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■議事録一覧■

中央環境審議会 野生生物部会
会議録


1.日時

平成20年10月7日(火)14:01~15:40

2.場所

中央合同庁舎5号館 環境省第1会議室

3.出席者

(野生生物部会長) 山岸  哲
(委員) 加藤 順子
鷲谷いづみ
(臨時委員) 石坂 匡身  石原  收  磯崎 博司
磯部 雅彦  市田 則孝  岩熊 敏夫
是末  準  齋藤  勝  桜井 泰憲
高橋 佳孝  西岡 秀三  和里田義雄
(環境省) 黒田自然環境局長
柏木審議官
西山野生生物課総括補佐
吉野鳥獣保護業務室長
水谷外来生物対策室長

4.議事

【山岸部会長】 ただいまから平成20年度第2回の野生生物部会を開催いたします。
 本日の審議に先立ち、黒田自然環境局長よりご挨拶をお願い致します。

【黒田自然環境局長】 黒田でございます。お忙しいところを野生生物部会にご出席いただきまして誠にありがとうございます。紹介がありましたが、7月22日付で自然環境局長に就任いたしました。自然環境行政は長くやっておりますが、局長という新しいポストにつきましたので、身を引き締めて取り組んでいきたいと思います。野生生物ばかりでなく、自然環境全般に関してご指導をいただきたいと思います。
 本日の諮問案件でございますけれども、鳥獣保護法の国指定鳥獣保護区の指定と、その中の特別保護地区の指定でございます。具体的な場所としては山形県の大山上池・下池鳥獣保護区、特別保護地区でございますが、これは新規の指定でございます。それから、釧路湿原、谷津、浜甲子園、霧島という四つの国指定鳥獣保護区につきまして、その特別保護地区の再指定につきましても、あわせてご意見をいただきたいと思っております。
 それから、諮問案件の後、今年、韓国でラムサール条約の締約国会議が開かれますが、それにあわせまして、ラムサール条約の登録、条約湿地の登録地を増やすという案件、あるいは、先般新聞でも報道されましたが、トキの放鳥やアホウドリの保護の取り組み、さらには、今年も韓国で低病原性の鳥インフルエンザが発生したという情報もあり、鳥インフルエンザ発生時の国内対応方針を決めておりますので、多岐にわたりますが、ご説明をさせていただきたいと思っております。 
 それから、昨年の11月に生物多様性条約に基づいてつくっている生物多様性国家戦略を改定して、第三次国家戦略をつくったところでございます。改定では、野生生物部会の先生方にもご意見をいただきまして、第2回目の新戦略に比べてもさらに内容が深まったと思っているところでございます。今年の6月に生物多様性基本法が議員立法で制定をされまして、これに基づいて国家戦略は法定の戦略をつくらないといけないと、こういう義務規定もできたということで、早速、この基本法の中では地方自治体、都道府県も市町村にもそれぞれ生物多様性の地域の戦略をつくるように努力しなさいと、こういう規定もあり、国に対しては国家戦略をきちんと法定でつくれと、こういうことですから、まず、国がしっかりしないといかんだろうということで、この法定化をこれから取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、ちょっと先の話になりますけれども、また、自然環境保全部会との合同部会というような形で、いろいろ議論を深めていただくと、こんなことを、年末、あるいは年度末に向けてお願いすることになろうかと思っております。
 そういうこともありますが、これもお聞き及びと思いますが、生物多様性条約の第10回の締約国会議を2010年10月に名古屋市で開催するということでございまして、もう10月に入りましたので、ちょうどあと2年ということで、時間があるようですが、ある意味、心の中でちょっと切羽詰まってきていると、こういう感じもするところでございます。条約の戦略計画にあります2010年目標というのの目標年でもありまして、非常に重要な年の重要な会議と。大変、大規模な、直近の第9回の締約国会議はこの5月にボンで開催されましたが、オブザーバーを含めて参加者数7,000人という、非常に大規模な、日本で開催する21世紀初頭の会議としては最大級だろうと、こういうことでございます。
 この会議はやはりホスト国として、しっかり実りのある会議になるように、日本として最大限の努力をしていかないといけないと、こういうふうに考えておりまして、関係方面、の方々とも連携しながら取り組んでいきたいと思いますので、野生生物部会の先生方にも、いろいろな角度から、ご指導いただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 では、本日の議事に入らせていただきます。
 まず、今月10月2日に環境大臣より中央環境審議会に対して、国指定鳥獣保護区及び同特別保護地区の指定についての諮問がなされたこと、それを受けて同日付で、中央環境審議会会長より本件を本野生生物部会に付議されましたことをご報告いたします。
 初めに、国指定鳥獣保護区及び同特別保護地区の指定についての諮問内容について、それでは、事務局からご説明願います。

