感想文


TEMM18 ユースフォーラムに参加して


大崎 美佳
大崎 美佳

会社員

「こんな世界があるのか・・・」私にとってユースフォーラムは、事前勉強会の時から驚きの連続でした。いうまでもなく、日中韓の代表がそろうTEMM18ユースフォーラムでも一瞬一瞬が刺激的でした。事前勉強会と合わせても、6日間という人生の中では点のような長さですが、ユースフォーラムは私の人生で忘れられないものとなりました。
 私は、北海道にある環境関連の団体で、複雑になる環境課題の解決のためにあらゆる立場の方が連携して取り組む協働取組やESD(持続可能な開発のための教育)の推進を行っています。前の職場では、国際交流関係の仕事をしていましたので、ユースフォーラムは「国際」「環境」という私が重要に思う視点である2つのキーワードが重なるものでした。「私が目指していたのは、ここだったのか」と気づきをいただける機会となりました。ユースフォーラムがなぜ、刺激的で驚きの連続であったのか。理由は2点あります。

環境問題の解決のために社会を変えたいと願う皆さんとの出会い
「持続可能な開発目標(SDGs)の普及啓発に取り組んでいます」、「ESDを研究のテーマにしています」という日本の代表の皆さん。ユースフォーラムでの発表プレゼンテーションづくりや丸川環境大臣へのご報告内容の検討等をとおして、様々なことを学ばせていただきました。中国、韓国の代表の皆さんともお互いの文化や考え方についてお話しできた貴重な機会となり、「同年代で素晴らしい方がたくさんいる。殻にこもっていたのでは。もっと会うべき方がいる」と強く思いました。

ユースフォーラムのテーマ「自然の恵み」に対する共通認識
自然の恵みは、きれいな空気、水など当たり前にあるものから、食料、新幹線など動物からヒントを得た製品など私たちの身の回りに多くあると三カ国の間で共通認識があり安心しました。ユースフォーラムの目玉である「日中韓環境大臣へユースからの提案文作成」では、提案内容をゼロベースから作成する苦しい時間でしたが、完成できたのは自然の恵みを守っていきたいという共通認識があったからです。
TEMMユースフォーラムが6年目にも関わらず、今年初めて知ったことが悔やまれます。首都圏では様々なユースフォーラムに若者を出していく団体や日本人を対象としたユースフォーラムがあり、知る機会や経験者と出会う確率も多いと思います。しかし、首都圏以外では情報に触れる機会すらないのではと思っています。まずは情報の格差を埋めるためにも周りの方にユースフォーラムの存在から知ってもらうために伝えていきます。将来北海道からユースフォーラムに参加する方が増えることを願っています。
 また、TEMM18ユースフォーラムのネットワークの継続をすべきと考えています。多くの方は口をそろえて「ネットワークづくりが必要」といいますが、それを継続していくこともまた私たちの課題ではないでしょうか。例えば、ユースフォーラム参加者で組織化をして毎年何かしらのプロジェクトをする等動きがあるといいです。参加者が集まれば環境問題の解決に向けて社会を変える大きな力になると思います。その方策について考える場を環境省の皆さんとお話ししていくことから始めていきたいです。
最後になりますが、TEMM18ユースフォーラムの開催にご尽力をいただきました環境省の皆さま、関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。来年以降もこのユースフォーラムが続いていくことを祈っております。
ありがとうございました。

 

 

大橋 祐輝
大橋 祐輝

会社員

参加の目的
TEMM18ユースフォーラムに参加したのは、今回のテーマであった「自然の恵み」に関連した自らの経験をもとに、生態系サービスの有用性に関しての議論を通じて、三カ国の同世代の参加者と議論し新しくネットワークを形成したいと考えたからでしたが、実際にはそれ以上の経験をすることができました。三カ国の若者が環境問題に対して持っている価値観の相違点や共通点を、実際に対面で議論する中で確認することで、今後の日中韓の環境分野における協力に対してポジティブな認識を持つことができました。また、日本ではまだ少数派である社会人として外部の会議へ参加することの難しさや意義についても身をもって考えることができました。

