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中央環境審議会 瀬戸内海部会 企画専門委員会現地ヒアリング(西部) 議事録


平成24年2月13日(月)

開会
議題
(1)
趣旨説明及び現地ヒアリングの進め方について
(2)
関係者からのヒアリング
(3)
全体討議
閉会

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会瀬戸内海部会企画専門委員会の現地ヒアリングを開会させていただきます。
 皆様におかれましては、お忙しい中、また本日は雨が降ってお足元の悪い中、多数ご参加をいただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、企画専門委員会の事務局を務めております環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室の橋本と申します。座長にお渡しするまでの間の進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、ヒアリングの実施に当たりまして、まず、この企画専門委員会の松田治委員長からご挨拶をいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○松田委員長  この企画専門委員会の委員長を仰せつかっております松田と申します。
 本日は大変お忙しい中、また雨模様ですけれども、たくさんお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。特に、ご意見を伺う8名の方には、日程調整、資料の作成などで大変なご協力をいただき本当にありがとうございました。
 さて、ここに今日お集まりの方には、いささか釈迦に説法ですけれども、瀬戸内海は、海域によりますけれども、1960年代に大分もう状況が悪くなりまして、ご承知のように、1973年には全国に先駆けて、いわゆる瀬戸内法─瀬戸内海環境保全臨時措置法が制定されました。来年でそれからもう40年になります。  それから、この瀬戸内法に基づく瀬戸内海環境保全基本計画が最後に作成されてから既に10年以上たちます。この10年はおおよそ2000年代になってからの10年ということになりますけれども、その間に社会体制ですとか法律なども随分大きく変わりました。例えば、瀬戸内海に関係するものとしても、海洋基本法の制定ですとか生物多様性基本法の制定、あるいは一昨年にはCOP10で愛知ターゲットなども決められたわけです。
 そういう中で、昨年7月に環境大臣から、この中央環境審議会に対して諮問がなされました。諮問のテーマは、「瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方について」、ということで、この具体的な調査、審議をこの企画専門委員会が担当しているという形になっております。
 この企画専門委員会に与えられました課題は、大ざっぱに言って2点あると思います。
 一つは、豊かな瀬戸内海というのは一体どういうものであるか、これを少し具体化する必要がある。
 後で詳しい経緯がご紹介あると思いますが、実は、この数年にわたって、瀬戸内海の将来に対するさまざまな総論的な論議が行われました。その中で、単に水質がきれいであればよいというような見方から、より豊かな瀬戸内海をつくっていこうという方向性に大方の賛同が得られています。例えば、色々な生物が棲んでいて、水産物も利用できるとか、海と人の関係が密接で海に親しめるといった方向性が出ているわけではありますが、では、豊かな瀬戸内海とは具体的にどういうことかとなりますと、それぞれの海域によっても違いますし、また、それぞれ現在でも、必ずしも共通認識が得られているわけではございません。そういうことに対して、少し問題を整理して具体化するというのが一つの任務です。その中では、当然、最近になって重要性を帯びてきました生物多様性の問題、あるいは森・川・海の一体的管理ですとか、それから、人と海のつき合い方ですとか、あるいは栄養塩を単に減らせばいいのではなくて、適正管理するといったさまざまな課題も含んで議論しなければいけません。
 それから、もう一つは、豊かな瀬戸内海がいいとして、今日もいろいろお話があると思いますが、それを実現するにはどうしたらいいかという方法論はなかなか簡単ではない。これをできるだけ具体化していきたいといったことが二つ目の課題です。
 そういうことで、この企画専門委員会では、霞が関で議論だけしていても、なかなかリアリティーに欠けるということもありまして、現地ヒアリングというのを3回計画いたしました。本日が第1回で西部海域に対応し、それから明日、実は高松で中部海域のヒアリングを行いまして、来週、大阪で東部海域の現地ヒアリングを開催する予定です。
 本日は、その第1回ということで、今日は8名の方にご意見を頂戴することにしておりますけれども、瀬戸内海といってもいろいろでございますし、それから、西部瀬戸内海─西瀬戸では、私が存じ上げているだけでも随分、国際的にも評価されるような非常に心強い活動が様々なされておりますので、そういった発表自体、私が非常に興味を持っているところでもございます。
 そういうことで、今日、できるだけ忌憚のない率直なご発言をお願いしたいと思いますし、それから、一番最後には多分、フロアの方からもご意見を頂戴できる時間があると思いますので、できれば、どうしたらいいかという提言、提案的な発言をお願いできればと思っております。
 それから、この瀬戸内海での議論がどういう役割を持っているかという中には、瀬戸内海は日本の沿岸海域、閉鎖性海域の中でも、よく環境管理の実験海域と言われたりしておりまして、一種のトップランナー的な役割を果たしたり、担わせられたりしてきたところがあります。
 例えば、大きな問題になって新しい法律ができました有明海・八代海の特別措置法は、実は瀬戸内法ができてから30年後ぐらいに制定されている訳です。瀬戸内海で試みて、うまくいったことを他の海域に広げるとか、ほかの沿岸海域に利用してもらうということは十分あることですので、ぜひ、そういったことも見通しながら議論が進めばと思っております。
 そういうことで、今日のご意見はできるだけ企画専門委員会の最後のまとめに反映させたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、本日の現地ヒアリング開催に当たり、関係自治体、それから環境省地方環境事務所の皆様の多大なるご協力をいただきました。厚く御礼申し上げます。
 以上、簡単でございますが、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  松田委員長、どうもありがとうございました。
 それでは、最初に、本日の現地ヒアリングにご出席の企画専門委員会の委員を紹介させていただきます。
 まず、NPO法人水辺に遊ぶ会理事長の足利由紀子委員でございます。

○足利委員  足利です。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  続きまして、九州大学応用力学研究所教授柳哲雄委員でございます。

○柳委員  柳です。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  柳委員には、本日の現地ヒアリングの座長をお願いしております。
 続きまして、ちょっと順番が前後してしまいましたけれども、広島大学名誉教授の松田治委員長でございます。
 続きまして、独立行政法人水産大学校理事長の鷲尾圭司委員でございます。

○鷲尾委員  鷲尾です。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  また、本日、中央環境審議会瀬戸内海部会の岡田光正部会長にもご参加をいただいております。

○岡田瀬戸内海部会長  岡田でございます。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、事務局でございますけれども、私、橋本と、同じく閉鎖性海域対策室より主査の千野でございます。

○千野閉鎖性海域対策室主査  千野でございます。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日ヒアリングをさせていただきます方を発表順にご紹介させていただきます。
 こちらに近いほうから参ります。山口県環境生活部自然保護課主幹の末吉利幸様でございます。

○山口県自然保護課末吉主幹  末吉と申します。よろしくお願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  そのお隣が愛媛県県民環境部環境局自然保護課の山中美幸様でございます。

○愛媛県自然保護課山中係長  山中でございます。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  続きまして、社団法人山口県周南清港会事務局長の磯村秋好様でございます。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  続きまして、NPO法人自然と釣りのネットワーク理事の藤本正明様でございます。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  藤本です。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  続きまして、ひびき灘漁業協同組合藍島支所理事の森本一秀様でございます。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  森本です。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  続きまして、大分県漁業協同組合豊後高田支店支店運営委員の岩本義彦様でございます。

○大分県漁業協同組合豊後高田支店岩本支店運営委員  岩本です。よろしくお願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  続きまして、北九州市立大学国際環境工学部・大学院国際環境工学研究科教授のデワンカー・バート様 でございます。

○北九州市立大学デワンカー教授  デワンカーです。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  最後になりますけれども、大分工業高等専門学校都市システム工学科准教授の高見徹様でございます。

○大分工業高等専門学校高見准教授  高見です。よろしくお願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  発表者の皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、お手元の資料のほうの確認をさせていただきます。
 お手元のほうですが、最初に次第をご用意させていただいております。それから、次第をめくっていただきまして、資料1が本日の出席者名簿、それから資料2、こちらのほうが趣旨説明及び現地ヒアリングの進め方、それから、資料3が枝番で1番から8番までございまして、本日ご発表いただきます方々の発表資料となってございます。それから、参考資料1という一枚ものでございますけれども、「瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方について」の審議状況というもの、それから、最後に参考資料2といたしまして、瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方に関する意見の募集と現地ヒアリングの開催についてという、環境省の報道発表資料をお配りしてございます。
 資料は以上でございますが、ご不足等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日のヒアリングでございますけれども、中央環境審議会の運営方針に沿いまして、公開とさせていただいております。
 また、本日の議事録についてでございますが、最後、ご確認をいただきましたものを本日の発表資料とともに環境省のウエブサイトで公開させていただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
 これ以降、写真撮影等はお控えをいただければと思います。
 それでは、この後の進行につきまして、座長の柳委員、よろしくお願いいたします。

○柳座長  座長の九州大学の柳です。よろしくお願いします。
 発表の方々には、発表をお願いしておいて何ですけれども、8名の方、予定いっぱいになっています。先ほど松田委員長からありましたように、できたら最後にフロアの方も参加してもらって、この西部から瀬戸内海の今後の環境政策に対してどういう提言ができるか議論したいと思っていますので、すみませんけれども、必ず10分で発表を終わっていただくようにお願いします。細かくは今から事務局のほうが説明しますけれども、その後、個別の質問を5分行いまして、途中で1回休憩を挟みたいと思っています。ぜひよろしくお願いします。
 それでは、事務局、説明をお願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  それでは、改めまして事務局の橋本でございます。
 資料2によりまして、今回の現地ヒアリングの趣旨のご説明とヒアリングの進め方についてご説明させていただきます。
 最初に、今回、瀬戸内海についてのヒアリングということでございますけれども、今回、対象といたします瀬戸内海でございますが、瀬戸内海環境保全特別措置法という法律に基づいて範囲が決められております。こちらのほうに示したところでございますが、一般的な瀬戸内海より少し広義の瀬戸内海ということで、こちらの会場のすぐ前にあります響灘ですとか、豊後水道、紀伊水道も含めたエリアを対象にして、今回のヒアリングは実施させていただいております。
 本日の西部海域、瀬戸内海東部、中部、西部という言い方はあまりないのかなとは思いますけれども、3カ所ということで西部という名前にさせていただいておりまして、本日は主として響灘、周防灘、伊予灘、豊後水道といったあたりの現地の方々のご意見を聞く機会とさせていただいております。
 瀬戸内海の環境保全の取り組みでございますけれども、ここに上げております特別措置法というのがございまして、こういう特定海域を対象にした法律というのは、有明海・八代海とこの瀬戸内海の二つということになっております。瀬戸内海の特徴、なぜこういう特別措置法というのが制定されておるかというところ、法律の第3条に規定をされております、下にあります瀬戸内海環境保全基本計画の説明のところに書かれておりますが、瀬戸内海というのは我が国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地であるということ、それから、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫である、この2点が法律の中でうたわれておりまして、そこから得られる恵みというものを等しく国民が享受して、後々の国民につないでいくことを目的といたしております。そのための諸施策を推進するために、法律に基づいて基本計画を策定いたしております。最初の委員長のご挨拶にもありましたように、現行の計画は平成12年に策定をいたしたものでございまして、それから10年以上が経過をしています。
 今回の中央環境審議会の諮問についてでございますけれども、その瀬戸内海環境保全基本計画を推進するに当たって、その進捗状況等を中央環境審議会瀬戸内海部会においてフォローアップという形で検討、状況の評価を行ってまいりました。平成20年6月に取りまとめを行ったところでございますけれども、その中で幾つか、今後の取り組みとしてご指摘を受けたところがございます。
 それから、昨年度になりますけれども、「今後の瀬戸内海の水環境のあり方の論点整理」というものがあります。懇談会を設置いたしまして、本日ご出席の岡田部会長に座長をお務めいただきまして5回ほど開催し、取りまとめたものです。その論点整理の中でも幾つか課題等々をご指摘いただいたところです。
 緑の枠で囲っておりますように、いろいろな取り組みを実施してきた結果、水質については一定の改善が見られるものの、一方で世界に誇るべき景観、あるいは生物による水質浄化、親水などの多様な機能を有する藻場・干潟といったものについての改善は、まだまだ不十分であるという課題、ご指摘をいただいておるところです。最近、特にテーマとして挙げられます生物多様性の低下でありますとか漁獲量の低下といったような指摘もなされて、水質改善中心の環境保全のあり方が問われているという状況です。
 加えて、先ほど申しましたように、基本計画をつくりましてから10年以上が経過をしておるということで、その間にいろいろな動きがございました。ここには海洋基本法、生物多様性基本法の制定というのを書いておりますけれども、そういった動き等も踏まえて、瀬戸内海でもこれらに対応した取り組みが必要になってきています。
 こういう背景を受けまして、昨年7月20日に中央環境審議会に諮問をさせていただいたところです。
 タイトルが今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方についてということで、大きく二つございまして、松田委員長のご挨拶にもありましたように、将来像ということで一つ、豊かな瀬戸内海というのを挙げております。豊かな海を目指しましょうということにつきましては、よく言われることでございますけれども、じゃあ、その豊かな海というのはどういう海なのかということを具体的に示したいということで、ここは、まだ途中段階でございまして、いろいろご議論はいただいておるところでございますが、きれいな海、美しい海、生産性の高い海、人々の生活を潤す海、生物多様性の高い海、健全な海ということをキーワードとして挙げております。
 ただ、瀬戸内海は広うございますので、その地域、地域で目指す姿はそれぞれ異なろうかと思いますし、ここに挙げておるような視点も、互いに、この一つ一つを突き詰めていこうとすると、相互に対立が生じるようなもの、ケースもあろうかと思います。そういったところのバランスをいかにとって、豊かな瀬戸内海というのをつくり上げるかについての考え方を示すことができればということです。
 それから、もう一つは、取り組み、環境保全・再生の在り方ということで、現在、先ほど紹介をいたしました昨年度の論点整理の中で挙げられている基本的な考え方として、(1)水質管理を基本としつつ、豊かな海へ向けた物質循環、生態系管理への転換を図るから(5)瀬戸内海の生態系構造に見合った持続可能な利用形態による総合的資源管理を進めるというところまで、五つの考え方を論点整理の中でいただきました。加えて、3月の東日本大震災を受けて、防災と環境保全の両立を進めるというものを加えまして、今、企画専門委員会の中で議論のたたきとしては、この六つの基本的考え方を挙げておるところです。これに基づきまして、どのような取り組みを進めるべきか、また、どのような点に重点的に取り組んでいくべきかというところの方向性をこれから企画専門委員会のほうでは議論をしていくことになります。
 その諮問についての検討を進めるに当たりまして、幅広く関係者の皆様のご意見をお伺いしたいということでヒアリングを行うこととなりました。広域的な関係機関のヒアリングというのを昨年12月に行いまして、今回がより現場に近い方々にお話をお伺いする機会ということで、本日を含めて3回のヒアリングということです。
 またあわせまして、2月いっぱいでございますけれども、本日、資料のほうでも参考資料2としてお配りをしておりますように、意見募集を実施しておるところです。
 この企画専門委員会の取りまとめというのは今年の夏頃に予定をしておりまして、瀬戸内海部会のほうでご審議をいただいて答申という形に持っていければと考えています。
 最後に、本日の現地ヒアリングの進め方についてです。ヒアリングにつきましては、先ほどご紹介をさせていただきました8名の方から順に、それぞれの取り組み内容ですとかご意見についてのご発表をいただきたいと思います。先ほど座長からもお話がございましたが、発表の持ち時間はお1人10分ということで、よろしくお願いいたします。恐縮でございますけれども、発表が始まりまして8分が経過をしました際に、1回ベルを鳴らしますので、ベルが鳴りましたらまとめに入っていただければと考えます。
 また、お一人お一人の発表の後で、それぞれのご発表内容についての確認、質問を委員のほうからさせていただく時間をとらせていただきたいと思います。その質疑応答を含めまして、お1人15分ということで、よろしくお願いいたします。
 また、8名の方々からご発表いただきました後、全体討議といたしまして、時間の許す範囲で、本日会場にお越しの方々からのご意見もいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。

