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■議事録一覧■

中央環境審議会 野生生物部会
会議録


1.日時

平成18年10月16日(月)14:03~15:32

2.場所

三番町共用会議室第3,4会議室

3.出席者

(野生生物部会長) 岩槻 邦男
(委員) 大塚  直  加藤 順子  鷲谷いづみ
(臨時委員) 石井 信夫  石井  実  石原  收
磯部  力  市田 則孝  齋藤  勝
桜井 泰憲  佐々木洋平  土屋  誠
速水  亨  増井 光子  三浦 愼吾
山岸  哲  和里田義雄
(環境省) 冨岡自然環境局長
黒田審議官
星野野生生物課長
猪島鳥獣保護業務室長
三村外来生物対策室長

4.議事

【事務局(野口)】 それでは、お待たせいたしました。予定の時刻になりましたので、中央環境審議会野生生物部会を開催していただきたいと存じます。
 本日の出席者数でございますが、中央環境審議会運営規則により定足数を満たしておりますので、本日の部会は成立をいたしております。なお、磯崎委員、岩熊委員、大井委員、岡島委員、立花委員、養老委員につきましては、都合によりご欠席と伺っておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、お手元にお配りをいたしております資料の確認をさせていただきたいと思います。資料を3枚おめくりいただきまして配付資料一覧というのがございますので、そちらでご紹介をさせていただきます。
 資料1、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について(諮問)。資料2-[1]、国指定仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区指定計画書(案)。資料2-[2]、国指定仙台海浜鳥獣保護区井土浦特別保護地区指定計画書(案)。資料2-[3]、国指定仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区及び同井土浦特別保護地区指定公聴会調書。資料2-[4]、国指定仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区及び同井土浦特別保護地区の指定に関する指針案の公告縦覧の実施結果について。資料2-[5]、国指定仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区及び同井土浦特別保護地区の指定に関するパブリックコメントの実施結果について。資料3-[1]、国指定屋我地鳥獣保護区屋我地特別保護地区指定計画書(案)。資料3-[2]、国指定屋我地鳥獣保護区屋我地特別保護地区指定公聴会調書。資料3-[3]、国指定屋我地鳥獣保護区屋我地特別保護地区の指定に関する指針案の公告縦覧の実施結果について。資料3-[4]、国指定屋我地鳥獣保護区屋我地特別保護地区の指定に関するパブリックコメントの実施結果について。資料4、野生生物保護行政に係る最近の動きについて(報告)。参考資料、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について。これはパワーポイントを打ち出したものでございます。
 以上でございます。
 資料に何か不備等がございましたら、事務局までお申し出をお願いいたします。よろしゅうございますか。
 それでは、岩槻部会長、よろしくお願いをいたします。

【岩槻部会長】 それでは、ただいまから野生生物部会を始めさせていただきます。
 本日の審議に入るに先立ちまして、冨岡自然環境局長からごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【冨岡自然環境局長】 9月5日付けで自然環境局長になりました冨岡でございます。よろしくお願いします。
 おかげさまで自然環境の保全、とりわけこの野生生物の分野におきまして大きな進展を見ておりますことは、関係の皆様、とりわけこの委員の皆様方の本当にご尽力によるものとお礼申し上げます。なお、1つご紹介申し上げますと、こういった野生生物の保護といった仕事につきましては、現在、新生物多様性国家戦略に基づいて国全体の仕事が行われておりますが、これのもととなっておりますのがご案内のような生物多様性条約でございますが、この2010年に開かれますCOP10、これを日本に招致してはどうかということがございますが、先週の参議院予算委員会でもこれについて愛知治郎先生から総理に対して質問がありまして、総理の方からこの招致に向けて今後努力してまいりたいと答弁ございました。そういうことでございまして、私どももこの分野の仕事の一層の発展を図る意味からも重要なことでございますもんですから、そういうことも目標に進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【岩槻部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、早速、審議に入らせていただきますが、本日はご案内のとおり審議事項1件と報告事項1件が予定されています。まず、10月11日に環境大臣から中央環境審議会に対して国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定についてという諮問がなされており、同日付で本野生生物部会にこの件が付議されております。早速、その議題に入らせていただきたいと思いますけれども、諮問内容について事務局の方からご説明をお願いいたします。

【野生生物課長】 諮問第194号、平成18年10月11日付けでございますけれども、
読み上げさせていただきます。中央環境審議会会長鈴木基之殿、環境大臣若林正俊。国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について(諮問)。鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第29条第4項において準用する同法第3条第3項の規定に基づき、下記国指定鳥獣保護区特別保護地区を別添案のとおり指定することについて、貴審議会の意見を求めます。
 記。1.国指定仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区及び同井土浦特別保護地区の指定について。2.国指定屋我地鳥獣保護区屋我地特別保護地区の指定について。
 以上でございます。

