本文へジャンプ

■議事録一覧■

中央環境審議会野生生物部会
会議録


1.日時

平成24年9月18日(火)14:00〜16:10

2.場所

経済産業省別館 1020会議室

3.出席者

(委員長) 山岸 哲
(委員) 加藤 順子
(臨時委員) 石井 信夫 石井  実 磯崎 博司
市田 則孝 小泉  透 小菅 正夫
桜井 泰憲 三浦 愼悟 山極 壽一
(環境省) 伊藤自然環境局長
星野大臣官房審議官
上河原総務課長
中島野生生物課長
堀内鳥獣保護管理企画官

4.議事

【事務局】 予定の時刻となりましたので、中央環境審議会野生生物部会を開催させていただきたいと思います。
 本日の出席者数でございますが、委員21名中12名のご出席をいただいております。神部委員がまだ到着されていませんが、ご出席いただけるというご連絡をいただいております。中央環境審議会令第7条による定足数を満たしておりますので、本日の部会は成立しております。
 先月10日付で自然環境局の幹部異動がございました。ここで、自然環境局担当の大臣官房審議官、星野審議官よりご挨拶をお願いします。

【星野審議官】 8月10日付で大臣官房審議官自然環境局担当に就任いたしました星野でございます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、そして残暑の厳しい中、野生生物部会にご出席いただき、ありがとうございます。
 私自身、野生生物課長を3年務めまして、各先生方には大変お世話になりました。引き続きよろしくお願いいたします。
 本日の部会でございますけれども、審議事項が3件、報告事項が1件ございます。その審議事項3件のうち2件が諮問の案件でございます。一つ目の諮問の案件は、ライチョウ保護増殖事業計画の策定についてでございます。
 種の保存法に基づきまして、これまで、トキ、アホウドリと、特に自然環境の改善や繁殖の促進を図る必要のある48種について、保護増殖事業計画を作成してきております。前回の作成は、平成22年秋に、オガサワラオオコウモリ、これにつきまして保護増殖事業計画をご審議いただき、作成したところでございます。今回のライチョウにつきましては、先月末に公表いたしました環境省レッドリストにおきまして、絶滅の危険度のランクが上がったことを受けて、新規に策定するに至ったものでございます。
 二つ目の諮問の案件は、国指定鳥獣保護区及び特別保護地区の指定についてでございます。今回は、新規の指定ということではなくて、既に指定をしてある鳥獣保護区・特別保護地区の指定期間が満了したことを受けまして、一部のものにつきましては、区域の拡張等ございますけれども、鳥獣保護区・特別保護地区を指定するものについて3カ所、特別保護地区だけの指定が3カ所ということで、計6カ所の指定についてお諮りするものでございます。
 三つ目の審議事項は、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略、これは仮称でございます。絶滅のおそれのある野生生物の保全に関しましては、昨年度、点検を行いまして、専門家の皆様による検討会からご提言をいただいたところでございます。この提言を踏まえて、環境省としての保全戦略を作成したいと考えております。
 本日は、委員の皆様よりご助言を賜りますようお願い申し上げます。
 最後に、報告事項でございます。
 8月28日に公表いたしました第4次レッドリスト、絶滅のおそれのある野生生物種のリストでございますけれども、これにつきまして、事務局よりご報告をさせていただきたいと思います。
 限られた時間の中ではございますけれども、ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

【事務局】 同じ当日付で異動になりました、自然環境局野生生物課の中島課長です。

【野生生物課長】 中島でございます。よろしくお願いします。

【事務局】 伊藤自然環境局長は財務省の会議に出席しておりまして、後ほどこちらに参りますので、その際にご紹介させていただきたいと思います。
 
 続きまして、お手元の資料を確認させていただきたいと思います。
 資料1−1、ライチョウ保護増殖事業計画の策定について(諮問)。公文の写しになっています。裏面が、中環審の鈴木会長から部会長への付議の写しです。資料1−2、ライチョウ保護増殖事業計画(案)という資料です。資料1−3、ライチョウの概要。資料2−1、国指定鳥獣保護区及び特別保護地区の指定について(諮問)。公文の写しです。裏面は、中環審の会長から部会長への付議の写しです。資料2−2、国指定鳥獣保護区等の諮問案件一覧です。資料2−3、国指定鳥獣保護区及び特別保護地区の指定状況、一覧になっている資料。資料2−4、国指定鳥獣保護区指定計画書(案)です。鳥獣保護区と特別保護地区の指定計画書が一緒にホチキスで留められておりますが、最初が厚岸・別寒辺牛・霧多布鳥獣保護区の指定計画書(案)、その次が大黒島の指定計画書(案)、次が藤前干潟、次が片野鴨池、次が大台山系。資料3ですが、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略(仮称)について。資料4、第4次レッドリストの公表についてという記者発表になっております。
 以上が本日の資料でございますが、足りないとか、もしありましたら言っていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事進行を山岸部会長にお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

【山岸部会長】 それでは、早速、本日の議事に入らせていただきたいと思います。
 本日は、今お話があったように、審議事項3件、報告事項1件を予定しております。
 まず、審議事項の1ですが、ライチョウ保護増殖事業計画の策定についての諮問内容について、事務局からご説明をいただきます。

【事務局(浪花)】 野生生物課の浪花と申します。私から、諮問事項1のライチョウ保護増殖事業計画の策定についてご説明いたします。
 座って説明させていただきます。
 資料1−1がライチョウ保護増殖事業計画の策定についての諮問書になります。資料1−2が、今回ご審議いただくライチョウ保護増殖事業計画の案になっておりまして、1−3がライチョウの概要となっております。
 今からライチョウの事業についてご説明いたしますが、スライドを用意いたしました。スライドの見にくい箇所は、お手元にペーパーを用意しましたので、そちらもあわせてご参照ください。
 それでは、説明させていただきます。
 種の保存法に基づく国内希少野生動植物種にライチョウが指定されております。国内希少野生動植物種は現在90種ありまして、これに指定されますと個体の取扱の規制ということで、捕獲の禁止であるとか、譲り渡しの禁止が自動的にかかるようになっています。
 さらに、二つの追加の制度がございまして、一つが生息地等保護区の指定というものでありまして、生息地の開発に規制をかける制度になっております。
 三つ目が、本日の中心となります保護増殖事業による保全ということで、環境省及び関係省庁によって保護増殖事業計画というのを作成いたしまして、保護増殖事業を実施するというものになっております。
 こちらが、今現在90種の国内希少野生動植物種になっております。赤字の部分につきましては、保護増殖事業計画が既に策定されている種でして、こちらは48になっており、ライチョウを指定することによって49種になります。
 続きまして、保護増殖事業の対象種の要件ですけども、法律の第6条に、希少野生動植物種保存基本方針というものが規定されておりまして、そこに対象種の方針が定められております。
 内容としましては、国内希少野生動植物のうち、法的規制だけではなくて、その個体の繁殖の促進、あるいは、その生息地の整備等の事業を推進することが必要な種を対象として実施するものと書かれております。
 続きまして、保護増殖事業計画につきましては、「中央環境審議会の意見を聴いて保護増殖事業を定めるものとする」という規定があります。そのため、本日の審議会がそれに位置づけられているものです。
 保護増殖事業計画については、「対象とする種ごとに、事業の目標、区域、内容その他必要な事項を定めるものとする」と書いておりまして、資料1−2がその計画の案になっております。
 続きまして、ライチョウの概要になります。ライチョウが、先ほど審議官のご挨拶にもありましたとおり、先月、8月28日に新しいレッドリストを公表しております。その際に、ランクが絶滅危惧U類からTBに上がりました。これを受けて、今回、計画を策定しております。
 ライチョウの好適な生息地等ですが、2,400m以上の高山帯に生息をしておりまして、6月にハイマツの根元などに産卵をします。主な食物は、植物の芽、種子、あるいは葉といった植物質になります。最近の調査では、山岳ごとに遺伝子組成を持った個体群に分かれているということがわかっており、さらに、一腹卵数であるとか、営巣環境、餌の内容等で、山岳ごとに違いがあるということが判明してきております。
 ライチョウの分布状況ですが、大きく五つに分かれております。北アルプス、南アルプス、新潟県の頸城山塊と言われている火打山、焼山、その周辺、そして乗鞍と御嶽と大きく分けて五つございます。白山につきましては、2009年に70年ぶりに個体が1羽、メスが確認されておりまして、現在も確認されているという状況になっています。
 過去には、中央アルプス、八ヶ岳等にも生息してございましたが、今はおりません。この地域の大部分が国立公園となっております。
 個体数及び縄張り数の推移につきまして、いずれも信州大学の調査で、1980年代には約3,000羽と推定されていましたが、現在は2,000羽以下と推定されており、縄張り数の推移を見ていただけばわかるとおり、特に南アルプスの個体群の減少が著しいという状況になっております。
 続きまして、生息を脅かす要因ですが、まず、キツネやカラスなどによる捕食が挙げられます。ライチョウを捕食する可能性のある種として、記載のあるとおりですが、特にカラスについては、かつてより高山のほうに上ってきている数が増えてきております。カラスによる、ひなであるとか卵の捕食が脅威を与えていると言われています。
 二つ目が、登山客の増加による生息地の攪乱で、営巣地の踏み荒らしや生息地への侵入によってライチョウの生息環境が脅かされているという状況です。
 続いて、病原菌の侵入によるライチョウへの影響のおそれということですが、最近の調査から、ライチョウの糞から大腸菌が確認されております。病原性はまだ確認されておりませんが、もし病原性がある場合には、特にライチョウのひなに影響を与える脅威があるということが指摘されております。
 4番目が、従来生息していなかったニホンジカやイノシシ等が生息環境の山の上のほうに登ってきておりまして、高山植物を食べてしまったりとか、掘り返してしまったりして、ライチョウの生息環境に影響を与えていると言われております。
 ただし、いろいろ減少要因を言われていますが、今回大きく減少しているところについて、この四つのうちどれが大きくきいているかというのは、現段階では明らかになっていないので、事業を進める中で、減少要因の解明を続けていきたいと考えております。
 ここで、ライチョウ保護増殖事業計画をなぜつくるかというところを簡単に説明させていただきます。
 昨年、絶滅危惧種の施策の点検ということで、検討会議から提言をいただくという形で、報告書が作成されています。その中で、絶滅危惧種保全の優先順位の考え方について明記されております。
 一つが、種の存続の困難さによる視点ということで、環境省のレッドリストランクを基本として、TA類の中でも特に絶滅のおそれの高い種を指定するよう明記されておりますが、個体数増加の困難な種については、TBも含めて対策を検討するということになっております。
 二つ目が、対策による効果の視点ということで、認知度、または住民等の関心が高いものは、多くの主体を保全に取り込むことが可能であるから、そういったものを優先的にやりなさいということが指摘されております。
 さらに、環境省が全国レベルで取り組む際の着目点ということで、分布域が都道府県をまたがって広域に及ぶ種であるとか、保全手法の技術を確立するために先駆的に保全に取り組むべき種ということが明記され、こういったことにライチョウが該当すると考え、今回、ライチョウの保護増殖事業計画を策定することになりました。
 ライチョウ保護増殖事業計画の概要ですが、共同策定省庁として、環境省、文部科学省、農水省、3省で作成したいと思います。
 目標につきましては、自然で安定的に存続できる状態にすることを目標にしています。
 事業区域については、現在生息している各県及び飼育下における繁殖を行う区域ということになっております。
 事業の内容について、大きく五つあります。一つが生息状況の把握。二つ目が生息環境の維持・改善。三つ目が飼育・繁殖及び再導入の検討となってございます。四つ目が普及啓発の推進。五つ目が効果的な事業の推進のための連携の確保ということで、1、2、3について少し詳細に説明いたしますと、生息状況の把握については、山岳ごとの分布域、あるいは個体数の把握、生態。先ほどご説明いたしましたとおり、生態が山岳ごとに違う部分もありますので、生態の把握。
 三つ目が大きいことだと思っているのですが、減少要因を解明して対策を打つということです。四つ目が、どれぐらい各山岳にライチョウが生息できるかというものを推定しましょうということになっています。
 事業の二つ目です。生息環境の維持・改善につきましては、まずは生息地、人の入り込み等による影響を防止するために、巡視や制札等の整備。二つ目が、ニホンジカやイノシシ等の侵入の防止を進めていきますという状況です。
 三つ目が、飼育下繁殖での繁殖及び再導入の検討ということで、一部の地域では個体数が減少しております。そのためTBとなっておりますが、急激に減少する可能性もありますので、健全な状態から、飼育下繁殖の技術、あるいは保険としての種の保存というものが必要だと考えておりますので、保護増殖事業計画の中で、飼育下繁殖を進めていきたいと考えております。なお、現在、動物園の取組で、ライチョウの近縁種に当たるスバールバルライチョウの飼育・繁殖というものが行われていますので、こういった知見を活用しながら、動物園と協力しながら事業を進めていきたいと考えております。
 以上、ちょっと駆け足になってしまいましたが、ライチョウの計画の概要になります。現在、ライチョウの保護増殖事業の予算要求をしております。次年度以降、計画策定後、専門家による検討会を設置しまして、保護増殖事業を進めていきたいと考えております。
 説明は以上になります。ご審議のほどをよろしくお願いいたします。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、ご発言願います。
 はい、山極委員。

