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中央環境審議会野生生物部会
平成23年度 第1回 鳥獣保護管理小委員会 会議録


1.日時

平成23年4月25日(月)9:35~11:26

2.場所

中央省庁5号館共用第9会議室

3.出席者

(委員長) 山岸  哲
(臨時委員) 石井 信夫 市田 則孝 是末  準
三浦 慎悟 染  英昭
(専門委員) 坂田 宏志 羽山 伸一
(環境省) 渡邉自然環境局長
森本審議官
亀澤野生生物課長
宮澤鳥獣保護業務室長

4.議事

【事務局】 おはようございます。予定の時間を若干過ぎておりますが、ただいまから中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催させていただきます。
 冒頭ですが、初めに、冒頭カメラ撮りをされたい方がおられましたら、ただいま時間を設けますので、写真を撮っていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、続けます。本日の出席者数ですが、12名中ただいま7名。もうそろそろ三浦委員が来られまして、8名ということになると思います。中央環境審議会令により、定数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
 ことしの1月に中央環境審議会委員の改選があったため、当小委員会の委員についても先日再度指名をしております。メンバーには変更がございませんので、出席者の紹介は今回は割愛をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。まず座席表。委員名簿。資料1、鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針の見直しの主な内容。資料2、基本指針の変更案。資料3、鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針について。資料4、委員からの御意見及び対応方針。資料5、今後のスケジュール案となっております。
 今、委員の先生方のお持ちの中で資料に不備がございましたら、事務局の方に申し出ていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 今回の本小委員会の資料及び議事概要は、後日、環境省のホームページにおいて公表されますので、そのことを申し添えておきます。
 それでは山岸委員長、議事の方、よろしくお願いいたします。

【山岸委員長】 おはようございます。それでは、ただいまから平成23年度第1回目の鳥獣保護管理小委員会を開催いたしたいと思います。
 鳥獣保護法に基づく基本指針の見直しに向けて昨年度2回会議を開催しましたが、本日は今年度第1回目の開催となります。
今回は、事務局より指針の改定案が示されており、この案について議論していただきます。委員の皆様のご協力を得ながら議事を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして、環境省の渡邉局長よりごあいさつをいただきたいと思います。

【渡邉自然環境局長】 おはようございます。第3回目になります鳥獣保護管理小委員会に、お忙しい中ご出席いただきましてありがとうございました。
 昨年11月に、第1回鳥獣保護管理の基本指針に向けて、委員の皆さんから自由討議という形でご意見をいただいて、12月にはさまざまな立場の人からのヒアリングを行っていただきました。これまでのいただいた意見を受けて、本日は事務局がたたき台として基本指針の改定案を作成いたしました。それをもとに取りまとめのご議論に入っていただけたらというふうに思っています。
前回12月に開催して以降、いろんな動きがございました。高病原性鳥インフルエンザ、これまでにない規模で発生をしました。とりわけ1月、2月と全国、北海道から九州まで野鳥、そして家禽、双方で相次いで発生をしたというような経過でありました。ここに来てようやく鎮静化の状況というふうになってまいりましたけれども、今シーズン発生した野鳥なり家禽での発生の内容についてしっかり分析をして、今後の対策に生かしていくことがとても大事ではないかというふうに思っているところです。
 次に、アホウドリ、小笠原の聟島のアホウドリの繁殖地の復活に向けて、山階鳥研初め、関係機関が共同でプロジェクトを進めてまいりました。3年前に聟島に移送したアホウドリ、そして聟島から巣立った若鳥がことしの2月に入って聟島に帰ってくるといううれしい知らせもありました。3歳のものに加えて、2歳の若鳥も帰ってきたというような結果が出ていて、小笠原の聟島の繁殖地回復に向けて大きな第一歩を踏み出すことができたんじゃないかなというふうに思っています。
 3月に入りまして、東日本大震災が発生をして、大きな被害をもたらしました。被災された方々が大きな困難を乗り越えて、それぞれの地域の暮らしを取り戻すことができますように、環境省も全力を挙げて地域の支援に当たっているところであります。自然局の関係でも被災したペットの救援の問題、あるいは国立公園の再生・復興といった課題に取り組んでいるところです。
野生生物に対する影響に関しましては、仙台海浜、国指定の鳥獣保護区で蒲生干潟という場所がシギ・チドリなどの渡来地ですけれども、ここが津波で地形が大きく変わってしまったという影響がございました。三陸には、日出島や三貫島といったクロコシジロウミツバメを初めとした海鳥の貴重な繁殖地になっています。こういった場所も含めて、今後野生生物にどういう影響が及ぶのかということを長期的にしっかりモニタリングしていくことが重要というふうに思っています。
 佐渡のトキの方ですけれども、昨年に続いて野外でのペア、つがいの形成ができました。6ペアほどのつがいができて、産卵も確認をされてというところまで来ましたけれども、その産卵した卵のふ化、巣立ちというステージまで、ことしは何とか進むことができたらというふうに願っているところでございます。
 そういったことで、前回12月の開催以降、野生生物をめぐって大きな動きがありましたけれども、きょうご議論いただく鳥獣保護管理の基本指針、各都道府県が鳥獣保護の事業計画を立てていく上でのベースになる重要な指針でございます。昨年のCOP10を受けた生物多様性の視点を組み込んでいくこと、あるいは深刻な被害をもたらすことが続いているシカ等の野生鳥獣の管理計画、あるいはその実施体制の実効性を上げていくこと、そして今ご紹介した鳥インフルエンザを初めとした感染症対策を強化していく、こういった今抱えている課題に対応した効果的な改定ができたらというふうに思っています。そういう意味で、各委員の皆さんから忌憚のないご意見をいただいて、今回の改定につなげていけたらというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 それでは、お手元にあるこの大判のものですが、鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針の改定案及び鳥獣保護管理小委員会、当委員会の報告案、この二つについて事務局よりご説明いただきます。