【岩槻部会長】 続いて、山崎さんからお願いします。

【担当(山崎)】 それでは、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について説明させていただきます。資料2、3といたしまして、指定計画書案、公聴会、公告縦覧及びパブリックコメントの結果資料をお配りしておりますが、説明はこちらのスライドを用いて行わせていただきます。また、お手元に参考資料としてこれから説明いたしますスライドのコピーも配付しておりますのでご参照ください。
 諮問案件は次の2件となっております。1件目は仙台海浜鳥獣保護区につきまして、蒲生特別保護地区の再指定及び井土浦特別保護地区の再指定。2件目といたしまして、屋我地鳥獣保護区につきまして、屋我地特別保護地区の再指定であります。鳥獣保護区特別保護地区の指定を行う場合には、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律、鳥獣保護法の規定によりまして本審議会に諮問することと定められているところでございます。
 次に、鳥獣保護区制度について説明いたします。鳥獣保護区とは、鳥獣保護法に基づきまして鳥獣の保護を図るために指定するものでございますが、このうち環境大臣が指定するものを国指定鳥獣保護区といいまして、国際的または全国的な鳥獣の保護の見地から指定することとされております。これまで全国で66カ所指定されております。また、都道府県知事が指定します都道府県指定鳥獣保護区もございまして、全国で約3,800カ所が指定されております。鳥獣保護区に指定されますと、学術研究や有害鳥獣捕獲などの一部の場合を除きまして、全面的に狩猟が禁止されることになります。
 鳥獣保護区の存続期間でございますが、20年以内とされております。必要があれば更新が可能でございます。なお、鳥獣保護区の更新につきましては本審議会の諮問対象にはなっておりません。
 それから、鳥獣保護区の中に鳥獣の生息地を保護する観点から必要な区域を特別保護地区に指定することができます。特別保護地区内では、建築物その他の工作物の新築、改築、または増築、2点目といたしまして、水面の埋立または干拓、3点目といたしまして木竹の伐採の3つの行為につきましては環境大臣の許可が必要になります。特別保護地区の存続期間は、鳥獣保護区の存続期間内で定めることとされております。なお、特別保護地区は鳥獣保護区のように更新できるという規定はございません。存続期間が終了した場合、必要があれば改めて指定することになります。今回の諮問につきましてはこれに当たります。
 次に、諮問案件ごとの説明に入らせていただきます。まずは、仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区及び井土浦特別保護地区の再指定についてでございます。位置でございますが、当該地区は宮城県の仙台市、名取市など4市町村にまたがって位置しております。当該地区は仙台市、名取市の海浜部分、それからその東部にあります海域でございます。面積の約9割が海水面であります。上の蒲生特別保護地区ですが、仙台市の北部を流れます七北田川、ちょっと見づらいんですが、こちらの七北田川の河口、それから河口の左岸からその北約1キロに渡っている区域でございます。下の方の井土浦特別保護地区ですが、この名取川とございますが、名取川河口の左岸からその北約4キロに渡っている区域でございます。
 蒲生特別保護地区の方の概況について説明させていただきます。当該地区は、七北田川河口部の左岸に位置する蒲生干潟を中心に指定されている区域でございます。当該地域は砂浜、干潟、潟湖、河口、塩性湿地、ヨシ原及びクロマツ海岸林といった多様な、かつ貴重な景観が狭い地域に集中している地域となっております。なお、特別保護地区の指定については土地の所有者の同意を得ることが前提となっておりますが、図に示しておりますこの乗馬クラブと養魚池の2カ所、約1ヘクタールの区域でございますが、今回の再指定の際に地権者の同意を得ることができませんで、特別保護地区から外れることになってしまいました。
 次に、特別保護地区の写真をこれから何枚か紹介しますが、まずこれは当該地区の中心に位置します蒲生干潟でございます。この蒲生干潟は汽水性でございまして、一部の護岸を除きヨシ原に囲まれているところでございます。当該地区は286種の鳥類が記録されております。特にこちらのシギ・チドリ類、それからカモ類などの水鳥の種類が豊富でございます。また、この写真のようにコアジサシとかコクガンなどの希少種の生息も確認されております。鳥類の分布図はこちらのようになっております。シギ・チドリ類は干潟の全域から七北田川の河口にかけて広く分布しております。冬場はハマシギなどが越冬いたします。カモ類はこの中部から北部にかけて特に飛来数が多くなっております。また、海岸部の砂浜ではコアジサシの生息が確認されております。このように当該地はシギ・チドリ類やカモ類など水鳥類の種類数が豊富でございます。全国的・国際的に重要な渡り鳥の中継地及び越冬地であることから引き続き特別保護地区に指定し、鳥獣及びその生息地を保護する必要があると考えております。
 次に、井土浦特別保護地区について説明いたします。当該地区は、こちらの名取川と海岸線、それからこちらに貞山掘と呼ばれる用水路がつくられておりまして、その用水路に囲まれた区域となっております。当該地域は、こちらも砂浜、干潟、潟湖、河口、塩性湿地及びクロマツ・アカマツ林が広がっているというところでございます。こちら、名取川右岸から見た井土浦特別保護地区でございます。こちらが特別保護地区の状況でございます。ここは車とかでぱっと入れるところではございませんので、人為の加わりもほとんど見られない地域でありまして、自然の状況が非常によく保たれているところでございます。井土浦特別保護地区では192種の鳥類が記録されております。こちらのようなシギ・チドリ類、それからカモ類などの水鳥類の種類がやはり豊富でございまして、渡り鳥にとって重要な中継地、越冬地となっております。こちらが主な鳥類の分布状況でございます。シチ・チドリ類、カモ類は、こちらの中央部から名取川河口にかけての広い範囲で数多くの生息が確認されております。また、こちらにアカマツ・クロマツの海岸林があるんですが、そちらを中心にオオタカ、チュウヒなどの猛禽類の生息も確認されております。このように、当該地は全国的・国際的に重要な渡り鳥の中継地及び越冬地であることから、引き続き特別保護地区に指定しまして鳥獣及びその生息地を保護する必要があると考えております。
 次に指定区分、存続期間、面積についてでございます。当該地域は渡り鳥などの集団渡来地の保護区としまして、存続期間は平成19年4月1日から平成39年3月31日までの20年間を考えております。鳥獣保護区の面積は7,596ヘクタールでありまして、そのうち、蒲生特別保護地区は49ヘクタール、井土浦特別保護地区は164ヘクタールでございます。
 次に公聴会についてですが、公聴会は本年8月29日に宮城県仙台市で開催されました。指定に関しましては公述人全員から賛成の意思表示があったところでございます。この中で、要望事項といたしましては、管理方針を計画的に実施してほしいとの意見がありました。これにつきましては今後とも適切に実施していきたいというふうに考えております。
 次に、公告縦覧の結果についてですが、公告縦覧は本年8月11日から24日までの2週間行われまして、その結果特段の意見はありませんでした。
 次に、パブリックコメントの結果についてですが、パブリックコメントにつきましては本年8月21日から9月20日までの約1カ月間、環境省ホームページ上にて行われました。その結果、次のような意見が提出されました。1点目といたしましてはサーフィンを楽しむ人は蒲生干潟のすぐ脇を歩いて、シギ・チドリ類が安心して採餌及び休息できる環境とは言いがたく、改善する必要があるというものでございます。これにつきましては、地方自治体、NGO及び地元住民と連携を図りながら、渡り鳥の生息環境に配慮した利用をしていただくよう普及・啓発に努めていく考えでございます。
 2点目は、干潟の生物量をモニタリングする必要があるというものでございますが、これにつきましては、蒲生干潟では宮城県が自然再生事業を行っているというところでございますので、事業内で行います調査の実施状況も踏まえまして今後の検討課題としていきたいというふうに思っています。
 3点目は、蒲生干潟においてヨシ原に関する記述がないというものでございます。3点目につきましては、指定計画書の当該地域の概要ではヨシ原について記述はしておりましたが、指定目的の項における多様な自然環境の現況説明においてはございませんでしたので、今回ヨシ原についても追加するというふうにいたしました。
 蒲生特別保護地区及び井土浦特別保護地区の指定に関しての説明は以上でございます。
 次に、屋我地鳥獣保護区屋我地特別保護地区の再指定について説明させていただきます。所在地は沖縄県名護市及び今帰仁村でございます。沖縄本島の中央に名護市がございますが、名護市から北西に伸びている本部半島のつけ根部分に位置しております。屋我地鳥獣保護区は赤い線の範囲でございますが、屋我地島とその周辺の海域などでございます。その中で特別保護地区は沖縄本島と屋我地島に囲まれた羽地内海と呼ばれる海域でございます。当該地域は屋我地島によって外海からほぼ隔てられている内海でございます。陸源堆積物を多く含む砂礫に覆われた水深の浅い地形が広がっております。
 こちらが羽地内海の状況でございます。羽地内海の一部では干潟が発達しておりまして、泥質の干潟ではマングローブ林が優先しております。また、羽地内海を含む屋我地島周辺海域では岩礁が点在しております。
 こちらは真喜屋湿地と呼ばれる干潟でございます。このような干潟ではキアシシギとかシロチドリなどのシギ・チドリ類を初め、多くの鳥類が餌場や休息地として利用しております。また、羽地内海に点在します岩礁はベニアジサシやエリグロアジサシなどのアジサシ類の繁殖地や休息地ともなっております。
 屋我地特別保護地区における主な鳥類の分布はこのようになっております。干潟とか砂浜にはシギ・チドリ類、ピンクの丸で囲っておりますが、そういうところで生息しております。また、海域に点在する岩礁においてはアジサシ類が生息しております。少し見づらいですが、黄色の丸に中が水色になっているところでございます。
 このように当該地はシギ・チドリ類やアジサシ類など渡り鳥の繁殖地、休息地、採餌の場として重要な場所でありまして、引き続き特別保護地区に指定し、鳥獣及びその生息地を保護する必要があると考えております。
 指定区分、存続期間、面積についてでございますが、当該地域はシギ・チドリ類やアジサシ類などの集団渡来地の保護区として、存続期間は平成18年11月1日から平成28年10月31日までの10年間でございます。鳥獣保護区の面積は3,224ヘクタールでありまして、そのうち特別保護地区の面積は1,001ヘクタールでございます。
 次に、公聴会についてでございますが、公聴会は本年8月31日に沖縄県名護市で開催されました。公述人の意見といたしましては賛成11名、条件付賛成1名でございました。条件付賛成でありました名護市につきましては、国道の整備事業を予定しているということで、鳥獣保護法に基づく許可の際には配慮願いたいというものでございました。これについては配慮する旨お伝えしております。
 要望事項といたしましては、制札を整備してほしい、適正な管理をお願いしたいなどの意見がございました。これらに対しましては今後も適切に配慮していきたいというふうに考えております。
 次に、公告縦覧の結果についてですが、公告縦覧は本年8月11日から24日までの2週間行われ、特段の意見はございませんでした。
 次にパブリックコメントの実施結果についてですが、パブリックコメントは本年8月21日から9月20日までの1カ月間、環境省ホームページ上で行われまして次のような意見が提出されたところでございます。1点目は、定期的にモニタリングを行い、環境が悪化するようであればその対策を講じる必要があるというものでございます。これにつきましては、現在鳥獣保護区管理員によりましてモニタリング調査を行い、鳥類の分布状況の把握に努めており、状況に応じて必要な対策を検討していきたいと考えております。2点目は環境教育を進めることによって、地元住民への理解が高まる。また、行政指導によるワークショップの展開なども必要であるというものでございますが、これにつきましては、鳥類の生息への配慮事項を記したリーフレットを地元の観光業者などに配布して、注意を呼びかけるなどの活動を行ってきております。今後もこれらの活動を通じまして地元住民への理解を深めていきたいというふうに考えております。屋我地特別保護地区の指定に関しての説明は以上でございます。
 最後でございますが、今後の手続について説明いたします。本日諮問した2件につきましては、本審議会から答申をいただければ、10月下旬には官報告示を行う予定でございます。官報告示の後、仙台海浜鳥獣保護区の2つの特別保護地区に関しましては来年の4月1日に、屋我地特別保護地区に関しましては本年の11月1日に施行を予定しております。以上で、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について説明を終わらせていただきます。