○柳座長  どうもありがとうございました。
 それでは、時間がありませんので、早速、1番の山口県の末吉さんからご発表をお願いします。

○山口県自然保護課末吉主幹  山口県の末吉と申します。では、発表させていただきます。
 山口県中央部を流れる椹(ふし)野(の)川は、県内で4番目の流域面積を持ち、中国山地を水源とし、中流域の農地や市街地を流れ、周防灘の山口湾に流入しております。河口域から山口湾に広がる西瀬戸地域有数の広大な干潟は約350haに及び、渡り鳥たちのクロスロードやカブトガニの生息地となっており、日本の重要湿地500にも選定されております。
 山口湾は、かつて多くのエビや魚、二枚貝がとれる漁業資源豊かな海でしたが、中潟の泥質化、ヘドロの増加、カキ殻の増加、それから南潟の干潟の硬質化、有機物の減少、湾全体でのアマモ場の減少、ナルトビエイなどの侵入種の影響などにより生物生産や生物多様性が低下し、漁獲量は年々減り、特にアサリなどは全くとれなくなりました。
 この干潟を改善するために、既存の森・川・海の流域づくり構想をベースに、平成16年度に法に基づきました自然再生協議会を設立し、全体構想を策定して、生物の多様性の確保、産学官民の連携・協働、それから科学的調査に基づく順応的取り組みを三つの視点としまして、やれるところからやっていくという考え方で、いわゆる里海の再生を目指すことになったわけです。
 協議会の構成メンバーにつきましてこの表に掲げておりますが、学識者等56名で構成されております。
 具体的な取り組み方法としましては、干潟を自然的、社会的特性に応じてゾーンに分けまして、ゾーンごとに目標、取り組みを策定、それから役割分担、作業内容を設定しております。
 色分けしておりますが、豊かな泥干潟の区域というのはこの辺り(赤い★の辺り)になっておりまして、あとは豊かな砂干潟の区域とか、カブトガニの産卵保全区域というのは、ちょっと見にくいのですが、こういう端のところになっております。
 それから、ゾーンごとの取り組みとして、泥干潟、中潟はカキ殻の粉砕とか土壌の混合などによる実証試験、モニタリングなど、また、次の砂干潟、南潟は住民協働事業による耕うん作業、モニタリングなど、さらに、カブトガニは産卵場所の観察、幼生調査、最後に、アマモ場は播種による回復事業、この四つが主な取り組みになっております。
 こちらは南潟の砂干潟の航空写真です。自然再生活動はこの場所を中心に、平成17年度から干潟の代表的な二枚貝であるアサリの再生活動を主体に行っております。
 活動の主な内容としましては、人の手が入らなくなり、硬くなった干潟を柔らかくするなどの住民参加型の耕うん試験、それからナルトビエイなどの食害防止などのための被覆網の設置や竹柵の設置、さらに海藻がついた網の交換や増え過ぎたアサリの間引きなどを行い、取り組みを進めた結果、約20年ぶりに漁獲できるまでアサリが回復しました。
 これはアサリの個体数の推移です。当初は1平方メートル当たり平均1,500個ほど確認されたわけでございますが、その後、平成21年をピークに約800個になるなど、やや減少傾向が見られます。この原因としましては、下に書いてありますように、漁獲の仕方とか、被覆網の網目のサイズとか、砂の堆積等が原因と考えられております。
 これは平成23年度の状況です。先ほどのアサリの減少の原因を踏まえて、例えば、目合い─メッシュの小さな被覆網への変更とか、竹柵の設置、それからアサリの間引きを最小限とする、ちょっと控えるという形の対策を講じておりまして、昨年5月の耕うん作業におきましては210名以上の参加がありました。このとき、作業と一緒に生物観察会とか、とれたアサリを食材としてアサリ汁にして皆さんに振る舞うという試食会も行われました。
 アマモ場の再生では、ちょっと見づらいのですが、一番左の1950年代のレベルの状態に戻すということを一つの目標としておりまして、平成14年から20年までの7年間、住民協働事業により種子の採取、それから播種を行った結果、142haまで回復して以降、同水準で推移しております。
 また、毎年、カブトガニの幼生調査も実施しておりまして、最近、減少傾向にあったわけですが、平成23年度、去年の夏に調査しましたところ、特に4齢の幼生、つまり生まれて2年目ぐらいの幼生が多く見つかりまして、その結果、全体の確認数も増えております。
 さらに、干潟を環境学習の場としても積極的に活用することにしておりまして、今年度は生き物観察会など計3回を実施いたしました。特に2回目の干潟de生物観察会などは学習教材をつくるなどして、例えば、生き物ビンゴカードといった参加者の興味を引くような実験的な学習も行いました。
 情報発信などですが、これまでの取組について、情報を発信したり、あるいは関係者間で情報の共有などを進めるとともに、例えば、ニュースレターとかホームページという形で情報発信をするとともに、自然再生協議会という会議をこの2月までに通算13回開催しております。それから下に書いてありますように、平成21年には企業の協賛、事業助成金を受けて山口湾生物資源回復に関する研究会、ワークショップも行っております。
 そのワークショップでは、例えば、これまでの活動実績が非常に評価される一方、椹野川とか山口湾の取り組みを一つのモデルとして他へ波及させるという当初の目標があったわけですが、それが実際にできていないとか、市民へのメリットがないとか、アサリ以外の生物資源の回復が十分でないという指摘もあります。
 それから、専門家の方、学識経験者からは、これは瀬戸内海の環境保全の在り方にもつながることだと思いますけど、単に水質改善を進めるだけではなくて、水産資源の増大のための水産分野の研究も努力するべきであるとか、また、取り組みが始まって8年が経過しておりますので、設定目標の総括、検証が必要とか、市民に対して活動のフィードバックが必要といった指摘もなされております。
 それらの課題や対策をまとめてみますと、調査の事業費の問題、それから干潟耕うんの作業のマンパワーの問題、成果の総括、フィードバックの問題などが浮かび上がっておりまして、これら個々の課題に対して協議会関係者の意見を聞きながら、適切に対策を講じていく予定にしております。
 これまで山口湾は、人手が入っていなかった結果、だんだんと荒廃してきたわけです。しかしながら、アサリなどの身近な生物にスポットを当てて、住民参加の取り組みなどを進めた結果、少しずつ成果を上げてきました。また、これからも事業費の確保とか地道な長い活動は必要と思われますが、特に活動参加者とか、漁業関係者へのフィードバックが必要ではないかと考えておりまして、生業ができること、潮干狩りの場づくりができるようにすること、環境学習の場づくりができるようにすることなど、常に里海の再生活動を進めることで豊かな海づくりのステップになると期待しております。
 あとは、国のほうで現在、国立公園の区域の見直し、拡張計画が検討されており、現在は周防灘は瀬戸内海国立公園の一部には含まれておりませんが、今後、その拡張の候補にも挙がっておりまして、それが実現しますと、またさらにモチベーションが上がるといいますか、豊かな海づくりに向けて、かかわり方が深くなって、相乗効果をもたらすものではないかと考えております。
 以上で発表を終わらせていただきます。

○柳座長  どうもありがとうございました。
それでは、委員の方々から何か質問がありましたら。

○松田委員長  ありがとうございました。私自身、椹野川のプロジェクトの現場は4回ほど訪ねさせていただきまして、それから自然再生協議会にも2度ほど出席させていただいて、大変すばらしい実績を上げられているのを存じ上げております。今日お伺いしたいのは、これは基本的に自然再生推進法にのっとった形で進められているわけですが、その場合のいい点と、悪い点というのはないかもしれませんが、自然再生推進法を利用する場合に注意すべき点などありましたら、ご紹介いただきたいと思います。

○山口県自然保護課末吉主幹  当初は、この椹野川河口域の干潟の再生事業といいますのは、推進委員会をこしらえて、豊かな流域づくり構想という県独自の取り組みを進めてきたわけです。それが平成14、15年だったと思います。その流域づくり構想の中で干潟再生の小委員会というのをこしらえて作業を進めていたわけでございますが、その後、自然再生推進法というバックボーンができることによって、その時点で法に基づく協議会によって作業を進めるほうが、例えば、財政的な面とか、いろいろ有利になるであろうという考え方で、そちらを主体に進めております。
 あとは、構成員は学識者の方もいるわけですけど、先ほどご紹介しましたように、個人、団体、行政、それぞれが自由に意見を交換しながら、やれるところをやっていくという発想で進めておりますので、そういう面ではやりやすい協議会になっているのではないかと思います。

○松田委員長  ありがとうございました。

○柳座長  他にございますか。

○足利委員  ありがとうございました。私も見学に行かせていただいたことがあるのですけれども、この自然再生協議会さんが非常に多様なメンバーで構成されて、しかも、長い実績をつくられていらっしゃるのですけれども、非常に多様なメンバーの方が構成員に入られて、うまくやっていらっしゃっているコツというのはどんなところなのでしょうか。

○山口県自然保護課末吉主幹  まず一つは、もともと昔は潮干狩りができたとか、水辺で遊べたとかいうような思いを持っておられる方がたくさんいらっしゃるということで、そういう共通の一つの思いを持って、あるいは志を持って集まられた方が作業されるという点がありまして、漁業関係の方もおられる、それから、森・川・海ですから、森林組合の方とかもいらっしゃいます。皆さん、利害の対立がないと言ったら変ですが、それぞれ共通して、いい方向の考え方でそろわれていらっしゃって、それで作業が前に進んでいるのではないかと考えております。

○足利委員  そうすると、その中心になって引っ張っていらっしゃったのは、大体どのあたりの方なのでしょうか。

○山口県自然保護課末吉主幹  自然再生協議会ができて、この干潟作業などは平成19年度までは行政が主導で事業として行っていました。平成20年度からは、水産部局の事業はありますが、環境部局のほうは、事業は無くなりました。しかし、技術支援というか、アドバイス的なことは引き続きやっておりますから、基本的には行政機関が調整をしながらやってきたというのが実情です。

