本文へジャンプ

■議事録一覧■

中央環境審議会野生生物部会
第5回遺伝子組換え生物小委員会 会議録


1.日時

平成14年5月27日(月)10:00〜11:58

2.場所

環境省第1会議室

3.出席者

(野生生物部会長) 岩槻 邦男
(委員) 市田 則孝 岩熊 敏夫 大塚 直
鷲谷 いづみ
(専門委員) 大井 玄 加藤 順子 鎌田 博
矢木 修身 山野井 昭雄
(環境省) 小林自然環境局長
松原審議官
黒田野生生物課長
塩田総務課長
水谷野生生物課長補佐
鈴木専門官

4.議事

【事務局】おはようございます。予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会の、第5回遺伝子組換え小委員会を開催していただきたいと思います。
本日の委員会でございますが、磯部委員はご欠席ということでございます。そういうことで、今日の委員会は審議会の運営規則に基づきます定則数は満たしておりますので、小委員会として成立をしておるところでございます。それでは、委員長、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【岩槻委員長】おはようございます。
遺伝子組換え生物小委員会、今日は第5回目ですけれども、大分大詰めの方向に向かって近づいてきておりますので、今日もまた活発な議論をよろしくお願いいたします。それでは資料の確認からお願いできますか。

【事務局】資料1は、「遺伝子改変生物が生物多様性へ及ぼす影響の防止のための措置について(中間報告案)」というものでございます。それから、参考資料1は「遺伝子改変生物の環境放出利用に際しての影響評価・利用決定フロー(例)」で、それから、参考資料2が「遺伝子組換え生物小委員会の議論の流れ」、この3点でございます。もし足りない資料がございましたらお申し出いただきたいと思います。以上です。

【岩槻委員長】それでは、早速議論に入らさせていただきます。まず、中間報告案について、IからIIIまでが議定書の説明だとか、これまでの我が国における改変生物の取扱いだとかを整理をしたサマリーの部分です。IV以降が我々の議論の整理になっています。IからIIIまでの部分について、まず水谷さんからよろしくお願いします。

【事務局】それでは、資料1の、まずIからIIIまでについてご説明いたしたいと思います。
参考資料2で、遺伝子組換え生物小委員会の議論の流れということで、これまで第1回から第4回の小委員会で議論されました主なポイントにつきましてまとめさせていただいております。これを踏まえて中間報告案を取りまとめております。参考資料2につきましては、また後でご覧いただければと思います。
それでは、中間報告案のIから順次ご説明させていただければと思います。
I、まずバイオセイフティに関するカルタヘナ議定書についての事実関係についてここで説明させていただいております。
まず1点目、生物多様性条約においてバイオテクノロジーがどのように位置づけられているのかということでございますけれども、パラグラフの(1)から(3)まで、生物多様性条約の採択、発効、目的、それから、条約の第8条におきまして生息域内保全の措置として、バイオテクノロジーにより改変された生物であって環境上の悪影響を与えるおそれのあるものの利用及び放出に係るリスクについて規制、管理、制御するための措置を、それぞれの締約国がとる必要があるという規定がございます。これにつきましては、第8条(h)の外来種による影響と似たような影響をもたらすものとして議論されてきたという事実があります。
さらに、条約の第19条では、「バイオテクノロジーの取扱い及び利益の配分」に関する条文がございまして、この中でバイオテクノロジー研究への遺伝資源提供国の参加の確保、遺伝資源からの利益の提供国への還元等についての措置。それから、第19条の3項におきまして、バイオテクノロジーによって改変された生物が生物多様性へ与える影響を防止するため、移送、取扱い、利用に関する手続を定めた議定書についての検討が位置づけられております。
これに基づきまして、パラグラフの(4)ですけれども、議定書の採択に向けて作業がなされてきたと。95年の第2回の締約国会合での検討、作業部会の設置から、96年、99年までの議論、さらに2000年1月に最終的に特別締約国会合で議定書が採択されております。
パラグラフの(5)以下ですけれども、議定書の概要につきましては、生きている改変生物(LMO)の輸出入に関する手続が規定されておりまして、工場などの閉鎖的な空間で利用される封じ込め利用、それから、食料、飼料、加工用として利用されるコモディティ、さらに、環境に放出して利用されるものの3つに分けて手続が規定されております。
環境放出利用に関しましては、輸出入に先立ってAIA手続き、事前に輸入国がリスク評価をして、生物多様性への影響を評価して、それに基づいて輸入の可否を決定できるというような仕組みをとるということが規定されています。
コモディティに関しましては、輸出入に関しては必ずしもAIA手続、事前の合意の手続は必要としないものの、そのコモディティを開発、あるいは国内で利用することを承認した国がバイオセイフティに関する情報交換機構でありますBCHに通報し、輸入国が輸入国の判断でAIA手続きと同様の手続きを求めることも可能というようになっております。封じ込め利用に関しましては、AIA手続きは必要とはされておりません。輸出入に関して適当な方法で輸送、取扱いを行うことなどが規定されております。
この中で、生物多様性の保全及び持続可能な利用に対する悪影響、パラグラフ(5)の一番下から3行目から2行目で書いておりますけれども、「生物多様性の保全及び持続可能な利用に対する悪影響」という表現が用いられておりますが、この報告書の中では、ひっくるめて「生物多様性への影響」という形でまとめて、これを使わせていただければというふうに考えています。
議定書で求められている主な措置は以上のようなものですけれども、パラグラフ(9)以下で、議定書で対象とする生物の範囲について述べております。議定書第3条(g)では、「現代のバイオテクノロジーの利用によって得られた新たな遺伝物質の組み合わせを持つあらゆる生きている生物」というものが議定書の対象になるという形で書かれております。
現代のバイオテクノロジーを使っているのかどうかという点と、結果として新たな遺伝物質の組み合わせが得られているのかどうかという、この2つの観点で議定書の対象となる生物か否かということが分かれてくるという記述になっております。
なお、ヒト用の医薬品であるLMOについては、他の関連する国際協定または国際機関による取扱いの対象となっている場合には、議定書の対象外ということで議定書の対象から外されています。
パラグラフ(12)以下ですけれども、議定書の目的の中で人の健康への影響というのが掲げられていますけれども、これについての取扱いの事実関係でございます。
人の健康への影響につきましては、小委員会で、若干、事実関係についてご説明したところですけれども、まず、パラグラフ(12)で生物多様性条約本体の交渉の過程で、バイオテクノロジーによって改変された生物による人の健康への影響の扱いを巡って意見が対立したというような事実があります。最終的には条約第8条の(g)で、人の健康を主な論点として扱うことはしないものの、人の健康への影響に考慮する旨の規定が盛り込まれることとなっております。
パラグラフ(13)ですけれども、この条約8条の(g)の記述を引用する形で議定書が作られてきております。ただ、条約及び議定書いずれにおいても人の健康への影響に関して説明的な条項というのはございません。また、その後の交渉の過程でも詳細な議論がここについては行われていないということから、明確にどの範囲だということは規定されておりませんけれども、考慮すべき人の健康影響の範囲には当然生物の多様性に関係したものを対象とすることが妥当であろうと。具体的には、遺伝子改変された植物の花粉がアレルギー反応を引き起こすなどの環境を経由した影響が含まれると考えられますけれども、LMOを食品として直接摂取することによる健康影響などは議定書の対象とはならないと考えられます。
これにつきましては、ここの小委員会での議論もありましたけれども、その後、IUCNなどが議定書についての解説文というのを現在作成しておるところです。条約事務局での解説文書というのは作成されていないのですけれども、議定書の作成、交渉過程をフォローした形でIUCNなどが解説書というのを作っておりまして、そこの解説書の中での記述というのも踏まえて、ここで整理させていただいております。
パラグラフ(14)、(15)では、予防的アプローチの議定書での位置づけについて若干説明させていただいております。そもそも、議定書の作業部会への委任事項の中では、予防的なアプローチについて考慮すべきという点が最初から盛り込まれておりまして、LMOの、特に生物多様性に対する長期的、潜在的な影響に関しては、未だ科学的な確実性というものがないということから、LMOの生物多様性への影響に関する規制については予防的なアプローチをとるべきなのではないかという観点で議定書に盛り込まれているというふうに理解されます。パラグラフ(15)ですけれども、具体的に議定書の中では前文、第1条、リスクアセスメントに関する附属書IIIの4、それから第10条6項、第11条8項などにその考え方が反映されていくというふうに理解されています。
ここまでが議定書の成立の過程、それから、議定書の中で主なポイントとなるような事項の内容の整理という形になっております。
パラグラフ(16)以下のIIでございますけれども、これまでの組換えDNA技術の展開と規制措置、それから、我が国での取扱いのこれまでの実績について説明したところでございます。
II、我が国における遺伝子改変生物の取扱い。(16)以下(20)まででは組換えDNA技術の確立、実質的な研究者による実験の一時停止の措置、それから、研究者及び各国の自主的なガイドラインに基づいて徐々に実験の指針が策定され、徐々にそれが緩和され、実験が幅広くなされてきているという実態。
産業利用としましては、パラグラフ(17)ですけれども、封じ込め条件下での産業利用が進んだことから、1986年、OECDの勧告が示されまして、各国で施設内での産業利用に関するガイドラインが設けられて、我が国でも通商産業省、厚生省により、それぞれの分野に基づくガイドラインが作成されてきています。
その後、その環境放出利用について研究、開発が進められてきておりますけれども、OECDでは86年の段階では環境放出を伴う利用についてのガイドラインの策定までは至っておりませんが、考慮事項というのが示されております。これに基づきまして、各国でそれぞれ規制の仕組みが検討されております。我が国では89年に農林水産省により、農林水産分野等における組換え体利用の指針が策定されております。通産省の工業化指針においても、98年に環境放出利用、限定された区域ですけれども、そこでの利用に対する規制というのが加わっているところです。
さらに、栽培、実用化という観点では、92年に米国で組換え作物の自由栽培が許可され、94年に実際に組換えトマトの販売が認可されて、遺伝子組換え作物の流通が開始されています。我が国では、食品としての利用に関しましては91年に厚生省により組換えDNA技術応用食品等の安全性の評価指針などが策定され、食品としての安全性の確認が行われてきているというような事実関係がございます。
現在までの開発状況と今後の動向ですけれども、パラグラフ(21)から(23)まで、これまでに環境放出利用がされているもの、それから、今後の環境放出利用が見込まれているような開発が進められているものについて事実関係を示しているところです。
パラグラフ(24)以下では、各省のガイドラインでの取扱いについて若干細かく説明しておるところです。
パラグラフ(26)では、特に農林水産省の「農林水産分野等における組換え体利用のための指針」、これによって、現在、安全性の評価が行われている項目の概要、それから、実際に今年の4月30日現在までにこの指針に基づきまして植物の模擬的環境利用、隔離圃場での試験的栽培ですけれども、これが102件、それから、開放系利用、一般環境で栽培できる、あるいはコモディティとして輸入できるといったような形で開放系利用が確認されているものが62件あるという事実が述べられています。
パラグラフ(27)ですけれども、鉱工業に利用される微生物につきましては、まだ組換え生物の環境放出利用について安全性の確認というものがなされたものは現在のところはございません。
パラグラフ(28)では、封じ込め利用の話をしております。農林水産分野、鉱工業分野、医療分野、それぞれについて、それぞれの関係する省がガイドラインを作成して影響の評価を行っているところです。経済産業省の指針では、封じ込めの利用で現在まで238件が利用の確認がなされている、農林水産省の指針では、封じ込め利用として微生物で25件、実験用小動物で26件、この程度の確認がこれまでになされてきているというところです。
パラグラフ(29)では、実験段階、ここにつきましては文部科学省さんの組換えDNA実験指針というものでカバーされておるところですけれども、これまで、この指針に基づく実験というのが年間二、三万件を超える形で行われております。さらに非閉鎖系、封じ込められた環境ではなくて屋外での実験的な利用というものでこれまで60件の確認が行われているというところでございます。
パラグラフ(30)では、なお書きとしまして、議定書で対象としている生物の範囲と各ガイドラインの対象となる生物の範囲というのが若干違っているということを記しております。いずれのガイドラインにおいても、議定書で対象としています「分類上の科を越えた細胞融合」については、対象になっていないという事実関係でございます。
ここまでが現在の我が国でのガイドラインに基づく遺伝子改変生物の取扱いの実態でございます。
III、カルタヘナ議定書で求められている措置。パラグラフ(31)からでございますけれども、議定書で求められている措置としましては、輸出入の手続に関して輸出国がまず事前に通告をし、輸入国が輸入に先立つリスク評価を実施し、輸入の可否を決定することが必要になってくるということです。
さらに、パラグラフ(34)ですけれども、輸入に限らず国内でLMOの環境放出利用を行うに当たっては、リスク評価の実施といった非意図的な越境移動による悪影響を防止するための措置が必要とされております。
パラグラフ(35)以下ですけれども、取扱い、運搬、包装に関し、議定書で求められた措置の実施が必要。
さらに、輸出入に際して、コモディティ、封じ込め利用、環境放出利用の用途ごとに、それぞれ必要な事項を特定した書類の添付が必要となってくる。さらに、議定書で求められている措置に違反した不法な輸出入を防止するための措置というのが必要になってきます。こういった措置を実施するためには、これまでのガイドラインに基づく影響の評価の仕組みでは十分な実施が担保されないと考えられることから、法律に根拠をおいた措置が必要と考えられます。
パラグラフ(39)ですけれども、これまでの輸出入の規制の中では、カルタヘナ議定書で求められている生物多様性への影響という観点で生物の評価をする仕組みというのはございません。これまでのガイドラインに基づく遺伝子改変生物評価の経験を踏まえて、生物多様性への影響を評価する仕組みが必要になってくると考えられます。
このため、パラグラフ(40)以下ですけれども、国内措置を検討するべきということで、現在、関係各省で持っておりますガイドラインを踏まえまして、それぞれの役割分担の上で議定書に対応した国内措置の検討を連携して行っていくということが合意されてきております。
もう既にご案内のところですけれども、農林水産省、経済産業省、文部科学省において、それぞれ農林水産分野、鉱工業分野、科学技術分野といった分野につきまして、議定書に対応した国内措置の検討というのが行われているところでございます。この環境省では、(42)ですけれども、遺伝子改変生物による生物多様性への影響を防止するという目的で、国内での利用に当たって、生物多様性への影響の審査を的確に行うために、影響の評価の視点、方法、考え方を明らかにする必要があるということで、この小委員会での議論をしていただいているところでございます。
IVがこれまで議論していただきました遺伝子改変生物による生物多様性への影響の評価、Vにつきましては、これまでのご意見を踏まえまして、議定書に対応した国内措置のあり方というのを記述しているところです。
IIIまでが、事実関係と、この小委員会での議論の前提を整理させていただいたところです。以上です。

