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中央環境審議会 瀬戸内海部会 企画専門委員会(第3回)議事録


平成24年4月26日(木)

開会
議題
(1)
現地ヒアリングと意見募集の結果報告
(2)
今後の目指すべき将来像のとりまとめ方針について
(3)
今後の進め方について
閉会

午後2時00分 開会

○西田室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会瀬戸内海部会第3回企画専門委員会を開会いたします。
 本日は、皆様お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、4月からこの企画専門委員会の事務局を務めさせていただくことになりました、環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室の西田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の企画専門委員会は全委員にご出席いただいております。また、中央環境審議会瀬戸内海部会より岡田光正部会長にもご出席いただいております。
 委員のご紹介につきましては、お手元にお配りしております参考資料1の委員名簿をもって代えさせていただきたいと思います。
 なお、その中で森川格委員におかれましては、職名が「兵庫県農政環境部環境管理局長」に変更となっておりますので、これをご報告いたします。
 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。
 まず、一番上が本日の次第でございます。その下が資料1−1、瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方に関する意見聴取の結果概要。資料1−2としまして、諮問に関する意見の要点整理。資料2−1、今後の目指すべき将来像のとりまとめ方針(案)。資料2−2としましては、そのとりまとめのイメージを図示したものでございます。資料3は今後の企画専門委員会等の進め方(案)でございます。
 その次からは参考資料でございまして、参考資料1が本日の専門委員会の委員名簿、参考資料2としまして、現地ヒアリングの開催及び意見募集についての報道発表資料、参考資料3は第1回企画専門委員会資料の概要、参考資料4、瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方に関する意見の一覧でございます。
 不足等はございませんでしょうか。よろしゅうございますね。
 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただいております。プレスの方は、これ以降の写真撮影等はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、この後の議事の進行につきましては、松田委員長にお願いしたいと思います。
 松田委員長、よろしくお願いします。

○松田委員長 了解いたしました。
 委員の皆様におかれましては、今日は大変お忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。特に全員出席ということでございますので、恐らく日程調整等いろいろご配慮いただいたと思いますが、大変心強く思っております。
 今日は委員会としては第3回ということになっていますが、ご承知のように3カ所で現地ヒアリングを行いましたので、それにつきましても、委員の皆様には様々な形でご協力いただきました。ありがとうございました。
 今日、予定では16時の終了をめどにしておりますけれども、内容が豊富ですので、時間が一杯一杯になるのではないかと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。
 議事に入る前に、この委員会の議論に関係の深い、国の枠組みに関するいろいろな動きがございますので、事務局からご説明いただきたいと思っております。早速、明日には第四次環境基本計画が閣議決定の予定、それから、本年内に生物多様性国家戦略とか、海洋基本計画についても現在様々な動きがございますので、私どもの議論もそれを踏まえて行う必要がありますし、逆にこちらの議論をなるべくそういったほうにも反映できればと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、室長さんのほうからお願いできますか。