○足利委員  ありがとうございました。

○柳座長  ありがとうございました。それでは、時間になりましたので、すみませんけれども、次に移ります。次に、愛媛県の山中さんからお願いします。

○愛媛県自然保護課山中係長  愛媛県自然保護課の山中と申します。よろしくお願いいたします。
 私どもは、生物多様性えひめ戦略というのを策定しておりまして、海域の内容をかいつまんだ形でご説明させていただきたいと思います。
 愛媛県の生物多様性の保全に関する取り組みといたしましては、平成8年に愛媛県環境基本条例を施行しまして、平成15年にレッドデータブックを策定、平成20年には愛媛県野生動植物の多様性の保全に関する条例を制定するなど、各種いろいろな施策を行ってきたわけですけれども、平成23年12月末、ほんの1カ月前でございますけれども、ようやく生物多様性えひめ戦略を策定することができました。
 生物多様性えひめ戦略は、埋立地の増加や護岸工事による海岸形態の変化、地球温暖化などによって豊かな愛媛の生物、自然環境が損なわれている、愛媛県の特性を踏まえた生物多様性保全のための総合的・横断的な対策が必要であるということ、国でも生物多様性基本法を制定し、生物多様性国家戦略2010の策定やCOP10の開催など、国内外の動向が生物多様性に向けられたということで、生物多様性えひめ戦略を策定することとなりました。
 そして、えひめの生物多様性保全推進委員会を立ち上げまして、平成22年度から策定作業に入ったわけです。生物多様性保全推進庁内ワーキンググループなども立ち上げ、自然保護課だけではなく、各分野の所属のメンバーで検討をいたしました。
 それと、行政だけではなく、生物多様性セミナーを平成22年度には3回開催し、NPO等に対するアンケート、平成23年度には生物多様性えひめ生き物ミーティングというワークショップの開催、そしてパブリックコメントを実施し、策定に進んでいったわけです。これはワークショップのときの映像です。
 生物多様性えひめ戦略の特徴といたしましては、愛媛県にはまだまだ身近に豊かな自然に触れ合うことができる環境がありますけれども、生物の多様性は急速に失われつつあります。そして、生物多様性の恩恵を享受しながら暮らしていることに多くの県民の方が気づいていないという実態があります。希少な動植物の保護のみを中心にするのではなくて、日々の暮らしの中に内包された多様な生きものとのつながり─戦略の中では「内なる生物多様性」と表しておりますけれども─の保全に焦点を当てることにより、県民総ぐるみで生物多様性の保全に取り組むということを特徴としております。
 この内なる生物多様性と申しますのは、愛媛大学農学部の日鷹准教授の提唱による言葉です。
 愛媛県の生物多様性の現状と課題です。本県は瀬戸内海、宇和海に面しており、大小200余りの島々を初め、西日本最高峰の石鎚山や雄大な四国カルスト、河川や数多くのため池、干潟など、地形的にも多様であることから、さまざまな動植物が生息・生育しております。特にハクセンシオマネキなど多くの水生生物が生息し、シギ・チドリ類の渡り鳥の渡来地となっている加茂川河口の干潟の生態系、エンタクミドリイシなどサンゴ群集の生態系など、いろいろなタイプの自然環境や風景、多様な生態系を構成しております。
 しかしながら、近年、埋立地や宅地が増加する一方で、自然海岸、田畑、山林等が減少し、野生動植物だけでなく、それらの生息・生育地の破壊や分断により種の生存に大きな影響が出ております。また、里地・里山地域の衰退による耕作放棄地や放置林の増加、護岸工事や埋め立て、里海地域の衰退などにより、野生動植物の生息・生育環境が悪化しており、希少な在来種の絶滅が危惧されております。
 平成15年に作成しましたレッドデータブックによりますと、海産動物では絶滅8種、絶滅危惧T類15種、絶滅危惧U類10種、準絶滅危惧種15種といった結果でございまして、河川改修や干潟の減少や汚染による影響などが挙げられております。過去には普通に見られた種の減少は、生息環境の大きな変化を示唆しているところです。
 さらには、県民生活における生物多様性の認識不足は、社会経済活動における生物多様性への配慮不足なども大きな課題となっております。愛媛県で県民世論調査を行ったところ、平成21年度に生物多様性という言葉を知っている人は12%ということで、大変少ない数値となっております。
 そこで、本戦略における目指すべき将来像といたしまして、山、川、海、里地、里山、里海など多様な自然環境のもと、魅力と活力に満ちた農林水産業や物づくりが営まれている本県の地域特性を踏まえ、将来にわたって生物多様性の恵みを享受し、人と自然が共存し、豊かな自然と文化が守りはぐくまれる、100年先も人を含め生きものみんながやさしい愛顔でいられる社会の実現を目指すとしております。
 「愛顔」(えがお)となっておりますけれども、これは中村知事の基本理念「愛のくに 愛顔あふれる愛媛県」ということで、「愛顔」と表しております。
 また、将来像を実現するための目標といたしまして、一つ目に、多様な生き物を守り、生息・生育地の生態系を保全・再生し管理していくことを目指す「生物多様性の保全と管理」、二つ目に、社会経済的な仕組みを考慮した生物多様性の恵みの持続可能な利用を目指す「生物多様性の恵みの持続可能な利用」、三つ目に、生物多様性保全のため、多種多様な人々が連携・協働し、それぞれの役割を果たすことを目指す「多様な人々の連携・協働」の三つの目標を定めております。
 海域に関します具体的行動計画といたしましては、水質浄化や多様な生きものの生息・生育の場である里海(干潟、藻場)の保全・再生と多面的機能の発揮、森・川・海を一体的にとらえ、森林の保全が将来の漁場環境の保全につながることから、漁民の森づくりなどの活動、生物多様性保全をより重視した資源管理を基本とする漁船漁業と環境への負荷が少なく効率的な養殖生産を進めるとともに、沿岸域の水質や底質等の漁場環境モニタリング、廃棄物の除去、藻場づくりを進め、生物多様性保全をより重視した豊かな漁場づくりに努め、地域の多様な生きものをはぐくみながら生産した水産物であることを伝える「生きものマーク」などの生きものブランド化などを推進してまいりたいと考えております。
 今後5年間の具体的重点施策として、本県の実情を踏まえ、行動計画の中から重要かつ緊急性の高いものを今後5年間で実施する具体的な重点プロジェクトとして位置づけており、これらは5年を目途に見直すこととしております。
 第1が、えひめの生物多様性パワーアッププロジェクトです。これの目標値には絶滅のおそれのある野生生物の割合や藻場の造成面積などを入れております。
 二つ目に、えひめの生物多様性認識度3割アッププロジェクトということで、二つのプロジェクトを立ち上げております。
 本県の戦略は、県民の日々の暮らしに密着した身近な生物とのかかわりと生物多様性の重要性に県民自らが気づくためのワークショップや住民座談会などを開催して、内なる生物多様性を発掘・発見し、それらの生物多様性資源を後世に守り伝え、発展させていくために、県民自らがグループでできることを生物多様性カードとして取りまとめ、インターネットや博物館等の教育施設、地域外の人々が多数集まる道の駅などを通して情報発信することとしております。
 参考までに、長浜まちなみ水族館、これは平成16年度に愛媛県で開催されましたえひめ町並博2004の継承事業として、南予・旅コレクションカードとして策定したものを例示しております。長浜高校の水族館部の生徒さんたちが毎月第3土曜日に校内の水族館を公開し、愛媛の生きもの、生物多様性について見学者にいろいろ教えていただけます。このような地域に密着した活動を生物多様性カードとして作成し、情報発信してまいりたいと思います。
 最後になりましたが、地域の特色ある文化は、生物多様性の上に成り立っております。特色ある文化を持つ地域は魅力があり、住民が誇りを持つこととなります。地域の活性化・再生のためにも、このような身近な生物多様性の保全につながる小さな取り組みを支援してまいりたいと、愛媛県の場合、考えております。
 そこで、瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方ということで論点が示されていたと思うのですけれども、里海創生に関する市民、漁業者、企業、行政等の連携とそれぞれの取り組みを実行しやすくするための仕掛けの検討、取り組みを推進させる方策として必要な事項は何かということで、地域の参加・協働の促進、環境教育・環境学習の充実、情報提供、広報の充実、このようなものが挙げられていると思います。今まで環境保全活動に無関心であった人々にどのように関心を持たせて、このような活動に参加してもらうことができるかというところが大変重要であるかと思っておりまして、愛媛県の場合は、こういうワークショップや座談会を通して環境保全に興味のなかった方々に目を向けていただこうという取り組みをしたいと考えております。  国におかれましても、このような環境に興味のない人たちの目をどのように向けるかというところを重点的にやっていただけるとありがたいと思っております。
 以上です。

○柳座長  どうもありがとうございました。質問がありましたら。

○松田委員長  大変先進的な、それから他の自治体の模範、モデルになり得るような戦略をご紹介いただき、ありがとうございました。
 この企画専門委員会は施策をいかに具体化するかということが主眼になるので、ちょっと立ち入った質問をさせていただきます。今の戦略で、普及啓発とか認識とかについてはどういうふうに向上していくか、非常に具体的なプランがあって、後々モニターできて、数量的にも評価できると思います。一方、愛媛の海に実際どういう生物が棲んでいて、今どのぐらい生物多様性があって、それが今後、例えば、5年先、10年先にどういうふうに変わるかについて、データベースを作るとかモニタリングの計画とか、あるいは海の生物多様性について、水産物の漁獲統計は出てくると思いますが、どうやって評価するかみたいな議論は既にあるのでしょうか。

○愛媛県自然保護課山中係長  海域といいますよりも、レッドデータブックを平成15年に作成しておりまして、作成しましてから約10年が経過しようとしております。そして、今年度、動植物目録の調査をしております。そして、来年と再来年かけてレッドデータブックの改訂を行うことになっております。  海域につきましては、水産庁のほうの関係もありまして、沿岸域に生息しているものであるとか、スナメリとかに関しては調査の対象としているのですけれども、全体的な水産に関するもの(海産魚類)までの調査はしておりませんので、広くデータが拾えてはいません。平成15年に策定してから10年間、何も調査をしていない状況でございますので、このままでは環境指標に反映することができません。今後、次の改訂をどのようなスパンでするのかというところは、今のレッドデータブック改訂の委員会のほうで検討中です。それにつきましては、また2年後ぐらいに結果が出ようかと思っております。

○松田委員長  ありがとうございます。
 すると、海のほうも基本的に、主に調べていくのはレッドデータブックの種類がどうなるかみたいなことですか。

○愛媛県自然保護課山中係長  そうです。

○松田委員長  ありがとうございました。

○柳座長  それでは、時間になりました。どうもありがとうございました。
 次に、山口県周南清港会の磯村さん、お願いします。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  山口県周南清港会の磯村と申します。よろしくお願いします。
 山口県周南清港会の活動をご紹介します。当会は、港湾区域の海面清掃を行っています。清掃事業区域は、徳山・下松港の地先水面で、漂流物、汚物等に関する海面清掃事業を行っています。
 下の写真1をごらんください。この区域は、周南市、下松市、光市の3市にまたがり、白線内の港湾面積は1万4,589haです。白線の右から左まで陸続きで約30kmあります。この海域の清掃活動を行っています。
 写真の黄色の丸印が清掃船の拠点港です。面積が広いので、1隻では到底間に合わないことが多々あります。ただ、最近では台風がほとんど来ない状態で、清掃船での海面作業は年に数回程度です。清掃船で作業しないときは、陸上から港湾内のごみを収集しています。毎週1回、周南市、下松市、光市を2名で回収しています。
 まず海面ですけれども、海面清掃は、写真2をごらんください。清掃船で浮いているごみを回収、そして運搬しています。空き缶や空き瓶、あるいは発泡スチロール、ビニール袋など、いろいろなごみが雨のときに山から川、そして海に流れ、潮の流れや風によって1カ所にほぼ集まってきます。時には大きな木が流されてきますけれども、人の力で木を船に揚げることができない場合は、その木にロープを巻いて、引っ張って港まで持って帰って、それからクレーンで陸揚げしています。
 海底清掃については2年前ぐらいからやり出したのですけれども、調査したところ、透明度が悪く、ヘドロもかなり堆積しています。船の航行に支障を来すタイヤ、あるいは自転車、空き缶などが大量に湾内に沈んでいます。写真3がタイヤです。写真4が自転車です。
 船のスクリューで、水流によっては海底から、こういった海底に沈んでいるタイヤ、あるいは自転車が舞い上がることがあります。その舞い上がったときにスクリューを傷めることがありますので、毎年、ダイバーによる海底清掃作業を実施しています。
 また、ダイバーによると、最近では藻場も数カ所あり、メバルやクロダイも生育しているみたいです。昔は港内が水銀で汚染され、漁師がとったものをすべて処分していた時期もあります。
 次に陸上については、陸上では港内にごみ収集場所がありますが、ごみ収集場所のごみが、動物、例えば、犬や猫、あるいはカラスに荒らされ、風の強いときは飛び散っています。写真5を見ていただければおわかりになると思いますけれども、これは風でフェンスのところにビニール袋などが飛んできているところです。このようにフェンスがあればいいのですけれども、フェンスのないところでは、すべて海面に落ちてきます。こういったものが海面に落ちてきて、中には沈んでいるものもあります。
 また、住民による不法投棄で、家電製品とか寝具、縫い針、あるいは注射器─注射器というのは糖尿病の方の注射器などが捨てられているときもあります。局所的に公衆衛生上、残念な状態が続いています。写真6のような状態です。清掃活動を行っているものの、状況は一向によくなりません。
 また、各地でクラゲの大量発生が起こっていますが、この徳山・下松港も毎年のように大量発生しています。場所は、いわゆる潮だまりのようです。工場からの温排水が大きな要因と思います。それと、港を大規模に埋め立てたために潮の流れが悪くなったり、変わったのではないかと思います。
 もとに戻りまして、写真1を見ていただいたらおわかりになると思うのですけれども、黄色の丸印の下のほうに埋め立てされた写真があります。湾をほとんど半分に割っているような状態で、こうなるともう潮の流れもかなり変わっていると思います。クラゲの発生が多いのは、丸印の右側の海岸近くです。そちらのほうで毎年、クラゲが大量発生しています。
 また、釣り人によると、今まで釣れたことのない色鮮やかな魚が釣れたことがあるとも言っていました。
 次は、ごみの回収量の年度別と月別の推移のグラフです。
 年度別データでは、5年間の平均は約71トン、平成18年度が最も多く93.7トン、それから平成22年度が最も少なく51.6トンでした。傾向としては、毎年、ごみの量は少しずつ減っているようです。これは、山や川がきれいになり、ごみの量が減っているのと、大雨・台風がこちらのほうにあまり来なくなったという原因もあると思います。
 月別で見ますと、月平均は約6トン、傾向としましては、梅雨から夏にかけてごみが多くなり、そして12月と3月が少し多くなっています。12月は年末の大掃除のごみ、3月は転勤による引っ越し後のごみが不法投棄されたものと思っています。また、不法投棄には、店の倒産などで廃棄処分されたものもあります。
 以上のように、港湾内のごみの収集活動を当清港会は行っています。
 それから、将来像、再生の在り方ですけれども、ちょっとはっきりは言えないのですが、産業界の努力としまして、公害防止対策の整備、水質はもちろんのこと、水温など、考えられることは実施していくべきだろうと思います。
 そして、私たち一人一人の努力、これはマナーを守ることが重要だと思います。このマナーを守るという当会の取り組みとしましては、山口県釣り団体協議会と共催で、「海をきれいに」をスローガンに、幼稚園児や小中高生、大学生による清掃活動とあわせて、稚魚の放流を年2回実施しています。特に幼稚園児については、小さいときから海に親しみを持ってもらうためです。幼いときから海を大切にする気持ちを持ってもらいたいということで実施しています。そして、自然の治癒力を借り、時間を薬に、これから将来に向かって環境保全活動を続けていくことで、海の環境がよくなってほしいと願っています。以上です。

○柳座長  どうもありがとうございました。質問、コメントありましたら。

○足利委員  ありがとうございました。
 海のごみの問題、今、非常に大きな問題になっているのですけれども、この海洋清掃の事業は、予算をどのようなところからとられているか教えてください。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  予算は、県と3市からの負担金で賄っています。

○足利委員  それは、受託するような形ですか。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  そうです。一つは受託金と、それから負担金です。

○足利委員  ありがとうございました。

○柳座長  いいですか。ほかにありますか。
 最後、水温も産業界が努力しなければいけないと言われていましたが、温排水にクラゲが集まるという意味ですか。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  はい。クラゲの発生する近くに温排水が流れる川があるのです。昔は多分、その川の水は海流でうまいぐあいに流れていたのだろうと思うのですけれども、湾内の埋め立てによって海流の流れがかなり変わってきたと。それで、潮だまりになっているところで発生しています。

○柳座長  潮が停滞して、クラゲが出ている。しかし、水温を下げるというのは今までどこもやったことないと思うのですけど。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  はい。水温を下げるというのは、例えば、温排水であれば、陸上のほうにちょっと池をつくって、で、自然の温度にある程度下げて、それから排出するという方法もあるのではないかと思うのです。

○柳座長  どういう工場かわかっていますか。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  わかっています。

○柳座長  直接言われましたか。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  私がおるときではなかったので、それについては言っていません。ただし、平成24年に入ってまた同じことを言ってくれば、それは一言言おうと思います。

○柳座長  そうですか。ぜひ試してみてください。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  はい、試してみたいと思います。

○柳座長  ほかにございますか。フロアのほうから何か。時間があるので、もしありましたら受けますけど。岡田さん。

○岡田瀬戸内海部会長  海の表面、それから特に海底のごみも含めて集めるのは本当にご苦労だと思うのですが、この集めたごみの処理・処分というのは、産廃になるなり、あと市のところへ持っていくとか、どういう仕組みでされていますか。ただ、産廃で持っていったらものすごくお金がかかりますよね。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  今現在は処理業者に任せています。それ以外には、うちのほうではどうしようもできないので。例えば、港のほうに置いておくわけにもいかないし、置いておいたらまた不法投棄が多くなりますので、仕方ないので、業者に処分についてはお任せしています。

○岡田瀬戸内海部会長  完全に有料で。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  完全に有料です。

○岡田瀬戸内海部会長  わかりました。

○柳座長  ちょっといいですか。今の件は、例えば、岡山とかなら、漁民が底引きでごみを集めてきたら、処理費は市なり県が出して賄っています。ここは基本的に県と市の予算による社団法人になっていると思うのですけど、県としては全然協力しないのですか。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  県のほうに言っても予算が減るばっかりで…。そういったことをあまりやってくれないのかもわかりませんけれども、負担金あるいは受託金の中に、全部含まれていると思うのですよ。それで、当会としましても予算は全然ないのですけれども、業者のほうに泣いていただいてやってもらっています。