【岩槻委員長】どうもありがとうございました。
ここまでの理解がもし間違っていると次の議論に差し支えが生じるということなのですけれども、何か今のご説明に対して、あるいはここに整理していただいたことに対して、ご質問とかコメントとかありましたらお願いいたします。鎌田委員。

【鎌田委員】幾つかあるのですが、まず一番頭のところのこれの、特に一番の位置づけの問題でもあるのですが、何となく読んでいると、全体として「規制する」というようなニュアンスで伝わってきていて、カルタヘナ議定書の頭のところにはもちろんバイオテクノロジーが秘めた潜在的な価値というか、すぐれた点もある、だからそれをきちんとやるために、しかも多様性を確保しながらやろうということが謳われているのに、その前段のところが全然ないというのは何となくちょっと……。やはりバイオテクノロジー自身は将来に対してすぐれた可能性を秘めているということは一言どこかにないと、何か悪くとらえると最初から悪者であるというような感じで全体が貫かれているように映ってしまうので、頭のところ、そこをちょっと気をつけていただければと。まずそれが1つです。
それから、言葉がわからないので1つ教えてほしいのですが、パラグラフ(9)のところに、途中に「不稔生物」という、私自身見たことのない言葉が出てくるのですが。

【事務局】議定書等、書いてあるのですけれども、特段これを書かなければいけない理由はあったのかどうかよくわからないのですが……。

【鎌田委員】というか、何をもって「不稔生物」というかというのがよくわからないので。

【事務局】そこもはっきりしなかったのですが、IUCNなどがつくっています解説書を見ると、「栄養繁殖するもの」ということで、イモだとかそんなものが……。

【鎌田委員】そういうのは「不稔生物」とは言わないんだと思うのですが、日本語としてはそれは不適切。もしイモとかとなったら、やはり栄養繁殖性作物というか、何かちゃんとした言葉に置きかえた方がいい。
それから、お聞きしたいのはパラグラフの(11)なんですが、ヒト用の医療用のLMOについては、「他の関連する国際協定………対象となっている場合には議定書の対象外となる」ということですが、それらの対象となっていない場合というのはどうなのですか。

【事務局】なっていない場合は議定書の対象になるという理解。

【鎌田委員】本当にそれだけですか。もともと全体が除外されているわけではないのですか。

【事務局】ええ。「その他の関連する国際協定又は国際機関による取扱いの対象」という範囲がどこまでかというのは実は余りはっきりしていないのですけれども、他でカバーしているからいいだろうというような書き方になっておりますので、具体的にその範囲というのはある程度特定しなければいけないと思いますけれども、ヒト用の医薬品だからといって外されているということではなくて、他の機関で取り扱われているので対象外ですという書き方になったと。

【鎌田委員】いや、具体的な話ですと、例えば食べる生ワクチンの話が多分出てきて、食べる生ワクチンをつくるバナナはどうするのとかいう話が多分現実的な問題として出てくると思うので。ここら辺は、議定書上これでよかったらいいのですが、日本で何かをやるときにはそこら辺をどこかでクリアにしておかないと境界がわからなくならないかなというのを気にしています。
それから、これも言葉の問題で、パラグラフ(14)のところの、予防的なアプローチそのものの概念はもちろんよくわかるのですが、そこの中段のところの「特に」というところから「影響を受けやすい………するためには、予防的な手段を採用することを保証する必要がある」という部分については、もともと全体が予防的なアプローチをとっていると私は理解していたのですが、これだと何か、ある特定のところに行かないと予防的な手段という形にはなっていないというふうな、ちょっと誤解されるようなニュアンスになっていないか。
それから、抜けていると思ったのが、日本の国内事情として、遺伝子組換え飼料も本当は扱う量としたら、コモディティとしてはものすごい量があるので、どこかに一言入れた方がよろしいのではないでしょうか。飼料関係のことはどこにも出ていなかったので。
それから、パラグラフ(30)のところの言葉の定義なんですが、ガイドラインにおける組換えDNA実験における対象というのは何かというのを、「組換えDNAが移入された生細胞」としていますが、現在では、「及びそれから育成された生物個体」というふうになっていないと動植物が対象にならなくなってしまうという現実があるので、そこら辺の言葉を直されたらどうでしょうか。
それから、ちょっと戻ってパラグラフ(16)、これは完全に私の個人的な好き嫌いの問題なんですが、組換えの「この技術の持つ可能性と同時に危険性が認識され、」という言葉があって、「危険性が認識され、」ということなのか「予期せぬ危険が起こる」ということなのか。その言葉の若干のニュアンスの違いは、「危険性が認識され、」というといかにも危険があるというようなニュアンスだけれども、現実にはそうではなくて、起こるかもしれないということを想定したので、それでいろいろな議論をした訳ですね。現実問題としては、そういう危険性は現実に起こっていないというのが現状の多分認識だと思うので、細かいところなんですが、ちょっと言葉のニュアンスを変えていただければと思います。以上です。

【岩槻委員長】幾つかコメントがありましたけれども、答えが済んだところもありますが、まず事務局の方から。一番最初はパラグラフ(4)のあたりでバイテクの価値というのをまず触れるべきではないかというご意見なんですが。

【事務局】議定書で触れている範囲で書ける事項を書きたいと思います。

【岩槻委員長】それはほかの方も特に問題ないと思うのですけれども、それからパラグラフ(9)で「不稔生物」というのは、これは僕はちょっと気がつきませんでしたけれども、ちょっと言葉を考えないといけないかもしれませんね。有性生殖でもともと繁殖するはずのものが有性生殖をしないで繁殖をしたということですよね。「不稔」というと何か子供を作らないということになってしまいますけれども、子供を作らなければ問題ないのかもしれませんけれども。それから、パラグラフ(11)に関してはよろしいですか。
それから、次がパラグラフ(16)のところで、個人的な好みだとおっしゃいましたけれども、危険性が認識されただけにこれは何が起こるかわからないという危惧があったということで、その危惧は今でも100%解消しているわけではないのですけれども、表現はちょっと確かにそういう意味では検討された方がいいと思います。
それから、組換えの飼料に関して何も触れられてないではないかということですが。