【事務局】 鳥獣保護業務室の山本と申します。座って失礼いたします。
 それでは、資料の1から4を使ってご説明をさせていただきます。
 資料の1と2につきましては、委員の皆様には事前にお送りをいたしまして、ご意見をいただいたものでございます。ご意見などを踏まえまして、一部修正が入っております。資料の3は、今回新たにお示ししているもので、この小委員会の報告の案となっております。委員の皆様から事前にいただいたご意見とそれぞれの対応方針について資料4でお示しをしております。また、坂田委員から週末にいただきましたので、時間の関係でちょっと資料に反映できておりませんので、追加でお配りをしております。ご確認いただきたいと思います。
 それから、委員の皆様のお手元には、事前にお送りした資料と今回お送りした資料の項目とページ数が少し変わっている部分がありますので、お手元にそれらの対照表、項目とページ数の対照表をお配りしておりますので、ご参考になさってください。
 それでは説明に入っていきますが、まずは資料の1と資料の2はお手元に置いて、基本的には資料の1でご説明をさせていただきます。資料の1で、1.に変更案の考え方ということで、今回の基本指針の変更についての考え方をお示ししております。鳥獣保護管理小委員会でこれまでご議論いただいたりご意見をいただいたりした内容につきましては、可能な限り基本指針の変更案に反映をしているところではありますけれども、基本指針で対応できない課題、例えば法改正が必要であるとか、予算措置で対応していくことが適当であるとか、通知類で対応するとか、そういったものにつきましては、主な項目を別途小委員会報告として取りまとめまして、継続検討とすることとしております。
 資料2の中に、A3の大きなものですけれども、右側の方に主なご意見を書いております。その中で白い丸で示したものが今回の指針の変更案で対応しておりまして、黒い丸で示したものは、指針以外での対応を検討していくという形での分類をしております。
 それでは、変更案の概略について、2番目のところで入っていきたいと思います。
 一つ目の大きな柱といたしましては、生物多様性の保全ということでございます。現行の基本指針を定めてから5年の間に生物多様性基本法が成立をいたしております。また、昨年はCOP10が開催をされたということで、その中でも鳥獣の保護管理というのは、生物多様性の保全のために非常に重要な要素であるといったようなことで記述を加えております。また、その生物多様性保全のためのもう一つ重要な要素として、外来生物対策がありますけれども、外来生物対策と鳥獣保護管理は密接な関係があるということで、外来生物対策の推進に貢献することについても変更を加えております。
具体的な記述としましては、ここに幾つか羅列をしておりますけれども、Ⅰ.第一.1のところに、基本的な考え方のところですね、鳥獣保護管理は生物多様性基本法の趣旨を踏まえることを規定をしております。
同じところに、その続き、1ページ目ですけれども、鳥獣保護管理がCOP10の愛知目標の達成に向けて重要な要素であるといったことに留意をしていきますということを明記をしております。
その鳥獣保護事業が適切に実施をされなければ、シカの増加の影響などによって植生被害ですとか裸地化等のように、生物多様性が損なわれるおそれがあるということを明記しております。これはⅠ.第一.3.(1)ということで、資料2の5ページになります。
また、外来鳥獣の捕獲促進のために、有害鳥獣の捕獲許可などにおいて外来鳥獣等については捕獲数の見直しを行う。つまり、今まで有害鳥獣の捕獲、在来鳥獣であれば被害が出たときに捕獲をするということですとか、被害を軽減するために最小限の数を捕獲をするといったような記述がありましたけれども、外来鳥獣については、基本的には根絶を目指すということもございますので、その点の見直しを行っております。
続いて、二つ目の柱ですけれども、特定鳥獣の保護管理の推進でございます。特定鳥獣保護管理の制度が導入されて10年以上が経過しております。一定の成果はあると考えておりますけれども、その人材の確保と育成ですとか、個体数調整を促進していくための方策について、いまだ多くの課題が残っているという認識でございます。新たな体制の検討の必要性とともに、特に被害対策については地域ぐるみの活動の重要性があると考えておりますので、そういった記述を充実させているところです。
具体的にご説明をしていきますと、前回の指針以降の大きな変化としまして、鳥獣被害防止特措法が施行されておりますので、連携や活用について記載を加えております。また、生物多様性保全活動促進法も施行されたということで、その関係について基本的なところで記述をしております。
基本的な考え方について、地域ぐるみで有害鳥獣の捕獲を行うために、狩猟者と地域住民との連携・協力、狩猟者による技術指導の推進が重要であること、鳥獣行政と農林水産行政の一層の連携が必要であるといったことを明記をしております。
次のページに入りますけれども、狩猟者が減少傾向にございますので、狩猟者の確保に努めるとともに、狩猟者のみに頼らない個体数調整の体制について検討を進めるということを記載をしております。
効果的な個体数調整の捕獲技術について検討及び情報収集を行って、普及を図ること。
そのほか確保を図る人材としまして、地域に応じた高度な捕獲技術を有する人材といったことを加筆をしております。
そのほか、都道府県の鳥獣部局と、その被害対策をする市町村が連携を図ることですとか。また、鳥獣保護区での被害対策というのが最近よく話題になっておりまして、鳥獣保護区の中で狩猟ができないことでその周辺に被害を及ぼし、鳥獣保護区の指定が難しくなっているというような実態もあると聞いておりますので、狩猟はできませんけれども、個体数調整をしっかりしていくということを記載をしております。
さらにまた、具体的な手法に関する変更になりますけれども、これまで特区として認めてきた、複数人でわなを用いて有害鳥獣捕獲を行う場合、その従事者の中に狩猟免許を有しない者を含むことができるという規定について、特区の全国展開という形で認めていくということにしております。
さらに、ちょっと細かい話ではありますけれども、性能が向上してきた空気銃の使用範囲の拡大といったようなことも明記をしております。
また、特定鳥獣の保護管理の推進というこの課題につきましては、基本指針のみでは対応できない課題が多いということで、例えば、ここに挙げているような人材の一層の確保と育成のための方策ですとか、個体数調整を一層促進するための方策、広域で連携しての取組を促進するための方策といったことにつきましては、小委員会の報告ということでいただいて、継続的に検討していく課題だというふうに認識しておりますので、後ほどご説明をさせていただきます。
三つ目の柱は、感染症への対応ということになっております。昨年度、記憶に新しい高病原性鳥インフルエンザがありましたけれども、年度の前半には口蹄疫も発生いたしまして、野生鳥獣との関係について大きく取り上げられたことがございます。野生鳥獣においても、感染症対策を推進していくということについて記述を充実をさせております。
具体的には、人獣共通感染症と家畜との共通感染症について、衛生担当部局ですとか、動物愛護行政の担当部局と連携して実施するといったことを、基本的な現状と課題のところに加筆をしています。
そのほか、傷病鳥獣ですとか、餌付けや給餌においても感染症に留意するといったことを加えて、各所に感染症の対策の充実といったところを記載をしております。
また、ちょっと指針とは離れますけれども、鳥インフルエンザにつきましては、現在都道府県向けのマニュアルの作成をもって、県の方と一緒に対策をとっているんですけれども、今後、ちょっとことしの大規模な発生を受けまして改定が必要ということで、6月以降にこのマニュアルの見直しも検討しているところでございます。
最後ですけれども、時代に即した鳥獣保護管理の推進としてまとめております。
一つ目ですけれども、愛玩のための飼養目的での捕獲についてでございます。愛玩のための飼養目的での捕獲につきましては、昭和32年の審議会答申以降廃止の方針が示されておりまして、順次対象種が減らされて、現在はメジロ1種となっております。メジロの許可を認めている、1種であっても許可を認めていることが密猟を助長しているというご指摘・ご意見がございますので、今回の改定案では、原則としては許可しないこととしまして、特別な事由があるとして、都道府県知事が認める場合は除くという形にしております。それに加えまして、今後の完全廃止、例外の廃止の方向性についても明示をいたしまして、現在特別な事由があるとして申請をしてくる者、今後そういった形で申請してくる者がいるかと思いますけれども、その方々に対しても、今後の方向性についてしっかり周知を図っていくということでございます。
そのほか、地方分権一括法案におきまして、鳥獣保護事業計画ですとか、特定鳥獣保護管理計画の項目の整理が規定をされておりますので、それらに基づく記載事項の変更ですとか、記載場所の変更等を行っております。
最後の[3]につきましては、ちょっと基本指針には反映できておりませんけれども、鳥獣保護区ですとか、鳥獣保護員の制度などの鳥獣保護制度の全般が、狩猟圧が大きい時代にできた制度であって、今の時代に即した制度とすべきといったようなご意見がございましたので、ここに記載をしておりまして、小委員会報告の方にもお示ししております。
これが主な改定の中身ですけれども、資料の4をお手元にお願いしたいと思います。事前にいただいたご意見について、それぞれ対応方針をお示ししております。主なものについてご説明をさせていただきたいと思います。
まず石井委員からいただきました、最初の三つの修文につきましては、ご指摘を踏まえて修文をしております。
それから、四つ目の鳥獣保護に関する調査研究の推進につきましては、ご指摘を踏まえて少し加筆をしておりまして、1-10ページに捕獲のデータの有効活用について加えております。
もう一つ、愛玩飼養について原則認めないという方針に異議はないけれども、廃止する合理的根拠を明確化しておく必要があるというご意見をいただきましたので、今回原則禁止ということにしておりますので、今後の完全な廃止に係る検討を進めていく中で整理をしていくこととしたいと考えております。
それから、市田委員のご意見でございます。シカなどの被害対策が長い間議論されてきた割には、被害が収束の方向に向かっていないと。国が指針を示すだけではなくて、もう少し強力な指導をしないと解決をしないのではないかということで、しっかり国の指導力を発揮する方法を考えていくべきであるというご意見をいただきました。これにつきましては、その施策の視点の方向性についてのご意見として、小委員会の報告という方に記載をさせていただいて、継続して検討していくこととさせていただきたいと思います。
それから、渡り鳥条約についての記載、ご意見をいただきました。日韓については、日韓環境保護協力協定の枠組みの中で会議をやっているということから、もう一歩進んで条約締結をしっかり進めていくべきということでございますが、ここにつきましては、Ⅰ.第一の部分、事実関係を記載をしているということで、条約締結については、関係省庁との連携をとって検討を進めているということで、原案についてはそのままとさせていただいて、実際に充実をさせていくということを考えたいと思っております。
愛玩用捕獲につきまして、原則禁止ではなく一気に今回やめてしまった方がいい、すっきりと完全に禁止ということにするべきではないかというご意見をいただいておりますが、今回新たに原則として認めないということを明記して、完全廃止の方向性も打ち出しております。これまでから、一歩進んだ形で記述をしておりますので、今後廃止に係る検討ですとか、その旨を周知するということで、完全廃止の方向に向けて取り組んでいきたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
また、ご指摘をいただいていた許可者あたり1羽だと増えてしまう可能性があるのではというご懸念につきましては、そうならないような修文をしております。
また、染委員からもご意見をいただきました。最初の1の部分に関与するご意見、最初の二つはご意見どおりに反映をさせていただきました。
その三つ目について、広域の指針の作成について、もう少し現状にあった課題、記述とすべきということかと思いますので、その点は修正をいたしました。広域指針については、現時点ではまだまだ課題があるといったようなところをⅠ.2ページ目のところで記載を加えております。
鳥獣保護員の専門性の確保が課題といったところについて、5年前と同じ記述のままでよいかということなんですけれども、実際、課題としてはまだまだあると思いますし、実践的な取組を引き続き進めていくということで、指針については原案どおりとしたいと思っています。引き続き検討をしていくという内容と整理をさせていただきたいと思います。
その次につきましても、国の役割、国が広域指針についてしっかりかかわって作成していくべき、都道府県と連携して作成していくべきといったところにつきましては、3ページのところにございますが、ご指摘を踏まえて一部修文をしております。また、Ⅰ.第十一の後半になります、国の役割のところにもその旨加筆をしております。
それから、その次の地域ぐるみの取組を先導・管理できるリーダの人材を追加を、その確保すべき人材として追加をすべきというご意見については、少し内容、文章を変えた上で修文、加筆をさせていただいております。これがⅠ.15ページになりますので、ご確認ください。
それから、次の点につきましても、ご意見のとおり修文をさせていただいております。
Ⅱの第四の3(1)の被害対策のところで、有害鳥獣捕獲は、原則として被害防除対策によっても被害が防止できないと認められるときに行うということ、そこは削除して積極的に捕獲もしていくべきではないかというご意見をいただいたんですけれども、鳥獣保護管理に係る原則を示しているもので、被害の大きな鳥獣については別の特定計画ですとか、そういった手だてがございますので、環境省の立場としては原案どおりとして、原則は残しておきたいというふうに考えております。
その次の部分につきましては、ご意見いただいたとおり、内容に一部重複がございましたので、重複を避けるための修文は行っております。
次のご意見、その次につきましても、ご指摘を踏まえて修正をしております。
その次についても同じでございます。
最後の捕獲隊の編成について、特措法に基づく実施隊との関係につきましては、おおむねそのご指摘を踏まえて修文をしておりますけれども、今後農林水産省と調整をして、記述については固めていきたいというふうに考えております。
福田委員からは、地域ぐるみでの活動だけではなくて、隣接する地域と連携しての取組が必要といったことを2カ所についていただいておりますので、それにつきましては1ページ目と3ページ目にございますが、ご指摘を踏まえて修文をいたしました。
人材の育成についても、しっかりとした制度として考えていくべきということですので、これにつきましては小委員会報告に記載をしております。
また、羽山委員からは、特定計画のガイドラインについて、より実効性のあるものとすべく、作成プロセスや内容について検討、見直すべきということで、Ⅰの12ページの部分のガイドラインの整備のところに少し記述を充実をさせております。
それから、資料4で追加としてお配りしている坂田委員のご意見でございます。
一つ目については、捕獲許可の考え方について、個人的な捕獲と公共的な捕獲を分けていくべきというご意見でございます。公共的な捕獲で、依頼された人が捕獲許可を申請するというのはちょっとおかしいのではないかという、その辺の簡略化をしていくべきということでございますので、その点については、ちょっと手続に係ること、法律的なところが大きいですので、引き続き少し検討していきたい、またその簡略化については別途検討していきたいと思います。
後段の部分の公共的な捕獲に従事する人の資格や待遇について考慮すべきというところにつきましては、小委員会報告の方でそういった記述をしておりますので、引き続き法律の見直しも含めて検討していきたいと考えております。
捕獲許可の考え方について、次の括弧で示されている部分ですけれども、被害防除との関係につきましては、やはり先ほど染委員のご意見についてご説明をしたときと同じでございまして、原則としては維持をしていきたいと考えております。
レッドデータブックとの整合性についてということで、特定鳥獣保護管理計画の中でデータが蓄積をされつつあるので、それを活用していくべきではないかということでございます。特定計画の種以外の話もございますので、レッドリストの話では残しておくとしたいと思うんですが、大きな資料2の方の8ページのところの頭にレッドリストのところがありますので、ここで全国の捕獲数の情報ですとか、鳥獣保護事業計画に基づく調査結果の活用などについても加えて記述をしたい、少し修文をしていきたいと考えております。
次の項目の特定鳥獣保護管理計画の項目について、煩雑でなかなか難しいというか、いろんなことを書き過ぎて不明瞭になってくるのではないかということでございますが、そこについて特定法律、法定で示している計画項目自体はさほど大きなものではなくて、ガイドラインなどで具体的な中身を示しておりますが、具体的な記述につきましては、ある程度都道府県の裁量、都道府県なり市町村レベルでの裁量にゆだねられているということで、基本指針の中では原則的に書いてほしいことですとか、ガイドラインの中ではその辺は維持をしていきたいと思っておりますが、基本的には都道府県の裁量に任せられることかなと思います。
次の特定鳥獣保護管理計画の実施計画について、地域割りよりも、年度ごとの更新の必要性の方が高いということですので、これについても実施計画は必要なものをしっかり立てていただくということになりますので、そういった方向性はそれぞれの県で判断をしていただいて構いませんし、両方しっかりやっていただければというふうに思います。
次の特定計画の手続についてですけれども、今回、地方分権一括法の改正案でもございますけれども、公聴会の開催が任意になっているということですとか、今回もその計画期間も、前回以前は鳥獣保護事業計画と同じ期間で定めるように示しておりましたけれども、そこは原則として、弾力的に期間も定めていただいて構わないという形に変更をしております。
また、クマの錯誤捕獲の防止についてご意見をいただいていて、穴を開けるといいますか、クマの錯誤捕獲防止のための穴をイノシシの捕獲檻には開けるというところについて、逆にそれが餌付けにつながってしまうということがあるということで、修文案をお示ししたいと思います。
2の12ページにその関連部分の記述がございまして、ツキノワグマの生息地域であって錯誤捕獲のおそれがある場合については、地域の実情を踏まえつつ、ツキノワグマが脱出可能な脱出口も設けたはこわなや囲いわなの使用を指導するものとなっているんですけれども。この時点で地域の実情を踏まえつつということではありますので、ある程度の自由度はございますが、その後に囲いわなの使用を指導するものとするという部分を、使用するなど錯誤捕獲の防止に努めるものとするということで一つの例示としてお示しをして、地域に応じて適切な対応をしていただくということで修文をしたいと考えております。
これで皆様、事前にいただいたご意見と対応方針はこれで終わりまして、資料の3、こちらからのご説明は最後になりますが、資料3をお願いしたいと思います。先ほどからのご説明の中で時々、委員会報告の中に反映させたいということでご説明をしておりましたけれども、その委員会報告の案でございます。
この小委員会のアウトプットとしましては、基本的には基本指針の改定案ということになりますけれども、ご議論いただいた内容で反映できていない部分、継続検討が必要な部分について報告という形でいただきまして、それを今後の検討の柱としていきたいと考えております。また、前回の法改正ですとか、基本指針の見直しの際の小委員会では、答申案とは別に、資料3の裏面を見ていただきたいんですけれども、委員長談話を出していただいております。このときには法改正もあって、ある程度対応できていてのことではありますので、委員長談話という形になっておりますが、それを今回については小委員会報告ということで、もう少し前回よりも残った課題についてはしっかりとした形でいただきたいというふうに考えております。
中身ですけれども、基本指針については、別添のとおりとすることが適当であると。一方で、引き続き検討を要する課題が以下のとおりあると考えられるので、今後適切に対応されることを期待するという本文がございまして、その下に五つほど、現時点では入れております。
一つ目が、シカ等による生態系や農林水産業等への被害が増大する中で、課題の解決に向けて国が指導力を発揮するための方策について、検討を行い、適切な措置を取ること。
二つ目、狩猟者の減少や高齢化、中山間地域の過疎化等が懸念されている中で、将来にわたって適切に機能し得るような個体群管理の体制について、検討を行い、適切な措置を取ること。
三つ目、鳥獣の保護管理に携わる人材の確保と育成を一層強化するための方策について、検討を行い、適切な措置を取ること。
四つ目、広域に分布する鳥獣の適切な管理に向けて、広域で連携した取組を推進するための方策について、検討を行い、適切な措置を取ること。
五つ目、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の施行状況について、時代に即して検討を行い、適切な措置を取ること。という内容になってございます。
事務局からの説明が長くなりましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 全部まとめてご説明をいただいたんですが、これ、あれですよね、前もって意見を出していない委員の先生だって、当然ここで意見を述べてよろしいですね。それに対する対応というか、そういうのはどうなんですか、持ち帰りということになるんですか。

