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日系企業の海外活動に当たっての環境対策(ベトナム編)

「平成13年度日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査」報告書

本書の構成と使い方

 本書は、ベトナムの環境問題の現状や環境法規制の内容などを解説した「第1章」、ベトナムに進出している日系企業の具体的な環境対策への取り組み事例を紹介した「第2章」、そして第1章、第2章の内容をより深く理解するために役立つ「資料編」で構成されている。本書でいう日系企業とは、日本貿易振興会(JETRO)、ベトナム日本商工会、ホーチミン日本商工会の会員企業を指し、日本側の出資比率等の特定の条件がないことをあらかじめお断りしておく。また、今回の調査では、現地訪問調査を受け入れてくれた日系企業は工業団地の運営会社以外はすべて製造業であったため、第2章に紹介した環境対策への取り組み事例も製造業のものが中心であり、本書全体の内容も製造業の環境対策に主眼をおいたものになっていることを、あわせてお断りしておく。


 さらに本書は、各章および各章の中の各節がそれぞれ独立しており、各企業の環境対策への取り組みの実状にあわせて、それぞれ必要な環境情報を抜き出すかたちで読むことができるように工夫している。なお、本文中に記載されている法令や組織名等については、全て本財団による仮訳であることにご留意いただきたい。

具体的な本書の構成は以下のとおりである。


「第1章」は、ベトナムにおける環境問題の現状や法規制等の動向についての最新情報を、第1節「ベトナムと日系企業」、第2節「ベトナムの環境問題の現状」、第3節「ベトナムの環境政策と環境関連法規」、第4節「水質汚濁対策」、第5節「大気汚染対策」、第6節「産業廃棄物対策」、第7節「環境影響評価に関する制度」の、7つの節に分けて解説している。


第1節では「ベトナムと日系企業」として日本とベトナムの関わりや同国への日系企業の進出経過などを紹介する一方、第2節ではベトナムの環境問題の現状を水質汚濁、大気汚染、廃棄物問題などの課題別に解説している。そして第3節以下では、日系企業の環境対策に不可欠であるベトナムの環境法令や環境行政組織、各種の環境規制に関する情報を分野ごとに分けて詳しく解説している。


このうち第3節では、環境政策と環境行政の仕組み、産業公害に関連する環境法規制の体系、企業進出に当たって必要とされる各種の環境関連手続きについて、そのポイントを紹介した。


その後、第4節~第6節では産業公害対策に不可欠な水質汚濁、大気汚染、産業廃棄物の3分野についてそれぞれ、法規制の仕組みや規制基準の内容を解説している。最終節の第7節では環境影響評価に関する制度の紹介にページを割いた。


なお、第1章に収録した情報については、ベトナム政府科学技術環境省(MOSTE)に属する国家環境庁(NEA)、および地方環境行政組織であるハノイ、ホーチミン両市の科学技術環境局(DOSTE)などに対するヒアリング結果を中心にまとめた。


「第2章」は、まず第1節にベトナムに進出している製造業を中心とした日系企業の環境対策への取り組みの特徴などをまとめている。そして、現地訪問調査で収集した日系企業の先駆的な環境対策への取り組み16事例を、第2節「厳しい排水基準に対処している事例」(4事例)、第3節「環境管理システム構築の事例」(3事例)、第4節「産業廃棄物対策に積極的に取り組んでいる事例」(4事例)、第5節「その他の先進的な取り組み事例」(5事例)に分けて紹介している。


ベトナムにおける製造業を中心とした企業の環境対策への取り組みは、現状では水質汚濁対策が基本となっていることから、今回の収集事例も水質汚濁対策への取り組みが中心となっている。また今後ベトナムでは産業廃棄物対策への対応が重要になってくることが予想されることから、産業廃棄物対策への取り組み事例を1つの節にまとめて取り上げた。そのほか、日系企業がISO14001の認証取得をはじめ環境管理システムの構築に積極的に取り組んでいることを受けて、第3節にそれに関連した取り組み事例をまとめている。


