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中央環境審議会野生生物部会
第4回 鳥獣保護管理小委員会 会議録


1.日時

平成17年12月12日(月)14:00~16:04

2.場所

環境省第1会議室

3.出席委員

(小委員長) 岩槻 邦男
(委員) 石井 信夫  磯部 力  市田 則孝
大塚  直  岡島 成行  亀若  誠
佐々木 洋平  速水  亨  三浦 愼悟
(環 境 省) 南川自然環境局長
黒田審議官
泉総務課長
名執野生生物課長
瀬戸鳥獣保護業務室長

4.議事

【事務局(大賀)】 それでは、予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催させていただきたいと思います。

 本日の出席者でございますけれども、石原委員は所用につき欠席というご連絡をいただいております。あと今申し上げましたように、岡島委員と大塚委員まだちょっとおくれられておりますけれども、中央環境審議会議事運営規則によりまして定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立をしております。

 なお、欠席ご連絡をいただいております石原委員につきましては、コメントのペーパーの提出がございましたので、お手元に配らさせていただいております。

 引き続きまして、資料の確認をさせていただきます。

 議事次第に配付資料一覧という形で書いておりますけれども、一つは、中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会の報告書(骨子案)というもの、それと先ほど言いました石原委員のコメント。それと農山村の現状を踏まえた鳥獣被害対策の一体的実施のための検討調査報告書というものが厚い、こういう冊子になったものが2部置いてございます。環境省分と農水省の生産局分という形で一部ずつ置かさせていただいております。それとそのほかに後ほどご説明します、今、申し上げました調査報告書の簡単な概要版ということで3枚紙のペーパーと、そのほかに資料集、それから検討会の報告書に加えまして今回、国でつくっております基本指針も配付させていただいております。

 もし資料に不備等ございましたら、事務局にお申し出いただきたいと思います。よろしいですか。

 それでは岩槻委員長、よろしくお願いいたします。

【岩槻委員長】 それでは4回目になりますけれども、鳥獣保護管理小委員会を始めさせていただきます。

 きょうはこれまで3回議論をしていただきましたことをまとめていただいた報告書の骨子案をつくっていただいて、事前に委員の先生方のところには届いていたはずですけれども、これについて取りまとめをさせていただいて、順調に進みましたら、この後パブリックコメントに回せるような姿に持っていけたらと思っております。

 

  それではその骨子案について、事務局、中澤さんの方からお願いいたします。

【事務局(中澤)】 それでは、お手元にございます資料、中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会報告書(骨子案)に基づきまして説明させていただきます。

 まず「はじめに」でございます。

 鳥獣の科学的・計画的な保護管理を進めるため、特定鳥獣保護管理計画制度が創設されまして既に6年以上経過しており、これまでに41都道府県で合計71の計画が策定されている状況でございます。

 その間、昨年の12月、また今年の4月に、「自然環境保全基礎調査」の結果から、シカ、イノシシなどの中・大型哺乳類の生息分布域が、特に農耕地ですとか、植林地又は二次林といったところで拡大していること。また、カワウなどの河川の大型の魚食性鳥類の生息分布域が拡大していること。そういったことが明らかになっているところでございます。

 一方で、種又は地域によっては生息分布域の減少や消滅も明らかになっていて、ツキノワグマなどでは絶滅のおそれのある地域個体群ですとか、分布域が孤立している地域固体群が見られる状況でございまして、生息分布域の拡大により農林水産業に被害があること、またもう一方で生物多様性の保全の観点からも見過ごせないような問題が生じている状況でございます。

 これらの原因でございますけれども、昭和30年から40年代における落葉広葉樹林などの自然林の開発、人工林化、積雪量の減少といった自然環境の変化という点。もう一つ、中山間地域等での人口の減少ですとか、高齢化、またこうしたような状況を背景といたしました耕作放棄地の発生ですとか、地域住民等の活動の低下といった社会活動の変化。そういった自然環境と社会的な面の両面の変化がこうした鳥獣の生息状況についての影響を与えているのではないかということでございます。

 こうした人と鳥獣のあつれきですとか、生物多様性の保全といった課題への対策につきましては、特定計画に基づく鳥獣保護管理の取組として実施されており、実施状況の評価から自然科学的な観点からの対応と社会科学的な観点からの対応をより一層進める必要があるということが明らかになったということでございます。

 また、鳥獣保護管理に関する問題に加えまして、鳥獣保護区の生息環境の改善ですとか、鳥獣保護員等の専門性の向上に関する課題、狩猟者の減少、農林水産業被害の深刻化に対応した狩猟・捕獲従事者の確保、育成、わなの取扱の適正化等といったような鳥獣の保護及び種の適正化を巡る様々な課題に対して必要な措置を講じることが求められている状況でございます。

 続きまして、本文の方について説明させていただきます。

 1、基本指針(国)及び鳥獣保護事業計画(都道府県)の充実でございます。

 (1)といたしまして、現状と課題ということで整理しております。

 鳥獣保護事業計画につきましては、都道府県が実施する鳥獣保護事業について基本的な考え方ですとか、施策のあり方を示す基本的な枠組みであり、環境大臣が定める基本指針に即して定めるという形になっております。

 こうした基本指針ですとか、鳥獣保護事業計画につきましては、自然的、それから社会・経済的な状況の変化を踏まえた見直しを行いまして、様々な課題に対応する方向性を盛り込むことによって適切に鳥獣保護事業を実施することが可能となること、また、鳥獣保護事業への市民の理解をより深めることが求められている状況でございます。

 また、鳥獣保護事業を担当する部局だけではなく、農林水産業を担当する部局ですとか、市町村、地域住民などの鳥獣保護事業、鳥獣による被害、それから生息環境管理等に関係する様々な主体がそれぞれの役割に応じて連携を図りつつ取組むこと。さらに関係する都道府県の連携による鳥獣の地域個体群の動向を踏まえた適切な保護管理を推進することが求められているという状況でございます。

 以下、1の個別の対応についてでございますが、(2)といたしまして、国における取組の明確化を説明しております。

 国におきましては、鳥獣を巡る全国的な状況と課題を整理したうえで、鳥獣保護管理の方向と国の役割を基本指針において具体的に示すことが必要である。

 また、全国的な鳥獣の生息状況の変化ですとか、被害の状況等を踏まえて、狩猟鳥獣の範囲について科学的な知見の下に定期的な検討を行う必要がある。

 もう一つ、鳥獣法の規定により、同法の適用除外とされている鳥獣について、適切な保護管理が図られるように関係機関とも連携し、生息状況に関する情報収集を進める必要があるということです。

 それから(3)でございます。鳥獣保護事業計画の充実でございます。

 アといたしまして鳥獣を巡る現状と課題の整理でございます。

 これにつきましては、鳥獣の生息状況ですとか、生態等に応じた取組が可能となるように事業計画の内容の見直しを行い、また事業計画の策定に当たっては、鳥獣の生息ですとか、関連する社会経済の状況等の鳥獣を巡る現状と課題を十分に整理する必要があるということでございます。

 続きましてイで、鳥獣の生息状況等に応じたきめ細かな事業の推進でございます。

 きめ細かなということで、一つは、鳥獣の希少性や由来などによる区分、鳥獣を細かく区分することによって、保護管理の方向性を示すということ。もう一つは、都道府県の区域内でも著しく生息環境が異なるような場所について、それぞれの特定の地域について保護管理の方向性を必要に応じて事業計画の中で示すということでございます。

 それらにつきまして、都道府県が鳥獣保護事業計画を位置づけるために基本指針においても記述していく必要があるということでございます。

 それからウでございますが、関係主体の役割の明確化と連携でございます。

 鳥獣保護事業計画を実施するためには、関係主体の役割を明確化した上で各主体が連携し効果的な実施を図る必要がある。特に昨今、市町村につきまして鳥獣の捕獲許可の権限を都道府県から委譲されるなど、鳥獣保護事業を実施する上での役割が非常に増大していると。また都道府県知事が定める特定計画の実施に当たっては、適切な役割を果たすことが期待されるとの点を十分に踏まえる必要がある。そのためにその体制整備ですとか、国及び都道府県からの適切な支援を図る必要があるということでございます。

 また鳥獣の生息状況ですとか、地域個体群の動向を踏まえまして、鳥獣の生息環境の保全、また被害防止対策等効果的に実施するために地方自治体における鳥獣担当部局、農林水産担当部局、またその関係者からの適切な連携ですとか、保護管理すべき地域個体群に関連する地方自治体間の連携の強化を図る必要があるということでございます。

 それから(4)国際的な取組の推進でございます。

 国境を越えて移動する渡り鳥の保護を図るために、鳥獣保護区の指定ですとか、管理を適切に実施する。国内における鳥獣の保護及びその生息地の保全を進めるということと、我が国と特に我が国との関係の深い地域との連携による国際的な生態系ネットワークの形成が必要であるということでございます。

 続きまして大項目の2でございます。

 特定計画制度の充実ということで、特定計画についてここで記述しております。

 (1)が現状と課題でございます。

 これは先ほども「はじめに」ところで申しましたが、平成11年に特定計画制度が制度化されまして、これまでに41都道府県で71の計画が策定されているという状況でございます。

 この特定計画の策定状況でございますが、シカでは生息分布域の大部分の都道府県で策定されている。一方で、イノシシでは生息分布域からするとまだ相対的に少ないといったような状況であり、特定計画については策定を継続することが必要であるということでございます。

 また、特定計画の実施状況ですけれども、都道府県の自己評価によりますと種によって傾向が異なるのですが、年数を経ている計画ではよい評価となる傾向があると。現段階ではまた評価ができないといった計画もあると。一方で、鳥獣による被害が策定時よりも悪化しているとの評価もございます。よって今後ともその実施状況とその効果のモニタリングを継続するとともに、その結果を適切に計画にフィードバックすることが重要である。

 また、特定計画をより効果的に実施するためには、計画の進行管理ですとか、地域別等の下位計画の策定、調査モニタリング手法の改善、都道府県境を越えて広域的に移動する鳥獣の保護管理への対応等も課題として指摘されているところでございます。

 (2)特定計画の実施に係る関係主体の連携でございます。

 アといたしまして、関係主体の役割の明確化と連携でございます。

 特定計画の実施にあたっては、国、都道府県、市町村等との行政機関、それから地域住民等の関係主体の役割を明確化して緊密な連携を図ることが重要である。

 行政機関の役割でございますけれども、以下に例示として、国については全国的な観点から特定計画策定ためのマニュアルの整備。それから広域的な鳥獣保護管理に関する指針の提示。特定計画の策定のためのマニュアルの整備ですとか、広域的な鳥獣保護管理に関する指針の提示、モニタリング手法等の調査研究及び都道府県担当職員等への研修等が考えられる。都道府県におきましては、都道府県に関係する地域個体群の固体数調整ですとか、生息環境管理、それから被害防除等の方針の検討と実施。市町村については、現場レベルでの個体数調整ですとか、生息環境の管理、それから被害防除対策の実施が考えられるということでございます。

