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中央環境審議会野生生物部会
第2回 鳥獣保護管理小委員会 会議録


1.日時

平成17年11月8日(火)10:00〜15:30 (休憩 12:47〜13:30)

2.場所

経済産業省別館825会議室

3.出席委員

(小委員長) 岩槻 邦男
(委員) 石原 收 磯部 力 市田 則孝  
大塚 直 亀若 誠 佐々木 洋平  
速水 亨 三浦 愼悟
印の委員は午後出席
(環境省) 南川自然環境局長
黒田審議官
瀬戸鳥獣保護業務室長ほか
(ヒアリング関係団体) 千葉県環境生活部自然保護課 課長 近藤 勝
大分県農林水産部森との共生推進室 副主幹 亀井 淳介
滋賀県東近江地域振興局農産普及課 課長補佐 寺本 憲之
九州横井林業株式会社(球磨地域林業研究グループ連絡協議会) 那須 主隆
NPO法人ピッキオ 田中 純平
野生生物保護法制定をめざす全国ネットワーク 世話人 吉田 正人
社団法人大日本猟友会 専務理事 小熊 實
日本鳥獣商組合連合会 理事長 甲羽 良平

4.議事

【事務局(中澤)】 それでは、予定の時刻となりましたので、中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会を開催させていただきたいと存じます。
 本日の出席者数でございますが、中央環境審議会議事運営規則により定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
 なお、午前の関係団体ヒアリングにおきましては、石井委員、磯部委員、大塚委員、岡島委員がご欠席とのご連絡をいただいております。
 それから、事務的な連絡でございますが、きょう、部屋の中が随分暑いことでもありますので、どうぞ上着の方を脱いでいただいて、よろしくお願いします。
 それでは、岩槻委員長に議事の方をよろしくお願いしたいと思います。

【岩槻委員長】 資料の確認は。

【事務局(中澤)】 午後になります。

【岩槻委員長】 よろしいですか。
 それでは、第2回目の鳥獣保護管理小委員会を始めさせていただきます。
 きょうは、午前中に7つの関係団体の方々においでいただいてヒアリングをやるというのと、午後にまた委員会の審議がありますので、委員の方々は長時間になりますけれども、よろしくご協力のほど、お願いいたします。
 それでは、早速ですが、午前中にお願いしている7つの団体を準備された順序に従ってお願いしたいと思いますけれども、最初は地方公共団体の方からということで、1番目は千葉県環境生活部自然保護課の方からのご報告をお願いいたします。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

【参考人(近藤)】 ただいまご紹介いただきました、千葉県環境生活部自然保護課長の近藤と申します。よろしくお願いいたします。
 このたび、中央環境審議会鳥獣保護管理小委員会におきまして千葉県の意見を申し述べる機会をちょうだいしたことに感謝を申し上げます。
 本日、私からは、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関しまして4点、意見を述べさせていただきたいと存じます。
 1点目は、狩猟鳥獣の捕獲総数を都道府県がコントロールできる制度が必要ではないかということでございます。
 狩猟鳥獣は、狩猟期間中に狩猟者登録を行った方により捕獲されます。狩猟鳥獣の中には、ツキノワグマやニホンジカなど、地域的に孤立した個体群として生息している種も含まれております。本県では、クマは生息しておりません。ニホンジカを例にとりまして、具体的にご説明いたします。
 ニホンジカ地域個体群の安定的維持のため、本県において今年度の狩猟期間中に捕獲されるニホンジカの数を県が仮に200頭まで制限したいと考えたときに必要となる規制、これは、まずニホンジカを狩猟対象とする狩猟者の数を制限すること、その上で、その狩猟者が狩猟期間中に捕獲できるニホンジカの数の上限を設定すること、この2点でございます。この2つの規制によりまして、本県のニホンジカが200頭以上捕獲されることが防止できるということでございます。しかしながら、現在の鳥獣保護法では、初めに申し上げた規制、つまりニホンジカを狩猟対象とする狩猟者数の制限制度が存在しておりません。そのため、捕獲数の上限を幾ら厳しく設定したとしても、200頭という種の安定的維持に必要となる捕獲上限を担保することができないというのが現状だと思います。
 本県では、昭和36年以降、ニホンジカの狩猟を禁止しており、その保護を図ってまいりましたが、現在は生息数が増加いたしまして、農林業に多大な被害を発生させるなど人とのあつれきが問題になっております。被害に遭っている地元からは、狩猟禁止措置を解除するよう要望も出ておるところでございます。県としましては、生息数が増加したとはいえ他の地域とは遺伝的に交流のない個体群の安定的な維持の観点から、捕獲数が規制できない狩猟は解禁せず、地元市町村による有害鳥獣捕獲事業とか県による広域的な個体数調整事業によりまして、種の存続と農林業被害の軽減のバランスを図りながら保護管理を進めてまいったところでございます。
 しかしながら、本年4月に公表いたしました特定鳥獣保護管理計画におきましては、現在、約3,000頭生息しているニホンジカを、将来的には1,000頭から1,500頭程度で維持することが目標として掲げられるということでございます。この目標を達成するためには、危険の防止と種の存続に配慮しつつ狩猟を取り入れる時期に来ているとの判断が、この計画によりまして示されました。
 この計画を受けまして、本県といたしましては今年度の狩猟期間中にニホンジカの狩猟を解禁することとなりましたが、先ほどから述べているとおり、ニホンジカを狩猟対象とする狩猟者に限って入猟を制限することができないため、捕獲数の確実な総量規制がないままの解禁となってしまうというような状況でございます。もし、都道府県知事の判断によりまして特定の狩猟鳥獣を捕獲対象とするハンターの数を制限することができる制度があれば、本県においても、ここまで個体数が増加する前に狩猟解禁という手段を選択していたかもしれません。こんなことを考えております。
 平成16年10月に公表されました野生鳥獣保護管理検討会の報告書におきましても、狩猟に関しては次のように記述されております。「狩猟は、………科学的な保護管理の考え方のもとで今後もその役割を果たしていくことが期待される」、また、「地域個体群の維持の観点から、捕獲頭数等の制限が必要な地域もあることから、その地域の保護管理計画の推進に資するよう、狩猟が行われるように検討していくこと」。この報告書の内容も踏まえまして、都道府県知事が狩猟鳥獣の捕獲数をコントロールすることが必要だと認めた場合の規制として、当該鳥獣を狩猟対象とする狩猟者の数を制限する制度が必要であると考えたところでございます。
 2点目でございますが、鳥獣保護区に関する保全事業の必要性について述べさせていただきます。
 本県には、渡り鳥の渡来地として有名な谷津干潟がございます。ここは昭和63年に国指定鳥獣保護区及び特別保護地区に指定され、かつ平成5年にはラムサール条約登録湿地となりました。東京湾左奥部の埋立地に残された干潟で、面積は41ヘクタールございます。周りの環境ですが、周囲はマンション群と住宅地、それから高速道路等で囲まれている地域でございます。周辺は公共下水道が整備されまして、現在、流入する河川はございません。2本の水路で東京湾とつながっておりまして、潮の干満がございます。
 このような谷津干潟において、10年ほど前から管理上の問題が生じております。公共下水道が整備されたことによりまして干潟への淡水の流入がなくなった平成11年ごろからでございますが、海藻の一種でありますアオサが著しく繁茂し始めまして、現在では干潟の全域を覆うような、そのような状況になっております。アオサは薄い膜状の海藻でございますが、それが幾重にも重なって干潟の底を覆ってしまうため、保護対象であるシギ・チドリ類はえさをとることが難しくなっております。ラムサール条約に登録された平成5年と比較いたしまして平成15年度を見てみますと、鳥類の飛来数が9万5,000羽から4万2千羽に激減をしております。さらに、干潟周辺では、この腐ったアオサの悪臭によりまして、夏場は住民からの苦情が絶えません。
 この対策として、環境省ではグリーンワーカー事業やアオサ腐敗防止・除去委託事業を、また習志野市では同様の委託事業や市民ボランティアによる除去作業を行っておるところでございます。しかし、除去作業だけではアオサの繁茂を抑えることができません。これは、やはり原因を究明した上で抜本的な対策を講ずる必要があると感じておるところでございます。このような対策は、現在の財政上あるいは内容的にも、従前の鳥獣保護区管理の概念といいますか、それを超えておると感じておりまして、また、国、地方自治体双方にとっても、非常に対策のとりにくいのが実情でございます。
 また、ラムサール条約登録湿地の増加に伴います綿密な管理を必要とする鳥獣保護区は、今後もますます増加すると考えられます。条約の精神にのっとり湿地の保全における国際的な役割を果たすためにも、国、地方自治体双方が鳥獣保護区の管理に取り組むための制度と財源が必要と考えられます。
 以上が2点目でございまして、3点目でございますが、輸入鳥獣の水際対策制度の拡充の必要性ということでございます。
 メジロ、ホオジロ等の野鳥に関しましては、いまだに違法捕獲、違法飼養が非常に多くございます。これを適宜取り締まってはおるんですが、しかしながら外国産の同種の鳥類については輸入の規制がないために、違法捕獲した国産の野鳥を外国産と偽って販売・飼養するケースが後を絶たないというのが現実でございます。こうしたケースでは鳥に輸入証明書が付されていることがありますが、これは関係団体が任意で発行しているもので、法的な根拠はございません。したがいまして、取り締まりに当たりましては野鳥の外見的特徴による識別が必要となることがあります。これらの鳥類については、環境省、自然保護団体がそれぞれ識別マニュアルを作成しておられますが、数多くの実物や標本を手にとった経験がなければ、正確な識別は難しいのが実情でございます。したがいまして、取り締まりを実効性のあるものにするためには、愛玩目的での輸入を制限することが望ましいと考えます。これが3点目でございます。
 最後に、4点目といたしまして、特定鳥獣保護管理計画の現状と課題について申し上げたいと思います。
 平成11年度の鳥獣保護法改正以来、多くの都道府県がサル、ニホンジカ、イノシシなどを対象といたしました特定鳥獣保護管理計画を策定しております。ご存じのとおり、特定鳥獣保護管理計画の大きな特色は科学性と計画性でございまして、この特徴を担保するのがモニタリングでございます。特定鳥獣保護管理計画の策定に際しまして、県は、その内容について説明責任を果たすことにより多くの県民の方のご理解をいただくよう努めなくてはなりません。そのよりどころとなるのがモニタリングの結果でございます。また、特定鳥獣保護管理計画を策定した後も、実施した施策の効果や結果を把握し、施策の方向性を修正したり調整したりすること、つまりフィードバックシステムを機能させる上でもモニタリングは必要不可欠でございます。
 そのことは実際に特定鳥獣保護管理計画を策定している都道府県も十分に認識はしておりますが、実際問題といたしまして、モニタリングに要する予算を毎年確保していくこと、これは非常に困難な状況であることも事実でございます。野生動物保護管理のための調査研究を行う研究機関あるいは研究者が置かれていない県もまだ多く、委託費が確保できなかった場合にはモニタリングがなされないまま施策が行われてしまうこともあるかもしれません。このような状況で、特定鳥獣保護管理計画の根幹である科学性が大きく揺らいでしまうことになります。
 各都道府県におきましては、なるべく経費をかけずに少しでもモニタリング体制を充実させるため、いろいろ工夫をしていると思います。中でも、狩猟者から情報を得る取り組みは多くの県で実施されております。現在、狩猟者登録を行った狩猟者が鳥獣を捕獲した場合は、狩猟者登録証の裏面に捕獲結果を記載して県に返納するのですけれども、その記載内容は捕獲した鳥獣の種類と数と場所のみとなっております。しかし、それとは別に、各都道府県が保護管理対策に必要と考えた場合には、適宜狩猟者に対しましてデータの提出についてご協力を求めているわけでございます。例えばニホンジカの場合、出猟日ごとの雌雄別捕獲数や出会い数、捕獲した個体の角の形状や妊娠の有無、場合によっては捕獲に使用した猟具の種類などについても報告を求めている例もございます。
 これら狩猟者から得られるデータは各都道府県にとって欠かせないものとなっておりますが、実際には、これらはあくまで狩猟者に対して協力をお願いしているものでございまして、狩猟者はこれに協力する義務はございません。本県におきましても、毎年、キツネやヤマドリといった比較的生息数の少ない狩猟鳥獣の生息動向を図る指標とするために出会い調査を行っておるところでございますが、アンケートの回収率はよくて70%程度でございます。
 そこで、第1点目に申し上げましたことと共通いたしますが、今後は狩猟も保護管理の一環として位置づけるとともに、各都道府県が特定鳥獣保護管理計画を策定するなど、特に重点的に保護管理対策を行っていかなければならない鳥獣に関しましては、狩猟者登録証の裏面で報告することが義務づけられている事項以外についても、必要に応じて狩猟者から報告を義務づけられるようにしていただきたいと考えているところでございます。そして、狩猟制度が保護管理対策に資するものとなるようにご検討いただければ幸いと思うところでございます。
 これによりまして狩猟者への負担が増加するという点においては、反対のご意見もあろうかとは存じます。しかし、狩猟者が保護管理に果たす役割が大きくなり狩猟の存在価値が高まるというようなものと考えますので、ぜひご理解をいただきまして、このようなことが行われるようにお願いするものでございます。
 大変長くなりましたが、以上でございます。ご清聴、ありがとうございました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの千葉県からのレポート、4つに整理してご報告をいただきましたけれども、何かご質問がありましたら、どなたからでも、どの問題からでも、どうぞご発言ください。

【南川自然環境局長】 
 谷津干潟でアオサが繁茂して全域を覆っているということなのですが、これは夏になると相当悪臭が出たりとか、いろいろトラブルが起こっているのでしょうか。

【参考人(近藤)】 先ほども申し上げたように、周りがマンションあるいは住宅で囲まれているものですから、やはり夏になりますと腐ってきますので相当悪臭が強くて、周りの住民の方からは相当苦情が来ております。そういう状況でございます。

【南川自然環境局長】 飛来数が10年間で約半減したということですけれども、やはり地元の愛好家なんかの方から見たら、アオサが繁茂したことが減少の原因じゃないかというようなことで意見は同じなんでしょうか。

【参考人(近藤)】 そのような、必ずしもアオサが繁茂したためにシギ・チドリ等が激減したということだけでは原因はないと思うんですけれども。その辺の確かなところは、なぜ減ったかということについては、ちょっと私もはっきり申し上げられなくて恐縮なのですけれども。アオサが原因だというだけではないと思います。

【南川自然環境局長】 もともと、淡水の流入は、下水道の排水だけですよね。あとは両方の端っこに通路があって潮が来るということは平成5年以前も同じだったと思うのですが、平成5年以降で特に変わったのでしょうか。

【参考人(近藤)】 先ほども申し上げましたけれども、公共下水の整備が進みますと、例えば道路にたまった水もすべて下水に入るような形になってくるということで、そういった意味からしますと、いわゆる汽水域といいますか、淡水が入らないことによってふえてきたのじゃなかろうかというようなことは思われるんですけれども、それがはっきりしたものかどうかというのは、これからまた、環境省さんとも相談しながら進めてまいりたいと思います。

【岩槻委員長】 市田委員、どうぞ。

【市田委員】 今のご発言に関連するんですけれども、多分、鳥の関係者はみんなはっきり理由がわかっていてというか理解をしていて、要するに今まで入ってきた下水が入らなくなった、下水道を通ってほかへ行ってしまうと、そこに大きな問題があるとみんな考えているんですね。県の方は、これから調査ということでソフトにおっしゃいましたけど、理由はかなりはっきりわかっていて、ですから、問題はこれをどうするかと、議論じゃなくてどうするかということに、もうかかっていると思います。
 そこで県の方にお尋ねしたいんですけれども、国や自治体が管理に取り組むための財源が必要であるということをおっしゃっていましたけど、具体的に何か、それの提案みたいなことはあるのですか。

【岩槻委員長】 千葉県、どうぞお願いします。

【参考人(近藤)】 今考えられるのは、委員がおっしゃられたように、淡水が入らなくなったためにそういう状況が起こっているのではないかということが1つございまして、それで環境省さんとも相談をしながら、どういった形で淡水を導入していったらいいのか、それと、淡水を導入した場合に本当にアオサが減っていくのか、その辺について調査をした上で淡水の導入を。今考えているのは、下水道の終末処理水を引っ張ってきて入れるとか、そういったことも考えております。
 ただ、これもやはり、予算のことを申し上げて恐縮なんですが、下水道の処理水を谷津まで持ってくるというのは相当の長さがございまして、金額的にもお金が相当かかるんじゃないかという難題が、ちょっとございます。

【岩槻委員長】 どうぞ。

【市田委員】 すみません、ちょっとお尋ねの仕方が悪かったと思うんですけれども。谷津干潟の場合はどうしたらいいのかというのは、もう既に幾つか提言が出ていると思いますけれども、谷津干潟に限らず、この保護区の管理のための財源をどうするかということは大きな問題だと思うんですけど、その財源のあり方について、何か県の方でお考えがありますかと聞いたつもりだったんです。

【岩槻委員長】 千葉県、お願いできますか。

【参考人(近藤)】 これは、残念ながら今の千葉県の財政状況、どこの県も、国も同じなんですけれども、非常に悪うございまして、なかなか谷津干潟に相当のお金をつぎ込むというような状況には、はっきり申し上げまして、ございません。そういうことでございます。

【南川自然環境局長】 谷津の場合、もともとは生活排水が入っていたわけですね。そうすると、下水道が普及したから谷津干潟に水が入らなくなったということですね。

【佐々木委員】 ちょっと1点。

【岩槻委員長】 はい。それでは、簡潔にお願いします。

【佐々木委員】 例のハンターの数を制限という言葉があったんですが、狩猟の担保がとれないということなので、数の制限というのは具体的に案を何かお持ちですか。ハンターの数を制限して捕獲のあれを担保するのだという、ちょっと、私も聞き取れなかったので、その辺をお伺いしたいと思います。

【岩槻委員長】 千葉県、お願いできますか。

【参考人(近藤)】 具体的に今こうしたらいいというようなものは、当面、ちょっとないんですけれども。ただ、先ほど申し上げましたように、千葉県の場合ですとニホンジカが今考えられるんですけれども、要は狩猟者の数を制限することと数の上限を設定すること、この2つがきちっとできれば、やはり地域個体群の安定維持というのはできていくんじゃないかという、そういうふうに考えております。

【佐々木委員】 はい。

【岩槻委員長】 まだご質問があるかもしれませんけれども、きょうは盛りだくさんな計画になっていますので、時間を多少、タイムキーピングをしっかりさせていただきたいと思うんですが。
 千葉県、どうもありがとうございました。
 引き続きまして、もう一件、地方公共団体から、大分県農林水産部森との共生推進室の方からお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【参考人(亀井)】 大分県農林水産部森との共生推進室の亀井と申します。項目が多岐にわたりますので、お手元に資料を用意しておりますが、前置きは省いて早速中身に入りたいと思いますが、その前に、大分県におきましても農林業被害が依然として深刻でありまして、特にイノシシ、シカ、それからカラスなどの有害鳥獣によります被害が依然として深刻です。このため、早くから、シカについては独自の管理計画によりましてメスジカの可猟化区域の拡大を順次行ってきました。イノシシにつきましても、平成13年に特定計画を立てて、狩猟期間の延長などで対応しております。特定計画につきましては、一言で言いますと、余り目標には達しておりません。その辺については後ほどおいおい触れますが、一方で農林業者が自衛目的で捕獲あるいは狩猟免許を取って対策をとりたいという声が多くありまして、ことし実施された構造改革特区に申請しまして、わな限定の狩猟免許試験の実施も行いました。このような取り組みから、このような機会が与えられたのだというふうに思っております。
 早速、中身ですが、1番として「一部鳥獣の狩猟期間の延長」について。被害の激しい、本県におきましてはイノシシの狩猟期間を1カ月延長し4カ月としています。
 狩猟期間の延長につきましては特定計画で対応しているところですが、シカについては30都道府県、イノシシについては西日本を中心に10県が計画を策定しております。これによりまして狩猟期間の延長や捕獲制限の緩和を実施しているというような状況があり、イノシシ、シカの被害がある大半の県が狩猟期間の延長などの対策を立てております。しかし、このような各県独自の対応よりも、このように狩猟期間の延長などが主流となっている以上、施行規則等で定めて実施する方が国民への周知もできますし、狩猟者にとってもわかりやすいのではないかと考えます。
 また、昭和53年以降、狩猟期間は現行の3カ月となっておりますが、農林業被害がほとんどなかった40年代以前は3.5カ月や4カ月の時代がありました。すべての狩猟鳥獣を対象にすることは生息数の減少など不安がありますが、絶滅のおそれがほとんどないとされますイノシシや分布を急速に広げているシカにつきましては狩猟期間の見直しが必要であると思っております。
 これに関連しまして、2番目として「休猟区における一部鳥獣の可猟化」についてです。有害鳥獣であり特定鳥獣でありますイノシシやシカについては、休猟区であっても狩猟可能とする。「できれば、」でとまっておりますが、この後、実は保護区も入れようかと思ったんですが、この場では休猟区に絞っております。これにつきましては、休猟区などの指定につきましては依然として利害関係者の賛同を得られることが、どこの地域、どこの県においても困難な状況になっております。休猟区、保護区につきましては、年配の方は「禁猟区」と呼んで、イノシシの温床であるとか、近くに保護区、休猟区があることで精神的にも苦痛を与えているような状況があります。また、このような状況から有害捕獲が通年実施されているようなこともありますので、いっそ、一部鳥獣については狩猟可能とする方がわかりやすいというふうに思われます。
 3番目、「網・わな猟免許は、網猟、わな猟に種類分けする」。これは、先ほども申し上げましたが、一部の県で実施されております。これについては報道によって検討されていることが伝えられておりますが、改めて狩猟免許制度として改正することが必要であると考えます。
 本県では2回、狩猟免許試験を行っておりますが、今年、2回目のときにわな限定の試験を行いまして、昨年同時期の2.3倍の受験者がありました。制度につきましても比較的好評で、農林業の自衛目的の方がほとんどでした。
 続きまして4番目、「狩猟免許の有効期間の延長」です。現行の3年から5年に延長し、更新に係る負担を軽減し、狩猟者の確保を図る目的で有効期間の延長が必要と考えます。
 5番目、「わな禁止区域の新設」です。現在、銃猟禁止区域など銃猟に関する禁止区域はありますが、とらばさみやくくりわななど、鳥獣に対する危険性があったり、または猟犬や人への危険性も高い、それから目的外の鳥獣が捕獲されるといった生態系への影響も考えられる錯誤捕獲の可能性も高いため、わなの禁止区域も必要であると考えます。
 続きまして6番目、「全てのわな等に架設者名の表示を義務づける」。「全て」というのが、狩猟によるわな捕獲はもちろんですが、法9条第1項による捕獲許可に係るわな、網についても表示の義務が必要であると考えます。
 本県では取り締まり上、違法捕獲ではなく――すみません、資料には「錯誤捕獲」と書いておりますが「違法捕獲」です。――本県では取り締まり上、違法捕獲ではなく、特別許可による捕獲であるということが確認できるように、有害捕獲はもちろん、学術目的などの許可についても表示を実施しておりますが、これを徹底する意味でも表示義務が必要と考えます。
 続きまして、特定鳥獣保護管理計画制度についてです。
 冒頭に述べましたものと関連しますが、特定計画には、シカ、イノシシなど個体数管理のための特定計画とクマとかサルなどの保護を目的とした特定計画がありますが、この辺をはっきり区別して、特に個体数管理を目的とする計画につきましては、規制の緩和、強化などは施行規則で行い、特定計画については生息動向等、その後の検証機能を役割に移してはどうかというふうに考えております。特定計画の策定や規制緩和措置の影響を検証するためのモニタリング調査の継続実施をすることは、先ほど千葉県さんからの意見もありましたが財政的負担となっておりまして、動物の専門家を擁する大学や研究機関、県、民間を含めて、そういう研究機関、専門家のいない本県にとりましては、九州で唯一、今、イノシシとシカ、2つの特定計画を立ててはおりますが、これを維持することは人材的にも困難な状況にあります。
 それから、8番として、これは今のに関連しますが「専門家の登録制度、派遣制度の新設」ということで、特定計画制度はもちろん、鳥獣による被害対策を推進するためにも、このような登録制度、専門家の派遣制度などが必要であると考えます。
 それから、特定計画につきましては、これからは広域的な保護管理が中心になっていくと思われますが、先ほど申し上げたとおり、財政的にも人材的にも専門家のいないところでは非常に負担となります。また複数の県にまたがるというような計画になるという性質上、国、地方環境事務所などを中心的な役割に位置づけていただきたいというふうに希望します。
 それからあと、その他鳥獣保護事業全般についてということで、これ以外にもまだ申し上げたいことがあったんですが、全般的にかかわることにつきまして抜粋しております。
 まず、「鳥獣保護行政における市町村の役割を明記する」ということで、鳥獣保護事業計画では県が中心となって実施をすることとなっておりますが、市町村合併が進むことにより新市の役割が大変重要な位置づけになってきていると考えます。本県は、58あった市町村が今年度末には18市町村という、3分の1以下になる見込みです。県につきましても12振興局が半分の6振興局になる見込みで、人員削減等もかなり厳しい状況になっております。また、都市部を中心に傷病鳥獣やハト・カラス対策なども件数がふえておりますので、この辺の配慮をお願いしたいと思います。
 それから鳥獣保護員設置の基準についてですが、現在、市町村数に応じた配置などの基準がありますが、先ほど申しましたように市町村合併が進んで、この基準でいくとかなり削減されるおそれがあります。市町村の数とは関係なく鳥獣保護員の業務は変わりませんので、新たな基準を設けてほしいと思います。特に、特定外来生物法や鳥インフルエンザなど、これまで以上の対応が必要になる場合も考えられますので、その辺について配慮をお願いしたいと思います。また、取り締まりを主業務とする保護員とは別に、特定鳥獣に特化した専門員の配置も必要となるというふうに考えております。
 その他ですが、鳥獣保護・狩猟行政予算確保のため、目的税である狩猟税の使途を明確にするということであります。先ほども話題に上がりましたが、現在、このような目的税につきましては、鳥獣保護、狩猟行政の目的で使うというふうにされておりますが、ほとんどの県では、予算上、一般財源となっておりまして、財政当局よりの厳しい削減の方向があります。目的税を盾に、特に特定鳥獣の予算確保につきましては来年度、特定計画の更新が予定されているというようなことを理由に十分な額を確保できたところですが、19年度以降はまた削減されるということも考えられます。
 すみません。ちょっと急ぎます。
 それからあと、この全体を通して申し上げたいのは、一部鳥獣による被害対策については施行規則等で実施し、本来の目的であります鳥獣保護あるいは繁殖、希少鳥獣の生息動向とか保護区での鳥獣の生息動向とか、これまで余り十分に行うことができなかった生息調査、あるいは、最近、世界的にも問題になっております鳥インフルエンザとか、メジロやソウシチョウなどの違法捕獲の問題も含めて、鳥獣保護行政にもうちょっと目を向けられるような体制にしてほしいというふうに考えます。
 ちょっと時間を経過しまして、すみません。以上で終わります。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 質問がありましたら、どなたからでも。三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 すみません。最後のところですが、19年までは目的税で鳥獣保護・狩猟関係行政の予算確保が行われるということだったんですが、大分県では、この特定も含めて、全体でどれぐらいの予算規模でしょうか。