【事務局】 できるだけここでお答えをして、方針についてはご理解をいただきたいと考えています。

【山岸委員長】 そうしていただかないと、ちょっと困りますよね。

【事務局】 はい。

【山岸委員長】 お聞き及びのようなので、どこからでも結構ですが、ご質問・ご意見ございますでしょうか。
 羽山委員、どうぞ。

【羽山委員】 質問をさせていただきたいんですが、資料4の一番裏に、私からの意見に対して修文という対応をしていただいて、ありがとうございました。
ただ、まだ少し理解できないところがありますので質問したいんですが。特定計画に関するところは、技術ガイドラインという名称が使われていて、後ろの方の鳥インフルエンザに関しては技術マニュアルという言葉が使われているんですけれども、ここの中身的な意味合いですね、これちょっと、まだ理解が十分できていないんですけれども、私の理解ですと、マニュアルというのは多分手順書という意味で、今後こういう鳥獣行政を進めていく上でどのように進めたらいいのかという指南的な中身が書かれているんだと思うんですけれども、ガイドラインとなるとやはり何らかの判断基準を示して、しかもこれ国が示すものですから、かなり確固たるものを示して、それに基づいて各県の特定計画をつくりなさいという部分、そういうものに変えていくということに今回なるかと思うんですが、やはりそこの中身ですね、そこをもっと明確にしていただきたいのと。
それから、いまだにまだ特定計画、各県のそれぞれ水準が相当違うと思いますので、やはり技術マニュアル自体は、僕は必要じゃないかなというふうに思います。その上で、国として一定の判断基準を示されるというのは、これは必要だと思うんですけれども。この理解でよろしいのかどうかですね、ちょっとお答えいただけたら。

