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中央環境審議会 野生生物部会
会議録


1.日時

平成22年5月26日(水)14:00〜15:15

2.場所

中央合同庁舎5号館 共用第6会議室

3.出席者

(野生生物部会長) 山岸 哲
(委員) 加藤 順子
鷲谷いづみ
(臨時委員) 石井 信夫 石井 実 石坂 匡身
磯崎 博司 磯部 力 市田 則孝
神部 としえ 是末 準 汐見 明男
齋藤 勝 桜井 泰憲 土屋 誠
福田 珠子 三浦 慎悟 矢原 徹一
山極 壽一
(環境省) 鈴木自然環境局長
渡邉官房審議官
堀内野生生物課課長補佐
宮澤鳥獣保護業務室長
牛場外来生物対策室長

4.議事

【事務局】 野生生物部会を開会させていただきたいと存じます。
 本日のご出席でございますが、19名の委員のうち、ただいま14名の先生方がご出席でございますので定足数を満たしております。
 まず初めに、資料のご確認をさせていただきたいと思います。
 配付資料が、資料1−1、それから1−1−1、1−2−1、1−2−2、1−3−1、1−3−2、1−4、1−5と1がたくさんございます。
 それからもう一つの束が資料2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6、これが二つセットになっておりまして、最後に1枚紙で参考資料といったものがつけられております。もし資料にご不備がございましたら事務局にお申しつけをいただきたいと存じます。
 資料で1点訂正がございます。2枚目に中央環境審議会野生生物部会の委員名簿をつけさせていただいておりますが、磯部先生がこのたびご異動がございまして、国学院大学法学科の教授ということでございます。訂正をいたします。失礼をいたしました。
 それから事務局でございますけれども、この4月1日付で異動がございまして、鳥獣保護業務室長が吉野から宮澤俊輔に異動してございますのでご紹介申し上げます。

【宮澤鳥獣保護業務室長】 4月から参りました宮澤でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは山岸部会長、以降よろしくお願いいたします。

【山岸部会長】 わかりました。それでは、ただいまから平成22年度第1回目の野生生物部会を開催いたします。
 本日の審議に先立ち、渡邉審議官よりごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【渡邉官房審議官】 ありがとうございます。お忙しい中皆さんご出席いただきまして本当にありがとうございます。また、ちょっと狭い部屋での開催になりました。申しわけございませんでした。
 3月の初めにこの野生生物部会と自然環境部会、合同部会で生物多様性国家戦略のご審議をいただいてまいりまして、3月の初めに答申をいただいて、その後3月16日に閣議決定がなされました。その合同部会の中でもご説明をした生物多様性条約の新しい世界目標(ポスト2010年目標)に対する日本提案については今回閣議決定した国家戦略の目標の中にも反映させていただいたところなんですけれども、ちょうど現在ナイロビでCOP10の準備会合が開かれています。3週間の準備会合なんですけれども、今3週目の最後の1週間に入っておりまして、まさに今週その新しいポスト2010年目標、そしてそれを含む戦略計画の内容についてナイロビで議論が行われているところであります。この新しい目標の形なんですけれども、長期のビジョンと2020年までの目標と、日本から提案した形を取り入れた形の条約事務局の案が出されて、それで今議論がされているんですけれども、そういう2020年までに重点的に行動を起こしていかなきゃいけない、そういう目標になるという見込みになっております。そういうことを受けて、これから2020年までの10年間が今後の生物対多様性の行方を決める非常に重要な10年間ということで、これからの10年間を国連生物多様性の10年という形で指定をして、国連のシステム全体で目標達成に取り組んでいこうと、そういう提案を今週の初めに日本からその準備会合で提案をしたところでございます。
 本日ご審議いただく中身でございますけれども、3月にカタールでワシントン条約の締約国会議が開かれました。その結果を受けた種の保存法に基づく国際希少種の追加と削除というのが一つ目にあります。
 もう一つは、構造改革特別区域ということで、いわゆる特区なんですけれども、その特区におきましてノヤギを狩猟鳥獣とするという大きく二つの事項について諮問をさせていただきたいと思います。また、諮問事項の後に、最近のトキの状況についてもあわせてご報告をさせていただければと思います。ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 それでは、これより早速本日の議事に入らせていただきます。今ごあいさつの中にございましたように、まず5月19日に環境大臣より中央環境審議会に対して、今ご説明のあった二つの案件が諮問されました。これを受けて同日付で中央環境審議会会長より本件が野生生物部会に付議されたわけでございまして、それを本日議事次第にありますように審議事項の二つとしてお諮りしたいと思います。
 それでは、初めに、1番の方の国際希少野生動植物種の追加及び削除について、これについて事務局からご説明いただきます。