【岩槻委員長】 大分県、お願いします。

【参考人(亀井)】 狩猟税になってから、平成16年の例ですが、たしか7,000万円ぐらいの税収があります。手数料を含めると8,500万円ぐらいになると思います。鳥獣保護・狩猟関係の予算としては、これを上回る予算をつけております。ただ、例年、被害対策の方に重点が移行しているという事実もあります。先ほど特定計画と言ったのは、これまで特定計画で調査等が十分に行えなかったという点があって、それを補う意味でも、17年、18年度は十分な予算が欲しいというふうに説得してつけていただいたという経緯がありますので。先ほどの税源については特定計画を例に挙げただけで、ほかのもの(鳥獣保護費)については十分な確保はできているというふうには考えておりません。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。
 ほか、どなたか。亀若委員、どうぞ。

【亀若委員】 2点、お伺いしたいんですが。
 1つは、2ページ目の専門家の登録制度、それから派遣制度の新設ということに関しまして、もう少し、今お考えになっておられるような構想といいますか、その辺をお伺いできれば。特に派遣ということは、どこかに専門家がいて制度的に派遣されてくるということをイメージするんですけれども、そこら辺をどういうふうにお考えになっておられるのかなという。構想というか、そういう想いでも結構なんですけれどもね。それが1点。
 それから、もう一つは「その他全般」のところで、里山整備なんかのいろいろな、長期的、抜本的な対策が必要だということなんですが、私どもこの間島根で現地調査をさせていただいたときなんかも、中山間地域への直接支払い制度といった、そういう制度をうまく活用されてやっておられるというようなことも伺ったのですが、県としてはこの辺は、財源も含めてどういうふうにお考えになっておられるのか。そこら辺をお伺いできればと思います。

【岩槻委員長】 大分県さん、よろしくお願いします。

【参考人(亀井)】 はい。まず、1点目の専門家に関してですが、先ほど言いましたように、本県では専門家が大学を含めて研究機関にもおりません。それで、特定計画に関する委員の選定に当たっても他県から来ていただくような状況になっております。このような中で専門家の一覧表等があれば、そのような中から、その分野あるいは(本県に)近い人が選択できるのではないかと。
 それから、大分県は狩猟保護行政を林業畑が続けておりますが、森林というよりは動物に関する知識が必要になってくるということで、固定できればいいんですが、2年、3年で異動するということから考えると、国の研修を受けたとしてもその知識が蓄積されない、相談相手もないということで、紹介、あるいは県に、市町村に呼べるようなもとになるものが欲しいというぐらいです、今の段階ではですね。
 それから、もう一つの被害対策、先ほど島根県の例というのがありましたが、大分県では島根県さんを見習って、今年から、「自ら取り組む鳥獣被害対策事業」ということで、従来、物理的な電気柵だとか防護柵、それから捕獲対策だけに頼ってきたところがあるのですが、最近の報告では竹やぶとか耕作放棄地が生息を広げ、被害状況を悪化させているということで、この辺の環境整備、草刈り等の整備ですね、そういうことが必要だと。電気柵とかについても維持管理が必要だと、追い払うことも必要だと。その辺の、今までとはちょっと違う新しい概念を持ってもらうためのモデル事業を実施しているところです。
 ことし、組織改正があり、森との共生推進室ということで、今までは狩猟とか森林病害虫を受け持った班でしたが、森林環境税を創設することもあって森づくり班と一緒になった「室」ということで、里山事業もやっていると。里山事業に関しては森林整備だけではなくて鳥獣の嫌がる環境整備にもつながるので、これを一体的に、まだ検討段階ですが、来年からは里山整備を森林整備と鳥獣対策の2つの目的で実施しようという考えがあるので、その辺で、鳥獣保護の直接的な今までの対策だけではなくて、新しい、長期的な、抜本的な対策も必要ではないかということで提案したところです。

【亀若委員】 ちょっとすみません。そうすると、今のいろいろな、県としてのおやりになっておられることは、必ずしも市町村段階で自発的にというところまでまだ行っていないのかどうか、それと、そういう財源的な面ではどういう裏づけをされているのかということなんですが。今、自ら取り組むという形で、ハード的なものだけではなくて、むしろソフトウエアのところのいろいろな業務といいますか、仕事をやっていく必要があるということの認識をされて取り組んでおられるんですけれど、その本当の取り組み主体、それはどのレベルで考えておられるのか、そのお金はどうされているのかということなんですが。

【参考人(亀井)】 その事業については県単の事業で、ことしから始まったものです。財源については目的税の中に入るというふうに考えております。モデル事業で地方振興局に1集落ずつということで、そこの集落の人はもちろん、鳥獣保護員とか猟友会とか森林組合、農協など、関係団体、市町村も含めて一緒になって、その地元の人だけじゃなくて、鳥獣に対する生態的な勉強を含めて対策をとっていこうと、みんなでやろうということで、これをもとに広げていこうという段階で、まだ地元、いわゆる一般の方にはそういう考え方が定着しているとは思っていません。今からだと思っております。

【亀若委員】 わかりました。ありがとうございました。

【岩槻委員長】 速水委員、時間が押していますので簡潔にお願いします。

【速水委員】 さっき、網・わな猟の免許を分けてというお話があって、わな猟に関して、結構、農林業者の皆さんが取られるというお話があった。そうおっしゃって、1ページの[5]のところにとらばさみとかくくりわなに関しての危険性と書かれているんですけど、そうすると、大分県で例えばわなと考えた場合には、箱わなとか、そういうものを主体に考えていくというふうにとらえてよろしいのでしょうか。

【参考人(亀井)】 大分県ではくくりわなとかとらばさみは一部で、主流は箱わなです。イノシシ猟が盛んということ、それと、あとイノシシの猟期が1カ月だけ長いということで、くくりわなを使うとシカを錯誤捕獲するような状況にあるので、箱わなに限ってくれということでお願いをしているということもあります。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 まだご質問はあるかもしれませんが、時間が大分押していますので、地方公共団体の2つの県のご報告はこれで終わりにさせていただきまして、次は農林業被害関係ということで、滋賀県東近江地域振興局と、それから九州横井林業株式会社、これは球磨地域林業研究グループ連絡協議会ということで、2つのご報告を引き続きお願いいたします。

【参考人(寺本)】 失礼いたします。滋賀県東近江地域振興局の寺本と申します。よろしくお願いいたします。限られた時間ですので、要点だけご説明させていただきます。
 私たち滋賀県の場合は、平成12年から、試験研究の方から農業の方の被害対策の指導を行っております。試験研究の方から入らせていただいたんですけれども、現在は普及の現場で広範囲に指導に入っているというような状況です。
 次、お願いいたします。
 現在の被害金額は約2億5,000万円で、滋賀県の特徴からいいますと平成13年から、近年、被害が急増したという現状がございます。次、お願いいたします。
 「普及センター」という名前でちょっとご紹介させていただきたいと思うんですが、普及センターの取り組みとして平成15年からうちの地域は取り組みをさせていただきまして、1つが近江八幡の島学区、それと竜王町、日野町と、3カ所で、現在、普及課題として指導を行っております。
 次、お願いいたします。
 これは琵琶湖の中心部の東側なんですけれども、琵琶湖沿いに奥島山という小さな山がございます。ここは平成2年まではイノシシは余り見かけなかった地域なんですが、平成3年から確認が多くなりまして、平成6年に初めて被害が出てきたという地域で、現在は大変悲惨な状況になっている。また、この奥島山の周辺の山、八幡山または伊崎不動の山林、それぞれ近くの山に移動して入ってしまっているというような状況でございます。
 次、お願いいたします。
 うちの県の取り組みなんですが、個人の指導じゃなしに集団をとらえて地域ぐるみで対策をさせていくというような指導を行っておりまして、この近江八幡の場合は普及センターがコーディネーター役、旗振り役をさせていただいております。現場のことをよくご存じの役場、地元の猟友会にアドバイザーとして入っていただきまして、試験研究機関、旧農業試験場、それと滋賀県立大学の環境科学部に、農林水産高度化事業をもって、お金を持って、来ていただいている。現場も新しい技術をやっていただけるということと試験研究の方も現場で思い切った大きな仕事ができるという、両方喜んでいただいているというような状況の中でチームの中に入っていただいております。農事改良組合また自治会を根底に、必ず私たちの場合は入れております。といいますのは、大きな事業で業者委託で柵の設置等をしますと、メンテナンスがほとんどされなくて、効果が半減、激減するというような事例が県内で多々あります。被害者の方に汗を流していただいて柵を設置していただくということで、メンテナンスのことも考えて下層部に組合また自治会を入れております。
 次、お願いいたします。
 どのような取り組みをしているかといいますと、冬の間は戦略会議、普及センターが中心になりまして来年度の対策をどうするかというような打ち合わせを行います。
 次、お願いいたします。
 研修会もたくさん実施しておりまして、生産者の方また住民の方はほとんど野生獣に対する知識また対策の知識がないというような現状で、そこから指導する、と。私たちは、ソフトを中心とした対策を行っております。次にハードという形をとっております。
 次、お願いいたします。
 ハードの指導でございますけども、トタンの設置であるとかネットの設置、市販のフェンスの設置、このような指導を行っております。
 次、お願いいたします。
 試験研究機関の方では、里山管理といいますか、バッファーゾーンをつくりましょうということで、農地と山林の間、約20メートルから50メートルの幅で200メートル、1ヘクタールの伐採または間伐を行いまして、イノシシの特性から被害を軽減するようなバッファーゾーンをつくるというような対策を行っております。
 次、お願いいたします。
 結果、発信機をつけて調査をやっているわけですが、雑木林の伐採前と伐採後、発信機の調査では、伐採後、イノシシが山林の方に移動しているということがわかっております。かなり伐採の効果はあっただろうという判定をしております。
 次、お願いいたします。
 しかしながら、伐採跡では草が生えてくるわけです。その草の管理をしなければ、またイノシシが戻ってくるというようなことがございますので、今年度からヒツジを放牧して雑草管理をしましょうというような取り組みを行いまして、現在のところ、うまくいっております。
 次、お願いいたします。
 それとワイヤーメッシュ、コンクリートの中に入れるものの利用ですね。普通、ワイヤーメッシュを柵として利用するとか排水路のところにコの字型に曲げて置くだけというような対策。かなりワイヤーメッシュの効果は認められております。次、お願いいたします。
 駆除も並行して実施しておりますが、あの小さな山で、昨年度、93頭駆除いたしました。現在、16年までに209頭の駆除をやっているのですが、全然その密度が下がらないという、大変悲惨な状況でございます。
 次、お願いいたします。
 結果、15年から普及センターが現場に入らせていただきまして、白王町は16年から入らせていただいております。島町の方は、指導の結果、大変被害が減っております。白王町の場合は15年に被害が大きかったわけですけれども、被害がなくなった。今年度も被害がゼロというような状況でございます。これも地域ぐるみで総合的な対策を行った成果だと、私たちは考えております。
 次、お願いいたします。
 次、希望ヶ丘のブドウ園なんですが、ここは山林と川に挟まれた長細い観光ブドウ園でございます。山林の方からイノシシ、または河川敷の方から入ってくるということで、毎晩3頭以上のイノシシが侵入していたというような状況の中で、農家の方が夜10時ごろまで番をして花火を持って追い払い等を行って、朝、夜明けと同時に作業をしているというような状況の中で、普及センターが15年、16年、本格的に指導に入らせていただきました。
 次、お願いいたします。
 駆除もやっているんですが、胃袋をあけてみますと、ほとんどブドウの皮だったんですね。よくよく聞き取りを行いますと、農家の方が、商品のブドウを加害されるのが嫌なので、観光ブドウ園ですのでブドウの皮がたくさんできるということで、山の方にこれの放置をやっていたということで、まさにこれがえづけ行為になっているわけですね。私たちは里のエサ場価値を下げましょうというようなことでソフト的な対策を中心に指導を行っておりますけれども、まさにこれはえづけ行為になっておるということで、ブドウくずの放棄禁止ということで、しっかり指導を行いました。
 次、お願いいたします。
 また、ハードの方の設置、ネットの設置、フェンスの設置、現場は普及センターの職員も入りまして柵の設置、ちょっと予算の都合で完璧には、全部は囲めていないのですが、こういうようなハードの指導も行っております。
 次、お願いいたします。
 次に、ここもヒツジの放牧を行っておりまして、イノシシ対策も兼ねた放牧を行っております。次、お願いいたします。
 ここも、平成15年、16年、10頭駆除いたしました。次、お願いいたします。
 結果、平成15年には167万円の被害金額だったんですが、これも地域ぐるみ、普及センターが中心となった取り組みによって16年度は被害がゼロになったというような地域でございます。
 次、お願いいたします。
 最後に日野町、ここはサル、シカ、イノシシの3獣種いる地域で相当対策が難しい地域でございますけれども、ここもソフト中心の対策を行っております。ここは「おうみ遠落・猪ドメ君」、私どもの農業試験場が開発しました、「サーカステント」というような柵を入れたり、京都大学の室山さんがつくられた室山式の電気柵等を導入しております。また、フェンスの設置も行っております。
 次、お願いいたします。
 これはサーカステントなんですけれども、安部、中之郷、蔵王というようなところでサーカステントを設置いたしまして、被害がほとんどなくなっているというような状況でございます。
 次、お願いいたします。
 サーカステントというのは奈良県の猿落君を改良したものなんですけれども、みそは内柱の弾性ポールにありまして、これは実用新案を今、出しているところでございます。
 次、お願いいたします。
 フェンスの設置、ここはシカのフェンスなんですが、これも地域ぐるみの対策を中之郷で行っていただいておりまして、去年3.7キロ設置いたしまして、ことしが2.5キロ、全長6.2キロを設置いたしました。次、お願いいたします。
 これは京都大学の方の電気柵なんですが、ことし1.5ヘクタールを囲いまして、このような取り組みも行っております。
 次、お願いいたします。
 日野町の場合は、平成15年度に100万円の被害があったのですが、平成16年、昨年が30万円、ことしは被害がなくなったと。これも、地域ぐるみの対策のおかげだと思っております。
 次、お願いいたします。
 普及の経過なんですが、平成12年度に農業試験場の方で試験を開始しまして2年後に現場の方に還元できたということと、平成15年に獣害担当の専門技術員を滋賀県の場合は置かせていただきまして、そこから普及員の研修が始まって普及員の体制ができ上がったというような状況でございます。研修会も平成15年、うちの地域だけなんですが14回、16年が33回、今年度が10月末までに30回。すなわち、農業者に直接お話をさせていただいて知識を持っていただくというような取り組みをしております。
 次、お願いいたします。
 これは放牧ゾーンニングということで、放牧の仕事を13年から始めておりますが、かなり放牧の獣害対策の効果がありまして、現在は放牧の獣害対策というのが浸透してきているというような状況でございます。
 次、お願いいたします。
 今までは駆除と防護柵の設置がメーンの仕事だったんですが、私たちの県はもっと大きな視野で考えましょうということで、里のエサ場価値を下げて森のエサ場価値を上げましょう、と。森のエサ場価値を上げるというのは個人では非常に難しいので、来年度から森林税を導入して里山の整備等を実施しましょうというような計画を行っております。
 次、お願いいたします。
 昨年度、このような新しいチームができましたり広域協議会ができたり、最初はゼロからの出発だったのですけれども、県の体制ができ上がったということでございます。
 次、お願いいたします。
 最後3つなんですけれども、特定鳥獣保護管理計画の策定、運営上の課題ということで、予算上の確保が困難、個体数密度の把握と調査手法が確立されていないとか調査人員の確保ができていないとか、また、運営上の課題としては、市町村における捕獲等の体制が不十分、捕獲頭数についての市町村間の調整が必要であるとか捕獲個体の処分が大変困難になっているというような状況が、他府県、うちの県でもあります。
 次、お願いいたします。
 また、人材の育成というのは皆さんご存じのように大変必要でございまして、野生鳥獣の生態・行動特性や保護管理についての専門知識や技術を有する人材の育成、このような人材育成が必要であろうと。そのようなことで、私たちは普及員に対しての研修会等を県で実施しているというような状況と、あと、地域ぐるみの対策をするということは集落営農的な取り組みをしなきゃならないということで、これはやはり普及員の仕事であろうということで、農業改良普及員、これは農林水産省の方の要望にもなるわけですけども、その活用は今後重要になるんじゃないかなと考えております。
 次、お願いいたします。
 最後ですけれども、これから環境省と農林水産省、協働で連携しながらこの野生鳥獣対策というのを考えていく必要があろうかなと思っておりますので、鳥獣保護法の改正に伴いまして、第4条の第2項に「鳥獣による被害対策に関する事項」を加えていただきたいというものと、「農林水産大臣」という報告の義務づけもぜひ入れていただきたいということと、最後に「特定鳥獣による被害対策に関する事項」というのもぜひ入れていただいて、環境省と農林水産省の連携の中で、今後は鳥獣害対策ということの位置づけでやってもらいたいなということで最後に要望を出させていただきまして、終わります。
 ありがとうございました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 引き続き、熊本県の事例もお願いできますか。

【参考人(那須)】 こんにちは。熊本からやってまいりました、九州横井林業の那須と申します。球磨地域林業研究グループの連絡協議会の会長も仰せつかっております。
 それでは、私のところの人吉・球磨管内のシカによる森林被害の実態を説明させていただきます。お願いします。
 人吉・球磨地域は熊本県の南東部に位置し、鹿児島県と宮崎県と境を接しております。国有林を除く民有林の面積は約10万4,000ヘクタールであり、県内で最も林業の盛んな地域であります。また、スギとヒノキが大半を占める人工林の面積は7万ヘクタール近くあり、人工林の占める割合は67%となっています。
 次、お願いします。
 人吉・球磨地域管内において生じているスギ・ヒノキの被害面積をグラフにあらわしたものです。球磨管内でのシカによる森林被害については、平成の代になってからその被害が顕著となってきました。被害が大きくなってくる中で実際の被害面積の把握が必要と考えられ、県の方で平成12年度から被害調査を開始しております。人吉・球磨管内に141カ所の調査プロットをランダムに設置し、その結果から管内全体の被害面積を推定しています。その結果、図で見てわかるとおり、調査開始の平成12年度に約6,400ヘクタールあった被害は徐々にふえており、平成16年度には約1万ヘクタールとなっています。先ほど述べましたが、管内のスギ・ヒノキ林の森林面積が約7万ヘクタールであることから、約15%もの森林がシカ害を受けていることになります。また、シカ害はますます広がる模様であります。スギとヒノキを比べると、ヒノキ林では2倍以上の被害を受けております。
 被害面積について述べましたが、具体的にどのような被害が生じているのかを説明いたします。
 ここに書いてあるとおり、被害は大きく2つに分けられます。1つは植林した直後の木、若い木に対してシカが枝や葉を食べてしまう害です。2つ目が大きくなった木、成林木に対してシカが木の皮をはぐ害です。
 最初に、1つ目の植栽木に対する食害の内容について、写真で詳しく見ていただきたいと思います。この写真は植栽されて間もない森林です。
 被害に遭ったヒノキの木を拡大したものです。枝と葉で一番やわらかい先の部分が食べられています。
 拡大したものが、この写真です。こことここの黄色い部分ですね、丸でかいてあるところですけど、食べられているのがわかると思います。植物が成長する中で最も大切な成長点である部分が食べられています。よって、大きく成長が阻害されてしまいます。
 さきの写真で見たような食害が数年続くと、このような姿となってしまいます。家庭にある盆栽のような樹形となってしまいます。これでは、健全な森林に成長し、将来、木材を生産でき得る森林にはなりません。
 次に、2番目の剥皮被害について説明いたします。この写真は成林木が剥皮被害に遭った森林の様子です。黄色く囲んだ部分が剥皮に遭った部分です。シカがヒノキやスギの皮をはぐ理由としては、2つ考えられます。1つは、内側のやわらかい皮をかじりとる食害です。もう一つが、生え変わった角の表皮をこすり取るための角こすり害です。いずれにしても、この傷口から菌が侵入しまして、そして木材としての価値を損なうことになります。
 次、お願いします。
 この写真が剥皮被害に遭った木を伐採したときのものです。黄色く囲んだ部分が剥皮に遭った部分です。剥皮被害に遭うのは、シカが届く高さの部分です。よって、根本から1.5メートルの高さのところが大部分ですが、この箇所も木の中で最も太く、木材としての価値が一番高いところと言えます。よって、最も価値の高い箇所が被害に遭うということになります。
 剥皮被害に遭った木の部分をチェーンソーで切って、断面を写した写真です。剥皮被害によって菌が侵入し腐ってしまった箇所が、黄色く囲んだ部分です。この部分は商品としての価値はありません。30年近く育て成林した木の商品価値がなくなることは、林業にとって大きな痛手となっております。
 今までスギ・ヒノキについての森林被害について述べましたが、そのほかにも大きな被害が生じております。シカはスギ・ヒノキを食害するだけでなく、その他の草木も食害します。シカの食欲は旺盛でありますから、最近の生息密度の増加により、この写真のように林内の植物をすべて食い尽くされている箇所もあり、生態系への影響も心配されております。また、シカの生息密度が高くなることにより、シカが森林内を移動することから土壌の崩壊、そういうものが心配されております。このようなことから、被害が大きくなると、今後このように規模の大きな土砂の流出・崩壊も心配されているところでございます。
 以上、写真でシカによる森林被害を説明しましたが、人吉・球磨地域の林業が今後発展し継続するには、シカ被害対策を緊急に講ずる必要があると考えられます。
 以上で発表を終わらせていただきます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの滋賀、熊本、両県の事例について、ご質問、どちらからでも結構ですが、お願いいたします。
 私の方から滋賀県さんにお願いしたいんですけれども、いろいろな柵の設置なんかを滋賀県独自のやり方でやられているということなんですけど、他府県でもそういうので非常に成功的な例がある。つい先週も島根県の例を見せていただいたんですけれども、そういうところとの機器の設置をするときの情報交流、他府県との交流というのは進めておられるんでしょうか。

