気候変動枠組条約の概要

(ポイント)

○究極の目的:
  地球温暖化防止のため大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させる。

○先進国の義務は、
[1]温暖化防止のための政策措置を講ずること、
[2]排出量などに関する情報を締約国会議に報告すること、
[3]途上国への資金供与、技術移転を行うこと。
  [1][2]の措置、報告を、温室効果ガスの排出を2000年までに1990年の水準に戻すとの目的で行う(数値は努力目標)。

○途上国を含む全締約国は、排出と吸収の目録の作成と更新などを行う(実施時期、期限等実施に関する具体的規定がない)。

○先進国の義務や条約自体の見直し規定をおき、義務が次第に強化される仕組みを用意(京都議定書のきっかけ)。

○条約の実施のための資金メカニズムを規定(地球環境ファシリティを指定)。

○気候変動枠組条約は92年5月に採択、94年3月に発効。
  我が国は93年5月28日に同条約を締結。

1.内容

(1)目的
 大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン等)の濃度を気候系に対する危険な人為的影響を防止する水準で安定化させることを究極的な目的とする。

(2)締約国の義務(4条

ア.途上国を含む全ての締約国の義務
  • 温室効果ガスの排出及び吸収の目録の作成と定期的更新
  • 具体的対策を含んだ計画の作成・実施
  • 上記目録と、実施した又は実施しようとしている措置に関する情報を締約国会議に送付することなど。

    イ.先進国に追加される義務
    [1]自国の政策・措置等に関する義務
  • 二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量を2000年までに1990年の水準に戻すとの目的をもって(従ってこの数値は努力目標)、
    −温室効果ガスの排出抑制等の政策・措置を講ずること、
    −この政策・措置の詳細、その効果を織り込んだ温室効果ガスの排出及び除去の予測等に関する「情報」を締約国会議に送付すること 。
    [2]途上国の支援=市場経済移行国を除く先進国の義務
  • 途上国の条約上の義務履行を支援するため、新規かつ追加的な資金を供与し、技術移転を推進する措置を講ずること

    ウ.先進国の義務の見直し
      条約の目的を達成する上で、先進国の義務(上記(2)イ.[1])が妥当なものかどうか、締約国会議が見直しを行う。

  • (3)気候変動の悪影響及び対策実施による影響への対処(4条8,9項)
      締約国は義務の実施に当たって、気候変動の悪影響又は対策の実施による影響に起因する途上国のニーズや関心を満たすため、必要な行動を検討する。

    (4)資金メカニズム(11条など)
      地球環境ファシリティ(GEF)を途上国の温暖化対策を支援するための資金メカニズムとして指定。
       ※地球環境ファシリティ(GEF)
      途上国が地球環境の保全(地球温暖化、オゾン層の保護、生物多様性の保全、国際水域の保全の4分野)に取り組むための追加的費用を支援するための制度。世界銀行、国連開発計画(UNDP)、国連環境計画(UNEP)の共同運営。
      資金規模:27.5億ドル(4年間)

    (5)その他
     条約の実施状況等についての締約国の報告、締約国会議の開催、補助機関の設置などを規定。


    2.経緯・現状

      2000年9月7日現在の締約国数は185カ国と1地域機関(欧州共同体)。
      締約国会議は、第1回:ベルリン、第2回:ジュネーブ、第3回:京都、 第4回:ブエノスアイレス、第5回:ボン、第6回:ハーグで開催。