【事務局(中島)】 環境省野生生物課課長補佐をしております中島と申します。よろしくお願いします。私の方から、国際希少野生動植物種の追加及び削除につきましてご説明させていただきます。
 まず、お手元の資料の1−1をごらんいただけますでしょうか。諮問の文章でございまして、国際希少野生動植物種の追加及び削除について(諮問)。絶滅のおそれがある野生動植物の種の保存に関する法律第4条第6項に基づき、下記のとおり国際希少野生動植物種の追加及び削除を行うことについて、貴審議会の意見を求めます。
 記、国際希少野生動植物種に追加する種、ネウレルグス・カイセリ(カイザーツエイモリ)。国際希少野生動植物種から削除する種、アナス・オウスタレティ(マリアナガモ)ということで、この2種につきまして追加及び削除のご審議をいただければと思います。
 1ページをおめくりいただきまして、資料1−2−1をごらんください。まず、国際希少野生動植物種が何かということを簡単にご説明させていただきます。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律という法律がございます。その中では、希少野生動植物種を指定することになっておりまして、国内の希少野生動植物種、現在82種が保全対象になっています。もう一つ、国際的に保全を進めていく必要がある種として、国際希少野生動植物種というのを指定しております。現在これにつきましては、677種類指定しております。この種類というのは、種で指定する場合と、属で指定する場合、亜種で指定する場合というさまざまな指定の仕方があるため、677種類という言い方をさせていただいております。それで、国際希少野生動植物種に指定された場合、どういったことが規制されるかと申しますと、その下にあります右側の真ん中ぐらいになりますけれども、譲り渡し等の禁止、人にあげたり、あるいはもらったり、売ったり買ったりというのが禁止されます。もう一つ、販売目的の陳列が禁止されます。
 それで、すべての譲り渡し等について禁止されるのかというと決してそうではございませんで、例外的に譲り渡し等が可能になる規定というのがございます。右側の下の方を見ていただきますと、環境大臣(又は登録機関)の「登録」を受けた場合というのがございます。これは、国際希少野生動植物種に指定される前に既に国内に入ってきた種につきましては、登録をすることができる。あるいは、その個体から繁殖したものについては登録することができるとなっております。この登録をされた場合、登録票というものと一緒にあげたり売ったり、あるいは陳列することができるということになっております。また、ここでは記載されておりませんが、教育ですとか繁殖を目的にした譲り渡し等の場合は、環境大臣の許可によって譲り渡し等が可能となるというふうになっております。
 1ページめくっていただきまして、資料1−2−2、国際希少野生動植物種の要件でございます。どういった種を国際希少野生動植物に定めるかということにつきましては、法律の第6条第1項に基づきます希少野生動植物保存基本方針というところに記載されております。この資料はその抜粋になりますけれども、真ん中あたりに「国際希少野生動植物種」という記載がございます。この中で、国際希少野生動植物については、国内希少野生動植物種以外の種で、以下のいずれかに該当するものを選定する。ア「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)の附属書Iに掲載された種。ただし、我が国が留保している種を除くというものとなっております。これが今回ご審議いただく案件ということでございます。
 またご参考ですけれども、イにつきましては、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する条約又は協定に基づいて通報があった種、具体的には日米の渡り鳥条約ですとか、日露、日豪の協定といったものがこの種に該当するということになっております。
 ワシントン条約につきましても簡単にご説明させていただきたいと思います。資料1−3−1をごらんください。
 ワシントン条約は、正式名称を、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約と申します。目的としましては、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して、その絶滅のおそれのある野生動植物の保護を図ることになります。国際的な取引の規制を各国で協力してやりましょうという条約でございます。昭和50年7月に発効しておりまして、我が国は昭和55年に加入しております。現在の締約国数は175カ国になります。具体的にどういった種が規制されているかと申しますと、附属書I、絶滅のおそれのある種で、取引による影響を受けるものという定義になりますが、953種類、例としてはチンパンジーとかジャイアントパンダ、トラ、シーラカンスなどが指定されております。規制の内容ですけれども、商業目的のための国際取引は禁止、ただし学術目的の取引等は例外的に認められるということになっております。また、附属書IIにつきましては、現在は必ずしも絶滅のおそれはないけれども、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となり得るものという定義になっておりまして、こちらの方は数が大変多くて、3万3,078種類が指定されているということになっております。
 それで、もう一枚めくっていただきまして、資料1−3−2をごらんいただけますでしょうか。このワシントン条約の第15回締約国会議が本年の3月後半にカタールのドーハで開かれております。我が国からは、環境省から私ともう一名、あとは関係省庁としまして外務省、林野庁、水産庁、経産省等の担当者が出席しております。主な討議事項としましては、環境省担当分としては、陸棲動物の附属書の改正としまして、アフリカゾウのタンザニアとザンビアの国内産の牙の輸出を1回限り認めるという提案につきまして議論がなされ否決されております。また同じくアフリカゾウで、南部アフリカ4カ国産の生牙の輸出を、9年間輸出を禁止するというのが前回の締約国会議で決定されていたのですけれども、これをすべてのアフリカゾウの牙を20年間取引させないことにするというケニアの提案がされております。これも同じく否決されております。そのほかにホッキョクグマを附属書IIからIに移行すると、これも否決されております。また、今回のご審議いただく種ですけれども、マリアナガモが附属書から削除というのが可決されております。また、グァテマラワニのメキシコ及びベリーズ個体群につきましては附属書Iから附属書IIに移行させるということが承認されております。またナイルワニのエジプト個体群も附属書IからIIへの移行が承認されております。また、一番最後ですけれども、今回ご審議いただくカイザーツエイモリにつきましては、附属書Iへの掲載が承認されております。また、その他の主なものとしましては、水産動物で、水産庁担当になりますけれども、テレビで報道されていましたのでご存じの先生も多いかと思いますが、大西洋クロマグロを附属書Iに新規掲載するという、モナコ提案が否決されております。
 それ以外にワシントン条約で使う種の学名の変更ですとか、あるいはそのときにあわせて並行して開催されましたアジア地域会合において、日本とクウェートが新たな常設委員会のアジア地域代表に選出されたというようなことが決定されております。また次回締約国会議が平成25年にタイで開催されることが決定されております。
 次が国際希少野生動植物種に追加する種でございます。資料の1−4をごらんください。
 分類はさんしょううお目のいもり科、ネウレルグス・カイセリ、和名はカイザーツエイモリでございます。原産国はイランでございまして、分布状況はザクロス山脈南部の限られた地域に約1,000匹がいるというふうに推定されております。生息を脅かす要因としましては、そもそも分布域が小さいことに加えまして、外来種がふえて捕食されているですとか、あるいは密漁や違法取引が行われているとか、あるいは生息地の周辺近辺でダムが建設されて、その水量の変動だとか水温上昇によって生息環境が変化したことによって個体数の減少につながっているというふうに報告されております。また保護管理状況ですけれども、イランの国内法、環境法によりまして、保護対象となっておりまして、どのような採取も許可が必要だというような状況になっているところでございます。
 引き続きまして、国際希少野生動植物から削除する種、資料1-5をごらんいただけますでしょうか。
 こちらの方は削除する種でございます。マリアナガモの概要になります。分類はがんかも目がんかも科アナス・オウスタレティ、和名はマリアナガモと申します。原産国はアメリカ合衆国となっております。具体的にはマリアナ群島の固有種で、グアム領北マリアナ諸島連邦で記録されております。1979年以降、野生で確認されていないということで、絶滅したのではないかということがワシントン条約の専門委員会である動物委員会の方で議論されまして、動物委員会の方から、これは削除した方がいいという勧告が出ております。それにあわせて寄託国であるスイス政府が、削除の提案をして可決されたということになっているところでございます。
 説明の方は以上でございます。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたらご発言をいただきます。

