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中央環境審議会瀬戸内海部会(第7回)議事録


平成20年4月25日(金)
環境省 水・大気環境局 水環境課 閉鎖性海域対策室

開会
議題
  • (1)瀬戸内海環境保全基本計画のフォローアップについて
  • (2)報告事項
    • ・閉鎖性海域対策中長期ビジョン策定に係る懇談会の検討状況について
    • ・里海の創生の支援に向けた取組について
    • ・第8回世界閉鎖性海域環境保全会議(EMECS 8)について
  • (3)その他
閉会

午後1時00分 開会

○山本閉鎖性海域対策室長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第7回瀬戸内海部会を開会いたします。
 初めに、私ども環境省水・大気環境局水環境担当審議官の白石より一言ご挨拶させていただきます。

○白石水環境担当審議官 皆様こんにちは。本日はご多忙の中ご出席を賜りまして、本当にありがとうございます。ご紹介いただきました水環境担当審議官の白石でございます。
 本日は、第7回瀬戸内海部会の開催に当たりまして、冒頭ご挨拶申し上げたいと思います。
 ご案内のように、瀬戸内海の環境保全基本計画、前面改訂されました平成12年から5年が過ぎた段階でフォローアップという運びになってまいりました。第4回及び第5回の部会におきまして皆様にご確認いただきました各関係機関の施策の実施状況を踏まえまして、前回第6回、昨年でございますけれども、基本計画に掲げる目標に関する論点を提示させていただきました。
 本日はこれを受けまして、提示させていただいております論点に対します色々なご指摘あるいは瀬戸内海の環境保全に関する最近の動きを踏まえまして、基本計画に掲げる目標の進捗状況を評価すること、それから今後、基本計画を踏まえましてさらなる取組を進めていくに当たっての課題、こういったものを整理させていただいてフォローアップとして取りまとめましたので、これをご審議いただきたいと考えております。
 また、これに加えまして、昨年度に取組を開始いたしました閉鎖性海域中長期ビジョンの策定に向けた検討の状況のご報告、それから今年度、今月からスタートいたしましたが、新たに取組を開始いたしました里海の創生、これについても現在の状況をご報告させていただきまして、今後、何か取り組む上で留意すべき点についてご教示、ご意見をいただければと思っております。
 本日は皆様方の忌憚のないご意見を賜りますようお願いいたしまして、ご挨拶とさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございます。

○山本閉鎖性海域対策室長 本部会につきましては、前回、昨年9月に開催いたしました。その後、若干委員の異動がございましたので、新しくご就任いただいた委員の方々を事務局よりご紹介させていただきます。
 資料1として新しいメンバーでの委員名簿をつけておりますが、その中で、本日はご欠席でございますけれども、大阪市長の平松邦夫委員、同じく本日はご欠席ですが、日本政策投資銀行副総裁の藤井秀人委員、それから、本日ご出席の予定で若干遅れていらっしゃるようですが、中国新聞社論説委員の枡田勲委員に新たにご参画いただいております。
 それから、前回以降、事務局も一部異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 水・大気環境局水環境課長、河アでございます。

○河ア水環境課長 河アでございます。よろしくお願いいたします。

○山本閉鎖性海域対策室長 それでは、開催に先立ちまして、松尾部会長からご挨拶をお願いいたします。

○松尾部会長 皆さん、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。第7回の瀬戸内海部会でありますが、どうぞよろしくお願いします。
 今もありましたように基本計画のフォローアップということで、今日は重要な部分が出揃ったような報告がされるようでありますので、よろしくご審議いただきたいと思います。
 ありがとうございます。

○山本閉鎖性海域対策室長 ありがとうございました。
 本日の定足数についてですが、鷲谷委員が若干遅れるというご連絡をいただいております。まだお見えになっていない先生も若干ございますが、既に定足数を満たしていることをご報告いたします。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第に配付資料の一覧がございます。こちらに資料1から資料9までと参考資料1から参考資料6までと、大変大部になっております。それから、ご了承いただきたいんですけれども、参考資料は非常に大部になるものですから、傍聴されている方につきましては今回は配付しておりません。またホームページ等で公表させていただきますので、そちらをご参照いただければと思います。
 それでは、簡単に資料の確認をさせていただきますと、資料1が委員名簿、資料2−1が議事録、資料2−2が指摘事項という1枚紙、資料3−1が「フォローアップ作業の進め方」という1枚紙、資料3−2が評価(案)、資料3−3が本日のメインの資料になりますが、フォローアップ(案)でございます。この資料3−3につきましては、本体以外に非常に分厚いもの、ホチキス止めで右肩に資料3−3の参考資料1、参考資料2とありますが、参考資料1が国の施策、参考資料2が関係府県の施策ということで、ちょっとボリュームがあるんですが、それぞれの取組の具体的内容が書かれております。こちらは資料3−3の添付資料として配付させていただいております。それから、資料4が大阪湾の行動計画の中間評価の概要、資料5が海洋基本計画の概要、資料6が瀬戸内海再生方策の概要、資料7が中長期ビジョンの検討状況、資料8が里海創生の取組、資料9が第8回EMECS会議─世界閉鎖性海域環境保全会議のご案内でございます。
 以上が資料でございまして、参考資料といたしましては、参考資料1、瀬戸内の基本計画、参考資料2が大阪湾再生の行動計画の実施状況、参考資料3は大阪湾再生行動計画の中間評価の報告書、参考資料4は海洋基本計画の本体でございます。参考資料5は瀬戸内海再生方策の全体でございます。それから、参考資料6として里海創生の背景と考え方ということで、後ほどご紹介しますが、これも資料のフルセットでございます。
 以上、お配りしている資料でございますが、不足がありましたら事務局までご連絡いただければと思います。
 それでは、以後の議事進行は松尾部会長にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○松尾部会長 皆さんよろしくご協力をお願いします。これだけたくさん資料がありますが、限られた時間で、一応3時が目標の時間になっておりますので、色々な意味でご協力いただいて、進めさせていただければありがたいと思います。
 早速ですが、議題に入らせていただきます。
 最初に、瀬戸内海環境保全基本計画のフォローアップについてであります。
 これについては前回の会議で皆さん方に論点の整理をしていただいたわけでありますが、その議論あるいは指摘内容を踏まえて事務局において行ってきたフォローアップの案をご説明いただき、それについて皆さん方のご意見をいただいて、最終的にそれをどういうふうにまとめるか考えていきたいと思いますので、どうぞ忌憚のないご意見をいただければありがたいと思います。
 それでは事務局、よろしくお願いします。