 特に、鳥獣による被害への対応につきましては、捕獲のみでの対応では不十分であるということで、個々の地域の被害特性に応じまして、鳥獣担当部局、それから農林水産担当部局のほか、農林水産業の関係団体、猟友会、地域住民等が防護柵の設置ですとか、追い払い等の被害防除対策を進めるということ。それから鳥獣の生息環境の適切な保全と管理を進める必要があるということでございます。

 次はイ広域的及び地域的な連携でございます。

 鳥獣の保護管理への取組に地域間で格差が生じた場合、これは例えば県域をまたぐ場合もございますし、一つの都道府県の中でも市町村レベルとまた集落レベルで取り組みの差が出るといったことで、特定計画の効果が上がらないといったような状況がございます。このため広域的都道府県レベル、または地域的市町村レベルに関係主体が連携いたしまして、地域個体群の生息状況を踏まえた生息環境の整備ですとか、効果的な個体数調査を実施するための捕獲期間、場所、数の調整、共通の情報、こういった共通の情報をもとに、取り組むための広域的なモニタリング手法の統一などを図りまして、地域個体群の規模ですとか、行動範囲に応じて協議会などを設置することによって適切な保護管理を進めることが重要である。

 また、こうした都道府県等における効果的な鳥獣保護管理を支援するために、国におきましては広域的に保護管理すべき地域個体群について、その範囲ですとか、保護管理の方向性を指針などにより提示することとともに、特定計画における地域ですとか年次に応じた下位計画の策定に関する考え方を基本指針において整理することが必要であるということでございます。

 続きまして(3)で、地域に根付いた取組の充実でございます。

 先ほども申しましたが、鳥獣における被害への対策は捕獲のみの対応では不十分である。ですから鳥獣担当部局ですとか、農林水産担当部局等が鳥獣の生息状況や被害状況に関する情報を共有して連携を図る。それで被害防除対策の推進と一体的に鳥獣の生息環境の管理、適切な保全などを図るなど総合的な取組が必要であるということでございます。

 特に鳥獣による被害対策につきましては、こうした総合的な取組を地域レベルで適切に進めることが効果的である。地域的な共通認識の醸成を図りながら、市町村等での地域ごとの保護管理の目標を具体化・明確化し、特定計画に取り込むとともに、その内容を集落レベルまで周知していくことも重要であるといったようなことをここで記述しております。

 また、地域的な共通認識のもとに生ゴミや未収穫作物の除去、それから耕作放棄地の適切な管理、安易な餌付けを行わないといった鳥獣の誘引要因を除くほか、手入れの行き届かない里地、里山の適切な管理等を進め、人と鳥獣のあつれきを未然に防止し鳥獣被害を受けにくい地域づくりに取り組むことが重要であること。また鳥獣の保護管理を進める上で必要となる学習放獣を行う場所の確保も必要である。

 こういった取組を進めるためには、鳥獣保護管理や農林水産業に関係する専門家の指導を受けながら、地域が一体となって対策を講じて、市町村ですとか、都道府県はこれを支援する体制づくりを進めること。また、こうした都道府県ですとか地域レベルで実施されている鳥獣保護管理の実践に関する様々事例について幅広く情報共有を図ることが必要であるということでございます。

 それから(4)、科学的・計画的な保護管理の推進でございます。

 特定計画はそもそも科学的・計画的な保護管理を推進するために制度化されている。これに関して生息状況に関する情報ですとか、農林水産業及び自然生態系への被害状況、それから社会経済などの状況を的確に把握して分析することが重要である。

 環境省におきましては、基礎調査ですとか、「ガンカモ調査」シギ・チドリの調査、また「鳥獣関係統計」などによりまして、鳥獣の保護管理の動向について、また生息状況等について調査等を行ってきており、今後ともこうした調査の継続ですとか、充実を図っていくことが必要である。またそういったものを特定計画のマニュアル整備や見直しに反映していくことが重要であるということです。

 都道府県におきましても、鳥獣保護センターですとか、農林水産業関係の試験研究機関等を活用して、地域特性に応じた効果的な鳥獣保護管理に関する技術開発を進めることが必要であるということでございます。

 それからイが人材の育成・活用でございます。

 特定計画の効果的な推進にあたっては、これを実施する主体が鳥獣の保護管理に関する専門的知識を有する者からの助言・指導を得ること。またそのような者が実際に特定計画の実施に関わることが重要であるということでございます。

 特に鳥獣保護管理に関係する研究機関ですとか、大学といった専門機関がない場合について、特定計画を進めることが困難な場合がある。こういった時に人材を育成・確保する仕組みですとか、特定計画の実施に資する民間団体の育成も必要であるということでございます。

 それから6ページ、ウでございます。モニタリング及びフィードバックですが、特定計画の策定段階における生息数の過小評価ですとか、特定計画の実施段階における生息状況や被害状況の変化など、特定計画を実施する際の科学的な不確実性を補う。まだまだ鳥獣に関しては解明されてないものが多々あるといったことがございまして、実効性を高めるためには実施状況に関するモニタリング結果に基づいてフィードバックを行う順応的な管理が必要であるということでございます。

 このため、狩猟ですとか、個体数調整による捕獲情報やそのほか被害防除効果に関する情報の的確な収集及びその提供を図ること。それから特定計画の実施状況に関するモニタリング、こういったものを共有しながら鳥獣保護区ですとか、休猟区の適正な配置、それから管理等への適切なフィードバックが重要であるということでございます。

 さらに全国的な特定計画の実施状況を把握して、国や都道府県等の関係部局間での情報共有を図ることも重要であるということでございます。

 次は適切な捕獲の推進でございます。特定計画に基づく個体数調整につきましては、モニタリング結果等を踏まえて適切に見直していくことが重要である。そのため狩猟を活用した保護管理の推進を図るためにも、特定鳥獣の生息状況等に応じて、一定区域についての入猟者数を調整する制度について検討すること。また、鳥獣保護区及び休猟区の配置ですとか、休猟区等も含めた捕獲地域の見直しということで、例えば、特定計画の対象区域に所在する休猟区におきましては、特定鳥獣に限って狩猟を特例的に認めるといった、休猟区も含めた捕獲地域の見直しを進めることが必要である。こうして特定計画の目標を果たす役割が必要であるということでございます。

 また、適切な捕獲技術により錯誤捕獲の防止を図るため、わなの適切な設置、見回りの励行を設置者に指導するということ。それから錯誤捕獲固体の放獣を円滑に進めるため、行政と地域住民との日常的な意思疎通を図る必要があるということでございます。

 さらに捕獲を促進するためにも、捕獲固体を資源として有効に活用する方策について、関係行政機関と鳥獣担当部局が連携協力して検討することも重要であるということでございます。

 続きまして大項目の3でございます。

 鳥獣保護事業の強化ということで、ここでは個別の鳥獣保護事業のそれぞれの充実と強化について述べております。

 まず(1)といたしまして、現状と課題でございます。

 鳥獣保護区につきましては、国指定の鳥獣保護区につきましては近年ラムサール条約湿地の増加なども踏まえまして、指定は増加している傾向にある。そういった指定状況を踏まえた適切な管理が求められている状況にございます。

 一方で、都道府県の鳥獣保護区につきましては、昭和60年代ごろまではその面積は増加傾向であったのですけれども、近年では農林水産業被害などを背景にいたしまして、地域の理解がなかなか得られないといったことから指定が進まない。それで横ばいのような傾向となっているところでございます。

 また、鳥獣保護区における生息環境の悪化なども生じておりまして、生息環境の保全ですとか、改善の必要性が高まっている。

 次に鳥獣保護員でございます。鳥獣保護員につきましては、その総数の目標を市町村の数に見合う配置としております。ですが、近年の市町村合併の進展によりまして、市町村数が減少していることを踏まえて、活動内容等の必要性に応じた適切な配置が求められている。これまで鳥獣保護につきましては狩猟における取締りが活動の中心であったのですけれども、近年では鳥獣保護管理に関する普及啓発ですとか、指導も含めた広範な対応が期待されている。

 また、鳥獣の流通等につきましては、国内で違法に捕獲した鳥類を輸入鳥と偽って飼養している事例が指摘されている。また過去には目的を偽った捕獲により、その捕獲個体の不適切な処置が行われていた事例がある。さらに愛がん飼養、傷病鳥獣、鳥獣への餌づけの問題等、鳥獣の個体の取扱いについての一層の取り組みの推進が求められているという状況でございます。

 続きまして、人獣共通感染症の課題でございます。これにつきましては、最近の国内外での高病原性鳥インフルエンザの発生によりまして非常に関心が高まっている。行政機関の中において鳥獣担当部局は、鳥獣に関する専門的な知見を持って情報提供などの役割を果たしていく必要があるということでございます。

 個別の対応につきましてですけれども、(2)といたしまして、鳥獣保護区でございます。

 まず鳥獣保護区における機能の充実と強化でございますが、鳥獣保護区における生息環境の保全のためには、狩猟の禁止、開発の規制といった規制だけではなくて、鳥獣が生息しやすい自然環境の保全ですとか、鳥獣保護区の指定後の環境の変化等による生息環境の悪化に対応するために必要に応じて生息環境の保全・改善のための事業を実施することが必要であること。

 さらに鳥獣による農林水産業被害等を背景にいたしまして、鳥獣保護区の適切な配置ですとか、管理を進めることが求められている。一方で、鳥獣をはじめとした自然とのふれあいを通じた環境教育の場としてふさわしいといった状況もございますので、鳥獣ですとか、生息環境に負荷をかけない範囲での適正な利用を進めることが期待されている。また国際的に重要な湿地等の鳥獣保護区の指定が増加していることに対応するために、鳥獣保護区ごとの保護に関する指針の充実ですとか、鳥獣保護区や保護対象鳥獣の特性に応じた管理計画を策定することが重要である。

 また、特別保護指定区域につきましては、その規制が非常に厳しいといったことから、なかなかその指定が進まないといったことがございます。この目的を効果的に達成するために、現在の一律の規制から各指定区域の状況に応じた必要な規制を選択的に実施する仕組みを検討する必要がある。

 また、国指定鳥獣保護区につきましては、鳥獣保護管理のモデルとなるような適切な管理を進めていくことが必要であるということでございます。

 次に(3)鳥獣保護員の機能の充実と強化でございます。

 先ほども申しました鳥獣保護員につきましては、従来の狩猟の取締りに加えて、鳥獣の保護管理に関する普及啓発ですとか、地域のアドバイザーとしての専門的な指導を含めた活動内容の充実を図る必要がある。こうした人材を確保するためには、公募などによる確保、それから専門的知識を踏まえた研修等による資質の向上に努めることが重要であると。また、現行の市町村数に見合う人数を目標とした配置にとらわれない柔軟な配置を進める必要があるということでございます。

