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■議事録一覧■

中央環境審議会野生生物部会
平成22年度第1回鳥獣保護管理小委員会会議録


1.日時

平成22年11月11日(木)10:00〜11:52

2.場所

環境省第1会議室(第5合同庁舎22階)

3.出席者

(小委員長) 山岸  哲
(委員) 石井 信夫 磯部  力 市田 則孝
是末  準 福田 珠子 三浦 慎悟
坂田 宏志 羽山 伸一
(環境省) 渡邉大臣官房審議官
亀澤野生生物課長
宮澤鳥獣保護業務室長

4.議事

【事務局】 それでは、皆様おそろいで、定刻になりましたので、ただいまより中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催させていただきます。
 本日の出席者数ですけれども、12名中9名の出席であり、中央環境審議会令によりまして定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
 今回は、本年度第1回目の小委員会ですので、開会に先立ちまして、事務局より委員・出席者のご紹介をさせていただきます。
(委員・出席者紹介)

(資料確認)

 また、本小委員会の資料及び議事録の概要につきましては、後日、環境省のホームページにおいて公表されますことを申し添えておきます。
 それでは、山岸委員長、よろしくお願いいたします。

【山岸委員長】 はい、わかりました。
 おはようございます。ただいまから平成22年度第1回の鳥獣保護管理小委員会を開催いたしたいと思います。
 鳥獣保護法に基づく基本指針について、今年度がちょうど5年ごとの見直しを行う年ということですので、この小委員会において委員の皆様のご協力を得ながら、今後の鳥獣保護管理について考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事に先立ちまして、環境省の渡邉審議官よりご挨拶を賜りたいと思います。

【渡邉大臣官房審議官】 ありがとうございます。おはようございます。
 まず初めに、この鳥獣保護管理小委員会にご参画をいただきまして、また、本日大変忙しい中ご出席をいただきましてありがとうございました。あわせて、いろいろな形で自然保護行政の推進についてご協力をいただいておりますことにも、あわせてお礼を申し上げたいと思います。
 先月10月、愛知名古屋で生物多様性のCOP10が開催されました。その中で報道もいろいろされましたけれども、条約ができてから18年間にわたってずっと対立した議論を続けてきたABS、遺伝資源の利用と利益配分に関するルールということで名古屋議定書が採択され、あわせて2010年以降の新しい世界目標ということで「愛知目標」という新しい目標が採択されました。2050年までの長期ビジョン、その中には人と自然の共生という考え方が盛り込まれました。その長期ビジョンのもとに2020年までのミッション、そして20の個別のターゲットという三層構造の新しい生物多様性の世界目標についても合意できました。その二つの重たい主要議題のほかにもたくさんの重要な決定、重要な成果を生み出すことができました。
 COP10に向けて、今日集まっていただいている委員の皆様からも、いろいろな形で応援やアドバイスをいただいてまいりました。そのことについてもお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 こういった世界的な議論、国際的な議論を、今後の課題としては国内施策の充実に結びつけていくことがとても大事なことと捉えています。
 この委員会でご議論いただく鳥獣保護事業に関する基本指針の改訂は、各県の鳥獣保護事業計画をつくっていく上での方向性を示す非常に重要な意味を持った作業になると思っています。国内施策の充実という中で、その一環として非常に重要な位置づけを置いてこの作業に事務方も取り組んでいきたいというふうに思っています。
 10月4日に野生生物部会でこの基本指針の作成について諮問させていただいて、それを受けてこの小委員会を設置して、小委員会での議論を重ねていただいた上で、23年、来年の夏を目途に野生生物部会でこの基本指針に関する答申をいただくことを目指すという予定でございます。その答申に向けて本委員会での議論を進めていただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 前回の基本指針の作成が平成19年でございました。それから5年が経つわけですけれども、この5年の間に、例えば鳥獣被害防止特措法が制定され、あるいは鳥インフルエンザ、口蹄疫といった感染症の発生ということもあり、先ほど申し上げました生物多様性条約のCOP10での議論や決定があり、いろいろな新しい環境行政を取り巻く状況の変化が出てきています。こういった変化を踏まえて、適切な基本指針となりますように、皆さんから忌憚のないご意見をちょうだいしながら議論を進めていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【山岸会長】 ありがとうございました。
 それでは、議事の一つ目、早速ですが「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」、これの見直しの進め方について、事務局よりご説明をお願いいたします。

【鳥獣保護業務室長】 鳥獣保護業務室長の宮澤でございます。
 それでは、お手元の資料1をご覧いただきたいと思います。
 こちらにこの委員会のターゲット、また今後のスケジュールについて記しております。
 まず、1番目、基本的な考え方でございます。
 これまで、第9次、第10次と指針を改訂してまいったときには、タイミング的には法改正と重なっておりまして、法律の改正を議論し、それを踏まえて基本指針を議論するといったような、セットで検討を行っておりましたが、次回の法改正は、ちょうどずれる、附則によりまして平成24年度以降とされているところでございます。これにつきましては、ちょっと裏面を見ていただきたいのですが、鳥獣保護法の第三条で基本指針を定めるということについて規定しておりまして、特に第三条二項第二号にあります鳥獣保護事業計画、これは都道府県が立てるものでございますが、これが現行のものではちょうど平成24年3月31日まで、つまり平成23年度末までというふうになっております。そのために、今から議論をして来年23年の夏ごろに答申を出し、そして夏から年度末にかけて県の方で準備をして保護事業計画に間に合わせるといったようなスケジュール感で考えております。基本指針は、そういったことで、県の事業計画の目安、道しるべとして、半年ぐらい前にでき上がっていなければいけないということで若干早い検討時期になっているわけです。
 下に附則をつけてございますけれども、現在の鳥獣保護法改正のときに附則がつきまして、第七条のところに、この法律施行後5年を経過した場合に、施行状況に検討を加え、必要があれば所要の措置、つまり法改正等を行うというふうに定められておりまして、この現行法の施行日が平成19年の4月16日でございますので、5年経つと平成24年度になるということからすると、この附則に基づく法改正を待っていると、基本指針、鳥獣保護事業計画が間に合わないということで、先にまず指針は指針としてつくって、それでその後に法改正が来るという、ちょっとずれるタイミングに今回は当たるということをご理解いただきたいと思います。
 表面に戻っていただきまして、1の今1パラ目につきましてご説明したのですが、2パラ目でございます。ただ、基本指針を議論していく中で、当然いろいろな意見が出てくると思います。2パラの部分、後段になりますが、基本指針で対応できないものにつきましては、上記の法改正の検討時に反映させるとしています。あるいは、法律を変える必要はないけれども、例えば、予算とか取組が足りないというようなものについては、そういったことをご意見としていただくということで考えております。
 具体的な流れといたしまして、下の進め方になりますけれども、11月11日、これが本日、第1回ということで、課題・論点の抽出ということになります。事前に委員の皆様にメールでお送りしておりますA4横のご参考のたたき台があったかと思いますが、あれを一つの参考にしていただいて、今の基本指針、ここが足りないんじゃないかとか、この部分はしっかり書いてあるけど実行が足りないんじゃないかといったようなご意見を、今日はまず放談といいましょうか、闊達にご意見をいただきたいと思っております。
 そして、次回12月に第2回を予定しておりまして、関係団体等からのヒアリングでご意見をいただこうと思っております。また、各都道府県でどうであったのかということにつきまして、現在まとめている最中でございまして、次回、各都道府県での意見といったものにつきまして、次回ご披露させていただきたいと思います。
 そして、年が明けまして、第3回目を1月から2月ごろに考えておりまして、ここで第1回、第2回の議論、また情報を踏まえて基本指針の改訂の原案というものをご議論いただきまして、それを取りまとめた上でパブリックコメントで国民意見の聴取を考えています。
 そして年度が替わりまして、4月ごろに、トータルとしては第4回目になりますけれども、年度が替わるので23年度第1回と書いておりますが、ここで答申案の確定ということに進んでいただければと思っております。
 先ほど申し上げましたように、この答申案の中では、基本指針は次回はこうすべきというのがメインになりますが、この基本指針の検討の中で、派生してきた意見で法律を次回こういうふうに変えたらいいのではないかとか、あるいは、基本指針ではちゃんと書いてあるけれども、こういうのは予算を増やしてしっかりやるべきじゃないかとか、取組を強化すべきでないかというのは、あわせてこの案の中に盛り込んでいただいて、今後の法改正、あるいは施策の展開に活用してまいりたいと思っております。ただ、そちらが大きくなり過ぎますと基本指針がおろそかになってしまいますので、メインは基本指針でご議論いただき、派生した意見は付託的に盛り込むということでお願いしたいと思っております。
 そして、夏に中環審の野生生物部会に答申をいたしまして、7月の基本指針告示と考えています。これが23年の夏になるわけですが、先ほど申し上げたように、23年度末には都道府県において現行の計画が切れますので、この夏から以降の半年をかけて今度は各県で鳥獣保護事業計画の改訂作業に進みます。
 こういった方向で進めてまいりたいと思っております。
 事務局としての説明は以上でございます。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 ただいまの事務局説明について、ご質問とかご意見がありましたら、どなたからでもどうぞ。なお、意見がございましたらこの名札を立ててください。
 ではご了承いただいたということでよろしゅうございますか。進め方の基本については。
(異議なし)