【岩槻部会長】 どうもありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、ご質問でもコメントでも、どなたからでもどうぞ、ご発言。
 どうぞ、和里田委員。

【和里田委員】 2点お尋ねしたいんですが、最初、仙台の方で蒲生と井土浦の間のこの長い海岸線、これが特別保護地区に指定されないでいる理由が何かあるのか。あるいは今後計画があるのかどうか。それから、沖縄と仙台とで指定期間が20年というのと10年というのがあったんですが、その違いの意味を教えていただきたいと思います。

【岩槻部会長】 事務局からお願いします。

【事務局(山崎)】 1点目でございます。この2つの特別保護地区の間の海岸線、こちらも鳥は来ており、その意味で鳥獣保護区に含めているんですが、こちらの海岸線の中で干潟とか潟湖があるのがこの蒲生特別保護地区と井土浦特別保護地区の部分ということでございます。それで、やはり干潟、潟湖があるということでシギ・チドリ類、かなり集中してこちらの2カ所に渡来しているものですから、この2つの地区を特別保護地区としたというものでございます。

【岩槻部会長】 期間の方も。

【事務局(山崎)】 2点目の期間につきましては、鳥獣保護法上は最高20年ということですので、仙台海浜の方はその最大の年数をとることができました。沖縄の屋我地の方につきましては、現行10年ということだったので、今回は最大の20年ということをこちらからは声かけはしたんですが、先ほど公聴会のときのところにもありましたように名護市の方から、まだ固まったものではないんですけど、国道の整備計画があるということで20年でなく10年にしてほしいという要望があり、10年というふうにしたところでございます。

【岩槻部会長】 よろしいでしょうか。よろしくはないのかもしれませんけど。

【和里田委員】 1点目の場合に、干潟がある、ないと言われましたけれども、私は素人でわからないんですが、鳥その他が住んでいくところでぽんぽんと離れた指定という形で、生活の仕方がある程度連続性のあるもの、活動の仕方もあるんだろうと思うので、そこのところがちょっと生物を扱う立場としてそういうドライな考え方でいいのかなというのと、それから、道路の計画があるからということで諾々とそれに従うのかなというのはよくわからないんですけど。

【事務局(山崎)】 1点目につきましては、私らとしてもかなりシギ・チドリ類が集中して渡来しているところはできるだけ幅広くというふうにやっておりまして、井土浦の方も干潟がある、潟湖があるところは少し広めにとっているという状況でございます。もう少し言いますとその間には仙台市の下水処理場があったりして、実際鳥類の生息状況としては、ほかの特別保護地に比べたら随分ランクとしては落ちる状況でありますので、外しているところでございます。
 もう1点の鳥獣保護区の期間、地元の市町村がそうあればそう対応するのかという点でございますが、やはり鳥獣保護区の仕組み上は、基本的に指定する場合も地元の公共団体の賛成のもと行うという規定になっております。それで、名護市としてもそもそも指定がだめだとかいうことではなくて、いろいろ国道の工事によっては若干区域のこともご相談したいとかそういうこともなくはないので、まずはとりあえず10年間でやってほしいという強い要望がございました。こちらとしても今後はそういうことを名護市と対話しながら進めていきたいというふうに思っていますので、今回、10年としたところでございます。

【和里田委員】 これまでの時代と違って、指定しているものをベースにして、いろいろ公共事業を行うに当たっても工夫していくというのもこれからの時代だと思うので、その辺がちょっと理解に苦しみますけど。

【星野野生生物課長】 この地域の現行計画も10年の計画で設定しておりまして、10年間だからといって将来の開発が行われるということではなくて、その間開発の具体的な話があれば私どもも鳥獣の生息環境の保全という観点から十分地元ともお話ししていきたいと思っておりますし、また、10年の間事情の変化があるということで地元では従来同様10年間の指定ということで強いご要望がございましたので10年間といたしますけれども、その間も地元の方々にはこの鳥獣保護区の重要性について十分ご理解いただけるように努力していきたいと思っています。

【岩槻部会長】 ということで、ほかにご発言ございますか。磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 今のご質問と同じような趣旨なんですけれど、蒲生の地区で今回縮小したんですね。これは私有地なんだろうと、ご理解が得られなかったというご説明でしたけど、1つ質問で、現状その私有地のところはこの前の指定から今日までの間で何か開発的に、もう指定する意味が客観的に減ったというような事情もあるのか、全くもう地権者の意向だけなのか、そう言わずにもう一回指定に同意してくださいというような努力はどれぐらいなされるのかとか、ちょっとそういうプロセスを、ご存じの限りで伺っておきたいなと。めったにないように思うんですけど、現行制度が制度としてそんなに無力なのかということですよね。先ほどのご質問も。ちょっとその事実経過でご存じのことがあったら伺っておきたいというのが1つで。
 もう1つは立法論ですけれども、今後こういうことでよろしいのか。あるいは特別地域と称してもさらに、本当にこれは譲れない強力な地域と場合によっては地元と調整してもいいというような段階を設けるとか、もっと制度的な工夫をする必要があるのか。今の制度のでき方並びに運用を見ていると、結局同意が得られる限りという前提ですよね。それから、開発が始まってしまったらしようがないという制度になってしまって、だから逆に言うと、規制としては必要最小限規制ということなんだけど、もうそれしかできないというのもやや固定観念にすぎるような気もして。立法論ですよ、あくまでも。ちょっとその辺、お考えがあったら伺いたいなと。