【参考人(寺本)】 はい。うちは試験研究機関がありますので、そこを窓口にして情報交換というのをたびたびやっております。また、うちは獣害対策の支援チームということで、ことしの3月31日に立ち上げまして、支援チームの中で他府県の情報とか、そういうものを入れて現場に還元していくというような体制で行っております。

【岩槻委員長】 ほか、どなたか。
 亀若委員、どうぞ。

【亀若委員】 滋賀県さんの方にお願いしたいんですが、ヒツジだとかあるいはウシ、これ大変効果があるというふうにもいろいろなところで伺っているのですが、ウシは多分いいのだろうと思うのですが、ヒツジなんかにつきまして、これの、肉にするとか、そういう後のお役目が終わるころの処置をどういうふうに考えておられるか。
 それから、先ほどのイノシシなんかで捕獲した、頭数はそんなに多くはないようなんですが、これの肉の処理だとか、流通に乗せるなどの工夫はされておられるのかどうか。全体を伺いまして、非常に、きれいと言うと語弊があるかもしれませんがなかなかすばらしい対応をされているので大変参考にはなったんですが。ちょっとその辺だけ、すみません。

【参考人(寺本)】 第1点目ですけれども、現在のところ、畜産技術振興センターという畜産の試験研究機関がありまして、そこのヒツジをリースで借りているというのが現状です。今、健康、ダイエットとか、そういうものでマトンブームなんですけれども、滋賀県でも将来的には肉の利用ということを視野に入れて、ヒツジの放牧というのを考えていきたいということを考えております。
 それと、イノシシとかシカの肉の利用なんですが、実はことし、うちの東近江振興局の局予算を設定いたしまして、総合的な獣害対策をしましょうということで、里山管理、また家庭菜園の防護柵であっても補助事業で補助していきましょうとか。これは、家庭菜園であっても放置していると里のエサ場価値が下がりませんので、そういう視野で、全国で初めて家庭菜園の柵でも補助していきましょうとか。その中の一環で獣肉利用、解体所を1つ、平成19年にモデルとして設置する予定をしているんですが、例としては島根県の美郷町を中心に勉強させていただいているんですけれども、そこで加工の方を絡めながら、特に有害鳥獣駆除で駆除された獣肉利用というのを来年度から検討していこうということで話を進めております。
 もう一つの柱が、やはり縦割りでなかなか連携ができていないということで、縦割りを崩そうということで連携会議を頻繁にしましょうということを事業の中にも入れていますし、あと教育の方、私たちはサルに石を投げなさいとか花火を打ちなさいとか、追い払いでそういうような現場指導を行っているわけですけども、一方、小学校とか中学校では動物愛護という教育しかしておりませんので、やはり産業動物と野生動物の区別、対応の仕方の区別というのを子供のときから教えていく必要があろうということで、教育の方の指導も新しい事業の中で入れております。
 以上です。

【亀若委員】 はい、わかりました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、もう一つだけ。速水委員、どうぞ。

【速水委員】 すみません。2点。
 滋賀県の方の里のエサ場価値を下げるという話は、お話で大体よくわかりました。森のエサ場価値を上げるということで、雑木林とか、いろいろ書いてあるんですけど、具体的にどういう形の森がエサ場価値として高いのかというのが1つと、それとシカ被害の九州横井林業さんのお話の中で、実際に森林側としてシカに対して2つの被害が出ている、シカが2つの被害を出しているということなんですが、それぞれに対する対策はどのようなことがやられていて、それが実効として効果がどのぐらい――どのぐらいというか、口頭で数字を出せという意味ではなくて、感じとしてで結構ですから、お考えをお聞かせいただきたいのと、最終的にはどういう対策を打てばいいというのを現場でお持ちなのかという、その3点ですね。お願いします。

【岩槻委員長】 では、滋賀県さんの方から。

【参考人(寺本)】 森林の方は針広混交林ですね。広葉樹を中心に考えましょうということで、森のエサ場価値を上げると個体数がふえるんじゃないかなというような林業サイドの意見もあろうかなと思うんですけれども、今の状態がベストなのかということを考えますと、そうじゃないわけです。やはり管理をして健康な森林に戻していくということが、まず必要であろう。その中で野生動物の管理というのを考えていくべきじゃないかなということで、どのようにやっていくかというのは、今後、試験研究機関の仕事だと私は思っております。
 現在、来年、18年度から森林税の導入を考えているんですけれども、経済採算性が低い人工林を約半分伐採して、地上に光を当てて、自然に下草や広葉樹の生育を促していこうというような形と、それと、あと人工林の管理ですね。管理が不徹底なところのおよそ約半分、管理をしていきましょうと。スギ・ヒノキ林を管理していきましょうと。そのようなところからまず始めたいと思っておりまして、あとは農地側の雑木林の管理なんですけれども、バッファーゾーンということでゾーンをつくっていきましょうということも事業の中で考えております。一長一短があるわけですけれども、そのような視野で、環境ということを考えながら獣害対策というのを考えていくべきであろうというようなスタンスで滋賀県は考えております。

【岩槻委員長】 九州横井林業さん、お願いします。

【参考人(那須)】 今現在、新しく植栽するところはシカが入ってこないようにネットを張って植林をやっているんですけど、それでも、どのようにして入ってくるかわかりませんけど、ネットをぐりっと張りました中にもシカが入っているというのが現状であります。今のところは、侵食したところの幼齢木につきましては、ネットを張ってシカが入ってこないような対策を講じております。
 それと、もう一つ、成林木に対しましては、ちょっとネットを張るといっても費用的にも大変でございますので、今のところは間伐なんかをやって、その後の雑木を茂ったような状態にしておいたら割合そこの地域はシカが入ってこないような感じがしますので、そういうようなことをしなくてはいかんのと違うかなということで、うちの方ではやっております。
 それと、もう一つ、県の方としましては、猟友会の方々にシカをとっていただくという有害駆除の方をやってもらっているというのが現状です。
 以上です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 時間のことばかり気にしますけれども、次へ進ませていただきます。
 次は、民間鳥獣保護管理事業者の例としてNPO法人ピッキオさんからのご報告をお願いいたします。よろしくお願いします。

【参考人(田中)】 長野県の軽井沢町で町の委託を受けながら、現在、ツキノワグマの対策とアライグマの外来動物の排除ということで対策をしておりますNPO法人ピッキオの田中と申します。よろしくお願いします。
 きょう、私の方からは、地方で野生鳥獣の保護管理に携わる民間団体という立場から、鳥獣の保護及び狩猟の適正化について意見を述べさせていただきたいと思います。
 まずは、参考までに日ごろの業務を少しご紹介させていただきながら、あと保護管理の最前線でどのような技術が用いられているのかという一例をお見せできればなと思っています。そこから言える提言、そして効果的な野生鳥獣保護管理を推進するために、少し意見を整理してみました。
 次、お願いします。まず、簡単に私たちの組織をお話ししておきます。
 まず、スタッフの人数ですけれども、正面右側ですが、正社員というような形で15名、後でお話ししますが、この中にはNPOのスタッフも入っています。嘱託9名、アルバイト5名というような、このような体制で行っています。スタッフとしては、インタープリター、研究者、クマ保護管理、獣医師、カメラマン、多彩なスタッフがそろっています。これらのスタッフが3つの部門に分かれて事業を進めております。
 まず、観光教育とエコツアー部というのが一番下にありますけれども、この部分はエンターテインメント性と、あとホスピタリティーあふれる自然解説で自然を知り楽しむことを伝えるプログラムというのを学生とか市民に対して提供しております。また、地域でエコツアーを推進していくためには、その地域の生態系を健全に維持する必要がありますので、そのために調査、あと、野生動物の部分ですけれども保護管理、野生動物の保護管理というのもあわせて進めております。この中の調査と保護管理の部分は、公共性と公益性が非常に高いゆえに2004年度からNPO法人化としました。
 次、お願いします。
 本日の話題の中の中心に来ますこの保護管理という部分、ピッキオの事業の中でもかなりのウエートを占めております。まずは事業の開始までの経過ですけれども、1990年代中盤に、町内の別荘地でクマの情報が頻発しました。軽井沢というのは、お越しになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、森の中に建物が点在しているような、そういう状況です。ですから、山、里、農地というような、きれいなライン引きがなかなか難しい地域であります。クマの出没がふえてきたということで、何が起こっているんだということで、1998年からピッキオ独自に、まず生態調査を始めました。そこから得られた情報とかデータというのを軽井沢町の方が深刻にとらえまして、2000年からは町の委託として総合的なクマ保護管理事業をスタートさせております。
 クマによる被害件数ですけれども、2000年、委託を受け始めた当初、目撃と被害、被害というのは、別荘地内で私有地に入り込んでゴミとか食料をあさる、あと別荘地内にあるこういった公共のゴミ箱からゴミを持ち去る、あとは農作物被害、家庭菜園あるいは農地の被害というのがありました。それと、あと目撃というものがありました。これが2000年から150件、2001年で240件、2002年で230件、2003年には300件を超える目撃と被害の情報がありました。ただ、ここ数年間、いろいろなことを現場で行いながら、少しずつ解消に向かっております。
 現在、保護管理部、私たちの中では、クマが活発な時期の夏が特に忙しいのですが、大学からのボランティア、あるいは市民からのボランティア、あと専門学校なんかのインターン生なんかにもお力をかりながら、現場のスキル、技術なんかも私たち自身がまた教えながらという形で対策を進めております。
 次、お願いします。さて、クマの保護管理事業ということで、事業の内容を簡単にお話ししていきます。
 まず、別荘地に出没しているクマを捕獲します。捕獲したら即駆除というような方針ではなく、まず発信機を装着しまして個体識別をしっかりします。その上で、別荘地でしたら、捕まえた現地で放獣するのはなかなか難しいので、奥山へ連れていって学習放獣というのを行っております。その後は個体ごとにしっかりと行動の監視を行いながら、それらの個体ごとの特性を調べていきます。そして、個体に応じた対応を一頭一頭とっていくという、そういう管理手法を使っています。私たちは「個体管理」と呼んでいます。
 次、お願いします。
 最近では、軽井沢の別荘地で人とクマとの住み分けを図る上でなかなか難しいんですけれども、奥山の学習放獣だけでは、現場の警戒心、集落周辺に出てきて、そこで、ここは怖い場所、あるいは出てきてはいけない場所というのをクマが今の現状では対応できない、教え込むことができないということで、近年ではアメリカから、クマ問題の専門家のキャリーハントという人の協力を得ましてクマ対策犬の育成に取り組んでおります。カレリアンベアドッグという犬種を使用しております。アメリカでは職業犬としても認可されていまして、日本でいいます盲導犬・介助犬と同じような形ですけれども、例えばリゾート地で開かれる首脳会談の護衛――リゾート地ですから山の中でクマが生息している地域ですね、そういった地域の護衛であるとか、あるいは北米を中心とした国立公園の人とクマとのあつれきを防ぐために、クマの追い払い、探索、普及啓発というような活動に使われております。
 次、お願いします。
 軽井沢でも実際、昨年の5月に子犬をアメリカからもらい受けてきまして育成事業をスタートしまして、もう1年以上たち、子犬だった犬たちも大分大きくなって現場で活躍し始めております。クマが出没してくるのは主に夏、そして夜間なんですけれども、一番メリットが大きいなと感じていたのは夜間の追い払いの部分です。銃刀法の規制上では銃砲を使った夜間の発砲というのは禁じられておりますので、例えば北海道であります知床のヒグマのゴム弾、花火弾による追い払いというようなものが軽井沢ではできませんでした。そういったものが、犬ですと効果的に追い払いができる。暗やみですから私たちは目も全然きかない中で、彼らは私たちの目となり耳となり、強いプレッシャーをかけながらクマを追い払っていくことができます。そんな重要なツールになっています。それ以外にも、通学路わきでクマが出没することもあるんですが、そういったところを小学生たちの登下校の時間帯にパトロールをしたりとか、あとは、もちろん学習放獣でも強いクマに恐怖を与えるということで利用しています。
 次、お願いします。
 現在、こういった形で、出没したらクマを捕まえて、そして、それから学習放獣、モニタリング、判断、判断の後、このクマはまだまだ追い払って住み分けを進めていくことができる、あるいはもう無理だというような判断もきかせながら行っています。ここで重要なのは、個体ごとの特性を把握して継続的なモニタリングをしているということです。それから得られた個体ごとのデータに基づいて、それぞれの対応方針、これは個体ごとですね、対応方針を決定しているという点があります。もちろん、駆除というのはオプションとしてはあります。住民の安全が脅かされるような危険な行動をとるクマ、あるいは学習放獣、強いベアドッグによる追い払いをしても逃げない、それでもまだ向かってくるというようなクマに関しては、捕殺という手段も確実に個体を特定した上で行っています。
 次、お願いします。
 クマそのものに対する対応だけでは、これはクマだけではないと思うんですけれども、やはり総合的な対策が必要です。軽井沢の場合、根本的な問題というのはゴミというのがありました。ですから、私たちの中では、誘引物管理という中でゴミをどう管理していくかというところに力を入れております。ピッキオでは誘引物管理の方法を、普及啓発も当然行っているんですけれども、実際に今、なかなか日本にあるゴミ箱の中では、絶対にクマに荒らされない、クマに荒らされなければ他の鳥獣、カラスとか猫とか犬とか、そういうものにも荒らせないんですけれども、そういうコンセプトのもとでゴミ箱を開発しました。これも民間の業者さんと協力してつくったんですけれども、それも現在は製品化され、町の中でも、毎年少しずつですけれども、クマがよく出没する地域からこのゴミ箱の設置を始めております。近年では大分効果を上げ始めて、被害件数の減少などにもつながっております。
 数年前までは、こういったゴミというものが被害のメーンになっていたんですけれども、近年では、軽井沢でも農作物地帯もありまして、そういったところでトウモロコシをあさる、食べるというような被害が出てきております。そういったものに対する対応としまして、私たちの方でも電気柵の設置の方法とかメンテナンス方法、あるいはそういったものを普及させていくための効果実証試験というようなものも進めております。
 次、お願いします。
 もう一つ、大事なことがあります。普及啓発というのも、町民の皆様に対して一生懸命頑張っております。まず、クマそのものの生態というもの、そしてその対処法を普及啓発する事業です。これまでは、クマの生態とか町の現状というのを正確に町の人にまず知ってもらうこと、こんなことが起こっているんだよ、こういうふうに対処しなくてはいけないよということのパンフレットをつくりましたり、あるいはこんなものがクマを引き寄せているんだよというような誘引物管理のチラシを被害のデータから作成しまして、あるいは改善方法なんかも提示しましてチラシとして配ったりもしております。最近では、これ以外にホームページで被害の情報を、2週間おきぐらいには更新しながら、町民の皆様に見ていただけるようにもしております。
 あとは、住民からクマの情報を24時間体制で受け入れております。緊急的な対応が必要なときはすぐに出動できる体制もしいています。住民にとって、電話連絡をして、連絡をした場所の専門スタッフが助言をしてくれて、すぐに対応方針を一緒に考えてくれるというようなことが安心感を生んでいるようで、私たちは銃器を持って、出てきたらすぐ駆除というような対応ではないんですけれども、それでも対応した人にはかなり信頼感を抱いていただいているように感じます。また、こういったことをすることによって対策への信頼感というのも得ています。
 次、お願いします。
 これが、ちょっと被害件数の内訳がなくて申しわけないんですけれども、目撃と被害ということで、クマの情報件数の推移です。ベアドッグとクマ対策用のゴミ箱の配置というのを2004年ぐらいから始めたんですけれども、やはり被害件数、ずっと上がってきましたが、ことしは9月10日までしか情報はありませんが、今、減少傾向にあります。このまま継続的に誘引物管理、あと実際に別荘地に出てきているクマに対する対応をしっかり行いながら、数年後には情報を極力減らしていく、そういった方向に持っていきたいと思っています。
 次、お願いします。
 町内以外でも周辺で、これは他地域でもよくあることだと思うんですけれども、クマがイノシシのわなに錯誤捕獲されるというような状況があります。そういったときも、周辺の市町村あるいは長野県から経費の半分が補助されるんですけれども、当該の市町村と県で折半ということで、私たちが現場に急行して、このクマの放獣というような作業も今できるような体制にはなっております。緊急的な対応ですから、こういった、すぐに動けるチームがないとなかなか対応できないので、殺されるというケースも多いんでしょうけれども、私たちのいる地域ではこういったものにも対応をしております。
 次、お願いします。
 近年、2003年ぐらいからなんですけれども、アライグマが別荘地の屋根裏にいるというような情報が出始めております。屋根裏からふんが落ちてくる、尿がしみとなってあらわれるというような現象あるいは情報を町民からいただきまして、最初、私たち独自でどういう状況なのかというのを調べ始めたんですけれども、町の方からの委託も受けまして、昨年からはアライグマの生態系からの排除というような事業を行っています。同時に里親というようなことも考えまして、捕獲したアライグマというのを、もらい手がないかということで探すようなこともしましたけれども、なかなかそういった人はあらわれないというのが現状です。
 次、お願いします。
 そのアライグマですけれども、まず捕獲をしまして、状況によると、もう薬殺ということが多いんですが、その後、しっかりと個体の情報を採取して今後に生かすということで解剖、試料の採取を行っています。アライグマは問題の1つとしてアライグマ回虫というのがありますので、回虫検査というのをしっかりと行っています。あとは、これまでの繁殖歴を調べるために子宮をとって、胎盤痕なんかを数えたりということを行っております。あと、遺伝的情報も大学との連携をとりながら解析をし、調べております。現状の把握をしっかりしながら、最終的には、この計画をどういうふうに進めていくのかということに生かすようにしております。
 次、お願いします。
 現場からのこういった現状と技術あるいは対策の内容というのをお話しさせてもらいましたけれども、ここでは、私たちがこれまでの活動を行いながら感じたことを現場からの提言ということで、少し整理してみました。5つあります。
 1つ目が、担当官の保護管理への正しい理解というものです。担当官というのは県であったり市町村であったりということになるんでしょうけれども、担当官が保護管理政策に関して無知である、余り理解が得られないということであれば、幾らよい計画があっても現場でなかなか動かないということがあります。特に市町村レベルの担当者でこの状況が多いと思っています。
 市町村の担当者が、例えば生息動向とか捕獲、被害などの情報の重要性というのをしっかりと理解していなければ、また、その下に情報提供を求める猟友会の皆様とか、そうした人に重要性を伝えることもできない。それで、結局正確な情報を吸い上げることができないというようなこともあり得ると思います。あとは、我々もあったんですけれども、町の担当者の方が議会で、今これだけのことをやっているということをちゃんと説明ができないんですね。それで、つくはずであった予算がつかなかったというようなこともありました。ですから、ここの正しい理解というのは重要だと思います。
 あと、専門スタッフの雇用です。これ、軽井沢の私たちのチームの仕事をお見せしましたけれども、ここの部分です。日常的に保護管理や緊急対応というのを行うスタッフがいれば、市民の安全と安心も含めて、被害を未然に防いだり、また小さくしたりということにもつながりますので重要だと思います。
 あとは、やはり科学的な調査、モニタリングというのが重要です。主観とかうわさにどうしても惑わされたり流されたりというような、そういったものでの被害対策あるいは被害傾向というものの把握というのはかなり危険だと思います。対象動物の生息の動向とか被害の情報、あと対策の効果というようなものの調査とかモニタリングをしっかりとして、科学的な根拠に基づいた保護管理政策を行う必要があると思っています。
 あと、総合的な対策。私たちも行っている部分ですけれども、駆除とか学習放獣、追い払いなどの野生鳥獣に対する対策だけではなく、普及啓発、あと事前予防策ですね。あとは、もちろん生息地の管理というようなものも、あわせて推進していく必要があります。そのためには、関係部局になるんでしょう、鳥獣担当、あるいは私たちの部分だとゴミの部分ですから環境衛生、生活というような部局、あと農林水産部局というようなものの連携が必要になってくると思います。
 5番目として、国、隣接県、市町村との連携というのがあります。これらは、私たちがやっていく中でも、私たちの町は大半が国設浅間鳥獣保護区という、あと、国立公園の中なんですけれども、この対策のほとんどの予算は町から出ています。あとは、クマはかなり広いエリアを動きますので、その部分で行動していく地域、例えば軽井沢ですと隣県の群馬県というようなところとの連携というのが、うまくとれないときもこれまでありました。
 この5つがあるんですけれども、これらの中から、特に今後、全国的な動きの中で鳥獣の保護管理政策というのを進めていくときに重要な要素だと思われるものを次に挙げてみます。4つあります。
 保護管理政策のための予算の確保、担当官の技術・知識・意識の向上、現場の担い手、国民・行政官の意識の改革です。これ、先ほどもお話ししてきた部分と重なる部分があるんですけれども、まず最初の予算の確保というのはこれは当然の部分で、結局、今、法的なこととか条例の問題以上に計画を実行する予算がないということで、そして人的な体制もないというようなことで、現場で、例えばクマですと農林業被害とかいろいろな被害が起こったとしても、クマの無差別な駆除というのを防ぐことはできないと思います。やはり、ここの部分は非常に大切だと思っています。
 あと、2番目の担当官の技術・知識・意識の向上、これは先ほどもお話ししたとおりです。やはり、この部分をしっかりと今後やっていかなきゃいけない。例えば、担当官あるいは専門官を置いた場合に、専門官ですと、例えば異動が少なく、ある地域でずっと継続して対策あるいは計画を進めていくことができればいいんですけれども、担当官の場合は数年間でまたかわってしまうことがありますので、そういった場合は十分な引き継ぎ期間、あるいはまた新たに担当者がかわったら保護管理に対するさまざまな技術・知識の研修というのが必要になってくると思います。
 あと、現場の担い手です。私たちのような部署を言うと思うんですけれども、もし行政の方で現場の担い手が担えない場合は、民間企業とか団体というのに任せてもいいと思います。専門家を含む行政が科学的・計画的な管理策と指導・監視・協力体制をしっかりと確立すれば、保護管理に取り組む民間企業とか団体というのも現場の業務をしっかりこなすことができるのではないかと思っています。
 あと、4番ですけれども、国民、行政官の意識改革。国民も含めて、あと行政の方もそうですけれども、野生動物そのものへの理解、共生への意識を教育する試みが必要だと思っています。この場合、漠然とした環境教育ではなくて、より具体的な野生動物やその保護管理についての教育というものをする必要があるんではないかなと思っています。あと、鳥獣の保護管理には予算が必要であるということも含めて理解を求めていくことが必要だと思っています。
 あとは、学校教育のカリキュラムの中なんかでも、先ほどの話でもありましたけれども、しっかりとこういったことを考えたり議論したりする場というのをつくり上げていく必要があるんではないかなというふうに思っています。この野生動物の問題というのは人の問題でもありまして、価値観が変われば全くがらっと状況が変わっていくということもあり得ますので、非常に重要だと思っています。
 次、お願いします。
 これが最後ですけれども、私たちのような民間団体として担える役割ということで、もちろん各種調査、モニタリング、あとは現場での直接的な対応も提供できると思います。あと、保護管理技術の普及をしていくときにも、もちろん私たちが担える部分だと思っています。普及啓発という部分に関しても担えると考えております。
 以上です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 多少時間が超過していますので、質問があれば1つだけ。佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】 ちょっとお伺いしますが、今、クマの個体管理等について大変ご努力いただいていて敬意を表したいんですが。捕獲をして奥山に放獣するというのは非常に危険な作業だと思います。そこで1点、お伺いしたいんですが、クマの習性というものは縄張りというのが非常に強い、自分の縄張りを守る習性があるんですが、奥山に放獣した場合、他の縄張りに仮に放獣した場合に、もう一足飛びに逃げ帰って、また前の里山に戻ってくるというようなことをよく言われるんですが、その辺のモニタリング調査ではどうなんですか。

【参考人(田中)】 そうですね。実は、町の中でも放獣できるポイントというのは限られていて、なかなか検討するに値しない部分はあるんですけれども、やはり今、2カ所ぐらいしか町内で放していいという合意が得られる場所がないんですよ。ですから、なかなか調べることが難しいということと、結果的に、縄張りの問題もあるとは思うんですが、結局、奥山で放獣した場合には、現場に出てきて、ここに出てきちゃだめだということで捕獲をした場所なんですけれども、そこの恐怖感とかというものは、全く警戒心というのを学んでいないんですね。ですから、やはり戻ってきてしまうというのが多いのが現状です。ですから、私たちは現場で追い払える手段をベアドッグという形で持ち合わせて、スタートしたということです。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 時間が押しておりますので、まだ質問があるかも……。それでは、もう一件だけ。それでは、三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 いいですか。私も多彩な活動には敬意を表したいと思うんですが、そこで確認したいんですが、これ、クマの保護管理全般がピッキオの活動で今行われているということで、最終的には事故も起こってくる可能性を持っているわけですね。そのときに、委託者である市町村とピッキオの、先ほど現場の担い手、これは場合によっては民間に任せる場合もあるとおっしゃっていて、この点はいいと思うんですが、捕獲権限を民間も持つのか、それから、その際の地方自治体の、特に市町村の責任とは一体何なのかといったあたり、いかがでしょうか。

