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中央環境審議会野生生物部会
第6回移入種対策小委員会会議録


  1. 日時  平成15年6月30日(火)14:32~16:18

  2. 場所  経済産業省別館 1028号会議室

  3. 出席者
    (小委員長)岩槻 邦男
    (委員) 阿部  永  大塚  直  加藤 順子
    小寺  彰  山岸  哲  鷲谷いづみ
    (専門委員) 太田 英利  大矢 秀臣  小林 正勝
     (環境省)黒田野生生物課長
    渡邊鳥獣保護業務室長
             
      
  4. 議事
     

    【司会】 それでは、予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会移入種対策小委員会を開催していただきたいと存じます。
     本日の出席者数でございますが、中央環境審議会運営規則によりまして定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しております。
     なお、石井委員、大井委員、岡島委員、児玉委員及び細谷委員はご欠席と伺っております。また、大塚委員は若干おくれてご出席されるという連絡をいただいております。
     会議が始まります前に、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
     まず、議事次第の後に資料一覧がございますが、その後ろに移入種小委員会の名簿、それから資料の1-1、生物多様性条約における外来種の指針原則から、1-2、3、4と、続いてございます。それから資料2-1、移入種対策としての重要管理地域の概念(案)から、2-2、3、4、2-7までの資料がございます。その次に、参考資料1と参考資料2とございます。その後に、これまでの小委員会での資料の修正の資料をおつけしてございます。修正資料の1が第1回小委員会資料2-2についての修正資料、それから修正資料の2が資料2-7についての資料でございます。それから修正資料の3が第4回小委員会の資料1-3についての修正でございます。修正資料の4が第4回小委員会の資料1-4についての修正資料でございます。それから、補足資料の1、2、3というふうにつけてございます。
     それから、今後の第8回、第9回の開催についての予定の伺いの表をおつけしてございます。後ほど確認をしていただきたいのですが、第4回小委員会の議事概要及び議事録について配付してございます。
     以上でございますが、もし不備がございましたら、事務局までお知らせいただきたいと思います。
     それでは岩槻委員長、よろしくお願いします。

    【岩槻委員長】 それでは、第6回目になります移入種対策小委員会を始めさせていただきますが、前回は長時間にわたって幾つかのヒアリングをやらせていただいて、勉強をさせていただいたのですが、そういうこれまでの勉強の成果を踏まえまして、本日は「定着している移入種の防除の在り方について」というのと、「重要管理地域の管理の在り方について」ということで議論を進めてさせていただきたいと思います。いろいろな勉強をしてきたということもあってですけれども、だんだん具体的な詰めの方向に進んできますので、議論もそういう方向で深まってくるのではないかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
     それでは、議題のとおりで、議題の1の「定着している移入種の防除の在り方について」ということで、最初に事務局から説明をお願いいたします。

    【事務局(河本)】 それでは、資料に沿いましてご説明を申し上げます。
     まず資料1-1でございますけれども、生物多様性条約における外来種の指針原則についてということで、毎回関係する部分についてご提示申し上げておりますが、今回関係しますところは、指針原則の13の撲滅、14の封じ込め、15の防除という、その3つのところでございますけれども、この指針原則の中で影響緩和という項でまとめて記述をされているところであります。撲滅というところでは、侵略的外来種を撲滅する最良の機会は、個体群が小さく、地域的な分布にとどまっている侵入の初期の段階であるということ。あるいは協議によって行われる場合、非常に効果的であるというような記述がございます。
     また、封じ込めのところでは、撲滅が適当でない場合、封じ込めが可能な状況であれば、しばしば適切な戦略となりますという記述がございます。
     また、防除のところでは、防除措置は、侵略的外来種の数を減らすと同様に、生じる被害を減らすことに重点を置くべきであると、そういった記述がなされております。
     移入種への対応方針について、これは8月に出した対応方針の中での関係するところの記述でありますけれども、5-1の導入されたものの管理の基本的な考え方というところでざっと示してあります。かいつまんで申し上げますと、ポツの1つ目ですが、導入されている移入種の管理を検討する場合には、明確な管理目標を設定した管理計画を策定する必要があるということが書いてあります。また、ポツの3つ目ですが、モニタリングの結果に応じて計画を見直せる仕組みとするべきである。あるいは4つ目のところでは、地域において対象種からの影響を受けている者、あるいはその利害関係者を中心として、合意形成を図る必要があると、そういった記述がされております。また、下から二つ目のポツのところでは、管理計画の策定主体と計画の実施体制の確保が必要であるといったことが書かれております。こういった記述内容も含めまして、防除ということについての概念、それから論点についてちょっと整理をさせていただきましたので、ご説明申し上げたいと思います。
     次の資料の1-2ですけれども、まず防除の概念について、簡単に枠囲いのところで示させていただきました。「防除」という用語自体は、農業の関係あるいはその保健衛生の関係、いろいろな分野にそれぞれの意味で用いられておりますので、ここでは移入種対策という点で、防除という言葉をどういうふうに使うかということについて、共通認識を持っていただく意味で書かせていただきました。防除は、「移入種が生物多様性に及ぼす影響を減少・防止させるための措置全般を指すものとして扱う」としております。その防除の中身ですけれども、「移入種の個体数を減少させる、あるいは根絶させる」というふうな考え方がございます。あるいは「移入種の生息・生育を全く許容しないということもあれば、区域を限定して一定の生存を許容する」と、そういった考え方もあろうと思います。こうした中身全般について防除という概念で、とりあえず取り上げたいと思っております。
     下3分の1ほどのところは、防除の一般的な手順について書かせていただきました。
     まず防除については、その必要性を認めた者が主体となって計画の策定及び事業実施を行う。まず、当該地域の生物多様性の変化がどうなっているのか、その変化における移入種の影響についてどうなのかということを調査を行って、その防除を行うことの必要性があるのかどうかということを判断していく。その上で防除の必要があれば、移入種対策の具体的な手法、これは駆除を行うのか、あるいは侵入防止等のための策をとるのか、あるいはその環境基盤整備といったことも考えられようかと思います。そういった具体的な手法ですとか実施体制について、関係者間で合意形成を図った上で防除計画を策定していくという流れになろうかと思います。
     防除事業については、策定をされた防除計画に従って実施をしていく。計画に沿った実施に対しては、関連法制度の許認可の簡素化ですとか、技術的・財政的支援、こういったことが行われることが望まれるところであります。
     さらに、防除事業を実施した場合には、その結果を検証していくということが当然必要であります。防除事業の継続の必要性等をここで確認をしていくということが必要になると思います。
     今申し上げました手順については、その裏面になりますけれども、防除の一般的な手順ということでフロー図に示させていただきました。ざっとこういった流れで防除自体が進むのが一般的な流れかというふうに考えております。
     次に、資料の1-3でございますが、移入種の防除についての論点について示させていただきました。
     まず、移入種による影響の判断というところです。防除実施に至る根拠がどうなのかということですけれども、生物多様性の変質に対して移入種の影響程度を判断する、そういうことが必要なわけですけれども、必ず当該地域の詳細な調査あるいは因果関係の究明ということが必要となるのかどうか。つまり、移入種対策の特徴の1つとして早期対応が必要であるということがあるわけなのですが、一定傍証なり、あるいは他地域の事例ということから科学的な検討を行えば、そこで判断をするということがあってもいいのではないかというふうなことが1つ論点としてあろうかと思います。
     それから2つ目に、防除による影響の検討とございますけれども、防除事業を行うことで、別の影響が生じるおそれがないだろうか。要するに、マイナス面の影響が新たに生じてくるというふうなおそれがないだろうかということを検討すべきではないかということです。あるいは当該移入種が長期間存在しているということであれば、もう既にその地域の生態系の構成要素になっているのではないかというふうなことも考えられるかと思います。それについてどのように考えるかということを整理していく必要があるというふうに思っております。
     それから、2つ目の移入種対策の検討及び防除計画の策定というところですが、1つは意見の収集先であります。対策の内容ですとか防除計画につきましては、合意形成がないと有効に働かないということが言えるかと思うのですけれども、その合意形成を図る範囲がどこまでかということです。つまり地元関係者の方々だけでよろしいのか、あるいはその地域を問わず日本全国、極めて言えば世界各国と、そういったことも考えられるわけですけれども、立場を超えてだれでも意見を言えるという形にすべきなのかどうかということがあります。
     それから、(2)は情報提供のシステムですが、他地域の事例、効果的な防除技術、そういったものを提供できるシステムが必要だろうということです。
     それから3つ目が、防除事業の実施ということですが、実施者及び実施体制ということで、基本的な役割分担をどう考えるか、あるいはボランティアで参画していただく方々についてもしっかりと位置づけを行うべきなのかどうかということです。
     2つ目が駆除のあり方ということで、動物については、捕獲した個体をどう処理していくかということがよく問題になりますけれども、即座に殺処分という形でも構わないのかどうかということが1つ論点としてあろうかと思います。
     3つ目にありますのは、原因者の責任追及ということで、よく要望とか意見とかでいただくものですけれども、防除事業を実施した場合に、その移入種が入り込んだ原因になっている人がわかっているのであれば、その責任を追及したらどうかと、そういった議論がよく起こりますので、これについてもご意見をいただければというふうに考えております。
     とりあえず、今回は論点を挙げさせていただきまして、これについてご意見をいただきまして、まとめについてはまた次回にそれの時間をとらせていただければというふうに思っております。
     資料につきましては、後ろに資料の1-4というのがございますけれども、これは都道府県にアンケートを行いまして、取りまとめたものを、議論の参考にということでつけさせていただきました。横長で3ページにわたって整理をさせていただいておりますけれども、3ページ目の一番下に書いてございますが、これは各都道府県の自然環境の担当部局へ聞いた結果でございますので、県によっては別の課が所掌しているものついてはここへあらわれてこないというものもございます。それから、それの後ろに事例を3つほどつけさせていただきました。事例の1は琵琶湖の外来魚防除というものですけれども、琵琶湖はご存じのとおり、外来魚のオオクチバスとブルーギルが非常に生息数をふやしているという現状があるわけですけれども、これがさまざまな在来の魚類ですとか甲殻類を捕食して、生態系へも大きな影響を与えておるという状況があります。
     防除ということにつきまして、それの裏側でございますけれども、対策ということで1枚にざっとまとめております。これを事例として取り上げましたのは、2の対策の概要というところに書いてありますが、予防措置として、漁業規則による移植の禁止、あるいは条例でその外来魚を釣り上げたときの再放流の禁止といったことの措置をとっておる。それから、調査研究では、生態調査、食性調査、駆除技術検討ということのほかに、加工とか調理方法の研究までも含めてやっているということ。それから、防除については、捕獲、繁殖抑制、回収処理ということと、さらに生態系の修復のための取組も進めているということで、単に外来魚の数を減らすというだけでなくて、それに向けてということですけれども複合的な対策がとられているという、そういう例としてこれを挙げさせていただいております。
     それから、事例の2つ目でありますが、小笠原のノネコ対策というものを挙げております。小笠原諸島はご存じのとおり非常に希少種の多いところでございますが、そちらにノネコが繁殖をしておりまして、ハハジマメグロ、アカガシラカラスバトと、そういった希少な鳥類の捕食が確認をされている。これの対応をどうするかということで地元でとられた対策が裏面にございますけれども、この1つは予防ということで、飼いネコの適正飼養を図るということが必要だろうということで村で条例をつくって、届出・登録制ということをやっているということと、あわせて防除ということで、小笠原村のノネコ対策事業でノネコの避妊・去勢処置が行われているということです。これは、ノネコ自体が問題だということで捕獲をしているわけですが、ただ捕獲したものを殺処分という形ではなくて、手術をして、また放すという形をとっているようですけれども、そういう形で増殖率の低下をねらうという形でやられている例としてご紹介をさせていただいております。
     もう一つの事例の3ですが、多摩川の永田地区のハリエンジュの駆除というものですが、これは河川敷にハリエンジュ(ニセアカシア)ですけれども、これが繁茂して植生が変化してしまっている。カワラノギクの地域個体群が大幅に減少していると、そういう例があるわけですが、これに対してどのような対策がとられたかということで、それの裏側になりますけれども、多摩川の河川環境管理計画というところで位置づけられていたということもありますが、ハリエンジュの樹林の一部伐採・抜根を行ったということとか、あるいはその土砂を掘削したという、実際にそういう取組がなされておりますけれども、それの前に国土交通省、大学などの研究者から研究会を組織したと。さまざまな観点から検討を行い、さらに研究者、市民、地元自治体などが参加をして合意形成を図った。その上で取組を進めているということで、さまざまな方々の参画のもとの合意形成の事例ということで、これを紹介をさせていただいております。
     あと、後ろに参考資料ということで、参考資料の1と2というのをつけさせていただいておりますが、これをとりあえず先にご説明申し上げますけれども、参考資料の1という移入種(外来種)による影響の事例と書いた表が載っております。これは対応方針の中でまとめていただきました表ですけれども、移入種の事例ということで、どういうものがあるかというものを、現時点でもう一回新しいところを見てみてはどうかということで調べたものです。下にページ数を打っていますが、1ページ、2ページは対応方針の表ですが、それから、その次の3ページから6ページまでは、過去1年間分ですけれども、地方版も含めまして新聞記事の中で移入種関係の事例として出ていたものをざっとピックアップをしたものです。全国でどういったものが取り上げられているかというのが大体ここから読み取れるかと思います。
     7ページ目、8ページ目は、国立公園の中でどういった移入種問題があるかということで、これは環境省の地区事務所の方で把握している事例についてざっと整理させていただいたものです。これも参考にしていただければと思います。
     あともう一つ、参考資料の2とございますが、これは鳥獣保護法の関係で特定鳥獣保護管理計画という制度がありますけれども、個体数調整のための計画ということで、今回議論をいただきます防除の計画の立て方等に関連するかということで、参考ということで技術マニュアルのところの必要部分を抜粋して提出をさせていただいております。
     若干、特定鳥獣保護管理計画の中身をごく簡単にご説明させていただきますけれども、これは個体数がふえることで、あるいは農作物に被害があるといった話もありますし、逆に減り過ぎて個体群が存続できないという場合もあるということで、3ページ目の図の2というのを見ていただくとわかるかと思いますけれども、個体数を一定の範囲の中で保つためにどういうふうに計画を立てていくかと。一方的にその個体数を減らしてしまおうというわけでもなく、また逆にふやしてしまおうというわけでもなく、適正な個体数を保つために最初に科学的な調査をして、その上で計画を立てて、それに沿って個体数の調整を図っていくと。ごく簡単に言いますと、そういう中身の計画でございます。
     簡単で申しわけございませんけれども、説明は以上でございます。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
     防除に関することなのですが、具体的な3つの例が全くばらばらの例でありますように、まさに多様なものを、最終的には1つの方向でまとめないといけないというので、それぞれ先生方の持っていらっしゃるいろいろな事例を具体的に挙げていただいて、議論を進めていただきたいと思うのですけれども、なるべくそれをもとにして、どういうふうにしたら1つにまとまった対策ができるだろうかという、そういう方向で議論も提起していただければというふうに思いますが、どうぞ、どなたからでもご自由にご発言を。
     小寺委員、どうぞ。