○山本閉鎖性海域対策室長 お手元の資料に沿って説明させていただきたいと思います。
 まず、資料2−1と2−2でございます。
 資料2−1は前回の議事録で、先生方には既にお送りしてご確認いただいている内容でございます。特段なければ、これをもって議事録として確定したいと考えております。もし何かありましたら、後ほど事務局までお申しつけいただければと思います。
 資料2−2は、前回から少し時間が経っておりますのでざっと見ていただければと思いますが、前回どんなご指摘があったかということであります。
 1.瀬戸内海環境保全基本計画のフォローアップにつきましては、目標に関して今の施策の進捗状況、どういった論点があるか、これまでの先生方のご指摘を踏まえて整理したものを前回、提示したわけですが、それに対して色々貴重なご指摘をいただいております。
 2.今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会と中長期ビジョン作成につきましては、閉鎖性海域での大きな取組であります中長期ビジョンのご説明をしまして、これに関しても様々なご指摘をいただいております。
 裏面に移りまして、3.その他全体討論ですが、海洋基本法のことを初め様々なご指摘をいただいている。これらのご指摘は、いずれも今回のフォローアップに関連するような示唆がたくさん含まれていると考えておりまして、後ほどのフォローアップ案の中で、こういったご意見を踏まえた評価案を整理させていただいておりますので、中身については、そちらで触れさせていただければと考えております。
 続きまして、資料3に移ります。
 資料3−1、3−2、3−3と3つに分けておりますが、まず資料3−1で、前回以降どんな作業をして今回の資料を準備したかというところをご紹介させていただきます。
 資料3−1、フォローアップ作業の進め方ですが、[1][2][3]で前回までやってきた内容を紹介しております。[1]にありますように、第4回で国の施策の進捗状況をご確認いただきました。[2]、第5回では関係府県の施策の進捗状況をご確認いただきました。そして前回が、先ほど申し上げましたように、これらを踏まえて目標の進捗状況の評価に当たっての論点を事務局として提示して、様々なご意見をちょうだいしております。
 四角囲みの中が、今回した作業であります。
 [4]でございますが、前回の指摘事項を踏まえまして、前回、提示いたしました論点を再度整理いたしました。これは資料3−2で後ほどご紹介したいと思います。
 あわせて、再整理した論点を踏まえて、それぞれの目標に対してどういう評価ができるかを資料3−2でまとめております。
 それだけでなくて、今回のフォローアップの時期を通じて瀬戸内海に関連するような様々な動き、後でご紹介する里海の創生ですとか、様々な動きがございましたので、こういったものもフォローアップの一部として整理させていただいております。
 それから、第4回、第5回でご検討いただきました国及び関係府県の取組につきましても、その後、時間も経っておりますので時点更新しまして、資料3−3の参考資料として改めて整理させていただいております。
 こういった情報をもとに、今回、フォローアップの結果という形で、資料3−3を事務局案としてまとめた次第でございます。ここには「フォローアップ(案)の構成」として目次立てを載せておりますが、中身については後ほど資料3−3でご説明させていただきます。
 続きまして、資料3−2「基本計画に掲げる目標に対する評価(案)」でございます。
 こちらが今回、重要なポイントになるわけですが、組み立て方といたしましては、最初のページをごらんください。
 まず、1.水質保全等に関する目標に対する評価、1.1、水質保全等に関する目標全般に対する評価とあって、最初に「○論点」と書いてあります。これは、前回までにご議論いただきました論点ですとか、あるいは前回ちょうだいしたご意見を踏まえて新たにつけ加えた論点を含めて、今回の目標に関する評価をする上で考えなければいけない論点にはどういうものがあるだろうかということを整理したものであります。
 裏面に移りまして、その論点から矢印を引っ張って、「○評価」と書いてありますが、整理させていただきました論点を踏まえて、この部分についてはどんな評価ができるかをまとめたものがこの欄になります。
 今回、この「○評価」という部分をそのまま、資料3−3でフォローアップ案の評価として整理させていただいておりますので、中身については後ほど資料3−3の中でご紹介して、ご意見を賜りたいと思っております。
 2枚目の1.2、水質保全等に関する目標に対する評価ですが、黄色いマーカーが入っております。論点そのものは前回もご提示して、それに対してご意見をいただいたわけですが、この黄色いマーカーが入っているところは、今回、再整理させていただいた部分です。それ以外のところは前回、既にいただいていた論点ですので、今回、前回いただいていた論点に黄色い部分の変更を加えた上で評価を行ったという意味合いであります。
 中身につきましては、繰り返しになりますけれども、資料3−3でご紹介したいと思いますので、これは議論の際に、これまでどんな論点が出ていたかという参考にごらんいただければと思います。
 続きまして、資料3−3、フォローアップ案本体のご説明に入らせていただきます。
 1枚めっていただきますと、目次がございます。
 先ほど構成案で出ておりましたが、最初はフォローアップの経緯及び進め方です。これは先ほどからご説明しているように、今回のフォローアップをどんな経緯で、どんな進め方でまとめてきたかを整理してございます。内容については改めてはご紹介しませんが、それを最初に載せております。
 2.瀬戸内海の環境保全に関する最近の動きでは、ここに掲げております7つの点についてまとめております。
 特に、現在進行中でこれから閉鎖性海域の対策の大きな柱となります2.2、中長期ビジョンの検討についてと、2.7、里海の創生に向けた取組の開始につきましては、次の議題の報告事項として詳しくご紹介したいと考えておりますので、具体的な内容あるいは進め方については、次の議題の中で積極的にご意見を賜れればありがたいと思っております。
 3.基本計画の目標達成のための施策の進捗状況について。
 これが参考資料1、2としてついております大部な資料を、本文部分として表の形式で整理させていただいたものです。各課題についての現時点での取組状況あるいは評価、あるいは課題といったものについて、個別の施策について整理してございます。
 4.瀬戸内海の現況についてですが、これは水質だとか赤潮、貧酸素の発生、あるいは埋立てだとか砂利採取、そういった基本的な情報について最新のデータを整理しております。フォローアップした段階でどういう現況が前提となっていたかという情報を4.で整理させていただいております。
 5.基本計画に掲げる目標の評価でございます。
 本日ご議論いただきたいメインの部分がこちらでございますので、こちらは後ほど内容に即してご説明させていただきます。
 6.は、それら全体をまとめて今後の課題について触れさせていただいたものです。
 全体としては、以上のような構成になってございます。
 それでは、早速中身に移らせていただきますが、1ページはフォローアップの経緯及び進め方でございまして、基本計画が見直されて以降の、今回のフォローアップの動きを整理してございます。
 中身については、ここでの説明ははしょらせていただきます。
 2ページでございます。
 瀬戸内海の環境保全に関する最近の動きということで、先ほどご紹介した動きを7つに分けてご紹介しております。
 2.1、海の再生に向けた総合的な取組の開始です。
 いわゆる湾再生ということで、都市再生本部が主導して進めてきております施策ですが、瀬戸内海に関しましては、第2段落にありますように、大阪湾の再生推進会議が関係省庁あるいは関係府県等の機関によってつくられておりまして、その中で具体的な行動計画がつくられております。
 今回ご紹介するのは、特に4番目の段落、中ほどやや下あたりにございますように、平成19年度─昨年度ですが、その行動計画をつくってから3カ年が経過したということで中間評価をやっております。その中間評価につきましては、本日お配りしている資料4にその概要をお示ししておりまして、それに関連して、参考資料2と参考資料3で平成19年度の実施状況、あるいは中間評価の全体をつけさせていただいております。またご参照いただきたいところですが、本日は時間の関係もありますので、その中身については省略させていただきます。
 もう一つ、一番下の段落にありますように、瀬戸内海におきましては広島湾の再生推進会議も置かれておりまして、その中で、広島湾についての再生行動計画が策定されております。瀬戸内海には各湾灘あるわけですが、その中で大阪湾、広島湾につきましては、こういった湾再生に向けたプラスアルファの取組がされているというご紹介です。
 2.2、第6次水質総量規制の開始と閉鎖性海域中長期ビジョンの検討であります。
 第6次水質総量規制が現在、行われているわけですが、それを審議するに当たって様々な課題が指摘されまして、前回の部会でもご紹介した中長期ビジョンをつくっていこうということであります。
 それが2.2の最後の段落に書いてあります取組で、3ページになりますけれども、具体的に懇談会を設置して、今、中長期の目標を設定しようということで検討を進めております。本日ご出席の岡田先生を座長としまして、鋭意検討を進めているところですので、こちらについては、後ほど資料7に基づきまして、その状況をご紹介したいと思います。
 2.3、漂流・漂着ごみ対策の推進でございます。
 これにつきましても平成18年に関係省庁の会議が設置されまして、一定の取組が進んでいるということで、ここにご紹介させていただいております。
 2.4は、昨年6月に閣議決定されました21世紀環境立国戦略、これは環境行政の大きな指針でございますのでご紹介しておりますが、この中で、里海の創生等の今後の方向が示されているところでございます。
 4ページ、2.5、第三次生物多様性国家戦略の策定でございます。
 これも昨年11月に閣議決定されてございますが、この中で「地域と人とのつながりを再構築する」でありますとか「森・里・川・海のつながりを確保する」といった、里海の話にもつながるような方向性が出てございますので、それをここでご紹介しております。
 2.6、海洋基本計画の策定でございます。
 これは、直近でございますが、今年3月に閣議決定されたものでございます。この中におきましても、段落の後半に書いてありますように、里海の考え方が重要だという明確な位置付けがなされておりますし、また、沿岸域を統合的に総合管理していこうという思想が盛られておりまして、これも今後の閉鎖性海域の問題を考えていくときに、海だけではなくて陸と一体となって考えていかなければいけないという意味で重要な方向性ですので、ここでご紹介させていただいております。
 2.7は、里海創生に関するところでございます。
 これは国の基本方針でも位置付けられておりますので、それについて、具体的に地域での取組を後押ししていくような事業を環境省として平成20年度─本年度からスタートさせております。それにつきましては後ほどご紹介させていただきますが、その予備的な検討ということで、須藤先生を初め当部会にご参画の先生にご協力いただきまして、昨年度、里海の考え方ですとか色々な整理をさせていただきましたので、その成果もあわせて後ほどご紹介させていただきたいと思います。
 5ページでございます。
 瀬戸内海環境保全知事・市長会議の取りまとめによります「瀬戸内海再生方策」は、これまで瀬戸内の行政を引っ張ってきていただいております知事・市長会議から、今後に向けた大きな方向として提示された方策でございます。こちらは今回は時間の関係でご紹介はできませんが、資料6と参考資料5に再生方策そのものをつけております。中身としては、里海として創生していこうということで、今後の方向として様々な施策が盛られた報告となっております。
 次に、6ページでございますが、目標達成のための施策の進捗状況についてです。
 これは前回お示ししたところですが、3.1に表が載っております。その表の左側に水質保全等に関する目標として[1]から[5]まで、自然景観の保全に関する目標として[1]から[5]まで、合計10個、基本計画の目標が掲げてあります。ここに書いてある文章の内容が基本計画上、位置付けられた内容ということで、一方、それを達成するための施策として、右側に書いてありますような様々な施策がとられております。
 施策の並べ方と基本計画の目標との対比表として、この表をつくらせていただいております。
 以後、次のページから3.2として具体的な進捗状況の評価と課題を整理しておりますが、ここでの整理は、1(1)の水質総量規制制度等の実施から始まって施策の順番に並べておりますので、それと個別の目標との対比を見るために6ページの表をつけさせていただいております。
 7ページの具体的な表については、前回整理させていただいた内容にその後の取組をプラスして、時点修正したものでありますので、個別の内容については今回はご紹介いたしませんが、それぞれ担当している機関と取組の内容、平成12年以降の進捗状況、その評価と課題といったカラムに分けて整理してございます。
 この整理に当たりましては、関係省庁あるいは関係府県の皆様方に大変ご尽力いただきましたことを、この場をかりてお礼申し上げたいと思います。
 次に、ちょっと飛びまして28ページ、4.瀬戸内海の現況についてでございます。
 こちらは水質あるいは環境基準の達成状況といった瀬戸内海の現況に関する基本的なデータを、このフォローアップ時点でどうだったのかという情報として整理させていただいております。これも内容の説明は省略させていただきまして、先に移らせていただきます。
 次は、また少し飛びまして45ページ、5.基本計画に掲げる目標の評価であります。
 先ほど申し上げましたように、資料3−2で色々論点を整理して、その論点に対して現時点でどういう評価ができるのかまとめておりますが、その資料3−2でまとめた評価をそのままこちらに引っ張ってきております。この中身につきましては、特に当部会において先生方から大変貴重なご意見をたくさんいただいておりますので、それを極力うまく咀嚼して、評価あるいは今後の方向につながるような形で事務局として整理させていただきましたので、足りないところ、あるいは言葉が適切でないところ等、色々ご指摘はあろうかと思いますので、そのあたり、ご指摘いただければ幸いです。
 それでは、中身についての説明をさせていただきます。
 まず5.1、水質保全等に関する目標全般に対する評価であります。
 個別の目標に関する評価ではなくて、水質に関して、環境基準が達成できていないだとか赤潮が発生しているだとか、様々な問題があります。そういうものを引っくるめて、それらに関する評価ということで、まず書かせていただいております。その次に5.2として各目標に関する評価、そういう組み立てにしております。
 5.1ですが、全体の論調としては一定の成果が得られているけれども、最初の段落に書いてありますように、生物の生息環境の保全という観点からは、まだまだ取組が必要だと評価させていただいております。
 次の段落では、瀬戸内海は大阪湾も含めて非常に多様な湾灘が続いているので、一律ではなくて、各海域の特徴に応じた取組が必要だと。その際には、それぞれの海域でどんな将来像を目指すのかが必要ですし、それを具体的なロードマップとして提示する必要があるということを書かせていただいております。
 その後「しかしながら」とありますが、ここでは色々ご指摘いただいたように、そのためのデータが必ずしも十分でないということで、データあるいは調査研究をもっとしっかりやっていくべきであるというところを書かせていただいております。