【山極委員】 幾つか分布が確認されていて、それぞれ遺伝子的に大きな違いがあるというご報告でしたけども、それはどの程度の違いがあるのか。それから、例えばこれから保護増殖事業を展開していく上で、それはまじっても構わないと。つまり、トランスロケーションというものも視野に入れてやっていくというお考えなのか、ちょっとお聞かせ願いたいんですが。

【事務局(浪花)】 遺伝子の違いですが、ミトコンドリアDNAのハプロタイプの比較によりますと、南アルプスで一つの個体群、北アルプス、乗鞍、御嶽で一つの個体群、頸城山塊、火打山が一つの個体群、三つ大きく分かれていると言われております。まだライチョウは個体数がありますので、今の段階でまぜるという議論は恐らく出てこないとは思いますが、ただ、減少状況によっては、その保全単位をどこに置くかということは、今後、検討会の中で議論をして必要はあるかと思います。

【山岸部会長】 よろしゅうございますか。
 それでは、小菅委員。

【小菅委員】 質問ですけども、今まで信州大学が中心になって生息地の調査をしているようなんですけども、その中で、1シーズンでどのぐらいの産卵が見られるのかとか、それから、ふ化率はどうなのかとか、あと、補充卵が生まれるかどうかとか、この三つをちょっと教えてほしいんですけども。

【事務局(浪花)】 すみません、わかる範囲ということになってしまうんですけども、一腹卵数については概ね6卵と言われていて。

【小菅委員】 それはワンクラッチでしょう。

【事務局(浪花)】 ワンシーズンで、野生の個体はということですか。

【小菅委員】 いや、個体でなくて、例えば南アルプスだったら、全体で1シーズンに何卵ぐらい生まれていて、どのぐらいふ化しているのかというデータはないんですか。

【事務局(浪花)】 縄張り数×6という形になりますが、恐らく縄張り数はこれだけではないと思うんですけど、調査でわかっている範囲では51ですので、少なくともこれ掛ける6はあるというふうに考えておりますが、ただ、これは南アルプス全域を調査されているものではないので、もう少し数は多いというふうに見たほうがいいと思います。すみません、ちょっとデータを持っていなくて。

【小菅委員】 それともう一つ、ふ化率はどうでしょうか。

【事務局(浪花)】 ちょっと手元にデータはないですが、ただ、信州大学の中村先生が、例えば乗鞍であると、ふ化率が何%で、その後の生残率が何%というのを、出していて、例えば生残率でいうと、生後2カ月で2割弱ぐらいと、かなり数が減るという報告は受けているのは承知しておりますが、すみません、ちょっと正確なデータをお持ちしておりません。

【小菅委員】 ハッチアウトしたときの羽数と、2カ月後に残った羽数というのは、かなり違いがあるのか。

【事務局(浪花)】 そうですね。違いがあります。

【小菅委員】 心配なのは、卵が6卵生まれて、そのうち、どのぐらいの数がふ化するのか、これはすごく重要なことだと思うので、調べたら、ぜひ教えてください。

【事務局(浪花)】 そうですね。特に中村先生のご意見を伺うと、生後2カ月の減少率がやはり著しいというご指摘がありまして、そこの減少要因の解明と、その対策が必要なのではないかということを、近年、先生はかなり強く言われていますので、ふ化率はそれなりにあると思いますが、減少要因を解明していく必要があると思います。

【小菅委員】 補充卵については調べられているんですか。

【事務局(浪花)】 飼育下では、何クラッチという話は若干聞いたことはあるんですが、野生下では6卵としか、私、承知しておりません。申し訳ございません。

【山岸部会長】 私が聞いているところでは、野外で卵をとっちゃうということはないわけですから、それはやっていないと思います。
 ほかにございますか。それでは、小泉委員。その後、三浦委員、桜井委員。

【小泉委員】 2点あります。一つは、ライチョウ保護増殖事業計画の概要@ですが、ここに、「生息状況等の把握」となっていますけれども、恐らくここで必要なのは、生息状況の把握ではなくて、種ないしは個体群の存続可能性をどういうふうに評価するかということではないかと思います。
 したがいまして、調査事項が大きく組みかわることはないと思いますけれども、最終的に、この生息状況の把握は何を目指しているのか、その可能性を評価するのだということを明確に示していただきたいと思います。それをもって、次の生息地における生息環境の維持・改善というのが、その存続可能性をいかに向上させるのかということを示しながら、対策を講じていただきたいと思います。これが1点です。
 もう一点が、シカを調べておりますので、シカネタのことをちょっとお話しさせていただきたいと思います。
 ここに、従来生息していなかった野生動物の侵入が、間接的にライチョウの減少につながっているのではないかという指摘がございます。どの程度関与しているのか不明ですが、ただ、特に南アルプスの高山生態系においてシカが侵入しているということは決して望ましいことではありませんので、この防止の検討は大変重要なことだと思いますが、もう一つ、生息地からの排除という項目も設けられております。この排除の仕方が、南アルプスは、当然のごとく国立公園であり、特別保護地区であり、さまざまな法的な制限があって、なおかつ、24時間、登山客を含めて人の出入りの絶えないところなんですね。というようなところから、恐らくこれはほかの事業でも、ニホンジカの影響を指摘されていると思いますので、ぜひ、規制の法的枠にとらわれないで、生態学的な意味があるというのが、恐らく一番大事なことだと思いますので、既存の法的枠組みを変更するぐらいのつもりで取り組んでいただきたいと思います。

【三浦委員】 私も、小菅委員や小泉委員と同意見でありまして、基本的には、これは生息地外保全と生息地内保全ということで、生息地内保全では、もう少し一般的なモニタリングというよりも、存続可能性を分析するたびに、何が脅威になっているかということを明確にしていただきたい。
 つまり、3,000から2,000に減っているわけですが、野生動物ですから、そもそも増加率は、年増加率としては1以上大きかったはずですから、それが何らかの関係で1以下になって、今の状況になっているということですから、その減少されている要因は何なのか。カラスの捕食、あるいはシカの踏みつけですか。それから、一般的には温暖化の影響もあるでしょうけど、むしろもっとシカ関係の要因、全体のふ化率や、それから年の生存率がどれぐらいなのか、そういうフォーカスした調査をぜひやっていただきたいなと思います。
 それからもう一つ、生息地外保全ですが、これはこれで結構だと思うのですが、今の状況を見ると、バランスはやはり生息地内の保全を重点にしていくべきだと思われますし、あと、試行的に、スバールバルライチョウをやっているというのですけれども、基本的に生息地外保全で、リリース、リイントロダクションが可能かどうか。やるということについて反対しませんけれども、そもそもの可能性があるのかどうなのかというのを、もう少し踏み込んで考えていただきたいなと思うんですが、その2点です。

【山岸部会長】 今、三浦さんが言った、スバールバルライチョウをリイントロダクションする可能性、そんなの考えてないのでは?