【事務局(小川)】 環境省野生生物課、補佐をやっております小川でございます。よろしくお願い致します。
 それでは、国指定鳥獣保護区及び特別保護地区の指定について、説明致します。
 諮問案件は次の5件になっております。1件目は、釧路湿原鳥獣保護区について、釧路湿原特別保護地区の再指定。2件目は、大山上池・下池鳥獣保護区及び特別保護地区の新規指定。3件目は、谷津鳥獣保護区について、谷津特別保護地区の再指定。4件目は、浜甲子園鳥獣保護区について、浜甲子園特別保護地区の再指定。最後に5件目として、霧島鳥獣保護区について、霧島鳥獣保護区特別保護地区の指定についてでございます。
 鳥獣保護区及び特別保護地区の指定を行う場合には、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の規定により、本審議会に諮問することと定められております。
 簡単に鳥獣保護区の制度についてご説明いたします。鳥獣保護区は鳥獣保護法第28条に基づき指定するものであり、区域内では狩猟が禁止されます。また、鳥獣保護法第29条に基づき、保護区の中に鳥獣の生息地を保護する観点から必要な区域を特別保護地区に指定することができます。特別保護地区内では建築物・工作物の新築、改築または増築、水面の埋め立てまたは干拓、木竹の伐採の三つの行為について、環境大臣の許可が必要になっております。
 それでは、諮問案件ごとの説明に入ります。
 まず、国指定釧路湿原鳥獣保護区、釧路湿原特別保護地区の再指定についてでございます。位置についてですけれども、北海道釧路市の北東に位置し、釧路町、標茶町、鶴居村にわたる地域で成り立っております。赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区であり、釧路川とその主流の流域に広大な湿原が広がっている現況になっております。ヨシやスゲに覆われた低層湿原が大部分を占めて、中高層湿原も点在しているという状況になっております。
 赤の斜線の区域が特別保護地区でございまして、鳥獣保護区の中でも低層湿原が広がる湿原中央部分に当たります。釧路湿原はその約80%が低層湿原から構成されておりまして、低層湿原にはヨシやスゲで覆われておりますけれども、中高層湿原に該当する部分につきましては、イソツツジやチャミズゴケの群落が自生し、池沼は多数の水生植物の良好な生息地となっている。また、ハンノキ林が点在しているという状況になっております。
 このような自然環境を反映いたしまして、国内希少野生動植物であり、環境省が作成したレッドリストに掲載されている絶滅危惧IAのシマフクロウ、絶滅危惧2類のタンチョウを初めとする希少鳥獣や、オジロワシ、オオワシ等の希少猛禽類の渡り鳥も確認されております。タンチョウは当該区域で繁殖が確認されており、その繁殖つがい数は国内最大でございます。特に特別保護地区内の区域では、繁殖期にタンチョウの営巣が多く確認されており、タンチョウの営巣、えさ場として特に重要となってございます。
 指定区分、面積、存続期間でございますけれども、指定区分はタンチョウ等の希少鳥類を対象とした希少鳥類の保護区です。鳥獣保護区の面積は、1万1,523ヘクタール、そのうち特別保護地区の面積は6,962ヘクタールと考えております。存続期間は20年11月1日から30年10月31日までの10年間になっております。鳥獣保護上、存続期間の最長期間は20年になっておりますけれども、今回、10年で考えております。関係者との事前の意見調整の中で生息状況の変化とかに則した区域の見直しを検討するために10年にすべきということで調整いたしまして、10年で考えているところでございます。
 公聴会は本年8月21日に釧路市幸町で開催されました。公述人全員から賛成の意思表示をいただいております。
 続きまして、国指定大山上池・下池鳥獣保護区及び同大山上池・下池特別保護地区の指定についてご説明いたします。写真は下池の方です。位置についてですけれども、山形県鶴岡市に位置しております。鶴岡市の北の端の方に位置しております。農業用灌漑ため池として維持管理されている湖沼の水面部分を鳥獣保護区、また同様に同じ区域を特別保護地区というふうに考えているところでございます。
 水面は水生植物であるハスが広範囲に繁茂、そのほかにヒシ、ヌマトラノオ、フトイ等が生育しているという状況です。また、環境省の作成したレッドリストに掲載されている準絶滅危惧のチョウジソウも確認されているところでございます。このような自然環境を反映いたしまして、マガモ、コハクチョウ等のガンカモ類を初めとする渡り鳥の全国的に重要な越冬地となっているところでございます。特にマガモは毎年2万羽から3万羽、コハクチョウは毎年1,000羽から3,000羽の渡来が確認されているところです。このほかオジロワシ、オオワシ等の猛禽類も確認されているところです。
 指定区分は集団で渡来する水鳥類等の渡り鳥の保護を図るための集団渡来地の保護区です。面積は39ヘクタールで、特別保護地区の面積も同じ39ヘクタール。存続期間は平成20年10月21日から平成39年10月31日までの19年と10日間を考えているところです。
 公聴会は本年8月26日、山形県鶴岡市で開催されました。公述人全員からの賛成の意思表示をいただいております。
 さらに続きまして、国指定谷津鳥獣保護区、谷津特別保護地区の再指定について説明いたします。位置は千葉県習志野市に位置しております。東京湾近くになります。赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区で、面積41ヘクタールのうち40ヘクタールが干潟から構成され、東京湾奥の泥質干潟が周辺の埋め立てによって残された状況になっております。赤の斜線が特別保護地区でございまして、鳥獣保護区の中でも水面の区域からなっております。
 谷津干潟は東京湾奥部に位置し、周辺は住宅地と道路によって囲まれておりますけれども、東京湾に残された数少ない干潟となっております。干潟の北辺部、北の方ですけれども、北の方の西側と南辺部、南の方のところどころにアシが生育しているという状況、そのほかはごらんの写真のような状況になっております。
 このような自然環境を反映いたしまして、チドリ類のダイゼン、メダイチドリ、シギ科のハマシギ、トウネン、キョウジョシギ、セイタカシギ科のセイタカシギ等の生息が確認されております。特に、谷津干潟は泥質干潟であることから、ゴカイ類の生息数が豊富で、渡り鳥を主とした水鳥のえさ場、休息場として適した環境となっております。中でもシベリア等の繁殖地とオーストラリア等の越冬地を行き来するシギ・チドリ類にとって、国内でも有数の重要な中継地となっております。
 指定区分は集団で渡来する水鳥類等の渡り鳥の保護を図るための集団渡来地の保護区です。鳥獣保護区の面積は41ヘクタール、うち特別保護地区の面積は40ヘクタールで考えております。存続期間は20年11月1日から平成40年10月31日までの20年間を考えております。
 公聴会でございますけれども、本年8月28日に千葉県習志野市で開催されまして、公述人全員から賛成の意思表示をいただいております。
 続きまして、国指定浜甲子園鳥獣保護区、浜甲子園特別保護地区の再指定でございます。
 位置は兵庫県西宮市に位置しております。赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区で、大阪湾に注ぐ鳴尾川の河口西側に形成された干潟を中心とする区域からなります。斜線が特別保護地区であり、鳥獣保護区の中でも干潮時に干潟が出現する区域となっております。浜甲子園区域の干潟は大阪湾に残された数少ない干潟として、底生生物が豊富に生息しているという状況になっておりまして、砂丘部におきましてはハマビシ、ツルヨシ等の海浜植物の分布が見られております。
 このような自然環境を反映いたしまして、浜甲子園にはシギ・チドリ類の渡りの中継地及びガンカモ類の越冬地として重要な区域となっています。特に、特別保護地区の区域はゴカイ類等の底生生物が豊富に生息していることから、トウネン、キアシシギ、イソシギ等のシギ・チドリ類のえさ場、また休息の場として利用され、スズガモ、ホシハジロ、コガモ等のカモ類やハジロカイツブリ等も確認されております。
 指定区分、面積、存続期間でございますが、指定区分は集団で渡来する水鳥等の渡り鳥の保護を図るための集団渡来地の保護区です。鳥獣保護区の面積は30ヘクタール、そのうち特別保護地区の面積は12ヘクタールです。存続期間は平成20年から平成30年10月31日までの10年間になっております。ここにつきましても20年ではなくて、10年間で見直しを図っていくべきというご意見がございましたので、10年間で考えているところでございます。
 公聴会でございますが、8月26日、兵庫県西宮市で開催されまして、全員から賛成の意思表示をいただいております。
 最後に、国指定霧島鳥獣保護区、霧島特別保護地区の再指定についてでございます。霧島鳥獣保護区は九州山地南部に位置しておりまして、宮崎県と鹿児島県にまたがって位置しております。赤線で囲まれた区域が鳥獣保護区でございまして、宮崎県西部から鹿児島県北東部に位置しておりまして、両県にまたがる霧島山・高千穂峰及びその周辺域から構成されております。赤の斜線の区域が特別保護地区でございまして、鳥獣保護区の中でもえびの高原周辺と御池周辺域とに位置しております。
 霧島山は標高が1,700メートルに達するため、低地の暖地性植物から高地の冷温帯の植物まで、多様な植生となっております。標高が900メートルから1,200メートル地点で、モミ、ツガや大径木を主体とするアカマツ群落、山頂部ではミヤマキリシマの大群落、また、えびの高原周辺のノカイドウ群落等がございまして、一体的に暖帯から温帯にかけての植生が垂直に分布し、原始性の高い景観を有しております。
 このような自然環境を反映いたしまして、クマタカ等の猛禽類、ヤイロチョウ等が確認されております。さらに当該区域全域ではオオルリ、キビタキ等の森林性鳥類が数多く生息し、点在する火山湖では、冬期にマガモ、ヒドリガモ等のカモ類の飛来が多数確認されております。特に特別保護地区のえびの高原周辺域では、急峻な谷や山地の中下部に大径木が林立しておりまして、林内にはノウサギ等の良好な生息地となっているため、それをえさとするクマタカ等猛禽類の採餌の場として重要な区域となっています。また、御池周辺域ではヤイロチョウの生息域として重要な区域となっています。
 指定区分、面積、存続期間でございますが、指定区分は行動圏が広域に及ぶ猛禽類や大型哺乳類を初めとする多様な鳥類を保護するための大規模生息地の保護区です。面積は鳥獣保護区が1万1,390ヘクタール、そのうち特別保護地区は1,932ヘクタールです。存続期間は平成20年11月1日から平成30年10月31日までとなっておりまして、ここにつきましても生息状況やいろんな状況に対応するため、20年ではなく10年間とすべしというふうにご意見がありまして、調整した結果、10年間で考えているところでございます。
 公聴会の実施結果でございます。公聴会は本年8月29日、宮崎県えびの市で開催いたしました。指定に関して、公述人全員から賛成の意思表示をいただいております。
 続いて、公告縦覧の結果でございます。公告縦覧は本年7月31日から8月14日までの2週間行いまして、その結果、意見がなかったところでございます。
 引き続き、パブリックコメントの実施結果でございます。パブリックコメントは本年8月1日から8月30日までの1カ月間、環境省ホームページ上等で行いました。その結果、次のような意見が出たところでございます。
 釧路湿原につきましては、未指定の湿原についても生息分布に注目して特別保護地区の指定拡大の検討を図るべきというご意見をいただいております。これにつきましては、タンチョウについて現在保護増殖事業計画を推進しているという状況の中で、今後の鳥獣保護区の区域についてはその事業の動向を踏まえつつ、生息状況、保護の見地からの重要性を勘案して検討していくというふうにしております。
 そのほか、同地域で目撃例がある希少種について調査、保護検討をすべしというご意見もございましたけれども、これにつきましても、指定計画でも記述している鳥獣生息状況把握のための調査とあわせて検討していきたいと考えております。
 大山上池・下池でございますけれども、池の周辺区域の移動や採餌等の生息状況を把握し、必要な区域を追加指定することも必要だというご意見をいただいております。この大山上池・下池周辺につきましては、既に県指定の鳥獣保護区になっていることから、県等の関係機関と引き続き連携した取り組みを進めていく。それら取り組みを進める中で生息状況を勘案し、国指定区域の拡張についても今後の検討課題としたいというふうに回答しております。
 谷津鳥獣保護区ですけれども、アオサの発生メカニズムについて科学的に調査検討し、発生を抑制する対策を検討、実施、継続的なモニタリング、順応的な管理を行っていく必要があるというご意見がございました。環境省は、平成18年に専門家により構成されるアオサ等対策検討委員会を設置し、研究事業を開始し、科学的な調査検討を行ってまいりました。本年度、検討された各種対策事業の対策手法の試験的実施を行う予定であり、今後も引き続きモニタリングを行い、事業結果を踏まえてさらに対策を検討してまいりたいと回答しております。
 浜甲子園についてですが、干潟の干出面積について定期的に記録すべき。また、適切な土砂供給の管理を検討し、順応的な方法で慎重に実施すべき。また、鳥類のえさとなる底生生物や特別保護地区だけでなく、浜甲子園全体の鳥類についてモニタリング調査をしてほしいというご意見ですけれども、回答として、干潟面積の減少は、鳥類の飛来地としての機能の低下につながると考えていることから、今後とも情報収集に努め、適切な対策手法について有識者、関係機関とも協力し、検討していくと。また、生息状況の把握についても努めてまいりたいというふうにしております。
 霧島についてでございますけれども、撮影を目的とした林床への踏み込み等により、ヤイロチョウ等の森林性の鳥類の生息地の状況が悪化している。指導強化とか、立ち入り制限措置をとることを検討し、実施する必要があるということですけれども、回答としては、環境省としてはこれまでに看板の設置を通じて普及啓発に努めると。また、ヤイロチョウの渡来期間には当該地域で管理員の巡回を行うなど、ヤイロチョウを初めとする森林性鳥類の保護に取り組みを進めてきた。しかしながら、近年ヤイロチョウの繁殖つがい数は減少しているという情報もありますので、生息状況も踏まえながら一層の保護を進めるため、対策を検討してまいりますというふうに回答しております。
 最後に今後の指定手続でございます。本日諮問した5件につきまして、本審議会から答申をいただきますれば、大山上池・下池に関しては10月中旬、ほかの4件に関しては10月下旬に官報告示を行う予定でございます。官報告示の後、大山上池・下池に関しては10月21日に、他の4件に関しては11月1日に施行を予定しております。
 以上で国指定鳥獣保護区、及び特別保護地区の指定についての説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【山岸部会長】 ご説明ありがとうございました。
 ただいまの5件の説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたらご発言願います。どこからでも結構でございます。