【参考人(田中)】 そうですね。非常に難しい部分なんですけれども、実際に、こういった危険を伴うような仕事、あるいは町民の安全を守るような仕事の中で、なかなか、何か起こったときというのは、やはりこれは町の委託の中で行っていますので、軽井沢町として対処していくということもあるんですけれども、私たち自身の業務上の責任というものと、あと、市町村あるいは関係部署の中での責任の明確化というのはしっかりと行っておかないと、そういった最悪の事態が起きたときに対応し切れない。私たちの中でも、軽井沢町というものが主体となりながら、この事業を行っています。
 捕獲に関しては、今は捕獲権限というものは、私たちも国立公園のエリアの中では環境省の方からいただいていて、軽井沢の中でもほかの地域では長野県の権限の中で捕獲を行っている状況です。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 時間で打ち切って申しわけないのですけれども、ここで休憩の時間が設けられているんですけれども、大分、休憩の終わる時間になっていますので、引き続きやらせていただいてよろしいですね。

(了承)

【岩槻委員長】 そういうことで、次へ進めさせていただきます。
 次は、自然保護NGOから野生生物保護法制定をめざす全国ネットワークということで、お願いします。

【参考人(吉田)】 野生生物保護法制定をめざす全国ネットワークの世話人の吉田と申します。
 本日は、こういった審議会の野生生物部会小委員会の中で私どもの意見を述べさせていただく機会をつくっていただきまして、ありがとうございました。
 この、まず非常に長い名前の団体なんですが、お手元に今パンフレットをお配りいたしましたが、この団体は、簡単に申し上げますと、1999年の国会における鳥獣保護法改正の活発な議論の中で、鳥獣保護法の抜本的な改正を含む野生生物保護法制の体系的確立をめざして発足した団体でございます。45の団体のネットワークでつくられておりますけれども、日常の運営は世話人会が行っておりまして、全部の45団体は書けませんけれども、こういった団体が世話人の属する団体でございます。こういった45の団体を代表して説明させていただきます。
 次、お願いいたします。
 今、映っておりますものですけれども、「鳥獣保護法 ここを変えたい!!9項目」というものを昨年5月に出しまして、委員の皆様にも郵送させていただいたところですけれども、時間的な限定もございますので、この中から6項目、鳥獣の種の区分に関する提言、野生生物の広域的保護管理に関する提言、人材の育成と配置に関する提言、狩猟の場に関する提言、わな免許に関する提言、野生動物の取引規制に関する提言、この6つを説明させていただきたいと思います。
 次、お願いします。
 この2002年の鳥獣保護法改正によりまして、第1条の目的の中で、「・・・もって生物多様性の確保に・・・寄与する」と、そういう目的が加わりました。ところが、現状では、まだ、鳥獣の区分というものが狩猟鳥獣と非狩猟鳥獣という2つでございまして、例えば狩猟鳥獣の中には、狩猟対象種として安定的な維持を図る種もあれば、根絶を図らなければいけない外来種もまじっているというのが現状でございます。また、外来種や農林被害で管理をしていかなければいけない種も、その両方にまたがっているという現状でございます。これ、野生鳥獣保護管理検討委員会の中でも提言がございましたけれども、やはり、この法律の目的に合ったような形で種の区分というものを変えていかなくてはいけないんじゃないか。
 保護種の中でもレッドデータブックに載っているような絶滅危惧種、あるいはCITES、CMS、移動性の動物の保護に関するボン条約、こういった国際保護種に関するものは別のカテゴリーにすべきでしょうし、それから、現在、狩猟鳥獣あるいは非狩猟鳥獣、両方にまたがっております外来種、被害管理が必要な種、それから狩猟の対象となる種、こういったものについても、それぞれの最終的な管理目的に合わせたカテゴリーに分けるべきであると考えます。被害管理種というのが一番、今、問題になるかと思うんですけれども、例えばサルについては今は非狩猟鳥獣ですし、クマについては狩猟鳥獣になっておりますけれども、こういったものについて独立したカテゴリーにして、国も関与して安定的な維持を図るとともに被害を防いでいくということを行わなければならない種というのがあるわけでございます。そういったカテゴリーに変えるべきであると思います。
 次、お願いします。
 また、第2条で「『鳥獣』とは、鳥類又は哺乳類に属する野生動物」という、そういう定義に変わったこと、これは大変評価できることだと思うんですが、残念ながら第80条で、適用除外ということで「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣」、それから「他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている鳥獣」というものが適用除外になっているわけでございます。
 次、お願いします。
 まず、ジュゴン、アシカ、アザラシ、こういったものについては対象になることになったわけでございますが、トド、ラッコ、オットセイ、クジラ類、こういったものについては適用除外になっているわけです。ただ、「他の法令による」という部分を見ていただければわかりますように、それほど違いはないわけですし、それから適切な保護管理がなされているかというと、商業的な価値が低い種ほど余り調査をされておりませんし、例えばクジラ類なんかですと、コククジラの西側個体群などについては、このまま毎年雌が死んでいけば絶滅のおそれがあるにもかかわらず、そういった調査ができていない。やはり、これは、最終的には私どもは80条を削除してすべての海生哺乳類を鳥獣保護法の対象にすべきだと思っておりますが、その中間的段階で、まず適用除外種を定期的に見直す科学委員会のようなものを設置して、科学的に見て適用除外が妥当なのかどうかというのを適切に判断していくべきだと考えます。
 次、お願いします。
 2番目の提言ですが、現在、99年の改正によりまして特定鳥獣保護管理計画が設定できるようになりました。
 次、お願いします。
 ただ、都道府県アンケート、これは環境省でも行っておりますし、私たちのネットワークでも都道府県アンケートをさせていただいておりますけれども、この特定計画で効果があったというのは、特定の種の個体数調整、具体的にはシカの数の調整、そういったものには効果があったと評価がありますけれども、被害管理、生息地管理に関しては、まだ評価できる段階にない、あるいは効果はまだ上がっていないという、そういう回答がほとんどであるわけです。ですから、野生生物保護管理には、個体数管理だけではなくて被害管理、生息地管理、この3つが合わさって初めて野生生物保護管理になると思うわけですが、こういった被害管理、生息地管理をするには、種別の特定鳥獣保護管理計画から、その複数種を対象とした野生生物地域管理計画に統合すべきではないかと思うわけです。
 一例を挙げますと、被害管理に関しては、地域に行きますれば防護柵というものは、下の方はイノシシの防護で掘られないようにつくってあって、真ん中あたりはシカの防護、そして上の方はサルの防護という形で、複数の種に対応するような防護柵がつくられているわけです。ですから、被害管理というのは種別につくるということではなく地域別につくるべきですし、それから、先ほどいろいろお話がありました針葉樹を広葉樹林化して里地への依存を防いでいく。そういった生息地管理に関しても、農林部局と環境部局が一緒になってつくっていった方が効果が上がるわけでございます。
 次、お願いします。
 現在行われております特定鳥獣保護管理計画のイメージ図を書きましたが、1つの山塊をまたがって2つの県があった場合でも、都道府県知事が任意計画として特定鳥獣保護管理計画をつくるということですので、仮にA県、B県としますと、A県の方ではニホンジカ、ニホンカモシカ、イノシシ、ニホンザル、ツキノワグマ、それぞれについて管理計画をつくったと。ですが、B県の方ではニホンジカとイノシシについてのみで、サルとかツキノワグマとか、そういったものについてはつくらないとか、そういったまちまちなことがあるわけです。そして、その協力関係というものについてもやはり総合的な計画が必要であって、例えば、ある北関東の県では、こちらのA県とB県で使っているモニタリングのメッシュの大きさが違うので、それを合わせて検討することはできない、そういったこともございます。
 次、お願いします。
 そういったことで、私どもとしては野生生物地域管理計画という形にして、むしろ、この都道府県の境界をまたいで鳥獣保護区の設定、生息地の保全、個体数の管理、被害防止、それから県境をまたいだ野生鳥獣関係者機関の協力に関する計画が立てられるような制度にしていただきたいと思います。実際、これ、平成18年になりますと、鳥獣保護事業計画にプラスして各種ごとの特定鳥獣保護管理計画を都道府県ではつくり直さなくてはいけない時期に入ってくるわけでございまして、わずか数人の担当者がこの幾つもの計画を1年間に全部つくり直さなくちゃいけないというと、非常に大きな負担になってまいります。そういったことからいっても、むしろ、この地域管理計画という方が妥当であるんではないかと思います。
 次、お願いします。
 3番目ですが、人材の育成と配置に関する提言です。
 現在、狩猟者人口が70年代をピークに半減しておりまして、そしてその年齢構成も50歳代、60歳代以上が75%以上を占めているということで、減少だけではなくて高齢化しております。それから、これまでは野生生物の問題といえば鳥獣による農林業被害の防除が中心であったために、狩猟者が野生生物の保護管理(捕獲)を担ってきたということがあるわけですけれども、鳥獣保護法の目的に生物多様性の確保というものが加わって、野生生物の問題も、外来種問題、希少種の保護、それから国際条約への対応など、多様化しております。そういった面で、科学的保護管理ができる専門家の配置というものが絶対不可欠になってきているというのが今の現状です。
 次、お願いします。
 現在、都道府県には鳥獣保護担当職員が配置されておりまして、ただ行政職、林業職の職員などの方が中心で3年前後で異動しているというのが実態ではないかと思います。また、鳥獣保護センター等において野生生物の専門職員や獣医を配置している県もふえておりますけれども、環境省の調査では全県平均で哺乳類0.9人、鳥類0.7人ということで、非常に少ない現状です。
 また、鳥獣保護員として各市町村1名を目標に全国で3,000人ほど委嘱されておりますけれども、ほとんどが狩猟団体に属する狩猟者の方であって、最近になって一部の都道府県で公募制などを取り入れて非狩猟者の方にも委嘱するようになってきて、非常に活性化してきているということを伺っております。
 人材配置に関する費用ということが非常に問題になるわけですが、多くの都道府県では、担当職員には一般会計から給与が支払われているのが多いと思いますが、狩猟税からも18億円ほど職員費に充てられている。それから、鳥獣保護員の委嘱に6億円、キジなどの放鳥費に4億円が充てられております。
 次、お願いします。
 私どもとしては、野生生物保護専門員それから鳥獣保護推進員というような制度を提案します。まず、専門家の配置を推進するために野生生物保護専門員の資格というものをつくり、こういった資格を持った人が例えば都道府県などでも比較的長くその担当部署にいられるように、そういう制度になってほしいなと思っております。それから、自然保護センター、鳥獣保護センターなどにも野生生物の専門家の配置というものがもっとふえてもらいたいと思いますし、鳥獣保護員制度も熱意を持った公募による人をふやすために鳥獣保護推進員というような制度にしてはどうかと思います。
 こういったときには、そういった予算がないということが必ず問題になりますけれども、現在、目的税の中からだけでも職員費18億円、鳥獣保護員の委嘱費6億円、それから、私どもからすると、もうこれはやめてもいいんじゃないかと思われる放鳥費4億円というもので、合わせれば28億円、人材配置に使える原資というものがあるわけです。もちろん、これは今でも鳥獣保護センターなどにおける専門家の配置に使われている額も当然含まれているわけですけれども、もう一度こういったものを考え直せば、専門家の再配置ということにも使えるのではないかと思います。もちろん、今後、人と野生生物の境界線が変わってきて、もっと野生生物保護管理に一般会計から出さなくちゃいけない、そういう世論をつくっていく必要も同時にあると思います。
 次、お願いします。
 3番目は、狩猟の場に関する提言です。「乱場制を廃止して科学的な管理へ」ということが書いてありますけれども、昭和53年の自然環境保全審議会において、現在の狩猟を制限する場を指定する制度から狩猟が可能な場を指定する制度への変更というものが議論されましたが、合意には至らないで、現在は鳥獣保護区、銃猟禁止・制限区域、市街地、公道、公園、墓地、そういった場所以外では狩猟ができるということになっているわけです。そういった、猟区以外の狩猟ができるところは「乱場」というふうに呼ばれております。
 実は近年、狩猟事故が非常に増加しておりまして、これは狩猟者の高齢化による自損事故というものがあるわけですけれども、農作業中ですとか林業の作業中に事故に遭う、いわゆる乱場における第三者への事故というのも数多く起きているわけでございます。この乱場における狩猟というものは自由狩猟ですので、その事故の心配ということもありますけれども、それだけではなくて入猟者の数の制限とか獲物の種類や数、狩猟方法などの制限というものが非常にしにくいということで、それから捕獲の報告も免許の返納時ということで非常にリアルタイムの狩猟データが集めにくい。したがって、科学的保護管理につながらないというようなことがございます。以上の理由から、狩猟の場のあり方を見直すべき時期に来ているんではないかと思います。
 次、お願いします。
 これが現在の狩猟制度で、これは、もう皆さん、説明の必要はないかと思いますけれども、鳥獣保護区を初めとする鳥獣保護のために狩猟ができない地域、それから市街地を中心とする安全のために銃猟などが制限されている地域以外のところは、どこでも狩猟期間中であれば狩猟が可であるわけですが、これに対して私どもが提案しますのは、鳥獣保護区など野生生物の保護・繁殖を図るべき地域を野生生物保護ゾーンとして、それから、現在の経営猟区以外に新たに管理猟区などを設けまして、狩猟が可能な場所を狩猟可能ゾーンとしました。それ以外の場所については人と野生生物の共存ゾーンということで、人の安全のため原則として狩猟ではなくて野生生物による農林被害の防止に重点を置く。そういうふうにすべきだと。これが当ネットワークが提案する制度で、2002年の国会には4万人の国会請願署名を提出いたしました。
 次、お願いします。
 ただ、一方では狩猟の場の減少を危惧する狩猟団体の声、あるいは農林業被害の拡大を危惧する方たちの声というのもあります。そこで、いきなりネガをポジにすると、そういった変換というものがすぐにできなければ、例えば全国をジグソーパズルのように、こういうふうにすき間なく領域ごとに区分けして、そこごとに、どういう保護管理をしていくべきか、あるいは狩猟はどういうふうなものができるか、そういったことを定めていくということで乱場をなくす方向で検討すべきではないかと。これは、丹沢ですとか房総などのシカ問題で、既に地域的にはこういった細かな区分けというのは施行されておりますけれども、こういったものに法的な根拠を与えれば科学的保護管理に資するものではないかと思います。少なくとも、先ほど提案いたしました地域管理計画などができた場所では、そういったことを行うべきじゃないかなと思っております。
 次に、わな免許に関する提言です。8項目が書いてありますけれども、「わな免許取得者のみがわなを架設できる」。当たり前のようなんですが、今はホームセンターなどで免許も確認せずに簡単に買えるようになっております。「すべてのわなに標識の装着の義務付け」。これは、狩猟については義務づけがありますが、有害鳥獣駆除に対しては義務づけが現在ございません。「違法なわなは、撤去できるものとする」。これは当然、違法なわなはとっていいはずなんですけれども、所有権の問題でとれないという問題があって、これは解決しなくちゃいけない問題です。それから、狩猟に関しては見回れるように1回30個とかと数が決まっているんですけれども、有害捕獲でもやはり限度を決める必要がある。それから、錯誤捕獲個体については速やかな放獣の義務づけを設けるんですけど、これに関しては、後ほど申し上げますけれども、放獣ができるようなわなでないと無理なわけです。それから、捕獲個体については苦痛のない方法で致死させる。これは、動物愛護法をやはり野生生物にも、人間の管理下に入ったわけですから適用させるべきであると思います。それから、敷地内での捕獲についても許可を必要とするように。現在、えさを使って敷地内に誘導してとるというようなことも行われているようです。それから、箱わなの中に子どもが入ってしまったとか、そういった事故もありますので、毎日の見回り及び周辺への、こういったところにわなを設置したという情報提供、こういったものが必要になってくると思います。
 次、お願いします。
 具体的にはとらばさみ、これについては、人間あるいは猟犬、そういった人間や動物への危険性というのも高いですし、毛皮獣のためにつくられたのでしょうけれども、今はそういった需要もなくなってきていると思いますので、これについては使用を全面的に禁止する。流通・販売についても禁止していただきたい。
 くくりわなにつきましては、錯誤捕獲については後で放獣できるようにストッパーつきのものに限定し、胴くくり、首くくりは禁止する、ワイヤーの太さが4ミリ以下のものは使用を禁止するということにしていただきたい。
 具体的な写真がございます。とらばさみにかかったツシマヤマネコ、それから北海道でとらばさみにかかったオジロワシ、いずれも種の保存法の対象になっている希少生物がこういった形で捕まってしまっているわけです。
 次、お願いします。
 それから、くくりわなにかかったツキノワグマの子ども、とらばさみにかかったニホンザル、サギ。こういった形で、違法なとらばさみ、あるいは、合法的にやっていても結局は致死させざるを得ない、錯誤捕獲でも致死させざるを得ないという形が行われているわけです。
 次、お願いします。
 そして、わなに関して最後ですけれども、罰則をやはり外来種対策法並みに懲役3年、罰金300万円まで引き上げていただきたいと。やはり、これは人間への危険性ということもあるわけですので、外来種対策法と同額にまで上げる必要があるんじゃないかと思います。また、そのほかの法律で違反をした者については本法においても輸入・販売・譲渡等を一定期間禁止するという、再犯の防止措置もとる必要があるのではないかと思います。
 次、お願いします。
 最後に、野生動物の取引規制に関する提言ですが、もちろん野鳥などについてもいろんな意味で、野生生物保護の視点から、あるいは鳥インフルエンザなんかの防止の視点から全面的に輸入を禁止すべきだと思うんですが、今回はちょっとクマの問題に絞ってお話しします。
 クマについてはクマのユウタンの利用というものが非常に問題になるわけですけれども、こういう胆嚢の形、あるいはこれをすりつぶしたりした結晶とか粉末の形、あるいはこれを含めた漢方薬という形で販売されていますが、野生生物保全論研究会の方でこの供給源について調査しましたところ、海外の野生、それから国内の野生、中国の飼育、国内の飼育――クマ牧場ですね、そういった4つが考えられるわけですけれども、製薬業者が使っているものについては海外野生と中国のクマファームが多い、それから漢方薬で使われているものについては海外野生と国内野生が多いという結果が出ました。
 そして、どこから輸入されてきているかといいますと、カナダ、アメリカ、アラスカ、ロシア、中国、それから西アジア、南アジア、東南アジア、かなり広い範囲から日本に輸入されてくるわけでございますけれども、ホッキョクグマとかアメリカクロクマとかヒグマとかの一部個体群から由来するものを除いてはCITESの付属書Iに掲載されているので、違法と考えられます。
 次、お願いします。
 そういった面で、CITESの付属書Iに掲載されたクマ類の保護のためにも、ユウタン及びユウタンを含む製品の流通・販売というものは全面禁止すべきであると。有害鳥獣駆除の個体については、自家消費といいながら、先ほどのように、かなり国内野生のものも出回っているわけですので、商業ルートに乗らないように厳格な監視が必要であると思います。また、日本国内のクマの駆除数というものは推定個体数の10%にも及んで、昨年はもっと超えているわけですね。ですから、クマ類を狩猟獣から保護獣に移して、個体群管理、被害防止、生息地保全については都道府県だけではなくて国が全国的な保護管理計画を樹立して対処すべきであると考えます。
 以上でございます。ご清聴、ありがとうございました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 具体的な提案を軸にお話しいただきましたので、質問がいろいろあるかとは思いますが、大分時間が超過していますので、1つ、何かありましたら。

【南川自然環境局長】 とらばさみは、結構日本でつくっているのですか。

【参考人(吉田)】 そうですね。

【南川自然環境局長】 そういう業者さんがいるわけですか。

【参考人(吉田)】 ホームセンターのようなところでも簡単に買えてしまうというところが、非常に大きな問題だと思います。

【岩槻委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 次へ進ませていただきます。次は狩猟団体からのご報告で、社団法人大日本猟友会から、お願いいたします。