【事務局(浪花)】 スバールバルは近縁種の知見ですので。

【山岸部会長】 練習だと思います。

【三浦委員】 練習ということは、考えているからやるんじゃないんですか。

【小菅委員】 いやいや、リリースするのではなくて、トキのときもそうだったんですけど、動物園がみんなで協力して、ホオアカトキだとか、いろんな種類のトキを繁殖させるという経験を積んできました。その技術を日本のトキに応用して繁殖に結びつけるということです。だからリリースするのは当然日本のトキだった。

【三浦委員】 いやいや、違いますよ。そういうもののモデル動物となり得るのかと言っているわけですよ。つまり、ニホンライチョウのモデル動物として、スバールバルライチョウ、よくわからないですが、それが適切なモデルなのかどうなのか。

【小菅委員】 少なくとも、近縁というか、同じような生活をしているので。とにかく、近縁種を飼育してうまくいくという根拠がなければ、おっかなくて、それはできないので。

【三浦委員】 もちろんそのことはわかるんです。ただ、環境条件としてはかなり違う場所でブリーディングせざるを得ないわけですから、適切なモデル動物かどうか。幾つか似たような近縁種があるんだろうと思うんですが、そういうもののブリーディングが果たして本当に生きてくるのかどうなのか、日本のライチョウで。そこのところがちょっとよくわからないな。

【事務局(浪花)】 スバールバルライチョウを今回動物園さんでやられている理由としては、恐らく入手が容易である亜種というところだというふうに思っております。ただ、そこで学ぶべき知見というのは、全てライチョウに応用できないと思いますが、例えば、今回初めて知ったのは、スバールバルライチョウの餌ですね。これまで、大町山岳博物館でライチョウの飼育をやっていたときには、あわとか、ひえとか、そういったものの人工飼料をやっていたんですけれども、スバールバルライチョウは、ウサギのペレットをあげて、それで順調に飼育できているというと、そういった新たな知見が入っています。
 あと、ちょっとスバールバルで問題になっているのが、先ほどちょっと話しました、ふ化率とか生残率がもう少し上がってこないというところが飼育下でありますので、本番のニホンライチョウでやってしまうと、死んでしまったら、それで終わってしまいますが、スバールバルは、ノルウェーでは最低限狩猟鳥獣であって、数はいますので、そういったところで少しでもライチョウに資する知見を入れて、極力ライチョウそのものに影響を与えないように、いかに生息地外保全をやっていくかということで、今スバールバルライチョウをやっているところだというふうに思っております。
 もっと近縁種があるのではないかというご意見も恐らくあると思いますので、そういったものは入手可能な状況も見ながら、この保護増殖事業を進めていく上で検討するところが必要なのかなと思っています。現時点では、計画にはスバールバルライチョウは入っていませんので、それを必ずしもやっていくというわけではないのですが、今、動物園さんが独自でそういった取組をやっているのは、そういった背景にあるというふうに考えています。

【小菅委員】 今、最後におっしゃったとおり、スバールバルライチョウを幾つかの動物園でやるというのは、これは環境省の指導のもとにやっているわけじゃないです。本来は環境省も動物園の実行部隊と一緒になって、日本のライチョウの保護増殖事業のためにどういうものがいいのか、そこからどういう知見が欲しいのかとか、そういうことを環境省も一緒にやってほしいんですよ。
 トキのときもそうだったけど、ライチョウのときも、動物園の中で話し合って、動物園がみんなで協力して、そしてやり始めたことなんですね、これ。そこのところは、もう少し僕は、国が関与してやっていくべきだというふうに思うんですよね。
 それともう一つ、ふ化率の問題は、それは餌だとか巣の状況だとか、そういうもので変わってくるので、それをどのような、いろんなパターンをつくって飼育して、繁殖率をとにかく高めていくかという、その知見をしっかりと持っておかないと、それこそ本番でやるときには、僕は失敗は絶対に許されないということは思わないけど、今であれば、生息個体数に影響がない形で採卵して、それをふ化させて研究する。それでだめになったとしても、そのDNAの研究では非常に細かなデータがとれるのでね。
 そういうことを、とにかく、いつから始めるのか。ぎりぎりになってからやったってだめなので、とにかく失敗が許されるような状況の中で、採卵からまずやるべきだと思うんだけど、成体をとってきて飼育するなんていうのは、このリスクはめちゃくちゃ高いから、こんなことはやるべきじゃないと思います。
 その前に、さっき僕が言った補充卵は産むのかどうというのは、野外で、例えばカラスかなんかに持っていかれたやつが産んだような例があれば、きっと日本のライチョウも産むだろうとか、そういうことがわかるので、そしたら、ちょっと安心して採卵もできる。そういうことを地道にまずやって、それからでないとスタートできない気がするので、ぜひ、それはもう環境省は動物園と一緒になってやっていただきたいというふうに思います。

【事務局(浪花)】 域外保全と絶滅危惧種の課題については、中央環境審議会の自然環境部会と合同部会でも小菅委員からご指摘をいただいてありますので、前向きに検討をしていきたいというふうに考えておりますのと、ライチョウにつきましては、ちょっと遅くなってしまいましたけれども、環境省が動物園と一緒になって、域外保全は実施していきたいと考えておりますので、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。

【山岸部会長】 はい。それでは、桜井委員。

【桜井委員】 一つは、7番の図と8番のプレゼンの図にありますけども、一つ気になるのは、データが、87年以前の調査と最近の調査しか書かれていませんけども、もっと長いトレンドで、一体どういう変化をしているのかというのは非常に重要ですよね。それが、もし、例えばトキのように復活できるのかというのは、例えば温暖化の影響で、生息域がどんどん縮小してしまっている中で、この事業をするのかどうかという見極めが非常に重要になると思うんですよ。
 そうすると、果たして復活できるのかということを見るためには、歴史的なデータを少し蓄積していって、そのときには個体数だけではなくて、生息地環境も含めてデータがあるはずですから、それを一回並べた上で次の手を打つということで、やっぱり過去のデータをしっかりもう一度見直すということをやっていただきたいと思います。

【事務局(浪花)】 そうですね。ライチョウにつきましては、幸いなことに、富山であるとか、静岡であるとか、民間の団体も含めて、数多くの調査データがありますので、そういったものを含めて、減少要因を整理して、進めていきたいと考えております。

【石井(信)委員】 ありがとうございます。十分認識されているとは思いますけれども、基本的には、やっぱり生息地で保全するということが優先されるべきだと思うんですね。調査があって、それから生息環境の維持・改善、それから飼育下繁殖ですけども、例えば生息地の維持・改善で、ニホンジカの排除を考えたら、すごくコストがかかる可能性がある。それから飼育繁殖も、施設を新たにつくったり、既存の施設を使うということも当然お考えでしょうけど、やっぱりすごくお金がかかる可能性があると思うんですね。
 全体として、何を一番に優先させるかというのを十分考えて、そこはかなり注意して計画を組み立てないと、いったんお金のかかることに手をつけちゃうと、もうそれはやめられなくなり、他の重要な対策の予算が確保できないということにもなりますので、そこは注意して進めていただければと思います。

【石井(実)委員】 
 私、今の議論を聞いていて、12枚目のシートの生息状況等の把握の一番最後の項目が気になったので、ちょっと教えていただきたいんですけれども、「環境収容力の推定」と書いてあるんですよね。たったこれだけですけど、結構難しいんじゃないかと思うんですね。どんなふうにやるんでしょうか。例えば一つ考えられるのは、数理モデルみたいなことかなとも思うんですけど、そのときにどういうパラメーターをとるのかという問題がありますよね。
 例えば1980年代には3,000羽というんだったら、例えば環境収容力が単純に3,000羽というふうに言うのか。その3,000羽すらも少ないと考えるのかとか、いろいろ疑問が生じてしまいます。どんなふうにやるのか教えていただければ。

【事務局(浪花)】 具体的には、これから先生と詰めていくことになるんですが、こちらで考えているのは、ライチョウに必要な生息環境があります。例えば、ねぐらとか、餌場とか、そういったものがどれぐらい分布しているのかということが一つと、あとは、ライチョウは縄張りを持ちますので、その縄張りの大きさというものがあると。そういったものをパラメーターにして、この山の環境に、どれだけライチョウが生息できる環境があるのかということを推定することになるんじゃないかと考えております。

【石井(実)委員】 どっちかというと、やっぱり数理モデル的なんですね。

【事務局(浪花)】 そうですね。

【石井(実)委員】 わかりました。

【山岸部会長】 いいですか。二つ、僕も聞きたいんですけど、ライチョウに関しては、信州大学が中心になってやっているんですけど、ライチョウ会議というのがありますよね。かなりいろいろな県のライチョウ研究者が集まっている研究団体ですが、その人たちがこれをどう思っているかというのが一つ。
 それからもう一つ、今年、国際ライチョウ会議というのが松本で開かれましたよね。海外の人の目から見て、日本のライチョウがどういう状況になっているのか。こういうことについてどう思っているのか。もしわかったら、お話しください。

【事務局(浪花)】 ライチョウ会議の関係者の考えですが、実はこのライチョウの保護増殖事業計画のたたき台につきましては、信州大学の中村先生を含め、現地で調査をしている方と、富山ファミリーパークの山本園長も入っていただいて、関係者で今回の計画をつくっておりますので、概ね認識していただいて、これでやっていこうという気持ちにはなっているというふうに考えております。
 海外のことにつきまして、国際ライチョウ会議に出席したんですけども、状況があまり把握できていません。申し訳ございません。

【山岸部会長】 わかりました。
 よろしゅうございますか、ほかに。ライチョウについて。
 それでは、ほかにご意見がなければ、この議題についてお諮りいたします。
 ライチョウの保護増殖事業計画の策定につきましては、基本的にこの事務局案のとおり適当と認めてよろしいでしょうか。

(はい)

【山岸部会長】 ありがとうございました。ご賛同いただきましたので、今ご意見があったところは配慮していただいて、本件を適当と認めることとし、この案を当審議会の答申案として中央環境審議会会長に報告することといたします。
 次に、審議事項の2ですが、国指定鳥獣保護区及び特別保護地区の指定についての諮問内容について、事務局からご説明願いますが、今回、6地区の指定についてお諮りいたします。1カ所ずつ説明が終わったところでご意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。