○富坂閉鎖性海域対策室長 それでは、事務局から最近の動きということで幾つかご紹介させていただきたいと思います。
 まず第四次環境基本計画でございますが、去る4月18日に中央環境審議会の総合政策部会から環境大臣に答申をいただきまして、明日4月27日に閣議決定をすると、このような予定となっております。この環境基本計画の中で目指すべき持続可能な社会の姿ということで、低炭素社会、循環型社会、自然共生型社会、こういった3つの分野がございますが、この各分野を統合的に達成していくこと。また、その基盤として安全が確保される社会を確保していく、これが目指すべき持続可能な社会の姿ということで掲げております。
 また、この持続可能な社会を実現する上で重視すべき方向ということで4点挙がっておりますけれども、その中で関連する項目としまして、持続可能な社会の基盤となる国土自然の維持・形成、あるいは、地域をはじめ様々な場における多様な主体による行動と参画・協働の推進、こういったものが挙げられております。
 また、環境基本計画の重点分野としまして、9つの優先的に取り組む重点分野がございます。この中で水環境保全に関する取組というものも一つ柱となっておりまして、流域全体を視野に入れ、地域の特性や生物多様性の保全を念頭に、良好な水環境の保全に取り組むといったことが挙げられております。また、そのほかの分野の中で持続可能な社会を実現するための地域づくり、人づくり、基盤整備の推進といったことも挙げられているところでございます。
 続きまして、生物多様性国家戦略の次期計画ということでございます。こちらは今年の秋、9月ごろに策定するというスケジュールでございます。一昨年の第10回生物多様性条約の締約国会議におきまして愛知ターゲットが設定されております。次のCOP11が今年の10月にインドで開催される予定となっておりまして、これに合わせる形で9月の閣議決定を目指して、現在、中央環境審議会の自然環境部会と野生生物部会の合同部会の下に設けられております小委員会におきまして、愛知目標の達成に向けたロードマップの提示などの検討が行われているところでございます。
 もう一点、海洋基本計画の次期計画については、平成24年度中の策定を目指して検討が進められているところでございます。現行の海洋基本計画は平成20年3月に策定されておりますが、海洋基本法に基づきまして5年後の計画の見直しということが定められております。総合海洋政策本部の事務局におきまして、現在、進捗状況の確認とか課題の抽出が実施されていると、このような状況になっております。
 簡単でございますが、以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 国の関係が深い大きな枠組みとかなりシンクロしている感じでございますので、よろしくご理解のほどお願いいたしたいと思います。
 それでは、早速ですが、議題に入らせていただきます。最初の議題は、現地ヒアリングと意見募集の結果報告となっております。
 本企画専門委員会では、諮問の内容を調査審議するにあたり、瀬戸内海に対して国民の意見を広く伺い、今後の調査に反映することが必要との認識から、ご承知のように現地ヒアリングと意見募集を行ってまいりました。それぞれの結果の報告について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○千野係長 それでは、資料1−1に基づきまして説明いたします。
 まず、意見聴取の趣旨でございますけれども、先ほど委員長もおっしゃいましたように、諮問の内容を議論するにあたりまして、瀬戸内海に対して有している国民の意見を広く伺ってまいろうという趣旨でございまして、第2回企画専門委員会におきまして、広域的な機関からヒアリングをさせていただきました。その後、現地関係者からヒアリングを瀬戸内海の3地域において開催させていただきました。それと並行しまして、電子メールやファックス、郵送による意見募集も行ってきた次第でございます。
 続きまして、意見提出者でございますけれども、広域的な機関といたしまして、瀬戸内海環境保全知事・市長会議、瀬戸内海研究会議、関係漁業団体、国交省、農水省、環境省の主に自然部局になりますけれども、伺ってまいりました。
 2ページにまいりまして、現地関係者といたしまして、瀬戸内海の西部、中部、東部におきまして、それぞれ8名ずつ、自治体や事業者、漁業関係者、NPO団体、学識経験者などからご意見を伺ってまいった次第です。
 3ページにまいりまして、意見募集につきましては、参考資料2に報道発表資料をつけておりますけれども、本年1月16日から2月29日までの期間におきまして、瀬戸内海の現状、今後の目指すべき将来像とか、環境保全・再生の在り方、その他の意見につきまして、電子メールやファックス、郵送にてご意見を募集してまいりました。その結果、個人や団体から計23件のご意見の提出がございました。
 続きまして、各地域のヒアリング結果の報告ということでございますけれども、広域的な機関からの意見は省略させていただきまして、9ページからご説明させていただきたいと思います。
 現地ヒアリング(西部)でございますが、主な対象海域といたしまして、響灘、周防灘、伊予灘、豊後水道といった地域からの意見聴取を2月13日に行いました。出席者は資料のとおりでございます。
 次のページに移りまして、意見の概要等をかいつまんでご紹介させていただきたいと思います。山口県環境政策部自然保護課の末吉主幹から、椹野川河口域・干潟再生事業の取組について、背景や現状、課題といったものをご紹介いただきました。ご提案としまして、里海の再生活動を進めていくことが、豊かな海づくりのステップであろうというご意見でした。
 また、愛媛県県民環境部環境局自然保護課の山中係長より、生物多様性えひめ戦略の策定につきまして、その背景をご紹介いただきました。また、その戦略の海域に関する具体的な行動計画ということで、森・川・海を一体的にとらえた漁民の森づくりといったことをご紹介いただきました。また、今まで環境保全活動に無関心であった人々にどうやって関心を持たせて活動に参加してもらうことができるかといったことが重要であるというご提案をいただきました。
 続きまして、社団法人山口県周南清港会の磯村事務局長より、海面の清掃事業を通した取組のご紹介をいただきました。ご提案といたしまして、産業界の努力として、今後は温排水対策なども実施していくべきであるということや、幼いときから海に親しみ、海を大切にする気持ちを持ってもらうことが重要であるといったご提案をいただきました。
 また、NPO法人自然と釣りのネットワークの藤本理事より、周防大島に生息するニホンアワサンゴの調査や、保全活動及び海域保全活動についてのご紹介がございました。瀬戸内海の今後の目指すべき将来像は今から二、三十年前の生産性の高い風光明媚な瀬戸内海であると。再生・保全の在り方としまして、スムーズな物質循環を目指した里山の整備とか、エコツーリズムといったご提案がございました。
 次のページにまいります。ひびき灘漁協の森本理事より、漁業者が中心となった藻場保全部会の取組についてご紹介いただきました。漁師ができることは藻場の保全とか漁業資源の保全である一方で、漁師では対応できないことについて、地球温暖化に伴う水温上昇の影響とか、それに伴う赤潮といったことをご紹介いただきました。
 続いて、大分県漁協の豊後高田支店の岩本運営委員より、周防灘における漁業者から見た環境の変化についてご紹介いただきました。豊前海においては水温上昇が漁業に直接影響が現れてきたのは平成18年ごろであると。磯焼けや海水温の上昇による魚類の捕食の増大といったものが、豊前海の二枚貝に大きな影響を与えているといったこと。また、近年ではDIN濃度、溶存態の無機窒素濃度でございますけれども、徐々に減少してきているといった紹介がございました。
 続いて、北九州市立大学国際環境工学部・大学院国際環境工学研究科のデワンカー教授より、洞海湾周辺の山・川・海での環境保全活動についてご紹介いただきました。ムラサキイガイでの水質浄化の実験とか、干潟の清掃活動、里山の竹林保全活動といった、環境を守っていく活動だけではなくて、これからは水際線を楽しんでいくんだということでサイクリング活動などもご紹介いただきました。
 続きまして、大分工業高等専門学校都市システム工学科の高見准教授より、大分県沿岸の生物資源の減少と水質についてご紹介いただきました。大きな海区で分けたときの環境基準の達成というのは十分意味があるというご指摘の一方で、局所的な栄養塩不足または局所的な高濃度の栄養塩があるというご指摘、また、生物の生産量を上げていくには、海の中央の水質というよりも、極めて沿岸に近い部分が重要であるといったご指摘がございました。
 以上が、現地ヒアリング(西部)の概要でございます。
 続いて、中部の概要に移ります。中部につきましては、主な対象海域といたしまして、広島湾、安芸灘、燧灘、備後灘、備讃瀬戸といったところを対象に、平成24年2月14日に開催いたしました。出席者は資料のとおりでございます。
 意見内容の概要についてでございます。広島県環境県民局環境保全課の沖本主任より、生物調査などを行っているせとうち海援隊の制度についてご紹介いただきました。ご提案といたしまして、瀬戸内海を住民と行政、NPO団体などが協働してモニタリングしている状態の実現、手軽に調査できる生物を指標とした水環境の基準等の設定といったご提案がございました。
 続きまして、香川県政策部の濱本参事より、備讃瀬戸航路の海上交通の情報についてご紹介いただきました。瀬戸内法はございますけれども、アセスメントをクリアしたら、いまだに藻場や干潟の埋立てといった現状はとまっていないということ。また、瀬戸内海は広域回遊魚の産卵場であり稚魚の育成場という貴重な海域であるという認識が重要であるといったご紹介がございました。
 続きまして、小串漁業協同組合の竹原組合長より、漁業現場から岡山県児島湾の現状についてご紹介いただきました。近年、秋の雨が極端に少なくなって、毎年のようにノリの色落ちが発生しているといった状況。また、夏でも船の上から海底が透き通って見えるということから、海がやせ細ってきているのではないかといったこと。また、海に必要な栄養塩を供給する水質レベルを維持・管理する方法や手段の開発を進めていただきたいといった要望がございました。
 続きまして、香川県かん水養殖漁業協同組合の嶋野組合長より、香川県かん水養殖漁協の漁場保全の取組についてご紹介がございました。平成15年以降は養殖魚が大量斃死する赤潮発生は見られていないことから、今後も引き続き安心して漁業養殖ができる海の状況を維持していくことが重要である。また、近年、ビニール等の浮遊ごみ、海底ごみによる漁業操業の障害が問題になってきているということ。それから、今後の目指すべき将来像として、すべての漁船漁業、魚類養殖業、ノリ養殖業が持続できる海の環境を目指していくべきだという提案がございました。
 続きまして、海洋建設株式会社水産環境研究所の田中所長より、貝殻利用による物質循環の促進に向けた取組ということで、カキ殻を用いた底質改善の取組をご紹介いただきました。その中で貝殻利用技術によってモザイク状のエコトーンをつくっていくことが、上位の生食連鎖につながっていくといったことや、偏在した有機物を鉛直的・平面的に循環させて全体にうまく回していくための有効活用が必要であるというご指摘をいただきました。
 続きまして、公益財団法人水島地域環境再生財団の塩飽研究員より、備讃瀬戸における海底ごみ調査等についてご紹介いただきました。ご提案といたしまして、海底ごみの大半は陸域から発生する一般廃棄物ととらえて、その処理責任を明確にしていくことが重要であるということとか、ごみというのは県境も関係なく流れ、上流からも発生しているということで、陸域も含めて流域圏という考え方で対策をとっていくべきであるといったご提案がございました。
 続きまして、NPO法人瀬戸内里海振興会の田坂専務理事より、干潟の環境学習を通じた保全活動についてご紹介がございました。アンケート結果からきれいな海と魚のたくさんとれる海を期待しているということ。また、環境基準についてはほとんどの方が知らないということと、実感がなかなか湧かないといったご指摘、海を身近なものに感じ大切にしようという機運を醸成していくべきであるというご提案がございました。
 続きまして、広島工業大学工学部都市デザイン工学科の上嶋教授より、瀬戸内海の環境資源を活用したエコツーリズムによる活性化事業の推進ということでご紹介がございました。今後は、エコツーリズムのための施設整備やガイドの人材育成に力を入れるべきであるとか、漁業に必要なエネルギーを海で得るということも、瀬戸内海の活用の一つであるといったご提案がございました。
 以上で中部の概要の説明を終わります。
 続きまして、東部の概要でございます。主な対象海域といたしまして、播磨灘、大阪湾、紀伊水道を対象にしまして、本年2月23日に開催いたしました。出席者は以下のとおりでございます。
 意見の概要に移ります。まず、兵庫県農林水産技術総合センター水産技術センターの反田所長より、播磨灘の栄養塩環境や、兵庫県における漁業実態及び窒素供給の取組事例についてご紹介がございました。栄養塩の長期的な低下がノリの色落ちに関与しているというのは間違いがないということ。その一方で、栄養塩と漁獲量の関係は現時点では明確ではないといったこと。今後は順応的管理の考え方に基づく管理手法を提案していくべきであること。環境省、国交省、農水省の連携による瀬戸内海再生事業の推進といったご提案がございました。
 続いて、大阪湾広域臨海環境整備センターの樋口課長より、大阪湾フェニックス事業と、今後求められる方向性についてご紹介がございました。緩傾斜護岸は場所をうまく選んでやれば多様な生態系をつくれる可能性があるということ。また、今後、埋立事業者として海域環境の再生や創造、環境教育の場の提供、積極的な情報の発信などが要求されていくのではないかといったことをご紹介いただきました。
 続いて、神戸市の須磨海浜水族園の亀崎園長より、大型海洋動物から見た瀬戸内海と、今後の環境管理の方向性についてご紹介がございました。瀬戸内海においてはスナメリは激減しているということでございますけれども、まだ細々と瀬戸内海には生きているといったこと。また、ウミガメが生きていけるようにある程度の漁業の管理(漁期、漁獲量、漁業海域)が必要であるというご提案がございました。
 続きまして、大阪府漁業協同組合連合会の札野副会長より、大阪湾の現状についてご紹介がございました。埋立てで潮の流れが変わり、南部のほうには水が流れていかなくなったので、南部のほうは栄養塩不足でノリの色落ちがある一方、湾奥では栄養塩が豊富で困っているといった状況である。また、稚魚は赤潮を餌にして大きくなっていくということで、赤潮も大事ではないかといったこと。南部のほうにも栄養塩を出す工夫や、大阪湾の水全体をうまく南部にも循環させることができないかといったご提案をいただきました。
 続きまして、明石浦漁協の戎本組合長より、明石の漁業の現状と課題、特に栄養塩と砂の重要性についてご紹介いただきました。10年ほど前からノリの色落ちが頻発し、年々発生の時期が早まっているといったこと。健全な海の生態系を維持していくためには、生物が成育できるのに十分な栄養塩が必要であるということに加えて、生物の生息に砂も必要であるといったこと。また、下水処理施設において規制の範囲内で窒素排出量を緩和する社会的実験の実施など早急な対策を講じることといった要望がございました。
 続きまして、豊かな森川海を育てる会の島本会長より、森・川・海のつながりから豊かな海づくりを考える取組ということで、森の活動、川の活動、海の活動、組織づくりについてご紹介いただきました。行き過ぎた流入負荷削減は生物生産を縮小させ、貧しい海をつくりつつあるといった指摘、最も深刻な問題は貧酸素化でありまして、貧酸素化の解消が豊かな海づくりの中心的な課題である。そして、その対策には埋立てで喪失した干潟や砂浜などの浅海域の復元が最優先であるといったご提案をいただきました。
 続きまして、奈良県立大学地域創造学部、西田教授より、豊かで美しい里海を目指す景観の在り方についてご紹介がございました。自然景観及び文化的景観の保全は、豊かで美しい里海の景観の継承が大切でございまして、豊かで美しい里海というのは基本的に生業の風景を継承していくべきだと。それから、ご提案といたしまして、景観資産の登録、瀬戸内海らしい景観をリストアップして、活性化やツーリズムに生かしていくことはできないかといったご提案がございました。
 続きまして、大阪湾見守りネット、田中代表より、大阪湾見守りネットワークの取組についてご紹介がございました。大事なのは地元住民や子どもたちが関心を持って楽しく海を見られるようにすること。変なものを見つけてもすぐに動けるような仕組みを地域でつくっていくことが重要であるといったご紹介がございました。
 以上が、現地ヒアリング(東部)の結果概要でございます。
 続きまして、意見募集の結果概要に移ります。これにつきましても、意見概要をかいつまんでご説明いたします。
 上から、漁獲量減少の原因としてダム建設の影響を検討すべきではないか。ダム建設と赤潮発生というのは密接な関係があるといったこと。
 また、今後の人材育成は「白砂青松」の松林の再生と浜のアオサを回収する人手の確保が大切であるということ。
 近年、特に1990年以降の栄養塩濃度、特にDIN濃度減少の原因はわからないといったこと。
 また、瀬戸内海の全窒素濃度が外海に面する開放的な海岸と同一の低い水準にあるということ。さらに、瀬戸内海内部では生物が使える窒素濃度はさらに低いといったこと。そして、今後どのようにして豊かな生物が育つ海にするのかを、現在の窒素・リン濃度のレベルについて共通認識を持った上での議論が必要であるといったこと。
 また、錦海湾の未利用跡地について、再生するためのご提案として、堤防の一部を開堤することで広大な藻場が再生して豊かな海になっていくのではないかといったこと。
 また、順応的管理の考え方に基づく下水処理場による栄養塩供給と海域モニタリングによって栄養塩を管理し、生態系保全に向けた様々な施策を実施していくべきであるといったこと。生物生産、環境面でのバランスのとれた窒素とリンの排出規制を実施すべきであるといったこと。
 また、瀬戸内海の海洋生物、生物多様性に関する知見は余りにも少なすぎる、まだまだ議論できる水準にはないといったことから、知見を拡大していく必要ある。そういった意味で、興味を持った人たちが調査に参入・参画するために、ハード、ソフト両面の体制整備が必要であるといったこと。
 豊かな海とは、栄養塩、二価の鉄、マンガン等の存在する瀬戸内海であるということ。
 海底の再生について検討していかなければ、瀬戸内海の再生は達成できないといったご指摘とか、藻場干潟環境税の創設、漁村・漁業の多面的機能をもっとアピールしていくべきだということ。
 一部の水域を実験的に自然の状態に復元する試みの提案。
 また、瀬戸内海の栄養塩濃度は全域で低下、特にDIN濃度の低下が著しいということ。河川からの砂の供給の減少や海底の底質変化に関する調査・研究の推進という提案。
 また、極めて複雑な海の生物生産構造について、科学的プロセスを明らかにした上での施策決定は困難であるといった指摘。
 ノリ養殖以外の養殖業、漁船漁業については、近年の漁獲量、養殖生産量の低迷と栄養塩濃度の減少との関係が明確にされていないということ。湾・灘別等の海域ごとでの特性に立脚した共通ビジョンの策定が求められているといったこと。
 また、森と川を守ることが豊かな瀬戸内海を再生することにつながるといった意見。
 また、環境分野の行政コストを抑える観点からも、住民との協働を前提にした環境政策を導入していくべきであるといったご意見。
 生き物の必須ミネラルである二価鉄イオンを地球自然再生のために活用していくといったご意見。
 窒素・リンを除去・制御するのではなく、アオコ・赤潮を退治するにはこれらの種である休眠細胞を除去するのが最も望ましいといったご意見がございました。
 説明は以上でございます。

