本文へジャンプ

■議事録一覧■

中央環境審議会瀬戸内海部会(第9回)議事録


平成23年3月28日(月)
環境省 水・大気環境局 水環境課 閉鎖性海域対策室

開会
議題
  • (1)今後の瀬戸内海の水環境の在り方の論点整理について
  • (2)報告事項
    • ・第7次水質総量削減について
    • ・海域の物質循環健全化計画策定事業(海域ヘルシープラン策定モデル事業)について
  • (3)その他
閉会

午後1時03分 開会

○室石閉鎖性海域対策室長 ただいまから中央環境審議会第9回瀬戸内海部会を開催いたします。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員のご報告でございますが、所属委員24名のうち、現在16名の委員にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令に基づきまして、定足数を満たしており、本部会は成立いたしておりますことをご報告いたします。
 本日の会議につきましては、中央環境審議会運営方針に基づきまして公開とさせていただいております。なお、本日、プレスの方が取材に見えていらっしゃいますけれども、写真撮影等につきましては議事に入るまでとさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、お手元の資料の確認をさせていただきますけれども、まず議事次第がございます。次に配席図がございます。それから資料1が委員名簿でございまして、資料2、それから資料3があり方の論点整理、資料4が第7次の水質総量削減について、それから資料5が海域の物質循環健全化計画について。それから参考資料1が懇談会の開催要項、参考資料2が中央環境審議会関係法令等でございます。以上でございます。不足がございましたら、事務局のほうにお申し出ください。
 本部会ですが、平成23年1月に委員の改選がございまして、本日は、委員改選後の最初の会議でございますので、皆様方、既におなじみの方々、多うございますけれども、改めまして委員の皆様を事務局よりご紹介させていただきます。
 資料1に沿いまして、五十音順で、ご出席の方についてご紹介いたします。
 まず、放送大学教授の岡田光正委員です。

○岡田部会長 岡田でございます。よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 続きまして、国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鷲谷いづみ委員です。

○鷲谷委員 鷲谷です。よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 続きまして、社団法人底質浄化協会副会長の井上興治委員です。

○井上委員 井上でございます。

○室石閉鎖性海域対策室長 続きまして、中国新聞社論説委員の岩崎誠委員です。

○岩崎委員 岩崎です。私、新任でございます、よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 貝塚市立自然遊学館研究員の白木江都子委員です。

○白木委員 白木です。よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 国立大学法人東北大学大学院工学研究科客員教授の須藤隆一委員です。

○須藤委員 須藤です。どうぞよろしく。

○室石閉鎖性海域対策室長 国立大学法人愛媛大学沿岸環境科学研究センター長の武岡英隆委員です。

○武岡委員 武岡です。よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 続きまして、別府大学学長の豊田寛三委員です。

○豊田委員 豊田です。どうぞよろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 続きまして、国立大学法人大阪大学大学院工学研究科教授の西田修三委員です。

○西田委員 西田です。よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 関西学院大学総合政策学部教授の久野武委員です。

○久野委員 久野でございます。よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 東洋大学常勤理事の松尾友矩委員です。

○松尾委員 松尾です。よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 国立大学法人広島大学名誉教授の松田治委員です。

○松田委員 松田でございます。よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 歌人でいらっしゃいます道浦母都子委員です。

○道浦委員 よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 国立大学法人九州大学応用力学研究所教授の柳哲雄委員です。

○柳委員 よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 公立大学法人福岡女子大学人間環境学部教授の山田真知子委員です。

○山田委員 よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 財団法人海洋生物環境研究所理事長の弓削志郎委員です。

○弓削委員 弓削でございます。よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 なお、本日、財団法人下水道新技術推進機構理事長・石川忠男委員、兵庫県立大学環境人間学部教授の岡田真美子委員、それから国立大学法人岡山大学環境管理センター長の沖陽子委員、それから京都市長の門川大作委員、四国経済連合会会長・常盤百樹委員、国立大学法人山口大学農学部生物機能科学科教授の右田たい子委員、広島県知事の湯崎英彦委員についてはご欠席の連絡をいただいております。
 それから、全国漁業協同組合連合会常務理事の長屋信博委員につきましては、ちょっと遅れられていると思われますので、もしいらっしゃれば、そのときにまたご紹介をいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、まだ議事に入ります前に、二、三ございますのでよろしくお願いいたします。
 まず部会長につきまして、中央環境審議会会長より、放送大学の岡田委員が指名されておりますので、ご報告をいたします。
 続きまして、事務局側の紹介でございます。水・大気環境局水環境担当審議官の関でございます。

○関水環境担当審議官 よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 それから水環境課長の吉田でございます。

○吉田水環境課長 よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 私、司会を務めております閉鎖性海域対策室長の室石でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、閉鎖性海域対策室の補佐、橋本でございます。

○橋本閉鎖性海域対策室長補佐 よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 係長の山田です。

○山田審査係長 よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 なお、水・大気環境局長の鷺坂は、東日本大震災に伴う災害対応の会議に出席しておりまして、少々遅れまして、後ほど参加する予定になっております。
 これ以降、プレスの方、写真撮影等をお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから議事に入りたいと思いますので、これ以降、議事進行を岡田部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○岡田部会長 かしこまりました。中央環境審議会会長より、瀬戸内海部会の部会長に指名されました岡田でございます。よろしくお願いいたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変ご多用の折、ご出席いただき、まことにありがとうございます。本日は15時の終了を目途に議事を進めさせていただきたいと思いますので、ご協力のほど、お願いいたします。
 まず議事に入る前に中央環境審議会令の第6条第5項により準用する第4条第3項に基づき、部会長に事故があるときは、部会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理するということになっております。私のほうからあらかじめ部会長代理として、鷲谷いづみ委員にお願いしたいというふうに存じますので、よろしくお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 部会長、長屋委員が到着されましたので、ちょっとご紹介だけ。
 全国漁業協同組合連合会常務理事の長屋信博委員でございます。

○長屋委員 どうも長屋でございます。よろしくお願いいたします。

○岡田部会長 それでは最初の議題に入ります。最初の議題は、今後の瀬戸内海の水環境の在り方の論点整理についてということになっております。
 初めに、昨年9月より、計5回にわたる懇談会を経て、今後の瀬戸内海の水環境の在り方の論点整理が取りまとめられております。この懇談会、前回の第8回の瀬戸内海部会にて設置を了承していただいたことを受けて、検討を進めてきたものでございます。早速ですが、それにつきまして、事務局よりご説明をいただきます。お願いします。