【山岸委員長】 それでは議事の2に移りたいと思います。
 現行の基本指針について、事務局より説明をお願いいたします。

【事務局】 鳥獣保護業務室の山本と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料2から4、参考資料を用いましてご説明をいたします。
 まず、基本指針、現行のもの、参考資料としてお配りしていますちょっと分厚いものですけれども、こちらをお手元に一度見ていただきまして、基本指針の構成、どういう形になっているかということについてご説明したいと思います。
 見ていただくとわかるように、かなり厚く、大部のものでございます。
 先ほどの室長からの説明にもありましたけれども、目次を見ていただくと、ⅠとⅡと大きく分かれております。Ⅰについては、鳥獣保護事業の実施に関する基本的事項ということで、基本的な考え方、全国に示す基本的な考え方ということで示しておりまして、Ⅱが、都道府県が定める鳥獣保護事業計画の作成に関する事項ということで、かなり細かいところまで、例えば、捕獲許可の基準の基本的な考え方ですとか、どういう人に許可を出すべきかとかといったような、かなりテクニカルなものまで含むような内容となっております。
 これを項目ごとにまとめて、課題があるかなしかをまとめたものが資料の3−2になっておりますので、それはちょっと後ほどご説明をすることとして、資料2にまず行っていただけますでしょうか。
 現行基本指針が平成19年1月でございますが、それ以降の主な動きというものをざっとまとめております。
 その中でも大きなものを挙げていきますと、平成19年の12月に「鳥獣被害防止特措法」が成立をしておりまして、これによって市町村の役割がかなり大きくなったというふうに言えると思います。交付金等の措置も充実したというのが19年の12月の特別措置法でございます。
 その後、平成20年に入って4月には、東北や北海道におきまして、オオハクチョウでの高病原性鳥インフルエンザ発生ということがございました。その結果としまして、都道府県と一緒になった形でサーベイランスを実施していくというマニュアルを作成して、鳥インフルエンザについては対応しているということでございます。
 20年の6月には「生物多様性基本法」が成立、公布されております。
 また、12月には、銃刀法が改正されたということがありまして、銃の所持の手続などが改められております。かなり狩猟者の中では大きな出来事だったかと思います。
 今年の22年3月には「生物多様性国家戦略2010」が閣議決定をされております。
 また、記憶に新しいかと思いますけれども、4月には宮崎県において口蹄疫が発生をしまして、その際に議論となったのが、シカやイノシシについても対応が必要ということで、野生鳥獣にもうつる病気について家畜との関係でどう対応していくかといったようなことが課題として挙げられました。
 それから、今年の秋、現在も進行形ではありますけれども、クマによる人身被害が多発をしているところです。
 また、先ほどから出てますが、COP10が10月に開催されて、名古屋議定書とともに新戦略計画が採択をされております。愛知ターゲットにつきましては資料4としてお配りしておりまして、今回の議論に特に関係の深い項目としては、目標の5「2020年までに、森林を含む自然生息地の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合には零に近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少する」といったような目標が、主なもの、関わりのあるものとしては挙げられるかと思います。
 こういった動きを踏まえまして現行基本指針を眺めてみていくと、それぞれ修正をすべき点が出てまいります。
 次に資料の3−2をお手元にお願いしたいと思います。
 この表は、先ほどから言っていますけれども、環境省が現時点で把握をしている課題などを基本指針の項目ごとにまとめたものでございます。空欄の部分は今のところ特筆すべきものはないと認識しているところで、記載のある部分が何らかの課題があるというふうに認識している項目でございます。もちろん追加すべき項目などがあればご指摘いただいて、これをベースに今後の作業を進めていきたいと考えております。
 この表をまとめる際のポイントとしましては、指針そのものの記述を変えなければいけないような課題と、指針の考え方はそのままで特に問題はないけれども実施状況に課題があるというように二つに分けております。
 一応事前にお配りしておりますので、もちろんこれにご意見をいただきたいところではありますが、ちょっと内容も細かい部分も含みますので、事務局として、主な課題・論点のまとめということで資料の3−1をつけております。こちらにお話を移させていただきたいと思います。
 資料の3−1の1枚目と2枚目につきましては、野生鳥獣を取り巻く環境の概況をまとめております。ご覧いただきますと、シカの捕獲数、イノシシの捕獲数、いずれもここ25年の間に、シカは10倍、イノシシは6倍に伸びております。
 ここで補足をさせてください。イノシシの捕獲数のところに、青い部分の凡例が「狩猟」となってますけれども、黄色が「許可捕獲」です。ちょっと凡例が抜けてしまっています。申し訳ありません。
 いずれもかなりの割合で捕獲数は伸びているという状況です。一方で、野生鳥獣による農作物の被害というのは概ね200億円程度で高止まりをしているという状況です。また、分布も拡大傾向にあるということで、シカなどはもともとあまり分布していなかったエリアにもどんどん入ってきていて、そのエリアだとあまり捕獲技術も地元に根づいていないので苦労しているといったような事例もあると聞いております。
 野生鳥獣と切り離せない問題としましては、左下のところにグラフをつけておりますけれども、里地里山の問題がございます。過疎化、高齢化などによって里地里山、手入れが不足していって鳥獣が生息分布を拡大しているという問題がありまして、さらに逆に鳥獣害が多いことで高齢者が農業を放棄してしまって、さらに手入れが不足していくというような循環もございます。
 次のページ、2枚目に移っていただけますでしょうか。
 こちらは最近のトピックとしまして、クマについての情報をまとめております。今年は新聞やテレビの報道でもありますとおり、クマの出没や被害がかなり多いという状況です。最近では、平成18年がかなり大きな話題になりましたけれども、そのときに次ぐ人身被害者数となっております。
 データとしてはここにお示ししているとおりでございますけれども、クマ問題に関して話題になったこととしましては、夜間や集落地において銃が撃てないということで、警察が出動して対応するという地域もございました。かなり対応に苦慮したということを言われております。
 次のページに移っていただけますでしょうか。
 この後の3枚につきましては、主要な課題・論点という視点でまとめております。
 1枚目については、特定計画に関する現状と課題でございます。主にここではシカについてまとめているのですけれども、個体数の増加、被害の深刻化ということでまとめています。左側の欄で個体数の増加について、ここでは北海道の例を挙げております。もともと生息をしていた東部での増加とともに、あまり分布が確認されていなかった西部地域ですごい勢いで増加をしているということです。それから、数が増えているというのは北海道だけではなくて、いろいろなところから話は聞きます。また、真ん中のあたりに移っていただくと、数の増加とともに、水平方向、垂直方向に分布が拡大をしているということがございます。例えば、東北地方への分布の拡大ですとか、尾瀬などの自然公園などの高標高域においても分布がかなり拡大しています。このグラフは尾瀬です。尾瀬でライトセンサスで経年的に調査をしている目撃事例、確認頭数の推移を示したものでございます。
 もちろん数が増加して分布が拡大をするということになりますと、被害は増加の一途をたどるということで、生態系への被害ですとか、さらには土砂の崩壊も引き起こし始めておりまして、国土保全の観点で検討すべきといったようなご意見もございます。また、先ほどのクマのように、集落に出てきたり、線路や高速道路ではねられてしまって、人身被害も出たり、通行止めでかなり大きな支障が起こったりといったようなこともございます。
 こうした状況への対応としましては、下のところに示しておりますように、効率よく捕獲圧をかけていくということが必要になってまいりますけれども、個体数管理の担い手であった狩猟者の減少に対応した管理体制の構築ですとか、手法の確立といったことが必要であるとともに、特定計画というのは一つの都道府県で作成・実施をすることになっておりますけれども、広域的な取組が必要というふうに考えております。ただ、広域指針につきまして、広域指針をつくるということを基本指針で定めていますが、現時点ではカワウで二つ、クマで一つが作成されているにとどまっております。
 広域指針の作成が進まない理由としましては、恐らく法的な位置づけがないということと、指針を作成しても予算措置や法的な規制の解除があるといったようなことがあるわけではないので、なかなかインセンティブが働いていないといったことがあると思います。
 それでは、次のページに移っていただけますでしょうか。
 特定計画に関する課題・論点、先ほど申し上げたものとも関連いたしますけれども、捕獲の担い手の不足、狩猟者の減少というのが各地で大きな課題となっております。グラフを見ていただきますとわかるとおり、特に銃猟する人、左のグラフの赤い部分ですけれども、減少しています。また、真ん中のグラフでいけば高齢化が進んでいることも分かります。黄色いところがかなり増えてきていますので、ほとんどの方が50歳以上で構成されているということでございます。
 右のグラフは新規免許取得者でございますが、網・わな猟についてはある程度農林業被害に対応するためということと、網とわなの免許を分けたということもあって増加をしておりますけれども、第一種、第二種の銃に関しては新規参入者はかなり減っているということでございます。
 こうした状況に対応するということが必要となってまいりますけれども、狩猟はなかなか日本ではメジャーなものとはならなくて、社会的な認知度が低いということですとか、あと猟銃所持の手続がなかなか難しくて敬遠するといったような傾向にもあるというふうに課題を認識しております。
 それから、下の囲みところですけれども、担い手の不足に関連して、それぞれの地域で管理体制の確立ですとか、手法の開発といったような新たな取組が進んでいると聞いております。例えば、自治体によってはガバメントハンターが捕獲を促進するですとか管理を進めていくというようなことをやっていたり、効果的な効率的な捕獲手法の試行や実証も始まっているというふうに認識をしております。ただ、人材の確保がなかなか難しいということですとか、効率的な捕獲手法を進めていくには、法的な規制も含めてかなりの制約があるといったような課題もあると認識しております。
 最後のページに移っていただけますでしょうか。
 最後のページは、人と鳥獣の付き合い方という観点でまとめております。
 一つ目の四角の中に入れているのが、鳥獣の感染症でございます。先ほどから申し上げているとおり、平成20年のオオハクチョウ、また先月には北海道の稚内市で採取したカモの糞便から高病原性鳥インフルエンザのウイルスが検出されました。
 鳥インフルエンザについては、ある程度のサーベイランスの体制が構築をできておりますけれども、一方で、今年4月の宮崎県においての口蹄疫の発生のときには、野生のシカ、イノシシ等への感染ですとか、野鳥等の野生動物による伝播が課題とされました。その対応方法を持っているわけではなかったので、急遽、各国の事例を集めたりといったようなことで対応に苦慮したということがございました。
 感染症については、鳥インフルエンザだけではなくて、野生鳥獣の感染症の総合的な対策ということを今後考えていく必要があるというふうに認識をしております。
 次の囲みですけれども、ここは鳥獣への餌付けについての課題でございます。全国で200カ所程度で渡り鳥への給餌が行われているというふうに承知をしておりまして、それぞれの地域で糞便への接触ですとか、個体そのものへの接触の可能性がある場所もあります。また当然ですけれども、給餌が野生生物の行動を変えるといったような懸念もございます。そのほか意図的な給餌ではなくて、生ゴミや廃果実などの非意図的な給餌という餌付けが行われて鳥獣被害を誘発しているという事例もございます。
 次の囲みですけれども、愛玩飼養のあり方についての課題でございます。現在、愛玩飼養のための捕獲が許可されるのはメジロのみでございます。この捕獲が認められているということが野鳥の密猟を誘発しているという意見がございます。そういった観点からも、愛玩飼養目的での許可をしていないという都道府県も既にございます。一方で、メジロの分布というのは安定的、または拡大傾向にあるという状況でございます。
 給餌についても、愛玩飼養のあり方についてもそうかと思いますけれども、人と鳥獣との付き合い方について何が正しいのか、何を目指すべきかという社会的なコンセンサスを得るために、議論をこれからももう少し深めていかなければいけないのではないかと思っておりまして、この点ご意見をいただきたい点でもございます。
 以上、事務局で考えている主な課題と論点を挙げました。駆け足になってしまいましたけれども、事務局からの説明はこのぐらいにして、ご議論、ご意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【山岸委員長】 はい、ご苦労さまでした。
 それでは、ただいまの事務局説明について、ご意見がありましたらどなたからでも伺うわけですが、今回は、先ほどのご挨拶にもあったように、初めての委員会で、課題とか論点を抽出するということが目的ですので、ここで皆さんの意見をしっかり時間をかけてお伺いしたいと思います。ご意見がありましたら、もしもできるときには、この資料3−2のどこのところについて意見を言っているのだというのがわかる場合には言っていただくと整理するときに楽になります。もちろん対応しない全体的なことがあってもそれは構いません。
 お聞きすると、市田委員、ご都合でご退席なさるというので、もしご意見があったら。

