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COP6再開会合評価と概要

平成13年7月30日
日本政府代表団


概要
今次閣僚会合において、京都議定書のいわゆる中核的要素に関する基本的合意(ボン合意)が得られ、京都議定書の2002年発効に向けたモメンタムが高まった。吸収源については我が国所要の吸収量が確保され、京都メカニズムについては定量的な活用上限を回避出来た。

他方、ボン合意の細則作りの協議においては、途上国問題につき合意が得られたが、他の主要問題(ロシアの吸収源、遵守、京都メカニズム等)に関しては引き続き協議することとなり、COP7での採択を目指すこととなった。
評価
政府代表団は、京都議定書の2002年発効を目指し可能な限り多くの合意を目指すとの方針に基づき、合意案形成に最大の努力を尽くした。その結果、吸収源等につき我が国の主張が盛り込まれた合意が出来たことを評価する。
我が国は、京都議定書の2002年発効を目指し、COP7までに最終合意を達成すべく、引き続き全力を尽くすとともに、京都議定書の目標を達成するための国内制度に総力で取り組むことが適当と考える。
全ての国が一つのルールの下で行動することが重要であり、米国を含めた合意が形成されるよう、日米ハイレベル協議等を通じ、引き続き最大限努力していく必要がある。

 

(参考1)COP6再開会合閣僚会合での合意(ボン合意)の概要

途上国支援  条約に基づく基金として、特別気候変動基金及び最貧国基金を設置し、京都議定書に基づく基金として、京都議定書適応基金を設置(注:資金の拠出については先進国が政治宣言の形で表明)。
京都メカニズム [1]  補足性 先進国の削減目標の達成について、京都メカニズムの活用は国内対策に対して補足的であるべきであり、国内対策は、目標達成の重要な要素を構成する(注:定量的な制限は設けない趣旨)。
[2]  排出量取引の売りすぎ防止措置 締約国は、排出枠の売りすぎ防止措置のため、予め割り当てられた排出枠の90%又は直近の排出量のうちのどちらか低い方に相当する排出枠を常に留保する必要。
[3]  共同実施・CDMにおける原子力の扱い 先進国は、共同実施・CDMのうち原子力により生じた排出枠を目標達成に利用することを控える。
   
吸収源  森林管理の吸収分については、国ごとに上限を設ける(日本は上限枠が13百万t-C(3.86%)となり、3.7%分が確保される見込み)。また、CDMシンクの対象活動として、新規植林及び再植林を認める。
遵守 [1]  削減目標を達成できなかった場合の措置 超過した排出量を、1.3倍に割り増した上で次期排出枠から差し引くなどの措置を課す。
[2]  遵守委員会の構成 委員構成は、執行部・促進部各10名。先進国対途上国の構成が4対6となる見込み。また、投票ルールは原則コンセンサス方式であり、コンセンサスでない場合は4分の3以上の賛成が必要。さらに、執行部については、附属書I国(先進国)と非附属書I国(途上国)のそれぞれの過半数が必要。なお、不遵守の結果に法的拘束力を導入するか否かについては、COP/moP第1回会合で決定することとなった。

 

   (参考2)COP6再開会合で合意が得られた細則的事項と得られていない細則的事項

交渉が完了、包括的合意が成立しており、COP7において法的文書が採択される予定の事項 [1] 能力育成(途上国)
[2] 能力育成(経済移行国)
[3] 資金メカニズムに関する追加的ガイダンス
[4] 条約上の資金拠出
[5] 議定書上の資金拠出
[6] 技術移転・開発
[7] 温暖化の悪影響及び対策の実施による影響への対処
[8] 対策の実施による悪影響の最小化
[9] シングル・プロジェクト(アイスランド等排出量の少ない国の事業に関する特別な扱い)
[10] AIJ(共同実施活動)
交渉が進捗したが、包括的合意は未完成であり、COP7において議論の上、法的文書の採択を目指す事項 [1] 吸収源
[2] 京都メカニズム
[3] 遵守
[4] 議定書第5条、第7条、第8条(排出量及び政策措置の報告、審査等)
[5] 政策及び措置