中央環境審議会野生生物部会第７回移入種対策小委員会議事概要

１．	日時	平成１５年７月３１日（木）１０：００～１２：２０
２．	場所	新宿御苑インフォメーションセンター　レクチャールーム
３．	出席者
	（小委員長）	岩槻　邦男
	（委員）	阿部　　永	大井　　玄	大塚　　直
		加藤　順子	山岸　　哲
	（専門委員）	石井　　実	太田　英利	小林　正勝
		細谷　和海
	（環境省）	小野寺自然環境局長	名執野生生物課長	黒田自然環境計画課長
		上杉生物多様性企画官	河本野生生物課長補佐	山岸野生生物課長補佐
４．	議事概要

　○ 定着している移入種の防除の在り方について資料により説明

防除に関する対策の必要性の判断は誰が行うのか。また、防除計画の妥当性を判断するプロセスはないのか。

実施主体は国、自治体、ＮＧＯ等様々とされているが、誰かが絶対にやらなければならないという最後のところを決めておく必要があるのではないか。例えば輸入者や国内移動者が中心的な役割を果たすべきなのではないか。

計画に基づく関係法令の許認可の緩和としては、具体的にどのようなものを考えているのか。

生物多様性は、人間の健康よりもはるかに広い概念であり、それが傷害されるときは将来的に人間の健康も非常に影響を受ける。環境省は各関係省庁に対して、こういうことを理解してもらうよう働きかけを行うことが必要である。
原因者責任の追及は難しい。実際上は行政が関わらない限り実効性のあるものにはならない。
未然防止につなげるには、原因者に第一義的に責任を負わせ、それが特定できないときや資力がないときは行政がやる。基本的には行政代執行でいいと思うが、そういう仕組みが非常に大事である。
移入種の防除という場合の「移入種」は種全体を指すのか、特定の個体群を指すのか。また、交雑種の個体は移入種に含めるのか。

防除の必要性、緊急性の判断を実施主体に任せると、地域によって温度差が出てきてしまうので、判断については全国で統一したシステムを作った方がいいのではないか。

資料１－１のステップでは人間は動かないのではないか。緊急性を国民に訴えるような、もう少しドラスティックなアピールが必要。
誰かが中心になってやらないと、合意形成に時間がかかってどうしようもないというケースが相当多くなるのではないか。都道府県が中心となっていくべきと考える。
合意を得るように啓発・調査して除去を行うことは大切だが、どこまで合意を得るように努力するのか、どこで見切るのかを一度話し合った方がよい。

○	普及啓発及び調査研究の在り方について資料により説明

在来種に対して脅威になるものだけではなく、本来あらゆる移入種がだめだということをきちんと啓蒙する必要がある。

学校現場での教育は非常に重要。現在はニシキゴイの放流などあえて移入種を導入するような環境教育を行っており、問題が多い。生物多様性に関することは文部科学省に任せずに、きちんとした教育を示すべき。
世論調査を見ると、移入種に関する意識は２０代が最も低い。こういう人がこれから主流になるので、環境教育は極めて緊急性を有する。
生態系のその場においてモニタリングするのも重要だが、駆除技術開発、繁殖阻害技術開発等の施設内研究も並行して展開する必要がある。
学校教育も重要だが、生涯教育全体として生物多様性についての普及活動が必要であり、行政だけでなく我々もいろいろな立場で対応していかないといけない。
一般の人はどれが移入種なのかわかっていないので、それを教えなければならない。また、愛護団体に対する対処も考えなければならない。
教育のときに、人と自然との関わりについての教育、命を大事にという教育、自然と親しむという教育があり、現場の先生は混乱してしまうので、そこの整理を環境省がわかりやすい形で提供していかないといけない。
外来種を入れてそれがまずいという話をすると、外国から人が入ってくることはいけないのか、混血はいけないのか、という話になる。外来種問題が教育とバッティングするところは、命と差別という問題。
次回動物愛護という項目について論議するということだが、どういう議論をするのか。

【事務局】動物愛護及び倫理というキーワードでヒアリングを行う。詳細はこれから詰める。

○	第１～６回移入種対策小委員会の論点整理について資料により説明

○	参考資料について説明

導入前のチェックについて、対象種を絞り込むことは当然必要だが、あとはフリーというわけにはいかないのではないか。あらゆる種に関して何らかの検討をしないといけない。

【事務局】基本的には対象となるのは全部と考えており、対策が必要な種について絞り込んでいくという考え方である。
「生態的に影響を及ぼす移入種の環境下への導入」というのがわかりにくい。

【事務局】「生態的に」という言い方がわかりにくいということであれば、「生物多様性」に修正する。「環境下への導入」については、「管理下への導入」と違い、野外へ持ち出すという意味でこのような言い方をしたが、「野外」に修正する。
ＷＴＯに関して、生物多様性条約に基づいた制限がＷＴＯによって規制されるというのはどういうことなのか。

【事務局】生物多様性条約とＷＴＯは違う次元の問題とされているが、ＷＴＯの原則は貿易自由化なので、輸出入に関して何らかの規制を国内法で課していくということになると、やはりＷＴＯとの調整は必要になってくる。
ＷＴＯについては、環境保護については例外だという規定は、入れた方がいいという議論はあるが今のところ入っていないため、調整が問題になる可能性はあるが、各国の事情もあるし、あまり気にしすぎる必要はないのではないか。
参考資料３の「移入種対策に関する学会の意見・要望提出状況一覧」については、他にも要望書は出ている。一部の例示であれば例示であることがわかるような書き方をしてもらわないと困る。

以上

中央環境審議会野生生物部会 第７回移入種対策小委員会 議事概要

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