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■議事録一覧■

中央環境審議会 瀬戸内海部会 企画専門委員会(第2回)議事録


平成23年12月19日(月)

開会
議題
(1)
前回指摘事項について
(2)
関係機関・関係省庁へヒアリング
  • 瀬戸内海環境保全知事・市長会議
  • 瀬戸内海研究会議
  • 関係漁業団体
  • 国土交通省
  • 農林水産省
  • 環境省
(3)
現地ヒアリング等の進め方について
閉会

午後2時00分 開会

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 本日は、お忙しい中、ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会瀬戸内海部会の第2回企画専門委員会をはじめさせていただきます。
 本日の会議でございますけども、中央環境審議会の運営方針に基づきまして、公開とさせていただいております。よろしくお願いいたします。
 本日の出席の状況でございますが、委員12名中、10名のご出席をいただいております。
 それでは、最初に、前回、ご紹介をできませんでした委員のご紹介をさせていただきたいと思います。
 最初に、埼玉県環境科学国際センター研究所長、木幡邦男委員でございます。

○木幡委員 木幡と申します。前回、ちょっと所用で欠席させていただきました。
 今日、申し訳ありません、ちょっと途中で中座いたします。あまり出ていないと、新参者なのに生意気だとか思われかねないので、顔合わせのようなことになってしまいますけれども、今日はごあいさつだけで出席させていただきました。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 ありがとうございます。
 続きまして、大阪大学大学院工学研究科教授の西田修三委員でございます。

○西田委員 西田でございます。私、大阪湾及び大阪湾に流入する河川で調査などをやっております。どうぞよろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 ありがとうございます。
 続きまして、兵庫県農政環境部環境管理局水大気課課長の森川格委員でございます。

○森川委員 森川でございます。前回、欠席して、申し訳ございませんでした。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 ありがとうございます。
 なお、本日でございますが、大塚委員、柳委員につきましては、ご欠席とのご連絡をいただいております。
 続きまして、本日、ヒアリングをさせていただきます、関係機関・関係省庁の方々にもご出席をいただいておりますので、ご紹介をさせていただきます。
 まず、関係機関といたしまして、委員の皆様から見まして右奥のほうからになります。瀬戸内海環境保全知事・市長会議から、兵庫県農政環境部環境管理局長の築谷尚嗣様でございます。

○築谷兵庫県農政環境部環境管理局長 築谷でございます。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 そのお隣でございます。瀬戸内海研究会議から、香川大学農学部生命機能科学科教授の多田邦尚先生でございます。

○多田香川大学農学部生命機能科学科教授 多田です。よろしくお願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 それから、続きまして、関係漁業団体から、兵庫県漁業協同組合連合会代表理事会長の山田隆義様でございます。

○山田兵庫県漁業協同組合連合会代表理事会長 山田です。よろしくお願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 次に、関係省庁といたしまして、国土交通省から、港湾局国際・環境課港湾環境政策室の小池室長でございます。

○小池国土交通省港湾局国際・環境課港湾環境政策室長 小池でございます。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 同じく、水管理・国土保全局河川環境課、高畑課長補佐でございます。

○高畑国土交通省水管理・国土保全局河川環境課長補佐 高畑です。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 次に、農林水産省から、大臣官房環境政策課、林課長補佐でございます。

○林農林水産省大臣官房環境政策課長補佐 林でございます。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 続きまして、水産庁瀬戸内海漁業調整事務所、提坂所長でございます。

○提坂水産庁瀬戸内海漁業調整事務所長 提坂と申します。よろしくお願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 こちら側に参りまして、私の左手でございますが、環境省自然環境局総務課自然ふれあい推進室、田邉室長補佐でございます。

○田邉自然環境局総務課自然ふれあい推進室長補佐 田邉と申します。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 同じく、自然環境計画課、福島専門官でございます。

○福島自然環境局自然環境計画課専門官 福島でございます。よろしくお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 同じく、国立公園課、佐々木専門官でございます。

○佐々木自然環境局国立公園課専門官 佐々木です。よろしくお願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 ありがとうございます。ヒアリングの関係の皆様、本日はよろしくお願いいたします。  続きまして、本日、お配りをしております資料のほうの確認をさせていただきます。
 お手元に議事次第、それから委員名簿、配席図があろうかと思います。
 それから、資料1といたしまして、前回指摘事項と対応方針についてという1枚ものでございます。
 それから、資料の2−1から2−6まで、本日、ヒアリングでご発表いただきます関係の資料がございます。2−1、2−2、それから2−3は1枚もの、2−4、2−5、2−6となってございます。
 それから、資料の3−1といたしまして、企画専門委員会現地ヒアリングの進め方について(案)というものが1枚、資料3−2が、瀬戸内海が目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方に関する意見募集の実施について(案)というものが1枚。
 それから、参考資料1といたしまして、第1回の専門委員会の議事録。
 それから、参考資料2といたしまして、陸上風力発電の導入ポテンシャルと最初に書いてあります資料が1枚。
 参考資料3−1といたしまして、瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方についての審議状況というものが1枚と、参考資料3−2といたしまして、補足説明資料というものをお配りをしております。  それから、また、各委員のお手元には、前回同様、瀬戸内海の環境保全資料集という冊子と、瀬戸内海環境保全基本計画フォローアップの第8回瀬戸内海部会版というものをご用意させていただいております。こちら2点につきましては、委員会終了後、席のほうに置いておいていただければ、また次回以降、使わせていただきたいというふうに存じます。
 なお、参考資料1でございますけども、第1回の議事録でございますが、こちらのほうは委員のみの配付とさせていただいております。傍聴の方々につきましては、同じものを既に環境省のホームページのほうで公開をしておりますので、恐れ入りますが、そちらのほうをご覧いただければと存じます。
 資料のほう、不足等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、プレスの方、これ以降、写真撮影等はお控えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、この後の議事進行につきまして、松田委員長、よろしくお願いいたします。

○松田委員長 松田でございます。本日、委員の皆様、それから関係機関、関係省庁の方、お忙しい中、ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 本日は、この企画委員会の第2回目でございます。それで、お手元の議事にありますように、3題、議題がありますけれども、この2番目の関係機関・関係省庁へのヒアリングという、特に今日、ご出席の皆様からご発表、情報提供いただくところが主眼でございますので、どうかよろしくお願いいたします。
 本日、これから、大体午後5時ぐらいまで、約3時間の少し長丁場になりますけど、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。
 初めに、前回指摘事項について、事務局からご説明をお願いいたします。

○千野閉鎖性海域対策室主査 それでは、資料1に基づきましてご説明申し上げます。資料1のほうをご覧いただけますでしょうか。
 これは、前回指摘事項と対応方針についてということでございまして、企画専門委員会の第1回で各委員のほうにご意見を伺いましたので、その出された意見に対しての対応方針の案ということで、説明させていただきます。
 左の列が主な指摘や意見でございまして、右が対応方針というふうになっております。
 まず初めに、前回の企画専門委員会のほうで、事務局より、「道」としての価値、「庭」としての価値、「畑」としての価値という三つの価値について、ご説明申し上げましたところ、三つの価値にもう一つ、ありのままの自然というものを手をつけずに、どうやって残していくのかという観点が必要であるとか、また、座敷や居間みたいな観点というのも必要ではないか。それから、また、人に偏り過ぎているのではないか。また、暮らしや生活といった観点も重要ではないのか。また、「道」という言葉があるけれども、それについての記載というものはほとんどなかったと。そのようなご指摘があるところでございます。
 これらについての対応方針というものは、三つの価値について提示させていただいたわけですけれども、今後、瀬戸内海における今後の目指すべき将来像と環境保全・再生の在り方の論点(案)、これは前回の第1回企画専門委員会のほうで提示させていただいた資料でございますけれども、それにおいて議論することとしております、「豊かな海」のベースとなっている考え方でございます。
 三つの価値につきましては、ご指摘や今後のヒアリングでのご意見を踏まえて、「豊かな海」について整理していきたいというものでございます。これは、必ずしも三つの価値について再定義するというものではありません。「豊かな海」について整理する上で、ご指摘の観点も踏まえたものにしていくということでございます。
 続きまして、三つの価値と五つの基本的考え方、論点が六つと、どのようなレベルで議論していけばいいのか見えにくいというご指摘、また、時間のスケールや平面的なスケール、その辺の視点、また、重みづけというのが非常に重要であると、そのような意見をいただいたところでございます。
 基本的に論点のほうをこちらで示させていただきまして、これも議論していただきたいものではあるのですけれども、時間のスケールや平面的なスケール、各取組の重みづけについて、今後のご指摘やヒアリングのほうを踏まえて、最終的にはわかりやすいように整理させていただくというところでございます。
 次に、三つ目としまして、窒素とりんの規制によってどういう現象が起きているかという検証でございますけれども、これについて、どの程度進んでいて、今どういう段階にあるのかといった質問でございましたけれども、どういう現象かというところで、水質に関しましては、第7次水質総量削減の在り方の検討におきまして、窒素やりんの削減状況と、窒素やりん濃度、環境基準達成率等の関連等の検討というものを行っております。ご指摘のあるノリの色落ち等につきましては、関係機関のほうで調査研究が進められているところというふうに聞いております。そうした知見を収集し、整理し、管理方策と合わせ、今後、さらに検討を進める必要があると考えております。
 それでは、裏面のほうを見ていただけますでしょうか。
 前回、瀬戸内海で風力発電はどのくらい有望ですかというご質問がありましたので、参考資料の2のほうをご覧いただけますでしょうか。一枚紙になります。
 風力発電は、大きく分けて、陸上風力発電と洋上風力発電ということでございまして、上が陸上風力、下が洋上風力というふうになっております。導入ポテンシャルということでございますけれども、風力発電にどれくらい適しているのかと。地理的な条件がどれくらい適しているかといったような図でございまして、左の風力発電の導入ポテンシャルの推計条件ということで、基本的にその条件から除外している開発不可条件というものを示しております。国立公園といった規制によって、そもそもポテンシャルからは除外しているといった条件でのポテンシャルになります。
 右の図が導入ポテンシャル図になりますけれども、基本的には風速によって分布を示させていただきまして、赤色が風力が強いという図でございます。
 陸上におきましては、各種規制によって、また、風速区分によりまして、特に瀬戸内海というのは、社会的な条件、地理的な条件からは、特に全国に比べたら適していないというような状況でございます。  下の洋上風力発電につきましても同様でございまして、洋上風力におきましても、国立公園といった規制があるところを除外して、導入ポテンシャルを出してみたところ、一部、紀伊水道や豊後水道といったところで、多少ポテンシャルはあるというところでございますけれども、一般的に言われているように、東北や北海道というところが有望であるというところでございます。
 資料の1のほうに戻りまして、ご説明申し上げます。
 海洋関係の自然環境情報データベースといったものはどのような状況になっているのかといったご指摘でございますけれども、これにつきまして、全国を対象としたものでは、海洋情報クリアリングハウスというものがございまして、国内の各機関がそれぞれ保有しています海洋情報の概要や入手方法などの所在情報をデータベース化し、情報提供しているものでございます。
 その下のCeisNet(沿岸海域環境保全情報)というものがございますけれども、これは油の流出によって影響を受ける自然環境、藻場や干潟やウミガメの産卵地などですけれども、各種施設等の所在地に関わる情報というものを提供するデータベースでございます。
 また、瀬戸内海を対象としたものでいきますと、瀬戸内海環境保全情報センターというものがございまして、このホームページの中にクリアリングハウスといったコンテンツがあります。瀬戸内海の環境情報の検索とデータの入手というものが可能になっております。
 また、せとうちネットというものでございますけれども、これは瀬戸内海の環境に関する情報というものが網羅的に掲載されております。
 また、現在、海洋情報を一元化したデータベースの構築に向けた検討というものが政府のほうで行われているというふうに聞いております。
 続きまして、最後の点なんですけれども、色落ち問題について、条件の整うところであれば、何らかの社会実験をできないかと。また、そのような実験を行って、長期的なプランに生かすことは検討できないかといった指摘、また、ダム湖の緊急放流などの社会実験のようなものが行われておりますので、情報を集めて、取りまとめに役立てるとよいといった指摘がございます。
 これにつきましては、播磨灘等で行っております海域の物質循環健全化計画(ヘルシープラン)において実証試験というものを実施しているところでございます。その検討状況や、各地で行われているダム湖の緊急放流、また、下水処理場の季節運用等の取組も参考に、今後の方向性といったものを本委員会のほうで整理させていただきたいと思います。
 以上で、資料1のほうの説明を終わらせていただきます。

○松田委員長 ありがとうございました。ただいま事務局から、前回第1回での指摘事項と主な対応方針について、ご説明いただきました。
 前回は第1回でございましたので、特に何か具体的なことが決まったというようなことではありませんで、情報共有ですとか、今後どういった議論をするか、そういったようなことについて議論がなされました。
 ただいまのご説明に対して、何かご質問やお気づきの点はございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、2番目の議題、今日の中心課題でございますけれども、関係機関・関係省庁へのヒアリングに移らせていただきます。
 まずは、事務局から、この議事のヒアリングの進め方について、ご説明いただきたいと思います。

○千野閉鎖性海域対策室主査 議題の2といたしまして、関係機関・関係省庁からのヒアリングということでございまして、本日のヒアリングというものは、前回の企画専門委員会でご確認いただきましたように、瀬戸内海全般に関わる広域的な機関といたしまして、瀬戸内海環境保全知事・市長会議、瀬戸内海研究会議、関係漁業団体及び関係省庁からご発表をいただくこととしております。
 ヒアリングの進め方につきまして、簡単にご説明申し上げます。
 関係機関及び関係省庁からご発表をいただきますが、発表時間は、各機関とも、質疑応答を含めまして20分を予定しております。各機関・省庁の皆様には、質疑応答の時間を確保するために、15分を目安にご発表をいただきますようよろしくお願いいたします。
 それと、発表につきまして、パワーポイントで発表される方は、発表席のほうにご移動いただきまして、質疑応答もその席でお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○松田委員長 ありがとうございました。ただいまご説明がありましたように、各発表者の方々には、大変時間が短いので恐縮でございますけれども、それぞれ15分ということで、ご協力いただきますようよろしくお願いいたします。
 発表のご準備されている方のほうから、今の説明に対して何かわからない点、ご質問ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、早速ですけれども、初めに、瀬戸内海環境保全知事・市長会議からご発表をいただきたいと思います。築谷様、よろしくお願いいたします。

