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海外の率先実行

 アメリ力などのいくつかの先進国では、1990年頃から政府の率先実行が進められています。こうした取組の効果として、政府の経済活動に伴って生じる環境負荷を削減し、地方公共団体や事業者の取組を促進することがあげられています。特にアメリ力では、環境にやさしい製品の市場の創出、環境保全技術や環境保全ビジネスの発展、アメリ力企業の競争力の向上などが強調されています。このような政策的な意義があることから、経済協力開発機構(OECD)などで、政府の率先実行の一層の進め方などが検討される予定です。
 日本としても、このような先進的な取組みに参加し、国際的なリーダーシツプを発揮していく必要があります。

アメリカでは、政府の率先実行全体を扱う計画はありませんが、エネルギー対策、物品調達や廃棄物・リサイクル対策、低公害車の導入、有害物質による汚染の回避など分野別に8つの大統領令が公布され、それぞれの分野の取組が進められています。
 例えばエネルギーの分野では、省エネルギー型の照明を普及させるためのグリーン・ライト計画や環境保護庁の基準を満たした省エネルギー型のコンピューターを政府が優先購入するエナジー・スター・コンピューター計画などが進められています。物品調達では、連邦調達庁が3000品目に上る環境にやさしい製品のガイドを作成しています。

イギリスでは、1990年に策定した環境総合計画の中で、各省庁は率先行動計画を策定することが決められました。環境省は、1992年にグリーン・ハウスキーピング・ポリシーと題する率先実行の進め方をまとめ、毎年行動計画を作っています。各省庁は、環境省を参考にしながら、それぞれの取組を進めています。
 エネルギーについては、庁舎のエネルギー使用量の削減のため、エコラベル製品などの省エネルギー製品の優先購入などを進めています。また、再生紙の優先購入なども行われています。加えて、職員の公共交通機関や自転車の利用も奨励されています。

カナダは、1990年に策定した総合的な環境計画「グリーン・プラン」に基づき、1992年6月に政府全体の率先実行の政策が定められ、各省庁は、この政策に沿った行動計画をつくることになりました。環境保全に配慮したオフィスづくりとして、電子メールの活用、両面コピー化などが進められています。また、すべてのオフィスは、紙製品やビンなどのリサイクル計画をつくることになっています。物品調達に関する環境保全指針もつくられていて、環境にやさしい製品の使用が進められています。多くの連邦機関では、再生紙などエコラベル付きの紙を優先購入しています。また、燃費効率のよい自動車の使用が進められています。