感想文


TEMM17 ユースフォーラムに参加して


 

 

飯田 貴也

早稲田大学 理工学術院
NPO法人新宿環境活動ネット
こども国連環境会議推進協会

2015年4月29日、中国・上海で開催された『TEMM17ユースフォーラム』に、日本のユース代表として参加させていただきました。「自然との関係の樹立("Building Connections with Nature")」のテーマのもと、多くの同志と出会えたこと、問題解決に向けたグローバルな視点を得られたこと、自身のローカルな活動を継続していくモチベーションが強化されたことを実感しています。今回このような機会を与えてくださった、環境省、フォーラム事務局、参加者の皆様、そして日頃ともに活動させていただいている、NPO法人新宿環境活動ネット、新宿区、こども国連環境会議推進協会、その他関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
まず、今回のフォーラムをきっかけに、日中韓で精力的に活動している、三カ国のユース代表と出会うことができました。私は東京をフィールドに「ESD(持続可能な開発のための教育)」に関する活動を実践していますが、日本のユース代表団だけを見ても、北海道・宮城福島・神奈川など全国各地から、独自のアプローチで自然と向き合っている個性豊かなメンバーが集まりました。今後もこうした同志のネットワークを活かし、相互に刺激し合いながら、情報交換など積極的な交流を続けていきたいと思います。
また、フォーラム内の議論では、日本国内の先進事例を紹介するとともに、各地域を取り巻く特徴を活かして活動を展開していくことの重要性を訴えました。一方、中韓の発表を聴くなかで、例えばエコランドクラブ(中国)や「みどりの小道」環境日記(韓国)の取り組みは、自身の活動とも重なる部分が多く、共通点を見出すことができました。自然環境はグローバルな課題であること、たとえ経済状況や外部環境が異なったとしても、目指すべき方向性など本質的なベクトルは同じであることを再認識しました。ローカルな活動同士が国境を越えてつながり、高め合っていける可能性を感じられたことは、貴重な経験でした。今後も、グローバルな視点でローカルな活動を展開し、グローカルな活動として発展させていきたいと、自分の活動に対するモチベーションが強化されました。
最後に、来年のTEMMは日本開催だそうです。環境を旗印として日中韓が協力し、持続可能な社会の構築に寄与していくために、私もホスト国の元参加者として貢献できる道を模索し、努力していきたいと考えています。
  

 

 

大類 幸子
NPO 法人ねおす(黒松内ぶなの森自然学校)

