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中央環境審議会野生生物部会
第9回移入種対策小委員会会議録


     
  1. 日時  平成15年10月2日(木)13:00〜14:30

  2. 場所  環境省第1会議室

  3. 出席者
    (小委員長)岩槻 邦男
    (委員) 鷲谷いずみ    
    (臨時委員) 阿部  永  岡島 成行  大塚  直
      加藤 順子    
    (専門委員) 石井  実  太田 英利  大矢 秀臣
      小林 正勝  細谷 和海  
    (環境省)     小野寺自然環境局長
      名執野生生物課長
      上杉生物多様性企画官
      山岸野生生物課長補佐

                       
  4. 議事

    【司会】 それでは、予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会移入種対策小委員会を開催していただきたいと存じます。
     本日の出席者数でございますが、中央環境審議会令により、定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
     なお、児玉委員、小寺委員、大井委員及び山岸委員はご欠席というふうに伺っております。また、岡島委員につきましては、遅れてご出席いただける旨、ご連絡をいただいております。
     会議が始まります前に、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿の後に、資料1といたしまして移入種対策に関する措置の在り方についての中間報告案、資料2といたしまして、その概要の資料をおつけしております。それから参考資料といたしまして「日本産野生生物既知種数と移入種の割合の目安」から始まる41ページまでの資料、参考資料でございます。それから、審議スケジュール及びこれまでの審議状況についての資料でございます。
     以上でございますが、もし資料に不備がございましたら、事務局の方までお知らせいただきたいと思います。
     それでは委員長、よろしくお願いいたします。

    【岩槻委員長】 それでは、第9回目になりますが、移入種対策小委員会を始めさせていただきます。この委員会、2月から既に8回にわたって何回かヒアリングもあったり、勉強しながら議論を重ねていただいたわけですけれども、今日は順調に進みますと、中間報告の取りまとめをして、パブリックコメントに回すというところまで詰めさせていただければというふうに思っております。
     前回、中間報告のどういうふうにまとめるかという原案について、ここで議論をしていただいて、その議論に基づいて事務局の方で案をつくっていただいて、約束どおり事前に各委員のところへお回しいただいたのですが、それに対する何人かの方からのコメントも含めて修正をした案を今日はご議論いただいて、その案を中間報告案としてまとめさせていただきたいということです。
     それでは、最初に事務局の方から、資料1に基づいてですか、中間報告案についてご説明をお願いします。