「自然の恵み」の保全と活用
今回のユースフォーラムでは「自然の恵みとその保全及び活用」がテーマとなり、各国の事例を参加者の経験をもとに紹介し、議論を行いました。私がこの言葉から連想したのは自然の提供するサービスへの支払いや、その価値の経済システムへの組み込みということで、最終的に金銭的な価値に落とし込まれる議論を想定していました。国内での準備ではその価値の可視化というところに着目して発表準備等をしていました。ところが、三カ国の事例紹介の後、議論を進めていくうちに、生態系や生物多様性のもつ「経済的価値」よりも、歴史や伝統からくる「社会的・文化的」価値に重きを置いた議論に発展しました。後から考えてみると、これは三カ国の参加者の中に自然に対しての共通の認識があったからではないかと気付きました。特に自然の恵みに対しての「感謝」や「畏敬」といった感覚は日中韓の参加者だからこそ共通に理解しあえた部分だと思います。ユースフォーラム参加の前には日中韓の大臣が会議を行う理由や意味というのを考えてもあまり納得できていなかったのですが、議論を通じて三カ国間が共通に持つものの見方や考え方を発見することができました。言語的な共通点や地理的な近さは認識していたのですが、そのことが環境問題に対する思想や取組に共通項を与えているというのは驚きでした。この共通の基盤を活かして、東アジア地域において、欧米とは違った、国を超えた取組を行っていくことで、相乗効果を高めることができるのではないかと思います。
今回のフォーラムでも、他のユースの会合と同様に、なぜユースが(オトナの)世界にむけて意見を発信する必要があるかという点を話すことができました。毎回この課題には、結論がでないのですが、次世代への責任や世代間格差の認識・啓発、若者ならではの視点や、新しい文化や技術への適応などが挙がっていました。まだまだ話したりなかった部分もありましたが、数十年後を視野にしつつ、今ユースとしてできることや今後ユースが担うべき役割について三カ国の参加者が率直に話をできたことはこのユースフォーラムの一つの成果であると思います。TEMMユースフォーラムが、「未来をつくるために、未来について語る場」となったことをうれしく思い、今後もこの「場」が継続していくことを強く望みます。

次回TEMMユースフォーラムに向けて
以上のように非常に充実した会合となりましたが、次回以降のユースフォーラムでユースのポテンシャルを最大限活かすという観点から二点感じたことがあります。一点目はユースフォーラムの運営に関してです。テーマの設定からTEMM本会合の発表に至るまで非常に効率的な運びであり、時間内に成果物を作成できたことに関して運営の方に非常に感謝しているところですが、本フォーラム内での参加者の独自の工夫というものを取り入れる機会があればなおよかったと感じています。例えば今回の議論の中ではICTの活用についてユースの役割が重要である点に関して三カ国の参加者間で共通の認識を得ましたが、このフォーラム自体には反映されておらず、惜しい気持ちがありました。決められたタスクをこなすのではなく、ユースとして何をすべきかということから考えていくことにより議論がより深まったのではないかと思います。
二点目は作成する成果物の質についてです。作成した成果文書を三カ国の環境大臣の前で読み上げ、発表できる機会は非常に有用であり、今後も続けていくべきだと思います。しかし、現状ではその成果文書の内容がその後様々な方面でどのように影響を与えたかをだれも継続してチェックしていません。今後は成果文書(提言)を出すことで何が変わり、何が変わらなかったのかを確認し、次回につなげていきたいです。ユースフォーラムの成果である文書の影響を自分たち自身で評価・モニタリングしていくことで若者のステークホルダーとしての価値を確立していくことができるのではないでしょうか。「出す」ことが重要であった時期から「何を出すか」が重要となるようシフトさせていきたいと思っています。

今後の活動
今回の参加に触発されるかたちで、国内外ですでに新しい動きがはじまっており、それに継続して関わっていくことで、TEMMユースフォーラム参加者のネットワークの維持・強化に努め、最終的には三カ国間の環境協力にプラスの影響を与えられるようなつながりの形成を目指していきたいです。国内では、環境に取り組むユースの活動と政府をリンクさせる「場」を創造するプロジェクトの立ち上げや、過去・将来のユースフォーラム参加者とのつながりからTEMMに関しての知見を深め新しい取組を考えるコミュニティの形成などを行っています。日中韓の参加者がつくるSNS上のグループでは各参加者による国内外の情報共有がスタートしており、これを継続させ、個人・グループの活動を支持し、ユースの意見発信の促進につなげていきたいです。この縦横のつながりが来年以降のTEMMユースフォーラムによい影響を与え、日中韓のユースが環境を語る充実した「場」になっていくことを願っています。