私は自然とどの様な関係を築きたいのか。今回のTEMM17ユースフォーラムに参加したことが、そもそも何故自分が環境系団体で活動をしているのか、あらためて考えるきっかけとなりました。私は現在NPO法人の職員として北海道で自然体験活動を行う自然学校の職員をしています。所属する団体が“つなぐ”ことを大事にしていることもあり、どうすればつながりや関係性を自然体験活動を通してつくれるか、ということを普段から考えることの多い私は、今回のテーマ『自然との関係の樹立』には深い関心があり、日本、そして中国、韓国の若者がこのテーマでどの様な活動に取り組んでいるのか知りたいというのが大きな応募動機でした。ユースフォーラムに参加したことで、新しく発見したこと、あらたに考えされられたこと、そして得ることのできた経験がいくつかあります。
まず、中国や韓国でも様々な活動が行われているということを知識としては知っていましたが、今回各国の具体的な取り組み事例を本人から直接聞けたことで、事例報告をより生きたものに感じることができました。海外、それも私達の住む日本と地理的、文化的つながりの強い中国や韓国で活発に活動している若者がいるということを知ることができたのは、とても刺激になりました。また、事例発表のなかで中国と韓国で同じような活動に取り組んでいるということがわかったという場面がありました。この様に、共通する活動をしていても、なかなか他の活動について把握していないということは他の国の活動に関しては殊更あると思いますが、国は違えど共通の課題や悩みを抱えている団体の国を越えた協働の可能性についても感じました。
今回新たな発見となったのは、環境という共通の分野で活動しているといっても、活動内容や興味関心は人それぞれだということです。当たり前のことの様に聞こえますが、今回はそのことをあらためて肌で感じました。国内で行われた事前勉強会の時点で、日本で活動している、『自然との関係の樹立』というテーマで集った五人の中ですら得意分野や興味のある領域が五人五色で、様々な考え方や環境問題に対するアプローチがあり、発表の準備も有意義に進めることができました。また、これはユースフォーラム当日も感じたことですが、初対面の人とあれほど打ち解けた雰囲気で、個人の活動のことや考えについて議論できるのは、それぞれが普段から想いを持って活動しているからこそだと感じ、それこそがこういった場の意義だと感じました。
目標としていた、フォーラムに参加することで国内外にネットワークを広げるということについても、きっかけづくりはできたと思います。普段のNPOの活動で、環境に関係する団体とはつながりがある程度広まってきたと思っていましたが、私のこれまでのネットワークは特定の分野のなかでのことであり、環境系全体のネットワークはもっと幅広いもので、そことの繋がりはまだ薄かったということもわかりました。社会人や学生として活動している他の四人の活動内容も初めて聞くものが多かったり、団体のこともこれまで知らなかったものが多く、今回は日本国内でもネットワークを広げることができ、そして日本の環境系ネットワークについての理解を深めることができたのも収穫でした。また、今回中国・韓国の事例発表のなかで特に気になる取り組みもあったので、いずれ実際の現場を見に行ってみたいという思いも増えました。そのための足がかりもできたので、ここから実際の活動に還元されるようなネットワークに発展していけばとの思いです。
TEMMユースフォーラムは各国の若者と議論ができるというだけでもとても魅力的なフォーラムでしたが、このフォーラムでは三ヶ国の大臣が集まる大臣会合でのユースからの報告、そして更に、日本の環境大臣と直接意見交換ができるというまたとない経験をすることができました。長くはない時間ではありましたが、大臣会合や大臣との意見交換で私達ユースのために貴重な時間を使って下さったということ自体、とても有り難いことでした。また、一日という限られたスケジュールで、出逢い、関係づくり、議論、そして報告書にまとめる、という一連の流れをこなしたことも普段得られない経験でした。今回は大臣会合での報告を日本ユース代表が行うということで、完成した報告書を訳し、最終チェックを行いました。この作業のなかで、様々な意見が飛び交った議論を数ページの報告書にまとめることの難しさも体感しました。今回の報告書のなかでは、個人的に要改善な箇所がありましたが、報告書という形にのこる結果の重要性も理解することができ、今後はより主体的にまとめ作りにも関わっていく必要性を感じました。
今回様々な学び・経験を得ることができましたが、やはり自然とのつながりや関係性についてあらためて考えるきっかけとなったという点で、とても実りのあるフォーラムとなりました。普段は所属する団体の活動に参加する人と自然との関係づくりについて考えていましたが、あらためて、自分と自然との関係はどうなのか。どの様な関係になりたいのか。今このとき、この場所で、そもそも何故関係が大事なのか。こういった原点にも戻りつつ活動に取り組む必要性をあらためて感じました。フォーラムを終え帰国した後行った活動でも、これまでであれば、まず参加者と自然をつなごう、という想いが先立つことが多かったのですが、フォーラムでつながりについて考えなおす機会があったことで、どの様なつながりかたがあるか、なぜつながった方が良いのか、を参加者に合わせて考えている自分に気が付きました。
今回のフォーラムがなにか直接的な、具体的なアクションに繋がったということではありませんが、それは参加した一人ひとりのユースが今後どうしていくかにかかっていると思います。フォーラム参加前から自分に言い聞かせていたことですが、今回のフォーラムに参加して、それで終わりということにはしたくありません。こうして今回の体験を文章にするなかで、感じたこと、経験したことが自分のなかでより強く残っていることを感じています。この分野で活動を続けていくなかで今回の経験が活きるよう、振り返りの時間も大事に、これからも活動に取り組んでいきます。
この様な経験の場はなかなか創ることが難しいと思いますが、それでも私達ユースに様々な経験の機会を与えてくださったTEMM関係者の皆様には感謝の思いでいっぱいです。次回は日本での開催ということで、私達もTEMM17の参加者として何か役に立てればと思っています。次回以降、どの様な体験をそれぞれの参加者が得るのか、私も楽しみにしています。そして、自身も今回の経験を活動の肥料として精進します。