    【上杉生物多様性企画官】 それでは、資料1に基づきましてご説明をしたいと思います。先々週に一度お送りしているものから、基本的に構成は変わっておりません。いただいたご意見とあと事務局のサイドで事実関係等の確認ができたもの等を、一部修正をしておりますけれども、構成は変わっておりません。
     それでは、まず資料1の、中間報告案の1ページ目から簡単に概要をご説明したいと思います。まず「はじめに」のところでございますけれども、第4パラのところで日本の生態系というものが外部からの移入種の侵入にもろい面を有しているということがあり、我が国の生物多様性を脅かす主要因の一つとして、移入種の問題が認識されているということからも、早急に移入種対策を実施するための法制度を整備することが必要であるという認識をまず述べてございます。
     その下、1.移入種の現状と問題というところでございます。(1)移入種とは何か、定義に係る問題でございますけれども、移入種につきましては、ある地域に人為的に移入された種ということで、当該地域を自然分布域とする在来種のいずれにも属しない種ということでございまして、基本的には国内での分布していない種についても、移入種という中には含めて考えたいというふうに考えてございます。また、既存文献等による知見によれば、ここに数字が書いてございますけれども、約2,000種弱について一応報告があるということでございます。またその移入種の中でも、在来種の捕食等の問題を生じているものがございまして、これらのものについては侵略的な移入種として特に問題にされているところでございます。なお、在来種の定義もなかなか難しいところがございますけれども、本報告の中では、おおむね明治時代より以前から日本国内において生態系の構成要素となっているような種については在来種という捉え方をしたい、というふうに整理をしてございます。 
     (2)が、そういう移入種による問題点と事例ということでございまして、生物多様性への影響、人の財産――例えば農林水産業等でございますけれども、そういうものへの影響、あるいは人の健康への影響等という、さまざまな影響がございます。また、移入種の場合は定着から一定期間を経過した後に急激に分布を拡大するようなことがあるということ、それから一度蔓延してしまうと、その駆除には非常に困難な点が多いといった問題がございます。
     以下、ア 在来種の捕食、次のページに移りまして、イ 在来種との競合・在来種の駆逐等、ウ 植生破壊等による生態系基盤の損壊、次のページに移りまして、エ 交雑による遺伝的攪乱、オ 在来生物への病気・寄生虫の媒介等、カ 人の財産等(農林水産業等)への影響、キ 人の健康への影響ということで、幾つか報告のございますような具体的な事例も挙げながら、それぞれの問題事例について紹介をしてございます。
     5ページ目の(3)移入種の移入経路ということでございまして、これには、ア 野外への放出、イ 過失による野外への逸出、次のページに移りまして、ウ 非意図的な移入とうことで、さまざまな移入の経路があるということも、これも事例も交えながら説明をしているところでございます。
     続きまして、6ページ(4)移入種対策に関する近年の動向ということでございます。まずアが新・生物多様性国家戦略でございまして、昨年の3月に関係閣僚会議で決定された中においても、三つの危機のうちの一つとしてその対策についての必要性を位置づけるということでございます。それからイが生物多様性条約の関係でございまして、まず条約の第8条の中に、外来種の導入の防止、抑制もしくは撲滅というような条文があるということでございまして、それに沿って指針原則というのが締約国会議で決議がされているところでございます。
     それから次のページに移りまして、ウ 総合規制改革会議の答申等ということで、平成13年12月の第1次答申、あるいは今年3月に閣議決定されました「規制改革推進3か年計画」におきましても、移入種対策についての法制化も視野に入れて対策を検討すべきということが言われてございます。それから、エが内閣府の世論調査の結果でございまして、国民の一般的関心という意味ではそれなりに高いものが見られているけれども、例えば年代別に見ると若い世代では非常に低いという問題があるということを説明してございます。
     それから、7ページ(5)移入種対策に関する取組の現状ということでございます。まず我が国における現行制度でございますけれども、(ア)としまして、海外からの生物の持込み。そういう海外からの持ち込みに関しましては、植物防疫法ですとか、あるいは感染症法、家畜伝染病予防法等の法律に基づきまして、それぞれの観点からの規制がなされているということでございます。それから8ページの(イ)国内における生物の取扱いでございます。これは生物の国内での販売・管理ということに関連したものでございますけれども、これも同様に植物防疫法、水産資源保護法、狂犬病予防法、動物愛護法等によって、それぞれ規制がされているところでございます。
     続きまして9ページ、(ウ)でございますが、移入種による生物多様性への影響の防除ということで、防除に関係する法制度という中でも鳥獣保護法ですとか、あるいは感染症法、植物防疫法等、それぞれの法目的の達成のために必要な動植物の駆除等の実施の規定があるということでございます。
     それから、9ページのイ 諸外国における移入種対策ということでございまして、これは例えばニュージーランドでは二つの法律によりまして、種を指定して野外放出等を禁止している他に、新たに移入しようとする種にリスク評価を課しているという制度が代表的な例でございまして、他にはオーストラリアの例ですとか、あるいは、アメリカ合衆国が複数の法律によって有害な動植物の輸入規制を実施しているという事例を紹介をしてございます。一番下のなお書きのところでございますけれども、バラスト水に関しましては、国際海事機構の方におきまして、現在「船舶のバラスト水及び沈殿物の排出規制及び管理に関する新条約」というものが議論されている最中でございまして、バラスト水中の移入生物についても、一応そちらの方で対象としているということでございます。
     続きまして10ページに移りまして、(6)移入種対策に関する課題でございます。今国内の各種制度のご紹介をしましたように、一定の部門を対象とする制度はあるわけでございますが、生物多様性の保全という観点を対象にしているような制度はないというのが現状でございます。それから、既存の制度の中では国内での徹底した管理の観点から、さまざまな措置を担保するような措置というものについても、ないのが現状であるということでございます。
     10ページの2.移入種対策に関する措置の在り方ということでございます。(1)が基本的考え方をまとめた部分でございます。まず冒頭の部分でございますけれども、生物多様性条約の締約国会議で決議されました指針原則の考え方、侵入の予防、早期発見、早期対応、定着したものの防除というものが、我が国における移入種対策においても考え方としての基本となるということを述べてございます。その上で次のパラグラフに移りますけれども、そもそも、適正な管理がされていればこの移入種というのが防除の対象にもならなかったはずだということからしますと、新たな移入種の問題が極力起きないように対処していく、そういう姿勢が重要であるということ。その場合、移入種対策というのは交雑やよそ者をそれゆえに排除すべき対象としているわけではなくて、生物多様性の喪失という、取り返しのつかない事態を招くことがないように、予防的に対処していくのが重要であるということを述べてございます。
     それから続きまして、今までいろいろな移入生物が我が国の中では利用されてきております。その中で自然環境となじんでしまっている、特に問題を生じないものもあるわけですけれども、一方でさまざまな問題を起こしているものもあるということでございまして、こうした移入種の全体像も理解しながら、特に生物多様性等への影響が懸念される侵略的な移入種に対して、制度的な措置を検討する必要があるということを述べてございます。その際には、我が国に本来的には分布している在来種であっても、それを自然分布しない地域へ持ち込むことによる影響ということも考慮しまして、特に生物多様性保全上重要な地域における在来的な種への対策も、検討対象とすべきであるということを述べております。
     さらにその下でございますけれども、制度的な規制の対象とする移入種の種類につきましては、それが特定できることが必要であるということから、国内の在来種のリスト作成状況等を勘案して決める必要があるということを述べてございます。また、侵略的な移入種が問題を引き起こすというのは、移入種が意図的、非意図的に野外へ放出されることによって、在来種等へ影響が生じる事態を招いた場合ということでありますので、第一義的には侵入の予防を図るということから、移入時点でのチェックにとどまらず、国内に持ち込まれた後に適正な管理が確保される必要があるということを述べてございます。
     さらに最後のパラグラフですけれども、関わる関係者が非常に多岐にわたります。そういう意味では個々の関係者の行動が、移入種の適正な管理の観点からも極めて重要ということでございますので、こうした関係者が必要な対処を行えるように促していくということが重要であるということを、最後に述べてございます。
     (2)が制度化に当たり検討すべき事項ということでございまして、[1]から[6]まで6つの事項を示しているところでございます。[1]が海外から新たに移入種を持ち込もうとする場合の考え方でございまして、そういう新たに持ち込みをしようとする者に対しまして、基礎的な情報を提出させまして、その国において当該移入種が定着する可能性ですとか、影響を及ぼす可能性について評価をし、悪影響を判定する仕組みが必要ではないかと。その判定に当たりましては専門家の意見を踏まえることが必要でありますし、その判定が終わるまで当該種の我が国への持ち込みを規制するという考え方を示してございます。また、この既判定種につきましては、新たな科学的知見の充実等によりまして、影響の判定というのが見直しがあり得るということを述べてございます。
     それから悪影響を及ぼすおそれがあると判定された種の扱いにつきましては、[2]に述べるような適正な管理を実施できることが確認されている者以外には認めないようにするという考え方を述べてございます。[2]が国内に入ってきた場合の取扱いになりますが、悪影響を及ぼす、またはそのおそれがあると判定された種についての扱いでございますけれども、野外に放出されて、在来種に悪影響を及ぼすということが発生しないようにするという観点から、その個体を利用しようとする者に対して、適正な管理を求める仕組みを設けるということでございます。
     その場合、当該利用者が適正に管理できる施設や能力を有していることを公的に確認する、と。その上で、実際に利用するに際しまして、その利用状況を公的に確認できる仕組みをあわせて求めていこうという考え方でございます。なお、その当該個体が野外に逸出してしまった場合の駆除の実施ということでございますけれども、原因者負担の原則にのっとり、当該個体の利用者、管理者に対して相応の責任を求めるという考え方が重要であるということを述べてございます。
     [3]でございますが、これは既に定着し、問題を生じているか、あるいはそのおそれがある移入種についてでございますが、必要に応じて計画的に防除を実施できる仕組みを設けるということでございます。まず、国が、全国的な観点から防除に係る基本的な事項を示そうと。それとともに、国または地方公共団体が、地域の特性に応じまして、防除が必要な地域ごとに、防除の実施のための計画をつくっていくという仕組みを述べているところでございます。
     それから、防除計画の策定に際しましては、地域の関係者の合意形成を図っていく仕組みが重要でございます。さらに、防除の実施につきましては、行政機関だけではなく、学識経験者や地域住民、NGO等、さまざまな立場にある者の連携協力ということが必要であるということを述べてございます。
     それから[4]が、特に生物多様性の観点から重要な地域ということでございますけれども、これにつきましては上記[2][3]とは別に、当該地域の特別な管理ができるような措置が必要であるということでございます。
     それから[5]が監視の件でございまして、しっかりと監視をし、問題が生じた場合には緊急的な防除など、早期の対応がとれるようにすることが必要であるということを述べてございます。
     それから[6]が普及啓発に係る部分でございますけれども、特に動物の取扱業者ですとか、あるいは個人の使用者等に移入種対策の重要性等の普及啓発を図っていくことが非常に重要であるということでございますし、それから学校教育や生涯教育等の教育の現場においても、こうした知識等を伝えていくことが重要であるということを述べてございます。
     それから12ページの一番下、(3)制度化及び対策の実施に当たって配慮すべき事項ということでございまして、まず1番目といたしまして、制度化及び対策の実施に当たっては、科学的知見あるいは実行可能な実施体制等を勘案の上、優先度の高いものから早急に措置を講じていくことが重要であるということを述べてございます。
     [2]でございますけれども、関係する既存の法制度等がさまざまにわたってございますので、そうした既存制度との整合性を図るということと、それら既存制度との間での連携協力体制の構築を図りまして、総合的に効果的な対策を推進していくことが重要であるということでございます。
     それから[3]といたしまして、防除を必要とする事態にもう既に至ってしまっているわけでございますが、それは本来適正な管理下にある限り、失われることのなかった生命であるということを十分に認識しまして、新たな移入種の問題を起こさないように、特に予防的観点から制度を考えていくことが重要であると。さらに対策の実施に際しましては、生物の習性を考慮した適正な取り扱いが実施されるようにすることが必要であるということを述べてございます。それから最後に、[4]といたしまして、WTOとの関係について留意するということでございます。
     以上が、中間報告案の大まかな概略でございます。資料2は、今申し述べましたような概要にまとめたものでございます。
     それから参考資料につきましては、前回このうち一部をお付けしたところでございますが、中間報告案に沿って説明できるような資料を取りまとめたものということでございます。
     以上で、説明を終わります。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
     これまで勉強会をやったり、議論をしたりしたことを取りまとめていただいたということなのですが、しかもその案についてはもう既に一通り目を通していただいているわけですが、こういうふうにきれいな形にまとまってご説明を受けますと、それでは自分の言ったことと違うんじゃないかというご意見もあるでしょうし、ウエーティングの仕方が違うということもあるでしょうし、こういうふうにまとまってみると、議論はしなかったけれどもこういうことも、というご意見もあっていいのではないかと思いますけれども、どういうご意見でもいいですから、どうぞ、しばらくフリーにディスカッションをお願いしたいと思います。どなたからでもどうぞ。どうぞ、石井委員。

    【石井委員】 実はこれは第1回目の会議で議論しているので、すごく言いにくいのですけれども、「移入種」というのがやはりずっとひっかかっていまして、これ、生態学ではイミグラントになって、自主的に自分の能力によってどこかに入ってくるものというのがイメージなんですよね。だから、導入種とか外来種とか――最後のチャンスなので言うのですけれども、あえて1回目でもう決済されているとは思うのですけれども、もう一度この議論について復活できないかという。お願いいたします。

    【岩槻委員長】 事務局の方から。

    【上杉生物多様性企画官】 確かに第1回目の小委員会でそういう議論がなされているということでございます。そのときにも議論があったかというふうに存じておりますけれども、言葉の問題というよりは何をこの対策の対象とするのかという概念について、しっかり一致していくことが非常に重要ではないかという話があったのではないかというふうに理解しております。
     そういう意味で、ここに書かれております内容について、もし、例えば対象としている――我々の方では今「移入種」という言葉で書いてございますが、それが今ご指摘のあった外来種あるいは導入種ということとほぼ同じということであれば、用語の整理ということにつきましては、環境省の方で今まで生物多様性国家戦略ですとか、いろいろなところで「移入種」というのを使ってきておりまして、一応そういう形でずっと整理をしてきたという、取り扱いをしてきたというのが実情でございます。