【山岸委員長】 今の羽山委員のご質問にお答えいただけますか。

【事務局】 ここで今回ガイドラインに変えているのは、実質的にガイドラインという名前がついているからということです。前回、特定技術マニュアルを改定したときにガイドラインという名前になっているということで、単純に変えたというのが一つの理由でございます。
マニュアルについても、鳥インフルエンザのマニュアルについても、現在マニュアルという形になっているので、マニュアルにしているという、その実効、現実上を反映させた形になっております。
ただ、おっしゃるとおり、そのガイドライン、指針、特定計画について、ある程度の水準に到達していただく、皆さんそろえていっていただくというか、ある程度そのレベルに水準を保っていただくということは重要なことだと思いますので、都道府県向けの、今のところガイドラインということになっておりますが、その中身については、今後も充実をさせていくということを考えておりますが。

【山岸委員長】 はい、どうぞ。

【羽山委員】 実態からいうと、ガイドラインという名前で公表はされていますけれども、実際にガイドライン的な部分と技術マニュアル的な部分が混在していると思うんですね。ですから、そこはやはり切り分ける必要があると思いますし、それから国として示される基準であれば、これはきちんと科学的な議論を踏まえて公表していただきたいと、そういうことを考えております。

【山岸委員長】 どうぞ。

【事務局】 今後の改定のときには、ご意見をしっかり踏まえてやっていきたいと思っております。この記述については、ひとまずはこれでよろしいでしょうか。

【羽山委員】 もし可能であれば、この基本指針の中にガイドラインとマニュアルというのが、これ並列で書かれていますので、その意味するところがもう少しわかるように書いていただければ、ありがたいなと思いますが。

【事務局】 検討はしてみますが、まさに先ほど申し上げたとおりに、現状をそのまま、今あるものを書いているという状態になっているので、その点がガイドラインとマニュアルの定義というのも明確にこの中で示しているわけではないので、その点、またご相談をして、出させていただきたいと思いますが。

【山岸委員長】 よろしゅうございますか。

【羽山委員】 多分、都道府県の担当の方は、ガイドラインというのは相当遵守すべきものというふうに受け止められるんではないかなと思っていますので、ですからそこはクリアにしていただいた方がいいなと思います。

【山岸委員長】 今のご意見、大変貴重なんで、かといって、もう現に混在してしまっているんで、この指針に書くのは難しいですよね。だから、改定するときに先生がおっしゃったようなことを反映させていくということしか、差し当たってできないような気もするんですが、いかがでしょうか。

【羽山委員】 それは理解しています。

【山岸委員長】 それじゃ、今後ともご指導いただいて、変えていくということでよろしくお願いします。
 ほかに何かございますか。はい、どうぞ、三浦委員。

【三浦委員】 私もコメントを出さなかったので、申しわけないと思っているんですが。4点ほど全体的なコメントをしたいと思うんですが。まず全体的な意見ですけれども、鳥獣保護法が改定されていないので、私は基本的にはこういう作文で、構成としては妥当だということで。細かい点を、あともう一つは、将来を見据えてということで、少し考えておいていただきたいなというものを4点ほど言いたいと思うんですが。
 一つは、11ページと20ページにある広域指針ですね、これ非常に大きな課題で、20ページには、国が、改定部分で、都道府県と連携して広域指針をつくるということを明記していただいて、これはこれで非常に一歩前進だろうというふうに思うんです。国のそれなりのイニシアチブを発揮していただきたいということですね。
 それでついでに11ページに、広域指針で何をつくるべきかというのが書いてありますけれども、広域指針の記載の項目についてということで、これはこれで結構なんですけれども。広域指針って、要するに県境をまたいで、地域個体群に対してどういうふうにそれぞれの県が対応するのかというところに眼目がありますから、これは本来であれば全体で調査をしながら個体数を把握してというところで、戦略目標を決めていくというのが非常に重要なんですが。少なくとも、ここまで踏み込むということであれば、各都道府県の、それぞれのシカだったらシカ、クマだったらクマについてのゾーニングを統一していただきたいと思うんですね。それで、それぞれの県でばらばらにゾーニングしていって、県境のところで非常に大きな齟齬があるなんていうことじゃなくて、これはぜひ、環境省のイニシアチブとそれから各県の意向で、少なくとも線引きについてはつながるようにしていただきたいというのをぜひお願いしたいというふうに思います。
 それから、2番目ですけれども、狩猟者の確保については非常に大きな問題で、最後に山本さんがおっしゃっておりましたけれども、委員長の談話で、適切な人材育成を今後も続けるといったような委員長の談話ですとか、そういう総括なんですけれども、減少に対して、基本的にまだ大きくそれを変えるような方向といったようなことが出てきてないということが非常に残念ですね。従来のように、これまでハンターをそのまま育成していくという方向じゃないような、違う方向をこれからも考えていかないといけないんではないかなというところが、2点目ですね。
 それからあと、もう1点言いたいんですが。3番目で、これは6ページから7ページにあって、従来のこの指針では非常に重要なんですけれども、放鳥獣事業ですね。これも環境省のスタンスとしてはどうするのかというところをきちんとしていただきたい。私はやめる方向でやっぱり考えていくべきだと思うんですね。それで一つは、それは外来種を一方で駆除しながら、人為的につくったものをまた入れるといったような基本的な考え方と、それから放鳥獣の実際の効果ですね。これが非常に、そんなことをやってもしようがないといったような、断片的なデータが少しずつ蓄積しているといったようなことですね。
それから、基本的には、飼養者からお金を取ったのは、あたかも釣り堀の代金のように、サービスとしてまた猟区にキジ・ヤマドリを放すという思想じゃなくて、やっぱり国民の共有財として、ハンターたちがそれを捕っているということに対する代償としてお金を取るんだという考え方で、基本的にはこの放鳥獣をやめていくという方向をもう少し書き込んでもらえないかなというふうに思うんですね。それで、これに使われているお金も非常に多大なもので、それをほかのところに回すということは、私は今の局面で非常に重要なんではないかなというのが、3点目ですね。
 それから4点目は、鳥獣保護員ですよね。鳥獣保護員は、従来どおり決めていっていただきたいという、これはこれで今の段階では重要なことだろうというふうに思います。市町村の再編等があって、しかしながら、かつては違法狩猟に対する取り締まりという位置づけでしたけれども、やっぱり鳥獣保護員は保護と管理の担い手だという認識をもう一度確認しつつ、将来的には、私はそれなりの権限を渡していくといったようなところを考えていかないといけないというふうに思います。それなりのお金と権限を与えていくという方向で、鳥獣法を背負っていってもらう人たちを、やっぱり積極的につくっていくという方向をお願いしたいというふうに思っています。
 以上、4点ですけれども。ありがとうございました。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 今、三浦委員のおっしゃったことについては、この基本方針の書き込みそのものを変えなければならない問題と、書き込みはこれで、その精神というか、今後どうやってやらなければいけないかという問題と二つまざっていたんですが、特に私が聞いたところでは、放鳥獣の扱いについては、これは書き込みそのものを変える必要があるご提案なんで、これをまずやって、そのほかは承りましたと言われれば終わりになるような問題かもしれませんが。

【三浦委員】 あと、個別指針の項目については入れておいていただきたいなと思いますね。

【山岸委員長】 どうぞ、お答えください。

【事務局】 放鳥獣については、あれですかね、是末さんのご意見を伺えればと思います。

【是末委員】 ここ、いいですか。

【山岸委員長】 先に伺いますか、関係するので。

【事務局】 そうですね、もしよろしければ、ちょっと狩猟の側からもいただければと。

【山岸委員長】 今、三浦委員のもう放鳥獣をやめちゃえという意見について。

【是末委員】 今、三浦先生のご意見ですが、これは地方の県によっては随分違うと思うんですね。キジを今、放鳥しております。そうすると、「種まきゃカラスがほじくる」というような格好で、放鳥したキジが作物を荒らすというようなことで、一部では批判があるんです。狩猟というのは、ご存じのように、獣を守ってとれというものが根本でございますので、これはぜひともやっていただきたいと。
 それから今、市田委員からもお話が出ておりますが、鳥獣保護員の権限ですね。これがなされていないものですから、後ほど出てくると思うんですが、メジロの批判等があった場合、権限がないから摘発ができないと。パトカーを見ると一番よくわかると思うんですけど、2人おります。複数です。鳥獣保護員が1人で摘発しても、後に裁判にかかったら多勢に無勢で、片一方はたくさんおって「あんたは1人じゃないか」ということで、逆になってしまうと。それで、違反のわながかかった場合、そういうものを摘発して、役所に持ち帰るということはできないんですね、権限がないから。ですから、警察当局に行くと、それは違反だと言うんですね。よそのものをとって、引き上げる権限はないから、だめだというようなことがあるわけですね。
 それから、もう1点、やはり市田先生がおっしゃった中に、各県統一で猟をすると。これは私ども、3県合同というので捕獲対策をやっております。宮崎・大分・福岡ということで、一斉に駆除をするわけです。そういうのも行っております。
 それともう1点、指針の変更の中にありますが、「狩猟者と地域住民との連携・協力や、狩猟者による技術指導等を一層推進することが必要である」というふうに書かれておりますが、これは私ども猟友会でも考えておるんですが、世界会議がありまして、大会があります。ドイツに行ったときにも、もう既に、ドイツは指導者の育成のために狩猟学校というのがございます。そして、指導者の指導をやっております。ですから、例えばイノシシは何種類ぐらいいるのか、イノシシの寿命は幾らだとか、そういうものをすべて勉強して、指導者の育成をして人材を確保するというようなことをやっておるようでございます。
 私の気がついた点では、そういうことなんでございます。よろしゅうございますか。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 多岐にわたっているので、特に先ほど、私もご提案しました狩猟のための放鳥獣について、ほかの委員の方、どなたでも結構ですが、ご意見がありましたら。
メジロの問題とか、広域の問題とか、それはこれからもう一度扱いますので、ちょっとお待ちください。
関係しているといったら、坂田さんですかね。ご経験があると言えば。

