G8 Environment Ministers' Meeting in 2000
過去のG7/G8環境大臣会合(開催実績)
G7環境大臣非公式会合議長ハイライト
ハミルトン、カナダ 1995年4月30日~5月1日

<概要:環境庁地球環境部作成>

はじめに

1.4月30日から5月1日まで、ハミルトンのマックマスター大学において、先進7ヶ国、カナダ、アメリカ合衆国、フランス、ドイツ、イギリス、日本及びイタリアの環境大臣並びに欧州委員会(EC)及び国連環境計画(UNEP)が会合した。

2.ハミルトン会合は、環境と持続可能な開発の問題に対して、G7諸国がハイレベルデ取り組みを続けていること、G7が今後とも継続して定期的に連絡を取り合っていくことが重要である事を示すものであった。我々は、ハリファックスでのG7サミットにおける議論に貢献したいと考えている。

3.討議は、持続可能な開発のための国際機関、環境と経済の統合「政府には何ができるのか」、生物的多様性及び気候変動の条約なと主要課題についての進捗状況評価、の3つのテーマについて行われた。


持続可能な開発のための国際機構

4.地球環境問題と持続可能な開発を取り扱う主要な機関は、国連持続可能な開発委員会(CSD)及び国連環境計画(UNEP)である。我々は、1995年2月、イギリスのブラケットホールで開催された非公式環境大臣会合の成果を歓迎し、これらの両機関がいっそう互いに助け合い、効果的で、21世紀に向けた朝鮮に対応できるものとなるよう具体的な行動を取っていくことについて、喜んで各国と協調する。

5.CSDは、持続可能な開発のための広範な政策指針を示し、長期的な戦略上の目標を特定し合意を得るハイレベルの地球的規模のフォーラムであり続けるべきである。我々は、CSD台3会会合において、この方向での前進が示されたことに力づけられる。この会合は、環境担当大臣に加え、森林、農業及び開発援助担当大臣が出席したが、我々は今後もこのような傾向が続くことを希望する。

6.環境の観点をより広い持続可能な開発のフォーラムに持ち込むことを通じて、国連機構の中で第一義的に環境を取り扱うという、UNEPのマンデートについては、UNEPの次回管理理事会がこれを確認する場となることを期待する。とりわけ、UNEPがその活動の基礎である健全な科学、世界の環境の状況のモニタリングと監視、地域的、地球的問題についての触媒機能、国際法の開発、そして能力向上のためのパートナーシップの支援に焦点を当てようとすることを奨励する。我々は、UNEPが効果的勝つ効率的に業務計画を遂行して行けるよう、そのマネージメントに係わる枠組みを確立する努力に対する支援を継続する。

7.UNEPの管理機構についても、我々は適切な支援と助言を提供するであろう。UNEPの活動に対し、各国がより強力な政治的コミットメントと支援を行うことは有益であり、管理理事会において検討されるべきである。

8.世界銀行については、意思決定に際しての環境上の政策の確立に向けた進展が図られてきている。しかし、依然として課題はあり、プロジェクト初期段階での環境アセスメント結果などについての透明性の改善などといった課題が残されている。我々は、環境面での今後の進展について世銀総裁と今後協力していくことを期待するとともに、それぞれの世銀理事にインプットを提供することが重要であると考える。

9.世銀は持続可能な開発を最優先課題とすべきである。持続可能な開発は、経済成長、貧困撲滅そして環境保全という、世銀が目指すべきゴールを調和させるための枠組みとなろう。世銀出資プロジェクト計画は、これらのゴールをいかにして達成するかを示し、地域レベルでの参加と能力向上に注意を払うべきである。このことは、融資の質に重きを置くことにつながるであろう。我々は、世銀がエネルギー、水及び運輸、されに持続可能な農業及び森林の分野で、経済と環境配慮を統合することにより、主要な国際的合意(機構変動条約、生物多様性条約など)の実施を支援するよう促す。

10.国際通貨基金(IMF)もまた、構造調整計画を策定する際に環境影響を考慮するという点で、持続可能な開発実現のための役割を有する。また、我々は、債務救済についての努力を継続する必要性と、これを持続可能な開発の増進と結び付ける可能性を強調する。

11.新たな機関、とりわけ、地球環境ファシリティー(GEF)の重要性が強調された.GEFの活動については、地球環境問題に焦点を当てており、UNEP、UNDP及び世銀という既存の3国際機関が担当する革新的な機構であることを歓迎する。

12.世界貿易機関(WTO)も、世界の経済、貿易と環境に重要な意義を有する。まだ新しく発展途上にあるWTOが、その活動において環境面をいかに配慮していくかについて協力していきたい。

13.持続可能な開発は、各主体との対話がオープンで広範なものでなければ達成できない。この意味で、大臣たちは、世銀が次回の環境上持続可能な開発に関する会議に環境担当大臣と財政担当大臣とをともに招こうと努力を行っていることを歓迎する。

14.持続可能な開発のための資金調達の上で、今後、民間資本フローと革新的経済メカニズムは、政府開発援助を補足するする重要な要素となろう。これをいかに進めるかを検討するため、UNEPが金融、保険業を進めている作業は有用であろう。