【事務局】パラグラフ(24)で「食品・飼料として使われる場合には」ということで、
書いておりますが、飼料・食品としての安全性の確認については余りこの中では説明的には書いていないという整理です。

【岩槻委員長】そのことでよかったんですか。

【鎌田委員】実際問題としては、日本などで量的に最も多いのは飼料としての輸入ですから、その意味ではどこかにきちんと書いておいた方がいいのかなというふうに思っただけです。

【事務局】パラグラフ(24)からの中でどこかに書くように検討させていただきたいと思います。

【岩槻委員長】それからもう一つは、パラグラフ(30)の2行目の「生細胞」のあとに「及び派生した生殖個体」という言葉を入れた方がというご指摘なんですが。

【事務局】修正させていただきます。

【岩槻委員長】それでは、そのほか何かコメント、ご指摘ございますでしょうか。

【市田委員】ちょっとよろしいでしょうか。先ほどの鎌田先生のご意見なのですけれども、何かパラグラフ(16)のところで可能性と危険性の問題で、今まで問題が起こってない、だから危険であるということを言うのはいかがなものかというご意見かなと思いましたけれども、それはやはりそれだけのことをいろいろ考えてやってこられているから今の結果があるんじゃないかと私は思うんですね。ですから、可能性ということを考えると、プラスの可能性と、それからマイナスの可能性はやはり歴然とあるんだと思います。そこを認識しているからこそ正しい使い方ができてくるんだろうと私は思いますので、決してネガティブにいろいろした方がいいというわけではないんですけれども、でも、やはり危険性があるんだということはきちんと認識した上でいった方がいいのではないかと私は思いますが。

【岩槻委員長】私もだから今そういうふうに整理をさせていただいたつもりで、危惧がなくなっているわけではなくて、今でも遺伝子の危惧はあるわけなので、このことを削除するという形ではなくて、この表現が必ずしも正確ではないんではないかというご指摘だったと思いますので、一応ご検討いただいた方がいいかとは思うんですけれども。

【市田委員】ええ、そうなんです。それはわかっているんですけれども、それを理解した上で、やはりこの表現で私はよろしいのではないかという気がいたします。

【岩槻委員長】どうぞ、加藤委員。

【加藤委員】今のところなんですけれども、実際、事実関係を見ますと、73年とその後の動きというのは現実にこういう危険があると確認できているわけではなくて、潜在的なポテンシャルハザードということだったと思うのですね。潜在的危険性があるかもしれないという危惧があって、それが現実のものにならないように何らかの手だてを打つ必要があるだろうという部分だったと思うので、やはりここはその危険が認識されたのではなくて、潜在的危険性が認識されたというふうにした方が、実際に起こってきたものとの流れには合っているかなと思います。

【岩槻委員長】それは議論し始めると難しい。そういう意味では技術の持つ可能性も実現されているわけではなくて、可能性としてあったということ。
今のその両方のご意見を踏まえて、非常に難しい表現の整理になりますけれども、ご検討いただきたいということでございます。他、よろしいでしょうか。
後の議論でまたもとへ戻ってもいいのですけれども、一応、ここまでの議論はこのあたりで。こちらの方が多分意見としてはたくさん出てくるかと思いますので、IV、Vの説明をお願いいたします。

