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中央環境審議会野生生物部会
第8回 鳥獣保護管理小委員会 会議録


1.日時

平成18年10月16日(月)10:03~12:58

2.場所

三番町共用会議所 第3、4会議室

3.出席委員

(小委員長) 岩槻 邦男
(委員) 石井 信夫  石原  收  磯部  力
市田 則孝  大塚  直  岡島 成行
亀若  誠  佐々木洋平  速水  亨
(環境省) 冨岡自然環境局長
黒田審議官
泉総務課長
星野野生生物課長
猪島鳥獣保護業務室長
三村外来生物対策室長

4.議事

【事務局(山崎)】 おはようございます。
 それでは、中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催していただきたいと存じます。
 本日の出席者数でございますが、中央環境審議会議事運営規則により、定員数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
 なお、大塚委員は15分ほど遅れると連絡をいただいております。また磯部委員においても遅れているという状況でございます。
 開会に先立ちまして、9月付で環境省側に異動がありましたので、ご紹介させていただきます。南川自然環境局長の後任の冨岡新局長でございます。

【冨岡自然環境局長】 ただいまご紹介にあずかりました冨岡でございます。よろしくお願いします。
 この小委員会は鳥獣保護制度の全般的な検討を小委員、ワーキンググループを含めまして大変回を重ねてご検討いただいているということでございます。ことしの2月にいただきました答申のうち、法律にかかる部分につきましては6月に法改正を行いまして、現在検討いただいておりますのは、都道府県の鳥獣保護事業レベルに関する基本指針でございますが、この中では法律改正では対応できなかったと申しましょうか、対応してない部分につきましても、幅広くご議論を願いまして充実が図られているところでございまして、心から感謝申し上げます。
 最近の報道等、いろいろな社会の状況を見ましても、自然の中で人と鳥獣のいい関係をどうつくっていくかということにつきましては、幅広い社会の関心と、支援があるような気がしております。今後ともよろしくご審議願いたいと思います。

【事務局(山崎)】 続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
 資料でございますが、まず資料1-1、鳥獣保護事業ワーキンググループの検討報告。資料1-2、特定計画ワーキンググループの検討報告。資料1-3、人材育成ワーキンググループの検討報告。資料2、現行基本指針と基本指針(素案)との新旧対照表。資料3、今後のスケジュールでございます。参考資料といたしまして、第9次鳥獣保護事業計画の基本指針でございます。また、各ワーキンググループの第3回会議資料も机の上に参考配付しております。
なお、資料が大部でございますので、前回同様ですが、小委員会終了後机の上に資料を残しておいていただければ事務局の方で郵送させていただきます。
 資料は大丈夫でしょうか。資料に不備がございましたら、事務局にお申し出ください。よろしいでしょうか。
 それでは、岩槻委員長、よろしくお願い申し上げます。

【岩槻委員長】 改めましておはようございます。
 野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催させていただきます。
 前回の小委員会に引き続きまして、予定していただいたとおり各ワーキンググループを1回ずつ開いていただいたようですので、そのご報告を伺いながら、きょうはパブリックコメントに出す案の取りまとめまで進めさせていただきたいと思います。
 大塚委員だけがちょっと遅れてられますけれども、きょうは全員ご出席だということなので、活発なご議論をお願いしたいと思います。
 それでは、議事次第に従いまして、最初にワーキンググループでの検討状況についてのご報告をいただき、コメントをいただきたいと思いますが、まず事務局の方から、それぞれのワーキンググループについて、よろしくお願いいたします。

【事務局(鳥居)】 それでは、お手元の資料の1-1といたしまして、鳥獣保護事業ワーキンググループの検討報告につきまして、私の方からご説明をさせていただきたいと思います。
 鳥獣保護事業ワーキンググループでは、七つの項目について検討をいたしました。
 まず一つ目が、関係主体の役割分担と連携について。二つ目が鳥獣の区分と保護管理の考え方について。三つ目がわなの取扱い。四つ目が傷病鳥獣の取扱い。五つ目が輸入鳥獣の取扱い。六つ目が愛がん飼養。七つ目が放鳥獣の取扱いということでございます。それぞれについての検討の方向といいますか、基本指針に盛り込んでいく方向について簡単に資料1-1でまとめさせていただいておりますので、ご報告申し上げます。
 まず、関係主体の役割分担と連携でございますけれども、一応ここでは国、都道府県、市町村、そして事業者、市民、民間団体、専門家等というふうに幾つかの主体ごとに取り組みの役割、方向というのを書いております。

 まず、国は、国指定鳥獣保護区の指定、それから生息状況の把握、国際協力、あるいは都道府県への技術支援ということです。都道府県は、同じく都道府県での鳥獣保護区の指定、生息状況の把握、それから市町村への技術的な支援ということです。市町村は、国または都道府県と連携して鳥獣保護事業を実施。また、事業者、市民、民間団体、専門家、これはちょっと長くなりますのではしょっておりますけれども、それぞれの役割に応じた取り組みをしていくということで、本文には書かせていただいております。それから特定計画の対象となる鳥獣について、都道府県や市町村が緊密な連携を図っていくということが重要というふうに認識しております。
 二つ目の区分でございますけれども、鳥獣を制度上の取り扱いということで、希少鳥獣、狩猟鳥獣、外来鳥獣、そしてそれ以外の一般鳥獣というものに区分をいたしまして、それらの区分ごとに保護管理の考え方を記載しておいてはどうかということでございます。
 希少鳥獣は鳥獣保護区の指定や種の保存法に基づく保護増殖事業の実施により、種及び地域個体群の保存を図る。
狩猟鳥獣は、これは今回初めて基本指針の方に盛り込みたいと思っておりますけれども、5年ごとに生息状況や被害状況を勘案して対象種を見直すと。また、法12条に基づいて狩猟鳥獣の保護の観点から、捕獲の禁止・制限を行ったり、特定計画制度の活用によって地域個体群の保護管理を図ると。
 外来鳥獣につきましては、生態系等への被害、農林水産業への被害も含めまして、そういうものを及ぼしているものは狩猟や有害鳥獣捕獲により被害を防止するということでございます。
 それ以外の一般鳥獣につきましては、鳥獣保護区や特定計画制度を活用し、被害の防止と地域個体群の存続を図るというふうにしております。
 また、これらの制度上の区分以外で鳥獣の特性ということで、広域的に移動する鳥獣は関係者が幅広く連携していくと。あるいは渡り鳥は国際的な協力。渡来地の保護区に指定して保護していくと。海棲哺乳類につきましては科学的なデータを収集し、必要な保護管理方策を検討して地域個体群の存続を図るとしております。
 次に、三つ目のわなでございますけれども、これにつきましては、基本指針への記載の方向性といたしまして、とらばさみ、くくりわなについての取り扱いが議論されました。とらばさみにつきましては、鳥獣保護の観点から、現行においても既に危険な構造のとらばさみというものの使用は禁止としておりますけれども、今後、登録狩猟において使用を禁止すると。また、許可捕獲におきましても、捕獲個体への損傷が軽減されるような構造を有することを許可の要件に追加してはどうかということでございます。くくりわなにつきましても、錯誤捕獲の防止ということ、あるいは錯誤捕獲された個体の損傷をできるだけ軽減していくための、あるいは開放しやすいようなわなの構造とするということでございます。ただ、ワーキングの検討過程におきまして、とらばさみについては狩猟だけでなく、許可捕獲においても全廃すべきという意見があったこともここに書かせていただいております。
 四つ目が傷病鳥獣の取扱いでございます。基本指針へは傷病鳥獣を救護する目的といたしまして、傷病鳥獣の野生の復帰、それから環境のモニタリング、鳥獣保護思想の普及啓発、こういったことを目的として傷病鳥獣の効果的な救護を図っていくと。環境のモニタリングと申しますのは、次に書いてありますような、救護個体から得られる化学物質、あるいは感染症に関する情報というものを活用していくということでございます。それから、関係行政機関、民間団体や市民、ボランティア、そういった各主体が連携して収容、治療、リハビリテーションという一連の救護の過程で連携し合う体制を整備するということでございます。
 五つ目が輸入鳥獣の取扱いでございます。国内で違法に捕獲されたメジロ等の個体が、輸入された個体とすりかえられる恐れが高い種というものを特定輸入鳥獣というふうに指定をするわけですけれども、そういう指定を行い、国と都道府県、都道府県は既に許可を出して飼養を認めている場合足輪を交付しておりますけれども、そういう制度と連携をしながら、違法な捕獲や飼養の防止に努めていこうというものでございます。
 6番目、愛がん飼養でございます。愛がん飼養目的での捕獲許可は、現在ホオジロ、メジロの2種、1世帯1羽に限って認められているところでございます。さらに県によっては上乗せの厳しい規制をしているところもございます。ホオジロにつきましては、現在自然環境保全基礎調査の結果等から、繁殖が確認された分布域が減少する傾向にあるということで、今般愛がん飼養目的の捕獲許可対象種から除外し、メジロに限るということにする方向が提言されております。ただ、これはワーキングの検討過程において、メジロも含め愛がん飼養目的の捕獲はすべて禁止すべきという意見もございました。
 最後の検討課題ですけれども、放鳥獣の取扱いでございます。基本指針への記載の方向性といたしましては、放鳥後の追跡調査を行い、定着率が低い場合にあっては、放鳥事業の見直しを行うとともに、必要に応じて放鳥場所の生息環境の整備、放鳥個体の野生順化、いきなり人口飼育下のものを野外に出してもカラスとかに食べられてしまうというようなこともございますので、順化のようなことをやって放鳥効果を高めてはどうかということでございます。ただ、これにつきましても検討過程の意見といたしまして、鳥獣保護管理における将来的な放鳥獣のあり方そのものについて検討すべきというご意見もございました。
 以上が鳥獣保護事業ワーキングの検討状況の報告でございます。

【事務局(徳田)】 続きまして、資料1-2により、特定鳥獣保護管理計画ワーキンググループの検討報告をさせていただきます。
 まず、特定鳥獣保護管理計画のワーキンググループでは、一つ目として、鳥獣の保護管理計画の推進。それから二つ目として、広域的な鳥獣の保護管理。それから三つ目として、地域における取り組みの充実。それから最後に四つ目として、モニタリングとフィードバックということについてワーキングでいろいろご意見をいただいたところでございます。それで、それぞれに関しまして、ここにまとめさせていただきました。
 まず、鳥獣の保護管理計画の推進については、(1)基本的な考え方といたしまして、特定鳥獣保護管理計画をつくる場合に、そこを対象とする地域個体群を長期に安定的な維持が図れるように、関係機関、あるいは団体、専門家、地域社会の意見を踏まえて、そこの個体数管理、生息環境管理及び被害防除対策という、この三つの柱のもとに科学的知見や現状に基づいて、それぞれについて目標設定を行った上で、事業実施結果をまた次の結果にフィードバックするということで、順応的に管理が図れるようにするものであるということとなっております。
 それから二つ目の個体数管理でございますが、個体数管理につきましては、現在、関係都道府県、あるいは都道府県内の各市町村の間でも、調査方法の統一、あるいは生息密度のための個体数調整なんかにつきまして統一が図られていない場合があるということで、そういうものについて統一を図るものとするということでございます。
 二つ目といたしまして、そういう統一を図ることによって、捕獲を実施する期間、方法、場所とか数量とかというものが個体数管理において計画的に行えるということで、モニタリングをしながら計画を調整していくものとするということでございます。
 それから三つ目といたしまして、生息環境管理でございますが、特定鳥獣保護管理計画の対象となる鳥獣の採食環境の改善とか、里地里山の適切な管理、それから河川の環境なんかも含めまして、人と鳥獣の適切な関係の構築を図りながら生息環境管理を進めるということでございます。
 二つ目といたしまして、関係主体が生息環境管理を実施するとき、植生とか土地利用の状況も踏まえて、プラス被害の動向、あるいは地域の計画なんかとともに実施で整合を図って実効性をさらに高めるようにするものとすると。
 それから4番目といたしまして、被害防除対策でございますが、被害防除対策につきましても、被害が減るような形で適切な目標を設定して、そのための防除の効果測定を行った上で検討、改善を進めていくということでございます。また、被害につきましては、農林水産業の振興が図られるように、それぞれの関係の行政部局で連携をして進めるものとするという以上が1番でございます。
 それから2番の広域的な鳥獣の保護管理ということでございますが、隣接する都道府県を越えて、ツキノワグマとカワウのような、今想定しているものはそういう鳥獣でございますが、地域個体群の管理に当たり、単独の都道府県の現在の特定計画だけでは被害の防止、あるいは適切な保護管理ができないというようなものについては、広域的な保護管理の方向性を示す広域指針というものを作成して、鳥獣の保護管理を進めるということでございます。
 広域指針が作成された関係府県では、それに基づいて特定鳥獣保護管理計画を作成して、保護管理事業を行うということとして、国は作成された広域指針を幅広に周知をするということでございます。
 広域保護管理指針の対象ということで、先ほど言いましたように、隣接都道府県を越えて鳥獣が広域的に移動する種とか、複数の都道府県にまたがって孤立個体群になっているような種なんかを対象といたしまして、鳥獣の生息とか被害状況を踏まえて、国及び都道府県が役割分担をして指針の作成に当たるということでございます。
 国といたしましては、現在ある特定鳥獣保護管理技術マニュアルというものがつくられておりますが、これが今回の基本指針の改定に合わせてこれも改定をすることを考えておりますので、この中で地域個体群の輪郭、それから今後優先的に広域指針を作成することが適当である地域個体群というものを示すこととしております。
 3番目といたしまして、広域指針を作成する場合に、広域協議会というものを設置しまして作成することが望ましいということでございます。その広域協議会につきましては、関係都道府県、あるいはそういう区分が難しい場合には地方ブロックなどを広域協議会の単位とするということでございます。  4番目の広域協議会、あるいは広域指針を作成するときの実施体制でございますが、鳥獣部局だけではなく、農林水産、あるいは河川担当、それから利害関係者、自然保護団体等々、関係者によって構成されるようになるべく努めるものとするということと、その広域協議会自体は、やはり科学的な知見をいろいろなところから集積をしまして、順応的管理に基づいて実施結果や地域個体群の動向を踏まえて、また必要に応じて広域指針が作成された後も見直しを行うということでございます。
 こういう見直しに当たりましては、特定計画のところでも記載をさせていただいておりましたが、専門的知見を有する研究者等で構成された科学委員会を広域協議会に設けるものとするということでございます。
 この検討の中で、広域的な鳥獣保護管理というのは、対象種別に地域を設定して行うのではなくて、もう最初から地方ブロックを単位として、その中で固定的、常設的にそういうものをつくった上で鳥獣保護管理を行っていくべきではないかというご意見はございました。
 それから3番目でございますが、地域における取り組みの充実ということで、これは現在の特定鳥獣保護管理計画をより効率的に進めるために、年次別、あるいは地域別にそのプロセスを具体化して、実施計画というものを特定計画のもとに作成するということでございます。
 一つの例というか、都道府県は関係市町村が実施計画に基づいて捕獲を許可する場合、そのもととなる特定計画に定められた捕獲上限数を超えないように実施計画と特定計画の調整を図るというようなことでございます。
 それから地域における保護管理の推進ということで、やはり被害対策自体は捕獲だけでは不十分であるということから、各関係部局が連携を図って、被害防除対策と一体的に鳥獣の生息環境の管理を図るという意味で、総合的な取り組みを推進するということでございます。地域における取り組みの充実の中で、被害者の被害防除対策に対する満足度を汲み取るような仕組みを何か入れ込んでいかなければいけないのではないかというご意見はありました。
 それから最後にモニタリングとフィードバックでございますが、モニタリングとフィードバックは、まず基本的な考え方として、順応的管理の一環として特定計画に定められた個体数管理、生息環境管理、被害防除対策の三つの管理事業について目標を立てて、その期間中にモニタリングをして、その結果を踏まえて次期計画の見直しを行うということでございます。
 それから二つ目のモニタリングとフィードバックというところでございますが、都道府県はやはり個体数に関するものだけではなくて、被害防除とか生息環境についてもモニタリングを実施して、モニタリングを実施する場合は、隣接都道府県などと共同して既存の調査を活用するなどして実施をするということでございます。また、都道府県が特定計画へのモニタリング結果をフィードバックする場合は、客観性とか科学性を確保するために、専門的鳥獣保護とか農林業被害対策に関する専門的知見を有する研究者を構成員とする検討会などを設置するということでございます。
 国は、特定計画制度が適切に運用されているか、必要な種、あるいは地域において特定計画が作成されているかというのを把握して、総合的な評価をおおむね5年ごとに行って都道府県に助言を行うものとするということでございます。
 それから、先ほども申し上げましたが、特定鳥獣保護管理技術マニュアルというものを今見直しを進めているところでございます。これについても、そういうことを進めていきまして、必要に応じてこの特定計画制度、あるいはこの後にご説明する基本指針についても検討を進めるということになります。
 あと後ろは今までの開催状況でございます。
 以上でございます。