【市田委員】 ちょっとこれから出かけなければいけないので、ごめんなさい。
 今のご説明で、特にいろいろな問題が起こってきて、頭の痛いところにすごく注意が行っているという、それはよくわかります。それで、それぞれが大きな問題だから大変だというのはわかるんですけれども、ただ、やっぱり鳥獣行政の基本方針というか、方針ですから、全体をどこに持っていくんだという議論がやっぱり一つあって、その中で一番頭の痛いのがどこだということになるんだろうという気がするんですね。
 それで、頭の痛い問題の中に、被害者があまり出てこないので議論にあまり、なっていないのが、やっぱり夏鳥だとか、いろいろな、それから海鳥もそうでしょうけど、物すごく減っているということです。私この2年くらい、機会があって随分日本の山を歩いたんですけれども、実はいろいろなところで減った減ったと言ってきたんですけれども、実際に自分で歩いてみても、本当にいないなというのをしみじみ思いました。それをアジアの人たちに聞いてみましたけれども、中国とか韓国、それからモンゴルもそうです。やっぱりそうだと言うのですね。だからそれはやっぱり何か起こっていて、、なかなかそれに対する取組がまだできてない。やっぱりそこいら辺が、もうひとつ被害者がいないから声が大きくなってこないですけれども、議論していただけないかなと思っているところではあります。
 以上です。

【山岸委員長】 関連意見でも全く別のものでも構いませんが、非常に重要なご指摘をいただいたと思うのですが。
 はい、どうぞ。福田委員、お願いいたします。

【福田委員】 手入れが不足する里地里山のことなんですけれども、ここでは65歳以上の高齢化ということをかなり大きくおっしゃっていると思うのですけれども、確かに高齢者が多くて、要するに集落がなくなってしまっているというような言い方をされておられると思うのですけれども、それは確かにそうなんですけれども、もっと違うところから見られて、何で過疎化になってしまったかということを考えなければいけない。里山に住みたいという人たちもたくさんいるんですね、実際は。ですけれども、そこでそういう生活をさせてあげると言ったらおかしいんですけれども、里山で生活をして、そこで生活がきちんと、お給料にしても何にしても、生活ができるようにしていかないと。里山というのはすばらしいし、生活ができるんだよというエリアを設けるというようなこともちょっと考えていただくと、若い人たちが入って定着するのではないかと。だからその辺のところをどうにかならないかなということはいつも思います。

【山岸委員長】 ありがとうございました。
 結構ですよ、何でも。放談だとさっき申し上げましたんで。

【市田委員】 それではちょっと質問なんですけれども、鳥インフルエンザが問題になって、いろいろな取組が行われていると思うのですけれど、環境省がおやりになっている鳥インフルエンザの何かそういう対策事業みたいなものもあると思うのですね。
 私、たまたま今、お医者さんたちのグループで鳥インフルエンザに関わっている人たちとちょっと仕事しているんですけど、そうすると、鳥の関係と全く関係がないんですね。医者の人たちは医者だけでやっていらっしゃる。環境省の方の鳥インフルエンザも、お医者さんと、どの程度一緒になってやっていらっしゃるのだかはわかりますか。

【鳥獣保護業務室長】 市田先生のおっしゃる医者は獣医さんですか。

【市田委員】 人間の医者です。

【鳥獣保護業務室長】 役所の役割分担としては、今、鳥インフルエンザにつきましては、環境省と農林水産省と厚生労働省の三者で連携を密にしてやっています。農林水産省は家畜という動物にどううつるのか、厚生労働省は、人にうつるように変異したらどうするのかということ。我々は、野生動物にどううつっているのかというのをまず主眼としてあります。
 三省で情報交換をお互いにしているんですけれども、先生のおっしゃった人のお医者さんの世界でいくと、ヒト変異をしそうだという感触が重要になる。あるいは人のお医者さんも入ってこない。評論家の方とか、専門家の方の中に、動物の、今で言えば鳥インフルエンザは、いつ人に変異してもおかしくないということを警鐘を鳴らされる方はいるんですけれども、現実的には切迫感がないようです。
 一方、農林水産省の方は、もう野鳥から家畜への感染というのは、これは過去も例がありますので、今ぴりぴりして引き締めをしています。

【市田委員】 そうしましたら、一度お時間いただけたらと思いますけど、お医者さんのグループが一生懸命それをやってまして、それで一般的に、今お話になったように、鳥から直接人にはうつらないということになっていますけど、やっぱりそれは間違いじゃないかという話があって、かなり論証、論文みたいなものも出てきていたりします。だからやっぱりそういう意味では、交流、情報交換があった方がいいかもしれませんね。