【事務局】それでは、引き続き7ページ、パラグラフ(43)以下、IVの遺伝子改変生物による生物多様性への影響の評価。これにつきましては第2回から第4回の小委員会で資料として出させていただいたものを記述したものです。パラグラフ(43)から(97)までの記述と、一番後ろにつけております図の1、2、3、これを併せてご覧いただければと思います。
パラグラフ(44)ですけれども、生物多様性を減少させる要因として生物多様性条約の中では生物が導入されることによる影響として、バイオテクノロジーにより改変された生物による影響と、外来種の導入による影響が具体的に挙げられております。この2つの要因は、生物多様性への影響という点では共通していると整理されています。
パラグラフ(45)以下ですけれども、遺伝子改変生物への生物多様性への影響を考える場合の視点ですけれども、パラグラフ(45)で、生物多様性の影響につきましては、改変された生物を生態系に導入することによって生じる影響を判断することになる。主として、野生動植物の地域個体群及び微生物相が健全に維持されるかどうかということを判断することが必要になってきます。その際に、物質循環など生態系の機能面への影響を通じた生物多様性への影響というのも考慮する必要があるというのが生物多様性への影響のコアの部分であるというふうに考えられます。
パラグラフ(46)ですけれども、カルタヘナ議定書では、人の健康に対する影響も考慮することとされているところです。ただし、生物多様性条約の下の議定書であることから、環境を経由して、非意図的にヒトが遺伝子改変生物に暴露することによる影響を考慮するということが必要になってくると考えられます。
さらに、産業への影響、それから、遺伝子改変生物を利用することに伴って不可避に生ずる影響、こういったものについても検討していく必要があるであろうと。ただし、評価手法なりが(b)以下で、必ずしも明確にできていないという点を考慮しておく必要があると思います。
パラグラフ(48)、(49)ですが、これはフロー図、これまで何回もごらんいただいておりますけれども、図1、図2で遺伝子改変生物の環境放出に伴って生じ得る生物多様性への影響というのを動物・植物、それから微生物について、影響が顕在化するまでの概念的なフローを図1、図2で整理させていただいております。
この図1、図2に掲げております「危惧される影響」、黒四角ですけれども、危惧される影響が生じないということを遺伝子改変生物の環境放出に当たっては確保する必要がある。なお、危惧される影響が顕在化するまでの期間というのは、短期間で顕在化するものから長期間要するものまで様々あるということは留意しておく必要があるということを記述しております。
パラグラフ(50)以下ですけれども、(b)生物多様性への影響の評価と利用の決定の考え方。まず、影響の評価の基本的考え方ですけれども、遺伝子改変生物の環境放出利用による影響の評価につきましては、個別のケースごとに、宿主となる生物の特性、導入された遺伝子の機能及びでき上がった改変生物の表現形質、それから、改変生物の利用環境などを考慮して個別に行っていくべきであると。今後、いろいろな環境放出のパターンというのが想定されますので、これまでの農林水産分野でかなり実績がございますけれども、農林水産分野での遺伝子改変生物の影響評価の枠組みを踏まえて、さらにその以下の視点というのを考慮して検討する必要があるであろうと。幾つか考慮すべき点、視点というのを挙げさせていただいておりますけれども、パラグラフ(52)、これまで取扱い経験のない利用形態が増えていく可能性があります。それによって影響も多様化、複雑化し得るということ。それから、ごく低頻度でしか起こらない影響、長期的な影響など、事前の評価だけではなかなか十分に評価できないものが存在し得るということ。さらに、一たん環境へ放出すると、管理なり封じ込めというのが困難になってくるようなものの利用というのも想定されるということ。
このような視点を考慮したその影響の評価、評価に基づく利用の決定に関する大まかなフローとして、図3を一番最後のページにつけております。これもこれまで何回も議論していただいて、その度ごとに少しずつ修正させていただいておりますけれども、今回また若干修正させていただいております。
この図3につきましては、前回、主な議論の点としましては、誰がどういう役割分担でこの情報を集めたり評価をしたりするのかといった観点まで含めて整理するべきではないかというようなご意見もございました。それにつきましては、この報告の中ではVの議定書に基づく国内措置というところで、ある程度、誰が何をするのか、誰がまず情報を集めて、誰が一体評価をするのかといったあたりは文言として整理させていただいています。
また、参考資料1ということで、簡単なフロー図をつけておりますけれども、申請者、行政当局、それから専門家による委員会など、それから市民、こういった四者を想定しまして、それぞれの役割分担というのをある程度明らかにしたようなフローとなっております。こちらの方で説明できればということで、図3の中では概念的なフローということで整理して、役割分担といったことまでは含めないという形で整理させていただいております。
図3の中で前回までと変わったところですけれども、ダイヤモンドの真ん中ぐらいですけれども、「危惧される影響が生じる可能性」というところで、この可能性があるということは否定できないといった場合、下におりていくわけですが、その際に影響の軽減措置がとれるのかどうかといったことを一応検討し、とれるのであればその下、とれないのであれば許容できないという結論。影響の軽減措置がとれるとなった場合、さらにそこに利用による便益というのを考慮して、実際にどのような影響の軽減措置をとってもらうのかという中身を条件として許容していくのであろうと。さらにモニタリングの下ですけれども、これまでモニタリングをした後、再評価が必要かというような、そんなフローになっておったんですけれども、モニタリングなどの結果、予測しない影響が見られた場合、また新たな知見が得られた場合が左側、それから、予測しない影響なり新たな知見というものがない場合というのが右側ということで、2つその先が分かれていくであろうと。予測しない影響なり新たな知見が得られた場合には、緊急時の対応というのをとりあえずした上で、そのまま利用を続けてよいのかどうかといった観点で再評価をして、再評価が必要であるかどうかという判断をし、再評価が必要であればまたフローの上に帰っていく。再評価が必要ないというのであれば継続的な利用ができる。このような形で、予測できない、予測し得なかった影響なり新たな知見が得られた場合の対応の仕方というのをこのフローの中に入れております。そのあたりが前回までと若干違ってきているところです。
これを踏まえまして、9ページ、パラグラフ(56)以下をご覧いただければと思います。9ページのパラグラフ(56)以下で、このフローに沿った情報の収集や影響の評価の判断ということを記述させていただいております。パラグラフ(56)以下(73)までは実際に危惧される影響が生じることを防ぐために、そのフローの前段にある事項が生じる可能性について個別に検討する必要があります。植物・動物の環境放出による影響の評価項目、それから、微生物の環境放出による影響の評価項目と、大きく2つに分けておりますけれども、図1、図2のフロー、図に書かれております評価項目というのと、字面としては同じものを掲げております。
パラグラフ(74)では、影響評価に必要な情報を求めるということで収集すべき情報というものを主に8つのカテゴリーとして整理しております。受容生物/親生物に関する情報、DNA供与生物に関する情報、ベクターに関する情報、改変の特性に関する情報、でき上がった改変生物に関する情報、それから、改変生物の検出や特定に関する情報、改変生物の用途に関する情報、受け入れ環境に関する情報、こういったカテゴリーで情報を収集すべきでありましょうと。これにつきましては、当然、申請者が情報を収集するという前提で書いています。収集すべき情報の種類は科学的知見の蓄積に応じて適宜見直すことが必要でありますと。
パラグラフ(75)以下では、影響の評価の実際ですけれども、収集された情報をもとにしまして評価項目についてその事象が生ずる可能性と生じた際の影響が許容範囲を超えるかどうかということを検討していく必要があります。具体的には、野生動植物の地域個体群及び微生物相の健全な維持に対する影響が生じるかどうかについての検討ということになってくるだろうと考えられます。
その際の考え方についてパラグラフ(76)以下で整理させていただいています。
パラグラフ(77)では、「なお、」としまして、影響の判断に際しましては親生物なり類似の性質を持つ生物についての情報が豊富な場合には、その親生物なり類似した生物との影響の比較によって改変生物による影響を判定するということが非常に有効であろうということを書いております。
パラグラフ(78)から(83)までが野生動植物の地域個体群の縮小及び微生物相への影響という観点で、どのようなことが起こった場合に野生動植物の地域個体群の縮小などにつながるのかということを、ア、イ、ウ、エと、まず4つ整理させていただいています。遺伝子改変生物が競合する種・亜種があり、野生動植物である種・亜種があり、その地域個体群の縮小が予想される場合。それから、親生物が捕食、寄生、感染する野生種・亜種が知られていて、結果として野生動植物の地域個体群の縮小が予想される場合。それから、遺伝子改変生物の産生する物質により野生種・亜種が影響を受けて、地域個体群の縮小が予想される場合。さらに、交雑し得る近縁の野生種・亜種が存在して、交雑の結果、野生生物の地域個体群の形質が変化する場合。微生物相への影響につきましては、遺伝子改変生物の影響によって微生物群集の集団構成の著しい単純化、それから、有用微生物群の消滅などが生じる場合には影響があるという判断をするのである、と。ただし、微生物には同定されていないものが数多く存在することから、当面は機能がよく知られている微生物への影響を中心に判断する、判定せざるを得ないであろうという形で整理しております。
[2]、パラグラフ(84)以下ですけれども、微生物等による物質循環機能への影響。微生物の物質循環機能への影響というのは、生物多様性への直接的な影響の範囲には含まれないというふうにも考えられます。ただ、すべての生物の生息・生育基盤に影響することを考慮して、物質循環機能が変化することによって動植物の生息・生育環境の変化、それから人の健康への影響などが生じる場合には影響があると判断するべきであるというふうに整理させていただいています。
さらにパラグラフ(85)以下では、人の健康への影響、産業への影響への評価結果の判断の考え方というのを整理しております。
アでは人の健康影響ですけれども、人への非意図的暴露の結果、遺伝子改変生物の病原性の発現など健康影響が生じる場合、影響があるというふうに判断するべきである。さらに、イでは、遺伝子改変生物による病原性の発現等により、主として産業に利用される動植物に対し、その有用性を減少させる場合には、影響があるというふうに判断されるであろうと。ここまでが影響の判断の具体的な考え方というところでございます。
11ページ、(c)影響の軽減措置ですけれども、前段までの影響の評価の結果、特定された影響が生じないような管理、それから、影響が生じた際にどんな対応ができるのかといった管理を行うことが可能かどうかというようなことを考慮しまして、利用計画の取扱いを決定していく必要があるというふうに考えられます。その評価の結果、特定された影響が生じないような管理とか、生じた際に対応が可能な管理、これらを総称して「影響の軽減措置」というふうにここではまとめさせていただいています。
パラグラフ(89)ですけれども、具体的に影響の軽減措置としましては、利用場所とか地域を限定する、それから、影響が生じるかどうかをモニタリングしていく、それから、影響が生じた際にどんな緊急対応措置ができるのか。こういったことが軽減措置として具体的に想定されるところです。影響の生じる可能性と、その影響の程度に対応して影響の軽減措置というものを実施していただくことになるわけですけれども、それができるかどうかということを踏まえまして、許容できるかできないか、軽減措置の実施を条件に許容するのかといった判断が分かれていくことになるというふうに考えられます。
パラグラフ(90)ですけれども、これはちょっと間違っておりまして、「条件とする影響については」と書いてありますけれども、「条件とする軽減措置については」の誤りです。申しわけございません。軽減措置の実施の可能性というのはあるわけですけれども、それを実際にやってくださいと、条件として軽減措置を義務づけて利用の可否の決定ということになるわけですが、その際には、必要に応じて、利用による便益も考慮してその軽減措置の内容というのを決定していくということが適当であろうと。その際、その便益の中身につきましては、公益性が高いかどうか、他の方法による代替手段がないかどうかといった観点から考慮していかなければならないでしょうと。ただ、遺伝子改変生物による影響は、その便益に比べて時間的、空間的スケールが非常に広いため、そのようなスケールの違いというのを便益の考慮に当たっては十分考慮していく必要があるというふうに考えられます。
さらに、パラグラフ(92)以下では、モニタリング等実際の影響の軽減措置について触れております。影響の評価に必要な科学的知見が必ずしも十分に得られていないものについては、部分的な利用から徐々に利用規模を拡大していくといったようなことも検討する必要があります。さらに、影響の評価の結果特定された影響が生じていないかどうかを確認するために、具体的に2つのレベルの確認の仕方というのがあるというふうに想定されます。
[1]ですが、特定の影響に着目した監視。パラグラフ(94)、(95)ですが、影響の評価の結果、許容できる範囲内ではあるものの、影響が生じ得ると予想された項目について監視を行っていく必要があるだろうと。その際には特定の利用地点を選定しまして、その地点における影響についての監視を行うということが適当でありましょうと。また、最後のVでの国内措置の検討のところで出てきますけれども、このア、イにつきましては、原則としては申請者にやっていただく監視だというふうに整理しております。一方、[2]ですけれども、これは影響の評価の結果特定された特定の影響ではなくて、そういうものに着目したものではない一般的な変化を監視するという前提でやられる監視であります。この際、調査地点というのは遺伝子改変生物の利用地域に限らず、その周辺地域、一般環境を対象としましょうと。この場合には、遺伝子改変生物のみに着目した調査ということもあり得るのですけれども、現実的には外来種による影響等も広く監視する一環で遺伝子改変生物による影響も監視するということが現実的であろうと考えられます。そういう意味で、この[2]につきましては、申請者にやっていただくということではなく、行政なり、そちら側で対応すべき事項だというふうにVでは整理しております。
さらにパラグラフ(97)、12ページですけれども、新たな知見なり新たな情報が得られた場合の再評価の仕組みというのを盛り込んでおく必要があるだろうということで記述しております。利用の決定を行ったものについても、その後のモニタリングによりデータが得られた場合、他の地域での利用により影響があるというデータが出てきた場合、こういった新しいデータが得られた場合、さらに評価方法を新しく確立した場合など、一度行った評価を再検討するということを考慮する必要があります、と。そのためには不断に新たなデータ、評価に関する知見を収集するとともに、事業者等からの報告を求めるといったことが必要になってくるというふうに考えられます。
12ページ、Vですけれども、IVの影響の評価の考え方を踏まえまして、現在想定される議定書に対応した国内措置のあり方。主に環境放出利用をする際の影響の評価の仕方といった観点が主ですけれども、国内措置のあり方についてここで整理させていただいております。
パラグラフ(98)から(101)までですが、新たな仕組みを検討する際の基本的な考え方ということで3つほど挙げさせていただいています。
パラグラフ(99)ですが、ア、環境放出利用の際の生物多様性の影響の予測は長期的な影響等に関しては不確実性があり、予防的アプローチを踏まえた利用決定の仕組みが必要となってくること。イですけれども、封じ込め利用に関しましては、これまでの利用実績が多く、環境への影響が特段生じておらず、従前の影響の防止の仕組みというのが効果を上げていると考えられるということ。ウですけれども、今後、技術の応用範囲が拡大し、さまざまな分野での利用が見込まれ、環境への影響の可能性が高いものが利用されることも想定されますので、個々の開発される生物の環境への影響の程度に応じたそれぞれの管理が必要であること。こういった観点を基本的な観点として持ちながら、具体的に利用タイプごとの遺伝子改変生物の取扱いについてパラグラフ(102)以下でまとめさせていただいております。パラグラフ(102)から(105)までが利用タイプとして、環境放出利用の場合の遺伝子改変生物の取扱いについて整理させていただいております。
パラグラフ(102)ですが、意図的な環境放出利用及びコモディティとしての利用の場合、この2つを合わせて環境放出利用というふうに整理させていただいております。これにつきましては、事前に生物多様性への影響について評価を行い、影響の程度に応じた軽減措置を講じる仕組みというのが必要でありましょうと。
具体的には、パラグラフ(103)ですけれども、環境放出利用を行おうとする者が親生物、DNA供与生物、改変生物の特性、改変生物の用途、受け入れ環境等に関する情報を収集して、その情報に基づき、生態系への侵入・定着の可能性、有害物質の生産の可能性、近縁の野生生物種との交雑の可能性等の観点から、利用しようとする遺伝子改変生物による生物多様性への影響を評価し、まず、その申請者となる環境放出利用を行おうとする者が影響の評価をして、行政当局がその情報、評価の内容について確認を行うといった仕組みが適当であろうと。
パラグラフ(104)ですが、環境放出利用を行おうとする者は、影響の評価とともにモニタリングの計画、それから、事前の評価で予測できなかった影響が生じた際にどんな対応を緊急時の対応としてできるのかといった緊急時の対応計画、そのほか、管理のために必要な計画について最初の申請内容に含めまして、その計画の妥当性を行政当局が確認するといった、実際に影響が出ることを防ぐための管理のための措置についても申請者がまず計画を申請内容に含めて、それで十分かどうかということを行政当局が確認するというような仕組みというのが必要になってくるであろうと。それが妥当だとなった場合には、行政当局はその計画の実施というのを環境放出利用の条件として義務づけるということができるようにするべきでありましょうと。
さらに、行政当局が判断するに当たって、パラグラフ(105)ですけれども、行政当局は申請者の提出する情報、それから情報に基づく評価というのが科学的に妥当かどうか、さらにモニタリング計画など影響の軽減措置というのが妥当であるかどうかについて委員会等を設置し、専門的見地から委員会等の意見を聴取し、その意見を前提に判断することが必要であると。影響の軽減措置につきましては、その内容によっては、科学的な判断をする専門委員会の意見を聴取するべき内容とそうでないものというのが分かれてくる可能性はありますけれども、ここでは、例えばモニタリング計画が妥当かどうかといった観点では専門的見地からの委員会等の意見というのが必要であろうということで、その意見を前提に判断するという仕組みを一応イメージしております。
パラグラフ(106)、(107)では、利用タイプごとの遺伝子改変生物の取扱いのうち封じ込め利用についての記述です。封じ込め利用につきましては、この小委員会でも余り議論されてきていなかったところですけれども、環境放出利用と比較しまして、生物多様性への影響が生じるおそれは少ない。生物の特性に応じた封じ込めが確実になされるのであれば、事前の影響の評価は必ずしも必要ではないというふうに考えられるであろうと。基本的には、これまで試験研究、鉱工業利用、農林水産業利用の封じ込め利用のガイドラインで取り扱われてきた方法と同様の方法の管理がなされることで、外部環境への漏出による影響を防止することが可能というふうに考えられます。このため、現在設けられているリスクに応じた封じ込めの基準などを基本としまして、封じ込め利用を行う者が遵守すべき基準を設けて、適切な管理を確保するということが適当であろうというふうに整理させていただいています。
パラグラフ(108)、(109)ですけれども、影響評価に関する情報の提供。これにつきましては、環境放出利用される個別の遺伝子改変生物について、利用によって環境にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、それを防止するためにどのような措置がとられるのかといった情報に対して、国民が十分にアクセスできることが遺伝子改変生物の環境放出利用に関する理解を得るためには不可欠という前提を述べさせていただいています。
このため、その申請者の秘密情報といったものの保護は議定書にも述べられていますが、秘密情報の保護というのは十分考慮しつつ、申請内容についてある程度誰もが情報を得られるといったことを可能とし、必要に応じて意見を提出できるような機会を与えるといった措置をとることが必要なことであるというふうに整理させていただいています。
パラグラフ(110)から(112)までにつきましては、新たな知見が得られた場合の決定の見直しについて述べさせていただいています。議定書では決定の見直しについて規定されておりますけれども、再評価の仕組みにつきましては、先程フローで大体ご説明しましたとおりですけれども、モニタリングにより予測できなかった影響が出現した場合、それから、当該生物の特性に関する新たな知見、当該生物の他の利用地域での影響に関する新たな知見、評価方法に関する新たな知見、これらが得られた場合などは評価を行った後に評価の結果に影響を及ぼすような知見が得られる可能性があります。このため、新たな知見が得られた場合の再評価の仕組みというのを置いておく必要があると考えられますけれども、それに際しましては、評価に関する委員会等に対して、得られた情報を提供し、委員会の意見を踏まえて、当該生物の利用方法の変更なり利用の終了なりといったことを指示できる、そういう仕組みが必要になってくるであろうと考えられます。
最後ですが、影響の監視についてですが、ここでは一般的な影響の監視について触れております。パラグラフ(113)でございます。遺伝子改変生物が広く環境中で利用される状況になった場合には、利用地点、例えば栽培箇所等ですけれども、利用地点周辺において近縁種への影響などが懸念される場合というのがあります。この場合には、申請者によるモニタリングによって影響の監視というのはある程度可能となってきます。ただ、そういった申請者が計画できるようなモニタリングでカバーできない不特定の地域での意図しない放出による影響につきましては、一定程度の密度でそのモニタリングポイントなどを配置しまして、影響が生じるおそれがある生物を対象としたサンプリング調査といったものを検討していく必要があるであろうと。これは行政がやるという前提で、そういったサンプリング調査といったものを検討していく必要があるというふうに整理させていただいております。
以上、IVとVの説明です。Vの中で、環境放出利用に際しての影響評価・利用決定について文字で書いておりましたものを、参考資料1で、フロー図のような形で、参考までに整理させていただいております。一番左が申請者がやるべきこと、真ん中が行政当局がやるべきこと、さらに右側が専門家による委員会等、それから市民のかかわり、それについて四者の役割というのをある程度整理させていただいています。
環境放出利用に際しまして、申請者が影響評価のための情報を集め、影響評価に関して一定の結論を導き出し、必要に応じてモニタリング計画、それから、緊急時の対応の計画、そのほか管理のために必要な計画、さらに秘密情報とすべき情報の特定、こういったことを申請者が申請内容としてある程度まとめていただいて、それを行政当局に提出していただく。行政当局は申請書を受理した上で、専門家による委員会等へ意見を聞くために送付し、また、必要に応じて申請者へ追加情報を求め、最終的には専門家による意見等を聴取した上で申請者への回答を行っていく。その際、申請内容につきまして情報公開といったことが必要になってくるであろうということで、一番右側の市民に対して矢印を1つ加えさせていただいております。申請者への回答に際しましては、当然許容できるか許容できないかといった2つの段階。それから、許容できる際の放出に際しての条件などを回答する必要があるであろうと。許容できる場合、こういった申請者への回答ですけれども、決定内容につきましては専門家による委員会なり市民に対し、どういう決定をしたのかという形での情報の公開というのは必要になってくるであろうと。さらに許容できる旨決定された場合に、その条件に従った環境への放出が申請者によって開始されるということになりますが、その下に、新たな知見が得られた場合について、それぞれ申請者なり行政当局が何を行うのかということを簡単に整理しております。
申請者が、もし新たな知見を得た場合には、当然、関係機関に通知をして、あらかじめ計画を立てていた緊急時の計画というものに沿った対応が必要であれば、そういう措置を講じていただく。さらに、行政当局では新たな知見に基づいて再度評価する必要があるかどうかというような意見を専門家による委員会等に聞くという手続きを入れております。
専門家による委員会等に情報を送付し、意見を聴取した上で、申請者に対して利用の変更などが必要ならばそれを指示するというようなことになってくる、と。
こういった新たな知見が得られた場合、得られない場合も含めまして、申請者はモニタリング結果を行政当局に対して当初のモニタリング計画に基づいて報告をしていただくと。
こういった形で環境放出利用に際して影響の評価、それから実際に利用を決定し、利用後の新たな知見が得られた場合の対応というのが整理できるのかなというふうに考えております。説明は以上です。