【事務局(中澤)】 引き続きまして、資料1-3に基づきまして、人材育成ワーキンググループの検討報告をさせていただきます。
 人材育成のワーキンググループの検討でございますが、まず、先般の審議会答申にございますように専門的な人材が各所に必要であるということ。それからさらにその登録によってそういった人材を確保していきましょうといった方向性をいただいておりまして、それに基づく検討を深めております。
 まず、1番目でございます。鳥獣保護管理に関わる人材の確保と育成の方向性。背景といたしましては、専門的な知識や技術を有する人材等が行政機関、それからいろいろな現場に適所に配置されていることが必要とされているということ。それから、特定鳥獣保護管理計画の作成から実施に至る各段階で、それぞれアドバイスをできるような人材が必要とされているということ。さらに、その鳥獣被害の深刻な地域では、実施に関する助言・指導がきめ細かく求められているのではないかといったようなことが背景になっているということでございます。
 対応の方向性でございます。まず、鳥獣保護員のレベルの向上をしていこうということ。さらには捕獲従事者のレベルを向上していこうという話。さらに、そういったそれぞれの例えば捕獲ですとか、鳥獣保護管理の実施に関することを個人ではなく民間としてできるようなところということについて育成を確保していこうということ。こういったことが方向性として考えられる。こういったことを受けるために鳥獣保護管理に関する専門的知識及び技術等の評価と、必要な人材確保に対する体制を確保して鳥獣保護管理に関する専門的な人材確保等の仕組みと、こういったものについて整備を図っていきましょうということで方向性を検討していただいたところでございます。
 その各論といたしまして、大きく研修ということ、それから鳥獣保護員ということ、さらに狩猟者の育成ということ。この三つについてそれぞれ議論を深めていただきました。
 まず、鳥獣保護管理の研修でございます。国によっては全国的な状況を踏まえた、また制度に関するような研修をしていくということ。それから都道府県においては、地域的な視点から研修を行っていきましょうということ。それから、さらに関係機関等との連携の話でございますけれども、現在、都道府県においては農業被害対策関係の研修も行われているということで聞いておりまして、そういったところで被害対策をきちんとやっていくためには、鳥獣に関することについてのきちんとした理解をしていただく必要があるということ。2ページ目に移りまして、鳥獣の研修をする場合についても、現状その被害というような状況もございます。それでそういった被害対策にかかわる内容というのを充実させると。相互に農業部局、それから鳥獣部局が連携して、そういった研修の質を高めていきましょうといったようなことを議論していくと。さらには都道府県では、事例が少ないような鳥獣について、しかしきちんとそれを押さえておかなくちゃいけないということについては、関係機関ではなく、関係する都道府県間での連携というのも図っていく必要があるのではないかといったようなことを議論しております。
 それから(2)で研修内容及び普及でございます。まず、やはり今特定計画のワーキンググループの話でもございましたが、順応的管理というのをきちんと理解していただくと。さらには特定計画の柱である個体数管理、生息環境管理、それから被害防除対策、これについてきちんと理解をいただくと。これはやはり今後の鳥獣保護関係、鳥獣保護管理関係の研修の最もベーシックになるものではないかといったことでございます。
 こういった研修でございますけれども、特定計画制度が始まった段階では、どうやって計画を策定していくかということが研修の中心になってきたわけでございますが、今後今特定計画のワーキンググループの中でもございました。広域的な話、それから地域レベルでどうやって計画をつくっていくかと。いろいろな特定計画のステージが今動いていく中で、そういったステージに合わせた研修というのをきちんとしていこうと。さらに研修というのはきちんと受けた人がいろいろな人に対して情報の共有を図るということ。それは研修受講者だけではなくて、研修を実施する側からしてもそういった対応をしていく必要があるのではないかといったようなことが議論されております。
 次に鳥獣保護員でございます。鳥獣保護員につきましては、基本的な考え方として、地域における鳥獣保護管理に関する助言・指導、また鳥獣保護区における環境教育の推進といった鳥獣保護員に対する新たな要請に対してこたえていくということでございます。  次が任命の方向性でございます。まず、任命でございますけれども、先ほど申しましたような、人材確保の仕組みを活用して、いろいろ知見を持った方を確保して採用していくということ。また、公募といったことも幾つか事例が取り組まれて成功しているということも聞いております。そういったことを地域の実情に応じて実施していくことが必要ではないか。また、常勤的な活動が求められる場合、常にだれかいて相談できるような体制という場合、なかなか現状その予算とかは都道府県におきましても厳しいというふうに伺っております。鳥獣保護員にだけということでは無理だということも伺っておりますが、既に幾つかの都道府県ではそういった自然保護関係の指導員の併任化によって常勤的な活動量というのを確保していると。そういったことも参考にできるのではないかということでございます。
 鳥獣保護員の総数でございますが、これにつきましては、現状その都道府県の置かれた状況によって、きめ細かく現在市町村の数と同じぐらいの数を確保しなさいということを基本指針においては言っておるわけでございますが、そういったなるべくきめ細かくと申しますか、それぞれ地域にいるということを確保する。もしくは専門的な知識をふやして、少数でも非常に専門的な知識を持つ人を配置していくと。そういった二つの系統でそれぞれの地域の実情に合わせて対応していく必要があるのではないかということ。
 それから鳥獣保護員の資質の維持でございます。現行の基本指針においても活動マニュアルとか、そういったことを研修とか言っております。都道府県においても取り組まれているということを聞いております。また鳥獣保護員の任期を更新する際に、そういったさらに最新の知識について得ていただくということ、さらには身体的な適正能力についても確保していただくといったようなことも必要ではないかということでございます。
 最後に狩猟者でございます。狩猟者の育成に関する方向性でございます。まず基本的な考え方でございます。鳥獣の科学的・計画的な保護管理に狩猟は重要な役割を果たしていると。今後とも人と鳥獣とのあつれきが進むというようなことを背景に、狩猟の果たす公共的な役割というのが期待されるのではないかといったことでございます。
 続きまして、狩猟者の減少と高齢化が進行する中で、そういった現在でも重要な担い手となっている狩猟免許者の確保というのが社会的な課題であると。一方で、狩猟に関する事故、また先般も有害鳥獣捕獲での事故ということも発生しております。そういった安全確保をきちんと図っていって、一般市民の方の狩猟といったことについての理解を深めていただくと。信頼を得られるようにしていくといったことが必要ではないかということを議論していただきました。
 狩猟者の育成の方向性でございます。まずは、狩猟者の資質向上のために免許試験及び講習について充実していこうということでございまして、試験ですとか、講習、さらには狩猟者団体による狩猟者の育成によって鳥獣保護管理に関する知識や技術を充実していただくと。
 次が網猟とわな猟の適切な実施でございます。今回、鳥獣法の改正によりまして、網・わな猟免許というのを網猟免許とわな猟免許に分類いたしました。そういった専門性を確保していくということ、さらにはそういった分類することによって免許取得の促進を図るといったこと、それぞれを図っていくことが必要ではないかということでございます。
 最後に狩猟者の確保でございます。これはこれまでも各都道府県におきまして試験免許の複数日開催、それから週末等、休日における開催等をされていると。そういったことについて引き続きやっていくと。さらには狩猟との社会的な意義を踏まえまして、狩猟者の確保についての市民の理解をきちんと得ていくということ。こういったことが必要ではないかといったことで議論をいただいて、また、猟区を活用して、初心狩猟者の育成を図るということも一つの方向として考えられるといったようなことを議論していただきました。
 以上が人材育成ワーキンググループの検討の報告でございます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。ただいま事務局の方からご報告をいただきましたけれども、各ワーキンググループの座長から何か追加のコメントがありましたら簡単にお願いしたいと思うのですけれども、まず鳥獣保護事業ワーキンググループの三浦座長は。

【三浦委員】 鳥獣保護事業ワーキンググループの座長を務めさせていただきました三浦です。
 報告で基本的に検討の内容は網羅されていると考えます。
 それでちょっとコメントを言いますと、まず3番目ですが、わなの取扱いについて。検討過程における意見として、とらばさみについては狩猟だけではなく、有害を含めた許可捕獲においても全廃すべきとの意見があったということです。これについては、世界的には現在カナダとEUがわなの人道的な基準といったものも導入されていることから、この方向が求められるという意見が強く出ました。
 それから、6番目の愛がん飼養についてですが、ホオジロについては残すということですが、繁殖が確認された分布域が減少する傾向にあるという理由ですが、これはやや苦しいのではないかなと。この文脈ですと、また回復したら許可するという話になってしまいますから、そうではなくて、検討過程の意見ではメジロを含め愛がん飼養の目的はすべて禁止すべきということで、基本的な方向性を確認していくということが重要ではないかという意見が大勢を占めました。
 それから放鳥獣の取扱いですが、これは放鳥事業の見直しを行っていただきたいということで、検討過程における意見としては、狩猟のためのキジ、ヤマドリの従来の放鳥と、それから希少種の保護のための人工増殖等を含めた、いわゆるリイントロダクション、再導入ですね。これとはやっぱりきちんと区別していくことが重要なんだと。狩猟のためのキジ、ヤマドリについてはその効果、あるいはお金がかかる、あるいは発想としてもともとは生息環境を整えて個体数をふやして狩猟をすべき、余剰狩猟をするという発想ではなくて、いわば釣り堀的な発想ですね。このことは将来的にこの種の放鳥獣、狩猟のための放鳥ですが、これについては抜本的に検討すべきだろうという意見がありました。
 以上です。

【岩槻委員長】 次に特定鳥獣保護管理計画のワーキンググループの石井座長、お願いします。

【石井委員】 座長を務めました石井です。
 特定計画ワーキンググループの方では、ここに報告していただいたようなことで大体議論の大筋は網羅されていると思います。
 それで、最初からいきますと、1の保護管理計画の推進のところで、ワーキンググループの中で、特に委員の中から意見が出たのは、生息環境管理というところが今まで余り注目されていなかったので、ここを充実させるようにしていくべきだと。それは特定計画だけではなくて、土地利用の土地の管理にかかわってきますので、ほかの省庁との調整が大事になってくるということを含んでいるわけですが、ここに取り組んでいかなければならないということを強調する意見がありました。
 それから、被害防除対策ですけれども、特定計画は、これから重要なこととして、やはり後からも意見が出ていましたけれども、地元の意見ですね。特定計画の必要性というのは、被害防除という側面が非常に重要なわけですけれども、そういう観点から、今まで地元に密着して被害軽減というのをどういうふうに図っていくかということを評価して計画をつくっていくという視点が不足していたので、そこを充実させていくという意見がありました。
 これは後で出てきますように、実施計画、2ページ目の3番目にいってしまいますが、地域における取り組みの充実というところに関係してくるわけです。
 それから戻って、2番目の広域的な鳥獣の保護管理というところでは、特に意見として出ましたのは、一番最後になりますけれども、広域的な鳥獣保護管理というのはもちろん当然必要だということなんですけれども、種によって、あるいは地域によって、ばらばらに計画なり指針というのをつくっていくのではなくて、固定的な地方ブロックをベースにした体制を組むべきだという意見が強く出ましたが、これは行政的にもすぐにこういう体制を組むというのは難しいということがあるので意見にとどまっていますけれども、方向性としては、実質的なやり方としてはこういうことを目指していくべきではないかという意見がありました。
 それから、その次の地域における取り組みの充実については、先ほど出ましたので繰り返しません。
 それから4番目のモニタリングとフィードバックですが、これは順応的な管理ということが特定計画の実施のベースにある考え方なので、評価というものが欠かせないわけです。実施してみて、その結果を見て評価をすると。そこの評価にかかわる重要なパーツになってくるので、この部分を特に重視するということなんですが、評価に当たっては科学的な評価をしていくというための専門家の関与と、それから国の関与、これをしっかりと確保するべきだという意見が出ました。この報告の中では、国はおおむね5年ごとに特定計画を評価するというふうに書いてありますけれども、基本指針の方にはもう少し踏み込んだことが書いてあったような気がするのですけれども、常に各都道府県が計画を策定実施していることについて、国の立場からの情報の収集とモニタリングというのをやっていくべきだという意見が出ていたというふうに考えております。
 それで評価に関しては、これも再三言葉として出てきますけれども、情報の共有ということがあるわけですね、市町村レベルでも都道府県レベルでも。そういう情報の集約、共有のための集約、分析、それから提供、公表、そういう仕組みが必要なんだという意見が出ていました。それはここには余りはっきり書いてないのですけれども、指針の方でそういうふうに読めるような部分があるなというふうに考えています。
 いずれにしても、これも委員からの意見ですけれども、特定計画の仕組みというのは今度広域指針と、それから実施計画というのができましたから、道具としてはもう非常に使いでのあるものになっていくと。問題はそれを動かす人とお金だろうということの指摘がありまして、だから道具はあるけれども、それを使うための体制、それから条件を充実させることが必要であるという意見がありました。
 以上です。