    【岩槻委員長】 細谷委員、どうぞ。

    【細谷委員】 よろしいですか。今、石井先生がご提案なされたことは、恐らく私どもの最初の論議の中であって、結果的には押し切られたということで、私とそれからお隣の鷲谷先生もたしか同じ意見で、石井先生もそうだったと。私の理解によれば、その辺は当然一番最初の段階のチャックのかけ間違いでずっと来ているわけだから、ある程度整理がしにくいということで、私自身はもう納得といいますか、おさめてはいるのですが、それにしてもターミノロジーについては、人によって解釈が違うと、法制そのものの理解もおのずとずれが生じてくるわけですから、きょう委員長が冒頭にお話しになられたように、原案そのものについては非常にウエーティングがかかって、私個人はよくできているなというふうに思っています。
     つまり外来種の問題は、これは生物多様性の保全の裏返しであるというところがよく見てとれるのですが、2ページ目の、一番上のパラグラフの中で、要するに外来種の問題は在来種の保全であるということになるわけですけれども、その中で在来種とは云々と書いてありまして、「学術学的観点から明確な定義をするのが難しい面がある」ということによって、極めて無限に後退しているのではないかという感じがするんですね。在来種は人によって解釈が違うのだから、状況によってどうとでも解釈しなさいとまでも行きかねないという感じがするんですね。それこそ、在来種にこのような、ある意味で余計な注釈をつけずに、在来種は在来種なんだという。
     もちろん迷鳥の問題、迷魚の問題、それからイミグレーションの問題と、私自身も承知はしていますけれども、この場に及んで在来種はなかなか定義がしにくいというまま、引きずったままいきますと、先ほどの外来種の問題とおのずと保護の担い手の中で保護目標のずれが生じてきますし、ある意味で重要なことじゃないのかなという感じはします。ですから、この辺定義が難しいというよりも、いたかいないかの判断ですから、判断するのが難しいとか、その辺少し表現に工夫が要るんじゃないかなと思っています。

    【岩槻委員長】 太田委員も同じ方向のご発言ですか。

    【太田委員】 はい。

    【岩槻委員長】 それでは、続いてお願いします。

    【太田委員】 さっき言いたかったことは、今細谷先生がおっしゃったこととかなり重なっていたのですけれども、一度「移入種」という言葉で始めてしまった以上難しいというのは重々承知しているのですけれども、これで議論が進んで、最終的に法案という形になってしまうと、ますますもう変えようがなくなりますよね。多分この段階が最後だと思うのです。
     それで学術的、学問的ということがこの中に山ほど出てくるのですけれど、そういうものにおいて生態学という部分、最も直に関係のあるところにおいて使われているターミノロジーとずれた状態が、このまま行って、実際にはもうここから先へ行ったら変えようがなくなると思うのですけど、もう少しそうならないような努力は必要な気がします。
     特に、ここに書かれているのを見ると、移入種とは何かというところでも、在来種と対比させているからこれは当然外来種のことだということになるのかもしれないですけれども、その辺の関係も明確化されていないですし、ここに書かれている文書は前もって頂いて拝見して、非常によくできているなというのは正直な感想なのですけれど、さっき細谷先生がおっしゃったように、何かすごく大きなところで整合性がなくて、物事があいまいになってしまいそうな、そういう要素を残した状態でこのまま持っていくのは何となく、やはり危ない気がします。最後のチャンスですから。

    【岩槻委員長】 鷲谷委員もどうぞ。

    【鷲谷委員】 最初の議論のときには、何かもう、この小委員会での議論が終わる頃には、用語についても合理的な選択ができるだろうと担当の方がおっしゃったように覚えているのですけれども、これは国際的な条約とも関わる法律になると思うのですが、「移入種」とか「侵略的移入種」を、英語にどう訳されますか。やはりインベイシブ・エイリアン・スピーシーズとしないと、まずいと思うのですよね。「エイリアン」を「移入」というふうには決して訳せないと思いますし、日本語の「移入」という言葉と「外来」という言葉も、全然視点が違う用語法だと思うのですね。
     ここで恐らく問題にして、法律で対処しようとしているのは、やはり外来種の問題に対処しようとしているのだろうと思うのですけれども、そのあたり、少なくとも他のところでの総合規制改革会議の報告書などでは、括弧書きでそれが混乱しないようになっていたように思うのですが、ここで移入種だけになってしまったということは、皆さん同じご心配をされていると思うので、どうにか、少なくとも括弧書きぐらいはできないでしょうかというのがお願いなんですけれども。

    【岩槻委員長】 阿部委員、どうぞ。

    【阿部委員】 この案の意見を求められたときに私もちょっと書き込んだのですが、同じことを書き込みました。それからこの中に、例えば6ページの多様性条約締約国会議というところの引用としては「外来種」になっているわけですね。ですから、この中には二つの言葉が混在しているわけです。そのことも指摘しておきました。ですから、そういう意味ではやはり検討した方がいいのではないかと、私自身も思います。

    【岩槻委員長】 関連して、他の。大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 これは環境省の方でもとは「外来種」という言葉も結構使っておられたのですが、途中で「移入種」に変わられて、この検討会自体移入種の検討会ということになっているので、ちょっとその経緯をもう一度説明していただいた方がいいかと思うのですけれども。私の理解ですと、11ページのところに少し出ています国内の移入種の問題というのがあって、これが「外来種」という言葉を使うことがちょっとどうかという、そういう意見が出ていた記憶がございますが、しかしこれも「在来種」と今回は言ってしまわれているので、そこら辺の問題が今どういうふうに結果的になっているのかということがちょっと気になりますので、「移入種」という言葉を使うようになった経緯を、ご説明いただくと大変ありがたいと思いますけれども。

    【岩槻委員長】 私もご意見を伺って、そのことをまずと思っていたのですけれども、移入種というのは先ほどのご説明にもありましたように、国家戦略にも使われているという、そういうストーリーの中で使われてきたと思うのですけれども、環境省用語として移入種というのを使われるようになった経緯を、もしわかっておれば。

    【上杉生物多様性企画官】 今大塚先生からご指摘があった点が一つ大きな点でございます。「外来」という言葉で、外国から来たものというのだけではなくて、国内での移動も視野に入れた対策を考えたいということが一つの大きなポイントかと思っております。それで、阿部先生からご指摘のありました生物多様性条約の訳語については、これは「外来種」という言い方で、実は生物多様性条約上はやっております。ただ、例えば生物多様性条約締約国会議の指針原則におきましても、余り国内における移入種問題ということは視野に入っていないのが現状でございまして、我々としては国境を越えるものだけではなくて、もう少し幅広い視野で捉える観点から、「移入」というのが適当ではないかということで、それを使っているのが現状でございます。

    【岩槻委員長】 鷲谷委員、どうぞ。

    【鷲谷委員】 別に、「外来」という言葉は、国境は関係ない言葉なのですね。一般用語としては確かに「外来」というと、外国からというふうに捉えがちですけれども、生物学的には外来というのは、ある地域にとって「外来」という意味だと思います。恐らく条約でもそうなのではないかと思います。「移入」というのは、個体が外から、別に人為に関わりなく入ってくることも含む、広い用語ですよね。ここで問題にしているのは、その地域や生態系に今まで含まれていなかったものが、人間活動と何らかの関わりでもたらされることですよね。
     そういうことに関しては、「導入」という言葉もありますけれども、広く条約等では「外来」という言葉が使われていると思いますので、それから法律自体で扱うことの主なものというのは、外国から入ってくる、利用するものが大きい――もちろん国内のそういうことについても、制度をきちっとしていただかなければならないと思いますけれども、やはり比重が大分違うと思いますので、そのような心配からわざわざ「移入」という言葉を使う必要はないような気がするのですけれども。もし、国内での問題が、この法制度の中で非常に大きいとしたら、今おっしゃったようなご心配、一般の人の感覚との違いというのを考えないといけませんが、制度自体が一般の人が思っている外来種にかなり比重が偏っていると思いますので、そんな混乱ももたらさないように思います。むしろ、このまま「移入」ということを使い続けて、英語に翻訳するときどうするかとか、そういうことの方が問題が大きいように思います。