○築谷兵庫県農政環境部環境管理局長 瀬戸内海環境保全知事・市長会議の事務局を兵庫県で担当させていただいております。兵庫県の環境管理局長、築谷でございます。
 今日は、このような場で意見表明の機会を与えていただきましたこと、非常にありがたく思っております。
 それでは、瀬戸内海の再生のための重点方策につきまして、意見表明させていただきます。
 まず初めに、瀬戸内海環境保全知事・市長会議の概要を簡単に説明させていただきます。 設立は昭和46年7月でして、高度成長期に水質汚濁が進んだ瀬戸内海の水質改善、環境保全を推進するために、兵庫県、広島県、香川県、3県の知事の提唱によりまして設立されております。
 構成団体は瀬戸内海の沿岸及び上流域の府県市でございまして、現在、13府県、7政令市、13中核市となっております。
 これまでの主な取組としましては、瀬戸内海の環境保全のための特別立法等を要望いたしまして、昭和48年の瀬戸内海環境保全臨時措置法の制定、また、53年からの恒久法、瀬戸内海環境保全特別措置法に結びついております。この法律によりまして、特定施設の許可制、CODの総量規制等が実施されました。また、りん等の総量削減指導がこの法律に基づいて始まりました。  近年の知事・市長会議の取組としましては、瀬戸内海環境保全のための特別立法を要望しまして、平成16年から新たな法整備を目指して取組を開始しております。平成19年には「瀬戸内海再生方策」を取りまとめまして、141万人の署名とともに国に対して特別要望を行っております。
 この「瀬戸内海再生方策」の主なものとしましては、藻場・干潟等の浅場の整備や、底質の改善などによる「豊かな海」の実現、また、海洋ごみの適正な処理ルールの確立、里海として再生するための法整備などを盛り込んでおります。
 ここからが今日の本論の意見表明に入らせていただきます。
 まず、瀬戸内海の目指すべき将来像としましては、一言で言えば、「豊かな海」に尽きると考えております。
 以下は、知事・市長会議の構成員の方々からのいろんなご意見をもとにまとめておりますが、一つには、高い生物生産性と生物多様性でして、水産資源が豊かなこと、多様な生物が生息していること、そのために太く滑らかな栄養塩の循環があることなどと考えております。二つには、すぐれた景観・風景が挙げられます。また、三つには、文化でして、海に関わる歴史や文化を感じ取ることができることが挙げられます。そのほか、レクリエーションなどが挙げられております。
 そして、「豊かな海」を考える際の視点としましては、漁業で生計が立てられ、産業として成り立つこと、行政、地域住民等の多様な主体による適切な役割分担と相互協力・連携などの視点が必要との意見が出てまいりました。
 次に、今後重点的に取り組むべき事項でございますが、栄養塩の削減から適正管理への転換、また、瀬戸法の許可制度の検討など、合計7項目を挙げております。
 このスライドは、瀬戸内海全体での全窒素(T−N)濃度、全域の平均値を挙げております。全窒素濃度と漁業生産量の推移を挙げております。T−Nは折れ線グラフで表しておりますが、減少傾向でございます。また、これに合わせるように、棒グラフの漁業生産量も減ってきております。
 このスライドは、瀬戸内海全体での全窒素(T−N)濃度、全域の平均値を挙げております。全窒素濃度と漁業生産量の推移を挙げております。T−Nは折れ線グラフで表しておりますけども、減少傾向でございます。また、これに合わせるように、棒グラフの漁業生産量も減ってきております。
 このスライドは、兵庫県でのデータになりますけれども、同じく、T−Nと、こちらでは漁船漁獲量の推移を示しております。先ほどのスライドと同じように、どちらも減少傾向にあることがわかります。このスライドでは、大阪湾を除いた播磨灘のT−N濃度を赤い折れ線グラフで示しております。播磨灘でも減少傾向が続いています。
 第6次の総量削減計画の策定のための基本方針、この中では、大阪湾を除く瀬戸内海においては、現在の水質からの悪化を防ぐことを目途としてと定められておりまして、従前の水質改善から、非悪化に転じたところです。兵庫県におきましても、原則として、規制基準は強化せずに、第5次と同じとしておりましたが、実際の水質は、このように下がり続けています。環境基準を満足するようになったのはいいことなのですが、このように下がり続けるのは、生物生産性の面でどうかという動きとなっております。
 次のスライドは、これは播磨灘におきます冬場の無機態窒素濃度とノリ生産量の推移です。変動はありますが、概ねどちらも減少傾向となっています。溶存無機態窒素(DIN)が1リットル当たり3µmolを下回ると、ノリの色落ちが発生すると言われており、最近では、平成19年度、22年度がこれを下回っておりまして、生産量も減少しております。このようなことから、まずは「栄養塩の削減から適正管理への転換」に取り組むべきと考えております。その一つに、窒素、りんの総量削減制度の見直しがあります。最近の水質を見ますと、瀬戸内海の多くの水域では、窒素、りんの環境基準は確保されており、生物にとっての必須の栄養素である窒素、りんについて、総量削減を行う状況ではなくなってきていると思います。そこで、瀬戸内海を指定水域から除外していただきたいと考えております。
 なお、大阪湾の取り扱いについては、検討が必要かと思います。
 二つ目には、瀬戸法での指定物質削減指導方針等に係る法改正でして、「富栄養化による被害の発生の防止」のための節が設けられています。この節は、水質汚濁防止法に基づく窒素、りんの総量規制が始まるまでの間に行政指導により削減指導をしていたときの根拠条文であり、現在では意味のないものとなっております。そこで、「富栄養化による被害の発生の防止」から、「栄養塩に係る健全な物質循環の確保」に係る節に改正して、例えば環境大臣が窒素、りんの指定物質の循環健全化基本方針を示して、関係府県が指定物質の循環健全化計画を策定するなどの規定を設けられるよう検討をお願いするものです。
 三つ目は、窒素、りんの環境基準でして、これより下がってはいけないという下限値の設定であるとか、季節別基準値の設定なども必要ではないでしょうか。これまで、知事・市長会議として、新たな法整備を求めてきた基本的な考え方に変わりはございませんが、速やかな法整備が難しい場合は、できるところから現行法の改正に早急に取り組んでいただきたいと考えております。
 先ほど説明した状況を踏まえまして、兵庫県内では、冬場のため池からの放流や、下水道の栄養塩管理運転など、栄養塩循環のための取組が行われるようになってきております。 
 このスライドは、兵庫県内で漁業者の要請を受けて、下水道が試行しております栄養塩管理運転の取組事例でございます。この処理場は、標準活性汚泥法でして、通常時は窒素の半分程度は硝酸態窒素にまで酸化して放流しております。冬場におきましては、曝気量を極力絞りまして、硝化抑制運転を行っております。この結果、全窒素は9月に12mg/lであったのが、11月には20mg/lと、1.7倍に上昇しております。また、曝気のための電力量は、月当たり19万3,000kWhが11万9,000kWhと、6割程度に減少しております。省エネ効果もあるというものです。この窒素増加の効果は、硝化促進運転の場合は、最終沈殿池などで硝酸態窒素の脱窒が起きていたものが、硝化抑制運転でアンモニア態の窒素が大部分、9割程度となるために、脱窒はあまり起きずに、窒素が増加しているものだと考えておるところです。
 次に、瀬戸法の許可制度の合理化にも取り組むべきと考えております。
 昨年度、知事・市長会議の課題検討会で議論しまして、環境省に提出したものでございます。現行の瀬戸法では、特定施設を設置する場合、許可制となっており、事前評価書の添付、告示、縦覧手続が必要であり、事業者、行政の双方にとりまして大きな負担となっております。負荷量が増える場合は必要な手続と思いますが、排出水の汚染状態及び量が増加しない場合は、この事前評価書の添付、告示、縦覧は、不要と考えます。
 また、特定施設の設置とあわせ、汚水処理等に変更がある場合は、設置許可申請と変更許可申請の両方が必要となっておりますが、多くの書類が重複します。このため、設置と変更の一括申請を可能とするような改正を要望いたします。
 次に、藻場・干潟の整備でございます。
 下にグラフで示しておりますように、藻場・干潟とも減ってきておりますので、藻場・干潟等の創出・再生、埋立て事業者による藻場造成等の代償措置が必要と考えます。
 なお、藻場につきましては、1990年までのデータしか得られておらず最近のデータがないことも気になるところでございます。
 次に、海洋ごみ対策です。
 平成21年に海岸漂着物処理推進法が制定され、漂着ごみにつきましては、処理責任の明確化、また、国の財政措置等が規定されました。そして、21年度から23年度までは、グリーンニューディール基金により、漂着ごみの回収処理費用が措置されております。非常にありがたく思っております。しかし、24年度以降の予算措置が、今の概算要求を見せていただきますと、予定されていないことも課題と感じております。何とか引き続き、予算措置をお願いします。
 また、漂流ごみ、海底ごみにつきましては、処理責任等は不明確なまま残っており、これらにつきましても、法整備等をお願いします。
 次に、河川流域を含めた対策としましては、河川からの砂や栄養塩の供給、ごみの流出防止などが必要と考えております。
 それから、調査・研究ですが、物質循環、栄養塩に係る研究、また、これらと生物との関連につきまして研究が必要であると考えており、知事・市長会議からも瀬戸内海研究会議に委託しているところです。
 普及啓発につきましては、食、文化、遊びを通じた普及啓発活動が有効であると考えております。
 最後になりますが、できるところから少しずつでも早急に取組を進めていくべきと考えております。
 以上で、瀬戸内海環境保全知事・市長会議からの意見表明を終わります。どうもありがとうございました。

○松田委員長 どうも大変ありがとうございました。具体的なご提案を含めて意見表明いただきました。
 これについて、何かご質問等いただきたいのですけれども、いかがでしょう。
 特に築谷様は、この後、所用のため、ちょっと最後までご同席できないということで、途中退席の予定ですので、この際、あるいは、この知事・市長会議のほうにお伺いしたいことがありましたら、今の時点でお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○鷲尾委員 よく取りまとまったご報告をいただきまして、どうもありがとうございます。  この中で、16ページのところに、藻場・干潟の推移というところのご報告をいただいた中で、最近のところのデータが少ないというお話があったのですが、これは各地の試験研究機関がそういうモニターをして、数字が出てくるのではないかと思うんです。そのこと自身、フォローアップしていく必要はあると思うのですけれども、現在、各県の水産試験場等、名称が変わっている面もありますが、予算が逼迫して、新たなこういうモニタリング調査ができない状況が生じてきているというふうに聞いております。三位一体の改革以降、財源移譲があって、各県に、自治体にそういう役割が行っているかと思うのですけれども、どうもそれが機能的に動いていないのではないかという危惧があります。知事・市長会議ご自身が、何かそういうところに、いま一歩、視点を構えて取り組んでいただけないものかというふうに思っていますのですが、いかがでしょうか。

○築谷兵庫県農政環境部環境管理局長 なかなか知事・市長会議でどこまでできるかというと、難しいところはあると思うのですけれども、せっかくこれまでいろんな貴重なデータを積み重ねてきておられますので、担当の部局で、間は多少あいてでも、何年置きかにはデータをとっていただけるようなことを、関係方面にお願いしていきたいと考えております。

○松田委員長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。

○白幡委員 どうもありがとうございました。知事・市長会議でいろいろ検討していただいているので、私も、関連する会合に出たり、参加させてもらって、知識を深めているところがあるのですが、最後の6番目と7番目、調査・研究のところ関してお聞きしたい。知事・市長会議の中での共通の理解はそういうことかもしれませんが、研究テーマが物質循環、栄養塩云々という、どうも研究とか調査をすべき領域が、自然科学系に傾いていて海の豊かさを考えるのには限定的ではないかというふうに思うんですね。
 7の「普及啓発」のところに、文化とか、食とか、教育とか、そういうことが入っています。
文化・生活の分野は研究対象でなく普及啓発の対象なのでしょうか。むしろ、これは全部含めて教育・研究ということでやらないと、「豊かな瀬戸内海」と「豊かな海」を考えようとしても、なかなか学問的にも対応できず、一体どこに「豊かさ」の指標があるのか見えてこないだろう。この専門委員会も、まとめを出すのに大変苦労があるだろうと私は思っているのですが、そう簡単に答えは出ない。総合的な価値判断における「豊かな海」を何とか再生したいということですから、検討も総合的でないといけない。水質や物質循環など一方は「調査・研究」の対象だけど、文化や暮らしなど一方は「普及啓発」だというのでは総合化は難しい。「普及啓発」というと答えはわかっているような感じに思われはしないか。むしろ、調査・研究の中に、総合的な社会や文化の視点をどう取り入れるかが大事なのではないか。人文・社会系の研究をもっと考えてもらえないかと思っています。その辺の議論はどうでしょうか。出たことがありますでしょうか。

○松田委員長 ありがとうございます。一応知事・市長会議のご提言という感じですけど、何か築谷さんのほうからございますか。

○築谷兵庫県農政環境部環境管理局長 まず、調査・研究としましては、今、一番「豊かな海」に関連が深い、物質循環とか栄養塩に係る分野で、いろんな調査・研究を進めていただきたいとお願いしておるところです。
 もう一つの文化につきましては、今年の瀬戸内海環境保全知事・市長会議の中で、広島県さんから、文化についての取組も必要なのではないかというご提案もいただきまして、(社)瀬戸内海環境保全協会で文化についての取組も、今後、進めていこうと検討していただいているところです。

○松田委員長 それでは、そろそろ時間です。どうも大変ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、瀬戸内海研究会議より発表をお願いしたいと思います。
 香川大学、多田教授、よろしくお願いいたします。