【齋藤委員】 釧路湿原のところで、公聴会のご意見の中で、エゾシカの被害のことを随分、心配なさっているんですが、どのぐらいの被害が今、わかっているのかということと、もし、エゾシカの被害に対して対応等あったら、お聞かせ願いたいんですが。

【山岸部会長】 事務局、お願いします。

【西山野生生物課総括補佐】 確認の上、後ほどご説明いたします。

【山岸部会長】 それでは、後刻ということで、ちょっとお待ちください。
 では岩熊委員、お願いします。

【岩熊委員】 10年間の見直しというのがありますけれども、特別保護地区に指定した場合には、20年間で指定した場合に、途中、10年ぐらいで見直すということはできないシステムになっているから10年にしたのでしょうか。
 もう一つは、パブリックコメントにもありましたけれども、順応的な管理ということがありますから、環境省で進めているモニタリングサイト1000と、こういう保護地域との整合性、その辺をどのようにおとりになって、今後、管理していこうとするのかということ、これが2点目です。

【山岸部会長】 それでは、以上2点、お願いいたします。

【事務局(小川)】 まず、指定期間につきまして、制度上、生息状況等、また、天災が起きた場合等、いろんな事情で期間を短縮、もしくは見直し等できる制度になっております。ただ、やはり調整していく中で、20年となっていると20年そのままでいってしまう懸念があるということから10年にしているというような状況になってございます。
 モニタリングサイト1000等との整合につきましても、モニタリングサイト1000でいろんな状況を把握していく中で、もし状況が変わってくれば、当然、鳥獣保護区を見直すとかも出てくると思いますし、その辺は適宜両方の情報、鳥獣保護区としても巡視等をしておりますので、整合を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

【山岸部会長】 この5件はモニタリング1000に全部入っているんですか。

【事務局(小川)】 申しわけございません。確認していませんが、入っていると思います。入っていなかったら後ほど訂正いたします。

【山岸部会長】 磯崎委員。

【磯崎委員】 5件のうちの再指定の4件についてですが、現行と特に区域について、違いがあるのか。全く同じなのか、お願いします。

【事務局(小川)】 区域については全く同じでございます。

【山岸部会長】 どうぞ、高橋委員。

【高橋委員】 低層湿原というのは、放っておいてもずっと維持できる湿原なのかどうかということと。それから、エゾシカが湿原自体に負の影響を及ぼすということは認められていないのかどうか。例えば農作物被害という形でしかとらえられていないようですけれども、そういうところがあるのかどうかということと。先ほどのように、公聴会の中で農作物被害があるという意見が出ていながら、当該の被害状況に農作物被害がないと書かれているのは果たしていいことかどうかと、その辺をちょっとお聞きしたい。

【山岸部会長】 事務局、お答えいただけますか。

【西山野生生物課総括補佐】 農作物被害の方につきましては、周辺も含めて農作物の被害が出ていることに対して、この釧路に限らず心配される方、非常に多いのですけれども、区域内では被害が出ていないという意味です。それから、低層湿原とシカの影響については、後ほどお答えいたします。