【岩槻委員長】 それでは、人材育成ワーキンググループの岡島座長からお願いします。

【岡島委員】 人材育成の座長を努めました岡島でございます。
 今、石井先生がおっしゃったことと同じこと、基本的には事務局が説明していただいた中身で終わっております。しかしその過程で、石井先生がおっしゃったように、やはり人と金ということがかなり大きな課題になりまして、意見がたくさん出ました。そして理想から見ればほど遠い状況ではないかという意見がかなり強かったです。日本のような高度な文明生活を送っている国で、なおかつそこにサルだのいろいろなものがいて、非常にそこにおける共生関係というのはうまくいけば世界にきちんとした形で示せるはずのものであろうけれども、そこに至る今石井先生がおっしゃったように、形はできたけれども、特にベースとなる人材が少し足りな過ぎるのではないかという意見がかなり強く出ておりました。しかし、20年ぐらい前のことを考えれば、小委員会でも私一度申し上げたことがありますけれども、野生生物関連全体が物すごく私は発展してきたと思いますので、これから先5年、10年とかけて、今理想にはほど遠いというところをやっていこうではないかという声も複数出ておりました。
 そういった考えに立って、座長としては個人的なことにもなるかもしれませんけれども、やはり大学における人材育成とか、いろいろなハンターの規制とか、さまざまなことで今回は人材登録のようなことで一つ意見が出ておりますけれども、野生生物管理についての総合的な人材育成プランが必要ではないだろうかと。それを今回はとてもつくるわけにいかなかったのですけれども、できたら先ほど申し上げたような、10年ぐらい先を見据えた、こうあればいい形になるだろうというプランを、こういう委員会を継続でも形はどうあれ、1年ぐらいかけてきちんとしたものをつくって、こういうものができたらいいのではないか。それに向かって10年かけてやっていこうではないかと。そのようなくらいのものまでつくっていただきたいと思っております。皆さんの意見を集約するとそういうところが一番大きいのではないかと思っております。
 それからまたもう1点は、どこの分科会でも同じでしょうけれども、各省庁との連携です。これが非常に地域社会の振興とかいろいろなものにも重なってきますので、連携が大事であろうと。特に環境省としては調整官庁としてその力を発揮していただきたい。ここには表向きには出てきませんけれども、特に佐々木さんの方からも、ハンターが免許を取るときになかなか警察がうんと言わないというようなこともかなり強くありまして、それにはハンターの方も社会的な信用が必要だろうと。それからハンターがたくさん必要な地域というのはかなり限定されているだろうから、当面はそういう地域の警察本部などといろいろ取り決めをしたらどうかとか、全国で大体では何人いるのかというようなことも警察署などといろいろ検討してほしいという意見もございました。
 それからもう一つ、これは個人的な意見なんですけれども、非常に大事な作業ですので、どなたか役所の方もこういったものを長期的にきちんととらまえるような人材を配置していただけないだろうか。これは個人的な考えですけれども、5年、10年にわたって、こういう人材育成だとか、特定管理計画などについて、きちんと継続して専門的に見ていただく方がいらっしゃれば、役所の中では偉くなるかどうかわかりませんけれども、ご本人にとっても世の中にとっても、大変得がたい体験でもあり、財産になると思いますので、そういう方をぜひ役所の中でも発掘していただければ非常にいいのではないかなと思っております。
 以上です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 三つのワーキンググループで長期的、短期的な視点でいろいろと精力的に意見を戦わせていただいて、今後に生かしていただきたいと思うのですが、今の内容につきましては、次の議題の基本指針に盛り込まれているものと盛り込まれていないものとがありますので、内容についてはこちらの方で一緒に議論をしていただけたらと思うのですが、何か今の三つのワーキンググループからのご報告について、このことについて何か直接のご質問とかコメントとかがありましたらご発言いただきたいのですが、いかがでしょうか。
 速水委員、どうぞ。

【速水委員】 1点だけ、資料の1-2の特定計画、私自身もそっちに入っているわけですけれども、生息環境管理の部分は非常に重要なポイントなんですけれども、そこの1行目の里地里山というものの読み方ですね。一般的に里地里山というふうに言うと、里に近い雑木林、雑木林というふうなとらえ方が結構される場合があるのですけれども、私自身はこれはもう少し広い、集落周辺のそういう昔で言う里山からもう少し広がった、背後に広がるような人工林も含めてとらえているというふうなつもりでおりますので、一応そんな考え方で私はとらえております。

【岩槻委員長】 特にご発言いただかなくてもいいですね。
 市田委員、どうぞ。

【市田委員】 質問があるのですけれども、今回のワーキンググループというのは、鳥獣保護計画をどう考えるかというワーキンググループだったのではないかと思うのですね。ですから、私たちのやったときも被害の現状は非常に難しいということはすごくよくわかるのですけれども、話の内容がほとんど被害のことが前面だったので、もうちょっと全体を見てほしいということをいろいろ申し上げたことがあったのですが、人材育成ワーキンググループのところ、岡島先生のところにご質問なのですけれども、これは鳥獣保護実施計画をするための人材育成なのか、あるいは特定計画をするための人材育成なのかというのは、そこはどういうことなのですか。この中身を見ると、特定計画ということにかなり厳格に絞られているような気がするのですけれども、そういうご検討なのですか。

【岡島委員】 私の認識としてはかなり幅広い形で人材育成ワーキング、ただここで投げられた課題については、こういう特定計画をかなり意識はしておりますけれども、特に絞られているという気は持っておりませんが。

【岩槻委員長】 中澤さんも何か。

【岡島委員】 中澤さんの方から。

【事務局(中澤)】 人材育成のワーキンググループを担当しておりましたが、鳥獣保護管理という視点で特定計画というところをどうやってうまくいくかというのは、やはりそれは大きなウエートを占めていたと思います。ただ、ここで専門的な知識や技術を有する人材ということで、それがその行政機関を初めとして研究機関や、鳥獣保護管理の仕事をされている現場に至るまで適切に適所に配置されていることが必要というところを背景としているわけでございますので、保護管理という考え方、保護管理に関する知識や技術ということをベースにして、そういったことで鳥獣保護事業全体にそれをうまく回していこうというような視点でこれは回っているというようなことで理解をしております。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。

【市田委員】 ということは、特定計画以外も含んでいるということで考えてよろしいわけですね。

【事務局(中澤)】 具体的に言うとどういった……。

【市田委員】 ですから、もっと鳥の保護の啓蒙普及だとか、いろいろなことがあると思うのですね。だけども、ここはそういうことがほとんどなくて、やっぱり人材育成というとそういった部分もこの国はかなり必要だと私は思うのですけれども。

【岡島委員】 ある意味としては、将来先ほど言いましたね、10年ぐらいとかいろいろな形で、あるべき今市田さんのおっしゃったようなことも含めたことは当然想定はしている。しかし現時点で、この半年間でまとめるというところで、特定計画にかなり絞った形でつくっているけれども、つくっている委員の方では10年先まで見据えた、頭の中でこれに現時点でつくっているものはつくっているということですので、先ほど私が申し上げたように、もっと大きなちゃんとした市田さんの言ったものを含めたようなものもこれから1年ぐらいかけてちゃんとつくるべきだという意見は私も申し上げているし、そうなっていますけれども、今回の答申については、重点的に特定計画を入れようということで、将来やれそうなことをここで限定しているわけではないのです。 ですから将来的にはもっと広げていきたいということであって、しかし現在のこの答申では、ここの範囲の中でやっておこうということですので、意識としては10年後まで見据えた気持ちでつくっているので、アセスメントをつくったときもそうなのでしょうけれども、将来こうなったときにそれに足かせになるようなつくり方はしないということで、この特定計画でも、将来今市田さんが言ったのまで入れていくときに、この報告で足かせをしてはいないということですね。だから将来的には広げていく気持ちは持っているのだけど、この計画があるために、今おっしゃったような形で、ほかのものが今度入れなくなるというようなことはしないという気持ちでやっているわけです。

【市田委員】 今おっしゃったことはとても重要だと思うのですね。だとすれば、最初の検討委員会の1にあったように、意見がこうあったという・みたいなのが、まさに岡島さんのおっしゃったところがどこかにあっていただくとすごく安心ができるのですけれども。

【岩槻委員長】 むしろ最後に座長コメントとして出していただいたことが記録に残りますので、その意味では生きると思いますけれども。
 ほかにいかがでしょうか。三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 少し文言のことなのですが、まず特定鳥獣保護管理計画資料1-2ですが、1の(2)の個体数管理ですが、これは議論は確かにしたのですが、1番目の○はちょっと理解が違うのではないかなと思うのです。個体数管理については、関係行政機関の間で個体数及び生息密度把握のための調査方法の統一を図ると、こう書いてあるのですが、これは私自身というか、出た意見では、これはさまざまな個体数調査のやり方があってもいいわけで、これは環境条件によって生息環境によって、何を採用するかと決めていけばいいし、それから、これからも新たな創意工夫で調査方法をつくり出すということもあり得るわけですから、統一を図って固定化する必要はないんであって、ここのところちょっと変えていただきたいなと。ただし、調査の制度とか、サンプリングの数だとかといった、そういう手順はこれはつくり出していく必要があるのではないかなというふうに思います。だから一番目の○は議論とちょっと違うということですね。  それから次の2番の(5)ですが、検討過程における意見も、これも私はちょっと検討過程の意見とは違うのではないかというふうに思います。というのはどういうことかというと、広域的な鳥獣保護管理は対象種によって異なった地域を設定して行うものではなくとあるのですが、これは広域的な鳥獣保護管理は対象種によって異なった地域を設定してやっていくべきものでもともとあるわけで、そういう点では、広域的な鳥獣保護管理は、これは地方ブロック等をベースにした固定的、常設的な体制で行うことが必要なんですが、これをベースにして対象種によってさまざまなサイズを変えていくということなのだったのだろうというふうに思いますので、これも文言を訂正していただきたいなというふうに思います。
 それからもう1点ですが、人材育成のワーキンググループなんですけれども、これ今岡島先生がまとめていただいたのですが、そのことを基本的な考え方、研修に関する方向性、あるいは人材確保と育成の方向性の最後あたりに○として、岡島座長が今まとめていただいたような意見をぜひ入れておいていただきたいというふうに思います。
 それでもう一つ、それにかかわるのですが、特に特定鳥獣というか、今被害とのかかわりで非常に問題になっている、こういう人材、専門性を確保するようなそういう人材を確保していくためには、議論の中ではぜひぜひという格好で資格制度みたいな議論も大いにやってきたわけで、結局このことは残念ながら実らなかったのですが、ただ、そのことは議論したということは書いておいていただきたい。例えば、大学教育についてもそうですし、あるいは一定の資格を備えた者を登録していくといったような、登録制度の中身もある程度の資格を担保するといったような、そういうニュアンスのことをぜひ書き込んでいただきたいなというふうに思います。
 よろしくお願いいたします。

【佐々木委員】 ちょっと関連でいいですか。

【岩槻委員長】 佐々木委員。

【佐々木委員】 一番先の質問、三浦委員の質問の中で、個体管理の問題。統一するというのは問題があるのじゃないかということですが、私はやはりその都度調査方法なり、調査の委員を変えたのでは、公平、公正を欠くのではないかと思うので、やはり適正な合理的な調査方法というものを私は確立すべきだというふうに思います。そういうことによってやっぱり調査員も中立性といいますか、ちょっと偏った考え方を持つと、私は非常に違った方向になる。ですからもちろんそういう部分にきちっと調査方法についても開示すべきだと、委員についても開示すべきだという考えです。
 以上です。

【岩槻委員長】 ワーキンググループの議論が続いているみたいな格好になりましたけれども、まず座長から何か。

【石井委員】 特定計画の報告で、三浦委員からご指摘のあった調査方法の統一というのは、これは精神としては多分隣接した都道府県で全く違う方法でやっていて、全然比較ができないという問題があったのでこういう書きぶりになったと思うのですけれども、これは余り文字通り受けとめると確かにもう回数から保護から全部一緒にしないといけなくなってくるというふうに読めるので、もうちょっと精神を生かした書き方がいいかなというふうに思いました。
 それから、2ページ目の広域指針の進め方で、対象種によって異なった地域を設定して行うべきではないというふうに書いてありますが、それは言われてみればちょっとこの書き方だと誤解を招くかなと。それでむしろこれは梶委員の意見ですけれども、全国的ないつもこの鳥獣保護管理を扱う体制が地方ブロック単位にあると、その都度何かシステムを立ち上げてやる必要がなくなるし、常にそこに行けば情報も人も手に入るというふうに持っていくべきではないかというところに重点があるので、前段の異なった地域を設定して行うのではないというところは、これもちょっと書き方を変えた方がいいと思いますね。確かに種によって当然具体的な対象地域が違ってくるはずですので、それはそのように直してもらうようにしたいと思います。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。あとでまた座長と協議いただいて修文をしていただいて、できたら発言されたお二人の方にもこれでいいかどうかという納得をしていただいてまとめていただけたらと思うのですけれども。人材育成の方も、先ほど市田委員がおっしゃったのも同じ線だったと思いますので、やはりこのワーキンググループの報告の中に形として残っていた方がいいというお二人のご意見なので、これも座長とご検討いただいて、何らかの形で残るように修文していただけたらと思います。そういうふうに取り扱わせていただくということでよろしいでしょうか。

(了承)

 それでは、ワーキンググループの報告のところでちょっと時間をとりましたけれども、二つ目の議題、基本指針についてというところへ進ませていただきたいと思いますけれども、まず、事務局の中澤さんからですか、ご報告をお願いいたします。