    【岩槻委員長】 どうぞ石井先生。

    【石井委員】 冒頭にも言ったのですが、個体群生態学をやっている場合に、一つのポピュレーションを研究しているときに、そこから出ていくのが「移出」で、そこにどこかから生まれて自力で入ってくるやつが「移入」という概念でやっています。そういうふうに移入というのを使っていますので、どちらかというと移入というのは、自分の力で入ってくるというイメージの方が生態学の中では強いのです。いろいろなところで外来種の問題を、書き物をしたり話したりすると、移入種まで概念の中に入れて批判してくる人がいるのです。おまえらの考えは間違っている、と。大体、生物というのは日本にどんどん入ってきているじゃないかという話なのですが、そうではなくて人間が持ち込んでというのを今回問題にするわけなので、そこの線引きをしないと、例えば我々がこれから書き物をするときに、我々が言う外来種には移入種は含まれていない、と書けなくなってしまうのです。環境省の言う移入種には生態学者が言っている移入種は入っていない、みたいな書き方をしなければいけなくなって、ちょっとややこしくなる部分もあると思います。

    【鷲谷委員】 科学的な議論ができなくなりますね。

    【岩槻委員長】 そのことは別にしましても、最終的には報告案をここでまとめないといけないのですけれども、報告案をまとめるときには、確かに事務局原案にありますように、ここで定義をした言葉を使うということで、それなりにまとまると思いますし、先ほどからのご発言にありますように、それに対して特に問題はないと思われるのですけれども、一番のポイントは、この報告をまとめたときに、これが立法措置につながってくるとか、法でなくてもいろいろな形で外へ出ていくことになるわけですけれども、そのときにここで定義をした言葉に立ち戻って読んでくださるというのは必ずしもなくて、言葉が一人歩きしてしまう。一人歩きしたときに、本当にその言葉で言いたいことが伝わるのかどうかというご心配が、今のご発言の大多数の流れではないかと思うのですけれども。確かに、環境省でこれまでずっと「移入種」という言葉で通してこられたので、ここも移入種で話が始まったわけですけれども、ここで定義をした言葉に移入種という言葉を使うのがいいのかどうかという原点に戻ったことを、もう一度お考えいただくのがいいんじゃないかというふうに思うのですけれども、事務局の方から何か。

    【上杉生物多様性企画官】 検討会報告の方では、確かに「移入種(外来種)」ということで、括弧つきの言葉でやっていたわけですけれども、今回はそういう、むしろ括弧つきにした方が少なくとも混乱しやすいという判断もありまして、そこは括弧を取って移入種というのを前面に使っている経緯がございます。
     いずれにせよ、その用語の使い方につきましては、今ご指摘があったようなことで、いろいろ検討しなければいけない部分があるかと思いますが、制度化をするに当たっては、いずれにせよ言葉の使い方については、それはきっちり定義をいずれやることははっきりしておりますし、それからここでいう移入種とは何かというところの、そういう意味で先ほど細谷先生からご指摘のあったような在来種との関係での定義の明確化ということは、もう少し考えなければいけないと思っているのですけれども、言葉が移入種という言葉か外来種という言葉かが、非常に大きな点でずっと残ってしまうといけないので、できればこの場である程度はっきりさせなければいけないのかなというふうには思っております。

    【岩槻委員長】 どうぞ、小林委員。

    【小林委員】 ペーパーの7ページ目に、エのところに内閣府の世論調査というのがあります。中段に世論調査があって、若い方の理解が少ないということがちょっと、話が出ていました。そうしますと、この問題を若い人に理解させるということになりますと、言葉の用語がわかりやすくないと、法律用語でもう一回かみ砕いて読んでくださいという論議をしていると、いつになっても理解者がふえない。ですから、逆に、一般の国民が理解しやすい言葉を使うということが極めて大事だと思うのです。そのように感じます。
     以上です。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。
     他、太田委員、どうぞ。

    【太田委員】 そういう点から見ても、恐らく外来種の方がいいと思います。なぜかというと、実はたまたまこれに合わせたものではないのですけれど、先々週沖縄で少し私的なディスカッションをする場を設けたときに、私が外来種、外来種と言って、実際に問題にしたのは専ら琉球列島の中での生物の移動ということだったのです。フロアの方から質問が出まして、外来種というふうに言っているけれども全部国内から持ってきているのではないか、外来種というのは外国でしょうと言うから、そこで、そうではなくて生物のいないところに他から持ってくるのは全部生物にとっては外来で、国境は関係ないと言って、極めて理解が図れたんですよね。
     ですから、むしろ積極的に外来種ということを、そういう定義で、生物にとってはそれが問題なんだということを周知させるという意味でも、最初違和感を持たれていても、それを周知させる過程で、本質的な問題というのがどこにあるのかということを社会は理解してもらえると思います。そういう意味からも、やはり外来種という言葉の方が、国内で違和感があるというのですけれども、逆に違和感があってはいけないということを主張すべきだと思うし、そういう意味ではやはり外来種の方がアドバンテージがあるような気がします。

    【岩槻委員長】 大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 私は法律の関係なので、生態系の関係は素人なのですけれども、通常「外来種」というと、やはり外国産と思うと思います。それで、もし法律をつくるとすると、外来種、在来種というふうに、またこれを定義することになると思うのですけれども、外来種と在来種は相反するというか、排他的な概念、重ならない概念として定義されますので、在来種は国内という言い方をするしか多分なくなって、その地域のという話には多分ならないと思いますので、国内移入種の問題というのはもちろん中に入れていただいて、別の形で多分定義をすることになると思うのですけれども、恐らく定義の仕方としては、国というレベルで在来種と外来種を区別せざるを得ないようになると私は思いますので、最終的に言葉がどっちにいくかは別にいいのですけれども、普通は外来種はまず外国産だと国民は思うだろうということと、それから在来種と外来種というのはそういう国レベルで区別をするしかないのではないかということは、一応申し上げておきたいと思います。それは法律のテクニカルな問題も入ってきて、各地域でかなり細かいレベルでそこの生物にとって、在来、外来という議論は、ちょっと法律にする上ではかなり難しいのではないかと思いますので、一応申し上げておきます。

    【岩槻委員長】 鷲谷委員、どうぞ。

    【鷲谷委員】 法律は日常的に皆さんがいつでも見るものではないので、法律は、検討しようとする方が理解できる用語にすればいいと思いますので、例えば「国外外来種」と「国内外来種」という言葉を法律の中では使って、それら両方含めて「外来種」というふうに呼べばいいと思います。一般の方とお話しするときは、外来種という言葉を使っているうちに、定義を明確にするようなことが必要であれば、先ほど太田先生がおっしゃったように、ちょっと説明すればすぐわかっていただけると思いますので、全体としては「外来種」としていただきたい。「移入種」という言葉を使ってしまうと、科学的な議論が難しくなってしまいますので、それも十分にできるようにしながら一般の方にもわかりやすくアピールする用語に変えていくということが必要なのではないかと思います。

    【岩槻委員長】 細谷委員。

    【石井委員】 一言言わせて下さい。

    【岩槻委員長】 いいですか、それでは。

    【石井委員】 病院に、外来患者という概念があるじゃないですか。あれは外国人じゃないと、私は思うのです。あのイメージだと思います。ある一つの個体群に対して全然別のものが入ってくるという感じで、だめでしょうか。法律的には難しいのはわかりますけれども。

    【岩槻委員長】 ちょっとお待ちください。それに対するお答え。

    【大塚委員】 いいですか、すみません。要するに法律で定義するときには、外来、在来というときに、むしろ在来種の方が先に定義することになるかもしれないのですけれども、その地域で従来あるものということになると思うのですけれども、「その地域」というのが特定できないのではないかという心配があるわけです。病院であればその病院ということで特定できて、今の外来患者というのでいいのですけれども、その地域がどの単位なのかということが、私は非常に特定しにくいのではないかという気がしていて、そこは多分法律をつくるときの定義の問題として、かなりシビアな問題になるのではないかというふうに、ちょっと心配をしているということです。