【山岸部会長】 高橋委員、今の答えでよろしゅうございますか。

【黒田自然環境局長】 低層湿原に関して言うと、そのままにしておくと、そんなに大きくは変化しないんだろうと思います。低層湿原そのものは、結局アシが生えて、特に釧路湿原のような冷涼な気候のもとですと、それが枯れて、水中に積もって、腐敗しない部分がだんだん湿原が高まっていくということですが、高層湿原までいくと1年間に1ミリぐらい高くなるという話を聞いたことがあります。ということで、低層湿原のままで長いこと維持されると思いますが、実際には上流地帯の農用地の開発等で、土砂が少しずつ流出してくるということで、釧路湿原でも、一つの乾燥化が進むというようなところもございまして、これにどういうふうに対していくか、国立公園等の保全、自然再生というような観点からも検討を進めているところでございます。
 それから、釧路湿原の中央部でもシカが見られることはしばしばございます。ただ、やはり湿原の周辺の地形の変化と、周りがずっとがけのようになっているわけですが、そこからその周りあたり、そのあたりに見かけることの方が多いということでございます。
 全国的に見ますと、釧路湿原と同じように重要な湿地である尾瀬で、かつては湿原にシカが余り来なかったということですが、湿原の中でいろいろな花の咲く高山植物を食べたり、ミツガシバなども食い尽くされているところが出るというようなことでございます。釧路湿原では余り湿原の中でシカの食害というのが顕在化していないと思いますが、全体としてみると、やはり湿原にもシカが影響を与えると、こういうふうに見ているところでございます。

【山岸部会長】 ご専門の鷲谷先生、岩熊先生、ご意見ございますでしょうか。

【岩熊委員】 シカは至るところに出現しているようで、北海道のエゾシカは湿地にはよく見かけます。入ってこないということもあるんですけど、何か水浴びじゃないですけど、するようなこともあるようです。あと、今、局長がおっしゃったように、湿地性の植物も食べているということで、そういう影響はあると思います。ですから、これは湿地に限らずシカの個体数管理の問題にすべて戻っていくと思います。その辺のそれぞれの地域での管理の仕方が重要になってくるかなと思います。

【山岸部会長】 齋藤委員、それでよろしゅうございますか。
 そうしましたら、後刻と言った、モニタリング1000の、何、入っているかどうかという。

【西山野生生物課総括補佐】 後ほど。

【山岸部会長】 そうですか。諮問の採決をとるわけにいきませんので、先に時間の許す限り、報告の方に移らせていただきたいと思いますが。
 それでは、報告の1番、ラムサール条約登録候補地について、ご報告願います。

【事務局(小川)】 資料は2になります。先ほど、局長のあいさつの方からもありましたけれども、今度、韓国の方でラムサール条約の第10回締約国会議が開催されると、期日は10月28日からになりますけれども、その締約国会議に合わせまして、次の4カ所を候補地としてということをご報告させていただきます。
 ごく簡単にそれぞれのサイトをご説明いたしますけれども、化女沼でございます。これは春に鳥獣保護区、特別保護地区に指定する旨、答申しましたけれども、宮城県大崎市にあると。面積34ヘクタールで全域鳥獣保護区の特別保護地区に指定されているということで、ここにつきましては、ヒシクイ、マガン、オオハクチョウ等が飛来する重要な越冬地で、ヒシクイ、マガンについては東アジア地域個体群の1%以上支えているということで、ラムサール条約の基準を満たしているところでございます。
 次に、大山上池・下池でございます。山形県鶴岡市にございます。これにつきましてはもちろん鳥獣保護区、特別保護地区に指定することが適当というふうにご意見をいただいた後にラムサールにすることになるということでございます。いただいてから市町村等に賛意を確認することにしておりますので、よろしくお願いします。概要につきましては、先ほどご説明したとおりでございますが、ラムサール基準との整合につきましては、ガンカモ類が毎年2万羽以上飛来すると。また、コハクチョウ、マガンが東アジア地域個体群の1%以上来ているというところでございます。
 続きまして、瓢湖でございます。これも春の野生生物部会で審議していただきましたけれども、面積24ヘクタール、新潟県の阿賀野市になります。これについて、ラムサールの基準との比較でございますが、コハクチョウが毎年3,000羽以上飛来し、東アジア地域個体群の1%以上を支えるという状況になってございます。
 最後に久米島の渓流・湿地でございます。これは場所、沖縄県久米島町、面積255ヘクタールでございますが、これは宇江城岳キクザトサワヘビ生息地保護区の管理地区にということで、保護措置がとられているところでございます。該当する基準としましては、国際的に絶滅のおそれのある種の生存にとって重要な湿地ということで、キクザトサワヘビ、これがIUCNの基準でもIAに設定されております。そのような希少種、固有種が生息している重要な湿地ということで、ラムサールに指定したいというふうに考えているところでございます。
 あと、今後の予定でございますが、10月下旬に春の審議会でご報告しました琵琶湖の西の湖とあわせて、ラムサール条約湿地の指定をしたいと、これは官報告示を行いたいと思っております。その後、条約事務局に正式通報で、第10回締約国会議の会議期間にあわせて登録される見込みというふうに考えているところでございます。
 報告は以上でございます。

【山岸部会長】 今の、あれ来ましたか。まだですか。
 そうしたら、今のうちの大山上池・下池は諮問が通ったらということを確認した上で、報告の2の方へ先に移らせていただきます。
 トキの野生復帰に係る最近の動きについて、ご報告いただきます。

【事務局(中村)】 それでは、報告事項の2といたしまして、トキの最近の状況ということでご報告をさせていただきます。資料の方は資料の3番になりますけれども、こちらの資料の方をもちまして、ご説明を申し上げたいと思っております。
 まず、皆様ご承知のとおり、この先月、9月25日にトキを10羽、新潟県の佐渡島の方で放鳥いたしました。現在、環境省の方を中心に、そのモニタリングを行っておりまして、これまでに10羽放鳥された中の8羽までが確認されております。今後、こういったモニタリングを継続して、特に冬場のえさの問題ですとか、そういった課題がございますけれども、そういうモニタリングを通じた中で、課題等につきまして検証をしてまいりたいと思っております。
 現在、地上追跡で約7羽で、衛星追跡で5羽の位置を確認しておりまして、こういったモニタリングにつきましては1カ月ぐらいをめどに環境省の方で取りまとめてご報告を申し上げたいと思っております。
 トキの方は以上でございます。