 3つ目の段落の中ほど、「その際」と書いてあるところ以下は、先生方からご指摘いただいた点を書いておりますけれども、情報としては、アセスの際にかなり詳細な調査がされているから、そういう情報を活用するようにとか、あるいは直接的な地形改変だけではなくて、砂が動いているといった流砂系も含めた地形改変の影響もしっかり見ていく必要がある、あるいは生態系の変化のメカニズムだとか、最近の重要な問題としては地球温暖化の影響といったことも考えていかなければいけないということを書かせていただいています。
 その下のなお書きですが、大阪湾についてはかなり特異な海域だということで、少し区別して対応を考える必要があるというご指摘をいただいておりますので、ここに書かせていただいております。
 5.2は各目標に対する評価でございます。
 1)は、まず環境基準の達成をしっかりはかれというのが目標ですが、最初の段落に書いてありますように、環境基準の達成という面では、負荷削減や栄養塩の削減は進んでいる、窒素、りんの基準はほぼ達成しているけれどもCODは頭打ち状態であると整理しております。
 ただ、「特に」と書いてありますように、貧酸素の問題が非常に厳しい問題として生じている。ただ、それは現行の環境基準では十分表せていなくて、それを直接表すような底層の溶存酸素等の目標がないことと、それに向けてのロードマップもないことを、ここで問題提起させていただいております。
 そのために、そういった目標、新たな指標を入れて具体の海域の将来像を明らかにして、それをきっちり検証しながらロードマップを示していくということを、今、既に具体的な取組として、中長期ビジョンの検討としてやっておりますので、これを速やかにやる必要があるという評価にさせていただいております。
 その下は、先ほど海洋基本計画のところで触れましたように、沿岸域の総合的管理が重要なポイントとして出てきております。ですから、現行の水質総量規制について、あるいは湾再生としての取組についても、こういった概念を踏まえてしっかり点検しながらやっていく必要があるだろう。
 「その際には」と書いてありますところは、これもご指摘いただきましたように、特にノンポイントソースの影響をしっかり考慮しなければならないということがございます。
 それから、その次の「また」以下にありますように、貧酸素の問題は非常に深刻ですから、国としても積極的に支援が必要だと。これもご指摘の点について触れさせていただいております。
 最後の段落ですが、前回、現行の環境基準の項目についても色々ご指摘がありました。当然、底層DO等の新たな指標を導入することになりますと既存の生活環境項目についても検討を加えていく必要がありますし、整合性を持った形にしていくということで、全体的な見直しも検討が必要ということで、ここで触れさせていただきました。
 2)は、赤潮の関連でございます。
 赤潮は一定程度減ったけれども、まだ年間100件程度出ているし、被害も生じていると書いてございます。
 一方で「また」以下に書いてありますように、漁獲量が減少しているとか生息環境に異変が起きているというご指摘もありますし、前回ご指摘がありましたように、海苔の色落ちも深刻な問題として発生しております。このあたり、一定の知見はあるんですが、赤潮発生のメカニズムを含めてなかなか十分にわかっていないということもありますので、ここでは、その解明に向けた総合的な調査研究が必要だということと、それから、特に環境基準としての窒素、りんは十分達成できている海域があるわけですが、そういったところでも赤潮が発生したりということもございますし、それによって海苔の色落ちといった冬場の問題が生じたりということもありますので、栄養塩につきましては、もう一歩踏み込んだ管理についても検討の必要があるのではないかということを、ここで指摘させていただいております。
 3)は、有害な物質ですとか有機物の堆積汚泥みたいなもの、底泥の堆積という問題についてです。
 この点につきましては、全体にはかなり改善が図られていると考えまして、一定の成果を上げているという評価とさせていただいております。
 4)は、藻場だとか干潟は非常に貴重な場でありますので、こういった場をしっかり保全することと、これまでに随分そういうものが失われてしまっていますので、そこを回復するための措置が必要ということで、要は場の保全・再生についてでございます。
 こちらの評価は47ページにかけてですが、ここは地形改変で大きな影響を受けている。まだ十分な回復には至っていないということを最初に書かせていただいております。
 その次に「近年」と書いてありますように、砂利採取、埋立ては量としては抑制されている。ただ、一定程度抑制されているものの、色々注意して見ていかなければいけない。特に、埋立てについてはもっと厳しい規制が必要ではないかといったご指摘もありましたので、ここは基本方針を厳格に運用していく必要があるということで、全体としては、より慎重な書きぶりとさせていただいております。
 次の段落「また、失われた藻場・干潟の再生……」については、取組としては随分出てきていますが、やはり過去の状況と比べれば十分でありませんし、目に見えない所では、砂利採取の跡地で生物の棲む場としては非常に荒れている所が残っているんだというご指摘があって、こういったところに焦点を当てた取組が必要だというご指摘がございましたので、そういう評価をさせていただいております。
 その次ですが、もともと場の保全の目的は、そこに棲む生物をしっかり保全していこうということですが、そこについての理解がまだ十分でないということですので、ここに書いてありますように、生物について十分把握して、施策の効果を評価するような考え方が重要。それから、前回ご指摘いただいたように、その際に視点としては、外来種が荒れた場に入ってくるということがありますので、そういったものと外来種の比率を見たり、生物がどう変わっているのか、あるいは多年生の生物がきちんと生息できるのかも重要な視点だというご指摘をいただきましたので、そこに触れさせていただいております。
 それから「一方で」というところでは、場について、生物の生息の場に加えて様々な多面的な機能があるということで、色々な研究もなされつつあるんですけれども、なかなか十分把握できていない。そもそも藻場・干潟の定期的な実態調査すらきちっとやられていない状況がありますので、そこは実態調査を定期的にやることに加えて、こういう機能についての十分な調査研究が必要という評価にさせていただいております。
 その次ですが、こういった場の保全あるいは創出ということを考えた場合に、人がかかわってこういう場をきちっと守っていくという意味で里海の創生が重要ですので、そういう視点を書かせていただいております。
 そして最後のところで、温暖化による生態系への影響ですとか、荒れた環境に外来種の生息空間ができているといったことも重要な留意点として書かせていただいております。
 5)は、海水浴場等のふれあいの場の保全ということであります。
 これは、渚の創成ですとか自然海浜保全地区の適正な運用といったことで一定程度はできているかと思いますけれども、後ほど出てきますように、特に人と自然とのふれあいの場という意味で非常に重要だと考えますので、それをより多く提供できるような方向での整備を評価としては入れさせていただいております。
 5.3は自然景観の保全に関する目標に対する評価です。
 こちらは、まず国立公園等の核心的な地域については適切な見直し等が行われて、保全がなされてきているという評価をしておりまして、今後ともそういうものを継続していく必要があるという評価とさせていただいております。
 48ページ、2)の、海岸部あるいは島しょ部の緑地の保全でございます。
 ここも様々な制度をきちんと運用して、今後ともしっかりやっていくということを第1段落で書いております。
 一方で、臨海部に進出している事業者による取組に、まだ不十分な点があるというご指摘もありましたので、そこはさらに創出が図れるような取組を促していくということを書かせていただいております。
 それから、人口減少で島が荒れている。島が景観に果たす役割は非常に大きいわけですけれども、それが瀬戸内海全体の景観の悪化につながっているということがございましたので、そのご指摘についてはこちらで触れさせていただいております。
 3)は、自然海岸の保全あるいは回復であります。
 これも、新しい取組も含めて幾つか取組がなされておりますので、こういったことをしっかりやっていくということを書いているのと、2つ目の段落では、埋立てのミティゲーション的なものがまだまだ不十分という指摘もございましたので、それもさらに取組を促すということで書かせていただいております。
 それから、未利用なまま荒れていて、景観上、悪い埋立地が一部あるというご指摘がありましたのと、一方で、未利用の埋立地が生物の生息の貴重な場になっているというご指摘と、両方のご指摘がございました。これについては、景観への影響あるいは生物保全という両面を見ながら自然再生を検討するということで、整理させていただいております。
 4)は、ごみや油の問題でございます。
 海ごみにつきましては、最初の段落に書いてありますように、河川側での施策、あるいは漁場における漂流物対策といったようなことも進められておりますし、国の施策としても、最後の段落に書いてありますように、瀬戸内海の海ごみ対策検討会を設立して、関係者が集まって具体的な対策を検討するといった取組を進めてございます。
 ただ、前段にもありましたように、まだまだ取組としては十分でないというご指摘が幾つかございましたので、ここは引き続きしっかりと対策の確立に向けた検討を進めるという整理にさせていただいております。
 油等による汚染、最近でも事故があって、油の汚染が問題になっておりますが、これについてもさらに対策を充実させていくという方向性を書かせていただいております。
 それから、景観的にも放置された施設や立ち枯れた木みたいなもの、これはごみとまた少し視点が違うのかもしれませんが、これが実際に景観を損なっている状況もありますので、こういったものについての取組も必要という整理をさせていただいております。
 5)は文化財の保全ということですが、これは現行の制度をさらにきちっと運用していくということで整理させていただいております。
 次に、5.4ですが、目標全般に係る施策。
 水とか景観にとどまらず、全般に関する施策として3点挙げております。
 健全な水循環機能の維持・回復ということと、環境教育、環境学習の推進並びに情報提供、広報の充実というところです。こちらにつきましては、部会の先生方からいただいたご意見が大部分を占めていると思いますけれども、それを事務局なりに咀嚼して、評価として整理させていただいております。
 5.4.1、健全な水循環の話です。
 水循環に関連しては様々な施策がされていますが、海洋基本計画で打ち出された沿岸域の総合的管理という概念を踏まえて、今後とも着実にやっていくということを総論として書かせていただいております。
 「また、」以下にご指摘のありましたように、雨水利用をもっとしっかりやるべきということと、ダムの影響もしっかり見ていくべきということがありましたので、これを留意点として整理しております。
 5.4.2は、環境教育、環境学習の推進です。
 最初の段落では、環境教育、環境学習の取組自体は随分色々なスタイルでやられるようになってきていますが、一方で、海と人との関わりが希薄になっているだとか、海の環境に対する関心は実は下がってきているということでありますので、ここがますます重要だということを総論として書いております。
 以下、書いてありますのは、色々ご指摘いただいた点ですが、まず学校教育の役割が大きいので、総合学習テーマとしてしっかり充実を図るということを書いております。
 それから、単に学校教育だけではなくてNPO等の市民活動との連携というのも大きなテーマだというご指摘がありましたので、そこにまず触れてございます。
 NPOの活動が格段に広がってきているというご指摘で、それを受けて、国の地方事務所もそれにこたえるような役割を担ってきているということで、環境省の地方事務所からも1度ご報告させていただきましたが、そういうことをしっかり、行政としてもNPO等の広範な活動を支えていくような役割を強化するということを、ここで指摘させていただいております。
 それから、子供に対する環境教育ということで、まず機会をしっかり確保するということを書かせていただいております。
 それから、子供に対して生き物等のことを教えてくれる人が少なくなってきているということですので、こういった方々の育成だとか、それをストックして提供していけるような仕組みが重要というご指摘がございましたので、ここで書いてございます。
 あと、地域全体での取組として、具体的に小学校全体で同じスキームで生物観測をする。これも非常に立派なデータベースになるというご指摘がございました。こういった、それぞれではなくて地域全体で連携した取組も重要ということで、ここに書かせていただいております。
 50ページでございます。
 総合学習に関しまして、更に今後は地球環境という大きな視点から取り上げていくことも重要ということですので、ここで触れさせていただきました。
 それから、情報提供、広報の充実ということで、せとうちネットをはじめとしたデータベースを整備してきておりますが、ここに特に生物情報を追加するような充実が必要というご指摘がありましたので、触れさせていただいております。
 それから、特に委員からご指摘ありましたのが、俳人とか歌人というのは本来、自然に非常に強い関心を持っているので、こういった方々にしっかり理解していただくことでさらに情報が広がっていくということでございましたので、そこにも触れさせていただいております。
 それから、最近は住民やNPOの意識が高まっていて、むしろ行政側の現場の方とのギャップが出てきている。だから国や府県は、むしろそういうものを積極的に現場にうまく浸透させていくことを考えるべきというご指摘がありましたので、そこについても触れさせていただいております。
 最後は51ページの6.まとめ及び今後の課題でございます。
 最初の段落では、様々な主体で広範な施策がされているということを書いておりまして、2つ目の段落で、その結果として一定の成果は出ているけれども、最後のところで、特に生物の生息環境の保全という観点からは、まだまだ取組が必要だと。
 そして「また」と書いて、人との関わりの観点からは、ここを取り戻していく取組が急務だと整理しております。
 「さらに」ということで、里海創生あるいは沿岸域の総合的管理の重要性を書いた上で、新たな取組もスタートしているという状況認識を書きました。
 行を空けて2つ目の固まりの中で、先ほど駆け足でご説明した5の評価、前段の評価に示すような方向性でしっかりやるべきということを最初に書いた上で、特にということで、大きな施策、中長期ビジョンにかかわる取組と里海創生にかかわる取組を2本の柱として、ここでは具体的に触れさせていただいております。
 それを受けて、1行空けまして、今後、これを踏まえてしっかりやっていくことを強く期待するということで、フォローアップを閉めてございます。
 なお書き以降は、今後、こういったフォローアップをどう考えるかということに触れているんですが、当然こういったものをきちっと部会に報告することと、施策が進捗した段階では改めて本部会でフォローアップを行う必要があるのではないかということで整理させていただいております。
 定量的な評価ももう少し工夫していかなければいけないというご指摘は何度もいただいて、今回の評価でも十分できていないという反省点がございますので、これについては宿題として、ここで触れさせていただいております。