    【岩槻委員長】 細谷委員、どうぞ。

    【細谷委員】 この問題は非常に重要で、まず整理しなければならないのは、ここでの起案が地方自治体だとか、いろいろなレベルに及んできて、もう実際に私自身はいろいろな各県でそのしりぬぐいをやりつつあるのですね。ですから、それはもう外来種が当然正しいということで。論点を今整理しますと、二つあると思います。一つは条約上の国家間の問題。そうしますと、これは大塚先生がおっしゃるように、国内外の問題ですから、そういう意味で、「外来種」という言葉は、確かに国内の移動カバーできない部分があると思うのです。 それともう一つは、生物多様性という視点で、環境省ご自身が、詳しくもう一度復習するような形でアピールする必要があると思うのです。それは何かというと、生物多様性は国境の内と外ではなくて、あくまで生態系の内と外であるという認識を前面に出して、それから話を進めていく必要があろうかと思うのです。ですから、生物多様性をそれほど重視されるのであるならば、当然日本の外と内という問題はまず外に置いておいて、生態系の内と外なんだというところから始まれば、おのずと外来種の認識が一般の方々も正しい方向に修正されていくのではないかなと思っています。
     それから論点の2番目ですが、先ほどに戻りますけれども、各県に影響を与えているという話ですけれども、実際問題として、一般性ということを考えますと、新聞紙上で使われている用語は明らかに「外来種」であるということで、もちろん法令関係のところで「移入種」という言葉は環境省発表の中では出てきますけれども、一般的に外来種問題、これはもう新聞用語としては圧倒的にこっちのターミノロジーが多いわけですから、その辺への影響や混乱も当然考えていく必要があるのではないかと思います。

    【岩槻委員長】 そろそろ岡島委員に振ろうと思ったのですけれども、挙手をいただいたので、どうぞ。

    【岡島委員】 一つは、この言葉の問題というのは、非常に難しいことだと思うのですね。これは生物学の問題だと思いますけれども、ここで決められるのかというのが少し疑問があるのです。例えば国家戦略もそうでしょうし、今まで環境省が出している文書は全部移入種としていたなら、ここだけではなくて、別途、移入か在来か国内か何かというのをきちんとディスカッションする場が必要じゃないでしょうか。そういう場を例えば設定するとか、そういう作業があって初めて世の中にアピールすると。こういうふうにみんなで変えましたということは、それでいいと思います。私はどちらでもいいと思うのですけれども。素人ですから。
     そういうように、この席で移入種問題ということで了承して進んできて、今日は中身の議論をしようという中で、またもとの、それは確かに大事な議論ですから、そこは逆に言うとそういう議論をきちんとする場を設けるというようなことがないと、ここで今日の議論の中身が全部言葉の問題になってしまって、確かに大事だからということはわかりますけれども、そうであれば今まで環境省がずっと出してきた文書にさかのぼって全部検討しなければいけないわけですから、そういったことも含めて、何らかの形できちっとやろうではないかということを、例えばここの意見として提出しておくことが必要ではないかと思うのですね。
     ですから最後だからということで先生方お出しになられたと思うのですが、今まで何回もチャンスがあったわけですから、やむにやまれぬお気持ちはよくわかります。だからこそ、今日の議論の中からはそこだけ取り出して新たにやるべきであると、私はそう思います。また逆に言うと、ここだけの議論で決められるのかということもあります。他の部会もあるでしょうし、他のところもいろいろな意見の方がいらっしゃるわけだから、新たにそういうことをやっていただきたいと思っています。

    【岩槻委員長】 どうぞ大矢委員。

    【大矢委員】 今の岡島先生の意見とちょっと似ているのですけれども、環境省だけでこの移入種にするのか、外来種にするのかというのではなくて、総理府だとかいろいろなところ、他官庁とのすり合わせもあるのだと思います。その辺も考えながらやっていかないと、この席だけが移入種だ、外来種だといって、唐突にしていくのはいかがかと。そんなふうに思いますけれども。

    【岩槻委員長】 ほかに。加藤委員、どうぞ。

    【加藤委員】 皆さんが発言されたので、私も一言申しますと、やはり英語にしたときにわかりにくい言葉にはしない方がいいと思います。私もよその国の文献を読むことが結構多いのですけれども、やはりそれはそのときどうされるかは考えておかれた方がいいと思います。ですから、ここは大勢は外来種かなと今思っているのですけれども、あとは、環境省として今までのいきさつと、どうしても変えられないものなのか、どうやったら変えられるのか、そこはまた、別途お考えいただくしかないのかなと思うのですが。

    【鷲谷委員】 一言だけ。

    【岩槻委員長】 はい。

    【鷲谷委員】 ほかの省庁とすり合わせるのだったら、ますます外来種になるのではないかと思いますということを一言つけ加えたいと思います。

    【岩槻委員長】 いずれにしても、非常に重要なご議論をいただいたと思っていますけれども、言葉のことだけで議論してはいけないのかもしれませんけれども、言葉というのは非常に重要な波及効果をもたらす、新聞の方はそういうことを強く思っていらっしゃると思うのですけれども、そういうことでもありますので。ただ、ここでのまとめとしては、大切なのは岡島委員がおっしゃったように内容なのであって、定義に関してこれでいいかどうかということをもう一回見直していただいて、もし定義そのものが問題だったらもうちょっと議論を深めないといけないのですけれども、先ほどから何人かの方がおっしゃっているように、定義は非常にきれいにできているわけではないのですけれども、内容が内容ですから、これでいくということでしたら、今日の最後ではないですけれども、中間報告案をまとめる委員会で、言葉についてさまざまな論議があったということを、この中間報告の中には加えておいて、最終的には法律用語にふさわしい用語にご考慮をいただいて、言葉を選定していただくという、そういうことでまとめさせていただくということでよろしいでしょうか。
     大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 それでいいのですけれども、私は別に外来種でも本当は言葉としてはいいと思っているのですが定義の方をむしろ気にしているのですけれども、つまり在来種というのをどう定義するかということで、細谷先生がおっしゃったように、生態系の内と外というのはわかるのですが、個々の地域について生態系がどこまでかというのは、多分、人によって見方が違うと思いますし、それからその生物との関係で多分生態系を見るのかもしれません、ちょっとそこは私は必ずしもよくわかりませんが、そんなに明確に生態系の内と外というのが区別できるとは思っていないのですね。法律上それを特に明確にしなければいけなくなる可能性があるので、在来種という概念を外来種と逆の概念として立てたときに、それが生態系の内と外といったときに、法律上明確になるとは私は必ずしも思っていませんので、そこが法律上の問題として非常に気になるところではあります。だから外来種、移入種の問題は私はどっちでも本当はいいのですけれども、それよりも在来種というのを国内のレベルで在来種というのを考えるのか、生態系レベルで考えるのかというところが、実はそこがむしろ問題なんじゃないかというふうに思っています。

    【岩槻委員長】 鷲谷委員、どうぞ。

    【鷲谷委員】 「在来種」という言葉が、国内に生息しているものという言葉でとりあえずはこの報告書あるいは法律もそれでいいんだと思います。だけれども、国内での移動で問題がある場合もあるというようなことについては、在来種という言葉をあえて使わずに記述すればいいのではないでしょうか。

    【岩槻委員長】 細谷委員、どうぞ。

    【細谷委員】 私自身は幸いなことに淡水魚を分類専門としていますので、全く明確に外来種と在来種が定義できるという――もちろん迷って入ってくるようなチョウザメのようなものもございますけれども、幸いなことに全く例外がございませんので、何が問題なのかなという感じがいたします。もちろん、先ほど私個人から申し上げたように、この問題は条約の問題と生物多様性の問題、二つ混在しているというふうに申し上げたつもりなのですが、生物多様性の問題はこれはインシチュ、つまりその場における生息地そのものの問題と、それから国内外の問題は人為の問題ですから、その辺はよく分けて考えれば何も難しくないのではないかなというふうに、個人的には考えております。

    【岩槻委員長】 今のご意見も先ほどのご意見と同じ流れのご意見だと思うのですけれども、このことに関しましては、先ほどまとめたようなやり方で、一応議論を打ち切りにさせていただいてよろしいですか。この委員会として何にしましょうという結論を出すのではなくて、今の議論の流れを踏まえて事務局へお返しするという、そういうことでご了解いただきたいと思います。
     それでは、その他のことについて、どうぞ。岡島委員、どうぞ。