 次に(4)鳥獣の流通の適正化でございます。

 国内で違法に捕獲した鳥類を、輸入鳥と偽って飼養している事例が依然として指摘されている。対応といたしまして、識別マニュアルの作成と見直しを継続するということ。それから両者の固体識別が措置できる仕組みを検討するということ。

 また鳥獣の不適切な流通につながる目的を偽った捕獲を防止するために、許可申請に関する審査を的確に行うとともに、捕獲固体の処置が適正なものとなるように飼養登録制度を適切に運用する必要があるということでございます。

 (5)鳥獣固体の取扱いの適正化でございます。

 まず愛がん飼養でございますけれども、その捕獲によって国内産鳥類の保護に好ましくない影響を与えることがないよう、その生息状況等を踏まえた適切な取扱いを進める必要がある。

 傷病鳥獣につきましては、野生復帰のための考え方など、基本的な考え方を検討する。傷病鳥獣固体から得られるデータを活用する方策、それからリハビリテーション関係の適正化といったようなことを進める必要があるということでございます。

 (6)が鳥獣への安易な餌付けの防止でございます。

 観光客等によるニホンザルへの安易な餌付けが野生の喪失につながり、人にかみついたりですとか、商店とか人家に入り込んで食物をあさったりとか、中をいろいろと壊したりとか、そういったような事例がございます。またイノシシにつきましても、市街地への出没が継続するといった事例が発生している。条例を制定して餌付けを禁止などの取組が今、地方自治体レベルでなされている。こういった鳥獣への安易な餌付けは鳥獣が人間の与える食物に依存するおそれ、また農作物の被害を引き起こす動機をつくるおそれがございます。こういった鳥獣への安易な餌付けの防止について普及啓発を積極的に取組むといったことがございます。

 (7)、鳥獣と関わりのある感染症への対応でございます。

 これも先ほど申しましたとおり、人獣共通感染症の問題に関心が高まっている。野生鳥獣を担当する部局につきましては、鳥獣について専門的な知見を持って国民ですとか、地域住民に対して適切な理解を促すということ。それから、公衆衛生ですとか、家畜衛生、本来担当されている部局に対して、野生鳥獣に関する専門的な知見からの情報提供を進めていくことが必要であるということでございます。

 (8)鳥獣保護事業に必要な財源の確保でございます。

 、鳥獣保護管理、生物多様性の確保ですとか、生活環境の保全、それから農林水産業の健全な発展に密接に関連しており、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保ですとか、地域社会の健全な発展に資するものであるということ。これについて国民の皆さんに理解を醸成していくということ。そのために鳥獣保護事業の必要性ですとか、実施状況についての広報を行う。また、狩猟税につきましては、地方税法の趣旨を踏まえて、鳥獣の保護及び狩猟に関する行政の実施に対して効果的な使用を図っていくということ。それから鳥獣保護管理に資する生息環境の整備ですとか、被害防除などの事業との連携を図っていくことも重要である。また一部の都道府県におきましては、法定外目的税といたしまして、環境保全目的の新たな税を導入して、様々な事業に活用している事例があることを踏まえて、鳥獣保護管理に資するように関係部局との連携を深める必要があるということでございます。

 それから、最後の大項目の4狩猟の適正化でございます。

 まず現状と課題でございますが、狩猟は地域資源の持続的な活用を図るだけではなくて、特定計画に基づく捕獲など鳥獣の保護管理に貢献している。科学的な保護管理の考え方のもとで、今後ともその役割を果たしていくことが期待されている。また、狩猟者の減少ですとか、高齢化が進行しており、捕獲従事者の確保が課題となっている。またもう一つ、科学的な保護管理に貢献するということで、鳥獣保護管理に関する知識の習得ですとか、技術の向上が求められているところでございます。

 それから網やわなの取扱でございますが、銃に比べると危険性は低いということでございますけれども、やはり事故の発生、それから錯誤捕獲等の問題も生じている。また網わな免許の取得者が増加しているということも踏まえまして、安全、それから管理に関する制度の充実が課題となっているということでございます。

 (2)狩猟・捕獲従事者の確保と育成でございます。

 科学的・計画的な鳥獣保護管理に資するように狩猟免許更新時の講習ですとか、狩猟免許試験の内容について、鳥獣保護管理に関する知識ですとか、技術を充実して狩猟者の資質を高めるということ。

 それから農林水産業関係団体の職員ですとか、農林水産業従事者の方が自らが鳥獣による被害対策としての適切な捕獲を行えるような体制が求められているということで、現行の「網・わな免許」を「網猟免許」と「わな猟免許」に分けることによって錯誤捕獲等の防止に向けたわなの設置技術の向上ですとか、わな猟についての専門性の向上を図る必要があるということでございます。

 (3)狩猟の適正化でございます。

 まずアでございますが、わなの取扱の適正化ということで、人の安全を確保する観点からわな等の使用禁止、あるいは制限する地域制度の導入を図るということ。わなの設置者の明示の義務化を図るということ。そこに設置されたわなにつきましては、司法警察員による撤去というものを積極的に行う必要があると考えております。

 また、わなにおける猟具のうち、くくりわなと、とらばさみでございますが、錯誤確保の発生ですとか、人や財産への危険性があるということで、猟具の構造基準の見直し、それから適切な設置方法の普及を図る必要がある。特に捕獲された場合の鳥獣への傷害が大きかったり、鳥獣を放獣するための改良が困難な構造であるとらばさみにつきましては農林業被害対策における使用の必要性も踏まえ、登録狩猟における使用禁止も含めて適切な取扱いを検討することが必要であるということございます。

 最後にイといたしまして鳥類の鉛中毒の防止でございます。

 これに対しましては、水鳥が水底の小石とともに鉛製の散弾を摂取するということ、それから猛禽類が山野に放置された鳥獣の捕獲固体に残存した鉛製散弾を摂取することによって鳥類の鉛中毒が発生している。これにつきましては、平成14年に法改正で設置されました水辺域における鉛製散弾の使用を規制する地域の設定、それから捕獲した鳥獣を山野等へ放置しないといった捕獲固体の適切な取扱に係る取組を徹底するということを図っていくことが必要ではないかということでございます。

 一通りご説明させていただきましたこの報告書の骨子案でございますが、ここに含まれた内容につきましては、法改正で対応するもの、それから政省令の見直しですとか、基本指針の見直しで対応するもの、それぞれさまざまなレベルで今後の施策へ反映させていただくことになると思います。また、今後のスケジュールでございますけれども、先ほど委員長の方からもご指摘がございましたが、本骨子案に本日の意見をいただきまして素案として、パブリックコメントを今月中旬から1月の中旬をめどに行いたい。また第5回の小委員会で野生生物部会の報告答申へ向けたご検討をお願いしたいということで考えております。

 以上でございます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。

 今、詳細にご説明いただきました骨子案につきまして、これまでの議論で自分はこういうつもりで言ったんではないとか、言ったけれども抜けているとか、あるいはこれまで議論にならなかったことでも多分つけ加えてもいいと思いますので、こういうことが抜けているとか、そういう重要なご指摘がありましたら、ぜひご発言いただきたいと思います。

 どこからでも結構ですから、どうぞご発言ください。

 速水委員から、どうぞ。

【速水委員】 事前に読ませていただいて、大体私が思ったようなところは網羅されているんですけど、1点だけ一番最初のちょうど中ほどの「鳥獣生息状況の変化の要因は」というところの場所なんですけど、その上から3行目のぐらいのときに、「こうした状況を背景とした耕作放棄地の発生や地域住民等の活動の低下」というふうなところがありまして、ここにもし無理でなければ、「耕作放棄地の発生や」の後に、「森林管理を含めた地域住民等の活動の低下」というふうな表現があればいいなというふうに思っています。その理由は、前もお話させていただきましたように、やはり里山に人が入らなくなった。あるいは、人工林の管理が不足して森林がどうなるということとはちょっと別に、森林管理に人が入らなくなったということで、人里と動物が生息している森林との間の人間の日常的な活動が減ったということで、それぞれの動物が里に出てきやすくなっているということも田舎で見ていますとありますので、そういう表現が使われればなというふうにちょっと思っております。

【岩槻委員長】 今のことは前に非常に丁寧にご発言いただいたことですし、特に反論がなければお伺いしておいて、後で最終的に文言についてはまたご一任いただきたいと思いますけれども、取り上げるということで検討させていただきたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 4回の議論を経て作文していただいたわけですけれども、一番最初のこの会議で各都道府県での特定計画の進捗状況と、問題点等々が指摘されていると思います。それからもう1点、野生鳥獣保護管理検討会の中で指摘されていること、これがどの程度反映されているかというのが一つのポイントだろうというふうに思うわけですが、私は幾つかあるんですが、一つは、やはり特定鳥獣保護管理計画というのは、この間の分権に対応して、各都道府県が自主的、自発的に地域の野生動物管理を行えるような、そういう主体性をいかに確保できるかというところが一つの大きなポイントだと思うんですね。それにかかわるモニタリングの中身だとか、その制度的な中身だとかというのがあるわけですけれども、一つ抜けているなというか、ちょっと弱いのではないかなというところで、まず指摘したいのは、野生鳥獣保護管理検討会でもさんざん繰り返し、やはり保護管理にかかわる知識、技術を有した人材の確保が必要であるということが、この文章でも4ページ、7ページ、人材が行政機関において適切に配置されていく必要があるんだということですね。それから例えば11ページ、特定計画の実際の運用について、これが非常に重要なポイントであるということが指摘されているわけですね。そういう点でこの骨子案を読みますと、そこのところが人材育成活用という言葉は残るんですが、これの人材を育成する確保や仕組みというところがかなり弱いというふうに思うわけですね。それで鳥獣保護管理検討会においては、たしか資格制度を創設するということで、私自身は国家資格というのはなじまないかもしれませんけれども、それに準ずるような、かなり専門性とそれから継続性とあと説明責任を持つような、それを一体都道府県でどれくらい配置していくのかというのが一つの大きなポイントだと思いますね。その点でいうと、なるべく国家資格に準ずるような専門性のある人材を育てていくというスタンスが重要なんですが、それはあからさまには言えないという事情もあるでしょうから、せめて人材の登録制度ぐらいのところで、こういう人たちが実際に特定計画制度を作成し、それを運用し、そしてそれの継続性を見守っていく。計画制度として達成させていくという、そこのところを5ページのところにもう少し強く書いていただきたいというふうに思いますが。

【岩槻委員長】 何か事務局の方から。特に今の段階ではコメントありませんか。

 それじゃあ伺っておくということで。

【南川自然環境局長】 反論ではないのですけれども、ちょっと何せ新しい資格をつくるようなことを少しでも書くと、いろいろと実は非常に厳しい指摘があります。したがって、ご趣旨はよくわかりますので、できるだけ実際にこういう人が活用できるように中身を考えさせてください。