【土屋委員】 削除の件ですが、いないということを証明するのは大変難しいわけですけれども、このワシントン条約において、どういう情報があったら絶滅したという判断にするかというような基準はあるんでしょうか。

【事務局(中島)】 すみません。私の方では詳細には把握しておりませんけれども、ワシントン条約で専門的な観点から議論する動物委員会の方で、この種はもう情報がないというので落とした方がいいのではないかと結論されたために附属書から削除されることになったということでございます。
 そもそもこの種自体がいなかったのではないかというような議論も若干あったというふうに聞いております。

【石井(信)委員】 私も締約国会議に出ていたことと、それから動物委員会の会合にも出ていたので補足説明しますと、このマリアナガモというのは、もともと何と何だったか市田さんの方がご存じかもしれませんが、2種類の交雑個体だという可能性が非常に強くて、自然界にそういう交雑個体が何個体かいて、標本もあるんだけれども、そういうものだからもともと存在しなかったものであるという判断が一つですね。
 それから、絶滅の基準というのは、特に何か数値基準があるわけではなくて、かなりしっかりした調査の結果、いると思われる場所とか季節で確認できない場合は絶滅とみなすというIUCNの考え方がありますから、それに従って、もともと雑種であったし、今はいないんだからというので削除してはどうかというのが専門委員会の提案です。それが了承されたということですね。

【山岸部会長】 石井さんありがとうございます。市田さん何かつけ加えることはありますか。

【市田委員】 特にないです。

【山岸部会長】 土屋さんよろしゅうございますか。
 それでは、ほかの問題で何かございますでしょうか。

【石井(信)委員】 もう一種についてもよろしいですか。

【山岸部会長】 どうぞ。

【石井(信)委員】 このカイザーツエイモリなんですけれど、唯一の原産国の提案だということで附属書Iに掲載するというのがそのまま了承、ほとんど議論もなく了承されましたけれども、日本にかなり入ってきている可能性があって、ただそれは野外から違法にとられたとかいう、もともとの個体はその可能性もゼロではないんですが、飼育繁殖が容易なので、ドイツあたりでふえたものが日本に入ってきているというのが実態です。ですから、これは希少野生動植物種に指定すると、登録の問題とか発生すると思いますが、それがどうなるかなというのが少し気になるところではあります。ただ、原則的にこういう手続でいいのかなと思います。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 何かこの2点、二つの種の追加と削除についてご意見ございますでしょうか。

【渡邉官房審議官】 先生ちょっと1点補足なんですけど、今回の附属書の改正が発効するのが会議から90日後ということで、6月23日にこの条約の附属書の改正を発効するというスケジュールになっておりまして、審議会でご承認いただけたらそれに間に合うように省令の改正の手続を進めたいというスケジュールになってございます。1点補足でございます。

【山岸部会長】 今スケジュールについての補足、追加の説明がございました。
 特段のご意見、ご質問もないようですので、この議題についてお諮りします。
 カイザーツエイモリを追加し、マリアナガモを削除するという事務局案が適当と認めてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【山岸部会長】 ありがとうございました。それでは、本件は事務局案どおりに認められました。
 本件は、中央環境審議会の会長にただいまお認めいただいたことを報告させていただきます。
 次に、二つ目の議案であります構造改革特別区域内においてノヤギを狩猟鳥獣とすることについての諮問内容について事務局よりご説明ください。