【事務局(尾崎)】 野生生物課の尾崎と申します。私のほうから、審議事項2の国指定鳥獣保護区及び特別保護地区の指定について、説明させていただきます。
 座って失礼いたします。
 お配りしている資料の2−2が一覧になっておりまして、2−3が全国の今の指定状況、2−4がそれぞれの指定計画書になっております。それぞれの指定計画書の後ろに、位置図、区域図、そして公聴会調書を添付しております。今日はパワーポイントを使って説明させていただきますが、そちらの資料も、お配りしている資料の一番下に入っておりますので、画面が見にくい場合はそちらをご覧ください。
 それでは、説明させていただきます。
 国指定鳥獣保護区は、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律によって規定されております。国指定鳥獣保護区に指定されますと、狩猟が禁止され、さらに、特別保護地区に指定されますと、一定の行為が規制されます。規制内容については、記載のとおりでございます。
 大規模生息地、集団渡来地、集団繁殖地、希少鳥獣生息地の4区分に分けて指定しております。
 これがお配りしている資料と同じもので、現在の指定状況になります。
 こちらも、お配りしている資料の一覧でございまして、審議会に諮問させていただくのは、鳥獣保護区の場合は、拡大を行うもの、特別保護地区については、拡大するしないにかかわらず、存続期間の期限が到来したら、再指定するものも対象となっております。ですので、今回は、濤沸湖につきましては特別保護地区のみ。2番目、厚岸・別寒辺牛・霧多布につきましては、鳥獣保護区は拡大を伴いますので、鳥獣保護区と特別保護地区の両方、3番目、大黒島につきましても、両方とも拡大を含みますので、両方、4番目の藤前干潟につきましては、鳥獣保護区は更新ですので、特別保護地区のみ、こちらは、特別保護地区も区域が変わらない、再指定となります。5番目の片野鴨池につきましては、鳥獣保護区、特別保護地区、両方とも拡大をしますので、両方、6番目の大台山系につきましては、鳥獣保護区は更新のみですので、再指定の特別保護地区を諮問させていただきます。
 先ほど審議官の挨拶にもありましたように、全て既存の鳥獣保護区ですので、箇所数は変化がありません。鳥獣保護区と特別保護地区、それぞれ拡張を伴いますので、指定後の面積はこのような数値になります。
 それでは、各鳥獣保護区について説明させていただきます。
 まず1番目の濤沸湖特別保護地区についてです。 概要を説明いたします。
 北海道の東にありまして、網走市、斜里郡小清水町に含まれております。今回、特別保護地区を拡大するのですが、個々の内訳については、お配りしている計画書に詳細が書いてありますが、900haから1,120haに拡大いたします。
 指定区分は、集団渡来地となっておりまして、オオハクチョウやオナガガモ等のガンカモ類、シギ・チドリ類が多く渡来する場所となっております。こちらは一部海面と通じておりまして、海水の影響により塩湿性の植物も見られます。
 公聴会は8月2日に実施いたしまして、公述人9名のうち、全員賛成の意見をいただいております。
 濤沸湖につきまして、説明いたします。
 砂州が発達した細長い砂丘によってできた汽水湖でありまして、五つの河川が流入しております。この場所では漁業が行われておりまして、ワカサギ、スジエビ、カキ養殖といったものが実施されております。近年、川から流れ込む土砂や枯れた植物が堆積を繰り返すことによって、水域が徐々に狭まっている状況にあります。そこで、数十年前から、地元住民や漁協により、浚渫と冬期の氷割りにより湖内の水循環を保ってきました。また、10年ほど前からは、二、三年間隔で北海道により浚渫を実施しております。
 今回の区域拡大については、お配りしている区域図を見ていただければわかりやすいかと思いますが、年々水域の部分が狭まっておりますが、その部分が干潟や塩沼地湿地やヨシの草地となってきており、そのような環境を主たる生息地とするヒシクイやクイナ、ホウロクシギ、オオジシギ等の生息が確認されており、生息上重要な箇所となっていることから、今回、特別保護地区の拡大を行うものです。
 濤沸湖特別保護地区の説明については、以上です。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 ただいまの1番目の濤沸湖特別保護地区について、ご意見、ご質問がございましたら、どこからでも結構です。
 はい、どうぞ。桜井委員。

【桜井委員】 ここは、漁業者が漁業をされていますよね。ワカサギか、シジミかなんかだと思うんですけど。そうすると、公聴会のコメントの中に、要するに河川からの流出の土砂、それから海からの砂によって、どんどん浅くなっているということで、かなり変化が激しいところだと思うんですけれども、これに対しては、一旦特別保護地区をかけた場合に、要するに漁業者サイドから、浚渫してほしいとか、そういう要望があった場合には、それはできるんですか。

【事務局(尾崎)】 れまでも、特別保護地区であることによって、特に行為許可申請を出していただいたこともございませんし、漁業者との調整もついております。

【桜井委員】 可能ということ。

【事務局(尾崎)】 はい。

【磯崎委員】 今の質問ともちょっと関係するんですが、それから、濤沸湖だけではないんですけども、計画書の4ページの一番上の5番の項目なんですが、以前にも関連した意見が出たかと思うんですが、5番の項目を読んでも、恐らく、わからない。どこも同じように書いてあるんですが、特に、過去に指定を受けている区域なので、要するに32条に該当するような補償の申請とかは、過去にもなかった。恐らく今後もないというような説明が個別に、指定区域ごとに出てこないと、この5番の説明は、非常に一般的なことしか書いてなくて、個別計画の中身についての説明がないことになってしまいますので、恐らく全部共通して、先ほどの話と同じように、過去にも問題はなかったし、補償申請や補償の支払いというケースもないと今後も言えるのかどうかですね。そのような説明があるとわかりやすいと思います。

【加藤委員】 今回のことだけでなくて、ちょっと教えていただきたいんですけども、今回の特別保護地区の中には、私有地が入ってきましたよね。指定に当たって、もちろん利害関係者との調整というのは最初の段階でしていらっしゃるので、一般的なこととして教えていただきたいんですけども、例えば所有権が変わったとか、例えば亡くなられて相続するとか、人がかわるとか、そういうようなときに、指定との関係ではどういうことが起こってくるんですか。

【事務局(尾崎)】 今回拡大する私有地については、所有者が不明で、地番がついてない土地を拡大しており、管轄である北海道の河川課に確認して、了承を得ているものです。

【加藤委員】 例えば、国が知らないうちに、私有地が別の人に売られてしまうとか、所有権が変わるとか、そういうことが起こらないようになっているんですか、仕組み的に。

【事務局】 すみません、こちらから失礼いたします。
 起こらないようになっていることはなくて、所有権が移ったとしても、その規制はそのまま引き継がれるという仕組みになっておりますので、所有権の移転をしたときに、こちらが全て把握できるかというと、そこはそうでもないんですけれども、規制についてはそのまま、幾ら所有権が移ったとしても、そのときに、その所有者が伝えるべきことということになるかと思います。

【山岸部会長】 まだございましたら、後でまとめてもう一度そこで言っていただければ結構ですので、時間も押しておりますので、2カ所目の国指定厚岸・別寒辺牛・霧多布鳥獣保護区及び国指定厚岸・別寒辺牛・霧多布特別保護地区の指定について、ご説明ください。

【事務局(尾崎)】 続きまして、説明いたします。
 厚岸・別寒辺牛・霧多布鳥獣保護区及び同特別保護地区について説明いたします。
 こちらは鳥獣保護区、特別保護地区ともに区域を拡大するものです。区域は、北海道厚岸郡厚岸町、浜中町、川上郡標茶町に含まれております。
 指定区分につきましては、集団渡来地となっておりまして、ガンカモ類やシギ・チドリ類が多く渡来する場所となっております。
 植物相につきまして、霧多布及び別寒辺牛湿原の二つの大規模な湿原がありまして、それぞれ高層湿原、低層湿原と、また多様な景観を有しております。今回、鳥獣保護区として拡張する区域として海域の部分がありまして、湖沼岸沿いに分布する塩湿地群落等も有しております。
 公聴会は8月3日に行われまして、公述人19名のうち、全員が賛成のご意見をいただいております。
 今回拡大するのは、区域図のほうをご覧いただければと思いますが、海域の部分を含んでおりまして、地元の有識者からの情報提供により、琵琶瀬湾というところがコクガンの飛来地として重要な場所となっております。霧多布島は橋でつながっているのですが、こちらが霧多布島という島でして、あとは、こちらに小さくあるのが小島というところで、ここに嶮暮帰島という島があります。これらも含む部分になっておりますがそれぞれ有識者からの情報提供により、希少な鳥類が繁殖、または確認されていることから今回拡大を行うものです。
 嶮暮帰島は比較的、琵琶瀬湾の中で大きな島ですが、こちらにつきましても、トウキョウトガリネズミの生息が確認されているとか、コシジロウミツバメの営巣が確認されているなど、鳥獣にとって希少な生息場所となっており、今回、鳥獣保護区に編入をしようと考えております。
 また、特別保護地区について、お手元の区域図と照らし合わせていただくと、今回拡大する区域というのは、主に野鳥の会により野鳥保護区として管理されてきた区域です。今回、特別保護地区に編入するのは、タンチョウの営巣が確認されている場所でして、北海道の東部地域でタンチョウの生息数が増加していることに伴い、この場所にも新たに繁殖地が形成されたものと思料されます。
 以上で、厚岸・別寒辺牛・霧多布鳥獣保護区の説明を終わります。

【山岸部会長】 ご苦労さまでした。2カ所目について、ご意見、ご質問がございましたら、どうぞ。
 それでは、これもまた後からありましたら、最後にまとめてもう一度伺います。
 次に、3カ所目。国指定の大黒島鳥獣保護区及び国指定大黒島特別保護地区について、ご説明ください。

【事務局(尾崎)】 引き続き説明いたします。
 大黒島につきましては、厚岸・別寒辺牛・霧多布鳥獣保護区近くにある島となります。両方とも拡大いたします。
 大黒島鳥獣保護区は、北海道厚岸郡厚岸町所在の大黒島にあります。今回拡大するのは、大黒島の平均海面時の海岸線から1km以内にある岩礁で、お手元の区域図を見ていただければ分かりやすいかと思いますが、この図で青色でお示ししている岩礁部分が、今回拡大する0.31ha、それぞれ鳥獣保護区、特別保護地区ともに拡大する区域となっております。
 指定区分は集団繁殖地となっておりまして、コシジロウミツバメ、オオセグロカモメ、ウミウ、ウトウ等が確認されております。
 当該地域の植生は、沢沿いにわずかに見られる樹木等があるほかは、樹木はほかにはなく、草原植生が主体となっております。
 公聴会は8月3日に行われまして、公述人7名、全員賛成のご意見をいただいております。
 先ほども説明させていただきましたが、今回拡大するのは沖合1km以内にある岩礁で、毎年6月ごろに職員が現地調査を行っており、ウミウの繁殖が確認されており、またヒメウも観察されております。また、ウトウやエトピリカについても繁殖の可能性があることから、今回、この岩礁についても鳥獣保護区、特別保護地区として指定するものです。
 以上で大黒島の説明を終わります。