○松尾部会長 資料3−3が基本計画に対する現時点でのフォローアップ、6回目までのそれぞれの地域のものや全般的なものなど、前回色々ご指摘いただいたことを踏まえた上での環境保全基本計画に対するフォローアップの現状と、ある意味での評価を加えて、今後どういう課題があるかをまとめたものである、こういうことだろうと思います。
 どうぞ色々な角度から、皆様方には前回色々ご指摘いただいたわけですが、それが十分に入っているかとか不十分であるかとか、もう少しこういうことがあったのではないかといったことがあれば、ご指摘いただければありがたいと思います。
 どうぞ自由にご発言ください。

○柳委員 まず3ページ、海ごみの「ごみ」は全部平仮名で書いてあるのですが、表題と1行目は片仮名になっています。何か意味が違うのですか。

○山本閉鎖性海域対策室長 確認いたします。関係省庁の会議ですとか検討会みたいなところは、もしかしたらそこで使っているものに合わせた可能性はありますけれども、用語の統一という観点から、もう一度チェックさせていただきます。

○柳委員 もし意味が違わないなら、統一してもらいたいと思います。
 もう一点、29ページですけれども、太平洋のCODがここ10年以上ずっと上がっていますよね。さっきCODの環境基準の達成率が7割で頭打ちという話がありましたけれども、太平洋のCODが上がっている原因ははっきりわかっているのですか。

○山本閉鎖性海域対策室長 ここについては、大陸側からの影響もあるのではないかといったことも言われているのは承知しておりますけれども、具体的な原因が十分理解できているとは思っておりません。わかっていないのではないかと思います。

○柳委員 そうすると、先ほどのCODの環境基準達成率を今の7割からもっと上げるという方策も立たないということですね。

○山本閉鎖性海域対策室長 単純に言えば、こういったバックグラウンドが上がってきている中でCODの環境基準を達成率だけで見ていくことはどうかということがありまして、それが今回、整理しましたように、まさに既存の環境基準の項目についても全体的な検討が必要だという状況にあると思います。
 やはり直接的に生物に影響を与えている底層の溶存酸素などは、具体的にどうしっかり見ていくかを考えようということで、今、進めてございます。

○宮原委員 前回、私がご要望申し上げたことをかなりこれに採用していただいたことに対して、感謝申し上げたいと思います。特に、海苔の色落ちといった具体的なことも書き込んでいただいて、ありがたく思っています。
 ここで1つ、48ページから49ページに油の問題を書いていただいているわけでございますが、3月5日でしたか、明石海峡で船舶の事故がございまして、今なお油が出ていて、海苔とか神戸のイカナゴの釘煮とか、そういったものに物凄く大きな影響を与えております。49ページの書きぶりでは、油等の流出事故対策や大規模石油災害対応体制の整備が図られているということでございますけれども、現場の意見としては、油流出対策についてはまだまだ不満があるわけでございまして、この辺についてももう少し書き込んでいただければありがたい、こんなふうに思います。

○松田委員 45ページの上の方、目標全般に対する評価の第2段落に「そのため」という文章がありますが、各海域における中長期的目標を、この海域環境の将来像を地域ごとに明らかにした上で、それから沿岸域の総合的管理にも十分配慮して、具体的なロードマップを提示する必要があるというのは総論としては大変結構なことですが、この主語ですね。誰が地域の将来像を明らかにして、具体的ロードマップを提示していくのか。特に里海ということですと、様々な人が参加、協働しながらという概念も入っているわけですが、当面どのようなイメージでお考えなのか。
 中長期ビジョンの方の議題であるのかもしれませんが、よろしくお願いします。

○山本閉鎖性海域対策室長 今、触れていただきましたように、まず、国として中長期ビジョンの中で閉鎖性海域としてどんなふうに目標を考えていくのかという考え方、目標設定の仕方等を決めていきたい。
 ただ、ここに書いてあります「利用目的」の「利用」に関して言えば、国が決めるというよりは、それは地域、地域で決めていくような話になっていきますので、大きな方向性だとか考え方は国で整理した上で、その次のステップとしては、各地域でそれをどう考えるのかを考えていただければ。そういった取組とうまく連携できるような形で、今、環境省で里海の創生の支援もうまく進めていけたらなと思っております。

○松尾部会長 宮原委員のご発言については、どうですか。

○山本閉鎖性海域対策室長 確かに、そこは今回、非常に漁業被害も出たということで、国としても深刻に受け止めております。関係省庁の会議も開いたりしており、こういった対策をしっかりやっていこうという方向ではありますので、今、現在、取り組んでいる範囲で、より書けるところについては記述を検討したいと思います。

○藤原委員 46ページに海苔の色落ちというのが出てくるんですが、2)の「赤潮の発生がみられ」云々というところについての質問です。赤潮の発生と海苔の色落ちは関係しているんでしょうか。窒素やりんが多かったらこれが発生するのか、少なかったら発生するのか、赤潮によって発生するのか、その辺がわからないので教えてもらいたいというのが1つ。
 もう一つは、先ほどの宮原委員の意見に私も全く同感で、タンカーの事故の防止は必ずしも環境省の行政そのものとはイコールでないのかもしれませんが、大きなタンカーが事故を起こして油が流れるということは、非常に壊滅的な環境破壊をもたらすので、それをどう防止するかは環境行政の範疇外のことかもしれませんけれども大変重要なことと思います。ここにはセンサーみたいなもので観測すると書いてあるんですけれども、もう少し、どういう対策がとり得るのかというところはやはり重要な問題ではないかという気がします。

○山本閉鎖性海域対策室長 海苔の色落ちは、窒素、りん、栄養塩が不足することによって起きるということであります。特に最近、冬場に赤潮が発生して一時的に栄養塩を消費してしまうことが海苔の色落ちにつながるということが指摘されております。海苔の色落ちが全て赤潮が原因ではないのですが、その大きな要因となっていると理解しております。
 それから、ご指摘の点につきましては大変重要ですし、先ほど宮原委員からもご指摘いただきましたので、どういった取組がなされているかもよく勉強した上で、先ほど申し上げましたように、ここに書くにふさわしい部分についてはしっかり書いて、環境省としても関心を深めていきたいと思います。

○川井委員 最後の環境教育の部分ですが、49ページの下から2つ目のところに、それ以前に環境教育が必要であるということが書いてあって、2行目で、指導員に関しては「自然学習の指導員を育成する」となっていますが、例えば大阪湾でも、海の環境教育となりますと、自然の豊かな所の環境と都市部の環境と、いかに両方を絡めて理解してもらうかが非常に重要になっていると思います。そういう意味で、自然学習の指導員というと、自然の豊かなキャンプ地のようなところでの指導員となりますので、「環境教育の指導員」という用語がいいのかどうかわかりませんが、そういう形で人材のストックですとか養成、あるいはその拠点をつくるようなことを環境省としてはぜひやっていただきたいと思います。その辺の用語を整理していただけるとありがたいと思います。

○鷲谷委員 指標に関して発言させていただきたいと思います。
 まず、4ページの第三次生物多様性国家戦略の策定で、里海に関することだけが突出して強調してありますが、生物多様性総合評価というものを一つの重点として挙げたことも第三次国家戦略の新しい特徴だと思うんですね。
 それで、生物多様性総合評価というのは明瞭な指標によって、生物多様性の現状というのは人間社会の要因から全部含めての理解になるわけですが、そういう指標をしっかり立てて、保全や再生の目標もそういう指標との関わりにおいて具体化する、そしてモニタリングにも使っていくということなんですが、こちらが扱っている政策においても水質にかかわる指標があったり、今日は再生に関して若干具体的な、多年生生物の生育とか外来種と在来種の比率等が挙げてあったと思いますが、こういう生物多様性の総合評価に関するヨーロッパ等の提案等の中では、そういう指標群の構造をしっかり明らかにしている。
 人間社会の側の何かドライバー、例えば土地が足りないとか人口が増えたとか、逆に人口が減ったとか、もっと多様な社会の今の変化というものがありますが、そこから生じてくるところのプレッシャー、例えば土地が足りないから埋立てをするとか、人間活動によって負荷という意味での水質が変化してくる。そうすると水質とか生物の生息環境にかかわる変化が起こって、そしてインパクトある指標種となるようなものが減少するとか、種間の関係が変わるとか、具体的に生物で見られるような変化が起こって、それに応じて、今、再生にかかわることに関しては政策が立てられたりしていますが、それはレスポンスと呼ぶんですけれども、人間社会の方の何らかのアクションがあって、それがまたほかの指標に戻っていくというような指標群の構造、スキームと言ってもいいかもしれませんが、明らかにする。
 それぞれこの中で目標にすべき指標と、そうではない、もう難しくて扱えない指標、社会全体にかかわることなので具体的に扱えないものもありますが、そういう関連を明らかにした上で特に注目して見ていったり、あるいは何か再生の取組をするのであれば、取上げるべき指標を決めていくといいと思います。生物に関するところで若干指標が提案されていましたが、ある沿岸域でもいいので、そういうハビタットで種の豊かな所でないと見られない種などを指標種として取り上げるのも、今、ここにはなかった一つの観点で、もしかしたら意義があることではないかと思います。

