戻る

COP6再開会合(概要と所感)

平成13年7月27日
日本政府代表団


1.概要
(1)日程等
 7月16日~27日、ボンにおいて気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)再開会合(議長:プロンク蘭環境住宅国土計画大臣)が開催された。19日~23日には閣僚会合が行われ、我が国より川口環境大臣、植竹外務副大臣、朝海地球環境問題等担当大使、今野経済産業審議官、浜中地球環境審議官等が出席した。

(2)協議の概要

(イ)

 23日、閣僚会合において「ブエノスアイレス行動計画の実施のための中核的要素」が合意され、京都議定書のいわゆる中核的要素に関する基本的合意(ボン合意)が得られ、京都議定書の2002年発効に向けたモメンタムが高まった。右を受け、25日、COP決定「ブエノスアイレス行動計画の実施」が採択され、その後、右決定を踏まえた法文書の策定作業が進められた。
 今次会合で協議が終了しコンセンサスが得られた細則等としては、以下の事項が挙げられる。これらについては、COP7において採択されることとなった(下記(ロ)の点を含めた全体としてのパッケージが成立した場合)。

  [1]キャパシティ・ビルディング(途上国)
  [2]キャパシティ・ビルディング(経済移行国)
  [3]資金メカニズムに関する追加的ガイダンス
  [4]条約上の資金拠出
  [5]議定書上の資金拠出
  [6]技術移転・開発
  [7]途上国問題に関する条約第4条8、9の実施
  [8]途上国問題に関する議定書第3条14関連事項
  [9]AIJ(共同実施活動)
  [10]シングル・プロジェクト

(ロ)

他方、23日の政治合意に関連して、ロシアの吸収量、遵守や京都メカニズムの詳細については大きな見解の相違があり、合意が得られなかった点も残された。これらについてはCOP7においてさらに交渉し、(出来れば)採択することとなった。

  [1]吸収源(注1)
  [2]京都メカニズム
  [3]遵守(注2)
  [4]議定書第5条、第7、第8条(排出量や政策措置の報告、審査等)
  [5]PAMs(政策及び措置)
(注1)  吸収源については、ロシアの吸収量の扱いが主な見解の対立点となっている。
(注2)  ボン合意では、法的拘束力のある規律にするかどうかについては、京都議定書発効後のCOP/MoP第1回会合において措置されることとなった。他方、閣僚会合後の協議において、EU及びG77は法的拘束力のある結果の導入を示唆する表現に拘り、合意に至らなかった。

(3)今後の予定

次回COP7は、10月29日~11月9日まで、モロッコのマラケシュにおいて開催される。

2.所感

(1) 今次会合において京都議定書の2002年発効に向けた国際交渉は大きく前進し、発効に向けたモメンタムは高まった。他方、ロシアの吸収源の扱い、遵守や京都メカニズムの詳細等、細則等の合意に向けて解決すべき基本的な隔たりがあり、今後の交渉は多大な困難を伴うものと見込まれる。我が国としては、京都議定書の2002年発効を目指し、COP7までに最終合意を達成すべく、引き続き全力を尽くすべきであり、その際、今次会合において達成された京都議定書の中核的要素に関する基本的合意が、バランスのとれた形で法文化されるよう、今後の交渉で努める必要がある。
(2) 全ての国が一つのルールの下で行動することが重要である。実効的な温暖化対策の観点からは、世界最大の温室効果ガス排出国である米国を含めた合意が形成されるよう、今次会合でも米国とは緊密に連絡を取り合った。今後とも、日米ハイレベル協議等を通じ、米国の建設的な対応を求めるとともに、引き続き最大限努力していくべきものと考える。
(3) また、京都議定書の目標を達成するための国内制度に総力で取り組むことが適当と考える。
(了)