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日本への影響その4

沿岸域
日本の美しい砂浜がなくなる?


 海面上昇により、自然海岸の侵食が激化します。特に砂浜への影響は大きく、30cm、65cm、1mの海面上昇によって、現存する砂浜の56.6%、81.7%、90.3%が消失すると予測されています。岡山県では65cmの海面上昇により、さらに秋田県、山形県、東京都、福井県、京都府、大阪府及び和歌山県では、1mの海面上昇により、砂浜が完全に消失すると予測されています。現在でも侵食が進んでいる日本の海岸は、海面上昇の影響により将来はさらに深刻な状況を迎えることになります。


  都道府県別・海面上昇による  
海岸侵食面積の割合

 砂浜は、日本の海岸の約24%しかありません。しかもその約43%が近年侵食されつつあります。過去70年間に、すでに約120km2の国土が侵食により失われましたが、30cmの海面上昇により、これとほぼ同面積の砂浜が侵食されることになります。現在の美しい砂浜の景勝地や海水浴場は、海面上昇により失われてしまうのです。

 

 

海面下の都市


 日本では、満潮位の海面より低い土地に、多くの人が住み、農地や建築物などさまざまな資産があります。1mの海面上昇が生じると、このような土地の面積は現在に比べて2.7倍に拡大し、その地域の人口や資産も約2倍に拡大します。また、台風等による高潮が発生した場合には、さらに多くの人や資産が影響を受けると予想されます。


  東京の満潮水位以下の低地の分布  

 日本の首都東京は、世界でも類をみないほど人口や資産が集積した巨大都市です。加えて、23区の東半分は下町低地と呼ばれており、土地が満潮位より低いために、昔から災害に弱い面があります。地球温暖化により海面が上昇し、さらに台風の勢力が増大すると、高潮などの災害に対してさらに弱くなることが予想されます。
 この図は、現在の満潮面以下の区域と、1mの海面上昇によりあらたに満潮面以下になる区域を示しています。


  海面上昇の影響を受ける日本の低地の
   面積、人口、資産

 地球温暖化により海面が上昇すると、たとえ30cmの上昇でも満潮位以下の低い土地は4割増え、そこに住む人口は5割も増えます。1m上昇すれば、さらに多大な面積、人口、資産が危険にさらされます。堤防などを築いてこれを守ろうとすれば、大変な資金がかかることになります。