【坂田委員】 これ考えてみるんですけども、キジの放鳥獣をするのに、今の環境省のこの書き方は「しなさい」ということですか。「してもいいよ」ということですか。

【鳥獣保護業務室長】 必要な場合は、これでやってくださいということです。

【坂田委員】 そのあたりが大体冷静に考えると、しないところの方が多いと思うんですけれども、やはりここに書いてあると、今までもしていることだし、環境省の方は「しなさいと書いているわけではありませんよ」と幾らおっしゃられても、意外にこう書いてあると、今までの流れからいって、必要もないのにする。必要なときに、本当にキジの放鳥獣が必要だと、その場その場での判断でなされることはあると思いますので、その辺の事情、いろいろな地域によっていろいろな事情、理由なり目的で放鳥獣をされるということを禁止することもないのではと思いますが。三浦さんのご意見だと禁止するということで……。

【三浦委員】 いえいえ、やめる方向でと。

【坂田委員】 特に推奨するわけではない、制止するわけでもないということになれば、文章をよく読めば、その辺の環境省さんの考え方は、「必要ならば」ということなのでよくわかるんですけども、意外にこのたくさん書いてある中で、実際よく読んでみると、「必要ならば」とか「必要性を考慮して」ということが書いてあるんですけども、意外にそれを執行していく、実施していく都道府県の担当者になってくると、本当に必要なのかどうなのかも判断するのがすごく難しくなってくる。そのときにこう書いてあってやろうと、だれかに言われたときに、その必要性、何がそろったら必要なのかということが余りわからない状態になるので、いや、ここは指針にも書いてあることだし、やりましょうかということになってしまったりすることはあると思うんですね。
その辺で、恐らく本当に必要であれば、きちんとその条件がそろったところでやられる。必要じゃないならやらないということが、もうちょっと、よく読めばわかるんですけど、恐らくは、そこまできちんと実施する人が見てくれないということを考えて、指針をつくらなければいけないのかなと思います。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 非常にはっきりしてきたと思うんですが、よく読まなくてもわかるようにしろということだと思いますが。どうですか、お答えは。

【事務局】 それでは、7ページの上の方の。

【鳥獣保護業務室長】 資料Ⅱの方ですね。

【事務局】 Ⅱの7ページの方ですね。放鳥獣等というのがございます。狩猟鳥獣の鳥類のところの基本的な考え方というところにありますので、放鳥について効果を考慮した上で実施についても、実施の有無というか、実施をするかしないかについても検討するというような内容で加筆をするということで、ちょっと文言の詳細は、また後ほどということになりますけれども、基本的には効果を考慮して、実施についてしっかり判断してくださいということを書き加えるということでよろしいでしょうか。

【鳥獣保護業務室長】 補足しますと、7ページの一番上のところになりますね。1)の基本的考え方の中で、ちょっと坂田先生からもご指摘がありましたけれども、2行目ですかね、「必要と認められる箇所においては、放鳥する」と書いてあるんですけれども、これがずっと昔から変わっていないがゆえに、必要と認められるというのがポジティブな必要なのか、必要最小限の必要なのかというニュアンスというのが、ちょっと確かに出ていないということなんです。
必要とされるところ、真に必要なところはやるべきでしょうし、効果もないのに必要というふうに、何か継続だけしちゃっているようなところは、きちんと考えるということだと思いますので、この2行の「必要と認められる箇所」の前文になるのかな、これのイントロのところに「必要があるかどうか、ちゃんと検討した上で」というニュアンスの文章を入れまして、それで検討の結果、必要と認められたら、以下のとおりやりなさいというような構成にしたいと思いますが、そんな構成でよろしいでしょうか。

【山岸委員長】 三浦委員それで。坂田委員も結構ですか。
 それじゃあ、この問題はそういうふうに修文していただくことにして、後で私が確認させていただきます。
 それじゃあ、残った後の三つですが、ゾーニングの問題、それから狩猟者の確保の問題、それからもう一つは鳥獣保護員の資格の問題について三浦さんからあれが出て、是末委員からも全く同じことが出たと思うんですが、その辺について、まとめて事務局からお答えください。

【事務局】 広域指針の記載内容というか、具体的な中身で、しっかり都道府県県境をまたぐ部分についてのゾーニングを統一していくべきというところですけれども、これは、広域指針をつくっていくときには、基本的に国がかかわっていくことになる場合がほとんどに、今後もなると思いますので、その具体的な内容をつくっていく中での対応とさせていただきたいと思います。

【三浦委員】 実情を言いますと、シカとか今、広域指針をつくろうと言っているのが、ツキノワと、あとウですか。
それで、それぞれの自分の県の中での、例えばクマについては幾つぐらいのゾーニングをするのか、管理を前提とする場所と、それから放置を前提とする場所といったような2段階で区分、カテゴリー分けするのか。
それから、県によっては管理の中身も二つぐらいに分けて、全体で三つぐらいにするような、そういう分け方とか、ゾーニング自体の概念が各県ばらばらで、それを今度、県境をまたぐときに、それぞれの県の現状はどうなっているのかというと、大きな乖離があるというか、齟齬があるんだけれども。
それはだから、私は実際の運用の中で、各環境省の事務所の方が、そこを十分理解した上で調整を図っていただくというのであればいいんですけれども、これからは国と県の中で、必要なものについては自発的に、この広域指針はつくっていきましょうという方向になると思うし、そうならなければいけないと思うんですけれども、そのときにもうちょっと、せっかくこの項目が書いてあるんだったら味つけをしてもいいんじゃないかなというのが、私の意見です。

【山岸委員長】 具体的に、何ページのどこだか言っていただけますか。

【三浦委員】 Ⅰの11ページ。

【事務局】 12ページですかね、新しい12ページ。

【三浦委員】 ごめんなさい、Ⅰの12ページですね。

【山岸委員長】 何番のどこの何番だか。

【三浦委員】 Ⅰの12ページの[5]の広域指針の記載項目とあります。その中に、保護管理のための地域説明とかね。

【山岸委員長】 何番ですか。

【三浦委員】 対象地域があるので、だからここに入れてほしいなと。この記載項目。

【山岸委員長】 事務局、わかりましたでしょうか。

【三浦委員】 言っている意味、わかりますか。

【事務局】 対象地域はその指針のエリアを、何県、何県、どこどこのエリアですということを書くというイメージだと思うんですけれども、そこに……。

【三浦委員】 そこに、つまりこれだったら、各県の特定計画をコンバインすれば、それでもう書いてある形ですよね。広域指針というのは、それらを統合して、どういう方向性を示すのかというところにグレードアップしないといけないわけですよね。
そのときに、一体何なのよと、その中身は。そうすると、その中身は対象となっている地域個体群をどういうふうに区分けしながら、それぞれの県を越えて、統一的な目標をつくるのかというところにしないといけないわけですよね。それがないんじゃないかと。

【山岸委員長】 具体的に言うと、[5]の4番をもう少し意味のあるような書き方をしろということですか。

【三浦委員】 私はだから、ゾーニングという言葉がこれで定着しているかどうか、わからないんですが、鳥獣保護法の世界の中で。でも統一的なゾーニングとかって、明快に入れるのは一つの手だとは思うんですね。

【鳥獣保護業務室長】 今のはあれですよね、広域指針のこの記載項目の4番の対象地域というのは、どっちかというと、このエリアですよ、全体の一番外側の線、この中で広域をやりましょうという考え方の地域ですよね。
 先生がおっしゃっているのは、例えばA県とB県が同じ点でこう接しているときに、こっち側ではA県とB県で考え方が違うと、幾ら足しても木に竹をついだみたいになっちゃうでしょうということだとすると、この項目の中の[5]の管理の(3)目標を達成するために必要な広域的な連携施策の考え方、ここの中でA県とB県が連携するときに、お互いそれぞれ有識者の意見を踏まえてゾーニングしているので、軽々にどちらかの意見をつぶすというのは難しいと思いますけれども、この[5]の(3)の広域的な連携施策のときに、各県が自分の特定計画だけを主張するんじゃなくて、すり合わせるところはすり合わせるという、(3)の実際の指導の仕方というか、そこになりますよね。

【三浦委員】 そうなんです。

【鳥獣保護業務室長】 だから、4番で受けるのではなくて、[5]の(3)で広域的かつ、例えば整合のとれた連携施策の考え方とか、そういう形で趣旨を盛り込ませていただいて、ただ整合のとれる幅というのは、各県ごとに下りられるところ、下りられないところとか経緯があると思いますので、そこはちょっと現場判断ということで、先生のご趣旨を踏まえて、[5]の(3)の今の原文を「広域的かつ整合のとれた連携施策の考え方」というふうに、書き足していただくということで。