【参考人(小熊)】 大日本猟友会の小熊でございます。本日は、当方が常々協議いたしているものについて、貴重なこの場をおかりして意見を述べさせていただくことに感謝申し上げたいと思います。
 時間の関係もありますので、配付してあります項目に早速取りかからさせていただきたいと思います。
 まず、1でありますが、休猟区内における特定鳥獣の狩猟による捕獲の容認。今、一般的な可猟地域の中で狩猟を休みまして狩猟鳥獣をふやそうということで、3年を限度に狩猟を休んでいる地域がございます。ところが、その中で、イノシシ、シカ等、非常にふえたものがあって、休猟区の設定がなかなか難しいということで、肝心の主な狩猟鳥であるキジなどを放鳥するための休み場所の設定が難しくなっているということでありますので、そういう非常に害の多いものについては捕獲を認めていただきたいということであります。
 それから2番目、網・わな猟免許を網免許とわな免許に区分した免許の新設でございます。これは先ほど来もありましたが、現在は網・わなを一緒にした免許制度になっております。ですから、くくりわなだけで非常に害を与えるイノシシをとろうとする者は、わなの知識も、それからそれに対応する鳥獣も覚えなくてはならないということであります。これにつきまして、わなでイノシシをとる者限定ということで、その方の知識・技能を高めながら適正な捕獲によるコントロールをできないだろうかということで、当方はわな免許を一応要望いたしております。
 それから3番目、狩猟者登録の要件の損害賠償額の引き上げでございます。これは53年の法令改正のときに3,000万円になっております。このときの3,000万円の設定の1つの目安は、当時、自賠責が2,000万円でございました。この2,000万円を、狩猟は少し特殊だということで1,000万円を上乗せして3,000万円にしたいきさつがあると、私は当時からおりましたので聞いております。現在は自動車の方が3,000万円になっておりますので、そういうことでそろそろ見直して引き上げてはどうかということであります。最近の例を見ますと3,000万円を超えている件数も結構ありまして、7,000万円、8,000万円の賠償請求の例もかなり見られております。そういうことで、見直していただきたいということであります。
 4番目、くくりわなの安全基準と錯誤捕獲防止基準の設定。先ほど来もありましたが、くくりわなにクマがかかるおそれがある、あるいは、人が近くを通ったときに装置が外れてけがをすることがあるということで、この2つの安全基準を考えていただきたいということであります。クマについては、ある県で上下4本の足の開いた数値のデータなどがありますので、クマの足が入らないような直径のくくりわなの構造も考えられるということであります。もう一つは、人に対する安全性は、ワイヤーをはねるときに鉄のアームが地べたに水平になっているものを90度ぐらいにばねではねさせるんですね、その場合のアームの長さが非常に長いものがあるわけです。したがって、余り長いと人の腹部なり顔などを傷つけますから、四、五十センチぐらいでも操作ができるということの専門家の意見もありますので、そういうことも含めながら錯誤捕獲と安全の面。
 それから、先ほどの方も言われていましたが、足は最後まできっちり絞まらないように、それも器具で絞まらないような器具がありますので、そういうことも含めて、間違ってかかった場合に、眠らせて足をほどいてどこかへ持っていくというような方法で錯誤捕獲対策ということであります。
 5番目、銃猟禁止区域・銃猟制限区域内における特定銃種による狩猟の容認。これは、最近は銃猟禁止区域が結構ふえておりますが、その中でも小型の鳥類などが非常に多いということがありますので、例えば空気銃などはある程度は認めてもらって、その方の被害の軽減が図れるだろうということでございます。
 それから6番目、鳥獣保護管理の担い手となる狩猟者の育成・定着対策でございますが、最近は少子高齢化と、人口動態がそうなっておりますが、狩猟者の方も減少し高齢化も進んでおります。したがいまして、有害鳥獣捕獲で協力する場合の捕獲編成がなかなか難しいというところの地域も、二、三、私どもも聞くわけでございます。したがいまして、そういう鳥獣保護管理の担い手の育成ということで、次に4つ掲げております。
 まず、狩猟免許試験を受ける者を対象とした検猟を行う講習会に対する支援でございます。現在は県知事が試験を行います。その試験を受ける前段は、公的には教育機関がありませんので、54年から都道府県猟友会にいわゆる予備校をやってもらっていますが、これもなかなか、最近は財政状態も厳しくなっておりますので、会場費等の支援をしていただきたいと。それには昨年、狩猟関係の税金も狩猟税ということで目的税になっておりますから、十分、その方の手当てが可能だということを私どもは考えております。
 それから、2つ目でありますが、猟銃等講習会の開催の支援であります。これは当然、猟銃でございますから環境省でなくて公安委員会、警察庁関係でございますが、ただし、狩猟の主なる猟具は散弾銃、ライフル銃でございます。空気銃が入りますけれども。この方は、都道府県公安委員会が猟銃等講習会をやりまして、修了後にテストを行って合格しなければ申請許可となりませんが、この方も修了者・合格者が非常に最近は数が少なくなっております。場所によっては、10%、20%の合格率しかない。
 また、我が県は80、90%合格していると言いますけれども、そのパーセントの分母の数が少ないんですね。ですから、幾ら100%でも、10人の10人では、これはもう数が限定されますので、そういうことに対する手当てでございますが、それには公安委員会の方の改善を望む前に当方が何をやったらいいかということであります。そこで、都道府県猟友会に猟銃等講習会の講演会をやる前に同じような講習会をやってもらって、そこで十分な知識と技能と、それから、銃を持ったときの心構えなどを教えまして、その者に公安委員会の講習会をもう一回受けてもらうということで善良な銃器を所持する銃猟者の育成を図りたいということで、この辺の会場その他のものを先ほどの講習会と同様の方法でご支援いただきたいということでございます。
 それからあと、は狩猟をやった人の定着対策として、[3][4]と挙げてあります。
 まず、狩猟免許試験。この方は、平成11年ごろに都道府県の担当官にいろいろなアンケートをとった中で、半数ぐらいが、やはり5年ぐらいしてもらわないとなかなか定着しにくいという回答も得ております。そういうことがあります。それから、行政上の合理化等もありまして、お考えをいただきたいということでございます。
 それから、[4]猟区の有効活用でございます。初めて免許を取りまして狩猟者登録した者が単独で猟場へ行きましても、なかなか思うような猟ができません。そのときに猟区があれば、そこで猟友会が世話をして実猟の研修を行うということであります。
 猟区は、最近の統計で、いわゆる調整猟区が32カ所、それから放鳥銃猟区が3カ所で、現在、35カ所しかありません。ところが、昭和50年ごろは90カ所ぐらいあったのです。今の3倍の数字がございました。それが、今は3分の1になって、減っております。これもやはり運営方法とかいろいろな問題があって、なかなか成り立たなくて減少しておりますが、これを最低、都道府県に一、二カ所つくっていただいて、初めて登録をした者を、まずそこへ呼んで、実猟、現場による知識と技術の習得を実地に教えるということで、定着と善良な狩猟者の育成を図ったらどうかということであります。
 ただ、それと、もう一つ、猟区の場合に、今の実地研修をするのは狩猟の期間の前1カ月ぐらいを、まずしていただく。当方は、猟区の場合に、狩猟の前の1カ月、後ろの1カ月ぐらいで開いていただかないと、なかなか経営も難しいわけであります。ただし、全部、一般に住んでいるものをとるとなると、なかなか抵抗もございますから、一般猟期の前と後ろは放鳥獣のものに限る、それで、一般猟期の間は一般狩猟鳥獣を捕獲してもいいだろうというようなことでいかがなものかというふうに考えております。
 それから、管理規定と設定手続になかなか厳しいところがありますので、見直しを検討していただきたいということであります。
 7番目、特定鳥獣保護管理計画の推進でございます。
 狩猟者の活用によって農林業被害の軽減を図るということであります。特定鳥獣保護管理計画の一番、捕獲の方で目立つといいますか取り上げられておりますのは、狩猟鳥獣ではイノシシとシカでございます。これがまだなかなか普及しないで、有害鳥獣駆除にかなり頼っているところもあります。なかなか設定手続が難しいというのを聞いておりますが、その辺を合理的な方法で、狩猟者を活用することによって、その後の有害鳥獣駆除の被害と経費の節減につながると、こう思っております。
 それから、知事による狩猟鳥獣の指定でありますが、これは環境大臣等が狩猟鳥獣以外の被害が非常に多いものを指定して、その中から地域によって県知事が指定をして狩猟でとらせるということにしませんと、今、問題になっておりますカワウ、これは全国的に見ますと生息地も数もそう多くないようでありますので、県によっては希少種に指定しているところがあるんですね。ところが、県によっては非常に被害に困っている。内水面では年間十何億ですか、かなり被害があると、困っております。ただ、トータルでだめだと言われていますから今苦労しているわけですが、そういうのは指定した中で非常に被害の多いところの知事が、我が県はこれはやるということにした方が合理的じゃないかというふうに考えております。
 以上、取り急ぎましたが、時間の関係もありますので一応ご説明を終わります。ありがとうございました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 ご質問、お願いいたします。

【市田委員】 ちょっといいですか。

【岩槻委員長】 どうぞ、市田委員。

【市田委員】 7番の[1]なんですけれども、ちょっと意味がよくわからないんですけれども、どういうことですか。今、特定鳥獣保護管理でも、猟友会の人が応援してやっているわけではないんですか。

【参考人(小熊)】 やっておりますけれども、その計画が進まないものですから、結局、有害鳥獣捕獲の方に頼るケースが多くなっていますので、その辺を申し上げたのです。

【市田委員】 わかりました。

【岩槻委員長】 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、時間が大分押していますので、最後へ進ませていただきます。最後は鳥獣輸入業者の側から、日本鳥獣商組合連合会さんからご報告をお願いいたします。

【参考人(甲羽)】 日本鳥獣商組合連合会の理事長の甲羽と申します。今までの発言者とは内容が大分違ってきますけれども、よろしくお願いします。
 鳥獣輸入商となっていますけども、皆さんの手元にありますプリントの内容を見ていただきますと、小鳥屋の全国組織であるというのが本当のところで、その中に輸入業者ももちろん入っております。
 概略を申し上げますと、昭和27年、在京卸問屋と有力小売店が中心となって、全国鳥獣商組合連合会というものが結成されております。そして、その後、昭和40年ごろから業界の円熟期に入りまして、33年には東京都の鳥獣商組合が協同組合として発足しているということです。そして、この東京都の組合が中心になりまして全国募金をして、非常に立派な、小鳥の、鳥獣の慰霊碑をつくったと。両国の回向院に、農林大臣の赤城宗徳先生の揮毫で非常に立派な供養搭ができております。それから、昭和40年に至りまして、これは全く空前絶後と言われておりますけれども、「世界の珍鳥展」という大展覧会を京王百貨店の7階ワンフロア全部を借り切って、そういう行事も行っております。そうした直後、昭和45年に、略して「日鳥連」と申しますけれども、私どもの組合が結成されたと。
 そういうすばらしい、戦後の日の出の勢いの中での組合活動といいますか、東京都の協同組合が中心となって結成した日鳥連でございますが、そうした業績を認めていただいた結果、ごらんのようにタイ国に調査団を派遣し、翌年にはインド、スリランカに市場調査ということで、大体当時の金額で300万から350万円くらいの補助をいただいて、5名で20日間くらいの調査旅行を実施しております。
 それから、日鳥連の活動の内容といたしましては、現在活発な活動をしております愛玩動物協会を日鳥連がつくったということで、これはもう、隆々発展して、動物愛護関係の団体の中心となって活動しております。
 それから、戻りますけれども、46年には鳥獣輸入証明書の取り扱いを環境省からお認めいただいて、現在もこれを発行しておりますが、そのことについても非常に立派な業績であるということと同時に、当時は政府としても、[4]の5行目ですか、ここに書いていますけれども、政府は、行政簡素化の流れの中で環境省が実際に手を出すというか、環境省の管轄でこれを取り扱うということは無理があったので日鳥連に任せていただけたという経緯だと考えております。
 それから、先ほど申し上げました愛玩動物協会の結成でございますけれども、その愛玩動物協会をつくる前から、私どもは取り扱い業者の登録制というものを提唱しました。これは、動物の保護及び管理に関する法律ができたことを受けて、業界のレベルアップというか、そういう考え方のもとに、動物飼養管理士という制度を設けて、そして登録制にお願いしたいという提言をしたわけでございます。ところが登録制は、先ほども申し上げましたように、規制緩和の時代に新たな法律をつくるということは無理だということで、動物飼養管理士の制度だけを実施したという経緯でございます。
 それから、これは非常に大問題になったことでございますけれども、皆さんもご存じのようにオーム病が40年、50年ごろに発生しまして社会問題化したといいますか、新聞ニュースなどでも大きく取り上げられたなりたちがございます。日鳥連は、そこに名前も載っていますけれども、関東逓信病院の除先生とか関根先生とか、そういう当時の一流の先生にお願いして講習会を開いて、テトラサイクリン系抗生物質を添加した飼料「ペットリン」というものを開発して対応したという経過がございます。ただ、テトラサイクリンは抗生物質でございますので、これはまかりならんということで、この「ペットリン」は現在は抗生物質を添加しておりません。ただ、そうした努力の結果、日鳥連の会員の中からオーム病の発生ということは、以後、見ておりません。
 日鳥連の歴史については以上で終わりますが、現在の輸入証明書の発行はどうなっているかということの方が先生方も関心があろうかと思いますので申し上げますけども、最近の鳥インフルエンザの関係もございまして、限りなく輸入はゼロに近いということでございます。したがいまして、現在の私どもの輸入証明書の取り扱いに関しましては、最盛期の5分の1まで減少しております。したがいまして、これ、ことしは何とかなるとは思いますけれども、来年あたりからは、もう機構改革も徹底させて対応していかないと、具体的に申し上げますと赤字経営になるという見通しでございます。
 したがいまして、平成13年に中国からの輸入が途絶えましたから、ようやく5年たったところで5分の1でございます。したがいまして、あと5年でゼロになるという計算が成り立ちます。ですから、私どもは、率直に申し上げますと、日鳥連の役目はあと5年で終わるだろうという見通しを持っております。ただ、5年よりはもう少し先になるかとは思いますけれども、そういう状況下にございます。
 それで、私どもは、日鳥連がそういう形で任務を完了するということであれば、名前すら残らない時代が来るということを危惧しております。それで、私は、これは以前から言われてきたことではございますけども、日鳥連の会員が持っている技術で繁殖を試みるということは以前から話があったんでございますけれども、この辺で本格的に野鳥の繁殖の道を模索したいと、具体的にこれを実施してみたいという考え方で、現在おります。したがいまして、先生方にいろいろ、またご面倒をかけるようなこともあるかと思いますけども、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、最後になりますけども、資料の中に輸入証明書を発行することになった経緯についての文章を入れてありますけれども、一番最後のところに通関証明と、それから、それを理事が確認をして、そして日鳥連が発行台帳をつくってという発行の順序がわかるようにプリントを入れておきましたけれども、そもそもの輸入証明書の発行は、いわゆる通関証明が土台になっているんだということをご理解いただければと思って、入れておきました。
 以上、何かとりとめのない、あっちへ行ったり、こっちへ行ったりの説明でございましたけれども、日鳥連の活動について申し上げました。ありがとうございました。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 ご質問はございますでしょうか。市田委員、どうぞ。

【市田委員】 いただいた資料の中の6ページの7ですけれども、輸入証明書の有効期限が2年間ということで、その更新の手続が書いてあるんですけれども、更新をするときは、その鳥が生きているか生きていないかというのは確認なさるんですか。

【参考人(甲羽)】 これが一番、この証明書の発行することになった時点でも非常に議論された問題でございますけれども、証明書が全国に散らばっております。したがいまして、この鳥の生存確認ということは、私どもがやっても環境省さんがやっても、だれがやっても無理だということで、いわゆる良心を信ずるといいますか、証明書のこれはもう生まれながらのウイークポイントでございまして、そういう、非常にあいまいな形でスタートしております。

【岩槻委員長】 ほかにいかがでしょうか。

(なし)

【岩槻委員長】 特にご質問がなければ、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 予定より、ちょっと時間が余ってしまって。後で話を聞いて、以前の説明をいただいた方に改めて質問したいというようなことがありましたら、退席された方もありますけど、いらっしゃる方に伺うチャンスはあるんですが、何か、そういうご質問はございますでしょうか。
 特にそういうご質問がなければ。長時間のヒアリングでお疲れかもしれませんけれども。

(なし)

【岩槻委員長】 ご説明いただきました諸団体の方々、どうもありがとうございました。いただいたご説明を、できるだけ今後の議論に生かせたらというふうに思いますけれども、本日はどうもありがとうございました。
 それでは、午前中のヒアリングをこれで終わりにさせていただいて、進行を事務局の方へ。

【事務局(中澤)】 大変お疲れさまでございました。また、説明をしていただいた皆さんにおかれましては、どうもありがとうございました。
 
午後の審議は1時半からで予定しておりますので、こちらの方で再開いたしますのでよろしくお願いいたします。

(休憩)

(再開)

【事務局(中澤)】 それでは、午後の部の審議に入らせていただきたいと思います。
 午後の部でございますけども、石井委員の方からご欠席というご連絡をいただいております。
 それから、午後の部の資料を、机の上に配付させていただいております。資料の確認をさせていただきたいと思います。
 封筒の中に、会議次第がございます。配付資料一覧がその一番下にございますが、まず、資料1−1でございます。現地調査報告(栃木県)、資料1−2、現地調査報告(島根県)、それから資料2−1、特定鳥獣保護管理計画の実施事例、資料2−2が特定鳥獣保護管理計画制度の充実に向けた対応(案)、資料3といたしまして、市町村への許可権限委譲の現状でございます。
 もし資料に不備がございましたら、事務局にお申し出いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、岩槻委員長、よろしくお願いいたします。

【岩槻委員長】 それでは、午後の部といいますか、委員会の方に入らせていただきます。
 きょうの最初の議事は、そういいながら午前の引き続きみたいですけども、先週、先々週と、それぞれ栃木県と島根県とに現地調査に赴きまして、参加していただいた委員の方には復習になりますし、参加できなかった方にはどういうことをやってきたかということのご報告になるのですけれども、まず、その現地調査の報告を事務局の方からお願いいたします。

【事務局(中澤)】 それでは、鳥獣保護管理小委員会委員による現地調査の概要について、まず最初に、栃木県での現地調査についてご説明させていただきます。
 栃木県での現地調査でございますが、平成17年10月25日に行いました。参加された委員の方々は、岩槻小委員長、石井委員、磯部委員、佐々木委員の4委員のご参加をいただいております。
 まず、現地視察といたしまして、栃木県那須烏山市の那珂川で、矢沢やな場のカワウ被害地に参りました。矢沢やな場は、明治時代より続いている場所でございまして、人の立ち入りの少ない、やな上部の深場に飛来して採餌しているところでございます。ちょうどこのあたりにカワウがよくあらわれて、採餌行動があるというところでございます。昔は、川沿いにカワウが飛来してきたのですけれども、最近は市街地の上空にも移動するようになってきたというような話がございました。ここは、那珂川なのでございますが、鬼怒川――もう一つ栃木県内の内水面漁業で重要なところですけども、鬼怒川では放流アユだけなので、その被害の影響が大きい。一方、那珂川では天然アユの遡上があるので、被害の影響は前者ほどでもない、といった説明もありました。
 それから、人による追い払いや、河川への糸張り等の対策が行われているといったような現場のご説明をいただいております。
 続きまして、栃木県のカワウ対策について、関係機関等からのヒアリングで、いろいろとお話を伺いました。
 まず、栃木県のカワウ対策でございますが、平成6年に漁業被害が問題化いたしまして、10年ごろから対策検討会を開始した。その生息状況調査ですとか捕獲等の対策、被害防除手段の研究などを行っている状況のご説明がございました。
 それで、カワウ対策の難しさと取り組むべき課題として、以下の4点についてのご説明がございました。
 まず1点目が、カワウ行動圏内の各関係機関・団体の連携の必要性、それから、これは広域に移動するという特性でございます。
 それから、2番目といたしまして、関係機関・団体が「カワウ対策を推進する」との統一された意思のもとで連携する必要性。やはり、河川ですとかそういった関係機関が多くなると、統一された意思のもとで連携する必要性を挙げてございます。
 それから、被害地での対策とともに、繁殖地での対策も重要であると、広域に移動するということから、被害地だけではなくて繁殖地での対策も重要であるというご説明がございました。
 さらに、銃器による駆除のみでカワウの個体数の抑制というのは、不可能であるといったお話もございました。
 次でございますが、当日は残念ながらというか幸いというか、カワウの被害状況、実は現場ではカワウ1羽しか見られなかったのですけども、これは県の方からのご説明の中で、このような状況でカワウが飛来してくる写真をいただいております。
 次が、これは被害対策、被害防除手段の研究会開発の事例ということでご説明があったものでございます。これは、アユの放流の風景でございますが、通常ですと、こうやって管を通してアユを放流しているというような状況がございます。ところが、水産試験場等で、放流方法の工夫ということで蓄養放流というのをしております。このかごの中に何日間かアユの稚魚を置いて、そこでしばらく置いた後に放流すると、そうすることでアユの生存率が高くなるといったご説明がございました。
 次が、簡易なアユ避難装置で、これも試験場の方でご説明があったのですけども、パレットの底なしの下に隠れるアユということで、これを置いておくとこういうところに隠れて、食害を受けにくくなる。ただ、底があるようなパレットですと、この中にアユがなかなか隠れてくれないといったようなご説明もございました。
 続きまして、日本野鳥の会栃木県支部の方から、栃木におけるカワウの生息状況のご説明をいただきました。栃木県内で1980年代後半からカワウが増加し、1990年代から内陸へ広がってきている。個体数につきましては、冬に多く夏期は減少するというような傾向が見られるとのことでした。2000年ごろに繁殖が確認されてはいるのですけれども、現地時点では繁殖コロニーは県内にはないとのご説明でした。県内で確認された標識個体の68%は千葉県の市川市から来ている。その他のほとんどが東京湾近辺からの飛来であるというようなご報告がありました。長距離飛来の一例としては、滋賀県の琵琶湖竹生島からの個体を確認しているとのご説明もありました。
 続きまして、栃木県の漁業協同組合連合会の方からご説明いただきました。
 カワウが通年で飛来し、個体数は年々増加する傾向にあるということ。主要な収入源であるアユに対する被害が大きいということ。銃器の捕獲につきましては、1羽、平均1万円以上といった経費がかかること。また、許可期間の関係で機動的に対処できないといったようなご説明がございました。
 現在、漁協の方では、監視員による追い払いですとか、糸張り、案山子設置ですとか、シェルターを設置することでカワウ被害を防止している。ただし、継続的に広範囲な追い払いは困難である。人工物には慣れてしまうとともに、河川管理との兼ね合いが難点である、と。大規模コロニーでの繁殖抑制の取り組みですとか、カワウの狩猟鳥化を要望するといったようなご説明がございました。
 次に茂木町ですが、これは茨城県境との境にある町なのですけども、県境の河川での被害が多い。非常に朝早く、町内から茨城県の方に移動して採餌行動をしているようだと。また8時ごろに戻ってくる。アユを放流しても、秋にはほとんど見えなくなってしまうというような話。それから、アユだけでなくウグイですとかフナにも被害が発生しているというようなご説明がございました。
 続きまして、シカにつきましての保護管理の取り組みについて、栃木県からご説明いただいております。
 これは、日光・白根山におけるシラネアオイ群落の景観で、1984年に撮影されたものらしいのですけれども、続いてこれは10年後、94年に撮影したとき、ニホンジカの採食によってシラネアオイが消えてしまった背景がある。
 また、これは表日光でカラマツの造林地とヒノキの造林地の樹皮剥皮被害でございます。こういったようなシカによる被害が発生していたといったような背景で、栃木県では平成6年より任意計画、特定計画の前から任意計画を策定して保護管理に当たってきた。平成12年から特定計画制度ができたので、そのII期計画。現在、15年度から17年度までのIII期計画を実施しておる最中だということでございます。
 それぞれの計画の中身ですけども、まずI期計画、任意計画の時代ですから、これにつきましては、策定の背景としては、平成に変わるころからシカの捕獲数、農林被害業被害が増加している。日光国立公園内の自然植生への影響がある。市民の意識としては、シカを殺すことへの忌避。それから、国立公園内での自然への人為的関与はタブーであるといったようなこと。
 それから、計画に求められる内容としては、捕獲が計画どおりに進めば個体数が減少して被害も減るとの希望があること。これは個体群動態の予測ですとか、あとは、捕獲は健全な個体群を維持するために不可欠であることを科学的に証明するということ。そういったことが計画に求められていたということでございます。
 キーワードとしては、健全な個体群への誘導。それから、専門家主導の保護管理ということでございました。
 II期計画につきましては、特定鳥獣保護管理制度ができまして、その制度に基づいて計画を策定して、依然として減少しない自然植生への影響と農林業被害ですとか、駆除はやむを得ない行為として、だんだん市民の間でも認識され始めたということ。
 それから、大胆で効率的な捕獲促進策ですとか、明確かつ広域的なすみ分けということで、ゾーニングに基づいて保護管理を行うようになったということでございます。
 続きまして、これはI期計画とII期計画の比較の2番目で目標と対策でございますが、I期計画目のときは6市町村だったのが、II期計画には12市町村になった。保護管理の目標が、生態系バランスの回復、農林業被害の軽減、適正な生息密度での生息地の確保というものが、シカと植物のバランスがとれた生態系を取り戻すといったこと。
 それから、これはゾーニングに基づいて特定計画でやっているものですから、農林業優先地域ではシカの生息密度を低く抑えて、食害のない農林業を目指すといったこと。
 それから、ゾーニングと目標生息密度につきましては、鳥獣保護区と可猟区でI期計画のときは5頭/km2、可猟区では1頭/km2だったものを、ゾーニングに基づきまして、生態系保全地域では3〜5頭/km2、それから、農林業優先地域では1km2当たり1頭といったような目標値を設定して対応しておるということでございます。
 達成するための対策ですけども、I期計画時代には行政指導による駆除、それから狩猟による捕獲の促進ということでございます。特定計画になってからは、生態系保全地域では行政指導による個体数調整、それから、農林業優先地域では狩猟による捕獲の促進ですとか、一部その鳥獣保護区の解除で狩猟鳥獣を捕獲禁止地域、ただし、シカを除くと。シカだけが捕れる場所というのを設定しているといったような取り組みもされているということでございます。
 この次が、被害と捕獲の関係ですけども、ごらんになってわかるとおり、2000年ぐらいから被害がかなり減ってきているというような状況が見てとれると思います。2000年、ちょうど特定計画の開始の狩猟規制の緩和で捕獲数がかなりふえてきて、そういったものともども、対策に貢献しているのではないかといったご説明がございました。
 栃木県のシカの生息地というのは、群馬県と県境を接するようなところにございます奥日光エリアでございます。そこで、栃木県と群馬県の連携ということで、まず、合意事項として、日光・利根地域個体群のコアエリアは日光鳥獣保護区を中心とした地域とする。それで、目標の生息密度をあわせるとか、捕獲報告様式とか調査の方法を統一すること。それから、定期的な協議とか、情報交換を進めると、そういったようなことを進めているという話をお聞きしました。ちょうど真ん中に県境がございまして、日光のあたりというのはちょうどこのあたりなのですけれども、この県境を接するところでこの日光・利根地域個体群のコアエリアというのをこちら側に設定して、保護管理を両県で連携しながら進めているといったようなご説明がございました。
 それから、次がサルでございます。これは、サルの生息域の栃木県内の変化なのですけども、1978年から徐々に徐々に広がりが見せているといったような背景がございます。
 それから、サルの保護管理につきましては、ゾーニングを行って地域ごとに保護管理対策を実施していくということ。それで、ゾーニングですけども、保全地区、緩衝地区、排除地区と、それぞれ追い払いを実施していくとか、群れの勢力減衰を目的とした個体数調整をする。排除地区では群れを消滅させるといったような、ゾーニングで目標を立てて対応しているということでございます。
 今後の課題としては、捕獲従事者の確保、それから調査手法開発、それから地域一体の取り組みの推進といったご説明がございました。
 これはサルによる大根の被害でございます。これも栃木県の方から提供をいただいております。ちょうど、頭のところがみんなかじられているような状況が見てとれると思います。
 人とサルとの共存のためのすみ分けの方法といたしまして、先ほどご説明したようなゾーニング、これは局所的なすみ分けの補完対策として実施する。その局所的なすみ分け方法というのは、集落・農耕地周辺の保全ということで、そういった場所で、サルに魅力のない環境をつくり出して、餌場と認識させないようにすること。これについては、地域が一体となった取り組みが不可欠であるといったご説明がございました。
 計画の枠組みですけれども、それぞれ保全地区、緩衝地区、排除地区ということで、保全地区については健全な群れを維持する。緩衝地区については利用する環境を含めた群れの特性に応じた管理をする。排除地区については、サルの群れを排除する。それぞれに管理対策として、追い払いですとか、住民が主体となった誘引物の除去ですとか。その群れの管理対策として、保全地区では餌環境の資料収集、それから接近警報システムの導入ですとか、緩衝地区では間伐等の森林整備、群れの勢力衰退を目的とした個体数調整ですとか、排除地区では群れの消滅や生息域最前線の後退を目的とした個体数調整といったことを対策として実施していくということでございます。
 これが計画実施区域のゾーニングで、やはり奥山から徐々に保全地区、緩衝地区、排除地区というようなゾーニングをしながら管理をしているというご説明でございます。
 それから、今後の取り組みの課題といたしましては、捕獲従事者、これは狩猟免許所持者の減少。それから高齢化等、捕獲従事者の確保。それから、科学的・計画的な保護管理には生息調査やモニタリングが不可欠であるということ。生息状況調査、モニタリング手法の開発。それから、地域一体となった取り組みの一層の推進が必要であると、地域に密着している市町村の役目が重要であるといったようなご説明がございました。
 続きまして、環境省の日光自然環境事務所から、日光国立公園戦場ヶ原でのシカの侵入防止柵についてのご説明がございました。これは、シカによる湿原植生の破壊を回避するとともに、周辺の森林植生保全を目的とするということで、やはり国立公園ということもございまして、自然環境ですとか景観に極力配慮した施工が必要である、と。また、柵の破損部の補修ですとか、シカの出入り移動経路の監視を実施していく。それから、柵の内外で、植生や鳥類のモニタリング調査を実施していくということ。それから、簡便なモニタリング方法の確立ですとか、柵内のシカの侵入防止対策、周辺のシカの季節移動把握が課題であるといった説明がございました。
 続きまして、これは日光市のサル餌付け禁止条例の制定の経緯と効果ということで、日光市からご説明がございました。
 サルの被害ですけども、農林業被害、商業被害、これはお土産物屋さんなどに入っているようなことを言っていましたけども、それから人的被害、人をか咬むといったようなことです。観光客の餌付けですとか、暖冬による死亡個体の減少によって1990年代より分布が拡大している。それで、被害が発生するようになりました。
 条例は、餌付けによって歪んだサルと人間との関係を元の状態に戻すということを目的としているということでございます。平成12年に制定しています。以下のとおり、条例の制定によって、観光客の意識がかなり変化し、被害が減少傾向にあるということでございます。例えば、人が咬まれる被害については、平成8年で40件以上あったものが平成16年度4件になった。農業被害については、平成8年で600万円だったのが平成10年で約200万円になっているといったような効果が見られるというご説明がございました。
 課題ですけれども、市町村合併による適用区域の変更ですとか、抑止力が薄れた場合の過料等罰則の導入の検討が必要であるといったご説明がございました。
 次に、栃木県の森林組合連合会の方から特定計画の効果についてのご説明がございました。まず効果といたしまして、公共事業によって防護柵の設置ですとか忌避剤の散布を実施したけれども、個人の農林業者までには普及が至らなかったと。林業被害は面積的には拡大の傾向にあるのだけども、その被害度というのは抑制されているといったご説明がございました。
 課題として、被害の軽減効果を捕獲のみに期待し、防護柵設置等の対策が遅れているといったようなお話がございます。これは、個人の農林業者に対する簡易な防除方法の普及を図る必要があるといったようなご説明がございました。
 さらに、生息密度調査地点が限られていて、実施した対策の結果の把握ですとか効果の判定、それから高密度地域の特定が不十分である、と。必要最小限の調査視点の確保・検討をする必要があるといったご説明がございました。
 被害の状況ですが、依然として局所的に激しい被害が発生している。個体数の抑制の継続が必要である。狩猟緩和の継続を判断するため被害状況のモニタリングが重要であるといった指摘がございました。
 これは最後になりますが、日光のシカの増加と森林生態系への影響ということで、当日、宇都宮大学の小金沢先生は欠席されたのですけども、栃木県の方から代読という形でご説明いただいております。
 まず、森林生態系への影響ということで、シカの採食圧によりまして、忌避植物が増加して、その忌避植物依存の昆虫が増加するといったこと。それから、嗜好植物が減少することで、そういった植物に依存する昆虫が減少して、地域的には絶滅してしまったものもあるといったご説明がございました。
 それから、樹皮剥ぎによる高木の枯死ということで落葉堆積物の減少、土壌動物相の変化。下層植生の変化によってネズミ類が減少して、その高次捕食者がまたさらに減少していくと。また、カモシカの個体数も減少してしまったといったようなご指摘がございました。
 今後の検討に必要な視点として、日光国立公園の目指すべき森林生態系のイメージを持った上で、森林生態系の中でのシカの位置づけと保全、そういったものをきちんと検討する必要があると。また、特定計画制度は、森林生態系保全のための1つのパーツであって、特定計画の枠組み以外の対応も必要であるといったようなご説明がございました。
 簡単でございますが、以上が栃木県における現地調査の概要でございます。