    【小寺委員】 今の委員長がおっしゃったことの前提についてちょっと確認をしたいのですが、防除という概念なんですね。これはコントロールを訳していらっしゃるわけで、この防除というのが指針原則13、14、撲滅と封じ込めというのは同じレベルの、いわば対応措置だろうと思うのですが、防除というのはやはりちょっと何か、コントロールというのはややレベルが違うように思うんですね。したがって、この13、14と15の関係、これをどういうように理解すればいいのか。この問題と関係するのは、対応方針のところにある管理という概念で、対応方針のところには外来種の管理という概念があるわけですね。ちょっと読むと、管理と防除というのは、つまりコントロールというのは、私の語感だとむしろ管理という形で訳してもいいような概念なのですが、この管理と防除という概念をどのように区別されているのか。これが恐らくこの議論の前提になると思うのですが、ちょっとそのあたりご説明を願いたいと思います。

    【事務局(河本)】 資料の1-2の(参考)というところに書かせていただきまして、まさに今小寺委員がおっしゃったとおりなんですけれども、「指針原則」の中では、影響緩和という中に撲滅と封じ込めと防除が並んで書かれておりまして、それからいたしますと、撲滅というのは個体数をほぼゼロにすることだろう。封じ込めというのは、一定の範囲内に囲い込んでしまうことであろう。そういう並びからいいますと、ここで言われている防除というのは、ある程度その個体数を減らすと、ゼロまではいかなくても減らすことで影響を弱めていくと、そういうふうなニュアンスで書かれているのかなというふうな気もするのですが、とりあえず今回ここで議論をしていただきたいのは、ここの指針原則にある並びはこれはこれとして、その影響を、減少を防止させるための措置全般ということで、言ってみれば、今おっしゃいました管理とほぼ同様の趣旨かというふうに考えております。

    【岩槻委員長】 よろしいですか。
     それでは、どうぞご発言をお願いします。鷲谷委員、どうぞ。

    【鷲谷委員】 資料の1-2のところの一般的な手順ということに含まれるのかどうかわかりませんが、ここでは、必要を認めた者が主体となって計画を策定して事業を実施すると書いてあって、それはそうなるのかもしれませんけど、この主体というのは、行政だけなのかどうかというようなことを今伺いたいのと。
     もう一つ、移入種が問題を起こす事態に当たっては、多くの場合問題が大きくなるようなときは、大体大量に利用して、そのことが原因になっていることが多いと思うのですけれども、その利用によって便益を受けている人がいるはずなのですけれども、その人たちは対策にどういうかかわり方、あるいは免罪してしまうのか。普通、汚染なんかの問題ですと、汚染者がある程度その汚染を取り除くことに関して責任を果たすというのが一般的になっていると思うのですが、外来種の場合はそういうことは考えないものでしょうかということを、まず伺いたいと思います。

    【岩槻委員長】 先ほど1-3で多少ご説明はあったのですけれども、そうしたら、今の質問にもう少し直截に答えていただくようにお願いします。

    【事務局(河本)】 はい。まず、防除の主体ということについてですが、必ずしも行政だけというふうには思っておりません。もし、有志の方といいますか、NGO、NPOの方々で主体的に行いたいということであれば、そういう方が主体となるような仕組みがあってしかるべきだというふうに考えております。
     それから、もう一つの問題を起こす事態となった方々についてということですが、論点の資料の1-3の3の(3)というところで書かせていただきました。原因者の責任追及ということなのですけれども、おっしゃるとおり、例えば動物園から逃げ出したとか、そういったのは過去にも幾つか事例があるわけなのですが、そういう場合にどこまでその人たちに責任を求めていくのかということです。当然明らかであれば、その人たちに一定の責任を持っていただくということは明らかだというふうなのは、それはよくわかるのですけれども、果たしてそれがどこまで可能なのか。といいますのは、生物多様性への被害というのが、何といいますか、金銭的な換算をするというのが非常に難しいのかなというふうに思っておりまして、その辺は我々の方でも整理をしなければいけないのですけれども、どういうふうに考えるべきかなということで、逆にこちらの方から問題提起という意味もあって、ちょっとこういうのを掲げさせていただきました。

    【岩槻委員長】 鷲谷委員、続けてどうぞ。

    【鷲谷委員】 そうなのですけれども、生物多様性への影響をお金に換算することは難しいかもしれませんけれども、対策には費用がかかると思うので、そういう意味では、対策も根絶するのか、根絶は難しいので一定レベルで努力を続けて、影響をある水準以下に抑えておくのか、やり方によって時間当たりにかかるお金とどのぐらいそれが続くかということが変わってきたりするということでは、費用の計算というのは難しい面もあるかもしれないのですけれど、対策に必要なということを考えれば、それが生物多様性への影響の費用だというふうに言って、お金への換算というのも可能なような気がします。

    【岩槻委員長】 特にコメント、発言はありませんか。

    【事務局(河本)】 はい。

    【岩槻委員長】 では、大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 ちょっと遅れてきて、きょうも講義だったので申しわけありませんが。 今の点については、例えばEUの環境損害についての指令案というのが現在できていて、最終段階に入っていると思いますけれども。ですから、事務局もそれをお調べいただくといいと思いますが、生物多様性の破壊というのが環境損害の2つのうちの1つとして挙げられていて、移入種もそれに入ると思いますが、原因者の責任をその対策費用なんかについて追及できるということが考えられていますので、基本的に無過失責任ということが出てくると思いますけれども、そういうこともちょっと可能なのかどうか、日本でやれるかどうか知りませんけれども、考え方としては十分あるということを1つ申し上げておきたいと思います。当然対策費用のことが一番最初に問題になりますし、あと因果関係がはっきりするかという問題も当然ありますが、現在、もちろん民法の過失責任で、709条でいけないわけではないと思いますけれども、過失があったと言えるかどうかというと、かなり証明が難しいかなというふうに思いますが、EUなんかの動きだと、そういうものを無過失責任で認めていくという動きがあるということを、事実の問題として、ちょっと申し上げておきたいと思います。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
     山岸委員、どうぞ。

