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コミュニケ・G8環境大臣会合
2001年3月2日-4日、トリエステ
(環境省仮訳)

1.我々、先進主要8ヶ国の環境担当大臣と欧州委員会の環境担当委員は、2000年大津での会合のフォローアップとして、2001年3月2日から4日にかけてイタリア、トリエステにおいて会合を行い、困難な環境問題について議論した。議論の主要なテーマは、I.気候変動、II.ヨハネスブルグ 2002に向けた持続可能な開発、III.環境と健康の3つであった。我々は、議長がこのコミュニケをジェノアサミットの議長に転達することを求める。

序文

2.新たな千年紀が始まるにあたり、短期かつ長期間の行動に合致しなければならない持続可能な開発を達成させるために、対処すべき複雑な地球環境の課題を検討する必要がある。我々は、地球に対する環境面の危機について強い関心を共有する。我々の責任に応えるために、これらの危機に対処するために、精力的にリーダーシップを発揮しなければならない。

I.気候変動

A.気候変動への挑戦を達成するための時宜を得た地球規模の対策の促進

3.人間活動による温室効果ガスやエアロゾルの放出は大気の変化をもたらし、気候変動へつながる。過去50年間の温暖化の原因のほとんどが人間活動によるものである、という新たな、また強固な証拠がある。全平均表面温度は、1990年から2100年にかけて1.4から5.8℃の範囲で増加すると予測される。温暖化の予測値は、20世紀に観測されたものよりはるかに大きい。(IPCC:気候変動に関する政府間パネル第1作業部会第三次評価報告書2001年1月)

4.持続可能な開発に重要である人間の健康、生態系と社会経済セクター(例;水文、水資源、食糧・繊維生産、沿岸システム、人間居住)は、気候変動の規模と割合を含む気候の変化や気候のふれ幅の変化に敏感である。(IPCC特別報告書、気候変動の地球的影響、脆弱性の評価)

5.我々は、IPCC報告書の発見による現状の深刻さにつき懸念を表明する。我々は、閣僚会合を含むあらゆる機会を最大限活用し、COP6再開会合において合意することに努力すること及び京都議定書の環境十全性を費用対効果の高い方法で確固とすることを約束する。COP6再開会合の成功裏の終結は、京都議定書の早期発効を可能とするために必要である。ほとんどの国にとって、このことは、遅くとも2002年までを意味し、時宜を得た批准手続きを伴う。

6.我々は、COP6再開会合の決定の基礎とするために、吸収源、京都メカニズム及び遵守のような問題に関しての継続的な交渉の重要性を認識する。
我々は、京都メカニズムに関する効率的で、透明で、明確なルールは、京都議定書の目標を達成するために重要であること、及び比較可能なモニタリング、報告、レビュー制度に支えられた包括的かつ強力な遵守制度が遵守を促進し、不遵守を妨げることに合意する。

7.更に、我々は、温室効果ガスの排出を削減するために、また同時に環境に適正な技術(EST)と実践及び再生可能エネルギー資源の促進と普及のために、国家計画と対策を強化し実施することによって、先導することを約束する。
この関連で、我々は、沖縄コミュニケのパラグラフ66で宣言されたものとして沖縄サミットにおいて国家首脳等によって設立されたG8再生可能エネルギータスクフォースからの具体的提言に期待する。

8.条約の究極の目的を達成することは、先進国と途上国に多大な努力を要求するであろう。我々は、気候変動と戦うために先導する責任を再確認する。我々は、途上国により既になされた行動を歓迎し、本分野での彼らの努力を強化するために激励する。我々は、気候変動に取り組む発展途上国を援助し支援するために、対処能力向上と技術移転及びCDMの重要性を認識する。

9.とりわけ小島嶼国や最貧国が気候変動の悪影響に脆弱であるというIPCCの報告を我々は認識しており、それらの国々にとっての適応策を継続支援する必要性を認識している。

10. 経済移行国が気候変動に対処するのを援助するためには、共同実施と同様に、対処能力向上や技術移転も重要であることを我々は認識する。


B.国内対策の強化

11.すべてのG8国は、地球規模の気候変動に対処するために強力な国内対策を講じることを約束し、既に対策をとり始めている。我々は、数年先を見越した顕著な進展に便益があることに留意する。G8諸国は、気候変動枠組条約からの要請に基づき、国内対策に関して透明性と責任のある情報を提供する。
我々は、京都メカニズムの適用が、国内対策に対して補足的であろうことを確認する。