【山岸部会長】 後からまとめて質問やご意見をいただきますので、ちょっとお待ちください。
 それでは、引き続いてアホウドリのことをお願いします。

【事務局(中島)】 それでは、アホウドリの保護増殖事業に関しましてご説明を申し上げます。資料4をごらんいただきたいと思います。
 アホウドリの保護増殖事業についてでございますけれども、記者発表資料の方で失礼いたしますが、説明をさせていただきます。
 去る9月16日に環境省のアホウドリの保護増殖事業について検討を行います、アホウドリ保護増殖分科会を開催いたしましたので、その概要についてご報告を申し上げます。
 検討委員につきましてはそちらのIに書いておりますとおり、4名の先生方にお願いをしておりまして、座長を樋口先生にお務めいただいております。
 IIの方で検討事項と、ご報告事項についてご説明申し上げます。
 アホウドリの保護増殖事業でございますけれども、大きく分けて三つの事業を行っております。まず、一つ目が鳥島、最大の繁殖地でございますけれども、こちら伊豆諸島の鳥島において繁殖状況のモニタリングを行っております。1枚目の下の方に棒グラフをつけておりますけれども、繁殖状況としては大変良好なものでございまして、ことしのひなの確認数が274羽となっておりまして、過去最高というふうになっております。三つ目にご説明を申し上げますけれども、小笠原の聟島の方で支援繁殖地の形成事業を行っておりまして、この事業を進めていくためにも、この鳥島の繁殖状況というのは非常に重要なものとなっておりますので、また、今年度も繁殖期、2月ごろになりますけれども、引き続き同様の状況のモニタリングということを行っていきたいというふうに考えております。
 次に、めくっていただきまして、2番目になりますけれども、こちら日米共同で行っておりますアホウドリの成長の行動衛星追跡についてご説明を申し上げます。
 これは日米の渡り鳥等保護条約に基づいて、日米共同で実施している事業でございますけれども、アホウドリの育雛期の成鳥に、アルゴスシステムという衛星の発信機を装着をいたしまして、行動の追跡を行っております。
 育雛期の行動追跡はこれで3カ年目になりますけれども、えさをとりに、茨城、福島、北海道の方までえさをとりに行っているという様子が確認をされております。今年度の事業についてでございますけれども、育雛期の事業は3カ年、一区切りとして大体行動が追跡できましたので、ことしは11月ごろ衛星の発信機を装着いたしまして、抱卵期、ちょうど卵を抱いている時期の行動追跡を行いたいなというふうに考えております。
 三つ目に小笠原の繁殖地の形成事業について、ご報告を申し上げます。
 この小笠原における新繁殖地の形成事業は、山科鳥類研究所とあと米国政府と共同で実施をしておりますものですけれども、鳥島からひな10羽を聟島までヘリコプターで輸送をいたしまして、小笠原における新しい繁殖地を形成しようとする事業でございます。
 このひなの移送を行いました2月ですとか、あと、ひなが巣立っていきました5月にかなり新聞やテレビでも取り上げていただきましたので、ごらんいただいた方も多いかなというふうに思うんですけれども、ことし移送した10羽すべて無事、3カ月の山科鳥類研究所の皆さんの飼育によりまして、無事育ちまして、3カ月後に10羽すべてが巣立っております。
 来年度事業について、この分科会の中で検討をいたしましたけれども、来年度につきましては、ことし10羽だったものを15羽といたしまして、同様にヘリコプターで聟島まで移送いたしまして、巣立ちまで飼育するという事業を行いたいというふうに考えております。
 3ページ目でございます。こちらにひなの方にも衛星の発信機をつけておりまして、行動追跡した図がついておりますけれども、衛生追跡を行ったひな、つけたのは放した10羽のうちの5羽なんですけれども、無事にアリューシャン列島の方まで渡っていっている姿が確認をされております。
 すみません、簡単でございますけれども、アホウドリについてご報告申し上げました。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 お答えの方、いただけますか。まだですか。
 そうしたら報告の4、野鳥の高病原性鳥インフルエンザへの対応について。

【事務局(徳田)】 それでは、資料5に基づきご説明をさせていただきます。
 お手元の野鳥にかかる高病原性鳥インフルエンザ発生への対応ということで、委員の方にはもう一つ、マニュアルの分厚い物もお配りさせていただいているとは思います。説明はこちらの資料5で行いたいと思います。
 前回の審議会の方で、ことしの4月と5月に十和田湖、あるいは北海道野付半島、サロマ湖でオオハクチョウから高病原性のH5N1亜型のインフルエンザウイルスが確認されたということで、環境省の方としては必要に応じて調査をするとともに、感染経路調査ワーキンググループというものを設置しまして、対策を進めてきたところでございます。幾つかの都道府県さんから国がどういう場合にどういう状態の野鳥を回収して、どういう検査をするかというようなことが示されていないので、なかなか対応しにくいということが要望があったこともありまして、プラス平成17年11月に、その高病原性のインフルエンザに対する対応はまとめているものの、その想定はまず家禽で高病原性のウイルスが発生された後、どういうふうに野鳥に対しても対策というか、対応をするのかという観点でまとめたものでございました。
 そういうことをいろいろ踏まえまして、今般、野鳥で先に発生をした場合も含めて、マニュアルを改めて改訂し直しまして、お手元のものとさせていただいたところでございます。
 このマニュアルは9月30日に公表をさせていただいたところでございますが、内容といたしましては、1番、サーベイランスということで、とにかく野鳥の高病原性のウイルスを早期に発見するという目的で、サーベイランスを行うということでしております。
 1枚めくっていただきますと、表に警戒レベルに応じた野鳥サーベイランスの実施概要というふうな表があると思います、資料5の2枚目になりますが。この中では警戒区分を通常時、それから警戒時、それから国内発生時のレベルの三つに分けまして、それぞれウイルス保有状況調査といたしまして、死亡野鳥調査、それからふん便採取調査、それから、これは国内でH5N1のような高病原性のウイルスが確認された場合によりますが、そういう場合だけ野鳥の捕獲調査をするということで、こういう実施の概要の表を作成しました。
 通常時というのは今の状態ですが、今の状態で特に隣国、近隣諸国でも高病原性が確認されていない場合は、同一場所で3羽以上ということで、この3羽以上に関しましては、すみません、もう一つ死亡野鳥調査、それから感染リスクの高い種類というものを33種設定しまして、4枚目の表に高病原性鳥インフルエンザウイルスに対し、感染リスクの高い日本の野鳥種ということで、専門家等々のご意見もいただきました上で、特に感染リスクの高い日本に生息する野鳥種ということで、33種類挙げていまして、この33種類のうちに、同一場所で3羽以上死亡していた場合、タカ目については1羽から通常時の場合も検査をすると。それ以外の種類については10羽以上ということでしております。
 それから、警戒レベル2ということで、レベル2に関しましては、これは近隣諸国、特に韓国で高病原性のウイルスが確認された場合に、今、ご説明しました33種類の種類は死亡していた場合に、1羽から検査をするというようなことで、等々この表で整理をさせていただいているところでございます。
 それから、ふん便調査に関しましては、また、全国を対象として調査を進めるということにしているところでございます。
 この仕組みを今、都道府県さんの方を通じて、この10月からやっていただくようにいろいろ環境省といたしましても道具の手配等々もしまして、体制を整えていただいて、始めていただいているところでございます。
 こういうようなシステムを今後、動かすことによって、新たに国外から高病原性のウイルスが持ち込まれた場合に、早期に発見をするというような仕組みを、少しでも発見を早くさせるということで取り組みたいということで、こういうふうな仕組みを、体制を考えてきたところでございます。 
 それでマニュアルにつきましては、そのサーベイランスとともに、まず高病原性のインフルエンザが発生をしたら、適宜、死亡野鳥をどういうふうにするとか、どういうふうに扱うかというのは健康部局、あるいはそれからの推移の関係の家畜衛生部局とも連携をしながら進めるというふうなことが、こちらの分厚い方のマニュアルに細かい部分については書いてございます。最終的には陽性の確定というのは、北海道大学、鳥取大学、動物衛生研究所という専門機関で行っていただくというふうなことを、体制を整えたところでございます。
 また、3章といたしまして、海外の情報等についてもまとめてここに記してございます。
 以上のようなマニュアルを今回まとめたところでございます。
 以上、報告でございました。

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 ここで先ほどの宿題になっていたのが出たみたいなので、説明していただいて、大変、変則ですが、諮問をまとめて、もう一度報告の方へ戻らせていただきます。