○松尾部会長 例えばどういう表現で書き込むといいですか。里海というものに対して少しシフトが強過ぎるということかもしれませんけれども。

○鷲谷委員 ちょっと感覚的なんですね、里海というのは。それはそれなりに社会的な注目を集めたり、多様な主体が参画する目標としてあってもいいかもしれませんけれども、もう少し客観的、科学的にかっちりとした部分も生物多様性国家戦略の中にはあるので、総合評価について触れていただくことがいいのではないか。
 それから、指標の重要性等についてはどこかに記されているといいと思います。

○山本閉鎖性海域対策室長 少なくとも2.5の生物多様性国家戦略のご紹介としては、ご指摘の点、ちょっと不十分なところもありますので、そういう大事な考え方をしっかり書かせていただきたいと思います。
 実際の取組としては、さっき申し上げたように中長期ビジョンの中で、まだまだ先生の目から見ると不十分な点はあるかもしれませんが、やはり生物に着目して、どういう目標設定をしていく必要があるのかという具体の検討には着手しております。今、ご指摘あったような点も、「この種がいれば、どういう種がいる」そういう生物間の関係等もしっかり見ていくようにという部分も有識者の先生方からいただいておりますので、まず、それをどこまでのことができるかということで、今、一生懸命作業はしておりますので、十分考えてやっていきたいと思います。

○松尾部会長 その重要なキーワードを落とさないようにすることが大事だと思いますね、きっと。

○井上委員 49ページに環境教育・環境学習の推進について書かれておりまして、海の環境教育というのは大変大切な分野ではないかと思っておりますが、実はこれに関連しまして、広島の呉に瀬戸内海の大型の模型実験施設がありますけれども、聞くところによりますと、この用地が売却される方向にあるといったことも聞いたりしているわけであります。そうなりますと、この施設をこの後どうされるのかということについて私なりに若干関心もあるわけです。
 この施設は、ご承知の方もいらっしゃるように、アメリカのサンフランシスコ湾のベイモデルといいますか、あの大型の水槽と並んで世界でも最大級の立派な施設であり、業績も上げてきたということで、いわゆる瀬戸内海の環境改善のシンボルのような施設だったかなという感じもしているわけです。こういうような施設は、それぞれの役所なり研究機関なりの方針もあるわけでございましょうから、直ちにどうこう言える立場ではないんですが、このような施設がうまく活用されて、こういう環境教育に生かされるようなものになれば大変いいのではないのかなという気もするわけです。
 この中では、そういうハード、ソフト両面からの環境教育の重要性をもう少し強調していただいてもいいのかなと思いまして、発言した次第でございます。

○松尾部会長 そうですね、特定の施設の名前を出すわけにはいかないかもしれないけれども、そういうものがあれば確かにいいですよね。

○和田委員 前回まで出ていなくて今日初めてで恐縮なんですが、干潟の生物をずっとやってきた専門家としまして、少しコメントさせていただきたいと思います。
 全体的なニュアンスの中で、いわゆる自然海岸、ナチュラルな状態の所が瀬戸内海にはまだまだたくさんある。そこをそのまま保全するという視点が「里海」という言葉で少し薄れてしまっているきらいがあります。瀬戸内海は、もともとその生物多様性ということで言っても非常に、劣化しつつありますが、地域、地域でまだ随所に原風景が残されているわけで、その生物相そのものをもう少し抽出して具体化し、実際の保全すべき地域をもう少し絞り込むような計画を出していただけたらと思います。
 特に周防灘のあたりですね、あの辺は非常に貴重な所だと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○松尾部会長 どの項目がそれに触れるのに適当な場所になりますか。

○和田委員 具体的には私は、ここの最後の3)、「自然海岸については、それが現状よりもできるだけ減少することのないよう、適正に保全されていること」と書かれている部分になるかと思うんですね。
 ただ、このすぐ上に、人口減少による島の荒廃が景観を含めた悪化につながると書かれているのが不思議でならないんですが、人間活動がなくなると、なぜ悪化になるのかということなんですよね。むしろ人の手が入ると悪化するというのが普通で、生産性が上がるという形で里海の概念が出ておりますが、生物多様性は、逆にトレードオフで下がるはずなんですよね。だから……

○柳委員 そんなことないでしょう。

○和田委員 多分そうだと思いますけれども。

○柳委員 そんなことないですよ。

○和田委員 生産性が上がるというのは、あくまでも特定の種群だけが上がるわけですよね。

○松尾部会長 それは多分、手が入らないと島全体の土壌が流れたりとか、色々な意味で島が崩れていくというか、そういうことが起きがちなのではないですか。

○鷲谷委員 今の議論との関わりで、だからこそ客観的、科学的な評価が重要なのではないかと思います。
 生物多様性総合評価は、適切な指標種を選ぶことのほかにホットスポットを見出す─ホットスポットというのは、本来固有な生物多様性が高い、固有性、多様性が高いにもかかわらず危機のもとに置かれているような場所のことを言うんですが、瀬戸内海においてホットスポットになっているのはどこなのかを把握しておかないと、そのホットスポットがどういう要因、原因で危機に瀕しているのかがわかれば、自然海岸に手をつけないことが重要なのか、あるいは何らかの人間活動に伴って維持されるような多様性が失われつつあるのか、やはり科学的、客観的なデータで明らかにして、それからメカニズム等についても理解した上で具体的な……。今は、全体として余り科学が入っていないと思うんですけれども、今後はそういうことを重視していく必要があるのではないかと思います。

○松尾部会長 立場の違いによって若干その辺の、ホットスポットもどの程度ホットかとか、どこがホットかとか、違ってくる。

○鷲谷委員 それは客観的に示すことができると思いますので。生物のデータによって明らかになると思います。

○白木委員 49ページの環境教育ですが、先ほど井上委員がおっしゃったことも大事だと思いますが、大きな施設でなくても、日本中のあらゆる海岸に、何か海にとっていいことをしようと思ったらその手助けをしてあげることができるような、たくさんのスポットが欲しい。それをどんな文章でどこに入れていただくのがいいかは、分かりません。
 もう一つ、この間、新聞にごみの問題で、柳委員が関係していらっしゃる記事を読みました。河口循環流という言葉を始めて知り、ごみというものはただどこかに流れ着くだけではないということを興味深く拝見しました。できたら少しお話を伺えたらと思ったのですが。

○柳委員 環境省の中国四国事務所が瀬戸内海全域で初めて海底ごみの一斉調査をやりました、底曳網を使って。そうすると海底ごみは、実は燧灘の東部と備讃瀬戸の西部に集まっているという結果が得られました。多分、海底ごみが落ちているのは人口が多く、大きな河川が流入している大阪湾とか広島湾とかそういう所だと思われるのですが、そこは海底ごみが余り多くなくて備讃瀬戸と燧灘に多いというのは、私は昔、瀬戸内海の海底の砂がどう動いているかというのをやったことがあるのですが、それと一致しています。 瀬戸内海の海底には、実は紀伊水道と豊後水道の底の方を備讃瀬戸と燧灘に向かう流れがあって、それが実は海底ごみを運んでいて、瀬戸内海西部の海底ごみは燧灘の東部に集まるし、瀬戸内海東部の海底ごみは備讃瀬戸の東部ですかね、岡山県の南ですけれども、そういう所に集まることが判りました。

○松尾部会長 ちょっと時間が押してきておりますけれども、他に重要な指摘があれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 ちょっと私から、字面の問題なんですけれども、この四角の中には「〜すること」と書いてありますね。この「〜すること」というのは、基本計画の方で「〜するべきだ」と書かれた、そのことに対して評価をして今後の対策が出ている、このように考えていいですか。

○山本閉鎖性海域対策室長 はい。

○松尾部会長 分かりました。何となく、お役所用語で「〜すること」というのは非常によく使われて、ちょっと分かりにくいかなと思ったんですけれども、そういう理解でよろしいですね。
 それからもう一つ、49ページに水循環機能というのがあるんですが、瀬戸内海から見た水循環と言うと、恐らく外洋との交換等の方が大きな水循環だと思えてしまったりするんですが、この水循環というのはどういう……。海域から見た陸地の水循環なのか。何かちょっとキーワードとしての「水循環」というのが、下水の再利用とか、そういう都市での水循環、陸域での水循環、海域を含めた水循環というのをどう考えるか、概念の問題なんですが。多分、ダムにため込むことで……、水循環ではなくて、もしかしたら土砂の循環の方が物凄く大きいのかもしれませんよね。ですから、さっきの自然海岸というのは案外守りにくくて、ダムからの砂の補給がないとどんどん無くなってしまう傾向があったりとか。
 この水循環機能の維持・回復と海との関係は、ちょっと整理していただいた方がいいのかなと今、見ながら思ったんですが。

○山本閉鎖性海域対策室長 少なくともここで言っている水循環の様々な施策ということでは、部会長ご指摘のような外洋を含めた循環ではなくて、陸域での水循環と海との繋がりという目で見ておりますので、そこは少し整理させていただきたいと思います。
 さっきダムからの土砂の循環の話もありましたが、それは前回もご指摘いただいた、特に45ページの5.1に書かせていただいたんですが、やはり流砂系を含めた地形改変、これは結局、瀬戸内全体の流れみたいな外洋の影響も入っていると思いますけれども、そういったものをしっかり捕まえていく必要があるというのは、ご指摘いただいております。
 「水循環」ということに関して言えば、割と限定的に使っているということであります。

○森委員 51ページ、一番最後の4行のところでありますが、全体的な総括と今後の方向を示している部分だと思うんです。
 その中で、この主語が一体誰なんだろうと。「その進捗状況を把握し、適宜に本部会に報告するとともに、」とありますが、この主語がよく分からない、方向性がよく分からない。進捗に応じて、改めて本部会にてフォローアップを行う必要がある、これは当部会の認識を示す部分でありますので、ここのところの整理を正確にしておかないと、議論の方向性がよくわからないのではないかという気がいたします。
 それから、ちょっと細かいところで恐縮ですが、49ページの環境教育の2番目のフレーズ。「これをうまく支えるような」という文言がありますね。実は「うまく」というのは50ページの一番最後の行にもありましてね、非常に接近して同じ言葉が2つあって、2つとも非常に抽象的なので、ちょっと工夫されたらいかがだろうか。

○松尾部会長 51ページの主語は何かというのは、先ほどから幾つか問題がありましたが。

○山本閉鎖性海域対策室長 講じられる様々な取組については、ご存じのとおり、環境省も含めて国の機関、地方の機関、様々な主体がありますけれども、少なくとも状況を把握して当部会に報告するのは環境省としての役割と認識しておりますので、それははっきりさせておきたいと思います。