 

 

高尾育穂
福島ぽかぽかプロジェクト

 私は現在福島で会社に勤めながら、福島ぽかぽかプロジェクトに関わっています。福島ぽかぽかプロジェクトでは、放射線量の高い地域に住み続けている子どもや家族に、放射線量が比較的低く近隣である猪苗代で、子どもたちが自然の中で思いっ切り走り回ることが出来る環境を提供しています(4500人以上が参加)。この活動を通して、TEMM17ユースフォーラムのテーマでもある“Building Connections with Nature”「自然との関係の樹立」の重要性について認識を強めていた為、日中韓ユースが同テーマについてどのような活動を行っているか興味があり参加を決めました。
 まず出発前、北は北海道から活動の場所も内容も異なる、多様なバックグラウンドを持つ日本ユース代表で議論し、発表を作り上げることは非常に刺激的でした。中韓ユース代表にとって、学びの多い発表にする為に試行錯誤しながら、日本の環境についての知見を広げることが出来ました。

 ユースフォーラムでは、基調講演、各国ユース代表の発表、3か国混合ディスカッションなどを行いました。中国のエコランドクラブや、韓国の都市での養蜂など様々な政策や活動が紹介され、中韓の環境問題について理解すると共に、振り返って日本について改めて考えさせられました。また日中韓で類似する取組みも見られ、経済状況や地理環境が異なっても、人々が考える持続可能な社会は本質的には同じである事を実感しました。そして私自身も関わる活動への意義を再確認することができました。

 更に、望月環境大臣との意見交換会や、環境大臣会合の場においてユースフォーラムから発表をする機会も頂きました。ご多忙な大臣が時間を割いてユースの話を聞いて頂けることに感銘を受けました。そして、せっかくの機会を活かす為に、日中韓ユース代表と一層結束、協力し、納得のいく発表ができたことは、かけがえのない経験でした。

 今後は、TEMM17ユースフォーラムで得た貴重な経験や学びを広めると共にこれを展開し、より良い活動を行っていきたいと考えています。早速、帰国翌日のGWには福島ぽかぽかプロジェクトの保養キャンプに参加し、子どもたちとそのお母さんにTEMM17ユースフォーラムの話をしました。また日中韓の環境活動の事例で知見を広めると共に、近い将来今回の様な国際会議に参加できる可能性を感じてもらえたらと、福島の子どもたちに伝える機会を作るよう企画をしています。来年、日本開催予定のTEMM18ユースフォーラムにおいては、今回ホスト国として中国ユース代表が温かく出迎え、色々と動いてくれたように、私たちも日本の既ユース代表としてサポートできれば幸いです。“Think globally, act locally” "Think locally, act regionally, leverage globally"ユースフォーラム内でも言葉が用いられ、私も大事にしているこの2点を引き続き意識して、今後も活動していきます。

 最後になりますが、このTEMM17ユースフォーラムの運営に携わってくださった日中韓の関係者の全ての方々に感謝申し上げます。また、環境省、有識者の皆様には事前勉強会から手厚くサポートをしてくださり、大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。

 

 