    【山岸委員】 鷲谷さんの言ったこととちょっと関係があるんですが、防除の一般的な手順というところで、「防除は、その必要性を認めた者が主体となって計画策定及び事業実施を行うものとし、」という前提になっているのですが、一番必要性を認めているのは研究者だと思うのですよね。だから、そうなると研究者がやれというふうに書いているのとこれは等しいことであって。それで今度は資料の1-3にいくと、防除事業の実施というところで(1)として、どう考えるべきか、ボランティアで参画される方が……、このボランティアなんていうのは後から考えることで、まずやる人はだれかということを考えなきゃいけないので、僕、結論を言うようですが、これをやるのに一番困っているのはお金がないことだと思うのですよ。ですから、そのお金をつけてもらうということには、やっぱり法制化しかないんじゃないかという気がいたします。そこをほうっておいて、幾ら主体性を考えたやつがやれなんて、白々しいという感じで、とてもじゃないけれど、これは進まないのではないかという気がします。

    【岩槻委員長】 何か答えられますか。

    【事務局(河本)】 この場でお答えするというよりは、とりあえずきょういろいろなご意見をいただいて、次回にはちゃんとした、こちらの案というのをお示ししたいと思います。

    【黒田野生生物課長】 よろしいですか。

    【岩槻委員長】 どうぞ、課長。

    【黒田野生生物課長】 きょうお示ししているのは、多分一般論ということでございまして、余り最初から私どもの方で導くというよりも、幅広いご意見をいただきたいということで、やはりきちっと責任を持って対応しないといけないのはそうでしょうし、法律をつくるということを前提に議論するというよりは、何かこういうふうにしないといけないから法律が要るのだというストーリーに、やっぱり持っていきたいというふうに思っています。
     それから、先ほどの原因者の話で、少し後先になりますけれども、カルタヘナ法の方は、結局、例えば遺伝子組換え体を工場のタンクの中で使っている人が、何かの不手際で漏らしてしまったというときの非常時の対応としては、回収を命ずることができるというような規定までは入れているのですが、行政代執行的なところまで条文では書いておりません。その辺を移入種の場合はどうする、観念的には一緒だろうと思うんですけれども、実際に起きている現実を考えると、やはりその地域が関わる、行政が関わるというようなことも具体的に考えていかないといけないのかなと。ただ、そのときにどうすべきかなということでここで書いているところでございまして、先ほど大塚先生からご指摘のあったところは、私どもも早速勉強をさせていただきたいと思います。

    【岩槻委員長】 どうぞ、大矢委員。

    【大矢委員】 話が後先になって申しわけないのですが、原因者の責任追及のところなのですけれども、現在、ワシントン条約や何かについても罰則規定がほとんどないという現状があって、しり抜けになってしまっている部分がかなりあると思うのですね。では、この防除のところでどういう罰則規定ができるかというのは、なかなか難しいかもしれませんけれども、少なくとも過失責任の認められた者に対しては、そのかかった費用ぐらいは負担させるみたいな、そういったようなことをやっていかないと、いつまでもたってもこういうことは解決していかないのではないかと。先ほど山岸先生もおっしゃったように、予算がないところへ持ってきて、過失責任も何もない、しり抜けになったのでは、皆さんが長い時間、貴重な時間をかけて論議しても、何の意味もないのではないかな、そんなふうに思われるのですが。

    【岩槻委員長】 はい。
     小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 資料1-3の(3)ですね、原因者の責任追及、これは追及というと過去なのか、これからなのかの区分がまず必要であると。やはり今後については法の整備なりをして、入れちゃだめだと。入れると、こういう制度でやっていただかないと、後の始末までしてもらいますよというようなことを、これからのものと過去のものとの区分をしないと、過去どこまでさかのぼっていくのですかと。それを国も認めて、今まで野放しにしてきたものを、ここへ来て急に突然問題ですと訴えて、賠償だなんて話になっても、これは非常に大きな問題になると思います。ですから、これからのスタートなのか、それでは先のものをどういうふうに駆除するのかというのを議論していかないと、何か1つを全部まとめて話をしようとしても、私は進まないんじゃないかと思います。

    【岩槻委員長】 これは一応防除の話ですから、防除というのは一応入っているものについてということで、これまでに入っている、あるいはもちろんこれからも入ってくるものについてということだと思いますけれども。
     どうぞ、大塚委員。

    【大塚委員】 ちょっと法的な観点から整理をしておきますが、賠償とかいう話と罰金の話はもちろんまた違いますが、罰金は基本的にはそんなに大した額にはなりませんので、賠償の方だと対策費用を払わせるという話になれば、相当な額になるということが1つございます。それから、これからの話と今までの話は別だというのもまさにそのとおりでして、これらの話は法律が入ればの話ですので、法律ができればの話ですので、できるかどうかわかりませんので、余りそういう話をするべきかどうかわかりませんが、もし法律ができれば、法律を実施した後はその法律の適用があるということで、それまでにその行為をした人は適用がないということなので、法律が実施されたら、実施された施行後に移入したことに原因があった人については、その行為について責任を問われるというのが一般的な考え方でございます。もちろん民法は明治時代からございますので、民法の過失責任に基づく損害賠償責任というのが追及できるとすれば、それはもう明治時代からできるということになりますので、過失があれば今でもできるということですけれども、過失責任ではなくて、仮に無過失責任ということにした場合には、それが新しく法律ができたときからもちろん施行されるという整理になります。
     それから、先ほど事務局でおっしゃった回収命令の規定で、行政代執行の条文がカルタヘナ法に入っていないのはどうしてか、もしできれば教えていただきたいのですが、相当な額になるからだということなのかもしれませんが、移入種の場合同じようなことがやはり問題になるという感じはいたしますので、もしその辺の経緯を教えていただければ、大変ありがたいと思います。

    【岩槻委員長】 黒田課長。

    【黒田野生生物課長】 余りクリアな説明は、ちょっとこの場ではできませんが、カルタヘナの方は、我が国で例えば封じ込めの利用というのはなされていますけれども、今のところそういうその面での事故というものは、大きなものは起きていないと。事故は起きていないということで、まずはそこまでの、行政代執行までの具体的な詰めに至らなかったというのが実態だったと思います。ちょっと、また調べて、ご報告申し上げます。

    【岩槻委員長】 小寺委員、どうぞ。

    【小寺委員】 今、大塚先生が非常に重要なことをおっしゃったので、大塚先生に質問をしたいのですけれども。現在でも恐らく、おっしゃるように民法709条で責任追及ができる。その場合、だれが追及できるというように大塚先生はお考えになっているのでしょうか。その点をクリアにしていただいた方が、この議論はもう少しはっきりすると思います。

    【岩槻委員長】 では、大塚委員、お願いします。

    【大塚委員】 行政ができるかどうかは、なかなか難しいのかもしれませんが、例えば農村で、農家の人で移入種によって自分の農作物が被害を受けたという場合には、これは財産損害で当然請求できるということになるのは間違いないと思います。国が対策費用を払わされた場合に、それを損害だと言って賠償請求できるかどうかは、そこら辺はもう少し検討しなければいけないかと思いますが、私人はできることは確実だと思います。

    【岩槻委員長】 ほかに、いかがでしょうか。
     先ほど事務局からありましたように、まだ成案ができているわけじゃなくて、盛り込むべき内容は、ここであらゆる可能性について発言していただいていた方がいいのですけれども。
     小寺委員、どうぞ。

    【小寺委員】 では、今の点なのですけれども、今、大塚先生がおっしゃるようなことだろうと思うのですが、そうなると私人が請求するというのは、これは生物多様性という法益に則して請求するわけではなくなりますよね。だから、つまり生物多様性という法益侵害とその結果対策費用を持たせるという場合、今大塚先生がおっしゃったように、やはり現行の民法で対応するというのは極めてアンサートンであると。そうなると、やはりこの4番はきちんと法制化して、対応していただくということが必要だろうというように思います。

    【岩槻委員長】 一番最初の、実施主体のところで鷲谷委員がおっしゃっていたNGO、NPOみたいな団体もというのは、先ほどはそれも含めて考えるという事務局からのお返事でしたけれども、鷲谷委員のご発言は、むしろそういうのも積極的に奨励すべきではないかというニュアンスだったのですけれども、そういうふうに聞いておいてよろしいですか。例えばそういう作業をむしろ補助するとか、そういうようなことも含めてですか。

    【鷲谷委員】 恐らく、現状では、何らかの外来種が増え始めたときに、そのことが生物多様性保全上重大な問題であるというふうに最初に気づくのは、研究者なり地域の自然をよく見ていらっしゃる方だと思うんです。それで、そういう見解が行政にすぐに伝わるのでしたら、行政にこういうようなことを取り組んでいただければ一番いいと思うのですけれど、必ずしもそうではないですよね。それで、時間がかかっているうちにどんどんふえてしまって、根絶はおろか、防除もしにくい状態になってしまうということもあると思いますので、ある程度科学的な根拠を持って、しっかりとその影響があることを保証できるようなNPOなり――NPOじゃなくてもうちょっと小さいグループでもいいのかもしれませんけれども――が早期にアクションを起こせるようにはしておかないと、みんな手遅れで。本当に初期に対策を立てるかどうかというのは、根絶あるいはしっかりした防除ができるかどうかのポイントになると思うんですね。環境にもよりますけれども、ある場所に入って、しばらくは余り目立たないですけど、増え始めたというところからは、場合によったら1年間に1万倍になるとか、そういうようなことになるわけですよね。そういうことの予測というのは、やっぱり研究者じゃないとできないのかもしれませんし、そういう問題をよく見ている方じゃないとわからないかもしれません。なかなか伝わらないので、歯がゆい思いをすることが多いですね。