【岩槻委員長】 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 あからさまに資格という格好で入れる必要はないんですね。それに準じて、やはりかなり専門性が高いのを積極的にやっぱり各都道府県で採用といいますか、少なくとも採用じゃなくても1年ないし2年で変わっていくような、そういう要するに何といいますか、ゼネラリストではなくて、やっぱりスペシャリストである必要があると思うんですね。そこのところがわかるような、それでこの特定計画をつくっていただく。それからある程度の許可権限等も持てるような、そういう人材をどういいますか、登録制度といいますか、登録とも言わないでしょうけれども、そこの書き込みを前面に押し出していただきたいというのがお願いであります。

【岩槻委員長】 ご発言の趣旨はわかりましたので、そういうことを少し工夫させていただくということで。

 岡島委員、何か今のことに関連してですか。

【岡島委員】 今の件に関して私もちょっと意見がありましたものですから。局長がおっしゃったように、やはり国が新しいそういうものをつくるというのは、やっぱり今の流れでは全く逆行ということになると思いますので、なかなか難しいんじゃないかと思いますけれども、ただ先生がおっしゃるように、私も民間と大学等でそういうことを協力し合ってやっていったり、そういう作業ができないかと思うんですね。ですからここに何とか「特定計画に資する確保する仕組みや資する民間団体の育成」なんて書いてあるんで、この辺で私は解釈していたのですけど、国がつくるというのはもう時代の流れとして国の権限を削減していこうとか、地方分権のいろいろな流れの中で国家資格なんていうのは全部やめていこうという、やめていこうって変な話ですけど、一つの流れとしてはそういう流れがある中で、なかなか私も難しいと思うんですけど、例えば英検とか、トフルもそうだし、珠算なんかもそうですけど、それよりはちょっと厳しいかもしれませんけど、そういう意味で大学と民間とか、何といいますか、公益法人とか、そういうところとスキームをつくって、国の資格ではない形で何かやっぱり先生のおっしゃるように私も同じ意見なんですけど、専門的職員というか、能力のある人をある分みんながわからないと、おれはあると言ったってわからないわけだから、私はこういうような資格があってできますよというのが客観的に評価できるような人がいないと、やっぱりみんなが認められないわけですので、何らかの仕組みが私も必要だと思っております。

 そういう意味では三浦先生のおっしゃるとおりで、何かそこをやってほしいと。この民間というところで読めるのかなと私は勝手に解釈していましたので、国家資格というのに準ずる、もしくは国家資格というご意見ですけども、私は民間の資格でもいいのではないかなと思っておりますので、趣旨は私も三浦先生と同じで、何らかのスキームをつくらないとこれ動かないんじゃないかなと思っております。

 以上です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。

 市田委員、どうぞ。

【市田委員】 これを今日拝見して、前から申し上げていた国の役割ということも一応言葉として入ってきてよかったなと私は思っているのですけれども、文章全体はいろいろなことが書いてあるんですけれども、この「はじめに」のところを見ると、頭から特定計画のことがどんと書いてあって、ほとんど特定計画の話なんですね。もうちょっと全体的に見てそこの中で特定計画があるんだという形ではないのかなとは思うんですけれども、被害対策が非常に難しいというか、大変なので恐らくそれがばっと前面に出てきているとは思うんですけれども、これは希望ですけれども、「はじめに」のところだけを読むと何となく暗い感じで、何というか、責任があるというか、大変だなという感じが先にするんですけれども、鳥獣行政は必ずしもそんなに暗いことだけじゃないんじゃないかと思うので、そこいらを少し配慮していただけたらいいかなと思います。

【岩槻委員】 どうもありがとうございます。

 鳥居さんからどうぞ。

【事務局(鳥居)】 平成11年の鳥獣法の改正で特定計画制度ができまして、おおむね6年たってということで、まずその辺のレビューも非常に重要であるというご認識からこのような「はじめに」の出だしにさせていただいておりますけれども、ちょっとその辺、市田委員の指摘を踏まえまして書きぶりを考えさせていただきたいと思います。

【岩槻委員長】 ほかいかがでしょうか。

 亀若委員、どうぞ。

【亀若委員】 中身については大体よく収録をしてくださっているなという感じは受けるんですが、それで今の「はじめに」のところは私は逆というか、今のこういう問題を取り上げる際の現状認識としては非常によくここのところは入れられておられるんではないかという感じがしまして、余り暗いとかという問題はやっぱりこの辺が相当現場として問題になっているという、そういう認識は持っていたんで、こういう認識のもとにやっぱり今回いろいろなことを改定していくんだというふうに、理解をしておりますので、ちょっとそこは今の市田委員とは少し違うのかもしれません。

 それで私はちょっと3ページですね。それぞれ特定計画制度の充実だとか、3番で何とかというふうにちゃんと分けてくださっているんですが、ここで現状と課題として最初に今、いろいろなこの分野といいますか、この特定計画制度の充実という枠の中で何が現状であり、何が課題であるかということを幾つかのパラグラフに分けて書いてくださっていて、それを受ける形で(2)以下で具体的にこういうことが大事だとか、あるいはこういうことをやるべきであるというふうに書かれているんですが、ここの2の(1)のところの第2パラグラフ、それから第3パラグラフのところだけがちょっと結語のものの考え方というのですか、表現がちょっと違うんですよ。それは3ページのところですが、鳥獣の科学的、計画的な云々とあって、鳥獣管理を推進することが必要である。それからその次のパラグラフも、その結果を適切に特定計画にフィードバックすることが重要である。ところがさらにパラグラフは指摘されている。これよくほかの部分、ところを見ますと、例えば6ページの3ですね。鳥獣保護事業の強化、ここの現状と課題では大体管理が求められている。横ばいの傾向となっている。必要性が高まっているですね。3ページのところだけがここでもう意思を言い込んでるんですよ。それはそれなりに重要性をこれだけ認識されているということはよくわかるんですが、今度は逆にこれの(2)、つまりその現状と課題という認識を受けて、そして今度具体的に対応を書く部分に実は抜けているんですよ。

 そこをちょっと具体的に申し上げますと、4ページの(2)のア、これは文章上はもうお任せするんですけれども、本来的にはここに(1)の現状と課題で問題提起をしていた特定計画の策定がなかなか進まないという現状認識に対応する文が本当はあるべきなんですね。ところが実際如実にここは出ているんですが、「計画の実施にあたっては」から入っているんですね。ですからそこら辺の現状と認識の結語の問題と、それからこの具体的に文章整理をされているところの記述の対応がもう一度ちょっとご検討された方がいいんではないかなというふうに思います。

 さらに申し上げますと、大体対応する対策の事柄は皆出ているんです。整理の問題かなという気がいたします。例えば4ページのさらに、これは指摘されているという現状なんですが、そこの計画の進行管理だとか、地域別の下位計画の策定云々というのは本来的にはやっぱりこういうことをやるべきであるとか、そういうところにこういう文言が入るはずなんですよ。だからちょっともう少し修文的に申し上げますと、3ページの第2パラグラフ、いわゆる特定計画の策定状況についてはというところは、これがなかなか県が進んでいないということなんですが、それは今後とも特定計画の策定を進めという、これは現状と課題の文言ではないはずなんですね。これをむしろ後ろの方に整理をされて、それを進めるのには何が必要なのかということ。それからせっかくつくっているんだけれども、それについて必ずしも効果が見られないという4ページの上から2行のあたり、これがむしろそのあとに今後とも実施状況とその効果のモニタリングを継続するとともに云々というふうなところは、実はこれ役割分担の中でモニタリングの云々というような話に入っていますので、そこのところを私は今ちょっと申し上げているようなことをうまく整理されれば、より明確に現状と課題がこういうことが指摘されているという、いわゆる客観的生態的な見方で書かれて、それを今これをまとめる審議会といいますか、ここの小委員会の意思としてこういうことが重要であるとか、必要であるとかというふうに行為をここに下の方に書いていかれれば非常にしっかりとしたものになるんじゃないかなという気がいたしますので、そこはそういう意図をといいますか、趣旨を踏まえてひとつご検討いただければと思います。

 とりあえずは以上です。

【岩槻委員長】 どうも具体的なご提案をありがとうございます。

 はい、局長どうぞ。

【南川自然環境局長】 ほかのところの方はあとで何かあれば言ってもらえればいいんですが、総論の方について、例えば1ページの下の方に鳥獣保護区の生息環境の改善とかいろんなこともありまして、特にラムサール条約の指定なんかも受けて、ある種の社会資本がそういう地域に必要であるという認識もございますので、そういった話題について多少1ページの方に加えるということはあってもいいのかなと思っております。それからあと何かありますか、4ページの方は。

【事務局(中澤)】 亀若委員からのご指摘で、特定計画についても詳細にご指摘をいただきましてありがとうございました。

 まず策定状況でございます。種によって策定による違いがあるということで、まず現状と課題では記述している。おっしゃるとおり進んでない鳥獣、種の計画があるということは事実でございます。これにつきまして(2)のところで何らかの形で表現するようなことは必要かと。またさらに(1)の一番最後のパラグラフ、さらにで特定計画をより効果的にするためにの進行管理ですとか、地域別等の下位計画。これは例えばモニタリングの話ですとか、(4)の科学的・計画的な保護管理の推進の中に記述している。それから広域的な話については(2)のところで、それぞれ文章の中で分散しているものの記述しているところでございますけれども、もう1回精査して見直してみたいと思います。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。

 石井委員、お待たせしました。

【石井委員】 まず全体的なことというか、これを読ませていただくと、国の役割というのかな、それをどこまで考えているのかというのがちょっとわかりにくいんですね。それで例えば2ページのところで、「国における取組の明確化」と2行ぐらいとさらっと書いてありますけれども、例えば3ページには、3ページのウのところの一番下に、「保護管理すべき地域個体群」という多分これは、都道府県をまたぐような地域個体群のことだと思うんですが、これに関連する自治体間の連携の強化を図るといったときに、保護管理すべき地域個体群というのはどこが考えて指定でもないですけれども、明確化するのかと。それで後ろの方の4ページにいくと、特定計画の中でイのところでイの一番下のパラグラフですか、国は広域的に保護管理すべき地域個体群について云々ということで、全国的にまず見渡して、多分これは種ごとに何か保護管理のごく大ざっぱだけれども全体的な管理の方向性というのかな、そういうのをどこかで出すことなのかなと。私はそういうふうに読んだんですが、だから国のやることが最初にさらっと2行で書いてあって、あと特定計画は都道府県がやりますよね。あるいはその下の市町村という自治体ですね。その間の何かつながりというのがちょっとわかりにくいので、国はもう少し全国的なレベルでそれぞれの種ごとの保護管理の方向性みたいなことを言うつもりなのか。そうでないとすると、そうしていただきたいということと、そうであればもう少し最初の方に、国はここまではやりますよと。強制力はなくても、指針みたいなことで大体こういう観点で、例えばクマだったらここの地域個体群が、都道府県の複数の都道府県に渡る連携が必要な個体群であるということをどこかではっきりさせて、そういう連携を促すとか、そこまでのことをやっぱり国にはやっていただきたいなというふうに思います。なので、それがわかるように割と最初の方にそういうことは国はここまではやりますと。法律上どういうふうに書いてあるかということは別にして、そういう参考となるような指針だけは出していきたいというふうなことを書いた方がいいのではないかと。そういうことが検討できるような場というのを検討していただきたいというふうに思います。