○柳座長  どうもありがとうございました。
 それでは、次に、前半の最後ですけれども、自然と釣りのネットワークの藤本さんからお願いします。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  失礼します。ニホンアワサンゴの調査・保護及び海域保全活動についてお話ししたいと思います。  この中で、この3点についても触れてお話ししたいと思います。
 ニホンアワサンゴはこのようなとってもきれいなサンゴです。沖縄に生息するサンゴと同じ仲間で、ポリプとか触手が大きいので、ちょっと沖縄のサンゴと違うように見られがちですが、同じ種類です。日本では、このようなところに生息しております。どちらかというと温帯域に生息するサンゴです。
 瀬戸内海では、周防大島と愛媛県の伊方に生息すると言われています。周防大島の地家室というところが日本一の広さを持っているということで、今注目をされています。ここが周防大島なのですが、地家室はここに当たります。
 日本一の群生地のお話をしますと、ここにある磯の北側と南側に分布しています。
 北側は、ここが海面に出ている部分で、3mから15mに生息しています。密集しているのが6mから9mのところです。19年前に生息を確認されていましたが、海藻のように思われていました。広さは当時の2倍以上になっています。ニホンアワサンゴとわかったのは10年前です。ここの水温が9度から27度、東京の館山のほうで研究されていたのが13度から27度ということで、ちょっと水温は低いのですけど、適正温度で生息できるのではないかと思っています。広さは1,000m2あります。50mプール一つ分ですか。これは東アジアの固有種なので、ひょっとしたら世界最大規模かもしれません。
 それでは、調査・研究・保護などの活動の経緯についてお話ししたいと思います。
 今から3年前に、日本一ではないかということで、海底の広さを測ってみました。そのときには30m×20mという結果が出ました。それから、NPOによる調査・保護を開始しました。
 ニホンアワサンゴについては研究がほとんどされていないのですが、9月に幼生を保有する、産卵をしているのも確認できました。それから、それを放出している。また、毎年10月には一部死滅をします。まだ原因についてはわかっていません。それから、夜には光合成をしませんから、触手を骨格の中へしまい込んでいるというので、こういう写真を撮ることができました。それから、放出された幼生が11月には海底に着生するということもわかりました。
 組成サイズを測ってみたのですが、長径、一番長いところでこのような結果が出ました。大体、データ区間というところがあって、これが7cmということなのですが、7cmぐらいが90%で、ここの2cmぐらいの大きさのところが、かなり少ないです。私たちは年間5mmぐらい成長していくんではないかと推測していますので、これは4年ぐらいたったものでしょうかね。そうすると、このときに何か海域に変化が起きたのではないかということが推測されます。まだ推測の段階です。
 それから、黒潮生物研究所のサンゴの専門家に、世界最大規模ではないかと言ってもらいました。
 サンゴについて、先ほどお話ししたような色々なことがこのように新聞とかテレビに出まして、地元がちょっとなおざりになっていたので、これは地元に説明しなければいけないということで、地元の説明会も実施して、今色々なことをしているのですが、地元の協力が得られて、これが功を奏したなと思っています。
 地元のなぎさ水族館で飼育を始めたことで、わからなかった生態がかなり解明されてきました。それから、先ほどの黒潮生物研究所が1年間、水温計を設置してくれたのですが、このように、ここの海域は穏やかに水温が変化しているという結果も得られました。
 それから、昨年、第1回の清掃作業をしたのですが、ここはイワシの漁場で、なかなか海底に潜ってできないということで、この年は陸上の作業だけしました。4団体、10人弱でやりました。
 それから、先ほどお話ししましたが、水族館で飼育してもらうということで、着生した幼生に骨格ができて、そしてポリプが一つ出ているということも研究機関との協力でわかりました。2カ月後には骨格が大きくなって、ポリプもだんだん増えているということもわかりました。
 昨年ですか、平成23年度、今年度ですけど、中学校の副読本に出て、環境学習にも使われるようになりました。
 5月には、低水温による白化を確認しました。昨年、海水温がなかなか上がらなくて、こういうことが起きました。
 それから、後でお話ししますが、海域公園に指定されるという動きが今あるので、アワサンゴ協議会というのを立ち上げます。今、日本で海域公園に指定されているところが90カ所ぐらいあるのですが、ほとんどが活用されていないということなので、これではいけないということで、保護活動とか地域振興に役立てていこうということで今、町と県と地元で設立する準備を行っていて、今年の6月ごろに協議会ができる予定になっています。
 それから、2回目の群生地の清掃を昨年行いました。先ほどの4団体ではなくて、だんだん皆さんに関心を持っていただいて、これだけの団体、約50名で海底も作業することができました。
 昨年11月には新群生地も発見しました。大きい群生地の10km沖合の小水無瀬島というところで発見できたということで、ここの伊予灘にはかなりまだ群生している可能性もあります。
 先ほどお話ししましたが、瀬戸内海国立公園海域公園に来年度には指定されるのではないかなと思っていますというか、今、環境省のほうで進めていただいています。
 ここは生物多様な海域じゃないかと私たちは考えています。ニホンアワサンゴ、それからカワリギンチャク、ウミイチゴ、こういう生物は、ほかの日本の海域では水深が深いところにしか生息していないのですが、ここの海域では浅いところに生息しています。何かそういう環境の違いがあるのではないかなと思っています。
 それから、今失われている瀬戸内海の原風景であるクロメがたくさん、この海域には群生しています。また大きな刺胞動物が群生しています。瀬戸内海一帯的に言えるのが、昔から生産性が高く、ここにあるようなことなのですが、複雑な地形で、流れとか風向きがいろいろ変わるので、海藻がやはり繁茂しやすいということが言われています。この海域は、黒潮が佐田岬のところから豊後水道を通って入ってきます。それが流れ込んでいるので、暖かくて栄養が豊富で、そして流れが早いので、泥が堆積しにくくて、生物多様な海域ではないかと思われます。
 でも、環境の変化で、最近、温暖化による磯焼け、水温上昇によってアイゴという暖かいところの魚がこの近海でも見られて、幼魚が海藻を食べるのですが、これが磯焼けの原因ではないかと私たちはとらえています。そのほかあるのだと思いますけど、それとか、陸上とか、山の乱開発によって磯荒れし、泥とかが海底に積もっています。
 海域公園という話をしても、地域の人は、それが何になるのとか言われますので、今、このような活動に取り組んでいます。最終的にはエコツーリズムを目指してやっていきたいなと思っています。
 エコツーリズム推進法というのが2009年に出されて、自然環境保全に配慮しながら、それらを体験し学ぶことで環境保全や地域振興に貢献すると。まさしくこれは今からの周防大島、この辺の海域にとって、ぴったりではないかなと思っています。
 周防大島、ここの道の駅には広島のほうからたくさん人が訪れますが、緑色の線のところは、ほとんど人が来られないので、ニホンアワサンゴが群生するところにビジターセンター等をつくって、地域の歴史とか文化、自然、こんなものを活用したエコツーリズムを構築していったらいいのではないかと思っています。ここの先のほうにアワサンゴが生息しているのですが、ここの旧地蔵小学校の跡地、ここがビジターセンターにいいのではないかなと思います。ここで海域紹介とかできたら皆さんが訪れられるのではないか、ここをエコツーリズムの拠点にしたらいいのではないかなと思います。
 昨年は高齢者や中高校生のシュノーケリングをして、子供たちとか高齢者の方にすばらしい成果が上がりました。ここをそういう体験プログラムの基地にしたり、あるいは瀬戸内海のモニタリングの場所にして、変わりゆく瀬戸内海を継続観察していく必要があるのではないかと思います。
 それから、地蔵小学校の上のほうは昔は耕地だったのですが、荒れています。この辺もあわせて里山再生事業をしていきたいと思っています。
 目指す将来像としては、今から二、三十年前の生産性の高い、そして風光明媚な瀬戸内海です。今でも瀬戸内海の四季折々の変化には外国の人たちも関心を寄せておりますので、こういうのが瀬戸内海の目指す将来像ではないかなと考えております。
 それから、保全の在り方としては、里山の整備、スムーズな物質循環、30年前の山と海との関係、それからエコツーリズム、この辺がいいのではないかなと思っています。
 すみません、早口になりましたが、以上で終わりたいと思います。

○柳座長  どうもありがとうございました。
 質問、コメントありましたら。なぎさ水族館というのはどこにあるのですか。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  大島の愛媛寄りにあります。

○柳座長  東和町というか。今、名前変わりましたよね。

○藤本理事  そうです。ご存じですね。はい、そこにあります。

○柳座長  それから、アイゴは漁獲されたらいいのではないかと思うのですけど、しないのですか。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  大島はつかまえないのですよ。アイゴを食用にしている地域もあるので、そんなのも紹介していったらいいのではないかなと考えています。

○柳座長  そうですね。自然と釣りのネットワークというNPOとサンゴ、直接関係ないように思うのですが、なぜやられているのですか。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  私がそこの理事をしていまして、自然と釣りのネットワークというのは自然の保全も目的にしていますから、一緒になってやることになりました。

○鷲尾委員  どうも、楽しい話でありがとうございます。
 このアワサンゴの場合、おそらく川水があまり入ってこないところがいいのではないかと思いますので、水温の調査はありましたけれども、ぜひ塩分もお調べいただきたいということと、人が入りますと真水を持ち込みますので、そういうことによって逆にダメージを与えないような工夫は必要だと思います。人が入ると水を使いますから。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  ああ、ここでですね。

○鷲尾委員  はい。施設の排水方法は十分お気をつけてやられたほうがいいのではないかと思うのですね。

○藤本理事  そうですね。その辺も相談しながらですね。ないほうがいいならつくらないほうがいいし。

○鷲尾委員  あるいは、その海域に出ないような工夫をしておくというのが一つあるかもしれないですね。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  そうですね。ありがとうございます。

○鷲尾委員  ありがとうございます。

○柳座長  それでは、どうもありがとうございました。
 皆さんのご協力で、一応予定どおり来ていますので、今から10分休憩をとりまして、後半の皆さんのご紹介を3時5分から始めたいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

(休憩)

○柳座長  時間になりましたので、後半を始めたいと思います。
 後半のトップバッターは、ひびき灘漁協藍島支所の森本さん、お願いします。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  皆さんこんにちは。ひびき灘漁協の森本です。
 今回、藻場保全活動ということで環境省さん主催だそうです。私は漁師ですので、農林水産省かなと思ったのですが、この活動の取り組みについて発表したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、あまり関係ないでしょうが、島の概要について簡単に説明したいと思います。
 位置は、北九州市の沖4.2km、長さ2km、幅500mということで、人口が約300名です。ここでは123世帯になっておりますが、今現在100世帯、300名ほどが住んでおります。漁業の島です。
 藍島で営まれている漁業は、素潜り、潜水器、刺し網、延べ縄等小型定置、いろいろ多様で、漁獲物につきましてはアワビ、サザエ、ウニ、ナマコ等、クルマエビ、ワタリガニ、挙げれば切りがありませんが、多くの魚介類が水揚げされております。
 平成元年をピークに減少が続いております。とる漁業から、つくり育てる漁業、そしてそれを管理する漁業ということで、資源保護に取り組んでおります。
 今、放流事業ということで、アワビ10万個、ウニ8万個、クルマエビ15万匹、そしてガザミを8万個など、放流をしております。アワビとクルマエビにつきましては、陸上での中間育成をした後に海に放流をしております。
 それと、漁期の制限もしております。アワビについては、夏季、冬季と分けまして、月の制限と時間の制限も行っております。
 藻場保全部会の概要について説明したいと思います。
 藻場保全部会は平成22年の6月に、構成員75名─漁業者72名、その他3名で発足をいたしました。
 この活動のきっかけにつきましては、近年、ウニ類であるガンガゼ、ムラサキウニ等が増えまして、藻場が減少しているということで、特にガンガゼにつきましては7、8年前から見られるようになり、藻場減少の一因になっていると思われます。藍島漁協の藻場は西日本でも有数の藻場だと言われていて、まだ磯枯れは進んでおりませんが、藻場の減少が見られるところがあり、予防のためにも駆除が必要だと考えて藻場保全部会を結成することにいたしました。
 活動内容といたしましては、モニタリング計画づくり、そして保全活動ということで、年間スケジュールを組みました。
 活動区域といたしましては、島の北側24haを活動面積としております。
 活動の成果です。私どもの藻場の周辺は、ヒジキ、ツルアラメなどがたくさん生えております。そして、活動の様子です。素潜り、そして潜水器を入れまして活動をしております。平成22年度が7月、8月の2回、今年平成23年度につきましては3回実施をいたしました。
 そして、駆除数ですが、これはムラサキウニと言われるクロウニです。これは数えきれないほど駆除をいたしました。そして、ガンガゼにつきましては、平成22年度、1回目2,598ということで、駆除をするたびに減ってきております。
 そして、対象区と除去区ということで、2カ所設定いたしました。ガンガゼの対象区につきましては駆除していないということで、ガンガゼ、クロウニ等については減少しておりませんが、除去区につきましては、ガンガゼ類は駆除したということで、3回目以降、減少しております。ガンガゼは大分減ってきたのですが、クロウニについては今後も除去が必要だと考えております。
 豊かな海とはということで、漁師にとっては魚がたくさんとれる海が豊かな海だと思います。私たち漁師ができることといえば、藻場の保全、それから漁業資源の保全ということです。しかし、漁師では対応できないことがあって、今言われておりますように地球の温暖化に伴って水温が上昇しており、その影響でしょうが、南方性の魚類が出てきました。ガンガゼ類は見られなかったのですが、この7、8年、ほんとうに急激に増えております。それに伴って赤潮が発生しております。
 私ども、補助も受けながら、お金をたくさんかけて放流事業をやっておるのですが、1年、アワビを陸上で飼って、海に放流をします。とるまでに3年から4年かかります。その間に赤潮が発生しますと全滅いたします。ここ最近、頻繁とは言いませんが、赤潮が発生をしております。これは、漁業者ではどうすることもできないのですよね。一生懸命放流をしても赤潮で一発でやられてしまうということで、ほんとうに苦労しております。
 このまま、赤潮とか魚価が下がってくれば、漁師は壊滅するのではないか、漁業というのがなくなるのではないかと心配をしております。私のところは後継者が少しずつ帰ってきておりますが、これから先の漁を見れば、後継者が本当にこのまま漁師としてやっていけるのだろうかと心配をしております。行政と漁業者と一緒になって沿岸漁業を守っていただかないと、本当に日本の沿岸漁業から漁業者はいなくなるんじゃないかと思います。
 今日の会議の中で、私の話がためになるのかどうかわかりませんが、一生懸命頑張っているということで、ご協力をお願いしたいと思っております。
 以上です。