【岩槻部会長】 まず質問の方からお願いできますか。

【事務局(山崎)】 こちらの、まず蒲生特別保護地区の、今回一部縮小になったというところでございます。この点、所有者に対しては私たちも、再三再四仙台にあります東北地方環境事務所の担当者、それから課長を含めご自宅まであがってこちらの鳥獣保護区の趣旨をご説明して指定についてのご理解を願ったというところでございますが、所有者の方からはそういういろいろ説明というのはありがたいんだけど、どうしても乗れないということでございました。今後スタンスを変えるとかいう話はちょっと置きまして、制度的には特に特別保護地区のような立木の伐採を規制するとか、建物の新築、増築についても規制するということでございますので、基本的には今通達上も所有者の理解がなければしない。理解を得てやるということにしておりますので、今の状況ではここをやむを得ず外したということでございます。
 あと、生息につきましても今こちらがシギ・チドリの集中しているところということではございません。場所も端の方ということもありまして、我々も干潟の集中する渡来地の脇というか、ややバッファーゾーン的にここも含めて特別保護地区にしていたんですが、今回所有者のそういうこともありまして、約50ヘクタールのところが49ヘクタールということになるんですが、これはやむを得ないという判断でこういうふうにした次第でございます。

【磯部委員】 ご苦労は大変だったんだろうと思いますが、そこの持ち主は、土地の地主さんは何か開発計画をお持ちなのですか。そういうことではないんですか。

【事務局(山崎)】 ご個人の話ですが、今現実にどうということはないんですが、将来はそういうことも考えているということもありましてこういう対応になったというふうに聞いております。

【磯部委員】 何か、若干訴訟があれば考えるとかそういうことはあるんでしょうか。これまた立法論を考える上でのことなんですけれども。要するにお金をよこせという。必ずしもそういうものでもない。法律論としては。今まで自由に開発できるところをいきなり指定する場合には、権利侵害性が高いという感じがしますけれど、既に20年たっているわけですよね。という状態が続いた後の更新ですよね。それに関してそれほど開発期待権のようなものを法的に保護する必要があるのか。もし裁判になったりしても勝てるんじゃないかなどと思ったものですから。

【事務局(山崎)】 その点につきましては、直接的な答えではないんですけど、背景的には先代のお父様の代のときにはそういうのにご理解があったんですけど、代がわりした関係というのもちょっとあるというふうには聞いております。

【岩槻部会長】 ほかにご発言ございますでしょうか。どうぞ、土屋委員。

【土屋委員】 今回の2カ所は非常に私に関連のある2カ所ですので、少し発言させてください。
 蒲生、井土浦の方は私が大学院で勉強した場所ですので大変よく承知しております。今回除外されるところも、多分松林等があって、蒲生地区の環境の多様性を形成するという意味では非常に重要な場所だろうと思っておりまして大変残念です。
 資料について、恐らくこういう資料を作成しながら指定あるいは更新をしていくことになっているんでしょうけれども、蒲生については特に鳥類についても、あるいは今回パブリックコメント等で話題になった鳥類のえさについても、もう30数年来の非常に豊富な資料が蓄積されていると思いますが、それらを解析して、最近特に人の影響が強くなって鳥類にこんな変化が起きてきたとかいうような解析があれば、それをさらにこの地区の重要性と関連させた議論ができるように思いますけれども、そんなこともおやりになっているのでしょうか。
 それから、飛び地的な指定ということに関して言えばもっと南の阿武隈川の河口にも同じような干潟が存在しますので、それらと関連させたより広い考え方をとることも今後は可能だろうと思います。
 それから、屋我地につきましては10年間の指定、申しわけありませんが私初耳だったので何も今までプッシュできませんでしたけれども、今後何らかのかかわりを持ちたいと思います。この地区は沖縄にありながら、特に鳥のえさの底生動物については非常に興味ある特徴があります。沖縄島の中でも温帯地方との共通種が非常にたくさん出てくるところで、東北地方にいる種と共通のものが結構いるという、学問的にも非常に面白い地域ですので、今後ますますその需要について私自信も働いてまいりたいと思います。
 以上です。

【岩槻部会長】 どうもありがとうございました。何か特に最初の方のことについて。

【事務局(山崎)】 まず1点目でございます。確かに資料の方に余り出てこなかったんですが、実際、私も現地を出張で視察して地元の地方環境事務所と打ち合わせとかしてきたところでございますが、ご指摘というかご発言あったように、こちらの仙台海浜の、特に蒲生特別保護地区が仙台市にあるということ。それで、市の中心部から随分近いということで最近特に七北田川の河口のあたりでサーフィンをやられる方が随分ふえてきたということがあります。サーフィンが急に盛んになった頃に干潟にずかずかサーフィンやられる方が直接入り込んでしまってということがありまして、環境省といたしましてもいろいろ地元の団体の方と一緒になりましてリーフレットとかを配布して、サーフィンをやられる方に、近くにシギ・チドリという鳥がいるんだよというのをお知らせして注意喚起をしたところです。その地元のサーフィンの団体の方もそれに対応していただきまして、最近サーフィンの団体がつくった看板においても、鳥にも配慮して行動しましょうというのが書かれるようにはなりまして、一定の改善は見られたところでございます。ただ、まだいろんな方がおられますので、私らといたしましても引き続きそのような注意喚起をしていきたいというふうに思っております。
 もう1点、阿武隈川の干潟につきまして、私らも今回は仙台海浜というまとまりでやっておりますので、そちらの方の干潟につきまして、今後注意しながら対応していきたいというふうに考えております。
 あと、屋我地の方につきましても、今ご発言いただいた点につきまして、私らも勉強させていただいて、地方事務所ともどもそういうのを頭に入れながら対応していきたい、管理していく上で参考情報として認識させていただいて対応していきたいというふうに思っております。

【岩槻部会長】 この部会のメンバーの中にもそういう情報に非常に詳しい方がいらっしゃるということでしたら、十分そういう情報を利用させていただいて、保全の方向に強力に対策が組めるようになればと思いますので、よろしくお願いします。
 山岸委員、どうぞ。

【山岸委員】 私、蒲生に行ったことがないのですが、今、土屋委員がおっしゃったことで蒲生で一番思い出すのは、東北大にいた斉藤隆史さんのオオヨシキリの修士論文なんですが、多分まさにこの場所だったと思うんですが、湿気があって非常にいいところへまずヨシキリが帰ってきて縄張りを張りまして、そこの個体群密度がいっぱいになってくると、恐らく今削ったところなんだと思うんですが、松林の下にアイアシというアシがあって乾燥地の方にあるアシがありまして、そしてそちらへだんだんだんだん個体群が移って行ってそこで満杯になるという見事な論文を読んだことを思い出すんですが、そうすると1つの個体群にとってはあんなところで線を引かれちゃうと非常にかわいそうだなという気がします。動物にとっては、やっぱり一まとまりになった場所だったのかなということを思います。
 それから、もう1つ、土屋さんの言われた渡り鳥があそこの河口だけじゃなくてもっと違うところまで行っているというのはうちの研究所なんかもやらなきゃいけないことで、ぜひ今までの資料があったらまとめまして、どのぐらいの距離があればまとまって移動しているのかというようなこともちょっと立ち返って調べてみたいと思います。

【岩槻部会長】 どうもありがとうございました。
 ほかにご発言ございますででょうか。何人かの方から、いろんなデータを利用してもっと協力に対応するようにという、むしろ励ましのご発言があったと思うんですけれども、この諮問に関しましては、本日はこのように答申させていただくということでお認めいただけますでしょうか。
(異議なし)