 具体的な文章で提案できなくて申しわけないですが、それから細かいところですけれども、じゃあまず一番最初のページの第3パラグラフかな。分布域が拡大している鳥獣については生息数についても増加していると考えられておりというふうに断定するのはちょっとどうかなと思ったので、一般にとか、全般的にとか、考えることができるとか、そういうふうに言った方がいいのではないかと思います。

 それから捕獲の促進のところなんですが、ちょっと場所がわからないのですが、捕獲を促進するために、6ページですね。「適切な捕獲の推進」というところで、一番最後のパラグラフですけれども、「さらに捕獲を促進するためにも」というふうに書いてありますけれども、これは保護管理上必要なとか、あるいはもうちょっと具体的に被害軽減、あるいは個体数調整等に必要な捕獲を促進するために、資源として有効に利用するということを入れてやりやすくするということが検討されるべきであろうというふうに、そういう言葉を入れた方がいいと思いました。

 とりあえず以上です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。

 何か。鳥居補佐から。

【事務局(鳥居)】 まず1点目のご指摘についてですけれども、2ページの1の(2)「国における取組の明確化」のところに「国としての取組」というのが書いてありますけど、その下に2ページの一番下(3)のイのところに、基本指針において、基本指針というのは国が定めるものでございますが、「鳥獣の希少性や由来などによる区分の方法と区分ごとの保護管理の方向性を明らかにする」というふうに書いております。ここで言っている区分というのは、これは野生鳥獣保護管理検討会の中でも議論がありましたけれども、現在狩猟鳥獣、それから希少鳥獣、外来鳥獣とかいろいろありますが、例えばカワウのように非常に広域に移動するようなものでも、ある県では希少性があり、ある県では非常に被害を及ぼしているような、そういうものについてどういうふうに考えるかとか、幾つかのカテゴリーに鳥獣を分けまして、そのカテゴリーごとの保護管理の方向性というものを国としては明らかにしていきたいと、こういうふうに思っております。そういう議論の中で、今、石井委員ご指摘のことにつきましても、じゃあ国はどういうふうに保護管理について考えるのかというのを検討を深めていきたいと思います。この小委員会の報告は全体の制度の見直しの方向についての報告でございますけれども、これを踏まえましてまた基本指針を改定してまいります。その際には、また中央環境審議会のご意見を聞きながら行っていくことになると思いますけれども、その際にさらに内容を深めていきたいというふうに思っております。

 それから、二つ目の6ページの(5)の適切な捕獲の推進のところの言葉を補う部分でございますけれども、これは保護管理のインセンティブを高めるというような観点からこういうことをやっていかなきゃいけないというふうに私ども思っておりますので、書きぶりについてはまたちょっと検討させていただきたいと思っております。

【岩槻委員長】 どうぞ、石井委員。

【石井委員】 3ページのところの2ページの下から3ページ目でしたか、ここに書いてあることは読んで一応認識はしているんですけど、これを読むと、何か非常に抽象的な、つまりこういうタイプの哺乳類についてはこういう管理を、例えば希少性が高いものについてはこういう管理をしなさいというような、何か一般的なことを指針として出すという、そこまでかなと思ったんですね。そうじゃなくて、クマだったらどこどこの極端に言うと西中国の地域個体群についてはリストにも載っていることだしとか、もうちょっと具体的な種を特定した、地域を特定したような話がどこかであるといいかなと思ったので、ここに書いてあることだけではそこまではカバーされないかなというので、先ほどのような意見を言いました。

【岩槻委員長】 中澤補佐、どうぞ。

【事務局(中澤)】 今、石井委員からご指摘いただいた内容については、まさに4ページの2の(2)のイ、「広域的及び地域的な連携」のところで一番最後のパラグラフでございますけれども、また都道府県等における効果的な鳥獣の保護管理を支援するために国は広域的に保護管理すべき地域個体群について、その範囲及び保護管理の方向性を指針などにより提示するといったことで対応していきたいと思っております。

【岩槻委員長】 よろしいですか。

 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 そこのところへいっているので、つまり広域的な保護管理計画の策定で、これも特定計画導入の際に非常にやっぱり一番大きな問題点だったわけですね。それで今回の場合はこの点について私自身も地域個体群というのは、一体どういう輪郭を持っているのか。現状の科学的な知見の中でも分布情報や、それから資料によっては遺伝的な情報なんかが今盛んに分析されているということを積極的に集約しつつ、地域個体群の輪郭というのは関連していくべきだという立場ですね。それでそのほかに国の役割としてはモニタリング手法を提示するといったようなことなんですが、それで今回の場合は、これは広域のことについては基本指針を提示するということなんですが、その実態ということになりますと、これは協議会等になっていくわけですね。協議会等というのは果たして管理主体になり得るかどうかという問題と、結局は統合的な計画で各県が分担するという役割で(2)の指針の内容になるかと思うんですが、それで例えばカワウの問題ですね。これは一種のババ抜きみたいなもんでして、なるべく被害は他府県にという格好ですから、これは全体として保護の統合的な計画というのが、一体できるのかどうなのかという問題があるわけですね。そういう点で果たして指針だけでいけるかどうかという、もう一歩踏み込む必要があるというのが私自身のこれも要望でありますけれども。

【岩槻委員長】 事務局の方から何か。

【事務局(鳥居)】 今、カワウの例が出ましたけれども、関東の一都十県のカワウの協議会におきましては、一応広域保護管理指針を関係都道府県や漁組の方もまじえて、あるいは保護団体の方も入ってもらって、ご承知のようにつくっております。そういうものをどうやってオーソライズをしていくのかということがご指摘の趣旨かと思うんですけれども、それをできるだけ高い位置づけをもって各都道府県にそれにのっとって実際に保護管理をしていただくということについて、そういう方向に行くように私ども今後考えていきたいというふうに思っています。

【岩槻委員長】 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 科学的、計画的な例えばウの個体群の管理ということになりますと、捕獲のみによる対応では不十分だと言っているのはまさにそのとおりでありまして、保護で管理をしておくということになると、やっぱり繁殖地が幾つかに分散するということが条件でありますし、全体のこれは地域個体群のサイズが妥当かどうかという問題がありますし、一方で捕獲するという選択肢もありますけれども、卵等のコントロールを通じての個体数の調整なんかもあり得るわけです。個体群サイズの適正化への導入なんてということがあり得るわけですね。そういうことを考えると、これは何といいますか、幾つか、カワウだと非常に広い都道府県の、これはやっぱり実働的な参加というのか、これが保証されないと統合的な計画というのはなかなか無理なんだろうというふうに、それが協議会程度のレベルで可能かどうか。もし可能であれば私はそれで構わないのですが、もうちょっと踏み込むべき環境省の役割というのが、姿勢が出てもいいんではないかなというのが前からの私の希望であります。

【岩槻委員長】 三浦委員、もう一歩踏み込んで、協議会という表現が満足されないなら、どういうふうな表現になったらご満足なのでしょうか。

【三浦委員】 やっぱりそれは、鳥獣保護管理計画という複数の都道府県をまたいだ広域計画制度ということになるんだろうと思うんです。ここはやっぱり主体としては環境省があってもいいので、それは分権にはだめなんですか。よくわかりませんが。

【岩槻委員長】 鳥居補佐、どうぞ。

【事務局(鳥居)】 先ほど私が申しましたのは、広域保護管理指針につきまして、できるだけオーソライズ度を高めていきたいと申しましたけれども、今考えておりますのは、基本指針の中にそういうものを位置づけられないかというふうに思っております。ただ位置づけ方につきましては、広域保護管理指針は、かなり細かいことも書いてありますので、全部を基本指針に位置づけられるかどうかとか、その辺ちょっと事務的なことも含めまして今いろいろ考え方を検討、整理しているところでございます。ただ先ほど申しましたように、私どもの方としてもできるだけ基本指針ぐらいに内容をエッセンスを位置づけて、各都道府県でそれにのっとった保護管理をしていただけるようにしていきたいというふうに思っております。

【南川自然環境局長】 全体の整理として私どもできるだけ基本指針で、いわば広域的な保護管理の方法がわかるようにしたいと思っております。制度論としては、今回の整理の中で、例えば輸入鳥の問題など、これはまさしく貿易マターですから、都道府県というよりは国でしょうから、国が責任を持って証明書を出すような形を仕組みたいと思っていますけれども、特定計画は都道府県の方に権限として法律上付与していますので、それをまたある意味で国が吸い上げるというのは仕組みにくいというのが、実は制度を設計するときのある程度の縛りがあります。ですから、現状の地方に下ろしたものは地方できちんとやってもらうという前提の中で、当然ひどいものについては調整がいりますし、私どもとしても単に無責任に協議会をつくったらということで投げるだけじゃなくて、その基本指針である程度明記した上で広域的な調整が行えるような形を私どもも、何らかの形でそこに入って関係都道府県と一緒にやっていきたいという気持ちです。

 【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。

 三浦委員、よろしいでしょうか。

 それではそのほかのご発言はいかがでしょうか。

 市田委員、どうぞ。

【市田委員】 小さな質問が一つあって、それに関連して申し上げたいことがあるんですけど、5ページの真ん中辺にモニタリングの必要性ということでいろんな調査が書いてあるんですけれども、そこの中でシギ・チドリ類のところだけ括弧がないんですね。ほかの調査に比べると僕は一番しっかりしているのはここの調査だと思うんですけれども、これは何か意味があるのですか。

【事務局(中澤)】 もともとシギ・チドリ調査の固有名詞であったのですが、今モニタリングサイト1000の中で実施しておりまして、固有名詞としてのシギ・チドリ調査というのはないものですから、こういう形になったものです。