【事務局(中澤)】 それでは、資料2によりまして、基本指針の(案)というものについてご説明をさせていただきたいと思います。
 資料の2、大変分量の多いものでございますので、基本的にはこれまで現行の基本指針との変更ポイント、それからワーキンググループのこれまでの検討過程で、特に重点的なものについて位置づけたものということについて中心にご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、この基本指針ですけれども、素案でございますが、これまで今いろいろとご報告があったワーキンググループにおきまして各論について議論を深めていただいたと。そういったものについてまず位置づけてございます。さらに、検討会の報告書ですとか、審議会の答申、それから国会等でご指摘いただいたもの、そういったものもいろいろと入れております。また、別途鳥獣被害ですとか、生息地の話、さらには地方文献を踏まえたこういったもののあり方ということについて、関係する省庁からもご意見をいただいているというようなことでございます。まず、そういったものをベースにして今回の基本指針というものの案を今つくっておると。
 それから、次にこの構成の話でございますけれども、現行の基本指針というのは3部構成でございました。最初に鳥獣保護事業の実施に関する基本的事項というのがございまして、二つ目に鳥獣保護事業計画の策定に関する事項、さらには3番目に、その他鳥獣保護事業を実施するために必要な事項という3部構成であったものを、今回は大きく2部構成にしております。前回3番目にございました国のやっていくべきものということについて、最初の第1のところに書き込みました。その第1のところでは全体の方向性、それから国がやっていくべきものといったものについて記述していると。それから第2部につきましては、現行と同様、鳥獣保護事業計画、各都道府県が鳥獣保護事業計画を書く際の指針となるべきもの。そういったような書きぶりをしているということでございます。
 それから、大変申しわけございません。委員の方にあらかじめお送りさせていただいているものには、第1章に国の役割が別途書いてございましたが、それはそれぞれ主語を明確にした上で各項目に入れ込んでいくというような書きぶりをさせていただいているというところが全体の構成でございます。
 それでは、そういった全体の構成がこうであるということをベースにして、中身についてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、Iの鳥獣保護事業の実施に関する基本的事項でございます。
 これにつきましては、大きく三つの構成、基本的な考え方、さらには鳥獣保護事業をめぐる現状と課題、鳥獣保護事業の実施の方向性というような三つの考え方を示しております。
 まず、基本的な考え方でございます。鳥獣保護事業は地域個体群の長期的かつ安定的な存続と生活環境、農林水産業及び生態系への被害の防止という、鳥獣保護管理の考え方を基本として実施していくというものであるということ。
 それから、2番目の方では鳥獣保護事業をめぐる現状と課題でございます。鳥獣保護事業をめぐる現状と課題につきましては、まず一部の鳥獣による農林水産業、生態系への被害がある一方で、地域的に減少または孤立している地域個体群も見られると。そういった中できめ細かい保護管理が求められているといったこと。さらには、鳥獣保護管理に重要な役割を果たしている狩猟者の減少ですとか、高齢化が進行する中で、地域における鳥獣保護管理に携わる人材の育成、確保というのが課題になっているといったようなこと。あと個別の話で申しますと、鳥獣保護区におきましては、国については増加傾向にあるのですが、都道府県については今横ばい傾向にあるですとか、生息環境の改善を図る必要性が生じていると。さらには鳥獣保護員についての資質の向上ですとか、国際的な取り組みを図っていくといったような記述がございます。
 鳥獣保護事業の実施、こういった現状と課題を踏まえまして、実施の方向性でございますけれども、まず、人と鳥獣の適切な関係を構築するために、個体数管理ですとか、生息環境管理、それから被害防除対策を実施していくと。そのために関係主体の役割というものを明確化していくということ。さらには、広域的な及び地域的な連携を図って、地域に根差した取り組みを充実していくと。人材の育成とその活用を図っていくといったようなこと。さらには、狩猟というものが個体数管理や農林水産業被害の防止に果たすもの、そういった社会的な役割というものを踏まえまして、狩猟者の育成と確保を図っていくといったようなことが、その方向性として大きく記述させていただいているというところでございます。そうした方向性をもとに、これが今第一のところの概要で説明させていただいた中身でございます。
 その次に第二でございます。鳥獣保護事業のきめ細かな実施。
 先ほど背景のところでございましたが、いろいろと複雑な鳥獣保護事業の鳥獣をめぐるいろいろな複雑な背景をもとにして、それを解決していくために、一つもう少しきめ細かに対応していくことが必要ではないかということで、5ページの第二が、鳥獣保護事業のきめ細かな実施というところでございます。
 ここにまずございますのが、鳥獣を区分いたしまして、その区分ごとに保護管理の方向性というのをきちんと明確にしていきましょうということ。ここでまず制度上の区分に応じた保護管理という言葉で書いてございますのが、希少鳥獣、狩猟鳥獣、外来鳥獣、一般鳥獣に区分いたしまして、それぞれの区分ごとに保護管理の考え方を記載していこうということでございます。
 まず、希少鳥獣でございますけれども、鳥獣保護区の指定ですとか、種の保存法に基づく保護増殖事業の実施によりまして、種及び地域個体群の存続を図っていくということ。
 狩猟鳥獣でございますが、5年ごとに生息状況ですとか、被害状況を勘案して対象種を見直していくこと。さらには、法12条に基づきます捕獲の禁止ですとか、制限措置、そういったもの、さらには特定計画によって地域個体群の保護管理を図っていきましょうということでございます。
 外来鳥獣でございますけれども、これにつきましては、生態系等への被害を及ぼすものについては、狩猟や捕獲で被害を防止できる。必要に応じまして外来生物法によってその防除を実施していくということ。ここで外来鳥獣というのは、一つはいわゆる外来生物法にあるような海外から来ているものと、あとはもう一つは都道府県の中で、本来の生息地ではないところに持ち込まれた国内で移入しているようなものに対する対応も必要ではないかということが書かれております。
 その次のカテゴリーとして一般鳥獣というものがございます。これは鳥獣保護区ですとか、特定計画制度を活用し、その被害の防止と地域個体群の存続を図ると。一般鳥獣というもののカテゴリーとしては、これまで説明した希少種ですとか、狩猟鳥獣、それから外来鳥獣に当てはまらないもの、それ以外のものといったものを一般鳥獣としてここの中では取り扱わせていただいているといったことでございます。
 こうした制度上の区分に応じた区分、制度上の区分に応じた保護管理というものがまずある一方で、次の7ページでございますけれども、鳥獣の特性に応じた保護管理ということで書いてございます。
 ここに示させていただいてございますのが、分け方として、広域的な保護管理が必要な鳥獣、それから保護管理について特に配慮が必要な鳥獣、さらには渡り鳥及び海棲哺乳類といったようなもの、ですからこの三つに書いてございます。こういったものについては、広域的に移動する鳥獣は関係者、各ブロックで連携して、分布が孤立している地域個体群にあってはきめ細かい保護管理を実施していくと。渡り鳥は国際的な連携のもとで渡来地等を鳥獣保護区に指定していきましょうという話です。さらに海棲哺乳類につきましては、科学的なデータを収集いたしまして、必要な保護管理、方策を検討して、地域個体群の保存、存続を図っていくということでございます。それぞれいわゆるその制度によるもの、それから鳥獣の特性によるもの、広域に移動するとか、そういったものできめ細かな鳥獣の保護管理をする、鳥獣の保護を図っていきましょうということをこのあたりで書かせていただいているということでございます。
 次に8ページの3で、鳥獣保護に関する調査研究の推進でございますが、ここでは、これまでも特定計画のワーキンググループの報告なんかでもございました自然という非常に不確実な対象を取り扱うということでございまして、順応的な管理が必要であるということ。鳥獣保護事業の実施についてモニタリングを適切に実施しながら、その結果を評価することによって事業へのフィードバックを行うと。こういった順応的な考え方、保護管理の考え方というのをきちんとしていきましょうということがポイントであるというふうに考えております。
 その下にございます次の第三でございます。特定計画制度の推進でございますが、ここで書かせていただいておりますのは、基本的には先ほどございました特定計画のワーキンググループの中で示させていただいています特定計画というものを、より効果的に実施していくために、広い上位レベルでの広域的な連携を図っていくということ。さらにブレイクダウンしたそれぞれの地域ですとか、年度に応じたそういった細かくブレイクダウンした計画をつくっていく。特定計画を上下に広げることによって、特定計画制度というものをもっと効果的に運用していきましょうということで書かせていただいております。
 まず広域的な連携でございますけれども、隣接する都道府県域を超えて広域的に移動する鳥獣にあっては、その関係行政機関ですとか、関係団体によって構成される広域協議会によりまして広域保護管理指針を作成すると。そして保護管理の方向性を示していくと。広域の保護管理委員会、これは実際に今カワウで動いているものでございます。そういったものをベースにしながら考えておるものでございますけれども、専門家によって構成される科学委員会を設置していくと。それで科学委員会というのが専門的な知見から広域指針の作成とか、その実施、さらにはその見直しに関する助言を行っていくということでございます。
 それで、一つこの中で国の役割として、全国的な特定計画の実施状況を評価して必要に応じて特定計画というもの自体、特定計画制度自体というもの。それから、さらにはマニュアルというものについて、技術マニュアルというものを出しておるのですけれども、そういったマニュアルの見直しを行っていくということが重要であるということ。もう一つ、国の役割として、先ほどワーキンググループの報告の中で出ておりましたが、広域的に保護管理する必要がある地域個体群の輪郭と優先的に指針を作成することが適当な地域個体群を示していきましょうということでございます。
 続きまして、先ほど上下に広げるということで申しましたが、今度下の方に広げるということで、地域における取組の充実というものを10ページ以降記述してございます。
 ここでは、実施計画という言い方をさせていただいております。特定計画を実施するためによりきめ細かな実施を図るためのものという意味で実施計画という名前をつけさせていただいておりますが、ここで都道府県、または市町村等ということで、特定計画との整合を図りつつ特定計画の実施について、年次別、地域別の詳細を定めた実施計画を作成するように努めるものとするということでございます。ここで、書いてございますのは、先ほど特定計画のワーキンググループの中の報告でもございましたが、捕獲のみによって被害対策というのはなかなか進まないという背景がございます。これは答申の中でも書いてございます。そういったものを背景に、地域レベルで被害防除ですとか、被害防除対策、それから生息環境管理といった特定計画制度の三つの鳥獣保護事業をきちんとやっていくことによって効果を上げていくと。それを皆さんで共有できるように、地域の方で共有できるような、そういった実施計画というものが効果的ではないかというようなことでございます。
 それから、11ページでございます。11ページの3番、4番にございます。休猟区における特定鳥獣の狩猟の特例制度の活用。それから入猟者承認制度。この二つにつきましては、今般の法改正で新しく位置づけられたものでございます。
 まず、休猟区における特定鳥獣の狩猟の特例制度というのは、特定計画の対象区域内において狩猟鳥獣であって、休猟区でも狩猟によって捕獲することによって効果が上げられるものについては、都道府県知事が指定できるといったものでございますが、そういったものを活用することによって、より効果的な鳥獣特定計画の実施を図っていきましょうということ。それから、4番目、入猟者承認制度でございますが、これはさらにきめ細かく捕獲地域、細かい地域における捕獲の頭数のコントロールを行うために、こういった制度が活用できると。狩猟を活用しながらそういったきめ細やかな保護管理につなげていくということで、この制度を新しく法律の中で位置づけさせていただきましたので、そういったものをきちんと使うことによって、活用していただくことによって、特定計画というのはより効果的に使っていっていただきたいというようなことでございます。
 それから、その下、人材育成・確保でございます。ここにつきましては、先ほど人材育成のワーキンググループでご説明したものを踏まえて基本的には書いております。まず、国は特定計画の作成、地域における保護管理の実施。それから効果的な捕獲の各段階で必要となる人材や団体を対象とした鳥獣保護管理に関する専門的な人材確保の仕組みを整備すると。先ほど登録制度という話がございました。そういった仕組みに基づきまして、いろいろなところに人材を確保して、そういったものを活用していただくような仕組みというのをつくっていこうといったものです。つくっていただいたものについて活用していただいて、現場レベルでのいろいろな鳥獣保護管理、または鳥獣保護といったものがきちんと回るようにしていただきたいといったようなことを書いてございます。
 それが人材の確保の基本的な考え方でございまして、その下にございますのが研修の話でございます。これも基本的に先ほどのワーキンググループの報告の中でお話しさせていただいたものについてを書いているような中身でございます。
 それから13ページでございます。鳥獣保護区の指定及び管理でございます。
 ここにつきましては、鳥獣保護区の環境変化によりまして、鳥獣の生息環境が悪化した場合であって、当該鳥獣保護区の指定者が特に鳥獣保護区の指定目的に照らして必要があると認めるときに、生息環境改善のための保全事業というものを実施することができる。これまた新しく法律に位置づけられた事業でございます。こういったものを活用していただくということ。それから、鳥獣の保護上支障のない範囲で必要に応じて観察路等の利用施設も整備して、鳥獣に関する環境教育の場として鳥獣保護区を活用していきましょうといったような話というものがここの中に新しく位置づけられて鳥獣保護区の中に記述しております。
 それから、その次が14ページの一番下のところにタイトルだけ狩猟の適正化というので書いてございますが、内容については15ページ以降でございます。
 これも中身としては、先ほどの人材育成のワーキンググループで狩猟のところでご説明した中身というのを基本的にこの中に位置づけておるということでございます。
 狩猟免許、まず網猟免許とわな猟免許の分離に伴うそれぞれの猟法においては専門性の向上、それから安全の確保、鳥獣保護管理に関する適切な知識、技術取得のため、狩猟免許試験、それから更新時講習の充実を図っていきましょうという話。さらには、先ほどの猟区を活用した狩猟者の確保といったもの。特に狩猟者については、先ほどもお話しいたしましたけれども、安全の確保をきちっと図っていくということで社会的な信頼を得ていくということをもっとやっていく必要がある。それは狩猟団体等とも連携をしながら取り組んでいく必要があるのではないかといったようなことをここの第六の狩猟の適正化の中で書いてございます。
 続きまして、16ページの第七でございます。傷病鳥獣の取扱でございます。
 ここにつきましては、鳥獣の野生復帰、それから環境のモニタリング及び鳥獣保護思想の普及啓発に資するために、傷病鳥獣の効果的な救護を図っていくということでございます。ここで書いてございますのは、また救護個体から得られるような化学物質等による汚染や感染症に関する情報を環境のモニタリングに活用していくといった話。さらには、体制として関係行政機関とか、民間団体等の各主体が連携・協力しながら、傷病鳥獣の収容、治療、リハビリテーション、それから野生復帰等の体制を整備すると。さらに大規模な油汚染事故への対応といったものもきちんと体制づくりをしていくといったことをこの中身として書いてございます。
 その下が鳥獣への安易な餌付けの防止でございます。
 これまで地域によっていろいろと条例をつくったりとかという取り組みをされていると。法改正の際の答申の検討過程では、現地調査において日光の事例なんかも伺ってきたところでございますが、鳥獣が餌に依存することによって人身被害ですとか、農作物被害を誘引していくということ。さらには生態系ですとか、鳥獣保護管理に影響を引き起こすといったことがあると。そういったことについて、きちんと一般市民の方に理解をしていただいた上で安易な餌付けを防止するための普及啓発を行っていくといったことをこの中で書いてございます。さらに積極的な餌付け以外に結果として餌付けとなるような行為についても、これは特定計画でもいわゆる生息環境管理と被害防除対策にもかかわってくる中身でございますけれども、そういったことについての普及啓発も図っていこうということをこの第八の中で書かせていただいております。
 それから、その次が17ページでございます。国際的取組の推進でございます。
 ここで書いてございますのが、国境を越えた長距離の移動を行う渡り鳥、それから生息地の保全を図るために二国間の渡り鳥条約ですとか、マルチのもの、そういった協定、枠組みに基づいて関係国と連携・協力しながら、そのことに対する取組を推進していきましょうということを書いてございます。
 その次に第十で書いておりますのが、人獣共通感染症への対応でございます。
 これは前回の鳥獣保護事業計画、基本指針から今回の基本指針に至るまでで、一つの鳥獣保護事業の上で大きな変化ではないのかなというふうに理解しております。平成16年に高病原性鳥インフルエンザというものが国内で70数年ぶりに発生したということを踏まえまして、それが野鳥への感染、または野鳥がその感染経路に関与しているのではないかといったような指摘もございました。そういったものの中で、発生状況等に関する情報収集に努めまして、必要に応じて鳥獣への感染状況等に関する調査ですとか、感染防止対策を実施していくと。野生鳥獣を担当する部局というのは、都道府県における唯一の鳥獣に関する専門部局、そこの鳥獣に関する専門的な知見をそれぞれの衛生とか家畜衛生とか、人への衛生の部局に対して情報提供することによって、より効果を高めていただきたいといったようなことで第十のところで新しく記述しているということでございます。
 それから、その次がその下にございます関係主体の役割の明確化と連携でございます。
 そういったこれまで述べてきたようなことをきちんと関係主体がどういった役割分担で、またはどういった連携を図っていくかということを第十一で書かせていただいております。
 ここで書いてございますのが、関係主体の役割のまず国のところでございますけれども、国指定鳥獣保護区の指定ですとか、全国的な鳥獣の生息状況の把握、渡り鳥の保護のための国際協力、さらには鳥獣保護管理のための都道府県等への技術的な支援等を行っていくということ。都道府県につきましては、都道府県指定鳥獣保護区の指定ですとか、地域的な鳥獣の生息状況の把握、さらには鳥獣保護管理のための市町村等への技術的な支援を行っていくということ。市町村につきましては、都道府県から最近いろいろと鳥獣保護に関する捕獲許可なんかの権限を委譲されていると。そういった一部権限の委譲を受けているものについてきちんと責任を果たしていくということ。さらには、事業者、市民、民間団体、専門家等につきましても、ここで述べておりますような役割を果たしていくといったこと。さらには、特定計画の対象となる鳥獣について、過剰な捕獲による地域個体群の絶滅の恐れというものが生じないように、都道府県、それから市町村が緊密な連携を図っていくということ。そういったことがこの関係主体の役割の明確化と連携ということで書かせていただいているところでございます。
 さらに次のページでございますが、19ページ、第十二でございます。
 ここがその他ということで、鳥獣の人工増殖及び放鳥獣ということでございまして、まず、ここは基本的に国はということで考えておるところでございますけれども、現在実施されている放鳥効果測定、そういったものについて全国的なものを情報収集して、その結果を各都道府県にフィードバックしていくと。それに基づいて放鳥獣事業に係る効果的な取組を促すということをしていくと。
 輸入鳥の取扱の適正化、その次の2番目でございますが、これにつきましては、今回の法改正で新たに指定された輸入鳥につきまして、標識をつけて適正な管理を行っていくと。そういったものをきちんと行っていくといったことが書いてございます。
 3番目が国の鳥獣捕獲許可の許可基準でございますが、これは後ほど述べます都道府県のものに示している鳥獣保護の許可の基準といったものを活用していくといったことを書かせていただいているというところでございます。
 以上が第Iの項目でございました。次が第II部でございます。
 ここにつきましても、基本的には新たにつけ加えたものを中心にご説明させていただきたいと思います。
 先ほど申しましたように、第II部というのは、都道府県が鳥獣保護事業計画を作成する際に参考にしていくといったような位置づけでございます。
 まず第一といたしまして、鳥獣保護事業計画の計画期間でございますが、平成19年4月1日から平成24年3月31日までとすると。この下にただし書きがございます。これは現在、法改正を踏まえてこういった新しい基本指針を考えて検討させていただいて、ワーキンググループについても非常に精力的にご議論いただいたところでございますけれども、既にもう10月も半ばに達しようとする中で、都道府県の方でなかなかそれを新しく示された基本指針というのをベースに、鳥獣保護事業計画というものを検討できないのではないかといったような懸念、都道府県の方からも寄せられております。現行の鳥獣保護事業計画というものを1年間延長してじっくりその間に考えていくことができるといったものの趣旨でこのただし書きを書かせていただいているところでございます。
 それからその下でございます。第二が鳥獣保護区、特別保護地区、休猟区に関する事項でございます。
 特別保護指定区域というものがこの中にございますけれども、ここは鳥獣保護区の特別保護区の中に、さらに特別保護指定区域というものを指定することができるということでございますが、そこについて鳥獣の繁殖ですとか、鳥類の渡来期に限って規制対象期間を定めるなど、合理的な対応によって指定の促進を図っていきましょうといったようなことが新たにつけ加えられました。さらには、鳥獣による農林業被害等の状況に応じて、休猟区においても特定計画に基づき特定鳥獣の狩猟を行うことができる特例制度というのを活用していってくださいといったようなことでございます。それが新たにつけ加わった内容でございます。基本的には現行の指定に関する考え方等については変化がないということでございます。
 先ほどの特別保護指定区域につきましては、24ページの特別保護指定区域の中に新たに5番目として追加して記入してございます。
 さらには、保全事業というものが新たに加わっているというのが25ページの下にございまして、こういった新しい記述というものをこの中に記述させていただいているというところが今回の基本指針の鳥獣保護区、特別保護地区及び休猟区に関する事項の内容でございます。
 それでその次が25ページでございます。第三、鳥獣の人口増殖及び放鳥獣に関する事項でございます。
 ここで記述してございますのが、放鳥に際しての地域個体群をきちんと守っていきましょうと。要するにほかの地域個体群に含まれるようなものについては、新たにここで放鳥するといったことをしないといったようなこと。そういったことを記述してございます。先ほどのワーキンググループの中でご議論のあった放鳥の追跡調査とか評価の話というのは、調査研究のところで書いてございます。その下のところに書いてございまして、26ページの下の方に放鳥後の評価について書いてございます。ここで書かせていただいておりますのが、放鳥後の追跡調査を行いまして、定着率が低い場合にあっては放鳥事業の見直しを行うとともに、必要に応じて放鳥場所の生息環境の整備ですとか、放鳥個体の野生順化など放鳥効果を高めるための取り組みを行うといったようなことを26ページの下のあたりに書かせていただいております。
 その次が第四でございます。27ページでございます。鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項でございます。
 この許可のところでございますが、現行の基本指針では第四のところに有害鳥獣捕獲にかかわるものだけ書いておりまして、その他のものを別途に書いてあったわけでございますが、今回の基本指針におきましては、要するに許可基準はきちんとストレートに全部縦に読めるようにということで、より使い勝手をよくという趣旨から、ここに有害鳥獣捕獲以外のものについてもすべて記述させていただいているところでございます。ですから、基本的には構成が大分変わったように見えるかもしれませんが、現行の基本指針の有害鳥獣捕獲以外のものについても、この中に位置づけているということでございます。
 ここの中でポイントとなりますのが、まずわなについての許可基準というのをつけ加えさせていただいていると。それは29ページのあたりでございます。わなの使用に当たっての許可基準ということで、くくりわなにあっては締付け防止金具を装着していることですとか、とらばさみにあってはその緩衝器具といったものを装着しているということ。それからワイヤーの直径というものについて12センチといったものを超えないようなものにしましょうと、これはくくりわなの話でございます。あとクマについてははこわなに限るといったような話。そういったような細かいわなの構造規制みたいなものというのをこの基準の中に新たに位置づけさせていただいているというところでございます。
 それから、さらには捕獲許可基準の市町村への委譲でございます。30ページの(5)でございます。委譲する場合にはきちんとした体制の整備を図っていくことが必要ではないかといったようなことを書かせていただいているということでございます。
 その次の有害鳥獣の捕獲の中身がしばらく続きまして、愛がん飼養の許可基準のところで、先ほど鳥獣保護事業ワーキンググループの中でございましたが、ここではメジロ、これまでホオジロもOKだったのですけれども、ホオジロも捕獲することができたわけですが、42ページにございます愛がんのための飼養の目的の上のあたりですけれども、メジロまたはホオジロに限るといったことについて、メジロに限るといったようなことが新たにつけ加わっているというところでございます。42ページの上の方、[2]というところでございます。それが捕獲許可基準に関して大きく変更された点でございます。
 さらに、43ページでございます。第五というところで、これまで銃猟禁止区域ですとか、銃猟制限区域といったもののところでございます。
 ここにつきまして、特定猟具使用禁止区域、それから特定猟具使用制限区域といったような言い方をさせていただいています。これは今回新たにわなも含めて、銃だけではなくわなも含めて人への危険防止のためにそういった規制、制限の区域を指定することができるといったことを踏まえて名称が変わっているということでございます。新たにわなについても対象とするようになったということで、44ページにその対応の方向が書いてございます。学校ですとか通学路、それらの周辺、さらには子供の遊び場となっているような空き地、その周辺、自然観察路とか野外リクリエーションの対象となっているようなところにつきましては、わなの使用禁止区域を定めるように努めるということ。そういったことで効果的に使っていっていただきたいといったようなこと。
 さらにはその44ページの一番下の方の猟区の項目の下のその他のところでございますが、猟区を活用した狩猟の初心者の育成について、必要に応じて狩猟団体等とも連携した取組を進めていただきたいといったようなことを書いてございます。
 さらに、44ページの下のあたりから第六といたしまして、特定計画の作成に関する事項でございます。
 先ほど第1の項目で新たな特定計画に関する視点というのをつけ加えさせていただいたところでございます。そういったものを踏まえて、この第2の項目、それぞれの鳥獣保護事業計画に位置づけていただきたい中身について記述しているということでございます。
 そこでの大きなポイントといたしましては、まず広域指針と特定計画との整合をまず図っていってくださいといったようなことが44ページの下のあたりに書いてございます。
 それから、46ページの真ん中のあたりでございますけれども、地域の農林業に関する地域計画との連携も図っていって、目標設定についても生息環境管理ですとか、被害防除対策についての目標設定についても図っていくといったようなことが書いてございます。
 それから、46ページの6番、保護管理事業の中で、これは先ほど速水委員からご指摘のあった、いわゆるきちんと現場の意見も踏まえて反映していく必要があるのではないかといったようなことをここで書いてございます。地域個体群の生息状況及び鳥獣による農林水産業等への被害を受けている市町村や地域社会等の意見等を踏まえて総合的・体系的に実施していくといったようなことが書いてございます。
 それから、その下に書いてございますのが、鳥獣による被害対策というのは捕獲のみによる対応では不十分であるとの考え方のもとで、適切な目標設定のもとで生息環境管理ですとか、被害防除対策を実施していくと。先ほど石井委員の方から生息環境についての取り組みといったことがございましたが、こういったところに書かせていただいているということでございます。
 さらには、47ページでございます。ここに生息環境管理ですとか、被害防除対策についての記述もございます。特に被害防除対策については、先ほど鳥獣を誘引するような結果として餌付けになってしまうような行為、それから未収穫作物の適切な管理ですとか、耕作放棄地の解消等、こういったものについて、これは基本的に余り鳥獣部局で主体的にできるというふうでもないのではないかと思うのですけれども、こういったものについても農林部局なんかとも連携しながら、こういった取り組みをきちんとやっていくと。また地域レベルで、その地域住民の方、地域社会でこういったことにも取り組んでいただくといったようなことについて書かせていただいているということでございます。
 それから、その次のポイントが49ページでございます。
 ここで書いてございますのが、先ほどの特定計画をより下位で適正に動かしていくための実施計画ということについての記述というのを、ここに新しく書かせていただいておりました。現行の基本指針では個体数管理の年間実施計画といったことを言っておりましたが、それをさらに発展させて、実施計画の作成といったような形で、ここに新たに書かせていただいているということでございます。内容については先ほどのワーキンググループの報告であったような中身と同じような中身でございます。
 それから、50ページに計画の実行体制の整備というところで、ここに書いてございますのが、人材育成の仕組みで、人材確保の仕組みというのを今後環境省で検討・実施していくということになっております。そういったものを活用して実施体制の整備を図っていきましょうということを書いているところでございます。
 それから、次、第七の項目です。50ページ以降でございます。
 ここにつきましても、変更箇所はアンダーラインが書いてございますが、新たなこととして、51ページでございますけれども、鳥獣の生息分布調査の中で、捕獲努力量ですとか、そういったもっと既存の情報として得られるものから科学的、計画的なものにかなり使える情報を得ていくといったようなことが書いてございます。さらに、調査関係はそういったことが中心で書かせていただいております。
 次が第八でございまして、鳥獣保護事業に関する普及啓発に関する事項でございます。52ページ以降になります。
 52ページ以降につきましては、先ほど安易な餌付けの防止ということを書かせていただきましたが、そういった安易な餌付けについての普及啓発といったこと。ここに書かせていただいていますけれども、安易な餌付け行為が鳥獣に与える影響について市民の理解を得るということ。さらに観光事業者や観光客による鳥獣への安易な餌付けの防止を図ること。3番目といたしましては、生ゴミですとか、未収穫作物等の不適切な管理、それから耕作放棄地を放置しておくといったこと。そういった結果として餌付けとなる行為の防止を図っていくといったことについての普及啓発ということをきちんとやっていっていただきたいといったことが新たに位置づけられているところでございます。
 その次に54ページ、第九でございます。鳥獣保護事業の実施体制に関する事項でございます。
 ここでございますけれども、まず鳥獣行政担当職員のところでは、先ほどの人材育成の仕組みといったものを活用していきましょうといったことが新しくつけ加えられております。
 それから55ページでございます。鳥獣保護員のことについて、これは現行の基本指針よりもかなり内容を拡充して書かせていただいているところでございます。中身につきましては、先ほどの人材育成のワーキンググループで鳥獣保護員の項目でご報告させていただいた中身というようなものをここに位置づけさせていただいているということでございます。
 さらには、保護管理の担い手の育成ということで、56ページでございますが、最初の方のところに狩猟者の育成、さらにその狩猟者の保護管理等についてのきちんとした知識を持った狩猟者の育成確保の仕組みとして、環境省が先ほどやろうとしている、そういった人材確保の仕組みを使っていただきながら、推進していきたいといったようなことが書いてございます。
 それから、56ページの5番のところに取締りのところでございますが、新たにここで(4)のところで、氏名等の記載がなく違法に設置されたと疑われるわなにつきましては、鳥獣法に基づいて指名される司法警察員によって、適切な手続によって領置等の捜査というのを行っていただきたいといったことを書いてございます。
 57ページでございますが、同じ第九の項目の中の6番といたしまして、必要な財源の確保ということを新たにここにつけ加えさせていただいております。
 それから57ページ、その他鳥獣保護事業の実施のために必要な事項ということで、ここで書いてございますのは、1の項目に位置づけられておりました、まず鳥獣保護事業をめぐる現状と課題ですとか、鳥獣の区分と保護管理の考え方といったもの、さらにはそこできめ細かく区分された鳥獣の区分ですとか、地形や気候等が異なる特定の地域についての取り扱いといったものを、ちゃんと事業計画の中に位置づけていただくといったことが書いてございます。
 その次に59ページが傷病鳥獣のところでございます。
 これはこれまで普及啓発として位置づけられていたものについて、新たにここに項目を落として記述してございます。傷病鳥獣についての基本的な考え方でございますが、まずここで書いてございますように、鳥獣保護センター等を中心として、市町村とか獣医師とか、そういった関係主体が連携しながらネットワーク体制を整備して傷病鳥獣の収容ですとか、治療、リハビリテーションなんかをしていくと。それから終生飼養及びリハビリテーション等に携わるボランティアのネットワーク体制の中で、そういったボランティアというものをネットワーク体制の中できちんと位置づけていくということ。さらにそういう育成を図るということ。傷病鳥獣の発生原因についての救命ですとか、予防措置を講じていくということ。それから体制の整備を図っていくということが[4]番、[5]番にございまして、あと[6]番にございますのが雛とか出生直後の幼獣を傷病鳥獣として誤認して救護することがないようにといったようなことで新しく書かせていただいております。もう一つは、救護個体からいろいろな科学的なデータを得ていくといったようなことを書いてございます。
 (2)が救護個体の取扱いでございまして、(3)に人獣共通感染症への対策ということで、先ほど申しましたように、昨今、人獣共通感染症についてのいろいろな懸念がある中で、そういったものの対応というのをきちんとしていきましょうということを書かせていただいております。  それから61ページに書いてございますのが、傷病鳥獣でございますけれども、野生復帰について書いてございます。対象個体の傷病が治癒していること、それから採餌能力ですとか、運動能力や警戒心が回復していること。さらには発見救護された場所で野生復帰することを基本として、それが不適切、または困難な場合には、遺伝的なかく乱を及ぼすことのないような場所を選定することですとか、感染症に関する検査等をきちんとやっていくといったことを書いてございます。
 9番目にございますのが、先ほどの人獣共通感染症への都道府県の取り組みとしてきちんとやっていっていただきたいということを書いてございます。
 以上、ちょっと駆け足で全体を説明させていただきましたが、新たにつけ加えた点、それからあと重要となると考えられるポイントについてを中心に基本指針の案について説明させていただきました。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 配付の資料についてご説明いただいたのですが、簡単な語句の修正から内容の充実まで、さまざまな段階のことが入っているわけですが、I部とII部とで総論的な部分と各論的な部分とが区分はされているのですけれども、お互いに関係し合うところもあると思いますので、どこからでもいいですし、基本的な問題、それから表現の問題などを含めまして、これからご議論いただいたことをもとにこれをパブリックコメントに出させていただくという方向に持っていきたいと思いますので、いろいろなご議論をぜひいただきたいと思います。どなたからでも結構です。どうぞご発言ください。岡島委員、どうぞ。