【三浦委員】 その後に括弧して、ゾーニング等と入れておいて。

【鳥獣保護業務室長】 ゾーニング等ですか。

【三浦委員】 入れておいていただけると。

【山岸委員長】 ゾーニングしたいわけですね。

【事務局】 告示文になるので、それが入れられるかどうかは検討させていただきたいと思います。

【山岸委員長】 方向はそういう方向で修文するということで、ほかの委員の先生方、それでよろしゅうございますでしょうか。三浦先生いいですね、それで。
 そうしたら、今のゾーニング、狩猟者の確保、それと鳥獣保護員の資格みたいなものに関して。

【鳥獣保護業務室長】 これにつきましては、先ほど冒頭、山本の方から申し上げましたけれども、鳥獣保護員の使い方というのと、ハンターさん、あるいはハンターさんにかわる保護の担い手ですね、個体数調査の担い手、そういうのをパッケージでどういう人材を今後、どう確保していくのかということを検討しなければいけないと思っておりまして、これはどちらかというと制度、鳥獣保護法そのもののところに絡むことだと思っておりまして、今回の三浦先生のご意見は議事録で残りますから、それを踏まえた上で、今後の制度検討の中で、人材育成というジャンルの中で受け止めていきたいと思っております。
 ちょっと今、局の中でもいろいろ議論しているんですが、今いる狩猟者、狩猟免許を持っている方々をどう活用していく、それからそこで対応仕切れない部分をどうしていく、新しい免許制度なのか、あるいは新しい資格制度なのかわかりませんが、人材、そして鳥獣保護員を今の時点に合った形で、どういう役割を担わせるかといったようなことを複合的に、今回、小委員会報告でいただくこととしています人材の確保と育成というのを、三丸目になりますが、「鳥獣の保護管理に携わる人材の確保と育成を一層強化するための方策」と、ここのところで受け止めさせていただきたいと思います。セットで。

【山岸委員長】 よろしゅうございますね。ありがとうございます。
 それでは別の問題ですね、市田委員、どうぞ。

【市田委員】 今回これを拝見して、これだけ大きなものをまとめるのは大変だったろうなとは思うんですけれども、ただ、せっかくCOP10とかがあって、生物多様性だという新しいものが入ってきた割には、今までやってきたものが、そのままずっとこういくというイメージが強いなという感じがするんですね。
 それはやっぱり鳥インフルエンザだとか、鳥獣害だとか、いろいろ頭の痛い問題がいっぱいあるから、そうなるんだろうとは思いますけれども、でも、だとすれば、なおさら幾つか、これはやるんだというのを書いてほしかったというふうに思うわけです。それが日韓の話と、愛玩飼養の件でお話をしたかったんですけども。
日韓条約というのはご存じのように、もう10年以上、結ぶと言って手続に時間が少しかかるからということで、日韓の環境会合の席を利用して、とりあえず暫定的にそれでやっていって、条約に結びつけようという話で来ているんですけれども、だんだんその条約の話が消えていったというか、薄くなってきて、もうこれでいいんだという感じのイメージが少しあるかなと思うんですね。だから、ここでも、この4ページに会合でやっているんだということよりは、(6)で渡り鳥条約はあるけれども、日韓についても鋭意検討するんだとかと書けば、もっと前向きだなという気がするんじゃないかと、こう私は思いました。
 とりわけ、愛玩飼養の件に関しては、これは古いことを言うと、大体嫌われるんですけれども、大体昭和の32年といったら、はるか昔でしょう。そのときにもうやめようということになって、ただ、今までやってきた経緯があるから、突然はやめられないので、暫定的に7種類を残すと議事録にも書いてありますけれども、暫定からそのまま20年ぐらいずっと来たわけですよね。それで、広辞苑を調べてみても、暫定は何年かというのは書いてありませんけれども、少しの間と、こう書いてある。
それにしては、随分かかり過ぎているんじゃないかというのが、1979年くらいに議論になって、でもそのときまで、そういう議論がなかったから、環境庁さんとしては、いや、突然そんなことを今さら急に言われても困るよということで、7種類も全廃できないけれど、とりあえず4種類にして、だんだん減らしていこうという議論があのときにありました。
ですから、80年に4種類に減って、その後、皆さんのご努力で1種類まで持ってきたということですけれども、でももうそうすると、議論が始まってから50年ぐらいかかっているわけですよね。もうそろそろ、この辺でやっぱり決着をつけていただきたいというか、そういう時期だろうと。
もう50年というのは、やっぱり暫定的という範囲からは相当外れているというか、長い暫定だったと思うので、もしここで基本的にやめる。それで、例外措置もこれからやめるんだというのであれば、いつまでにそれをやめるのかとか、そういった話をもうここら辺でしていただくと、前向きにいろいろおやりになるなという感じがするなと、こう思うので、ぜひその辺は前向きのお答えをいただきたいなと、こう思うんですけど。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 今の市田委員の論点は二つあって、一つは日韓渡り鳥条約の問題、もう一つは飼養動物の問題、二つあります。これについてお答えいただく前に、ほかの委員の方で類似の意見なり、反対意見なりがあったらお伺いします。
 どうぞ、石井委員。

【石井委員】 愛玩飼養の件ですけれど、私は基本的にそういう時代なのかなと。少し遅過ぎたという意見もありますけれども。それでそのことについては、まあ、そうかなと思います。ただ、そのときに、なぜこれをやめなければいけないかという理由がいま一つ、私にはわからないところ。
それは、例えばもう50年以上といって、昭和32年とか、あるいは53年で廃止という方向にいこうという、その頃と今とは、自然に関する考え方も、保全に関する考え方も大分違ってきているので、当時どういう理由でこれを廃止しようというふうに理屈がつけられていたかというのは、どこにも書いていないので、それは見てみたいと思います。
ひねくれたことを言うと、たくさんいるものを少しとって、狩猟なんかがまさにそういう考え方ですし、利用するということ自体には保全生態学的に言うと、種の保存とかということを考えると問題がないので、やっぱりこれは理念的なことで、特に鳥に限っては、野生のやつをつかまえて飼うというのはよくないことという、そういうことがベースにあるのかなと。それで、それが社会的な合意になっているんであれば、これは廃止しましょうと。当時も、それから今もそうで、特にそういう傾向は、むしろ強くなっているのかなと思います。
それで、野鳥の愛玩飼養とか、鳴き合わせとか、私もいろいろ資料を送っていただいて知らないことがいっぱいあったんですけど、一つの好き嫌いとか、いい悪いは別にして、文化というのをなくしていこうという方向ですから、文化多様性の保全とかと、いろいろなところに書いてありますけど、そういう観点から言うと、逆行しているとは言えないこともないとは思います。
あとは、外国産の鳥獣は幾らでも野生からとってきたのを飼ったりしているとか、あとはそういうことを考えると、そんなにすっきりと、これがきちんとした根拠に基づいてこういうふうに決めるというふうになっていないのかなと、少し、そこのところはひっかかったものですから。ただ、あんまりそれを言うと、やぶ蛇になることもあるのかなと思いますので、ただ、そういう整理は必要で、こうこう、こういう理由なり根拠に基づいて、日本では野鳥をつかまえて飼うということはやめていきましょうという、そういう整理がどこかであって、それでこういうことを決めていくというふうにしていただきたいなと、そういうふうに思います。
保全生物学的な観点から、野鳥を捕獲して飼うということに問題があるとすれば、メジロなんかは外国産のを持ってきて、日本のと置きかえて、それを放しちゃうとか、外来生物の問題とか、あとは特定の個体群に捕獲圧が強くかかるとかということがあって、あともう一つは野鳥をつかまえて飼うということで、保全上、プラスになることがあるだろうかというと、昔はそういうことをやって人がいっぱいすぐれた研究者になって、いろんな成果を上げているというのを個人的には知っていたりするものですから、そういうことはなくなって、自然からある意味、少し切り離されたような状況が進行するのかなというようなことは、ちょっと思いますけれども、全体としてはこういう方向なんだろうなということです。

【山岸委員長】 ということは、この書き込みぐらいでいいんじゃないのかという。

【石井委員】 修文としては、特に提案はありませんけど、私の意見に少し説明を加えたいと思って加えました。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
ほかにどうですか、この2点で。どうぞ、坂田委員。