○松尾部会長 いかがでしょうか。
 それでは、里海の問題とか総合的な沿岸域の問題は、また後の報告の中でも出てまいりますので、もし必要であればそこでまたご議論いただくということで、基本計画に対するフォローアップ案そのものにつきましては、今、幾つかいただいた点で補足的な修正を加えるということでいきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 こう言っては恐縮ですけれども、今、おおよその方向が決められれば、後の処置については私にご一任いただいて、部会長の責任において取りまとめて、フォローアップの報告書にしていきたいと思います。
 全体のフォローアップが今後どう使われるかは、また次の機会があるのかもしれませんが、環境保全基本計画というのは平成12年にできていて、それが5年経ったところでフォローアップをして、その結果が今、出てきた。本当はそこで基本計画の見直しに移っていくというのが、もしかしたら一つのサイクルかもしれませんが、そこへ行くにはもう少し時間がかかりそうだということで、とりあえずこれでフォローアップを終わらせていただいて、そのまとめをしておく。そしてそれをもとにして、先ほどご指摘もありましたけれども、環境省の方でより詳細に見ていく過程で、必要があれば基本計画自体を見直していくということが起きるのであろうと私としては理解しておりますが、役所としては、それでよろしいですか。

○山本閉鎖性海域対策室長 はい。

○松尾部会長 そういうことでありますので、基本的には今日ご審議いただいたフォローアップを、皆さんのご指摘を踏まえて書き加えたものを最終のフォローアップの報告書とさせていただきたいと考えます。どうぞよろしくご理解いただきたいと思います。
 結果については、またご報告する機会があると思いますので、その時によろしくご確認いただければありがたいと思います。
 国のやられたこと、都道府県でやられたことにかかわって膨大な参考資料3−3がありますが、これをもとにして今のフォローアップの報告書ができたということでありますので、資料としては非常に貴重品だと思いますが、参考にしていただければありがたいと思います。
 それでは、報告に移りたいと思います。
 報告事項は3件ありますが、前回も議論が集中しました閉鎖性海域の中長期ビジョン策定に向けた取組と、それからそれ以外に分けて報告を受けたいと思っております。
 最初に、閉鎖性海域の中長期ビジョンの策定に向けた取組について、事務局からご説明をお願いします。

○正賀閉鎖性海域対策室長補佐 閉鎖性海域対策室の正賀と申します。よろしくお願いします。
 資料7をごらんいただけますでしょうか。
 時間が押しておりますので、若干はしょってご説明させていただきたいと思います。
 まず1ページ、「閉鎖性海域中長期ビジョンの策定調査の概要」をご覧いただけますでしょうか。
 平成17年度5月に第6次水質総量規制の在り方答申において、第6次の水質総量規制の実施にあわせて取り組むべき課題として、目標とすべき水質の検討、水質汚濁メカニズムに関する調査研究の推進、より効果的な対策の検討等が挙げられたわけであります。それを受けまして平成18年に、学識経験者及び関係省庁の参加を得て、今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会を設置しまして、今後の閉鎖性水域の総合的な推進について論点整理を行いました。
 その論点整理を受けまして、平成19年から3カ年で、今後の閉鎖性海域が目指すべき水質の目標とその達成に向けたロードマップを明らかにした中長期ビジョンを策定することとなりました。
 スライドの2、閉鎖性海域の中長期ビジョンの策定に係る検討体制でございます。
 左が水環境課の方で設置しております検討会です。右側が閉鎖性のビジョンの方でございます。
 スライド3には、それぞれの検討会のメンバーをお示ししております。
 スライド4をご覧ください。
 ここにありますように懇談会と2つのワーキンググループを置いておりますが、懇談会のアウトプットとしましては、今後の閉鎖性海域の水環境の目標及びその達成に向けたロードマップを明らかにした中長期ビジョンを策定することになっております。
 目標設定ワーキンググループでは、海域毎に目指すべき水環境像を設定し、その状態指標とその目標値を達成するために制御すべき指標を設定するということであります。その際の論点整理で、状態指標につきましては、まず透明度と底層DOを中心に検討するとされておりますので、この2つについて検討するということであります。
 対策効果検討ワーキンググループの方では、中長期的な目標を達成するために必要な対策について、シミュレーションを実施しつつロードマップを策定するとなっております。
 スライド5でございます。
 これが目標設定と対策効果、中長期ビジョンを策定するための全体の検討フローです。
 スライド6は、平成19年度の主な検討内容です。
 先ほどから申し上げておりますように、状態指標につきましては、底層DOと透明度について検討しております。
 スライド7は、底層DOの目標設定の基本的な考え方と設定イメージを示したものです。当面の目標としましては、青潮のような貧酸素により生物がいなくなることを解消するといった目標を挙げております。あと湾奥、それと代表種の生息環境の保全のためのDO、それと産卵期とか稚魚期に必要な酸素濃度といったものを設定するようなイメージです。
 スライド8は、底層DOの設定フローになります。
 スライド9ですが、少し修正をお願いしたいと思います。タイトルに同じように「底層DO」と書いてありますが、そこは「透明度目標設定」の検討フローと修正をお願いします。
 透明度の方は[3]から[5]と、もう一つ、光の減衰係数の方から設定する2つ方法によって、今現在、目標設定を検討しております。
 言い忘れましたが、平成19年度は底層DOにつきましてはマコガレイを中心に試行的に検討しまして、透明度につきましてはアマモを対象に検討しております。
 スライド10でございます。
 この表は、論点整理で可能性指標ということで挙げられました底質のCOD、底質の酸素要求量─SOD、それと栄養塩、生物、赤潮、青潮、悪臭につきまして、それぞれ指標要件に関する検討をしております。
 平成20年度におきましては、主に状態指標を補完する指標として活用する観点から検討を進める予定でございます。
 スライド11は、対策効果ワーキンググループで検討しておりますシナリオの検討フローになっております。
 スライド12は飛ばさせていただきまして、スライド13、平成20年度の方向性でございます。
 目標設定ワーキンググループにつきましては、平成19年度に底層DOの目標をマコガレイで設定しておりますので、あとシャコとかマハゼ、ハタタテヌメリ、ワタリガニを対象にして同様の作業を行っていく予定であります。
 スライド14は、対策効果ワーキンググループの検討内容になっております。
 平成19年度につきましては東京湾の現況再現の作業をしておりましたので、平成20年度につきましては東京湾、あと伊勢湾、瀬戸内海についてシミュレーションモデルを完成させていきたいと思っております。そしてシミュレーションによって感度解析とか、あと各種の水環境改善の効果の評価を行って、その施策につきましては費用対効果を整理して、中長期シナリオを作っていきたいと思っております。

○松尾部会長 ご質問、ご意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○鷲谷委員 シミュレーションモデルを使って予測することは大変重要なことだとは思いますが、こういう問題についてシミュレーションモデルをつくるとしたら、レジュームシフトとかカタストロフィックシフトと呼ばれているシステムの跳躍的な変化をきちっと予測できるようなものでないと余り役に立たないように思うんですが、今、世界中で注目されているレジュームシフトなど、相当ダイナミックなモデルになりますけれども、それがどういう形で取り入れられているのか。
 それから、シナリオを作って予測するとなると、温暖化を入れないと予測は難しいと思います。温暖化に関しては、もうシナリオは幾つか提示されているわけですけれども、それらを複数用いるのかどうかというシミュレーションモデルについて質問させていただきたいと思います。

○山本閉鎖性海域対策室長 シミュレーションモデルについてですが、今回やろうとしておりますのは、従来なかなか十分できていなかった生物に着目して、例えば底層DOだと東京湾ではどういう目標を設定するか。その目標設定の考え方も一律的なものではなくて、季節によってとか、産卵期等の守るべき季節だったり継続期間だったりとか、割ときめ細かく見ていかなければいけないということで、では、それを陸域の負荷削減、あるいは海域に藻場を造成したりといった色々な取組が、どれだけ底層DOの目標改善につながっていくかをシミュレーションモデルできちんと見て、検証しながらいこうということで取組をしております。
 ご質問のあったレジュームシフトですが、それが今のモデルに取り込まれているかということになると、そこは取り込んでおりません。

○鷲谷委員 透明度とか底層DOとか、ここでアマモとかですね、そういうものが要素になっているとすると、そういう連続的ではない反応で相互に関連するようなところがないと、スタティックなモデルとして現実を反映しなくなってしまう可能性があるのではないかという懸念があるんですが、そういうことはもう十分検討されて、利用すれば有益な情報が得られるモデルであることは検証済みだと判断すればよろしいんでしょうか。

○山本閉鎖性海域対策室長 モデルそのものも今回の作業に合わせて色々ブラッシュアップはしているんですが、例えば藻場ということでいきますと、鷲谷委員ご指摘のように、単に透明度だけ回復すればそれだけどうなるというものではないというのは、そのとおりですけれども……

○鷲谷委員 そうではないんです。連動してフェーズが変わってしまうような現象を再現できるようにしないと、現実と離れてしまう。

○山本閉鎖性海域対策室長 フェーズが変わるというのは、少なくとも水に関するような色々な項目についてはモデルに取り込んで、それはずっと非定常で解析できるようにはしております。

○鷲谷委員 わかりました、結構です。ここで議論しても余り有益ではないと思いますので。

○松尾部会長 そうですね、これは余り基本的な問題に戻り過ぎてもいけないんだけれども、さっきの赤潮と海苔の色落ちも、りん、窒素がないと色も付かない。しかし、りん、窒素があると先に赤潮の生物が増殖してしまって海苔の方にいかなくなってしまう、こういうことですよね。ですから、今のアマモも多分、何かもう一つ競合するようなものが出てきてそっちが先に何かしてしまうと、アマモ自体が影響を受けなくなってしまうかもしれないから、何かその辺、モデルの中にある種の……。多分、鷲谷委員が言われたかったのはそういうことではないかと思うんだけれども……

○鷲谷委員 世界じゅうで、もう常識になっているので……

○松尾部会長 モデルの中にそういう要素がうまく入っているかどうかはよく考えておかないと、アマモが増えるか減るかという1つだけではなくて、何か別のものが増えてしまったためにアマモに影響を与えるとか、そういった要素を持っているかどうかは重要なポイントだと思うんですよね。

○鷲谷委員 透明度や水質が同じ所でアマモ─でもほかの生き物でも─に注目してシステムを見てもいいんですけれども、単純化すれば全く違う2つがあって、それが飛ぶ可能性があるということなんですけれども。全く同じ水質、状態の所で、システムの方は違う状況をとる可能性があって、それがシフトなんですね。

○松尾部会長 それはシミュレーションのグループで1度検討していただく方がいいかもしれませんね。

○山本閉鎖性海域対策室長 ご指摘の点は、勉強させていただいて。
 温暖化については、こちらの検討会の中でも色々ご指摘を受けております。ただ、温暖化のシナリオ自体を考える場ではないので、採用すべき具体的なシナリオが出れば、それは将来予測の時は、水温の条件等でそういうものがはめ込めれば、そういった影響を見ることは可能です。