○多田香川大学農学部生命機能科学科教授 香川大学の多田です。よろしくお願いします。
 普段、瀬戸内海の環境を研究している者として、その現状をどう認識しているかということと、その現状について、今、私が思うことを、今日、少しお話ししたいと思います。
 瀬戸内海の環境の、最初は復習から入っていきますが、瀬戸内海は、高度成長期、急激な都市化、産業・人口の集中化によって、富栄養化が急速に進みました。赤潮が多発して、そんな中で1973年に瀬戸内法が施行されて、その後、水質を中心に、その改善の努力が今日まで続けられてきました。平たく言えば、汚い水を海に流すのをやめましょうという政策だったわけですけども、この瀬戸内法の施行前、後をカバーできている水質に関わるデータセットというのは、これが唯一のものだと思っています。これは瀬戸内海の赤潮発生件数を示したものですが、瀬戸内法施行3年後、昭和51年、299件あった赤潮が、現在では100件以下になって、赤潮の発生件数は3分の1に落ちたと。これらを総合して考えると、瀬戸内海は水はきれいになった。赤潮の発生件数も3分の1にまで減ったと。しかし、一方では、イワシ、イカナゴの不漁、それからノリの色落ち、それからカキの不作、いろんな問題が出てきました。
 さっきからお話に出ていた、その瀬戸内法でCOD、N、Pの総量規制をかけて、第6次総量規制のあり方というところで、この中央環境審議会では、大阪湾以外の瀬戸内海では現在の水質を維持することが適切というふうに判断されて、これは大きな転換期で、単に水質をよくするという時代は終わったということです。
 この図も、皆さん、よく見かけた図だと思うのですけども、埋め立てについて見てみますと、瀬戸内法ができる前と後では、1年当たりの埋め立て面積は大きく減少しましたが、累計面積で見てみると、そのカーブがちょっと寝ただけで、いまだ、歴史的にはずっと埋め立て面積は増えてきたと。
 それから、埋め立てだけではなくて、海岸の状況がどういうふうに変わってきたかということを見てみますと、これは瀬戸内海の海岸を自然海岸、準自然海岸、コンクリート海岸、立入禁止海岸、この四つに分類して見てみますと、特に私が住んでいる香川県なんかは、ちょっと右の下に出していますが、黄色の部分が非常に多い。コンクリート海岸、つまり、鉛直護岸です。これを僕は、よく田んぼの用水路のコンクリートの三面張りと言うのですけども、今、瀬戸内海の海岸の多くが、その用水路のコンクリート三面張りみたいな状況に、今あるということです。
 これは、先ほど出ていた図ですが、埋め立てが進んで、鉛直護岸が多くなってきたら、当然のことながら、藻場・干潟というところは減少、半分以下に減ってしまったと。アマモ場というところは、魚が卵を産みに来たり、あるいは、成魚になるまでの幼稚魚期を過ごす大事な場所です。ですから、水質がいくらきれいになっても、こういう場所を少なくしてしまえば、生物量は戻らないし、生物多様性も戻ってこないということです。
 藻場というのは、先ほどのような海の揺りかごとか言われて、そっちばかりが強調されるのですけども、もう一つ、重要な役目があります。それは栄養塩をストックする、N、Pをストックするという機能です。
 私たち、香川大学では、香川県の高松市郊外の新川・春日川河口干潟というところで、ずっと物質循環の研究をしてきました。これは香川県の源平の戦いで有名な屋島の頂上から高松市内を見おろした図です。これが香川県庁で、県庁からほんの5分、車で走れば大きな干潟が、今、これ、大潮ではないですが、この辺に干上がってくる場所があります。香川県では、河口干潟の中では最大面積の干潟です。この干潟で、夏、河川から物質、今回はりんでやったのですが、無機態と懸濁態のりんがトータルで33.7kg、この干潟に12時間、一潮時の間に入ってきます。同時に、この測線から沖に向かって、12.4kgが出ていきます。結局、その差分というのは干潟にストックされるわけです。ですから、差引計算しますと、河川から負荷されたりんの70%は干潟に捕捉されているという計算になります。これが夏です。生物がたくさんいるときです。
 一方、11月、冬に同じ観測をしてみますと、河川からは2.6kgしか入ってこなくて、干潟から沖へは42.8kg出ていきます。この差分というのは、干潟から沖に向かって放出される、夏とは全く反対の現象がここで起こっています。
 このように、干潟というのは、海の揺りかごであると同時に、陸から海に向かって流れるものを、一度、ここへためておいて、冬になってからぱっと外へ出すという、そういう機能があります。
 一方、沖合に目を転じて見てみますと、今、兵庫県、香川県、瀬戸内海東部海域はノリの色落ち問題が出ているのですけれども、瀬戸内海で最も長い、ロングターム、長い期間の栄養塩のデータセットというのは、兵庫県の浅海定線のデータです。瀬戸内法施行翌年の73年からずっと今までのデータが、毎月1回のデータがあります。これは兵庫県の西川さんがまとめたものですが、上から、無機態窒素(DIN)、それからりん酸態りん、一番下が珪酸のデータです。これを見てみますと、1970年代あるいは80年代に、窒素も、りんも、濃度としては減少しました。それで、この破線で示した部分が1990年以降ということで、右に拡大して示したのですが、DINは、1990年以降、減少しています。ところが、りんは減少していません。ということは、近年の特にノリの色落ち等に関わってくる栄養塩の減少の特徴としては、DINで起こっている、窒素が足らないということです。この理由としては、りんは減らないのに、なんでDINが減るのかということについては、よく私たちが聞かされる説明というのはこの図です。負荷量の話で、陸から負荷する、上が全窒素、下がりんですが、りんは削減の技術が早くからあったので、もう80年代から削減していたと。ところが、窒素は非常に難しくて、最近になってから負荷する量が減ったから、だからというふうな説明があるのですが、僕は、それは恐らく当てはまらないと思います。全窒素、これも瀬戸内海の平均をかけてしまっていますが、全窒素、全りん、全窒素は瀬戸内海全体では目に見えた減少というものはありません。一定です。すなわち、負荷されている量は減っていっているのだけども、陸から入れる量は減っているけども、濃度としては表れてこないということです。
 一方で、これは京都大学の藤原先生なんかがよく使われる図なのですが、東部瀬戸内海、大阪湾、播磨灘、備讃瀬戸、このあたりでT−Nがどんどん減っていますという、こういう図はよく見せられるのですが、一定だと言っているのは広域総合水質調査の観測データで、瀬戸内海全体にこういう観測点があります。一方で、さっきのこの減少に関しては、公共用水域というのは、割と沿岸部に観測点がはりついていますから、岸寄りのデータをかなり見ているということです。それは負荷量が減っていることをきれいに表しているのだろうと思います。
 私が研究フィールドにしている播磨灘は、兵庫県、香川県、環境省、香川大と、観測点がこんなにたくさんあります。その中で、たまたまこの備讃瀬戸のここの観測点というのは、香川県と環境省のほぼ観測点が一致していて、上がDIN、香川県が浅海定線で出してきたDIN濃度が減ってくるというデータです。一方、T−Nのデータを見てみますと、こういうふうにがたがたがたついて、減っているとか、そういうことではなくて、変動だけが見えてくるということです。
 栄養塩はµMで表示されて、T−Nはmg/l、ppmで表示されますので、これをµM換算して、同じ縦軸で表示してみますと、このようになります。すなわち、DINとしての減少はあるのだけども、縦軸をこれに合わせていただくと、地を這うような形で、この減少はT−Nの変動幅の中に入ってしまうということです。これは簡単な話で、T−Nというのは無機態窒素と有機態窒素の合計ですから、無機態窒素が若干減ってきても、T−Nのこの変動幅の中に入ってしまって見えてこない。しかし、大事なことは、非常に海水中のT−Nのデータでは見えてこないような窒素濃度の変化が水産業には大きく影響するということです。
 栄養塩管理に向けて、何が必要かということなのですが、やはり栄養塩は、どこから、どれぐらい入ってくるのかということがわからなければ、あるいは、なぜ今、DINが減っているかということが明らかにされなければ、対策が立てられないということです。
 栄養塩は、単純に考えれば、河川と外洋から入ってくる、あるいは底泥から入ってくる、この三つのソースが考えられます。河川から入ってくるのは、恐らく減ってきていると思います。外洋はほとんど変わらないと思います。ところが、この底泥から溶出してくるN量値というものはよくわからない。今、私が注目しているのは、これは播磨灘の表層水と底層水のDINの月別変化を示したものですが、上が表層、下が底層です。この黒い丸で示したのが1990年代、ノリがとれていたころです。白い丸で示したのが2000年になって、香川県でノリが色落ちを起こしてからのデータです。特にこの底層に注目していただきたいのですが、夏場、成層して上の水と下の水がまざらなくなったら、当然下の栄養塩というのは、こういうふうに増加するのですが、2007年では、最近は底層の栄養塩が夏場に増えてこない。だから、これが鉛直混合を起こして、秋になっても栄養塩がなくて、表層の栄養塩濃度が低いので、ノリがとれないということです。この底層で栄養塩が、夏場、蓄積されないということは、これは泥からの溶出が恐らく減っているのだろうというふうに思っています。この辺を明らかにする必要があるだろうと思います。
 この図は、今から20数年前に、愛媛大学の武岡先生が、あるところで話されたものを僕が勝手に絵にしたものなのですが、当時、武岡先生が言われたのは、「水質というのは、瀬戸内法ができて、蛇口を締めてやれば、汚い水を流すのをやめれば、水質はすぐに回復してくるだろう。しかし、底質というものは、泥の質は、水がきれいになってもしばらく汚いままで、その後、時間を置いて改善されていくのでしょう」と。今、ちょうどここが来たのではないかというふうに僕は感じています。
 それから、これは播磨灘、私がフィールドにしている播磨灘に注ぎ込む河川を書いてあるのですが、播磨灘は特異的な海で、陸上からの河川の流入というのも、圧倒的に兵庫県側が多いと。香川県側は小さな川しかありません。香川大学の工学部の石塚が分布型水文流出モデルというものを用いまして、播磨灘に流入する河川流量を見積もったところ、14対1で入ってくると。兵庫県側から14、香川県側から1、淡水が入ってくると。ということは、兵庫県、ノリの生産量は全国2位で、香川県は6位ですが、香川県はノリも14対1で我慢しておけと言われると、そういうわけにはいきません。これについて、ちょうどこの海域のこの観測点のデータで、塩分と降水量の関係を見てみました。降水量とその月の塩分、降水量と1カ月遅れの塩分、降水量と2カ月遅れの塩分というふうに相関をとって、いろいろやってみると、どうも2カ月後の塩分と降水量の相関が一番よくなると。ということは、ある程度、2カ月ぐらい遅れて、香川県では雨が降った後、2カ月ぐらい遅れて水が甘くなってくる。それは水の流れがはっきりわからないといけないのですが、播磨灘の流れというのは、過去の報告を見てみると、大体こういう流れになりますよというのはわかるのだけども、細かい流れというのがわからない。ですから、大雨の後、2カ月ぐらいかけて水が南に移動してくるのかと。それ以外の時期はどうなっているのか、あるいは、ノリの収穫時期、西風が強い時期はどうなっているのか、こういうことを正確に、もっと精密な詳細な残差流の解析が必要だろうと。こういうふうにメッシュを切ってやって、細かく物がどう動くかというのがわからないと、栄養塩管理はできないだろうと。
 それから、さっき、僕が一番最初に話しましたように、干潟・藻場というところは、栄養塩を一度ストックする機能がありますから、河川から入ったものをたれ流しで入れずに、モデル上でも、ここで一度ためて、時間を置いて出すという、そういうことをした上で、この栄養塩のバランスを考える必要があるだろうと。
 それから、「きれい過ぎる海」に悲鳴、ということで、最近、ノリがとれないので、規制緩和を求められているのですが、これは海の生態系の図ですが、栄養塩に直接関わるのは、ノリや植物プランクトンです。それを動物プランクトン、小型、中型、大型魚が食べるのですが、ここの栄養塩に左右されるのは植物プランクトンですが、この上までどう来るかというのは非常に難しい話です。
 この週末、ちょっと「海域の高度な栄養塩管理」という報告書を読んだのですが、これは有明研究会というところが出したところなのですけども、この辺の問題に触れていました。同意できる部分もあるし、ちょっと違うなと考えるところもあります。
 以上、私の考えたことをまとめてみますと、近年、栄養塩濃度、DINが特に減っている。原因はわからない。
 それから、T−N濃度では、検出できないような微妙な差が水産業には影響を及ぼす。
 栄養塩の減少の原因がわからないので、対策が今のところは立てられない。そのためには、栄養塩のソースや浅場の機能、それから、詳細な残差流の解析が必要だろう。
 それから、最後に、あまり時間をとれませんでしたが、栄養塩濃度を高めても、単純には漁獲量は上がらないということです。
 以上です。

○松田委員長 どうもありがとうございました。ただいま多田先生から、この栄養塩をめぐる問題について、ご発表をいただきました。
 これについて、何かご質問等はございませんでしょうか。

○浜野委員 徳島大の浜野です。
 単純な干潟に藻場、アマモを想定されていると思います。それと、そういう場合においては、やっぱり随分、栄養塩の捕捉具合というのは変わってきますか。

○多田香川大学農学部生命機能科学科教授 実は、夏に捕捉して、冬にというのは、この干潟の話なのですが、実は、これはある年のデータを持ってきたのですが、毎年やっていると、かなり変動があります。つまり、アサリの量がばらつきますので、そこにいる生物が変われば、年によって変われば、同じ干潟ですら、かなり変動します。我々はここでしかデータをとったことがないので、いろんな干潟というのはちょっと答えることはできませんが、恐らく、あまり単純に何%とか、この時期、何%というようなことにはならないと思います。

○浜野委員 ありがとうございます。

○松田委員長 そのほかにはいかがでしょうか。

○西田委員 一つ、栄養塩の件でお伺いしたいのですけれども、DINの議論とT−Nの議論がされていましたけども、その中でも、内訳の質の話です。例えば、ノリですと、処理場から出てきたアンモニアでうまく成長できるような話を先ほどされていましたけども、硝酸とアンモニアの比が、ここ30年では大きく変わってきています。T−Nが減ってきたと同時に下水処理場の影響などで。それと、N/P比の問題とか、それからもう一つ、難分解性の有機物の問題とか、その辺はいかがでしょうか。先生のご意見をお伺いしたいのですけど、いかがでしょうか。

○多田香川大学農学部生命機能科学科教授 ノリに関しては、アンモニアと硝酸では、アンモニアのほうが効率的に取り込めると思うのですが、硝酸も取り込めますので、あればいいのだろうと思っています、ノリに関しては3µM以上あれば。
 難分解性のことというのは、僕もよくわからないのですけども、ただ、問題はやっぱり、僕、瀬戸内海のT−Nをずっと測ったことがあるのですけども、実は測るのはすごく難しいのですが、それからDINを差し引いた残りがDONなわけですね。DONというのは、よっぽど淀川の河口であるとか、T−Nが高いところへ行かないと、変動が非常に少ない。だから、さっきの広域総合水質調査と公共用水域のあの話ではないですが、瀬戸内海のよっぽど岸寄りのデータを持ってこないと、変動がほとんどない。DINとDONの割合はほぼ一定のような、だから、難分解性が増えてきたとかという話もよく聞くのですが、私自身は、中身に関しては、ちょっとわからないというのが正直なところです。

○鷲尾委員 そういう意味では、現場の感覚にかなり接近した説明をしていただきまして、ありがとうございます。かなり腑に落ちるところも多いのですけれども、干潟・藻場の栄養のストック機能というのは、やはり同じように、底泥というところでもあるのではないかと思います。兵庫県の姫路から明石にかけて、ノリ漁場もありますけれども、その下にたまっていたヘドロがほとんどなくなってきたということが、結局、そのストック分、冬の溶出分の貯金がなくなった感じがするんですね。そういう点で非常に関連深く聞かせていただきました。
 海を見ておりますと、こういう水質分析をするときのろ過した水ではなく、漂うものがかなり変動するんですね。それによって出てくるプランクトンの種類も変わりますし、そういうことの影響が、このごろ、透明度がよくなった。だから、細かいものが非常にたくさん漂っていると濁るわけですけれども、大型のコシノディスカスとかユーカンピア等の、要は粒にまとまってしまうタイプ、それから、凝集させるものが流れている場合、こういうときには透明度はかえって上がってしまうんですね。そうすると、深くまで沈降するプランクトンが長いこと悪さをするところにつながってしまいます。ですから、栄養を足せばいいということではなくて、やっぱりそういうプランクトン種数に影響するような排出のタイミングであったり、管理であったりというのも必要なのではないかと。ですから、大型性のプランクトンが出てくるよりも、小型の、昔、赤潮で言われていたスケレトネマとか、キートケロスとか、そういうもののときのほうが回復が早いように感じたりしますけども、その辺のプランクトンとのつながりというのは、いかがでしょうか。

○多田香川大学農学部生命機能科学科教授 実は、その話をしたかったのですが、今日、割愛してしまったのですけども、問題は、さっき、単純にここを増やしても漁獲量が増えないと言ったのはそこで、これ、よく聞かれるのですが、透明度とか、クロロフィルaが、今、減っている、透明度がよくなってきて、クロロフィルaが減っているとか言われるのですが、僕、いろんなデータを統計処理しているのですが、なかなかそういうデータは出てきません。確かに僕も、透明度、きれいになったように感じているし、漁師さんは、もう絶対にきれいになったと言うけど、透明度が高くなっているというのがなかなか出てこないです、時系列で。
 それから、もう一つは、大阪湾のデータなんかを見ていると、DINの濃度は落ちているのに、それに比例してクロロフィルa濃度が落ちてこない。クロロフィルaの減少としてつかまえることができない。それは兵庫県の北側でも一緒ですね。ところが、中身が明らかに変わっています。兵庫県の西川さんのデータなんかでは、結局、細胞数密度というのでは変わらないのだけども、その中身、珪藻の割合が高くなって、鞭毛藻の割合は低くなっている。高度成長期は鞭毛藻は結構おったけれども、今は珪藻のみになっている。
 それから、高度成長期は、スケレトネマが優占種だったけども、今はそれがキートケロス、タラシオシラに取ってかわられる。それと同じような現象が大阪湾でも見られています。だから、プランクトン群集というのは、栄養塩が減ってきたら、ある程度、アダプトしようとするので、なかなかクロロフィルaの減少として見れない。それがこの動物プランクトンとか、上の魚にどういうふうに影響を及ぼすのかというのは、ちょっと僕にはわからないです。