【事務局(尾山)】 環境省鳥獣保護業務室の尾山と申します。よろしくお願いいたします。
 お手元の方に資料を配付させていただいております。資料2と資料2−2と2−3については、一応こちらのパワーポイントの方で説明させていただきたいと思います。こちらのパワーポイントの方は、資料2−6として、お手元の方にもお配りしておりますので、そちらの方もご参考になりながらお願いいたします。
 諮問案件の構造改革特別区域内においてノヤギを狩猟鳥獣とすることについて、それでは説明させていただきます。
 まず今回の案件についてで、これまでの経緯よりご説明させていただきます。昨年末に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」、これは資料2−2の参考の2の方に抜粋を載せております。これまでのルールの変更や社会参加支援を通じて、国民の潜在力の発揮による景気回復を目指す手法の一つとして、構造改革特別区域制度、いわゆる特区制度の活用が盛り込まれました。その際に、過去の特区の提案がございまして、それで未実現となっている提案について選定した上で再検討し、実現を図ることが決定されております。それを踏まえまして、本年の1月に、「明日の安心と成長のための緊急経済対策における構造改革特別区域に係る過去の未実現提案等についての政府の対応方針」というものが総理を本部長とする構造改革特区推進本部の方で決定されまして、その中に、平成19年に、奄美市ほか4首長により特区提案のあったノヤギの狩猟鳥獣への追加について新たに特区において規制の特例とすることが決定されました。その実現に向けて今回野生生物部会の方でご審議いただくことになります。
 ここでちょっと簡単に構造改革特区制度についてご説明させていただきます。特区制度は、全国一律に課せられている国の規制が地域の実情に合わなくなったりした場合に、その規制が、例えば民間企業や地方公共団体の事業を妨げている場合などに地域を限定して規制を改革することにより、当該地域での事業を円滑に行い、地域の活性化を図ろうとするものです。例えばどぶろく特区とか、カブトムシ特区とか聞かれた方もおられると思います。例えばどぶろく特区の場合は酒税法の特例を設けることで、特区内で一定の基準を満たせば少量でもどぶろくを製造販売することができるとしたもので、カブトムシ特区の方は、家畜排泄物処理法の特例を設けて、やっぱり一定の要件のもとに野積みで堆肥の保管を認め、カブトムシの繁殖を図ることで地域の活性化につなげていくというようなものです。
 実は鳥獣保護法でも既に特区制度が措置されておりまして、これまで2件設定されております。一つは平成17年に設定された網・わな猟免許の特区区域内での分離取得です。こちらの方は、その後平成18年の鳥獣保護法の改正に伴い、現在では網免許、わな免許となって、全国化されております。
 もう一つは、平成16年に設定されたもので、特区区域内において農協等の法人が銃器以外の方法で有害捕獲を申請する場合は、一定の要件のもとで狩猟免許を所持していない者も従事できるというものです。これは現在も存続しておりまして、現在認定を受けているのは59自治体ですが、実際に運用されているのは8自治体ということになっております。
 続きまして、今回のノヤギについて簡単に説明させていただきます。
 こちらの写真の方は、奄美のノヤギです。首輪のようなものがついておりますけど、これは飼いヤギということではなくて、ノヤギに地域の方が発信機をつけて生息状況を調査しておりますのでこういう写真になっております。ノヤギとは生活習慣の変化や過疎化に伴い飼育を放棄されたり逃げ出したヤギが野生化したものです。そもそもヤギは、貧弱な植生でも成育でき、繁殖力も旺盛でおとなしいこと、またその乳や肉は栄養価が高いことから、昭和30年代には国内で67万頭が飼育されていたと言われております。こちらはヤギの飼育数の推移です。その後食生活の変化とか交通網の発達とかに伴い、昭和50年代には約11万頭ぐらいが飼育されておりましたが、平成19年には約1万5,000頭程度の飼育数となっております。このうち半分、円グラフの方をちょっと見ていただければわかるんですが、このうち約半分の7,000頭が沖縄の方で飼育されております。また、3,000頭が鹿児島県で、この2県で全体の約7割を占めているような状況です。ヤギのこの飼育が減る一方で、例えば島嶼域でのノヤギの食害や踏みつけによる植生の破壊、その他土壌流出、崩壊など、生態系の被害が大きな問題となっている地域も多々ありまして、こちらがノヤギの捕獲数の推移ですが、黄色いところ、これは東京都、小笠原諸島の捕獲数。これはもう昭和50年以降ずっと見ている限りでは最も多いです。その他水色の部分、これは佐賀県なんですけど、唐津市の沖に馬渡島という、こっちは人も住んでいるんですが島がございまして、そちらの農作物被害が原因になっております。こういった形で捕獲しております。あとは、長崎県というのがございます。こちらは五島列島北部の小値賀諸島というところで、その諸島に連なる平島などの島ですね。そちらはもう無人島になっておりまして、そこの植生破壊などの原因で捕獲したものです。あと、赤い部分が奄美大島で、こちらは平成20年から捕獲を実施しております。
 冒頭で触れましたとおり、ノヤギを狩猟鳥獣にする特区提案を行った奄美大島の状況について若干説明させていただきます。
 平成19年に奄美大島の1市2町2村で行ったヤギの生息に関する聞き取り調査の結果をここに出しております。約2,300頭が生息しているというふうに出ております。その下が生息分布なんですけど、こちらは平成20年に島内の自然保護団体奄美哺乳類研究会さんというところが独自に調べたものです。このときは、船で奄美大島の全域を回りまして頭数を確認しております。内陸部の方はほとんど見れていませんので、海岸域だけなんですけど、このときは約400頭が確認されております。分布としては、急傾斜の地形が広がる海岸域や、外洋に接する岬等で多くの群れが見られるという結果が出ております。
 こちらが奄美大島の被害状況です。平成13年と18年の比較写真がございますが、緑の部分が大分茶色になっていると。かなり植生が破壊されて、実際に瀬戸内町の曽津高崎灯台周辺なんですけど、灯台の足元付近も地盤の崩落が始まっておりまして、その隣の写真、そこに向かう道なんですけど、そちらの方でもそこかしこで植生が破壊され、もう崩落が始まっているということです。
 こちらは奄美大島本島ではないんです。そのすぐ隣にある加計呂麻島というところなんですけれど、そちらの食害の状況です。
 このような状況を踏まえて、奄美大島でも取り組みを進めておりまして、平成20年からは、奄美群島振興開発事業という事業を活用しまして、防除対策を実施しております。このときには約400頭近くを捕獲しております。
 あわせてヤギの適正使用ということで、島内の市町村はヤギの放し飼い防止等に関する条例を制定しまして、ノヤギの増加を防止するほか、島内のノヤギと飼育下にあるヤギを明確にし、捕獲の際に問題が生じないような取り組みを進めております。
 以上、概況の説明です。それで、資料2-2の方に戻っていただきまして、このような事情も踏まえまして、構造改革特別区域内においてノヤギを狩猟鳥獣とするということを考えております。今回、構造改革特区区域内においてノヤギを狩猟鳥獣にするということですので、基本の法律が構造改革特別区域法に基づいて鳥獣保護法並びに鳥獣保護法施行規則の特例措置を定めることになります。そのため、実際の法律の省令の改正に当たりましては、「環境省関係構造改革特別区域法第2条第3項に規定する省令の特例に関する措置及びその適用を受ける特定事業を定める省令」ということで、資料2−2の裏面、参考1の方の下の方につけておりますこちらの省令の方に1条を追加して措置することを考えております。
 また、資料2−4の方ですけど、鳥獣保護法第2条第6項に基づき、狩猟鳥獣を定める場合は公聴会を開催することとしておりまして、これにつきまして5月19日に実施した結果を記載しております。公述人からは当該案件について皆様賛成という意見をいただいております。お手数なんですが、長崎県の知事のお名前が間違っておりまして、実際は中村法道知事になります。訂正の方をお願いいたします。
 続きまして資料2−5ですけど、本件について4月19日から5月18日までパブリックコメントを実施しました。一応8人の方から提案がありまして、基本的にすべて賛成の意見でした。
 以上、簡単ではございますが、ご説明にかえさせていただきます。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 ただいま奄美大島のノヤギについてのご説明があったわけですが、ただいまのご説明につきましてご意見、ご質問がございましたらどうぞご発言ください。

【市田委員】 今のお話で問題はわかったんですけれども、ここで今日議論することは、狩猟鳥獣に加えるということだけですか。つまりその、何千もいる中で何百ずつとっていっても、恐らく永久に続くんじゃないかと思うんですけれども、環境省はそれを被害が出ないようなところまでどういう計画でこれを解決しようとしているか、そこはかかわらないんですか。

【事務局(尾山)】 今回のことについては、いわゆる構造改革特別区域ということで、特区の申請のあったところがノヤギを狩猟鳥獣にして対応できるような措置を今回措置するということで進めておりまして、とりあえずは今そこの状況です。