【岩槻部会長】 それでは、この件に関しましてはこういうことで、これは中央環境審議会の会長に対して答申をさせていただくということをお認めいただいたとさせていただきます。
 きょうのもう1件は、野生生物保護行政に係る最近の動きについてということで、星野課長からご報告をお願いします。

【星野野生生物課長】 お手元にお配りした資料の4をごらんいただきたいと思います。最近の野生生物保護行政の動きについてご説明したいと思います。希少野生生物の保護、鳥獣の保護管理、外来生物対策、国際的な取組、この4点についてご報告申し上げます。
 まず、希少野生生物の保護でございますが、ここに掲げた4つの項目以外に実は今動きがございます。レッドリストの改訂作業を今年度やっております。平成9年から12年にかけて作成いたしました現行のレッドリストの改訂作業を数年前から行っておりまして、おおむねまとまり、今年度中にすべての分類群について改訂作業を完了させたいと思っております。資料には書いてございませんけれども、その点を初めにご報告させていただきます。
 ツシマヤマネコに関してでございます。長崎県の対馬のみに生息しているヤマネコでございまして、現在の生息数は80頭から110頭と推定されております。平成11年に福岡市の動物園の協力を得まして飼育下の繁殖事業を開始いたしまして、翌年に繁殖に成功して、これまでに福岡市動物園で20頭誕生しております。現在、福岡市動物園で17頭、そして対馬にあります環境省の野生生物保護センターで8頭、合計25頭が飼育下の個体群として飼育されているところでございます。しかし、感染症や災害の発生による危険を回避するため、飼育個体の分散が必要な状況になっております。このため、社団法人日本動物園水族館協会の協力を得て、東京都の井の頭自然文化園、そして、横浜市のよこはま動物園に、ツシマヤマネコの個体を各2頭ずつ分散させることといたしました。個体を移動させる時期と方法については、現在関係者間で調整をしているところでございます。
 続いて、トキについてでございます。中国より寄贈されたトキ3羽、これは平成11年に雄、雌のつがい、そして翌12年に雌1羽、合計3羽をもとに佐渡トキ保護センターで繁殖が進んでございます。現在の飼育個体数は97羽でございます。トキ保護増殖事業計画を平成16年に改定いたしまして、野生復帰に向けたさまざまな取組が進んでいるところでございます。環境省では16年より3年計画で野生復帰のための順化訓練を行う施設を佐渡に建設中でございまして、今年度中に完成をする予定でございます。新潟県佐渡市、そして地元団体などによる生息環境の整備も進められているところでございます。具体的にはビオトープづくり、水田の冬季の堪水や不耕起、減農薬栽培などが進められているところでございます。今後は、専門家のご協力を得て野生復帰のための具体的手法の検討を進めるとともに、地元の関係者の理解と一層の協力を得るための取組を進めていく考えでございます。
 アホウドリでございます。1970年代以降、東北大学の長谷川教授、そして山階鳥類研究所を初めとする関係者のご努力、そして、保護増殖事業計画に基づいて環境省が実施しました砂防事業、それから、デコイの設置と音声装置による新たな繁殖地への誘導、こうした取組によりまして鳥島の繁殖環境が改善されてきております。その結果、繁殖の成功率も高まってまいりまして、現在の生息個体数は1,800羽を超えると推定されております。しかし、鳥島は火山噴火の危険がある島のために火山でない島への分散が必要であります。本年8月には保護増殖事業計画を変更しまして新たな繁殖地の候補として小笠原諸島、聟島を選定したところでございます。今年度は山階鳥類研究所が米国政府と共同で、近縁種でありますクロアシアホウドリのひなを聟島に運んで飼育試験を実施するという予定でございます。
 ワシントン条約の関連でございます。先日、ワシントン条約の常設委員会が開催されまして、象牙取引に関する決定がなされたところでございます。アフリカゾウにつきましては、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制いたしますワシントン条約で商業目的の取引が禁止されている種になっております。しかし、2002年に開催されました締約国会議で、南部アフリカ3カ国から1回限りの商業目的の象牙輸出が認められることになったところでございます。この条件といたしましては、輸入国における象牙の国内管理体制が十分であること、そしてゾウの密猟に関する各国の情報が整うことと、この2つが条件でございました。象牙の国内での流通管理は、種の保存法の規定に基づいて行っているところでございます。今回開催された常設委員会では、輸入を希望しておりました日本の国内管理体制が審査されたところでございます。輸入再開が密輸を誘発するのではないかという懐疑的な意見も出されたようでございますが、日本の国内管理体制と水際規制の実績が評価されて、日本は輸入国として適当という決定がなされたところでございます。象牙の輸入に当たりましてはゾウの密猟に関する情報が現時点では整っていないため、来年6月に予定されております次回の常設委員会以降になるという見通しでございます。なお、次回の常設委員会では懐疑的な意見を表明した国に配慮して、日本への密輸に関する最新の情報を事務局が会合に報告することが求められております。
 次に、鳥獣の保護管理でございます。本年5月26日に中央環境審議会に対して諮問されました「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」につきましては、野生生物部会に設置されております鳥獣保護管理小委員会、さらにはその下に設置されたワーキンググループで検討が進められているところでございます。本日午前中に開催された小委員会では、基本的な指針の素案について検討が行われました。鳥獣の保護に関連する主体間の役割の分担と連携、鳥獣の区分と保護管理の考え方、広域的なまたは地域的な保護管理の進め方、人材の確保と育成の方向などが主な検討項目となっているところでございます。この基本的な指針は、都道府県が作成いたします、平成19年度から5カ年間の第10次鳥獣保護事業計画の指針となるものでございまして、12月中には答申をいただいて告示ができればと考えているところでございます。
 次に、外来生物対策でございます。本年9月1日に特定外来生物法に基づく特定外来生物としてセイヨウオオマルハナバチ、クモテナガコガネ属、ヒメテナガコガネ属の1種2属の3種類を指定いたしました。これによりまして、現在合計83種類について飼養、運搬、遺棄等の規制が行われているところであります。特定外来生物の今後の指定につきましては、特定外来生物専門家会合において検討をしていただいて、今年度末を目途に結論を得たいと考えているところであります。
 特定外来生物の防除についてでございます。希少野生生物の生息地として特に重要な地域やラムサール条約登録地など国際的に重要な地域などでは、環境省の直轄の防除事業を行っております。また、広域的に分布をしたり、防除に際して複数の自治体の連携が不可欠な特定外来生物については、効果的な防除方法を検証するモデル事業を環境省として実施しております。こうした国の行う事業以外で地方公共団体や民間団体は、主務大臣の確認、認定を受けて特定外来生物の防除を実施できることとなっております。現在までにアライグマとアメリカミンクが中心でございますけれども、約200件の確認、認定がなされているところであります。その多くは地方公共団体による防除で、民間によるものは10件程度でございます。
 最後に国際的な取組でございます。我が国は渡り鳥の保護を目的とした2国間条約をアメリカ、ロシア、中国、オーストラリアの4カ国と締結しております。各条約に基づく2国間会議はおおむね2年に一度開催しておりますけれども、明日17日にはアメリカと、そして明後日18日にはロシアとの2国間会議を東京で開催する予定であります。これらの会議では両国における渡り鳥の現状や保護対策、研究などに関する情報交換を行うほか、今後の2国間協力のあり方についての意見交換を行う予定でございます。
 以上、簡単ではございますけれども、最近の野生生物保護行政に関する動きのご報告とさせていただきます。