【岡島委員】 若干視野が狭いというと変な言い方ですけれども、頭のところにもう少し野生生物か何か、例えば、日本の国というのはどういうものか、私の認識では、かなりユニークないいところだと思うのですよ、野生生物と人間の関係については。そういったようなことを少し入らないのかなという感じがします。
 それから、環境教育の部分で、4ページの3の(3)ですか、ここほとんど項目9のところの啓発も地域住民とということにはなっているのですけれども、もう少し広い意味で、国民全体に対して野生生物との共生、保護思想等を地域住民だけではなくて、国民全体に共有するということが大事だというふうなことを、最初の方にどこか入れられないでしょうか。3の(3)で地域住民だけじゃなくて、全体に必要ではないか。
 それから、12ページなんですけれども、これは先ほど三浦先生もおっしゃっていたのですけど、人材の中に将来的なことも含めて大学とか、高等教育機関というようなものはどこか入らないかなという感じがちょっとするのです。今無理であれば、5年後にまたあるということで結構なんですが、高等教育機関における教育体制みたいなもの、そういった部分に対する、うんと入れなくても何々などぐらいでいいのですけれども、どこかちょっと窓をあけておいてほしいなと思いました。
 それから18ページです。ここで事業者及び市民・民間団体、専門家の中で、エコ・ツーリズム事業者だけが取り上げられてはいるのですけれども、例えば、自然体験活動で事業をやっている人は今たくさんいるわけですね。そういうような人にも歯どめをかけるというか、エコ・ツーリズムというのが非常に幅広く考えれば全部入るよと言えばそうかもしれませんけど、一般的にはエコ・ツーリズムというと、ツーリズムですから、例えば自然学校だとか、アウトドアスクールとか、そういうところはちょっと入らないイメージがあるのですけど、そういうのもやっぱりちゃんと動物についても配慮しなければいけないよという意味で、例えば自然体験活動等とか何かちょっと幅を広げておけないか。エコ・ツーリズムの普及だけではなくて、自然との触れ合いの普及とか、自然体験の普及というのも当然入ってくるわけでして、この辺のところが若干狭くとられる恐れがあるというところで、事業者についても幅広くとらえないだろうかと。
 それから次のNPO、NGOなどについても、やはりそういった意味で自然との触れ合いのようなところをぜひ、市田さんがいらっしゃるけど、野鳥の会とか自然保護協会とかという団体だけではなくて、もう少し自然の中で遊んでいる団体がたくさんあるわけなので、そういうのも一応全部野生生物のことを考えなさいというような網を少しかけた方がいいのではないかと思います。環境教育については9のところに普及があるのですけれども、市田さんのおっしゃったようなこともいろいろ入っているのですが、できたら1の方に、どこかに先ほどの3の(3)でもいいのですけど、国民全体についての普及啓発も必要であるといったようなことが入ったらいかがかと思っております。
 以上です。