【山岸部会長】 ただいまの大黒島の説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、ご発言願います。

【桜井委員】 その前の霧多布のほうでもよろしいですか。ちょっと言い忘れましたので。

【山岸部会長】 はい、どうぞ。

【桜井委員】 地図を見ますと、嶮暮帰の海域も入れて鳥獣保護区の拡大がされておりますけども、これは海域も含むという解釈でよろしいですか。

【事務局(尾崎)】 はい。含みます。

【桜井委員】 そうすると、この海域を含んだ場合に、例えば漁業等の問題というのは、ある程度クリアされているということで理解してよろしいでしょうか。

【事務局(尾崎)】 この場所は特別保護地区ではなく、鳥獣保護区に指定しておりますが、漁協と、鳥獣保護区から指定させていただきたいということで調整し、ご理解をいただいております。

【桜井委員】 はい、わかりました。ありがとうございます。

【山岸部会長】 これも、ほかにもしありましたら、最後にまとめて。次に、4カ所目の国指定藤前干潟について。

【事務局(尾崎)】 藤前干潟特別保護地区について説明いたします。
 
 藤前干潟特別保護地区は、愛知県名古屋市と飛島村にかかっております。今回は区域が変わらない、そのままの再指定を予定しております。
 指定区分は、集団渡来地でして、アカアシシギ、ホウロクシギ等のシギ・チドリ類やガンカモ類が多く渡来する場所となっております。
 常時干出している場所には、ヨシ群落、ヨシ・マコモ群落、アイアシ群落が見られます。
 公聴会は8月7日に開催されまして、公述人10名のうち全員賛成のご意見をいただいております。
 藤前干潟については、周囲が大都市あるいは港湾、あるいは工業地帯などに囲まれており、最後に残された干潟であり、過去、ごみ処分計画が最終段階になって中止され、それが干潟として残されることになった経緯は、よく知られております。
 平成14年に国指定鳥獣保護区に指定されまして、その後、同年にラムサール条約湿地にも登録されております。
 こちらが、水面の状態をあらわした図でして、緑になっている部分が干潟としてあらわれる部分になっております。
 鳥類の飛来状況について紹介させていただきます。
 過去3年間、平成21年から23年まで、シギ・チドリ類の季節別の経年変化を比較したものです。上の図が9月の調査、下の図が3月の調査でして、毎年若干変動はありますけれども、9月につきましては1,000羽前後のシギ・チドリ類が渡来しておりまして、3月につきましては、こちらはハマシギが多く数を占めており、変動はありますが4,000羽前後の渡来が見られます。
 こちらは、カモ類の季節別経年変化ですけれども、こちらも3年間の平均で、約8,000羽前後のカモ類が9月に飛来しておりまして、3月には1万6,000羽から2万2,000羽程度のカモ類が3月には飛来しております。
 このように安定した鳥類の飛来が見られますので、今回も引き続き、特別保護地区として再指定を行うものです。
 以上で終わります。

【山岸部会長】 ただいまの藤前について、何か。

【小菅委員】 すみません。ガンカモのところで、この表にはマガモが記載されているのですけれども、マガモもこのあたりでも越冬しているのでしょうか。いるとしたら、どのくらいの数、越冬しているか教えてください。

【事務局(尾崎)】 すみません。今、具体的な数値データを持ち合わせておりません。

【山岸部会長】 ちょっと調べておいてください。わかったら答えてください。
 三浦委員、どうぞ。

【三浦委員】 多くの面積が増えること自体は、反対しているわけではありません。中身をちょっと教えてほしいのですが、今回の指定の拡大で、航空写真が添付されていますけれども、実質的に増えているのは静かな水面と呼ばれているところと、あと、ヨシ原が増えているんですか。拡大されている場所が、航空写真で出ていますけれども。

【事務局(尾崎)】 これは拡大ではなく、鳥獣保護区の区域が周りのオレンジ色で、黄色が特別保護地区の区域を示しているもので、藤前干潟は、区域に変更はありません。

【三浦委員】 そうですか。はい。わかりました。

【事務局(尾崎)】 はい。

【山岸部会長】 よろしゅうございますか。
 ほかにありますでしょうか。

(なし)

【山岸部会長】 もし、ないようでしたら、5番目の片野鴨池について。

【事務局(尾崎)】 片野鴨池鳥獣保護区及び同特別保護地区について、説明いたします。こちらは、両方とも拡大を含みます。
片野鴨池鳥獣保護区は、石川県加賀市にあります。0.05haを拡大するものです。こちらは、期間が平成15年からの期間中ですが、期間途中この部分を拡大するものです。
片野鴨池鳥獣保護区の指定区分は集団渡来地となっておりまして、マガン、ヒシクイ、マガモ等のガンカモ類が多く飛来する場所です。
公聴会は8月10日に実施いたしまして、公述人10名のうち全員賛成のご意見をいただいております。
片野鴨池は、日本海から南東方向に約800メートルの距離にある池でして、海と近い距離にあります。こちらも、平成5年にラムサール条約湿地に登録されております。
この片野鴨池鳥獣保護区の周辺において江戸時代から300年以上続いております坂網猟というものが実施されており、こちらの写真にありますような、網を投げて猟をする伝統猟法が、今も継承されております。
こちらは、大聖寺捕鴨組合協同組合によって実施されており、この組合によって、ガンカモ類の利用環境を管理・保全するため、水門操作を秋から冬期にかけて行っております。
また、片野鴨池は、周辺の水田のためのため池としての機能も有しており、春から秋にかけての水位管理は、片野町生産組合が行っております。
片野鴨池の自然環境変化について説明いたします。
全国的な傾向ではありますが、昭和50年代後半から、カモ類の渡来数が減少してきております。こちらの図表は、片野鴨池の半径15km以内におけるマガモの渡来数の変化状況を示したものです。片野鴨池は、この赤の線を示しております。この図表上にはありませんが、片野鴨池は、周辺地域において唯一のトモエガモの大規模分布地となっており、昭和60年代以降の渡来数は年により大きく変動しているという結果が出ております。
ガンカモ類は昭和60年代から全国的にマガンが増加しており、ヒシクイも増加しております。その間、片野鴨池でもマガンは増加傾向にあり、ヒシクイも一定の個体数を維持しております。こちらが、片野鴨池のマガン・ヒシクイ・コハクチョウの推移を示したグラフになっております。
片野鴨池の自然環境が変化について、説明いたします。
一つ目は植生が変化しておりまして、水田から湿性植物群落に遷移している様子が見受けられます。また、ヒシとハスの生育域が拡大している状況があります。
また、物理化学環境の変化としては、住民のヒアリングから、以前に比べて湧水量が減少したとされています。また、池が浅くなってきているという状況もございます。
こちらは、植生図から植生の経年変化を示したものです。以前は鴨池周辺に水田がありましたが、現在では、水田跡地はハンノキやヨシ、マコモ群落等に変化しております。片野鴨池内に、以前は水田もありましたが、現在は、ボランティによって管理されている水田が、わずかに存在するのみとなっております。このようにヒシ群落が拡大している状況があります。
平成18年の法改正によって、鳥獣保護区内において保全事業を実施することが可能となりました。
指定後の環境変化によって生息環境が悪化した場合、生息環境改善のために保全事業を行うことができるようになりました。この片野鴨池につきましては、今ご説明したような環境の変化によって、鳥類の渡来数の減少が見られるため、平成19年より実施に向けた試験や検討を行い、保全事業の実施を現在行っております。
現在、環境省で行っている保全事業の内容としましては、排水管理施設を操作して、池面積の確保、植生遷移の管理等を行っております。また、その排水管理施設の整備を、現在老朽化している部分もありますので、そちらを整備していくこと。また、この写真にありますような侵入防止柵を設置し、光害や人の出入りによる影響を少しでも軽減し、鳥類の生息に配慮するための事業を行っております。
今回拡大する区域は、この部分の0.05haでして、既存の指定区域と同等の資質を有している水面であり、一体的に鳥類の生息環境の維持を図り、管理する必要があることから、今回拡大を行うものです。
以上で説明を終わります。

【山岸部会長】 はい。ありがとうございました。
 片野鴨池について、何かご質問はないですか。
 その図なんですけれども、今度、指定するところの0.05haは、何か大腸のポリープみたいな小さいところなんだけれども、それが逆に指定されていなかったという理由は何なんですかね。

【事務局(尾崎)】 調査・検討を行っていく中で今回、既存指定区域と同等の資質を有しており、指定するにふさわしいと判断したからです。

【山岸部会長】 他に何かございませんか。

(なし)

【山岸部会長】 ございませんようでしたら、最後になりますが、国指定大台山系鳥獣保護区及び国指定大台山系特別保護地区について、ご説明をお願いいたします。

【事務局(尾崎)】 最後、大台山系特別保護地区について、説明いたします。
 
特別保護地区についても区域が変わらない、同じ区域を再指定するものです。
大台山系特別保護地区は、奈良県の上北山村、三重県の大台町にございます。指定区分は大規模生息地であり、クマタカ、イヌワシ、ツキノワグマ、カモシカ、ヤマネ等が見られます。
特別保護地区は大杉谷を中心とする区域、大台ヶ原を中心とする区域となっておりまして、それぞれ大杉谷を中心とする区域には、西日本最大級のブナ林と亜高山針葉樹林、原生的な天然林、大台ヶ原を中心とする区域は、亜高山針葉樹林、冷温帯性広葉樹林など、原生的な天然林が広がる場所になっております。
公聴会は、それぞれ8日、9日、三重県、奈良県に分かれて行い、公述人13名のうち全員賛成のご意見をいただいております。
鳥類の確認調査結果について、ご紹介させていただきます。
鳥獣保護区になっているA地点・B地点は、人工林の区域となっており、C地点・D地点は、原生的な天然林が広がる場所になっております。確認種数が、鳥獣保護区内の地点でそれぞれ10種でしたが、特別保護地区内の地点でそれぞれ20種、18種となっており、特別保護地区が鳥獣保護区に比べて確認種数が多く、鳥類の生息にとって、より重要な環境となっていると推察されます。
こちらが、今ご説明しましたAからDの地点で確認された鳥類の種類になっております。
特別保護地区の鳥類につきましては、ルリビタキ、メボソムシクイ、ビンズイなど、主に中部地方以北で繁殖する鳥の、西日本での数少ない繁殖地となっております。
ツキノワグマの生息分布についても、ご紹介させていただきます。
紀伊半島におけるツキノワグマの分布域は、四国と並んで国内のツキノワグマの分布の南限に位置しております。赤で囲んだ場所が、特別保護地区がある場所ですが、植生度の高い場所と重なっております。また、植生度とアンケート調査によるツキノワグマの分布、区画数等を照らし合わせたものでは、過半数以上が植生・自然度6であり、県全体の区画に対する割合も65.7%と比較的高い値であり、自然度の高い場所とツキノワグマの生息する場所が相関していることが推察されます。
大台山系につきましては、ご存じのとおり、ニホンジカによる植生への被害が見られますが、周辺域を含め、鳥獣の良好な生息域となっていることから、今回、特別保護地区は現状どおり再指定を行うものです。
大台山系について、説明を終わります。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 6番目の大台山系について、ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。
 どうぞ、市田委員。