    【岡島委員】 今のご議論の中でも見受けられたと私は感じたのですけれども、専門家の方々は、これは明白である、当たり前である、易しいことだと言うけれども、それがなかなかわからないのですね。今、太田先生も、説明したらわかってくれたと。確かにそうなのです。ところが、ほとんどの人は説明なしで聞いているわけですから、わかりにくい。そこのところをやはりこういう機会にぜひ、啓蒙の部分も含めて、先ほどの在来か移入かと、そういうようなことも含めて、何とかきちっとやれないか。
     中身はこれで、私も読ませていただきましたし、個人的に言いますと、今年千葉の1メートルぐらいの小さな川で魚を釣ったら、もう、全部ブルーギルなんですね。焦ってね。去年までフナがいっぱい釣れていたのですよ。たった1年でこんなになるのかと思って、個人的には非常な脅威を感じましたが、何の変哲もないところでそういうふうにどんどん変わってきているのかなという気もしますので、非常にそういう意味ではこの移入種の問題については気をつけなければと、特に侵略的なものに関してはと思うのですけれども、一般の意識と生物学者の方々の厳しい、きちんとした区分けとの間にかなりギャップがあると思いますので、そこを何とかつなぐような形で、これはむしろこれを受けた役所の仕事かもしれませんけれども、戦略的に徐々に、最初は非常に危ないものからいろいろやりながら、徐々に落としていくようなやり方をしないと、いきなり何もかもだめというような印象を与えてしまうと、非常に困るというところがあろうかと思います。
     ですので、そのギャップが非常にたくさんあるということをぜひ役所の方がこれを運用するときに、考えていただけないか。それと、ギャップがあることと同時に、ここにも書いてあります。国民の協力がないとできない。ですからブラックバスで、釣った魚を殺させるのかという、タレントの清水さんなんかの言っているようなことも、議論が不足してきますと出てくるわけですね。ですけど、やりようをもう少し考えればあるのかもしれない。そのやりようの部分が恐らく、実際の問題としては、かなりポイントになってくると思うのですね。ですからその辺のところなんかも踏まえて、ぜひ運用をうまくやっていただきたい。国民がわかるような啓蒙をあわせてやっていただきたい。その点を、特に役所の方にもお願いしておきたいと思います。
     以上です。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。普及啓発ということを、言葉としてもろに出しているのは、12ページの[6]のところですが、そこはしかし、動物取扱業者や個人飼養者だから、国民全部に広がるわけですか。そういうところに普及啓発を図るということは、言葉としては入っているのですけれども。

    【岡島委員】 はい、入っています。

    【岩槻委員長】 大矢委員、どうぞ。

    【大矢委員】 今のところなのですけれども、普及啓発を図ると、動物に関しての法律というのは感染症法だとか、いろいろな法律があるのですけれども、果たして一般国民がどれだけ知っているか、それに携わる業としているものについては、知っていなければいけないわけですけれども、今の岡島先生のお話のように、一般的なペットの愛好者にどれだけ啓蒙しているかというのは、非常に疑問だと思うのですね。ですからこのところに、もう少し具体的に、どういった方法で啓蒙していくのかということを明記しておいた方がいいのではないかなと思います。

    【岩槻委員長】 何か、表現で具体的なご提案がありますか。

    【大矢委員】 今すぐに思い浮かびませんけれども、例えば学校教育といったら、普通の中学校レベルだろうと思うのですね。それからあと、動物の専門学校というのが今非常にたくさんありますから、そういうところの授業の中に、教科書の中に組み込んでいくぐらいのことを考えた方がいいのではないか。それからあと、ペットショップには、パンフレットなりリーフレットなりをつくって、生き物を買った方には渡すというような、具体的なことが必要ではないかと思いますけれども。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。
     そのほか太田委員、どうぞ。

    【太田委員】 今中学校というふうにおっしゃったのですけど、多分一番今のカリキュラムで触れるのは小学校です。小学校の2年次か3年次ぐらい、2年か3年か4年で環境教育というのが入っていまして、そこで習ったことというのは、相当その後の意識の中で大きな影響を持つのですよね。だから、そこでとにかくきっちりやらないと、あと小学校で習ったことと何か矛盾したことを言っている、これはインチキじゃないかみたいなふうに逆になってしまうことがあるので、小学校の環境教育で、前にもこれは私も申したと思うのですけれども、小学校の環境教育でかなりきっちりとこの辺をやらないといけなくて、そのためにはまず担当される教諭の先生方の研修みたいなこと、あるいは――ボランティアではいけないのですけれども、ある程度の知識を持った人がその部分を担当するようなシステムをつくるとか、そういう工夫が必要だと思います。

    【岩槻委員長】 どうぞ、鷲谷委員。

    【鷲谷委員】 外来種対策は、どの段階においても科学的な理解と知見に基づいて進めるということが重要だと思うのですけれども、今日本のそういう外来種に関わる研究の現状を見てみますと、かなり不十分だと思います。研究者がサボタージュしているという、それは研究者が頑張ればいいことなのですけれども、やはり研究のサポートというのも十分ではないように思うのですね。
     それで、制度化及び対策の実施に当たって配慮すべき事項の中に、「効果的な制度の構築と、具体的な対策を進める基礎となる科学的な研究の進行を図る」というような文言を入れていただければと思います。ニュージーランドはこの報告書の中でもあるように、法律などでかなり外来種対策を頑張っているわけですけれども、経済的には小さい国ですけれども、外来種の研究に使っている予算というのは、現状で比較したら、日本の研究に比して100倍か1000倍くらいになっているのではないかと思います。

    【岩槻委員長】 その問題に関して、他にご発言なさる方、いらっしゃいますか。何か事務局の方から。

    【名執野生生物課長】 今の鷲谷委員のですけれども、制度化に当たり検討すべき事項の12ページの[6]にも調査研究の必要性というのは書いてございますけれども、それに加えてやはりこっちの(3)の配慮すべき事項にも加えておいた方がいいというご趣旨であれば、加えるようにいたしますけれども。

    【鷲谷委員】 この調査研究はもちろん必要なわけですけれども、もう少し一般的に制度を有効に構築するに当たっても、基礎的な研究というのも必要だと思うのですね。一般にそういう外来種の問題に関する研究の進行も、個別の対策のためは、それはもう調査研究で得られたデータをベースにして行うのは当然なのですけれども、一般的に生物多様性のための研究というのは日本ではまだ余り十分ではありませんけれども、その中に外来種問題にかかわる研究というのも位置付けて、進行していく必要があるのではないかというのが、私の意見です。

    【岩槻委員長】 最後の13ページの[1]に、現在の知識をもとに早急に措置を講ずるべきであるという、このことと並べて、これまでの議論の中でも我々の知見が乏しいということが何度も出てまいりましたので、この[1]と関連させて、現在の知識で満足してしまうんじゃなくて、移入種に対して本当にきっちりした対応をするためには、より豊富な科学的知見が必要であるという、そういうことをも盛り込めというご意見だというふうに理解しますけれども、何らかの形でそれを書き込むような方向で検討していただければと思います。
     ほかにいかがでしょうか。小林さん。

    【小林委員】 よろしいですか。総体的に見まして、非常にまとまっているという感じがします。特に1ページ目から10ページ目までは現状の問題点、今の現状をかなり書かれている。ところが、2番から具体的な対策になってくると、項目が割と少なく、これからもっと討議するのかなという感じが受けられます。学術的にはわかりますが、総体的に読むと、何かそんな感じのイメージを受けています。

    【岩槻委員長】 議論がそうでなかったから、もっとここのところをたくさん書けということですか。それは、そうしたら結構ですけれども、石井委員、ご意見を。

    【石井委員】 一番最後の制度化および対策の実施に当たって配慮すべき事項の[2]とそれから[4]ですか、ちょっとこれについては文字の読み方を教えていただきたいのですけれども、例えば[2]の4行目のところに「既存の他制度と十分整合性を取る」というのが出てきます。それから[4]のところにもWTOとの関係について、「整合性に留意する」。この「整合性」の読み方なのですけれども、言葉が過ぎるかもしれませんけれども、「譲る」というふうに読んでしまうと、骨抜きになってしまう。例えば、他の制度にないものを補完するぐらいの書き方だったら、許せるかなと思うのですけれども、整合性というのがどんなふうな雰囲気なのか、教えていただきたいと思います。