【岩槻委員長】どうもありがとうございました。
参考資料2で、これまでの議論の流れを整理をしていただいて、それに基づいたまとめをしていただいたということなんですけれども、今のご説明に対して、どの部分からでも結構です、どうぞご質問、コメント、お願いいたします。山野井委員、どうぞ。

【山野井委員】中間報告という段階ではこういう表現でよろしいのかなと思うんですけれども、実際やる場合、あいまいな部分がたくさんあって、例えば8ページのパラグラフ(53)ですが、「ごく低頻度」という表現ですね。それから、「長期的な影響」。「低頻度」というのはどの程度のことをいうのか、「長期的」というのは一体どのぐらいの範囲のことを考えるのか。考えようによっては際限なくなりますよね、長期的といいましたら。あるいは、「地域」という言葉も出てくるんですが、その栽培の地域というのは一体どの範囲のことを指すのか。当然、植物の場合でしたら花粉の伝播等の問題が起こります。
微生物の場合はまたちょっと別だと思うんですが、そういう意味での範囲の問題。
それから、「許容できる範囲かどうか」という、これも同じことなんですけれども、その許容できるという範囲をどのように決めるかということの、例えばパラグラフ(94)ですとか(89)あたりにも書いてございますが、これは申し上げたようにこういう報告書の段階であればこれでいいのかもしれませんけれども、実際に行います場合に、こういうことについてある程度基準を設けておかないと。実際のことを考えた場合にそういう難しい問題があるなというのがまず第一の印象でございます。
それから、もう一点は、これも同じような意味で、書いてある内容はそのとおりで別に異論はないんですけれども、実際にやる場合に難しいのと、それからもう一つ申し上げますと、パラグラフ(45)に書いてあるのですけれども、8ページの上の方でございますけれども、「物質循環などの生態系の機能面への影響」と、こういう言葉が出てますね。
多様性でどういう生物がどんな数に変化したかというのは、モニタリングしやすいんですけれども、物質循環という問題になりますと、では一体今までその地域でどんな物質循環が行われていたのかというもとのデータがなければ、この植物を植えたときに、あるいは動物なり微生物を持ち込んだときにどう変化するかというのはわからないわけですよね。
そうすると、こういうデータというのはどれだけあるのか。季節変動等もありますから、相当総合的に長期にわたって、物質循環に対するデータを持っていないと、実際にはできないのではないかと。この案文の段階ではやりづらいでしょうけれど、実際の場合を考えて、ある程度シビアに詰めていかないとちょっと難しいのではないかというのが1つ印象
でございます。以上です。

【岩槻委員長】事務局からお答えいただくことかどうかわかりませんけれども、こういうことというのは常に具体的にそれが本当にできるのかどうか、科学的な事実の認定というまで含めてなんですけれども、それを本当に実行するためにどうしたらいいのかということを具体的に考えるべきということですね。

【山野井委員】こうした評価をどこでどう決めるかということがやはり必要になってくると思います。

【岩槻委員長】その点は。事務局……。

【事務局】具体的にどのような情報を申請者に出していただいて、実際にはどういう項目を評価していただくのかといったことについては、全体の仕組みは法律なりで作るにしましても、具体的に必要なデータ、求めるデータ、それから、評価すべき項目というのは、法律の下のレベルで決めていくことになると思います。それを検討する際に、現実に現在の知見でどこまでの情報を求めて評価をすることが可能なのかということを踏まえて、実際の評価のための情報なり評価のやり方というのは決めていかなければいけないと思いますので、そこで現実的なものとして、ここに書いてあることが実際に可能かどうかということを踏まえて、現在の時点でできる範囲でのことを求めていくということになると思います。

【岩槻委員長】その意味では、ここに書かれていることはすべて「可能な限り」という括弧書きの条件がついていることだと思うんですけれども、それがために情報の公開による透明性だとか、それからモニタリングの慎重さだとかというのが逆に強調されているということかと思うんですけれども。

