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日系企業の海外活動に当たっての環境対策(シンガポール編)

「平成14年度日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査」報告書

本書の構成と使い方

 本書は、シンガポールの環境問題の現状や環境法規制の内容などを解説した「第1章」、シンガポールに進出している日系企業の具体的な環境対策への取り組み事例を紹介した「第2章」、そして第1章、第2章の内容をより深く理解するために役立つ「資料編」で構成されている。本書でいう日系企業とは、シンガポール日本商工会議所の会員企業等を指し、日本側の出資比率等の特定の条件がないことをあらかじめお断りしておく。また、今回の調査で現地訪問調査を受け入れてくれた日系企業には製造業の割合が多かったため、本書全体の内容も製造業の環境対策に主眼をおいたものになっていることを、あわせてお断りしておく。


さらに本書は、各章および各章の中の各節がそれぞれ独立しており、各企業の環境対策への取り組みの実状にあわせて、それぞれ必要な環境情報を抜き出すかたちで読むことができるように工夫している。なお、本文中に記載されている法令や組織名等については、全て本財団による仮訳であることにご留意いただきたい。

具体的な本書の構成は以下のとおりである。


「第1章」は、シンガポールにおける環境問題の現状や法規制等の動向についての最新情報を、第1節「シンガポールと日系企業」、第2節「シンガポールの環境問題の現状」、第3節「シンガポールの環境政策と環境関連法規」、第4節「水質汚濁対策」、第5節「大気汚染対策」、第6節「有害産業廃棄物対策」、第7節「その他の産業環境対策」の、7つの節に分けて解説している。


第1節では「シンガポールと日系企業」として日本とシンガポールの関わりや同国への日系企業の進出経過などを紹介する一方、第2節ではシンガポールの環境問題の現状を水質汚濁、大気汚染、廃棄物問題などの課題別に解説している。そして第3節以下では、日系企業の環境対策に不可欠であるシンガポールの環境法令や環境行政組織、各種の環境規制に関する情報を分野ごとに分けて詳しく解説している。


このうち第3節では、環境政策と環境行政の仕組み、産業公害に関連する環境法規制の体系、企業進出に当たって必要とされる各種の環境関連手続きについて、そのポイントを紹介した。


その後、第4節~第6節では産業公害対策に不可欠な水質汚濁、大気汚染、産業廃棄物の3分野についてそれぞれ、法規制の仕組みや規制基準の内容を解説している。最終節の第7節ではその他シンガポールに特有な産業環境対策の紹介にページを割いた。


なお、第1章に収録した情報については、シンガポール政府環境省(ENV)に属する環境庁(NEA)の環境保護局(Environmental Protection Division)に対するヒアリング結果を中心にまとめた。


「第2章」は、まず第1節にシンガポールに進出している日系企業の環境対策への取り組みの特徴などをまとめている。そして、現地訪問調査で収集した日系企業の先駆的な環境対策への取り組み16事例を、第2節「地域統括機能を環境面でも発揮している事例」(3事例)、第3節「自主的に先進的な取り組みを行っている事例」(4事例)、第4節「汚染物質の排出削減に最高度の技術で対応している事例」(4事例)、第5節「環境対策を新たな事業展開に活用している事例」(5事例)に分けて紹介している。


シンガポールには様々な業態の日系企業が進出して産業活動を行っているため、今回収集した環境対策の取り組み事例の内容も幅広いものとなっている。まず、今年度の調査において着目した、シンガポールに東南アジア地域の統括機能を持つ拠点を置く日系企業の取り組みに関しては、その事例を1つの節(第2節)にまとめて取り上げた。製造業の取り組みに関しては、排水、排ガス、廃棄物対策のほか、それにとどまらない積極的な取り組みも含めて第3節、第4節にまとめている。そのほか、製造業以外の企業や中小企業の先進的な取り組みに関しても、環境対策を新たな事業展開に結び付けている事例として、第5節にまとめている。

巻末に「資料編」として以下の情報を収録した。

  • [参考資料1]  環境汚染管理法(EPCA) 2000年改訂版(本則全文)
  • [参考資料2]  排水規則(環境汚染管理法) 2001年改訂版(全文)
  • [参考資料3]  大気汚染物質規則(環境汚染管理法) 2002年改訂版(全文)
  • [参考資料4]  有害産業廃棄物管理規則(環境公衆衛生法) 2000年改訂版(全文)
  • [参考資料5]  シンガポールおよび日本における環境情報関連窓口

 参考資料1には、第1章の第3節で解説した環境汚染管理法への理解を深めるために、同法の本則全文の日本語訳を掲載した(ただし、第1付則「指定用地(施設)」のみ収録)。また参考資料2には、環境汚染管理法の具体的な管理規則となる「排水規則」(Environmental Pollution Control (Trade Effluent) Regulations)、参考資料3には同「大気汚染物質規則」(Environmental Pollution Control (Air Impurities) Regulations)の全文日本語訳を掲載した。さらに参考資料4には、環境公衆衛生法(EPHA: Environmental Public Health Act)下で管理される「有害産業廃棄物管理規則」(Environmental Public Health (Toxic Industrial Waste) Regulations)の全文日本語訳を掲載している。


なお、参考までに本書に用いた通貨の換算レートは、1シンガポールドル(Sドル)=約70円である<2003年1月現在 > 。

・シンガポールの環境問題に関連の深い機関や法規名等の日英対照表記

シンガポールの環境問題に関連して頻出する機関名等および法規名等の日本語と英語の対照表記を下記に示した。また通常略称で呼ばれることが多いものについては、英語表記の冒頭に略称を付記した。本書の中でも一部、必要に応じて略称を使用している場合がある。

1.機関等
環境省  ENV: Ministry of the Environment
環境庁  NEA: National Environment Agency
貿易・工業省  MTI: Ministry of Trade and Industry
経済開発庁  EDB: Economic Development Board
ジュロンタウン・コーポレーション  JTC: Jurong Town Corporation
生産性・技術革新・企画化庁  SPRING: Standards, Productivity and Innovation Board
国家開発省  MND: Ministry of National Development
公共住宅開発庁  HDB: Housing & Development Board
都市再開発庁  URA: Urban Redevelopment Authority

2.環境法規関連
環境汚染管理法  EPCA: Environmental Pollution Control Act
環境公衆衛生法  EPHA: Environmental Health Control Act
下水・排水法  Sewerage and Drainage Act
有害化学物質管理規則(環境汚染管理法)  Environmental Pollution Control (Hazardous Substances) Regulations
排水規則(環境汚染管理法)  Environmental Pollution Control (Trade Effluent) Regulations
大気汚染物質規則(環境汚染管理法)  Environmental Pollution Control (Air Impurities) Regulations
有害産業廃棄物管理規則(環境公衆衛生法)  Environmental Public Health (Toxic Industrial Waste) Regulations
排水規則(下水・排水法)  Sewerage and Drainage (Trade Effluent) Regulations