガラスの採用、マイクロコージェネレーションシステム(CGS)の採用、CGS排熱の高度利用、BEMS・エネルギーの見える化システム(環境情報モニター)、LED照明 等
⇒電気依存度は東日本大震災前年比で50%を達成、デシカント空調等の採用による室内温熱環境改善により利用者からも高い満足度獲得

1. 改修工事の概要

同社では、"良質な環境不動産とサービスの提供"を掲げ、環境に配慮したビル管理運営に取り組んでいる。
環境不動産への関心が高まる一方、中小既築ビルの省エネがなかなか進まないことを背景に、大規模改修時期をむかえた同社保有ビルの「物産ビル」を対象に、省エネ+バリューアップ改修に総合的に取り組む"エコモデルビルプロジェクト"を開始した。下図のように社内横断的なワーキングチームを組成し、様々な視点から課題や必要性が議論され、プロジェクト開始から工事完了まで30か月を要し実現に至ったが、当初掲げた"省エネ(省CO2)""節電(ピーク電力削減)""BCP性能向上"という3つの数値目標を達成している。

改修までの流れ(経緯)
この図は省エネ改修工事の流れを示したものです。

省エネ改修については、費用対効果や省エネ量の定量評価、機能面やBCP性能等の定性評価が行われ、
下表、下図のシステム・機器を採用した。

改修項目一覧
この図は省エネ改修工事の改修項目一覧です。
改修イメージ
この図は省エネ改修工事の改修イメージです。

2. 省エネ改修成功のポイント

ハード・ソフト双方の省エネ対策を総合的に実施し、カロリーハーフ50%を実現

  • エコモデルプロジェクトは、中小既築ビルにおける、ハード面の基本的環境性能の向上、かつソフト面でも運営管理手法導入により更なる環境性能の向上と維持、及びそのハード・ソフトの相乗効果を目指した総合的な取り組みである。
  • ハード対策としては、前掲の表に記載の通り、建築、電気、空調、衛生、自然エネルギー等に総合的に取り組まれている。
  • 管理運営手法が果たす役割の重要性を重視し、テナントに負担を強いる省エネ活動にならないように配慮しつつ、創造的かつ、効率的なオフィスの提供と運営を目指している。
  • このような取り組みの結果、一次エネルギー使用量(目標は対2007年比半減)及びピーク電力(目標は2010年比半減)の目標値を達成できた。
一次エネルギー使用原単位の推移
この図は一次エネルギー使用の推移を示しています。
ピーク電力の推移
この図はピーク電力の推移を示しています。

※2013年度実績(当時)は見込み値

テナントとのコミュニケーションを非常に重視。居ながら工事で省エネ改修実現

  • テナントが入居したままの居ながら工事となったが、工事期間中は、仮設養生・安全管理を徹底、金曜日の22時開始、日曜日夜復旧を毎週繰り返し、工事を進めた。こうした工事を行うにもテナントの理解が必要であり、日頃からテナントと密にコミュニケーションをとることでオーナーとテナントの信頼関係構築を重視して取り組んできた。
  • テナントビルの環境対策のためには、テナントとオーナーの両者が協力しあうことが重要であり、既築ビルの省エネ改修事業成功のポイントである。

グローバルな環境性能基準の要求事項を参考に建物・設備性能や管理運営手法を再構築

  • 同プロジェクトでは、CASBEE(改修簡易版【2010年度版】)に加えて、国内で今後取得の増大が期待される国際(米国)認証である"LEED"に注目し、既存建物の性能と運営管理段階が対象の"EBOM"と、専用部分内装等を対象とする"CI"を取得した。対外的な環境不動産のPRと、グローバルな認証基準による同ビルの省エネ改修の取組の検証が目的である。
  • ビルのテナントにとって、環境配慮型不動産に入居することは、ラニングコストの低減を図ることができるというメリットがある。CASBEE、LEEDといった建物の環境認証により、積極的に環境性能の高さを見える化(開示)していくことが重要である。

環境認証の取得

この写真は環境認証CASBEE、LEED-CI,LEED-EBOMです。

【CASBEE改修簡易版(2010年版)】

取得日:
2012年8月31日
取得ランク:
Aランク
対象エリア:
物産ビル全体
ポイント:
BEE=2.5 BEEES=4.8

【LEED-CI(Commercial Interiors)】

取得日:
2012年9月12日
取得ランク:
Gold認証(67p/110p)
対象エリア:
物産ビル4階?7階

【LEED-EBOM(Existing Buildings Operations & Maintenance)】

取得日:
2012年10月9日
取得ランク:
Platinum認証(82p/110p)
対象エリア:
物産ビル全体(建物性能と管理運営)

※最高ランクPlatinumでの認証取得は、日本国内初となりました。

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