eikyou2 日本への影響その2

自然生態系
絶滅する種が増える


 動植物はそれぞれに適した地域に生息していますが、温暖化すると北または高地に移動しなければなりません。樹木が種子をとばして分布を広げる速度は、40m/年から最高でも約2km/年と言われ、温暖化により約1.5〜5.5km/年で移動する気候帯にはとても追いつけません。自力で動ける動物にとっても、山岳や海峡などの地形や、都市や道路などの人工物が移動の障壁となります。このため、分布限界に位置する種や高山などに孤立して存在する種などは、行き場を失い絶滅するおそれがあります。


  平年気候と温暖気候(21世紀)のもとでの  
日本列島の植生帯分布の比較

 温暖化すると、植生の分布を左右する「暖かさ指数」が増加します。仮に気温が3〜4oC上昇すると、落葉広葉樹林と常緑広葉樹林の境界である「暖かさ指数」100の線が、現在の関東〜中部〜北陸地域から、東北地方の北方まで北上します。
 気温が3〜4oC上昇するということは、気候帯が4〜5km/年で北方に移動することを意味します。風や動物の力を借りて種子をとばしながら分布を広げる樹木は、最も「足の速い」ものでも2km/年の移動がやっとで気候の変化に追いつけず、枯れたり、生育できなくなるおそれがあります。その結果、森林に住みかや餌を依存している野生動物だけでなく、果樹の栽培や林業などにも大きな影響が及ぶことが予想されます。