【西山野生生物課総括補佐】 確認がおくれまして大変申しわけございません。
 先ほどの五つの鳥獣保護区につきましては、すべてモニタリング1000のサイト、対象地となっております。釧路湿原と大山上池・下池につきましては、湖沼・湿原生態系を代表するサイトとして、谷津と浜甲子園につきましては、干潟生態系を代表するサイト、それから霧島につきましては森林・草原を代表するサイトとしてモニタリングサイトのサイトの対象地となっております。
 モニタリングサイトにつきましては、必ずしも鳥獣を守るためのサイトではないんですけれども、そこで得られた情報はできる限り、鳥獣保護区の管理にも生かしたいと思いますし、サイトになっている、いないにかかわらず、鳥獣保護区としての調査、管理のために必要な調査も続けていきたいと思っております。

【山岸部会長】 岩熊先生のご質問に対するお答えです。サイトにみんな入っていて、それをできる限り生かしていきたいというお答えでした。
 以上を踏まえまして、先ほどの諮問の案件についてお諮りいたします。
 国指定鳥獣保護区及び同特別保護地区の指定につきましては、事務局案が適当と認めてよろしいでしょうか。
(異議なし)

【山岸部会長】 ありがとうございました。
 ご異議がないようですので、本件は適当と認めることとし、この事務局案を当審議会の答申案として中央環境審議会会長に報告することといたします。
 そうしますと、先ほどの報告にあったラムサールの登録も、大山上池・下池も入れるということでお願いいたします。
 それでは、報告事項の最後の報告事項になりますが、鳥獣保護法における希少鳥獣の指定に係る省令改正について、ご説明ください。

【事務局(久保)】 それでは、報告事項の5番目、鳥獣保護法における希少鳥類の指定に係る省令改正についてご説明させていただきます。資料の方は資料6でございます。
 鳥獣保護法におきましては、特に保護を図る必要がある鳥獣を希少鳥獣として規定し、法第4条で定めているところでございます。この希少鳥獣の選定に当たっての考え方としましては、昨年、平成19年1月の告示の鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本方針におきまして、環境省が作成したレッドリストで絶滅危惧IA・IB、またはII類に該当する鳥獣を対象鳥獣とすることを基本とするということで示させていただいたところでございます。
 今般、環境省におきまして、レッドリストの見直しを行ったことを踏まえて、省令の見直しを行うとするものでございます。見直しの内容につきましては、新たに希少鳥獣として指定するものが12種、解除するものが16種でございます。追加するものは、具体的な対象種につきましては表の1でございます。個別の種につきましては、この表の1の12種、解除するものが表の2の16種でございます。この見直しによりまして、現行希少鳥獣は134種指定されているところでございますけれども、今回の見直し後は130種に種数が変更になるところでございます。
 この省令改正案につきましては、先般、パブリックコメントも行ったところでございますが、特段の意見は寄せられていないところでございます。
 以上で報告を終わらせていただきます。

【山岸部会長】 多岐にわたり5件まとめてご報告いただいたんですが、どこからでも結構ですから、ご質問賜りたいと思います、どうぞ。
 石坂委員、どうぞ、お願いいたします。

【石坂委員】 トキの放鳥のご説明を受けましたけど、ちょっと簡単過ぎて、よく詳細が承知できなかったんですが、この順化ケージ訓練個体15羽のうち10羽を放鳥したと、こうありますが、つまり5羽が外れているわけですけれども、どういう基準でこれを選ばれたのかということが一つと。
それから、10羽のうち8羽は確認ができていると。あとの2羽はどうなっているのかという点についてお願いします。

【山岸部会長】 それでは、中村さん、お願いします。

【事務局(中村)】 それでは、まず、順化訓練で15羽を、昨年の7月から5羽を訓練いたしまして、ことしの2月に10羽を追加して、合計15羽をこれまで訓練してまいりました。それで、今回、放鳥に当たって基準といたしましたのは、まず、健康状態、けがや病気がないかということを第一条件にしております。あと、もう一つは順化ケージの中で繁殖行動が見られました。こういったペアを形成するようなもの、こういったものについても優先的にとらえたところでございます。そういうことで、15羽ございましたけれども、順化ケージの訓練中に少しけがをしたり、そういった個体もおりましたので、そういったものを除いた10羽を今回、放鳥の対象としたということでございます。
 もう一つ、10羽のうち、あと2羽ですけれども、これは現在、個体番号が確実に確認されていないということで、2羽の確認ができていないということでございます。

【石坂委員】 それはそうでしょうけれども。それはわかりますが。

【事務局(中村)】 現在、それを最終の確認を進めていると。

【石坂委員】 それは何かつけていないのですか。

【事務局(中村)】 標識をつけて。

【石坂委員】 標識だけですか。

【事務局(中村)】 いえ、この2羽のうち1羽はGPSをつけておりますけども、少し機械の調子がよくないというか、そういった事情が一つあります。もう1羽はGPSをつけていないという個体のようです。

【山岸部会長】 ほかに何かございますでしょうか。
 今のでも随分簡単で、ご満足いかないかもしれませんが。
 市田さん、いいですか。

【市田委員】 せっかくですので、多分、皆さん参加された方はそれでわかったと思うんですけれども、私なんか参加できなかったということもあるので、放したのは一体どんなふうだったのかなというあたりも含めて、もう少しおっしゃっていただくとわかりやすいかなと思いました。最後の1羽、足輪をつけていないというか、GPSをつけていないという個体は、個体を確認はできるけども、データ上でとれないということですか。それともどこ行っちゃったかわからないと、どっちなんでしょうか。

【事務局(中村)】 まず、9月25日の放鳥式でございますけれども、新潟県佐渡市の野生復帰ステーションの近くの田んぼの上で行いました。式典の方には秋篠宮同妃両殿下、そして駐日中国大使ご夫妻も来ていただきまして、ステージ場で10羽のトキを放鳥いたしました。最初に両妃殿下の方から2羽のトキを最初に放鳥していただいて、その後、1分ぐらいしてから8羽を同時に放鳥したところでございます。その後、それぞれトキは歩いて出たりとか、すぐ田んぼにおりたりということではなくて、そのままずっと飛んでいったというところです。最初、我々ある程度、群れて動くんじゃないかというふうに期待していたんですけれども、当日、その日から結構ばらばらに分散しているような状況になりました。その日の午後からかなり大あらしといいますか、かなり大雨になりまして、その状態が二、三日続いたということもあって、なかなかトキの動きが確認できなかったというような状態でございます。
 それと、あと、残りの2羽の状況ですけども、これは最終的な個体の確認ができないということで、まだ最終、番号がしっかり確認できないとか、ただ、もしかしたら間違いもしているかもしれないというような状況ということで聞いております。