【山岸委員長】 ほかに何かございますでしょうか。羽山先生、どうでしょう。

【羽山委員】 今日は何を言ってもいいというお話ですので、まず全体的なところで幾つか意見を述べさせていただきます。
 今の市田先生のご発言に関連するところで言いますと、感染症関係について、随所に加筆・修正が必要だというような整理になっていまして、それは大変必要なことだと思うのですが、やはり今、室長もお話しになったように、これを縦割りでやるということが一番問題なわけですね。
 それで今、私は獣医学出身ですけれども、医学と獣医学と生態学、これを融合させないと、もう健全な地球環境は維持できないんだと。これを保全医学、Conservation Medicineという考え方で、今、世界各国、その研究拠点を整備しているというのが実態で、アメリカではもう20カ所ぐらい、大学とか、いろいろな試験研究機関が拠点をつくって取り組んでいます。日本にはまだそういったものがなくて、どうせ取り組むなら、やはり環境省としては、この健全な地球環境を維持するという立場、あるいは生物多様性を保全するという立場から、そういった横断的な研究組織をつくってこの問題に取り組むべきじゃないかなと思います。
 ですから、箱が先かという話ではないんですけれども、理念として、これからは感染症の制御とか、野生生物と人との、あるいは人と動物との共通感染症の対策というのが、これは地球環境を守っていく上で欠かせないんだという認識をぜひ基本指針の中に盛り込むべきじゃないかなと。その背景としては既に保全医学という学問があるということをまずお話しさせていただきました。
 それから、もう一つ全体的なところで言いますと、今、実際現場で非常に懸念しているのは、農林省の方で鳥獣対策の特措法ができまして、今約1,000の市町村が被害防止計画をつくって、市町村が主体で動いている。このこと事態は非常にいいと思っているんですけれども、ただ結果的に、これは特措法にも書いてありますけれども、鳥獣法の特定計画と整合させなさいというところについて、そもそも特定計画が整備されていない地域が多いとか、あるいは市町村が主導でやっていることで、例えば、有害捕獲の許可権限がおりてしまっている地域がほとんどですので、そういったところで整合以前の問題というのが多々見られます。簡単に言えば、むやみな捕獲が進行しているとか、それから膨大な対策費が投じられてフェンスをやたらに張るとか。効率的な、あるいは科学的な、あるいは計画的な管理という鳥獣法の今まで築いてきたものが、言い方は悪いかもしれませんけれど、現場からは、なし崩しになっているというのが実態だと思います。
 来年、農林省の概算要求でも100億の緊急予算がついてますので、これがばらまきになりますと、さらにむやみな捕獲が進行する恐れもありますので、ですから、いかに特措法の制度と鳥獣法の仕組みを整合させていくのか。
 実態的には、特に西日本なんかそうですけれども、鳥獣法自体が農政部局に所管がどんどん移っています。そうすると、従来の生物多様性とか、そういった視点、あるいは科学的な管理とかという視点と違う軸足で、被害対策ということが重点を置かれて管理が進んでしまって、結果的には捕獲が、しかもそれが効果的な捕獲ならいいですけれども、むやみな捕獲が進行していくだけになるかもしれない。それは避ける必要がありますので、ここは非常に重要な局面に来ている。やはり危機感を持って取り組むべきだと思います。
 その解決策としては、やはり人しかないと思うのですね。人づくりしかないと思っていて、そういう部分について、捕獲の担い手の確保というのは、これはもう10年も前から言われていることですから、これは当然今回は大きなテーマになると思います。これはマネジメントをやるわけですから、マネジャーと、それから実際の管理の担い手というのは両輪なわけです。このマネジャーの人材育成とか、人材確保の部分が、やはり今回の大きな論点だと思うのですね。どうやって確保するのか。そのときに、鳥獣行政の担当者は都道府県で全部足すと1,000人ぐらいいるわけです。だからポストは1,000もあるわけですから、その1,000のポストをどう生かすかが重要で、従来の鳥獣法というのは捕獲の許認可行政と言っては申し訳ないけど、それが主体だったために、専門技術者が不要だったわけですよね。だけれども、管理をやっていく上には技術者が必ず必要なので、そういう専門技術者をその1,000のポストにどう配置がえしていくかということがむしろ一番実効性があって、それは先ほどの特措法との整合を進めていく上でも欠かせないと思います。
 ですから、そういう点で、第四章というのですか、資料3−2の5ページ目の第四の人材の育成・確保、ここの部分をどうきっちり書くか、そしてそれをどう実現するかというところが、これからこの鳥獣行政をやっていく上では非常に重要で、そのときに(2)の確保すべき人材のところで、人材育成事業の話が出てくるんですけど、これ自体は第一歩として評価しているんですが、これは登録制度ですよね。登録制度というのは登録されると紹介されるという何か一種、環境省が紹介業をやっているような話なんで、そうではなくて、一定のスキルを認定する制度が必要なんですよね。その認定された人が先ほど言った1,000のポストを埋めていくような仕掛けが必要で、そういう流れに変えていかないと、残念ながら今、行政に携わって将来プロとしてやっていきたいという志を持った人たちがたくさんいても、この登録制度には登録されないんです。ですから、やはりそこを制度的に変える必要があると思います。
 逆に言うと、その上の技術マニュアルの話なんですけど、これをガイドラインにするという意味がよくわからないんですが、ちゃんとした技術者がいたら、国がガイドラインなんか示す必要はないと思うのですね。ですから、やはりこれをどんどんどんどん何か許認可的な基準を決めて許認可的な行政にシフトしていくのではなくて、きっちりした技術者をきちっと現場に配置できるような仕組みをつくることの方が重要だと思います。
 あと、細かい点で二つあるんですが、いいですか、1人しゃべっていて。

【山岸委員長】 いいですよ。

【羽山委員】 3ページのところの外来鳥獣のところなんですけど、アライグマが典型なんですが、外来生物法がせっかくできたのに、結果的に自助努力というのですかね、やる気があるところはやれますよという制度なので、都道府県あるいは市町村単位で一生懸命計画をつくって取り組んでいるところもある一方で、その自治体の隣の自治体が何もしないという、極めて地域によって温度差がある。だから一生懸命対策をとって根絶を目指しているのに、隣でどんどんどんどん増えてきて、それがなだれ込んでくるみたいな現象が現実に起こっているわけです。
 それはなぜかと言ったら、鳥獣法で相変わらず有害とかで対応できちゃうからですね。逆に言えば外来法の方に移ってしまうと鳥獣法が適用されないという、こういう二つの制度が併存しているという現実がある。うまくいくんならいいんですけど、いろいろ不具合がこれから出始めるように思いますので、これはやはり外来法との整合の部分について、きちっとした指針を示すべきじゃないかと思います。せめてアライグマはもう外来法でやってくれとか、何か基準を示す必要があるんじゃないかなと思います。
 それから、最後は大した話じゃないんですけど、一番後ろ、12ページです。第十の8、傷病鳥獣救護、これは昭和54年ぐらいから、前は指針ではなくて基準でも書かれ続けてきたことですけど、別に保護される動物というのは、けがしたりとか、病気だったりというだけじゃないので、ですから、やはりこれは野生動物全般に対して一体人間がどんな影響を与えているかというモニタリングだと思うのですよね。
 特に鳥インフルエンザなんか、例えば北海道の白鳥なんかが最初の事例ですけれども、こういうのはほとんど救護個体ですよね。ですから、やはりこれからさっき言った保全医学を進めて、感染症対策やっていくためには、現在行われている救護活動というのは非常に重要だと思うのです。ですから、ほっておいたって動物が年間数万頭のオーダーで人の手の中に入ってくるわけですから、これをきちっと評価して、例えば交通事故対策だとか、あるいは環境汚染だとか、感染症対策だとか、そういうものにいかに反映させて救護個体を減らすかという、予防につなげていくという発想が必要で、そういう意味では、ここは位置づけをもっと明確にすべきだし、それからあまりむやみに行政が主導するというよりも、民間がもっともっと主体的にやるべき分野ですので、民間をいかに人材を育てるかとか、そういう視点をぜひ入れていく必要があるんじゃないかなと思っております。
 すみません。長くなりました。