【市田委員】 わかりました。

【岩槻委員長】 よろしいですか。

【市田委員】 じゃあそれに関連して。

 イノシシだとか、カワウだとかという幾つかの種類がいろんな問題を起こすということがあって被害の問題が非常にクローズアップされるんですけれども、鳥獣全体としてみれば、ご存じのようにすごく減っちゃっているわけですよね。とりわけ小鳥類なんかについてはものすごく今減っちゃっているのに、実はそれを把握する方法がこれもう30年ぐらい前から言っていてまだないわけですね。ここに書いてある自然環境保全基礎調査の中に実はその鳥が入っていて、小鳥類を含めて増減がわかる仕組みになっているんですけれども、5年ごとに調べていくということが実際問題としては予算の関係やなんかでできなくて、7、8年にやったのの次やられたのが20数年後にようやくできたという、そういう状態なんですね。ですから増減がわからないのですけれども、野外で見ている限りには本当に恐ろしいぐらいに鳥や何かがいなくなってしまっている。それをやっぱりある程度はっきりつかんでおく必要があると思うんですね。そうじゃないとふえて被害を起こしたというところばかりに鳥獣の問題の焦点がいってしまうという心配があります。

 それはもちろん予算が取れていろんな調査をきちんとやってくださればそれが一番いいのでしょうけれども、ただ、予算が現状の中でも、今やっている調査を工夫することによって、かなりいろいろことがわかるはずなんですね。そのこともいろいろ言われてきているけど、やっぱりここに書いてある継続という方に重きがいってしまって継続がされてしまっているということがあるので、多分この辺で、例えばガンカモ一斉調査なんかでも、あれずっと見てくれば調べている数が毎年毎年ふえていってしまうわけですよね。それは結構なことでみんなが協力してくれるわけだから結構なことなんですけれども、結果として分析ができなくなっちゃうわけですよね。だとすればこのシギ・チドリ調査でやっているように上位の100カ所は必ず調べることにしておいて、そこ以外ももちろんやっていただいて結構なんでしょうけれども、その100カ所についてはきちっと毎回やっていけば全国のガンカモの数がわからなくても傾向がつかめるだろうということを思うんですね。しかも実際に調べに行くと、同じ場所で、例えば同じ川の河口であっても、いつも調べているところにいなくてそうじゃないところにいっぱいいるとそっちを調べちゃうんですけれども、そうじゃなくて、やっぱり調べるところも全部決めておけばかなり比較に耐えるデータが取れるはずだし、それ以外にもバンディングの仕組みだとか、いろいろなことを使ってやれることが僕はあると思うんですね。ですからこれはこの文章の中には出てこないんだと思いますけれども、実施の段階というか、中でぜひ検討、具体化してほしいなと思いますけれども。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。

 何か。課長どうぞ。

【名執野生生物課長】 今、市田委員のご指摘の点に答えるものが、多分一環になり得るのがモニタリングサイト1000だと思います。特に先ほどシギ・チドリの調査のお話もしましたけれども、このモニタリングサイト1000というのは固定的なサイトで継続的にデータを収集していこうという、蓄積していこうというのを目的にしておりまして、例えばシギ・チドリ調査だと干潟109カ所で、そのうち45カ所についてはコアサイトでやっていくとか。あるいはガンカモについては基本調査地として湖沼なんか53の場所、ここではきっちりと押さえていこうというようなことを始めたところということでご紹介させていただきます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。

【南川自然環境局長】 小型鳥類の減少原因について、市田委員としては、どのようなご見解をお持ちでしょうか。

 

【市田委員】 説は二つあります。一つは繁殖地、例えばサンコウチョウなんかも埼玉で1970年ぐらいに110つがいぐらい東村山のあたりにいたものが、94年にゼロになっちゃうんですね。そこの森がどのぐらい減っているかというと、森は2割弱減ったぐらいで大体残っている。それなのに鳥が全然いないんです。それで最初に言われたのは、それらが越冬している東南アジアの森がなくなったんじゃないかと。実際にそれはあると思いますけれども、ただ最近言われてきているのは、それだけじゃなくて森はちゃんとしているんですけれども、例えばそこに虫がいません。これ本当にいません。昔は朝方の鳥を見たいと思って、5月の初めとか6月に山に夜中に登るんですね。それで朝を待って鳥の声を聞いたりするんですけれども、そのときには街灯にいっぱい虫がいたものですけれども、今は高尾山行ってもどこ行ってもいなくはないですけど、ほとんどいないです。だから多分何かのことが日本の森の中にでも起こっている。それは環境ホルモンだという人もいますし、いろんな説がありますけれども、多分両方だと思います。

【岩槻委員長】 よろしいですか。

 それでは磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 二つ質問と一つ感想みたいなことを申し上げます。先ほど来1ページの初めのところの記述が話題になっていますけど、下から2番目のパラグラフで、自然科学的な観点からの対応と社会科学的な観点からの対応とあるんですけど、自然科学的な観点からの対応というのはわかるんですけど、社会科学的観点からの対応を一層進めると書いてあるのですけど、これは本文のどこかに反映しているのでしょうか。自然科学的な方は、もっといろんな調査をしてデータを集めて自然科学的な知見をもっと詳しくしようということで、それは当然ですしよくわかるのですけど、社会科学的な知見の方は、ちょっと嫌味を申すようですが、社会科学と言えるほどのものがこのあとの方に何かあるのか。何を想定しておられるのかをちょっと伺ってみたいと思います。

 それから2ページの「国における取組」のところで、「さらに」から始まるパラグラフで、海棲哺乳類のことが書かれています。これは鳥獣保護法の適用除外とされているけれど、適切な保護管理が図られるようにやる必要があると、国における取組のところに書いてあるということは、これは法律の中に入れるようにするという話なんでしょうか。それともそういう条件はまだ整備されていないけれど、その範囲内で精一杯何とかやろうということなんだろうか。ここで何を言おうとされているのかがいま一つわかりにくいという感じがしましたので、以上、二つ質問です。

 それから全体の印象としては、これは非常にまんべんなく網羅的に論点を拾われて書かれているわけです。だから読み進むうちにどんどん興奮してくるというような感じの文章ではないけれど、こうなのだろうなという文章としてまとまっていると思います。しかし、これは言わずもがなのことなのかもしれないけれど、この文章の名あて人といいますか、だれに読ませようとして、何をアピールしようとしているのかというところがちょっと弱いという印象があるわけですね。それは確かに難しいのだろうとは思うのですが、この小委員会として、形式的な話として誰に答申するのかという話ではなくて、要するにこれは、国として、環境省としてこれでやるぞというスタンスの宣言なのだろうか。都道府県や市町村の関係者担当者に読んでもらって、頑張ってもらいたいんだという一種の宣言なのか。文中には地域が一体になって頑張れと書いてあるところもあるわけですよね。4ページの下から5ページにかけては、地域に根付いた取組が必要である、地域が一体となって生ごみやなんかを除去するとか書いてありますが、この場合の「地域」というのは、行政ではなくて、地域住民ということですよね。集落とか地域住民に頑張れというわけですけれど、そのために市町村や都道府県はこれを支援する体制づくりを進めるとあるんですけど、それでは実際にはどういうことをやるのか。市町村や都道府県がその地域を支援するために、環境省としては何をしようとするのかというようなことを考えると、何かちょっと漠然としてしまって、ちょっと意地悪に読めば、単にかけ声がかかっているだけのようにも読めるわけです。といってこれ一々具体的に書くというのは大変なことだなということはよく承知しているんですけど、そういう箇所があちらこちらにあるもんだから、何か全体として、ちょっとぼやけちゃうような印象を感じた次第です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。関連して。

【佐々木委員】 関連してまさにそうだなと思いますが、中身はまずそれでいいんだろうと思います。先ほどの議論のとおりなんで、ただ、いつもなんで役所の文章というのはまさに素晴らしいものができているんですが、長過ぎると思います。半分ぐらいにしたらどうでしょう。環境省の皆さん方本当に立派な文章で何も落ち度がないんです。まさにこのとおりなんです。だけども、実際に地方自治体の県の職員がどの辺まで読むかなとすごい心配します。そういう意味で、できるならばもっとわかりやすく、あるいはだれが見てもああなるほどなと思うような、そういう文章にしていただければ大変ありがたいと、例えば半分ぐらいのページにしてもらえればすこぶる感激して読むんじゃないでしょうか。

 以上です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。

 じゃあまとめて、まだ大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 今の磯部先生がおっしゃった支援こと、私もちょっと気にしてたんですが、3ページのウのところもやっぱり市町村が都道府県から権限を委譲された場合の体制整備について、あるいは国や都道府県からの適切な支援と、ここも具体的に何をお考えになっているのかなというのがちょっと気になるんですけれども、ぼかしておきたいということもあるかもしれませんので、余りお伺いしていいのかどうかちょっとわかりませんが、かなり抽象的な話になっている可能性もあるので、ちょっとお伺いしておきたいところです。

 それからモニタリングの重要性について、あちこちにちりばめられていて大変結構だと思っていますけれども、先ほどのモニタリングサイト1000なんかについても、これは資金的にはどこが出していて、今後どういうふうになるのか。あるいはそれについて何か考え方を示す必要があるのかというあたりもちょっと気になるところでございますので、お答えいただけるとありがたいと思います。

 全体的には私は非常に網羅的に、頑張ってお書きになっているというふうに思って評価をしております。

【岩槻委員長】 幾つかありますけれども、順番にお願いします。

【事務局(鳥居)】 まず磯部委員からの2点のご質問、それから1点目のご質問は多分ご意見とも十分かかわってくると思うんですけれども、社会科学的なところからのアプローチというところです。ご指摘のとおり、ここはなかなか私どもも難しいところでございます。特に地方分権というところで、国が地域の問題にどこまでかかわれるのかというのが常にかかわってくるのかなというふうに思います。対応といたしましては、いろいろなところにちりばめられております連携というのが、一つのキーワードであると思います。今現場でのやはり人口減少だとか、高齢化が鳥獣とのまさに接点の中で人間の活動が弱くなることによって、鳥獣の方が山から里に出てきているというせめぎ合いみたいな部分がございますけれども、そこをまたどういうふうに人間の活動を回復していって、適切な住み分けをしていくのかというようなところかと思います。そういう中で、国や地方自治体、それから地域住民、いろんな役割がありますので、そこの役割を明確化した上で分担、連携をして、今特に顕著に出ておりますのはそういう被害問題というのがありますけれども、そういう問題に対応していく必要があるのかなと。具体的な対応ということになりますと、どうしても間接的になってしまうかもしれませんけれども、優良事例を情報提供していくとか、あるいは鳥獣保護員、あるいは県の職員の研修というものをやっていくとか、そういうことで現場での対応が少しでもうまくいくような仕組みづくりをつくっていきたいというふうに思っています。