【岩槻部会長】 どうもありがとうございました。野生生物保護行政、随分広範囲にわたって行われていることのご報告をいただいたわけですが、今のご報告に関してご質問、コメントでもいいですし、そのほか、野生生物保護行政一般に関するご意見も伺っていいんじゃないかと思いますけれども、どなたからでもよろしいから、どうぞご発言をお願いいたします。
 どうぞ、和里田委員。

【和里田委員】 1番のツシマヤマネコの分散飼育についての関連で、ちょっと素人なんで教えていただきたいんですが、最近、全国の動物園でもお客様にいろんな、本当に生きた姿を見ていただくというような形で飼育、展示の仕方を随分工夫されているという話も報道で聞いているんですが、このような野生生物の分散飼育をしていく際の、いわゆる野生生物の保護という観点から飼育するんだということでのいろんな工夫はどういう点でなされているのか、教えていただきたいと思います。

【岩槻部会長】 どうぞ。 

【星野野生生物課長】 この分散飼育でございますけれども、福岡市の動物園で現在17頭飼育していただいているんですが、実際に一般の方がごらんになれるのはそのうち2頭だったと思います。限られていると思います。できるだけ人が見ることによる刺激がないように、そして繁殖もやっておりますのでそういう点には非常に配慮した飼育がなされていると聞いております。それが一番大きな点ではないかと思っております。

【和里田委員】 今私が言ったのは、見せるということにこだわっているわけじゃなくて、単に飼って置いてあるんだよということではないんでしょうと。どういう工夫をしているのかということを知りたいんです。

【星野野生生物課長】 特に福岡市の場合には、繁殖技術自体がありませんでしたので、飼育繁殖ということで技術を確立するという点が非常に大きかったと聞いております。福岡市の場合には、翌年には繁殖に成功したわけでございますけれども、非常に繁殖は難しいと聞いておりまして、その辺いろいろ工夫をして希少な野生生物の飼育繁殖を動物園の公的な役割といいますか、種の保存に果たす役割の1つとして取り組んでいただいていると考えております。

【和里田委員】 ただ、その繁殖というのもより自然に近い形でいてこそ初めて生殖ということも行われていくんだろうと思うんで、単に飼って、産めよ増やせよということではないんだろうと思うんですよね。そういう野生生物らしい生活環境を整備しながらというような形での工夫をなされているのかということをお聞きしたかったんです。

【星野野生生物課長】 動物園での飼育ですので、施設の大きさについてはある程度限度があると思うのですが、もちろん動物にとって繁殖の制限とならないような、どの程度の施設、どんな施設の内容にしたらいいのかということは日ごろの飼育の中でいろいろ検討しながらやられていると聞いております。
 それとあとは、繁殖についても遺伝的な多様性を確保するためにどういう組み合わせをしていったらいいのかということで、個体ごとの遺伝的な管理といいますか、その辺をしっかりやっているということです。

【岩槻部会長】 増井委員、どうぞ。

【増井委員】 このたび、ツシマヤマネコの分散飼育をお引き受けすることになりました、横浜のズーラシアの増井でございます。とりあえず、今のところは2頭、非公開施設で、私ども繁殖センターという非公開の3ヘクタールの研究施設を持っておりますので、そちらの方にネコ舎をつくりまして、そちらでお預かりするつもりでおります。研究機関の方と共同で、ホルモン動態とかあるいは行動学的な記録とか、ふえてまいりましたら、いずれはこれは国のものでございますので、対馬の方へまたお返ししてそちらでリリースするためのリハビリなんかはなさっていただけるんじゃないかなと思っておりますが、どんな仕組みでふえていくのかというのも、いろいろと学問的に押さえていきたいなと思っております。

【岩槻部会長】 ありがとうございます。
 ほかに。鷲谷委員、どうぞ。

【鷲谷委員】 アホウドリの保護増殖事業に関する質問なんですけれども、「今年度は」というところで、近縁種のひなを移動させて飼育試験を行うというふうに書いてあるんですが、このことの意味もしくは意義というのはどういうことなんでしょうか。また、そのことが野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会の結論なんでしょうかということをお聞きしたいと思います。

【星野野生生物課長】 今年度実施する予定は、アホウドリを移すに当たって近縁の種で移動に当たってどういう点を配慮したらいいのか、またひなを新しい繁殖地に移すわけですので、そこでひなに対する人為的な給餌をやることになります。その辺の実験を、アホウドリではなくて近縁の種で行うということになっております。詳しいことは山岸先生がいらっしゃるので。

【岩槻部会長】 では、山岸所長からどうぞコメントをお願いします。 

【山岸委員】 私、保護増殖委員じゃないのであれなんですが、実はこのクロアシアホウドリの前にコアホウドリというのがもう一段あるんです。それで、直接アホウドリをやらないというのはアホウドリの数がまだふえてきたとはいえ、国際保護鳥になっているぐらい少ないので、本当に慎重を期さなければいけないという国際的な意見もあって、この計画、実は日本の環境省の計画でもあると同時に日米アホウドリ再生委員会の計画でもあるわけでして、最初は鳥島からクロアシを、まだ数がたくさんいるからいいんだろうというので移そうとしたら、遺伝子の配列を調べてみたら、何かちょっと小笠原のクロアシが分化し始めている傾向があるというので、鳥島から動かさない方がいいだろうという意見がありまして、そして小笠原の中で移して、悪い言葉で言ってみれば練習になるわけですが、シミュレーションをしてみようということですが、こんなご説明でよろしゅうございますでしょうか。

【鷲谷委員】 練習という……。

【山岸委員】 基礎的データもほとんどないので、アホウドリについて。

【鷲谷委員】 ああそうですか。そういうことは割合この世界では普通に行われているんでしょうか。近縁種で練習ということの、ちょっとそのあたりが理解がちょっと及ばないところがあるんですけど。

【山岸委員】 練習という言葉は、非常に鷲谷さんを刺激したかもしれませんが、実験飼育ということなんで。

【鷲谷委員】 それは、割合普通にそういう考え方が認められていると。

【山岸委員】 いると思います。難しいものに行くためには、いきなり難しいところへ行くのはちょっとリスクが大きすぎるだろうと。

【鷲谷委員】 ありがとうございます。

【岩槻部会長】 山岸委員、これとは別の件ですね。お願いします。

【山岸委員】 私はレッドリストに非常に興味があって、先ほどレッドリストの改訂作業が進んでいるというお話がありましたんですけど、どこでどういうふうな手順でこれが進められているのか。例えば植物も哺乳類も鳥もみんな同じだと思うんですが、ですから私は鳥を例にして言いますと、最後の段階でここへ持ってこられてそれで諮問という段階でこれでどうでしょうと言われたら、非常に文句はあっても事務方のお手数や何かを考えると、とても文句言える雰囲気じゃないんですね。例えば、今、鳥を例にしますが鳥だったらば日本鳥学会の鳥類保護委員会とか、それからバードライフインターナショナルもあるし、日本鳥類保護連盟もあるし、うちもあるわけですよね。そういうところに一度パブリックコメントというんじゃなくて、専門家集団にお聞きになるというようなことは考えておられるのか。それから、どこでどういう手順でだれがつくっておられるのか、差し支えなかったらお教えいただきたいと思います。