【山野井委員】もう一点よろしいでしょうか。

【岩槻委員長】どうぞ。

【山野井委員】岩槻先生がおっしゃったことですが、情報の公開性の問題ですけれども、これはものすごく大事だと思います。私はもし企業がこれに絡む場合であっても、当局とのやりとりというのが出てきますよね。その内容を、場合によってはオープンにする。これはだめと言われたことに対して、また研究し改良してデータをつくってまた出すと。またそれがだめと言われる。そのやりとりを積み重ねることによって、パブリックアクセプタンスが進むんじゃないかなと思います。そのくらいの覚悟がないと、特にLMOでございますので、別な意味での不安感を持っている方が非常にたくさんいらっしゃる中での話ですから、そのくらいの覚悟が要るのかなと感じています。企業の立場でそんなことを言っていいのかと言われるかもしれませんが、やはりやる以上は、きちんとやる必要があるんです。そういう意味でも、さっき言ったあいまいな部分があるとちょっと困るというふうに思います。

【岩槻委員長】今お話を伺っていて企業サイドの委員がそういう発言をしていただくというのは非常に心強いことなので、その意味では行政サイドでもそういう発言を十分斟酌していただいて、透明性を確保するような方向で作り上げていただけたらというふうに思います。他に。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】3点ないし4点ほどございますが、今のご発言、私も非常に勇気づけられました。それもちょっと関連することもあって申し上げますが、順番にいきますとまずパラグラフ(102)のところですけれども、これもそれほど問題ないのかもしれませんが、前に送っていただいたものと比べると少しトーンが変わっているような気がします。「事前に生物多様性への影響について評価を行い、影響の程度に応じた軽減措置を講じる仕組みが必要である」で終わっているものですから、これはこれで別にニュートラルなのだろうと思うんですけれども、それによって、生物多様性の保全と持続可能な利用に支障を及ぼすことのないようにする仕組みというようなことがどこかに入った方がいいのかなと。
これだけ見ると、評価をして軽減するだけだというふうに読めるものですから、ちょっと読み方の問題なのかもしれないのですけれども、もともとのカルタヘナ議定書の目的をこれによって達成するというようなことはどこかに書いていただいた方がいいんじゃないかなと。つまり、この書き方だと、とにかく申請者から何か申請が出てくるのでそれを国が評価するだけだというトーンが非常に強く出ているような感じを私は受け取れる。それは結果的にそうするしかないのでしょうが、最初からそういう志が低いような書き方は良くないかなと。パラグラフ(104)で結局そういうことになるんですけれども、パラグラフ(102)のところで最初からこういう書き方をしているのはちょっとどうかなということです。それは多分にニュアンスの問題ですが。
それから、もう少し実質的な話としては、パラグラフ(105)のところで、13ページの1行目ですけれども、多少議論を呼ぶところかもしれませんけれど、前からちょっと申し上げているように、この委員会は中立的なものにする必要があって、どうしても利害関係のある方だと目が曇る可能性もあるので、この委員を非常に中立的なものにする運用というのが非常に重要になってくると思いますので、そういう言葉をもしちょっとでも入れていただけると大変ありがたいということがございます。
それで、パラグラフ(112)のところですけれども、これは質問ですけれども、この「指示」というのは実際にはどういう形になるのか伺いたい。多分法的には、勧告、命令ぐらいになるのかなと思うのですけれども、そうではなくて、一般的な指示なのかどうかというあたりをお伺いしたいところです。
それから、今のご説明も参考資料の1があると非常によくわかるのだけれども、参考資料1がないと余りよくわからない。こういう図がないと、どうも読んだ人はよくわからないということになるのではないか。参考資料1の書き方が多少簡単になる可能性もあるのかもしれませんが、私の意見としては、これも中間報告の中に入れていただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。
参考資料1のところで、国民の意見を聞くというところが抜けているわけで、それは深慮遠謀のもとに抜けているのかもしれないのですが、この専門家による委員会等の意見聴取、情報公開とかいうあたりでパブリックコメントぐらいはしてもらってもいいんじゃないかと。パブリックコメントがどの程度の意義があるか、機能があるかということについては疑問もあるかとは思いますけれども、そのくらいはしていただくということは、ほかの省庁との関係でも可能ではないかというふうに思うので、その程度だったら現実的に認められるんじゃないかというふうに思って、発言させていただきます。

【岩槻委員長】幾つかコメントがありましたうちの表現的な部分は、これは内容は余りその理解が違っていないと思うのですけれども、表現のトーンの問題だとかそういうのはご指摘の線に沿ってご検討いただきたいと思うのですけれども、パラグラフ(112)に関する「指示」という言葉に対するご質問と、それから、参考資料1の取り扱いについて、事務局の方からお願いします。

【事務局】パラグラフ(112)の「指示」ですけれども、ある程度強制力を持ったものでないと意味がないので、実際には命令なりという形になると思います。
あと、参考資料1ですが、文章だけではなかなかわかりにくいということであれば、この中にある程度整理して入れさせていただくという方向で考えたいと思います。

【岩槻委員長】その参考資料1のパブリックコメントに関するところは。

【事務局】ここにつきましては、現実に情報の公開をするということはよろしいと思いますけれども、1個1個の申請に対してどのような形で国民の意見というのを求めるのか求めないのか、実際の運用上の話もありますので、ちょっと今の段階でどうこうというのはお答えしにくい部分もあります。関係する他の省の審議会などでの検討結果を踏まえてここは整理させていただければと思います。

【岩槻委員長】よろしいでしょうか。ほかに。鷲谷委員。

【鷲谷委員】お示しいただいた案は、これまでのここでの議論をよく踏まえており、また、条約や議定書が求めていることにも十分対応していて、基本的にこれでいいのではないかと思うのですけれども、細かいことが幾つか、表現のようなことなんですが。10ページのパラグラフ(83)なんですけれども、「微生物には同定されていないものが数多く存在することから、当面は機能がよく知られている微生物への影響を中心に判定すべき」というのはそれでいいと思うんですが、今後、情報を拡充していかなければいけないというようなニュアンスも入った方がいいのではないか。わからないことが多いと。わかることだけで判定すればいいということとともに、もう少し理解できる範囲を広げていく必要性のようなことが示されていた方がいいような気がしました。
それから、次、13ページのパラグラフ(110)なのですけれど、これはちょっと文章の論理的構造がわかりにくいんですね。「決定の見直しについて規定されているが、」という「が」の助詞が前後をどうつないでいるのかが、ちょっと論理がわかりにくかったんです。だから、規定されていることと違うことを言いたいのか、規定されている内容について述べているのか。「が」というのは割合あいまいな助詞ですので、もう少し論理がわかるような表現の方がいいと思います。
それから、14ページのパラグラフ(113)ですけれども、ここは生物多様性への影響のより一般的なモニタリングの中に組み込むということがあって、とても重要なことだと思うんですけれども、その「影響が生じるおそれのある生物を対象としたサンプリング調査」というところがちょっとわかりにくくて、限定され過ぎているような印象を与えるので、適切な指標種などを用いたモニタリングというような感じの表現がいいのではないかと思いました。以上です。

【岩槻委員長】いずれも、むしろ表現にかかわる問題だと思うんですけれども、ご検討いただくということでよろしいでしょうか。大井委員、どうぞ。

【大井委員】細かい表現というのは、変えるにせよ変えないにせよ難しいところがございまして、ただこの中間報告ですが、Vの議定書に対応した国内措置のあり方、特にパラグラフ(102)以降、予防原則というものを十分に意識しているんだということがあらわれていて、私、これはなかなかいい報告だと思いました。
こういう文言についてそれぞれ神経を使いますが、大体において科学者というのは決定論的であって楽観的である。それから、歴史家は今までの例えば失敗、例えば化学物質なんかでは大きな失敗しておりますけれども、そういうようなところから悲観的です。もし過剰、過小というような誤りをしてもいいということになれば過剰に規制を強くするという、そういう方向に行った方が、恐らく今までの歴史を見ていて健全ではないかと私は思っています。

【岩槻委員長】今までご指摘いただいたその表現上の問題も、やはりちょっとそこに潜んでいることというのがあるのではないかと思うんですけれども、これはカルタヘナ議定書というのを前提にして、それで、現在の科学が持っている知識というのを基礎にして非常によくまとめていただいていると思うのです。先ほど「危険性」という言葉あたりの議論もありましたように、この頃、常識を超えたような緊急事態、ここにも緊急事態という言葉が2回ほど出てくるんですけれども、これは、あくまでこの常識の範囲内での緊急事態ということだと思うんですけれども、それを超えたようなことが起こる。こういう報告では、そういう緊急事態というのは想定しないのが本当なのかもしれませんけれども、そういうことが起こり得ないとはだれも断言できない。大井先生の今の発言もそうだと思うんですけれども、科学者は今知っていることというのは割と自信を持って言えますけれども、知らないことがたくさんあるわけですから、そこで何が起こるかというのはまさに予測不能のことなので、そういうことに対する危惧までこれで触れないといけないのかどうかと。今こういう形でやるとしますと、理想的な案をつくって、それを実現するためにモニタリングだとか公開性の確保だとかというようなことをやっていくというより手がないということかと思うんですけれども。しばしば、このごろ非常識な報道、科学の上で非常識なことが出てくるだけじゃなくて、行動の上でも非常識な行動が出てくることがありますので、それに対する対応というのはもう初めから触れないというのが普通なのかどうかということなんですけれど。山野井委員、何か。

【山野井委員】今のことについては私も同じ意見で、我々の立場ですとそういった非常識な事を考えるとしようがないのかなと。だから、ただフレキシブルにスピードをもって対応できるかどうかということだと思うんですね。
すみません、今一つ私のお伺いしたいということですが、細かい点でよろしゅうございますか。

【岩槻委員長】どうぞ。

【山野井委員】9ページの両括弧でざっと並んでいるところのパラグラフ(65)と(73)には、同じ文章が出てきているのですが、これは意味が違うのかどうか。図2の何か一番長く大きく書いてある「微生物等による物質循環機能への影響」とあるんですけれども、前々回か前回、私も気になって申し上げたのは、バイオレメディエーションをやった場合、まさにこれをやるわけですね。これが危惧されることだと言われますと、バイオレメディエーションというのはできなくなってしまうのではないかと。プラスアルファの問題と、こういうマイナスの問題とを一緒に論じてしまうと誤解が生じるのではないか。