○松田委員長 大変ありがとうございました。
 相当膨大な量のいろいろな発表、あるいは、提案いただきました内容をご報告いただきました。
 ただいまの説明に加えて、現地ヒアリングで座長を務めていただいた委員の方から、できればそれぞれコメントをいただきたいのですが。西部、中部、東部の順でお願いしたいと思います。初めに、西部の座長を務めていただきました柳委員から、何かありますでしょうか。

○柳委員 2つありまして、山口県と愛媛県からありましたけれども、海をきれいにする運動というのは、過去はできていて実績が上がっているんだけれども、広がらないという問題があって。誰が考えるのか知りませんけれども、活発な活動は点としてはあるけれども、線あるいは面として広がらないかというのが一点。
 もう一つは、今度の主な目的である豊かな海という意味では、干潟と藻場の例が出ましたけれども、両方とも今のところ絶望的という感じが私はしました。まず干潟の場合、アサリが減っているというのはどこでもあるんですけれども、今月の『瀬戸内海』という雑誌に瀬戸内水区水産研究所の重田さんが書いているんですが、アサリだけではなしに、アサリと同時に、二、三年遅れで例えばアイナメとか、干潟で索餌する魚がほとんど同じカーブで減っているんですね。ということは干潟そのものの生産性が落ちているわけですね。
 アサリの場合には、水温が上がって、ナルトビエイとかいろいろな捕食者が増えてきたというのがあるんですけれども、多分それだけでは済まない、付着珪藻とか、それに基づくベントスとか、干潟の生産そのものが落ちているという話があると思うんですけれども、これはそれぞれのデータがない。瀬戸内海の干潟の生産がどうなっているかというのはモニタリングしていなかったわけですから。ただ、重田さんのデータを見る限りでは、それは類推されるわけです。
 藻場の場合には、磯焼けが水温上昇と関係があるというのがあちこちで言われています。共通しているのは、やはり、ここはDINの話しか出ていませんけれども、DIN、DIPともにずっと落ちているわけです、瀬戸内海の中、平均的には。それが多分、磯焼けにも影響しているし、干潟の付着珪藻、基礎生産で言うと、アサリ、さらにアイナメとか、それが主になっているわけで、基本的に栄養塩をどうするかというのを考えざるをえないのではないかというのが私の考えです。

○松田委員長 どうもありがとうございました。
 大きくいえば2点、一つは海をきれいに豊かにしていくような運動の広がりの問題、もう一つは、豊かな海を実現するための自然科学的なメカニズムの問題ですね。それについてコメントいただいたかと思います。ありがとうございました。
 続きまして、中部の座長を務めていただきました白幡委員から、印象でも結構ですけれども、何かいただけますでしょうか。

○白幡委員 総合的な意味での豊かな海、瀬戸内海の豊かさとは何だろうかということにつながる意見をお願いしておりました。それで、感覚的なところも含めてお話していただくということだったと思うんですが、漁協関係者のほうから海底が透き通って見えるということが、素人目には海がきれいになってよかったなで終わってしまうとの問題提起がありました。海底が透き通って見えることを科学的にどう理解するか、一筋縄では解けない。科学も大事なんですが、自然な感情で、海がこうなっているああなっているという普通の人の反応は、瀬戸内海の豊かさを取り戻せていないという直感からくるもので、それから、海を身近に感じるか感じないかというのは非常に大きいと思うんです。各分野の専門のところでの表現ではこういうことなんだけれども、一般の人々か普通の人たちはどういうふうにとらえているかというのを考えなければいけないなということを強く思いました。
 それから、地域に密着したというか、海に直接接するような民間の運動の中で、どのようなことが問題になっているかが話題に上がりました。どのようなものがより海に親しみを感じさせるかということでは、身近な生物指標という、生き物であるがゆえに、水質の数値とかと違って、総合的に環境がわかるもの、そういう生物指標というのをいろいろなところで見つけていかなければいけないなという話があったと思います。
 ただし、シンボリックな生物は大事ですが、これは商売と同じで、商品というのは中身がよくて立派だから売れるとは限らず、親しみも、それがもっている価値以上に見映えとかおもしろさに左右されることがあるので、瀬戸内海に気持ちをつないでいくという観点で、生物指標としても各地のシンボリックな代表的な生物を出していくのがいいのではないかと、そういうふうなご意見がありました。
 それからもう一つ、中部はもともとツーリズムが盛んだったところなんですが、ツーリズムの将来についての意見がありました。エコツーリズムという言い方はあるんですけれども、年齢層が多様なところにエコツーリズムを持ち込んでももう一つぴんとこないと言いますか、表現としてまだうまく了解されていないんですね。エコツーリズムの中身を具体的に了解してもらい、関心を強く持ってもらうためには、表現もそうなんですけれども、エコツーリズムの特徴、魅力というものをアピールしていく方法が必要ではないかということを、それぞれのご意見を聴いた結果、感じました。
 以上でございます。

○松田委員長 どうもありがとうございました。
 大きく言うと3点ぐらい。海の状態に関する科学的な分析だけではなくて、普通の人が瀬戸内海をどういうふうにとらえているかというような身近な考え方との関連性。それから、生物指標の重要性で、特にシンボリックな生物指標のようなものを考える必要があるだろうと。それから、ツーリズムの有効性については、その中身と言いますか、アピール性や仕掛けを考えていく必要があるだろうと。大体そういうことかと思います。ありがとうございました。
 それでは、東部海域の座長を務めていただきました木幡先生からお願いできますか。

○木幡委員 東部海域も同じように多様な観点からいろいろな発表をいただきました。発表の後で岡田先生、松田先生はじめ委員の方々から積極的な質疑があったんですが、最後に総合討論で会場の方から意見を求めたんですけれども、残念ながらそこのところは少しさびしかったなというのが印象に残っています。実は私自身も、話を伺っていて非常におもしろいものですから、いろいろな質問をしたかったのですが、あいにく時間が非常に押しておりまして、やっと最後のところで時間が間に合ったという感じでした。
 内容的には、この海域は非常に養殖が盛んなんだと思いますけれども、ノリの問題がたくさん出たように思います。それぞれの海域ごとに特色が出ているのかなと感じました。
 それから、今、白幡先生が一番初めに指摘されたんですが、長い間、海を見てきた方々のご意見、もっともなんですけれども、我々の知見と少し違うところもあるのかなと思いまして、その辺はお互いにすり合わせというんですか、話し合いをこういう形でどんどん続けていくのが大事なのかなと思いました。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 現地ヒアリングでの総合討論が必ずしも十分でなかったというのは時間的な問題もあったかと思います。それから、ノリの問題がいろいろなところでたくさん出していただいた。それから、現場でやったということで、現地のとらえ方とここで議論しているものと必ずしも十分合致していない部分については今後議論していこうと、そういうことでよろしいですか。
 3人の座長の先生方、大変ありがとうございました。
 私も3カ所出席させていただいたんですけれども、私自身は現地ヒアリングをやって非常によかったと思いました。現場の様々の立場に即したいろいろな意見が相当出て、現地ヒアリングだけでも大方の意見は出てきたのではないかという気がいたします。ただ、それぞれの発表者がいろいろな切り口でいろいろな基準でお話をしますので、それぞれがうまく整合している場合だけではなくて、非常に大きな考え方の提案みたいものから、非常に具体的な対策みたいなものまでいろいろ混合していますので、それをこの委員会でこれから夏に向けて、昨年まとめた論点整理に照らし合わせながら、とりまとめていく必要があるのかなというふうに思います。どうもありがとうございました。
 ただいまの議題は、議題と言いつつ主に報告中心で、情報共有を図ろうということですけれども、今までの説明やご意見について何かご質問とかご意見ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、議題の2に進みたいと思います。先ほどご説明いただきました諮問に関する意見聴取の結果内容について、第1回企画専門委員会においてご議論いただきました論点の構成に沿った形で、要点を整理したものを踏まえて議論を進めていきたいと思います。すなわち、先ほどご紹介があったのは様々に出された意見ですね。それから、今度こちらで考えてきた論点に沿ってこれをどういうふうに整理していくか。そういうことで、意見の整理について事務局からまずご説明いただきたいと思います。