【坂田委員】 私の方も鳴き合わせの文化的背景だとか、そういうことについて精通しているわけでもありませんし、あとメジロの生態学的な状況ですね、どの程度捕獲がメジロの個体群に影響があるのか、その辺の知識は全くありませんので、このこと自体の是非については、特に意見を差し挟むことはないんですけども。
 ただ、やはり石井委員のおっしゃられるように、一つの文化を抹消することであって、例えば少し前の狩猟が恐らく同じような状況だったと思うんです。狩猟というのは、やはり動物を殺して食べる、皮をはぐ、イメージ的には悪いんですけれども、やはりそれは人間にとって必要なことで、生活上、家畜や輸入したものなりをつくるようになって必要なくなったんですけど、ところが今の状況、やはり捕獲の技術、あるいは捕獲の技術を持っている人が野生動物の生態なり、動きなり、昔からの環境の変化なり、動物の状況の変化をそれなりに記憶していたり、記録していたり、そういうことが私たちの今の野生動物対策のもとになっているか、参考になっているというような状況もありますので。
そういうことを考えると、安易にといいますか、石井委員の言われるように、私も状況を知らない中で言いますと、やはりもう私の生まれる前からの取り決めが今まで実行されていないというのは、恐らくそれは実行しなくても必要がなかったのか、やっぱり実行しなかったために非常に影響があるのか、その辺のところをきちんと判断した上で、本当に抹殺すべきなのか、それともある制限の中で、それも制限をどのくらいきちんと制限がかけられるかということにもよりますので、全く制限をかけても有効な制限がかけられないので、もう全面的に禁止してしまうというのも、その制限が非常に重要なことであれば一つの判断だと思いますけども、その意味では少し慎重に議論した方がいいかなというふうに、私も思いました。

【山岸委員長】 この問題はまだありますか。どうぞ、羽山委員。

【羽山委員】 私はこの愛玩飼養を目的として捕獲し、さらに狩猟するという、これに関しては、やはり廃止で適当だと思うんですね。これは、例えば外来生物法ですと、愛玩目的での飼育という、利用というのは原則禁止になっていますし、ですから、その個人のというところが、要するに共有財である野生動物を個人の愛玩のためにというところが、多分ひっかかっているので、本当に伝統文化が守るべきものであれば、後ろの方にそういう目的の捕獲許可基準がありますよね。やはりそちらできちんと許可を得てやるべきで、狩猟に関してはちゃんと免許があってやっているわけですから、そういう意味では、これは原則廃止すべきですし。
実は、日本獣医師会でも外来生物法ができた後に、そういった野生鳥獣を個人が飼育することについての是非というのは散々議論したんですけども、やはり原則禁止にすべきだと、これは外国産も含めてですね。これはそういう意味では、国産のものに限らず、やはり禁止していくべきじゃないかなというふうに思います。

【山岸委員長】 何か提案者の方で。

【市田委員】 私たちも理由をちゃんとしないで、とにかく禁止すればいいということを申し上げているわけではなくて、ただ、今のように愛玩用に飼うのを禁止するのか、しないのかというふうに、はっきりとあれば、みんなわかりやすいでしょう。
でも、こういう例外があって、こうなってというふうになってくると、それは一般的にはそんなに周知できないんですよね。そうすると、やっぱり飼っていいんだという話がずっと残っていて、それが密猟とか、そういうものにストレートにつながっていくわけですね。それは、今度は民間のそういった密猟対策グループというのが全国的にあって、いろんなことをやっていらっしゃるわけですけれども、だから、先ほど羽山委員がおっしゃったように、はっきりとした原則で、右、左というふうにしておいてもらえば、後それから先の弊害が起こらないという、そういう意味での今回の提案なんです。

【山岸委員長】 ほかに、委員の中から何か。
どうぞ、染委員。

【染委員】 今の議論を聞いていて、多少疑問に思いましたのでお伺いするんですが、この22ページの愛玩のための飼育ということで、この都道府県が特別の事由により許可するという要件が書いてありますが、それと、後ろの方で23ページの(7)の方の伝統的な祭礼行事等に用いる目的、これとはどういうふうに区別されているのか、ちょっと素人の質問で恐縮でございますが。
 その上で、(4)の愛玩の方で、なぜメジロがひっかかってくるのかというのが、なかなか理解しがたい面がありますので、それをちょっと教えていただきたいと思います。

【山岸委員長】 これは質問ですので、お答えいただけますか。

【事務局】 伝統的な祭礼行事等に用いる目的の中では、個人のための愛玩飼養の目的というのは認めていないということで、単純にここではメジロの個人が飼育する部分は認められていないということです。愛玩の飼養の目的での許可は、別のものとして今まで扱ってきているということです。

【染委員】 端的に考えれば、メジロをここで書いてあるような「屋外で野鳥を観察できない高齢者等に対し自然とふれあう機会を設ける」というようなことで、そういう理由でお飼いになるというのは、なかなか考えがたいんですよね。そんなのは一般的に、例えばジュウシマツとかブンチョウとか、ブンチョウは今はいいのかどうか知りませんけど、そういうイメージですよ。それがメジロがこういう理由でいいですよと。
それで一方、文化伝統の方は、具体的にそれは決まっていないということかもしれませんけど、それをもって、いや、メジロが読めるのか、読めないのかよく知りませんけれども、その辺の使い分けというのは、極めて矛盾のある感じになっているんじゃないですか。
そういう意味で、これはすぐに解決できないような問題かもしれませんが、そういう意味では今の書きぶりでやむを得ないという結論になるんですけど、中長期的には、この辺をどうしていくのかということを、きちんと考えていかなきゃならないんじゃないかというふうに思います。

【山岸委員長】 どうですか、委員の先生方、愛玩の問題について。出尽くしたようだったらどう対処されるか、さっき。
課長の方から、それじゃあ。

【野生生物課長】 まず日韓の方ですけど、昨年11月末から12月初めにやった新潟での会議、市田先生にもご出席をいただきましたが、日韓の間で、今の環境保護協力協定に基づく会議ではなくて、渡り鳥に特化した条約を結ぶということについては、韓国側の環境部局の方も問題はないと。
ですから、両国環境部局の方では問題ないだろうということで、あとは外交ルートといいますか、外務省サイドの問題もあるんですけど、今の外務省はそういう方向で考えてくれそうな雰囲気もありますので、ここに改めて今、日韓環境保護協力協定を持つ会議をやっているという実態を書いたからといって、これでいいという意味ではありませんので、その辺の前向きなニュアンスが出せるような表現にできるかどうか、その辺は工夫をしてみて、外務省ともちょっと相談をしてみたいと思います。

【鳥獣保護業務室長】 メジロは私の方で。
 先ほど先生方からいろいろご意見をいただきましたけれども、まず資料のⅠの24ページをごらんいただきたいと思います。
 市田委員にとっては、これまでの積年の課題で動いていないということは、ご指摘は重々承知でございますが、やはり国としては、ある一つのことを絞っていく、4種が3種になり、2種になり、1種になるということと、1がゼロになって、完全廃止になるというところには、ちょっと一つ慎重を期すことが必要と思っておりますが、一方で方向性としては、従来の議論の方向性というのを、これは尊重しなければいけないと思っております。
そういったことから、従来、愛玩飼養については認める場合はこうですよというようなことで、これは逆に資料Ⅱの22ページをごらんいただきたいんですけれども、資料Ⅱの22ページから23ページの中では、従来、アンダーラインが引いていない左側では、愛玩飼養の目的というのはこういう場合はいいですよということで、できればやめてほしいことなんだということが出ていなかった。
そこのまず姿勢を明らかにするという観点で、Ⅰの24ページに書いたように、もう「原則として許可しない」ということを、まず国の姿勢として明記をいたしまして、あわせて原則として許可しないというのは、じゃあ、例外をばんばん認めるのかということについては後段にあるように、「愛玩のための飼養を目的とする捕獲等については、今後、廃止を検討する。」ということで、方向性ははっきり右だよということで示そうと思っているわけでございます。
議論はいろいろあろうかと思いまして、今後、周知期間という部分と、それからきちんと中身を整理した上で、廃止なら廃止で着陸するということでやらせていただきたいと思っておりまして、そういう意味では従来、暫定的にとか、期間的にゴールが右なのか、左なのか見えないまま、何となく延ばされていたことに関していえば、右だということを明示した上で、ここで先生方のすぐ廃止すべきではないかというご議論もあったことも踏まえて、今後この検討をやるということは、そんなに長い時間を置くものではないと。
ただ、ご案内のとおり、ここにいるメンバーで賛成派、反対派というのは言葉が悪いのかもしれませんが、国としてあるものを、完全に打ち止めにするということについては、いろいろな意見を聞いた上で判断しなければいけないと思っておりますので、やはりこの委員の中で最終結論を出すには、ちょっと時期尚早かなと思っております。
ただ、環境省としての方向性はここに書いたとおり、今後、廃止を検討するわけでございますが、やはりある一つのものを完全に打ち止めにするということについては、慎重な議論をした上で結論を出したいと思っております。その期間について3年とか、5年とかというのはなかなか申し上げることは難しいですが、できるだけ我々もそんなに時間をかけずに検討してまいりたいと思っております。
ただ、3年でとか5年でというと、逆に言えば、例えば検討会をやったときに、議論はするけど、5年後にやめるんでしょうというところで、この廃止のための検討会はできませんので、そこはおしりを切ってと、3年とか5年とか明示してというのはちょっとご勘弁いただいて、それはきちんと議論した上で、それが重々調べてみないとわかりませんけれども、文化祭礼で例外を認めなければいけないものなのか、それとも、いや、それはやはり文化祭礼じゃないねという判断をすることなのかということもきちんと検討して、結論を出していくと。
また、今現に、これまでの経緯でいえば、都道府県の約半分はもう認めていないわけですが、残り半分で認められている方もいるわけでございまして、そういった方に周知をしながら、やはり世の中に押し切って、がっと進めるのではなくて、理解されてちゃんと軟着陸していくということも行政としては大事だと思っておりますので、歯がゆい部分がおありだとは存じますが、行政としてここまで明示的にまず書いて、それでしかるべくちゃんと審議を尽くした上で結論を出すと。
ただ、ニュートラルポジションというよりは、右ですよということで臨んでいきたいと思っておりますので、ぜひ今回そういう意味では、我々も一歩前へ出たなとは思っておるんですけれども、この方向で十分調べるものは調べて、また声なき声というものがあるのであれば、それもちゃんと聞いてということで、きちんと考えて廃止に向けての検討というのを進めてまいりたいと思っておりますので、ここはご理解を賜りたいということになるんですが、よろしくお願いしたいと思います。