12.我々は、気候変動対策に対する強固な認識の一致が必要であること、また、社会の全セクターが変化を実施する上で、各々の役割を果たすように求めなければならないことを認識する。社会問題や雇用問題に取り組むことは、合意を促進する上で基礎的で重要な事項である。

13.市場の機会や利点を活用し、市場に適切な指示を送ることは、気候変動に効果的に対処する上で重要である。G8諸国は、市場メカニズムを活用しながら、温室効果ガスの削減を促進する対策を導入しつつある。我々は、排出を削減するために働いている多くの民間会社、市民グループや個人を称賛する。例えば、我々は革新的な市場を意識したアプローチを含む、自発的なプログラムを取り入れた産業界を祝福する。これらの努力は、民間セクターが、新技術の開発とエネルギー効率的な実践の採択を通じて、気候変動に挑戦する上で中心的な役割を果たすことができることを示している。我々は、市民社会による、より広範で早期で自発的な行動を奨励し促進すること、及びより効果的な公・民の連携を如何に進めるかについて情報交換することを約束する

II.2002年ヨハネスブルグに向けた持続可能な開発

2002年持続可能な開発世界サミット(WSSD)の開催に向けた準備


14.G8環境大臣は、世界サミットをホストする南アフリカ共和国の申し出を受け入れ、国及び政府の首脳の出席を推奨する国連総会決議A55/199を高く評価する。

15.2002年持続可能な開発世界サミットは、過去の進捗をレビューするとともに持続可能な開発を達成させるための努力にあたり直面するであろう、新しく発生する課題を明らかにし事前に対処する特別な機会を提供する。我々は、グローバリゼーションが全ての人々の利益となるよう、持続可能な開発を増進する確かな方法を見いださなければならない。同様に、持続可能な開発に関して、技術の利益を獲得することが非常に重要である。

16.サミットは、世界的な開発課題、貧困削減及び地球環境保護をより統合し、かつ首尾一貫した方法を見つけるべきである。我々は、OECDの環境国際開発目標を再確認する。サミットは、より行動的な決定、特に「持続可能なエネルギーと水」を前向きに検討すべきである。この関連で、国際淡水会議(ボン、2001年12月3~7日)において、本分野において設定された議題に貢献することを期待する。さらに、我々は、サミットの議題に「健康と環境」を含めることを支持する。

17.世界の人口の大半が都市部に居住していることを認識した上で、我々は、ローカルアジェンダ21を通じることも含めて、持続可能な共同体を増進することの重要性を強調する。この点に関連して、我々は、人間居住の議題(持続可能な居住)の実施をレビューする2001年6月に開催される国連総会特別会合の成果に期待する。

18.我々は、国家持続可能な開発戦略の検討と作成を通じることも含めて、環境、社会、経済政策決定の統合の必要性を強調する。全ての国は、この目標のために公共、民間の国内資源を動員すべく努力すべきである。我々は、民間セクターと市場に基礎をおいたアプローチ、及び国際資金の活用を通じた各国家間のパートナーシップの重要な役割を再確認する。我々は、持続的でない生産と消費の形態を変えるために、リーダーシップを発揮することを約束する。確認された方法は、特別な実施手段により支持されなければならない。

19.我々は、全てのレベルにおいて、早期で効果的な準備の必要性を強調する。2002年ヨハネスブルグ・サミットの成功のために、市民社会(市民、NGO、労働者と企業、先住民)の関与が重要であることを認識する。彼らの関与は、準備プロセスとその結果の実施及びモニタリングを通じて、確固としたものにならなければならない。

20.民間セクターは投資と技術の決定を通じて、環境の健康に多大な影響を与える世界的な行為者として現れてきた。持続可能な開発を振興するための努力における、企業のより積極的な関与と、環境責任という新文化に対するより多大な約束が進められるべきである。

環境ガバナンスと環境政策の他の分野の政策への統合

21.国際環境ガバナンスの強化は21世紀の挑戦であり、多国間環境協定を実施するために重要である。効果的で信頼あるガバナンスは、民主主義と人権の強化を助成し、経済繁栄と社会結束を推進し、貧困を軽減するだけでなく、環境保護と天然資源の持続可能な使用を強化し、政府と行政機関への信頼が深まることも重要である。