 それから二つ目のご質問にありました海棲哺乳類なんですけれども、これは14年の改正の際に、ご承知のように片仮名をひらがな法にする際に鳥獣というものを定義をさせていただきました。鳥獣というものは鳥類と哺乳類とこういうふうにした結果、海棲哺乳類みたいなものも入ってくるわけですけれども、この部分を80条におきまして、他の法令において適切に管理されているものについては適用を除外しますという一文で、クジラだとかイルカだとか、一部鰭脚類みたいなのも適用除外になってございますけれども、それらにつきましては、科学的な情報を環境省としてもできる範囲でキャッチをして、生息状況等につきまして把握をした上で、必要に応じて適切な管理というものが図られるように、場合によっては水産庁とかと協議をしていくということもあろうかと思います。そういうことを想定しているんで、特にすぐに制度で今どうという状況にあるというふうには考えておりませんけれども、そういう常にアンテナは張っていく必要があるというふうに思っております。

 それから、あとだれに対するアピールかということにつきましてですけれども、これはやっぱり鳥獣を管理している、平たく言えばすべての主体に対してこういうふうにやっていこうと。その中で当然環境省としてできることをやっていくという思いがございます。

 それから佐々木委員からの長過ぎるというご指摘ですがこれでもかなり短くしたと思っているんですけれども、やはりでもできるだけシャープに言いたいことが伝わるように引き続きちょっと検討はしてみたいというふうに思います。ただ、都道府県の方も非常に関心を持っておりますので、できるだけ我々の思いを端的にシャープに伝えるように努力したいというふうに思います。

 それから、大塚委員からのモニタリングサイト1000につきましてですけれども、これは自然環境保全基礎調査の中で環境省の方で予算を取りまして、都道府県を通じてだとか、いろんな団体、鳥類の団体と協力して、これは目標といたしましては全国に1,000カ所のモニタリングサイトを設けて、そこで全部に共通するような事項だとか、それぞれのサイトごとに特徴を持った自然環境の情報をキャッチしていって、何か異変があったときには対応できるようなことを考えていきましょうということで、まだ1,000カ所選びきれてございません。順次、今選んでいるところでございます。

 【岩槻委員長】 局長からもどうぞ。

【南川自然環境局長】 そうしますと、基本的には私ども要するに環境省は世の中に対して、これで法律改正なり政令改正なり省令改正なり基本指針を変えるぞということでございます。ただし物によりまして、例えば餌付けの問題とか、実際に地方公共団体が条例で禁止をされていますし、恐らくこういう問題というのは法律よりは条例になじむのだろうと思います。そういう意味では、ぜひ自治体の方にも読んでいただいて、要するに安易な餌付けが非常に混乱のもとになっていますので、そういったこともやってもらうようなことも期待をしておるということでございます。実は私に上がってくるときにはもっと長かったのですけれども、かなりこれでも短くしたつもりでございまして、そこはぜひいろいろ書きたいことがあるものですから、ご容赦いただきたいと思いますし、実際問題、餌付けの問題とか、感染症の問題とか、改正には出てくる話ではないのですけれども、やはり鳥インフルエンザの問題なども随分指摘されるものですから、この時期に検討して、全くコメントしないわけにいかず、そこはぜひご理解を賜りたいと思っております。

 あとは磯部さん最初に言われた、社会科学の科学ってなんだということについては、ちょっと自然科学との対句で使ったものですから、科学という言葉が適切かどうかはちょっと考えさせてください。

 以上でございます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。

 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 すみません。意見ばかり言って。

 一つ残されている問題が書き込みがよくわからないんでありますけれども、これは特定計画のやはり宿題だったと思うんですが、特定計画制度そのもの自体は、今の被害問題の状況に対して鳥獣行政だけでの対応というのは限度があると。これは被害防除も含めて特定計画制度の中身にそれ自体に鳥獣行政部局、それから農林水産行政部局、それから記念物等を入れて、これは検討会や連絡協議会をつくって、それでよりよいものをよりよい計画をつくれということになっているんですが、この会の第1回目のときに、これからの被害防除の対応として環境部局の書き込みが弱いんではないかという指摘がありました。私も各県の検討会等出ていますと、農林部局の方は鳥獣部局がちょっと捕獲数が足んないといったようなことで、被害者の感情といいますか、被害レベルで被害防除に対して積極的に対応していくという姿勢がやはりちょっと弱いし、これはやっぱり特定計画として被害防除を科学的、計画的に進めていくという書き込みとしては、これはだから検討会をつくれというだけでいいかどうかという問題があるわけですね。そこのところの今回のここの中に、具体的には現状の被害問題の増加という言葉があるんですが、これをだから鳥獣部局だけでいいか。それから特定計画の制度的な側面として検討会だけでいいかといったようなところももうちょっと積極的に踏み込む書き方というのもあってもいいんではないかなというふうに思います。

【岩槻委員長】 事務局から何か。中澤さん、どうぞ。

【事務局(中澤)】 ご指摘の点で特定計画2項目の(2)「特定計画の実施に係る関係主体の連携」のところで、基本的には記述しており、例えば関係主体がきちんと連携しなさいということで書いております。ただし、実施段階での取り組みとか、そういうことも含めて検討させて頂きます。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。

 亀若委員、どうぞ。

【亀若委員】 先ほど私ちょっと文章論的に申し上げたんでわかりにくかったんかもしれないんですけど、まさに今三浦委員がおっしゃられたように、この対策をやっていくときに、問題点なり現状からこうだと言っている中身として、4ページなら4ページの上から4行目のさらに云々というところで、特定計画をより効果的に実施するために計画の進行管理だとかと、こういうことを書かれていますよね。これが単にここで指摘されていると、これはまさにこのパラグラフ全体として指摘されているという書き方でもいいんだけれども、この具体的な中身として、これはむしろ2の方におりてくるべきじゃないでしょうかという、そういう趣旨で実は申し上げております。それはその前のときの、前のパラグラフの重要であるとかということでも、今後こういうことが重要であると言っているのは、それはむしろ対策でしょうねということを申し上げているんですよと。今のと大体同じような趣旨でございます。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか、今のご発言の趣旨は。

 大体皆さんご発言いただきましたし、そろそろ時間なんですけれども、じゃあ三浦委員から。

【三浦委員】 これでパブコメに入っていくわけですね。この全体の作文のトーンは私は分布域を増加し、それから今農林業の場が大きく変わりつつあって、それで例えば耕作放棄地が5年間で、新潟県と同じぐらいずつ起きているといったようなことで、これはやっぱり一種のパラダイムシフトの時代ですというふうに私は思うわけですね。主要な鳥獣、特に大型が温暖化とともに死亡率の低下ということで、非常に大幅に増加してくる中で、分権でそれで特定計画をつくり出した。特定計画をつくり出したことはこの間の6年ぐらい、それなりに対応できた制度だったというふうに思うんですが、この加速度的に進行する中で、検討されるべき課題は、例えば場の問題であったり、それからハンターの減少の問題であったり、それから被害問題の対応だったりというふうに、これで次の10次の5年ということを射程に、あるいはそれに伴う法律改正ということになるんですが、果たして大丈夫かなという危惧を非常にしております。

【岩槻委員長】 もう少し具体的に、この骨子に何かを。

【三浦委員】 今言うべきことではなかったのですが、もう少し問題点の抽出がこれで妥当だったかどうかというところがあるんではないかなというふうに思うわけです。

【岩槻委員長】 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 よくこういう報告書をつくるときに今回多分非常にまとまっていて、大変結構だと思っているんですけど、一方で、何か将来の課題として残しておくべきものが残っているのであれば、最後に少しつけておいてその方向性を一応ある程度位置づけておくということが考えられると思うんですけれども、今、三浦委員がおっしゃったような場の反転の問題とか、ハンターの減少もあると思いますし、あるいは例えばこれも分権の推進との関係でなかなか難しかったかもしれませんけど、鳥獣保護管理について鳥獣保護員の必置の問題とか、なくはないと思うんですけれども、何を書き込めるかというのはまさに大問題だと思うので、今こんな終わりのころに言って申しわけないと思っているので、ちょっと話半分に聞いておいていただいてもいいんですけれども、残された課題ももしあるのであれば、何かつけておくと将来の方向性をある程度見きわめることができるかなというふうに思っております。

【岩槻委員長】 それは、そういう形で議論をまとめていない。いろいろご発言をいただいたんですけれども。

【大塚委員】 希望としてはだから最後、第5回ですか。

【岩槻委員長】 第5回のときにまたコメントをつけるとかいうことを議論していただくということはあり得るかと思いますけど。

 亀若委員、どうぞ。

【亀若委員】 細かいところで3点ばかり、7ページ、この「鳥獣保護員の機能の充実・強化」、これは非常に重要な事柄だろうと思っております。いわゆる従来の狩猟の取り締まりに加えてということで、こういう事柄をやっていく必要があるということが書かれているんですが、その中で地域のアドバイザーとしての専門的な指導というのが、具体的には何を意図されているのか。まだそこまではというのがあるのかどうか。ちょっとその辺を伺っておきたいなというのが1点。

 それから9ページの(2)、このわなの問題です。これは今回こういう形で分けるという形の方向が出されておりますので、これも大変結構なことだと思うんですが、ちょっと気になるのは、わな猟についての専門性の向上を図るということが結語になっているのですが、これはそういうことは多分ないと思うんですが、難しくならないようにという、これは要望なんです。むしろ島根なんかでもお話を伺って、特区としてこれをやって、受験者もふえているという、そういう前向きにこれとらえておられるところもあるもんですから、そういう面で余り専門性でまた難しくなるといかんなと。文章として適正な普及とも書けないし、下の方に「適正化」という言葉が入っているんですが、そのことともちょっと違うし、余り誤解がないようにしていただきたいというのが私の趣旨ではあるんです。

 それからもう一つ一番最後、これはむしろ佐々木委員にお伺いしたいんですけれども、鉛製の散弾の話なんですけれども、これは前に埼玉国体のとき大変問題になったことがあります。鉛製でなぜなければならないのかというのが常々疑問を持っておるんですけれども、これは競技だとかというのはプレ競技なんかは過去の記録との関係があってわかるんですが、鉄弾、鉄の弾にということはこれは不可能なものなのかどうか。その辺もし佐々木委員で何かご意見でもお持ちであれば教えていただきたいなという、以上です。

【岩槻委員長】 それじゃあ最初の二つ、三つ目も事務局からも返事を返していただいていいんですが、

【事務局(中澤)】 まず1点目、鳥獣保護員の活動ですけれども、現段階でアドバイザーとしての活動というのは、まだそれほど実績がないと聞いております。ただし、これまで狩猟の取り締まりが中心であったものが、地域的な鳥獣保護管理と、現場での専門家として、鳥獣保護員の知見を生かしていただいてきたいと。そういった要請がございます。ですからそれに対応した取り組みを進めていく必要があるのではないかということがまず1点目でございます。

 それから2点目の専門性の向上でございます。網、わなを分けることによって、それぞれ書いてございますように、対象とする狩猟鳥獣ですとか、必要な技術や知識を持つことなど。それに沿ってそれぞれの専門的な試験を行っていく。それが難しくなることと同じかどうかというのはまた別な話かもしれませんけれども、ただし専門性を高めるということの中で、この方向性を考えていきたいと思っております。