【市田委員】 ヤギがいれば植生が破壊されるということはよくわかりますし、植生が破壊されるといろいろな問題が起こることもわかるんですけれども、たださっきの写真を見て、灯台の根元までえぐられちゃっているのが、あれがヤギのせいなんだろうかという気もするんです。最初の原因はヤギだったかもしれないけど、その先、あんなになるまで放っておいたことが問題なんじゃないかという気もしていて、だから問題があるならば狩猟鳥獣にするということも一つの方法でしょうけれども、やっぱり被害が起こらないように、もし、もともといないところに入ってきたんであれば全部駆除してしまうとか何とかという、そういう問題の解決に至る道筋を環境省さんの方でお話してあげた方がよくて、これを狩猟鳥獣にして何匹か駆除したところで、ああやったという気持ちがすっとちょっとするだけで、問題の解決にはなかなかつながらないでしょう。だからそこいらはぜひご指導いただいたらよろしいんじゃないかと思いますけど。

【渡邉官房審議官】 今回、奄美大島の市町村から要望があって、特区制度を活用してノヤギを狩猟鳥獣にしてほしいという要望が出たと。そうすると、有害駆除だけじゃなくて狩猟期間中も撃てるようになって、今まで以上に駆除を進められるのでそういう要望をしたいということが始まりです。今回この特区でノヤギを狩猟鳥獣にするという措置をしますと、それを受けてこの奄美大島以外のところも同様の被害があるので、例えば長崎県のこの島においても特区に指定してノヤギを狩猟鳥獣にしたいということが要望できるようになって、それはそれぞれ審査をして認められると、そこの場所では、有害駆除に加えて狩猟期間中も狩猟として撃てるようになるというのが今回の措置の意味なんです。一方でノヤギの生態系に対する影響は、この奄美以外でもいろいろ深刻な影響は出ているところがあって、小笠原はその代表的な場所ですけれども、そういった場所では地元の努力だけではなくて、東京都なり環境省もノヤギを減らすための対策を地元と一緒になってやっていると、そういう事業が成果を上げつつある場所もあります。奄美についてノヤギの対策、今までは地元の人が有害駆除ということでやってきているわけですけれども、一方で奄美は野生生物の生息地としても非常に重要な場所なので、それに対する影響も出てきているということで、その地域の取り組みに対して国の方がどういうかかわりをしていけるのかというのは今後地元とのご相談というふうに考えます。奄美大島は今国立公園の指定を目指していますけれども、まだそれは途上にあるという状況で、どう効果的な駆除をしていくかということについても今後地元からの相談には応じていくというそういう関係かなと思っています。

【山岸部会長】 市田委員よろしゅうございますでしょうか。

【齋藤委員】 このノヤギという言葉は、この「ノヤギとは」というところで定義されているわけですが、これからもずっと継続してノヤギという言葉をお使いになるということになるわけですか。例えばですね、今泉(吉典)さんや何かは、パサン(ノヤギの1亜種)や何かもノヤギという表現をしているんです。家畜の原種になったノヤギは実はいるわけで、その辺の、野良ヤギというのはちょっとおかしいなと。ですから、このノヤギという言葉はここに定義してあるようにこれからもずっと継続してノヤギという形になる。もし日本の動物園ではそんなにノヤギが入っていないものですから、問題は少ないだろうと思うのですが、これからノヤギを入れた動物園というのはほかの名称を一生懸命考えなきゃいけないことになるだろうと思うんですが、これはずっとこのまま継続してノヤギという表現をされるわけですね。

【事務局(尾山)】 基本的には野生鳥獣の定義のときに、当該個体がもともと飼育下にあったかどうかを問わず、飼い主の管理を離れ、常時山野等において専ら野生鳥獣を捕食し生息している状況を指すということにしておりまして、この定義に基づいて、例えば鳥獣保護法ではノイヌなり、ノネコなりという形にしておりますので。

【齋藤委員】 わかりました。今後考えなきゃいけないなということになるだろうと思うので。

【宮澤鳥獣保護業務室長】 補足させていただきますと、要はイヌ、ネコにつきましても鳥獣保護法令の中でノイヌ、ノネコとやっております。それと同じようにノヤギのノをつけた形で制度的には扱っていくということでございます。

【三浦委員】 私はこの諮問についてノヤギを狩猟鳥獣、特区内ですね、これについては基本的に賛成ですし、何といいますか援護射撃を非常に全然、こんな植生のところのノヤギを根絶するという援護射撃という立場から賛成なんですけれども、ただちょっと、考えておきたいのは、これは狩猟鳥獣ですよね。狩猟鳥獣というのは、鳥獣保護法の精神から言うと、これは野生鳥獣資源を持続的に利用していこうというそういう精神ですよね。そういう観点で言うと、捕獲が根絶を目指すという、基本的には私はそういう方向でいいと思うんですけれども、それとはそぐわないんではないかということがベースのところにあるので、とりあえずはこれでいいとしても、だから狩猟鳥獣そのものの今検討には入っているだろうとは思いますけれども、その辺も含めて、少し直接オーケーということではなくて留保はつけておきたいかなというふうに思うんですけど。

【山岸部会長】 ありがとうございます。何か市田さんとの発言とも関係あることですね。これは今後ご検討いただくという方向でよろしゅうございますか。

【三浦委員】 はい。

【山岸部会長】 ほかに何かございますでしょうか。

【加藤委員】 ちょっと私の理解が不十分なんだと思うんですけども、今回、構造改革特別区域内においてノヤギを狩猟鳥獣とするということをオーケーした場合に、奄美大島は、構造改革特別区域として今申請が出ているために、そこのものが狩猟鳥獣になるということですが、今回これを決めた場合に、今度はほかの場所についてはここの委員会等にかからないで、そこを構造改革特別区域とするかどうかというところが決まってくるというふうに考えてよろしいんでしょうか。ちょっとその構造がよくわからないんです。

【事務局(尾山)】 ちょっとそこの説明が足りなかったんですけれど、今回この構造改革特別区域というのは、構造改革特別区域で今回の関係ですけど、とりあえず構造改革特別区域として申請を受けた場合にそういう措置がとれるという枠組みを決めるだけなんです。それで、今後この後いろいろ内閣府との調整もあるんですけど、それが終わって省令の方が整った段階で、全国に内閣府の方からこういう特区が新しく、特区制度ができましたのでやってみるところはありませんかという募集をかけて、それに応募してきてその要件上当てはまるところであればできるということです。すみません、説明が足りませんでした。