【事務局】前回、山野井委員からご指摘いただいたというふうに認識しております。なかなか対応が難しくて、当然、バイオレメディエーションで利用しようとする地域では物質循環機能などに変化を起こす。それは効果として当然あるべき話なんですが……。

【山野井委員】ええ、起こさないといけないわけですよね。

【事務局】ただ、その利用地域以外にまたそういう効果が及んでしまうというか影響が及んでしまうというようなことも懸念せざるを得ないということで。

【山野井委員】これはそれを言っているわけですか。

【事務局】ええ、そこをイメージしているのですが、それはなかなか書き分けることが難しいです。

【山野井委員】この文章ですと、そういうイメージって、ちょっと出てこなかったものですから。

【事務局】ええ。そこはちょっと誤解のないように、表現の中で修正できるかどうかちょっと検討してみます。

【山野井委員】お願いします。

【岩槻委員長】今、パラグラフ(65)と(73)が重複したというのは、これは何か違う表現が期待されていたんですか。

【事務局】パラグラフ(56)から(73)までですけれども、パラグラフ(58)から(65)までが植物・動物の環境放出によるもので、パラグラフ(67)から(73)は微生物の環境放出によるものです。図1と2に対応して書いてあって、同じ文言が繰り返し出てくるんですが。

【大塚委員】パラグラフ(66)の前でちょっと行をあければ。

【事務局】そうですね、すみません。わかりました。

【山野井委員】いや、今のおっしゃったことはわかっていたのですけれども、意味が違うのですかということなんです。

【事務局】そこはバイレメの効果とかということと関連した話になってきてということでしょうね。

【山野井委員】わかりました。ぜひお願いしたいんです。

【事務局】はい。

【市田委員】少ししつこいかもしれませんけれども、先ほどの大塚委員のご発言に関連して申し上げたいというかご質問したいんですけれども、私もこの参考資料の1は実はミスプリントだと思っていたのですね。いろいろわからないことがたくさんあるので、ですから、いろいろな市民の意見を聞こうということをパラグラフ(109)で書かれているのはとてもいいことだと思ったのですけれども、それが参考資料1に書かれていないというのは単純にそういうことかなと思ったのですけれども、先ほどのご質問をお伺いするとそうでもないというようなニュアンスでお答えをされていたのですけれども、参考資料の1というのは、細かいことではなくて基本的な概念ですよね。具体的なことはこれから検討するにしても。でも、そこにみんな市民からの意見を聞くことが書けないとすると、それはどういうことでしょうか。このパラグラフ(109)と矛盾しませんか。パラグラフ(109)には「誰もが情報を得ることを可能とし、………意見を提出できるようにするといった措置をとることが必要である」と文章上では書いてあるわけですから、このフローの中でもどこかで市民は意見を、情報をとるだけではなくて、何かどこかでやはり言いたいのではないかと思うんですね。それは、だから書けないということはどういうことなのかなと思いますが。

【事務局】個別の申請に対して意見を聞かなければいけない、環境アセスメントみたいな形でかっちり規定するのか、それとも、情報を得た人が必要に応じて意見を言うということについては妨げないというふうな書き方にするのか。前者ではないだろうということで、実線で反対向きの矢印を書くことはちょっと避けたんですけれども。ただ、パラグラフ(109)に書いてある表現とちょっと違うじゃないかということは確かにご指摘のとおりですので、何らかの形で右から左にくるような、実線になるかどうかはわかりませんけれども、そちらの向きのアクションがあり得るということをこの中で位置づけたいというふうに考えます。

【市田委員】お願いします。

【岩槻委員長】事務局で考えられると、ついパブリックコメントみたいな形だけが矢印になるような印象があるのかもしれませんけれども、そうではなくて、チャンスはあるんだということはやはり表現されていないと、確かにおっしゃるとおり、パラグラフ(109)との整合性がありますので、何らかの形でお願いいたします。大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】ちょっとしつこくて申しわけないのですけれども、もちろんパブリックコメントよりもっと厳重なものであればそれはそれでいいと思うのですけれども、パブリックコメント程度のものを個々の案件について全部やるというのは、行政コストとしてはほとんどかからないような気がしているのですけれども、何かまずいんでしょうか。あるいは、それを限定するとしたらどういう基準で限定するかということはまたもちろん考えなくてはいけないようなことになると思うのですけれども、もしそういう基準について何か事務局がお考えであれば教えていただきたいというのが1つあります。
それから、さっき座長がおっしゃた緊急的なというか、予想もつかないような事態が生じた、あるいは予想もつかないような行動をした場合というようなことをおっしゃっていたのではないかと思いますけれども、その点についてちょっともう少しお伺いしたいのですけれども、また、今の点、もし事務局に何かお答えいただけたらお願いしたいのですが。

【事務局】どういったものに対してパブリックコメントをするべきなのかということを頭の中でクリアに整理しているわけではありません。実際の仕組みとしてどのくらい手間がかかっていくのかといったことも踏まえて、実際には環境省だけでという話ではありませんので、そこは具体的にそういう措置を講じることができるかどうかを、実務的に検討した上で、できそうな形で位置づけられればというふうに考えます。

【岩槻委員長】あとは私の発言に対する質問ですか。

【大塚委員】今の点は、先ほど市田委員がおっしゃったようにパラグラフ(109)の文言を余り変えずにできるだけ頑張っていただきたいということもあります。
それから、座長が先ほどおっしゃったこととの関係では、これは具体的にいろいろなことが法的には想像されるわけですね。当然申請者が何か知っている情報をわざわざ出さないとか、間違った情報を出すとか、しかしそれは後で確認することは非常に難しいかもしれませんが、それについての罰則というのは当然あり得ると思うんですが、それから、軽減措置をとるように条件をつけて許可をした場合に、その軽減措置をとらなかった場合は、これはやはり罰則規定が当然入ると思うのですけれども、これは意見として申し上げておきます。
それ以外に、緊急措置というのは、緊急時に対する対応としては、最後の図3に書いてあるようなことだと思うのですけれども、これは何か前に議論があったのかどうかちょっと私も記憶は定かではないんですけれども、これ、もし何か軽減措置をとらないで、そのために何かおかしなことが起こったという場合には、これはどういうことになるんですかね。単に罰則だけなのでしょうか。これは原状回復というようなことは不可能ですよね。
そういうときについてはどういうふうにお考えですか。今回の報告書に書けるかどうかということはよくわかりませんが、一応お伺いしておきたいのですけれども。

【事務局】環境放出してしまったものに対して影響が出て原状回復というのは、かなり現実的には困難かなと思います。ただ、その管理の仕方としては、どこでその生物が利用されているのかといった情報を確実に得ておく必要があるのか。何か事が起こったときに、原状回復とまでは言えないにしても、例えば栽培しているものを刈り取れとか、そういうようなことまで、栽培するような場所が特定できればそういう管理というのは不可能ではないような気がするんですが、そこは影響の程度に応じてそこまで負担をかけさせるべきか、そこまでやる必要はないのかというのは、許容するときの条件として申請者にどこまで負担させるのかというのは影響の程度に応じて考えていくべきなんだろうと思います。
条件としてここまでやるべしということを守らなかった場合には、当然罰則なりということはかけ、必要であれば、原状回復というのが可能であれば、そういった措置をかけられるという仕組みは必要だと思います。

【岩槻委員長】報告書の中でいう「緊急」という概念とは大分今は違いますが、例えばこれは遺伝子組換え技術というのは科学としてきちんと有効な部分があるという前提で話を進めてきていますよね。ところが、遺伝子組換えというのは全く間違ったことをやっていたんだということが出てこないという100%の確証はないわけですよね。そういうことが起こったときに、対応することということこの報告書の中では出てこない。
それから、単に情報を隠すとか何かという程度だったら、これは緊急事態には違いないかもしれませんけれども、これは法の範囲の中で言えることなんですけれども、常識に外れるようなことというのがこの頃しばしば起こって……。

【大塚委員】例をおっしゃっていただけないかと……。

【岩槻委員長】いやいや、もう常識に外れることだから言えないんです。例えば9・11のようなことが起きますと、これはだれもが予想をしないようなことというのがあり得るわけですよね。あり得るだけで、本当にそれがこのことに関してどういうことかというのは言えないですけれども、そういう常識に外れたことというのは、やはり無視してはいけないことだと思うのですけれど、危惧ということを常々言うときにはそういうことが起こり得るんではないかということがやはりどこかのところに潜んでいるからそういうことが出てくるので、一般的に言いますと、科学の常識を認めさえすればそのような危惧は生じてこないはずなんですけどね。ということを申し上げたかったんです。

【小林自然環境局長】今の議論に関連してなんですけれども、13ページ、下の方(112)で、何か起きてしまったような、再評価をするようなときのことなのですけれども、「当該生物の利用方法の変更、利用の終了等を指示できることが必要」、「指示」という言葉がどのくらいの強さを持つかということもさっき議論になりましたけれど、この「等」の中に含まれてしまっていることが、例えばさっき、回収とか原状回復とかという話がありましたけれども、確かに1回出てしまって、影響があるやつが出てしまって、なかなかそれを本当に原状回復というのは難しいと思うので、何かどこまでやるかという辺の少し整理というか、この委員会での考え方というのを、「等」で全部ごまかさない方がいいかなという気もしているのが1つ。
それから、次は質問ですけれども、同じ13ページのパラグラフ(107)で、「現在設けられているリスクに応じた封じ込めの基準を基本として、封じ込め利用を行う者が遵守すべき基準を設け、適切な管理」と書いてありますけれども、現在やっている基準とこれから国内措置としてする封じ込め利用を行う者が遵守すべき基準という同じ「基準」という言葉を使っています。法律では国内措置としてもう少し強制力を持ったものを考えているのか、従来のガイドラインというようなものでやろうとするのか、そちらはどっちの方向へ行こうとしているのかだけちょっとお伺いしたいと思います。

【事務局】これについては、これまでの基準というのを法律に基づく基準として位置づけるといったイメージで書いているんですけれども。

【小林自然環境局長】予期せぬ事態として封じ込め利用でも意図しないで出てしまったり、それから、先ほど信じられないことに、誰かが意図して出してしまったりというようなことに対してどういうふうに対応するかということもあるものだから、もしかしたらガイドラインでは済まないかもしれないなという気持ちがあって質問しました。ありがとうございました。