 【亀若委員】 変えることに何か問題がいろいろあるんでしょうかと。

【岩槻委員長】 佐々木委員、お願いします。

【佐々木委員】 今、ご質問ですので、私ども団体は基本的には鉛弾の水辺周辺を禁止、全面禁止しようということで考えております。これは世界的な趨勢ですので、当然先進国としてやるべきものだろうと思っております。先般、我々で北欧3国を調査をいたしまして、スウェーデンがちょっと平成8年には全面禁止になるということで、他の国によっては鉛弾について多少ニュアンスが違います。例えば森林、ノルウェーに行きますと逆に鉄弾はだめですと。森林では撃てないと。それは何かというと、材木に鉄が入りますと製材のときに逆に歯を壊して、一つ1億円ぐらいするそうですが、それは禁止すると。逆になっています。そういういろいろな国によって違いますけれども、基本的には水辺周辺についてはアメリカはもちろんですが、先進国はすべて禁止あるいは禁止しようとしておるわけでございまして、私どももそれに向けて努力をしたいと思っております。ただこれは今せっかく出たものですから、今回この中に出ておりますが、平成13、4年ですか、この水辺周辺の一部禁止しようということで、法律で定められまして、地方自治体が何カ所かこれを指定したんで、その後一向に進まないんですね。私どもいろんな意味で何とかこれをしようと思っております。ただ地方自治体が余り乗ってこないというか、やる気がないというか、私はぜひせめて3割とか、そのぐらいまで指導していただきたい。そうしますと一気にこの水辺周辺は全部禁止になります。その辺を逆にお願いしたいと思っております。

 今、なぜ鉛弾なのか。あるいはなぜ代替弾がだめなのかという問題がありますけれども、今、いろんな代替弾について、かわりの弾について開発されておりまして、スチール弾もいろいろなことがあります。そういう意味で、前は一部非常に銃身を壊すというようなことがあって心配されたんですが、そういう心配はほとんど今ないのではないかと思います。そういうことで大分前になりますけど、何発か会員に撃たした経緯がございますが、鉄砲が壊れたということもないですし、そう問題ないと。ただ非常に殺傷力が落ちるということだけは言えると思います。そういうことで、半矢なるということはあると思います。ただ、今までそういうハンターの理解も含めて、やはり鉄弾に対する何といいますか、まだやってみないのに反対するというような、そういうイメージがすごい強かったと思いますが、今はそういうことはなくなったと。国民の理解といいますか、その辺も含めてハンターの理解もかなり今でも現実に皆さん代替弾を持って狩猟に行っていますから、そういう意味では余りそう大きな問題にはならないと思いますので、ぜひ環境省の方で今後はこういうことを書かなくてもいいように、水辺周辺はぜひ禁止をして、私どもそれにこたえたいと思っておりますので、県自治体を都道府県自治体をどうかこれだけはやりなさいと、強くでも言っていただければ大変ありがたいと思っております。

 以上です。

【南川自然環境局長】 ありがとうございます。ぜひ我々も指定の促進をうながすようするように努力したいと思います。

 それから亀若さんのあった2点目の件は、これは我々としても免許を分ける理由が一応いりますので、こう書いてあるということでご理解いただければ幸いでございます。

【若槻委員長】 どうもありがとうございます。

 速水委員、どうぞ。

【速水委員】 今、鉛弾の件で、鉛弾に関していろんな問題が起きていることは十分承知しておりますので、鉛弾から鉄弾に変えるのは問題ないんですけど、実際に林業の場合、鉛であるから木材が製品になっていく過程の中で、人工林の中で狩猟されても問題ないという感じがずっとあったわけですね。それが鉄弾に変わってきますと、鉄の質にもよるんですけれども、最近は昔に比べて製材工場が大型化しています。ですから刃物が、昔ののこぎりですと1枚何万円から何十万円で済んだんですけど、先ほどおっしゃられたような物すごい金額の刃物になってきていると。それが鉄が入っていることで、一発にだめになるというのはあることも現実の話でございます。そうなってきますと、山側が鉄弾使った狩猟は山の中では困るよという話が出てくる可能性だって当然あるわけでございます。その辺がどういう質の鉄がいいのかとか、製材業がどういう問題があるのかというのはちゃんと押さえておいてもらわないと困ると。私自身は現実にこの年でありながら第二次大戦の被害をずっと受けておりまして、爆弾が落ちた山が何カ所かあって、その砲弾や鉄が木の中に食い込んでおりまして、製材工場がそれを引くと破片を持って私のところへ来ると、その被害は全部私が保証するという形で今でもまだ被害を受けていまして、それはだれも補償してくれないという状態もございますので、現実にはそういう問題があります。決して非鉛弾の普及を反対するわけじゃないんですけど、十分その辺を考えておいていただかないと思わぬ問題が、人工林の中では発砲は困りますよという話に広がっていきかねないということがあるということです。

【岩槻委員長】 どうぞ、佐々木委員。

【佐々木委員】 もう1点、補足なんですが、自治体が経営する射場がほとんど今、先ほどあったとおり国体もやれないようないろんな問題が出ております。これから2、3年のうちに公営のところは、ほとんど閉鎖せざるを得ない。もしくは改善しなければならないということで、改善するには何億というものがかかるというようなことで、閉鎖ということになります。そこで問題は射撃場なんですが、我々も事故防止、安全というものをいろんな意味で指摘されているものですから、みずから必ず射撃実砲訓練やるということですが、ところが射撃場は鉛しか使えないということで、その辺も非常に難しいんですが、外国はほとんど今射撃場は使えません。鉛弾は使っていません。国体選手、あるいは世界ワールドカップとか、そういう出られる人以外は使えないということになっております。いずれ日本もそういう時代が来るのではないかということで、今のうちから射場協も含めて一緒になってその辺も含めて考えていかなきゃまずいなというように思っております。

 以上です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。いろいろ難しい問題を解決していかないといけないということだと思いますけれども。

 それで多少時間が予定よりも超過しているんですけれども、今の骨子に関してですが、いろいろご発言、ご提案をいただいて、本質的に内容について特にこれはだめというご発見はなかったと思うんですけれども、トーンのあり方とか、それから作文の構成の仕方とか、いろいろそういうコメントをいただきましたので、それをもう一度見直して、それを含めた、きょうの議論を踏まえた案にしてパブリックコメントに出していただいて、それでいろんなコメントをいただいた上で、第5回目に最終的なまとめをさせていただきたいと思うんですけれども。パブリックコメントに出した案というのは、事前にわざわざこれでよろしいかというのはお伺いしないかもしれませんけれども、こういう案でパブリックコメントに出しましたというのは事務局から回していただけますね。そういうふうに扱わせていただきたいと思いますけれども。そういうことでよろしいでしょうか。その修文に関しては委員長に、ご一任いただけたらというふうに思います。

 それでこの件は本日はまとめさせていただきますが、きょうもう一つ初めにありましたように報告を準備していただいているんですが、予定されている時間はもう来てしまいましたんで、ほかにご予定のある方はお立ちになるのもやむを得ないと思いますけれども、もう1件の報告を続けさせていただきたいと思います。よろしくご協力をお願いいたします。

 事務局の方から。

【事務局(大賀)】 それでは、私の方からお手元に冊子としては2冊配付させていただいております。

 これは非常に長いものなので、これはあとでごらんいただくとしまして、裏表に印刷した3枚紙を準備させていただいております。

 これに基づいて簡単にご説明させていただきます。これは社会資本整備事業調整費という経費がございまして、これを使わせていただいて農林水産省と連携をして調査をした結果でございます。

 目的としましては、農山村における鳥獣被害が深刻化している現状を踏まえまして、効果的・効率的な鳥獣被害対策を促進するための事例検証を行い、社会資本整備のあり方を検討していったということで、農水省とそれぞれ役割分担をしながら、実際現地に行きまして、農業をやっていらっしゃる方、それから農業をやっていないけど農村に住んでいらっしゃる方、そういう方々にアンケート調査をやって現状を押さえたものです。

 結果ですけれども、一つはこれは兵庫県をモデルという形で調査をやりました。シカ・イノシシの被害は非常に深刻になってきている。広域的にみると中山間地域で耕作地の放棄だとか、荒地、そういうものが森林に回復をしてきているということで、都市部では確かに開発が進んでいるけれども、一方で森林への回復が進んでいる、そういう、状況あるということ。地域において全体的に捕獲や追い払いなどを あわせて総合的な対策を講じているんですけれども、地域の中で十分に合意形成がなされて、集落、自治会レベルで意思疎通を図って被害対策に臨んでいるところは効果が出てきているという、そういう結果となっております。

 1枚めくっていただきまして、各地域で集落だとか自治会レベルという形になりますけれども、継続的に実施可能な対策を盛り込んだ計画をまずつくっていただくことが重要だろうと。それに従った形で被害防止策、被害対策の実施体制を整備する。または圃場の配置も考えながら社会資本の整備をやっていくということが必要だろうという結果になってございます。

 最後の2枚目の裏と最後のページのところで、社会資本整備の一つの例示ですけれども、考えられるのではないかというようなことで、それぞれ環境省分と農水省分という形で絵をつけさせていただいております。

 一つは、例えば自然公園等の整備を行うというような場合に、山の頂に自然観察施設等をつくってしまいますと、中腹にいる鳥獣をかえって里の方に追い払うような結果にもなりかねないというようなこともございますので、そういう観察施設だとかを設置する場合は、鳥獣は山の奥の方にいていただいてつくった保護管理ステーションのエリアを緩衝地帯として農耕地を守っていくような、そういうことも一つの例として考えられます。

 もう一つは、集落環境の整備ということで、今、耕作放棄地が点在をしており、鳥獣がそこを隠れ家として実際に作づけをしている農地に被害を出している。そういうような状況もあるので、地域の中での合意形成をしてという形にはなりますけれども、耕作放棄地を例えば1カ所に集めて守るべきところをきちっと柵で守る。こういうことも考えていかなければいけないんではないか。こういう農山村の整備をこのように考えていったらいいんではないかというものを調査結果という形で、それぞれにまとめさせていただいております。

 簡単ですけれども、ご報告とさせていただきます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。

 何かご質問かコメントかありますでしょうか。

(なし)

【岩槻委員長】 特に、ご質問とかなければ、これをまた見ておいていただくということで、よろしくお願いいたします。

 それでは、予定されていたことはちょっと時間が超過してしまいましたけれども、これでおしまいですが、最後に事務局から何かご連絡ありますでしょうか。

【事務局(大賀)】 どうもありがとうございました。

 次回の小委員会につきましてですけれども、1月の末に開催をしたいと存じております。詳細につきましてはまた追ってご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

【岩槻委員長】 それでは、これで小委員会を終わりにさせていただきます。

  どうもありがとうございました。

(了)