○千野係長 それでは、資料1−2に基づきましてご説明いたします。
 諮問に関する意見の要点整理ということでございますが、先ほどご説明いたしました意見結果に加えまして、これまでの中央環境審議会瀬戸内海部会や企画専門委員会での委員のご発言も含めまして、事務局にて整理・分類させていただいたものでございます。その整理・分類させていただいたものの要点を資料1−2に掲載させていただいているという状況でございます。
 全体の構成として、Aが環境の現状と課題、Bが今後の目指すべき将来像、Cが環境保全・再生の在り方、Dが環境保全・再生の具体的方策、Eがその他の意見という構成になっております。この構成につきましては、参考資料3にあります第1回企画専門委員会でご提示させていただいた資料の構成を概ね踏まえて、このような意見整理の仕方にさせていただいた次第でございます。今後は、これまでの委員会での議論を中心に、資料1−2の要点整理を参考にしながら、委員会の報告をつくってまいりたいと考えております。
 それから、資料1−2は要点ということでございますので、これに対応する詳細版の資料といたしまして、参考資料4、意見の一覧というものがございます。要点だけですと、少々言葉足らずな部分がございますので、そういったときは参考資料4をご覧になっていただければと思います。
 前置きがちょっと長くなりましたけれども、資料1−2の内容について、今回はBの今後の目指すべき将来像までご説明いたします。
 Aが瀬戸内海の環境の現状と課題ということで、瀬戸内海の価値としまして、「庭」「畑」「道」としての価値といったことに対する意見でございます。追加や考慮すべき観点として、自然への尊重や畏敬の念、現存の自然を手をつけずにどう残していくのか、生物の生息場としての視点、人の暮らしの場、座敷や居間といった視点、海運の環境影響、こういったものを考慮していくべきだと。
 また、優れている点といたしまして、豊かな自然環境資源と海洋文化・歴史、生物多様性に富んだ美しい海であるということ。多様な土地利用と景観の多様性、水中からの景観も美しいといったこと。将来の食料の糧として非常に重要であるといったことでございます。
  次に環境の変遷と課題でございます。まずは水質について。窒素とリンについてでございます。大阪湾以外はCOD、全窒素、全リンの環境基準の達成率は高いということ。全域の値を平均した全窒素や全リン濃度の経年変化はほぼ一定である一方で、沿岸部の全窒素濃度は全域で低下傾向、特にDIN濃度の低下が著しいということ。陸域からの負荷量削減に対する濃度変化への影響は沿岸部で大きいということ。全窒素濃度は外海に面する開放的な海岸と同一の低い水準にあること。1990年以降の栄養塩濃度、特にDIN濃度の減少の原因は不明であること。底泥からの栄養塩溶出フラックスの低下や透明度の上昇、外海の影響もあるということ。また、瀬戸内海の中央部には外海起源の栄養塩は達しにくい構造であること。
 水温についてです。工場からの温排水の影響によってミズクラゲが全域で発生していること。最低水温の上昇による生態系の種組成の変化が起きていること。次のページにまいりまして、夏場の高水温の時期の長期化が起きているということ。
 次に、藻場・干潟・海岸等についてでございます。瀬戸内法はありますけれども、藻場や干潟の埋立ては減少してきているということ。埋立ての海洋生態系に及ぼす環境影響評価においては、希少生物がいないという簡単な評価で一般種は考慮されていないということ。水温上昇による南方性の魚類(アイゴ、ガンガゼ等)の出現により藻場減少の一因となっていること。
 次に、海底・底質の現状でございます。海砂利採取は行われていないんですけれども、既に取り尽くした後であるということ。泥場や砂場が減ってきているということ。表面上の水質改善は進んでいるが、海底の状態はますます悪化傾向にあるということ。河川からの廃棄・漂流ごみが海底に沈んでいること。
 次に景観です。島嶼美や白砂青松の現状といたしまして、松枯れや砂の減少、開発による消滅など、悲惨な状況であるということ。島嶼美を謳う島の環境測定施設がないということ。
 景観の評価につきましては、自然史の風景から人間との関わり方の風景へ評価の仕方がだんだん変わってきているということ。地域固有性や地域らしさを評価する方向に向かっているということ。それから、海に関心を持たなくなった層が増えてきているということ。
 生物多様性でございます。生物多様性の恩恵に多くの人が気づいていないということ。昔いた魚介類が現在ではだんだん見られなくなってきているということ。海洋生物の生物多様性に関する知見は陸上に比べて非常に少ないということ。
 希少種につきましては、砂浜が少なくなったことによりウミガメの産卵が減少し、スナメリは激減しているけれども、まだ細々と生きているということ。
 続きまして、生物生産性でございます。漁業・水産業の現状といたしまして、多種多様な魚介類を多種多様な漁法により漁獲が行われているのが瀬戸内海の特徴であるということ。狭小な海域で複雑に漁業が営まれており、漁場や資源を巡るトラブルが多発していること。漁獲能力は飛躍的に上昇している一方で、漁獲許可は数十年来同じ枠であるということ。水産資源の適切な管理が最大の課題であるということ。
 近年の漁業養殖業生産量は概ね減少傾向であるということ。栄養塩濃度の低下等を原因とするノリの色落ちが頻繁に発生し、地域経済に深刻な影響を与えていること。近年ではノリの色落ちの発生時期が徐々に早期化していること。ノリ養殖だけではなく、漁船漁業も厳しくなってきていること。赤潮発生件数は1987年以降は100件程度で推移し、近年では漁業被害件数に対する被害額は減少傾向であるということ。
 また、栄養塩との関連性では、ノリの色落ちの主たる原因は栄養塩、特にDIN不足であること。昔に比べて秋の雨が極端に少なくなり、ノリの色落ちが発生してきていること。また、ノリ養殖減産の要因は、栄養塩だけでなく、秋の高水温による漁期の短縮、病害、食害もあるということ。栄養塩の長期的な低下はイカナゴなどの漁獲量の減少の一因である可能性があること。漁業生産の低迷に対する貧栄養化の影響は科学的裏付けが乏しいこと。漁獲量とカキ等の養殖生産量と栄養塩濃度の減少との因果関係は明確でないこと。全窒素濃度では検出できない微妙な濃度差が水産業には影響するといったこと。
 また、プランクトン群集の組成につきましては、リンの削減指導の実施以降に大型珪藻が出現してきたということ。プランクトン組成の変化により、とれる魚の種類や量に変化があったこと。また、プランクトン群集は栄養塩濃度の減少に対しても、種が変わるといったようにある程度適応していくということでございます。
 続きまして、海洋ごみでございます。山と川からのごみが減ったことと、台風が来なくなったことにより、海洋ごみは毎年少しずつ減少してきていること。台風や大雨により大量に流入してくる陸上由来の浮遊ごみ、海底ごみにより漁業操業に支障が出ていること。漁業者が回収した後のごみを処理する仕組みができていないためにきちんと回収がなされていないこと。また、海岸清掃ではカキ養殖のパイプ等も多いということがございます。
 続きまして、湾・灘ごとの現状と課題でございます。これにつきましては、全部の湾・灘を網羅しておりませんけれども、ご紹介いたします。
 大阪湾につきましては、浮き魚類の漁業生産は回復してきているが、二枚貝は壊滅したままであるということ。西部や南部でノリの色落ちが発生していること。大規模な埋立てで潮の流れが弱くなって、栄養が湾全体に広がらなくなってきているということ。特に湾奥では栄養が過剰であること。結果的に大阪湾も場所によっては貧栄養化に近づいてきているのではないかということ。
 播磨灘です。1970年以降、透明度は主に北岸に近い海域を除き徐々に改善してきていること。1990年以降、DIN濃度は減少している一方で、PO4−Pはほぼ一定であること。1995年以降の兵庫県における漁獲量の急激な減少とDIN濃度の低下傾向が類似しているということ。1996年ごろからノリの色落ちの発生頻度が高くなり、2003年ごろからは毎年発生してきているということ。さらに、ノリの色落ちの発生時期が徐々に早期化してきていること。また、干潟等の海岸において肉眼で確認できる生物量は明らかに減少してきていること。湾央の海底には有機物が堆積してきていること。海に供給される砂が減少及び小粒化してきていること。
 周防灘・伊予灘・豊後水道についてです。山口湾では干潟の泥質化、アマモ場の減少により漁獲量が年々減少し、アサリは激減していること。山口県側の周防灘では、DIN濃度は減少傾向を示し、特に1990年以降は顕著であること。また、DIN濃度とノリ養殖、アサリ及び漁業の生産量にはいずれも相関があるということ。
 豊前海の水温は徐々に上昇し、2006年ごろから漁業への影響が顕在化してきていること。また、豊前海のDINは減少傾向であること。
 大分県のノリ生産量の減少は栄養塩濃度の低下や高水温、病害、食害が原因であること。大分県の貝類生産量の減少は、近年では栄養塩類の減少や食害が原因であること。大分県沿岸の水質の環境基準はほぼ達成してきている一方で、主要な水産資源が減少したまま回復していないということがございます。
 続きまして、瀬戸内海における今後の目指すべき将来像でございます。「豊かな海」の要素といたしまして、第1回企画専門委員会で事務局から提案させていただいた、きれいな海、美しい海、生物多様性の高い海、生産性の高い海、人々の生活を潤す海、健全な海ということでご紹介させていただきます。
 まず、きれいな海についてです。「澄んだ海」が必ずしも「豊かな海」ではないということ。きれいで、かつ、魚のたくさんとれる海を期待しているということ。
 美しい海についてです。美しい景観や心地よい風景、海に関わる歴史、文化、生業を感じることができる。二、三十年前の生産性の高い風光明媚な海であること。
 続きまして、生物多様性の高い海でございます。多様な生物の生息、在来生物が生存し続けられる海であること。生物多様性にとって重要である場の多様性が高い海であること。
 生産性の高い海でございます。豊かな生態系、生物多様性を持った海域。海底に太陽の光が届き、豊かな海藻が生い茂る海。豊かな海は魚類だけの評価ではなく、食物連鎖によるつながりを考慮すべきであるということ。生物資源、水産資源である魚がたくさんとれる海。赤潮発生がなく、安心して魚類養殖ができる海。稚魚の餌になるような植物プランクトンの赤潮は発生するほうがよいということ。
 1970年から1987年ごろまでの赤潮の発生率が高い時代は豊かな漁場であった可能性があるということ。ノリ養殖も問題なく営まれる海であること。ノリやカキ、コンブ等の養殖業が成立する栄養塩、二価鉄、マンガン等の存在する海。富栄養化でもなく、貧栄養でもない、その間にある適度に水質管理された状態であるということ。生産性はすべてを対象とするのではなく、生物生産性の観点とすべきであるといった意見。
 続きまして、人々の生活を潤す海です。漁業で生計が成り立ち、若い人に引き継がれていく海であること。いろいろな業種の人が共存共栄して生きる海であること。99.9%の漁民以外はツーリズムやいろいろな仕掛けの下で豊かな海を実感していくということ。エコツーリズムによる瀬戸内海の活性化と環境保護の両立ということ。人々に潤いと憩いを与える。気軽に海に親しむことができるということ。
 健全な海です。太く滑らかな栄養塩の循環。陸域から川を通じて栄養塩を含んだ豊かな水と砂が供給される海。漁業活動の対象である大量資源が維持されていることが総合的に豊かさを示す指標であるということ。
 その他「豊かな海」を考える際の観点でございます。合意形成の在り方としまして、まずは総量削減や水質環境基準達成率についての評価をした上で目標について議論していくべきであるといった意見。海に関わる人々による望ましい海域環境の議論結果を環境政策に反映させていく体制の構築と、その中でも漁業関係者の意見を重視していくべきであるといったご意見。また、各要素の対立が発生する場合は、国民の利益につながる要素を優先すべきであるといったご意見。要素を並列してそれぞれ頑張るのではなく、折り合いをつけるプロセスの重視。文化・社会的な面からの目標づくりといったご意見。
 湾・灘ごとの管理の在り方としまして、地域特性を把握し、それぞれの場所で求められている状態を維持していくべきであるといったご意見。湾・灘などの小さなスケールで地域の事情をよく反映した議論がなされるべき。湾・灘別等の海域ごとでの特性に立脚した取組。
 その他でございます。直面している課題は他の閉鎖性海域にとってトップランナー的な役割であるといったご意見。豊かさをすべての価値観から分類したときに欠けている観点を見るべきであるといったご意見。一人ひとりが海の環境に配慮し、地域社会全体の価値が高められた状態であること。住民と行政、NPO団体などが協働してモニタリングしている状態。瀬戸内海に触れる人が、心から瀬戸内海があってよかったなと思えること。これからは子どもたちにも関心を持ってもらったほうがよいということ。瀬戸内海を再生することにより大きな雇用の創出と国民の食料の安定供給が確保されるというご意見。
 今回はここまでの説明にさせていただきたいと思います。説明は以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 それでは、誤解がないようにこの資料の性質について確認させていただきたいと思います。
 初めの議題であった報告は、いつと言いますか、どの現地ヒアリングで、どういう方がどういう意見を述べたというご報告でしたが、ただいまご説明いただいたのは、それをテーマ別に再編成して、そのテーマ性の枠組みはこの企画専門委員会の第1回のときにつくったものにほぼ準じたということですよね。ですから、現段階では、今ご報告があった点はこの委員会でこう考えているということではなくて、いろいろな方がいろいろな場所で述べられた意見をこういう形で整理したと、事務局としては大変なご努力をいただいたわけですが、そういうことでよろしいですよね。

