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議事録一覧

中央環境審議会野生生物部会
第1回遺伝子組換え生物小委員会 議事概要


1.日時

平成14年1月8日(火)15:15〜17:10

2.場所

環境省第3会議室

3.出席者

(小委員長) 岩槻 邦男
(委員) 市田 則孝 岩熊 敏夫 大塚 直
鷲谷 いづみ 大井 玄 加藤 順子
鎌田 博 矢木 修身 山野井 昭雄
(環境省) 小林自然環境局長
松原審議官
塩田総務課長
黒田野生生物課長
渡邉生物多様性企画官
水谷野生生物課補佐

4.議事概要

【委員】各省の組換え生物に関する検討について横断的に検討結果をまとめるのか。

【事務局】現在の指針だけでカバーしきれない部分もあり、この委員会での議論を通じて、各省庁が入る、一つの大きな枠組みはつくりたい。

【委員】 開放系の範囲についての議論も必要。

【委員】 議定書でふれている人の健康への考慮について、生きた動植物、微生物による人の健康への影響はどういう整理か。外来種問題では、人の健康への影響について言及していないが、遺伝子組換え生物にはそれが出てくる意味は何か。

【事務局】「人の健康へのリスクを考慮」する場合として、例えば、開放系利用された生物から環境中に出たものを介して人の健康に影響が出ることについて、議定書に基づく措置でカバーするという考え方はあるが、その範囲についても委員会で議論してほしい。どういう経過で人の健康へのリスクの考慮が入ってきた経緯は整理する。

【委員】 影響を考慮すべき生態系の中に、農地も入るのではないか。水田などを考えると、生物多様性の保全の場としてもかなり重要な場であることが注目されている。ウイルスなどのベクターによる水平伝達など、さまざまな影響の可能性を考慮すべき。

【委員】 農水省の環境安全性の確認ではファミリアリティーという概念を使っているがその概念を使うのかどうか。守るべき生物多様性は何なのかという根底の部分を議論をしておく必要がある。

【委員】 閉鎖系と開放系との区別について、農水省、文部科学省でのこれまでの概念との整合性も考慮する必要がある。人間活動による個体群の縮小は日常的に生じているはずで、生態系へ影響を及ぼしている様々な人間活動の中の一つとして、組換え生物による影響を整理をすることが現実的。

【委員長】外来種、移入種による影響があるが、それに対して遺伝子組換え生物について何故ここで特に扱うのかという問題を整理しておく必要がある。

【委員】 国外で議定書に対応してどのような枠組みを検討しているかについて資料を準備してほしい。特にEUは予防原則のもとに検討していると考えられ、生物多様性についても熱心であり、議定書対応でどのような検討をしているのか。

【委員】 一つの品種の中で様々にゲノムを変えたものが次々利用される場合、同じ種内で交配を繰り返し、長い時間の間にどう変化するか、環境に対してどう影響を及ぼすかについて、集団遺伝学的な考え方の整理はどうなっているのか。

【委員】 集団遺伝学的な予測の可能性については、異質移入、突然変異、自然淘汰、自然選択の4つの現象について、経験的なデータや法則性を把握できれば、現実的なモデルをつくることはできるが、それでも確率的な部分がモデルの中に多く入ってくる。クローズな場所であればデータをとることによる検討が可能だと思うが、自然下の集団での動態を予測することは簡単ではない。そのための研究を行い、経験的なデータをとっていくことは、生物多様性保全に関して重要な研究テーマであり、進めるべき。

【委員】 さまざまな組換え微生物ができているが、危惧される影響は入れた遺伝子によって起きるので、遺伝子によって影響がある程度予測できるが、遺伝子の挙動を調べる必要がある。組換え体だから影響が出ているのかどうかについて、組換え体と非組み換え体でどこが違うのかを評価の観点として考えなければいけない。微生物の生物多様性への影響については、1グラムに1億もいる菌の影響については未知の部分が多いが、トータルとしての機能を評価する必要がある。各国の今までの評価項目を検討すべき。アメリカと日本で、利用可能な菌の基準も違っている。微生物の分野では、研究実績は多いが環境影響の評価が難しいため、業界も評価方法の確立に対して期待をしており、科学的な事実に基づいた評価ができるような仕組みが必要。

