■議事録一覧■

中央環境審議会野生生物部会
第1回鳥獣保護管理小委員会 議事概要



1. 日時  平成17年10月17日14時~16時
  
2. 場所  合同庁舎5号館(22階)環境省第1会議室
  
3. 出席者  
   (小委員長)  岩槻 邦男    
   (委員)  石井信夫 磯部力 市田則孝
     大塚直 亀若誠 佐々木洋平
     速水亨 三浦愼悟  
   (環境省)  自然環境局長、大臣官房審議官、総務課長、
 野生生物課長、鳥獣保護業務室長ほか
     
4. 自然環境局長から挨拶を行った。


5. 議事
(1) 鳥獣保護管理小委員会の検討スケジュール(案)について
  [1] 事務局より資料1について説明
  [2] 特段、質疑はなく、スケジュール案が了承された。


(2) 鳥獣保護及び狩猟の適正化に係る現状と課題
  [1] 事務局より資料2について説明
  [2] 委員発言及び事務局応答の概要は、以下のとおり。

自然林に生息していた鳥獣が、近年、耕作地・緑の多い住宅地及び樹園地に移動していると理解して良いか。

(事務局)データ上そのような傾向が伺える。

各都道府県において、鳥獣関係行政経費が具体的にどのように使用されているかを知りたい。特に、職員費について都道府県別にわからないか。

(事務局)都道府県に照会し、可能なものを資料として提出する。

鳥獣経費の使途について、職員費に支出している県と支出していない県があるが、ある程度使途の方向性を示す必要がある。

鳥獣の保護を主体とする鳥獣保護員の経費について、狩猟税から支出するのは適当かどうか。

都道府県における鳥獣対策の予算措置が農林水産部局ではなく、自然環境部局で行われている場合もある。

市町村合併が進み、鳥獣保護員の数は今後どうなるか。

(事務局)都道府県の意向によるが、総数は直ちには変わらないと思われる。一方、今後は専門性を有する者の配置が求められると考えている。

狩猟者数の減少している中で、今後も個体数調整への貢献を期待できるのか疑問である。

特定鳥獣保護管理計画の評価で、個体群動態で達成との評価があるがその根拠は何か。

(事務局)捕獲数を計画の範囲内で収めているという意味で達成としている。

被害対策ではあまり達成したとの評価がないがどういう意味か。

(事務局)被害量の減少が目標に達していないとの意味である。

特定計画の目標のたて方にバラツキが大きく、正確な評価が難しいのではないか。整合性のある目標の立て方にする必要がある。

生息数調査等は重要であるが、今後どのようにしていくのか。

(事務局)自然環境保全基礎調査、ガンカモ調査、標識調査、モニタリングサイト1000等の調査の他、国内希少野生動植物種やアザラシ等個別の調査も実施しており、これらを総合的に評価していくこととしたい。

鳥獣保護事業は国の指針に基づき都道府県で実施されるが、環境省がどうするか、特に渡り鳥の保護など国際協力の観点が抜けている。具体的に示していく必要がある。  

(事務局)国としての考え方を基本指針等で整理していく必要があると認識している。渡り鳥の保護の関係は、二国間の渡り鳥条約のほか、アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略があり、この戦略に基づくネットワークをさらに拡大していくべきと考えている。

獣害は昔からあったが、近年、林業自体の経営悪化と獣の増加に伴い、林家が対応していくことが厳しくなっている。林業被害防止のために設置された柵の管理も、大きな負担となっており、伐採しても植栽しない所有者が増加している。

シカは必ずしも敵対的に捉えるのではなく、森林管理と野生生物保護との両立を考えていくべきであり、この点をしっかり議論すべきである。

サルによる被害については、林業等の衰退にともない人の活動域が減少し、バッファーゾーンがなくなっていることが、人里にサルを寄せ付ける要因となっている。

クマが減ったことは実感でき、紀伊半島のクマの保護は特に必要である。

中大型哺乳類が、農耕地・林業地で拡大しているという説明であったが、全体として増えていてもニホンザルは中部から西では生息しなくなっている地域もある。他の種も同様であり、全体の評価だけではなく、地域ごとの評価も必要である。

昔いなかった場所に新たに分布が拡大していると判断するには、もう少し細かい検証が必要である。

(事務局)この評価で十分とは考えていない。さらに細かな評価が必要なことは認識している。

鳥獣の増加に対する県の対応は、特定計画の策定状況も含め、適切に動いていると考えているのか。 
 
(事務局)種によって異なるが、中国地方の特定計画については、ニホンジカは分布が多い県での策定が進んでいるが、クマはむしろ減っている県での策定が進んでいる。イノシシは分布に比べて策定が少ない状況にある。

国指定の鳥獣保護区について、平成14年から急増しているが、国として何か方針があるのか。

(事務局)ラムサール条約の登録湿地を倍増させる方向で取り組んだためである。

平成11年改正は既存の仕組みを地方分権に変えたが、その結果が適正であったかどうかを議論する必要があるのではないか。国、都道府県、市町村の役割分担についての検討も必要である。この点について、現段階でどのように評価しているのか。

人、金の問題もあるが、違反行為の取締に対する実効性の担保の推進について、鳥獣保護行政と警察との連携などどのようにしていくつもりなのか。

司法警察員について、制度としてあまり機能していないのではないか。これをうまく活用し、推進していく方策も必要ではないか。

(事務局)平成11年の地方分権の整理を根本的に見直すことは考えていないが、国の役割について言えば、

広域に移動する鳥獣の保護管理については、都道府県の主体性を尊重しつつ、必 要に応じ国が側面的に関わっていく必要性があると考えている。
鳥獣の輸出入は、基本的に国が管理すべきものと考えている。
また、狩猟者が減少していく中で、被害対策も考慮し、免許制度の見直しを考え ていく必要がある。
さらに、違法行為の取締については、今後とも警察との連携を密にし適正に対応していく必要があると認識している。司法警察員は、現状では実効性の面で課題があるので、今後検討したい。

 

地方分権後の鳥獣行政の評価は重要と考える。

予算は全体として農林部局の方が大きく、全貌を把握した上で農林部局との連携も重要である。

特定計画の評価も、生データではなく、分析した上で、問題点を整理し、それに応じた議論が必要である。何をしようとして、実際に何が問題になってできなかったのかを明確にする必要がある。

狩猟者の減少について、減っている原因は何か、改善できるものかどうかの見極めも必要である。増加が期待できないのであれば、別の方法を考えるべきではないか。

狩猟は、農林文化と一緒に発展してきており、農林業の衰退に応じ狩猟者も減少している。

狩猟の後継者養成のためにも、事故防止は更に徹底させる必要がある。

狩猟税は、狩猟者の後継者育成のために使用すべきではないか

試験日の柔軟な対応等、国の方でも適正に都道府県を指導してほしい。

狩猟の経費も高額であるため、その点の見直しも必要ではないか。

各都道府県は、今後特定計画のモニタリング経費を捻出できるのか。

(事務局)三位一体で補助金は無理であるが、研修会の実施などを通じ、技術的な支援について、今後とも必要な対策を講じていきたい。なお、特定計画策定のためのマニュアルにもモニタリングの実施方法については記載している。