【山岸部会長】 どぶろく特区、カブトムシ特区と同じだということですか。

【事務局(尾山)】 そうです。

【土屋委員】 似たような質問なんですが、先ほど審議官のご説明の中で勘違いがあるかもしれないので確認させてください。
 ある鳥獣を狩猟するためにこの構造改革特別区を設定するということもあり得るのですね。そうおっしゃったように私は理解したものですから確認したいのですが。とるためにこの地区を構造改革特別区域に制定するというのはちょっと危険な場合もありやしないかと思ってのご質問です。

【宮澤鳥獣保護業務室長】 現在のノヤギに対するアプローチというのは、狩猟鳥獣になっておりませんので、いわゆる有害捕獲という手続でとっております。有害捕獲の手続でとる場合には何が必要かというと、都道府県知事とか市町村長の許可を取らなければいけないんです。地元の今回特区提案をされている方々からは、一々許可を取ってとるのはとても面倒くさいと。手続が煩雑になるので、許可をとらないで撃てる狩猟鳥獣という定義の方にしてもらえませんかと。ですから、ノヤギをとるということ自体は変わらないんですけれども、許可を取って狩猟するのか、許可を不要として特定の期間狩猟するのかというところが違います。
 今回の背景としては、ノヤギを地元としては生態系保護のために積極的にとりたいんだけれども、煩雑な手続はちょっと面倒だということで狩猟鳥獣のジャンルに入れてほしいということできておりますので、とるためにというよりは、とる手続を簡単にするために今回の特区で認めてほしいというふうにご理解いただければと思います。

【山岸部会長】 だから危険だと言っているんですよね。

【土屋委員】 今回の場合は余り違和感を覚えないんですけれども、もっと一般的に考えた場合に、ある動物をとりたいためにここをこの地区に制定するというような危険な考えを持たれやしないかという心配です。

【渡邉官房審議官】 今回この特区制度にノヤギを狩猟鳥獣とするということを追加するという要望を受けて、環境省としては今土屋先生がおっしゃるような悪影響なり懸念なり、そういうのは大丈夫だろうかということを十分検討した上で今回のノヤギを狩猟鳥獣にすることについてはいいだろうと、効果もあるだろうと。
 もう一つあるのは、この措置をした後に、具体的に奄美大島であるとか長崎のある島であるとか、そういうところからこの特区制度を使ってノヤギを狩猟鳥獣にしたいというもう一個申請のステップがあります。その場所は大丈夫だろうかということもチェックをかけて、大丈夫であればその場所がこの特区制度の適用を受けてノヤギが狩猟鳥獣になると。その段階でもそれぞれの具体的な場所ごとのチェックがかかるということで、ノヤギを狩猟鳥獣の特区制度に入れることについては環境省としては大丈夫だろうと、そういう判断をしたところでございます。

【山岸部会長】 よろしゅうございますでしょうか。

【土屋委員】 はい。

【山極委員】 ちょっと勉強不足なので教えてください。
 有害鳥獣駆除と狩猟鳥獣というのと全然許可申請が違うというのはわかりますけれど、有害鳥獣の場合には禁猟区とかそういうのは関係ないですよね。狩猟鳥獣にすることによって期間が限定されるのか、あるいは有害鳥獣としても引き続きノヤギというものを駆除できるのか、その辺について教えていただきたいんですけれど。

【事務局(尾山)】 一応、今回こういう形で狩猟鳥獣とはしても、特に許可申請で捕獲できなくなるということはございませんので、そこは大丈夫だと思います。

【山極委員】 ただ、これは三浦委員の質問ともダブるんですけれども、狩猟鳥獣ということになると、例えばこの前シカの雌の捕獲が認定されましたけれども、持続的な地域個体群を維持するための方策というのがある程度根底にありますよね。ですからこれに、ノヤギの場合には、もともと有害駆除を目的としてとられていたものを、もう少し捕獲範囲をやさしくし、広げるためにこういうことをしたわけであって、根本的なところがちょっとずれるような気がどうしてもするんですけどね。もちろん今、部会長がおっしゃられたように、今後検討するということでよろしいと思いますけれども、ぜひご検討いただきたいと思います。

【山岸部会長】 よろしくお願いします。

【市田委員】 私の聞き方はちょっと不十分だったんだろうと思うんですけど、最初お聞きしたら、これは、有害鳥獣で駆除するのに加えて狩猟鳥獣にもしておけばもっと減るんじゃないかというふうにお話があったように思うんですけれども、でもよく聞いてみるとそうじゃなくて、有害鳥獣駆除をやるのにもっとやりやすくするんだというようにもお聞きできるんです。僕は反対しているわけじゃないんですけれども、もしそうだとすると、やっぱり日本中でいろいろこういう有害鳥獣の対策が行われたときに、いつでも繰り返されることは、さっきと同じことですけれども、全体の計画を余り立てないで、一見計画みたいなものはつくるんだけれども、適当に何匹か殺すというぐらいの話でやるから、永久に問題は続くんですね。だから、ニュージーランドとかいろいろなところでもやっていますけれども、ここの島でこの動物は問題だと思ったらちゃんと計画を立てて、全部とっちゃうわけです。だから、ほかの島はともかく奄美大島なんてとても重要な場所なわけですから、だから、有害鳥獣駆除できちっとこういういろいろな制度を活用してやっていくんだとすれば、全体の計画がどうなっていて、そこに環境省さんはどうかかわって引っ張っていくんだということをやっぱり考えていただいていかないと、あと5年後、10年後、また同じ議論をずっと続けることになるという気がしますけど。