22.更に、我々は、次期ラウンドの終結までに、世界的及び地域的な環境上の約束を尊重し、持続可能な開発の前進に貢献するような、総合的な成果を達成することを期待し、次期WTOラウンド交渉の全体を通じて、環境上の配慮が考慮に入れられるべきことを強調する。新ラウンドは、環境に害を与える補助金の段階的な廃止も含めて、貿易自由化、環境保護、経済的・社会的発展の間の肯定的なシナジーの可能性を最大化すべきである。

23.近づいているWSSDは、国際環境ガバナンスの既存の法的制度的メカニズムの調整と実施を進めるために、費用効果的な方法をベースに、適正な分析と政治意思とハイレベルの関与により支援された、革新的な施行を奨励するための触媒の役目を果たすべきである。この文脈において、我々はグルーバリゼーションが持続可能な開発を支援することを確保する努力を強化する。

24.我々は、外国への直接投資において、人権、労働基準及び環境の推進と保護の実現を図るために、国際的に活動している企業にOECDの多国籍企業行動指針とアナン国連事務総長のグローバル・コンパクト・イニシアティブの支援を呼びかける。関連国際団体は、どの活動がこれらの目標を前進させることができるか検討すべきである。

25.我々は、国際的な環境管理に関してUNEPの調整役割の改善の必要性と、全ての国際的な環境関連機関の間での情報の自主的交換を促進する必要性を強調する。これは、関連する個別の条約が自主性を持つことに留意した上で、特に分野別に、日程、評価、報告戦略や行動の相互間に整合性を与え、また、特に分野ごとに、条約相互間及びその事務局間での既存の協力体制を改善し、市民社会の参加が増加している環境関連機関及び非環境関連機関の間の連携の強化を目的とするものである。

26.我々は、UNEPの財政も含んだ、既存の制度的弱点及び強化された国際環境ガバナンスに関する将来需要と選択肢を、統合的に政策的に評価を行う、オープンエンディッド(参加を制限しない)政府間グループを設立したUNEP 管理理事会決定(ナイロビ、2001年2月5日-9日)を歓迎する。我々は、そのプロセスを支持することを約束し、そして、このプロセスの結果がWSSDの準備に提供されることを期待する。CSD10は世界サミットの準備主体として行動し、政策の一貫性と実施の強化を目的に持続可能な開発に関する広範な多国間の努力の中で、本問題に対処すべきである。

27.国際環境ガバナンスの強化は、とりわけ、新たな必要性に適応することを目指し、既存の組織、ナイロビを本拠とするUNEPに基礎をおくべきである。

28.安定し、予想可能かつ十分な資金は、国際機関のガバナンス改善に必要条件である。UNEPに関しては、これを達成すべく種々の方法が考えられた。全ての国々は、共通の努力の中で、自らの役割を果たすよう用意すべきである。

29.我々は、多国間環境協定を侵害することによる深刻な環境影響と、協定を守る必要性を認識し続けている。我々は、既存の多国間環境協定への広範な参加と、効果的な実施及び遵守を支援し続けている。どの遵守メカニズムが一番適当であるか研究することも含めて、多国間環境協定をより効果的にする方法を検討すべきである。この分野におけるUNEPの実施中の活動、及び特に情報交換と他の協力の努力に関した「環境犯罪に関するG8リヨングループ法執行プロジェクト」を高く評価する。

30.我々は、地球環境ファシリティ(GEF)の第三次増資に相当の貢献を行おうとするドナーの一般的な意図に留意し、地球環境の改善と保護の上で、並びにリオの諸条約及び直近では残溜性有機汚染物質(POPs)条約を実施する上で、GEFが果たす不可欠な役割を認識する。

31.G8環境大臣は、生物多様性の保全とその構成要素の持続的使用のため、国家間、政府間、非政府間組織での国際、地域、そして世界協力を促進する重要性と必要性を強調する。我々は、社会生活における全ての経済、社会、生態系分野における持続可能な開発の概念、及び遺伝資源へのアクセスと関連する国際合意を土台にした”利益共有”に関連した概念を保証する。

32.G8各国は、生物多様性の保全と持続的利用を確保するために、対処能力向上の重要性を強調する。我々は、生物多様性の保全と持続可能な使用に関して、政策、法制、指針、予算措置及び執行手段を改善することを各国に奨励する。

33.G8各国は、海洋とその資源の保護と持続可能な利用を担保するために、行動を強化するために支援を行う必要性にも注目する。この点に関連して、2001年カナダのモントリオールで予定されている、「海洋環境の保護に関する世界行動プログラム」の効果的な第1回政府間レビューに期待する。