○橋本閉鎖性海域対策室長補佐 事務局の橋本でございます。よろしくお願いいたします。
 ただいま部会長より説明がございましたように、前回の部会におきまして、幅広く瀬戸内海の環境保全についてご意見を聞いていこうということで設置されましたのが、今後の瀬戸内海の水環境の在り方懇談会でございます。恐れ入ります、参考資料1をご覧いただけますでしょうか。後ろのほう、2枚でホチキス止めになっているものでございますけれども、こちらのほうが懇談会の開催要項となっております。1枚めくっていただきまして、1枚目の裏面に名簿を掲載しております。岡田部会長に座長をお願いいたしまして、名簿に挙がっております11名の方々の参加をいただいて、ご議論をいただいたというものでございます。
 3ページに開催の経過を示してございます。第1回の懇談会を9月3日に行いまして、第2回、第3回と、3回にわたりまして、そこで[1]から[15]まで振っておりますが、それぞれの瀬戸内海に関係する各分野の有識者の方々からヒアリングを行ってまいりました。
 第4回、第5回、1月、3月の2回の懇談会で全体の取りまとめを行いました。それが本日の資料3としてお配りしております論点整理になってございます。
 それでは恐れ入りますが、資料3のほうをお願いいたします。
 資料3を1枚めくっていただきますと、目次がございます。構成といたしまして、最初に、はじめにというのがありまして、続いて瀬戸内海の現状、それから3といたしまして、今後の瀬戸内海の水環境保全の基本的な考え方、4といたしまして、今後の瀬戸内海の水環境保全の方向性、5といたしまして、今後の瀬戸内海の水環境保全の取組、6がおわりにという構成になってございます。
 右のほうに、横置きになっていますけれども、全体の概要を簡単にまとめたものを示しております。この瀬戸内海の現状というのが左側の瀬戸内海の価値、あるいは瀬戸内海の課題ということについて記述をいたしておりまして、基本的な考え方というのは左の下に挙げております5つの考え方でございます。水環境保全の方向性、今後の方向性といたしまして、右のほうで青い枠で囲っておるところ、緑色の四角の13の方向性を挙げ、今後の取組としてはそれに下に3つを加えて16の取組について整理をしてございます。それぞれの内容につきまして、順次、説明をさせていただきます。
 それでは1枚送りまして、1ページのほうをお願いいたします。1ページ、「はじめに」のところでは、これまでの経緯、背景というところを書いてございます。一番最後、下のところに、この論点整理を取りまとめるに当たってのスタンスというのを記述いたしております。論点整理に当たっては、水環境の課題、今後のあり方等に対してもさまざまな意見をいただいてございます。その中では、必ずしも考え方が一つに収束しないというものもございますけれども、瀬戸内海の広域性でございますとか、多様性、それからそれぞれの有識者の専門の分野の観点の違いというところによるものでございまして、それぞれ貴重なご意見として取捨選択するのではなく、いただいた意見を尊重して整理するように心がけて、取りまとめを行ったものであるということでございます。
 それでは2ページにまいります。2ページからは瀬戸内海の現状について記載いたしております。まず最初に瀬戸内海の価値についてです。瀬戸内海は、沿岸域をはじめとしました市民、漁業者、事業者によりまして、景観の鑑賞、漁業、レクリエーション、船舶航行など、人々の生活の中で多種多様に利用されてきております。このような多面的な機能を有する瀬戸内海の価値というものを、ここでは、「道」「畑」「庭」というものに例えて整理しております。
 まず「道」といたしましては、海路としての機能でございます。昔から現在におきましても瀬戸内海は重要な海上交通ルートとして位置づけをされているということを記載してございます。
 それから2つ目の「畑」でございます。畑としましては、漁業生産の場という機能を記載してございます。瀬戸内海は、そこの真ん中、左にグラフも書いてございますように、世界の代表的な閉鎖性海域と比較いたしましても高い生産性を維持している海域となってございます。豊富な漁業資源の宝庫であると言えるというようなことを記載いたしております。
 それから3点目の「庭」としての機能でございます。こちらのほうは景観ですとか、観光の場としての機能について記述いたしております。一つ一つの島に人々の暮らしがあり、その島での暮らしを支える環境というものがあって、総体として多島美と言われるものを形成していると。それから3ページのほうにまいりますが、自然的、文化的、複合的な観光資源というのが非常に豊富な海域となっているというようなことを記述いたしております。
 それから4ページにまいりまして、4ページからは瀬戸内海の現状の課題について整理してございます。こちらのほうは、それぞれ括弧書きで見出しをつけて項目ごとに整理いたしております。まず最初に、人・暮らし・文化についてでございます。こちらでは、人や物の流れが変わってきたことによりまして、瀬戸内海の島々の価値が変化してきている。人口が流出する、特に若年層の流出によって活気が失われる島が多く、瀬戸内海の魅力が失われようとしているというようなこと。
 それから、海藻ですとか海岸の松の利用、こういったものによって、口明けや口止めというような慣習的なルールでありますとか、石風呂などの伝統的な文化、そういったものが生まれておるということでございますけれども、そうした生活文化と密接に関係している藻、あるいは松の利用がされなくなるとともに、こうした文化も消えようとしているというようなことを記載しております。
 それから、次の海岸線形状と親水性についてでございます。海岸線につきましては、景観や観光のみならず、生態系ですとか物質循環の上でも非常に重要な要素でございます。そちらにつきましても急速な沿岸域の開発と、人口の沿岸都市への集中、浅海部の埋め立てやコンクリート護岸の建設などによりまして、自然海岸が減少している。それから、沿岸域の環境劣化、生息地の破壊、市民が親しむ浜辺・干潟・磯の減少というようなことも課題として挙げてございます。それから人々が海に近づきにくい構造、未利用の土地が多く存在するというようなことも課題として記述しております
 それから5ページにまいりまして、水質・底質につきましては、いまだに赤潮が年間100件程度発生している、また、貧酸素水塊が確認されているという一方で、栄養塩となる溶存無機態の窒素濃度の減少というような傾向が見られ、瀬戸内海の広い範囲で、魚介類にとって窒素・りん不足というような現象が指摘されているということを記述しております。
 それから6ページにまいりまして、藻場・干潟についてです。藻場・干潟につきましても、図11、12で示しておりますように、これまで減少傾向にございまして、こうした藻場や干潟が消失したことで物質循環にも変化が生じてきているというようなことを記述しております。
 それから、その下の生物多様性についてでございます。図13に広島県呉市の周辺のデータを示しておりますが、昭和40年から50年にかけて、急激に生物の多様性が減少しているという現象が見られるというところを課題として挙げてございます。
 それから7ページにまいりまして、水産業についてです。水産業については、漁獲量、漁業生産高について、ピーク時の半分以下となっているというようなこと、それから日常的に海に接しておられる漁業者の方からの指摘ということで、中段あたりに栄養塩の不足、あるいは生物生息場の変化、あるいは底層が変化をしてきているというような感覚と言いますか、そういう海に接している立場からの指摘というのを記載しております。
 それから8ページにまいりまして、地球温暖化の影響についてでございます。こちらのほうでは、冬季の水温低下の時期が遅れることによりまして、ノリ養殖の漁期の短縮につながっているというような指摘、それから水位上昇により砂浜などが消失してしまうという懸念というようなことも記載しております。
 それから、次の沿岸・海洋ごみにつきましては、沿岸に漂着・散乱・堆積しておるごみというのが、およそ9,000トンにも上るというようなことを記載しております。
 それから最後、観光資源につきましては、旅行者等による宿泊状況というのが瀬戸内海の場合、全国平均より低い状況になっておるということで、景勝地として想像はされておるものの、実際に訪れる方がそれほど多くないというようなことを記載しております。
 現状については以上でございまして、続きまして、10ページのところで、今後の瀬戸内海の水環境保全の基本的な考え方について挙げております。懇談会では、今後の瀬戸内海の水環境保全の基本的な考え方として、意見交換等も行ってきた中で、5つの考え方というのを示してございます。(1)から(5)に挙げておるものでございますが、(1)として水質管理を基本としつつ、豊かな海へ向けた物質循環、生態系管理への転換を図るという考え方。2点目といたしまして、藻場、干潟、砂浜等の失われた沿岸環境と悪化した底質環境を回復させるという考え方。3番目といたしまして、白砂青松、多島美と評される瀬戸内海の自然景観及び文化的景観を保全するという考え方。4点目といたしまして、地域で培われてきた海と人との関わり方に関する知識、技術、体制を活かして、地域における里海の創生を進めるという考え方。里海についてはここで初めて出てまいるということで定義のほうを点線で囲って記述いたしております。それから5つ目といたしまして、瀬戸内海の生態系構造に見合った持続可能な利用形態による総合的な資源管理を進めるという考え方。以上の5つの基本的な考え方を挙げております。
 これらにつきましては、暮らしですとか文化といった社会全般の有り様とも密接に関係を持っているということもあわせて留意するべきであるという指摘を、あわせて記載しております。
 それから、11ページからは4番といたしまして、今後の瀬戸内海の水環境保全の方向性について記載しております。(1)から(13)まで、13の方向性というのを挙げております。1つ目といたしまして、地域の協議による水環境目標の設定ということにつきましては、水質に関する情報を共有した上で、市民、漁業者、企業や環境活動団体、行政機関等の当該海域に関する利害関係者の協議によって方向性を設定するということが重要であるというようなこと。それから、市民、漁業者、環境活動団体と関係者に対して、地域の水環境がよくなった、悪くなった等の評価ができるようなわかりやすい目標を設定するというようなことを記載しております。
 それから2番目といたしまして、湾・灘ごとの状況に応じた管理といたしましては、水環境の現状や課題が異なる湾などを一つのものとしてとらえるというのは、なかなか議論が困難であるということから、今後は湾・灘等の海域単位、あるいは地域の特性に応じた検討を進めていくことが必要であるというような方向性を記載しております。
 それから3つ目といたしまして、富栄養化対策からの転換についての方向性でございます。こちらのほうでは瀬戸内海の広い範囲で栄養塩の不足が指摘されるようになってきておりまして、水質の環境基準を満たした場合ですとか、近々達成ができそうな海域につきましては、削減努力というのを平衡状態、状態の維持の方向に切りかえて、栄養塩の適切な管理を行って、水質のみでなく、生態系を保全・再生するという視点での取組を進めていくことが必要であるという方向性を記載しております。
 それから4点目といたしまして、水環境の目標や現状を表す適切な指標の検討につきましては、現在の水質項目のモニタリングでは、生態系の変化を観察できていないということから、生態系に特化した指標を定めて、それを市民ですとかNPO団体等々と協働してモニタリングして、お互いに共有できるような仕組みが必要であるということを指摘しております。
 それから5番目、藻場・干潟、砂浜等、及び底質の環境の回復につきましては、12ページにまいりますが、失われた藻場・干潟・砂浜等や底質環境の回復、漂着ごみの対策に向けて、地域での合意形成を図りながら広域的な観点も踏まえつつ、国、地方自治体、埋立て事業者等による環境の回復といったものが必要であるという指摘を挙げております。
 それから6番目といたしまして、森・川・海を通じた健全な水循環機能の回復といたしましては、人の手で森・川・海のつながりを回復し、里、あるいは都市を含めた流域圏一帯で水・物質循環を円滑にする必要がある。また、物質循環の経路というのを多様化させる、あるいは生息、生育環境の多様性というものの確保も重要であるという指摘を記載しております。
 それから7番目といたしまして、自然、文化的な景観の保全と再生につきましては、瀬戸内海の自然景観や文化的景観は、観光資源としても重要であり、景観、町並みの保存、再生を行う必要があるということを記載してございます。
 それから8番目、気候変動への対応といたしましては、気候変動がもたらす生物多様性等への影響の調査、あるいは適応策について、長期的な視点から検討が必要であるという記載をしてございます。
 それから9番目、地域の参加・協働といたしましては、豊かで美しい里海として再生していくという意識の醸成、取組の輪を広げるというようなことが必要である。それから、直接、環境に関わる体験というのが非常に大事であり、多くの体験をしていただくということが重要である、そういったことから瀬戸内海の環境保全、地域再生の観点からも観光振興というのも重要であるというような指摘をいたしております。
 それから13ページにまいりまして、10番、地域再生と体制づくりといたしましては、里海としての再生を進めるために地域の活性化を基盤とするボトムアップ型の取組が不可欠である。地域振興、産業振興と環境保全の融合、新たな産業の育成、人や物の流れの活性化等の取組が重要であるというような指摘を挙げております。
 それから11番、環境学習の推進につきましては、森・川・海という水環境が一つのつながりとして、沿岸域環境に関する環境教育というのを、市民、海の仕事に従事する人、行政等の多種多様な人々の連携のもと推進する必要がある。教育課程の中における環境学習の重要性ですとか、専門職の人材育成というようなところもあわせて指摘しております。
 それから12番目、総合的な資源管理といたしましては、生態系の規模に応じた漁業を地域ごとに再編成し、資源の維持、回復だけでなく、国民への食糧供給、水産業の健全な発展、地域社会への貢献、漁村文化の振興などの要素を多面的にとらえた総合的な資源管理を進めることが必要であると記載しております。
 それから最後、13番目、調査研究の推進としては、現状の的確な把握、精度よい将来予測、物質循環、生態系管理に係る構造解析などのさまざまな分野で研究を一層充実させて知見の集積を図ること。それから国、地方公共団体の試験研究機関、大学などによる連携、瀬戸内海を効率よく研究するための仕組みの再構築といったことを方向性として挙げております。
 それから15ページからは5といたしまして、今後の瀬戸内海の水環境保全の取組を挙げております。こちらのほうでは、先ほどの4番で挙げました方向性の13の項目それぞれについて、それからその方向性で受けにくいものとして3つほど項目を足して、全部で16の項目について整理をいたしております。4までに示した基本的考え方、あるいは方向性を踏まえた新たな視点、それからこれまで実施されてきた中での取組の充実を図るという視点から検討が必要と思われるものを列挙したというようなことになっております。
 (1)といたしましては、目標については、瀬戸内海の物質循環、生態系の面からとらえ直した環境保全に向けた目標の設定ですとか、市民、漁業者、企業、行政等の関係者が一堂に会する協議会の設置、あるいは利害を調整するような機関の設置というようなことを挙げております。
 (2)としては、保全すべき浅海域を指定して保全利用や管理を行う制度の導入、(3)のところでは、海洋生物の良好な生息環境の保全のために物質循環を考慮した陸域からの汚濁負荷量の適切な管理というような取組。(4)のところでは、生物生息状況に関する長期的な評価が行える指標の設定、それから(5)のところでは、干潟・藻場、砂浜等の保全再生や緩傾斜護岸等の整備、あるいは事業者による代償措置の促進、環境配慮型構造物の設置等について記載しております。
 それから16ページにまいりまして、(5)の続きですが、浚渫土砂の干潟造成や、深掘り修復などの失われた環境回復の有効活用というようなことも挙げております。
 それから(6)のところでは、ダム河口堰からの排水、排砂の管理、下水からの窒素・りんの適正利用、水産生物における食物連鎖の構造と、食物連鎖を通した物質循環過程の現状を把握、研究するというようなことを挙げております。
 それから(7)自然、文化的景観につきましては、海から見た景観の保全と再生に資する制度、瀬戸内海を里海として再生するための施策展開が定着するような制度づくり、海や自然を楽しめるようにするための工夫の導入等を挙げております。
 それから(8)気候変動につきましては17ページにまいりまして、生態系や漁業などにおける適応策の検討、地形変化、波浪被害についての緊急度に合わせた対策といったことを書いております。
 (9)のところでは、地域参加・協働といたしまして、海洋環境の保全・創出、海洋情報の収集利活用等の海域対策を多様な主体との連携により実施していく体制づくり、NPOの組織等のネットワーク化の活発化、従前から展開されている地区組織活動との連携等を挙げております。
 (10)地域再生と体制づくりのところでは、漁業を継ぐ若者が激減している反面、遊漁者が増加しているということで、単に生業、仕事という枠組みという中で考えるのではなく、遊び、交流という観点も加え、新たな産業として見直すということを記載しております。さらに島に住む人々の暮らしを基軸とした体験型ツーリズムの導入、あるいは遊休化した建物と土地の活用によるパブリックアクセスの向上等を挙げております。
 18ページにまいりまして、(11)環境学習の推進のところでは、地域ごとに特色ある自然環境への取り組み方、地域の素材の活用といったことを記載しております。
 (12)総合的な資源管理のところでは、水環境と漁場環境のバランスがとれた海域の保全再生に向けた沿岸域一体となった取組や、良好な環境の保全を最優先に海域利用の基準を定め、利用を調整する沿岸域開発といったことを挙げております。
 それから(13)調査研究の推進では、漁業・養殖生産の低迷と、栄養塩の環境の変化との関係、あるいは高度なシミュレーションが行える体制の構築といったことを挙げております。
 19ページにまいりまして、(14)情報提供、広報の充実のところでは、里海のイメージの明確化、国民全体に持ってほしい瀬戸内海のイメージや訪れてほしい景勝地、体験してほしい観光地等の情報を地域で共有して、国内や国外に情報発信するというようなことを書いております。
 それから(15)推進体制の充実といたしましては、沿岸管理に係るガイドラインの作成ですとか、海洋基本法や生物多様性基本法など、瀬戸内海を取りまく状況の変化を踏まえた新しい視点からの検証といったことを書いております。
 (16)世界の閉鎖性海域との連携というところでは、瀬戸内海における水環境保全の取組をパッケージ化して国際的に情報発信する。あるいは、同様の閉鎖性海域を抱える諸国との連携といったことを書いております。
 基本的な考え方、方向性、それから取組の関係につきましては、22ページにそれぞれの関係表といたしまして、参考資料として掲載しております。
 資料3の論点整理の説明は以上でございます。
 あと、委員の皆様のお手元に1枚、紙をお配りしております。本日欠席でございます兵庫県立大学の岡田(真)委員のほうから、あらかじめご意見をいただいておりますので、そちらの紹介をさせていただきます。意見としては、2点いただいております。
 1つ目といたしましては、瀬戸内海の「庭」としての価値についての意見でございます。瀬戸内海を「庭」と見るときに、鑑賞の対象、観光の対象として考えることはもちろんですが、落としてはならないのは聖なる空間-神庭としての海浜というのが大事であるというご意見であります。明治以降の近代化で、海浜への畏敬の念、尊重の念が薄れたところも多く、経済的価値が優先されるということになってしまったと。これからは沿岸の歴史的文化財をいうだけでなく、空間の履歴を学び直して、地域遺産としての価値評価を行うことが求められるという意見が一つでございます。
 2つ目の意見といたしましては、今回の東日本大震災に関連してということでございますが、日本の沿岸に建つ原子力発電所の危険性が強調される中で、地震の可能性が低い中国地方の瀬戸内海の海浜に設置すれば安全ではないかというような議論が出ることを予想して、これへの対策を考える必要があるというご意見、以上の2点を意見としていただいておりますので、あわせて報告をさせていただきます。
 以上でございます。