【岩槻委員長】 ありがとうございます。一つ一つではなくて少し、中澤さんどうします、一つ一つ何か今コメントに返されることはありますか。

【事務局(中澤)】 いただいたコメントを踏まえまして、ちょっと見直したいと思います。

【岩槻委員長】 それではほかのご意見を伺いたいと思いますが、どうぞ、石原委員。

【石原委員】 先ほどご説明を承りながら、基本指針の素案といたしましては、従来のものからよりきめ細かくなっているので、基本的には結構かと思いますが、ただ、地方公共団体の財政事情や職員の配置の実態などを踏まえますと、なかなか取り組みについては、実施が難しい、対応が難しいなと、そんな点もございまして、基本指針の書きぶりについては、地方公共団体のこうした実情もご配慮いただきまして、義務的な表現ではなくて、適切な事務が進められるよう努力すべきというような方向に若干和らげていただければありがたいと考えております。思いつきのまま申しましたけれども。

【岩槻委員長】 例えば、ということは具体的に、ここの表現はこうというようなことがございますでしようか。

【石原委員】 全体的に見て地方公共団体としてのことでございます。

【岩槻委員長】 わかりました。ほかにございますか。

【佐々木委員】 大変、微に入り細に入りという感じで、ワーキングでの意見等々も踏まえて大変な立派な中身だと思います。ただ、大変私も読んでみて非常に疲れるなという感じを率直に受けます。これを理解するには相当の時間、私のような能力のない者はかかります。私は何回も言うのですが、もう少し短くわかりやすく、同じ文言が結構多分それぞれの立場で鉛筆をなめてかかれるのだろうと思うので、そういうのはわかるのですが、読む側からすれば、前よりもはるかに多くなっているわけですね、前の指針よりも。ですから、もう一度、その辺の文言なり、そういったものの見直しをちょっとお願いしたいものだなと。そしてだれでもがああなるほどなというようなわかりやすい、余り役所言葉は抜きにしてお願いをしたいものだと、これは要望です。
 それで2、3ちょっと質問といいますか、要望を申し上げたいと思います。
 前の送っていただいたあれとちょっとページ数が違うので、間違ったら失礼だと思います。
 まず4ページの、狩猟者の役割とその適正化というイのところですか。これについてちょっとそのお題目には「狩猟の役割とその適正化」についてということになっておりますが、それから狩猟制度ということになっております。私はこの際ですから狩猟者の役割ということを今ここで言っているわけですので、はっきり狩猟制度というよりは狩猟者という言葉の方が適当ではないのかなと思います。そこで、ずっと云々書いてありますが、この狩猟者の役割と被害防止を図るため云々と。あるいは卵の採取等「有害鳥獣捕獲」という鍵括弧がありますが、社会的貢献という言葉もあとに書いてありますけれども、やっぱりそこにぜひ鳥獣保護管理について公共的役割をしておる担い手である狩猟者の確保が急務であるという言葉を入れてもらえれば大変よいのかなというふうに思います。繰り返します。その担い手となる狩猟者の確保が急務であるということで、その前段に公共的な役割というものを入れてもらいたいと、これが第1点。
 それから、ずっと来まして、ちょっと私ども団体としていろいろ試験したんですが、この29ページで捕獲許可の今度いろいろ見直しを、わなの関係ですけれども、わな使用に当たっての許可の基準というものを今度、大変このようにありがたいと思っておりますが、ワイヤーの直径が2ミリとか、この輪の幅が12センチ以下というようなものですが、ここで、私も何件もある業者に頼んで、団体として重量を入れられないものかなということで15キロ以上のあれはかからないとか、私は可能だと思うんです。何回も試験してやったら、それは上からぽんとおりて重量が倍ぐらいになるという場合があるかもしれない。それは、そこにわなをかける人はいません。平常の状況の中にかけますので、私は15キロ以上の作動をするような、そういうものにしていただければありがたいと、こういうふうに思います。
 それから、30ページの許可要件といいますか、そこにダイシツクマ、ツキノワグマ、捕獲実施に当たっての留意事項の[2]、イノシシ等々云々と書いてあります。錯誤捕獲がと書いてありますね。出口を設けたはこわなや囲いわなの使用に努めるよう指導という言葉では、ちょっとどうかなと思います。私は、許可要件としてきちっとした方が、後でいろいろ問題が起きないのではないのかなと、許可要件にした方がいいと思います。
 今思いついたところだけ、以上です。

【岩槻委員長】 亀若委員、どうぞ。

【亀若委員】 全体として、特に第I部に当たるところを相当充実をされていまして、今までの議論、かなりこういう形で反映してくださったなという感じを持っています。そういう面では、大体、これでいいんじゃないかなと思うんですけれども、ちょっと細かいところで2つほど、17ページ。この17ページは、第11ということで、関係主体ごとの役割の明確化で、国の役割が(1)にあります。この前段の国の云々というのはいいんですけど、「具体的には」というところは、これが、前からもよく申し上げているんですが、「国際的、全国的な鳥獣保護の見地から」というのが入っていまして、私はやっぱり全体として保護管理というものの考え方でずっと通されるべきではないかなという感じを持っていまして、中身の後の方は、「見地」以降は「鳥獣保護区の指定、鳥獣保護管理に資する技術開発の」と、入っているんですけれども、その視点といいますか、見地がそういう面では、ほぼという視点だけになっているんでちょっとひっかかっております。
それから、これずっと後なんですが55ページの鳥獣保護員、(4)。この鳥獣保護員というのが、前から申し上げているんですが、今後、私は非常に重要な役割を果たしていくだろうというふうに思っておりまして、そういう面で(4)に書いている保護員の資質の維持向上についてというのが大事なんですけれども、先ほどワーキンググループのところで、この後の文章なんです。「更新する際には、身体的な適正能力の確認や、研修等の実施による資質の維持に努める」と書いているんですけれども、これ、まさにタイトルどおり維持向上に努めるというふうに直したらどうかなという気がするんですけれども、非常に細かいことで恐縮ですけれども、ちょっとそういうところだけとりあえず。

【岩槻委員長】 ありがとうございました。大塚委員がさっき手を挙げてらしたので。

【大塚委員】 ちょっと基本的なことかもしれませんが、私は質問ですので申しわけありません。
 先ほど資料1-1にもあったことなので、これで変わらないんだと思って、ただ質問だけをちょっとさせていただきますが、5ページから6ページにかけての制度上の区分に応じた保護管理のところで、一般鳥獣という言葉が出てきているのですけれども、まず一つ伺っておきたいのは、狩猟鳥獣で外来鳥獣が重なることというのは、これはないと考えていいんですかというのが一つと、もう一つは、ここでは、例えば特定鳥獣という言葉をわざわざ使ってないということなのかもしれませんけれども、希少と狩猟と外来で残りはは一般だというのは、どういう思想が入っているのかなというのが、ちょっとお伺いしておきたいような気もしないでもないんですけれども、これを明確にしておいていただくと、あるいはわかりやすくなるのかなと思ってちょっとお伺いしておきたいと思いますが、一般の中には特定鳥獣みたいなものも当然入ってくるようですので、一般という概念をわざわざつくった趣旨というのは、ちょっとここで明確にしておいていただけると大変ありがたいと思いました。

【岩槻委員長】 これは質問ですから、ちょっとお答えいただけますか。

【事務局(鳥居)】 先にご質問の方のお答えをしたいと思うんですけれども、まず、狩猟鳥獣と、それから外来鳥獣が重なるかどうかということですが、これは重なります。例えば、アライグマのようなもの、アライグマは、今狩猟鳥獣になってございますけれども、これは重なるということでございます。
 それから、あと一般鳥獣というのが、希少鳥獣、狩猟鳥獣、外来鳥獣以外のというような区分にさせていただいておりますが、これは種の数から言いますと、当然、一般鳥獣の方が多くなるというふうに考えてございまして、その種の数の考え方から言えば、最初に出てきてしかるべきという考え方もあるかと思うんですけれども、まず、今のいろんな法令の制度で取り扱いの方向性が定まっているものについて考え方を整理させていただいた上で、それ以外のということで整理させていただいて、当然、その中には希少な方向にもし進んでいるものがあれば、希少鳥獣の取り扱いに準じた保護管理をやっていくとかという考え方を付加していただいたところでございます。

【大塚委員】 特定鳥獣にはしない方がいいという。

【事務局(鳥居)】 特定鳥獣というのは、特定鳥獣保護管理計画の対象になる鳥獣ということになろうかと思います。これは、狩猟鳥獣だけに限らず、例えば、カモシカなんかは、今一般鳥獣の扱いになります。だから、これはどちらかというと横断的、この区分で言えば横断的な形になってしまうということでちょっと、当然、特定鳥獣の考え方もそれぞれの、今狩猟鳥獣のところ、それから一般鳥獣のところにふえ過ぎたり、減り過ぎたりしたときは、特定計画をつくって対応していきましょうという書きぶりで書かせていただいておりますので、それにまた特定鳥獣という区分を設けますと、ちょっとだんだん複雑になってくるなということもあって、一応、こういう整理をさせていただきました。