【山岸委員長】 ありがとうございました。事務局で何か。

【鳥獣保護業務室長】 今日は受け止める場ですので、どんどん言ってください。

【山岸委員長】 いいですか。それでは三浦先生、続いてどうぞ。

【三浦委員】 今日からこの指針の検討ということで、24年から5年ですよね。非常に重要な5年間です。この日本は大きく変わってしまって、そういう兆候が、例えば資料の3−1で、これは環境省のまとめで非常にいいデータを使った現状の分析だと思うのですけれども、それをかいつまんでもう一度復習、おさらいをしますと、シカもイノシシも捕獲数が非常に大きくなる。増大しつつあると。多分これは今後も恐らくこの傾向は続いていくだろう。というのは、その下の手入れする里山が放置されている、それから放棄地そのものも増加している。つまり野生動物の生息地がどんどんどんどん拡大していると。多分これには温暖化によって生息の条件がよくなっていくというのも加速しながら、この傾向はとまらないだろうということですよね。
 それで、次がクマのことが書いてありますけれども、これは実は平成18年度の、この現行の指針の直前に大量出没が起こっているわけですね。多分これからも四、五年置きにクマの生息地が里山に拡大して、しかもなおかつ居住地と接しているという構造が拡大しつつあるわけですから、このこともこれから頻繁に今後も継続するだろうということでありますね。
 それで、これだけの捕獲圧をかけながら、3ページには、なお増加傾向があって、それから生物多様性の非常に重要な場所である国立公園や一部山岳地帯の植生等々もはがされて、これは日本の野生生物層や、それから植物層の保全の危機を迎えているという、いわばそういうことですね。これに対して捕獲者の方のハンターは、これも人口減少と老齢化によって確実に減っていくと。これに対する取組が行われているんだけれども、にもかかわらず狩猟者は増加する傾向にないという位置づけですよね。
 私は今、資料3−1の4枚目ぐらいまでこうやってまとめて、ここで資料3−2のこういうことを踏まえていくと、これからの基本指針というのが、第1の基本的な考え方と鳥獣保護管理の枠のところに特段の情勢変化は見られないとあるのですが、今度のものについては、少なくともこういう「特段の情勢変化は見られない」という延長線で指針を作成していいのかどうなのかというところが非常に懸念されて、多分そういう問題ではなくなりつつあるんではないかと思います。
 その点についての指摘は、今、羽山委員の方から、1点は担い手をどうしていくのかと。これも本腰でやっていかなければいけないだろうということと、それから、先ほどの話ですが、法律の改定が先行するのか、指針の中でそういうことを想定しながら幾つか織り込んでいかなければならないといったような問題の中で、例えば、鳥獣保護区といったようなものが、現行は乱場の対立概念として鳥獣保護区を各都道府県に置いている。これに対して国設の鳥獣保護区は、生物多様性等々を織り込んで、鳥獣保護区の理念そのものが少し違って、国設のものと各県が、つまり何と言いますか、休猟区としての鳥獣保護区の設定の理念で延長してきたことについて、そういう枠組みでいいかどうかといったような問題。
 それから、狩猟者そのものを、これは狩猟鳥獣を指定しながら、それでこれがいわゆる狩猟者そのものがこれからも急速に減少していく中で、代替の措置としてガバメントハンターの芽生え等々があるのは認めますけれども、そういうことで対応し切れるのかどうなのかいったような問題があります。
 それから、狩猟鳥獣そのものについての、例えば前回もそうだったんですが、これは放鳥獣の書き込みがあるといったようなことですよね。餌付けの問題とか、そういう問題がありながら、一方で人工増殖したものを今後また放鳥していく。これはハンターたちへの、一種の狩猟者の税に対する対価としてその事業をやってきている。こういうことをこれからも続けていっていいかどうか。
 それから、鳥獣保護員というのは狩猟の、違法狩猟等々とか、そういう問題に対応するような格好で各市町村でこれまで選んできていただいているんですけれども、これも鳥獣の科学的な管理という観点と、担い手という観点からいって、鳥獣保護員もこれまでの位置づけでいいのかどうなのかということと、私はぜひ聞きたいと思います。市町村の枠組みが市町村の合併で大きく変わっている中で、今後もこの鳥獣保護員制度を継続できるかどうかということと、それから、ふさわしい人材として、どうコンバートさせていくのかといったような問題があるのではないかなというふうに思います。
 それから、もう1点言わせてもらうと、特定鳥獣保護管理計画は、これはこれでいいとしても、ご指摘のように、広域についてはうまくいっていないといったようなことで、少なくともクマとカワウについてはできているけれど、これは文書上できているけれども、運用できているかどうかは別問題で、そういう点で言うと、各都道府県単位でやってきた、分権法でおろしてきた鳥獣法というのが、お金がない、それから組織がないという状態のままで、広域に対応しなければならないような課題について、どういう、デザインをし直せるのか。これは分権そのものの問題として、基本指針ではなくて、鳥獣法の位置づけとして、これからの日本全体の野生動物管理という観点からいうと、非常に重要な課題があるんではないかなと。
 各論については、これから多分課題が提起されるんだろうと思うので、それぞれにまた意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。

【山岸委員長】 ありがとうございました。では坂田委員、続いて。

【坂田委員】 先ほど、羽山委員や三浦委員からお話のあった中に、やはり野生動物の保全と管理の中で、計画の部分と実施の部分と、それぞれに課題があるということだと思います。
 やはり一つは、計画の部分は、例えば特にシカなんですけど、今までの10年間、特定鳥獣保護管理計画、10年以上になりますかね、実施されてきた中で、例えば、シカだとほとんど目標とする捕獲頭数が見誤ったことが多くて、予想よりもシカは減らずに、むしろ増えてしまっている。これは一つ計画の誤りというのがあったと思います。それの反省もあるわけですから、その辺のところをきちっと検証して、どういう手法が個体数推定の方法から適切な捕獲数を決める方法まで、それぞれの都道府県でいろいろなやり方でやっていると思いますから、その辺は各都道府県の担当の方は、これから次のこの計画の指針を受けて改定されるときには周りを見回しながらやるとは思いますけれども、きちっとしたガイドラインを現在の都道府県の試行錯誤の現状をきちっと把握された上でそれを立てられるといいんではないかなというふうに思いました。
 それともう一つは、例えばシカ、イノシシなんかに関していきますと、捕獲数が結局想定よりもっと多く捕獲しないといけないというような現状です。これはアライグマなんかでも同じだと思います。捕獲方法について、いろいろな新しい技術、今、それほど効果的な捕獲方法が今の段階で出ているわけではありませんけれども、様子を見ますといろいろなところでいろいろな開発を進めて、何とか効率よく捕獲しようというようなことが出てきています。ですから、これからの5年ぐらいでは、そういう今までなかった方法について、これは本当に安全なのか適切なのかということを判断しないといけなくなると思いますね。
 今までもそういうのは出てきていたり、例えば、クマの対策のことなんかを考えますと、どうしても大型の動物を扱うものですから、やはり銃器というのは特に危ない場所、住居の周辺とか、夜間とかにやっぱり必要になってきます。その辺でどうしても完全にシカ、イノシシについても、やはりわなでも事故が起こったりはしていますので、結局大型の動物を扱うとなると、必ずしも100%安全という手法だけで、国民の安全や財産を守り切れるかというと、どうしても多少は危険な方法を注意してやらないといけないという場面がこれからもますます多くなってくると思うのですね。その辺のことも考えて、捕獲方法、狩猟する用具については、5年のうちには恐らくいろいろな方法が出てくると思いますので、それに対応できるような形が必要ではないかなというふうに思います。
 それと、もう一つは、これはちょっと以前の5年前のときの私も気になっていたところなんですけれども、鳥獣保護事業に関する普及啓発に関する事項のところで、鳥獣の保護思想についての普及等というふうにありますけれども、果たして国のやるべきことが保護思想の普及なのかどうかというところが気になります。というのは、実際に都道府県なり地域の現場でやられているのは、例えば小学生なりに、生き物を大切にしましょうとかというポスターを描いてもらってコンテストをするとか、あとはモデル校に指定して巣箱を仕掛けるとかというようなところがよく目にするものなので、ほかでもっといい取組があるのかどうかわかりませんけれども。
 ただ、普及すべきことは何かというと、やはり野生動物と共存していくためには、例えば、私たちが対象にしていますシカやクマやイノシシやサル、こういうことになると非常に深刻なあつれきを踏まえながら捕獲して殺すことも含めてそれで共存していかないといけないという現状です。そういうような現状をきちっと普及することであったり、餌付けの問題、あるいは感染症の問題なんかも含まれてくると思いますけれども、さらには生物多様性のことだとか、野生動物、野生鳥獣と共存していくためにどういう注意が必要なのかというようなことをきちんと普及していかないといけないと思います。国民がきちっと注意をして守らないといけないというような項目が今までの対策の中でもたくさん出てきている、具体的にはいろいろ出てきていると思いますので、そういうことに関してきちんと普及をするということを十分に議論した上で立てておくということが必要かなというふうに思います。
 以上です。

【山岸委員長】 ありがとうございました。それでは市田委員。

【市田委員】 先ほどの三浦さんのお話と関連するんですけれども、5年前に議論したときにも話題が出たと思うのですが、これは方向性を国として示して、各県がこれに沿ってやりなさいということですけど、じゃあ一体環境省は、国はどっちに向かって何をするんですかというのが基本的にないんです。県にやりなさいということで。だからやっぱり国としての方向性も事業計画も持つべきじゃないかという議論がたしかあったと思いますけれども、それには予算が伴うとか、いろいろなことがあってできなかったし、今回も法律改定が伴わないということですから、そういうことにはいかないんでしょうけれども。
 ただ、それにしても、物事がこれだけ速いスピードでいろいろなことが起こってくる。それをただ何となく方針を示して県に頑張れということだけで問題が解決するかというと、もしかするとそれは十分じゃないんじゃないか。ここで一番最初にCOP10、愛知ターゲットを踏まえた内容にするんだというけど、じゃあ愛知ターゲットを踏まえて環境省はどっちに行くんですかということが、例えば、私たちなんかも拝見していてあまりよくわからない。おやりになるとは思うし、皆さん考えているんでしょうけれども、わからない。だからやっぱりその辺を、仮に法律に書いて、きちっと何かやるということでなくても、やっぱりもうちょっと、国としてこっちの方向でこう行くんだというところがあれば、もっと県もそれに従って動きやすい。それが分権と逆らうことになるのかどうかわかりませんけれども。そういう議論が全体的にあって、それでこういう具体的なことにしないと、いつも大変だ大変だということをずっと言っていて、ずっとそのまま終わっているような。ただ、僕も30年ぐらい40年ぐらい振り返ってみると、物すごく変わったとは思うのですけれども、ただ、そのスピードよりももっと速いスピードでいろいろなことが起こってきているので、そろそろそこら辺は考えていただけないかと思います。この次の5年後の検討のときには私はもう生きているかどうかわからないので、ぜひそういうことを申し上げておきたいと思います。