○柳座長  ありがとうございました。
 質問、コメントありましたら。岡田さん。

○岡田瀬戸内海部会長  大変な状況になりつつあるということがわかりました。ありがとうございました。
 今、藍島で漁業の状況が変わってきた理由は、今お話を伺う限りは、温暖化の影響というか、海水温の上昇はある、ガンガゼが増えたと。それ以外の要因として何か考えられることはありますか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  さっき言ったように、温度の上昇によって、やっぱり南方性の魚、イシズミ、アイゴとかが増えましたし、ガンガゼなど、今までいなかったものが増えたということ、それが一番大きな原因だと思いますね。
 それと、やはり環境の変化です。北九州には港湾がたくさんありますし、埋め立て等がありますし、干潟が減ったのではないかとも考えております。

○岡田瀬戸内海部会長  最初に、平成元年のころが漁獲量のピークだとおっしゃいましたよね。ですから、今から20年くらい前がピークであると。ほかの瀬戸内海に比べれば若干遅いのですけどね。平成元年にピークがあって、それからだんだん落ちてきたころというのは、ガンガゼがいたころとは少し違うのか、一緒のころなのか、教えていただけますか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  そのころはガンガゼはほとんど目にしたことがなかったですね。漁師がこのウニ、おかしいね、何なの、これ長いよとかいうような感じで、ちらほら見たかもしれませんが、本当に増えたなというのは、10年ぐらい前じゃないかと思います。

○岡田瀬戸内海部会長  しつこいようだけど、そうすると、平成元年ころから漁獲量が減り始めた原因というのはおわかりですか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  乱獲等もあったとは思います。それで、制限をしたり、放流事業をしたりということで維持をしてきたのですが、それもあるかなとは思いますけれども。

○岡田瀬戸内海部会長  ありがとうございました。

○松田委員長  どうもありがとうございます。今のお話では、ムラサキウニは駆除の対象というお話だったのですが、これを水産物として利用するということは藍島ではないのですか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  過去は瓶詰めにするために業者さんがキロ5,000円とか6,000円とかで買っていただいたのですけど、最近、ウニをだれも食べなくなったのか、業者さんがバフンウニは欲しいけれども、ムラサキウニは要らないと言うのですよね。

○松田委員長  それで増えたということもあるのですか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  そうなのですよ。とれれば、商品になれば、どんどんとって商品にしたいのですが、もう需要がないということですね。今いろいろな方面、手分けして、どこか売るところはないかということで探しております。

○松田委員長  わかりました。ありがとうございます。

○柳座長  赤潮はどこで起こるのですか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  赤潮は大体、最初、山口県側から来るということですね。発生して、北九州のほうに来るのではないかということです。

○柳座長  山口県の東から来るのですか。どの辺で起こるのですか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  詳しいことはわからないのですけどね。

○柳座長  南側だと洞海湾でしょっちゅう起こっていたのですが、最近かなり減っているというか、そういう傾向なので、今のは意外だったのですけど。今、山口県と思われているわけですね。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  そうですね。山口県側からと。向こうは海がきれいだから、あっちからというのも不思議だなとは思っていたのですが。

○柳座長  後の総合討論のとき、末吉さんがご存じだから、お聞きしますけど。わかりました。
 ほかに質問ありますか。もう2、3分ありますけど、何かありますか。

○鷲尾委員  ありがとうございます。
 藻場が思った以上にまだ残っています。確かに、アイゴなりに食われるということが多いので、食害対策というのが非常に大きいかと思いますけれども、まだまだ生えているほうだと思うのですね。やっぱり、潮の流れなり、泥の影響は非常に大きいです。今、関門航路の開削が進んできておりまして、藍島の南側に大きな船が通っていくように、やがてなりますけど、そういうところの船の航行の状況とか、そういうことは磯の漁に何か影響が考えられるのでしょうか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  船の航行でどうのこうのはないと思うのですが、それに伴って、浚渫をしておりますので、浚渫した泥とかが海藻に付着すると減る要因になるのではないかと思います。今のところ、どうにかまだあると。だから、今のうちに駆除したいということなのですが。

○柳座長  今のに関連して。福岡県で海砂をとっていますよね。その影響はありませんか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  私のところの周辺では、漁業権の中では、もう海砂はとっておりません。白島の45m沖をとっております。

○鷲尾委員  白島沖はやっているのですか。

○森本理事  はい。

○柳座長  ほかに。よろしいですか。じゃあ、どうもありがとうございました。
 それでは、続いて、同じく漁業者として、大分県漁協豊後高田支店の岩本さん、お願いします。

○大分県漁業協同組合豊後高田支店岩本支店運営委員  大分県漁協豊後高田支店の岩本義彦です。よろしくお願いいたします。
 私は、昭和51年、近畿大学の水産学科を卒業し、家業である漁業に従事し、今に至っています。
 まず最初に、大分県の水産について簡単に述べさせてもらい、続いて、海にかかわって直接感じたことを順を追って述べ、最後に、私なりに感じたこの海の環境の変化を述べてみたいと思います。
 大分県は、佐賀関半島と愛媛県の佐田岬とを結んだラインで豊後水道海域と瀬戸内海海域に分けられます。
 こちらが大分県の漁獲量ですが、昭和60年代頃をピークに全体的に右肩下がりですが、中でもノリの落ち込みが激しいです。こちらは大分県瀬戸内海海域の漁業経営体数ですけど、これもノリが非常に下がっていると思います。
 次は、青が瀬戸内海海域、赤が反対側の豊後水道海域の赤潮発生件数を示しています。瀬戸内海はだんだん減ってきて、外海がだんだん増えているという傾向ですが、調査機器なんかがレベルが上がって、こういうデータが出たのではないかなということです。
 次に、漁業に携わってです。
 私の住んでいる豊後高田市は、海を北西に臨み、桂川、寄藻川、駅館川等の川が集まった遠浅の干潟を持った場所に位置します。江戸時代後期から広大な干潟を干拓してきていて、まさに海の破壊を繰り返してきた場所と言えるかもしれません。しかし、この干潟は古くからハマグリをはじめとする貝類の宝庫でありました。周防灘というのは、瀬戸内海の一番大きい、日本で2番目の干潟と言われているのですね。
 小型定置網についてです。
 私は小さいときから定置網をやっていまして、無尽蔵にある漁獲量とか、多様性がある海を見てきたのですけど、私が帰って見る限り資源がどんどん減少して、昭和60年に全国的にイワシが500万トンですか、あのときに入ってきたぐらいで、あとはどんどん乱獲をやって減っているなというのが身につまされてわかったような状況です。
 ノリ養殖なのですけど、昭和51年ごろは、まだかなりの漁家が元気で、良質のノリがとれていたのですね。各地区に研究会が立ち上げられ、品種改良や採苗など自前で行っていました。特筆すべきこととして、ここに書いていないのですけど、私が帰ってくる昭和51年の直前、昭和48年ぐらいに瀬戸内法が臨時法で制定されました。僕は大学に行っておったけど、その前に家に帰ってノリがいいぞということで後を継がれたら、急激にノリ養殖が悪くなって、借金抱えた方がいっぱいいるのです。それまでの垂れ流しを一応とめようということだったのでしょうが、非常に影響が出たのではないかなという感じがします。
 次に、アカガイ養殖なのですけど、あまり魚が悪いもので何かないかなということで、平成2年に試験的に開始したアカガイ養殖がうまくいきまして、平成5年には軌道に乗り、まだこの海にはプランクトンはたくさんいる、これやったらいっときいいわ、誰もやっていないし、広い海だからということでした。しかし、80gぐらいは東京市場でもいいのですけど、80g以下だったらお金にならないので、またもう1年ということでやるわけですが、もう1年やったら半分死にます。そうしておったら、今度は温暖化の影響で平成18年ぐらいから1年ものがいけなくなりました。夏場の高水温の時期がかなり長くなって、3年、4年頑張ったけど、やっている価値ないのかなと思って、去年、廃業したような状況です。
 平成8年に、O-157でアカガイが売れないということで夏場に置いておったら死にましたので、漁場がもったいないなということでカキの養殖を始めました。当時は、カキもかなり大きくなった記憶があるのですけど、平成12年に貝毒のカテネラと。タマレンセは規制値を超えなかったと思いますけど、一遍にカテネラ、カテナータム、その三つぐらい出てきた。それ以降は出ていないですけど、一気に出てきましたですね。その後、だんだん成長が悪くなり、いかだ養殖のほうが安定しているよというので、試みたのですけど、強い波浪のあるところで資材がもてず、今はロープの垂下式で工夫を凝らしてやっております。

 平成20年ぐらいから、チヌと思われるのですけど、魚類の捕食が確認されて、揚げたら養殖のカキがついておらず、裸になっているという状況が平成20年からぱらぱら見られるようになりました。平成17年に台風があって、そのとき、色々な貝類がわいたのですけど、イタボガキというのが絶滅危惧種で、豊前海、周防灘にしか残っていないと言われるのですけど、それがあったので、これは漁のかわりになるなと思って、試験養殖して、平成20年から自分で種苗生産をやっています。去年、完全養殖で僕は800個ぐらいつくって、今年は3トン、4トン揚がる予定だったのですけど、今年、謎のへい死があって、90%ぐらい死にました。原因は不明です。
 並行してつくっていたイワガキが増えています。うちの海域でイワガキは見られないのに養殖施設に天然についていたり、去年は1トンぐらい揚がったのです。ここの海で本来できるカキやマガキやイタボガキができなくて、イワガキがだんだんできて、外洋化しているのではないかなという感じが見受けられます。
 次に、私の感じた環境変化です。何でこんなに海が疲弊してしまったかとよく問われるのですけど、1985年ぐらいまでは、ある部分、漁民の乱獲が大きいのではないかなということを私は言っています。それ以降は漁民だけの責任でなく、社会全体の責任でしょうと答えています。  豊前海における水温の推移なのですけど、だんだん上がっているのがわかると思います。漁業に直接影響があらわれてきたのは平成18年ぐらいですね。アカガイが死に出したり、カキが魚に食べられたりしているのは平成18年ぐらいからです。
 温暖化ですが、大分県も豊後水道を中心に発生している磯焼け、海水温上昇による魚類の捕食の増大が、豊前海の二枚貝に大きな被害を与えています。小さいアサリがおるのですけど、ほとんど大きくならない。チヌが食べたり、ナルトビエイが食べたりしているというデータも出ておりまして、囲っているとアサリも育つのですね。この前、広島に行ったら、いかだ1台にナルトビエイが3匹ついたら全滅しますよということを聞きまして、ショックを受けました。
 次に、無機溶存態窒素の変化を示したものですけど、これは常識的にだんだん減っているというのがわかると思います。
 次に、アサリ漁獲量の推移です。平成を境にほとんどいなくなったという状況ですね。2007年にぱらぱらとあるのですけど、あのときはうちのイタボガキができたのと一緒で、台風による突発的気象要因で、海が攪乱されたことによって700トンの水揚げがあった。ここでアサリ回復への期待があったのですけど、その次の年は大水でゼロになっています。2年ぐらい続いたのですかね。多くの人の暮らしに不可欠という視点で次々にダムの設置や河川改修が行われていますが、ふだんは水量が少なく、災害時に一気に流れるということで、海にとっては非常に悪いパターンなのではないかと思います。
 また、このデータの前に、大分県はミルガイやバカガイ、トリガイ、アカガイが大量に発生した時期があったのですけど、発生しているというよりも、有史以来ずっとあったものがとられてしまってなくなったという歴史を繰り返していると思います。
 次に、豊前海に流れる川のダムの着工年と竣工年を上げたのですけど、ほとんど昭和60年ぐらいまでに片づいてしまって、河川漁場のノリもこれでだめになったのではないかなという気がします。僕が着業した当時の昭和51年は、ロープにムラサキイガイがついて、4カ月で10cmぐらいになっていました。それで、吹き流しのノリなんかに被害を受けたりしていたのですけど、今この大きさになるのに大体2年はかかると思います。シオフキも最近小さいなと言われていたのですけど、ここ2、3年、全然見られなくなりました。これはナルトビエイの食害と思います。
 多様性について私の記憶するところなのですけど、昭和50年ぐらいのときにバイが消えたというのを記憶しております。キサゴ、イボキサゴ、カガミガイ、オオノガイ、オキシジミ、ヒメシラトリガイ、この辺、石原漁場には幾分小さいのがいたり、保護されておるのですけど、我々のところは砂地なもので、今ほとんど見ることがありません。魚もコロダイですかね、これは平成を境にほとんど消えて、見たことがないという状況です。
 これで私の発表を終わりますが、ほんの数十年間にかかわってきて感じたことと、ほんの数十年間のデータを並べたにすぎません。ただ言えることは、私が海にかかわってきた50年で、有史以来保ってきた自然環境が人間の手によって大きく変わったとしか言えないです。
 これから、この豊かだった瀬戸内海はどのようになっていくのでしょうか。3・11の震災の後の現代社会を問い直す取り組みや試みが今大きく取り上げられようとしています。明治の先人、田中正造は、足尾銅山の鉱毒と闘い、高度成長の陰でもみ消される矛盾と果敢に立ち向かいました。国際競争の中で、日本の海、自然は人間社会ともっと調和のとれた循環型のものに軌道修正していかなければならないと思います。
 最後に、田中正造の名言、「真の文明は 山を荒らさず 川を荒らさず 村を破らず 人を殺さざるべし」を私の提言といたします。どうもありがとうございました。

○柳座長  どうもありがとうございました。質問、コメントはありますか。
 じゃあ、私から一つ。今後、漁民として生きていけそうですか。

○大分県漁業協同組合豊後高田支店岩本支店運営委員  僕は、今、非常に危機感があるのですけど、漁業士会、僕は会長をやらせてもらったけど、みんなどんなふうに考えているのか。ここ3年ぐらい、生きていけない、もうつぶれるのではないかという危機感だけなのですよね。
 今、僕は提言だけしたのですけど、ダムの水にしろ公共下水にしろ、臨時措置法から特別措置法になって、だんだん締めつけられてきた。その途中を緩和して、我々が共存できて、民間の人もちゃんとできるという線まである程度持っていかないと、僕は生きられないと思う。

○柳座長  DINを増やすという話ですね。

○大分県漁業協同組合豊後高田支店岩本支店運営委員  そうしないと生活できないと思います。
 アサリの業者なんか、今もうほとんどいませんし、わいたらとりに行くためだけに漁業権を持っている方が多いのですね。そういう方は、ここ5年ぐらいでアサリがいなくなったら高齢化しますから、そうなったらアメリカみたいにライセンス制かなんかにしちゃえばいいのだなと、僕は思っているのですけど。
 取り組みとしては、僕はどうやったら自分が漁業で食えるかということで一生懸命やっていて、団体としてはやっていませんけど、県の方とか、いろいろな情報交換をしながら、どうしたらいいのかについて、こういうことをみんなの前で提言していきたいとは思っております。