    【岩槻委員長】 どうぞ。

    【太田委員】 NPOの協力でやるというのが、即取りかかる体制をつくるというのが現実的だというのは、全く鷲谷先生がおっしゃるとおりだと思うのですが、ただ行政の方の悪口ばかり言うつもりは全然ないのですけど、そういう形で民間なり、NPO、NGOが主体で動くと、何か必要なものでそういうNPO、NGOの動きに乗っからないものが出てきたときの行政の反応まで鈍くなってしまうのではないかなというのが、一方でちょっと怖いんですよね。実際、例えば沖縄のネコだとかマングースの問題なんかも、結局みんなかわいそうだというので、やりたがらないわけですよ。一方で、研究者サイドから見れば、これほど重大な影響を及ぼしているものはないんですね。結局、これは移入生物ではないのですけれど、オニヒトデがふえた、さあ退治しようというと、みんな喜々としてやる――喜々としてなんて、やっている人に怒られるかもしれませんが、でも私から見ると熱意が全然違うんですよね。でも、それに任せ、そういう動きに任せて、その全部の問題が解決するかといったら、実はそうではなくて、最優先でネコとマングースの問題を何とかするべきなわけですね。今、環境省さんも頑張っていろいろなさっているようですけれど。だから、やっぱり、何というか、科学的にリスクを評価して、どういうあれでやるかということは、あくまでその予算も含めて、山岸先生がおっしゃったように、行政主体でやって、その中で例えば名乗りを上げてくるNPOとかNGOがあるのであれば、もちろんお願いします、ぜひ手伝ってくださいと、そういうふうに整理しておかないと、非常に問題だと思いますね。

    【岩槻委員長】 大矢委員から、それでは。

    【大矢委員】 今の太田先生のお話に関連するのですけれども、防除事業の実施の2の駆除のあり方について、「動物について、捕獲した個体の処理をどうするのか。即座に殺処分して構わないのか」。このことなのですけれども、これはたしかこの後倫理関係でヒアリングがある、最初のスケジュールの中にあったような気がするのですけれど、それはどうなっているのでしょうか。

    【事務局(河本)】 第8回の小委員会のところでヒアリングか、あるいは懇談会という形でやりたいというふうに思っておりますが。

    【大矢委員】 その辺を踏まえてからでないと、この問題は非常に難しいと思うんですね。動物愛護協会の問題、それから動愛法の問題、そんなことが絡んできて、確かにノネコの問題というのは非常に大きな重要な問題ですけれども、ネコを飼っておられる方たちというのは非常に狂信的な部分が、はっきり申し上げてありますので、その辺の対応をどうしていくか、きちっと理論的に済ませておかないと、後々問題が残るのではないかなという気がします。

    【岩槻委員長】 加藤委員、どうぞ。

    【加藤委員】 私も今のところの関連なのですけれども、その必要性を認めた者が自分でというか、主体となって計画をつくってやると、だれでもが気がついたらやってもいいというふうに考えていいのかどうか。例えばネコなどが関わってきた場合に、やっぱりそこがなかなか難しくて、一方では合意を形成して計画をつくるということがございますよね。そうすると、その合意形成のところもなかなか時間がかかってくる可能性もあって、片方では非常にもう、今すぐにでもやらなきゃ大変だと思いつつ、片方ではその合意形成を図るプロセスに非常に時間がかかる。ですから、そういうことの2つを、あるいはだれかが気がついたらすぐできるということになると、それはまた合意形成との絡みでどうなってくるかということもありまして、その辺がやっぱり気がついた人がすぐすると、自分でやるというのが資料1-2の[1]なのですけれども、そこのところがなかなか難しい問題があるような気がします。
     それとあともう一つは、その調査をすると。その調査もみずからがやるとなると、その調査の費用というのがかかりますので、それを一体どういうふうにするのか。やっぱり行政が責任を持ったような枠組みにしておかないと、先へ進まないんじゃないかなという気がしますけれども。

    【岩槻委員長】 事務局から、この辺で何かコメントありますか。

    【事務局(河本)】 すみません。今、合意形成の件で、1つは時間がかかるんじゃないかというふうなご意見をいただきましたけれども、そのことについては論点の1つにも挙げているのですが、2の(1)のところで意見の収集先というふうに書いております。地元の関係者の方々、地元へ何らかの被害を受けている方とその利害関係を持っていらっしゃるような方々、そういう方々に絞った形で合意形成を図っていくということであれば、時間の短縮ということも一方ではできるのかなというふうに思いますし、非常にいろいろな方々が関心を持たれているようなことであれば、日本全国とか、あるいは、物によってはほかの国から意見が飛んでくるような場合も、最近はインターネットの時代ですので、ございます。そういうのを含めてやっていくということであれば、大変大がかりな話になってきますので、おっしゃったとおり、一個人の方が気がついたからやりたいと言ったときに、とても時間がかかって、あるいは経費がかかってできないのではないかと、そういうふうなお考え方も出てこようかと思います。一言で、これをこうしましょうという、1か0かということではできないと思いますけれども、ある程度その辺の考え方を整理して、こういう場合であれば、やっぱり行政がやらなければいけないとか、そういう場合だけを考えなければいけないのかなというふうに思います。

    【岩槻委員長】 ほかに。
     小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 防除の一般的な手順にこだわるわけじゃありませんが、例えば「必要と認めた者が主体となって」というと、資料の1-4を見てもわかるのですが、例えばアライグマをそう思っているのは北海道と神奈川県と、では東京都は問題ないのですかと。当然東京都に入りますね。ですから、こうなってくると、必要なところがというよりも、やはり国を挙げてということで防除していかないと、ある県は防除して、隣の県にまたどんどん侵入していったということになると、これはまた必要と認めるのはいつなのということになってしまうような気がするのですね。そういう点では、やっぱりその必要性を全国レベルで議論していかないと、環境のいいところへ逃げ込んじゃうというようなこともあるんではないのかなという感じがします。

    【岩槻委員長】 よろしいですか。
     それでは、阿部委員、どうぞ。

    【阿部委員】 もう既にいろいろな方のご意見が出ているのですが、とにかく基本的にはもう入れるのを絶たないことには、今のような状況でやると、とにかくもうどんどんどんどん入ってくるばかりで、しかもそれが、管理がきちんとできないと野外に放されたりするものが非常に多いわけですから、基本的に外来を規制するということをまずやってから、それから既にもう入っているものをどんどん規制していくということをやらないと、どんどん手おくれになる部分が多いのだと思います。合意形成の問題なんかも、早急にできるようなシステムをつくらないと、例えば北海道の天売島という海鳥の繁殖地がありますが、あそこでノネコがたくさんいまして、それの駆除をやり始めたときに、全国から北海道の道庁の自然保護課に膨大な数の電話が入って、数日間何も仕事ができないというようなことがありました。それから、例えば先ほど出ておりましたアライグマは、今北海道では毎年三千万足らずのお金をかけて駆除をやっているわけですが、全然減っておりません。むしろ拡大を、中心部のやったところは確かに密度は減っておりますけれども、今の程度では全然役に立っていません。結局、どんどんどんどん周辺に広がっていって、高密度地域が周辺に広がって、ごく最近の情報ですと、例えばシマフクロウの繁殖地であります知床でも写真撮影されたとか、そういうのが出てきておりますので、やっぱり早急に何かをやらないと、我々が今これを議論しているのも、その間にどんどん広がっているのではないかと。ですから、私は前にいつか、もう手おくれじゃないかという話をしたことがあるんですが、そういう意味でもできるだけ早く、合意形成でも余りのんきにはやっていられないのではないかというように思いますので、多少強引でもやらないと、いつまでもそういう議論だけが進んでいたのでは、これは多様性保護なんてとてもできないのではないかと、私はそう思います。 以上です。

    【岩槻委員長】 現状下での強いコメントなのですけれども。
     大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 私、ここのご説明を聞いていないものですから、ぼけたことを言うかもしれないので、申しわけないですが。
     資料1-2の主体というのは、後ろの、裏の計画策定とか防除というところを含めて考えると、これは今のお話を聞いていると、NPOだけでもやっていただくということのようですが、これは行政は入らないで、ずっとこの下の方まで行くということを想定されているのでしょうか。というのは、今の合意形成のところを考えても、恐らく反対をする人が出てきた場合に、収拾がつかなくなることは想像できると思うのですけれども、もちろん皆さんが合意をしてやっていってくだされば、それはそれで非常にいいことだと思いますが、大体こういうことはお金がかかりますので、お金が絡むと、どうしてもそう簡単には合意できないということが多いと思うのですけれども、この辺はどういうふうにお考えになっているのでしょう、ちょっと教えていただきたいのですが。

    【岩槻委員長】 事務局からお願いします。

    【事務局(河本)】 基本的にはNGOの、あるいはNPOの方々だけでもというふうには考えておりますが、確かにこちらから出した資料で若干矛盾しているかもしれないのですけれども、一般的な手順という中の[3]でいいますと、実施に対して、関連法制度の許認可の簡素化とか云々というのが出てきます。そういったことが果たしてNGOの人たちがやったやつについて可能なのかどうかといった問題も、やっぱり一方では出てこようかと思いますので、具体的にどういった支援を行うかということも1つの検討しなければいけない案件ではないかというふうに思いますし、何人かの先生方からいただいていますとおり、お金がかかるというのがまず第一にあろうかと思いますので、その辺の措置というのも組み合わせで考えていかなければいけないとは思います。

    【岩槻委員長】 大塚委員のコメントの中には、ここでいう認めた主体の中にはNGOなどを加えるべきではないという、そういうご意見があるわけではないんですね。

    【大塚委員】 多分行政機関が入らないと、NGOだけだと実効性の面ではかなり難しいかもしれないというふうに思ったという……。

    【岩槻委員長】 だけならばという。

    【大塚委員】 ええ、NGOも加えるべきではないという趣旨では全然ないです。

    【岩槻委員長】 山岸委員、どうぞ。

    【山岸委員】 北海道のアライグマ、それから沖縄のマングース、非常に今環境省が頑張ってやっておられるのですが、僕が愕然としたのは、そのお金の出どころがもう全く違う雇用促進法というようなところから出て、やっている。それは非常に悲しいことだと僕は思って、さっききちんと出るべきところから出してくださいということを言ったので、いつまで雇用促進法のお金なんか出るかわからないので、それが切れたときに、それではほったらかしていいのかという問題になりますので、その辺をぜひお考えいただきたいと思います。