○松尾部会長 中長期ビジョンというその中身は、どういうふうなビジョンになるんですか。

○山本閉鎖性海域対策室長 大きく言えば、まず、中長期的な将来に、例えば東京湾なり、瀬戸内だったら大阪湾なりでどういう水環境を実現することが望ましいのかという目標の設定と、当然目標の設定ですから、そこに向かって進めていかなければいけないということで、具体的に何をすればその目標に近づいていくのかは、その施策によってどこに効くかが変わってきますから、その現実性のある施策群みたいなものを考えて、一定のタイムフレームの中でそれをどう組み合わせて、どんなふうに講じていけばこの目標に到達できるかというものを決めていく。

○松尾部会長 その目標がね、底層DOとか透明度と言われると、何かちょっとね。もしかしたらマコガレイとかアマモとか言ってくれる方がわかりやすいのかもしれないんだけれども、岡田委員、どうですか。

○岡田委員 もちろんマコガレイ、アマモを表に挙げてやっております。ただ、マコガレイ、アマモだけでは不十分なので、これからもっと生物を入れていきたいと思っております。
 ただ、実はこの作業で一番怖いと思っているのは、データがあるかどうか。科学的に信頼できるデータがないと、いかに精密な理論を積み上げても具体化できないというところで、非常に戸惑っている状況です。
 私の個人的な感覚からすると、マコガレイでもできそうだということは、ある意味で安心した。マコガレイで失敗したら、他の生物が何もなかったら、ある生物を守るためにどういうDOなり透明度が必要かという論理自身が具体的に作れなくなってしまうわけですね。
 例えば非常に希少な生物を入れることもいいんですが、そういうものはデータがない。守るという目標はいいんですが、そのために我々はどういう作業、例えば排水規制をするのか、何をするか、やはりシミュレーションを通じてつながってこないと、理念だけでは何もできないということになりかねないということで、実はそれを一番苦労しているところでございます。
 シミュレーションモデルも、例えば同じ水質でも様々な形で生態系の変化が起きることはわかっていることですが、では、それを信頼できるモデルにするまでの様々なデータ、パラメーターがわかっているかというと、今ここの海の分野では、なかなかないだろうと思っております。
 そういう意味において、極めて不満足であることは我々も承知していますが、今、渡辺先生を中心に開発していただいているモデルは、世界的にも遜色のないレベルであると一応思っております。ただ、不十分なことは承知しております。

○松尾部会長 わかりました。
 この議論はもうここでやめさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。また後の時間があればやらせていただきます。
 それでは、次の報告に移らせていただきます。

○篠田閉鎖性海域対策室主査 環境省閉鎖性海域対策室の篠田と申します。どうぞよろしくお願いします。
 まず、里海創生の支援に向けた取組につきまして、資料8を用いてご説明させていただきます。
 資料8に載せております里海創生支援事業ですけれども、昨年9月の第6回部会のときに、21世紀環境立国戦略に基づいて予算要求をしていく旨をご紹介させていただいたものでございます。平成20年度予算において新規事業として認めていただきまして、2,500万円いただいております。
 この里海創生なんですけれども、例えば平成20年3月、この間の閣議決定で策定されました海洋基本計画等においても実施すべき施策、実施に当たって重要な考え方であると里海等が位置付けられたことを踏まえて取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 今後、都道府県と連携しまして、実際に里海の創生に取り組んでいる海域を選びまして、その海域を支援していくことを考えておりますけれども、先ほどもご指摘がありましたように、里海というのはどういったものであるのかがよく分からないというご指摘は事実あると思っておりまして、そういったものを平行して追いかけていきたいと考えております。
 今年度、実際に里海の海域を選定して支援していくわけですけれども、それに先立ちまして平成19年度に里海創生検討会を立ち上げて、論点整理をしております。この瀬戸内海部会にもご参画いただいている須藤委員を座長にしまして、あと里海論の提言者である柳委員、松田委員にもご参画いただいて、これまでに、国の基本計画等に里海というものがどのように位置付けられているかを整理しております。
 詳しくは参考資料6として配っておりますが、資料8の3ページ以降に抜粋した概要を掲載させていただきました。
 簡単に説明させていただきますと、里海とは柳先生によって「人手が加わることにより生産性と生物多様性が高くなった沿岸域」と。要は、里海というのは人が手を入れることで逆に生産性と生物多様性のバランスをとって高くしていく、そんな沿岸域を言うんだと理解しております。それを実現していくためには物質循環を滑らかにしていくという考え方が大変に重要である。そのために、海から見てその流域である山を含めて、一体的に見ていく必要がある。そして魚ですね、食物連鎖といった観点、生物といった観点でつながっていくんですけれども、そういったものをしっかりと整えていくという観点が重要であると整理されてございます。
 続きまして、その裏のページの下になりますけれども、21世紀環境立国戦略、これは平成19年6月に閣議決定されたものですけれども、今後一、二年で重点的に着手すべき施策として、里海の創生を位置付けていただきまして、ここでは藻場、干潟、サンゴ礁の保全・再生、創出、それから水質汚濁対策、資源管理などを総合的にやっていく、こういったことを統合的にやっていくことによって、多様な生物、漁獲類等が生息しながら、その人々がその恵沢を長期的に享受できるようなものが豊穣の里海である、これを創生していくという形で位置付けられてございます。
 次のページの上、第三次生物多様性国家戦略ですけれども、ここにおいては、昔から豊かな海の恵を得ながら生活してきている、人の暮らしと繋がりのある地域であり、自然生態系と調和しつつ、人手を加えることにより高い生産性と多様性の保全が図られていると。
 海洋基本計画におきましては、水産資源の保存管理と海洋環境の保全というところで里海に触れられているんですけれども、特に海洋環境の保全という観点では、同じく「多様性と生産性の維持を図る海域で、環境保全という観点からも重要である」というふうに触れられております。
 それ以外にも、過去に出てきているものは色々あったんですけれども、そういったものを整理しまして、海洋環境の保全という観点から、今までも述べてきましたように、生態系と調和しつつ人手を加えることにより、生産性と多様性の保全を図る。それから、山から海に至る流域を一体的に管理していく。食物連鎖を含む生態系を管理していく必要がある。そのために、上流域から海域の中の汚濁対策といったところを統合的にやっていかなければいけない。そういう論点になるのかなと考えておりまして、こういったものを幾つかのキーワードという形で抜き出したのが、その下の表の中に入っております物質循環、生態系、それから人と海、環境の触れ合い、それから、誰が取組をするのか、誰が、どこでやるという場の方ですね、どこでやるのかという考え方、それらが異なることによって、里海というのは非常に多様でつかみにくいものになっていて、ただ、これが生活の中に組み込まれることで、持続性が出てくるのではないかと考えております。
 次のページにそれを簡単にビジュアル化したものがありますけれども、今年度以降、この生態系と物質循環といったあたりですね、実際に先ほどもホットスポット、瀬戸内海ではどういう所があるんだという話がありましたけれども、里海の創生を実際に地元の取組として支援していく中で、こういった観点、生態系と物質循環についてはどういうふうに効いてくるのかを評価していくようなことをやっていきたいと考えておりますので、また今後、報告していくことができるかと考えております。
 続きまして資料9、世界閉鎖性海域環境保全会議について簡単にご紹介させていただきます。
 世界閉鎖性海域環境保全会議、通称「EMECS」と呼ばれておりますけれども、今年度、10月に中国上海で第8回の会議が開催されます。EMECS8と呼んでおりますけれども、テーマが「河川集水域と河口域の調和」となっておりまして、もともと第1回を神戸で開催した経緯があるんですけれども、環境省としても、瀬戸内海の環境保全に関する重要なテーマであると考えております。
 2枚捲っていただきますと、パワーポイントのポンチ絵をお付けしております。
 これは環境省の取組のご紹介になりますが、東アジア諸国の経済発展の中で、海域に負荷がかかっている。それが、例えば長江の方の出水等で日本まで押し流されてくる。太平洋沿岸のCODの濃度が何らかの理由で上昇しているのは事実でありまして、そういったものが今後さらに拡大してくる懸念があるということで、東アジア諸国の水質改善の取組を支援していくことが日本の海域環境の保全につながってくるのではないかと考えておりまして、このような取組をしております。
 水質保全の取組というのは、環境基準を設定して排水基準を設けて、そして閉鎖性のある内湾においては総量規制に取り組んでいる、簡単に言うとそうなると思うんですけれども、そういった取組、制度の体系を東アジア諸国に導入、支援していくということで支援できないか。これで日本近海の水質の保全、改善、そういったものが図れるのではないかということと、東アジアを中心とした国々に日本の制度を輸出していくということで、我が国のプレゼンス向上が図られるのではないかと期待しておりまして、こういった取組をうまく海外の国に周知して一緒に取り組んでいく契機として、第8回のEMECSを使っていきたいと考えております。

○松尾部会長 2つ報告をいただきました。感想あるいはご希望があれば伺っておくということになると思いますが、いかがでしょうか。
 特にご意見よろしいですか。里海は色々ご意見あるかと思っていましたが。

○和田委員 瀬戸内海で里海創生の対象になる海域は、もう大体決まっているのかどうか、その辺を明確にされた方がいいのではないかと思うんですけれども。

○山本閉鎖性海域対策室長 対象海域といいますか、環境省の事業として実際に取組をされているときに、先ほどご説明したような物質循環だとか生態系について、きちっと現場で把握しながらやっていこうと思っていますので、まずはそういうことにご協力いただけるような、事業に参加していただける海域については、今後、公募して選んでいきたいと思いますので、具体的に瀬戸内海でどういう海域が対象になるかは、まだ決まってございません。
 ちなみに、今日、参考資料6として、須藤先生を委員長にした検討会でまとめた成果をご紹介していますが、その中ほどから、具体的な収集事例として33ばかり集めてございます。その中には瀬戸内に関するものもございまして、場や主体が様々、取組も様々でございますが、色々なタイプでの取組がなされてきている。これをより質の高いものにするために国としてどんなお手伝いができるかを、支援事業を通じて考えていきたいと思っております。

○須藤委員 今、山本室長がおっしゃったとおりなんですが、私、委員長をお預かりしていて、どこを対象水域にするかを客観的に評価して決めているわけではないわけですよね。今の地方自治体なら地方自治体が申し出て、そして、例えばこのモデル海域であるということをやるわけですね。ですから……、これは瀬戸内だけでやるわけではなくて全国ですよね。なので、どのぐらいの件数と、概ねどれぐらいやるんだとおっしゃっていただいた方が、具体的に今のご質問には答えられるのではないですか。
 それは瀬戸内全てではないですよね。ですからね。そんなにたくさんやるわけではないんですよね。その辺のところをちょっと、イメージが湧かないんだろうと私は思いますので。決まっていないことを言うのはよくないんだけれども、今、聞いていてそんな気がしました。
 ですから、ある意味では瀬戸内全部が里海だと思いますけれども、全部でもいいんだけれども、それはやはりそこにかかわる人が、例えば市町村でもよいし県でもよいんですが、それが申し出ないといけないわけですよね。そこのところの案分がよく分からないんだろうと思うので、瀬戸内も東京湾もみんな里海なんでしょうけれども、そういう取り上げ方がちょっと、多分イメージがよくわからないのではないですか。
 この事業、2,500万円と言っているわけですから、もう少し……、数件でもいいんですけれども、そう言っていただいた方がよろしいのではないでしょうか。