○柳座長  どうもありがとうございました。
 続いて、少し立場が違いまして、市民運動ということで、北九州市立大のデワンカーさん、お願いします。

○北九州市立大学デワンカー教授  こんにちは。市立大学、デワンカーと申します。よろしくお願いいたします。専門は建築ですけれども、今日はNPOの立場、市民保全活動を紹介したいと思います。よろしくお願いいたします。
 NPO北九州ビオトープ・ネットワーク研究会という団体を2001年に立ち上げまして、2003年にNPOになりました。2001年というのは、ちょうどそのとき北九大に工学部ができまして、同じ年に研究会を立ち上げたということです。
 ビオトープ・ネットワーク研究会というのは、ビオトープは自然ネットワークですね。概念図を持ってきましたけれども、山・川・海などの自然は全部つながっています。その流域一帯の保全活動をするという意味で研究会を立ち上げました。
 対象地域は、北九州市若松区、そして洞海湾一帯となっております。下のほうに若松区、南に洞海湾、そして北は響灘、そして、こちらのほうに遠賀川が流れています。八幡西区と若松区の境目に江川という感潮河川が流れています。昔は江でした。もっと広くて、海と海がつながっていて、もともと若松区は島だったのですね。今も、この感潮河川が両サイドにあって、洞海湾、そして遠賀川河口から海水を受けている、非常に珍しい川と思いますけれども、これを対象にして、ビオトープ・ネットワークを市民運動の一環として活動を続けています。
 これは洞海湾ですね、これは戸畑から見る洞海湾と、石嶺、高塔山、そして旧市街地、そして、この辺にも市街地がずっと続いています。これが若松の旧市街地で、そして、若戸大橋、この辺に戸畑があります。これは洞海湾ですね。これらの活動をやっています。北九大の工学部がこの辺に10年前ぐらいにできました。そして、対象地域、広いのですけれども、これを対象にしています。さっきの洞海湾、そして響灘、そしてこの辺に遠賀川と江川ですね。海だけじゃなくて川の活動、そして里山の活動を主にやっています。
 幾つかご紹介したいと思います。
 一番最初は、今日は写真を持ってきていないのですけれども、若松にある響灘で唯一の自然海岸線で清掃活動を行いました。それ以外はほとんど人工護岸になっております。
 これがその江川ですね。こちらが洞海湾につながっている江川で、遠賀川につながっています。もともとの形、道路からわかるかと思います。今この辺に3号線と鹿児島本線、あとは北のほうに国道199号線が走っています。昔の洞海湾はこういった形だったのですね。100年ぐらいかけて今のような埋立地、工業地帯になりました。
 洞海湾の一番東部と西部の二つの拠点で活動しています。一つは、間伐竹を使ってムラサキイガイで水質浄化に取り組んでいます。これはもともと洞海湾が、1960年代に死の海と言われた背景がありまして、左下に写っているいかだが、北九州市環境局が10年以上前から10年間ぐらいかけて使った実験装置です。海水ビオトープとして、トウモロコシからつくられた生分解性プラスチックのロープに付着したムラサキイガイ─ムール貝が燐と窒素を吸着して、海をきれいにするという取り組みです。数年前にこの実験を終わりまして、できるだけ地元の市民とか小中学校を巻き込んで、何かできないか、我々NPOで考えました。環境局は昔からトウモロコシからできている生分解性プラスチックのロープを使っているのですけれども、私たちは竹を使えないかという提案をしまして、数年前から取り組んでおります。この辺の緑色のがそうですね。
 プラスチックロープと同じように、大体1月、2月から洞海湾にこれをぶら下げて、先ほどお話が出ましたが、大体8月とかに発生する赤潮でムラサキイガイは死んでしまうので、それを引き上げて、今、小学校3校─若松中央小学校、修多羅小学校、牧山小学校5年生の理科の授業で港湾局と取り組んでおります。
 私たちは竹を提案しまして、同じ効果があるかどうか、1月、2月ぐらいにぶら下げて、そして7月、8月に引き上げると、同じような効果で、ムラサキイガイが非常にたくさんついていました。先ほども出ましたが、エイが洞海湾に入ってきて、食害とか、そういう問題も途中にあって、このぐらいですね、数cmにしかなりません。赤潮の関係で死んでしまうので、引き上げて、子供たち、それをつぶして、小学校の理科で、まずムラサキイガイの働きについて勉強したり、あと、つぶして堆肥化して、花壇とかでイチゴを育てたりというような取り組みをやっております。
 もう1カ所は、一番西部のほうですね。本城橋近くに、人工的に少しずつ自然化している干潟があります。この干潟は渡り鳥で有名な場所で、こういう鳥がここに毎年飛来しているのを見まして、その清掃活動を行いました。最初は渡り鳥のための保全活動が目的だったのですけれども、ごみが非常に多いのです。洞海湾から一部流れてくると、あと言われているのは遠賀川流域からの漂着物です。あと不法投棄が最初の10年前は非常に多かったのです。工業地帯の中にあるせいだと思いますけれども、その清掃活動で、うちの団体にいる植物の専門の方がシバナを発見されまして、定期的な清掃については、その保全活動にシフトしました。九州共立大学と共同で、種を回収して、大学のほうで種を育て、それを移植して、少しずつ増やそうとしています。今、地元の企業さんが定期的に昼休みに清掃活動をやっていただいて、干潟のシバナも少しずつ増えてきております。
 あとは、里山保全の一環としての一番メインの活動は竹林保全活動です。海は直接関係ないのですけれども、大学キャンパスの周辺の若松西部に広がる里山は竹林の被害が非常に多いので、それに対して、10年間今月まで80回ぐらいの伐採活動を行っていました。森がきれいになると海もきれいになるという意味で3年前から始めて、今8カ所ぐらいをやっています。少しずつ森もきれいになっています。
 水環境の一環として、ため池から田んぼ、そして川に流れている水について、年4、5回、子供たちを対象にした環境学習プログラムを開発しています。これは、田んぼの中にビオトープとか池を整備したり、子供たちの田植え、そして稲刈り、昆虫採集とかの様子で、年数回行っております。
 あと、洞海湾には企業さんがたくさん張りついていますし、北のほうに行くとエコタウンとか埋立地が多いので、なかなか近づけるところが少ないのですけれども、年2回程度、一般市民を対象にしてサイクリング活動を行っています。洞海湾沿いの赤い線が海の一番近くを走れる道路で、自転車で一周回って、水際線の楽しみ方の一つとして提案しています。そして、南、洞海湾だけじゃなくて北に響灘もつながっていて、南にも北にも海があるという意味で、そういったサイクリングイベントを定期的に行っております。以上です。ご清聴ありがとうございました。

○柳座長  どうもありがとうございました。質問、コメントありましたら。
 私のほうから。コリドールということですけど、コリドール、実際にコリドールをどういう生物が動いていて、拠点というか、コア領域をつないでいるというのは証明されましたか。

○北九州市立大学デワンカー教授  していません。あくまでも理論として、こういうふうに全体ですね…。今道路とか都市開発によって、これはどんどんなくなっているのですね。我々、すぐそれを実現できるわけではないのですけれども、長いスパンでこれができたら一番いいなと我々は思っているんです。それができないから、ところどころで…。

○柳座長  私が言っているのは、具体的にどういう生物がどういうふうに利用しているとわかれば、もっと参加している人というか、この運動自体に理論的な補強ができて、進むのではないかと思うのですけどというコメントですけど。ほかにございますか。足利さん。

○足利委員  ありがとうございました。
 間伐した竹とムラサキイガイで水質浄化をされていらっしゃるのですけど、これは実際どのくらい効果が上がっているかのモニタリングとかはNPOさんでされているのでしょうか。

○北九州市立大学デワンカー教授  やっていません。効果があるのは、生分解性プラスチックロープに張りついているのでわかっていたので。今、市のほうもプラスチックロープをほとんどやめて、全部竹のほうに回しています。その生分解性物質のロープというのは非常に高いのです。10年前、大量につくりましたが、もう一回生産するのにすごくお金がかかります。竹でもできるということで、全部竹になってしまいました。

○足利委員  とりあえず、どんな効果が上がっているかというのは特に調査をされたりしてはいないのですね。

○北九州市立大学デワンカー教授  はい、調査していません。

○足利委員  地域の人を巻き込んで、たくさんの方に参加していただくことで啓発しましょうみたいなことが目的でいらっしゃるのですね。

○北九州市立大学デワンカー教授  はい、そうです。

○足利委員  ありがとうございました。

○柳座長  ほかにございますか。
 今のついでなのですけど、実際、竹林を維持するのって大変だと思うのですけど、効果も大きくて、竹林が広がらないようにするわけですよね。中国でも、これは結構派手にやっていて、中国の場合にはむしろ、整理した竹を色々な製品にして売っているのですよね。ここでは何か考えておられますか。

○北九州市立大学デワンカー教授  私たちは、今まで80回で、毎月やっていますけれども、企業と組んで、全部チップにしています。法面の緑化とか、あとは路盤資材として、今製品として開発をしています。

○柳座長  もっと直接的に売れる…。

○北九州市立大学デワンカー教授  あまりお金にならないのですね。枯れている竹が多いのです。整備した竹林で育った竹を売るならいいのですけれども、放置された竹は品質が非常に悪いんですよね。枯れているのが多いので、なかなか業者さんが買い取らないのです。チップにする業者は非常に興味があるのですね。何でも使えるから、今はメリットがあるのですが、整備した後はこれからの課題です。まあ、おそらく日本では売れないと思いますけれどもね。中国ではないからですね。

○柳座長  竹細工とか竹炭とか、私は色々な用途があると思うのですけど。

○北九州市立大学デワンカー教授  色々な用途はあるのですけど、産業としては厳しいと思います。

○柳座長  そうですか。すみません。ほかにございますか。じゃあ、足利さん。

○足利委員  今のに関連して。私も竹林を切ったことがあるのですけど、ものすごく大変な作業なのです。これはNPOの皆さんがされているのですか。

○北九州市立大学デワンカー教授  いや、違います。私たちももちろん参加しますけれども、地元の方と、最近は企業さんが多いですね。CSRの活動で、毎月平均40人ぐらいが参加されています。だから、今、延べ3,000人以上ですね。200、300人ぐらい登録しています。毎月は参加していませんけれども、年何回でも継続的にやるとそれぐらいになると思います。

○足利委員  どっちかというと、ご専門っぽい方、伐採作業などになれた方がCSRとかで入られて、お手伝いくださっているという感じですか。

○北九州市立大学デワンカー教授  あまり専門じゃないですね。ほんとうに好きで、どんどんやればやるほど森がきれいになるということでやられています。月1回ということで、環境というより、健康を考えて、あまり運動してない最近の人、そういう人もたくさん来ます。

