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議事録一覧

中央環境審議会野生生物部会
第9回遺伝子組換え生物小委員会議事概要


1.日時

平成21年3月25日(水)10:00~12:10

2.場所

中央合同庁舎第7号館(西館) 9F 共用会議室-2

3.出席者

(小委員長) 加藤 順子
(委員、臨時委員) 磯崎 博司 磯部  力
(専門委員) 鎌田  博 近藤 矩朗 武田 和義
  中村 和憲 野本 明男 吉倉  廣
(環境省) 柏木大臣官房審議官
  星野野生生物課長
水谷外来生物対策室長

4.議事

<議事 カルタヘナ法施行状況の検討について>

◇事務局から[資料1]について説明

◇委員意見

■文章の修正

○資料1のP16の下から2点目、遺伝子組換え生物の微量混入の可能性のある試薬等について、「含まれる可能性がある旨を情報提供する方が現実的」の部分は、「現実的」ではなく「企業にとっては楽」という趣旨であるので訂正されたい。

○微量混入の可能性のある試薬等については、現在別途検討が行われているところであり、本小委員会の報告では問題点の指摘のみにとどめる。

○P15の2点目「改善が必要な点がある」というのは、単にそのような意見も出たということなのか、その下に示された内容を指しているのかが不明瞭。

○第二種使用の不適切な使用の内容について、一般の人にもわかりやすい解説を追加すべき。

○P15の「遺伝子組換え生物の新たな使用形態等への対応」の1点目については、「一種と二種の中間のような」という部分は不要。

○P16「その他」の1点目、セルフクローニング、ナチュラルオカレンスの記述については、報告に盛り込まなくてよい。

■議定書と法律の違い

○P16の下から1点目については、施行規則第5条のことに特化した意見ではなく、ヒト用医薬品全般について、議定書では対象外であり、国内法では対象となっているという点を指摘したもの。また議定書と国内法では、食料、飼料、加工用(FFP)の扱いも異なる。

○議定書では、原則輸出入の際の通知について定めており、それを受けた国内でのリスク評価については、議定書上対象外の医薬品も対象としてかまわないし、FFPであってもより厳しい取扱いをしてもかまわないこととなっている。

○FFPと意図的に環境中で使用するものの扱い、ヒト用医薬品の扱いなど、議定書とカルタヘナ法の違いを文中で説明すべき。

○組換えナタネのこぼれ種子から野外で生育しているものは、実際は栽培も含めた承認を受けているものであるが、栽培が認められていないものが生えているように誤解されていることが多いのは問題。カルタヘナ法の一種承認と、FFP・栽培の関係をきちんと説明することが必要。

○議定書に関する国際的な議論を踏まえた対応も必要ではないか。

(事務局)議定書に関する議論の過程に日本も関わっていくことになるので、状況をみながら必要に応じて対応することが可能。

(事務局)既に承認されているバラ2件については、国内での商業栽培が開始されたと聞いており、P7の「国内での商業栽培は行われていない」については、「食料については、国内での商業栽培は行われていない」もしくは「切り花用花きを除いて、国内での商業栽培は行われていない」などの記述に訂正する。

■医薬品

○P16の下から1点目については、インフルエンザの種株であり、これを医薬品とみなすのか、最終的な医薬品ではないとみなすかという問題がある。

○鳥インフルエンザについては解決したが、これからも新たな組換えワクチンが出てくると考えられ、今後すみやかな対応がとれるようにする必要がある。

○施行規則第5条第1項の適用条件は「緊急に必要な場合」となっている。インフルエンザなど、現在は蔓延していないが、将来蔓延するおそれがあるという場合は、「緊急」といえるのか。「緊急」を定義しておく必要があるのではないか。

○通常、「緊急」の定義をあらかじめしておくことはなく、柔軟な概念として残しておくことでうまく機能させている。

○将来的に緊急事態が予測される場合は、通常の申請の手続きをすればよく、通常の手続きでは間に合わないという状態になった時点で、「緊急に必要な場合」となるのではないか。

■生物多様性影響評価の方法

○P15の「第一種使用に係る生物多様性影響評価」の3点目の趣旨がわかりにくい。

(事務局)今後、新たな科学的知見の集積に伴い、随時必要とされるデータを点検していく必要がある、という趣旨であり、それがよくわかるような記述とする。

○研究者には、日本では評価のために求められるデータが重たいと受け止められており、海外で試験をした事例もある。カルタヘナ法そのものに問題があるというわけではなく、評価に必要なデータの再検討などにより機動的に運用できるようにする必要がある。

○議定書の附属書Ⅲでは、コンベンショナルと組換え生物との「比較」により審査するという考え方になっており、そのものをゼロから評価するのはオーバーレギュレーションではないか。

(事務局)実際には、コンベンショナルとの比較において評価している。

○農作物の審査では、案件に応じた必要なデータを求めており、全ての案件について全てのデータを求めているということはない。ただし、元来ばらつきが大きいデータや、実質上ほとんど実施されていない試験項目などは、データ項目として列挙しておく必要がないという考え方もある。

○案件によって必要とされるデータが異なるので、ケースバイケースの審査は重要。だが、そうした融通性により、申請者としては何を出していいかわからず、イノベーションを抑えることになってはいけない。

○今まで承認されてきた案件の評価書は、バイオセーフティクリアリングハウスで公開されており、申請者が審査の考え方を理解するには十分参考になる。しかし、審査の考え方が申請者に伝わっていない事例もあり、これらの情報がより伝わりやすいよう工夫する必要がある。

○今まで事例のない微生物の第一種使用については、はじめのうちは安全を担保するため、オーバーレギュレーションに近いものとならざるを得ず、その後の事例の蓄積によって、より効率的な内容に改善していくというプロセスは必至と考えられる。

■隔離ほ場

○隔離ほ場は、封じ込め利用の第二種使用に近いのではないか?カルタヘナ法のもとでは、そのような封じ込め条件下でデータをとって一般使用承認のための評価を行わなければならないとすると、スケールアップができないのではないか。

○隔離ほ場は、二種使用における微生物の培養のような完全な封じ込めではないし、案件の性格によっても管理の状況は異なる。隔離ほ場において研究試料を生産することを目的とする場合などは、できるだけ封じ込めを行う。最終的に一般使用を目的とするものについては、野外環境に近い状態とし、野外で起こるであろう影響を再現してデータをとる。それに伴う生物多様性影響については、モニタリングを行い、影響のおそれがある場合は中止などの対応をとる。

○研究段階から一種使用をすることは、研究の推進上重要。

■情報提供

○CODEXのリスクコミュニケーションの定義をまとめて報告に書き込めばよいのではないか。

○パブリックコミュニケーションの視点が重要。

(事務局)農水省では、遺伝子組換え農作物に関するコミュニケーション活動に取り組んでおり、参加者300名規模の「大規模コミュニケーション」、数十名単位の双方向コミュニケーションを行う「小規模コミュニケーション」、出前講座などの「連携コミュニケーション」を実施している。

○そのような取組は既に行われているので、さらに推進していくことが必要という趣旨を報告書に盛り込む。

■科学的知見の集積

○最近の微生物生態学の進歩はめざましいので、生態学を推進し、最新の知見をもとに評価を行うことが重要。

*今回の審議結果を[資料1]に反映する作業を行い、各委員に送付して確認を受け、小委員会の報告とすることとなった。その後パブリックコメントを実施し、野生生物部会に報告することとし、パブリックコメントの結果を受けて、再度小委員会の開催が必要かどうかは、小委員長の判断に一任することとなった。