【山岸委員長】 どうぞ。是末委員。

【是末委員】 捕獲の担い手の不足ですね。これは実際的には非常に少なくなっております。53年のピーク時には50万人の狩猟者がいたわけですね。資料2の中で現在20万人を切ると書いておりますが、13万人切っております。ですから、非常に少なくなっているわけですね。これは何が原因だろうかというと、いわゆる少子高齢化によるもの、それと銃刀法の改正が大きいわけですね。3年に1回の銃の切りかえのときに実技試験を行うようになったわけですね。非常に厳しい試験です。また、75歳を過ぎますと認知症の試験がないと合格しないと。ですから、どうしても年をとると、試験までしてするならばやめようか、そういうふうになるんですね。今や猟友会ではなくて老友会になってしまっております。
 そういうような格好で、私どもはいかにして人口を増やすかというようなことでございますが、狩猟免許の初心者講習を行うには、中山間地域の補助金をいただきまして、年に2回やっているところを大分県では7回講習を、しかも中山間地域の補助金で初心者講習料を無料にするとか、そういう試みをやっているわけですね。ですから、もう少し環境省の方からも銃刀法の緩和措置とか、それから狩猟人口に対する捕獲体制の検討を十分に行う必要があるんじゃないかと、そういうふうに思っております。
 以上です。

【山岸委員長】 ありがとうございました。それでは磯部委員、お願いいたします。

【磯部委員】 私の専門は法制度の方なので現場のことはよくわかりませんで、今、緒先生のお話を聞いていて、これはやっぱりちょっと状況は深刻になっているんじゃないのかな、特段の情勢変化は見られないという切り口では足りないものがあるのではないかという、これは素朴な実感でございます。
 だからむしろ質問なんですけれど、羽山委員がおっしゃっていた、農水省所管の特別措置法との関係ですね。究極的には人材の問題だと。それはそれでわかるんですけれど、人材の問題を解決するには相当時間がかかりそうなんですけど、それ以前に法制度の問題として、あるいは計画制度の整合性、あるいは矛盾の問題として、ちょっと私も勉強不足で、ですから質問なんですけど、農水の特別措置法とこの基本法というか、一般法の位置づけにあるはずの鳥獣保護法と、抵触関係は法論理的にはないはずで、整合をとるようになっていると思うのですけど、実態がかなりいわばどんどん先行してしまっているんだとすると、そこはやはりかなり緊急に大事な問題ではないのかなという気がします。あるいは外来生物法との矛盾のことも指摘されたようにも思うのですが、これはより環境省内部の法体系間の整合性の問題かと思いますけれど、その辺についてまだ考慮すべき、あるいは再検討すべき余地があるのかどうか伺いたいと思いました。
 他方で、分権の理屈といいますか、前に鳥獣保護法を改正したころなんかは、まさに全国的な、全制度的な一般的な分権改革というものが進行していて、個別法の特殊事情を言い立てていたらああいう大きな改革は無理なので、そんなことは百も承知だけど例えば機関委任事務制度というものをなくさなきゃいかんという流れだった。国と自治体との関係を従来のように上下、支配服従というような関係という意識をまず変えなきゃならんという、かなり原理主義的なところもあった。それがまた必要でもあったと思うのですけれど、そういう改革が進行した。私もそれに関わりましたので、今さら申し上げるのは口幅ったいんですけど、各論的ないろいろな矛盾は、それはあり得るわけで、あることは百も承知で、しかし原理的なことは直したということです。
 10年が経ちまして、個別領域ごとの特性に応じたあるべき国と地方自治体との関係というものは、もし重要なところで損なわれてしまったのならば、そこは修正する必要があるだろうとは思うのですけれど、鳥獣保護行政というのがどうなのかということになりますと、また元に戻ってしまうのはこれは説得力もないし、およそ賛同を得られないだろうと思うのですけれど。
 例えば、先ほど来、国の省庁の縦割りの弊害も指摘されていましたですね。そういうのが厚労省、農水省、環境省の感染症対策を地方自治体という総合行政という受け皿となり得るはずです。そこで中央省庁的な縦割り弊害を極力地域性に立脚しつつ総合的に受け止めてというのが自治体の地方分権の利点として非常に強調されたわけです。一方先ほど羽山委員さんが言われたように、害獣対策所管部署が鳥獣保護も所管するといいましょうか、専らそっちになってしまうというように総合行政の名において、本来趣旨の違うものといいましょうか、違いをきちっとすべきところを、なし崩し的に一括して、どこか一方の政策目的だけが優位してしまうというような帰結に至るとしたら、これはやはりおかしな話だろうと思います。これがそういう危惧があるという程度の話なのか、もうちょっと現実の話なのかというところを伺わせていただければと思います。
 それから、先ほど人材ポストが1,000あるとおっしゃいましたけど、これも私の理解はこれで正しいのでしょうか。一方で後継者不足というのはハンターが高齢化していくという、いわば実戦部隊といいますか、実際に鉄砲を撃つ人たちがどんどん不足していく。どうやって後継者をという話と、マネジャーたる資格、能力を持つ人をどう育成するかという話と、これは後継者不足の話ではなくて、そもそも今までなかったものを新たにつくり出すという話なんですか。しかもそれをお役所のポストとして、それをどこかで育成して、いわばディストリビュートするようなというのが、ちょっと今までの日本の公務員の仕組みの中だとなかなか難しい。そういう専門性を持った職種を育成するのは難しいかなと思って、どういうふうに実現したらいいのか、ちょっとイメージが難しかったんですが。
 というわけで、基礎的理解不足を露呈していて申し訳ないんですけど、幾つかの質問でお答えいただければと思います。

【山岸委員長】 羽山先生、わかるところで。

【羽山委員】 先ほど私から指摘させていただいた点についてちょっと補足させていただきますけれども、要は野生動物、特に被害を起こすような大型の動物というのは、行動範囲が非常に広いので、ですから市町村界だとか都道府県界って関係ないわけですね。そうやって生きているものを管理していかなきゃいけないわけですから、当然今ある状態をどういう状態にするかという目標が必要なわけです。その目標を設定して、そしてそれを科学的、計画的にやっていこうというのがこれまで築いてきた鳥獣法の理念というか精神だと思うのですけれども、となると、それが少なくとも関係自治体で共有されてなければ、うまくいかないはずですよね。
 ところが、今は結局地方分権で、機関委任はなくなりましたけれども、実際現場では、有害動物に関しては、ほとんどもう市町村許可に県が権限を移譲しているわけですね。そうすると、今度はそれぞれの市町村ごとに考え方がありますから、それぞれが今、農林省の特措法を使って、それでいろいろな捕獲計画とか対策計画を立てているわけです。これを広域に調整する仕組みというのがそもそも存在しないのと、それを県の計画と整合させていくというのが一応これは決まり事になっていますけれども、ただ、それは特定鳥獣保護管理計画という計画制度にのっとってやるという仕組みになっているわけですから、それがそもそもなければ調整しようがないというのが実態で、そうすると、もうそれぞれの地域の実情に応じて被害をなくすために捕獲が先行していくと。あるいは対策が先行する。確かにその自治体の被害が軽減するかもしれませんけど、例えばの話、サルのような群れをつくる動物だったら、そこからいなくなるだけの話で、隣のまちにただ移動するだけというケースも現実に起こっているわけです。
 ですから、やはりそういうものを調整する仕組みというのを考えたときに、やはりきちっとしたマネジャーがないと、これは単なる制度論とか、あるいは計画論の問題ではなくて、そこをきちっと調整できる技術者がいないと、これはうまくいかないというのが実感ですし、少なくともほかの先進諸外国はそういう仕組み、体制でやっていると思います。そこが問題だというのが私の指摘です。

【山岸委員長】 人材養成について何かお考えは。

【羽山委員】 ですから、当然そういう人材をつくるのは、これはもう大学の役目だと思うのですね。ただ、そういう職種自体が日本には存在しませんので、だとすれば、その職種をつくるというのは、もうかなり時間がかかるし、どだい無理かもしれません。むしろ志を持って役所に入っている若い技術者がたくさんいます。その人たちをきちっと評価する仕組みが今ないので、ですから、その評価された人がそのポストを埋めていくような経過措置的な仕組みというのが考えられるんじゃないかなというのが私の持論です。