【黒田自然環境局長】 私の方から、もう少しおもしろくお話をしましょう。
 10羽放しました。今の話のとおり、割合、群れて行動するんではないかということで、モニターをする部隊といいますか、私どもの職員、それからそういう専門性のある方々にもお願いをして、現在、10名弱で、朝5時から夕方の5時か6時ぐらいまで、朝5時半からずっと追っています。ただ、先ほどのお話にありましたとおり、10羽それぞれ巣箱に入れて、巣箱というか、仮設の箱に入れていわゆるハードリリースというか、そら行けと、こういうことで飛ばしましたところ、みんな一緒に動くかと思ったら、新聞の見出しでいくと、「気ままに」という感じで、こう思い思いの方向に旋回をしながら、あっちこっち行ってしまったので、十数名の部隊は今、四苦八苦をして探しているところでございます。
 10羽の内訳はオスが5羽、メスが5羽ということでございます。追跡のためにGPSの無線機というか、発信機を背負わして追跡をしようということでございますが、いろいろ専門家の先生方のご意見も伺って、やはり野生のもとで繁殖をして定着をさせるということが大きな目標ですので、結構、無線機を背中に背負わせて、リュックサックのような形でかけてありまして、それは一部に木綿の糸も使ってあって、数年後には脱落するということですが、それが背中にあるとどうも繁殖行動というか、交尾に差しさわりがあるかもしれないということで、オス5羽には全部つけました。メスもゼロというわけにもいかないから、1羽だけメスはつけまして、都合6羽に発信機をつけています。その発信機も、試験放鳥の意味合いもいろんな意味合いがあるわけですが、データの追跡ということもございまして、ソーラーで蓄電をしながら発信をして、要するにGPSの衛星から位置情報を受けて、それをアルゴスシステムを使って、アルゴス衛星にデータを送るという、そういうソーラーを使った発信機をつけたものが4羽。それから、ソーラーではなくて、バッテリー式で、恐らく、これは電池の寿命というか、1年はもたない、半年から1年ぐらいの間しかもたないと思いますが、それを2羽で、計6羽。それで、つけていないのが4羽と、こういうことで今佐渡の、結構あちこち羽ばたいておりまして、放鳥地点から南に10キロぐらい行って、どうもそこに居続けていると。
 コウノトリの場合は長短が大きいのと、割合に平場というか、田んぼとか、湿地にいることが多いようですが、トキは結構やっぱり森林の枝、こずえというよりは真ん中辺から水平に出ているような枝にとまったり、そういうことが多いようで、発見はなかなかコウノトリに比べて、ちょっとコウノトリを一生懸命探したことはありませんが、ちょっと難しいのかなということで、毎日、佐渡の中で重点的に調査するところを決めて、部隊がそこらをはいずり回ってトキを探している。
 それから、もちろんその両方だけでは限りがありますので、一般の市民にも呼びかけていて、結構、市民からは情報提供があります。見つけたときにわかるように、一応、足輪を左右、片一方はナンバーリングをして、片一方は色の足輪をつけて、個体識別できるようにしていますし、色を4種類でしたか、使い分けて、放鳥のときに新聞報道もなされた、トキの羽に何か汚れていますねと私も言われたことがありますが、きれいなトキ色の羽に青とか赤とか、ちょっと動物用の塗料で、飛んでいてもわかるようにはしてあります。ただ、やっぱりなかなか普通の方々が見ても、すぐ何色だったというような判別は難しいようで、一般の方々からの情報提供はどの辺にトキらしいものがいたということですので、一生懸命追跡をしているんですけれども、まだ、2羽が確実には確認はされていない。
 ソーラーをつけている6台のうち、ソーラーをつけているんだけど、今どこにいるのかはっきりわからないというのがいて、どうもこれはちょっとソーラーというか、GPSの発信機をつけているのですが、GPSの発信機の調子が悪いんじゃないかと。それがたまたまはっきりした位置がわからないと、ちょっとそれをどうするかというのが今、課題になっております。
 とはいえ、ちょっと手前みそですけれども、何とか順調に試験放鳥から佐渡にトキを定着させるという方向には滑り出したのかなということで、今後まずは残りの2羽を発見することとか、それぞれ結構、採餌活動とか、そういうものも観察されるようになってきていますし、10キロも飛んだりしているのがいますので、腹ぺこで落ちているということではなくて、それなりに彼らもサバイバルしてくれているのかなと、こう思っておりまして、そういう生態の情報も含めて、さらに観察をして、情報集積をして、また、来年度以降の活動につなげていきたいと、こんなふうに思っています。
 以上でございます。

【山岸部会長】 さすが局長で、ご満足いただけたでしょうか、石坂委員。よくおわかりになったと思いますが。
 じゃあ、ほかのことでも何でも結構ですので、どうぞ。

【市田委員】 トキの件、ありがとうございました。大変、よくわかりました。
 この鳥インフルエンザのことでちょっとお尋ねしたいんですけれども、先ほどご説明のあった資料の4ページ目に、感染リスクの高い種類ということで33種類がありますけれども、これは後ろの方を読めばわかるのかもしれませんが、主にどういう基準でこれを選んだのかなというのがちょっと説明をいただけたらと思います。
 それと、特に、その中の例えばワシミミズクみたいなものが、何でこれが入っているのだろうかというのが素朴に疑問なんですけれども、その辺のことをちょっとお尋ねしたいと思います。
 ちょうどこの件に関しては、医学関係の人たちもすごく関心を持っていて、もちろんのことですけど、彼らはどっちかというとシギ・チドリに関心を持っているんですね。それでその違いがどこから出てきたのかなというのを、ちょっと知りたいと思ってお尋ねしたいと思います。

【事務局(徳田)】 本編もお配りしているんですが、本編の10ページにも書いてございますが、この33種類につきましては、高病原性の鳥インフルエンザウイルス、H5N1亜型なんですが、今、現在海外で流行しているのが、それに感受性が高いというふうに海外の文献等々で言われている種類です。それから、高病原性の鳥インフルエンザウイルスに感染して死亡例がある種類、それが二つ目です。それから、集団で生息する種というのは、そういうものが交じったりするということで、よりウイルスに感染しやすいというリスクが高くなるというようなことで、そういう生活形態をしているもの。それから、平成16年の京都で、ハシブトガラスが感染したニワトリを食べたというふうに言われているんですが、それによって感染をして死んだという例がありましたので、死肉、あるいは肉食の種類、それから、発生地というのはユーラシア大陸全般ですが、韓国を中心として中国、あるいはロシア南部も含めて、そういうところから渡ってくる種類ということで、一応、今、申し上げました五つの要件を参考に絞り込んで、いろいろ意見をいただいた上で決めさせていただいたということでございます。
 ワシミミズクがなぜ入っているかということでございますが、特にこのワシミミズクに関して実績というか、感染の例があるということではないんですが、やはりフクロウ目というもの目自体で、まず海外で感染の例があるという報告はありまして、その中で肉食というようなこともありまして、そういうワシミミズクも入れたというようなことだったと思います。
 ただ、ここに入れたやつが、必ず今の段階で感染リスクが本当に全部高いかと言われると、なかなか一つずつの根拠がはっきりしたものではないということで、全般的にやはりカモ類、あるいはもう既に感染が確認されているカラス類、それからやっぱり猛禽類のタカ目なんかは一番、この中でも高くはなると思いますけど、それ以外の種類もとりあえず、例えばユリカモメとかオオバンとかバンというのもクイナ科ということで、一応入れたということなんで、余り一つ一つについて、はっきりこれはこうですかというふうに言われても、なかなか難しいところがございますが、とりあえずこれで進めさせていただきたいということでちょっとご理解いただければと思います。
 よろしくお願いします。

【市田委員】 わかりました。

【山岸部会長】 よろしゅうございますか。石田さんが言っているのは、恐らく、今までの過去の例の中で、シギ・チドリが文献の中にかなり出ているんで、それが余りにユリカモメだけじゃ少ないんじゃないかというお考えですね。今度改定するときでもあったら、ちょっとその辺頭に入れて、シギ類を重点的に検討してみてください。

【事務局(徳田)】 わかりました。ありがとうございます。

【山岸部会長】 ほかに何かありますか。どうぞ。

【桜井委員】 アホウドリの件なんですけれども、非常に幼鳥の追跡調査はおもしろいデータが出ていると思うんです。これは見ていますと、今現在、9月の段階でベーリングへ行って、大陸棚の生産力の高い場所にいるんですけれども、これはですけれども、今後、今10月になりましたけども、これ以降は衛星で追跡していって、最終的に繁殖場までのルートがわかるのかどうか、そこら辺、ちょっとお聞きしたいんですけれども。