○松田委員長 ありがとうございました。多分、途中でお話の出た、その栄養塩の高度な管理には、もう少しいろいろ詳しい情報が必要ということかもしれません。
 時間がちょっとオーバーしておりますので、ここで、次に移らせていただきたいと思います。
 多田先生、どうもありがとうございました。
 続きまして、関係漁業団体のご意見をお伺いしたいと思っております。
 瀬戸内海の保全・再生につきまして、瀬戸内海沿岸府県の漁業協同組合連合会の間でも、さまざまな意見交換をされていると伺っております。本日は、そのあたりを踏まえまして、兵庫県漁業協同組合連合会、山田代表理事会長様よりご発表をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山田兵庫県漁業協同組合連合会代表理事会長 ただいまご紹介いただきました、兵庫県漁連の山田でございます。本日は、こうした委員会に出席させていただきまして、本当に厚く御礼申し上げたいと思います。
 私、昨年の12月3日に東京フォーラムで開催された瀬戸内海の水環境の在り方懇談会に出席させていただきました。好き勝手なことを申し上げて、大変皆さんにご迷惑をかけたことは、今も鮮明に自分で反省しておりながらも、やっぱり漁業者の思いを正確にわかってほしいというのが私の気持ちでございます。本日、こうした中で意見発表させていただきますこと、本当にうれしく思っております。
 昨年、漁業者の思いをお話した状況の下で、今年の6月に第7次水質総量削減の基本方針が発表されましたが、内容的には第6次と一向に変わっていないことから、海の現状を知ってほしいという思いで、今日もご出席の富坂室長を始め環境省に何度も足を運びました。
また、同時に瀬戸内海関係10漁連にも呼びかけをいたしまして、連絡協議会を開催して確認いたしましたところ、瀬戸内海の現状認識は兵庫県と同じであり痩せてきているという意見でありましたし、瀬戸内海を再生する方向で力を合わせることが確認されました。そうした中で、大体要望案はできつつあるのですけども、そういった中で、先ほど知事・市長会議の瀬戸内海再生法についての要望書の話がありましたけれども、我々も、知事・市長会議で決まったことを無視するわけにいかないということで、実は、私も12月7日に井戸知事にお会いしてまいりました。そして、お話をさせていただく中で、できたら一緒にやっていこうというお話も聞いております。そういうことで、10府県の意見をまとめている途中ではありますが、その立場で、今日のテーマであります、目指すべき将来像についてお話をさせていただきます。
 まず、目指すべき将来像について、瀬戸内海環境保全特別措置法は、瀬戸内海の価値として、「世界においても比類のない美しさを誇る景勝地」、あるいは「貴重な漁業資源の宝庫」として謳われており、この価値観を後代に継承することが、この法律の目指す将来像とされている。
 しかし、我々、漁業者が考えてみますと、高度成長期の埋め立てによって、海の生態系あるいは浄化力と生産力が大変豊かな干潟や渚が失われたことや、透明度を高めるためのみとしか考えられない水質総量削減制度によって栄養塩の減少、生物生産性が低下したことから、瀬戸内海の漁業生産量は、昭和61年の86万トンをピークに、年々降下しており、現在では45万トンぐらいまで減少しております。
 かつては、45年から62年ぐらいまで、この時代、一番皆さんから指摘される赤潮の発生率が高い時代ですけれども、この時代には年間70万トンから83万トンもの生産量を、ずっと維持してきておりますことから、この時代の瀬戸内海は世界一豊かな漁場ではなかったかと、我々、そう思っております。まして、ノリにしても、当時は本当に11月から5月まで、ノリの生産ができるという、大変豊かな時代でありましたけれども、現在は、肝心な2月、3月に栄養塩不足で色落ちのノリしかとれないというような、大変みじめなことになっていっております。
そのノリの色落ちだけではなくて、やっぱり漁船漁業においても大変厳しくなっていますが、一番肝心なことは栄養塩の不足はもちろんのこと、海は砂を必要としているのにダムや堰によって砂そのものが供給されなくなっていることであり、先ほど多田先生もおっしゃったように、底生動物、海底のゴカイとかマムシ、こういった生物がほとんどいなくなってきたこと。そうすると、それを餌にしているカレイとか、アイナメとか、そういった魚が非常に少なくなってきているし、海底が砂から泥に変わってくると、エビ類もほとんどいなくなってくるということから、漁業の継続が非常に困難になってきているのだと感じています。
 そして、先日の中国漁船による韓国のEEZ侵犯事件でも分かるように、水産食料の重要性は増しているところですが、本来は豊かである瀬戸内海を擁しながら現状のまま放置すると、食料産業としての漁業は成り立っていかないことは明らかであり、一刻も早く豊かさを取り戻さなければなりません。
 現在中国では、この5年間に漁業で570万人の雇用を生んでおり、水産関連産業全体では3,300万人が働いていると聞き及んでいますが、日本でも瀬戸内海を再生することによって、かなり大きな雇用が生まれてくるのではないかと思っております。そして、それこそ、本当にこれから起こるであろうという食料難、これも、今、各国が自給率を上げなければならないと言われておりながらも、日本ではかけ声ばかりで、本当に自給率を上げるという施策は全然できていない。これは農業も水産も一緒でございます。やはり、この食料、私も、実は昭和15年生まれでございまして、戦争も、戦争後も、非常に苦しい中で10年間ほど生活してまいっております。そうした中で、本当に口に入るものは何でも食べてきた時代を過ごしておりますので、やはり食料というものはもっと大事にしていかなければならない。国は、やっぱり国民に対して、食料の安定供給というのを考えていかなければならないと思っております。昨年ですか、11月ごろにチュニジアで起きました暴動、これも食料のパンが3倍になったことで、やっぱりああいった飢餓から脱出するのか、鉄砲で撃たれてもいいのかということで、暴動を起こして、国の政権交代をさせたという、記憶に新しいところでございます。本当に食べるものがあれば、金がなくても、人間は生きていけるという、そのあかしが、まさにチュニジアとか、エジプトから学ぶべきだと思っております。
 そして、漁業資源の宝庫といわれる瀬戸内海で、私が漁業をしていた昭和50年代から平成の初めまで、ノリと船曳網で年間200〜250日も漁に出ていましたが、現状では100日も漁に出られない。そして、国のほうは、管理型資源、個別補償とか言っていますけども、油は高くて沖へ出られないのが現状なんですね。これ以上、本当に我々、資源管理ということを行っていきますと、我々の漁業を支えていただいておる魚屋さん、加工業者、運送屋さん、すべてがだめになってしまう。そして、瀬戸内海には漁業者が3万人しかいないということで、常に言われていますけど、私はそうではなくて、先ほど言ったように、魚をとる漁業者は3万人ですけども、その中で、やはり魚屋さんとか、加工業者、運送屋、まして、すし屋とか、料理屋を含めると、すごい関連産業やと思っていますし、船をつくるにしても、石油化学工業はプラスチックをつくらなければならない。あるいは、船をつくるのには造船所、そして、エンジンだって、製鉄所から、エンジンメーカーから、かなりそういった大小含めても数百の関連産業として、水産は成り立っていると思っておりますし、まして、水産をだめにすることは、私は言い過ぎかもわかりませんけども、日本の経済がかなり厳しい状況になっていくのではないかと、そんなように思っている次第でございます。
 それから、最近、特に私はいろんな先生方と話をする中で、私はいつも言うのですけども、研究結果より環境のほうがもっと悪くなっていると。先々へと進んでおると。常にこういった話の中で、播磨灘と大阪湾を比較されるのですけども、大阪湾、本当に富栄養だろうか、西田先生もいわれておりますけど、今、大阪湾だって、海藻も生えてこない場所がたくさんありますし、そして、ムラサキイガイ、本当にこれは食料にもならない貝ですけども、本当に石垣とか、桟橋とか、いろんなところにぎっしり生えていたものが、最近、非常に少なくなっております。それほど、大阪湾だって、富栄養化ではなくて、貧栄養化に近づいてきているのではないかと思っております。
 そして、まさに、赤潮の発生源あるいは青潮という話が出てくるのですけども、確かに赤潮は、大阪の松林漁連会長に聞きますと、年に一、二度、特に6月、7月ごろにかけては発生すると。だけど、夏以降は一切発生していないと。ただ、青潮においては、今、大阪で17カ所か、深掘があるので、そういったところで、やっぱり夏場のこの直射日光のきついときに、非常に発生する率が高いですけども、その青潮が発生しても、魚は皆、よけて逃げていくので、魚には影響はない。ただ、そういった青潮が発生しますと、潮の流れによって西宮の甲子園浜のほうへ流れていきますと、武庫川河口にきれいな砂浜が育っており、アサリなどの二枚貝が繁殖していますが、青潮が来ると、二枚貝等がやっぱり死滅するということも、時々、発生しております。
 それから、特に川の水というのは、非常に海にとっては大事でありますし、私、個人的には下水処理場の管理運転より、本当にダムの底から水を流していただければ、ダムにたまっている土砂、そして水というものが、海に必要なものがどんどん流れていってくると、海の栄養塩は必ず回復すると思っていますし、今、海の底が泥化になっているところが、砂が入ってきますと、砂泥になって、また生物がよみがえってくるという、そんな気もいたしております。
 瀬戸内海には四百二、三十の河川があるらしいのですけども、既にもう600のダムをつくっておりますし、それにそれ以上の河口堰ができて、本当に海には砂も流れてこないというような状況の中では、海の再生も非常に難しいと思いますので、国交省の方にはダムからの砂の供給を是非とも考えていただきたい。
 長々と話をして、時間もないそうですけれども、これからの問題として取り組むべき事項、私も、ここへ来るまでに、第1回目の企画専門委員会の議事録を拝見させていただきまして、鷲尾先生から、ノリの色落ちに関する現状の状況を取り上げていただきましたこと、本当に感謝いたしております。まさに、このノリ養殖現場といたしましても、色落ちがこの五、六年、続いておりますので、できましたら、兵庫県でもいいですから、試験的な下水処理場の規制緩和をやっていただければと、本当に思っている次第でございますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
 そのような中で、一番重要かつ求められる漁業再生のスピード感でありますし、例えば、兵庫県、今申し上げましたように、モデルとして、何かをつくっていただければ、我々、漁業者も全面的に協力するつもりでおりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、最後になりましたけど、ちょっとだけ私は自分で視点を変えて、この瀬戸内海がどうあるべきかなと考える中で、基本的に捉えておくべき点として聞いていただきたいことがあります。
今、世界の人口は70億人と言われていますけど、毎年、8,000万人ずつ増え続けていくと。20年後には90億人に達するということも言われています。そして、世界中の食料をかき集めても、85億人が限度だと言われておりますので、やはりこの各国が食料自給率を上げなければならない。そんなときに、やっぱり瀬戸内海を、水産産業、水産資源として再生できるのではないかと思っていますので、こういったことも踏まえて、本当に瀬戸内海を再生することによって、国民の食料安定供給につながるのではないかと思っていますので、よろしくお願いします。

○松田委員長 どうも大変ありがとうございました。ただいまのご報告、ご意見に対して、何かご意見、ご質問等ございますか。よろしいですか。

○西田委員 ちょっとお聞きしたいのですけれども、「豊かな海」が取り戻せて、栄養塩のバランスとか考えるときに、漁業の種類は変わっていく可能性はあるのでしょうか。つまり、今までの歴史の中で、なかなか漁業がうまくいかなくなってきて、漁業者で例えばノリをつくる方々が増えてきたとか、多分いろいろ変わってきたと思うのですけれども、将来的には、ノリ漁が減って、漁船漁業のほうが増えるとか、もしくは、両方ともうまくいくのではないかというお考えなのか、その辺はいかがでしょうか。

○山田兵庫県漁業協同組合連合会代表理事会長 ノリは、やはり消費枚数というのが、限られた枚数がありますので、なかなかノリ養殖をやりたくても、やっぱり加工場をつくる用地、あるいは、その機械とか、そういったノリを刈り取る船とかといいますと、土地は別としても、やっぱり数億の金がかかってきますので、なかなか新しくノリ養殖をやりたいと思ってもできない。だから、ノリ養殖をやれる方は、現在、やっている人と一緒に組んでやるという、協業化ですね。そういったことはできると思っておりますし、また、漁船漁業にとっては、今、非常に悪くなっているのは回遊魚ですね。先ほど、私、底生の生物がいないということで、エビとか、カレイとか、そういったアナゴとかいう話もしましたけど、肝心なやっぱり動物性プランクトンが非常に少ないために、回遊魚、まず小さなシラスとか、カタクチイワシ、こういうものが入ってこない。そして、極端なのは、マイワシが入ってこないことによって、ほかの大きなハマチとか、ブリとか、サワラとか、アジとか、そういった回遊魚がほとんど入ってこなくなったと。これがやっぱり瀬戸内海を疲弊させている大きな原因かなと。
 それと、何遍も言うようですけども、海の底がやっぱり砂地ではなくて、鷲尾先生の言ったように、明石の方面では、私も調べたところ、明石川の河口が砂ではなくて、ヘドロになっていると。それから、あそこはものすごく潮の流れが速いので、岩盤が見えてくるところもかなり出てきているということで、いかに川からの砂の供給が必要なのかなということを、やっぱり大きく考えたいと思いますね。

○松田委員長 大変ありがとうございました。そのほか、よろしいでしょうか。

○白山委員 一時、瀬戸内海、いわゆるミズクラゲが非常に多くてという話がたくさん聞かれてきたのですけども、現在、その状況はどうなっているか。つまり、栄養塩が増えても、クラゲばっかりに栄養塩が回ってしまっては、漁業の生産には回らないわけですよね。そのあたりはどういう状況に今なっているのでしょうか。

○山田兵庫県漁業協同組合連合会代表理事会長 そうですね、先生もご存じのように、クラゲは年々増えてくるというのですか。もともとクラゲは、水温が8度ぐらいになれば死滅すると言われておるのですけども、現在、やっぱり瀬戸内海一円で工場排水、これがかなり冷却水として使われておるために、かなり工場排水の流せる場所はかなり水温が高いんですね。そこでクラゲが越冬をして、そして、卵をたくさん産んでしまうということが、今のミズクラゲが多く発生している原因、確かにプランクトン、動物性プランクトンも、クラゲと本当に小魚との取り合いになっていますけども、昔は干潟がたくさんありましたので、そういったクラゲも、全部、南西の風が吹きますと、皆、砂浜に打ち上げられて減っておったのですけど、今は直立護岸のために、なかなかそういったクラゲの駆除ができないというのが現状ですね。

○松田委員長 ありがとうございました。そのほかはよろしいでしょうか。

○鷲尾委員 今の西田先生のご質問の回答への補足なんですけれども、やっぱり高度成長で海が汚れてきた段階では、それまで瀬戸内海で言ったら、長寿命の魚、高級魚を扱う漁業が中心だったのですけれども、やはりその痛めつけられるものですから、短寿命、1年で子供を産む種類の魚、あるいは海藻類に漁業がシフトしてきました。栄養レベルが下がってくる中で、安定した漁業を考えると、その短寿命のものをこれまでのように追いかけるというよりかは、より長寿命で多様なものを対象にした漁業というものにシフトしていくことが、一番安定していくのではないかと思います。そういう意味で、漁業の側も、ノリ、船びき、巻き網というような量産型のものよりも、もう少しきめ細かな漁業のほうへ展開していく必要があると思います。
 それと、今の白山先生の話でも、やはり温暖化の影響が出ております。最低水温が8度まで下がるところが、このごろ、10度ぐらいまでしか下がらないために、クラゲも残りますし、アジコも残るということで、その生態の更新による種組成がちょっと変わってきているところがありますね。そのあたりも配慮していったらいいところだと思います。

○松田委員長 ありがとうございました。長寿命あるいは高級魚といった、この先ほどの多田先生のピラミッド、上のほうですから、全体として生物多様性も高くしないといけないということになるかと思いますが、どうもありがとうございます。
 今、ちょうど5時までの折り返し点で、1時間半過ぎたところで、3時間のノンストップはちょっときついかと思いますので、ここで5分ほど休憩をとらせていただきます。壁の時計で35分から再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(休 憩)