総括
今回のユースフォーラムを通して、ユースが各種課題のステークホルダーとして役割を果たし、社会的に認識されることの重要性や、そのために継続的な働きかけと能力構築が必要である点を強く感じました。この認識は、今後自分がユースとして活動を続けていく上でのモチベーション向上に非常に有益であると同時に、各国で行われている様々なユース活動を客観的に評価・分析する上で役立つものだと思います。
今回、様々な経験や知見をもった同世代と自然環境のもつ価値について議論することで、自分の認識の幅を広げることができ、とてもよい刺激となりました。このフォーラムで得た経験やネットワークを次に活かし、環境問題解決への取組に役立てていきたいと思います。

最後に、今回のユースフォーラム開催にあたりご助力いただいた関係者の皆様に感謝するとともに、今後もこの会合を継続いただき、より多くのユースに機会を与えてくださいますようお願い申し上げます。
ユースフォーラムが終了し、ふりかえりも終わった「今」がようやくスタート地点だと認識し、引き続き国内外での活動を強化していきたいと思います。

 

 

田開 寛太郎
田開 寛太郎

大学生

 私は、現在、自然資源管理における湿地教育の役割と可能性について研究をしています。とりわけ、ラムサール条約等の国際間条約の動向、米国の自然保護の歴史や取組(Wetlands Education)、兵庫県豊岡市コウノトリ野生復帰を事例に調査を進めています。また、2013年より富山県NPO法人きんたろう倶楽部(2015年6月より理事)の活動を通じて、環境教育及びESD実践を推進してきました。当法人は、「里山を再生し森と街との持続的な循環の流れを構築し、未来を担う子どもたちへ誇りをもって託せる森林都市富山の創造」を目的に活動をしています。その中でも私は、里山を舞台に子ども対象の環境教育実践の開発と普及、大学生等の青少年対象の地域環境リーダー人材育成の推進に力を入れています。
 そのような私が、TEMM18の開催に向けて、若者目線で「自然の恵みの活用」について、日中韓3か国の知識や経験を共有し意見交換することができたのは、大変刺激的でした。振り返ってみると、日本の若者の取組事例としてSNSの活用のほか、富山県五箇山での環境教育の取組を紹介し、若者の役割として次の世代に自然の恵みの大切さなどを引き継いでいくための“ユースブリッジ(造語)”の重要性を指摘しました。また、TEMM18の開催の前に、丸川環境大臣とユースとの意見交換会も設けていただき、日本ユースからは「地方環境事務所など地域毎に、ユースが環境等問題について知識や実際の取組を共有し、意見交換する場をより一層設ける」ことをお願いしました。日中韓ユースプロポーザルでも、そのような若者の発言の場(ユースプラットフォーム)の重要性を強調し、人や組織が集まる場をよりたくさん作っていただくことを提言しました。
 今回のTEMM18及びユースフォーラムでは、持続可能な社会をつくっていくために、ユースが重要な役割を担っていることをあらためて感じることができました。そして何よりも、そのような立場である我々は、多くの方にご期待いただいていることを実感いたしました。なんだか、今回の討論及び会合では皆様にユースからお願いすることが多かったように思いますが、フォローアップ的な集まりを継続的及び自主的に行い、今回築いたつながりを大切にしていきたいと思います。
 最後に、このTEMM18、ユースフォーラムの運営にご尽力いただいた日中韓の関係者すべての方々に感謝を申し上げます。ありがとうございます。ご縁をいただいたすべての方々と日中韓ユースのつながりを大切にし、今回の経験と学びをこれまでの活動、そして、これからの行動にしっかりと活かしていきたいと思います。

 

 

野村 実広

大学生

 「日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)18ユースフォーラム」のテーマは、「自然の恵み」でした。私は、大学で環境科学を専攻し、水資源や気候変動などを研究しています。フォーラムの参加が、自然の重要性について改めて考える良いきっかけになるのではないかと思い、応募を決めました。