【事務局(中島)】 ありがとうございます。ご説明申し上げます。
 今、資料に載せさせていただいているのが、左側が聟島のまさに飼育をしたひなでございます。右側がこの対象区としてつけた鳥島の野生のひなでございます。それぞれ5羽ずつに発信機を装着いたしまして、飛んでいったところを追跡しているという状況でございますけれども、この9月9日の時点で6羽の発信機が稼働中というふうに書いてございますけれども、計10個つけているんですけれども、9月の段階でちょっと4台発信が確認できなくなっておりまして、この時点で6台しか動いていない状況でございます。
 現在、最新の状況を確認していないんですけれども、あと数台とまったというところまでは聞いておりまして、全くすべてがとまったという状況ではないと思うんですけれども、ちょっと台数としては少なくなってきているところでございます。

【山岸部会長】 じゃあ、私の方から。
 残念ながら、9台は、現在落ちちゃっています。1台だけ残っています。その理由というのは、先ほど説明があったハーネス方式という背負子みたいなやつは、アメリカでそれをつけると動物愛護の方から論文にならないというので、アメリカチームが接着法を主張してきました。接着法をしたもので、たった9月か10月でほとんど落ちちゃったということになるんで、来年からはちょっとアメリカの了承を得た上でハーネス法にして、今、おっしゃったように回って帰ってくるところまで追えればいいなと計画してはおります。そんな状況です。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

【岩熊委員】 先ほどの市田委員のご質問にあったところなんですけど、鳥インフルエンザで高病原性のものの要注意としては、渡りのものを重視するということになりますでしょうか。今後、発生しそうな種類としては。

【事務局(徳田)】 今後、発生しそうかどうかというのはなかなか難しいところなんですけど、過去の京都、山口、大分の例、あるいは宮崎、岡山の例、それから今回の北海道、秋田、青森の例を見ても、国外から持ち込まれたウイルスであるということで、低病原性のウイルスが国内にあって、それが高病原性に変移したものではないということははっきりしているわけで、それもウイルスの専門家から言わせると、割かし、発生する直近に国外から持ち込まれた可能性が、ウイルスの生きている状態からすると高いという可能性があるということで、海外と渡りのある種類については、当然、注意はしていく必要はありますけど、それからどういう形で伝播するかわかりませんけど、例えば日本で確認されているのはハシブトガラスで留鳥ですし、クマタカで留鳥です、今まで出たのは。だから最初にどの種で起こるかというのは、なかなかちょっと言いにくいところがありますけど、注意するのはそういう渡りの多くなる、今からの秋からの時期で、そういうものと一緒に生息する鳥類についてはやっぱり注意してみていかなければいけないということぐらいしか、今のところは言えないと思います。

【山岸部会長】 ほかに、どうぞ。

【高橋委員】 すみません、ちょっと小さいことをまたお聞きしたいんですけれども。トキはコウノトリとまでいかないまでも、やはりかなりみんなが関心を持っているものなんですけれども、この保護区の周りというのは、恐らく、相当限界集落に近いような場所で、その生育地整備というのに物すごくお金をかけて、労力を使われたりしていると思うんですけれども。例えばここではNPOの方とか、関係省庁、新潟県が一緒になってということなんですけど、既に放鳥されて10キロも飛んでいるということは確認されたんですけど、こういうちゃんと整備を行ったところに、トキがきちんとおりて行動しているとか、そういうモニタリングというのはまだわからないものなんですか。

【事務局(中村)】 放鳥したトキですけれども、先ほど申し上げましたとおり、あっちこっちへ散らばっているという状況でございます。その中ですべての個体というわけではないんですけれども、それぞれ、NPOの方が進められているビオトープですとか、そういったところにおりたっているということは確認されておりまして、佐渡島の南東部、こちら前浜地区といいますけれども、こちらの方は委員おっしゃったとおり、限界集落というものがあって、その中でも大変一生懸命ビオトープづくり、トキの住めるような環境づくりということで取り組まれているんですけれども、一度そちらの方にも放鳥したトキは飛んでいって、ビオトープそのものではございませんけれども、その周辺の水田で採餌しているというような状況も見られております。

【山岸部会長】 いずれにしても、今、鋭意モニタリング中ですので、まだ、ちょっと10日ぐらいで、まとまるという段階じゃないんで、まとまったら公表されてくると思いますので、もうしばらくお待ちください。私が言うことじゃないんですが、私は野生化専門家委員会の座長をやっていますんで、モニタリングの方は計画してやっていると思います。
 ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それではないようなんで、その他、事務局から何かございますでしょうか。どうぞ。すみません、見落としてしまいまして。

【岩熊委員】 先ほどの湿原と湿地とシカの関係なんですけども、水を利用しているというのは間違いがある可能性があるので、そこを積極的に利用しているかどうかということはよくわからないけれども、よく見かけると。それから、泥を好んでいると、泥炭を好んでいるという話もあります。ですから、やっぱりこういう個体数の多い動物について、意外と私たちが知らないことが多いようなので、今後、モニタリングサイトなんかに指定されているようですので、そういう調査も行っていただければいいのかなと思っております。ちょっと発言を訂正させていただきます。

【山岸部会長】 どうも貴重なご意見ありがとうございました。事務局の方、今のご意見を生かすようによろしくお願いいたします。
 それでは、ほかに何かございますか。この報告以外に、その他で。ないですか。
 じゃあ、特段ないようなので、最後に柏木審議官よりごあいさついただきます。

【柏木審議官】 本年4月に、自然環境局担当の審議官に就任いたしました柏木でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日は、委員の皆様には大変熱心にご審議をいただき、まことにありがとうございました。その際、質疑応答の対応の面で、私どもちょっと不手際があったことを、この場をかりておわびを申し上げたいというふうに思います。
 本日、ご審議いただいた国指定鳥獣保護区の指定の関係、それから、報告事項ではございましたけども、ラムサール条約の湿地の登録の関係でございますが、これにつきましてはご説明したとおり、これから所定の手続を踏んで、きちんと指定、登録されるよう作業を進めていきたいというふうに考えております。
 特にラムサール条約の登録の関係でございますが、これにつきましては昨年11月に第三次の生物多様性国家戦略でも数値目標としまして、2011年の、今度の次になりますけども、第11回の締約国会議までに10カ所、登録湿地をふやすというような目標を掲げておりますので、やっとうちの四つが今回、登録される運びになるということであります。さらにこの目標を達成できるよう努力をしていきたいというふうに考えております。
 それから、報告事項の中で、佐渡のトキについて、これは皆様にもいろいろご指導いただき、また、まさにご心配をおかけしているところでありますが、放鳥のモニタリングに今、懸命に取り組んでいるというような状況でございます。私ども、放鳥後の状況をよくフォローしまして、次回の放鳥ですとか、あるいは順化訓練、あるいは必要があれば生息環境の整備と、そういったものに生かしていく。そして2015年ころまでに60羽の定着という大きな目標がございますので、それに一歩一歩近づけるよう、これから関係のところとも協力しながら取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
 このほか、野生生物の保護の分野では、いろいろ課題を抱えております。きょうもご報告させていただいた鳥インフルエンザの問題もありますし、アホウドリやその他の希少種の保護の問題等々ございますが、私ども、今後とも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
 委員の皆様には日ごろから貴重なご意見、あるいはご助言いただいているところでありますけれども、引き続きご指導、ご協力いただけますようお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

【山岸部会長】 どうもありがとうございました。
 少々時間が早いようですが、これをもちまして、本日の野生生物部会を終了させていただきます。
 ご協力ありがとうございました。