【岩槻委員長】鎌田委員、どうぞ。

【鎌田委員】今のことをまず最初にちょっとお伺いしたいんですが、今のこれ、封じ込めの中での利用ですよね。それを法律化するということを前提として書かれているということですか。今の説明はちょっとそういうふうに聞こえたんですが。封じ込めの中でのいろいろなリスクに応じた封じ込めの基準は、現在ガイドラインという形でありますよね。
だから、ここは新たに何か設ける、それを法律化するというふうに私は今聞こえたのだけど、そういうことでよろしいんですか、本当に。そういう議論はしていなかったと思うんですが。

【事務局】ここでの議論ではそこは余りしてないですよね。そこにつきましては、別途、試験研究段階ではどうするのかと、他省での審議会での議論というのがありますので、そこを踏まえて書かなければいけないので、ここはちょっとあいまいに書いているところです。
今後、環境省だけの検討ではなく、他の関係する省での議論というのもありますので、そこを踏まえて実は調整して修正する必要があれば修正するといったことも考えられると思って、今のところ書いております。ただ、仕組みとしては、封じ込め利用というのはこれまでどおりでいいです、だからガイドラインでいいですというような書き方を明らかにするというのもなかなか難しいというので、「基準は必要」というふうに書いてあるところです。それ以上は踏み込んでいないと。

【岩槻委員長】ある意味では、ここの委員会で議論していないので、そのことを何も触れないというのも1つのやり方ですね。

【事務局】はい。

【鎌田委員】あと2つほどあるんですが。

【岩槻委員長】今のところですか。

【大塚委員】ただ、これもカルタヘナ議定書の対象には入っているので、全く本対象から外すというのがいいかどうかというような問題も当然あるし、環境関係のことはやらなくてはいけないわけですから、完全に人任せにされるのではなくて、ちゃんと調整をしていただく必要があるということだろうと思いますし、別に封じ込め措置だからといって法の対象外になるということには当然ならないと私は思いますので、それは意見として申し上げておきます。

【岩槻委員長】どうぞ、鎌田委員。

【鎌田委員】今の点の確認なんですが、だから封じ込めをカルタヘナ議定書でどこまで取り扱うのかということにもかかわっていて、封じ込めは原則的にはカルタヘナ議定書から外れているというふうに私は認識しているのですが。封じ込めの中での利用ということについては。

【小林自然環境局長】いや、封じ込めの中で利用をどうこうするのではなくて、封じ込めがきちっとできていて、それで環境に出ないことの保証をどうするかということだと思います。

【鎌田委員】それならばわかるんですが。何か、何となくここの書き方をされてさっきのような返答になると、いや、封じ込めの中での封じ込めのあり方まで全部決めるんだというふうに聞こえたので、それはカルタヘナ議定書のもともとの話からどんどん離れていくだろうと。あくまで閉鎖系利用はカルタヘナ議定書から外れている。閉鎖系とは何ぞやという議論はもちろん別にありますが。ということだと私自身は認識していたんですが。
それで、確認をしたいことでもあるんですが、1つは、パラグラフ(90)と(91)の「利用による便益の考慮」という中で、前にも言ったと思うのですが、そもそも便益とは何ぞやということが大事で、例えば我々のように基礎研究としていろいろなことをやっていて、いわゆる便益って何なのかと。組換え生物が環境に何か影響を与えるかどうかを調べるんだというような試験研究というのがあるわけですね。そういうものは便益なのかどうなのかということを、どこかそこら辺をちょっとはっきりさせておかないと。例えば環境に影響があるかもしれないと、便益がないんだからやってはいけないという話になってしまったら、便益とは何ぞやということはちゃんとしておかないと、後で本当に試験研究が成り立たないというのはおかしい。
それから、ちょっとこれも難しい言葉なんですが、パラグラフ(48)の、これも概念的な問題なのでいいのかどうかわからないのですが、「これらのフローにある『危惧される影響』が生じないことが必要である」。もちろん、考え方としてこれはいいんですが、こう言っておきながら、後ろの方では「危惧される影響が生じる可能性があるときに軽減措置をとりましょう」という論理展開というか全体の枠組みができていて、これは頭の一番大事なところで、「生じないことが必要である」と書かれたら生じる可能性があるものは一切だめなのかということなので、これは枠組みの一番頭なので、そこら辺のところは現実には、例えば、若干の影響があるかもしれない、だからこそ、例えばモニタリングをしたり軽減措置をしながら実際に段階を追ってやってみましょうということを全体の流れにしているので、ここの書き方、ニュアンスをちょっとうまく書かないと、もう最初からここで、前段で生じる可能性があったら全部だめだよとなりかねないというのを気にしています。
それから、もうあと1点なのですが、パラグラフ(96)のところの、「一般的な影響に着目した監視」の中で、遺伝子改変生物のみに着目したのではなくて外来生物全体も見なさいよというようなニュアンスになっている。大きな目標としてはいいんですが、これ、例えば申請者にここまでやれというようなニュアンスになってしまうと、じゃあ、何で組換えと関係ないことまで全部見なければいけないのかと。一般的な概念としてはよくわかるのだけど、これはだれが主体者かによってここまで課すのは逆に関係ないじゃないかと、環境省が一般論としてやればいいじゃないかという話になりかねないし、ここら辺の書き方がちょっと言い過ぎているような気もしないではないと思っています。

【岩槻委員長】いずれもご指摘されたことは大変だと思いますが、そういう方向でご検討いただくということでお願いします。市田委員。

【市田委員】時間が少しなくなっていると思うので、もしあれでしたら次回でも結構なのですけれど、先ほどのお話の中で、もしいろいろな問題が起こってしまったらどうするんでしょうかというお話があったときに、ご説明では「実際は解消は難しいね」というところで議論が終わったんですけれども、だけど、実際問題、問題が起こったときにそれはどうするんだということは非常に大きな問題ですよね。今、移入種の問題なんかでもそれがすごく問題になっているわけで、ですから事務局というよりはむしろどなたにお聞きしたらいいかわからないんですけれども、鎌田先生か加藤先生か、実際にそれをやっていらっしゃる方たちはその問題が起こったらどうしようというふうに考えていらっしゃるのかと。その辺、いつかきちっと教えていただけないかと思うのですけれども。

【岩槻委員長】そういう問題については、もう一回この委員会、6月末に予定されていますので、そのときに今まで出てきたコメントというのを事務局でどういうふうにまとめていただくかということの検討も含めて、次回予定されている小委員会で議論を続けていただくということで。
きょうは、ほかの審議会との関連についてどういうふうに進んでいるかということについて事務局の方からちょっとご紹介をお願いしたいのですが。

【事務局】このカルタヘナ議定書の国内対応については、農林水産省あるいは経済産業省、文部科学省など各関係省庁でそれぞれ審議会や懇談会の場でいろいろ、どういうふうに対応するかということを検討しているところでございます。それぞれ他省の審議会で中間報告等ができてきていますので、それぞれ関係する審議会なり懇談会なりの報告案、そういうものを整合を図る必要がやはりあろうかというふうに考えておりまして、本当はそのかかわる審議会、懇談会の方々全員で集まって討議ということも考え方としてはあるのですが、ものすごく大勢になってしまって事実上その会議はできないだろうということで、各省とも相談しておりますのは、それぞれの審議会などから例えば座長を含めて何人かの方々にお集まりいただいて、それぞれの審議会の検討内容について調整を図る会議というものを開催して、意見交換なり内容調整をしたらどうかと、こういうふうに考えておるところでございます。
従いまして、そこを具体的にどうするかというところはまた委員長の方とご相談をさせていただきたいというふうに考えております。

【岩槻委員長】どうぞ。

【矢木委員】私もそれに関連して一言だけちょっと言わせていただきたいのですが、これのパラグラフ(40)、(41)というところに「国内措置のあり方の検討体制」というのがあります。現在、いろいろな省庁でスタンダードを持っていますので、ダブルスタンダードだということで困っていることもございます。ですから、ぜひここのところで、この際やはり統一をしていただきたい。パラグラフ(40)でそういうことが書いてありますので、パラグラフ(41)のところで、鉱工業、科学技術といった分野に必ずしも含まれない組換え体の利用が生じていることも考えられているというよりは、現在既にそのような利用が生じている。大学ではもういっぱい組換え体をつくっておりますが、みんな慎重に使いたいということで使わないのでありまして、安全とされればもう本当に出てくると思います。そんなことで、ぜひこの辺のところの考え方をここで統一していただけたらという気がいたします。

【岩槻委員長】いずれにしても議定書への対応というのは国としての対応になりますから、国としてそういう調整がないといけないので、今そういう集まりをご尽力いただいているというふうに伺っています。日程のことなどもありますので、どなたに出ていただくかというのは事務局と相談しながらまた後ほど連絡させていただきます。
そういう連絡会は、6月28日までには設定されると思いますので、次回、第6回目のこの委員会が6月28日に設定されていますから、そのときにまたご報告をさせていただいて、意見をいただく機会があるかと思います。
今日は大体予定の時間に近づいてまいりましたので、この段階で終わらせていただいて、事務局の方で改めて整理をしていただいた上で、もう一度6月28日にお集まりいただきますようにお願いします。局長、何かおっしゃいますか。

【小林自然環境局長】遺伝子改変生物が野外に放出された場合の生物多様性への影響として我々としても大きな関心を持っています。ですから、環境省としては、いろいろな場合を想定しながらの対応というのが必要だというふうに思ってはいますけれども、1つ、今回のこの小委員会でご検討いただいている課題というのは、現実に国際合意ができているカルタヘナ議定書にどうやって国内体制をとっていくかというとこら辺が課題ということでございますので、そういう基本的なところを踏まえてご議論をまとめていただければというふうに思います。
この小委員会だけで議論していけば済む問題ではなくて、今、委員長からもご指摘いただいたように、関係のところでも一生懸命ご議論いただいていますので、そういうところの調整を踏まえた上でもう一度ご検討いただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【岩槻委員長】それでは、きょうはどうもありがとうございました。これで終わりにさせていただきます。事務局から何か。ほかには連絡はございませんね。

【事務局】次回の日程ということですが、6月28日の午前中を予定させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【岩槻委員長】それでは、これで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。