【大塚委員】 どうもありがとうございました。

【岩槻委員長】 速水委員、お待たせしました。どうぞ。

【速水委員】 ありがとうございます。先ほどちょっと岡島委員がご質問されたところと同じ18ページの(3)のところなんですけれども、これは質問なんですけれど、ここの上から3行目ですか。「開発活動等、生態系に影響を与える経済活動を行う事業者にあっては」とある。ここに農林業者が入るんですかという質問が一つですね。
 それと、今度はずっと飛びまして、47ページの(2)のところで、生息環境管理のところで、これは先ほどワーキンググループのところで意見を述べさせていただいたんですけれども、ここにも里地里山というふうに入っておりまして、以前は、ここ森林の育成というようなことで、広く森林というふうなとらえ方をしていて、最近、基本計画等でも里地里山という言葉が前に出てきておりますので、それ自体は問題ないと思うんですけれども、例えば、里地里山、その背後に広がる森林と書くなり、あるいはその背後に広がる人工林と書くなり、そういうふうなとらえ方が要るんではないかなと思うんです。クマの例なんかでも、かなり奥の山の環境と出没等に影響があったりとか、あるいは、この間、丹沢なんかを見せていただいたりする機会があったんですけれども、そういうところでは、単純な里地里山だけではなくては、山系全体の中での森林の管理のバランス、歴史的な管理のバランスの結果としてのシカの増大というふうなことがかなり見られて、人工林の管理をどうしていくのかという議論がされたというふうに、いただいた資料等を読ませていただいて、そんなことがわかったんですけど、そういうふうなことを考えると、単純に里地里山、その意味をどうとっていくかによって変わってくるにしても、やはりもう少し広く、その背後に広がる森林というふうなとらえ方をしていかないと抜けるのではないかなというふうに感じました。一つは質問と一つは意見でございます。

【岩槻委員長】 質問の方は、そうしたら。

【事務局(鳥居)】 一つ目のご質問の方は、18ページの(3)の事業者のところでございます。そこで「開発活動等、生態系に影響を与える経済活動を行う事業者」、これに農林業者が当たるかどうかということなんですけれども、基本的に農林業というのは、その地域の生態系とうまく折り合いをつけながら、生産で得られるものを確保していくということが基本かと思いますので、ここで言っているのは、どちらかというと、いわゆる開発という、あるいは観光開発とかいろいろありますけれども、そういうものを想定して書いているわけでございますが、その中には、もちろん農業・林業の中でも、例えば大規模にということの場合は、場合によっては鳥獣の生息環境に、保護管理にも影響が及ぶ場合もないとは言えないと。そういうのは、当然、先ほど土地利用の関係のいろんな計画との連携みたいな話も出ており、それは別のところにも書いてございますけれども、そういうところで整合といいますか、調整連携を図っていくんだと、こういう考え方でおります。
 それから、あとご意見の方にあった47ページの里地里山、私ども、これ里地里山と書かせていただいているものには、背後の人工林も含めてという思いでおるわけですけれども、じゃあ、その人工林がずっと奥山の方まで続いていった場合どうなんだと、こうなりますと、かなりここは明確な限定で書いているわけではございませんけれども、思いとしては、そういう背後の人工林も含めて考えているというふうにご理解いただければと思います。

【速水委員】 最初の点に関しては、私は林業者の立場なんですけど、林業者の立場としていろんな制限だとか、いろんなものが出てくるのは困るというふうな意向も一つはあるんですけど、やはり林業者自身が、こういう野生生物の環境に対して意識をしっかり持っていくということも最終的には、産業自体の保護にもつながっていくんだろうというふうに、あるいは野生生物の両方の保護につながっていくんだろうというふうに思っていますので、そこの役割みたいなものを余り強制的なものを伴うと、これは相手が多数でございますし大きな産業でございますので非常に難しいんですけど、意識としての野生生物と林業者の業者の役割みたいなものは、もしここにないんであれば、少し触れていただいておくのがいいのではないかなというのが1点と、森林に関しては、やはり里地里山と書かれると、どうしても一般的には極めて限定的にとらえられるというふうなこともありまして、これも先ほどと同じように、森林の管理というのは、さまざまな野生生物の生息環境に大きな影響を与えているというのは当然のことでございますので、どこまで我々ができるかという話は別としましても、そういう問題を我々に対しても意見していただくような形でも結構かと思っております。

【岩槻委員長】 最初の方は、岡島委員がおっしゃった冒頭で日本の鳥獣保護の管理維持というものの特性をもし触れるとすれば、当然、入ってくることになるのかもしれません。そういうのが上手に入れられるかどうかは難しい問題かもしれませんけれども、そういうところで今のご意見を承っておいたらと思いますけれども。
 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 1点だけなんですが、今回の基本指針の大きな改定というか、広域指針の導入と、あともう一つ実施計画なんですが、ワーキングの中でも、この実施計画を検討されていたんですけれども、今、これを実際に具体的に書き込まれてみると、ちょっとぜひ考えていただきたいんですが、実施計画というネーミングですね。従来の、要するに特定計画は、県がやっていて、それで県が直轄でやっている場合にも、地域ごとの実施計画をつくっていたわけです。そういう直営のものと、この場合意味しているのは、要するに、県の特定計画の下位計画として市町村が参加する実施計画という意味合いが非常に強いわけですよね。
 それで、そういう点では、実施するのは当たり前ですから、それを書き込んでも果たして県や市町村が、このことをそういう下位計画や分担計画だととらえるかどうかという問題があるのではないかと思うんですね。
 それで10ページの下のところが、地域における取組の充実で、ここに実施計画があります。それで、これは石原委員が指摘しているように、「実施計画の作成に努めるものとする」というのは、これは文言から言えば、これは明らかに市町村計画をつくりなさいという意味ですね。
 それで、49ページの実施計画の作成については、これは都道府県と市町村と、それで必要によっては集落単位等でも取り組めるものとすると、これはこれでいいんですけれども、こういうレベルをきちんとしないような書き方ですと、実施計画の概要というのがぼやけやしないか、もうちょっと何と言うか、言い方ですけれども、私は地域計画とか、市町村計画とか、下位計画とかといったようなずばり言う方が内容をとらえるのではないのでしょうか。いかがでしょうか。

【岩槻委員長】 何かすぐに反応されますか。

【事務局(徳田)】 答申なんかでは、下位計画という言葉をお使いになっていたところが多いかとは思うんです。ただ、実施をするので下位計画、下位計画というふうに言っていても何かわかりにくいような気になっていたので、やっぱり実施するんだから実施計画の方がわかりやすいんじゃないかなというふうにしてやっていたんですが、今、三浦委員が言われたように、この中に溶け込んでしまうと、やはりちょっとわかりにくいところもあるのかなとは思いますが、どういうふうに、すっと今すぐ文言なりぶりを考えるかというのは、ちょっと検討はしなきゃいけないかもしれません。

【三浦委員】 要するに、特定計画ですから、これは都道府県で全体で取り組んで、ブロック別に分けてみたり、それをさまざまでやって、その実施計画は持っているわけですよね。そういう実行の計画を全体は県で押さえて、その分担を各市町村がやる。あるいは、場合によっては集落といったようなレベルまで落ちていくようなものが必要であれば、それもまた実施計画なり実行計画というと、これは特定されないと思うんですね。実施計画って一体何なのかということで、名前と言いますか、工夫していただきたいというか、そういう意味です。

【岩槻委員長】 そのほかはいかがでしょうか。どうぞ、佐々木委員。

【佐々木委員】 ちょっとこれも要望なんですが、15ページのわな猟等々の適切な実施ということですが、ワーキングでも申し上げたんですが、この最後に、1日見回りを実施ということがあります。個数をこの辺でもう一度検討する必要があるのかなと思います。現場ではいろいろな意見がございまして、ちょっと多過ぎるという意見がございます。以前、30個については、いろいろ私もちょっと状況を承知していますけれども、どうかもう1回、設置数について1日見回りできるという観点から、もう一度検討していただきたい、これを要望しておきたいと思います。この中に入るということではないだろうと思うので、もし、入れられたらいいんですが、要望です。

【岩槻委員長】 石井委員、どうぞ。

【石井委員】 言葉の問題なんですが、5ページに制度上の区分で希少鳥獣と出てきます。ここにはレッドリストのIA・IB、IIそれから都道府県版のレッドリストというふうに入っていて、絶命のおそれのある地域個体群というのが、ここでは入っていない。それは入れなさいということではないんですけれども、入っていないんですが、後ろの方で希少鳥獣等とかという言葉になっているときは、地域個体群が入っていたりするんですね。
 それで例えばの例を挙げますと、23ページの(5)というところに希少鳥獣生息地と書いてありますが、ここには絶滅のおそれのある地域個体群というのが入っていますよね。もし、地域個体群は入れないんだったら、ここは希少鳥獣等生息地とかという表現になったりするかと思うんですが。
 それから、例えばIA・IBと分けて書いてあるところと、I、II類というふうに一緒になっているところのままで書いてあったりするところもあったりして、希少鳥獣という言葉が指し示すものと、希少鳥獣等という言葉が指し示すものというのが、少し混乱している可能性があるんですね。この中でいっぱい希少鳥獣とか希少鳥獣等と出てきますが、そこは、私も、1カ所はちょっと等を入れた方がいいかなというところを今言いましたけれども、そのあたりの整合性ですね。
 地域個体群を入れると、例えば31ページになりますけれども、31ページの(9)、ここでは保護の必要性が高い種又は地域個体群と書いてあるのですが、ここでツキノワグマとニホンザルが出てきますけれども、これは地域個体群の例だけで希少種の捕獲ということについては特に余り具体的な言及がないんですね。私なんかは、例えば、天然記念物とか希少種を捕まえたいなというので申請することがあるんですけど、それの何か基準みたいなものは、ひいて言うと、今言った31ページの(9)のところに書いてあるのかなと思いますけれども、少し話が脱線してきまして、希少種の捕獲ということについての考え方というのがどこかにまとまって書いてあるかもしれないけど、書いてないとすれば、そこをつけ加えていただきたいと。それは2点目ですね。
 それで、1点目は希少鳥獣という言葉と希少鳥獣等ということが指し示す中身をはっきりさせて、文章全体の整合性をとる必要があるんじゃないか。私も細かく見ていないので、ここがおかしいというのは今言えませんけれども、それを一度見直していただきたいなというふうに思います。

【事務局(鳥居)】 よろしいでしょうか。今の石井委員のご指摘の点なんですけれども、確かに第I章の第二で区分しております希少鳥獣は、種で切り分けてございます。特に後ろの方に出てくるのは個体群も入っているということで、ツキノワグマとかサルでは、一部地域的に絶滅のおそれがある個体群が、地域個体群としてレッドリスト上の位置づけがなされているわけですけれども、その辺ちょっと十分整理できていないのではないかというご指摘だと思いますので、ちょっとそこはもう一度整理を考えてみたいと思うんですが。
 ただ、2点目のご指摘になった捕獲許可基準のところでは、31ページというのが第II章ということで、これは都道府県に対しての基準、都道府県が許可を行う際の基準ということになります。第1章で区分した希少鳥獣、国の方で環境省のレッドリストのIA・IB、II類に定められている鳥獣というのは、基本的に国が許可を出すという、許可権者が環境大臣になってございます。そのところの基準は、基本的には、さっきのI章の最後のところに出てまいりますけれども、第II章の第四のところを踏まえて、国際的あるいは全国的な観点から基準を設けなさいということが書いてあって、ここでしか、さらっとしか書いてないということだと思いますが、基本的に、この基本指針上はそういう構造になっているということでございます。
 それから、記述のIA・IBが細分化されていないとか、その辺はIA・IBを書くということで統一したいというふうに思っております。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。ほかのご意見はいかがでしょうか。特にご発言はございませんでしょうか。
 そうしますと、幾つかコメントがあったんですけれども、そのコメントに対して何か事務局の方から。

【事務局(鳥居)】 それでは、全部のご指摘にお答えできるというふうには思いませんけれども、幾つかのご指摘について今の時点でお答えできる範囲でお答えしたいと思います。
 石原委員から地方公共団体の事務あるいは職員の配置の関係でご指摘がございました。これは、確かに地方分権推進委員会でしたか、その打ち出された方向として、例えば法律に明確に地方公共団体の責務として書かれていること以外を、何々しなければならないとか、そういう義務というか、ここでこういう国の指針に打ち出すというのは、基本的にやめましょうというのが大筋での国の方向ではあります。ただ、今までのここでの議論の中で、できるだけ地方公共団体、都道府県あるいは市町村でもこういう点に心がけてやってほしいというところをいかに書くかというところで、かなり間を縫うような書きぶりで、今、きょうご提示させていただいたような内容になっております。努めるというような表現も随所にありまして、他方、もっと厳しく書くべきだというご意見もあろうかと思いますけれども、事務方として、その間を縫いつつ、きょうご提示させていただいたということでございます。
 それから、佐々木委員の方から長いというご指摘がございまして、これは、さらに同じようなことを言っているところにつきましては、整理をさせていただきたい。そうしても、そんなには減らないと思うんですけれども、努力はさせていただきたいというふうに思っております。
 それから、あと狩猟者の確保、それから狩猟者の公共性というフレーズなんですけれども、それは15ページの5行目のところに「公共的な役割が今後とも期待される」ということで書かせていただいておりますし、その下に「狩猟免許者の確保は社会的な課題と言える」という言い方で書かせていただいておりますので、このところでカバーさせていただいているということでご容赦いただければというふうに思います。
 それから、あと同じく佐々木委員の方から、重量でわなの話だとか、脱出口の話、あるいはわなの個数の話というようなのがご指摘としてありました。私の方も大分内部でいろいろ議論をしたんですけれども、なかなか、今後、都道府県がこれをもとに許可基準を設定してやっていくと。もし、許可をした際の条件とか何とかに違反した場合、これは当然罰則がつくわけでございますので、その辺の運用が本当に、現場での取り締まりとか、そういうことも踏まえて、どこまで書け、どこまで書けないかということについて検討した結果、こういう形になっているわけです。ただ、いただいたご指摘について、今後とも脱出口あるいは重量での作動とか、そういうようなものが技術的な可能性、そういうのが基準に設けられるのかどうかというのは、今回はちょっと厳しいかと思うんですけれども、検討はしていきたいというふうに思います。
 それから、あと亀若委員からのご指摘でございました鳥獣の保護なんですけれども、これは、鳥獣保護事業計画ということもあって、鳥獣保護というのが大きな概念でまず出てまいります。その中で保護管理ということが語られているんでございまして、1ページの第4パラグラフ、「こうした状況の下、鳥獣保護事業は」とずっと書いてあって、「鳥獣保護管理の考え方を基本として実施するものとする」というふうに、大きなくくりは鳥獣保護事業ということなんだけれども、これこれこういう、「地域個体群の長期的かつ安定的な存続と被害の防止」という、ちょっと雑駁な書きぶりではございますけれども、こういった考え方を鳥獣保護管理の考え方として基本的にやっていくんだということを明示させていただいておりますので、一応、事務方の書いた方の思いとしては、そういう整理でやっていくということでございます。
 それから、あと三浦委員の実施計画についてのご指摘ですけれども、これはなかなかうまいネーミングというのがもし見つからなければできるだけ誤解のないように指針の方に、ちょっと実施計画ではこういうものだよというのをもうちょっと丁寧に書くということで対応を検討させていただきたいなというふうに思います。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 今の事務局からのご発言に関して何か。
 どうぞ、佐々木委員。

