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■議事録一覧■

中央環境審議会野生生物部会
第8回鳥獣保護管理小委員会(議事要旨)


1.日時

平成18年10月16日(月) 10:00〜13:00

2.場所

三番町共用会議所 第3,4会議室

3.出席者

(委員長)
岩槻邦男
(委員)
石井信夫、石原收、磯部力、市田則孝、大塚直、岡島成行、亀若誠、佐々木洋平、速水亨、三浦慎悟
(環境省)
自然環境局長、大臣官房審議官、野生生物課長、鳥獣保護業務室長、外来生物対策室長、他

4.議事

<議事(1)各ワーキンググループでの検討状況について>

※事務局から資料1−1,2,3について説明。各ワーキンググループ(WG)座長から補足説明。

(鳥獣保護WG座長)基本的に検討内容は資料1−1の報告に網羅されている。とらばさみの取扱いについて、カナダ、EU諸国では禁止の流れとなっているようである。愛がん飼養に関して、いずれはこの目的での捕獲を禁止していくという意見が多かった。放鳥獣の取扱いについては、いわば釣り堀的発想は今後見直していく、ということである。

(特定計画WG座長)大筋は資料1−2に網羅されている。議論においては、生息環境管理について考え方をより充実させるよう強い要望があった。土地の管理にかかるため、他省庁との調整が重要になる。被害防除対策については、いかに地元の意見を反映させ、被害軽減の計画を作成するかという意見があった。広域的な保護管理については、市や地域によってばらばらに計画を作成するのではなく、一定のブロックである程度の方向性を定めるべきとの意見が出ている。モニタリングとフィードバックについては、順応的な管理が特定計画の基本であるから、科学的な評価をするために専門的な意見を反映する必要がある。国の関与については概ね5年ごとに行うとのことだが、それのみでなく国の立場から主体的に情報収集し、また、各都道府県が計画を作成するごとに、常に評価を与えるのが適当。広域指針、実施計画という深みのある仕組みがすでに整っているわけだから、今後の課題としてこれを動かす人と条件、財源が重要になる。

(人材育成WG座長)検討内容は報告にあるとおりであるが、全体を通して、現状は理想からは遠いものであるとの意見が多かった。前提として、人材と財政の充実が不可欠。こういった課題に対しては、長期的に解決する姿勢を持つべき。大学などを利用するアイディアもあるが、5年、10年先を見据えた総合的な人材育成プランが必要である。また、関係省庁との調整・協力も欠かせない。環境省は調整官庁として連携することになる。たとえば、ハンターが免許を取得する際の、警察との円滑な手続等の問題を解決すべきとの意見もある。もう一つ私見として、環境省自身も長期的に計画を実施、関与、対応していける人材の配置を考慮することが重要と考える。

(委員長)以上の報告について意見はあるか。

○特定計画WGの報告について1.(3)生息環境管理に「里地里山」とあるが、この文言の解釈が問題となる。私見としては集落周辺の雑木林からもう少し背後に広がった人工林くらいまでと理解しているが、一般認識とズレが生じるおそれもある。

○人材育成WGの報告を拝見すると、特定鳥獣保護管理計画を遂行するためのように受け取れるが、本来の趣旨は鳥獣保護事業を実施するためのものではないか。鳥獣保護事業の普及啓発等の視点も必要であるが、そういったことも想定しているのか。

(人材育成WG座長)総合的な人材育成プランというものは、本来幅広いものであるべき。ただ、当面の対応として資料には現時点で取組みが可能と考えられることを記述している。特定計画を意識してはいるものの、それに絞ったわけではない。

(事務局)結果として特定計画に関する記述が大きなウエイトを占めているが、鳥獣保護管理に関する知識をベースに全体についてうまく運用していくという主旨である。

○特定計画WGの報告についてだが、1.(1)個体数管理に「調査方法の統一を図る」とある。しかし調査方法はいろいろあってもよいし、その中でよりよいものを各々採用していくという方向でいいのではないか。また2.(5)に「広域的な鳥獣保護管理は対象種によって異なった地域を設定して行うものではなく、‥‥」とあるが、もともと広域指針は対象種によって異なった地域を設定していくものであり、対象種によってエリアサイズを変えていくという意味だったのではなかったか。また、人材育成WGの報告に関しては、専門的知見を有する人材を確保するための資格制度について議論してきたことを明記していただきたい。