○千野係長 はい、そのとおりでございます。

○松田委員長 ありがとうございました。
 これについて何か、これもある意味報告でございますけれども、ご意見やコメントございますでしょうか。
 なければ、次に、この委員会としていかにとりまとめていくかということで、今後の目指すべき将来像のとりまとめ方針についてということでございます。
 はい、どうぞ。

○大塚委員 ほかの国の会議で、現地ヒアリングに行けなくて申し訳なかったのですが、皆さんご存じだと思いますので、申し訳ありませんが、食害というのは魚の捕食が増えているということのようですけれども、これは海水温の上昇による魚類の捕食の増大ということなので、温暖化が関係しているというふうに見てよろしいんでしょうか。あと、秋の雨が極端に少なくなったとか、水温の上昇ということもあちこちで出ていたんですけれども、栄養塩の話が主だと思いますけれども、温暖化問題が関連しているというふうにご覧になっているのでしょうか。
 科学者の方にぜひお伺いしたいと思います。

○松田委員長 私の理解では、現地ヒアリングで出てきた食害の問題は、瀬戸内海の海水温、特に冬場の水温が上がってきているというエビデンスがあって、従来、瀬戸内海にあまりいなかったような亜熱帯的な魚が入ってきて、それが例えばアサリとかを食べる事例が増えている。大体そういう話だったと思うんですが。
 ちょっと補足していただけますか。それでよろしいですか。

○柳委員 アイゴは藻を食べるんですか。

○松田委員長 アイゴは草食性と言いますか、海藻食性です。

○柳委員 だから、干潟にも藻場にも食害はわかっているんですね。

○浜野委員 すみません、これは小さい意見だったので、この中に要約されていないんですけれども、先生、ご専門かもしれないですが、潮目がなくなったという意見があって。それは大阪府の漁連の副会長から。

○柳委員 大阪湾ですね。

○浜野委員 大阪湾です。波浪の影響が食害に影響するというのは一般には言われることです。波浪が弱まったことによって魚がいろいろなものを食べやすくなったという、そのこともやはり瀬戸内海の外域辺りでは一つの影響はあるだろうと考えています。

○松田委員長 ありがとうございました。
 よろしいですか。

○大塚委員 根本的には温暖化なのかどうか、そこもはっきりしないんでしょうけれども、何かそういう別の影響がありそうですね。

○松田委員長 そうですね、今の海洋構造との関係はどうですか。

○柳委員 大阪湾に潮目がなくなったということはないと思うんですけれども、多分、局所的な問題。調べてみますけれども、今の質問に関しては、温暖化で、さっき松田さんが言われたアイゴとかガンガゼとか亜熱帯の魚が瀬戸内海に入るようになったので。それは我々では制御できないですよね。だから、基本的には温暖化だと思います。

○松田委員長 瀬戸内海で海水温が上がっているというエビデンスはあるんですが、それが地球温暖化と直接つながっているのか、もう少し間接的なものなのかは議論の余地があるところだと思います

○大塚委員 はい、わかりました。

○松田委員長 そういう感じでよろしいですか。
 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、続きまして、2つ目の議題、今後の目指す将来像のとりまとめ方針、この委員会としてのとりまとめ方針に移ります。諮問内容のうち、今回は目指すべき将来像のみ。次回に、先ほど残したところ、再生の在り方をやりますので、2回に分けてやるということで、今日は将来像のとりまとめ方針ということで、そちらについて事務局から案についてご説明いただきたいと思います。

○富坂閉鎖性海域対策室長 それでは、事務局から、資料2−1、今後の目指すべき将来像のとりまとめ方針(案)を準備させていただいております。
 本企画専門委員会におきましては、委員長からもお話ございましたように、瀬戸内海における今後の目指すべき将来像、それから、環境保全・再生の在り方、この2点について意見を求められているものでございますけれども、今回は目指すべき将来像のとりまとめ方針ということで準備をさせていただきました。
 こちらの資料につきましては、参考資料3でございますけれども、第1回のこの委員会で出させていただきました、目指すべき将来像ということで、論点1、豊かな海とはどんな海なのか。それから、論点2としまして、各要素がどの程度であれば豊かな海と言えるのか。論点3、地域が目指す豊かな海を考える際に必要となる視点は何か。このような観点から整理をさせていただいております。
 今回、方針をとりまとめるにあたりまして、第1回の専門委員会では、豊かな海が持っている要素ということで、6つの要素を挙げさせていただいておりました。こちらにつきまして、ヒアリング等いろいろさせていただいた中で、今回、資料2−1で豊かな瀬戸内海を構成する要素ということで、この6つの要素を3つの要素に整理させていただいております。それでは、順に資料を説明させていただきたいと思います。
 まず、今後の目指すべき豊かな瀬戸内海ということで、現状認識でございますけれども、環境負荷の低減について一定程度の成果がみられてきた一方で、過去の蓄積された環境の負荷、新たな環境問題への対応といった課題があるということ。また、瀬戸内海の有するべき価値ということで、「庭」「畑」「道」に例えられる多面的価値・機能が維持され最大限に発揮されている「豊かな瀬戸内海」を実現していくことが、今後の目指すべき将来像であるということでございます。こちらについては第1回の時からあまり変更しておりません。
 2番目は豊かな瀬戸内海を構成する要素ということでございます。これらの「庭」「畑」「道」の価値・機能を維持、最大限に発揮するための構成要素ということで、先ほど申しました「美しい海」、「多様な生物が生息できる海」、「賑わいのある海」の3点に整理させていただいております。それぞれ、大括りで「庭」あるいは「畑」「道」といったものと、ある程度対比させている概念ではございますけれども、全くの1対1対応ということではなくて、それぞれの構成要素ということで整理させていただいたものでございます。
 さらに、瀬戸内海といっても非常に広いエリアを扱っているということ、また、個別の地域ごとにできる課題と、物質移動のように湾・灘を越えて起こり得る話というふうに、大きく2つの視点を持たせていただきました。それぞれ場の視点と流れの視点という形で今回分類させていただいております。また、それぞれの視点からの「豊かな瀬戸内海」の実現のための個別目標を、今回、例ということで整理させていただいております。
 まず、1つ目の「美しい海」でございます。こちらにつきましては、瀬戸内法あるいは水濁法で陸域汚濁負荷の削減が進んだということから、水質保全の取組について一定の成果があったという評価があるであろうと。一方で、水環境について、住民の満足度が低いといったような、国民の実感に合っていないのではないかという観点から、公共用水域である海というものは、今後とも水質に関しては保全していく必要があるという整理でございます。
 美しい海のもう一つの内容でございます景観につきましては、親水空間としての役割、瀬戸内海の景観形成、そういったものを含んでいる自然海岸が失われてきた一方で、人と自然との関係が希薄化してきているという現状認識でございます。これらにつきまして、今後とも良好な状態に保ちつつ、自然景観の保全と利用の調和が図られるという形で、人と海とのつながりを回復させていくことが望ましいということにしております。
 美しい海についての場の視点から見た望ましい姿ということで例示しております。水質汚濁に係る環境基準の達成維持、あるいは、水浴場の透明度の確保といったような、従来の水質の観点でございます。また、景観の観点から赤潮やごみなどによる景観の悪化がないこと。また、瀬戸内海の自然景観の保全・継承・創造といったようなことでございます。また、島嶼美といった独自の景観や生業の風景、海にまつわる歴史・文化・行事が次世代にも引き継がれていくことということでございます。
 続きまして、流れの視点から見た美しい海というものでございます。引き続き、水質汚濁に関しまして、蓄積された汚濁物質については今後とも減らしていくことが重要でございますが、一方で流入する負荷の円滑なフローについては確保していくことが必要なのではないかということ。また、ごみの発生抑制といったようなものが挙げられようかと思います。
 評価指標の例としては、環境基準とか流入汚濁負荷量、あるいは、国立公園などの指定面積、指定延長といったようなものが考えられるのではないかということでございます。
 2点目に多様な生物が生息できる海ということでございます。第1回の時には、生物多様性、あるいは生物生産性という、2つの視点を含めておりましたけれども、海洋の生態系サービス(海の恵み)を持続可能な形で利用していくために、多様な生物が生息できる海というものを望ましい姿として示していくことがよいのではないかということで、このような整理をさせていただいております。
 こちらにつきまして、生物多様性や生物生産性を維持・向上させていくための多様な場の確保、それから、森・川・海を通じた物質循環の円滑化。また、降雨や海流・潮流といった気候システムによる栄養塩等の輸送機構の把握といったものが重要になってくるのではないかということでございます。
 多様な生物が生息できる海の場の視点からの望ましい姿というものでございますが、まず沿岸生態系、海中とか海底、海岸に生息する動植物の種類数が現状以上に保たれ、単一の種が卓越するような状態ではないこと。在来動植物や希少種が今後も生息していけること。また、豊かな生態系を維持する上で重要な機能を果たす藻場・干潟などの保全と場の創出。また、生物生産の場、これらに加えて岩礁とか海底なども含まれようかと思います。こういったものが瀬戸内海の海に偏在せず、十分に確保されていること。
 また、環境基準の類型指定あてはめの利用目的に合った検討といったものが、視点として挙げられようかと思います。栄養塩の観点からは、浮遊魚や底生生物を斃死させる赤潮、あるいは、貧酸素水塊の発生の原因のとならない程度に栄養塩のフローが確保されていること。あるいは、ストックについては底生生物が生存できる環境となるよう十分に減少していることといったようなことがございます。一方で、生物生産性にダメージを与えるような、例えば油流出とか、漁業活動による混獲、埋立て、こういったものについてはその影響を最大限回避、あるいは、適切な代償措置といったものが必要なのではないかということでございます。
 流れの視点からでございますけれども、湾・灘ごとの栄養塩の動態の解析、あるいは、物質輸送機能の把握がなされていることといったようなことが挙げられようかと思います。また、栄養塩だけではなく、砂の供給による砂浜・干潟の維持とか、地球温暖化による生態系変化の把握と今後の予測に基づく適応といったものも考えに入れていく必要があるのではないかということでございます。
 評価指標の例としましては、生物の種類数・個体数とか、藻場・干潟の面積、あるいは、生物生産性に関して流入汚濁負荷量とか漁業生産量。物質循環に関しては、土砂流入量とか、低質の粒度組成といったようなものが考えられようかと思います。
 3点目、賑わいのある海ということでございます。海洋生物の多様性の重要性の認識ということで挙げられておりますけれども、瀬戸内海につきましては、海の恵みを長期的あるいは継続的に利用することによって栄えてきたということがございます。ですので、賑わいのある海を実現していくために地域の資源を生かした取組が必要であるということから、これを3点目の要素として挙げさせていただいております。
 場の視点としましては、自然観光資源の利用と保護の両立が図られていること。あるいは、砂浜や干潟へのパブリックアクセスが確保されていることが重要であるということ。多種多様な生業とか、観光客による賑わい、こういったものがきちんと図られることということでございます。
 また、環境学習とか参加・協働型のモニタリングによって生態系の重要性を認識していくということが挙げられようかと思います。
 続きまして、目指すべき将来像を考えていくにあたり考慮すべき観点ということで、3つの点を整理しております。1つ目は湾・灘規模での地域ごとの特性の把握というものでございます。豊かな海というものを考えていくときに、地域ごとあるいは湾・灘ごとにその環境を取り巻く状況が異なっております。これを、将来像を考えていく上で、瀬戸内海全体という形ではなく、湾・灘の規模で関係者間の合意が図られていくことが重要であろうと考えております。その際には、単独の湾・灘だけはなく、隣接する湾・灘との流れの視点での調整といったことも十分考慮に入れる必要があるということでございます。
 また、栄養塩の供給とか、海洋ごみの発生といったものについては、湾・灘だけの課題ではなくて、上流域を含めた流域圏を一体として考えていくことが必要であるということでございます。
 2点目が里海づくりの手法ということでございます。瀬戸内海の海につきましては、これまでも漁業活動とか、農業、工業といった様々な活動を通じて、瀬戸内海の景観あるいは生活が保たれてきているということが挙げられようかと思います。今後も瀬戸内海の価値を維持し、高めていくために、自然のまま置いておくということではなく、人の手を適切に加えることによって瀬戸内海の価値を高めることが重要であろうと。里海というものはそのような概念で入れ込むべきではないかということでございます。まず、漁村といった規模によって環境保全を行っていくこと、あるいは、環境学習、環境モニタリングといったものが挙げられようかと思います。
 3点目が順応的管理のプロセスということでございます。漁業生産の底上げということで、栄養塩を適切に供給する管理方策というものも求められておりますけれども、栄養塩供給と漁業生産の詳細な関係については解明されていないということがございますし、管理方策の効果や影響といったものについても十分わかっているわけではございません。こういったものについての調査は当然必要でございますけれども、これと並行して、環境改変に人為的に管理し得る範囲で、ある程度の蓋然性が見えた段階で実施し、その後、モニタリングによる検証といったような形で、段階を踏んで改善を図っていくという考え方が必要なのであろうということでまとめさせいただいております。
 資料2−2は、資料2−1のとりまとめ方針(案)として出したものを図化したものでございます。ご参考にしていただければと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ただいまご説明いただきました案が今日の議題の中では中心的な論議の対象ですので、これから少し時間をとって、なるべく活発なご意見を賜りたいと思います。
 この案の性質ですけれども、第2回までこの委員会で検討してきた案に、その後、現地ヒアリングや公募でいろいろ意見をいただいたので、それを取り込んだ一種のハイブリッド型の案ということでよろしいでしょうか。