○松田委員長 そろそろ再開いたしますので、ご着席をお願いいたします。
 それでは、引き続きまして、関係省庁からのヒアリングとして、国土交通省からご発表いただきます。
 発表は、水管理・国土保全局の高畑課長補佐様、それから、港湾局の小池室長様からいただきたいと思います。それぞれお二人のご発表をいただいた後で、まとめて質疑応答の時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○高畑国土交通省水管理・国土保全局河川環境課課長補佐 国土交通省水管理・国土保全局で課長補佐をしております、高畑です。よろしくお願いいたします。座って説明のほうをさせていただきます。
 お手元のほうに資料がございますけれども、良好な河川環境の保全への取り組みということで、以下、目次を書いてございますが、現在、河川行政におきまして、河川環境への取組ということで、どういったたぐいのことをやっているかということで、主なものを挙げております。直接的に瀬戸内だけではなく、広く全国に河川がございますので、その水質改善や環境保全に取り組んでいるものを主なものとして、ご説明をさせていただきたいと考えております。
 まず、良好な河川環境の保全のための整備ということでございますが、こちらのほう、主な内容として、自然環境、それから、水環境整備、水辺整備ということで、大きく三つ挙げてございます。こちらにつきましては、青字で一部、記載しておりますけれども、例えば自然再生の部分でございますと、堰等の河川を横断する施設で、河川の上下流の自然環境を分断するようなものにつきましては、魚道等の整備を含めた河道整備や、湿地の再生、礫河原の再生も進めております。 それから、水環境整備でございますが、こちらのほうは、いわゆる水質改善ということでございます。河川の中でも、水質の非常に悪いところでの浚渫、浄化施設の設置、場合によっては、河川の導水も、事業としては入っております。
 富栄養化の話もございますけれども、いわゆる高度成長期から現在にかけて水質をもっと改善させようという取組でございます。
 それから、水辺の整備でございますが、これはご紹介までということですが、地域の活動と合わせて河川の整備をするということで、「水辺の楽校プロジェクト」等、地域と一体となって、地域の活動と合わせた河川整備というものも行っております。
 こちら、「多自然川づくり」と題しまして、写真を2枚つけております。現在の河川行政におきまして、川づくりは、ここに書いております多自然川づくりというものを進めております。従来の治水対策を重視した、いわゆるコンクリートの三面張りのような対策ではなくて、なるべく自然の持つ、従来の河川の持つ自然環境、それから地域の歴史、文化、そういったものも踏まえて、河川整備を行いましょうということを全国にお知らせをしているところでございます。
 平成9年に河川法改正をされまして、これまで、治水、利水という観点が中心になっておりましたけれども、平成9年の法改正におきまして、環境の保全というものが入ってきてございます。現在では、こういった中小河川のような場合ですと、多少護岸が立ったように見えておりますけれども、河道敷を少し広めにとって、自然の澪筋を再生させる、それによって、植生を繁茂させるというような取組を進めております。
 こちらは、自然再生事業の一例でございます。
上側と下側にそれぞれ代表的な自然再生事業の例をつけてございます。
 まず、上のほうが、自然再生事業による、いわゆる礫河原の再生でございます。水辺のところから、通常あまり水が浸らないところの部分については、よく河川の中でも、樹林化や外来種の繁茂といった問題がございます。そういったところを一部、掘削を行うとともに、礫河原のような形で緩やかな勾配で整備を行って、水が浸ったり、浸らなかったりというような状況を再生することによって、従来の植生を回復させるというような取組を行っております。
 それから、下側、こちらのほうは湿地再生でございます。湿地再生につきましても、いわゆる洪水対策として、河道を掘削する、川の流れの幅を広くするということをよくやるわけですけれども、その際に、例えば一部、浅く掘り込むような形にしまして、その部分に植生を行い、湿地を再生させるというような取組もしてございます。
 兵庫県円山川でコウノトリの野生復帰への取組をやっております。国土交通省としての取組は、地元と調整を行いつつ、その河川敷を湿地化するという取組で、まさに生息環境を確保するという取組をやっておりますが、あわせて、例えばこのコウノトリの場合ですと、採餌環境とか、そういった周囲の環境等の整備もございまして、国交省だけで取り組むというよりは、地域中心となって、農業のほうからのフォローとか、そういったことも含めて、地域でこのような取組を進めている事例もございます。
 それから、続きまして、河川の連続性の確保ということで、堰がありまして、その堰の横に魚道、それから、よどみ、それから、ワンドの形成ということで、通常ですと、水をせきとめてしまいますと、上下流、魚が上れないとか、あるいは産卵時期に魚が入れないというような状況もありますので、そういったところは専門家の方のご意見をお聞きしながら、こういった魚の生息環境、それから採餌場も確保できるような形での河川整備、生息環境としての改善というものを取り組んでいるところもございます。
 続きまして、清流ルネッサンスということで、水質改善の取組でございます。河川の中であれば、底泥の浚渫、それから浄化施設を設置するというようなことがあるわけですけれども、この場合、この清流ルネッサンスというものにつきましては、河川事業者は河川事業者としての目的を持つ、自分たちだけで幾つまで水質を改善しますということではなくて、河川事業者、それから下水道事業者、それから地域の市町村、地域住民の方、皆さん一緒になりまして、地域の水質をどういうふうに改善していこうか、どういうふうな方向に持っていこうかというような取組を計画を立てて、目標値に向けて努力すると、そういうふうな取組を行っております。
 こちらのほうは、水環境整備の取組ということで、代表的な写真を幾つか載せております。底泥の浚渫では綾瀬川、昔は非常に悪臭漂うような川だったというふうに聞いておりますが、そういったところでも、底泥の浚渫を行って、富栄養化を防ぐような取組も実施しております。  それから、下側でございますけれども、植生の浄化ということで、こちらのほうは、ヨシとか、アシとか、そういった河川、湖沼のところで、林縁部におきます植生の浄化、植生によって、りんや窒素、そういったものを吸着するというような取組を行っております。
 あと、右上のほうは、浄化用水の導入と書いておりますが、先ほどの底泥の浚渫等とあわせて、きれいな河川の水を導水することによって浄化を行うというようなことも、事例としては行っております。こちらにつきまして、それぞれ地域において、状況というものが異なりますので、それぞれの地域において、求められる内容において実施をしているというのが実情でございます。
 それから、先ほどのご説明の中でもダムの話が出てまいりました。こちらにつきまして、これは発電ダムに関する内容ということで、発電ガイドラインによる流量の確保ということでございます。これは、直接、海に流入する部分は、またちょっと別途ということになりますが、特に河川本川に関しましても、通常、水力発電をするような場合ですと、河川の水を大量にそこでくみ上げまして、別のところから発電所の中に持っていくというところで、本川のほうに流れる水が非常に少なくなってしまいます。そのため、通常、流れていないといけない水の量に達さない状況にあるところにつきましては、この発電ダムのところで、その発電事業者の利用権の更新に当たりまして、こちらの下流のほうにも、魚の生息に必要な水深ですとか、あるいは、産卵するのにどれぐらいの水の量が要るのかとか、そういったことも踏まえまして、必要な水の量を下流にも流していただくというようなことの取組もやっております。
 あわせて、ダムのほうで、もう1点でございますが、ダムの弾力的管理による流況改善ということで、現在、全国のダムで、22ダムで実施中ということで、試行的にこのようなことを行っているところでございますが、通常、ダムでございますと、先ほどの発電ダムはちょっと別でございますが、我々、河川管理者としてやっているダムというのは、治水がメインのものが非常に多くございます。その関係で、ダムでせきとめた水の部分に対して、あくまで、容量に負荷をかけないということで、その範囲内におきまして、例えばこのようなフラッシュ放流と言われる、一時期に少し大量に水を流す、あるいは、下のその維持流量のような形で、先ほど申し上げた流況を少しよくしてあげるためにダムに少し水をためましょうというようなことも、取組として実施しております。右側のほうに少し具体例として書いてございますが、よどんだ水、あるいは、泥の部分が下流のほうへ流れて、フラッシュした効果としても見られているというのが実際の状況でございます。現在、このような状況も踏まえて、いろいろと取組を検討しているところでございます。
 河川については、以上です。

○小池国土交通省港湾局国際・環境課港湾環境政策室長 引き続きまして、港湾局のほうから、瀬戸内海の環境に関する港湾の取組ということで、ご説明させていただきます。港湾環境政策室長の小池でございます。座って説明をさせていただきます。
 時間もございませんので、少し端折りながらということになろうかと思いますが、私からのご説明は、個別の施策というよりも、むしろ港湾全体として、海域環境にどういうふうに取り組んでいるかというご説明になってくるかと思います。不足の点がございましたら、また質疑等でよろしくお願いしたいと思います。
 1ページは、港湾の取組の経緯を書いてございますが、もうこれは飛ばさせていただきます。また後で、必要があればご覧ください。
 2ページ目でございます。港湾環境政策全体の一応たてつけということで、左側にございますが、平成17年3月、交通政策審議会より、「今後の港湾環境政策の基本的な方向」という答申をちょうだいしてございます。一番下の枠の中に入ってございますが、大きく三つの柱をご提示いただきまして、「自然環境の保全・再生・創出」ということで、今日は、この中身について、ご報告するということになってまいります。それ以外に、循環型社会の形成であるとか、地球温暖化対策ということについてもご提案いただいております。こういったことにも、港湾としては取り組んでございますが、今日のお話は、[1]の話ということで、その「自然環境の保全・再生・創出」について、どんな取組をしているかという、おおよその全体像でございます。
 まず、[1]と書いてございます、港湾の開発、航路、船の通り道でございますとか、泊地といった船のとまる場所、旋回する場所、こういった場所の浚渫というのが、港湾の工事の中で一つの大きなウエートを占めてまいりますが、そこで発生いたしました浚渫土砂、これを活用しながら、海底環境の改善ということで、藻場・干潟の創出などを行っております。
 それから、[2]でございますが、港湾構造物の生物共生型の転換ということで、先ほどからの直立型護岸というようなお話もございますけれども、できるだけ、そういったものを生物もすみやすいような形に改変していけないかということで、写真に写しておりますが、実験施設でございますので、多少適切ではなかったかもしれませんが、写真の右側の絵なのですが、もともと横浜の私どもの事務所の前に船を乗降させる斜路という、港湾の取組の経緯を書いてございますが、斜めの構造がございまして、これを必要がなくなったものですから、干潟の実験のできるような場所に改変しようということで、干潟・磯場を階段状に造成したものでございます。これが例として適切かどうかはわかりませんが、老朽化した施設、また、機能的に老朽化した施設、これを改変して、環境に優しいものにつくっていくというようなことをやってございます。
 [3]で、海洋ごみ・流出油の回収でございます。
 我々が持っている船、国が持っている船でもって、瀬戸内海を初めとした閉鎖性海域のごみを集めて回るということも行っております。
 あと、[4]で、海洋環境のモニタリング、解析モデルの開発ということで、またこれは後でご説明させていただきます。
 「海の再生プロジェクトについて」というふうに書いてございます。平成13年に、当時の都市再生プロジェクトという中で、特に閉鎖性海域の水質改善ということを目指しまして、海の再生プロジェクトというものを立ち上げました。右の上のほう、真ん中あたりに「推進会議の体制」と書いてございますが、内閣官房、それから、国交省、海上保安庁、環境省さん、農水省さん、林野庁さん、水産庁さん、その他関係地方公共団体様に入っていただいた、要は、横断的な会議、プロジェクトを立ち上げようということで、左のほうにございますように、東京湾、伊勢湾、大阪湾、広島湾で、こういったプロジェクトを立ち上げ、それぞれで推進会議の設置、それから行動計画の策定、これの実施と、そのフォローアップといったことを今やってございます。瀬戸内海の中では、大阪湾について、平成15年に推進会議を立ち上げ、広島湾は平成18年に会議を立ち上げということで、若干地域によって進捗状況に差はございますが、こういった横断的な取組をやっているということでございます。  その中で、大阪湾再生プロジェクトの概要でございますが、申し上げましたように、15年7月に会議が設置されまして、16年に行動計画を策定しております。既に随分に日がたっておりますので、既に中間取りまとめというのを2回ほどやっておりまして、今年の6月に中間取りまとめの第2回目が取りまとめられておると。また後でご説明したいと思います。
 それから、広島湾再生プロジェクトでございますが、こちらはちょっと立ち上げが遅かったのですが、平成18年に会議が立ち上がり、平成19年に行動計画が策定されております。これも第1回目の中間取りまとめ、これを今年の3月に実施しておりますので、また後ほど、その概観についてお話をさせていただきたいと思います。
 こういった大きなたてつけの中で、個々にいろいろ環境への取組をしておりますが、その事例をちょっと駆け足でご紹介したいと思います。
 必ずしも、これは大阪湾と広島湾だけではなくて、瀬戸内海全体でやっているもので、松山港では、和気地区という海岸でコアマモの移植をやっております。国土保全の観点から、海岸を少し養浜していかなければいけないと。そこに生息していたコアマモの生息場がなくなるということで、これを移植して、またもとの場所に戻すというようなことを実施しまして、これについては、良好な成育環境を確認しておるというような成果が出てございます。
 あと、時間がありませんので、項目だけのご説明にさせていただきますと、尾道糸ア港では、浚渫土砂を利用した人工干潟の造成、また、そこへのアマモの移植といったような取組をしております。
 それから、深掘跡の埋め戻しでございますが、先ほどからもお話がありましたように、大阪湾、まだ深掘跡が幾つもございますが、その中で、ここで書いておりますのは阪南港の2区、ここに深掘跡に浚渫土砂を投入して、深掘跡を埋めることにより、青潮対策に携わっているというようなこともやってございます。
 それから、リサイクル材の活用ということで、そういった浚渫土砂を単体で使うだけではなくて、陸域から出てくる、例えば鉄鋼スラグでありますとか、そういったものをうまく活用することで、逆に海域環境にいい影響を与えるようなのものもございますので、こういったものが使えないかということを、いろいろと関係者の方と実験などをしながら、今、進めておると。なかなかまだ具体的な大規模な事業にはなっておりませんが、いろいろなところで社会実験をやっておるという状況でございます。
 それから、先ほどちょっと申し上げました、生物共生型港湾施設の整備ということで、ここは堺泉北の堺2区地区で、護岸のところに少し、下にありますように、石を積んで、また、人工干潟もつくるような、こういったこともやっておりますが、ちょっとこれも、先ほど見ていただいたものと同じように、大規模なんですけれども、例えば簡単なものでは、いわゆるテトラポット、消波ブロックと申し上げますけれども、これは表面はつるつると普通はしているのですが、そこに筋を一本入れるだけで、多少藻がつきやすいですとか、そういったことも試験的に、試行的にいろいろと調査をしたりしておるところでございますので、一応大規模、小規模、いろいろなもので、これからつくっていく港湾施設については、生物共生ということを意識してつくってまいりたいというふうなことを、今、取り組んでおります。
 あと、先ほど申し上げましたように、海洋のごみは、こういった範囲で、今、回収をしておるところでございます。
 それから、あと、環境情報の充実と共有化ということで、先ほど、データの共有化の話もございましたが、港湾の中では、海の再生プロジェクトを実施しております四大湾において、モニタリングポストという、自動連続観測装置というのを一応設けておりまして、この情報がリアルタイムにデータベースに転送されて、誰でもご覧になることができるというようなものをつくっております。
 あと、普及、啓発ということで、海の再生全国会議と、「海の再生プロジェクト」の取組の成果をご報告するような場を設けておると。あと、海辺の自然学校ということで、瀬戸内では、昨年度4カ所、全国では13カ所で開催をしております。
 すみません、ちょっと駆け足で恐縮なのですが、これは大阪湾再生行動計画、広島湾再生行動計画の一応取りまとめということで、ちょっと具体的な指標を示して、取りまとめとしたものと、あと、その他、一般的な意見として整理したものと、整理しておりますけれども、すみません、ここも時間がありませんので、割愛させていただきますが、こういった事業を、一応私どもとしては、地方整備局を中心に現場で取り組んでおるところでございますけれども、そこで出てきます個々の反省点といいますか、留意点といいますか、こういったことに気をつけたらいいんだよということについて、最後にちょっと、すみません、口頭で恐縮ですが、ご説明させていただいて、終わりたいと思います。
 こういったプラットホームを一応つくってはおるのですけれども、個別施策ごとの目標達成にまだ力が注がれている嫌いがあるのかなという印象は、まだ現場では思っておるようでございます。各湾域の統合的な管理と言えばいいのでしょうか、有機的な連携をしていく必要があるのかなということを、それぞれ現場では感じておるようでございます。
 それから、事業実施に当たり、地域の関係者の方々との調整がとにかく大事だということは感じておるようでございます。そういった意味でも、例えば干潟や藻場の再生であるとか、創出、こういった事業の効果を定量的に把握することによって、取組に対する理解をしやすくなるのではないかなと思っています。なかなかこの辺、まだ学術的な知見、皆様、先生方のご知見もおかりしながら、つくっていかなければいけないと思っておりますので、また引き続き、ご指導をお願いしたいと思います。
 長くなりましたが、国交省からのご説明は以上でございます。