【山岸委員長】 よろしゅうございますでしょうか。

【磯部委員】 ありがとうございました。それで分権改革をして事務を権限を下におろすということは、それはそれで理念に沿っているわけなんですけれど、広域的な課題があるだろうと。自治体の圏域を越えた広域的な課題があることはもちろん承知の上なんですけど、従前はちょっとでも広域だと言えば、それは市町村を越えるから県の仕事だと。圏域を越えるなら、じゃあそれは国の仕事だと、あまりにも安易に広域化イコール事務権限の吸い上げみたいな話になり過ぎていたわけですね。それは考え直そうということで、そこはやめたわけですから、広域課題がなくなったわけではもちろんないので、本来の筋は自治体の広域的な協力というのがもっとできるはずだということだったわけですから、ここは多分に理念倒れなのかもしれませんが、だからといっていきなりまた国がトップダウンというか、押しつけ型の、上で計画つくって、さあこのとおりやれということになると元も子もないというか、また反発も買うわけなんでしょうから、そこは工夫の余地は大いにあるんだろうとは思います。

【羽田委員】 誤解のないように願いたいんですけれども、今市町村が主体的に動き始めている。この事態は全然問題じゃないと思います。要はそれを調整する仕組みがないということですよ。

【山岸委員長】 それでは続いて、今のことですか。

【坂田委員】 今のことです。

【山岸委員長】 じゃあ関係があったら先に坂田委員。

【坂田委員】 すみません。例えば市町村と都道府県では利害関係や目的が違う。例えば、よくあるのは市町村としては現場に近いですから被害がたくさん出ていると、もうできるだけとってしまいたい。できればうちの市町村区域にはもうサルはいてほしくない。全滅したいというぐらいの意向があるわけです。ただ、例えば県から見ると、特定鳥獣の保護管理計画に基づいてきちっとそのサルの群れを保全してというところで、あつれきといいますか、協議が必要な事項が出てくるわけですね。
 ところが、そこでどういうふうなことが協議のねたになるかといいますと、やはりこのサルの絶滅の確率がどうであったり、今後どのくらい増えていくかということと、被害がどれだけあるかということになるわけですけれども、どうしても今までの経過で、野生動物の生息状況、増えていくのか減っていくのか。推定はするものの、これが間違っているというようなことが起こったりする。もともとがきちんとその状況すら都道府県レベルで把握できていないということになれば、目の前にある被害と、よく把握されていない野生動物の生息動向と。どっちが議論が強いかといえば、やはり現場の今ある被害の方がダイレクトに見えるわけですから、その意味で広域的なデータなり、きちっと確立したものを持って、このぐらい野生動物はいるけれども、こういう対策をすれば防げているところがほとんどですと。それだとおかしいんじゃないですかというようなことを逆に言えるのか。あるいはこのぐらいの被害があって、このぐらいの生息頭数でしたら、このぐらいの捕獲というのは必要ですから、ただしこのぐらいまでにしてくださいと。そのデータというか、根拠が十分にそろえられていなければ、根拠があるものの意見が通ると思うのですね。だからそのあたりでは、やはり特定鳥獣の計画なり、その基盤となるデータや理屈をしっかりさせるということが必要だと思いますので、都道府県レベルではそれをしっかり組み立てておかないといけない。
 それがやはり市町村レベルの現場に合うものでないと、現場の感覚から全然違ったこと言ってますな、みたいな話だと、絶滅すると言っているのにどんどん増えてくるとか、あるいは減らしますというのにいつまでも減らないというようなことが、今の被害を出している動物の多くではそういうことがありますので、その辺の体制、そこできちっと羽山委員のおっしゃるような、きちっとしたマネジメントができる人材がなければ、そこはうまく回っていかないということになると思います。
 それと、あと都道府県間の広域についても、私は自分のおる県の周りしかわからないんですけれども、兵庫県、京都府、鳥取県、ツキノワグマの個体群があります。ここ何年かそれこそ特定計画、最初は当然どの府県も違う方法というか、事情は違いながら、違う特定計画でやっていましたけれども、やはり立てるときはどの府県の担当者もできる限り参加するようにして、今は大体同じ計画になっています。計画は同じですけれども、結局予算の関係とか、対応できるスタッフの加減で、実質は運用の中での温度差はありますけど、ただ、温度差はありながら、微妙にお互い両方を見ながらという形ではあるんです。市町村ごとに違ってきたり、多少運用の中での基準が違ってきたりということはありますけれども。
 ここでまた恐らくクマなんかに関しましては、個体数が増えてきて、人身事故も起こってきて、基準を見直さないといけないということはあると思います。基準を見直すときに、恐らく三府県足並みがそろってということは無理だと思いますけれども、ただ、三府県足並みをそろえないと変えられないのか。それとも各府県が変えていく中で、様子を見ながら時間が経てばある程度合っていくのかというようなところもあると思いますので、その辺は周辺を見ながら独自に判断していく方が改訂が早かったり、適切な方向に動くという可能性もなくはないと思います。そのあたりは分権した地方分権の中でのメリットがうまく機能して、都道府県単位の計画の策定がきちっと状況を把握しながらうまくいけば、広域連携というのは、そういう都道府県の独自性を生かした形での広域連携というのもあり得るんではないかなというふうに思います。

【山岸委員長】 ありがとうございました。それでは石井委員、続きましてどうぞ。

【石井委員】 私の話はちょっと漠然としたことになるんですけれど、市田委員の意見と関係するんですけど、まず、資料の3−2でいうと、基本的な考え方のところで、多様性基本法とか愛知ターゲットという言葉が入っていますけれども、これは下手すると一応こういうことも気にとめて基本指針をつくりましたというぐらいに終わってしまうと思うのですが、生物多様性を保全するという考え方がはっきりしてきて大分時間が経ったわけですけれども、それを踏まえてやることというのは、今問題になっている鳥獣保護法ができたころの自然の管理の仕方と随分変わってきているわけですね。それはそうなんですけれども、例えば、多様性基本法で、基本戦略があって基本法でこの国の自然をどういう方向に持っていこうかという大きな考えがあるわけですけれども、現場で有効なことがどんなことができるかというと、この鳥獣保護法を使ったいろいろな施策というのが一番いろいろなことができるんじゃないかと思うわけです。
 それは鳥獣保護法というのは、最初は狩猟鳥獣とか有害鳥獣をどうしようかということでできた法律だと思うのですけど、歴史もあるし経験もあるし、それから人の問題は課題は一杯ありますけど、何とか工夫すれば、1,000のポストがあるということでしたか、人もつけられるし、予算もそれなりにいろいろな形でつきやすいので、有効なことが一番できる法律なんじゃないかと思います。
 そういう意味で、多様性基本法はできて間もないわけですから、現場でどういうことをするかというのに直接結びつくような動きはほとんどないのかなと。それで地域保全戦略をつくるようなことがどこかにあったと思いますが、私はちょっとそれは頭に入っていませんけど、多分、下手すると、それも何か国家戦略の地域版みたいな文書をつくって、あとやることはどこがやるのかなみたいな感じで終わっちゃうようなことになる可能性があるんですけど、この鳥獣保護法を使えば、現場で多様性保全に向けたいろいろなことができるんじゃないかというような考え方でこの基本指針をつくっていったらどうかなというふうに思いました。
 それ以上ちょっと具体的なアイデアは私にもないんですが、例えば3ページのところに、制度上の区分に応じた保護管理といって希少鳥獣、狩猟鳥獣とかと出てきますけど、この法律は、ここら辺が何か箱が白くなっていて、狩猟鳥獣に関してはいろいろ今いろいろなご意見があったことで課題も一杯あるんですけど、希少鳥獣は、これは種の保存法にもう任せてしまうというようなことかもしれませんけど、種の保存法だと本当に種も少なくて、地域も限定されていて、レッドリストに載っているような動物ですね、一杯いるんだけれども、鳥獣保護法の観点からは何もされない。一般鳥獣も同じようなことで、それから外来鳥獣も、外来法があるからそっちで対応するんだということなんだけど、鳥獣保護法の観点から見た外来鳥獣の管理は、多分、やれること、やらなきゃいけないことが、地域連携とか、一杯あると思うので、ここは鳥獣保護法にさっき言ったように知識も経験もあると思うので、頑張ってもらって、ほかの法律をカバーするような総合的な鳥獣保護事業計画ですか、というものが何かつくれるような、そういう工夫ができないのかなというふうに思いました。
 そのぐらいです。