○富坂閉鎖性海域対策室長 基本的には第1回でお示ししました考え方に、ヒアリングでいただきましたいろいろな意見を踏まえまして、方向付けをさせていただいたというものでございます。

○松田委員長 ありがとうございます。
 それから、ただいまご説明がありました場の視点、流れの視点というのは今回が初デビューですよね。事務局のご苦労の跡がうかがわれるところですが。まだ議論していないので、少しフライイングになるかもしれませんが、私がざっと見せていただいた感じでは、概ね生態系の構造と機能というときのシステムの構造と機能に大体対応するのかなと。それから、フローとストックというのだと、場のほうがどちらかというとストックで、流れの視点のほうがフロー、それから、場の視点のほうがよりスタティックで、流れの視点のほうがダイナミックな感じ、そういうことに概ね対応するのかなと思っています。そんな感じで、それほど間違ってないですかね。

○富坂閉鎖性海域対策室長 一応そのような意味づけも含めながら、場の視点、流れの視点という打ち出し方をさせていただいております。

○松田委員長 わかりました。では、そういったことについてもこれからご議論いただきたいと思います。どういった場面からでも結構ですが、ご意見をぜひお願いします。
 どうぞ。

○柳委員 2つあります。まず1つは、「庭」「畑」「道」というのは、ちょっと誤解があるかもしれませんけれども、陸の場合なら、「庭」と「畑」と「道」というのは同時に扱えないわけですよね。「庭」なら「庭」だけ、「道」なら「道」だけ、「畑」なら「畑」だけと、単独使用しかできないんですけれども、海の場合は、松田さんによれば、ストックが、同時に3つ全部使えるわけですよね。観光が来たら「庭」になるし、漁師が来たら「畑」になるし、運搬船が来たら「道」になるわけですから。それは2−2の表もあるし、文章もちょっとはっきりしていないと思うので、それは頭の隅においてくださいということです。
 もう一つ、3ページの真ん中ですけれども、日本語が全く間違っているところがあるので。(2)の前段の6行目、「こうした豊かな生物多様性生物生産性を維持し向上させるためには、多様な場の確保に加え、森・川・海を通じた物質循環を円滑化していくことや」、ここまではいいんですけれども、次からがおかしいんですよね。「降雨や海流・潮流といった気候システム」、これがまず間違いで、潮流というのは気候システムではないわけですね。気候システムというのは、降雨は気候システムの一部ですし、海流も気候システムで変わるので、もちろん相互作用しているのでいいんですけれども、潮流は全然気候とは関係ないので、ここに入れるのは間違い。
 次はもっと間違いで、「気候システムによる栄養塩等の輸送機構」、気候システムが栄養塩を輸送しているわけではないので、こういうことは学問的にはあり得ない。ここは全面的に変更してください。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 一つはかなり重要なご指摘ですが、「庭」「畑」「道」というのは、陸では2つ同時にできないと言いますか、それぞれ一つしか成り立たないのに対して、海では同時に複数が成り立つことがあり得ると、そういうことですよね。
 それから、2つ目のほうは、今説明あったとおりですが、潮流と気候はメカニズムが違いますので、そこのところについては宿題と言いますか、表現については改めていただくということで。

○富坂閉鎖性海域対策室長 はい、修正をさせていただきます。

○松田委員長 よろしいですか。ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。

○白山委員 私も2つないし3つぐらいのことをコメントさせていただきたいと思います。
 1つは、全体に水質汚濁に関わる環境指標とか、「水質」という言葉がかなり多いんですけれども、海の環境というのは水だけではなくて海底もあるし、そこにいる生物も必ずしもすべてがありがたい生物ではなくて、それこそ赤潮もあれば大腸菌とかいうのもあるし。「水質」という言葉にやや傾きすぎではないかということがあります。
 仮に水質だとしても、さらに言うと、ほとんど栄養塩以外のことは考えていない感じがして。例えば重金属だとか、PCBのような化学物質であるとか、そういうものも、美しい海というのか、多様な生物が生息できる海というのか、どちらにしても必須の環境の一つ、重要な基準だと思いますので、そこにも配慮された構成にしていただく必要があるのではないかということです。
 それから、指標がたくさん並んでいるんですけれども、それぞれの指標が確実に手に入るもので、信頼できるデータとして使えるかどうかという評価がどこかにないと、ただ並べても、結局データがなくてよくわかりませんでしたという話になりますね。しかも、瀬戸内海をかなり広く万遍なく同じ基準できちっと得られるようなデータを、指標を選んでいるということに関する考察をしておく必要があるだろうと思います。例えば、何とかという調査があって、このデータは得られますみたいな出典がどこかに明記されているといいのではないかと。データを得られるための出典がどこかに書かれる必要があるのではないかということが2つ目です。
 最後は非常に細かいことですけれども、先ほどの柳先生の次のところです。「沿岸生態系云々」で、「単一の種が卓越するような状態ではないこと」と書いてあるんですけれども、「単二」でもあまりよろしくないので。あるいは「単三」でも、結局は非常に限られた種類が全体を卓越するような、つまり多様性の低い状態がよろしくないということを述べたいのだろうと思いますので、少しワーディングを変えたほうがいいということ。
 それから、「在来動植物や希少種が今後も生息していけること」という言葉、これが少し怖いかなと。例えばムラサキイガイというのは明らかに外来種なんですけれども、それについては生息していけない場所には絶対できないのがわかっていますから、少しワーディングに注意されたほうがよろしいかなと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございます。
 大きな観点2つと、具体的なご指摘を2ついただいたかと思います。1つは、水質が重視されて、特に栄養塩ですね。今回のこの新しい仕組みづくりは全体としては水質中心主義、具体的には栄養塩中心主義からの脱却というのを目指しているので、全体としても大きなテーマなので、全体としてもう一回見直していただくということでいいですか。

○富坂閉鎖性海域対策室長 もともと環境関係では、「水質」という言葉の中に底質というのを含んだ概念として持ってはいるんです。ただ、見ただけでその辺りがわかりづらいというのはご指摘のとおりだと思いますので、そこは表現として工夫をさせていただきたいと思います。
 それから、重金属、化学物質の話がございましたけれども、瀬戸内海に限らずこういったものをなくしていくというのは自明の話だと事務局では理解しております。それをあえて記載するというのも一つの考え方だと思いますので、委員長とご相談させていただきたいと思います。

○松田委員長 それが1番目ですよね。今の話で、水質が底質も含むというのは一般にはなかなか理解されにくいかなという気もしますので、ちょっとそれもお考えいただくと。
 それから、2つ目が、いろいろな指標が出てきますね、特に生物指標も重要視されていますが、これが実際には評価に値する具体的なデータを得るのが難しいので、実現性と言いますか、現実的な配慮が必要であるということで、できれば既にあるシステムであれば、こういうデータベースのこういう指標とか、なくて、どうしても必要ならこれからこういうモニタリングをやりましょうとか、そういうふうに具体化してほしいと。大体そういうご意見ですよね。これについてはいかがですか。

○富坂閉鎖性海域対策室長 今回、科学的な厳密性という観点でいきますと、いろいろなレベルのものを例として載せていると。そういう意味で「例」という表現をさせていただいているんですが、これらの指標の中には、現在のレベルでも比較とか検討の対象として使えるものもあれば、今後こういったものを考えていく、あるいは、指標としてつくっていかなければならないというようなものもあえて載せてございます。これらについては、委員会の報告をいただきましたら、改めて環境省とか、あるいは、ほかの部署も含めて検討していくべきであるというようなご意見をいただければと思っております。

○松田委員長 ありがとうございました。
 あと2つの具体的なご指摘については、事務局で対応していただけるということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