○岡田部会長 どうもありがとうございました。この論点整理、最初にご紹介いただきましたように、前回の本部会の決定に基づいて審議したものです。すなわち、今後の瀬戸内海の水環境の保全を総合的に推進するための助言について検討するということで行われました。既に委員の皆様方お気づきのように、非常に多岐な内容にわたっております。また必ずしも一致しないような意見、それから場合によっては単なるアイデアの段階のものまで、すべて含まれている。要するにこれはあくまでも助言をさせていただくという趣旨でございますので、取捨選択とか重みづけとか、そういうことは全くしていないと考えてよろしいかと思います。
 そういうふうにした理由は、この資料3の「はじめに」、1ページの一番下に書いてございますように、やはりさまざまな方々の意見、多様な意見があるということで、それはそれぞれに重要であるということから、取捨選択じゃなくて整理する、悪い言い方をすると羅列という面もあるかもしれませんが、ということでやったものでございます。そういうことを踏まえまして、もちろんこれから、この部会で検討を進めるわけですが、その進めるに先立ちまして、この資料に関する、論点整理に関するご意見、もしくはご意見、ご質問等をいただけたらありがたいと思います。それではよろしくお願いします。ご自由にいただければと思います。どなたからでも。
 鷲谷先生から。

○鷲谷委員 一つの主張として、富栄養化対策からの転換というのはかなり大きな柱になっているようですが、ここに挙げてある根拠が科学的に十分なエビデンスに基づいているのかということが、この記述を読む限りでは疑義がございます。現在、一般的に、現代の魚類に至る食物網の不健全化をもたらしているのは、単にNとPの量というよりは、N、P、Siの化学量論比ではないかという、シリカ欠乏化説というのもございまして、もちろんそれが正しい理論というわけではないんですけれども、多くの研究者の目がそちらに向いているんではないかと思いますが、健全な食物網ではプランクトンの中で珪藻がかなり重要な役割を果たしているんですけれども、珪藻は、化学量論比でN、P、Siを16:1:16で要求するんですね。ですけれども、今、陸から海への珪藻の供給は、世界中にそういうことはきっと言えると思うんですが、弱まっているために珪藻の生産が不十分になってしまって、それと競争関係にある渦鞭藻類などの、それこそ赤潮を引き起こすような藻類に、珪藻に比べて有利な状況になっていて、珪藻からの食物網だと、珪藻からカイアシ類、それから次第に魚類が利用できるような、そういう食物網が健全な状態では動くはずなのが、渦鞭藻類から原生動物とか、場合によってはクラゲなどに有利になるような、そんな食物網に変化しつつあるということも、今検討されていることなんですね。
 それで、NとPだけで論ずるというのは、とても危険なことじゃないかと。珪藻などについてのデータがあって、その化学量論も考えた上でNとPが少ないことが漁業生産にマイナスに働いているのか、それが科学的にしっかり論拠を持って主張できるのかを検討してから、このような主張をしたほうがいいように思うんですけれども。
 それで、そういうシリカ関係の研究は、国立環境研究所で専門に進めていらっしゃる方もいらっしゃると思いますので、ちょっとご意見を伺う必要もあると思いますし、もちろん瀬戸内海だけが特殊な現状にあって、ここに書いてあるような不健全性が生じていないとも限らないんですけれども、もしそうだとしても、それを政策としてかなり重要なものとして挙げるに当たっては、丁寧に科学的な根拠を証拠として出す必要があるんじゃないか。ちょっと読ませていただいて気に、16:1:16という値がわりあい世の中で広く主張される。もう一度申しますとN、P、Siの比が16:1:16で、Nと珪素の比率というのが一番ここでは指標になると思うんですが、それが低くなって、1:1より低くなってしまうと、珪藻の生産が十分でなくなってしまうと、そんなような考え方なんですけれども。専門家にご相談をされたほうがいいのではないかということです。もしかしたら、瀬戸内海では、これでいいのかもしれませんが。