【岩槻部会長】 お願いします。

【星野野生生物課長】 レッドリストの改訂作業につきましては、各分類群ごとに専門家の先生方の検討会を設けまして、そこにお諮りをして選定をしていただいております。選定の初めにどういう基準でそれぞれ選定するかということについてはご議論いただきまして、基本的には現在のリストの選定基準をほぼ踏襲した内容に基づいて各分類群ごとの専門家のグループで選定をしていくというプロセスをとっております。各分類群ごとにそれぞれ専門家の方に分担していただいて、その専門家だけではなくてさらにそれぞれ各種について現場でデータをたくさん持っている方々のご協力をいただいてチェックシートを種ごとに作成いたします。そのチェックシートに応じて選定基準にあってどのランクにふさわしいかというレビューを何度も繰り返しまして、最終的にそのグループごとの会合で新たなランクづけについて合意いただいて、それを環境省として取りまとめて公表するというプロセスをとっております。したがいまして、審議会にお諮りをして、諮問をして答申をいただいて公表するということではなくて、現時点で科学的な観点から種の生息の状況をレビューをして、絶滅のおそれの程度をできるだけ客観的に専門家の方々にご判断をいただいて、それを環境省が取りまとめて公表するというプロセスをとっているということでございます。

【岩槻部会長】 いいですか。山岸委員。

【山岸委員】 その専門家というのが非常に問題でありまして、こんなことはだれでも言えることじゃないので私が言いますが、そこに現役の研究者が入っていると、どうしても自分の研究されているものが重い位置を得て決まってくる。だから、後から考えてみると、何でこれがこんなところに入っているんだというようなのが鳥の場合にはあるわけです。そうすると、熱心な専門家であればあるほど自分のご研究になっているものを無理やり押し込んでくるというようなところがないでもない。そういうところをどこかスクリーニングにかけてほしいというのが私の意見なんですが。ほかの人の意見もお聞きください。多分そういうふうにお思いになっていると思います。

【岩槻部会長】 今伺っていて、僕も分類群によって随分違うんだなという感じを受けたんですけども、植物の場合は昔のNGO版のときから分類学会と一緒にやるという習慣がついてましたので、今でも、実際働いてくれるのは特定の人になってしまうんですけれども、ノンプロフェッショナルないろんなナチュラリストの人の情報もいただいて、それを集めた上でつくっているんですけれども、ほかのところは必ずしもそうはなっていないんでしょうか。曽宮さん、ご発言いただけますか。 

【事務局(曽宮)】 すみません、多少補足いたします。もちろん、やはり専門家の先生方からの、委員になっている方々のご意見が非常に当然ながら強く出てくる傾向も多少なくはないかと思いますけれども、ただ、一方そういったことがないようにチェックシートというチェック表をきちんとつくっておりまして、カテゴリーというような、IUCNの基準をもとに決めているわけです。これはもう非常に客観的な基準ですので、それをもとにチェック表というのをきちんとつくっていまして、それにきちんと丸を当てはめていくと、結果としてランクが落ちていくようになっていって、ただ、その丸をどこにつけるのかということについて、まさに専門家の専門的な知見というものに左右されていくという部分があるかと思いますけれども、研究者の恣意的な部分から出ないようなチェックというものは、かなり慎重にやっているという状況でございます。

【岩槻部会長】 市田委員、どうぞ。

【市田委員】 今のご説明で、もちろんIUCNの基準はご存じのとおりそれは客観的なものだと思いますけど、それを適用させるところにいろんな考え方が出てきちゃうわけですね、個々の種類で。だから、そこを山岸先生おっしゃっているんだろうと思うんですけれども、それで、去年のときにたしか審議会でちょっとお尋ねしましたけど、一体これだれがやってらっしゃるんですかということをお聞きしたところ、それは公表していないということで、公表することについては検討するということがございましたけれども、これ、決して内緒でこっそりやることじゃないと思うんですよね。だから、私も幾つかの鳥について、一体これだれがやっているんだろうと思って、環境省のホームページを一生懸命調べるんですけど、出てないんですね。それでお聞きすると専門家に聞いたと。だれかに聞いているんだと思いますけれども、その辺はもっとオープンに論議しちゃったって全然構わないことだと思うんですよね。そういう中で物事が決まっていった方がみんながすっきりするんじゃないかというふうに私も思います。

【岩槻部会長】 専門家がそういうふうにおっしゃっているというのは確かに困った面がありますので、そういうことはあんまり僕詳しく知りませんでしたけれども、そういうことというのはやっぱりできるだけないように、チェックの機能が生きるようなことというのを考えないと、でき上がったものを見て、別の専門家はあんまり好ましくない、意見の違いというのはもちろんあるんでしょうけれども、非常に不満を感じられるようでは具合いが悪いと思いますし、今後はそういうことも含めて検討していただけたらというふうに思いますけれども。
 ほかに。加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】 前半のお話ですけども、蒲生特別保護地区で指定できなかった部分があったということの理由として、世代交代で考え方が変わったというようなところもおありのように伺ったんですけども、そういうふうに考えますと、やっぱりこれからそういうのがちらほら出てこないとも限らないなと。そのときにどういうふうにやっていくのか。先ほど磯部委員もおっしゃってらっしゃいましたけれども、実効をとると言ったら変ですけれども、うまく上手に保護ができるように規準のあり方とか当てはめとか、そういうところも含めてどういう手順でこれからそういう問題に対応していくのかということをやっぱり環境省さんとして考えていかれるのがいいのかなというふうにちょっと個人的に思いました。

【岩槻部会長】 何か伺っておくということでよろしいですか。
 ほかはいかがでしょうか。三浦委員。

【三浦委員】 最近の動きの中で、ツシマヤマネコと、それからトキと、それからアホウドリの話題が出てきました。それで、アホウドリは生息地内の保全でありますけれども、ツシマヤマネコもトキもこれは生息地外の保全という位置づけです。同じく保護増殖事業ということには変わりないという格好になっていますけれども、よく考えてみますと、今も我々検討しているわけですが、生物多様性条約の国際条約の中で生息地内保全、外保全も、それからあとツシマヤマネコもトキも、これは将来的に言えば野生復帰させるということで、これはリイントロダクションというか再導入というのも、これも生物多様性条約の中で位置づけられているということです。このほかにもコウノトリが選定されましたけど、カワウソ等、これから想定されてもいい種類もたくさんいるわけですね。こういう野生復帰をやっていく、どういう場合にやっていくのかということと、それからそれのやっていく、これは生物多様性条約の中のリイントロダクションのガイドラインなんかご指摘されてますけど、非常に長期に、それから安定したお金でこれやっていかないといけないということが書き込まれているわけですね。そういう意味では、この生物多様性条約の特にこの部分だけに関してだけでも国内法の整理みたいなのがお金を生み出す、あるいは制度を支えるといったような点では必要なんではないかというふうに思います。それで、特にここで3つ出てきているので、そういうことをご検討のほどお願いしたいなというふうに希望いたします。

【岩槻部会長】 何か発言されますか、事務局から。

【星野野生生物課長】 野生復帰に関しては非常に時間も資金もかかるということで、それなりの予算を確保するよう今後努力していきたいと思っています。

【三浦委員】 法律の整備はしていかないんですか。

【星野野生生物課長】 今ある「種の保存法」の仕組みの中で保護増殖事業計画という仕組みがありますので、それを最大限活用していきたいと思っております。

【三浦委員】 でも、種の保存法の中に書き込みはないですよね。再導入という書き込みはないんです。その辺でもだから、種の保存法の中でもいいですけれども、その点でももうちょっと振り分けるというか、きちんと位置づける必要があるんではないかという。

【岩槻部会長】 土屋委員、どうぞ。 

【土屋委員】 レッドリストについて少し立ち戻りますが、今度の改訂が現行のものを基本にされるというお話でしたけれども、そうすると、相変わらず海岸生物が弱いなというイメージを持ってしまいますけれども、そのあたりの工夫は今後されるのでしょうか。