○中瀬委員 細かい話を先に。「生態系サービス(海の恵み)」というのを2カ所で使っておられますが、供給サービスだけを生態系サービスとして取り上げられて、ほかは結構生態系サービスが入った部分がありますので、どちらなのかというのがちょっと気になりました。これは単なる語句上の問題です。
 2ページの美しい海のところの後ろのほうで、「一方で、島における過疎化や高齢化や暮らしの変化等が相まって、人と自然の関係が希薄化してきたことにより、独自の景観が変化してきている」と。これは全然異存ないです、このとおり書いてあるんです。ところが、6ページの(2)里海づくりの手法の2段落目、里海づくりでは、漁村といった規模において、漁業者が中心となって生業の中で環境保全を行っていくことや、地域住民が主体となってモニタリング、ボトムアップをしなさいと。何か矛盾がありませんか。前段階では高齢化で景観がだめになってきたけれども、手法では漁業者が中心になってもう一回しなさいというのは。
 ここで言いたいのは、漁業者等が中心になって参画と協働でと、そういう話をされたほうがいいのかなと考えます。限界集落などでも、限界集落の人たちだけに任すのではなくて、交流の概念とか参画の概念とかを入れながら都市と農村の交流とか、その概念を入れながらしっかりやっていきましょうと。そこら辺をここに入れられたらいいのかなという気がしました。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 「生態系サービス」という言葉は、一昨年のCOP10ぐらいから随分使われるようになったんですが、日本社会にまだなじんでないところがありまして、これをどういうふうに使うかというのは本当はここでちょっと議論していただいたほうがいいのかなと思うんですね。
 それから、2つ目は、文脈と言いますか、コンテキストを整理するというような形でお願いできますか。
 「生態系サービス」という用語の使い方については何かご意見いただけませんでしょうか。(海の恵み)という形にはしていると思いますけれども。どうですかね。
 それでは、足利さん、お願いします。

○足利委員 2ページの美しい海の2つ目の塊のところで、「国民の実感に合った」……、現代の市民が水環境に求めているものに合わせた海の保全というようなニュアンスになっているんですけれども、実際、例えば干潟に行くと泥がベタベタしていて、打ち上がってくる水も当然濁っていて、一般の人から見るときれいではないんですね。でも、実際は泥の中に生き物がたくさんいて多様性が成り立っているわけで、ある意味、国民の実感に指標を合わせていくというのも必要かもしれないんですけれども、本当に大事なものに対して国民に啓発することで理解してもらうことも必要だと思うので、ここの文章はちょっと工夫していただけるといいかなと思います。
 それから、6ページの里海のところで、4行目の後ろのところに「人の手を適切に加えることによって、里海の手法を」とあるんですけれども、手を入れすぎて壊れちゃっている現状も各地であると思うんですね。里海というのは何もかもが人の手を入れてするというのがすべての里海なのかというと、私の中のニュアンスはちょっと違います。その地域その地域で本来の里海というか、本来の人と海の在り方をきちんと検討した結果をもって、自分たちの目指す里海というものをつくり上げていく、それを目指して再生とか現状の保全をしていくべきであって、こういう括りだと、里海という理想論みたいなものがあって、それに対して日本中の海がみんなそれに合わせていかなければいけないみたいな、ちょっと違うのかなという感じがします。
 そのための合意づくり、その前の項に合意形成の話が出ているんですけれども、地域での十分な合意、里海とは何ぞやというそれぞれの地域の合意に基づいた里海づくりというのをしないと、ちょっと違うのかなと思います。
 もう一つ、先ほど「生態系サービス」という言葉が出ていたんですが、生物多様性という言葉と漁業の生産性というのがイコールなんですよというところが、現場の漁師さんたちには伝わっていない部分か非常に多いんですね。生き物を守る、生き物がたくさんいる場所を守っていくことイコール漁業という認識がまだ現場ではほとんどなくて、現場では漁師さん対環境保全の人みたいな対立型の構図がまだまだ強い状況です。ですから、そういう部分を国民に周知していただくという意味で、ワンセンテンス、もうちょっと解説する文章が必要なのかなという気がします。

○松田委員長 大変有効な意見を3ついただいたかと思います。一つは、美しい海の辺りのところで、国民の実感に合った美しい海をつくることも必要なんだけれども、一方でもう少し本来的な意味から国民を啓発するというとか、本来的に必要なことはちゃんと主張しましょうと。大体そういうことですかね、1点目は。
 それから、2つ目が、里海のところで、人の手を適切に加えるという話だけが一人歩きしないように、もう少し本来の里海の趣旨、あるいは、地域の合意というようなことを表現の中に加えていただきたいと。大体そういう感じでいいですか。
 それから、3つ目は非常に重要な点ですが、生物多様性の確保ということ、本来の意味で漁業とか水産業の食物連鎖の構造、生態系の仕組みから考えて基本になると。けれども、現場では生物多様性保全論者は一種の環境保護論者で、漁業のほうと相反するようなことにもなっているので、そこの本来的なつながりがわかるようにしてほしいと。大体そういうことでよろしいですかね。
 その辺り、事務局としてはいかがですか。大体非常にごもっともなご意見という感じですけれども。

○富坂閉鎖性海域対策室長 今のご意見を参考にしてまた修正をさせていただきたいと思います。

○松田委員長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○鷲尾委員 今のお話と関係するんですけれども、この文脈の中に環境容量とか、あるいは、生態系の適切さみたいなものがあまり書かれていないように思うんです。今、足利さんが2番目におっしゃった点などは、それぞれの場に手を加える限度、あるいは、自然の変遷に順応させる、要は生態系がついてくるのを待つというような観点がないと、手を加えすぎたりということをやってしまうところがあると思うんですね。そういう意味で、環境容量というのはこれまでも議論されてきたところではありますけれども、把握しきれないという点で棚上げにされてきた問題です。ですから、瀬戸内海に関してはぜひそれを検討項目に加えていただきたいということ。
 それから、5ページの下ですけれども、「湾・灘ごとに」というのは、瀬戸内海を画一にということからは一歩前進なんですけれども、例えば大阪湾は湾奥部と淡路島寄りとでは全然違うわけですので、これを「大阪湾」と一括りでやられると、あそこは方法論自身がたたき合いになってしまいます。そういう意味で、以前、水質の海域類型で3つほどに段階分けされておりましたけれども、ああいうところをもう一度見直す中でここはどういう対応が必要なのかということ、湾・灘よりももう一歩踏み込んだ形での対処法が必要になってくると思います。そういった配慮が、今言いましたそれぞれの場での環境容量なり、手をつけなければならない課題を表してくれるのではないかと思います。
 それからもう一つ、「白砂青松」という言葉が文学的表現で出てくるわけで、景観を表すものとして書かれておりますけれども、白砂青松というのはひとつの環境がもたらした結果なんですね。清浄な海水で洗われ続ける砂浜、そして、砂丘の貧栄養な環境下に人の手で防風林として植えられた松林。松林も貧栄養だからこそ青々と繁ってくれるわけですので、これをどこにでもあてはめてしまいますと、矛盾が生じてしまいます。それこそ手をかけすぎということにもなってしまいます。かといって、白砂青松が増えてくるというのは歓迎すべきことなんですけれども、昭和30年以前の環境水準でいいのかということは一点議論しておく必要があると思います。白砂青松が共通の目標だからということで、それをどんどんつくっていくというのは今の議論から言っても問題があるのではないかと思いました。

○松田委員長 ありがとうございます。
 いずれも重要なところですが、3点ご意見をいただいたかと思います。1つは、里海の考え方の中に、人間がポジティブに関わるという面があるわけですが、それは幾ら関わってもいいというよりは、それには限度があるだろうと、それについて触れてほしいということ。環境容量という概念を入れちゃうと、これはこれでややこしいことになるかなという気もします。

○鷲尾委員 そうですね、表現はご検討いただけたらと思います。

○松田委員長 それはご検討いただきたいと。
 それから、もう一つは皆さんご賛同いただけるかと思いますが、5ページの湾・灘規模でやるというのは、瀬戸内海一律の考えから大きな進歩ですが、現地ヒアリングとかこれまでの意見の中でも、湾奥と外は場合によっては大局的に違うということがいろいろなところで述べられています。今の鷲尾委員のご意見は多分そのとおりだと思いますので、これも表現上の対応をお考えいただいていいでしょうかね。ですから、湾・灘規模は必要なんだけれども、それだけでは必ずしも十分ではないという感じでしょうかね。
 もう一つは、白砂青松は瀬戸内海の代表的な景観とされていたんですが、これはそもそもの成り立ちからするとかなり人為的な景観で、柳先生の論文にもあると思いますけれども、これをどう取り扱うかというのは、取り扱う歴史の長さにもよるんですけれども、柳さん、何かありますか。

○柳委員 少なくとも今言われたのは、バタラとか二次林になったという話と、上で地震がなくなったのは、花崗岩が崩壊して出たという話で、今からはもう白砂青松はできないと思うんです。だから、鷲尾さんが言われた、これを目標に何かやろうという人はいないと思う、行政も。

○鷲尾委員 いえ、箱庭的につくられますから。

○柳委員 そうなんですか。書き方は相当難しいんじゃない

○白幡委員 そういったらなくなる可能性はございますね。

○松田委員長 そうですね。

○白幡委員 貧栄養にするという具合に。

○柳委員 だから、松葉かきを絶対やらなければいけないですよね。

○白幡委員 だから、維持・管理はあり得るんですね。

○柳委員 それは賛成です。適当に書いてください。

○松田委員長 少なくとも今ある白砂青松の保全ということは重要だし、可能性もあるけれども、昔の状態を取り戻すということは、白砂青松ができてきたメカニズムからして難しいと、そういう感じでしょうかね。ありがとうございました。
 鷲尾委員、それで大体よかったですか。ありがとうございました。
 そのほか。はい、どうぞ。

○白幡委員 このまとめ方についてですが、私は頭を整頓してきたつもりだったんだけれども、今日聞いてまた難しくなったような気がするんです。論点を漏れなく盛り込むとわかりにくくなる点があると。この委員会の目標は、ここに書いてあるように目指すべき将来像、それは専門家に任せてくださいということではなくて、広く一般の人が抱く望ましい海の国民的なイメージも含めて了解できるようなもの、わかりやすくするということにあったと思うんですが。
 それで、柳先生が出された「庭」と「畑」と「道」という分析では瀬戸内海がもつ「価値として」というふうに書いてあるんですね。「庭」でも庭としての価値が瀬戸内海にあった。それがある面で損なわれていたり、かつてあったものがなくなったりしていると、これを復元するにはどうしたらいいかと。そのときに、木を一杯植えた庭にするのか、石だらけの庭にするのか、いろいろな庭があるので、どういうふうな庭にしますということが将来像として書いてあるとわかりやすい。
 それから、「道」というのも、昨今の地上はアスファルトばかりで、自然では土道が必要だという意見もありますね。それから、馬を走らせるとか、そういうことになったら土道が必要だと。だから、「道」もどのような道にするのかが課題ですね。瀬戸内海を道と見たときに、高速道路的に整備され、立派な客船が行き交う道の時代もあったし、放置されたような寂しい道であった時代もあると思います。それから、「畑」も、単品を植える畑とも言えるし、この「畑」という意味は多様な作物(漁業、産業、ツーリズムなど)があるというイメージだと思うんですよ。これまでの「庭」「道」「畑」というような価値を、かつての瀬戸内海のどれぐらいの状態に戻していくかとか、あるいは、かつてあったよい状態を探して、そこへ近付けていくのかというので、「道」「畑」「庭」というような誰もがわかりやすい分類の中のどんなスタイル、どんな状況に持っていくのかというのを書くのがわかりやすいのではないかと思うんです。