永井 亮
横浜市立大学国際総合科学部国際総合科学科4年

 今回の環境大臣会合TEMM17のユースフォーラムという非常に貴重な体験をくださった環境省やその関係者、共に参加した日本ユース代表のみなさまに改めて感謝申し上げます。私は大学での環境政策の研究や環境NGOでの活動といったように、ユースの立場から常に環境問題と携わる日々を送っていました。しかし上海へ行くまでは「本当に日本の若者の環境活動の重要性やユースが望む意見が日本政府の政策に理解されるのか」といった疑問をもっていました。
 今年のユースフォーラムのテーマは「自然との関係の樹立」ということで、都会で育った私にとってはなじみが薄いと感じましたが、だからこそ大切なテーマでした。また日中韓三カ国共通して言えることは、都市化に伴い人々が自然の恩恵をつい忘れてしまうことです。しかしそのような状況でも、新宿などで都会の自然を有効に活かして子供たちに環境教育を実施している点は日本の強みであると思います。私達日本ユースの発表では、このような人材を将来的には自然豊かな地方や地域に輩出していくことが永続的な自然との関係性樹立につながるという結論に至りました。
 私にとってこうした結論に至れたことは、様々な意味で大きな収穫でした。一つには、都市と地域の連携や政府、市民団体、ユースといった様々なセクターを巻き込む連携といったように、協働型政策を実施することで現在の環境問題を自分事としてとらえるきっかけになるということがあります。また2つ目にはこの政策は政府が進めていくべき方針とつながっていることから、そこにユースと政府との連携が生まれるということがあります。実際に私たち三カ国のユースがTEMMの本会合にユースフォーラムの提言を発表した際に、大臣の方々から、「ユースの意見の場をさらに設けていくべきである」といったお話がありました。こうした大臣のお話は私が疑問点としてもっていた「ユースの発言力」を少しでも上げる結果となりうれしく思います。
 今回のTEMM17では、事前に日本で行われた事前勉強会を含め、多くの環境関連の専門者や政治関係者とお会いできたことを大変光栄に思います。私自身これからは今回のTEMMのユースフォーラムのような、ユースが行う様々な環境活動と社会との関係性を構築するための場を多く提供していきたいと考えています。そして将来的には日中韓を中心としたアジアのパートナーシップ形成にも働きかけていきます。
 

 

 

 
服部 拓也

東北大学工学部機械知能・航空工学科 4 年
NPO 法人エコ・リーグ

 これまでUNEPのTUNZA、気候変動枠組条約COPへの参加の経験があり、今回TEMM17ユースフォーラムへ参加した理由には、参加者の意識・活動にどのような違いがあるか、特定の環境課題にフォーカスせずどのように意味のある意見交換・成果物を作り上げるか、を体験することがありました。
ユースフォーラムでは”Building connections with nature” (自然との関係の樹立) というテーマで3ヶ国から事例紹介、グループディスカッションを行いました。私は環境NPOで気候変動に関する活動をしているため自然と直接関わることは少なく、どのように貢献できるかは未知でした。
しかし、ディスカッションでユースの活動を推進していくために必要な要因を挙げる場面などでは市民活動に対する行政からの支援の必要性・社会全体としてユースが環境活動にチャレンジすることを後押しすること・活動を通じて環境改善以外に社会にメリットをもたらそうとするユース側の意識といった日頃の活動で考えていることを発言し、分野・国に関係なく参加者に気づきを与えられたと思います。一方、市民活動の視点から見ると、活動に必要な情報が十分に共有されたとは言い難く、それぞれの活動の目的・対象・人を巻き込む工夫・どの程度環境改善に貢献しているかなどを把握しきる前にフォーラムが終わってしまった印象が強いです。ユースという分野を超えた大きな括りの中、どのように事例・ノウハウを共有し触発し合えるかは今後の課題だと感じました。
望月環境大臣とのお話・大臣へのユースフォーラム成果報告の中で、ユース間の交流促進について言及しました。環境問題にはグローバル課題が多く存在するにも関わらずユースが国の枠を越えて議論・交流する場は不足していると感じているため、TEMMユースフォーラムを始めこのようなイベントを増やし充実させていただきたいと思います。
今後、今回のユースフォーラム参加の経験を活かして、環境問題解決にあたりユース・企業・行政といった異なるステークホルダーがどのような役割を担うかを意識し、有益な情報共有のできるユースネットワーク作りを行っていきたいと思います。