○特定計画WGの報告1.(2)の個体数管理の調査方法の統一に関連することだが、より適正な調査方法を確立し、公表すべきである。誤った手法によれば計画の方向自体が曲がったものとなる。

(特定計画WG座長)そもそも隣接した都道府県で調査手法が異なり、結果の比較が困難なことへの対応という趣旨であったので、それがわかる記述にした方がよい。

(委員長)これまでのWG所属委員のご意見を踏まえ、本WG報告は修正をお願いしたい。以上で最初の議題を終わることとする。

<議事(2)鳥獣保護事業計画の基本指針(素案)について>

※事務局から資料2について説明。

○冒頭に他の先進国と比較した日本の鳥獣の生息状況に関する記述が欲しい。日本のような先進国で人と鳥獣のより良い関係が構築できれば、世界に対して良い手本となる。また地域住民だけでなく、国民全体で野生生物との共生を意識させるような記述も欲しい。p12(I、第四、1鳥獣保護管理に関わる人材の確保)だが、人材育成については大学のような高等教育機関との連携について触れていただきたい。p18(I、第十一、1、(3)事業者及び市民・民間団体、専門家等の役割)だが、エコツーリズムの普及だけでなく、自然とのふれあいを意識した幅広い視点をもたせるべき。

○基本的に現行の基本指針と比べ、きめ細かくなっており適当と思うが、地方公共団体の財源、人員配置、業務内容の実情を鑑みるとなかなかに厳しいと考える。義務的な書きぶりではなく、努力義務とするなど表現を和らげることはできないか。

○そもそも読んで理解するのに骨が折れる。難解・反復の表現を見直し、誰もがわかる指針にして欲しいというのが最初の要望。p4(I、第一、3,(2)、イ狩猟の役割とその適正化)の「狩猟制度は、・・・」とある記述は、「狩猟者は、・・・」としたうえで、「公共的役割の担い手となる狩猟者の確保が急務である」と明記していただきたい。また、p30(II、第四、1、(6)捕獲実施に当たっての留意事項)で、わなの構造については、例えば15kg以上で作動するなど重量にかかる構造規制に関する記述が欲しい。はこわなの指導の記述に関しては、許可基準を厳格にするべき。

○一見充実した仕上がりになっている。ただし、p17(I、第十一、1、(1)国の役割)に関する記述で、「国際的・全国的な鳥獣保護の見地」となっており、「保護」という視点に限定されているが、それ以降の記述にある「保護管理」としてはどうか。

○狩猟鳥獣と外来鳥獣が重なることはないのか。一般鳥獣の概念について明確にして欲しい。また、「特定鳥獣」という区分を設けないのは何故か。

(事務局)例えばアライグマは狩猟鳥獣であり外来鳥獣でもある。種の数からいうと一般鳥獣が最も多くなるが、制度上の区分を先行させているため後に記述している。特定鳥獣というのは特定鳥獣保護管理計画の対象となる鳥獣だが、狩猟鳥獣だけでなくサルやカモシカのように一般鳥獣に該当するものもあり煩雑になるので区分として扱ってはいない。

○p18(I、第十一、1、(3)事業者及び市民・民間団体、専門家等の役割)の事業者に、農林業者は入るのか。また、p47(II、第六、6,(2)生息環境管理)では、以前広く森林と記述していたが、単純に「里地里山」とするとその背後に広がる森林、人工林が一般的に意識されなくなるおそれがある。

(事務局)農林業は自然と折り合いをつけながら営むものであり、ここでいう事業者とはいわゆる開発を行う者を想定しているが、仮に大規模な農林業ということになれば鳥獣の保護管理に関わらないとは言えない。なお「里地里山」とは、背後の人工林も含めた概念と考えている。