【市田委員】 1点、質問をさせてください。
 全体的に保護区の拡大はあっても縮小がなくて、ご苦労があったのだろうなと思いましたけれども、特にこの最後の場所は、森のことなのでシカの問題がいっぱいあるのではないかと思いまして、今、鳥獣保護区を再指定しようとするところで、とにかく被害の問題でだめだという声が、いっぱいあちこちでありますよね。
そういう中で、この公聴会を見ると、いろいろご努力があってこういう結果になったのかもしれませんけれども、意見なしで賛成となっておりますが、森林組合とか村長さんとか、いろいろ意見があったのではないかと思うのですけれども、その辺はスムーズにいったのですか。

【事務局(尾崎)】 拡大をすれば何らかの反対意見はあったかもしれませんが、今回再指定ということであれば、特に反対意見もなく、賛成のご意見をいただいております。

【市田委員】 そうですか。それは、おめでとうございます。

【山岸部会長】 他に何かございますか。

(なし)

【山岸部会長】 それでは、以上六つをとおして、全体、言い残したこととか、全体にかかわることとか、何でも結構です。
 山極委員、その次に小泉委員。それから磯崎委員。

【山極委員】 全体の質問なんですけれど、計画の中で鳥獣の生息数をモニタリングしていくと書いてあって、その担当者が鳥獣保護区の管理者だとかというのが記載してあるのとないのとあるのですけれど、環境省としては、これまでもこれからも、どういうモニタリングをどのくらい実施していっているのかということをお聞きしたいなと。ちゃんとしたプロトコルがあるのか、あるいは委託するのか、そういうあたりの方針は、どうなっているのでしょうか。ちょっとお聞きしたいのですけれども。

【山岸部会長】 私も、山極委員と全く同じことをお聞きしたいのですが、ご報告いただいた中で、片野鴨池がすばらしいですよね。調査もいいし、その調査結果を使って、きちんと保全事業に結びつけている。他のところも、みんなこうなればいいなと思うのだけれども、この差というのは一体どこから出てくるのか。今、山極さんがご質問になったこととも関係するかと思うのですが。いかがでしょうか。

【中島野生生物課長】 鳥獣保護区でモニタリングをしていく調査については、しっかりした予算がついておりませんので、環境省で、現地にいる職員がやれる範囲でやるというのが一番の基本的な状態になっておりますので、特別な事情がない限り、余り大した調査はできないというのが現状でございます。
 それ以外に何か特別な予算がついたときに調査をして、その調査をモニタリングの一助とするということは時々できると。それは、必ずできることではなくて、イレギュラー的にできたものがあるということで、それをなるべく活用して、こういった鳥獣保護区の更新のときなんかに活用しているというような状況でございます。
 環境省としては、なるだけしっかりしたモニタリングをしたいと思いますけれども、現状、なかなか予算的にはしっかりしたモニタリングができるようなところまでは、いっていないというのが現状でございます。
 鳥獣保護区の調査ということではなくて、別途、生物多様性センターが日本の全国的な調査をやっているのがありまして、それのモニタリングのポイントとして、鳥獣保護区が設定されていれば、その鳥獣保護区については生物多様性センターで行われる調査の結果、例えばガンカモ類の一斉の調査なんかをやっていますので、その結果が残っていくということはございます。

【山極委員】 これは、前々から感じているのですけれども、環境省が独自に予算をつけるというのは、多分難しいのだと思うんですね。だけど、例えば地元のヒアリングをやったりして、非常に協力を得られているわけですから、例えば市町村、あるいは県の環境政策課とか、あるいは教育委員会と手を組んで、要するに人を動かすにはお金がいりますよね。でも、地元に人材があるんだったら、そのお金と人を何とか地元で調達して、きちんとしたプロトコルさえあればできると思うんですよ。
 これは、頻繁のモニタリングをするということが重要なわけであって、それを呼びかけて全国的に展開するということをやらないと、やはりいつまでたっても予算はつかないし、具体的なデータが集まらないということになりかねないと思うのですね。ですから、ぜひ、その辺は協力関係をつくって、全国展開していただきたいというふうに思います。

【山岸部会長】 貴重なご意見、ありがとうございました。よろしゅうございますよね。
 それでは、続いて小泉委員、よろしくお願いします。

【小泉委員】 これは、鳥獣保護区に対するコメントですので、今回、この場で明確な回答をいただきたいということではありませんが、今後考えていただきたいということで、ご意見申し上げます。
 シカ高密度時代における自然保護区のあり方というのを、今後、環境省の中で考えていただきたいというふうに考えております。
 ちょうど大台山系についてのスライドがあります。先ほど、市田委員からもございましたけれども、植生への被害が見られるが、鳥獣の良好な生息域となっているという認識は、大台ヶ原にかかわってきたものとしては、ちょっと甘いのではないかというふうに思います。シカが高密度に生息することによって、周辺地域の鳥獣の生息環境が劣化する可能性が大いにあるというふうに認識すべきだと思います。
 一方、北海道ですとか、大台もそうですが、被害の問題と関連させてコメントが加えられています。どうも北海道知事というのは、鳥獣保護区の問題が出れば同じ文面でコメントをするようですが、個別の問題ではなくて。ただ、こういったコメントを言いながら賛成にまわっているのは、鳥獣保護区は申請すればシカの捕獲ができるからではないかと思いますが、もう一方で、鳥獣保護区という本来の機能を考えれば、保護すべき動物の繁殖ですとか育児、そういったような重要な期間に妨げになるような捕獲を入れていいのかというようなこともありますので、それやこれやを考えますと、鳥獣保護区は指定して終わりということではなくて、特にシカが高密度に生息するところにおいては、鳥獣保護区の管理計画の中にシカの管理計画を盛り込むぐらいのことで、地元からの要望ではなくて、それでもって地元を説得するというようなくらいの自然保護管理計画というものを立てていかなければいけないのではないかというふうに思います。

【山岸部会長】 ありがとうございました。

【磯崎委員】 先ほどのことを含むのですが、今後の説明のときに、特に更新の場合は、これまでその保護区でどうであったのか。その保護区の生物学、生態学的なデータの推移というのは説明されているのですけれども、施策の面で、これまでの20年がどうであって、それから見て十分なところ不十分なところ、今まで十分であるから今回更新するけれども、取るべき措置は今までと全く同じでいい、拡大も必要ないと。今まで不十分なところがあり、その不十分なところの一部について解消するために拡大であったり、新たな措置を定めるとか、そういう説明をしてもらったほうが更新との関係でわかりやすい。
 それから、さっきのように、そこでどのような許可がこれまで行われてきていて、それに問題がなかったかどうか。あるいは、補償の申請がもしあったとすると、どんなこと補償がされて、それがわかると今後何をしたらいいのかというのが浮き彫りになってくると思いますので、山岸先生が途中で聞いたことなんかも説明されるとわかりますので、更新で前の評価をして、新しいところの説明というのを、できるだけ入れていただきたいと思います。

【山岸部会長】 ありがとうございました。先ほど宿題が出ておりましたが。

【事務局(尾崎)】 すみません。まだ、わかっておりません。

【山岸部会長】 それでは、後からメールででも差し上げてください。
 他に何かございますか。ご指導賜ったようなこともたくさんあるのですが、それは今後に生かしていただくといたしまして、他にご意見がなければ、この議題についてお諮り申し上げます。
 国指定鳥獣保護区及び特別保護地区の指定につきましては、事務局案のとおり適当と認めてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【山岸部会長】 ありがとうございます。ご賛同を得ましたので、本件は適当と認めることとし、この案を当審議会の答申案として、中央環境審議会会長に報告することといたします。
 次に、では、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略(仮称)について、事務局からご説明いただきたいと思います。

【事務局(荒牧)】 野生生物課の荒牧です。よろしくお願いします。座って失礼いたします。
 パワーポイントはございませんので、お手元の資料、資料3という1枚紙の表裏、それから、ご参考に、我が国の絶滅のおそれのある野生動物の保全に関する点検とりまとめ報告書、皆様のお席にお配りしております。こちらの点検とりまとめ報告書につきましては、春の審議会の際にもお配りさせていただきましたものと同じものです。
 それでは、簡単にご説明させていただきます。資料3をごらんいただければと思います。
まず背景としまして、昨年度、お手元にあります我が国の絶滅危惧種の保全に関する点検と、もう一つ、国内での希少野生生物の流通管理に関する点検ということで、二つの点検会議を立ち上げまして、そちらで今後取り組むべき課題をご提言いただきました。
今般、先週9月13日、自然環境部会との合同の中央環境審議会で答申をいただきました、次期生物多様性国家戦略の中で、特に国内の絶滅危惧種の保全については、その点検を受けて、今後、全国的な保全をどのように進めていくのか、その保全すべき種の優先順位づけといった保全戦略を策定するということが盛り込まれてございます。
戦略の役割としましては、絶滅危惧種の保全を全国的に推進するために、基本的な考え方と施策の方向性を環境省として示すものとして、作成をしていきたいと思っております。
先ほど、ライチョウの際の諮問の際にも、既に考え方というところで、点検の提言にいただきました優先順位の考え方を使わせていただいておりますが、点検会議の提言を前提といたしまして、保全すべき種の優先順位付けですとか、具体的な保全の進め方について記述をしていきたいと考えているところです。
この戦略の策定の手順とスケジュールでございます。中央環境審議会野生生物部会でいろいろとご意見をいただきまして、環境省としてまとめていきたいと考えております。公的な指定がございませんので、諮問という形はとっておりませんが、実質上は先生方にご審議をいただいて、よりよいものをつくっていきたいと考えているところでございます。
具体的な手順としまして、今後開催される部会の2回程度で内容をご議論いただいて、パブリックコメントを経て25年度、恐らく途中ごろに策定というような形で進めていきたいと考えております。本日は、戦略の構成だけ簡単にお示しをさせていただいております。
まず、一つ目の丸として内容は、背景としまして、先ほど述べましたような点検の実施結果や、生物多様性国家戦略の作成の位置づけということとあわせまして、生物多様性条約の愛知目標でも、絶滅危惧種の保全について具体的な個別目標が置いてありますので、そういったことも含めて背景を整理したいと考えております。
裏のページ、めくっていただきまして、戦略の現状でございます。我が国の絶滅危惧種の現状と、これまでの保全の状況ということで、こちらは昨年度の点検の結果をもとに、再度文章として整理をしていきたいと考えております。
それを踏まえまして基本的な考え方ということで、これも提言としていただいておりますが、保全の優先度の考え方、また種の特性や減少要因を踏まえた保全手法の選定の考え方ということを整理した上で、具体的な施策の方向性、さらにその基本的な考え方から、どのような手順、どのような順序で具体的な取り組みを進めていくか、その絶滅危惧種の状況に応じた保全対策をどういうふうに推進していくのか。また、基盤となります情報ですとか、あるいは各主体との連携といったこともあわせて、具体的な取り組みを整理していきたいというふうに考えております。
簡単ではございますが、私からは以上でございます。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 今年の3月に、点検とりまとめ報告書というのを、ここの皆様のメンバーに出したのだと思うのですが、それを具体的にどうやっていったらいいか、今後こういうふうにしたいというご提案でございます。何かご意見ございますか。