○足利委員  結構、一般の方が竹を切るのは大変かなと思ったのですけど、安全確保とかもNPOさんのほうでされているのですか。

○北九州市立大学デワンカー教授  はい。幸い、今まであまり事故がなかったのですけれども。

○足利委員  ありがとうございました。

○柳座長  あと1分ありますが、会場のほうから何かありますか。
 なければ、どうもありがとうございました。また後でお願いします。

○北九州市立大学デワンカー教授  ありがとうございました。

○柳座長  それでは、最後になりますけど、大分高専の高見さんから、よろしくお願いします。

○大分工業高等専門学校高見准教授  大分高専の高見です。よろしくお願いします。
 私からは、大分県沿岸海域における生物資源の減少と水質との関係ということで話させていただきます。
 私は、ノリとかアサリを使った実験的研究というのを少しやっていて、それの関係で話させていただきたいと思います。
 まず、漁獲量の話ですけれども、先ほど豊後高田の漁協の方からお話がありまして、それ以上の説得力を私は持ち得ませんが、大分県における海藻と貝類の漁獲量というのがどのように変化したか、私なりにご紹介させていただきたいと思います。
 これは、まず養殖ノリです。大分県からもらった資料を見ると、昭和55年をピークにずっと下がってきています。それ以上の資料は持ち得ませんでしたので、この当時から下がってきている、現在回復していないという状態です。
 ここで、瀬戸内海区とか太平洋南区とか全県と書いてありますけれども、瀬戸内海区というのは先ほども紹介ありましたように、佐賀関と佐田岬をつなぐラインより北側を瀬戸内海区、それより南を、先ほどは豊後水道海区とお話でしたけれども、ここでは県の資料に基づいて太平洋南区としております。
 太平洋南区というのは別府湾とか佐賀関を越えて臼杵や津久見のほうで、以前はノリの養殖をされていたということですけれども、埋め立て等の開発が進みまして、ほとんど養殖されておらず、今はゼロということで、全県のノリの漁獲高のほとんどは、瀬戸内海区、つまり周防灘、豊前海あるいは中津干潟とか豊後高田の干潟のものです。先ほど言うように、このように大きく下がってきている、その他の海藻類についても、あまり漁獲されていなくて、停滞しているという状況です。
 この漁獲量の低下というのは、一つは高水温、病害、食害等によるものと県では判断されているようです。
 ここで高水温、異常水温というのが最近続いていると言われているのですが、これをどうしようかというのは難しい話です。先ほどからずっと話がある温暖化の影響で水温が上昇しているというのならば、これは一朝一夕では解決できない。あるいは、上がっていくならば、今後、これまでの漁獲量や漁獲生産種を根本的に考え直さなきゃいけないという話なので、ここではそれには触れないで、水質の話をさせていただきたいと思います。
 病害については赤腐れ病等があるということで、これは水温の影響と聞いております。食害というのは、ボラとかに食べられるという状況らしいです。
 また、貝類につきましては、ノリよりも少し遅く漁獲量の減少が始まったようです。昭和60年がピークで、このときは大分県がアサリの漁獲量は日本一だったと聞いております。その後、急激に減少して現在に至ります。
 ただ、ここでの漁獲量の上昇というのは、県の調べによりますと、漁獲方法の変更によるものだそうです。それ以前は、それほど高い漁獲高はありませんでしたけれども、そのときは、鋤簾(じょれん)だとかでかき上げて貝をとっていたのが、小型底引き網漁というのが導入されまして、急激にその漁獲高の7割、8割を占めることになったそうです。その後、急激にとれなくなってしまった。ただし、その漁獲も、行えなくなった状態で停滞しているのですけれども、その後、回復していないというところが非常に問題だと思います。
 また、大分県では、大分県豊前海アサリ資源回復計画というのが平成16年からの5カ年計画で実施されたと聞いております。これによって漁獲制限あるいは漁場の造成、種苗放流、環境保全という対策をとられているようですけれども、このグラフで見る限り、漁獲制限があるかもしれませんが、回復していない。その後、平成24年ですが、現在に至るまで、先ほどの豊後高田漁協の方が示されたように回復していないということです。
 これも近年の漁場の栄養塩類の減少による餌料不足あるいはナルトビエイ等の食害と言われていますが、いかがなものかなと思います。
 それを水質から見ますと、このようになります。大分県沿岸の周防灘から豊後水道にかけて細かく見ていきますと、豊前地先海というこのあたりと、国東半島の先と別府湾あるいは豊後水道に移りまして、北海部郡、南海部郡、臼杵、津久見あるいは佐伯の海区に分かれますけれども、いわゆる環境基準項目のCOD値を見ますと、南から北にかけて高くなっている。その値は、大体1mg/Lから3.5mg/Lぐらいになっているということで、環境基準で考えますと、A類型あるいはB類型程度であるということで、水質はそんなに悪くはない。
 また、全窒素も南から北にかけて高くなっている。環境基準は0.2mg/Lとか0.3mg/Lですけれども、豊後水道から国東半島にかけては0.1mg/Lから0.3mg/L、豊前海のほうに行くと0.2mg/Lから0.4mg/Lと高くなっています。それで栄養塩が低いというわけではありません。環境基準は達成している一方で、環境基準を達成しているがゆえに栄養塩の負荷が少なくなって藻類が育たないとかいう話もありますけれども、この海域の水質だけ見ると別に低くもない。
 ですから、このように大きな海区で分けたときの環境基準の達成というのは、十分意味のあるものですけれども、局所的な栄養塩不足、あるいは逆に局所的な高濃度の栄養塩類があるのではないかと考えます。
 ちなみに、ノリの色落ち等は、DINで言いますと0.07mg/Lより低くなると色落ちするということですから、このグラフからは読み取れないということです。TPも同じような状態です。
 ここからは、私がかじったことなのですけれども、今日のテーマである瀬戸内海の豊かさですが、私はやはり生物がたくさんいて、生物資源というか、水産資源である魚がたくさんとれることが大事だと思っています。特に生産量を上げるには、先ほど見た海区の中央の水質というよりも、極めて沿岸に近い部分が重要だと考えられます。特に海藻を中心とした生態系というのは、沿岸海域の水深で言うと10mから20mぐらいのところで、ここが非常に重要だと思います。そこの水質が実際どうかということです。
 豊後水道の南の佐伯湾というところでアサリの状況を見ました。佐伯というのは、この辺ですね。佐伯もアサリの漁獲量が減りました。これが県内全体ですけれども、佐伯市は平成5年以降から下がっているということで、県内全体で同じようにアサリの漁獲量が下がっているのではなく、場所によって違うのですね。つまり、佐伯特有の原因があるということです。ここの場合も、かつては少ない漁獲量が一時期多くなっているから、基本的にはたくさんの漁獲圧があったと考えます。その後、回復していないというのも同じです。
 これでいろいろ見ますと、佐伯湾に限っては、TN、TPが高く、それまでなかったアオサと言われる海藻が異常に増殖していて1m2当たり5kgある。これはアオサの堆積が何層もあるような状態です。
 これがアサリにどのような影響があるか実験的に調べました。このように、アサリを入れたのとアオサを入れた簡単な水槽をつくって密閉してDOを測ります。アオサとアサリを暗い状態に置いて、呼吸状態に置くと、アオサの呼吸量が極めて高いので、アサリの酸素を奪ってしまう。一方で、嫌気状態になって酸素がなくなると硫化水素が爆発的に発生する。その状態でアサリを投入すると、あっという間に死んでしまう。このようなことが一部では起こっているのではないかと思われます。ですので、TN、TPの環境基準的な達成というのと局所的な問題というのは別だろうと思われます。
 また、私はノリを使って毒性試験をするというのが得意というか、基本的にそれをやっていたのですけれども、このように、ノリの生活環の中で、殻胞子と言われる部分、これが成長してノリになります。その殻胞子が下水処理水などに暴露され、このように濃度が上昇すると発芽率が低下します。これは下水処理場の消毒処理水による発芽率の低下を示すものですけれども、ほかの化学物質に対してもいろいろやってみると、影響があります。
 例えば、先ほどの塩素消毒よりも毒性が弱いとされている二酸化塩素なんかを使ったときでも、その副産物である塩素酸を使うと、塩素消毒よりも毒性は弱いかもしれないけれども、やはり影響がある。それをさらに4日間の暴露じゃなしに、20日間とか14日間と延ばしていきますと、どんどん影響濃度が下がっていく。ここでは少ないデータですけれども、塩素酸の場合、4日間暴露の影響濃度は1万mg/Lでしたが、これを2週間延ばすと、1mg/Lで生育を阻害する。銅の場合は、4日のときは0.023mg/Lが20日間培養すると0.001mg/Lでも阻害するというように、化学物質の影響というのも無視できない。しかも、海産生物に対する化学物質の影響というのは、極めてデータが少なく、しかも、長期間影響はほとんど考慮されていないということで、これを規制するのは大変なのですけれども、かなりの綿密なデータが必要かと思います。
 というわけで、長くなりましたが、私の見解では、大分県沿岸の水質は環境基準をほぼ満たしている。しかし、ノリやアサリなどの主要な水産資源は減少して回復していない。沿岸域の高い生物生産が非常に重要ですけれども、化学的な環境あるいは干潟等の埋め立てあるいは造成等によって、物理環境がまだ十分ではない。さらに、水質規制においても環境基準以外の化学物質の影響はほとんど知られていないということが大きな問題だと思います。したがって、環境基準における管理の中でも、特に沿岸海域における生産力向上の対策が必要だと思っております。
 以上です。

○柳座長  どうもありがとうございました。質問、コメントありましたら。足利さん。

○足利委員  ありがとうございました。
 私はあまり詳しくないのですけれども、地域の終末処理場の出す排水の検討会議などのときに、漁業者の方から、出している水は大丈夫かという話が必ず出ます。今の先生のお話をお伺いしていますと、やはり排出水を検討する価値というのは、例えば、ノリに関して言えばあるということなのでしょうか。

○大分工業高等専門学校高見准教授  そうですね。これは長い間、東京湾でも三河湾でも問題になりましたけれども、私の結果から言うと、現在の下水の塩素消毒処理水というのは海域に流れたときに、かなりの酸化性物質をつくり、これは極めて残留性が高いということで、影響があるだろうとは考えられます。その濃度いかんですけどね。それに対して、示しませんでしたけれども、愛知県の矢作川とかでは塩素消毒以外の消毒法である紫外線消毒がこの結果から利用されるようになって、そこでは対策がとられているということで、違う話になりますけれども、消毒法の変更というような対策もあり得るかと考えます。

○足利委員  ありがとうございました。

○柳座長  よろしいですか。ほかにありますか。

○大分県漁業協同組合豊後高田支店岩本支店運営委員  さっきの私のアサリのデータなのですけど、二つ山があったと思うのです。今、先生がおっしゃったように、漁業方法が変わって昭和60年代に一気にということなのですけど、中津沖合で操業しておって、今まで有史以来発見できなかったバカガイの新しい産卵地が発見されて、そこを2、3年でとり尽くしたという歴史があるらしいのですよ。
 それと、うちのほうでも昭和50年からだんだん減っているというデータが出たのですけど、例えば、昭和20年ぐらいのことを地元の漁業者なんかに聞くと、戦時中に食料難のときに何であんなにおるアサリをとりに行かなかったかと聞くと、アサリは一個もおらんかったぞと、ハマグリばっかりだったと。今の水産試験場とかあそこら辺も干拓地なので、今、地震なんかの関係で龍神池なんかコアをとっていますよね。そういった部分で、海まで潜らんでも、ユンボで3m、5m掘ったら、昔はどうだったとかいう考古学的な見地とか、生態学的な見地とか、その辺のデータも出てくるのではないかなという気がするのですよね。
 もう一つ言いたいのは、例えば、大分県の八坂川なのですけど、そこそこハマグリもおって、そこそこアサリもおって、カブトガニもいる。ただ、コロニーが非常に小さいということなんですけど、ダムがないのですね。八坂川にはダムがない。豊前海はダムもいっぱいできて、平成大堰でほんとうにストップしたのではないかなという懸念があるのですけど、今どこでしたか、番匠川でしたかね、ああいうところもあるのですけど、全体的に減っている原因というのがある程度わかれば、今後の解決策につながっていくのではないかなと思うのです。うちの場合は、アサリも、あのグラフでは昔からおったような言い方しているけど、ほんとうは昔はいなかったのです。

○柳座長  返事はありますか。

○大分工業高等専門学校高見准教授  補足というか、おっしゃるとおりで、ここでたくさんとれているときに小型底引き網漁でたくさんとったという話ですが、確かに県の資料を見ますと、バカガイをとるための特別採捕許可として小型底引き網漁を許可しています。それで、中津の平洲というのですかね、特定のところでバカガイをとったのですけれども、一緒にアサリをとっちゃった。それで、結局アサリの漁獲高が一遍に上がって、その後いなくなったというのはおっしゃるとおりだと思います。以上です。

○柳座長  時間が過ぎましたので、また後でいいですか。じゃあ、今。

○松田委員長  ちょっとだけいいですか。
 どうも、詳しいデータでご発表ありがとうございました。一番最後のスライドの最後の指摘事項で「沿岸における生物生産力の向上が不可欠」と言っていますが、この生物生産力というのは、とりあえず基礎生産とか1次生産という意味ですか。

○大分工業高等専門学校高見准教授  私は、そのように考えています。沿岸域の20mぐらいまでの海域、特にいわゆる藻場、あるいは一つの種類の海藻が大きく増えるような環境ではなく、多様な海藻が共存できるような環境が必要だと考えています。

○松田委員長  ありがとうございました。

○柳座長  ありがとうございました。
 おかげさまで、8名の方の話題提供が全部終わりまして、今から総合討論に入りますけれども、順番としては、まず、質問のし残しがあればお願いします。委員の方、あるいは発表された方お互いに、先ほどの岩本さんのように聞いておきたいとかありましたら、それを受け付けます。その後で、8名の方にもう一回、言い残したこととか、時間が限られていましたので、これだけは今日言って帰りたいというのがあれば、それを受け付けます。
 その二つを終わった後で、フロアのほうから質問あるいはコメントを受け付けて、そのとき、こちらの委員のほうも何か言うかもしれませんけれども、最後に、松田委員長と岡田部会長から総合コメントというか、感想を言っていただいて、できれば予定どおり4時半に終わりたいと思います。少し延びても会場のほうは構わないということなので、状況を見ながら決めたいと思います。
 それでは、早速ですけど、質問し残したことがありましたら、委員の方あるいは発表者の方からお願いします。

○鷲尾委員  初めのほうの末吉さんのお話で、アサリの個体数が平成23年度にどっと減って、それまでの地道な取り組みが水の泡になったような印象のデータがありました。これはその年に特有の事象だったのか、あるいは長い目で見れば誤差の範囲内ととらえられるものなのか、そのあたりの感触というのは、加わっていた方々の感想としてはどうなのでしょうか。

○山口県自然保護課末吉主幹  原因につきましてはまだ推定の域を出ないのですが、10コマ目の資料の下に書いてありますように、一つは、まず平成20年ぐらい、地道なそれまでの活動によって、ある程度、目に見えて漁獲できるようになったというデータが出てきまして、それは、短期間でかなり出てきて、その後、ある程度下がったという現象になっております。これが特異な現象かどうかというのははっきり申せないので、もう少し長いスパンで、果たして、この1,500個を維持できるものかどうかを見なくてはいけないと考えております。
 それで、原因としては、下に書いてありますように、今、特に環境保健センターという県の研究機関が定期的にモニタリングをして調べているデータを踏まえてのことですけれど、考えられることは、この期間中に間引きをやった結果、ある程度減ったのではないかという考え方、あるいは左の写真にもありますように、例えば、食害防止とか、あるいは幼生が流れることを防止するとか、いろいろそういうねらいでこういう青い網を張っているわけです。最初は9mmのメッシュでやっていたのを15mmのメッシュに切りかえたりすることによって、それがあまりよくなかったということも考えられます。そういう一時的な操作という原因が考えられます。
 あと3番目にありますのは、砂が砂蓮(されん)と呼ばれる砂丘の風紋のような形をつくるのですけど、それが要所要所にたまってアサリを窒息させる原因になって、それでへい死したとか、あと、浮遊幼生が近くに流れてくる現象がありまして、これら総合的なものが考えられます。一時的なものもありますし、長い目で見て別の現象も考えなくてはいけないという、いろいろなことが考えられます。

○柳座長  いいですか。最後のことですけれども、浮遊幼生がよそから来るって、よそに干潟があるのですか。これは自前で再生しているわけじゃないのですか。

○山口県自然保護課末吉主幹  ここにはよその干潟はないです。防府市という何十kmか離れたところに、アサリを育てているところがありますから、アサリの幼生が潮流に乗ってくることによって、ここに定着するとかいうようなことも考えられますが、はっきりしたことはわかりません。まだよく調べていないのですけど、方々から流れてくる幼生のパターンを調べてみる必要があるのではないかということを今検討しているところです。

○柳座長  はい。ほかに、この1番、椹野川の話に関して質問し残しはありませんか。いいですか。会場のほうからでもいいですけど。  なければ、2番目ですが、愛媛県の生物多様性の戦略に関してありますか。
 なければ、私のほうから一つ。先ほどのご発表の中で、いかに無関心の人をこれに引きつけるかというか、参加してもらうかという話で、最後の北九州のデワンカーさんの話は結構関連あると思うのですけど、あんな活動が今、愛媛県にありますか。

○愛媛県自然保護課山中係長  海に関して、でしょうか。

○柳座長  いや、陸でもいいですよ。

○愛媛県自然保護課山中係長  陸でもいいですか。海は、天然記念物として指定されているカブトガニの産卵地である河原津海岸というところがあるのですけれども、そこで公民館が主となって、地域の住民が幼生を放流したりというような活動はしております。ただ、それは、環境に興味のある方だけが参加するものであって、テレビでニュースで流れると、知らない人も目にするということはあるとは思うのですけれども、そういう活動を日々していることって、あまりクローズアップされないと思うのですね。
 ですから、今、生物多様性カードというのを私どもつくろうと考えております。今、皆さんが行っていたような地域で密着した活動を、こういうふうなカードにして、博物館や道の駅、海の駅といったところに置いて、環境に興味のない人にも目につくような形で情報発信していきたいと考えております。
 それと、ついでで言わせていただきたいのですけれども、このカードは、えひめ町並博という、博物館というか、愛媛県全体を観光の関係で地域の人々がやる自主企画イベントをこういうカードにして、そして、皆さんにおもてなしの心を持って参画してもらうという観点でつくったもので、これの生物多様性版をつくろうということです。
 そして、引き続き南予のほうでは高速道路が開通して、今度、宇和島、愛南、そちらのほうへ道が続きますので、こういう自主企画イベントで引き続き発信していくということで、えひめ南予いやし博2012というのが、この4月22日から11月4日まで開催されます。その中で、愛南のほうは、まるごと海のミュージアムということで、エコツーリズムにつながっていくと思います。まだ今のところ、生物多様性とか、そういったことに特化したツーリズムではないのですけれども、こういったイベントを開催するようにしております。
 こういったことで、一人でも多くの方に生物多様性であるとか、自然環境を守らなければならないというところに目を向けていただいて、参加していただければいいなと考えております。
 このチラシは外に置いておりますので、皆さん、持って帰っていただいたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○柳座長  デワンカーさん、愛媛の戦略に対して何かコメントはありませんか。あれば何でもお願いします。ないですか。
 では、エコツーリズムが出たんで、エコツーリズムに関して藤本さんのほうから。多分、周防大島から南に下がれば、愛媛は目の前と思うのですけど、さっきの提案にコメントありますか。南予は生態系が少し異なると思いますけど。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  愛媛とは、瀬戸内海と伊予灘で接していて、同じ文化とか歴史とかがあると思うので、その辺は連携してやっていきたいと思います。