○林業者自身が環境に対する意識を持つことが重要。強制的なものが伴うと支障もあるだろうから、意識として持たせる程度の記述が欲しい。「里地里山」という文言は一般的に限定的に捉えられがちなので、広範囲を想定させる文言にするべき。

○p10(I、第三、2地域における取組の充実)の「実施計画」だが、このネーミングについて疑問がある。実施するのは当然のことであるし、県の計画の下位計画としての意味合いが強い。位置づけをはっきりさせないと内容がぼやけるのでは。「地域計画」や「市町村計画」等の名称を用いた方が良いのではないか。

(事務局)答申では「下位計画」としていたが、このネーミングでは分かりづらく、特定計画に基づいて実施するのであるから「実施計画」とした検討経緯がある。

○「実施計画」とは何かということになるので、名称は工夫していただきたい。

○p15(I、第六、3網猟とわな猟の適切な実施)に「適切な設置の数量」という記述があるが、わな個数についてまだ検討する余地がある。一日に見回りできる数で30個となっているが、現場では多すぎるとの声がある。もっと検討いただきたい。

○「絶滅のおそれのある地域個体群」ないし「希少鳥獣等」という文言についてだが、全体を通して一貫性がなくては混乱する可能性があるので、これらが示す内容を明確にすべき。

(事務局)ご指摘の文言に関しては引き続き精査したい。

(委員長)これまでのいくつかのコメントに対して、事務局から説明をお願いする。

(事務局)地方分権の精神からすると法律に規定のない事柄に関し、地方公共団体に義務を課すことはできないというのが基本的な姿勢である。とはいえ地方の役割は重要であり、これまでの議論を踏まえ、可能な範囲で記述させていただいた。 基本指針が長文で難解という指摘をいただいたが、重複する記述についてはさらに整理し、わかりやすくなるよう努力したい。
「狩猟の公共的な役割」については、既にp15(I、第六、1基本的な考え方)に記述している。
わなの作動重量や設置の個数に関する制限の指摘だが、科学的な根拠や現場での取締りなど課題も多く、引き続き検討していきたい。
鳥獣の「保護」か「保護管理」か、というご意見については、「鳥獣保護」という大きな概念の中で、さまざまな「保護管理」を行っていると理解していただければと思う。
「実施計画」のネーミングについては、内容に関する記述を工夫し、分かりやすくすることで対応させていただきたい。

○p30(II、第四、1、(5)許可権限の市町村長への委譲)に関し、国としては、なるべく都道府県の権限を市町村に委譲してもらいたいと考えるのか。そもそも委譲と分権は異なるもので、権限を委譲しておいて口出しするのはあまり好ましいことではない。

(事務局)そのような考え方で記述しているわけではない。地方分権の流れから権限委譲は仕方ないが、その場合には、都道府県が市町村の体制も考慮し、必要に応じ指示を与え、連携をとれるような仕組みを整えて欲しい、という主旨である。

○市町村が置かれている状況を考えると、やはり厳しい問題である。

○現実問題としてp49(II、第六、8、(5)実施計画の作成)にある実施計画の作成をすべて市町村に担わせるのは不可能でないか。一方で、p54(II、第八、4安易な餌付けの防止)に関しては、ほとんどが市町村の問題。このような件は、市町村の観光課職員が対策を行っている。そういう意味でも、実施計画について懇切丁寧に書き込む必要がある。

(委員長)広域的に進めつつも、やはり地域に密着するという要請からの計画の整合性が大きな課題となる。
以上の意見を踏まえて基本指針素案の修正を行いたいが、具体的な修正は私に一任願いたい。

<議事(3)その他>

※事務局から資料3について説明。

○パブリックコメントをするなら、子どもにも分かるような内容にすべき。これほど難解だと、目を通すのは自ずと専門的な者に限られてしまう。特に一般の人に対し興味を持たせるのは容易でないから、今回は無理とはいえ、小学校の先生などにダイジェスト作成の依頼をしてはどうか。そういう取組みが環境教育になるのであるから、ぜひ試みるべきである。

(委員長)今回はスケジュールからみて難しいだろうが、次回以降、事務局には何らかの対応を検討していただきたい。
  以上で本日の会議を終了する。

以上