【市田委員】 ありがとうございます。ようやくここまで来たのかなという感じがして、すばらしい取り組みだと思います。ここで、個々の種類については、これからまたいろいろな保全対策みたいなものを検討されていくと思いますけれど、それはとても時間がかかることだと思いますね。それまでの間、基本的に環境省としては、こういうものをどうやって守るのだと、基本姿勢みたいなものをまとめておく必要があると思います。
 この報告書、今、さらっと見ただけなので見落としがあるかもしれませんけれど、もう一つ言うと、ぜひ検討していただきたいのは、こういう科学的な部分でのアプローチをどうするかということと、それにプラスして、それを社会にどうやって還元して、社会の意見をどう組み込んでくるかという部分が、50ページのあたりにちらっと二、三行、情報の提供みたいなことが書いてありますけれども。
例えば、前の審議会でも申し上げましたけれども、絶滅危惧種を実際にみんなに、一つだけでも見せるのか見せないのか。全く見せないで、写真だけ見せるのかとか、そういう部分の戦略、基本方針を固めていただきたいと思うのですよ。
現状では、各地方自治体が環境エコツーリズムみたいなことをやろうとすると、最初のハードルが乗り越えられない。見るな、さわるなという感じが非常に強くて。これがずっと強くなると、行き過ぎもやはり出てきて、例えば絶滅危惧種を守るのだということで、石垣島の於茂登岳という山に、これは国のものではないですけれども、県のアサヒナキマダラセセリという非常にめずらしいチョウチョがいるんですね。これは4月の下旬から5月いっぱい発生するのですけれど、これを守る、密猟させないということで、地元の人が物すごく頑張って市役所を説得して、立入禁止に封鎖しているんです、山を。入り口の部分に縄を張って、環境省の希少鳥類何とかという腕章をかけて、私たちが近づくと「何しに来た」ということで、誰でもかれでも追い払うんですよ。チョウチョを見に来たのではなくても、観光客であろうと何だろうと。条例がありませんから、チョウチョのために立入禁止にはなっていないのですけれども、仕方ないから2年くらい前に台風で土砂崩れがあって危険だからという理由で、全部そこを閉鎖しているんです。道が1カ所しかないので、誰も行かれない。その人は、とにかく朝早く行っても、夕方に行っても、ずっとそこにいて、みんな追い払って歩いているのですね。環境省の腕章をしているのも、いかがなものかと思いますけれども、一生懸命やっているから、本人は本当に一生懸命なの。それはわかるのだけれども、非常におかしいのではないかと思って、実はこの間、強行突破をしました。そうして、実際にどのくらい崩れているかを見ました。崩れています、3カ所か4カ所か。ただ、それは直っていて、歩くのに何も問題がないと。
今まではこういったものに関心を持つ人は少なかったですけれど、だんだん、みんなが関心を持ち出してきたときに、やはり環境省さんのほうで、こういう方針だということをきちんと持っていただかないと、熱心さゆえに暴走する人たちも出てくるんですね。
地域に行けば行くほどコミュニティが小さいですから、みんないろいろ思っても言えないんですよ。私たちみたいな外の人が行くと、わっと文句を言ったりすることはできるのですけれども。だから、その意味で、社会をどう巻き込んでいって、情報あるいは絶滅危惧種の情報対応をいかに還元していくかというあたりで、世論形成にぜひ重きを置いて、それも検討していただければと思います。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 他に何かございますか。

【山極委員】 今のご意見にちょっと関連するのですけれども、先ほどライチョウの保護で、地元の意識を高めて、地元が自主的に保護する体制をつくるというような文言がありましたけれども、これはなかなか難しいと思うのですね。どういう目標をたてて、地元の自主的な保護を推進するのか。
 今、おっしゃったように、絶滅危惧種というのは貴重だから、例えばエコツアーの対象にもなるわけですね。例えば屋久島なんかは、エコツーリズム推進法ができて以来、どういうふうにエコツーリズムを推進するか、地元でもめていまして、正直言って、うまくいっていないところがあります。
 ですから、指定をしたものについて、これからどういう形で地元の人たちの理解を図り、なおかつ地元の人たちが実際に関与しつつ保護していくのかという方針が、もちろん場所によって違うのでしょうけれども、今おっしゃったように行き過ぎるところもあれば、地元の人たちが利用しやすい形もつくれる場合もあるでしょうし、そのあたり、環境省はどういうふうに関与していくのかというのが、非常に重要になってくるだろうと思うんです。
そのあたり、何か方針がおありであれば、先ほどのライチョウも絡めて、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのですが。

【事務局(荒牧)】 ありがとうございます。難しい宿題をいただいております。基本的に前回の提言の点検の際にいただいていたのが、いわゆるフラッグシップと呼ばれていて、もともとその地域の誇るべき種という形で存在しているものは、やはり地域に住む方々のご賛同も得やすいし参加も得やすい。実際に保全の際の効果を考えたときには、そういった種に取り組むということは、一つの戦略ではあるかなと考えております。
 一方で、逆にそうではない種について、どれだけ地域の方々を巻き込みながらやっていくかというのは、これはなかなか難しい問題だなとは思っておりますけれども、今から検討を始めてまいりますので、ここで答えが出るということではないと思うのですが、ある一つの種で守るのか、あるいは、ある程度まとまったホットスポットのような形で守っていくのかということも、一つの戦略だろうと思いますし、いろいろな組み合わせの中でいろいろな制度を使って、何をしていけばその種にとって一番有益なのかというのを、具体的に考えていければいいなというふうに考えてございます。
 すみません。概念的なところでございますが。

【山岸部会長】 それでは、他にご意見がなければここまでとし、ともかく目次をいただいただけで、どんなものが書かれているかわからないので、今後さらに2回程度の審議する機会を設けていただくということになっておりますので、その第1回目に、今いただいたような意見を踏まえて、多分、目次の中には入っているのだと思うんですね。山極さんの言われたのも、市田さんの言われたのも、情報基盤整備の促進と各主体の連携というところに入るのだと思うのですけれども、どういうふうに書くかというのを具体的に出していただいて、そして次回の部会、そろそろ12月の初旬ごろになるのですか。

【事務局(荒牧)】 そうですね。

【山岸部会長】 そこで改めてご論議いただくということで、よろしゅうございますか。今いただいたご意見は、それまでにちょっと部内で整理していただくということにしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、審議事項を以上にして、報告事項、第4次レッドリストについて。

【野生生物課長】 先ほどの宿題、藤前干潟のマガンですけれども、ある一定の数、越冬するということではないと。まれに数羽が飛んでくるという程度の飛来状況だそうです。

【小菅委員】 あの地図を見たら、採食地がどこまで飛んでいけばあるのか、見えないものですからね。

【野生生物課長】 木曽川には飛来しているようなので、そこからの個体が時々やってくると。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 それでは、報告事項の1件、もう新聞でも皆さんご承知だと思いますが、第4次レッドリストについて、事務局からご説明いただきます。