    【岩槻委員長】 よろしいですか。事務局の方、どうぞ。

    【黒田野生生物課長】 使えるものは何でも使おうという発想を一方で持ちつつ、私どももやはり必要な財源というものを確保していこうと。今も奄美のマングース、あるいはやんばるのマングース、あるいは西表のオオヒキガエルの監視などで一部環境省に、全部ではございませんが環境省の方で財源を確保しておりますが、16年度要求に向けては、やっぱりそういう面でも何とか、事の深刻さを考えるとやっぱり少し、通常の予算も毎年今減っていっております。それの流れに逆行するようでありますが、かなり大幅に確保できないかなと私どもとしては考えておりまして、努力していきたいというふうに思っております。

    【岩槻委員長】 いろいろご意見をいただきましたけれども、最初にありましたように、今回の議論を踏まえて、次の委員会にもう少し詰めた、次のセカンドドラフトを出していただいて、それについて議論をする機会をもう一回設けさせていただきたいと思いますので、きょうの議論は、この部分に関してはこれぐらいにさせていただいて、次のもう一つの議題の「重要管理地域の管理の在り方について」、これは地域にかかわる問題ですけれども、この問題について、最初にまた事務局の方から説明をお願いいたします

    【事務局(河本)】 それでは、資料の2-1から2-7についてのご説明を申し上げます。
     資料2-1ですが、移入種対策としての重要管理地域としてどういう概念かということを、まず整理をさせていただいております。枠囲みのところですが、生物多様性の保全の観点から、特に移入種による影響を予防、軽減、根絶、そういう必要が認められる地域について「重要管理地域」として設定をしていく。設定をした上では、所要の管理を行っていくというものです。
     考え方のところに書いておりますとおり、生物多様性の保全が必要な地域の中から移入種対策が必要な地域について、「重要管理地域」を設置すると、そういうものであります。
     国では、主に移入種による影響の予防面を重視すべきではないかというふうに考えておりますし、全国的な見地からみて設定を要すると認める地域について設定をしていきたいというふうに思っております。ただ、地方公共団体で、同様に移入種対策という趣旨から個別の基準を設けて地域設定を行う。それは当然あってしかるべきかなというふうに思っております。
     設定後は、移入種の予防あるいは防除といった管理が必要になってまいりますので、その管理を着実に行えるということも設定に当たっての条件の1つかなというふうに思っております。
     その下の(参考)にありますのは、「対応方針について」という中で、こちらでは要注意地域という言い方で考え方を整理しておりましたが、それの記述を参考に載せさせていただきました。
     これの概念でもって、論点としてどういうことが出てくるかというのを資料2-2に整理をさせていただきました。大きくいって、地域の設定ということと地域の管理の2つですけれども、設定に当たりましては、その設定をどういうふうに考えるか。つまり予防を主目的とするのか、あるいは再生とか回復を主目的とするのかと、そういったものを含むのかということです。それと設定の基準ですけれども、設定に当たって何を指標として考えるのかということ。それから、管理の難易性についてはどの程度考慮していかなければいけないのか。こういったことが設定に当たっての1つの論点かと思っております。
     それとあと、地域の管理の方ですが、計画の策定ということで管理計画、その地域を管理するための計画を策定する主体、あるいは、その手順についてはどういうふうに考えるか。特に何かを守るために設定するわけですから、その保全すべきもの――対象なりエリア――というのはどういうふうに特定をしていくのかということがあります。また、管理計画に位置づけておく項目なり計画期間といったことも1つの整理事項というふうに思っております。
     (2)ですが、管理の詳細ということで、具体的に実施する管理の中身がどういったものかと。それの実施を行っていく主体あるいは連携とか協力体制といったことも考える必要があろうかと思います。
     あと(3)で、地域住民の方々、そこに実際に住んで日常生活を営んでおられる方々がおられる場合、それでも地域を設定して、管理をしていくということになったときに、どういうふうに配慮が必要かということなのですけれども、食用に供する植物、そういったものが出てくるわけですけれども、日常生活に不可欠なものまでリスク評価が必要なのかどうかといった話、それから公共事業等に対する制限事項と、そういったものも1つの考え方を整理しておく必要があると思っています。
     それから(4)で生物多様性の再生・復元の検討ということで、これらについても移入種対策なのかということで挙げております。
     (5)のところは、地域を指定した効果の検証ということで、重要管理地域の設定及び管理を行ったことによる効果をどういうふうに判断していくかということも1つの論点かというふうに思っております。
     それで設定の方につきましては、議論をしていただくための参考資料ということで資料2-3というものを用意させていただきました。ちょっと分量が多いですので、要点だけご説明させていただきますけれども、まず、自然環境保全地域の選定要領というのが昭和49年に定められております。原生自然環境保全地域、それから(2)の自然環境保全地域の、その2つについてそれぞれ要件が定められておりますけれども、原生自然環境保全地域の方でいいますと、第一要件から第六要件まで。第一はその自然環境かどうかということですけれども、それ以外に面積及び形態ですとか、周辺の自然環境、土地所有、産業利用と、そういったことも選定のための要件として取り入れられているということです。自然環境としてどういったものを対象としていくかということで、原生自然環境保全地域の方では、原生の自然状態を維持している地域云々ということで文章で書いておりますが、自然環境保全地域の方では、次の裏側の2ページになりますけれども、すぐれた天然林であるとか、地形、地質、自然現象であるとか、8つほどの要件が書かれております。
     それから、4ページの方にまいりますが、自然公園の選定要領というのがございます。これはちょっと古くて昭和27年につくられたものですけれども、こちらの方でも自然公園、これは景観を守るという保護と利用ということで定められている制度ですが、第一要件として景観というのがありますし、第二要件は土地、第三要件は産業、それから利用、それから配置など、そういった複数の要件が設定をされているということです。特に国立公園につきましては、次の6ページというところに国立公園の公園計画作成要領というのがありますが、これは公園計画の中で、特別地域なり普通地域なり、そういうものを設定していくわけですけれども、その中で特別保護地区につきましては、一番下の方から7ページにかけてのところですけれども、次に掲げるもののうちから選定をするということで、7ページの一番の上にaからfまで書いてございますが、特定の自然景観が原生的な状態を保持している地域ですとか、優れた天然林の地域ですとか、こういった要件が定められております。
     あともう一つ、次のページの8ページですけれども、希少野生動植物種保存基本方針、これは種の保存法に基づいて定められているものですけれども、この中では生息地等保護区の指定方針、あるいはその中の管理地区の指定方針ということでアンダーラインを引いておりますけれども、そういったところが方針として定められているところです。
     こういったところを参考にいたしまして、では、実際選定に当たってどういう考え方をするかということで、資料の2-4というところに事務局側の(仮案)というものをつくってみました。選定に当たってどういうふうに考えるかということなのですが、1の(1)(2)のところに書いてございますような生物多様性の特性を有していて、保全の重要性が高いところ、移入種の予防、防除等の管理が必要な地域。特に、移入種が侵入・定着した場合に生物多様性に対して著しい影響が生じるおそれが大きい、そういう地域を対象にすべきではないかというふうに考えております。
     重要性の観点では、固有性、希少性、特殊性といった指標が出てまいりますし、もう一つ、今回移入種対策ということで考えておりますので、移入種の影響の受けやすさといった観点が出てこようかと思います。特性で言えば、脆弱性というものがそれに該当するかというふうに思います。
     もう一つは、移入種の防除などの管理について実現可能性が見込まれる地域ということで、現状として移入種の侵入・定着の程度が著しくない地域、あるいは日常的に人の往来、物資の流通等による移入種の侵入・定着のインパクトが大きくない地域と、こういったところの中から選んでいくのかなというふうに思っております。
     では、例えばどこなのかということが必ず問われますので、あくまで例えばということで挙げさせていただいていますけれども、その下に該当するのはこういったところかなというのが小笠原とか南西諸島、そういったものを例として挙げさせていただいております。
     これが設定の関係でございますが、もう一つ管理の方についてですけれども、資料の2-5というところで、管理について考えていただくための参考事例ということで資料を準備いたしました。1つはガラパゴス諸島での管理ですけれども、ガラパゴス諸島は皆さんご存じのとおり、非常に固有種、希少種の多いところですけれども、ここでも移入種自体は非常に多うございまして、1999年までに植物で475種、動物で324種と、こういう移入種が確認されているわけですけれども、特別法を制定いたしまして入島税を取る。その中で5%は検疫に充てるということが定められております。その検疫の中では航空貨物ですとか乗客の手荷物、船舶と、こういったものを検疫の検査対象としている。搬入できる品目として一定のリストをつくりまして規制を加えている。規定に違反したものは本土に持ち帰るか、没収して焼却処分にしてしまう。こういったシステムが運用されているということです。あと、観光客に対しても検疫体制というのがありまして、マットで靴の泥を拭うとか、検査官が手荷物を開けてチェックをすると、そういった制度が位置づけられているということです。
     それからもう一つは、南極議定書という資料をその後ろにつけさせていただきましたけれども、これは事例というよりは参考となる制度ということでご覧いただければと思いますが、環境保護に関する南極議定書というのがございまして、その中で動植物の持ち込みに関する規定がございます。附属書のIIというところの第4条というところですけれども、「許可証による場合を除くほか、南極条約地域に在来でないいかなる動物又は植物の種も、同地域内の陸地、氷棚又は水中に持ち込んではならない」ということで、持ち込みの禁止の規定があります。
     4のところに書いているのですけれども、ここに持ち込まれた同地域に在来でないほかの動物、植物と、こういったものは在来の動植物等に危険を及ぼさないと判断されない限りは除去する、あるいは生殖不能にするために焼却による処分をする、またはこれと同様に効果的な方法により処分を行うと、こういったような規定がつけられております。
     後ろに、担保法の「南極地域の環境の保護に関する法律」というのを参考につけさせていただいております。
     こういったことも参考にいたしまして、では、実際に重要管理地域における管理としてどういうふうなことが考えられるのかというのを、資料の2-6のところに整理をさせていただいております。管理のあり方についての考えられる案ということで、フロー図で書かせていただいておりますが、まず重要管理地域を設定した場合には、そこをどういうふうに管理していくかということで、管理計画を策定しなければいけないということになります。その中で侵入の予防ということで、以降、これは一番大きな管理の内容ということになろうかと思いますけれども、意図的導入に対する予防、それから非意図的導入に対する予防と、2つ出てこようかと思います。さらに侵入状況については監視をしていくということになります。ここまでが管理の中身なわけですけれども、監視によって生物多様性への影響が懸念されるといったことが確認されましたら、侵入した移入種の防除ということで、先ほどの防除の考え方に沿った形で防除をとっていくということになりますし、必要があればその後保全対象となる種の再生・回復といったものが取り上げられることになろうかと思います。また、管理計画の中身で、初めから再生や回復というのを位置づけておくということ、そういうのも考えられようかと思います。
     では詳しく、実際にどういう管理をするのかということで、資料の2-7というところでちょっと細かくなってしまいますが、考えられるものを整理してみました。
     まず管理計画の策定というところですが、管理の主体については、重要管理地域を設定したものが主体となりますということです。策定の手順についてはそこに書いてあるとおりですが、やはり利害関係者と調整を図るということ。必要に応じてではなくて必ずかと思いますが、パブリックコメントを実施していくことも策定の手順として必要かと思います。それと、保全水準等の設定ということで、ここの地域で管理により保とうとする保全水準については明示をしていくと。それから計画に定める事項として、範囲なり対象なり目標なり計画期間というものが出てくるだろうということです。計画の期間も、やはり保全対象としては生物多様性が保全すべき水準を保っているかどうかを確認していくと、そういう必要がありますので、10年なり20年なりといった期間が必要なのかなというふうに思っております。
     それから、侵入の予防ということについて言いますと、意図的導入に関しましては、当該地域に従来から生息・生育する種、これはあらかじめリストアップする必要がありますけれども、それを除いて、意図的に導入する際には事前にリスク評価を行うということと、もう一つが当該地域への主要な侵入経路において、入込者の持込物検査や質問を実施していくということが考えられようかと思います。
     それから、非意図的な導入については、保全対象及びそれに影響を与える移入種の特性を考えまして、必要に応じて、例えば靴の洗浄を求めるといった措置を指示するということもありますし、土壌とか土木資材を持ち込む場合には、もしそこに移入種の付着とかが考えられるのであれば、必要な措置をとっていただくと、そういうことが非意図的導入に対する予防措置かというふうに思います。
     あと、それの裏側にまいりますが、モニタリングにつきまして、1つは保全対象及び移入種影響のモニタリングということがありますが、これは保全対象自体が健全な状態を保っているかどうかということを主目的に行うモニタリングです。
     もう一つは、地域への侵入経路におけるモニタリングですけれども、こちらについては侵入経路と地点と頻度を定めて調査をしていくわけですけれども、時系列を追うことで、移入種の拡散状況ですとか、生物相の構成要素の変化、こういったものを把握していこうというモニタリングであります。
     それから4番目の、侵入した移入種の防除というところですが、これは防除の内容の決定、それから作成、実施体制、支援というところで、これは先ほど見ていただいたものとほぼ同じでございます。
     それから、最後の保全対象の再生・回復というところですが、これは幾つか、自然再生という制度もできましたし、あるいは自然公園法に基づく公園事業というのもございます。とり得る幾つかの手法を検討した上でこういうものについて考えていくと。こういったことが管理の中身として考えられるのではないかというふうに思っております。
     以上が、重要管理地域の管理の在り方について、こちら側で準備をいたしました資料でございます。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
     この件につきましても、またどうぞフリーに。太田委員から。