【佐々木委員】 さっきの狩猟の役割とその適正化ということで説明があったわけですけれども、後段で確かに狩猟の役割、社会的貢献ということで明示しております。承知しておりますが、とすれば、ここの4ページのイ、狩猟の役割とその適正ということ、その後です。「狩猟制度は」というふうに書いてありますので、でしたら、狩猟制度の役割とその適正化ということにはならないでしょうか。

【事務局(鳥居)】 今のご指摘、4ページのイでございますよね。「狩猟の役割とその適正化」というのを「狩猟制度の役割」ということでございましょうか。

【佐々木委員】 そう。にはならないよね。

【事務局(鳥居)】 むしろ、最初のご指摘があったように、「狩猟制度は」というのを「狩猟者は」というふうに、この際直そうかというふうに思っております。

【佐々木委員】 結構です。

【事務局(鳥居)】 そこはそのように、ただ、公共的な役割とかは後ろに書いてありますので、そこはそれでカバーをさせていただければというふうに、そういうふうに考えておりますけど、いかがでございましょうか。

【佐々木委員】 ちょっとバランスが悪いのでと思いました。結構です。

【磯部委員】 先ほどの地方分権に関連するご説明の中で、「間を縫いながら」とおっしゃいましたよね。そのご苦労は何となくニュアンスとしてはわかる気がするのですが、その場合の「間を縫いながらやっていく」趣旨というか、本心はどこにあるわけですか。この前計画をつくったときは、ちょうど地方分権改革の直後であり、国と地方公共団体の役割分担を、分権の精神に沿って見直していこうという時代だったですよね。なるべく多くの事務・権限をどんどん委譲した方がいいのだという時代であった。この案文の中でも都道府県の権限を市町村にできるところは委譲することが望ましいという書き方をしているところもありますよね。許可権限のあたりです。このように、なるべく都道府県の権限を市町村におろすことが望ましいというベクトルも健在なのだと思いますが、他方で、今回都道府県を超えるような広域的な課題に対しては、広域的な対処が必要だというベクトルも同時に存在しているわけですよね。そして肝心の都道府県と市町村の関係というのは、ちょっとぼやっとしている。その辺はぼやっとしておかざるを得ないのだという気持ちもわかりますけど、あえて「間を縫う」とおっしゃったときの、そのポリシーは何だったんでしょうか。

【事務局(鳥居)】 ちょっと誤解があってもあれなんでしますけれども、都道府県が市町村に権限をおろすことを私どもの方として進めるべきだ何とかというような考え方でこれをまとめているわけではありません。それは、ただ、地方分権の流れとして、それは一つの方向ですから、それになかなかさおを立てるわけにはいかないということはありますけれども、そうであれば、おろす際にこういう点には留意してください、あるいはこういうことが起こらないようにしてくださいということを書き込んだつもりではあります。
 例えば、市町村が捕獲許可を出す際に、それを独自にどんどん出してしまうと、特定計画で定められた目標の数を超えてしまうというような、現実にそういう事例があって、これはよくないということで、その場合は、都道府県がちゃんと市町村に必要な指示を出しなさいとか、むしろそういう権限を委譲する場合には、ちゃんと自治体でそれが受け入れられるような体制である場合に実施してくださいとか、あるいは委譲した場合であってもちゃんと市町村と連携をとってくださいというようなことを今回書かせていただいたつもりではあります。

【磯部委員】 わかりました。私は今、30ページあたりの許可権限の市町村長への委譲というあたりの書きぶりを主として念頭に置いて申し上げたわけです。「努めるもの」と書いてあるから、なるべくこれは委譲した方がいいという精神ではないのかなと思ったのですけれど、本心ではあまり委譲したくないのだったら、そんなことはいわない方がいいのではないか。理屈を言うようですけれど、分権的な考え方から言えば、事務権限を委譲しておいて後から口を出すというのは、あまりいいことではないわけですよね。言いかえれば、監督権限を留保した上での権限委譲と、権限も責任もぜんぶ渡してしまう分権とは原理が違うのだということでもあります。この場合は、どうも市町村に下請け的に降ろしているというニュアンスなのでしょうか?本当に市町村の権限として、実力のある市町村に任せますというならば、いったん任せた以上は、滅多なことでは口を出してはいけないわけですよね。あらかじめ事務処理基準をしっかり定めておくというのはいいですけれど、個別に指示をするなどということは、そもそも分権の精神に反するという反論を食うことにもなろうと思ったので申し上げる次第です。

【事務局(鳥居)】 よろしいでしょうか。30ページの(5)許可権限の市町村長への委譲のところの第2パラグラフで書かせていただいているところは、市町村における十分な判断体制の整備というものがあるかないかを十分見きわめた上で委譲してくださいよという趣旨なんです、書き手の趣旨としては。

【磯部委員】 おそらく十分な判断体制ができているということは、実際にはあまりないだろうということかな。

【事務局(鳥居)】 いえ、そこまでは申してございません。それができていれば、地方分権の考え方に沿って委譲される部分には、国がどうこう言う立場にはないということでございます。

【石原委員】 市町村ですべてをやれったって、これは大変な難しい問題でございますし、町村の置かれている状況、先ほど申し上げたように、人の問題、財政的な問題などもありまして、なかなか難しいこともございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

【岩槻委員長】 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 興味深い議論だったんですが、非常に重要で、私は基本的にはもう種によってかなり違う側面があるんだろうというふうに思います。  それで具体的な話ですが、49ページの市町村の実施計画作成要領を見ますと、これ特定計画そのものなんですね。こういうものを果たして市町村で背負っていけるかどうかというのは非常に大きいし、石原委員のご指摘のとおりではないかなというふうに思います。
 もうちょっと読み込んでみますと、例えば54ページ。安易な餌付けの防止などというフレーズがあって、安易な餌付け行為とか、生ごみとか、未収穫物の不適切な管理だとか、耕作放棄だとか、これはまさに市町村の問題なんですね。それで、市町村に入ってくるようなサルだとかクマだとか、そこを誘引している柿だとか、それから放棄の果樹だとかといったようなのは、これはまさに、戻って49ページあたりの6番から8番ぐらいのあたりへの書き込みなんではないかなというふうに私は読み込んでいて、むしろ、だから市町村に実施計画でおろすべき場合、多分、どんな統計をとってみても、各市町村の担い手といったら、商工観光課の職員だとか、あとは、いずれにしてもそういう人が一生懸命やっているという格好ですから、ただ、地域の被害状況等はよくわかっていて、何とかしなければならないといったような、そういう実施計画であればいいなというふうに思います。
 これは、やっぱり全体として見れば特定計画ですから、やっぱり基本は都道府県の枠組みの中できちんとつくっていって、それとの連携を図っていくという意味で、その点どうも私は実施計画という意義がもうちょっと懇切丁寧に書き込んでやる必要があるのではないかなというふうに思った次第です。

【岩槻委員長】 石原委員のご発言に対してはあれですけれども、磯部委員のご発言。

【磯部委員】 難しい問題であると思います。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。間を縫ってというような表現が、ちょっと誤解を招いたかもしれませんけど、この問題はどうしても広域的に見なければいけないということと、地方でどこまで責任、財政的・人為的なことまで含めてどこまで責任がとれるかということとの兼ね合いだと思いますので、間を縫ってということよりも、そういうことを勘案しながらの表現になったということだと理解させていただきたいと思うんですが。
 大分時間もあれしてきたんですけれども、ほかに特にご発言ございませんでしょうか。
岡島委員、どうぞ。

【岡島委員】 パブリックコメントについては、この後、その他で、何か予定の中で入っていますか。

【岩槻委員長】 やり方は後で説明していただきます。

【岡島委員】 一言だけ、パブリックコメントについて。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。 そうしますと、幾つも建設的なご意見をいただいたわけですけれども、それを含めて、きょう出していただいている素案を修正する必要があるんですが、この素案の修正に関しては、事務局と私の方で打ち合わせをしながらやらせていただいて、場合によってはご発言いただいた委員の方とコンタクトをとらせていただくことになるかもしれませんけれども、そういう形でお任せいただきたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。

(了承)

【岩槻委員長】 それでは、素案にそういう修正が加わるということで、第2の議案は終わりにさせていただきたいと思います。
 それで、その他のところでですけれども、まず、今ご発言のありましたパブリックコメントにどう向かうのかという、それから、その後もどうなるのかというスケジュールについてお願いいたします。

【事務局(中澤)】 それでは、資料3で基本指針の検討スケジュール(案)でございます。これに従いまして、今後のスケジュールについてご説明させていただきたいと思います。
 本日10月16日の第8回小委員会で基本指針の素案を検討させていただきました。今回いただいたご意見を踏まえて、また岩槻委員長の方ともご相談させていただきまして、基本指針(案)という形でパブリックコメントをかけたいと思っております。これは早ければ、もう今週中ぐらいからかけたいと思っております。
 パブリックコメントは、期間としては30日程度というような決まりがございます。1カ月で、前回の答申のときもそうだったのですが、取りまとめにやはり非常に時間がかかるということがございますので、なるべく早目に開始して取りまとめを行って、また次回の第9回の小委員会にその結果をお諮りさせていただきたいと思っております。12月上旬と書いてありますけれども、既にいろいろと委員の方にご都合をお伺いしております。6日ごろがいいのではないかといったところが今いただいている中で一番多いようでございます。そういったことを踏まえまして、12月の上旬に第9回の小委員会を開催し、方向性を取りまとめまして、野生生物部会の報告、答申、基本指針の告示といったようなスケジュールを組みたいと思っております。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 今のスケジュールについて何か、岡島委員、何かコメントが。

【岡島委員】 スケジュールではなくて、パブリックコメント、今これが出るわけですか。大体この中身が、パブリックコメントには。修正をちょっとしたやつね。

【事務局(中澤)】 そうです。新しい方のものが基本指針の案としてかけられるということでございます。

【岡島委員】 それで一言申し上げたいんですけど、これ読む人いないと思うんですよ。基本的にこんなの読めないですよね。かなりある言い方をすれば、専門的な方、こういうのが物すごい好きな人じゃないと、これとても読めないですよね。
 そこで、やっぱり今週中にというのでちょっとなえちゃったんですけど、次回からでもいいんですけど、例えば、ごく簡単に言って、小学校高学年プラス10年生活経験でもいいですよね。そのくらいの人が読めなければパブリックコメントの意味がないんですよね。ですから、これを出しても結構ですけど、このダイジェストみたいなものとか、例えば絵にするとか、それからルビを振る、読めないんですよ、これ漢字も。それから注をつける、モニタリングとフィードバックって何だかわからないですよ、普通の人は。そういったこと、皆さんここにいる方はほとんどわかるけど、一般のパブリックコメントというのは、パブリックにコメントを求めるわけだから、皆さんと同程度の人しか読めないものを出してもこれほとんど来ませんよね。まず読めないということなので、これを直せとは言いませんけれども、一つの案として、キッズ何とかってあるでしょう、環境省の中に。子供用の。あそこにコメントを求めたらどうですか、このエッセンスを書いて。こういうことと、こういうことと、こういうことがあるけど、皆さん、子供たち、意見どうですかというのを求めて、そういう努力をしてもらいたいんですよね。
 だけど、今週中だから全部はちょっと厳しいけど、ここで審議官にお願いなんですけど、これから先、この手の野生生物のものはわからないわけですよ、一般の人は。ですから、若干のお金をつけて、それで役人さんが書けばもっとわからなくなってしまうから、そういう専門的な人にこれをダイジェストしてわかりやすく伝える作業、これを小学校の先生とかでもいいと思うんですよね。そういう方々にかみ砕いていただいて、大事な部分だけを取り出してきて、こういったものに関して意見はどうですかというようなことをぜひやっていただきたいんですね。それは、ある意味で環境教育なんですよね。みんなが読めるようになれば参加もできるし、参加もしたい。今ここのこれをばんと出して意見を言えというのは、明らかに言うなということに等しいですよね。一般市民から見ればですよ。
 だから、その辺のところはぜひ環境省もお金も人もないので恐縮ですけれども、何か工夫をして、今言った、またそういった意味でキッズ何とかなんかに、この中で出したりすると、お役人の方もこういうふうに書けば子供はわかるのか、大体そういうことを書かないとわからないものですから、ぜひ今回とは言いませんけれども、心がけて若干お金もかかると思うんですけれども、そういった形のパブリックコメント、これを載せながらあわせて解説みたいなものですね。そういうものをつけていただきたいとお願いしたいと思います。
 以上です。

【岩槻委員長】 パブリックコメントというものに対する非常に重いご発言ですけれども、このもの自体はパブリックコメントの対象として当然出さないといけないわけで、それだけでパブリックコメントを求めたと思ってしまったら間違いだぞというご発言だと思うんですけれども、局長、何かご発言ありますか。

【冨岡自然環境局長】 大変貴重なお話で、実態に即したと思ったんですが、この制度は、法律に基づいて私ども義務づけられている制度でございまして、その意味では、非常に、ある意味では拘束されておりますものですから、それはそれとしてやらせていただきたいと思うんですが、確かに理解を広めるという点で非常に大事なお話を伺ったと思います。
 実は私、今のポストにつく2年前、2年間イギリスにいて、向こうのいろんなことを勉強してきたんですが、多分、日本の制度は欧米のどこかの制度をまねしてつくったと思うんですけれども、ただ、向こうでのやり方はコンサルタントと言っているんですけれども、割と、そもそもこういうふうな文案をつくり上げてから、最後に最終的な段階でご了承をいただけるかという感じじゃなくて、かなりこういったことについてどう考えるかとか、何か意見があるかとか、非常におおらかと申しますか、なんかそういうふうな運用をなされているようでございまして、今の制度に対する批判ではございませんけれども、確かにこういったものについては、本当に国民の意見を反映させる、本当に建設的な運営にするという点では、今の制度みたいなものについては、確かにいろいろ実態を見ながら検討していく必要があるなというふうに感じました。

【岩槻委員長】 振りましてどうもすみません。
 国の決まりに従って、これでパブリックコメントを出していただくというのは、当然やっていただかないといけないことなんですけれども、それと同時に、環境省のお仕事としては、環境教育にかかわるようなことで一般の人により広くご理解いただくという、まじめに取り組みますと大変なことなんでしょうけれども、それが非常に効果があるという、時にはそう思うんだけれども、ということでしたら、ぜひ前向きに将来はお考えいただくというようなことを、今の岡島委員のご発言をもとにご検討いただけたらというふうに思います。
 その他で特にほかに準備いただいていることは。

【事務局(中澤)】 ございません。

【岩槻委員長】 何かほかに特にご発言ございますでしょうか。

(なし)

【岩槻委員長】 特にご発言がありませんようでしたら、どうも長時間かかりましたけれども、これで本日の小委員会を終わりにさせていただきます。  どうもご協力ありがとうございました。