○岡田部会長 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。国環研の原島先生だと思いますけれども、そういう方にヒアリングをして、科学的なエビデンスもこれから集めて、今後進めるということだと思いますので、今のご注意を踏まえながら、調査、それからヒアリング等を進めていただければというふうに思いました。ありがとうございました。
 どうぞ。

○柳委員 今の話はもう既に結果が出ていて、原島さんのプロジェクトが3年計画で5年ぐらい前に終わったんですけれども、私もそのメンバーで、瀬戸内海でシリカ欠損がなりたつかどうかというフィールド調査をやって、瀬戸内海ではシリカ欠損は成り立っていないんですね。シリカの量はほとんど変わっていない、50年間以上。実際に、植物プランクトンの律速栄養塩は、大阪湾はりんですし、広島湾も岡田委員長がやられましたけれども、りんで、周防灘は窒素で、どこも珪素が律速するところはないんです。
 ここに書いてある貧栄養対策というのは主にノリの話で、ノリは珪素を必要としませんから、主に、これは場所によって違いますけれども、ほとんどの場合は窒素が主ですけれども、基本的には窒素、りんの濃度が、特にりんの濃度が陸上の総量規制で減ってきてしまっているというのがメインですから、シリカに関しては既に、瀬戸内海に関しては一応の結論が出ていて、原島さんも論文出しましたけれども、それを否定するような論文は出ていませんから、これはこれで構わない。

○岡田部会長 ありがとうございました。では、その論文も確認して進めてください。
 ほかにございますか。どうぞ。

○武岡委員 全般的には大変網羅的によく書かれていると思うんですが、1件、藻場、干潟の再生とかの関連のところですけれども、15ページのところですね。取組の中で、海砂採取の問題については、禁止ということしか述べられていないんですけれども、回復ということが、失われた砂堆の回復が必要でないとお考えなのか、無理だとお考えなのか。
 これはちょっと私も十分な情報を持っていないんですけれども、以前国交省が備讃瀬戸でいわゆる回復の実験をやったりしていたということもあって、そういう動きもあるんではないかと思うんですが、うまくいくならもちろんいいんですけれども、やり方によっては単に地形、浅瀬が回復するだけであって、例えば砂の粒度組成とかが異なるとイカナゴが回復しないとか、そういうある意味で逆の、回復させるつもりが新たな環境破壊ということにもなりかねないような問題もあると思うんですが、その辺のことが余り述べられていないんですけれども、それはどうお考えですか。

○室石閉鎖性海域対策室長 今のところのポツの4つ目に、例えば、砂浜の復元とか拡大を初めとする養浜を推進するといったようなことも書いてございますので、懇談会でもそうしたことは一応念頭にはあったかと思います。

○武岡委員 一応、その海砂採取によって失われた砂堆の回復ということも、この中に含まれているというふうに考えてよろしいですか。

○室石閉鎖性海域対策室長 と思っておりますが、今日またそういったご意見が武岡委員からいただいたということで、理解したいと思います。

○岡田部会長 ありがとうございました。備讃瀬戸でたしかやっているはずですので、それはまた事務局のほうでも確認してください。そうすると、先生のおっしゃるようなご指摘の趣旨も出てくるかと思います。
 どうぞ。

○柳委員 今の話ですけれども、広島、安芸灘なんかでは実際は無理だと思いますね。三、四十メートルを砂で回復するというのは。それだけ掘っていて、その砂を今、武岡さんが言ったけれども、海峡から供給されているわけですから陸の河川ではないし、堆積の速度はめちゃめちゃ遅いですから、それを砂浜と同じように海砂の採取後のくぼ地を回復するというのは、そのままの材料では絶対無理なので、代替のいろいろな工夫はあるでしょうけれども、そう簡単ではないですね。

○室石閉鎖性海域対策室長 私の理解も、すみません、口数が足りなかったと思いますけれども、いろいろな場合があると理解しております。例えば、海砂を取ったために、そこが穴ぼこになって、東京湾なんかだと青潮の発生要因になっているというようなところを海底浚渫したものをもって、きれいなもので穴を埋めたりとか、そういうパターンもあると思いますし。
 ただ、先生がおっしゃったように、単純になくなった砂が戻るためには、そもそもいろいろな不可避的な要素がたくさんあって、先ほど、この資料にもありますように、護岸が増えてきて、人工護岸が増えてきて、あるいは川の流れが変わってきているとか、陸のほうからの砂の供給が衰えてきているとか、いろいろな要素がありますので、そういうようなものを全部踏まえた上で可能なものはしていく、無理なものはまた違う対策を考えるという、そういったものだと思います。

○岡田部会長 武岡さん、どうぞ。

○武岡委員 私も可能だと考えているわけでは、必ずしもないんですけれども、特に大規模な何十メートルも掘ったような砂堆を、さっき言われたように自然に回復するということは、基本的には短い時間では無理なんですが、いわゆる人工的に回復させるということで、私もちょっと相談を受けたことがあるんですけれども、鉄鋼スラグとかああいうもので、いわゆる砂に代わるようなものを開発して埋められないだろうかというようなことで相談を受けたこともあったりして、要は気になるのは、さっきもちょっと言いましたけれども、単に浅いところが復活すればそれでいいんだというような考え方で、変なもので埋めちゃって、環境破壊につながるようなことがあってもいけないということは、一つ懸念しているということですね。
 ですから、仮に回復させるとすれば、何が適切であるのか。特に粒径分布とか、砂の質のようなものについても適正な指針のようなものが要るのではないかなということは考えています。

○岡田部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
 どうぞ。

○久野委員 15ページの(5)のところですけれども、海砂の採取と海面埋め立ての原則禁止とあるんですが、これにさらに自然海岸の改変というのをつけ加えたほうがいいんじゃないかというふうに思っております。
 それからもう一つは、これは全体、網羅的によく整理されていると思うんですけれども、行政的な問題としては、じゃ、これは誰がやれるのかというのは、これは事務局のほうで整理しておいていただいたほうがいいんじゃないかと思います。それともう一つは、いろいろなことが書いてあるんですけれども、これは定量的な目標をやはり、行政的に対応する場合には、2030年にはどうする、2050年にはどうするというときに、定量的な目標が、やっぱりあったほうがいいのかなと思っております。
 それと、国立公園のことを一言も書いていないんですけれども、同じ環境省でありながら、しかも瀬戸内海は国立公園になっておりますから、せめて瀬戸内海国立公園の管理との一体性とか、連携とかいうことについても言及していただければと思っております。
 それと一番最後に、原発がどうのこうのというご意見がありましたけれども、原発をはじめとする巨大開発に対するチェックを、例えばこの審議会がやるだとか、そういうこともあるいはアイデアとしてあるんではないかな、と思っております。
 以上です。

○岡田部会長 ありがとうございました。今の点はよろしいですね、事務局のほうで。ありがとうございました。
 それでは、松田先生、どうぞ。

○松田委員 今のことにも少し関係しますが、全体的な論議の進め方について、確認させていただきたいんですけれども、例えば、今後の方向ですね、11ページの(1)の地域の協議による目標の設定、あるいは(2)の灘ごとの管理とか、あるいはそれに関係するもので(9)の地域の協働、参加ですね。あるいは、(10)の地域再生、体制づくり、こういうようなことを含めて、今後この議論がどういうところで、どういうふうに議論されていくのか。
 すなわち、これは瀬戸内海部会ですから、例えば中央環境審議会でもこの結果は報告されると思いますけれども、その後に、例えばですけれども、いつごろ、どういうところで議論されてそれが決まっていくのか。それから瀬戸内法への関連なんかも後のほうで書かれていますが、現行の制度としては、瀬戸内法(瀬戸内海環境保全特別措置法)、あるいは瀬戸内法に基づく基本計画ですね、それの改定とか何かに、例えばいつごろに組み入れていくとか、あるいはもっと新しい仕組みをつくるとか、何かそのあたりの見込みというのは、現状ではどういうふうに理解すればよろしいのでしょうか。

○岡田部会長 ちょっと先の議論になるかもしれませんが、ご質問のとおりだと思いますので、お願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 私ども、全体を俯瞰してと言いますか、去年なり一昨年なりということまで戻って、また考えてみたいと思うんですが、瀬戸内法に基づく基本計画というのを策定させていただいて、それのフォローアップというのをやらせていただいて、さらにフォローアップの引き続いたフォローアップといったようなことを去年やらせていただいたという中で、昨年、非常にいろいろなご意見をいただく中で、従来の枠組みにとらえられていては、なかなかこれ以上前進もできないのではないかということで、一旦、昔の前提は忘れてとは言いませんけれども、非常に幅広い見地からご意見を伺う必要があるだろうということで、懇談をやったという経緯でございますので、今後といたしましては、ある意味非常に幅広いご意見をいただいておりますので、それを事務局のほうで取捨選択する作業が当然必要になってくるんですが、今日は取捨選択するために、ぜひそういったいろいろなご提言をいただきたいという意味で開いておるということは、既に申し上げているとおりですけれども。
 それでこの後でございますけれども、私どもといたしましては、例えば環境保全基本計画ですね、瀬戸内の環境保全基本計画というのは、前回見直ししてから既に10年以上経過しているという意味で、今日、論点整理の中に挙がっているような概念も入っていないと。例えば里海であるとか、それから富栄養化対策からの転換であるとか、そういったいろいろな考え方が入っていない、古い形になっております。そういったものを直していかなきゃいけないという話。それから基本計画の議論にとどまらないものも当然あるということで、その枠にとらわれずに検討する部分もあるだろうということで、私どもとしては、基本計画の見直しも当然視野に入れながら、さらにそれ以上のことも視野に入れつつ、今後瀬戸内海部会のほうでご議論をいただくということをお願いしたいというふうに考えておる次第です。