○山本閉鎖性海域対策室長 ありがとうございます。
 要求自体は5,000万円とさせていただいたんですが、力及ばず2,500万円という予算で、とりあえず今年度からスタートしようということであります。
 その中で、先ほど色々な考え方を整理する、あるいはシンポジウムみたいなものを通じて里海というものを積極的に発信していくといった啓発的な事業も含めてやっていくわけですので、実際に取り組まれているところに調査の関係で支援するお金は余り用意できていなくて、残念ながら、初年度は数カ所でしかできないだろうと思っております。
 ただ、こういった取組をしっかり盛り上げていって、来年度の要求に向けてはさらに頑張っていきたいとは思っておりますが、とりあえず、取組の規模としては、そういうところから始めていきたいと思っております。

○鷲谷委員 里山の保全、再生に関する政策と里海に関することと、かなり大きな違いがあると感じています。里山に関しては、メッシュデータを使った多様性の指標の解析とか、それ以前に人間活動と里山に成立している自然の多様性の関係についての理論化とか、そういう科学的、客観的なベースがあるところに里山の保全とかモニタリングとか再生の政策が出てきているんですけれども、里海のこういう資料などを見せていただきますと、そういうところがまだない。土台のような客観的、科学的なベースのないところに、運動としては意味があるんだろうと思いますけれども、そこが強調されている点で、里山の政策と大きく違うと思います。
 それから、里山の「山」は地形的な山ではないので、里山・里海と並べると、山と海という印象を持ってしまいますが、里山の「山」は「野良」に対する「山」という概念が強い。「野良」というのは農耕地ですけれども、資源を採取する場なんですね。それは森林であったり草原であったり、広く解釈するんだったらため池のような水資源を獲得する所も要素で、人間が必要な資源採取の場がモザイク的に複合していることが多様な生物の生息の場を確保すると同時に、人が資源採取をするという行為が、中程度攪乱説という理論もあるんですけれども、その中程度の攪乱に当たることによって一つのハビタットの中でも多様性が高まっている、その2つの要素から多様性が高くて、そして、人と自然との関係の歴史から言っても共生的なシステムであるというような解釈がしっかり成り立っている。
 里海も、もしかしたらそうかもしれないんですが、そのあたりの理論とか実際のデータにおいて、これこそそうやって政策化して資源を投入すべきだという、その根拠をつくることが今、一番重要なことではないかと思います。

○山本閉鎖性海域対策室長 参考資料6の中でも、特に里山と里海というのが言葉として似ているということで、似ている点、異なる点というのがございますので、そういった考え方の整理は昨年度の準備段階で須藤先生を初め先生方にご協力いただいて、やらせていただきました。特に科学的な部分については、ご指摘のとおりだと考えておりまして、海にも海の健康診断というようなことで、できるだけ生物に着目して科学的なアプローチをしていこうということでの取組もされてきていますので、そういったものをベースにしながら今回の、特に物質循環だとか生態系というところについてはしっかりと情報を積んでいきたいと思っております。
 環境省の予算はまさにその部分にある程度、焦点を当てて、地域と一緒にそういったことに取り組んで、データもとっていくということで、ご指摘があったようなところは厚くしていきたいと思っております。
 ありがとうございました。

○宮原委員 その予算の使い方は、NPOがそういう活動をされることに対する支援のための補助金として使われるのか否かをお伺いしたい。
 それから、私ども全漁連といたしましては、こういう生物多様性の問題について、来年度の国に対して予算獲得運動を今、展開しておりまして、これは漁業者の活動に対してそういう支援をする交付金的なものを創生してくれという要望なんですけれども、それになりますと、瀬戸内は当然のことながら全国に展開していきたいと考えております。
 また委員の先生方にもご指導賜りたいと思います。

○山本閉鎖性海域対策室長 まず、予算として、直接支援して委託していこうとしている予算は実は自治体向けの委託となっておりまして、NPOの活動に直接お金を出すというスキームにはなっておりません。
 ただ、今回の取組を通じて、NPOでやられている活動について色々と情報をいただいて、またその情報を発信する場としてシンポジウムにご参加いただくとか、そういった意味での協働みたいなことは進めていけるのかなと思っております。
 やりながら、もっとこういう部分の手当てなり予算なりが必要ではないかといったご意見も皆様からいただきながら、拡充すべきところがあれば来年度以降に対応していきたいと考えております。

○川井委員 先ほどの須藤委員のお話の中にもあったんですが、「里海」と言ったときに、瀬戸内海のような海を里海と考えるのか、あるいは……。つまり、瀬戸内海全体みたいなものを里海と理解するのか、あるいはここで言っている豊穣の里海事業のある地域をそういう海域と指定して考えるのかというところで非常に大きな違いが出てくると思うんです。
 前者に関しては、全体としてとらえると、先ほど和田委員もおっしゃったように、保全がまず第一の海域がある。つまり、利用以前に保全を重視しなければいけない海域ももちろん含まれますので、やはりこれは─私は兵庫県のある委員会の委員なんですが、県の中でもそういう事業がありまして、「こういう事業をするためにこの用語を使う」というところをどこかにきっちり書いていただいて、漠然と使うのではなくて、「こういう目的のためにこういうことをするんだ」ということを最初にはっきり書いていただくことが大事なのではないかと思います。

○山本閉鎖性海域対策室長 少なくとも環境省の事業として見ていく、あるいはモデル海域として将来的に選んでいくということになりますと、瀬戸内海全体といったことではなくて、おっしゃったように湾灘ごとにも違いますし、そこでどういう活動が行われているかという人との関わりが結構キーになりますから、その活動の単位みたいなところになってくると思いますので、そこらあたりはしっかり整理しながら進めていきたいと思います。

○柳委員 参考資料6の真ん中あたりにIIの7.里海の類型化というのがあるんですけれども、和田委員と川井委員が言われたMPA(Marine Protected Area:海洋保護区)ですね、この真ん中辺に「手を加えない管理」というのがあって、当然鎮守の海型の里海というのは瀬戸内海のあちこちにちゃんと確保しないと、私は里海はできないと思っています。だから、現在の瀬戸内海は里海ということではなくて、今からそういう状態を作っていきたいということで、こういうゾーニングというか、それぞれ場所を使い分けないと実際には生産性も多様性も高くならないと思っていますから、当然考慮しているというのが答えです。

○沖委員 今、柳委員がおっしゃったのは資料8の最後の頁のカラーの図表になると思いますが、里海の新規事業がうまくいくか、いかないかは活動の場と主体、ここのところがどう動くかにかかわってくるのではないかと思っております。
 私、岡山におりますけれども、やはり流域、、都市、漁村、これらが各々メリット、デメリットを感じておられ、さらに行政機関の方策が色々ありまして、お互いに手をつないで一致して動くには、キーパーソンがいらっしゃらないとなかなか難しい、これが現場サイドではないかと思っております。
 ですからこのゾーニングで、結局、手を加えないですませる所、逆に水産関係の方が前面に出る所、それから都会型の所と、やはりキーポイントを色々作られて、そしてモデルを皆さんにお見せして「里海とはこういうものだ」という説明があって初めて皆さんに理解されるものではないかと思っております。

○松尾部会長 そういうことも含めて、まだ色々模索しながら進めていくということでしょうかね。そういう意味では、幾つかの事例が出てくるともう少し概念も整理されていくのかもしれませんね。
 よろしいでしょうか。まだご議論ありそうですが、ほぼ予定の時間になってまいりましたので、もし総括的なことで言い残したことがあれば。

○久野委員 実は基本計画のフォローアップ、それから中長期ビジョン、これらを踏まえて、さっき部会長がおっしゃったように、数年先には基本計画の見直しということになるんだろうと思いますが、実は今の基本計画、目標が極めて定性的なんですね。例えば2050年の瀬戸内海は一体どうなっているんだ、あるいは2100年の瀬戸内海はどうなっているんだ、藻場、干潟はどれぐらいあるんだ、自然海岸はどれぐらいあるんだ、そういうことに関しては定性的ではなくて、できるだけ定量的な目標を設定していただくようにチャレンジをお願いしたいというのが1点でございます。
 もう一つは参考資料の方で、知事・市長会議は新しい法律云々という話があります。この動きがどうなっているのか、環境省はどう考えているのか、実現の可能性はあるのか、その辺の説明は今日は全くなかったんですが、何かありましたら一言でもお願いしたいと思います。

○白石水環境担当審議官 昨年来、特に兵庫県知事が中心になりまして、瀬戸内の新法という動きで100万人の署名運動というのを皆様方も耳にしたかと思いますけれども、これを揃えてやっていこう、超党派でいこうということで動いておられるのですが、どうも国会がここのところ色々ごたごたして、こういう地に足の着いた議論がなかなか進まないまま今年、既に4カ月経っているという形でございます。
 私どもも、中に色々な要素が含まれている法案でございますので、環境省を初め複数の省庁で関心を持っているわけでございますけれども、超党派の動きとなりますと、役所の方からもなかなかどこかの政党、会派にのみアクションをかけるわけにもいきませんので、実際上、様子を見守っているという形で今年になってから推移しているのが正直なところでございます。
 定量的な目標についても今度、見直す時に、特に今、温暖化等もそうですけれども、数字で何かを出して、それをロードマップをこしらえて持っていくという形が実現可能性に向けて大変よい手法だということは広く認識されつつありますので、またこの審議会を通じてそのような形、また、何を指標にしていくのか、また、言ってもそれが、実現するためのビークルがどうやって作っているかということも含めまして、皆様方とまたご議論させていただければと思っております。

○松尾部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、ちょうど時間になりました。ある意味でちょっと強引な運営をさせていただいたかもしれませんが、ひとつご理解いただいて、今後ともよろしくご支援いただけたらありがたいと思います。
 最後に、事務局の方からご報告をいただきたいと思います。

○山本閉鎖性海域対策室長 本日はどうもありがとうございました。
 フォローアップにつきましては、先ほど部会長からご発言いただきましたように、今日のご意見を踏まえまして加筆したものを、部会長と確認させていただきまして、できるだけ速やかに皆様方にフィードバックして、対外的にも公表していきたいと考えております。
 次回以降の開催につきましては、関連する色々な取組の進捗を見ながら、また皆様方にご報告なりご審議いただけるような材料が出てきたところで、改めて開催時期のご相談をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 本日はどうもありがとうございました。

○松尾部会長 どうもありがとうございました。

午後3時05分 閉会