環境省地球環境・国際環境協力国際環境協力環境協力関連資料日系企業の海外活動に当たっての環境対策

日系企業の海外活動における 環境配慮推進のための手引き

主にアジア地域における環境・CSR促進に向けて

〜「平成18年度 我が国ODA及び民間海外事業における環境社会配慮強化調査業務」〜

平成19年3月
財団法人 地球・人間環境フォーラム

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本報告書について

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目次

第1章  すぐれた環境配慮に取り組むための留意事項
1.日系企業の環境配慮への取り組みの現状は
 日本国内と同等以上の着実な環境配慮に取り組む日系企業
 環境対策への取り組みは日常の企業活動の一環
 経済危機でも後退しなかった日系企業の環境取り組み
 気のゆるみは許されない日系企業の環境対策
 参考になる海外進出に当たっての10の環境配慮事項
2.甘くないアジア各国の環境規制
 日本の何倍も厳しい排出基準値に注意が必要
 欧米の厳しい基準がそのまま採用される排出基準
 環境行政機関や環境法体系の整備・強化で日系企業も新たな取り組み必要に
3.すぐれた環境対策の実施は日系企業の責務
 さまざまな課題の中すぐれた環境配慮が求められる日系企業
 排水規制を上回る排水対策の実施が一般的
 処理処分場ができるまで有害廃棄物を敷地内保管する日系企業
 土壌汚染・地下水汚染防止で先進的取り組み
 本業を活かした先進的な環境取り組みも
4.公害対策を超えるより幅広い環境配慮を
 求められる環境マネジメントシステムの構築
 大切な環境配慮をサプライ・チェーンに広げる取り組み
 人材育成によって進出先国の環境対策レベルの底上げに協力
 新たな視点による環境配慮への対応も必要に
 最先端の省エネ技術を活かした本格的な温暖化対策を
 資源リサイクルで日系企業の国境を越える新たなシステムづくり
 これからは生物多様性への目配りも
5.今後は社会配慮も重視したCSR展開が必要に
 CSR課題が山積するアジア地域
 社会課題の解決にCSRの利用を考える各国政府
 着実に広がりはじめたアジアのCSR
 社会側面への対応が弱い日系企業
 求められるCSRが何かを的確に把握する必要が
 NGOとの協働で効果的CSRを
 サプライヤーへの働きかけ強化と従業員教育の実施
 自社の取り組みの戦略的な情報発信を
 求められる本社からの適切な支援

第2章  アジア地域における環境配慮への優良取り組み 事例
1.すぐれた環境公害対策への取り組み
 ・事例1 厳しい排水基準に日本でも稀な高度処理で対応している事例
 ・事例2 排水中の重金属を厳しい自社基準で管理している事例
 ・事例3 二酸化硫黄の排出総量を自発的に削減している事例
 ・事例4 産業廃棄物をすべて工場敷地内で保管している事例
2.環境マネジメントシステムの構築への取り組み
 ・事例5 ISO14001に基づく3ヵ年連続の活動計画に取り組んでいる事例
 ・事例6 ISO14001の認証取得を通じてベトナム人幹部へ環境管理を継承している事例
 ・事例7 ISO14001 が定着し着実に発展している事例
3.サプライヤーや他社との協力を通じた 環境配慮への取り組み
 ・事例8 サプライ・チェーンのグリーン化プログラム
 ・事例9 環境配慮への取り組みを数値評価してグループ会社を競わせている事例
 ・事例10 取引先企業へも環境配慮の誓約を求めている事例
 ・事例11 環境配慮を取引先企業にも促している商社の事例
4.NGOや地域社会との協力を通じた 環境配慮への取り組み
 ・事例12 社会のニーズを重視した社会貢献活動
 ・事例13 農家の自立支援で、新たなビジネスモデルを確立
 ・事例14 農家とのきめの細かいコミュニケーションで地域に根ざした経営
5.その他のすぐれた環境配慮への取り組み
 ・事例15 進出先国内および地域の環境委員会を有機的に支援している事例
 ・事例16 リサイクルと製造の国際拠点、国境を越えるブラウン管リサイクル
 ・事例17 排水系統を架空配管、処理槽を二重壁構造としている事例
 ・事例18 随伴ガスの改修でベトナム初のCDM事業
 ・事例19 顧客を巻き込んだ共同集配によるトラック排ガス削減の事例