○松田委員 ありがとうございました。

○岡田部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○須藤委員 特に富栄養化問題について一言申し上げたいと思いますが、鷲谷先生や柳先生からのシリカの問題、それから制限因子の問題、これは十分理解をしているつもりでございますが、今の瀬戸内海の窒素、りんの環境基準というのはぎりぎりセーフというか。大幅に下がっているなら別ですけれども、ぎりぎりではなかったかと思います。丁度満たしているぐらいだと思うんです。これは窒素、りんの環境基準をつくるときには、水産の先生を中心に、こういう魚種等だったらこのぐらいの窒素、りんが妥当であるということで決めた基準でございまして、環境面から一方的に決めたわけではないと、私は記憶しております。
 そういう意味では、負荷量の削減で、これだけ水質が回復したというのは、ほかの海には考えられない、あるいは湖沼にも考えられないほど成功しているわけでございますので、何となく「転換」と言われちゃうと、富栄養化防止をやらなくたっていいというふうにとれるので、特に私も有明にも関係しているんですが、有明なんかはどんどん窒素やりんを増やして、ノリをいっぱいとりましょうというような雰囲気があるわけで、水産だけを考えたら、あるいはそうなのかもしれません。持続性ある海、特に公共用水域としての海を守るためには、一言で言えば環境基準は十分、丁度ぎりぎりであるならば、私はそれならそれでいいと、こういう理解をする必要があるのかなと、こう思っているわけでございます。窒素、りんの問題は、もしかしたら珪素かもしれませんし、ほかの物質、鉄かもしれませんし、さまざまあると思うんですが、そういう問題を含めて、この問題を指摘するのはよろしいんですが、調査研究の中で、そういう問題をもっと具体的に挙げていただいて、生物の多様性の問題やら、あるいは物質循環の問題やら、そういうことの調査研究を十分にやった上で今後の水質管理をやっていくという方向性を打ち出しておいたほうがいいんではないかと考えております。

○岡田部会長 ありがとうございました。ということは、この言葉が必ずしも適切ではないと。ちょっと言葉足らずであると、意味が。

○須藤委員 もう少し。中を読めばわかるんですけれども、転換というと、もうやめてもいいじゃないかというようにも、とれなくはないので。

○岡田部会長 これはもともとは、単に富栄養化を対策するというだけのことから、もう少し幅広にというつもりで、多分議論は進んでいたはずですね。ただ、おっしゃるように、この言葉だけ見ると、ちょっとそういうふうにとられかねないので、これは事務局で検討させてください。よろしくお願いします。
 どうぞ、鷲谷先生。

○鷲谷委員 それらのもとにある価値観に関してなんですけれども、これは最初の価値のところに「道」「畑」「庭」という言葉を使っていらっしゃって、人間がコントロールして、ある特定の目的のために利用する場を指す言葉で価値観を表しているわけですけれども、そういうことと、特定の生態系サービスのために、こういう水質があるべきとか、そういうものが出てきているのではないかと思うんですけれども、ちょっと生物多様性の概念と、ややずれるところが。生態系サービスというのは、多様な生態系サービスをバランスよく提供できるような持続可能性の高い生態系を維持するということが目的ですので、ある限定された何とかの生産だけを強化するという視点は、生物多様性の見方とずれているような印象があるんですね。
 それで、人がもう完全にコントロールして使える空間というふうに瀬戸内海をとらえていいのかどうか。恐らく瀬戸内海の穏やかさとか、いろいろな恵みをもたらしてくれる自然ではありながらも、まだ人知が及ばない、私たちが十分理解していないこともたくさんあると思いますし、そういう自然を尊重するという気持ちも、もしこれを出すんだったら、一方で記述しておかないと、非常に偏った価値観に基づく提案になってしまうんじゃないかと、ちょっとそれを危惧します。
 先ほど「神」という言葉が重要だというふうに意見を出された先生がいらっしゃるようですが、ちょっと見方は違うけれども、そういうことを危惧されていたのかもしれないという印象をもちました。

○岡田部会長 ありがとうございました。自然景観とか自然生態系のことは議論したつもりではもちろんいるんですが、少し強く出すぎている。そうでない面が強く出すぎているというご意見だと思います。
 先生、どの辺を少し変えたらいいですかね。

○鷲谷委員 価値のところに、もう一つ、「道」「畑」「庭」だけではなくて。

○岡田部会長 自然生態系ですね。

○鷲谷委員 自然景観とか言わなくても、生物多様性というのが一方で重要な、いろいろな価値をバランスよく維持するための概念として重要になってきているというようなことも書いて、これ、「道」「畑」「庭」を超える、これら何かの機能だけにしておくと、やっぱり偏った管理になるという可能性もありますので、そういうところが、この価値の最後のあたりにでも、もし。ほかの先生のご意見もきっとあると思うんですが、表現は何がいいのか、ちょっとわかりませんけれども。

○岡田部会長 どうぞ。

○室石閉鎖性海域対策室長 先生ご指摘のように、今の2ページ目、3ページ目の瀬戸内海の価値のところですが、最初の3行を読んでいただければわかりますように、これは機能から分類しているんですね。「このような多面的機能を有する瀬戸内海の価値としては」という言い方をしているので、非常に人の視点から書いているということが最初から明らかな、機能性でもってやっているということなので、「道」「畑」「庭」と同列というのではなくて、機能というものに並ぶものとして、生物多様性の大切さということを書くという、そういうご指摘だというふうに受け止めました。

○岡田部会長 それでよろしいでしょうか。

○鷲谷委員 機能というのは、生物多様性に関わる議論の中では、生態系サービス、人間への便益に当たるものですね、ここで挙げられているのは。その便益もあるものだけを強化するような管理というのもあり得るんだけれども、そうすると、多様な生態系サービスを持続可能な形でバランスよく享受できなくなる可能性もあるというところから、生物多様性とか生態系サービスについても幅広く評価するということが求められているんだろうと思うんですね。
 そうすると、機能を考えるときの考え方、目先にある機能とか利害だけ、直接的なものだけ考えるのではなく、瀬戸内海が持続可能な形で将来世代に提供してくれるはずのサービスとか、価値を損なわないようにするという観点も同時に重要だというふうな書き方が、もしかするといいかもしれません。

○岡田部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○道浦委員 私、鷲谷委員がおっしゃったことと同じようなことを感じております。10ページに里海ということが書かれていまして、柳先生のご提案のようで拝見させていただきましたが、瀬戸内海全体を里海の創生を進めるということがありまして、里海と考えるという、その提言はとてもよく理解できますし、いい方向だなと思います。
 今、里山という言葉がかなり定着してきていまして、私たちにもある程度のイメージは持てるんですが、瀬戸内海の現状で瀬戸内海の価値の中で「道」「畑」「庭」、その機能を備えたものを里海と考えるのか。里海にどの程度、人為的な手が加えられてもいいのか。もともとの自然を伝えていくことが大事なのか、そのあたりがまた危うい感じがしまして、里海と呼ぶためには、どの程度、人間の手が加わっていいのか。環境を保全するためにはどの程度の許容範囲を持つかという、そのあたりが定義されないと、概念はあっても、内容がちょっと詳しくわからないので、もう少し詳しく教えていただきたいし、もし、できれば、里海と呼ぶには、自然をやはり次の世代にも伝えていくということを視点に置いたものが必要ではないかなと考えますので、よろしくお願いします。

○岡田部会長 ありがとうございます。これは柳先生、どうぞ。

○柳委員 2つあるんですけれども、まずは鷲谷さんが言われた機能、この「道」、「畑」、「庭」というのは論文を書いていますから、それを詳しく読んでほしいんですが、その中には、一番大事なのは「畑」としての機能で、「畑」としての機能、生態系サービスをちゃんと受けようと思ったら、生物多様性を保証しないと良い畑でなくなると書いてありますから、これを前提として、今言われた生物多様性というのは含まれているというふうにご理解ください。
 それから里海の中の生物多様性に関する人手に関しては、これも本の中には書いてありますけれども、修復可能な人手なんですよね。つまり、大規模にやってしまって、これも鷲谷さんが言われましたけれども、まだ我々、知らないことがあって、当然、里海の中には陸上の鎮守の森のようなパートを残さないと、我々は完全にコントロールはできていない。手を入れる場合も、入れるのはもちろん地元の漁師とか、いろいろな知恵に従って、我々の科学的知見も加えて魚礁、この魚礁なら入れてもいいし、ここで藻場をいじってはいけない、あるいは干潟の再生は無理であるとか、いろいろなことを考えるわけですけれども、そのやり方としては、もしそれがうまくいかなかったら、もとに返せる、原状回復できるようなスケールというか、大きさでまず始めなきゃいけない。それを積み重ねていって、人手の、適正な人手の加え方が生物多様性を増やして、かつ生産性を上げるというふうに考えて、今いろいろなところで実験を始めていますけれども、そういうニュアンスです。
 だから、生物多様性というのは、事務局がどういう書かれ方をするかしりませんけれども、私としては、「畑」の中にちゃんと含まれているということを、原著論文で書いていますから。

○岡田部会長 ありがとうございました。じゃ、これは柳先生の原著論文ももう一度参照していただいて、柳先生には実はパネリストというか、参考人としてお話を伺っていますので、もう一度それを確認していただいて、今、鷲谷先生がおっしゃったような視点も入っているということが、この文書としてわかるようにしていただければと思います。
 ただ、それがどのレベルまでかということは、多分いろいろな意見があるかと思いますので、それにつきましては、最終的にはこの瀬戸内海部会で議論していくべきことだと思いますので、幾つかの側面が多少並列しても仕方がないと、現時点では思いますので、整理していただければというふうに思います。ありがとうございました。
 どうぞ、長屋委員。