○松田委員長 どうも大変ありがとうございました。たくさんの内容に対して、ちょっと時間が足りませんでした。大変申し訳ありませんでした。
 どうぞ。

○中瀬委員 今、ご紹介いただいた二、三のプロジェクトにも関わらせていただいていたのですが、特にコウノトリに関しましては、野生復帰は、20数年来、一緒にやらせてもらっておりまして、今日、説明をお聞きしまして、懐かしく思っておりました。今日、まさにご説明いただいていましたように、円山川から、農林水産、田畑、山林あるいはアユの産卵漁場まで、ちゃんとやっておられましたね。そういう意味では、コウノトリをベースに、結構横つなぎのすごいいいモデルがあそこでできてきていると、私は思っております。その影響を受けて、豊岡市では総合計画や豊岡モデルという、そういうことをやっております。まさに、今、最後で言われた総合的管理とか、有機的関係といったものが、この一つのプロジェクトから広がっているなという感想を受けました。
 そこで、質問なのですが、河川の研究会をしていると、やっぱり河川の流域だけなんですね。港湾の話をやっていると、やっぱり港湾だけだと。ところが、干潟とか、藻場とかを考えるときに、河川、港湾、それから市民活動、ここら辺を、さっき、まさに言われた総合的管理とか、有機的関係なんかを、これからどんなふうにされるのかというのが非常に興味ありますので、また教えてください。
 それと、あと1点だけですが、河川のほうの7ページで、連続性の話が出ておりました。ぜひ、これも推進していただきたいと思うのですが、ところが、いつも河川、水辺の調査のデータをたくさんとっておられると思うのですが、ここら辺から、やはり生き物が川から海まで、山から海まで、どんなふうな行動をしているかというデータも、もしでき上がったら、ぜひ頑張ってつくっていただいて、共有させていただいたら、ありがたいなと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございました。ほかには。

○足利委員 ご発表、ありがとうございました。地域で活動している者としては、国土交通省さんの市民参加型の活動というのは、非常にありがたいなと思っております。
 今のご質問と一緒なのですけれども、私も活動していて、川から河口域の海に入っていく汽水域の部分の生態系というのが、非常に海の環境にとっては大事なのではないかというのを日ごろ感じております。ところが、そこの管理をしようと思うと、国交省さんの場合、川と海が別々になってしまって、なかなかそこでうまくいかないというのが、非常に現場で感じます。特に、先ほど、漁協さんのほうのお話にもあったのですけれども、河口堰の管理であるとか、それから、河口の全体的な管理、海に対するですね。そういうところを、やはり国交省さんとして、縦断型で、どういう形でこれから管理をされていこうかというか、どういう計画がおありかというのを教えていただけると、ありがたいなと思います。

○松田委員長 もし、可能であれば。

○小池国土交通省港湾局国際・環境課港湾環境政策室長 大変お答えが難しい、お答えになるかどうかはわかりませんが、ちょっとお聞きして思ったことを話させていただきますと、どうしても、やはり事業というものをやっている中で、こういった取組をやっておりますので、その事業単位でということであると、なかなか、今おっしゃったような、何といいますか、ご迷惑をおかけしているというのは、我々もよくよく承知しているところでございます。そういったこともございますので、例えば資料の中にちょっと出てきているのですけれども、例えば瀬戸内海の環境修復計画であるとか、それは旧河川局、それから港湾関係と、それから漁港関係と、こういった三者で集まりながら、その技術の交換であるとか、情報の交換であるとか、目標の共有化、そういったものに取り組んでまいっておりますし、あと、こういった再生プロジェクトチームということで、情報の共有化を図っているという、一応ここまでの取組はできております。あと、その現場、現場の風通しをいかによくしていくかということは、すみません、今、ここで具体的にこうだということはなかなか申し上げられないのですけれども、今言ったようなご意見、ほかからも多々ちょうだいしてございますので、ここは、我々としても、現地と相談しながら、前向きに取り組んでまいりたいと思っております。お答えになっておりませんけれども。

○松田委員長 海洋基本法に基づく、沿岸域の総合的管理というあたりにもつながってくるかと思いますが、今日はちょっと時間が足りないので、一応最後に時間が余ったら、続けていただくということで、すみませんが、次のテーマに移らせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、農林水産省から、大臣官房環境政策課、林課長補佐様から、それから、水産庁瀬戸内海漁業調整事務所の提坂所長より、それぞれご発表をいただきます。先ほど同様、二つの発表が終わりましてから、質疑にしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○提坂水産庁瀬戸内海漁業調整事務所長 瀬戸内海漁業調整事務所の提坂と申します。
 私からは、瀬戸内海におけます水産業の現状、それから問題点について、ご紹介させていただいた上で、我々が進めております施策につきまして、特に漁場環境の改善に関する取組を中心にお話をさせていただきたいというふうに思います。
 資料をちょっとお開きいただければと思います。
 まず、資料の1ページ目でございますけれども、漁業と養殖業生産量の推移を示したものになってございまして、右側のグラフが瀬戸内海の分でございまして、瀬戸内海におきましては、昭和61年、83万トンをピークといたしまして、ほぼ一貫して減少傾向をたどっておるところでございます。21年、これは45万トンと、ピーク時の半分近くまで落ち込んでいるような状況です。このうちの漁業生産量ですけれども、こちらが18万トンで、昭和57年のピーク時、46万トンからは6割以上減少という状況になってございます。
 一方で、養殖業につきましては、前年より増加していますけども、これは平成20年が、ノリやカキの生産減などで減っていたところが元に戻ったというところで、グラフのとおり、中長期的には、平成年代以降、緩やかな減少傾向が続いているという状況にございます。
 左側のほうに、全国の生産量もグラフ化してございまして、ほぼ同様の推移をたどっておるところでございますけれども、瀬戸内海には、遠洋漁業とか、沖合漁業、こちらはございませんので、これをはいだところの部分を見ていただきますとわかるとおり、全国に比べても、やっぱり瀬戸内海の落ち込みのほうが大きいというような状況になってございます。
 次のページでございますが、これは漁業、養殖業が、瀬戸内海でどういうふうに展開されているかということについて、大まかな灘別に、そこで行われているものを列挙した図となってございます。かなりごちゃごちゃして見づらいというふうに思いますけれども、瀬戸内海の漁業そのものが、多種多様な魚介類をさまざまな漁法で漁獲しているということもございまして、逆に、この見づらさが、瀬戸内海漁業の実態を表しているというふうにお考えいただければというふうに思います。
 瀬戸内海でどんな魚がとれるのかということにつきましては、一言ではなかなか難しいのですが、極論しますと、カツオとか、マグロといったような、高度回遊種を除く、暖かい海にすんでいる魚介類のほとんどということになろうかというふうに思います。
 それで、漁法につきましても、小型底びき網漁業とか、あるいは、瀬戸内海の機船船びき網漁業、こちらが二大勢力となっておりますけれども、図にもございますように、赤い字で示したようなさまざまな漁法、刺網、釣り、定置網等々、全国で行われております沿岸漁業のほとんどすべてが展開されているというような状況になってございます。
 狭い内海で営まれております漁業でございまして、通常ですと、左右両隣に隣接県があるのですが、瀬戸内海の場合には、左右、前面にも隣接県が存在するということで、漁場とか、資源をめぐるトラブル自体が日常茶飯事ということになってございまして、漁業調整と資源管理への取組が重要な位置を占めているというところでございます。
 一方で、養殖業につきましては、播磨灘、備讃瀬戸、安芸灘、これを中心としまして、ほぼ瀬戸内海全般で行われておりますノリ養殖とカキ養殖が主力となってございまして、養殖生産額600億円のうちで、ノリが220億円、カキが190億円ということになってございます。これに対して、ハマチ、マダイといったような魚類養殖、これは140億円ということで、生産はほぼ播磨灘に集中しておりまして、これ以外の海域ではさほど多くないという状況にございます。
 漁業と養殖業の概要だけ、ご説明させていただきましたけども、このうちで、漁業が対象といたします水産資源、これは天然の生物資源でございますので、過度に利用が進めば枯渇してしまうという性格を持ってございます。しかしながら、鉱物資源などのほかの天然資源とは異なりまして、再生産を繰り返すという特別な性質を持っておりますことから、この再生産力を大きく上回ることがないように、適切な管理ということを施すことによりまして、持続的利用が可能な資源となってございます。資源の適切な管理こそが、我が国漁業にとっての最大の課題とも言えるという状況かと思っております。
 こうした中で、瀬戸内海の取組事例ということで、ポンチ絵に掲げてございますように、サワラについて、これは資源回復に向けた取組の模様を図示してございます。サワラ自体は、もともと昭和30年代から、1,000トン、2,000トンという量で推移してきたのですけれども、50年代以降に、漁具や漁船の性能向上で急激に漁獲量が増加しました。これも完全に過剰漁獲だったわけなのですけれども、昭和60年代には6,000トンまで達したと。この過剰漁獲に加えまして、餌となりますようなイワシ、イカナゴ資源、こちらもあわせて、これは乱獲の結果ではないのですけども、こちらの減少などが重なりまして、平成10年には200トンまで落ち込んでしまったと。こういう事態を受けまして、一部の漁業者が自主的に漁獲を抑制しましょうという話になりまして、これで減少に歯止めがかかったところではございますが、図の下段に掲げてありますように、平成14年以降ですけれども、サワラに対します漁獲制限を瀬戸内海全域に広めるということとあわせまして、人工種苗の放流と、漁場環境保全の取組を加えました資源回復計画といったものをスタートさせたところでございます。
 さまざまな取組の中で、漁獲制限とか、種苗放流もさることながらなのですが、それらによって生き残り、あるいは人為的に添加されましたサワラの稚魚、これが成育する場所の環境を整えるということも重要な課題となってございます。サワラ資源の急激な減少というのは、その過剰漁獲が大きな要因ではありますけれども、先ほどお話に出たとおり、その餌となるようなイワシ、イカナゴの減少、これもサワラ資源の減少には大きく関わっているということから、藻場とか干潟の造成、堆積物の除去などによります環境改善に取り組むということで、漁場全体の生産力向上に努めてきたところでございます。
 4枚目でございますけども、こちらの漁業・養殖業のうちの養殖業の課題となってございますが、先ほどお話ししたとおり、瀬戸内海の主力養殖、これはノリとカキが二大勢力となってございます。これらは魚類養殖と異なりまして、種苗を集約的に漁場に垂下して、餌を与えることなく、漁場の生産力を利用して生産を上げると。いわゆる無給餌養殖という方法になってございます。この漁船漁業ほどでないにしても、漁場環境に生産が大きく左右されるという言い方もありますが、むしろ、漁場を自分たちで自由に変更できないといった分、環境変化が生産に大きな影響を及ぼすということになってございます。このうちの特にノリにつきましては、近年、漁場の栄養塩濃度の低下などを原因といたします、その色落ちが発生いたしまして、大きな問題となっているところでございます。
 下段のほうにグラフを掲げてございますが、これは直近の状況を示すために、全国漁業協同組合連合会のデータからつくり上げたものとなっておりますので、年度で区切られてございます。ノリの盛漁期は春前であるということで、1月から3月に特に収穫がございますので、最初のところで申し上げた、その暦年で区切った通常の統計よりも、1年分後ろにずれて表示されているということを、まずお断りさせていただきます。グラフからも見られますように、平成15年度、19年度、22年度、これは暦年で言えば、16、20、23という年になるわけですけども、生産枚数、金額とも、落ち込んでございます。これが色落ちの影響となってございます。全般的に、その経営環境が厳しさを増す中で、この生産の量、金額ともに、低下傾向にあるというところに、こういったような色落ちが追い打ちをかけるという形になりまして、ノリ経営体に非常に深刻な影響を及ぼしているというところでございます。
 サワラとノリを例といたしまして、瀬戸内海の漁業・養殖業の現状課題をご説明してまいりましたが、漁業・養殖業、さらにそれらが営まれております漁村におきましては、国民に対する水産物の安定供給という一義的な役割のほかにも、さまざまな機能を備えておるところでございます。
 次の5ページ目をご覧いただきたいと思います。
 そもそも、天然資源でございます、水産資源の漁獲あるいは漁場の生産力を利用いたしますノリ、カキの養殖といったもの、これは陸域から放出されます栄養塩などの物質を水産物の形で食卓へ供給するというものでございまして、いわば、海洋と陸域における物質循環も促進をしているということも言えようかと思います。また、藻場とか干潟、これは水産資源そのものを育むわけでございますが、それだけではなくて、漁獲対象とならないようなさまざまな生き物の生息場所ともなってございまして、海の生態系保全に大きく寄与しておりますほかに、それ自体が水質を浄化するという機能も備えているところでございます。
 カキなど、水中のプランクトンを餌とするような二枚貝を養殖いたしますれば、水質浄化にも効果がありますし、さらに、その漁村の漁業者が行うような海岸清掃とか、魚つき林の整備、これも環境保全にはやっぱり大きな寄与をしているというところでございます。
 さらに、その漁村や漁場で漁業者が生活をいたしますことで、海域環境の監視にも役割を果たすということができますし、ほかにも、レクリエーションの場を提供したり、日本人にとっては、やっぱり伝統文化継承という役割も果たしているというところかと思います。
 このように、安定的な食料供給という目的にとどまらず、さまざまな多面的機能を発揮させるために、ハード、ソフト、両面の施策で支援を行っているというところでございます。
 次に、漁場環境の改善取組ですが、次のページをご覧いただきたいと思います。
 特に、天然資源を対象といたします漁業ですが、環境に大きく依拠する産業であるがゆえに、漁場環境の改善そのものは、多面的機能に直接関連する課題というふうに考えておるところでございます。特に、水産庁では、平成11年に制定いたしました持続的養殖生産確保法という法律に基づきまして「漁場改善計画」の策定実行に取り組んでいるところでございます。漁場改善計画は、特定の養殖場におきまして、適正な養殖可能数量を設定いたしまして、これを養殖業者に守っていただくということで、環境負荷を抑制しようとするものでございます。さらに、あわせて、漁場における窒素、りんなどの栄養塩を管理する技術の開発であるとか、有害赤潮が発生したときのそれを回避する技術、これらの開発にも取り組んでいるというところでございます。
 次のページでございますけども、先ほどお話ししましたとおり、瀬戸内海におきましては、ノリの色落ちが大きな問題となっているわけでございますが、これは国内のほかの海域でも同様でございまして、これを防止するために、その適正な栄養塩供給が可能な水質レベルを維持管理する手法の開発であるとか、ノリが吸収利用する前に、栄養塩を吸着してしまうような植物プランクトンそのものを除去する技術といったものの開発に取り組んでおるところでございます。
 次のページで、水産庁では、以前から築き磯とか、魚礁の設置などを通じまして、漁場の造成にも取り組んできたところなのですけれども、最近では、資源の低迷というものに加えまして、藻場・干潟の減少であるとか、貧酸素水塊の頻発といったように、かなり深刻な、続くさまざまな問題を背景といたしまして、海洋の生態系全体の生産力を底上げするということができないかと。そういうことを目指しまして、水産生物の動態や生活史を念頭に置きました水産環境整備事業というものを進めていくこととしております。そのためには、食物連鎖を念頭に置きまして、左側のほうに絵が載っておりますけれども、海だけではなくて、森や川からの物質流入も把握しまして、これをコントロールしなければならないと。漁場造成に関しましても、成魚のすみかを増やそうとする、かつてのような点的な漁場の造成から、より空間的な環境整備へ転換していくという必要がございます。空間的な整備というのは、いわば、魚介類の場合ですと、産卵場所、それから稚魚から幼魚期へのナーサリー的な場所というふうに、生息場所が成長につれて変わっていくわけでして、そのような生活史を念頭に置いた上で、すべての生息環境を一体的なものとしてとらえて、藻場、干潟、魚礁といったようなもの、それぞれの成長段階に見合った複合的な生息環境全体を整備しようというものでございます。
 こうした整備の全体像につきましては、資源や、その環境変動にも柔軟に対応していくという必要がございますので、一番右側に掲げてございますように、海域ごとにマスタープランを策定した上で、モニタリングを充実させた事業展開に努めているというところでございます。
 次は実例なのですけれども、瀬戸内海の播磨灘のマスタープランを例として挙げてございます。これは全国第1号のマスタープランということで、播磨灘に面しております兵庫、岡山、香川の3県が連携いたしまして、生産力の底上げを目指した整備に取り組もうというものでございます。
 まず、播磨灘全域で広く分布しまして、成長に伴って沿岸から沖合へというふうに、多様な環境を利用いたします、マコガレイというカレイの一種がいるのですけども、こちらの生活史を考慮しまして、海域特性を生かした、その整備を行いますほかに、モニタリング調査を継続しまして、その結果とか、新たな知見、これを随時取り入れて事業に反映させた上で、環境生態系保全活動であるとか、漁獲規制、先ほど出てまいりました、その種苗放流などとも連携しまして、マコガレイそのものの増殖に取り組もうというものになってございます。
 以上のように、水産庁で、ハード、ソフトの両面から、さまざまな施策を展開しておるところでございますけども、その目指すところというのは、漁業、水産業のみにとって豊かであるだけでなく、国民全般にとって豊かさを享受させ得るような海でありまして、これを実現させるためには、海の栄養塩レベルの適正管理手法を確立させるということが、やはり根っこの問題となるわけでございますが、適正栄養塩レベルそのものというのは、やっぱり定量的な定義がなかなかなされないというところ、あるいは、レベル減少といったようなものも、原因がまだわかっていないといった中では、一朝一夕に課題を解決するということは困難な状況にあろうかというふうに考えてございます。このため、現在、でき得る限りの手段を用いまして、さまざまな関係者が連携・協力しあいながら、もちろん、農水省だけではなくて、他省庁とも連携し合いながら、今後も努力を続けていく必要があるというふうに考えておるところでございます。