【事務局(浪花)】 野生生物課の浪花です。私のほうから報告事項としまして、第4次レッドリストの報告についてご説明いたします。皆様の資料の4の記者発表資料をお渡ししておりますが、先日の自然環境野生生物合同部会で、この分厚い冊子を配付させていただいて、ご欠席いただいた方には郵送でお送りしていると思いますので、詳細はそちらを見ていただければと思うのですが、簡単にこの記者発表資料で説明させていただきます。
 環境省レッドリストにつきましては、日本に生息または生育する野生生物について、専門家で構成される検討会が生物学的観点から個々の種の撲滅の危険度を科学的に評価して、その結果をリストにまとめているものということで、このレッドリスト自体に法的規制はございません。
レッドリストにつきましては、おおむね5年ごとの見直しを行っており、分類群ごとに分科会という形で検討会を設けまして、それぞれの種のランクの検討を行っているところです。分類群については全部で10個の分類群で検討を行っております。
裏面のページにカテゴリーのランクの概要が書いてありまして、T類とU類、あわせてここの部分を絶滅危惧種と通称言っております。
今回の見直しで明らかになった点につきましては、今回の公表は汽水・淡水魚類を除く9分類群を取りまとめて公表をしております。なお、汽水・淡水魚類につきましては、公表に向けた作業を行っておりますので、今後、まとまり次第公表したいと考えております。
今回の絶滅危惧種の9分類群での合計につきましては、前回が3,011種から今回は3,430種と419種増加しておりまして、依然、我が国の野生生物の置かれている状況は厳しいということが明らかになっております。
今回のリストで種数の増加が特に多く見られた分類といたしまして、昆虫類と貝類がございまして、昆虫類につきましては、主にガ類や甲虫類の知見の集積が進みまして、新たに91種を指定しております。なお、昆虫類につきましては、今回、前回まではT類というふうにまとめておりましたが、TA類とTB類と、今回初めて区分を分けて評価いたしました。
二つ目、貝類につきましては、200種弱増加しております。これにつきましては、これまで陸域及び淡水域から汽水域まで評価の対象範囲としておりましたが、今回は内湾の干潟に生息する種をふやしましたので、そこの部分に生息する貝が大幅に増えまして、177種を新たに絶滅のおそれがある種に設定をしております。
注目される種のカテゴリーとランクの変更理由について簡単に説明させていただきますが、ニホンカワウソをテレビで、マスコミ等で放送されましたが、東京農業大学の安藤先生が2008年に出しました本に、過去の調査記録や目撃情報等を整理して絶滅年代を考察しております。ニホンカワウソについては、人目につかないまま長期間生息していることは考えにくいということも踏まえまして、プラス、これまで愛媛、高知等、生息状況調査が行われていますので、それらの結果を踏まえて絶滅と判断をしております。
九州のクマにつきましては、1987年の個体が九州の最後の個体ではないかと言われていたのですが、数年前の森林総研の調査で、この個体が本州からの導入個体だということが明らかになっており、最後の確実な記録が1957年にさかのぼることから、既に50年以上経過しているため絶滅と判断しております。
その他、ダイトウノスリにつきましても、大阪市立大学の調査で生息が確認されていないため、絶滅としております。
トキにつきましては、今年の春に繁殖をしましたが、その状況を受けて絶滅危惧TA類という議論があったのですけれども、IUCNのガイドラインを参考にしまして、ランクを下げるに当たっては5年以上の状況の継続が必要であるということを参考にしまして、現状のままEW、野生絶滅としております。
その他、ゲンゴロウが初めて絶滅危惧U類にランクされています。
また、ハマグリにつきましては、先ほど申しましたとおり、干潟の管理を増やしましたので入っております。
ウラジロコムラサキについては、逆にランクが下げられた種で、小笠原のノヤギの駆除の取り組みによって、個体数が回復しているという状況です。
環境省では、このレッドリストを、これから普及啓発をしていきまして、種保存法等、必要な保護措置を講じていく所存です。
私からは以上であります。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 ただいまのレッドリストの説明につきまして、何かご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。

【小菅委員】 トキの項目変更について質問したいのですけれども、IUCNの基準を満たせば、トキは「絶滅」から「野生絶滅」のほうに戻っていくということになるのでしょうか。トキは、今は絶滅種で扱っているのでしょう。

【事務局(浪花)】 「野生絶滅」です、トキは。

【小菅委員】 再導入して、いわゆるトキは絶滅種でなくなったの。

【事務局(浪花)】 従前からトキのランクにつきましてはEW、「野生絶滅」のままでして、今回初めて野外でヒナが生まれましたので、それを踏まえて絶滅危惧TA類にするかどうかを議論していたという状況です。

【小菅委員】 すみません。ちょっと私、勘違いをしていました。
私は、日本産のトキが死んだ段階で、「野生絶滅」ではなくて「絶滅」になったと思っていた。それを、中国から連れてきて野外に放出して、その段階で、僕としては絶滅種ではないかなと思うのだけれども、日本の種と海外の種はどういう関係にあるのかということは、もちろんそちらでは整理しているのでしょうけれども、普通、多くの人は日本のトキと中国のトキを分けて考えていると思うのですよね。その辺についての、しっかりとした科学的な、例えばDNAのいろいろな検査によって、このぐらいしか違いがないから、これは同種であるということをしっかりやっているとは思うのですけれども、そういうことはしっかりと広報されているのでしょうかね。

【事務局(浪花)】 中国産と日本産のトキにつきましては、山岸先生が遺伝子調査をされていて、ミトコンドリアDNAレベルで同一種だという論文が出ております。
 それを踏まえて環境省でも、ちょうど日本のトキと中国のトキが、かぶって飼育下にいた時期もありまして、キンが死んだ時点で、恐らく「野生絶滅」か議論がされたと思うのですけれども、同一ということで「野生絶滅」のままできているという状況です。それで、今回、「野生絶滅」から次のステップにという流れになっています。

【小菅委員】 すみません。その辺、ちょっと僕、勘違いしていました。とにかく、今回は野生で繁殖したのを見て、「野生絶滅」という項目ではなくそうということですね。

【事務局(浪花)】 はい。おっしゃるとおりです。

【小菅委員】 わかりました。

【山岸部会長】 ただ、その定義が、ここの委員でさえ、よくわからないというのは、一般の人によくわかるように、きちんと説明する必要はあるね。

【事務局(浪花)】 そうですね。承知しました。

【三浦委員】 今の話を聞いていて、やはりトキの問題については、絶滅宣言をしていないというところが問題なのですよね。たまたまキャプティビティで、キンが死に、中国産がいたというところが、そのまま引きずられているから、この場合は、日本産のトキが絶滅したのだということと、したがって、もう一度、トキを野生に復帰させるためにリイントロダクションを行うのだ、再導入を行うのだというプログラムをきちんとした格好で見せなかった。そのことが多様性条約の中のリイントロダクションの位置づけが明確でないというところに行っちゃうし。
 それから、この文書を見てみると、都合のいいところはIUCNの野生復帰個体のカウントの条件を再導入してと、そこは再導入なんですよね。再導入して何羽ということで、これはランクのカテゴリーを上げられるという解釈をしているのでしょう。そうしたら再導入じゃないですか。明らかに。でも、「絶滅」はなかったというほうがおかしい話ですよね。まあ、意見です。

【山岸部会長】 難しいですね。この問題。

【三浦委員】 ついでですから、もう1点。
これはこれでいいのですが、どうでしょうかね。私は、このカテゴリーのランク、前から言っていて、前のほうがはるかによかったかなと。これはこれで、カテゴリーの区分を細かく見ていくというのは、絶滅確立と時間軸と、二つの軸で、このカテゴリー分けをしていく必要はあるのですが、一般的にどうですかねと随分前から指摘していて、絶滅危惧のT類で、T類の中にTAとTBがあって、絶滅危惧のUがあるというカテゴリー分けは、せっかく日本語があるので、Uのほうが重いのか、Tのほうが軽いのかというよりも、私はかつての日本語そのまま、例えば「危機」とか「危急」とか「危険」とか、そういう日本語を浸透させていくというほうが重要な気がするのですが。これも意見ですが。

【山岸部会長】 その上で、IUCNとの対応が必要だったら、括弧してこれは何に当たると書いておけばいいので。毎回出てきますよね、この問題。わけがわからないという。これも意見ですので、ご検討ください。

【事務局(浪花)】 ちょうど一旦見直しが終わりましたので、次の見直しを始めるときに、そういうご意見があったことを審議にかけて、議論したいと思います。ご意見、ありがとうございます。

【小菅委員】 これは、私が実際に質問を受けたことをそのままお伝えします。
 トキについては、海外から持ってきて放して定着させたと。ニホンカワウソは、そういうことを考えているのでしょうかと聞かれたので、環境省の人に聞いてみますといって、僕は預かってきたのですけれども、トキはなぜ再導入をしたのか。それから、再導入をする動物種はこういうものという明確な区分があれば、質問に答えられると思うのですけれど、何となくでは説明ができないと思うので、これは今すぐ答えは要らないですけれども、今後、こういうものについては再導入を考えていくというものがあれば、そうならないように、ここで何をしていこうという話がまた出てくるわけで、何をどのレベルでちゃんとやっていくのかということは、やはりきちんと今から準備して、整理しておく必要があると思います。これは、子どもからの質問です。

【山岸部会長】 全く仰せのとおりだと思う。荒牧さんの宿題になるね。さっきの、この中に入るべき問題かもしれないですね。それもご検討ください。

【事務局(浪花)】 そうですね。恐らくそういうことだと思いましたので、それも含めて検討させていただきたいと思います。

【山岸部会長】 他に何かございますか。

(なし)

【山岸部会長】 それでは、他にございませんようでしたら時間も来ましたので、ここで局長、お見えになったので、伊藤局長にご挨拶をいただきたいと思います。

【伊藤局長】 8月10日付で自然環境局長を拝命いたしました伊藤でございます。予算の関係で遅れて参りまして、申し訳ございませんでした。
 本日は、熱心なご審議をいただきまして、誠にありがとうございます。最初の議題でご審議いただきました、ライチョウの保護増殖事業計画策定につきましては、10月末頃を目途に告示し、本計画に基づいて関係者と連携しながら、ライチョウ保全のための事業を進めてまいる所存でございます。
 二つ目の議題でご審議いただいた、国指定鳥獣保護区及び特別保護地区の指定につきましても、今日、部会でご承認いただきましてありがとうございました。これも、しかるべき手続を取らせていただきたいと思っております。
 また、三つ目の議題でご審議いただきました、絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略につきましては、今後さらにご審議いただき、環境省としての対応を作成したいというふうに考えておりますが、今日、最後までいろいろご審議いただきまして、非常に難しい問題をはらんでいる問題だというふうに思います。ぜひとも、先生方、今後もいろいろご議論いただき、お知恵を拝借することができればというふうに考えている次第でございます。
 本日は、誠にどうもありがとうございました。

【山岸部会長】 星野審議官、ご挨拶されますか。

【星野審議官】 すみません。ご指名でございますので。
 いろいろ宿題をいただきました。種の保存法等の点検をして、山岸先生に座長をしていただいて、お手元のとおり、提言いただきました。
 種の保存法、我々、自然保護にかかわる者の念願として、今まで取り組んだものの保護と、あと、保護地域の仕組みはございましたけれども、それ以外の野生生物に広げていけそうなものをどう保護していくかということで、平成になってできた法律でございます。
20年以上たって、それなりに我々行政に携わる者として、先生方のご意見をいただきながら努力をしてきたのですが、課題はたくさんあると思います。検討会で今後の方向性を示していただきましたので、それを受けて、より具体的な戦略計画づくりを一年間かけてやるということでございます。これは、我々が事務局として個別にご意見を伺いながら案をつくって、先生方からこの部会の場でご意見をいただいて、一年後には策定したいと思っております。
その中で、今回いただいたたくさんの宿題も含めて対応していきたいと思いますし、その中に入らないものについて、また別な形で何らかの対応をしていきたいと思いますので、引き続きご指導いただきたいと思います。ありがとうございました。

【山岸部会長】 ありがとうございました。ちょっと延びましたが、以上をもちまして、本日の野生生物部会を閉会させていただきます。ご協力、ありがとうございました。