    【岩槻委員長】 事務局の方から。

    【上杉生物多様性企画官】 それぞれ既存の制度については、それぞれの目的とするところと何をするかということがはっきりと位置付けられておりますので、それと矛盾をしてはいけないということがありますし、それから余りにも重複をするということもいけないという両方を意識しながら、こちらで必要な、やるべきことをきちんとやれるようにしましょうという趣旨でございます。

    【岩槻委員長】 「整合性」という言葉だけを解釈しますと、こちらの方でこういうことが必要だから法律を改めていただくという、そういうこともあっていいんじゃないかと思うのです。そういうのを整合性とは言わないのですか、ここでは。

    【上杉生物多様性企画官】 それも、観念的にはもちろん入っていると思います。  

    【岩槻委員長】 だから石井委員が最初におっしゃったように、必ずしも「譲る」ということだけではないというふうに。

    【石井委員】 でも、日本語の本来の意味から整合性といったら、もうあるものはあるものであって、他のところに踏み込まずこちらの方が何となくうまくやっていくというイメージになってしまうと思うのですけれども、ちょっとその辺をはっきり聞いておかないと安心しないのでして、最後の法律になったら何だこれはというのは、ちょっと委員としてはつらいので、もうちょっと踏み込んで言っていただけないかと思います。

    【岩槻委員長】 阿部委員、先ほど。

    【阿部委員】 これは前にも申し上げたことなのですが、この中では一番重要なのは、11ページの(2)のところだと思うのですが、ここにもとにかく外来移入種が日本に定着すること自体が問題だという、それは生物多様性保護の観点からはそうだということで、それをもう少し明確に、ここには[1]の3行目に「我が国へ定着する可能性や」ということで入ってはいるのですが、その次の行に「悪影響を判定する仕組み」とあって、生物多様性保護の観点からすれば、定着することそのものが既に悪影響だということ、そういう認識をきちんとしておかないと、何か他の種に重大な影響を与えるものだけとか、あるいは農林業に影響を与えるとか、そういうものだけであってはまずいのではないかということの認識をこれで持てるかどうかということ、皆さんのご意見を伺いたいのですが。

    【岩槻委員長】 関連してご発言なさる方、どなたかありますか。

    【鷲谷委員】 すみません、もう一言……。

    【岩槻委員長】 いや、ちょっと今のことについて、このままでいいかどうかということを。岡島委員、どうぞ。

    【岡島委員】 新たに移入種を持ち込む場合というのは、今先生がおっしゃったようにすべて悪いことになりますかね。例えば食料とかいろいろなことを、世の中のことを全部含めてどうなのでしょう。

    【阿部委員】 単に持ち込むだけでは別に構わないと思うのですが、それが定着する可能性がある場合には問題が生ずるということですから、それが例えばある農作物に害をするとかしないとかという問題ではなくて、在来種以外のものが定着して、例えば種類数が増えることが今の一般認識としては、それは多様性が増すことではないかという、間違った認識がかなり広くあると思うのですね。ですから、そういうことが実は間違いなんだということを、もう少し明確にしておく必要があるのではないか。

    【岡島委員】 いや、それはわかるのですけど、例えば作物を輸入して限定的かもしれませんけど繁殖させるとか、そういうことはすべていけないということになるわけですか。日本になかったキノコとか、何かつくろうとかそういうことは、世の中にいろいろあると思うのですね。ですから、外から来たものを定着させることは、すべて悪いものかということです。

    【阿部委員】 それはですから、野外に出ないようにという。

    【岡島委員】 野外に出ないようにと。

    【阿部委員】 はい。

    【岡島委員】 野外でつくるものなんかもあるでしょうから、その辺のところ、僕もちょっと気にしているのですね。今先生がおっしゃったことは、そのとおりなのかなと思うのですが、実際社会の中でそのとおりやっていって、やり切れるものかどうか、その辺のところが。

    【阿部委員】 そこのところは難しい問題は確かにあると思いますけれども、認識としてはそういう認識で当たっていかないと。

    【岡島委員】 そうですね。だからそういうのは原則としてとか認識としてきちっとそこは押さえておいてということを添えておかないと、何でもだめというふうに受け取られると思うので、そこら辺の言葉遣いはぜひ、先生のおっしゃることはよくわかるのですけど、うっかりするとそちら側だけで決めてしまうと、違った観点から見るとまた違った目で捉えられるということなので、その辺のところは、先生のおっしゃることはよく理解いたしましたけれど、表記するときに気をつけて表記しないといけないんじゃないかなと思っております。

    【岩槻委員長】 太田委員、どうぞ。

    【太田委員】 問題は、例えば野外に植えられていても、一時的に管理下にあるかどうかということに尽きると思います。ですから、例えば私は定着する可能性や生物多様性への影響に及ぼす可能性についてというところで、並列的に意味合いとしては書かれているので、これでいいのかなとも思ったんですけど、そこにもしこだわられるのであれば、例えば管理下を離れて定着する可能性や、定着しないまでも短期間で生物多様性等へ影響を及ぼす可能性についてとか、それくらい注釈を入れれば、今懸念されているところはかなりクリアされるのではないかなと思うのですけど。多分そのあたりが問題だというふうに思うのですけど。

    【岩槻委員長】 細谷委員。

    【細谷委員】 私、たまたまサブッサ会議に出ることがありまして、そこで当然ターミノロジーの問題も出てきて、例えばFAO等はその辺を前面に出してくるわけですよね。これは言うまでもなく、農業生物や農業品種に対しては対象にしないというのは、これは当然の話、それが前提となっていると思うのですが、ここで論議すべきことは、環境放出であるということに関わってくると思うのですね。
     そうしますと、先ほど鷲谷先生が整合性の問題を少し持ち出したのですが、それとも関わってくると思うのですが、つまり現時点で、農業生物であろうが、人の行為であろうが、現実に問題になってくるのは、環境放出をしている行為ということなのです。一番大きいのは種苗放流ですし、それからマルハナバチですか、ミツバチの問題、これは環境放出そのものですので、ですから農業品種については太田先生が今おっしゃったように、コントロールしている限りにおいては、それはある意味では対象外だというコンセンサスがあるんじゃないかなというふうには思っています。ただし、阿部先生がおっしゃるように、外来生物の導入は生物多様性の概念から基本的には外れるという認識だけは持っておく必要はあろうかと思います。

    【岩槻委員長】 私も阿部委員のご発言に対しては、定着する可能性や生物多様性等への影響を及ぼす可能性というのが評価されれば、定着するものに対する問題意識はあるというふうに読んでいたのですけれども、ただ岡島委員が定着するということをそういうふうに読み取られるということだと、やはり何か修飾語が入った方がいいのかなという気もしないではないですが。

    【岡島委員】 ちょっといいですか。すみません、私の心配しているのは、原則論で先生方がおっしゃるのはそのとおりだと思うのですね。それをどこかにきちっと入れておかなければいけないと思います。かといって、それをわかるというのはなかなか難しいことですから、今太田先生がおっしゃったように、何かちょっと一言、二言添えていただかないと、今先生は横文字を使いましたけれども、私はその横文字がわかりませんでしたですけれども、いろいろな意味で専門家の方にとっては常識だけれども、一般は知らないというところがあるので、こういうような文書でも、原則をきちんと書いた後、その後に必ず今言ったようにこういうことですよということを添えるような、原則とこのものとを区別するような形でやらないと、原則が全部通ってしまうと世の中の人は嫌になってしまって、もうこんなもの要らないやという反応を示しかねませんし、逆に言うと、移入種をどんどん持ち込もうという人にとって足をすくうもとになりかねませんので、その辺のところは原則論を置きながらも、そこをきちんと1行、2行必ず説明的なものを入れておいていただければと思います。

    【岩槻委員長】 鷲谷委員、何か他の件で。

    【鷲谷委員】 整合性に関してなのですけれども、石井先生のご心配はよくわかりますので、少し修飾語をつけるなり、助詞を変えるなりしていただくと、この委員会に参加したものとしてはありがたいです。譲ってもいいという整合性だと、何のためにこれだけ議論してきたのかということになってしまいますから。