○林農林水産省大臣官房環境政策課課長補佐 農林水産省環境政策課の林でございます。
 私からは、森・川・海を通じた生物多様性の保全の推進という観点から、お話をさせていただきたいと思います。
 では、失礼ですけども、座ってお話しさせていただきます。
 森は海の恋人と言われることがございますように、森林は、水源涵養機能、土砂流出防止機能などを有しております。さらに、栄養塩類等を里地・里山や田園地域を流れる川を通じて海へ供給し、海の生き物である海藻やプランクトンなどを育てるなど、海の生物多様性にも貢献をしています。
 古くから、漁業関係者の方たちの間でも、海の近くの森が魚を集めることが知られており、神社を設けて立ち入りを制限したり、伐採を禁止したりするなど、森林の保全を図ってきました。現在でも、森林法に基づきまして、魚つき保安林を指定し、伐採の制限などの措置を講じているところでございます。
 さらに、森林の栄養塩が川を通じて海にもたらされ、魚介類や海藻の成育をもたらすという考えが広まったことで、川の上流部に植林を行う取組が盛んに行われています。農林水産省といたしましても、漁場環境の保全に資する森づくりを推進しているところです。
 また、田園地域、里地・里山に暮らす人々や、そこで生産活動を行う方々にとりましても、森林の水源涵養機能が非常に重要であることから、水源となる森林の保全にも取り組んでおります。
 このように、森林、田園地域、里地・里山、海などは相互に関連しており、それぞれにおいて人が生活し、農林水産業などが営まれており、生態系全体を通じた生物多様性の保全を行う必要があると認識をしております。そのため、田園地域、里地・里山における生物多様性をより重視した農業生産活動や、植林活動への支援、魚つき保安林の指定とその保全、漁場保全のための森林整備など、森・川・海の生物多様性を保全する取組を積極的に推進することとしております。
 本日、私から、お話しいたしましたことは、現在、農林水産省で見直しをしております、「農林水産省生物多様性戦略」にも盛り込まれることとなっております。
 では、農林水産省からは以上でございます。ありがとうございました。

○松田委員長 どうも大変ありがとうございました。ただいまの農林水産省からのご発表に対しまして、ご質問などはございますでしょうか。

○白山委員 いろいろとご指摘、ありがとうございます。伺いたいのは、森・川・海というので、農林水産省が管轄される範囲ですと、やっぱり農地をどうするかというのが非常に重要です。海に関する栄養塩の非常に重要なソースは、恐らく農地です。その農地と海との関係というのは、どういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

○林農林水産省大臣官房環境政策課課長補佐 農地、農業におきましては、環境保全型農業という、今、化学肥料や農薬などを低減をする取組というものを、従来より推進をしているところでございますので、また引き続き、生物多様性保全に関する取組とあわせて、これからも推進していきたいというふうに考えております。

○松田委員長 ありがとうございました。ただ、実際には、今、お話があった農水省での生物多様性戦略は、むしろ、水田とか、そういう農地が、内容的には多分中心になっているというふうに思います。  そのほか、いかがでしょう。

○中瀬委員 簡単に、先ほどの多面的機能のところで、文化的な話、歴史的な話があったのですが、ぜひ、郷土文化的な景観形成、このあたりをぜひ考えを議論していただきたいなと思います。といいまは、昨年、私の学生が、淡路島の一番北の岩屋というところの小さい町ですが、あそこで10数種類のやはり漁業をやっているコミュニティがあって、そこら辺のこと、結構すごいいい郷土景観が出てくるんですね。そういった、何か漁村が持っているすごくいい雰囲気、景観というのも、ぜひ議論していただきたいと思います。
 以上です。

○松田委員長 ありがとうございます。

○鷲尾委員 ありがとうございます。今日、議論しているように、きれいな海ばかりでなく、「豊かな海」ということが、これからの目標になるのですけれども、豊かになると、やはり漁業者が元気になって、多面的機能もさらに発揮できるということが期待できるのですけれども、このサワラのところで話が出たように、漁獲能力というのは、この数十年の間に飛躍的に向上しているのですが、漁業許可というのは、数十年来、同じ枠で出ておるんですね。だから、獲れないときは休んでいますけれども、獲れるとなると、その隠れているものが復活してきて、結局、乱獲状態に陥ってしまうというのが、潜在的な問題としてあります。ある意味で、漁獲の少ないときに、担い手として維持していきたい人たちと、やはり、いいときだけもうけに来る人たちというのは、ある程度、見定めて、豊かになったものをやはり適切に維持管理できるようなルールのもとで、運営していく必要があるのではないかと。だから、瀬戸内海ではないですけれども、外の海では、やはり減船というのが大きな課題になっているように、やはり適正な漁業というものをどう維持するかという、そういう仕組みも、逆に「豊かな海」にすれば、各方面の協力でそれができた上で、やはり漁業の責任として、それを打ち出しておく必要があるのではないかと思うのですけども、そのあたりの施策はいかがでしょうか。

○提坂水産庁瀬戸内海漁業調整事務所長 先生のご指摘は、漁業の許可の空枠の整理の問題と、資源の運用、利用の課題かと思いますが、この空枠の整理というのは、むしろ、調整問題になるわけでございますけども、これは、今、使っていないもの、それに関しては、やはり整理してくださいという話はしているところですけれども、なかなか整理が進まないという実情にはございます。
 その一方で、資源の利用、運用につきましては、これは今まで、さんざんやっぱりサワラに関しても我慢してきた。だんだん増えてきましたということになっておるところなのですけども、その利用の仕方に関しましても、漁業者を入れた協議会、これを続けまして、どういうふうに獲っていくかということを、やはり今後も詰めて話していきたいと思っております。サワラだけ、特に例を挙げましたけども、こういった大きな回遊しない地先種に関しては、それぞれの浜々で、同じようなことが行われているというふうに思っておりますし、そうした漁業者との協議を一層促進していくべきと考えておるところです。

○松田委員長 どうもありがとうございました。よろしいですか。
 それでは、どうも大変ありがとうございました。
 引き続きまして、最後の関係省庁ということになりますが、環境省から、自然環境局国立公園課、佐々木専門官、それから、自然ふれあい推進室の田邉室長補佐、自然環境計画課の福島専門官から、ご発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐々木自然環境局国立公園課専門官 国立公園課の佐々木でございます。
 国立公園の取組について、ご紹介させていただきます。座って失礼いたします。
 国立公園、皆様、もうご存じの方も多いかもしれませんが、我が国を代表するに足りる傑出した自然の風景地ということで、自然環境を守りながら利用していきましょうというような趣旨で指定されているものでございます。
 全国の国立公園指定状況、29カ所ございます。瀬戸内海も国立公園に指定されていまして、特に広島とか、岡山のあたりの多島海、島がいっぱいある景観のところを、島が海と一緒にたくさんある、そういったものを眺めるというような趣旨で、国立公園、瀬戸内海は指定されております。
 国立公園のその保護と利用と、先ほど申し上げたのですが、一応保護の話を中心にさせていただきます。
 国立公園の海域の保護の制度は、2種類のランクに分けられていまして、普通地域という届出制の部分、こちらは規制が比較的緩い。規制が比較的厳しい海域公園地区というところの2種類になります。海域公園地区というところでは、工作物の新築とか、埋め立て、鉱物の採取とか、そういったものが環境省の許可制になっておりまして、許可を受けなければできない。海域の普通地域のほうは、比較的、大規模なものについて、事前に届出をすれば、行為ができるというような仕組みになっております。
 この海域公園地区なのですが、平成22年4月に自然公園法が改正されまして、新しく制度として追加されたものでございます。今までは海中公園地区というのがあって、主に海の中のサンゴ礁とか、藻場といったものが中心に指定されてまいりましたが、海上も含めた海域の景観を保護するという趣旨で、制度改正されております。瀬戸内海では、まだこの海域公園地区というのは1カ所も指定されていない状況になっております。
 こちら、写真でちょっと見ていただきますと、青い枠の中が海中公園地区、今まで、指定する要件として、サンゴ、藻場というのはあったのですが、海域公園地区になりますと、干潟ですとか、岩礁帯、生き物がいっぱいいるところとか、それから、シーカヤックとか、そういった利用上重要な場所、文化的な景観、そういったものも含めて、海域公園地区に指定できるように、指定の対象を拡大しております。
 また、海域公園地区の制度の特徴で、これまで、海中公園地区では、開発を規制するというものと、環境大臣が指定する動植物の採取の規制がセットで指定されていたのですが、今回、海域公園地区にするときに、開発だけの規制をベースにしまして、動植物の採取規制は、それに後追いでのせることができるというふうな制度に改正しました。これによって、今まで、海域公園地区では、漁業対象種は、基本的には捕獲してはいけませんという種に、環境大臣は、指定しないという方針でやってきているのですが、そういっても、地域の漁業者の方々、やはりそのほかの魚を混獲してしまうおそれがあるとか、そういったことで、海域公園地区の指定は、あまりしてほしくないなというような声も聞かれたものです。ただ、今回、この開発規制と分けることによって、まず、開発で失われてしまうのを防いでいくということができるようになっていくのではないかと考えております。
 そのほかの最近の国立公園の動きとしまして、平成19年度から、国立・国定公園総点検事業というものを実施しております。こちらは、全国の自然環境、生態系とか、地形地質の観点で重要な地域を抽出しまして、今後10年間を目処に、新たに指定する国立公園や、少し拡大したほうがいいのではないかというような国立公園の区域などを候補地として抽出して、平成22年に公表したものでございます。これの中に瀬戸内海も候補地の一つとして入れさせていただいております。この趣旨は、今まで、瀬戸内海、どうしても多島海景観ということで、陸域とか、船で眺めるという利用が多かったのですが、最近は、やはり干潟ですとか、藻場といったものが非常に重要になってまいりまして、そこの干潟・藻場を使って、レクリエーションをされる方なども増えてきております。また、そういった国民の目なども変わってきているところでありますので、瀬戸内海全体をもう1回見直して、適切な保護、それから利用の促進といったものを進めていこうということで、これから取り組んでまいりたいと考えております。
 国立公園の取組は、以上で終了です。

○田邉自然環境局総務課自然ふれあい推進室室長補佐 それでは、引き続きまして、エコツーリズムの推進ということで、自然ふれあい室から説明をさせていただきます。座って説明をさせていただきます。
 まず、1ページ目をご覧いただきたいのですけれども、エコツーリズムという言葉の説明からでございます。これは、平成20年に施行されたエコツーリズム推進法という法律がございます。そこに定義をされているところです。読み上げますと、観光旅行者が、自然観光資源について知識を有する者から案内または助言を受け、当該自然観光資源の保護に配慮しつつ、当該自然観光資源と触れ合い、これに関する知識及び理解を深めるための活動と。ちょっと回りくどい言い方なのですが、自然観光資源というのは、すぐれた自然環境はもとより、身近な自然、里地・里山ですとか、漁村の風景も含めて、その自然環境に関連した資源という説明ができます。この中には文化的景観も含まれるという形です。
 そういった自然観光資源を対象として、知識を有する方から、これは簡単に言うと、ガイドさんということなのですが、そこから、案内、助言、ガイディングを受けながら、自然観光資源の保護に配慮、これはルールを定めて、自然環境を守りながら使っていくという要件のもとで、行われる活動ということでございます。
 こういったことを進める上で、エコツーリズム法の中に基本理念というのが四つございます。これは、ルールに基づいた自然環境への配慮、また、観光の振興への寄与と、それに伴う地域振興への寄与というものが挙げられております。これは環境教育へも非常に有効という視点から、環境教育への活用ということも掲げられているところでございます。
 次の三つ目の丸、地域協議会というところですが、これは地域振興というところに関連をしてくるのですが、エコツーリズム推進全体構想というのを、地域の市町村を含めた関係者で策定をいたします。これについては、法律に基づいて、国に認定申請ができることになっておりまして、国、環境省、農水省、国交省、文科省でございますけれども、エコツーリズム推進全体構想を認定することができると。この認定がされると、先ほどご説明しました自然観光資源、これを特定自然観光資源ということで、例えば汚損をしたり、破損をしたりということの広域規制ができるようになります。また、必要に応じて、その地域に立ち入る人数制限などの規制が市町村の条例によって行うことができるという仕組みになっております。
 国といたしましては、一番下にもございますとおり、全体構想の周知ですとか、基本方針の策定、また、情報の提供とか、広報活動等によって、エコツーリズムを総合的、効果的に推進することというふうにされております。
 次のページをご覧いただきたいと思いますが、次のページは、瀬戸内海地域で、現在、どのようなエコツーリズムの動きがあるかという部分です。
 左側の部分ですけれども、瀬戸内海地域の取組ということで、平成22年度に、これは環境省の出先である中・四国地方環境事務所が実施した事業でございますが、瀬戸内海におけるエコツアーの運用形態の構築に関する検討ということで、内容といたしましては、宮島ですとか、安芸4島におけるエコツアーのガイド用のシナリオの作成ですとか、モデルツアーの実施、また、関係者のネットワークの構築などが行われております。
 その下にある新聞記事が、その活動に対して地元の新聞に掲載された例でございます。
 今年度につきましては、この動きを受けまして、瀬戸内ツーリズム推進協議会という地元の団体と市町村が連携をいたしまして、エコツーリズムに関する事業を行っております。これに対しては地域コーディネーター活用交付金という環境省の交付金がございますが、その交付金を使って、ここで言うエコツーリズムに係るルールですとか、プログラムづくりというのを、現在、行っているところでございます。
 エコツアーに関しましては、他地域でのモデル的取組というのもございまして、例えばその隣の四角にございます、他施策との連携事業ということで、ここではグリーンツーリズムとの連携を示しておりますが、グリーンツーリズムだけではなくて、例えばブルーツーリズム、ほかのツーリズムにエコツーリズムの考え方を導入していくと。例えば、その自然環境と人間の生活との関係で、その自然環境をいかに保全しながら活用していくかという視点で、ツーリズムを構成していくという事業でございます。
 また、各地の取組、これは市町村とか、その協議会の取組だけではなくて、そういうツアーをつくっている事業者さんたちも対象にして、エコツーリズム大賞という環境大臣の表彰制度がございます。これについては、平成23年度で第7回目を迎えておりまして、これによって、そのエコツーリズムのすぐれた取組ですとか、考え方を普及していくという目的で、つくっている表彰でございます。これによって、質的、量的なエコツーリズムの向上が図ることができるということで、進めております。
 こういったほかの地域との取組をあわせまして、瀬戸内海地域の自然観光資源の持続的な活用と保護の両立というものが進められればというふうに考えております。
 以上です。