【事務局(宇賀神)】 引き続きまして、第2回現地調査ということで、先週なのですが、11月2日・3日、島根県におきまし地調査を行っていただきました。
 出席委員は、岩槻小委員長を初め石井委員、石原委員、市田委員、亀若委員、三浦委員6名でした。現地調査は2日間にわたりまして、初日の2日におきましては、弥山山地におけるシカ対策、続きましてイノシシ対策で、3日の日に入りまして、中山間地域研究センターという島根県で設置しておる機関なのですが、そちらにおきまして、島根県の鳥獣対策室及びその研究センターの職員の方からモニタリング、被害対策等についてヒアリングを受けました。画面が、弥山におけるシカ対策の状況でございます。
 弥山山地は、島根県の出雲大社のすぐ脇にある山地でございまして、この図面がシカの目撃地点で、県内点々としておる中で、1カ所集中的に生息しているのがこの弥山山地ということで、県内唯一の集団生息地であり、島根県におきましては準絶滅危惧種というふうな指定も受けております。したがいまして、当該地域におきましては6,900ヘクタールということで、オスジカの捕獲禁止区域ということで、狩猟に関しては、オスジカについても捕獲禁止となってございます。
 弥山山地におけるシカ被害状況でございます。98年にピーク、5,000万円ほど被害が出ておりまして、現在、2004年の数値におきましては600万円と、かなり被害が減っております。写真を見ていただきますと、被害につきましては、右の方に出ておりますが、本日の午前中にお話がありましたけど、スギに対する角こすり被害で、商品価値が下がってしまうという中で被害金額が上がる。これが全体の8割ということになっております。その他、ちょっと見えにくいですが、下の左につきましては、ダイズあるいはタケノコというような野菜類等の被害も挙がっております。
 島根県におきましては、ニホンジカに関しては、特定鳥獣保護管理計画を平成14年に策定しております。目標としましては、農林業被害の軽減、地域個体群を自然環境とバランスのとれた形での維持、それと人との共存を図るということでございます。
 個体数管理ということで、これは県内を2地域に分けてありまして、弥山山地及びその他の地域でございます。その他の地域につきましては、先ほどの分布調査の結果を見ていただくとほとんど分布していないということで、地域の農林業がシカの生息を前提としていないということで、その他の地域につきましては捕獲圧をかけていくということで、メスジカの可猟化、それと頭数制限を1日当たり2頭と緩和しております。
 一方、現地視察していただきました弥山山地につきましては、地域の目標頭数を180頭に設定しまして、生息の森、これが生息密度平方キロ当たり5頭、共存の森、これが平方キロ当たり1頭というふうなゾーニングをして管理するということでございます。
 その他被害防除対策としましては、防護ネットあるいは枝条巻付け――後ほど写真で見ていただきますが、そういった対策。あるいは、生息環境の整備ということで、人工林の適切な管理、その他普及啓発となってございます。この先ほどのゾーニング、生息の森と共存の森の2つの地域に分けてございます。赤い外枠の部分が、先ほどのオスジカの捕獲禁止区域とほぼ同じ地域になってございまして、共存するということで平方キロ当たり1頭ということで、面積が約40平方キロメートルございますので、約40頭を目標とする、と。一方、生息の森、コア部分になると思いますが、こちらにつきましては平方キロ当たり5頭ということで、面積が30平方キロメートルということで150頭。あわせて約200頭程度というふうな形を計画しております。
 ちょっと、弥山山地におけるシカの生息推定数と捕獲数の推移を見ていただいております。以前、糞塊法という方法で生息数を推定しておりましたが、住民の方から実際の生息数が調査結果と乖離しているのではないかとご指摘があったようで、区画法という、面積を区切って、その中で人が入って発見して、それを推定するという形の調査を並行した結果、従来からかなり多い生息数が推定されました。その結果、捕獲数、これが棒グラフになりますが、推定数から推測する先ほどの目標頭数に見合うような形で捕獲するというような形でございます。その他、モニタリング、同じような推測数としましては、ライトセンサスによる推定もやっておるとのお話でした。
 被害防止対策としましては、委員の先生方も見ていただきましたが、廃材のポリプロピレン、プリンの容器をつくった後のものだそうですが、こういったものを巻く。あるいは、枝条巻付けというような形で、枝を幹に巻くというような形で被害を防ぐというような例が現地で拝見できました。
 今後の取組と課題としましては、先ほど住民の方からもご指摘あったように、生息頭数の正確な把握が必要ということで、これはただ、区画法につきましては調査人員が必要というような課題がございます。
 もう一つ目は、目標とする生息密度の達成、特に共存の森、こちらにつきましては、効率的な捕獲方法の検討、それと捕獲体あるいは体制の整備というような人的な確保、それと生息環境整備の推進ということで、生息の森での間伐、森林環境をよくするというようなことが必要になってきますので、森林所有者をはじめ地域の方々の理解と協力が必要というようなことでございます。
 続きましては、イノシシ予防施設普及促進事業ということで、県内斐川町というところで現地視察をしていただきました。
 実際に設置されていたものですが、畦波板というような農作業に必要な道具を地面につけまして、その上に電気柵で、イノシシの侵入を図るというようなことを設置されておりました。これは複合型ということで、現地約3,800メートル設置されたということでございます。費用につきましては160万円、メートル当たり400円ということでございます。維持管理は見回り程度、経費につきましては電気代等で年間約1万5千円ということでございます。
 設置の効果でございますが、特にこの地域はイノシシによる被害がかなりひどかったという話を伺っておりましたが、この防除柵をつけることによって、もう、格段に被害が減少したということでございますが、お話の中では、被害が減った一方で隣接する地域にまた被害が移行してしまったというような話がございますので、狭い地域だけではなくて、隣接した地域も含めた検討が必要というような指摘もございました。地域住民につきましては、この事業が地域全体で考える結果になり、意識が高まる効果があったというお話でした。
 2日目でございます。2日目につきましては、中山間地域研究センター、こちらの方で県とその研究センターの職員の方々から、モニタリング等の話を伺いました。
 最初に、県内の鳥獣被害の金額でございます。ピーク時、平成8年に3億3千4百万円ということでございましたが、直近の平成16年につきましては8,100万円と、ピーク時の約4分の1に減少。現在の被害内容につきましては、約8割がイノシシ被害、その他クマ、シカということになってございます。
 県につきましては、平成9年度から有害鳥獣被害対策交付金制度を新たに創設したということでございました。背景としましては、市町村の実態、被害状況に対応した迅速かつ機動的な対応の必要性が生じてきていたということ。あるいは、被害防止のための捕獲許可権限が、クマ、シカを除きますが、平成9年度から委譲されているということ。あるいは、そういった委譲にあわせまして、交付金化の検討、これは地方分権等の背景でございます。それで、交付金制度が9年度からできました、と。内容につきましては、市町村単独による被害対策事業を対象としまして、広く有害鳥獣に対する事業を対象とするということでございます。事業費につきましては、年間約2億円、県の交付金につきましては5,000万円ということで大体推移しておるということでございます。国の特別交付税が2分の1、県の交付金が4分の1、実際、事業主体となる市町村の持ち出し分は4分の1ということで、かなり措置されているとの話でございました。
 県の事業としましては、平成17年に構造改革特区で狩猟免許の制度の規制緩和をしてございます。先ほど午前中にもお話がありましたが、網・わな免許を網かわなということで分離して選択できるということで、今年度受験をされたとのことでございます。その結果、特区試験受験者が245名、受験者全体が337名ということで、前年比の約3倍が受けられ、非常に効果が大きかったとのお話がございました。
 中山間地域研究センターが中心となりまして、島根県の鳥獣情報ステーション、これはWEB−GISと書いてありますが、インターネットを利用した鳥獣に関する情報が県内及びそれ以外の地域からもアクセスできるということで、住民参加による鳥獣に対する意識の改善が図られる取組をされているというお話がございました。
 もう一方で、しまね鳥獣対策指導推進事業ということで、県の職員を対象としまして、鳥獣対策専門員を24名、市町村・JA職員を初めとする方々を中心に鳥獣対策指導員を217名養成いたしまして、これらの方々が被害に遭った農林家の方々からの相談の窓口ということで明確化されるというようなシステムをつくられたということです。
 それで、県の方につきましては、こういった方々を通じまして、専門的な見地から、例えば先ほど出ましたイノシシの防除柵等を初めとして、設置についてのアドバイスあるいはマニュアルを活用しまして、当日もビデオを見せていただいたのですが、そういったものを活用して普及啓発を図る活動をされていました。
 最後に、イノシシ、クマ等の被害についてご説明しますが、イノシシの被害金額につきましては、ちょっと波がありますが、現在の状況でございます。イノシシにつきましても、島根県においては特定計画をつくっております。個体数管理、生息環境整備、防除対策というような形で、それぞれ措置しております。現地視察に行った当日が11月2日でございましたが、前の日の11月1日がイノシシの狩猟解禁日で、通常より半月早い措置をしまして、狩猟期間の前後で、トータルで1カ月延長しているというようなこともお話として伺いました。
 イノシシは、以前は生息していませんでしたので、捕獲数はほとんどなかったのですが、現在は1万4千6百頭を狩猟及び有害捕獲ということで捕獲しております。県の方では、その捕獲につきましても、狩猟カレンダーという狩猟者が提出するデータを解析しまして、どういった形が一番捕れやすいのかといった分析をしております。一例を出しておりますが、例えば箱ワナはかかりやすいとかそういったものが事例としては報告されておりました。
 ツキノワグマですが、島根、山口、広島につきましては、西中国地域のツキノワグマということで、絶滅のおそれのある地域個体群との位置づけになっております。県内では、特に西部の方を中心に生息しておりますが、海側まで生息範囲を広げているとの情報がございました。
 ツキノワグマにつきましても、保護管理計画がございまして、個体数管理、生息環境整備、普及啓発、防除対策の事業をされているというお話でございました。
 先ほどの3県でツキノワグマ保護管理対策協議会を設置しており、3県が共通の目標と指針を定めまして、対応を統一的に実施する方向で進められているということでございました。
 以上、簡単でございますが、第2回の現地調査報告の発表を終わらせていただきます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 栃木と島根の現地視察のご報告でしたけれども、何か、今のことに質問か追加でのコメントとか、ございますでしょうか。
 けさのヒアリングとあわせて大分さまざまな情報を仕入れたわけですけれども、こういう情報をこれからの議論に生かしていただければというふうに思います。

