平成14年4月10日(水)14時00分~16時00分
経済産業省別館第1012会議室
(野生生物部会長) | 岩槻 邦男 | ||
(委員) | 磯部 力 | 市田 則孝 | 岩熊 敏夫 |
大塚 直 | 鷲谷 いづみ | ||
(専門委員) | 加藤 順子 | 矢木 修身 | 山野井 昭雄 |
(環境省) | 小林自然環境局長 | ||
松原審議官 | |||
黒田野生生物課長 | |||
水谷野生生物課補佐 | |||
鈴木野生生物課専門官 |
【説明】
事務局より、資料2に基づき、小委員会の論点を整理。資料1の修正点、特にフロー図について説明。資料3に基づき、具体的なリスク管理の方法について説明。参考資料2に基づき、EU内での改変生物の意図的放出に関わる手順を説明。
【議論】
<資料1の記述の不十分な点について>
1. バイオレメディエーションの場合、物質循環機能の変化が目的となるので、危惧される影響という位置づけはおかしい。
2. リスク評価に当たって、誰がいつ決定して情報を提供するかなど、手続きの主体を明示する必要がある。
<生物多様性への影響について>
3. 改変生物の利用と、それに伴い生ずる様々な影響との因果関係をはっきりさせる必要がある。
4. ヒトに対する影響は、生物多様性への影響とは独立した問題ではないか。
5. 改変生物の影響と、様々な人間活動の影響をどのように判断するのか。
<リスク評価の制度について>
6. 閉鎖系利用とはいっても、漏出のおそれがあるので、環境への影響も想定した制度とすべき。
7. 様々な知恵を集めて判断が下されるシステムが必要。
8. 危惧される影響がプラスかマイナスかどちらともいえない場合、どのような判断を下すのか。
9. 地域個体群や微生物相に限らず、生物多様性全体への影響を評価しなくてはならない。
10. 人の営みというのが要素になっているので、農業生態系という視点も必要。
11. リスクは数字で表すことのできない漠然としたものなので、事前の評価とともに事後の対応が重要となる。
12. カルタヘナ議定書では事前の評価に主眼がおかれており、事前の規制は重要である。しかし、規制を厳しくしても事後の影響が出てくることを想定することが必要で、事後のフォローも重要である。
13. 評価委員会のシステムは、化審法の審査と比較してもさらに難しい。
14. すべてのGMOが同じように危険というわけではない。個別の事案に対応できる評価項目やフローがあればよい。
15. 限定的な利用を前提にしても現実には自然界に出回ってしまう。事後の対策をとれるようにしておく必要がある。
<リスク評価の方法について>
16. 厳しい閉鎖系から徐々に緩めてゆく過程でデータを集め、事前に評価することが適当。
17. ケース・バイ・ケース、ステップ・バイ・ステップで規模を拡げていき、少しずつ情報を得る努力は欠かせない。
18. 輸出国側のデータだけでは、環境の異なる日本への影響は明らかにできない。輸入に先立ち、日本で栽培して影響を評価することが必要。
19. 閉鎖系における評価には、開放系において使えるものとそうでないものとがある。生態系レベルでの影響の連鎖は評価が難しい。
20. 動物は影響がでた際の事後の対策が難しい、また植物は食糧問題と直結して必要性が高い、このような面から動物、植物で評価が違うべきでないか。
21. 花粉や種子が飛んでしまえばそれを止めることはできないし、共生菌のこともよくわかっていないので、植物の半開放系の評価は難しい。
22. 開放系利用での薬剤耐性の水平伝播を評価するのは難しい。
23. 抗生物質耐性菌を放出した際の水平伝達のデータが十分でない。
24. 遺伝子組換えだけでなく生物多様性そのもののモニタリングが必要である。サーベイランスの実施に必要な資金を民間から提供してもらうというのも一つの手法である。
25. 社会通念上許容できるような基準を設けて判断する方法と、個別にケースバイケースで判断する方法とがあるが、後者は現実的ではない。
<リスク評価の公正性について>
26. 健全な生態系とは何か、その基準をどこにとるかが問題。
27. リスク評価の段階で委員会の意見が必ずしも一つにまとまる必要はない。委員会の中立性、情報公開性がしっかりしていることが重要。
28. 簡単な苦情処理とか不服審査のような仕組みもあった方がよい。
29. 科学委員会ができたとしても、科学だけではっきり分かることは少ない。透明性の確保が必要。
<リスク評価における便益について>
30. 評価委員会がリスク評価した後、行政庁が許可する際に便益に関する情報も入れて判断することが適当。
31. 便益の有無を情報収集の段階にも入れておくべき。
32. 便益のうち何が公益かというのは難しい。
33. メリットがなければ改変生物は作出されない。判断過程の中に便益のような不確定な要素を加えると、便益を考慮することが申請者にとっての救済措置になりかねない。
【説明】
34. 事務局より、資料4に基づき、他省での検討状況を紹介。