【渡邉官房審議官】 まず、最初の市田さんのご指摘である有害駆除に加えて今度は狩猟でもできるようになる。有害から狩猟に変わるわけじゃなくて、従来やってきた有害鳥獣捕獲の許可を受けて捕獲をするのは引き続きできます。それに加えて、狩猟期間中については狩猟によって捕獲することもできるようになるというのが今回の意味で、ノヤギの場合は持続的に利用していくというよりは根絶に向けていくというのがターゲットになるということだと思います。そのための計画をきっちり立てていくことが重要。それに対して環境省も関与していくことが重要という点はまさにそのとおりだと思いまして、小笠原でもそういう考え方に立って計画を立てて、島ごとに年次を決めて根絶まで持っていっていると。まだまだたくさんいて時間がかかるところも残っていますけれども、そうやって計画的に進めてきていますので、そういった形で計画的なアプローチがすごく大事だと思います。

【市田委員】 奄美大島でもそういう方向だということですか。

【渡邉官房審議官】 奄美大島でも地元が今後考えていく中で環境省も相談に乗っていくということが大事かなと思います。

【山岸部会長】 よろしくお願いします。
 そのほかございますでしょうか。

(なし)

【山岸部会長】 それでは、そのほか格段のご意見、ご質問もないようですので、この議題についてお諮りいたします。
 構造改革特別区域内においてノヤギを狩猟鳥獣とすることについて、これはただいまの事務局案を適当と認めてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 ご同意いただきましたので、本件を適当と認めることとし、この事務局案を当審議会の答申案として中央環境審議会会長に報告することにいたします。ただし、ただいま出たような意見を今後ご検討いただくということをお忘れなくご継続ください。
 それでは、審議事項は終わりまして、報告事項がありますようですので、事務局より報告願います。

【事務局(志田)】 野生生物課でトキを担当しております志田と申します。本日少しお時間をいただきまして、最近報道等でもよくごらんいただいているかと思いますけれども、トキの状況について簡単にご報告をさせていただきます。
 お手元に簡単な資料をお配りしていますけれども、説明はパワーポイントをごらんいただきたいと思います。
 こちらが佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションという施設になります。トキについては平成11年に中国からペアをもらってからずっと飼育繁殖に取り組んできまして、平成19年からこちらのような施設をつくりまして、野生復帰に向けた訓練というものを開始をしております。そういった中で、ことしの秋に第3回目の放鳥というのを計画をしておりまして、トキを訓練中だったんですけれども、3月10日に訓練中の11羽のうち9羽が死亡するという事故が発生いたしました。こちらについてはテンがケージのすき間、写真の方に赤丸をしておりますけれども、わずかなすき間の方をつかれて侵入して、トキが次々に襲われております。こういったような事故が発生いたしましたので、本日のご出席の石井先生、山岸先生にも委員になっていただきまして、検証委員会というものを設置して、報告書の方を取りまとめていただきまして、これまでどういう経緯でトキ保護増殖事業を進めてきたのかを検証のうえ、今後の改善策について提言をいただいております。今後環境省としては、新潟県と協力をいたしまして、提言に基づいて必要な対策を実施したいと考えております。こちらの下の写真は、順化ケージに残されたテンの足跡の写真と、あと右側がその後順化ケージで捕まったテンになります。これが犯人かどうかというのはわからないという状況になります。
 改善策については、そもそもは天敵というものの脅威を十分に認識していなかったのではないかと、そういったものを認識した上で全般的な天敵対策を検討するべきであるとか、環境省は事業を現地で統括する責任者のもとで実施する体制を強化することとか、あと地元関係者の意見をもう少し酌み取れるような仕組みをつくるべきであるとか、あと具体的な対策として、電気柵の設置ですとか、テンが登れないような返しを設置するとか、さまざまな提言をいただいているところです。
 次に、放鳥したトキの状況をご説明をいたします。これまで平成20年9月25日と、29日にあわせて29羽を放鳥しております。先日現在ですと、佐渡島で18羽、本州で4羽が生息をしており、4羽は行方不明、3羽は死亡という状況になっております。新潟県以外では北は秋田県から南は福井県までかなり広範囲で目撃されております。ただ、広範囲に移動しているのは特定のトキがそのような動きをしているのでありまして、第2回放鳥後は比較的佐渡に落ちついているという状況になっております。野生下での繁殖、こちらが最近報道などでよくごらんいただいているかもしれませんけれども、幾つかペアをつくって営巣したということが確認できております。このうち4組は卵を産んだということも確認ができているんですが、そのうち3組はカラスにちょっかいを出されたりしまして、現在のところ残念ながらひなのふ化は確認ができておりません。うち一組は、卵をすべて巣の外に投げてしまったりですとか、また親が巣をあけている間にカラスがやってきたりですとか、なかなかトキが自然でひなをかえすというのは難しいのかなという状況になっております。今年もしひなが誕生すれば34年ぶりなんですが、そもそも卵を産んでくれただけでも31年ぶりということで、それだけでも評価してもいいのかなとも思っております。
 あと続きまして、飼育下のトキなんですが、野生下のトキは残念ながらひなのふ化が難しい状況にはなっているんですけれども、今年度は21ペアにより繁殖を計画をして、今年から初めていしかわ動物園でも分散飼育地として飼育繁殖に取り組んでいただいております。今後は島根県出雲市、新潟県長岡市でも飼育繁殖を行う予定となっております。現在のトキの飼育羽数なんですが、トキの死亡事故により成鳥は114羽ということでちょっと減ってしまったんですが、その後今年既に53羽ひなが成育をしております。今まで一番多い誕生数が、去年43羽が誕生しているんですが、今年既に53羽元気に育っておりまして、今後もまた誕生する見込みがあるということで、人工下では比較的順調にトキの繁殖は推移をしているところです。今後トキの放鳥についてどうしていくかということは、本日実はメンバーの先生方が多数ご出席いただいているんですけれども、またトキの会合の方で案をお示しして、意見を聞いていきたいと思っております。
 トキについては以上です。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 ただいま、何かご質問、ご意見があったら賜りますか。ただ、報告だけですか。
 今お話があったように6月2日に専門家委員会がありまして、今後の放鳥をどうするべきかというのが話し合われますので、何かご意見がありましたら今日賜っておいて、生かせるところは生かしたいと思いますので、ご感想でも何でも構いませんので。