【岩槻委員長】 特にご発言がなければ、第2の議題、講ずべき方策の検討へ進ませていただきますが、事務局の方から、まず説明をお願いいたします。

【事務局(中澤)】 それでは、続きまして、資料2−1、2−2に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
 資料2−1でございますが、簡単に、概要版としてパワーポイントの方にご用意させていただきましたので、こちらの方を見ていただきながらご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、特定計画でございますが、第1回小委員会の際に、もう少し掘り下げて、何をしようとしていて、どのような課題があって、何をすればいいのか、方向性が見えるのかといったご指摘がございまして、第1回でアンケート調査をした都道府県に対して、再度、事例調査として、うまくいっている例、またそうでもないといった評価のところを幾つか抽出いたしまして、掘り下げて調べてみました。これについてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、対象種による特定計画の特徴ですけども、それぞれ、シカ、クマ、サル、イノシシ、カモシカとございますが、シカにつきましては農林業被害、それから自然植生の被害といったものが計画の背景にある。クマについては人身被害、農林業被害、地域個体群の維持、サルについては人身被害、農業被害、地域個体群の維持、イノシシについては農林業被害、カモシカについては林業被害と地域個体群の維持と、それぞれ策定しているその背景がわかりました。
 それぞれの特定計画ですけども、事例としてよい方向に向かっているもの、そうでもないものといったものを幾つかこちらの方で抽出して、アンケート調査をした結果でございます。
 まず、ニホンジカの事例1でございますが、目的としては個体群の存続、それから自然生態系のバランスと回復、農林業被害への軽減といったものを目的としている。目標として、地域個体群維持のための個体数を設定することとともに、計画対象地域ごとにゾーニングをして、生息密度の目標設置を設定しているということでございます。
 達成状況の評価ですが、目標には近づいているとの評価をしており、その理由は生息密度の低下、それから農林業被害の減少ということでございました。
 どういった経過がこの特定計画にあったかということでご説明いたしますと、まず、昭和60年代から農林業被害及び自然植生への被害が発生する。それから、平成6年から任意計画での取組を始めまして、12年に特定計画を策定いたしました。それで、ゾーニングをいたしまして、それぞれの目標生息密度を設定する。あわせて大規模柵も設置、それからメスジカの可猟化、捕獲頭数の緩和等による捕獲圧の強化を実施してまいりました。さらに、鳥獣保護区を解除して、シカのみを捕獲する場所を設置するとか、農林業優先地域では新規の鳥獣保護区及び休猟区設定は行わないといったようなこと。それから、隣県との連携で、地域個体群のコアエリアを設定する。目標生息密度、調査方法等を統一するということでございます。こうした取組を続けた結果、平成7年度の比較でございますが、生態系保全地域では平方キロメートル当たり11.7頭だったのが平成16年には6.5、それから、農林業優先地域では12.6であったものが4.5と、かなり減ってきている。農林業被害ですけども、これにつきましても、13年度で50.35が15年度では37.15といったような効果が見られている。対して、柵を設置していないところでは植生が回復していないですとか、被害地域が拡大しているといったような指摘がございます。
 課題といたしまして、生態系のバランスの回復についての評価ということで、自然植生の回復等を目標として設定する場合には、定量化は困難としても明確な目指すべき状態を想定すべきであると。それから、鳥獣保護区以外の自然保護区と連携した取組が必要であるといったようなこと。捕獲圧をさらにかけるためには狩猟者を確保するということで、市町村単位の狩猟者(捕獲従事者)確保から広域的な狩猟者(捕獲従事者)の確保が必要であると。被害地の拡大にあわせて、モニタリングにより捕獲地域ですとか捕獲数を修正していこうと。被害防除対策をさらに強化していくこと。農林業部局との連携により捕獲だけではなく被害防止対策を推進していくということ。さらに、柵の中にシカが侵入しないような維持管理が必要であるといったようなことが課題として挙げられています。
 続きまして、事例の2でございます。この計画は目的として地域個体群の維持、農林業被害の軽減、先ほど自然植生があったのですけれども、この特定計画では地域個体群との維持と農林業被害の軽減が目的になっています。
 目標ですけども、個体数の軽減と防除対策の強化によって人間活動との軋轢を軽減すること、それから、森林生態系の保全、計画対象地を生息の森と共存の森に分類して生息密度を設定する。
 評価といたしましては、目標に近づいているとの評価です。その理由として、被害は依然発生しているけれども、捕獲や被害防止対策は進展しており、また、その生息数が減少したといったようなことで目標に近づいているという評価をされています。
 どういった経過を経てきたかといいますと、まず、50年代後半から農林業被害は顕著になりました。それで、平成6年にシカ対策検討委員会を設置して対策をまとめて、ただし、平成9年には県版レッドデータブックで要保護種として指定している背景がございます。平成13年度に生息調査を変更して、その調査結果に基づいて捕獲数を増加させているといったようなことがございました。14年度に特定計画を策定いたしまして、管理目標頭数を200頭で設定しております。さらに、地域別ゾーニングを行いまして、生息密度の設定を行いました。生息地域では5頭、共存の森では1頭、それぞれ平方キロメートル当たりといった設定をしています。さらに、防護ネットの設置をしているというような対策をとりまして、どのような効果があったかといいますと、生息密度が低下した。2001年に、生息の森では、1平方キロメートル当たり13頭であったものが2004年には7頭になった。共存の森では2001年14頭であったものが、2004年に9頭であったと。また、その生息数も800から470に減り、捕獲数も徐々に増加してきているといった経過がございます。森林環境につきましては、下層植生が対策によって回復してきたということでございます。
 課題として取り上げられておりますのが、生息環境整備の推進ということで、やはり被害がある関係でなかなかシカのために生息環境を整備しましょうという住民理解が得られないといった説明がございました。
 続きまして、ニホンジカの事例3でございます。この計画につきましては農作物被害の軽減、それから地域個体群の長期に渡る安定的な保護繁殖を目的としています。目標として、生息地域別に個体数管理目標を設定して特定計画を実施してきている、と。
 達成状況ですけれども、評価不能でございます。これは、捕獲数は増加しているけども被害は減少していないといった理由から、評価不能という答えが返ってきております。
 経過については、まず、県内で生息分布の拡大があり、農林業被害の増加により、平成12年度に特定計画を策定いたしました。メスジカを計画的に捕獲した地域では、個体数の大幅な増加を抑制でき、計画捕獲数は達成したけれども、第1回生息調査、平成11年の段階では母数を過小評価していたために、第2回の生息調査で個体数の増加が判明したということでございます。捕獲数は増加しているが被害は減少していない、と。低標高地でも被害は増加してきたと。標高の高いところに生息していた個体がだんだん下の方に移ってきたのではないかといったような評価をされています。
 この計画の課題といたしましては、まず被害を減少させるということで、特定計画策定時の初期数――個体数ですとか密度ですとか、死亡率、妊娠率等が過小評価される場合が多い。地域個体群を対象とした適切な調査方法の適用ですとか、モニタリングによる計画の修正が必要であるといったこと。それから、隣県との連携による適切な対策の実施。この県でやっていたとしても、ほかの県からまた流入してきてしまうと、なかなか対策がうまくいかないといったような話。それから、捕獲圧強化のために狩猟者の確保が必要であって、広域的な狩猟者の流動化が必要であるといったようなことが課題である。さらに、低標高地の被害拡大の防止ということで、モニタリングによる捕獲地域や捕獲数の適切な修正です。この計画では、標高の高いところで捕獲圧をかけてだんだん低いところにおりてきているというような傾向が見られるということで、低いところでの被害防除対策の推進も必要であるといったことが課題として抽出されております。
 さらに、ニホンジカの事例4でございます。この計画につきましては、農林業被害の軽減とシカ個体群の安定的な維持を目的にしています。それで、地域別に目標生息密度と目標性比等を設定して管理している。
 達成状況の評価ですけれども、策定時より悪化しているとの評価でございます。理由は、捕獲圧を高めた結果、分布の分散・広域化が起こっている。また、林業被害については横ばい、また農業被害は増加しているといったような経過が見られるということでございました。
 経過を追って見ますと、昭和50年代から比較的標高の高い地域に生息をしていたと。林業地域で被害が発生していたところ、平成12年に特定計画を策定いたしまして、防護柵それから防護ネット等の防除対策を実施するとともに、メスジカを可猟化いたしまして、捕獲圧を強化していったということでございます。その結果、標高の高い地域での密度は低下して、林業被害の増加は抑制いたしました。しかし、シカの分布が元の生息地である標高の高い地域から標高の低い地域へ拡大して、農地への被害が拡大・増加している。捕獲数は増加傾向にあるのだけれども、その生息密度の低下に至っていないといったようなことが現在の状況でございます。
 課題といたしまして、低標高地域へのシカの分散・拡大の防止。それから、生息モニタリングによる分布拡大地域等、地域の実情に応じた捕獲や被害防除等の対応が必要であること。さらに、隣県との調整による捕獲時期、対象等の調整等が必要であるといったこと。
 また、生息密度の低下ということで、初期段階での生息数及び生息密度の過小評価や生息状況モニタリングによる情報不足による増加率の過小評価を回避することが必要であるといったことを課題として挙げています。さらに、既存のモニタリング手法の評価と適切なモニタリング手法等の開発、モニタリングの計画、実施、評価等に関する専門家の関与が必要であるといったことが指摘されています。
 また、農地における防除対策強化ということで、モニタリング情報を踏まえた捕獲圧の調整、防除対策等が必要であるといったようなことが課題として指摘されております。
 続きまして、ツキノワグマの事例をご紹介したいと思います。
 ツキノワグマの事例1でございますが、この計画につきましては、目的として地域個体群の安定的な維持、それから人身被害の防止、農林業被害の軽減といったことを目的としております。目標といたしまして、個体数管理として、地域個体群ごとに捕獲上限を設定している。それから、生息環境の整備ということで、緑の回廊の整備を行っている。それから、被害防除対策として、人身被害回避のための普及啓発ですとか、誘引物の除去等を図る。農林業被害防止のための電気柵の設置、それから誘引する作付けの回避等を行う。さらに、モニタリングとの調査研究を行うといったことを目標にしています。
 達成状況の評価ですけども、この計画につきましては策定時よりも目標に近づいているといったような評価をされています。理由といたしましては、地域個体群については安定的に維持、それから被害については依然として策定時と同レベルで発生といったようなことであるということでございます。
 経過を追って説明しますと、平成2年段階で短期間には絶滅のおそれはないというような評価をしております。しかし、捕獲数と生息域の適切な管理がなければ生息状況が悪化する可能性もあり、一方で、人身被害や農林業被害も発生している。そういった背景を踏まえまして、平成14年度に特定計画を策定いたしました。先ほど申しましたとおり、地域個体群ごとに捕獲上限を設定して、猟友会の協力を得て実行しています。さらに、被害対策は基本的に追い払いによる。それから、学習放獣を実施する。林野庁との連携による緑の回廊を設定した。それから、地域が一体となった電気柵の設置。入山者への情報提供による人身被害への防止といったことに取り組んでいます。
 現在どういう状況にあるかと申しますと、地域個体群の維持ということで、捕獲上限数はおおむね達成しているということ。ただし、被害につきましては、人身は横ばい、被害金額は横ばいで、被害面積については減少。
 課題として、被害発生時等により地域住民の理解が得られずに学習放獣の場所の確保が困難であるといったことが挙げられております。課題として整理しておりますが、被害発生のさらなる抑制として、人身被害につきましては普及啓発の徹底、それから農業被害については誘引物の除去、地域が一体となった対策、堅果類の豊凶予測による警報システムの確立。それから学習放獣の推進として、地域住民との合意形成、それから生息環境整備の促進として、地域住民の理解促進及び予算の確保といったことが課題として挙げられております。
 次が、ツキノワグマの事例2でございます。この計画につきましては、人身被害の回避、それから農林畜産被害の軽減、地域個体群の長期にわたる維持を目的に策定されております。目標といたしまして、農林作物家畜等の被害を軽減すること、ただし、現段階では指標は策定していないということでございます。個体群管理ということで、現代の個体数を維持する。錯誤捕獲を減少させる。それから、生息地の保護及び整備ということで奥山における良好な生息環境の保全。里山・集落ではツキノワグマが生息・出没しにくい環境に誘導すること。普及啓発として、地域住民への特定計画の理解を深め、ツキノワグマと人との共存の土壌を醸成していくということがございます。
 策定状況の評価ですが、これは変化なしということで、理由といたしましては、大きく変化していないけども、平成16年度、昨年の異常出没による捕獲数の増加の影響が懸念されているということでございます。
 経過でございますが、この地域につきましては、環境省のRDBに絶滅のおそれのある地域個体群として掲載されていると。平成14年にその地域個体群にかかわる3県が連携して特定計画を策定していました。捕獲上限数の目安を設定すること。それから、電気柵の活用、猟友会への放獣補助業務の委託をして、学習放獣の体制整備をしていること。錯誤捕獲対策として連絡体制の強化。くくりわな設置への注意の呼びかけ等を行っている。
 経過ですけども、捕獲数ですが、各年の堅果類の豊凶によって、捕獲数が上下しているといったような経過が見られます。農林業被害につきましても、平成14年にたまたまこれはかなり高いのですけど、これは果樹への被害、たまたま単価の高い農作物への被害があったということでございました。堅果類の豊凶の影響があるということでございます。被害発生等によって地域住民の理解が得られないで、学習放獣の場所が困難、それから、依然として錯誤捕獲が発生しているというようなことが現状で挙げられています。
 課題といたしましては、異常出没時の捕獲数の抑制、地域住民への理解を進める。それから、堅果類の豊凶予測等によって事前の対応をしていくということ。学習放獣の推進ということで、地元の住民の理解が得られないことそれから放獣場所の確保が困難であるということが課題。さらに錯誤捕獲といったことが課題として挙げられています。
 次に、ニホンザルの特定計画の事例でございます。これにつきましては、この計画は、地域個体群の安定的な存続、農林業被害の軽減、生活環境被害への軽減ということを目的としていること。
 目標として、長期的なものが、ここにあるとおり地域個体群の維持及び生息環境の保全、人とサルとの住み分け、農林業被害への軽減、それから計画期間内の目標として、サルの生息域拡大の防止、農林業被害への段階的軽減、住民の理解の促進、生息状況等のデータの収集整備ということで挙げています。
 評価ですけども、現在目標に近づいているということで、その理由は被害額の減少であるということでございます。
 経過でございますが、1970年代ごろというのは奥山に住んでいたものが、70年代後半から農林業被害が発生している。さらに、80年代から観光客の餌付けによって人慣れしたサルによる人身被害が発生した。14年に特定計画を策定いたしまして、追い払いのためのパトロール員配置、14年に2自治体であったものが16年に7自治体、捕獲につきましては14年に271頭だったものが、平成15年に514頭と、さらに電波発信機を装着して管理を進めているということでございます。被害額は減少しているけれども生息域は拡大しているといったような状況にあるということでございます。
 課題でございますが、生息域の拡大の防止ということで、生息域の最前線での対応が不十分であって、地域住民と行政の仲立ちができる地域に密着した専門家の配置が必要である。地域における実施体制の整備の推進ということで、せっかく電波発信機をつけているのだけれども、その対応はできない。地域における実施体制の整備が必要であるといったこと。研修の開催ですとか、参加者の活動への支援、さらに個体数調整に頼って被害に強い地域づくりができていない。それから、被害対策への地域住民への主体的な参加と被害に強い地域づくりを推進ということが課題である。さらに、特定計画にある個別の対策について目標を設定するということで、適切な目標設定の方法についてマニュアル化することが必要ではないかといったようなことが課題として挙げられています。
 次がニホンザルの事例2でございますが、目的として農林業被害の軽減、生活被害、人身被害の根絶、それから、地域個体群の安定的な存続というものを目的と。目標も目的に準じています。
 達成状況の評価ですけども、目標に近づいているという評価をされています。理由は、追い払い体制が整備された地域では効果が出ている。それから、発信機装着によって加害個体及び群れを把握できるようになった。ただし、一部で加害レベルの悪化ですとか行動圏が農地へシフトしているといったような経緯が見られるということでございます。
 経過でございますが、餌付けですとか開発によって、農作物等への嗜好ですとか依存度を高めてきた。さらに、地域の産業構造の変化ですとか高齢化、それから市街地の拡大によって地域の防除圧が低下してきたということです。行動域が山林から農地や住宅地に拡大いたしまして、農作物被害ですとか生活被害を引き起こしている。それで、15年に特定計画を策定いたしまして、発信機をつけて加害群を特定する。それから、群れの追い払いですとか加害個体を特定した捕獲、追い払い体制の整備を行いまして、追い払い体制が整備された地域では行動圏が変化し効果がみられる。個体数が減少する群れがある一方で、増加する群れも存在する、と。農業被害は横ばいであるが、人身被害はやや減少しているといったような評価でございます。
 課題といたしまして、鳥獣法の許認可だけでは限界があることから、被害に強い地域づくりや生息環境管理を推進すること。農業や林業等の関係行政機関が一体となった取組が必要である。それから、農家と非農家住民では地域内の被害対策への温度差を踏まえて、全体として対策を推進していく。地域内の合意形成で鳥獣被害に強い地域づくりが必要である。さらに、地域だけではなくて地域間の連携した取組も必要であるということ。それから、そういった取組への支援体制を整備するということ。3番目といたしまして、加害レベルの高い個体の増加による被害拡大や群れの分裂を防止するということで、生態調査等を踏まえた地域個体群の群れごとの管理をしていくこと。さらに、群れの分裂を避けるために捕獲方法に工夫をしていくということ。それから、隣接県との情報交換を密にして、県境をまたがる地域個体群への対応を検討していくということが課題として挙げられています。
 続きまして、イノシシの事例でございます。
 目的は被害の軽減ということで、目標として、計画的な捕獲による捕獲管理システムを確立すること。それから、電気柵等の被害防除対策を一層進めることによって農林作物被害を最小限に食い止める。それから、イノシシの健全な個体群維持に努めるということでございます。
 達成の評価でございますが、目標に近づいているという評価で、その理由といたしまして、捕獲目標頭数をほぼ達成し、被害金額の減少が見られると。一方で、以前は被害のなかった平野部で被害が報告されているといったようなご報告がございました。
 昭和50年代から60年代にかけて生息数及び分布が拡大いたしまして、13年に特定計画を策定しています。年間目標頭数の設定とモニタリングによる見直しをして、例えば16年度は1万5千頭捕獲というものについてモニタリングの結果、17年度には合計1万7千頭にするといったような見直しをしているということでございます。さらに、箱ワナ・囲いワナの奨励によって農地周辺での効率的な捕獲、それから、電気柵等の被害防除施設の充実を図る。これにつきましては、集落単位での集団整備ですとか県による支援の充実をしているということでございました。さらに、農地管理、作物管理については指導員の配置による指導の徹底をして、その結果、被害金額の減少を達成できたけれども、平野部への新規侵入個体の発現が生じているということでございます。被害金額につきましては、平成12年度に1億4千万円であったのが約6千万円という形で減っているということでございます。
 課題といたしましては、平野部への新規侵入の防止、それから重要な餌資源となる堅果類の植栽など奥山での整備、広域的な生息地の管理、それから農地とイノシシ生息地の配置デザインの明確化、防除に関する集落単位の合意形成ということが課題であるということでございました。
 さらに、イノシシの事例2でございますが、目的といたしまして、地域個体群の安定的維持、それから被害軽減。目標といたしましては、被害レベルを平成5年度程度に抑えるという目標を設定しております。
 達成状況でございますが、この計画につきましては変化なしと。なぜかというと、捕獲数が増加しているけども被害は減少していないといったような評価をしています。
 経過でございますが、平成14年度の捕獲数は平成5年度の4.5倍である8,300頭にも関わらず、農林作物被害は平成5年のほぼ倍の約2億円となったということでございます。平成15年度に特定計画を策定いたしまして、狩猟期間の延長ですとか捕獲目標の設定、それから被害額の目標、先ほどの平成5年レベルといったもの、さらに耕作地の周辺の被害要因の排除ですとか被害防除施設の充実といったことをしております。また、研修とか被害要因の排除、防除方法の普及といったことをしております。現状ですけども、捕獲数は増加したんだけれども被害は減少傾向を見せないといったことでございます。捕獲数は12年度に約5,500であったものが平成16年度に8,600まで達しています。しかし、被害についてはほぼ横ばいといったような傾向が見られるということでございました。
 課題といたしましては、被害を減少させるということで、なかなか個体数を減らしても被害は減らない、個体数調整以外の要因について分析して対策の方向性を修正する必要があるということ、さらに、モニタリングを踏まえた捕獲数目標、個体群を減少させるために十分なものに修正していくといったことが課題として取り上げられているということでございます。
 最後に、カモシカの事例を1つ紹介させていただきます。このカモシカの計画につきましては、地域個体群の安定的な存続と森林等の被害防止を目的として、策定しております。
 達成状況ですが、評価不可能ということで、理由は定量的な目標を設定していないということでございました。
 経過でございますけども、昭和30年に種として国指定天然記念物となったと。その後、分布の拡大によって40年ごろから造林木の食害が報告され、被害区域は年々拡大している。「平成8年にカモシカ保護管理及び農林業被害対策計画(県計画)」を策定いたしまして、個体数調整を含めた総合的な被害防除対策を実施している。その後、平成11年に特定計画を策定しております。この計画につきましては、平成8年につくった県計画を継続し、忌避剤及び防護柵の設置による被害防除ですとか個体数調整をしている。ただし、これは加害個体の捕獲であって、全体の生息数を減少するほどの捕獲圧はかけていないということでございます。
 生息密度でございますが、平成8年の2.81から平成16年は2.22になっておるのですけども、これは減少というのか誤差の範囲というのか、その辺の評価が難しいといったような評価をされています。
 森林被害面積の推移でございますが、これにつきましては横ばい、若干減少傾向にあるのですけれども、ほぼ横ばいといったような評価をされているようでございます。
 課題といたしまして、被害状況及び生息密度が僅かに低下している傾向がある。こういった傾向を適切に評価できる目標を設定することが必要であるということ。それから、忌避剤と防護柵の設置等の被害防除対策の方が捕獲よりも被害防止効果が高いと考えられることを踏まえて、捕獲に依存する傾向を修正していくことが必要である、と。こういったことについて専門的な知見を持つ人材を配置することで、より効率的な対策を推進できるのではないかといったことが課題として挙げられています。
 以上が、アンケート結果からの事例を紹介させていただいたものでございます。
 続きまして、このアンケート結果をもとにいたしまして、資料2−2でございますが、続けて説明をさせていただきます。
 これは、今ほどご説明しましたような都道府県からのアンケート調査結果に基づきまして、特定計画制度の方向性について課題を抽出したものでございます。
 最初に、関係主体による広域的な連携ということで、(1)として、広域的及び地域的な連携が必要であるということ。これにつきましては、特定計画の対象となる地域個体群の関係行政機関が広域的及び地域的に連携することによって、健全な地域個体群の維持、それから地域個体群としての絶滅のおそれの回避、さらに被害対策として捕獲圧の高い地域から個体の拡散の防止など、効果的な保護管理を図るといったことでございます。
 (2)といたしまして、広域的な地域個体群の保護管理に関する指針ということで、広域的に保護管理すべき地域個体群について、その範囲及び保護管理の方向性など、広域的な地域個体群の保護管理に関する指針を提示することで、適切な鳥獣の保護管理を進めるということ。
 それから、2番目といたしまして、関係主体の連携と地域的な取組の充実ということで、これは(1)として、関係主体の役割の明確化と連携でございまして、鳥獣保護管理に携わる国、都道府県、市町村等の関係行政機関や地域住民をはじめとする関係主体の役割を明確化するとともに、緊密な連携を図るということ。
 さらに、次のページ、2ページ目でございますが、鳥獣による被害対策は捕獲のみによる対応では不十分であって、農林水産部局等との連携によって被害防除対策を進めるとともに、鳥獣の生息環境の適切な管理を図ること。
 それから、(2)といたしまして、地域的な保護管理の合意形成を図るということで、被害防止対策を含めて鳥獣の保護管理を適切に進めるためにも、市町村ですとか集落レベルでの地域的な合意形成を図って、地域における保護管理の目標を明確化する。また、こうした地域的な保護管理の目標を特定計画に取り込むようにするというようなことが必要であるといったようなこと。
 それから、(3)といたしまして、被害に強い地域づくりということで、鳥獣を誘引する生ごみですとか未収穫の作物の除去、それから耕作放棄地ですとか里山の適切な管理、安易な餌付けを行わない等、鳥獣被害を受けにくい地域づくりについての取組を進めるということ。
 それから、(4)といたしまして人材育成でございますが、地域における鳥獣の保護管理の取組に対して、専門的知見から助言を行う体制を整備するとともに、研修や対話等を通じて地域住民への保護管理への理解の促進を図るといったようなこと。
 それから、3番目といたしまして、科学的な保護管理の推進ということで、(1)として、適切な技術開発、より効果的な生態調査ですとかモニタリング手法の開発、さらに鳥獣の生態解明等、保護管理に関する技術的な開発を進めるといったようなことが必要である、と。
 次のページでございますが、(2)といたしまして、モニタリング等による特定計画の見直しということで、先ほどのご説明でもございましたけども、初期段階で生息数等を過小評価するといったような事例が見られるということで、特定計画の実施段階のさまざまな状況の変化に対応するために、目標を含めた計画内容の修正等、適切なフィードバックを図るということ。
 4番目といたしまして、適切な捕獲の推進でございます。
 (1)として捕獲従事者の確保ということで、狩猟は鳥獣の保護管理に貢献していると、科学的な保護管理の考え方のもとで今後とも役割を果たしていくことが期待されるため、狩猟者の確保を図るとともに保護管理に関する知識の普及に努める。さらに、市町村の範囲を越えた、広域的な捕獲従事者の確保を図る。さらに、鳥獣被害対策について、農業従事者等が自ら適切な捕獲は可能となるような制度の整備を図るといったこと。
 (2)といたしまして、適切な捕獲の推進ということで、モニタリング結果等を踏まえ、特定計画に基づく個体数調整の捕獲地域ですとか捕獲数、捕獲個体の検討を行うということ。
 (3)といたしまして、錯誤捕獲の防止ということで、適切な捕獲技術により錯誤捕獲の防止に努めるといったようなことが、アンケートから得られた特定計画制度の方向性についての課題として抽出されたものでございます。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 特定計画について詳細に分析をしていただいて、分析をした結果のまとめをしていただいたわけですが、このほかにも、1回目の委員会のときに幾つかご発言があったことに関して事務局の方から補足的にご説明いただけることがあるようなので、鳥居補佐の方から、まずお願いいたします。

【事務局(鳥居)】 それでは、簡単に説明させていただきますけど、前回の小委員会におきまして、きょうご欠席ですけれども、石井委員の方から、鳥獣の生息状況についてもうちょっと地域的な分析をしたらどうかというご提案がございました。これは、現在、私どもの方で作業を進めておりますので、きょうは石井先生もご欠席ということですので、次回の小委員会で、分析につきまして、またご説明をさせていただきたいと思っております。
 それから、2点目、前回の小委員会で三浦委員それから佐々木委員の方からもご指摘がありました予算、都道府県の予算についてなのですが、これはご承知のように平成16年度から狩猟者登録税と入猟税というものが一本化され、狩猟税という目的税に一本化されました。ご承知のように目的税というのは法律によりその使い道が特定されている税金なのでございますけども、狩猟税は地方税法におきまして、鳥獣の保護及び狩猟に関する行政の実施に要する費用というふうに規定をされておりまして、これは鳥獣保護法に基づくものだけに限らず、都道府県が行う鳥獣の保護及び狩猟に関する行政を広く対象としており、詳細は都道府県の裁量で行われる、判断されるという性格のものでございます。
 机上の方にご用意させていただいておりますお手元の鳥獣保護行政関係資料集の102ページに、鳥獣行政関係収支状況という表がございます。前回、この表につきましていろいろご議論があったわけですけども、この収支状況表は収入と支出を並列して併記しておりますけども、当然、このシステムは特別会計というようなものではございませんので、狩猟税だけで行政経費がすべて賄われるという性格のものではありません。ということで、当然、先ほども一般行政経費の中にこの狩猟税の収入が入るというふうなことがヒアリングでご説明がありましたけれども、そういうような性格のものです。
 なお、別途、都道府県に対しまして、15年、16年度の収支状況に関する調査を現在実施していますので、次回具体的なデータをお示ししたいというふうに思っております。
 それから、最後に地方分権、これは磯部委員の方から前回ご指摘がございました。都道府県に対して、市町村へのいろんな許可権限の委譲の現状を調べました。その結果を資料3に、1枚紙ですけどもお示しさせていただいております。
 これをごらんになっていただきますと、左側です、図1ですけども、47都道府県のうちいずれか1種以上、とにかくいろんな許可に――いろんな許可と申しますのは、捕獲の許可以外にも、例えば飼養目的の、捕獲の許可ですね、いろんな目的の捕獲の許可がございますけども、いずれか1種以上の種を市町村に委譲している都道府県は、47都道府県のうち43道府県ある。ほとんどのところで何らかの形で委譲されているというものでございます。
 それからあと、被害防止の目的の捕獲対象となる主な種に着目して、捕獲許可権限の委譲状況を見ますと、図2でございますけども、そのうち特定計画が策定されている県は黒っぽくなっているところでございます。ドバトを委譲と一番下に書いておりますけど、被害防止目的の捕獲許可権限で、委譲数の都道府県数が一番多かったのがドバトということで、ドバトを掲げております。
 さらに、その下ですけども、特定計画に着目した捕獲許可権限の委譲状況が図3でございまして、11月現在、最新の状況で69の特定計画がございますが、そのうち、例えば被害防止目的の捕獲と個体数調整のための捕獲の許可を市町村に委譲しているのは、5つの計画があったと。同じように、被害防止目的のみの場合は21、個体数調整のみの場合は1計画があったと、こういうような状況でございます。
 鳥獣の保護管理の基本指針、国が定める基本指針におきましては、捕獲許可に係る権限の委譲というのは、鳥獣の生息数や分布を踏まえて広域的な見地から判断してください、あるいは、市町村における鳥獣の保護管理の実施体制の整備状況なんかを勘案して、地域の状況に応じて委譲してください、というふうに求めております。基本的には、市町村への権限の委譲は地方自治法に基づくものでございまして、例えば地域の実情を知る市町村が手続きを行うということは、迅速な対応という観点からもメリットがあろうかと思います。鳥獣の保護管理を行う上で権限委譲がデメリットとならないよう、都道府県と市町村との連携というものを促していきたいというふうに考えております。
 最後に、資料集の70ページ、ちょっとこれは訂正ですけど、資料集の中に挟み込んでおりますが、猟区、放鳥獣猟区の変遷で、平成13年度、14年度、15年度の数値が異なっておりましたので、正誤表といいますか、正しいのを入れております。あわせて16年度のデータも入れております。前回、猟区が減少していたというふうに申し上げましたけど、ちょっと北海道に大きな、西興部の猟区が入りましたことで、面積はまたぐっとふえて、箇所数もちょっと持ち直して、下げどまっているような状況でございます。
 以上でございます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、3時半まであと40分ほどですけれども、講ずべき方策の検討ということで、きょうは特に特定鳥獣保護管理計画を中心にして、今のご説明に対するご質問とかいろんなコメントだとか、ご自由にご発言いただきたいと思います。どうぞ、どなたからでも。
 どうぞ、市田委員から。

【市田委員】 先ほど千葉県の方にご質問して、結局よくわからなかったんですけれども、特定鳥獣のこの計画を進めるのにモニタリングが必要であるとみんなが指摘をしているわけで。そうすると、そのための財源をどうするかという話で、先ほどのネットワークの方からは狩猟税があるじゃないかというお話があったりしましたけれども、狩猟税も人件費に使っていいのだということになってくると、そうすると結局、やれと期待するのはいいのですけれども、具体的にどういう財源というか措置が考えられるんでしょうか。

【事務局(鳥居)】 基本的には、都道府県の一般財源といいますか鳥獣保護行政の経費の中で賄うという方法はあろうかと思いますけれども、それがやはり基本かなというふうには思います。それ以外の財源を、国の予算をうまく引っ張ってくるいろんな調査研究というのがありますので、そういうのをうまく活用するとか、そういうやり方あると思うんですけども、結局、個別の対応で何か大きな、例えば環境省から都道府県に対してそういう調査を助成するというふうな仕組みはない。以前は、特定鳥獣保護管理計画をつくる際に、補助金、前にも申しましたけども、あったんですけども、三位一体の改革で交付金化されて、基本的に地方の財源の中に、どんぶりに入ってしまったというようなことになってしまっています。

【岩槻委員長】 よろしいですか、というのも変なあれですけれども。
 どうぞ。

【市田委員】 実は、このモニタリングは、この県だけでなくて日本全体でそれぞれの鳥がふえているとか獣がどうだというのをいろいろきちんと調べる必要があると、私、すごく思うのですけれども。やはり環境省の方からも、もし狩猟税の中でやるべきだとすれば、そういった中できちんとモニタリングなんかをやってほしいよとか、そういうのがないと、やはりその中でやることを期待しているだけだと、県はやはり動きにくいんじゃないかという気はするんですけども、そういうお考えはないんですか。

【事務局(鳥居)】 基本的に、国の方で定める基本指針の中で調査研究・モニタリングにつきまして実施を促すような書きぶりにもちろんなって、あるいは、都道府県に対して実際にブロック会議等で実施を促しているわけですけども、ご承知のように、県も今、非常に財源不足というようなこともあって、なかなかそこは悩ましいところではあるというふうには思いますけども。私どもの方としては、もちろんそういうのをぜひ進めていっていただきたい。それは、単に予算的なものだけだとなかなか支援というのは難しいところが、あるいは、前回も申しましたけれども、例えばその手法とかについては国の方である程度考えて、こういう手法でやってくださいとかという技術的な助言と申しますか、そういうことを県の方にお示ししていくなり、あるいは、国の方で行う、この間も基礎調査の話をちょっといたしましたけども、そういったデータの、これは広く薄くですけども、そういうような活用とか、そういうものの技術的な面での支援ということが中心になってしまいますけども、そういうことを続けながら、県の方でもいろんな独自な工夫をしていただきたいなというふうに思っています。