※ 第2章ではアジア各国における環境対策やCSRに関連する優れた日系企業を中心とする企業の取り組み事例を収録しました。記載内容は、いずれも調査時点の情報に基づくものであり、現時点とは異なる場合がありますことにご注意下さい。

本報告書について

  経済活動のグローバル化に伴って、日本の企業はアジア地域を中心に積極的な海外事業展開を繰り広げています。日本企業のアジア進出は、1985年のプラザ合意に基づくドル安を契機に1980年代後半以降に本格化しました。当初はタイ、インドネシア、フィリピンといった地域への進出が主流でしたが、1990年代後半以降になると中国、ベトナムといった地域への進出が大幅に増加し、現在アジア地域で企業活動をするいわゆる日系企業は、支店や駐在員事務所まで含めると3万社以上に上るともいわれています。
ところでこれらのアジア諸国は一部の国を除いては開発途上国で、急速な経済発展に伴って発生したさまざまな環境汚染が大きな社会問題となっています。これらの国々においても、産業公害対策を中心に環境汚染への対応が進められてはいますが、環境対策に対応する資金や人材、技術、経験などが不足し、環境汚染対策は未だ十分なものにはなっていないのが現状です。
このような中、かつて激甚な産業公害を克服した経験を持ち、大きな資金的・技術的能力を持った日系企業に対しては、先進的な環境配慮への取り組みを示すことによって、アジア地域の環境対策推進への牽引役になることが期待されています。
一方最近は、情報化の進展や社会情勢の多様化、内外を問わず発生した企業不祥事などを背景に、環境配慮だけではなく人権問題や雇用問題、サプライ・チェーン管理や進出先社会とのコミュニケーションへの対応などといった、幅広い領域を対象とする企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)に対する関心が急速に高まり、開発途上地域で事業活動を実施する日系企業にとっても環境配慮を柱に、社会配慮も含めたCSRへの取り組みは避けて通れない課題となりつつあります。
こうした背景のもと(財)地球・人間環境フォーラムでは、環境省からの委託を受けて1996年度(平成8年度)から、日系企業の環境対策の支援を目的にアジア地域において国別の環境対策ガイドブックづくりを行い、すでにフィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、中国(北京・天津編)の7カ国において、環境法規制情報や優良な環境配慮への取り組み事例などを収録したガイドブックを作成しました。また、2004年度(平成16年度)からは調査範囲を社会側面も含むCSR全般へと広げた調査(通称:CSR in Asia調査)に取り組み、特にアジア地域において日系企業が対応を求められるCSRへの先進取り組み事例等を収集して、関係者に情報提供してきました。
今回作成した手引き書は、これらの調査成果をベースに、アジア地域を中心に日系企業が海外活動における環境配慮に取り組む際に留意すべき事項等を紹介するとともに、環境社会配慮に関する先進的取り組み事例などを収録したものです。
最後になりますが、情報収集にあたって、忙しい時間を割いて対応してくださいましたヒアリング先の多くの企業の方々、各国行政担当者、貴重なアドバイスをいただきましたNGOの方々、また、企業紹介などにおいて多大なるご協力いただきました各国の日本貿易振興機構や日本商工会議所にも厚く御礼申し上げます。
本冊子が多くの日系企業の環境配慮を柱としたCSRへの取り組みの参考となれば幸いです。

上記の一連の調査は地球・人間環境フォーラムの下記のスタッフにより実施されました。
調査担当者:中寺良栄、満田夏花、坂本有希、桜井典子、足立直樹(客員研究員)
調査協力(平成15年度調査まで):鈴木明夫:日本鋼管テクノサービス株式会社(当時)