    【太田委員】 例えば環境破壊というのが、人間が意図的にやる開発とかで生じるものに限られる場合、このような重要管理地域をつくって、そこを集中的にということはかなり効果があると思うのですが、ここで考えないといけないのは移入種の、ここにいろいろ非意図的ということに関しての対策は考えられているのですけれど、生物というのは1回入ってしまったらどんどんどんどん広がっていくのが常でして、そう考えると、例えば関東の某市ではタイワンリスについて最近問題意識が出てきて、一生懸命管理しようとしているのだけど、防除しようとしているのだけど、そのお隣の某市ではタイワンリスは野放し状態で、そうすると防除しても防除しても隣から流れ込むとか、そういうことがありますし、それから、西表島ではオオヒキガエルが入った、さあ大変だと言って、環境省さんの西表のワイルドライフ・センターが一生懸命になって今やっていますけれど、とにかく石垣島を何とかしないとどうにもならない状態で、あとは時間の問題という話です。だから、現実問題としては、やっぱりここの考え方で、少し、今おっしゃった中でちょっと抜けているのではないかなと思うところは、やっぱり管理地域とそれに隣接した、物流も押さえた上で移入生物が持ち込まれるもとになりそうなエリアも含めた、バッファゾーンも含めた、徹底した管理ということが、絶対この問題には必要だと思います。だからここで、それはもちろん後から考えるということなのかもしれないんですけど、ここで挙げられているところの基準だけで、このやり方で管理するのは難しいような気がしますね、現実問題として。

    【岩槻委員長】 では、黒田課長。

    【黒田野生生物課長】 今のお話で1つ教えていただきたい。イメージとして、例えば島嶼で、その島だけで防衛ラインを引くのではなくて、発生源対策をしなさいということで観念的に見ると、どこから人が来るかわからないから、全国だとか世界じゅうだとかなるのですけれども、例えばフェリーがあれば、フェリーが出てくる港もきちんと押さえなさいとか、飛行機が来るのであれば、どこから飛んでくるかを見て、そこで対策をしなさいと、そのぐらいのことはする必要があるというようなイメージでよろしいでしょうか。

    【太田委員】 生物が自力で分散していくような場合も含まれます。例えば、西表の隣の小浜島では今クジャクが高密度になっていますが、クジャクはヨナラ海峡ぐらい飛び越えますから、あれは早急に何とかしないと、例えば西表はそのうちにクジャクだらけになってしまうだろうと。クジャクだらけになるとどういうことになるかというと、オオヒキガエルが入ったのと同じぐらい、多分森林のリッター相は生物多様性が落ちてしまいますね、そういうことです。だから物流でというだけではなくて、生物の、特にこれは島嶼がある程度海に隔てられているからまだあれかもしれないですけれど、本土なんかはみんな連続帯ですから、それはやっぱりかなりやらないと、とにかく抜け穴がいっぱいあると思います。もちろん全部柵で囲ってしまったら、今度は個体群間の結びつきの問題とか、遺伝的多様性の低下とか、そういうことも起こるでしょうし、だから、何ていうか、もちろん環境省さんはそんな簡単には考えられていないと思うのですけれど、場所を指定して、そこだけ何とかすればというところは、何かもう少し深く考えないと。この問題は伐採の禁止とか、そういう人間の操作行為そのもの、開発行為そのものの禁止はそれでいいのかもしれないのですけれど、移入種に関しては場所を設定して、そこだけ集中してというのは難しいような気がしますね、基本的に。

    【岩槻委員長】 鷲谷委員、どうぞ。

    【鷲谷委員】 今、外来種の影響、先ほども阿部先生がおっしゃったのですが、急速に強まっていると思うのです。それでそういう意味では、無理してでもそこは外来種が余り入ってこなくて、在来種がある意味では、もう系統保存に近い形で維持される地域というのを、日本の何カ所かに設けなければならない事態になってきているのではないかという印象があります。それで、重要管理地域として今挙げられているようなところばかりですと、恐らく縄文時代以来継承されてきた、自然にかかわる日本の文化というのは、もうあきらめるということになってしまうんじゃないかなと思うのですね。やっぱり里地、里山地域でも、探せばまだ外来種の影響が余りない、例えばため池があって、ザリガニとかバス、ブルーギルが入っていないため池で水生昆虫相が豊かなところとか、明るいニッチェでも外来種の比率がまだ低い場所というのは探せば、そのぐらいなんですけれど、あると思うのですね。そういうようなところ、その地域が皆さんが望んでくださるのだったら、何か日本の、人とかかわりのある自然を守っていく地域として、外来種対策もして、それから絶滅危惧種も絶滅しないようにしつつ、守って、今までに全くない保護区、地域という感じでしょうかね、保護区というのとまた違うかもしれないんですけれど、そういうことを積極的にやるんだったら、それを支援する地域ということになるのかもしれませんけれど、んな考え方も必要かもしれません。10年前と今の現状って、大分もう違ってきているような気がします。

    【岩槻委員長】 阿部委員、どうぞ。

    【阿部委員】 私も、島のように割合境界がはっきりしている場合には、こういう重要管理地域というのを設けても、ある程度は管理ができるのでしょうけど、それ以外の、例えば北海道の中の一部の自然環境保全地域とか、原生自然環境保全地域というようなところだけを守るということは、まず不可能だと思うのですね。ですから、お役所はこういうことを挙げたがるのですが、特定なところだけを守ろうとしても、それはもう、どだいこの場合には、先ほど太田先生もおっしゃったように無理だと思うのですね、野生生物の場合には。ですから、むしろこういうものを設けると、そちらの方に目が行っている間に、それ以外のところでどうしようもなくなっているというふうな気さえします。そのことだけを、だから皆さんがやっぱり共通認識として持っていただいて議論しないと、重点地域だけ設けるというのは、僕は何か危険なように思いますけれども。
     以上です。

    【岩槻委員長】 ほかのご意見はいかがでしょうか。
     山岸委員、どうぞ。

    【山岸委員】 今出されたこの資料の2についてだけ見ると、そういうことになってしまうのですけれど、環境省の肩を持つわけではないんだけど、すべての移入種問題の中で、ある場所も大事にしましょうと言っているのですから、両方きちんとやってもらえれば、それでいいのではないでしょうか。だから、この重要地域はつくらない方がいいというふうにはいかないような気がするんですけれどもね。

    【阿部委員】 いや、つくらない方がいいのではなくて……。

    【岩槻委員長】 おっしゃるとおりで、これをつくって、この部分さえ守ったらいいというのだったら、それは非常に困ったことになりますけれども、全体、しかもこの地域というのは、この地域を永久に守ったらそれでいいというわけではなくて、鷲谷委員がおっしゃったように、緊急に対応する対策のための地域として、こういう重点地域も設定する。しかし、基本的にはこれが保全されたらそれでいいというものではなくて、移入種の問題というのは、日本だけで考えてもいいのかどうかわかりませんけれども、そういう問題なのだという、そういう阿部委員の言い方をすると共通認識を持っておかないといけないという、そういうことだと思いますよね。ですから、これを設定することは無駄だというご意見は、お二人の場合もないわけですよね。
     太田委員、どうぞ。