【岩槻委員長】 現状はそういうことだということでご理解いただけたらと思います。
 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 今の点ですけれども、やはり、何といいますか、例えば職員経費までが組み込まれているような格好で、特定の、例えば二、三年置きに特定計画に基づくモニタリングなんかの調査計画を入れていくという、片や職員経費が恒常的に使われていくといったような中で、全体的に財源が少ない中で、そのモニタリングをやっていくための経費というのはその時々で非常につくりにくい構図になっていると思うんですね。必要なことは、やはり目的税の鳥獣保護にかかわっていることに、基本的にはこういう格好で使うべしというそれを、ダイレクトには言わないのでしょうけども、そのグランドデザインみたいなのがやはりあってもいいのではないかというふうに思いますし。
 それからもう一つは、これ、モニタリングをやっていくということと、それから今までの、今回のやつでもそうでしたけど、やはりかなりの専門家といいますか、地域地域で活躍する鳥獣保護員も含めて、そうした人たちの研修も含めて、よりスペシャリストに育てていくということが今の時点で非常に必要なわけですね、そういう中で、きょうは吉田さんも全体の経費が28億円ほどあるとかと言っていましたけども、28億円で、やはりこれ、ある程度のジョブとして成立するようなものでないと、そのかわりその地域の被害問題や狩猟といったものに責任を持つといったような格好にするためには、ある程度のやはりお金を保証していく必要がある。単純に割り算すれば、かなりの人数になるわけですね、それに全部使うわけにはもちろんいきませんけれども、そういう経費として使うべしといったようなグランドデザインを、何かもうちょっと踏み込んでもいいのではないかと。一般経費の中に突っ込んでいいよという、もうどうぞといったような話ではないだろうなというふうに思います。
 それから、もう一点いいですか。今のに関連するんですが、特定に伴って、これ、市町村の権限委譲のこの数は非常に興味深いなと思ったんですが、確かに一方でそういう各県での専門家の活動という領域を見ますと、市町村にこれからどんどんどんどんおりるでしょうし、市町村での捕獲だとか被害問題だとかというのは重要な局面を迎えてくると思うんですが、このときに私自身は市町村におろしても構わないんだけど、全く制度がないといいますか、例えば商工観光課の人が片手間にやっているとか、そういうのが実情だと思うんですね。研修も何も全く受けていないような人たちが捕獲の権限を持っているというような実情はいかがだと思うんですね。県の計画としては特定計画を持っているわけですけども、本来、制度的に言うと、これを、例えばシカの特定計画で各市町村の捕獲権限というのはこれに付随するような格好でもしデザインするとすれば、これが特定計画の下位計画を市町村で本来であれば持つべきなんですね。下位計画の総体として県の計画になるはずだというか。一部では、確かにカモシカの特定計画はそういう形で現在展開されていると思うんですね。そのときに全く、そういう下位計画を持つだとか、それからある程度の研修を受けている人が担当しているだとかといったような、そういう基準やなんかがないままに、これも分権ですから、余り、一応しょうがないという格好で今やられているわけですけども、そのままやはり市町村におろしている、捕獲権限をおろしているという現状も、もうちょっと、やはり見直すべき基準みたいなのをつくり出していく必要があるのではないかと。

【岩槻委員長】 はい。佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】 ちょっと関連。今の三浦委員のご質問に関連なんですが、予算の関係で、今、こう体系が変わったわけですけども、県では余り、目的税になったということで、どうこうという考えは全く持っていないですね。一般財源に入る一般財源だという考え方で対応をしています。ほとんどの都道府県がそうではないでしょうか。ですから、これを特別会計にでもすれば全然違った形になったのかなと思いますが、実際に自治体はそういう気持ちはこれっぽっちもないですね。ですから、いろんなことを乗り越えてこれを目的税にしたわけですから、さっきも三浦委員がおっしゃったとおり、環境省もやはりもう少し踏み込んで行政指導をする――まあ、指導までいくかどうか、その辺も含めて、私はやる必要があると思うんですね。我々が県に行っていろいろお話ししても、全然そういう意識がございません。ですから、その辺を少しご指導いただければ大変ありがたいと思います。

【岩槻委員長】 どうぞ、磯部委員。

【磯部委員】 よろしいですか。分権の本質論と実体とのずれの難しい問題を感じていますが。ちょっと、今そこに触れるのはまだ早過ぎるなと思うんですけど、この資料2−2で――いいですか、こっちの話。
 きれいな言葉遣いと言えば言葉遣いなのかもしれない。よくわからないのですが、広域的な連携とか地域的な連携とか、ちょっと確かめなのですけれど、例えば1ページの1の(1)で「特定計画の対象となる地域個体群の関係行政機関が広域的及び地域的に連携」というのは、何のことを言っているのかという質問ですけれど。「地域的」というと、その市町村のスパンということなのでしょうか。あるいは、それよりも小さい、狭いというのでしょうか。それから、「広域的」というと、その市町村の区域を越えて県域というレベルなのか、というように置きかえていいのか。それとも、それぞれ、まさに地域個体群の生息状況の特性に応じて、もっと変わる機能的な概念なのか。
 それから、そこに「特定計画の対象となる地域個体群」という概念と(2)で出てくる「広域的な地域個体群」というのは、これはまた違うわけですよね。だから、この場合の広域的というのは、特定計画の対象となる地域個体群というのは、ほぼ、県レベルでとらえるのかなと思ったのですが。そうすると、(2)でいう「広域的な」というのは、その県レベルを超えるという話を主として念頭に置くのか、あるいは、それはその場その場でというか、その都度、対象の特性に応じての機能的な概念ということでよろしいのか。いずれにせよ、ここでは隣の市町村とうまく連携しましょうよというような意味での水平的なというか、横の連携の話もあれば、同じ地域に縦――という言い方はこの分権の時代には注意して使わなきゃいかんのですけれど、わかりやすく言えば、垂直的な市町村あり、都道府県あり、国ありと、そういう、同一地域内においての重なり合う垂直的な関係行政機関の連携もあるのだろうと思います。
 さらに、次のページへいくと、農林水産部局との云々などというので、1つの行政主体内部での関係行政部局との間の連携というような、いわば行政組織内部の話があり、かつそのほかにも猟友会だとかその他行政外の団体との連携、協力という、これ全部正しいとは思うのですけど、似たような言葉でさらっと書かれていると、ちょっと議論がうまくいかなくなる可能性もあるように思いましたので、ちょっとその辺を、さらにその2ページの今の(2)のところでは、市町村や集落レベル等での地域的な合意形成、この場合の地域的というのはもっとかなり狭い単位なのでしょうかね。というぐあいで、このとおりで別に書かれていることに反対のつもりはないのですけれど、どこが一番ポイントだろうか、あるいは優先順位というのではどうなのだろうかという、そういうような問題意識から伺う次第です。

【岩槻委員長】 それでは、中澤さん。

【事務局(中澤)】 「地域的」及び「広域的」という言葉で、資料の中でわかりづらい表現をしてしまって、申しわけございませんでした。
 まず、「広域的」という言葉でございますが、1(1)の小さい字で書かれている下の方で、先ほどご説明申し上げなかったのですけども、例えば一番下の行で、「地域個体群の規模、行動範囲に応じて隣接県や関係市町村ごとに進める」といったようなことで表現しております。
 例えば「広域的」という言葉ですけれども、これは対象とする鳥獣によっていろいろと規模は変わってくると思っておりまして、例えばこれまでもご説明しているカワウにつきまして、私ども今、広域の保護管理指針というのを策定しております。これにつきましては広域ということで、関東地方ですと10都県ですとか、関西圏ですと15府県と、そういった広がりで対応しているということでございます。ただ、これは、例えばシカ、先ほど栃木と群馬の例がございましたが、隣県、隣接県でその広域的な連携を図るといったようなケースもございます。この広域というのは、その対象の鳥獣によっていろいろと分かれるということでございます。
 それから、地域的なことでございますけれども、これにつきましては、1(1)で意図しているところは、市町村ごとの取組ということでございます。やはり、特定計画の実施の内容は、市町村単位ごとにいろいろと取り組んでいる事例というのがございます。その市町村ごとに取組に差があったりとかということもございますので、その市町村の中で、例えば1つの都道府県の中の市町村が地域的に連携するといったようなことの必要性。
 さらに、先ほどご指摘にもございました、2(2)のところで説明してございます地域的、市町村や集落レベル等での地域的というのは、さらにそれをもっと狭めた集落レベル、被害に強い集落をつくるための合意形成ですとか、地域住民の人たちの連携みたいなもの、そういったような地域的なものというのは幾つかの階層がある。ただ、さらに、広域的なということにつきましても、対象の鳥獣によって幾つかの広がりというのがやはり分けられるのではないかというふうに考えております。

【磯部委員】 大体わかりましたが、要するにいろんなレベルのいろんなことがあるという話ですよね。だから、注意して議論していかなきゃならないだろうと思いますけれど。先ほど佐々木委員さんが言われた、市町村によっては正直言ってまことに頼りない体制があり得るとか、県によっても、もう全然、意識の違いはあるだろうし、目的税なんて意識も余りレベルは高くないというようなことがあるから、環境省はもっと指導したらどうかという、そこが難しいところでしてね。それをやりだすと、分権がもとへ戻っちゃうわけなのですよね。要するに、頼りないところがあるから、やはり、上から指導しなきゃいかんという考え方はいかんという時代ではあるわけですよね。
 ですから、もし本当にやらなきゃいかんことをぜひやってもらわなきゃならないのならば、それはもう指導ではなくて、きちっとルール化して図っていくしかないだろうし、分権で自治体に任せた以上はその自治体を信頼して、そのさまざまな政策の優先順位を自主的にまさにつけているわけで、限られた資源を、お金も人も、何に優先的に配置するかということでやっているわけですよね。だから、非常に生物保護のランクが低くなっているところがあるのかもしらん。それはしかし、自治の結果なのであって、やむを得ない。しかし、それを、みんなが、国民の前に明らかになるようにしておく必要はあるわけですよね。それで批判が生じれば、自治体の政策が変わっていくはずであって、回りくどいと言えば回りくどい、まどろっこしいのですけれど、そこはだから、きちっとガラス張りの形で、自治体の政策決定の仕組みや順番がわかるようになっていると。よそはもっとこんなにしっかりやっていたのになぜここはこんなにいいかげんなのかということで批判が集まって、おのずから自主的に政策が改まるというのが理想であるわけですよね、建前的には。でも、そんなこと待ってられないという場合には、これはだから、指導ではなくて、法律にきちんと書いて、きちんと措置を求めるとか、そういうことをやっていかなきゃならんのだろう。それが制度の建前ということだろうと思います。

【岩槻委員長】 速水委員、どうぞ。

【速水委員】 予算の話としてはおっしゃられるとおりなのかもしれないのですけど、特にこの特定鳥獣保護管理計画を立てるというのは、ある意味ではそういう、それぞれの対象の生物をコントロールしていこうという、積極的にコントロールをこう図ろうというときに、さっきのそのモニタリング、どこを見てもそのモニタリングの問題というのは出てくるわけですね。行政的に予算がどうだとか、だれに責任があるとかという話はよくわかるんですけども、ただ、やはりその生物をコントロールしようというときに、徹底してその相手のデータというものを持っていなくて、その数値を管理計画を立てていこうというのは、やはりかなりきわどい話なんだろうと思うんですね。
 それで、数が多い、例えばイノシシ、シカのレベル、比較的多いようなところであればともかくとして、例えばクマのレベルですと、やはりよほど精度のいい数字を持っていないと、個体群として、あるいは地域個体群として、非常に脆弱なところがありながらも被害が出てきているというふうな問題があるような場所で、しっかりしたモニタリングができていないとか、ここの幾つかの例の中に、例えば最初の数字が間違っていた、過小評価をしていたとか、かなりそのモニタリングの手法も含めて、さっきの栃木でしたっけ、モニタリングの手法を変えたら数が突然ふえたとか。そういうことを含めて、この計画を立てるに当たってのモニタリングの制度を何かの形で担保させていくというふうなことをしっかり見ていかないと、逆にこの計画自体が国民の支持を得られなくなる可能性があるような気がするんですね。その辺を何で担保するのかというのは、私は行政の中身まではちょっとわからないですけど、そういう意識をしっかり持って、まずモニタリングで実態を可能な限り担保するんだというふうなところが、まずは必要なんじゃないかなと思いますけど。

【岩槻委員長】 大塚委員から。

【大塚委員】 午前中出ておりませんので、ぼけたことを言ったら申しわけないんですが。
 資料2−2に関しては、先ほどご説明いただいて、私は一応すんなり伺って、特にその問題というのは余り感じませんでした。先ほどから出ている予算の関係の話は、三位一体改革も含めて結構重い議論であり、また、短期的に解決できる問題では多分ないので、これ以上議論してもなかなか難しいところがあるかもしれませんが、私もモニタリングの費用とか鳥獣保護員の保護の拡充とかを考えた場合に、自治体において鳥獣関係の予算というのはふやしていっていただかないといけないんだけども、なかなかそういうふうに実情は動いていきそうにないので、危惧は感じております。
 磯部先生からさっきおっしゃっていただいたようなことで、法的には今はそういうふうに申し上げるしかないのだろうと思うのですけども、多分法律でルール化するということについても、法律で義務づけるということになれば相当限定されてくるでしょうから、非常に重みがある問題ということになりますので、多くのことはできないということが当然予想されますので、これは環境行政全般の問題だと思うのですけども、環境行政全体の日本全国で見た場合の低下というのは、ひょっとしたら今の制度だと避けられないのかもしれないというふうに、やや悲観的に私は見ておりますが。特に、地元にとってメリットがないような、例えばモニタリングの費用とか、直接のメリットがないようなものについては、どうしても後回しにされていくことになるだろうなというふうに思ってはおります。思ってはおりますけども、これはちょっと中長期的な課題ですので、ここで今ご議論していただくことは非常に有益だとは思っていますけども、同時に、直ちに解決できる問題では、残念ながら、ない。もうちょっと全体の、今は分権に向かっており、さらに三位一体改革という大問題と関連している問題だということを、コメントにもなっていないかもしれませんが申し上げておきたいと思います。

【岩槻委員長】 亀若委員、どうぞ。

【亀若委員】 私もさっきから同じような意見というか、感想なんですけど。
 これ、まさに今おっしゃられたように、こういう環境行政という、今まで法律に基づいて権限を行使する場合に、いわゆる予算措置というものがあって、それで何とか引っ張ってきているという1つの図式があったんですよね。それがなくなってきている。そうすると、結局、我々がここで、新たな今の現状を踏まえて、それを法律事項に反映させていこうとしたときに、一体それは何でもって担保されるのだということになると、この議論自体に一体どこまで我々の意図といいますかね、これだけ勉強をさせていただいたその結果が、環境省さんとしてこういうふうに担保するんだというふうにおっしゃっていただかないと、なかなかこれ、進まないような気もするんですよ。
 ただ、それは現実は現実なんですけど、いろんな事例の中で、例えばきょうの滋賀県でしたかね、普及員さんをうまく活用して非常にうまくやっておられるとか、そういう現場現場での取組というのは1つある。先ほど磯部委員もおっしゃられたように、そういうものをやはりできるだけ拾い上げてそれを公開していくという、それは1つの誘導方策だろうと思いますけどね。そういうことと同時に、環境省さん自身としても、今の段階で、例えば研究開発なんかについて、もう少しこういった部分での研究開発をお進めになるというふうなこともあっていいんではないかな。独法化されたとかいいながらも、危機感を持っておられる。そういうふうな、先ほどもちょっとモニタリングの――モニタリングだけじゃないかもしれませんが、1つのモデル的なものを云々という話もあったように思いますけど、そういう地道な努力である程度これを担保するというのか、あるいは法律上そこの義務規程をきちっとして、都道府県に対して罰則というわけにはいかないと思いますけどその辺どうされるのか。特にこの特定計画なんかは策定もまだ十分進んでいない、だけど、策定しながらやったところにおいては非常に効果が上がっているというような方向も出ておるわけなので、そこら辺を、今この法律を改正してどういうふうに担保しようと思っているのか、何かそういうお考えがあれば、少し聞かせていただいておくといいなと思うんですけど。

【岩槻委員長】 そのお返事をいただく前に、僕もちょっと視察をしたりで具体的にいろいろ感じたことを二、三、今の何人かの方のご発言に関連させて申し上げたいのですけれども。
 1つは、先ほどの磯部委員のご質問が、僕はある意味では非常に関心があったんですけど。といいますのは、私はこの資料2−2をきょう初めて見せていただいたんですけども、非常にすんなりと理解できた。理解できたにもかかわらず、法律の人から見ると、言葉が非常に不整理だという、そういう印象があったと。この問題はまさにそういうことだと思うんですよね。むしろ、生物学に関与しているものから言いますと、生き物というのは府県とか市町村とかを越えて動いているのに、分権というのはその生物単位で行われるんじゃなしに、府県単位、市町村単位で行われるんですよね。それに対する対応が、それは調整さえ非常に、ここで言われている連携さえうまいこといけばいくはずなんです。僕も、分権に反対とか賛成とかということじゃなしに、分権ということになる以上、分権のよさは十分生かして、しかしそのデメリットをどう補っていくかというのが、これから一番ここで考えないといけないことだと思うんですよね。そのデメリットがどうかといいますと、我々から見て一番心配なのは、今までは国で、割合、統一的に見られていたことが、府県に投げられる。地方じゃなしに府県に投げられる。それで、府県は市町村に投げられる。
 こういうのを悪い例として挙げるんじゃないのですけども、この間見たところなのでその例を挙げさせていただきますと、斐川のあそこで、非常にきれいにイノシシが防除されたわけですよね。防除されて、村の農産物被害は完全に保全されたという。それは成功だということになるんですよね。僕はあのとき質問しようかと思ったら、最後にちゃんと説明があったのでよかったんですけども、そうやって防いだイノシシは、そうしたらどこへ行くのでしょうかということがあるわけで、そのイノシシは隣の市町村へ行っているわけですよね。元来、それは初めからわかるはずで、その計画の中にはそれまで込めた計画になっていないと、本来、計画としては成り立たないはずなんですよね。そういうのが市町村あるいは集落に投げられてしまうと、吹っ飛んでしまうところになるわけですよね。それが吹っ飛ばないようにするためにはどうしたらいいかというのは、これはやはり、割合、これからの鳥獣行政を考えていく上では重要なことなんじゃないかなと思うんです。それは、この予算で担保できるのか法律ですぐできるのか、それはちょっと僕はわかりませんけども。問題点としては、非常にこの分権――鳥獣に対する対応を分権の時代にどう対応していくかという上で非常に重要なポイントだと思うんですよね。
 それに関連して、同じ斐川のところで感じたことなんですけども、あそこで施設の施設費が160万円で、維持費が年間5万円ほどでしたか。という計算をされましたですよね。それで、もしその費用効果ということを考えるとしますと、逆にカワウのところでは、1羽やるために1万円という計算をされましたですよね。それは、カワウの場合には、狩猟をやる人に依頼して一日の日当を計算したら、そういうことになるということでしたよね。ところが、斐川のあの施設のときには、その施設をつくるというのはそこの農民が自分の施設を守るんだからそれはボランタリーにやる、ということになっているわけですよね。あとの維持費も、電気代とかは計算されましたけど、見回りの費用はボランタリーになっているわけですよね。これは農水省にかかわることなのかもしれませんけども、そういうときに被害額というのは実質の被害額で出てくるのですけども、それに対して、それに対する対策の費用というのは、どういうわけか農民にかかっている分だけは勝手にやるという、自分の仕事だから勝手にやるということになって、計算に出てこないんですよ。僕はそれを計算するのがいいのかどうかわかりませんけども、しかし本当に対費用効果ということを考えるなら、その人件費というのも計算した上で、得になっているか損になっているかという計算をした上でやらないといけないものなんじゃないかと思いますけども。そういうことも、モニターのときには当然入ってくるべきポイントだと思うんですね。
 それから、もう一つ必要なのは、特定計画というのはやはり農林業の被害というようなことが非常に重要な基準になって組まれていますけども、しかし、今、シカだとかの害としては、野生生物に対する害というのは非常にはっきり出てきているわけですよね。特に九州とか屋久島とかでは害が出てきていて、それこそ、もともとの植物相に対して大きい影響が生じている。これに対する害というのは、これも計算に入っていないんですよね、被害額という額の計算が。これも額が計算できないようなものなのでしょうけども、しかし、その被害というのもやはり非常に大きいので、それをモニターするというのもこの鳥獣のコントロールをする上では非常に重要なポイントではないかと思うのですけども、いずれにしても、まだまだほかにも幾つかあるのですけども、主なことを挙げますとそういう幾つもの問題が出てくるのですけども、そういう問題を踏まえた上で、今の分権の時代に鳥獣行政をどういうふうに進めていくかということで、法の改正をする基本的なスタンスみたいなものが、今でなくてもいいですけどもし伺えれば、これは我々としても議論が非常にやりやすくなると。

【南川自然環境局長】 いろいろご指摘ありがとうございます。全部お答えできませんし、よく研究させていただきますけれども、まず、概して言うと、今の仕事の仕分けというのは、いろいろあっても、基本的に地方公共団体が行う仕事というのは、国の法律の枠組みの中でやっています。そういう意味で、法律の枠組みをしっかりつくることが第一であって、それを今日的に合ったものに変えていくということは、各地方公共団体の仕事にもすぐにそのまま反映していただけると思っています。
 ただし、その制度を変えるときも難しさがありまして、地方公共団体の仕事になっている場合には――これは磯部先生が詳しいのですけれども、法定受託事務か自治事務かということで、全く仕組みが、どこまで書けるか変わってきます。
 私もこの間まで廃棄物をやっていましたけども、産業廃棄物は基本的に国の仕事を法定受託でお願いしている。一般廃棄物は逆に自治事務だということで、国の関与の仕方がまるで変わってまいります。産廃ですと、国の指導権限もかなり明確に法文上書いていますし、それから、実際に一部の広域的なものについては、国が認可をしています。そういうこともありますが、それで考えると、鳥獣保護法というのは基本的に全部自治事務なものですから、ある程度のところでその制度的なくくりというのは限界があるということはございます。ただし、いずれにしても、しっかりしたフレームをつくるのは各地域での仕事のしやすさにかかわってきますので、そこはぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、予算関連になりますけれども、予算というのは、もう三位一体改革もあって、国から地方公共団体の補助金制度はつくらないということに、今、なっています。というのは、その国から補助制度があると、旧自治省の方でそれは全部その財源を回せとなりますから、今、各省そろって、地方公共団体への補助金は一切つくらないということになっております。
 したがって、国が何か応援する場合は、例えばモデル事業で、NGOの活動を支援するとか、NGOというのは幅広いですから、市民団体とか農業団体とかそれから狩猟団体とか、いろいろございますが、いずれにしても、地方公共団体とは別に、そういったところに、直接、国が金を出すということでしか、実際の支援の仕方はないだろうと思います。
 それからもう一つは、仕事が今の分権の発想というのはすっぱりと縦に分けるということですから、例えば国立公園であれば環境省が許認可も含めて施設整備も全面的に責任を持ってやる。また、鳥獣で言えば、国指定鳥獣保護区は基本的に国がやる、それから、輸出入関係のものであれば国がやるとかいうことで、それ以外は地方公共団体ということで、言ってみれば縦にすぱっと切るということで、横の指示とか支配とか、そういうことはしないというのが今の建前になっています。
 したがって、そういうところで、国として直接やれる部分でしっかりした仕事をして、また、そういう情報を広く伝えることによって地域の行政も変えてもらう、取り入れてもらうということかなと思います。
 それから、当然ながら、いろいろな廃棄物とか、あるいは公害関係の仕事をやっていますと、技術開発とか研究とか非常に、実は大事でございます。もちろん、支援の部分もありますけれども、やや特殊な、かつてにおいては趣味の延長みたいなとらえ方をされてきた部分がございます。
 ただし、今日的には、鳥獣も含めた自然関係のいろんな技術研究というのはもっと一般的なものだろうというふうに思いますから、ぜひそういったことをこれから評価して広めていくということについては、その方策を考えていきたいというふうに思います。
 とりあえず、以上でございます。

【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
 時間が参りましたけども、今の局長のご発言に対して、何かこの機会にというご発言はございますでしょうか。

(なし)

【岩槻委員長】 特にありませんでしたら、ちょうど時間になりましたので、きょうはこれで終わりにさせていただいてよろしいですか。
 そのほか、何か事務局の方から。

【事務局(鳥居)】 特にございません。

【岩槻委員長】 それでは、きょうはこれで終わりにさせていただきます。
 次は、2週間か3週間か先でしたね。

【事務局(鳥居)】 2週間後です。また、改めてご案内いたします。

【岩槻委員長】 そういうことでよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

(了)