輸出信用機関のための環境ガイドライン

34.輸出信用機関(ECAs)は、輸出支援及び経済開発とインフラ・プロジェクトへの投資促進において重要な役割を果たしており、持続可能な開発を促進する点において、リーダーシップを発揮する。
それゆえ、ECAsは、彼らのサポートから利益を得るプロジェクトから発生する環境面でマイナスのインパクトが、地方でも世界的にも軽減し最小化することを担保するために、必要な行動をとるべきである。

35.持続可能な開発に貢献するECAsの発展可能性は、投資決定時の環境配慮の強化された統合を奨励することに関し、ECAsのための共通の拘束力のある環境指針を早急に策定し実施するとの国際社会の強力かつ効果的な約束を通じて、輸出信用機関の持続可能な開発への貢献の可能性を高めることが必要である。これらの共通した指針は、他の国際的に認められ、公的に支援された多国間の融資機関、例えばヨーロッパ復興開発銀行や世銀の国際融資機関の実践を土台にすべきである。ECAsは、環境情報への一般市民のアクセス、一般市民との協議及び世界ダム委員会(WCD)の提言の関連部分の検討を含めて、彼らの意思決定プロセスの透明性を増大させる共通の手段を採用すべきである。

36.よって、我々は、2001年7月のサミットまでに、ECAのための共通の環境指針を策定するとのケルン及び沖縄でのG8首脳会議で採択された約束を歓迎し、約束を守るための特段の努力を促す。我々は、OECDの中での環境に対する共通アプローチに向けての取組と公的に支持された輸出信用を歓迎し、2001年OECD閣僚会議に対するOECD 輸出信用グループ(ECG)中間報告を待ち望んでおり、成功と早期の完了を担保するためにこの問題に対する注目を求める。


III.環境と健康


37.人間の健康の保護と環境に関連した病気の防止は、現在及び将来の環境政策の根本的目的の一つである。我々の政策は、環境への負の影響を軽減し、人間の健康へのリスクに対処するために環境と開発に関するリオ宣言の第15原則で述べられている予防的アプローチに基づくべきである。我々は、また、環境及び健康に関する配慮を他の政策に統合することを目指した行動を推進する必要性を認識する。

38.水質及び、飲料水とリクリエーション用の水の安全性の確保は、多くのG8諸国における課題である。我々は、開発途上国や経済移行国において、安全な飲料水及び衛生管理へのアクセスを向上させるため、一致団結して働かなければならない。これらの国々の水質改善と安全な飲料水及び衛生管理へのアクセス向上は、環境分野での協力政策の中で優先的に認識されるべきである。我々は、環境への汚染物質の排出に関連して、特に淡水に重点を置きつつ、環境及び健康上のリスク評価についての、研究、データ収集、情報交換を改善することを約束する。我々は、洪水、干ばつ、その他自然災害からの安全に関し、2000年の大津のG8環境大臣会合コミュニケ第13パラグラフに含まれる条項を確認する。

39.大気の質の改善は、とりわけ都市部において、増加するスモッグ、粒子状物質及びその他の大気汚染のレベルの増加に影響を受けており、G8及びその他の多くの国にとって引き続き直面する重要な環境健康の課題である。我々は、大気の質に関するデータの収集、評価と普及、及び主要な大気汚染物質の排出と国境を越えた移動を削減するリスク評価、及び科学的知見に基づくアプローチにつき協力することを約束する。

40.G8諸国の環境大臣は、食品の安全性が最高度の重要性を持つ問題と考える。食品安全性に関する効率的なシステム及びこれへの国民の信頼の維持は公共政策にとって決定的な重要性を持つ。

41.我々は、環境健康の課題に対処するために環境と健康に関する各国の及び国際的な機関が協力することの重要性を強調する。そして、ヘルシンキにおける第2回環境と健康に関するヨーロッパ会議や1999年ロンドンでの第3回会議がもたらした成功に留意する。我々はまた、健康と環境が2001年3月の米州環境大臣会合のテーマであることを、大きな喜びを持って留意する。
我々は、各国の環境と健康に関する政策形成者間の協力を強化し、UNEP、FAO、WHOなどの分野毎の国際機関間の協力を支援し、健康と環境に関わる国際的なプロセス間の統合を支援する必要性を認識する。また、特に化学物質の管理に着目しつつ、公衆衛生の基準を改善しその便益を確保するための方法として、政府、産業界、関連組織の連携の促進を認識する。