 フォーラムでは、基調講演やユース代表による事例紹介、グループディスカッションなどを通じ、「自然の恵み」にまつわるさまざまな政策や活動を知ることができました。具体的には、中国における環境に優しいお茶作りや、韓国の大学での水利用量調査など、持続的な社会を構築していくためのさまざまな取組です。自然は、私たちの生活とは切り離せない関係にあるという当たり前なことを改めて実感しました。そして、自然を保全していくためには、自然に対し関心を持つことのみにとどまらず、小さなことでも行動を始めることが大切であると再認識しました。

 環境という共通の分野で活動しているユースと出会えたことは、私にとって最も大きな収穫でした。若くして起業した中国のユースや、大学院で森林マネージメントを勉強している韓国のユース、農業コンサルティング会社に勤めている日本のユースなど、「自然を守りたい」という想いを胸に活動しているユースとの出会いは、大変刺激になり、環境活動を継続していくモチベーションを一層高めてくれました。これからも、SNS(Social Networking Service)などを通じ、積極的な交流を続けていければと思います。
 「ユースだからできること」を考えた際に、既成概念にとらわれない自由な発想ができる点や、チャレンジ精神を持っている点、ITに慣れ親しんでいる点が挙げられました。これらの強みを活かし、これからもユースとしてよりよい環境づくりに貢献できたらと思います。

 今後の活動としては、このフォーラムでの経験を活かし、今夏、中国で開催されるG20ユースサミット(通称Y20)にて、日中韓の価値観や考え方が反映されたコミュニケ(共同宣言文)を提案したいと思います。日本ユースの声を世界に発信できる機会があれば、積極的に参加し、国境を越えたユースネットワークも広げていきたいと思います。このような取組が、微力ながら、環境問題の解決に繋がると考えています。

 最後になりましたが、TEMM18ユースフォーラムという非常に貴重な機会を下さった環境省並びに日中韓の関係者のみなさまに改めて厚く御礼申し上げます。また、共に参加した日中韓のユース代表のみなさまには、感謝申し上げると共に、引き続きの親交をお願いいたします。どうもありがとうございました。

 

 

和田 恵
和田 恵

大学生

 「ユースは希望である。ユースこそが未来である」、これはフォーラム中、私たちのフォーカルポイントであった阿部先生が繰り返し語られたお言葉でした。私自身も、今回のユースフォーラムで、日中韓ユースとの交流を通し、私たちユースには力がある、と改めて感じることができました。
 ユースフォーラムの参加者は、日本ユースでも北海道、静岡、富山といった全国各地から、学生、社会人など様々なバックグラウンドを持った人たちがミックスされたメンバーでした。中国、韓国も、さまざまな専攻を持った優秀な学生が集まりました。私自身は、2つの市民社会での活動の他、大学では国連持続可能な開発目標(SDGs)の研究をしています。その国連持続可能な開発目標を用いたアクションをフォーラム中に行い、各ユースに関心のある1-17の目標を聞いて回りました。その結果、目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」や目標15「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」を中心に、目標1「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」や目標16「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」など、ユース参加者が幅広い関心を持っていることがこの活動を通しても判明しました。
 このような多様なユースで、コミュニケを作成しました。エクスカーションの際にも、同じ経験を共有しているのに、当たり前ですが、国や経験、関心によっても学びや意見は多様であると感じます。そのような中で、1つのコミュニケに固めていく作業は、大変ではありましたがとても刺激的でした。例えば、国ごとに地域ごとにユースの取り組みが抱えている問題は少しずつ異なっており、またリーダーシップの定義も人によってもちろん異なることなどです。しかし、お互いの活動や問題を共有しあうことで、自分の活動へのヒントを得ることができました。そして、さまざまなユースが活動している仲間が出来たこと、今後何か協働で行えないかと探るきっかけとなったことは、今後の活動をする上でのモチベーションとなりました。
 今回のユースフォーラムでは、本会議でのユース提言の報告の他、丸川環境大臣と直接意見交換が出来る機会をいただき、ユースにかけていただいている期待の高さを感じることができました。この期待に応えるべく、そして、ユースフォーラムで得た学びを活かし、これからますます精力的に活動していきます。また、TEMMのみならず、他の機会にも政府がよりユースをパートナーであると認め、活用の機会が増えることで、持続可能な社会が実現できることを願っています。