【山極委員】 トキについてはわかったんですが、テンについてはどういうような措置を講じられたのかというのをちょっとお聞きしたいんですけれど。

【事務局(志田)】 テンの侵入経路を特定するために、いろいろなわなを設置したりですとか、テープを張ったりですとか1カ月ほどずっと調査をしておりまして、順化ケージで1頭捕獲しております。その後はテンの侵入は確認できておりません。捕獲したテンについては、たまたま富山市ファミリーパークさんのご好意で引き取られていっております。今後そういったテンをどうしていくかというのは、実は来週の会合でまた先生方の意見を聞いて決めていきたいと思っております。検証委員会の方では飼育施設周辺では積極的に捕獲をしていくべきであるというご意見をいただいておりますので、そういうご意見を参考に決めていきたいと思っております。

【山極委員】 余計なおせっかいかもしれないんですけれども、テンが余り悪者になり過ぎちゃっているという気がしまして、しかも、トキもこれから放鳥していくとなればテンと出会うわけですよね。ですから要するに、現地でのテンをどうするかということと、要するに動物園に送ったテンについても、やっぱりそれなりの配慮をしてあげないと、何かちょっと余り悪者になっちゃっているんじゃないかという気がしたものですから。

【事務局(志田)】 佐渡島においては、テンはそもそも国内外来種という扱いという生き物でして検証委員会でも捕獲という方向の提言をいただいておりますので、今後はそういった対応になっていくのかなと思っておりますけれども、また来週、先生方のご意見を聞きたいと思っております。

【山岸部会長】 多分、富山のテンは悪者じゃなくて人気者になっていると思います。

【山極委員】 ちらっと話を聞いたら、テンを捕獲してそのままぽんと動物園に投げるという形になったということなので、動物園側としてもちょっと困ったということを聞いたものですから、やっぱり野生動物ですから、飼育するに関しても、やっぱりまとめてぽんとじゃなくて、やっぱりきちんとした飼育環境に置いてから、検疫もしてから送るべきだと思いますので、ちょっとその辺は考慮していただきたいと思います。

【事務局(志田)】 ご指摘のとおり野生で捕獲したものをすぐ運ぶのはどうかという指摘が、ファミリーパークの方からありまして、4週間ほど経過を観察して、様子が落ちついて、えさも食べてふんもしているので、これなら大丈夫だろうということで移送しています。検疫についてはファミリーパークの方でしばらく調査をして、それからほかの個体と一緒にするというふうに聞いております。

【石井(実)委員】 天敵として、テン以外のものも想定されると思うんですよね。例えばヘビなんかはどうかと思うんですけど、ヘビなんかがいた場合、あのメッシュのネットは通ってしまうんですか。

【事務局(志田)】 金網については、2.5センチ四方ですのでヘビの侵入は可能だと思います。これまでトキの天敵としてヘビというものを認識していなかったのと、その被害がないということもありまして、今のところヘビについては対策というのは考えておりません。

【石井(実)委員】 やっぱり木に登って卵を食べるというのはヘビは当たり前にやるんじゃないかと思うんですよ。その辺ちょっと考えておいた方がいいんじゃないですか。

【事務局(志田)】 今回とまり木にテンなどが登れないように、対策をしようと思っていますので、ヘビについても一緒に考えていきたいと思います。

【石坂委員】 飼育のトキのひなが53羽既に今年生まれているわけですね。去年が40何羽とおっしゃっていましたけれども、これは今後どんどん生まれていくということになるんですか。

【事務局(志田)】 これまでは、そもそもの日本にいるトキは生息数が少ないということで、とにかく数をふやそうということで人工飼育、人工繁殖を中心に一生懸命頑張ってきたんですけれども、今後専門家会合の中で先生方のご意見を伺って、もう少し自然繁殖に取り組んでいくとか、そういう方向性もあるのかなと思っております。

【石坂委員】 今まではふやせばいいということだったんでしょうけれども、どういうふうにしていくんだという構図がないと困ると思いますので、よくご検討いただきたいと思います。

【山岸部会長】 ほかに何かございますでしょうか。

(なし)

【山岸部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、最後に各委員から今日の議題以外でも何かご意見、ご質問などがございましたら。

(なし)

【山岸部会長】 それでは、ないようですので、そのほか事務局から何かございますでしょうか。

【事務局】 特に議題はご用意してございませんが、今日はスライドなどの不備がございまして、大変申しわけございませんでした。

【宮澤鳥獣保護業務室長】 今担当の方からお話がございましたけど、改めまして、スライド資料等に大変不手際がございましたことを改めておわび申し上げますとともに、次回から気をつけますのでご容赦いただきたいと思います。どうもすみませんでした。

【山岸部会長】 それでは最後に、自然環境局長からごあいさつをお願いいたします。

【鈴木自然環境局長】 どうも今日は貴重なご意見をいただきましてありがとうございます。いただいた結論につきまして、それに沿ってまた対応させていただきたいと思いますし、トキにつきましても、事故の話で悪い話もありますが、他方で多くのひなも生まれているということがございます。今後どういうふうにしていったら当初の目的がうまくできるか、いろいろいただいたご意見を踏まえてまた検討していきたいというふうに思っています。
 あとそれから、秋にCOP10があるということで、自然局の方は今そちらの方が非常に大きな課題になっておりまして、各課ともそれぞれ課題を抱える中で、COP10に向けての準備を進めているわけですけれども、ちょうど今ナイロビでSABSTTA/WGRIという秋に決めます決議文の案件についていろいろご意見を闘わせていただいているという状況で、日本は日本としての考え方を出しているんですけれども、まとまりそうな部分もあればまとまりにくそうな部分もある。恐らく決議の部分はいろいろ意見が分かれても、最終的には10月には何とか合意できると思いますけれども、まとまりにくそうな部分というのは、議定書を作成を目指している部分、具体的にはABSの問題が一番大きな課題かなと思っておりますけれども、これにつきましては7月にもまた準備会合を別途行うことにして議論をするというふうになっておりますが、ちょっとまだ予断は許しませんけれども、もともとABSについては国際的な枠組みの検討を得るというのが今回のCOP10に与えられたマンデートでございますので、何とかそういう方向になるように関係省庁とよく話もしながらうまくできればなというふうに思って取り組んでいるというのが今の現状でございまして、自然局の今の現状を申し上げてごあいさつとさせていただきます。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして本日の野生生物部会は閉会といたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。