○福島自然環境局自然環境計画課専門官 引き続き、自然環境計画課の福島と申します。
 私のほうから、自然再生推進法に基づく自然再生についてご紹介させていただきます。座って失礼いたします。
 まず、自然再生推進法でございますけれども、平成14年12月に成立した法律でございます。上から、自然再生の定義でございます。過去に損なわれた生態系、その他の自然環境を取り戻すことを目的として、多様な主体の参加、国や地方公共団体、また、地域住民の方、NPO、専門家の方々に参加いただいて、さまざまな生態系を対象にいたしまして、自然再生の事業を実施していきましょうというものでございます。
 この法律のポイントを四つ、ここでは挙げさせていただきました。特に、[2]、[3]、[4]で、自然再生の四つの視点というところでございますけれども、まず、[2]のところ、地域の自主性の尊重と透明性を確保した多様な主体の参加・連携、後ほどご説明いたしますけれども、自然再生協議会を設立していただきまして、公募で個人の方にご参加いただくなど、多様な主体の方々に関わっていただきましょうということです。
 [3]でございますけれども、科学的知見に基づいた長期的視点からの順応的取組です。どうしても自然の再生は長期間かかる取組でございます。また、科学的な知見に基づきながら、順応的管理でございますね。順応的な進め方を採用した取組を進めていきましょうということです。
 [4]でございますけれども、これは、残された自然の保全をまずは優先しましょうと。また、劣化している要因をきちんと除去していきましょうということをポイントで掲げてございます。
 矢印の下でまとめてございますけれども、まず、自然再生推進法自体には、新たな規制や、直接的な財政措置といったものはございません。緩やかな法律でございます。一方で、自然再生に向けた枠組みや手法を制度的に担保しましょうという法律でございます。ボトムアップの考え方に基づいた枠組みです。また、この法律自体も、国交省、農水省と、環境省の共管でございます。さらに、順応的な進め方をしていきましょうといったことがポイントでございます。
 では、どのような枠組みで自然再生を進めていくかということで、法律に基づいたフローチャートを示させていただきました。
 まず、実施者に、自然再生協議会を組織していただきます。その中で、自然再生をどのような姿で自然再生をしていきましょうかという目標を、全体構想として策定いただきます。
 引き続きまして、その目標に基づきまして、個々の事業者の方に実施計画を策定いただきまして、自然再生事業を実施していただきます。また、その自然再生事業を実施する中で、モニタリングを実施し、評価して、事業にフィードバックしましょうということで、進めてございます。
 また、この取組自体は、地域の方の発意に基づいて事業を実施していきましょうと。自然再生推進法に基づく取組として進めていきましょうという地域の方々の発意に基づいて、枠組みが設定されてございます。
 次に、自然再生協議会ですが、自然再生に取り組む際には、いろいろな利害関係が関わるわけでございますけれども、さまざまな方々にご参加いただいて、同じテーブルで議論を進めながら、自然再生をしていきましょうというものでございます。  自然再生推進法に基づく自然再生協議会は、全国に23ございまして、さまざまな生態系を対象といたしまして、今、取組を進めているところでございます。今日は、簡単でございますけれども、この[7]の、椹野川の干潟ですね。この取組を最後に ご紹介させていただきたいと思います。
 椹野川河口域・干潟自然再生協議会は、平成16年8月に設立しています。構成員の方々は、専門家の方、関係の漁業団体、また、個人の方、また、国も、国交省、農水省、水産庁、環境省の地元の出先機関が入ってございます。また、もちろん、主体的に進めていただいております山口県が入っております。56名の方で進めてございます。
 対象区域でございますけれども、椹野川の河口域の干潟を主に対象としています。
 目標は「里海の再生」と位置づけてございまして、右側に写真がございますけれども、それぞれの場所に応じたゾーニングをいたしまして、それぞれに短期的、中期の目標を立てて、取組を進めてございます。
 状況ですけれども、平成14年ごろから取組を続けていただいておりまして、例えば中潟とあるところでございますね。こちらは、カキ殻が非常に分厚く堆積してしまったということで、カギ殻の粉砕や、耕耘による底質環境改善を平成16年、17年に実施してございます。平成22年のモニタリング調査によりますと、アサリの生息を確認したとのことです。この地域では、平成3年ごろから、ほとんどアサリがとれなくなったというふうなことでございまして、回復しているということです。
 また、南潟、こちらのほうはボランティアの方々が、人力で作業をしていただいているところでございますけれども、平成21年に500kg、22年に250kgのアサリを漁獲したとのことです。地元の漁業者の方も、まさかここでアサリがとれるようになるとは思わなかったというお話もあるそうでございまして、20年ぶりに漁獲したということで、また盛んに取り組んでいただいていると聞いてございます。  また、アマモ場の再生でございますけども、平成14年には、30ヘクタール強のアマモ場だったそうでございますけれども、漁業者や地元住民の協働で、アマモの回復の事業に取り組んでいただきまして、平成20年には142ヘクタールまで回復してきていると聞いてございます。  以上、自然再生の取組をご紹介させていただきました。ありがとうございました。

○松田委員長 どうも大変ありがとうございました。ただいまの環境省から、国立公園、それからエコツーリズム、それから自然再生推進法に基づく自然再生を中心にご紹介をいただきました。大変ありがとうございます。
 これにつきまして、何かご質問等ございますでしょうか。

○中瀬委員 国立公園の総点検事業のフローチャートを見せていただきましたら、要は、生態系の重要性と、地形地質の重要性の議論がかなり重点的にされて、議論されているようなフローチャートと見受けさせてもらいました。これは全然異存はございません。瀬戸内で考える場合に、やはり島、海、里山、河川等々、集落等々、いろんな要素が混在しているところで、見る、見られるの関係がありますね。という意味だと、この瀬戸内に対して、このフローチャートにはどんな議論が、どんな考え方が成立するのかなということがもしわかったら、教えていただきたいと思います。

○佐々木自然環境局国立公園課専門官 瀬戸内海の評価を進める中で、やはりその干潟とか、藻場という、その浅海域の生態系というものが議論の焦点になりました。そういったものが、やはり今までの国立公園の指定の中ではとり漏らされて、瀬戸内海に限らずなんですけど、とり漏らされているということがございまして、そこをやはりしっかりまずはやっていかないといけないのではないかと。既存の瀬戸内海の国立公園の区域内においても、そういったところは、全域の普通地域という規制の緩やかなほうになっていますので、そこについても、しっかり見直しをやっていかなければいけないという議論になっております。

○松田委員長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、ここまでで、本日の発表予定、すべて終了したのですけれども、相当広範な課題、内容が含まれておりましたので、全体を通して、聞き漏らした点がありましたとか、あるいは、何か追加のご意見等がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。

○鷲尾委員 国交省さんのところで、環境改善についてのお話が中心だったと思うのですけれども、この場で最初のほうで出ておりました、瀬戸内海の水質を考えていくときに、下水処理場の扱いをどうしようかということも含めて出ております。そうした場合に、これまでの総量規制をもとに、各事業場に割り当てられた規制値があろうかと思いますけれども、それもできれば見直してもらえないかということがございます。私、明石の下水処理場などに、先ほど、山田会長からの話に出たような、冬期には栄養塩を少し多く出してもらうというような取組をしていただいているのですが、それぞれの施設の抱えている基準があるので、それ以上の社会実験が進められないということが起こってきております。ですから、恐らく施設ごとに設けられているので、古い時代のものは緩いけれども、新しい新営施設はより厳しくなっているという点もあります。そういうあたり、もちろん現場の環境を損なってまでということは言いませんけれども、それをモニターしながら、緩和することによって、海への影響あるいは効果というものをより見えやすくするという、そういうところに規制緩和の可能性というのはないものでしょうか。できればご検討いただきたいということでもあるのですけども。

○松田委員長 検討課題ということで、よろしいですか。何かございますか、特には。ちょっと突然ですので、無理のない範囲で。

○久岡国土交通省下水道部 国土交通省下水道部の久岡と申します。
 下水道のほうでは、各処理場に確かに担当の負荷量を、減らさなければいけない負荷量というのは割り当てられているのですけども、これらすべて、環境基準をもとに定められた値でして、環境基準を達成するためには、どの程度、下水処理場で減らさなければいけないのかというようなことを計画で定めております。よって、その計画の範囲内でしたら、実験等、もちろんやっていこうというふうには、こちらのほうでも考えておりますけれども、環境基準をどのように、今後、達成していかなければいけないかという考え方と整合をとらなければいけないので、その辺はちょっと環境省さんとの調整になると思いますので、よろしくお願いします。

○松田委員長 どうもありがとうございました。そのほかはよろしいでしょうか。
 それでは、少し時間が押してまいりましたけれども、今日は、ご発表、ご意見表明いただいた方、大変ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 後から説明がありますが、現地ヒアリングなどともあわせて、今日いただいた情報、ご意見あるいは資料などを、今後のこの委員会での取りまとめにぜひ有益に役立たせていただきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 それでは、3番目の議案になりますが、現地ヒアリング等の進め方について、事務局からご説明をお願いいたします。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 それでは、資料の3−1、3−2によりまして、説明をさせていただきます。
 まず、資料の3−1でございます。企画専門委員会現地ヒアリングの進め方についてということでございます。
 本日は、瀬戸内海の全般に関わる関係機関、関係省庁の皆様からヒアリングをさせていただいたということでございますが、現地ヒアリングでは、より現場に近い方々のご意見をお伺いするために、現地においてヒアリングを実施したいと考えてございます。開催予定といたしまして、瀬戸内海西部、中部、東部と、かなり瀬戸内海は大きいので、3カ所でも少し広いかもしれませんが、この3カ所で実施したいと考えております。西部が響灘、周防灘、伊予灘、豊後水道、中部が広島湾、安芸灘、燧灘、備後灘、備讃瀬戸、東部が播磨灘、大阪湾、紀伊水道を大体対象として考えてございます。
 日時のほうですけども、各委員にあらかじめ日程調整をさせていただきまして、西部が2月13日、中部が2月14日、東部が2月23日の、それぞれいずれも午後の開催ということで、場所のほうは、そちらに記載しております北九州市内、高松市内、大阪市内、交通の便をちょっと考えまして、そちらで開催をさせていただきたいと考えてございます。
 参加者のところでございますけども、各専門委員、分担をしていただきまして、ヒアリングを行うという形を予定しております。それぞれ、西部、中部、東部のご予定、日程調整の結果、割り振りをさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 当日、進行役と、それから、また次回、第3回のこの専門委員会において、現地ヒアリングの結果を報告をするということから、それぞれ各会場で座長のほうを設定をさせていただきたいと思っております。勝手ながらでございますけども、事務局のほうで、西部については柳委員、本日は欠席でございますが、それから、中部は白幡委員、東部は木幡委員、それぞれに座長をお願いできればと考えてございます。
 裏面に参りまして、それぞれ意見の発表者でございますが、ちょっと時間的な制約もございまして、それぞれ8人程度のご意見を伺うということで、関係府県市、それから関係省庁の方のほうから、こういう方々の意見を聞けばいいのではないかという推薦をいただきたいと考えてございます。その対象といたしましては、今後の検討において、参考となる取組を行っておる自治体、事業者、漁業関係者、NPO、NGO、マスコミというところの活動の内容、どのような点に注意をしながら取組をされているかですとか、成功事例の場合、どのようにしてうまくいっているかというふうなお話を聞ければと考えてございます。また、環境に関して専門的な立場から、それぞれ学識経験者、それぞれの地域で研究をされている方のご意見というのも、今後の参考になるのではないかと。その他、日ごろ、瀬戸内海に深く関わりを持たれている方々の瀬戸内海に対する思い等が聞ければよいのかなと考えてございます。
 進め方、そちらに書いておりますけども、大体今日と同じような形で、2時間程度、意見を聞いて、全体での議論ということで、時間の範囲内で一般参加の方々の意見も、もし聞ければ聞くという形での進め方でどうかと考えてございます。
 それから、資料の3−2のほうでございますが、ヒアリング、どうしても実際のご意見を直接お伺いできる方は限定されてまいりますので、そのほか、瀬戸内海について、いろいろご意見をお持ちの方がいらっしゃると思います。そちらの方々、できるだけ多く具体的なご意見を伺って、今後の検討を進めてまいりたいということで、現地ヒアリングと、ほぼ時期を合わせまして、意見募集を行いたいと考えてございます。大体意見をお伺いする項目として、資料3−2の大きな[2]のところに書いておりますような、瀬戸内海の環境の現状について普段感じておられるようなことですとか、今後の目指すべき将来像と「豊かな海」(豊かな瀬戸内海)というのはどのようなものだと思われますかというふうなこと、それから、環境保全・再生の在り方として、どのようなことを行うべき、どのような点に重点を置いて進めるべき、あるいは、どのような点に配慮すべきというふうなこと。それから、[4]として、そのほか、ご意見があればというふうなことで、基本は1の目的の中に書いておりますように、昨年度の「今後の瀬戸内海の水環境の在り方の論点整理」等を踏まえた形で、この企画専門委員会でも第1回にご説明をさしあげました資料等を添えて、意見の募集を行ってはどうかと考えてございます。
 裏面に参りまして、募集方法としては、先ほども申しましたように、大体現地ヒアリングの時期と合わせて、1カ月ないし1カ月半ぐらいの期間で募集をするということを考えてございます。
 すみません、ちょっと駆け足でございますけども、説明は以上です。

○松田委員長 ちょうどチャイムが鳴っていますけれども、現地ヒアリングの進め方、それから意見募集について、ご意見、ご質問。
 白山先生は、ご都合はあるんですね。

○白山委員 申し訳ないですが、私、13日は先約がございまして、14日でしたら出席できるので、できれば14日のほうに変えていただければと思います。

○松田委員長 よろしいでしょうか。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日、ご確認いただきました進め方に従って、今後、現地ヒアリング、意見募集を進めてまいりたいと思っております。具体的な文書などの細部については、事務局と私で調整したいと思いますけれども、ご一任いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の現地ヒアリング、それぞれ分担で、座長もお願いいたしますけれども、委員の皆さんには、引き続きよろしくお願いいたします。
 一応議題については、ちょっと時間がオーバーしましたが、以上でございますが、全体を通じて、何かこの際というご発言はございませんでしょうか。
 もしなければ、事務局から連絡事項、さらにございますでしょうか。

○橋本閉鎖性海域対策室室長補佐 先ほどの説明、若干漏れておりまして、発表者のほうですけども、それぞれ推薦いただいた方から、日程等のご都合もありますが、事務局のほうで調整をして、また、具体的な場所、それから、発表予定者のほうは各委員のほうにご連絡をさしあげたいと思います。
 それから、連絡事項でございますけども、本日の議事録につきましては、速記がまとまり次第、また確認、それから発表者の方々のほうにお送りをさせていただきまして、ご確認をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。全員のご確認いただきましたものを、また環境省のホームページのほうで公開をさせていただきたいと思います。
 それから、次回の第3回の委員会でございますけども、現地ヒアリングを終了した後に開催ということで予定をしておりまして、改めて、また日程調整をさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

○松田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日、非常に長時間にわたりまして、熱心な発表、本当にありがとうございました。特にご発表、意見表明をしていただきました関係機関、関係省庁の皆様、厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、第2回の企画専門委員会を閉会させていただきたいと思います。大変ありがとうございました。