    【太田委員】 何か、話がその外側の方へ流れてしまって、ちょっと困ったんですけれど。私が一番気になったのは、ここの話の中に、地域の指定として隣接地域とか物流の流れ込むもととかということに対する対策というのが、何か余り読み取れなかったのが一番気になったところでして、こういうものをこれだけやるという意味ではなくて、一環としてこういうことをやるということに関して、全然反対しているつもりはないんですけれど。

    【岩槻委員長】 それでは、そういう意味で一環として設定するとすれば、この今の考え方がどうかということで、さらに議論を詰めていただければと思いますけれども。
     小林委員、どうぞ。

    【小林委員】 環境省さん以外のことはよくわかりませんが、この問題を議論していくときには、国土交通省も、当然、さっきの船舶もありますね、港の問題もあります、空港の問題もある。片方ではまた農業、動物の入ってくる入ってこない検疫機関の農水省ですね。そうしますと、こことも早急に議論しなければ、環境省さんが地域を決めよう、いやあれをしよう、こうしようと言っても、片方の法律が抜けていますから、どんどん入ってきてしまうと。そうしますと、やっぱりこれはトータルで早急に手を打たなければ、この解決は難しい。そのためには、やはり今後に向かって今できることをやる。既に入ってきたものをどう防除するか。この議論を真剣にやらないと、片方ではどんどん増えていくわけです。先ほどお話のように、増えているわけですね。ですから、これはもう本当に国を挙げたレベルで議論をしないと、理解も合意も、合意形成もできにくいような気がします。

    【岩槻委員長】 何かコメントありますか、事務局の方から。

    【事務局(河本)】 もちろん環境省だけでできる話ではございませんので、関係省庁の方々とはちゃんと調整のとれた議論をしながら進めていきたいと思っています。

    【岩槻委員長】 大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 ちょっと細かい話になってしまって恐縮ですが、現在、種の保存法の中の特別指定地域について、たしか移入種に関しての規制の規定があると思いますし、それから自然環境保全法や自然公園法でも、例えば鳥獣保護区の特別保護地区でイヌその他の鳥獣に害を与えるおそれのある動物を入れることについての規制があると思いますが、特に種の保存法の特別指定地区なんかの許可制だったと思うのですけれども、その発展形というのがあり得るのかなというふうに思わないでもないのですけれども、それだと、環境省以外にほかの省庁もどのぐらい関与させなくちゃいけないのかというのは、私はちょっとよくわからないので、そこら辺もお伺いしたいところですけれども、そういう制度との関係で、どういう独自のことを新しくやろうとするのかというあたりを事務局にお伺いしたいと思います。多分モニタリングとか、回復とかいうところが新しく入ってきているところだと思いますので、ぜひやっていただいた方がいいと私は思いますが。
     もう一つ関連して非常に気になったのは、具体的な例として挙げられているところが資料2-4の下の方ですけれど、余りにも狭いのかなという感じがして、ぜひもっと広げていっていただかないといけないのではないかというふうに思いました。管理について、実現可能性の見込まれる地域で日常的に往来があるところはだめだというお話にしてしまうと、これはかなり減ってしまうと思うのですけれども、この辺についてもう少し工夫ができないかということが私としては思いましたので、個人的な意見ですけれども申し上げておきます。

    【岩槻委員長】 事務局の方からコメントありますか。

    【事務局(河本)】 ただいま資料の2-4のところで掲げさせていただいたような考え方に沿っていきますと、2の方の選定ガイドラインに適用する候補地の事例として挙げられるのはこんなところかなということで、例として挙げさせていただいたのですが、まだ中身がちょっと寂しいのではないかというご意見かと思います。これについては、やはり設定しただけで何もしないというわけにはいかないですし、やはり技術的に可能なところを可能な形で管理をしていくということがどうしても必要になってこようかと思いますので、一定のやはり実現可能性といいますか、管理が確実にできるところというのは、1つの要件としては出てくるのかなというふうには思っております。
     

    【大塚委員】 種の保存法の特別指定地区との関係はどういうふうに。移入種の規制の規定がありますよね、既に。

    【黒田野生生物課長】 例えば種の保存法の生息地等保護区の中の管理地区で、私も条文を細かく覚えていませんが、要するに影響のある種を持ち込んではいけないというふうになっていますが、基本的にはそれと同じような発想なんですが、それぞれの自然公園法の特別地域の中の特別保護地区という、やはり規制の厳しいところがございますが、これはそれぞれの区域ということで実際に、例えば生息地等保護区は、全国にまだ7カ所小さいのがあるだけですし、国立公園は、面積はそれに比べますともっとはるかに広い200万ヘクタールだったかの面積がありますが、その線引きに限られてしまうので、それはそれこそ、先ほどの島なら島を防衛しても、そのもとを絶たなければ、そこだけではなくて、そこに影響が及んでくるものも考えないといけないということを考えますと、まさしく守るべきコアというのが国立公園なら国立公園の特別保護地区であろう。そう考えると、その自然公園の方だけでやると、もう最後の一皮といいますか、そこで守ることになるので、もう少し安全側に立って対策を考えていくべきだろうと、このように考えております。

    【岩槻委員長】 今の資料の2-4の事例としては、先ほど鷲谷委員からも、里地、里山みたいな、これはもう線引きが非常に難しい場所なんですけれども、そういうところも積極的に考えたらどうかというご発言がありましたけれども、そういう線引きの難しいところの設定ということに関しては……。

    【鷲谷委員】 舌足らずだったので、補足の方を。

    【岩槻委員長】 それでは、補足してご発言いただけますか。

    【鷲谷委員】 恐らく規模と努力量の関係で、昔ながらのある生物相というのを努力すれば維持できる場所というのが今あると思うのです。そういう意思のある人々がいるんだったら、それこそやりやすくするような仕組みができるといいんじゃないかと思うのですね。まだ余りそういうことの重要性というのは皆さん意識していないかもしれませんが、もう少しするとわかる方たちがふえてくるんじゃないかと思うんです。そういうときに、ちゃんと日本の自然のある地域をつくるというようなことで努力されるんだったら、それを移入種対策の面からもサポートする。その地域のレベルは小さい町ぐらい――村ですか、村ぐらい小さい方がやりやすいのかもしれませんね。いろいろな規模があると思うんですけれど。

    【岩槻委員長】 これは、これまでの保護地の線引きというのとは全く違った発想だと思うのですけれども、そういうことが移入種によって脅かされている在来種の保全ということで結びつくのかどうか。そういうような保護地の設定というのがあり得るのかどうかというのをご検討いただけたらというふうに、私からも思いますけれども。
     どうぞ、黒田課長。

    【黒田野生生物課長】 ちょっとよろしいですか。例えばここで言うと、希少性ですか、レッドリストに掲載されている種が集中的に見られる地域というのは、大きく言って2つパターンがあって、もともと分布が限定されているものがたくさんいますよというところと、かなり広域分布をしていたのが追い詰められて限られたところ、それが意外に人里に近い里地、里山であると、そういうケースもある。こんなふうに見ておりますが、ここに書きましたのは、希少性のところでありますが、分布が限定されているレッドリスト掲載種とありまして、現在私どもが考えている中では、里地、里山と移入種というのも非常に深い関係があると思うんですが、里地、里山は非常に長い歴史の中で、やはり人と自然との関係というもので保たれてきたものが多いだろうということで、実はここのところの私どもの事務局の中での議論というのは、一方で里地、里山の保全というのはどういうふうに図るという政策的な勉強をし続けておりますので、どちらかというと、その中での移入種対策というものを考えていくべきなのではないかと。したがいまして、逆に言いますと、ここでは先ほど言いましたように、もともと分布が限定されているレッドリスト種がたくさんあるような、どちらかというと山の奥地というか、一旦通常の人間の活動から少し距離を置いているところですね。割合――こう言ったら語弊があるかもしれませんが――余りエネルギーを多くなくチェックして、管理ができるのではないかというようなところを念頭に置いて、今まで勉強してきております。ただ、改めて鷲谷先生からご指摘いただきましたので、そういうような点も含めて、もう少し勉強させていただきたいと思います。

    【岩槻委員長】 ほかにいかがでしょうか。
     山岸委員、どうぞ。

    【山岸委員】 今、里地、里山のお話が出たのですが、これはもうほとんど不可能に近いことをこれから言いますけれど、平地で最も自然な面積があるのは河川ですよね。これはもう手をつける気はないんだとは思うんですが、一度国交省とお話になって、再生法やなんかも両方でやっているので、もう、ここは環境省、ここは国交省という時代ではないと思うので、里山と河川というのは平地で残された最も重要な場所で、またそこは非常にいろいろな移入種が入りやすい場所でもあると思うんですね。それから、さっき小林委員がおっしゃった省庁間の関係ですけれど、それは非常に難しいけれど、ひとつ環境省さんがイニシアチブをとって、生物多様性の国家戦略をやられたときに、各省庁に、おまえの省庁で生物多様性についてどういうことができるのかということを聞きただされましたよね。あのときはかなり各省庁が出てきてまじめにやっているわけですから、それを今度は移入種問題についてあなたの省は何をできるのですか、どうするつもりですかというようなことを問いかけるということも重要なことではないかと思います。

    【岩槻委員長】 黒田課長、何か。

    【黒田野生生物課長】 きょうも、たくさん各省庁がおいでいただいておりまして、それから先ほど河本補佐から話がありましたが、各省の意見交換、まだ定例の各省――定例のというか、各省で正式な会議を設置したわけではございませんが、意見交換をかなり行っておりますので、今後とも、それこそ生物多様性国家戦略をつくったときにいろいろ話がありということもありますので、あれ以来、その前からですけれども、今後とも各省庁とは意思疎通をよくして、お互いにどういうスキームができるのか、足らないところがあったらどこを埋めないといけないのかというような形で、意見交換あるいは具体的な取り組みを進めていきたいと思います。

    【岩槻委員長】 国家戦略のモニタリングをやられるということですけれども、移入種の問題は生物多様性国家戦略の非常に重要な柱の1つなので、モニタリングのときには各省庁でどういうふうに進んでいるかというお話を伺えるチャンスもあるということなのでしょうかね。
     鷲谷委員、どうぞ。