○長屋委員 「畑」として利用させていただいております漁業者の立場から、お話をさせていただきたいと思います。この場でも貧栄養の問題について、これまでいろいろご議論いただいておりますことについては本当に感謝を申し上げます。漁業者の中でもN、P、Siのバランスの問題ではないか、またはN、Pの不足の問題ではないか、さまざまな議論がされております。
 私どもやはり、この「道」と「畑」と「庭」という中では、この水質の問題においては、「畑」として利用している漁業者が一番大きな問題意識を持っているということでございます。結果として、ノリの色落ちはどんどん進んでおります。それからまた、プランクトン組成が大分変わってきていることによって、とれる魚の種類なり量というものも大分変わってきていることは事実でございます。
 漁業者からすると、いろいろなご議論がある中で、どういう原因かということの調査は先生方言われるように、しっかりともっと広範にやっていただきたいと思うのです。少しでも改善するためには、どこがどういうふうな手を打っていただくのかということを、示していただくことについての期待感というのは非常に大きいものがあるところでございまして、そういうものにつながるような、取りまとめなり、ご議論なりをいただきたいと思います。
 13ページに書いております「総合的な資源管理」を単純に読んでみますと、生態系の規模に応じて管理をしていけ、要するにもう減ったなら減ったところに合わせて漁業をすればいいじゃないかというふうに読まれるように、私どもとしては感じてしまうところでございます。何とかもう一回、豊かな瀬戸内海を復活させていただく。豊かな生態系、多様性を持ったおいしい魚がとれる海域でございます。ぜひ改善に結びつくようなご議論というものが進むような、進め方をぜひお願いしたいと思います。これは要望でございます。

○岡田部会長 ありがとうございました。これはご要望ですので、これからの議論に生かしていただければと思います。
 白木委員、どうぞ。

○白木委員 生物調査と環境学習について、小さな現場のことですが、聞いていただきたくて、申します。
 13ページに、環境学習を教科の中で適切に教えることとあるのですが、環境学習では海を見てもらうことが一番大切だと思っています。学校現場では、海へ連れていく時間がない、お金がないなどに阻まれてなかなか実現できません。子どもたちを海へ連れていって観察するということは、海に近いところでは実施されるようになってきたのでいいのですが、問題は海から遠い子どもたちです。兵庫県の成ヶ島の海岸に、ゴミが流れ着く時期に、次から次と子どもたちを連れていって、ゴミの光景を見せて、びっくりしてもらいたいのです。また同じ成ヶ島でも、海岸植物がきれいに咲く(ハマヒルガオでいっぱいになるときなど)ときには、また子どもたちをいっぱい連れていって感動させるような、そういう環境学習をしていただきたいです。連れていく人の問題、連れていく手段、お金など、いろいろ問題はあると思うのですが、そんなことにお金を使っていただきたいなというのが一つです。
 それともう一つは、生物調査なのですが、6ページのところに、瀬戸内海全域における生物調査の長期にわたるデータは不足していると書かれています。また、18ページに、国及び地方公共団体の試験研究機関や大学などが情報交換の密接な連携と書かれています。研究機関の中に博物館というのが、もっと登場してもいいんじゃないかと、いつも思っています。
 私が勤めているような地方の小さな博物館から、大阪市立自然史博物館のような大きな博物館に至るまで、海の行事というのは結構どこでも毎年決まって実施されています。うちのような小さな博物館でも毎年5月になったら「5月の海で遊ぼう」という行事を行い、採集した生き物は、必ずリストにして保存しています。10年以上も続いていますから、各博物館がそういうものを持っているので、情報を集めていただけたら、瀬戸内海の生き物の情報になると思います。
 以上です。

○岡田部会長 ありがとうございました。これはちょっと場所をよく見つけて、今のご意見を反映するようにしてください。どこに書けばいいかというのは、ちょっと今、いいですね、それはもう事務局にお任せいただければというふうに思います。ありがとうございました。
 ほかに、どうぞ。松田さん。

○松田委員 先ほどの須藤先生のご意見のときの話にちょっと戻らせていただきたいんですが、例えば11ページの真ん中辺の(3)で富栄養化対策の転換というのは、言うなれば、富栄養化対策一辺倒というか、そういうものからの転換ということで、富栄養化対策をやめることじゃないということは既に話がありましたが。例えば富栄養化対策中心主義からの転換とか、何かそういうような言葉もあるかと思いますが。
 そうすると、ここの内容ですけれども、(3)のところの一番後ろのところの水質のみをコントロールするのではなく、生態系を保全再生するという視点での取組を進めていく必要があるというのに、これは基本方針に書いてあるので、これはぜひ進めたいわけですが、この文章ですと、文脈としては水質環境基準を満たした場合や、近々達成できそうな海域についてはという限定がかかっているんですけれども、本当はすべての海域について、水質対策もやりながら、生態系を保全再生するという取組が必要なので、ちょっと文章を変えていただいたほうがいいと思います。少し細かいんですけれども。

○岡田部会長 ありがとうございました。事務局としては大変助かります。いいですね。先生、よろしいですか。

○須藤委員 そういう意味で申し上げました。

○岡田部会長 じゃ、今のご指摘にしたがって、少しこれは修文させていただくということで、事務局のほう、よろしくお願いします。
 どうぞ、西田先生。

○西田委員 私、この懇談会のメンバーで、このまとめ作業にも加わらせていただいたんですけれども、すっかり抜けたことがあります。
 今回の震災の件で先ほど原子力発電所の話が出ましたけれども、沿岸防災が多分これから見直しされることになるかと思いますし、既に防災計画どおりに今、沿岸防災が進められている所もあります。沿岸防災の防災機能、沿岸域の機能――例えば護岸ですとか、防波堤ですとか、そういう機能の確保と水環境の保全というものの両立という言葉が、この中になかったということです。砂浜を再生しましょう、浅場、干潟をつくりましょうとなると、防災上は考えなくちゃいけない部分が出てくると思います。それから護岸についても、例えば環境護岸だったり、透過性の防波堤だったりということが、多分、水環境からいけば正しい、いい方向だと思いますが、沿岸防災についても、どこかで一言述べておく必要があるかなと今思っております。
 沿岸の防災機能を低下することなく、水環境の保全、それの両立を図るような文言がどこかにあったほうがいいような気がしています。

○岡田部会長 ありがとうございました。よろしいですね。おっしゃるとおりだと思います。岡田(真)委員のほうからも、それに近いご意見をいただいていますので、この部分はご指摘に従ってつけ加えるようにしてください。
 どうぞ。

○山田委員 拝見させていただきまして、かなりすばらしくしかも網羅的にまとめられていると思って、感心させていただきました。これが本当に実現していくと、本当にすばらしい海が実現されるなと思いました。
 環境省さんもかなり躍進をされていると思ったのが、水質、環境から生態系という言葉をどんどん使われるようになったこと、それから、規制ということが管理、生態系管理、それと環境修復ということまで踏み込まれていただいていること、かなりのことだと思います。ぜひ、これを実現させていただきたいんですけれども、例えば、19ページの(15)番、瀬戸内海の環境保全の推進体制の充実という言葉があります。それの一番最後の丸ポツなんですけれども、「国や関係自治体は地域における環境保全に資する市民運動に対して継続的支援」と書かれています。この支援は具体的にどういうふうになされるのか。そこら辺のマネジメントの視点が欠けているのではないかと思いました。
 あともう一つは、今、国土交通省さんのほうでは、全国海の再生プロジェクトというものをなさっています。前回もこれは申し上げたんですけれども、この海の再生プロジェクトの言葉は何かと言いますと、包括的かつ統合的なという言葉を使っておられるんですね。まさに今の環境省さんと同じような立場で、海の管理を目指しておられるということなんですけれども、何が言いたいかというと、国の省庁の中でのマネジメント、瀬戸内海をこうしたいというマネジメントがあると思います。実際に瀬戸内海でも大阪湾と広島湾で全国海の再生プロジェクトが実際に行われていますが、それと環境省さんの取り組みにどういうふうな整合性があるのかということですね。
 あとはやっぱり瀬戸内海と言えば水産であるし、市民の海であるしということで、それらを統合的にマネジメントするようなシステムづくりが必要だと思います。そこら辺のところをご検討していただければありがたいと思います。

○岡田部会長 今の、ご質問も若干ありましたので、事務局で答えられる範囲でお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 まずNPOへの支援をもう少し具体的に考えていくべきというのは、まさにそのとおりだと受け止めました。
 それから、国交省さんのほうの再生プロジェクト、もちろん東京湾も再生プロジェクトをやっておることも承知しておりますし、私もそういった会議に参加しておりますけれども、先ほど松田先生からのご指摘で、今後どうしていくかということもちょっとお話ししたんですが、当然、瀬戸内法といったもの、あるいは環境保全基本計画といったものは、去年のフォローアップのフォローアップを思い出していただくとおわかりいただけますように、各省が全部参加して、そういった内容を詰めてやっておりますので、そういう意味ではこの瀬戸内海部会で十分、瀬戸内海についてのご意見をいただいて、そのそういった各省のほうにきちっと調整を図っていくのが、また環境省の役割だというふうに認識しておりますので、先生のおっしゃったような統合的な部分というのは、環境省が主体的に働くんだ。それから、それにとどまらずに、例えばほかの部分でもありますように、湾・灘ごとの地元地元でのそういう沿岸管理をまた地元で決めていくといったようなそういったことも今回の論点整理の中には入っておりますので、そうしたものをどう生かしていくかということも、私どもの宿題だというふうに今、受け止めているところでございます。

○山田委員 どうもありがとうございます。まさに国でのマネジメントの問題が、地方自治体においてもかなり問題になっていると思います。地方自治体におきましても、海を管理するのは、農林水産省であり国土交通省―これは国のほうでした、水産課であり環境局であり、下水道局であり、また環境学習では教育委員会であったりするんですね。そこら辺の方たちが皆さん一生懸命になされているんですけれども、統合する機関がないんです。やはりそれを統一的に、効果的に行っていくためにも、マネジメントをするという部署が必要だと思いますので、国の中でもしそうなさっておられるのでしたら、地方自治体においても、そのようなシステムつくっていただけることは可能なのでしょうか。