    【岩槻委員長】 何か具体的なご提案はないですか。

    【鷲谷委員】 [2]「他制度との」というところに、例えば「他制度と生物多様性への甚大な影響を回避するという視点を重視しつつ」と一言入れていただくとか、最後の[4]については、「WTOとの関係について整合性にも」と、「も」を入れていただくとかすると、少し気持ちが軽くなるのですけれども。

    【岩槻委員長】 先ほどの事務局からのレスポンスにもありましたように、これは必ずしも整合性というのは譲るという意味でお書きになったのではないと思いますので、そういう修文が可能かと思いますので、それはそういう方向で検討させていただきたいと思います。
     ほかにご発言ありますでしょうか。どうぞ、石井委員。

    【石井委員】 ちょっといいですか。ちょっと前まで議論をしていたところで、阿部先生が言われたところなのですけれども、悪影響を判定する仕組みですね。これに関わっているところが9ページの諸外国における移入種対策のところにあると思うのですけれども、私は環境省の事務局が2段落目のところにニュージーランドの例を出されて、しかも一番難しそうなホワイトリスト方式というのを書いていただいているのがすごく安心しているのですけれども、今のところを読むときに、悪影響の評価というのはこのホワイトリスト方式というのをかなり意識されているというふうに考えてよろしいのでしょうか。

    【岩槻委員長】 事務局の方からお答えいただけますか。

    【上杉生物多様性企画官】 ニュージーランドの制度と必ずしも同じかどうかということは除きまして、いずれにせよ11ページの(2)[1]で言っておりますのは、新たに持ち込まれる移入種について判断をしようということでありますので、発想としてニュージーランドのものをかなり意識をしたというのか、参考にしていることは間違いない点だと考えております。

    【岩槻委員長】 よろしいですか。他にいかがでしょうか。
    (なし)

    【岩槻委員長】 1時間近く議論をしていただいたのですが、大綱としてこの流れそのものはこういうことで、2のところが弱いのではないかというご発言が小林委員からありましたけれども、流れとしてはこういうことでよろしいでしょうか。
     それで、もう一回中間報告案をまとめるまでに集まるということは、多分難しいと思いますので、これからこれをどうまとめていくかということなのですけれども、今日さまざまな議論をいただきましたことを事務局の方でご検討いただいて、私もその議論に一緒に加わらせていただいて、根本的に改めるというご発言はどこにもなかったですから、修文をして、その修文した形のものをパブリックコメントに出すという、そういう方向でまとめさせていただきたいと思うのですけれども、特に基本的な問題としては、まず最初に「移入種」という名称について、ここでは疑義があるという非常に強い意見が出たということをどこか、多分定義かその周辺でかと思いますけれども、そういうところで書かせていただくということと、それから今の11ページの[1]のところで、「定着する可能性」という言葉などについて、多少配慮した修文を考えてみるということ。それから12ページの[6]の普及の問題について、もう少し具体的に書くということ。それから13ページの[2]と[4]の「整合性」という言葉については、再検討するということ。それからここのところで移入種に対する研究、科学的知見の増大に努めるという、そういうことをどこかで書き加えるということ、そういうことが今日のご意見だったと思うのですけれども、そういう方向で取りまとめをさせていただいてよろしいでしょうか。何か漏れていることはありましたか。

    【鷲谷委員】 漏れているのではないんですけれども、用語に関してのことなのですが、ぜひ報告書の中に用語について、今十分統一がとれていないという現状を一言でも書いていただいて、「制度化に当たっては適切な用語の使用のあり方について検討をする」というような文言を入れていただければ、もうここで移入種だったから移入種でいかなければいけないということではなくて、今日の、私も含めて皆さんの発言の内容が生きるのではないかと思いました。

    【岩槻委員長】 はい。多分、入れるとすればそういう表現になるのではないかと思います。そういうふうな、今日の議論のまとめにさせていただくということでよろしいでしょうか。
     そして、最終的にはこういうときに委員長一任ということでお願いすることになるのですけれども、特に問題があれば、ご発言なさった方のご意見をもう一回伺うということもあるかもしれませんが、基本的にはそういうことでお任せいただいて、来週ぐらいにはパブリックコメントを求める形で、オープンにさせていただくということでご了承いただきたいと思います。
    (了承)

    【岩槻委員長】 今、ちょっと僕が勝手に言い過ぎた部分もありますけれども、そういうことを含めて、今後の段取りについて、事務局の方からご報告を、お願いいたします。

    【上杉生物多様性企画官】 今、今後の段取りにつきまして、資料をお配りしております。今の小委員長の方でおまとめいただきましたような修正点につきまして、具体的な文言を早急に修正案をつくりまして、岩槻委員長にご相談を申し上げた上で、中間報告として文書を作成しまして、できれば来週週明けの6日から11月5日までと、約1カ月間のパブリックコメントの募集に入っていきたいというふうに考えております。(1)今後のスケジュールにありますように、パブリックコメントの最中に、東京と大阪、2カ所で中間報告についての説明・意見交換会ということで、特に関係者の意識を高めていくということも含めまして、自治体の関係者ですとか、あるいはNGOの方にもお集まりいただいて、そういう会も持ちたいと考えております。
     それから次回の小委員会ですけれども、あらかじめ先生方のスケジュール、ご都合をお伺いした上で、11月21日の午後に行う予定としているところでございます。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございます。そういうことで、11月21日に最終報告をまとめさせていただくということなのですが、パブリックコメントの締め切りから最後の委員会までの時間がちょっと短いので、できたら最終の委員会までに、今回ほど時間は取れないかもしれませんけれども、最終報告の案を委員にあらかじめ見ていただいた方が、言葉遣いまで含めて念が入るのではないかと思うのですけれども、そういうふうにご努力いただけますでしょうか。

    【上杉生物多様性企画官】 はい。パブリックコメントで出されました意見につきましては、取りまとめましてわかりやすいような形でその結果を集約をするということを、まず作業としてはしたいと思っております。その結果と合わせまして、最終報告案、修正をしたものをあらかじめ送付できるように、作業の方は頑張りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

    【岩槻委員長】 そのほか、何かご発言ございますでしょうか。今日は予定されている時間よりは早いのですけれども、あらかじめ送っていただいていて、読んでいただいていたということがあったのか、議論が比較的早く収束したものですから、このまま進めさせていただいたのですが、特にご発言ございませんか。
     事務局から何か。

    【司会】 委員の先生方には、前回第8回小委員会の議事録及び議事要旨をお配りしてございます。内容をご確認の上、修正すべき点がございましたら10月17日までに事務局の方にご連絡をいただければと思います。それから、今もお話がありましたけれども、次回の小委員会については、第10回になりますけれども、11月21日の金曜日の午後ということで、時間と場所がまだ決まっておりませんので、決まり次第、ご連絡をしたいと思います。よろしくお願いします。

    【岩槻委員長】 次回が最後ということで、次回もよろしくお願いいたします。
     今日は多少宿題は残りましたけれども、中間報告をまとめることができまして、ご協力どうもありがとうございました。小野寺局長、お見えになっていますので、何かごあいさつを。

    【小野寺自然環境局長】 熱心なご議論、ありがとうございました。私、ちょっと別の用で遅れて、一番面白そうな議論のところを聞き漏らしていたみたいで、まことに残念なのですけど、大体雰囲気はわかりました。事務局でつくったペーパーについては、例えば整合性のところでも譲るとかいうのは実はなくて、ただそういう疑問があることも事実でしょうから、そこは割と明快になるようにしたいと思います。
     それから用語の定義の問題にしても、いずれちゃんとやらなければいけないので、そこはこだわることなくニュートラルにやりたいと思いますが、ちょっと今お話を伺って悩んでいたのは、この検討会の名前もそうですし、ここ二、三年「移入種」という名前で各方面に説明していまして、それなりにこの二、三年の経緯がある程度普及しているというところも一方にあるものですから、こだわるものではありませんけれども、それなりの時間の経過の中で、逆に一つのイメージというのができているということも事実で、そこも含めて少し考えてみたいと思います。
     いずれにしましても、ほぼ事実上の最終回に近い会合までご熱心に議論をいただきまして、ありがとうございました。これでもちろん終わりではなくて、事実上我々の仕事がここから始まるわけだと思っています。今後に向けて頑張りたいと思いますので、今後ともよろしくご指導ください。ありがとうございました。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
     それでは、これで第9回の移入種対策小委員会を終わりにさせていただきます。どうも、ご協力ありがとうございました。