環境と経済の統合「政府には何ができるのか」

15.G7各国政府は、その行動を通じて環境改善に貢献できる大きな能力を有している。政府行動のグリーン化については、相当の努力がなされてきており、さらになさなければならないことも多いが、G7諸国の経験はさらに政府をグリーンなものとするための努力のよい基礎となる。

16.G7の中央政府は、民間部門と地方政府の手本となるような行動を示すべきである。政府の環境行動改善のための努力の例としては、省資源及び省エネルギー、環境にやさしい製品とサービスの購入、政府の建物と施設の建築及び修復に際してのゴミの減量、日常業務での汚染防止及び省エネルギー、節水対策などがあげられる。

17.大臣たちは、進捗状況を測り、報告するためのメカニズムが不可欠であるという意見で一致した。政府部内で、投資、インセンティブ、技術についての優先順位を設定しやすいよう、分析方法を改善することが重要であると考えられた。

18.このようなG7の努力を促進するための一般原則は次のとおりである。

意思決定に当たって、環境上の配慮は、行動上、財政上、安全上、健康上、経済発展上、そしてその他の配慮と統合されるべきであること
中央政府は、環境法規、あるいは適切なら国際基準の文言及びその精神に見合うか、あるいはそれを越えた行動をとること
「ゆりかごから墓場まで」の哲学: 汚染防止及び健全な環境管理の原則は、政府行動の当初設計から終了までの全ての段階に当てはめるものであること
投資、行動のインセンティブ及びディスインセンティブ、及び技術についての優先順位設定には、システマティックな分析が用いられるべきこと

19.また、G7及びOECD諸国は以下についての協力を行う必要がある。

意識向上、誘導策及び表彰、行動規範、指令及び法規など環境行動改善のための様々な方法の成果についてのデータと情報を共有すること
政府の環境行動を、今後2年間に予定されている国際会議での定例討議事項として取り上げ、意見交換を行うこと
各国協調の下に生産的に実施し得るパイロットプロジェクトを特定すること
進行中のOECD環境政策レビューの一部として、各国政府の環境行動についての公表できるようなステートメントを作成すること

20.1996年のOECD閣僚会合では、政府行動のグリーン化についての活動状況に尽き検討することが提案された。OECDメンバー諸国は、情報、意見、経験交換のための、またOECD環境政策レビューに政府行動のグリーンかを含めることについてのワークショップの有用性について検討すべきである。

21.大臣たちは、政策決定及び意思決定において環境と経済を統合することについて討議した。資源管理や環境インフラストラクチャーには、経済的手法、革新的な責任メカニズム、環境アセスメント、自発的施策などが必要である。汚染者負担の原則及びコストの内部化は引き続き重要である。

22.健全な環境慣行を進める上での問題について、G7諸国その他で検討することは有益であろう。OECDには、補助金及び税制についてのレビューを行うことを依頼したい。


個別議題

(生物多様性条約)

23.我々は、生物多様清浄役の実施に係る進展についても議論した。生物多様性は、世界的な重要性、価値及び利益を有するが、国レベルの行動なしでは保全できない。種の目録及び保護地域の拡大等に関する各国の経験を学んだことに勇気づけられ、引き続き本条約実施のための国内における取り組みを進めていくことを約束する。

24.我々は、途上国が生物多様性条約を実施するため、能力向上、技術移転及び知識の共有が必要であることを認識する。GEFは、資金面での主要な役割を続けるべきであり、適切な投票ルールをもった恒久的資金メカニズムとなるべきである。我々は、生物安全性(バイオセイフティ)の問題の重要性を認識し、科学的革新の促進と安全性とを調和させるよう慎重に取り組むべきであると考える。

(機構変動枠組条約)

25.ベルリンでの機構変動枠組条約第1回締約国会議の結果と決定を歓迎する。我々は、条約に基づく既存の義務を果たす決意、及び議定書に関するアドホックグループの早期会合を含めベルリン会議をフォローアップするための野心的なスケジュールを満たしていく意図を再確認する。

26.先進国と途上国の協力の精神が、ベルリンで新たにされた。我々は、この精神を行動に変化させていきたい。技術移転及びパイロットフェイズの共同実施は、このための機会となる。

27.G7諸国と他の先進国は、温室効果ガスの削減に関する多くのチャレンジを共有している。協力の機会を見つけるとともに、OECDに協力の基礎を定義する上での支援を行うよう依頼する。

(有害物質)

28.1992年の国連環境開発会議以降、多くのG7諸国で有害物質の管理に関する進展が見られた。我々は、アジェンダ21の目標に向けた取り組みを継続するとともに、汚染物質の長距離移動などに関し、一層の国際協力を進めていく必要があることに合意した。また、鉛問題についても議論した。

29.我々は、UNEPの事前通報同意(PIC)ガイドラインに関する活動を奨励し、次回管理理事会において本活動が継続されることを期待する。また、共通の関心を有する物質についてのOECD、UNEP等における協力を継続する。

30.いくつかの国において有効な手段だとされている有害物質排出目録等の分野について協力の範囲を探る必要がある。

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