○室石閉鎖性海域対策室長 今すぐにというか、組織的なものはなかなか難しいと思いますけれども、瀬戸内法の中でいけば、瀬戸内法の中で府県計画というのをつくることになっておりますので、そういった中で、またそういう統合的な見地から調整が図られていくというのが今の制度ですけれども、それをまたさらに超える仕組みが要るかどうかということは、またこういった場で、瀬戸内部会の場でまたご議論いただきたいというふうに思っております。

○岡田部会長 ありがとうございました。ほかにございますか。
 どうぞ、岩崎さん。

○岩崎委員 新参者ですが、ちょっと気づきを一、二点お願いします。先ほど西田委員さんのご指摘、私も同意なんですけれども、ここに先ほど岡田(真)先生のペーパーに、瀬戸内海が地震の可能性が低いというふうにお書きですが、必ずしもそれは正確ではないような気がしますし、今言われている、東南海・南海地震が同時発生すれば、少なくとも津波でも、大阪湾のほうから相当な津波が予想されます。それと、あるいは中央構造線という四国にある大きな構造線が動けば、瀬戸内海地方は甚大なる被害を被るのは間違いありません。ということで、西田先生がおっしゃるように、やはり防災と環境保全をどういうふうにするかという課題は、もう避けて通れないような気がいたします。それが一つ。
 それと、全然違う話で恐縮なんですけれども、観光の話がございます。これも岡田(真)先生のペーパーにございましたけれども、どうもこれを拝見すると、PRが足らないと、もっと人が来るべきだと、外国人にもPRすべきだというようなことがあって、今日ご欠席の広島県知事さんも最近そういうことを、政策を推進させているので、それは非常にいいことなんですけれども、どうしても観光開発ということになると、やはりそれはこれまでのインフラ整備であったり、あるいは港湾の整備であったり、そういうものが伴うのがこれまでの考え方だったんですけれども、そういうマス的な多くの人を瀬戸内海に来てもらうための云々かんぬんということになると、やはりこれまでの発想の域を出ない。
 去年、香川県で瀬戸内国際芸術祭というのがございました。首都圏、あるいは近畿圏のほうから、本当に予想を上回る人にお越しいただいて大変にぎわったと。やっぱり多くの人が感じられたのが、島の暮らしというのはこういうものなのかと、日常的な暮らしに触れて本当によかったと、そういうことをおっしゃっていた。私も行ってみたんですけれども、そういうお話を聞きました。だからこそ、やはり今の日常の暮らしを支え、元気を与えると、そういう意味での観光振興につながるべきであって、岡田(真)先生が言われるように、目の前の現金収入、目の前の経済活性化というのにとらわれて何をすべきかというのではなくて、息の長い、地元の暮らしと共生した意味での観光振興と、そういうコンセプトを明確にすべきではないかと思いました。
 以上です。

○岡田部会長 ありがとうございました。懇談会では今おっしゃったような議論は大分したと記憶していますが、むしろそういう方向での議論が主だったんですね。それが明確に書き足りないですかね。かなり入っていたと思うんですが。この辺を見ていただけると書いてあるつもりです。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、たくさん貴重なご意見、中には今後の進め方に関するご要望も含めてご意見をいただきました。やはり、この審議に基づいて、今後どういうふうに進めていくかということが重要になるかと思います。今までも少し出てきたかと思いますが、もう一度まとめて事務局のほうから今後の進め方についてご説明をお願いいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 今後でございますけれども、本日いただいたご意見をもとに、環境省としての方向性を決めていきたいというふうに考えておりますが、少しでも最低限の問題意識としては、瀬戸内法に基づく基本計画というものが前回見直しから10年以上経過しているということで、今回いただいた論点整理、いろいろと新しい観点が入っておるということ、そういったものが全然今の基本計画には読み取れないというものでありますので、改定が必要な時期にあるんではないかということ。それから基本計画で対応しきれない課題があれば、その枠にとらわれずに検討していく必要があるであろうという意識を持って、今日のご意見を整理させていただきたいというふうに思っております。
 できれば、ことしの6月あたりにまた部会を開かせていただいて、そこで私どもが検討した方向性というのをまたご紹介させていただいて、そこからまた議論を深めていただければといったことを今考えております。
 以上です。

○岡田部会長 ありがとうございました。ということでございますけれども、先ほどから既に幾つか今後の進め方についてご意見をいただいていますが、さらに追加のご意見、ご要望等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは事務局の今後の取りまとめに期待するということで、次の瀬戸内海部会で、その成果をまたご議論いただくということにさせていただきたいと思います。それではそういう形で、今後の瀬戸内海部会での審議を進めていくということにさせていただきたいと思いますので、よろしくご協力のほど、お願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして最初の議題を終わりまして、次に報告事項に入りたいと思います。入る前に何か、ぜひ、言い忘れたとかいうことがございましたら承りますが、よろしいですね。
 それでは、報告事項は2件ございます。第7次の水質総量削減、それから海域の物質循環健全化計画策定事業、この2つについて、事務局からあわせてご説明をお願いいたします。

○山田審査係長 事務局の山田でございます。よろしくお願いいたします。私のほうから第7次水質総量削減について、及び海域の物質循環健全化計画策定事業についてということで報告させていただきます。
 お手元の資料4をご覧ください。1枚目、水質総量削減制度の概要について、説明させていただきます。総量削減制度は、人口や産業が集中し、汚濁負荷が滞留しやすい閉鎖性海域である東京湾、伊勢湾、そして瀬戸内海において、陸域からの汚濁負荷の総量を削減するということで、昭和53年の水質汚濁防止法の改正、及び瀬戸内海環境保全特別措置法の改正により導入された制度でございます。現在は、その第7次の総量削減の実施に向けて準備を行っているところでございます。
 簡単に流れを説明しますと、1ページ目の上の図に示しますように、指定水域ごとに環境大臣が目標年度、そして削減目標量を定めた総量削減基本方針を策定いたします。それを受けて、関係都府県ごとに具体的な発生源別の削減目標量等を定めた総量削減計画を策定するという流れになっております。
 1枚めくっていただきまして、2ページ目でございます。こちらに総量規制基準の概要を示しております。総量規制では、指定地域に立地する1日当たりの平均排水量が50立方メートル以上の特定事業場に対して、1日当たりの許容排出量である総量規制基準を適用して規制を行っている、こういう形になっております。総量規制基準のL値は下の式に示しておりますように、特定排出水の水量であるQと、濃度に相当する係数であるC値、これを掛けて求めるというような形で計算を行うものとなっております。
 次に3ページ目をお願いいたします。第7次の水質総量削減の在り方の答申についてご説明いたします。水質総量削減は、これまで6次にわたって実施してきておりまして、その結果、水質は改善傾向にあるものの環境基準の達成率は十分ではなくて、富栄養化に伴う問題が依然として発生しております。そのため、平成22年3月に、閉鎖性海域の中長期ビジョンが取りまとめられまして、その内容も踏まえて、同月に中央環境審議会より第7次の水質総量削減の在り方の答申をいただいております。
 この答申の中では、これまでの汚濁負荷が海底に蓄積されておりまして、その海底から窒素やりんが溶出してくるために、陸域からの汚濁負荷の削減の効果が相殺されていた等の水質改善を抑制した要因が挙げられましたが、閉鎖性海域中長期ビジョンでの検討において、汚濁負荷削減の効果が底質の改善となって表れてきておりまして、引き続き総量削減の取組を実施していくことで、水質も今後着実に改善されていくというようなことが指摘されております。
 そして第7次水質総量削減におきましては、東京湾、伊勢湾、そして大阪湾の3湾と、大阪湾を除く瀬戸内海とで方向性を分けて、東京湾、伊勢湾、大阪湾はさらなる水環境改善のための取組が必要であるというふうに整理されております。
 一方で、大阪湾を除く瀬戸内海については、現在の水質が悪化しないような対策を講ずることが必要であるというふうに整理されているところでございます。
 続きまして、1枚めくっていただきまして、4ページ目でございます。水質の将来予測を行った結果をこちらに示しております。閉鎖性海域の中長期ビジョンではシミュレーションモデルを用いまして、将来の水質予測を行っております。時間の関係で詳細な説明は省略させていただきますけれども、シミュレーションの最終年度である平成46年度においては、大都市圏の沿岸域を除いて水質が大きく改善されるというような結果をいただいております。
 次に1枚めくっていただきまして、5ページでございます。第7次の総量規制基準の設定方法についての答申についてご説明いたします。総量規制基準については先ほど計算式を示しておりますけれども、こちらの業種区分、時期区分、そしてC値の範囲、及びその設定方法については国が定めることというふうになっております。規制基準の設定方法については、平成22年6月から総量規制基準の専門委員会で検討を進めていただきまして、平成23年1月に答申をいただいております。この答申を受けまして、こちらに示しますように、大阪湾を除く瀬戸内海は、時期区分、業種等区分、C値の範囲などは第6次の水質総量削減から変更しないということになりました。
 一方で、大阪湾においては、時期区分、215の業種の大区分は第6次の水質総量削減から変更しませんが、C値の範囲については、COD、窒素、りんについて一部の見直しを行うということで実施してきているところでございます。
 1枚めくっていただきまして、最後のページでございます。第7次の水質総量削減に係るスケジュールについてご説明いたします。第7次水質総量削減の在り方についての答申、こちらについては平成22年3月に答申をいただいているところでございます。また、ことしの1月には第7次の総量規制基準の設定方法についての答申をいただいております。
 今後の話ですけれども、総量規制基準の範囲について環境省より3月31日に告示を行う予定でありまして、また、来年度の初めを目途に総量削減基本方針を策定する予定となっております。その後は関係都府県における総量削減計画の策定、及び総量規制基準の設定という流れで今後進んでいくという予定でございます。
 以上で、第7次水質総量削減についてのご説明を終わらせていただきます。
 続きまして、資料5を用いまして、海域の物質循環健全化計画策定事業について、ご説明させていただきます。
 先ほど説明しました第7次の水質総量削減の在り方の答申においては、この資料5の2.の背景で示しておりますけれども、大阪湾を除く瀬戸内海では、現在の水質が悪化しないよう必要な対策を講じつつ、目標とすべき適切な水質を検討すること。それから、瀬戸内海の湾・灘ごとの場所や季節を考えた細やかな対応について検討すること。さらに、富栄養化が解消された閉鎖性海域における窒素、りんの栄養塩類の管理のあり方などに関して、調査研究を推進すること、このような指摘をいただいているところでございます。
 これらの指摘を踏まえまして、こちらの事業では地域の実情に応じた栄養塩類の循環バランスを回復、あるいは向上させるための具体的な行動計画を確立して、豊かで健全な海域環境の構築を図る、このようなことを目的といたしまして、平成22年度を初年度とする3カ年の事業として現在実施しているところでございます。
 本事業の具体的な検討のイメージを2ページ目の上の図で示しております。本事業では、公募により3つのモデル地域といたしまして、気仙沼湾、三河湾、及び播磨灘の北東部海域を選定しておりまして、その周辺地域における栄養塩類の負荷、発生状況でありますとか、水質、底質の状況、漁獲量の状況等の把握を行うとともに、陸域、海域のバイオマスの増殖、回収機能強化に関する調査、そして物質収支モデルを用いた要因分析や循環量の評価、新たな技術開発動向も踏まえた対策の抽出等を行いまして、具体的な行動計画を当該海域のヘルシープランというような形で策定することを目指しております。
 さらに3ページ目の図2に示すような体制をとりまして、モデル地域において、実施している検討の結果を踏まえまして、統括委員会におきまして、我が国の閉鎖性海域において適用できる、それぞれの海域の実情に応じた栄養塩類管理方策を確立するための海域ヘルシープラン策定要領の作成を行う、このような形で事業を進めております。
 平成23年度は、表1に示しますように、モデル地域において、栄養塩循環状況解明のためのさらなる現地調査を行うとともに、各モデル地域の実情に応じた栄養塩循環向上のための実証試験を行う予定です。
 また、統括検討会においては、物質収支モデルを用いたさまざまな対策の効果の検討等を実施していく、このような予定で進めていくところでございます。
 なお、モデル地域の一つとして今年度検討を進めていただきました気仙沼地域につきましては、皆様ご存じのとおり、東日本大震災が発生したために、そちらの対応を優先する必要があるということで、事業の継続が非常に困難であるというようなご意見をいただいておりまして、今年度からは他の地域を選定して検討していくと、このような流れになると思われます。
 以上で、説明を終わらせていただきます。