42.我々は、2000年12月に開催された残溜性有機汚染物質(POPs)に関する条約の交渉の成功を歓迎する。我々は、条約の署名と早期発効を支援し、これらの高度に有害な化学物質の使用により生ずる健康と環境への影響を軽減に向けた一層努力するであろう。我々は、途上国及び経済移行国による条約の実施を、技術的及び資金的協力を通じて、支援し促進することを強く約束する。また我々は、化学物質の安全な使用の知識、製造によって生じ得るリスク、環境への放出や廃棄、リスクを回避ないし軽減する手段、を改善することを目的とする国際プロジェクトの実施を約束する。我々は、さらにコミュニティーが環境中の化学物質について知る権利があることを認識し、情報へのアクセスを促す方法として、環境汚染物質排出移動登録(PRTR)に対応するスキームの開発を国際的に推進することを約束する。そのスキームは、少なくとも、IFCSのフォーラムIIIの優先行動に明示される性質を有し、主要な一連の化学物質(すなわちPOPs化学物質、重金属、オゾン削減化学物質)を含むものとする。

43.我々は水銀とその構成成分の地球規模の評価を行い、化学物質管理に対する戦略的アプローチの必要性を調査するというUNEP 管理理事会の決議を歓迎する。

44.我々は、国際貿易における特定の有害物質や農薬の事前通報に基づく同意(PIC)に関するロッテルダム条約批准の約束を再確認する。

子供及びその他の特に脆弱な集団の環境的健康


45.我々の子供の健康を守ることは、共有された基本的な価値である。我々は、子供が環境上の脅威に特に弱い立場にあることを認識し、それらの脅威を取り除くため協力して取り組むよう約束する。我々は、貧困、及び環境上の脅威からの不十分な保護が、しばしば同時に現れることを認識している。我々は、この最も深刻な環境健康面での脅威に取り組むために協力し、その対象中には、飲料水中の微生物学的及び化学的な汚染物質、喘息及びその他の気管支病の症状を悪化させ及び死に至らしめる大気汚染、水質汚染、有害物質及び農薬が含まれる。
我々は、G8各国が特に脆弱な部類の人々の保護に対して有する注意を喚起する。その人々は、例えば、子供、老人、妊婦、環境に関連した健康上のリスクに曝される免疫力のない人々、食料や住居を直接自然環境に依存する先住民、及び貧困のため深刻な疾病を患っている集団である。

46.1997年の子供の健康と環境に関するG8環境大臣宣言、及び1999年6月の環境と健康に関するWHO/UNECEロンドン宣言や、2000年6月の北米環境協力委員会の子供の健康と環境に関する理事会決議に含まれる、「子供及び生殖に関わる健康の環境上の脅威に対する特別な脆弱性」に高い重要性を置く。

47.我々は、自国、開発途上国及び経済的移行国において、2つの宣言を早急に実施するようイニシアチブをとることを再度約束する。我々は、2001年11月にローマで開催される子供の喘息への対応戦略の開発に関する、イタリア・米合同国際ワークショップに期待する。我々は、また2001年9月にワシントンDCで開催される「子供の環境健康II:行動のための地球フォーラム」、及びニューヨークで開催される「子供に関するUNICEF特別サミット」への参加を呼びかける。

48.この点において、我々は都市地域における大気汚染に関連したリスクを強調し、より持続可能な都市を推進するための、あらゆるレベルの政府、及び国及び地域のイニシアチブの関連する役割を認識する。我々は、途上国及び先進国の何れにおいても、交通及び運輸が大気の質の悪化に、とりわけ重要な影響を及ぼしていることに留意し、環境と健康の議論において、都市及び地域計画と運輸分野における国別イノベーション政策の統合を確保することの重要性を強調する。これらの事項は、開発途上国及び先進国の何れにおいても課題となる。

49.我々はこの重要な事項に関する協力と対話を継続することを希望する。


IV.アフガニスタンにおける全ての偶像と聖堂の破壊に関するタリバン指導者の勅令


50.自然と人間のシステムの多様性は、持続可能な開発の核心にあるということを念頭に置きつつ、我々は、アフガニスタンの全ての偶像と聖堂の破壊を命令したタリバン指導者の勅令の報告に狼狽し衝撃を受けたことを表明する。我々は、タリバン指導者がこの深刻で悲劇的な決定を実施しないこと、及びUNESCOの努力を全面的に支持することを、強く求める。アフガニスタンの豊富な文化遺産は、アフガニスタン国民だけでなく、全世界にとって大変重要である。

以上