【星野野生生物課長】 現行を基本にと言いましたのは選定の基準です。どういう基準の場合に絶滅危惧種にするかというのは現行にほぼ準じた形にするということでございまして、対象の分野は今回広がっているものがあります。

【事務局(曽宮)】 また多少補足させていただきます。今回は、基準については先ほど課長が申し上げましたとおりなんですけれども、対象につきましては、魚類については多少海側にというか、それに踏み込むと。それから、貝についても今回完全に海洋性の部分にまで踏み込むことができなかったんですけれども、汽水の影響のある部分についてまで広げるということで、特に貝については非常にその対象種がふえているという状況でございます。

【土屋委員】 サンゴはどうなりました。

【事務局(曽宮)】 サンゴについては基本的にはあまり、今回対象として広がったという状況にはございません。

【土屋委員】 ぜひご検討をお願いします。

【岩槻部会長】 どうぞ、審議官。

【黒田審議官】 土屋先生からいろいろご指摘がございましたが、世界の自然環境保全の潮流として、海を何とかしないといけないというのが非常に大きなムーブメントになっておりまして、先ほども少しお話が出ましたが、国家戦略、新国家戦略の次なのでどう言おうかということなんですが、多分第3次というような言い方になるんだろうと思いますが、そういう中でも海をどうすると、あるいは国家施策としてもいろんな観点から海を何とかしないといけないと。我が国の国家施策の観点というのはちょっと別にしても、IUCNにしましても生物多様性条約の世界にしても海というのは大きな話題になっております。私どもも今回は半歩前進というぐらいで、魚類に関して汽水性のものまで含めて評価をしようということなんですが、先々は何とか海のサンゴであるとか海藻であるとか、そういうものもしっかりデータを集めて評価をしていきたいというふうに思っております。特にベースとなりますリストづくりとか、そういうことでまたそれぞれの分類群の先生方にお声をかけて、なかなか全部、特に海産の魚類に関してはどこまでが日本の魚といえるのかというナショナリズムというわけでもないんですが、範囲の問題というのは難しいものがございまして、課題が幾つもありますが、今後はきちんとそれに向かってやっていこうと。例えば、近隣諸国と言っていいのか、ミクロネシア諸国ではミクロネシアチャレンジということで、海域の20%だったと思いますが、海洋保護区をつくりたいと。何の20%かというのは、領海なのか海岸線なのかよくわからないところがありますが、そういうような動きが出ておりますので、我が国も何かそういうことができるように。そのためにはまたベースのデータをきちんと整理し評価したいと思いますので、今後我々もそういう面で努力していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。

【岩槻部会長】 ほか、いかがでしょうか。桜井委員、どうぞ。

【桜井委員】 参考までに今のことになるんですけど、今ちょうど国際会議をやっていまして、その中で今海洋の中での生物多様性についてどうするかということで陸と同じようにエコレジオンという定義が今出てきまして、まず海の中についてもエコレジオンの概念を入れて、生物相を物理的な地形といろんな海洋の地形、環境とそれから生物相、それをあわせてちゃんと明確にしましょう。そこから始めないことにはできないだろうということで、陸域でやられているようなことが今少し海でも動き出しまして、今始まったのが、特にアメリカとカナダが始まって、ヨーロッパも始まりまして、今日本だけがまだ気がついた段階です。ですから、これから多分入ると思いますので、国際的な趨勢からすればまさに言われたとおりの動きになると思います。
 以上です。

【岩槻部会長】 陸域のものは日本は島ですから割合はっきりするんですけれども、本当はもっと大陸の国だったら陸域でも日本ほど絶滅危惧種の目録をつくったりするのも簡単にはいかない。元来からいいますと海域は日本ではもっとアジアでリーダーシップをとらないといけないということなのかもしれない。そうなんですよね。ですから、そういう意味では国際的なそういう進行に合わせて、日本のRDBをどうするかだけではなくて、グローバルに日本はどこまで責任を持つかというような、そういう視点をつくっていただければ非常にありがたいと、これは個人的な意見ですけれども発言させていただきます。
 大分時間も近づいてはきたんですけれども、どなたか、この際というご発言はございませんでしょうか。増井委員、どうぞ。

【増井委員】 ちょっと余談になるかもしれませんけれども、環境保全とか希少生物の保全ということになりますと、どうしても経済と相反する行為で金食い虫といわれるような感じがするんですけれども、コウノトリのリリースに絡んでの実感なんですが、非常に経済にも好影響を与えておりまして、去年の放鳥から1年間の間、全国紙及びローカル紙に出たコウノトリ関連の記事が1,160件ございました。それで、豊岡市立のコウノピアという小さな博物館が郷公園に隣接しているんですけれども、そこが大体2000年にオープンして2006年の6月までの丸6年間の間に100万人の人がお見えになりました。特に去年の1年間は24万強の方が見えまして、ことしはもう既に4月から9月まで22万人の人が来ておりまして、年間40万はいくだろうというふうに推定しております。コウノトリのロゴを冠したいろんな農産物の売れ行きも非常に好調でして、有機農法でつくられた農産物はたちまち売り切れると。無農薬でつくった酒米からつくった、これがまた「コウノトリの贈り物」というお酒なんですけれども、秋篠宮家のご慶事が報道されますと途端にそれが全部売り切れたとか、その後その酒造会社が100ヘクタールの酒米を全部買い占めたとか、それに刺激されてほかの会社も、五百万石という別の酒米があるんですけれども、それの一括購入を申し出てきたとか、そういうことが次々と報道されますと、いい方の渦巻き現象みたいなのが起こりまして、環境保全に協力することが企業のイメージを高めるというような感じになってきて、こちらから何も言わなくても、先方の方からどんどんこういうことで協力したいという申し出が次々と出てきまして、地元は非常に活性化するんです。ですから、私たち、ツシマヤマネコも今度お手伝いさせていただくんですけど、ただ単にツシマヤマネコの保護増殖というばかりじゃなくて、対馬にいる人たちがそれによって生活が潤ってこなければ長続きしないと思いますので、ネコを通して対馬の自然とか人々の文化の独創性というんでしょうか、そういうことがみんなに知れ渡るように協力していきたいなと思っておりますが、絶対にこれから21世紀は環境保全は経済を救うというのが実感としてございます。

【岩槻部会長】 ありがとうございます。非常に心強い実例のご紹介で、確かにうまいチャンスで追い風を受けたということはありますけれども、やはり私も多少伺っていて地元を含めて皆さん頑張っておられることがそれだけの成果につながってきたんだと思うんですけれども、環境は金にならないというような言い方は必ずしも成立しないんだということをこういう実例をもとに我々の励ましにさせていただけたらというふうに思います。事務局の方もそういうことで頑張っていただけたらと思いますので。
 時間がまいりましたので、当面の、最近の環境行政についての話題はこれぐらいで閉じさせていただきまして、あと、その他で何かございますでしょうか。

【事務局(野口)】 それでは、事務局の方から1点申し上げます。次回の部会につきましてですけれども、先日ご照会などさせていただきましたが、過半数の皆様のご出席が見込まれるということでございますので、12月6日水曜日の午後に予定をさせていただきたいと思っておりますので、追って文書でご案内をさせていただきますのでぜひよろしくお願いしたいと思います。
 事務局からは以上でございます。

【岩槻部会長】 特にこの際ご発言ということがございませんようでしたら、今日はこれで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。