【山岸委員長】 一当たりご意見をいただいたんですが、まだございますでしょうか。
 私の方からも二つぐらいお願いしたい、小さなことですが、今の石井さんのおっしゃったことと市田さんが最初に言ったことと関係するんですが、例えば、3枚目に高山植物の写真があるところがあるじゃないですか。生態系等への被害とあるんだけど、食害による希少植物の被害というのは、もちろんこれは食われるからあるんだけど、今度はこの植物を一緒に食っているライチョウみたいなものが困ってしまっているというようなことがあるのに、この中には文句を言わないやつは出てこないという、市田さんの言うのでいうと全くそういうのになっているので、もう少しそのぐらいは、あれだけ中村浩志先生が頑張ってるんだから、入れてほしいと思いました。
 それから、鳥フルについては、出先でかなりの部分を山階が請け負っているんですよね。糞便集めたり、鳥の捕獲したり。私、前だったらこれを持って帰って、何か意見があるかといって聞くことができるんですが、今はもうやめちゃっているんで、一度聞いてほしいんですよ。実際に携わっている機関に意見を求めて、それを生かすようにしてほしいというのが私からのお願いです。
 まだほかにありますでしょうか。一応ご意見も出尽くしたようですので、このあたりで本日の審議を終えたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ。

【三浦委員】 この会議は全部で何回ですか。

【鳥獣保護業務室長】 4回です。

【三浦委員】 4回あるんですか。少なくとも次回は何と何をやるんですか。

【鳥獣保護業務室長】 資料1の2の進め方の部分ですね。次回は12月を予定しておりますが、関係団体等からのヒアリングと、それから都道府県の実施状況あるいは都道府県の意見を整理したものをお示しするというのが次回の予定でございます。
 そして第3回目が、年明けて基本指針の改訂の原案ということでご議論いただいて、4月にもう一度それの取りまとめの整理といった形での全4回ということで考えます。

【三浦委員】 これを見させていただいたんですが、関係者団体のヒアリングと現状の都道府県での実施状況ということで、これだと私は議論の流れとして、何か総括的、一般論的に終止しながら、指針を環境省の方で取りまとめるということでいいのかなと思っているんですけれども。個別課題的に何か突っ込んでやる必要があるんではないかなというふうに、例えば人材育成だったら人材育成で、これは一般的なヒアリングですとそこまで出てこないんじゃないかなという気がするんですよね。それから、それぞれの県での現在の状況がどうなんだと聞いても、決して広域の問題は出てこないですよね。こういうところの問題点は一体何なのかといったような議論に踏み込めるのかしらというのが私の危惧なんですけれども。

【山岸委員長】 この原案からいくと、次回ヒアリングをして、そこから出てきた意見と、今日たくさん出たですよね。その意見を基に事務局が書き直して原案を出して、1月、2月にここでよろしいかどうかとやるというのですね。それだと今、三浦委員が言ったように、踏み込んで十分論議ができないんじゃないかというご意見ですね。

【鳥獣保護業務室長】 今回の出口の部分で、私、先ほど説明したときに、基本指針をこうするという議論、それから法改正とか制度論で提言をいただく部分、それから予算や取組をしっかりやらなきゃいけないという三つ、出口として出るのではないかというふうにお話ししましたが、恐らく三浦先生のおっしゃっていたような細部のことというのが、基本指針のあり方というよりも、基本指針を受けて、例えば広域なり、あるいは人材で何をやらなきゃいけないかということになっていくと思っておりまして、基本指針そのものの検討とは若干異なっていくかなと思っております。これまでの通常の従来の検討スケジュール等を見ましても、基本指針でやっぱりこうやらなきゃいけないねというのは恐らく実行の話、人材育成をどうやるかということ、あるいは予算の中でこういうフレームが足りない、あるいは県との連携のここが足りないというのは、多分、指針の中ではかなり方向性が出てくる話でございまして、個別の部分は、この小委員会でというよりも、宿題として受け止めて、今後またご意見を聞きながら施策に反映していくということになろうかなと思っておりますので、指針をまとめるということに関しては、このスケジュールで大丈夫ではないかなと。
 ただ、指針を踏まえた施策ということにつきましては、議論を受けて引き続き、いわゆる通常の業務の中でご意見を承りながら検討してまいるのかなというふうに思っておりまして、そういう点では、基本指針の検討という、この委員会の本来目的の部分はこれで大丈夫ではないかと思っております。

【山岸委員長】 よろしゅうございますか。はい、どうぞ。

【三浦委員】 確かにそのとおりだと思うのですが、多分あれですよね。この指針の中では各都道府県に頑張りなさいと、この方向で頑張りなさいとエンカレージをするような格好での文書に総括的にはなっていくんだと思うのですが、だからそれに伴ってどういうツールがあるのかというのは、確かにご指摘のように、一方で何といいますか、工夫や何かが、あるいは改正等も含むようなといったようなことを整備していく必要があると思うのですけれども。だから私はそれでいいのかなということを思っていて、それはそれで承っておきますけれども。

【山岸委員長】 はい、どうぞ。

【渡邉大臣官房審議官】 今日いろいろいただいた重要な課題ということで、人をつくっていく人材育成の部分だとか、広域的な管理をどう地域の自主性、主体性、特色を生かしながら広域的な連携をどう活発化させていくかとか、その辺、今の説明で都道府県の実態とかレビュー、都道府県が5年間やってきた特定計画の状況というのはレビューして、次回お示しして議論してもらえたらなと思うのですけれども、そういうものとあわせて、そういった今日いただいた課題で、基本指針にどう書くかというのが中心なんですけれども、それと関連した施策というものも考えながら基本指針を書いていかなきゃいけないと思いますので、そういう人材育成なり広域的な連携をどう進めるかということを少し議論してもらうために、私たちの方で用意できるような材料があればとか、あるいは具体的な事例で議論の参考になるようなものがあれば、そういうものもあわせてお示しして、基本指針をどう変えていくかという議論をしながら、そういった重要な課題についても、施策展開も少し思い描きながら指針に生かせるような、そういう議論ができるように、ちょっと私たちの方でも工夫を検討してみたいと思います。

【山岸委員】 はい、どうぞ。

【羽山委員】 2点、直接これは指針の中に書き込むという話じゃないかもしれないんですが、今考えていることがありまして、一つは、先ほど市田委員がおっしゃっていたことと同じなんですけれど、要するに国の役割ですね。これがやはり今非常に、特に国立公園とか国設鳥獣保護区とか、そこの中での例えばシカの管理をどうするといったときに、これは捕獲許可権限なり計画権限は都道府県が持っているとしても、そういった保護区は、やはり大体が広域の自治体に広がっているのが一般的です。ですから、そこの管理を一体誰がどういう仕組みでやっていくのか。そこはいつも問題になるところですので、そろそろここは明確化しなきゃいけないし、国が野生動物の管理を行うという、そういう時代に来ているんじゃないかなと私は考えています。
 特に希少動物ですね。レッドリストに載っているものの許可権限は国ですので、そういう例えばあつれきを起こすような動物もレッドリスト集に幾つかいるわけですね。そういったものを仮に任意の計画だとしても、計画的に管理していくということは、当然これはやはり国が主導していくしかないと思います。例えば北海道のゼニガタアザラシなんか典型だと思いますけれども、こういったものをこれからどう国が役割を果たしていくのか。ぜひご検討いただきたいというのが1点です。
 それからもう1点は、これは指針の17ページから書かれているんですけど、要するに渡り鳥とか、それから海生哺乳類の問題ですね。この中で特に海生哺乳類に関しては、80条の適用除外の中で、かなりというかほとんど除外されたわけです。それに対して指針では、ほかの法令によって適切に保護管理が図られていないと認めるときは速やかに見直しの検討をすると書いてあるわけですね。これは「国が」と書いてあるので、ですから当然今回の見直しのときに除外された種については、こうこうこうでこれは適切にやられてますと、だからこれはいい、これは適切じゃないから見直ししますということは、どの程度の進捗で、今回それに対してどう評価するのか。ここはやはり明らかにしていただきたい部分なので、ぜひここの指針の見直しの中で、書くことかどうかわかりませんけれども、明確に今現状どうなのかという評価だけはお願いしたいなと思います。
 以上です。

【山岸委員長】 三浦さん、納得はしていないと思うんだけど、それを解決するには恐らく3回目のこれに出される案をなるべく早くいただきたいと。それをもらえば、まだ当日出されて、これでどうだというよりはもう少し読めると思いますので、2週間ぐらい前までには、メールでも何でも結構ですけど、読める時間をいただきたいと思います。
 それでは、次回はこれによると12月を予定していますので、事務局から日程調整をして早目にご連絡することといたします。
 その他、事務局から何かございますか。

【事務局】 事務的なことでございますが、次回の日程調整用のカレンダーをお手元に置かせていただいてますので、ご記入いただくか、もし今わからないということであれば、後ほどファクスいただければと思います。よろしくお願いします。

【山岸委員長】 はい。それでよろしゅうございますか。
 以上をもちまして本日の鳥獣保護管理小委員会の議事を終了させていただきたいと思います。ご協力ありがとうございました。事務局にお返しいたします。

【事務局】 長時間にわたるご議論どうもありがとうございました。これをもちまして本日の鳥獣保護管理小委員会を閉会いたします。どうもお疲れさまでした。