    【鷲谷委員】 ちょっといいですか。河川についてなんですけど、河川はやっぱり外来種の影響が非常に大きくて、本当に急速に、今、川の自然というのは変わりつつあると思います、どこを見ても。ですけれども、外来種対策の検討も、もしかしたら一番進んでいるのかもしれません。先ほど多摩川の例が出ましたけれども、今、対策事例を集めたようなマニュアル的なものをつくる作業も進んでいます。

    【岩槻委員長】 ほかはいかがでしょうか。この問題については、もう、特に今ご発言なさることはございませんでしょうか。
    ( な し )

    【岩槻委員長】 そうしましたら、先ほどからも事務局から何度か出ていますように、きょうの議論をまた踏まえた上で、事務局の案を次のドラフトにステップアップしていただいて、またここで議論を継続させていただくという、そういう取り扱いにさせていただきたいと思います。
     そうしますと、あと、その他のところへ進めさせていただいてよろしいですね。
     では、その他のところで事務局から、まずお願いいたします。

    【事務局(河本)】 すみません、その他のところですが、事務的なことを最初に申し上げます。
     1つ委員の方に第4回小委員会の議事要旨と議事録についてお配りをしておりますけれども、それの中身につきましてご確認をお願いしたいと思います。発言内容を修正すべきところとかございましたら、7月11日ぐらいまでに事務局の方に、ファクスでもメールでも何でも結構ですのでお知らせをいただければというふうに思います。
     それともう一つ、第8回小委員会の開催の日時なんですが、ご都合をちょっとお伺いをしたいと思いまして、1枚、予定のマル・バツをつける紙をつけております。第8回と第9回とまとめての分ですけれども、これについてまたマル・バツをつけて、ファクスでお返しをいただければというふうに考えております。
     すみません、あともう一点ですが、第3回の要旨につきまして前に紹介をさせていただきましたけれども、現在ヒアリングをして発言をしていただいた方々から、これでいいかということで確認をさせていただいております。それが終わりましたら、またホームページに掲載をしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
     それであと、お配りをしておりました資料について、修正資料とあと補足資料がありましたので、それの説明を若干させていただきたいと思うのですけれども、残っております資料で、前に第1回から第4回、第5回ぐらいまでですか、委員会の中で委員の皆さんから意見をいただきまして、直すべきではないか、あるいはこれはちょっとおかしいのではないですかというふうな意見をいただいた中身について、直せるものについては修正をいたしましたので、それをお配りをしております。
     最初に載せておりますのが、指針原則の1~3というのがありますけれども、これは「予防的」という言葉と、「予防」という言葉ですね、プレコーショナリーという言葉とプリベンションという言葉がちょっと混同されているのではないかというご意見がありましたので、それぞれ英語で予防的の後ろに(precautionary)、それから予防の方は後ろに(prevention)ということで、区別がつくような形に修正をさせていただいております。第1回でこういう意見をいただきましたので、第2回以降の資料はすべて同じような形で表示をさせていただいております。
     それから、その次の修正版、同じく第1回の資料ですが、2-7というところで、「各法令による動植物の規制について(目的別)」という表がございました。生物多様性、それから人の健康、農林水産業と、それぞれ目的別にどういった法律がかかわりがあるかということでお示しをしたのですが、前にお示しをしましたときには、それぞれの目的別にこのグレーの帯がすべてびっちりと埋まったような形になっておったのですけれども、それですと、既存の法令ですべてにカバーがされておると、そういうイメージを受けるというご指摘がございましたので、ちょっとすき間があくような形で修正をさせていただいております。
     それから、次の第4回の小委員会の資料1-3というものですけれども、これは前回移入種といろいろ非在来種の分、それから在来種の分布域外導入と、その2つに分けてリスク評価の対象についてまとめをさせていただいたのですが、そのときに、同じ在来種であっても国外から入ってくるものについてはまた特別の扱いをすべきであるというご意見をいただきましたので、それを「国外在来種の分布域外導入」という――この表記についてはできれば後でご意見をいただきたいと思っているのですが――そういう仮の名前をつけまして、それのリスク評価の対象ということで表の中に位置づけをさせていただいております。表の下の方に注意書きがございますけれども、タイプ3のところで「我が国の生物多様性に対する影響が生じる懸念が大きいものとして指定する分類群」というのがあるのですが、その中で維管束植物が入ってこないと。これは影響がないという趣旨で除いたのではなくて、種リストの作成に時間を要するという、そういう技術的な問題であるということがわかるような形にということでございましたので、アンダーラインを引いたところを加えさせていただいております。
     それから、下の方のもう一つのなお書きなのですが、これはここに書いてありますリスク評価の対象種を決めていくに当たって、行政の側で勝手に決めるようなことがあっては困るというふうな、そういった趣旨のご意見かと思いますけれども。あるいは判断の仕方で今まで特定の場所で影響がないから、これはリスク評価対象外と、そういうふうなことがないようにというのがございましたので、「リスク評価の対象種の特定にあたっては、生物学等の研究者、生物の産業利用等の専門家の意見を聴いて行うほか、パブリックコメントの実施等により広範囲からの意見聴取に努めるものとする」と、こういう一文を入れさせていただいております。この文章については、第2回の小委員会で提示をさせていただいたリスク評価対象の資料と同じ文言でございます。
     次の資料1-4というものですが、これは今の国外から入ってくる在来種についてリスク評価の対象とするということに伴って、この一番上にあります評価区分の図のところですが、Iの在来種のところにそれの分を入れさせていただいたということと、それからその下の定義のところでカテゴリーのIIからIVのところを、前は移入種を書いておったんですが、そこを非在来種という形で表記を変えさせていただいております。
     以上が、修正をさせていただきました資料です。
     あと、補足で幾つか資料がございますけれども、補足資料の1というところがありますが、先ほどの防除事業例と同じですけれども、各都道府県の自然環境担当部局へのアンケートの結果を集計したものでして、移入種対策のための制度としてどういうものがあるかというものを載せております。それとあと、移入種のリストをつくっている県が幾つかございますので、それについてもあわせて記述をしております。
     それから、補足資料の2ですが、動物愛護の関係の話が何回か出てまいりますので、動物愛護の関係、特に移入種に関係する部分ということで、家庭動物の飼養及び保管に関する基準を初めとして、幾つかの基準関係を参考として載せさせていただいております。
     それから、最後の補足資料の3ですが、これは日本動物園水族館協会というところがありますけれども、リスク評価の話をさせていただいたときに、その管理がどこまでできているかというふうな話がございまして、日本動物園水族館協会の所属している施設であればそちらで定めております倫理要綱の中で施設関係についても出てまいりますけれども、それを参考していただくという趣旨で載せさせていただいております。
     補足資料につきましては、できればもう少し議論を深めていただくために追加をしたいというふうに考えておりまして、次回7月31日に第7回の小委員会を開催させていただきたいと思っておりますが、そのときには、今までの小委員会の議論を踏まえた論点整理みたいなことを議題の1つということで考えておりますので、それに間に合うようにほかの補足資料を、それからリスク評価関係については、特に全体をざっとまとめたような形でつくりまして、できれば事前にお送りをしたいというふうに思っております。
     長くなりましたが、以上でございます。

    【岩槻委員長】 どうもありがとうございました。
     今の修正に関して、これでは困るという、何かご発言がありましたらお願いしたいと思いますし、資料関係のことについて何か。
     大塚委員、どうぞ。

    【大塚委員】 小寺先生の意見もお伺いしなければいけませんが、最初の指針原則の1でございますが、直していただいたのは大変よかったと思うのですが、プリベンションはむしろ「防止」と訳すことの方が多いのではないかと思うのですけれども、2ページ目を見ると、プリベントは防止と訳しているところと予防と訳しているところと2つあるみたいですが、プリベンションとプレコーショナリーとプリベンティブというのは、プレコーショナリーの方を予防的と訳して、プリベンション、プリベンティブの方は防止と訳すことの方が最近多くなっていると思いますので、外務省訳はどうなっているかということもちょっとあるので、その辺もお伺いしたところですけど、予防と訳して、予防的と訳して、2つが違っているというふうに考えるのはちょっと難しいかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

    【岩槻委員長】 小寺委員、どうぞ。

    【小寺委員】 今、大塚先生からお話があった、私もやっぱりプリベンションは全部防止にした方がわかりがいいというように思います。

    【岩槻委員長】 これは外務省の定訳とも関係するのかもしれませんけれども、そういうのもチェックしていただいて。
     黒田課長、どうぞ。

    【黒田野生生物課長】 この指針原則は単なる決議でございますので、外務省が公定訳を出すということはございませんので、今先生方がご指摘のように、環境省の仮訳というようなものですから、そういう整理をさせていただきます。

    【岩槻委員長】 では、そういうことでよろしくお願いします。
     先ほどちょっと説明のありました、3つ目の第4回小委員会資料1-3の修正で、「国外在来種」という言葉があって、僕は国外在来種というのは、意味はよくわかるのですけれども言葉としてちょっと困った言葉かなと思っているのですけれども、どなたか何かいい案がありましたらご提案いただいて、これは今すぐでなくてもいいのですけれども、ご提案いただけたらというふうに思いますけれども。要するに、日本にある種の外国の地域個体群が入ってきた場合ということで、意味はよくわかるのですけれども。

    【阿部委員】 国外同種。

    【岩槻委員長】 国外同種……。

    【阿部委員】 「在来」というのがおかしいですよね。

    【岩槻委員長】 ええ、在来という言葉がやっぱり、ちょっと困るんでしょうかね。今すぐでなくていいですから、もし何かいい知恵がありましたら、お考えいただけたらと思います。
     そのほか、ご発言ございませんでしょうか。

    【大矢委員】 すみません、補足資料の2の中に、ペットの販売にかかわる基準というのはありませんでしたかね。産業動物にかかわる基準は入っているのですけれども、ペット屋さんに関する部分が抜けているような気がするんですが、たしか基準があるはずなので、それもぜひ各先生方に見ておいていただいた方がいいんではないかと思うのですが。

    【事務局(河本)】 わかりました。

    【岩槻委員長】 それはチェックをして。
     ほか、よろしいでしょうか。予定の時間より10分以上早く終わらせていただく、この委員会としては、余り例が……、ということですけれども。
     きょうはいろいろと有益なご意見、どうもありがとうございました。
     そうしたら、次は7月31日でしたか、またよろしくお願いいたします。これで終わりにさせていただきます。