【委員】 植物、動物、微生物に対するアプローチの仕方は相当違う。生物多様性の確保にとって生じてはならないこととは何かという設問に答え得るかどうかは疑問。生物については種間、種内の変異、各生物種の間の密接で微妙な関係性があり、我々は生物多様性をどのぐらいきちんと評価できているのか。この委員会では、ある程度違ったものの見方をしている人たちが、共通して納得できるような考え方を提示する必要がある。

【委員長】生物多様性が完全に調べ尽くされた後で、議論するわけにもいかない。今の我々の知見でどこまで評価ができるか議論をすることが適当。組換え動植物による微生物も含めた生態系への影響、組換え微生物による生態系への影響をそれぞれ検討する必要がある。

【委員】 生物多様性への影響というのはどういうことなのか、何らかのエンドポイントを決めないと議論ができないので、在来種の地域個体群の縮小と、在来種の地域個体群の形質の変化が生物多様性の減少につながるものと整理した。時間的なスケールについても見通せる範囲での議論でしかできず、それ以外の部分は別の方法で考えるべき。

【委員】 生物多様性を保全する理由のうち、人間中心的な理由は、生活や産業にとって重要な生態系のサービスを失わせないことがある。生態系サービスを考えると、微生物は重要な役割をする場合が多い。微生物については、種類ではなくて機能に着目した評価かもしれないが、評価は重要。動物、植物と微生物は、生態学的な意味での役割も多少違い、情報不足の程度はかなり違うが、いずれも不確実でわからないことが多いことを前提に、将来の人類にとって重要なものを保全するという立場から評価方法を考える必要がある。

【委員】評価を輸入国が責任を持ってやると、評価の基準が国によって違うことになる。また、影響の出方がものによって様々であるが、国際条約にそった取組なので、議定書を批准する場合に、いくつかの基本的に重要なポイントについて提言をしていくことが必要。

【委員】 例えばキクに遺伝子組換えで新しい色をつくった場合、野生のキクと交配して広がることがあるが、現実的な生態的な影響はあまりないと考えられる。この場合、許容されるのか。遺伝子組換えでできたから、許容できないという議論なのか、ある生物種が絶滅に向かう危険性があるので許容できないとするのか、整理する必要がある。

【委員】 生物多様性の保全という目標の中では、種の中の個体群の遺伝的な特性、遺伝的な系統を保全することが具体的な目標になっており、外来種でも雑種が形成されることを重視して、それを避けるための方策を考えている。野生のキクが生育している地域で、キクを墓に供えた場合に、園芸種から雑種ができることはわかっているが、雑種が祖先種よりも競争力が強く、優先してしまう問題があり、雑種の問題は生物多様性保全上では意識されている問題。

【委員】 議定書に対応した国内法を意識したときに、遺伝子組換えでなくても起こっていることも含めて議論してしまうのか、遺伝子組換え生物にある程度話を限定して、固有の問題について議論するのか整理が必要。

【委員長】もともと野生種である普通の外来種、移入種がもたらした遺伝子による影響に対して、遺伝子組換えのものは人工的だから別の考え方があると言う必要があるかどうかについて議論を整理する必要がある。

【委員】 農作物については、農作物自身が環境に与える影響が知られている中で、今までの農作物と比べ、その影響を越えるかどうかを一つの基準として評価してきた。レメディエーション用の組換え生物の場合、例えば重金属を回収する植物は、ほとんど草が生えていない場所に植えることになるが、今までの環境に生えなかったものが生えるから危険というのかどうか。有害物質を回収するから、最終的には、それを管理できるのならば、ベネフィットをとるべきであるという考え方になる。人間が手を加えることで改良したいこと、または保全しておかなければいけない部分がどこかについての見きわめをしっかりすべき。