○柳座長  すみません、無理やりしゃべらせて。ごめんなさい。
 2番目の山口県の件に関して、ほかに何かありますか。
 なければ順番に行きますけど、3番目の海面清掃に関して、質問し残しとかコメントがありましたら。

○鷲尾委員  海面清掃というのは大変な作業をずっと続けることになるのですけれども、先ごろ、海岸漂着ごみの処理推進法というのができまして動いていたのですけれども、そっちのほうはグリーンニューディールの資金がとまっちゃったということがあって継続が難しくなっているのですけれども、周南のほうでは、そういう意味では県と市が資金を提供して、今後も継続的にやっていくということを担保されているのでしょうか。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  今後も県とか市の補助を受けながら継続的にやっていけると思います。ただし、予算的には発足した当時の半分になっておりますので、こちらの清港会としてどこまでできるのだろうかという大きな問題を今抱えています。

○鷲尾委員  そういう意味では、海岸漂着ごみのほうでは、地元の住民を含めたさまざまな形の関与が求められているわけで、今は清港会さんが予算をもとに執行されていると思うのですが、そういう意味では、市民参加的なところというのは、この地域では期待できるのでしょうか。

○社団法人山口県周南清港会磯村事務局長  はい。一応、こちらのほうでボランティアを募っています。そのボランティアというのは中学生とか高校生、あるいは大学生で、一般に対しては、社団法人ですので、コンビナートの会社から会費を集めていまして、その会社で働く社員でボランティア活動をやってもらえる人というのを集めています。それによって、港の周辺の清掃活動なんかもやっています。特に大学生とか高校生を集めてやる場合には、先ほど言いました海底清掃とかのときに、海の底から陸に揚げるために、それぞれ出てきてやってもらっています。

○柳座長  どうもありがとうございました。

 ほかにありますか。  なければ、4番目ですけど、自然と釣りのネットワークのエコツーリズムに向けたいろいろな取り組みですけど。

○松田委員長  大変希望のあるといいますか、夢のあるプランのように拝聴したのですが、今のところ、一応この海域公園に指定になりそうなわけですよね。そうなると、このアワサンゴにとってはおそらくいい方向に行くとは思うのですが、実際には、海域公園の指定になると、例えば、今できていることができなくなる人がいるとか、そういう利害調整みたいなことも実際には起きるのでしょうか。

○NPO法人自然と釣りのネットワーク藤本理事  環境省が昨年の秋に調査して、海域公園の範囲について今から調整する中で、私たちも具体的にどういうふうにそういうことがあるのかということもまだ把握していません。今度、そういう環境省と住民と、それから漁師さんとの話し合いの中で、具体的にやっていかなければなりません。後で海域公園にしないほうがよかったとかいうようなことを言われるのが私たちとしては一番つらいことなので、具体的にこれからやっていきたいなと思っています。

○松田委員長  ありがとうございました。

○柳座長  ぜひ頑張ってください。ほかにございますか。

○大分県漁業協同組合豊後高田支店岩本支店運営委員  オーストラリアのアボリジニーの取り組みの活動とかをこの前見たのですけど、そこの原住民しか入れさせないということでした。みんなが入ることによって経済効果はあるのかもしれないけど、将来にわたって非常にマイナスになる部分というのがあるかもしれない。国民の民度が上がってくれば、そこら辺はぴしっと守るとか、そういう法律ができるだろうけど、今の日本でそれをやって、何かビジネスになるよとか、観光客を呼ぶよということが果たしてほんとうに環境に将来的にいいのか。僕は、いろいろ山に行ったり、海に行ったりしても、人に教えたらいいことされんから、もう黙っておったほうがいいわなということのほうが多いのですよね。そういった部分もちょっと考えてほしいと思います。マイナス部分があるでしょう。

○柳座長  多分、これは先ほど松田委員長が言われた昨年のCOP10で、MPA(Marine Protected Area;海洋保護区)を10%だっけ、数値目標が出たのですよね。だから、環境省もどうやって日本の海域公園の指定を増やそうかというので多分いろいろな努力されると思うのですけど、今言われたように、実際やって元も子もないとか、かえって壊すとか、いろいろなことがあって、多分、その場所、場所でそれぞれ必要な取り組みは変わってくると思うのですよね。沿岸だって一様でありませんから、その辺は今、岩本さんが言われたように、相当注意しないといけないと思います。頑張ってくださいとしか言いようがないのですが、すみません、ほかに宣伝するところがないので。次に行ってよろしいですかね。
 では、藍島の話ですが、さっき、赤潮の話が残ったので、ほんとうに山口県から来ているか、鷲尾さん、何かコメントがあればお願いします。

○鷲尾委員  ふだんは非常に水質のいいところだと思うのですけれども、赤潮で磯のアワビがやられるという状況があるのでしょうか。何月ぐらいですか。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  大体、梅雨明けですね。梅雨が明けて、6月の終わりから7月にかけてだったと思います。一番大きな赤潮というのは大分前になるのですけど、3年、4年前にも軽い赤潮が来まして、大分そのときもアワビが死にました。昔は、アワビが死ぬ赤潮というイメージはなかったのですが、ここ最近は、3年ぐらい前に来た赤潮が、私が漁師を始めて3回目になるのではないですかね。

○鷲尾委員  最近、被害を出す赤潮としては、宇部のあたりで発生していましたから、それが海域を抜けてやってきているという可能性があるかなというところですけれども。

○柳座長  考えにくいですね。

○鷲尾委員  うん、考えにくいですよね。

○柳座長  下関も考えにくいと思うのですけどね。だから、さっきびっくりしたのですけど。

○ひびき灘漁業協同組合藍島支所森本理事  そのときは下関側のアワビのほうも大分死んだという話を聞いております。下関の入り口の小戸のほうですね。その一円がある程度、赤潮でやられたのではないかなと思っていますけどね。

○鷲尾委員  地元でもありますので、いま一度調べてみます。

○柳座長  私も商売なので調べてみます。ほかにございますか。なければ、急ぎます。
 大分県の岩本さんの話に関して、質問し残しが何かありますか。

○足利委員  同じ海域の干潟で活動している者としては、私はまだ豊前海、捨てたものではなくて、ポテンシャルも高くて、今から頑張れば漁業の将来もあるとずっと信じて活動してきているのですけど、抽象的で申しわけないですけど、岩本さんが将来的に漁業に夢を持っていくとしたら、持てるとしたら、どんなことですか。一つだけ挙げていただくとしたら、何があったら将来の漁業に夢が持てますか。

○大分県漁業協同組合豊後高田支店岩本支店運営委員  これだけインフラ整備がいろいろ進んで、色々な業種の人が共存共栄していかないといけない瀬戸内海なのですね。北海道とか外海の漁師は、悪いときがあっても自然の力でよくなるということがあると思うのです。ただ、僕もずっとやっていて、色々なことを勉強して、色々なことをやって、色々なことに挑戦してきましたけど、やっぱりおやじの尻ぬぐいやったんかなと。だけど、希望を持って何かできることをやっていて、例えば、さっき言ったイワガキつくるしかないのかなとかあるわけです。イワガキはイワガキで、うちの海でできるメリットというのはあるわけですよ。
 そこら辺もあるのだけど、一言で言えば、規制緩和というかな、ここまできれいにせんでもいいのにというのが漁民としての答えですね。もう少し緩和してほしい。それは私だけじゃない、ノリの業者とか、あちこちでそういう声が上がっていると思うのです。護岸の整備も河川も全部済んだことで、昔に戻せとは言えないのだけど、漁民としては、もう少し、ちょうどいいラインがあるのではないのというところで、ほんとうに死活問題なのです。例えば、真珠の業者とか、ほかの業者、いろいろなところで自殺した人もおりますからね。それはもう社会生活においては、会社でも何でも、やっぱりそういう人は淘汰されて、自殺する人ができるのかなと思うけど、今の漁業を見たら、悲惨だなと思うところです。

○柳座長  いいですか。これは我々の仕事なのですけど、要するに、赤潮と貧酸素水塊が出ないDIN濃度は幾らかというのをちゃんと出して、それに持っていくという話でしょうね。

○大分県漁業協同組合豊後高田支店岩本支店運営委員  ですね。

○柳座長  それは委員会でちゃんとやらせてもらいます。
 すみません。じゃあ、次にデワンカーさんの北九州の話ですけど、何かありますか。よろしいですか。
 じゃあ、最後行きます。最後の大分高専の高見さんの話ですけど、私のほうから。TNで変化ないと言われましたけど、岩本さんが言ったように、DINでは下がっているのですよね。TNとDINは違うので、それはどう考えられますか。

○大分工業高等専門学校高見准教授  私自身で水質を測ったわけではなくて、公開されているものをとったので、何とも言えないのが現状です。

○柳座長  わかりました。
 ほかにございますか。

○岡田瀬戸内海部会長  今の高見先生に対する質問ですが、最後のところでノリを使って毒性試験されていますよね。WET(Whole Effluent Toxicity)、ご存じだと思いますけれども、ここに書いてあるような、いわゆる測れる有害物質以外と、それから塩素─塩素はしょうがないのはわかっていますが、以外で下水の処理水がノリに対して影響を及ぼしたのではないかと思われるようなデータというのはありますか。

○大分工業高等専門学校高見准教授  先ほど示した中では説明不足でしたけれども、消毒をしていない下水も試験しておりまして、それが濃度としては非常に高い、海水中に3割とか、それ以上になってくるぐらいの、これは塩分調整しているのですけれども、それぐらいの割合になると、何が原因かわからないですが、未消毒2次処理水というのがノリの発芽に影響を及ぼすという結果は出ております。

○岡田瀬戸内海部会長  TU─トキシック・ユニットで3とか4くらいで影響が出るということですね。

○大分工業高等専門学校高見准教授  そうですね。

○岡田瀬戸内海部会長  ああ、そうですか。はい、ありがとうございました。

○柳座長  全体を通して何かありますか。
 なければ、まず、松田委員長のほうからコメントをお願いします。

○松田委員長  じゃあ、手短に。
 本日は、本当に8人の方には大変熱心な取り組み、実績ですとか、情報、データ、それから考え方とか現場での実感とかをご紹介いただきまして、大変ありがとうございました。
 私どものこの企画専門委員会では、今日お伺いしたような内容を、ぜひ委員会としての取りまとめに、直接、間接的に反映したいと考えております。今日は時間が限られておりましたので、場合によってはさらにいろいろお教えいただいたりすることがあるかもしれませんけれども、引き続きよろしくお願いいたします。
 本当に今日はありがとうございました。

○柳座長  それでは、最後に、この委員会の親部会であります瀬戸内海部会の岡田部会長からお願いします。

○岡田瀬戸内海部会長  今日は、講師の先生方、お忙しいところをご参加いただきましてありがとうございました。
 お手元の資料の最後のほうに参考資料2があるかと思います。ここに、今まで議論された、例えば、藻場とか干潟とかアサリとか、それからエコツーリズムとか、そういうことは一応書かれているかと思います。本日、それのより具体的な情報をいただいたということで、大変ありがたく思います。
 ただ、それに加えて、やはりというか、意外というか、今までの資料にあまり明記されていない温暖化というか、水温影響のことがありました。環境省で別途調査はしているのですが、ほとんど主たるものが陸、湖に限られていまして、海でこういう形で具体的に、多分問題が出ているというのは、情報としてぱらぱらは聞いていたのですが、水産にまでというところまで来るとほとんどなくて、本当にありがたい情報だと思いました。それから、ごみについても、今のところ必ずしも明快に書かれていなかったと思います。
 そういう意味におきまして、こういうヒアリングを通じまして新たな情報、もしくは新たなご要望を入れていただければ、それは松田委員長が企画専門委員会で取りまとめされていくことになるかと思います。ただ、その過程でも、それから松田委員長が取りまとめられた後の瀬戸内海部会においても、色々な局面で皆様方のご意見をまた伺います。パブリックコメントという形で伺う機会もございます。その途中の過程でも、多分、環境省、松田委員長、我々にしても、随時、ご要望、ご意見をいただいて、まとめていくのが今回の仕事だと思っています。瀬戸内海をどうするか、色々なご意見の方がいらっしゃるということは承知しています。色々なご意見があるからこそ、皆様方のご意見をたくさんいただきたい。それをどう取りまとめるかというのは、これからの仕事になりますが、たくさんの意見がないと、いい形にまとまらないだろうと思います。そう言うと逆に脅しているみたいな感じにもなりますが、ぜひたくさんのご意見をいただいて、これからもこの審議にご協力いただいて、みんなの豊かな瀬戸内海をつくっていけたらありがたいと思います。
 本日は、本当にありがとうございました。

○柳座長  それでは、事務局のほうにお返ししますので、お願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐  柳座長、どうもありがとうございました。また、委員の皆様ありがとうございました。
 本日ご発表いただきました8名の方々、本当に短い時間の中でご準備、それから本日、発表時間のほうも制約がありまして申し訳ございませんでしたが、大変参考となる情報をいただきましてありがとうございます。
 あと、最初の紹介のほうで、会場のほうからもご意見をお伺いすると申し上げましたが、いろいろと意見のやりとり等でお時間のほうがとれなくなってしまいまして、非常に申し訳なく思っております。おわび申し上げます。
 冒頭にも申しましたように、参考資料2としてつけておりますが、瀬戸内海の意見募集を今月いっぱいやっております。本日どうしても発表でご意見を伺える方は人数がどうしても限られてしまっておりますが、ほかにもたくさんいろいろなご意見をお持ちの方がおられると思いますので、ぜひとも、こちらの意見募集のほうでご意見を寄せていただければと考えております。よろしくお願いいたします。
 あと、事務的な連絡でございますけれども、本日の議事録、最初に申しましたように、ご確認いただいた後、発表資料とともにホームページのほうで掲載をさせていただきますので、またそちらのほうもご覧いただければと思います。
 最後になりますけれども、本日、この現地ヒアリングの開催に当たりまして、関係県の皆様の多くのご協力をいただきました。事務局からもお礼を申し上げます。
 それでは、時間を過ぎまして申し訳ございませんでしたけれども、以上をもちまして企画専門委員会の現地ヒアリングを閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。