○岡田部会長 ありがとうございました。それではただいまのご説明に関しまして、ご意見、ご質問等がございましたら、お願いいたします。
 どうぞ。

○西田委員 自分の専門と関わっているのですが、瀬戸内海の水質の将来予測結果の数字がコンターマップで出ていますけれども、ここに表れた数字自体を、この策定にかなり利用されたのか、それとも将来予測としてこの程度よくなるでしょうというぐらいのものとして利用されたのか、この場にふさわしい質問かどうかわかりませんけれども、よろしくお願いします。

○室石閉鎖性海域対策室長 当初の予定では、シミュレーションモデルを複数回回すことによって、いろいろな削減パターンを試してみる、政策を試してみるというのを当初念頭に置いていたのですが、結果的には時間が少し足りなくて、非常に限られた政策パターンだけをシミュレーションに載せるという結果になって、当初よりはプアになってしまったんですけれども、一応これを踏まえて、そういう政策パターンモデルを何パターンか踏まえて規制を考えていくという流れで検討いたしております。

○岡田部会長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。
 どうぞ。

○須藤委員 ヘルシープランのほうの気仙沼湾、私、現地に近いところにおります。震災後、現場に行ったわけではございませんが、関係者も多く、従来から仕事をやっていることも承知をしているわけでございますが、先ほど、西田先生がおっしゃっていただいたような問題を、これがヘルシーかどうかはわかりませんが、あの海域は、今のところ本当にめちゃくちゃであることは事実なんですけれども、数カ月ぐらいたてば多少の復興があるでしょうし、その防災が不十分だったのか、あるいは防災が中途半端であったために、かえってマイナスだったというのは、ほかの海を見ていても、宮城県のほかの海を見ていてもそう思う部分もあるので、何か現地から、もう勘弁してくれと言ってきたなら別ですけれども、その辺のところはちょっと視点を変えれば、こういうプランの。要するに、これからもこういう問題はありますよね、多分。あっちゃいけないんですけれども、多分あるでしょうから、せっかくのチャンスだろうと―こんなこと言っちゃいけませんが、せっかくのチャンスだろうと思います。先ほどの私も西田先生の意見に賛成なので、防災か、あるいは環境かということではなくて、環境保全における防災の適切性みたいな部分をヘルシーの中で出てくるといいかなというふうに思いましたので、ちょっとご検討ください。

○岡田部会長 これは事務局から、経過を少しご説明いただいたほうがよろしいかと思います。

○室石閉鎖性海域対策室長 今回、地震が起こりまして、それで当然どうするかというふうに考えた結果、地元に問い合わせをしておりました。地元のほうからは2つ理由があって断るというふうに言ってきました。
 その一つは、今、とてもそれどころではないというのと、もう一つは、今年度、十分時間をかけて結構立派な現状分析のデータを取り揃えることができたのですが、津波が来たせいで、そのデータが全く使えないデータになってしまった。つまりがらっと湾の状況が変わってしまったというふうに認識しているということで、1年分の蓄積も無駄になってしまったという2つから、辞退したいというふうに地元のほうから言ってきたということでございます。
 ただ、それで私ども、先ほど山田のほうから説明いたしましたように、来年度の予算が3カ所分ございますので、同じような似た特性を持つ湾を一つ追加したいというふうに思っておるんですが、そうすると、3年間の事業のうち2年目から1カ所増えるということになるので、当然1年事業を延長しなければいけなくなるという中で、事業を4年間に延伸することで、もし仮に、気仙沼湾のほうで1年ぐらいたって落ちついてきて、もう一度やりたいというふうに手を挙げられてこられても対応できるのではないか、そういうことも考えて、事業の延伸を今予定しているということでございます。
 そういう中で、ちょっと須藤先生のご意見も踏まえられればありがたいかと思います。

○須藤委員 今聞かれたら、すべて、何を聞かれてもだめですよ。それは私だって、会議へ来られるかと言われたらだめですと、こういうふうに言ったんだけれども、来ちゃったんですが、今聞かれたら、何聞かれてもみんなだめなんで、ぜひ、もうちょっと落ちついて、研究者も、あるいは地元の自治体も、それから関係のコンサルも、もう少し様子を確認された上で問い合わせを。すぐに問い合わせたら何を聞いてもだめだろうというふうに私は思いますので、ちょっと余分なことですが、地元にいるものですから、それを確認して下さい。

○岡田部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、最後にその他がございます。事務局から何かございますでしょうか。

○室石閉鎖性海域対策室長 最後、その他でございますけれども、今日の議事録について、速記がまとまり次第、委員の皆様にお送りさせていただきますので、ご確認をよろしくお願いいたします。ご確認いただけましたならば、環境省のホームページのほうで公開する予定としております。
 以上でございます。

○岡田部会長 ありがとうございました。これで本日の議題はすべて終了となります。議事進行に関わる委員の皆様方のご協力、貴重なご意見に感謝いたしたいと思います。
 それではマイクを事務局にお返しいたします。

○室石閉鎖性海域対策室長 それでは次回につきましては、先ほどもう申し上げてしまいましたけれども、ことしの6月ぐらいを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、環境省水・大気環境局の鷺坂局長のほうから、閉会のごあいさつをさせていただきます。

○鷺坂水・大気環境局長 環境省の水・大気環境局長の鷺坂でございます。本日は震災対応ということもありまして、会議の途中からの出席となりましたことをお詫び申し上げたいと思います。
 また委員の皆様には、本当に年度末の何かとお忙しい中、また委員の皆様の中には災害にも実際に遭われ、また関係者が災害に遭われている方もおられると思いますけれども、この場をお借りしてお見舞いを申し上げたいと思います。
 環境省といたしましても、今回の災害に当たりましては、メインはこれからの災害廃棄物の処理というか、そちらのほうが中心になってくるわけでございます。早速、環境省でもそういった災害対策の本部を立ち上げておりまして、今、内閣官房にあります被災者支援対策本部とも連携をとりながら、そういった作業を今進めているというところでございまして、私ども水・大気環境局におきましても、そういった全体の環境省の流れの中で被災地の復興、こういったものに全力で取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
 本日は、瀬戸内海部会ということで、若干久しぶりだったかもしれませんけれども、本当にありがとうございました。活発なご意見をいただきまして、瀬戸内海におきましても、かなり水質が改善されてきたというふうには認識しておりますけれども、一方、依然として赤潮とか、貧酸素水塊等の課題もある。またあるいは豊かな海に向けてのさらなる対策を講じなければいけない、こういったいろいろな課題があるというふうに承知しております。環境省といたしましても、いろいろ水環境保全の在り方について取りまとめたり、あるいは瀬戸内海の懇談会で取りまとめを行ったところでございますけれども、今後、今回の瀬戸内海の水環境の在り方の論点整理を踏まえまして、瀬戸内海部会もできるだけ、部会長のご差配にもよりますけれども、回数を重ねさせていただいて、さらに取組を進めていきたい、このように考えているところでございますので、今後ともぜひ皆様のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げて、私からのごあいさつにさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。

○室石閉鎖性海域対策室長 以上をもちまして、第9回瀬戸内海部会を閉会いたします。まことにありがとうございました。

午後2時54分 閉会