○松田委員長 ありがとうございます。大変重要なご指摘だと思います。
 ただし、全体の流れから、私の理解を紹介すると、この企画専門委員会が担っているミッションは、大きく言うと、昨年度1年かかってとりまとめられた論点整理を具体化したり、優先順位をつけたりする。それに様々な人の意見を入れるということで進めているわけですが、今日のところはまだとりまとめの総論のところですので、ある意味で具体的でないわけですね。
 これに引き続きまして、次回第4回で環境保全・再生の在り方という具体論について触れる予定になっていると思いますので、今、白幡委員からご指摘いただいたところは次回の議題というふうに考えられるかと思うんですが、そこのところはどうですか。

○富坂閉鎖性海域対策室長 次回の部分もちょっと含まれております。ただ、まとめ方として、今回示していますように、湾・灘ごとの特性の把握といったものがございますので、そこはイメージとしてわかりやすいものということの工夫はさせていただきたいと思っております。

○松田委員長 わかりました。どうもありがとうございました。
 せっかくわかりやすい例を出したにしてはまだわかりにくいということかと思いますので。

○白幡委員 1で価値を言って、2で豊かな瀬戸内海を構成すべき要素の中に、美しい海、多様な生物、そして、3が賑わいでしたか。賑わいというのは、最後の評価指標だと潤いに関わる指標なんですが、賑わいと潤いというのは大分違う。賑わいというのは観光などの分野でイメージされるのかなと思ったんですが、「潤い」となると、「庭」「畑」「道」にない生活の観点が必要なのではないかという意見が幾つか出ていたと思うんです。そういう日常的にすばらしいなと思うような、あるいは、落ち着けるなというふうな生活の観点で見る、それがここに入っているのは、全体の構成としてちょっとおさまりがわかりにくいなという気がするんです。ですから、「道」「畑」「庭」の分類というか、シンボリックな表現を、今後の議論の中でどんなふうに付け足していくか、もう一度考え直す必要があるのではないかなと思います。

○松田委員長 ありがとうございました。必要なご提言をいただいたと思います。これについては宿題というか、事務局でお考えいただけますか。
 

○岡田部会長 今の白幡先生のご指摘と似たようなことなんですが、「庭」「畑」の議論は今回割と明示されているんですが、「道」はほとんど事実上書かれてないと。ですから、例えば「道」だと排ガスの問題とか、船の排ガスとか、それを書くかどうかは別にして、道としての機能を瀬戸内海に求めるとすれば、今の船舶は多すぎるのか少なすぎるのか、僕はよくわかりませんし、船舶からごみを捨てる人もいますから、それによって海底ごみもできるとか。それから、道路清掃をするんだったら、海底ごみを清掃するとか。「道」という概念を入れるんだったら、それは十分機能していて、今のままでいいというんだったら、それを目標として合意しておけばいいし、そうでないとすれば、何か書くのか、その辺やったほうが整合性がとれるのではないかと思います。先生はそういうことを別の形でおっしゃったのかなと思ったんですけれども。

○松田委員長 ありがとうございます。
 今の白幡委員の意見にも相通ずるご意見、要するに「庭」「畑」「道」という例を出したからには、それに沿って後も続くような仕掛け、特に現地ヒアリングで、「道」についての議論がないというのをどなたかからもいただいたと思ったんですけれども、それについて対応していくということにしたいと思います。
 木幡先生、どうぞ。

○木幡委員 時間がないところなので、簡単に一言だけ申し上げます。今、委員長から指摘があったところなんですが、私、もしかすると来週出られないかもしれないので、要望だけ伝えておきますと、今お話になったようなこと、ちょっと気になったのは、現状だと瀬戸内海にこだわりすぎているのかなという気がしまして。一番最初に、例えば国の方針ではこうなっているという、海洋基本計画とか環境基本計画の話がありましたように、もうちょっと広い視点から見ることも大事かなと思っています。
 このとりまとめとはちょっと関係ないので、もしかすると前書きのところとか前文とかで少しさわっていただければいいんですが、現状で例えば地球全体から見たらどうかとか、里海などは、柳先生、鷲尾先生は海外展開を盛んにされていますので、もう少し違った価値観みたいなものがどこかにあるのかなと。美しさなども、瀬戸内海の人が瀬戸内海を見て美しいと感じるだけではなくて、世界的に見て瀬戸内海はどれだけの価値があるのかというような視点があってもいいのかなというふうに感じました。
 それから、先ほど大塚先生がご指摘になったように、温暖化の問題がたくさん出てきているわけですが、これから次に向かって緩和と適応ということになりますよね。そういったところのキーワードも少し考慮されたらどうかという感じがしたんですけれども。

○松田委員長 ありがとうございました。
 資料2−1にある今後の目指すべき将来像のとりまとめ方針(案)というのは、あくまで瀬戸内海における案ですけれども、その背景とか、もう少し大きな全体状況等を、ただし書きのような形で触れていきたいと。

○岡田部会長 あと一点、内容についてですが、水質のところで、先ほど言い忘れたんですけれども、東部のヒアリングのときに一つ出たのは、環境基準にしても何にしても、管理の仕方が通年同じようではなくてメリハリをつける、例えば夏と冬で違ってもいいんじゃないかというような考え方がありました。具体的に言うと、貧酸素の問題になるのは夏だと、ノリの栄養塩が問題になるのは冬だと、その辺も少し考慮されたらどうかと思います。

○松田委員長 そうですね、空間的に海域ごとということと、季節別な提案がいろいろありましたので、その辺りをどうするかということ。それから、今日はまだ半分で、次回に環境保全・再生の在り方について、この次の部分ができてきますので、その全体をまとめて端書きみたいなものができるのか、扉みたいなものがつくのか、その辺りを含めて併せてご検討いただきたいと思います。

○浜野委員 ちょっといいですか。

○松田委員長 はい、どうぞ。

○浜野委員 時間も押しているんですが、2点あって、1点は、川の生き物を育てるという視点がこの瀬戸内海の中にないという点ですね。アユのようなもの、それから、モクズガニ、こういうものは瀬戸内海をすごく利用するわけです、ウナギは通っているだけですけれども。そのことが必要です。海という点では、外洋とのつながりで海面漁業ということで括れると思うんですけれども、そこが入っていない。
 2つ目は質問なんですけれども、3ページに浮遊魚と底生生物とあるんですが、浮遊魚とはあるんですか。浮き魚類ですね、これはおかしいなと思います。
 すみません、それだけです。

○松田委員長 ありがとうございます。
 初めの点は、森・川・海という話も出ていますので、川と海を往復するような生物、魚種についてはぜひどこかで取り入れたいと。
 2番目の点はよろしいですよね。ありがとうございました。
 はい、どうぞ。

○西田委員 時間がないので簡単に。美しい海のところで、先ほど「国民の実感」というお話がありましたけれども、この文章の中で「国民の実感に合った指標の検討を行いつつ」という文言が入っていて、それの(1)の3のところで評価指標の例として書かれています。これは多分リンクしていないのか、それともするように意識されて書かれているんでしょうか。
 それから、先ほど委員長のほうからご説明がありました流れの視点と場の視点と2つにわけながら、すべてについてとりまとめておられますけれども、「賑わいのある海」の中の流れの視点が、自然のふれあいの機会の増進と。流れと場という組み合わせが果たして適当なのかどうか。先ほどのご説明でも理解しづらかった部分があります。
 それから、先ほどの鷲尾先生のお話のように湾規模・灘規模ではなくて、この中では盛んに藻場とか干潟の話が出ているので、ぜひとも沿岸とか沖合とか、湾口とか湾奥という区分などもうちょっと小さなスケールでの場の特性を考慮した解析が必要だろうと思っています。
 以上です。

○松田委員長 初めの点は、効能書きで述べているところと具体的な指標がちょっとまだ対応していないのではないか。それから、少し大きな問題ですが、場の視点、流れの視点がまだ十分ここで議論されていないので。本当はもうちょっと議論したいんですが、今日は時間がないので。これはどうしましょうかね。
 ちょっと見たところ、場の視点と流れの視点が逆になっているところとか、項目別ではもうちょっと整理ができるかなという気がするんですね。例えば、3ページの下から2行目辺りのところは、場の視点の中に、フローの話が入っているところも部分的にはありますよね。この点については、後でお話があると思いますが、これから8月に向けて毎月1回ずつやらなければいけないので、今回は宿題ということで、今の点を含めてもう一回事務局で検討し直していただくということでよろしいでしょうか。
 もう一つは、鷲尾先生の意見だったと思いますが、よろしいですか。ありがとうございました。
 大変活発なご議論をいただいたんですが、そろそろ時間がなくなってきましたので、あとのご意見は事務局にメールなりでご連絡いただくということで。今日はたくさんご意見をいただきましたので、十分に踏まえて、今後の審議に有効に利用させていただきたいと思います。
 それでは、委員会の今後の進め方について、事務局からご説明をお願いいたします。

○千野係長 資料3に基づきまして、ご説明いたします。
 今後の本委員会の進め方でございますけれども、今回、目指すべき将来像のとりまとめ方針をご議論いただきましたので、次回第4回では、今回いただいた指摘への対応方針と、環境保全・再生の在り方の同様の提案をさせていただきまして、ご議論いただきたいと思っております。
 また、6月に第5回を開催させていただきまして、環境保全・再生の在り方の提案に対する対応方針ということで議論していただきまして、企画専門委員会の委員会報告の素案をこの段階でご提示、全体がそろったものについてご議論いただこうと思っております。
 その次の7月に、瀬戸内海部会に中間報告といった形で報告させていただきまして、並行してパブリックコメントも行ってまいりまして、部会でのご意見とかパブリックコメントのご意見を踏まえて、8月の第6回企画専門委員会で委員会報告として最終とりまとめのご議論をいただこうと考えております。
 とりまとまりましたら、第12回の瀬戸内海部会で、9月を目標としておりますけれども、委員会報告という形で進めさせていただきたいと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 ただいま資料3でご説明いただきましたように、これからほぼ毎月ということで少しハードになるかと思いますが、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 ただいまご説明で何かご質問ございますか。よろしいですか。
 それでは、ここまでの議論やお話を通じて全体についてご意見、ご発言はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、事務局から連絡事項がもしありましたら、お願いいたします。

○西田室長補佐 本日の議事録についてですけれども、速記がまとまり次第お送りさせていただきますので、ご確認をお願いしたいと思います。全員のご確認をいただいたものを環境省のウエブサイトにて公開したいと思っております。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、第3回企画専門委員会を閉会させていただきたいと思います。今日は長時間非常に活発なご議論をいただきまして、ご協力ありがとうございました。

午後4時00分 閉会