さらに第5節では、環境汚染の未然防止に関する先進的な取り組み事例を紹介した。

巻末に「資料編」として以下の情報を収録した。

  • [参考資料1]  環境保護法(1994年1月10日施行)(全文)
  • [参考資料2]  環境保護法実施のための政令(1994年10月18日、Government Decree No.175/CP)(抜粋)
  • [参考資料3]  有害廃棄物管理規則(1999年7月16日、Decision No.155/1999/QD-TTg)(本文のみ)
  • [参考資料4]  投資プロジェクトのための環境影響評価報告書の審査等についての回状
    (1998年4月29日、Circular No.490/1998/TT-BKHCNMT)
  • [参考資料5]  表流水水質環境基準(TCVN5942-1995)
  • [参考資料6]  大気環境基準(TCVN5937-1995)
  • [参考資料7]  ベトナムおよび日本における環境情報関連窓口

 このうち参考資料1には、第1章の第3節で解説した環境保護法への理解を深めるために、同法の全文の日本語訳を掲載した。また参考資料2には、環境保護法の実施規定にあたる「環境保護法実施のための政令」(Government Decree No.175/CP)の日本語訳(抜粋)を掲載した。さらに参考資料3には産業廃棄物対策に取り組む場合に必要となる「有害廃棄物管理規則」(Decision No.155/1999/QD-TTg)の本文、参考資料4には、日系企業がベトナムで工場建設などのプロジェクトを実施する際に要求される環境影響評価関連手続きの内容を示した「投資プロジェクトのための環境影響評価報告書の審査等についての回状」(1998年4月29日、Circular No.490/1998/TT-BKHCNMT)を、それぞれ日本語訳した上で記載している。なお、直接産業公害規制とは絡まないが、参考資料5に河川などの表流水、参考資料6に大気のそれぞれ望ましいレベルを示した環境基準を紹介している。


なお、参考までに本書に用いた通貨の換算レートは、1ベトナムドン(VND)=約0.009円である(およそ1米ドル=15,000ベトナムドン)<2002年2月現在 > 。

・ベトナムの環境問題に関連の深い機関や法規名等の日英対照表記

ベトナムの環境問題に関連して頻出する機関名等および法規名等の日本語と英語の対照表記を下記に示した。また通常略称で呼ばれることが多いものについては、英語表記の冒頭に略称を付記した。本書の中でも一部、必要に応じて略称を使用している場合がある。

1.機関等

科学技術環境省  MOSTE: Ministry of Science, Technology and Environment
同省国家環境庁  NEA: National Environment Agency
地方科学技術環境局(57省と4中央直轄市に設置)  DOSTE: Department of Science, Technology and Environment
計画投資省  MPI: Ministry of Planning and Investment
工業省  MOI: Ministry of Industry
人民委員会  People's Committee

2.環境法規関連

環境保護法  LEP: Law on Environmental Protection
環境保護法実施のための政令  Government Decree on Providing Guidance for the Implementation of the Law on Environmental Protection(Government Decree No.175/CP, 1994)
有害廃棄物管理規則  Regulation on Hazardous Waste Management(Decision No.155/1999/QD-TTg)
投資プロジェクトのための環境影響評価報告書の審査等についての回状  Circular Letter of Guidance on Setting Up and Reviewing the Environmental Impact Assessment Report for Investment Projects(Circular No.490/1998/TT-BKHCNMT)
産業排水基準  Industrial waste water - Discharge standards(TCVN5945-1995)
産業からの無機物質及びばいじん等の大気排出基準  Air quality - Industrial emission standards - Inorganic substances and dusts(TCVN5939-1995)

なお、ベトナムでは法令の番号にベトナム語の頭文字を使った略書をつける。このため本書でも法令を特定しやすいように法令名の後に法令番号を記述する場合には、ベトナム語の略称も記載している。
例えば、上記2に示したいくつかの法令にみられる「CP」は政府、「QD」は決定、「TTg」は首相、「TT」は通達、「BKHCNMT」は科学技術環境省、「TCVN」はベトナム(VN)、基準(TC)を、それぞれ表すベトナム語の頭文字である。