【山岸委員長】 また、広くという意味では、この後、続いてパブコメもあるわけですから、それもまた参考にされたらよろしいかと思います。
 それでは、ほかの問題で何でも構いませんので、前もってご意見をいただいている方でこの対処は気に入らないとか、満足しないというような方がございましたら、どうぞ、ご遠慮なくお出しください。羽山委員。

【羽山委員】 まず質問をさせていただきたいんですが、Ⅱの42ページ、感染症対策のところです。ここで、共通感染症関係の法律、例えば感染症法とか予防法とか、あと口蹄疫特措法とかいろいろあると思うんですけど、ここに家畜伝染病予防法だけが特出しになっているのは、何か理由があるんでしょうか。

【事務局】 やはり家畜と鳥獣ということで、感染症が共通する場合が多いですし、注意するべき法律として、特にこれを示しているということで、あえてほかのを書いていないというよりは、あえて家畜伝染病予防法を書いているということです。

【羽山委員】 実態から、すべての県については知りませんけれども、少なくとも環境行政サイドでこういった問題に取り組まれている際に、どうしても衛生部局、それから農林水産部局、こういったところとの連携が不可欠で、それを進めなさいというのがこの基本指針の考え方だと思うんですが、実態的には、その関係法令がそれに十分対応していないということもあって、むしろ連携の協議そのものを、かたくなに拒否しているような自治体すらあるという状況の中で、やはりこれは関連する法令というのは、可能な限り明記して、将来的にはそれらが野生鳥獣に対応できるようなことを、今後は検討していく必要があるなというふうに感じています。もちろん、ここに書いたから何だという話ではありますけれども、やはり今後の課題を明記し、しかもそれらが十分、野生動物に対応できていないということは認識しておく必要があると思っています。
 それに関連してなんですけれども、その上の傷病鳥獣についての記述がちょっとひっかかったので、これは1件言わせていただきたいんですが、この修文されたところ、「ただし」以下ですけれども、これは恐らく実態として、かなりの自治体が最近、例えばカラスですとかアライグマですとか、特定の動物をもうシャットアウトすると。受け入れを拒否するというようなことが行われていますけれども、こういった感染症をサーベイランスしていく上で、環境省も盛んにふんを採取されたりですとか、努力されているとは思いますが、生身の動物が、しかも衰弱した動物が年間数万頭もこういった施設に収容されてきているという実態を考えたとき、こういう動物から我々はきちんと情報を得ていくという体制をとることの方がより効率的だし、効果的だと思っています。
しかし、それがこの記述があることで、むしろ積極的にいわゆる有害動物、あるいは外来動物ですね、こういったものを救護から外していくというのは、むしろこの感染症対策を進めていく上で逆行するんじゃないかなという懸念がありますので、ここは慎重に判断されるべきだというふうに、私は考えております。

【山岸委員長】 それでは、そのことについて、事務局のご意見。

【事務局】 まず、最初のご指摘の法律、関係法令についての記載ということについては、感染症法ですとか、ほかには具体的には。

【羽山委員】 例えば狂犬病予防法ですとか、口蹄疫特措法ですとか、ちょっとすべてを今思い出せませんけれども、関係する法令ということであれば、幾つかあるかと思います。

【事務局】 わかりました。そこはまた情報をいただいて、書き込めるものについては書き込んでいくということで、対応させていただきたいと思います。
 それから、傷病鳥獣についてということですけれども、確かに傷病鳥獣から得られる情報が多く、それを積極的にということについては、それはそれでまた記載をしていたかと思います。
前のところの8の(1)の[7]のところで、「感染症の有無等に関する情報を可能な範囲で収集する体制を整備し、得られた情報を分析評価の上必要に応じて対策を講じる。」というところで、基本的な考え方としてはお示しをしております。
次のところで書いているのが、個体の取扱いということになりますので……。

【羽山委員】 要は、そもそも論として受け入れないんだから検査しようがないんですよ、現実問題として。ですから、やはりもっとこの前段になるかもしれませんけれども、感染症対策として、今後、野生鳥獣についてどういう対応をしていくのか。
鳥インフルエンザに関しては示されていますけれども、その他、もろもろについて、しかもそれも発生時対策についてはまだまだ不十分ですし、それからこれから日本に入っていない危機管理として対応すべきものも、まだまだたくさんありますし、そういったものについては、まだ十分マニュアル化もされていませんし。
ですから、そういったところで今後、ご検討いただきたいなと思いますけれども、ただ、さっきのところについてはそもそも、さっきのメジロの話ではないですけど、シャットアウトしてしまったものを、また新たに受け入れましょうという方が大変じゃないかなと、ちょっと懸念をしていますので、ここは慎重に対応された方がいいと、私は思っております。
 もし、ですから、傷病鳥獣に関しては、各地域の実情に合わせて、考え方を合意形成の上で、その地域の救護体制を整備しなさいとか、そういったところがありますよね。むしろそこの中で十分吸収できる話で、ここに殊さらに明記するような中身じゃないなというふうに思っております。

【鳥獣保護業務室長】 そうすると、当然、指針ができ上がった後に、指針を実際ワークさせるための通知類を出しますけれども、その中で羽山先生おっしゃるように、傷病抗体を受け入れなかったら調べようもないので、できるだけ地域の実情に応じて、受け入れられるものは受け入れて、検査・分析しなさいというようなことを指導の中でしていくということで、ワークしていくということでしょうか。

【羽山委員】 いや、そうではなくて、ここの基本指針の中で、傷病動物については各地域でどう扱いかというのを決めなさいと言っているわけですよ。だけど、現実問題、それが要綱レベルでは幾つかの県ではつくられていると思いますけれども、きちんと合意形成の上で、うちの県ではどういうふうにしましょうというのを決めているところは、多分ないと思います。
基本指針は全然実行されていないので、ですから、むしろそっちをきちんと整備する方が先で、それをやらないうちに、もう最初から門前払いができますよというような条項をなぜ入れるのか、ちょっと私には理解できない、そういう意味です。

【事務局】 それでは、今書いているところが救護個体の取扱いのところの[5]に加筆をしたんですけれども、そうではなくて、基本的な考え方の中で、そういったところについてはきちんと趣旨を踏まえて合意形成をするように明記して、その辺の選定も含めて考えていくということを書いていくということにさせていただきたいと思います。

【山岸委員長】 羽山委員、それでよろしゅうございますね。
 それでは、ほかの問題、何でも結構です。染委員、大丈夫でしょうか。
 それでは、大変貴重なご意見ありがとうございました。
そろそろ意見も出尽くしたようですので、このあたりで本日の審議を終わりにしたいと思いますが、本日のご議論に基づいて、本日お配りしたものに修正を加えて、指針及び小委員会報告の小委員会としての案を作成しますが、細かい表現とか修文のやりとりは、委員長の私にお任せいただけるでしょうか。

(異議なし)

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 それでは、そのほか何か、事務局からありますでしょうか。

【事務局】 それでは、資料5についてご説明させていただきます。今後のスケジュールでございます。
 本日が23年度の4月25日、鳥獣保護管理小委員会の3回目でございます。本日のご意見を踏まえた修文をしまして、パブリックコメントにかけてまいります。その間、都道府県の担当者会議ですとか、農林水産省との事前協議なども行いながら案を固めていきまして、6月から7月、鳥獣保護管理小委員会の4回目と中央環境審議会の野生生物部会を開催する予定でございますが、この二つにつきましては、場合によっては、まとめて一気に同日で開催することも検討しておりますので、これから日程調整をさせていただきたいと思います。それから8月頃の告示を目指すというスケジュールでございます。
 お手元に日程調整のカレンダーがあるかと思いますので、そちらに記入いただいたら、事務局の方にそのまま置いていっていただくか、事務局の方にお返しいただくか、今わからなければ、後ほど返していただくということでお願いをしたいと思います。
 以上です。

【山岸委員長】 ほかに何か事務局ありますか。
 それでは、大変長時間にわたり、ご議論をありがとうございました。
これをもちまして、本日の鳥獣保護管理小委員会を閉会といたしたいと思いますが、ご協力、大変ありがとうございました。

【事務局】 委員長、ありがとうございました。
これをもちまして、鳥獣保護管理小委員会を閉会させていただきます。
 ありがとうございました。