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中央環境審議会瀬戸内海部会(第6回)議事録


平成19年9月4日(火)
環境省 水・大気環境局 水環境課 閉鎖性海域対策室

  1. 開会
  2. 議題
    (1)
    瀬戸内海環境保全基本計画のフォローアップについて
    (2)
    報告事項
    • 今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会と中長期ビジョン策定について
    • 今後20年度予算概算要求新規事項:里海創生支援事業について
    • 瀬戸内海の環境の保全に関する府県計画の改定について
    • 瀬戸内海における干潟実態調査結果について
    • 閉鎖性海域における環境改善技術実証モデル事業について
    (3)
    その他
  3. 閉会

午後14時00分 開会

○山本閉鎖性海域対策室長 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第6回瀬戸内海部会を開催いたします。
 初めに環境省水・大気環境局水環境担当審議官の白石より一言ご挨拶を申し上げます。

○白石水担当審議官 御紹介賜りました環境省水担当審議官の白石でございます。今日はこの場をお借りして御挨拶をさせていただきます。
 瀬戸内部会、6回目ということでございますが、いつも瀬戸内海の環境保全ということで、皆様方色々取組いただいて本当にありがたいことだと思っております。
 これに準じるような閉鎖性の海域に関しましても、今日も色々御報告させていただこうと思っておりますけれども、何分よろしくお願いしたいと思います。
 私事で恐縮ですが、昭和53年に瀬戸内法の特別法が制定された時、当時、私は旧厚生省の水道整備課に在籍しておりまして、まだまだ当時は若かったんですけれども、こういうふうな法律ができるのだということで、色々思い出深いことがございました。今回、このような形でまた皆様方とともに瀬戸内関係の制度について議論に参加させていただけるということを大変光栄に存じます。
 本日はまた、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○山本閉鎖性海域対策室長 本部会につきましては、本年1月に改選となっておりますので、まず最初に委員の方々を事務局より御紹介させていただきます。
 資料1に委員名簿がございますので、その順に沿いまして御紹介させていただきます。
 まず、東洋大学学長の松尾友矩様でございます。
 次に東京大学大学院農学生命科学研究科の鷲谷いづみ先生でございます。
 岡山大学資源生物科学研究所教授の青山勲様でございます。
 本日、御欠席でございますが、福岡県知事の麻生渡様に御就任いただいております。
 次に、日本港湾協会理事の井上興治様でございます。
 広島大学大学院工学研究科教授の岡田光正様でございますが、本日は所用のため30分程遅れられるということでございます。
 次に神戸大学内海域環境教育研究センター長の川井浩史様でございます。
 次に大分大学教育福祉科学部教授の川野田實夫様でございます。
 貝塚市立自然遊学館嘱託研究員の白木江都子様でございます。
 東北工業大学環境情報工学科客員教授の須藤隆一様でございます。
 本日、御欠席でございますが、大阪市長の關淳一様に御就任いただいております。
 次に四国経済連合会副会長の常盤百樹様でございます。
 中国新聞社論説委員の中村敏様でございます。
 次に競馬・農林水産情報衛星通信機構会長の野中和雄様でございます。
 関西学院大学総合科学政策学部教授の久野武様でございます。
 水道技術研究センター理事長の藤原正弘様でございますが、本日は御出席の予定ですが、若干遅れられているようでございます。
 下水道新技術推進機構理事長の松井大悟様でございます。
 広島大学名誉教授、松田治様でございます。
 歌人の道浦母都子様でございます。
 全国漁業協同組合連合会代表理事専務の宮原邦之様でございます。
 徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部教授の本仲純子様でございます。
 海外環境協力センター理事長の森仁美様でございます。
 あと名簿のお三方、本日は御欠席でございますが、九州大学応用理学研究所教授の柳哲雄様。それから、日本政策投資銀行副総裁の山口公生様。それから、奈良女子大理学部教授の和田恵次様に御就任いただいております。
 それから、引き続きまして事務局の出席者を紹介させていただきます。先程御挨拶申し上げました水・大気環境局審議官の白石でございます。同じく水環境課長の望月でございます。私は水環境課閉鎖性海域対策室長の山本でございます。よろしくお願いいたします。
 それから、次に本部会の部会長について御報告いたします。前回までは須藤隆一先生に部会長を務めていただきましたが、今回の改選に伴いまして中央環境審議会の規定に基づきまして鈴木会長から松尾友矩委員が瀬戸内海部会部会長として御指名を受けておられます。部会長から一言御挨拶をお願いいたします。

○松尾部会長 ただいま御紹介いただきました松尾でございます。私は水環境のことは長くやってきているのでありますけれども、必ずしも瀬戸内海という地域ですとか領域について十分な経験を持っていないということは残念に思っておりますけれども、皆様方、地元に根ざした形で委員が選ばれているようにも拝見させていただいております。それぞれローカルな状況に対する考え方等を積極的にいただければありがたいと思っております。
 それから、須藤先生がずっとこの部会の部会長としておられたわけであります。幸いに臨時ということでございますけれども、なっていただいているということで、須藤先生から御指導いただきながら、この部会が適切に運営されるように務めたいと考えているところでございます。ぜひまたよろしく御協力の程をお願いいたします。
 ありがとうございます。

○山本閉鎖性海域対策室長 どうもありがとうございました。本日の定足数でございますが、まだ若干遅れられている先生方はいらっしゃいますが、全26名中20名の御出席予定ということで定足数を満たしていることを御報告いたします。
 それから、最初の議事に入ります前に配布資料の確認をさせていただきます。クリップ止めをしております資料の1枚目に配布資料一覧が下に書いてございますので、そちらに照らして御確認をいただければと思います。
 資料1が委員名簿でございます。資料2-1が「基本計画のフォローアップについて」という資料。資料2-2といたしまして、「基本計画の進捗状況について」という資料でございます。
 その資料2-2の別紙としましてA4横綴じの資料がございます。こちらは「進捗状況の評価及び課題」ということでの横表でございます。
 資料3といたしましては、「今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会と中長期ビジョン策定について」というカラーの横刷りの資料がございます。それから、資料4は「平成20年度の関係予算」ということで、里海創生支援事業の資料でございます。
 資料5が「瀬戸内海の環境の保全に関する府県計画の見直しについて」という資料でございます。資料6が「瀬戸内海における干潟実態調査結果について」という資料でございます。資料7が「閉鎖性海域における環境技術実証モデル事業について」という資料でございます。
 参考資料として3点ございまして、参考資料1が瀬戸内海環境保全基本計画でございます。参考資料2が冊子になっております「今後の閉鎖性海域対策を検討する上での論点整理」という資料でございます。参考資料3が環境技術実証モデル事業の案内のパンフレットとなっております。不足がございましたら事務局までお申し出いただければと思います。
 それでは、これ以降の議事進行を松尾部会長にお願いいたします。よろしくどうぞお願いします。

○松尾部会長 部会に入らせていただきたいと思います。本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。改めてよろしくお願いしたいと思います。
 議題に入らせていただきます。最初の審議事項でありますけれども、瀬戸内海環境保全基本計画のフォローアップについてということでございます。初めに瀬戸内海の環境保全基本計画というものができているわけです。それのフォローアップについてということでございます。前々回の部会から着手したようでありますけれども、今後、本部会の一つの大きな仕事になっていくのだろうと思いますが、前2回の審議を踏まえてということになっていますので、今までの方は当然御存じだと思いますが、私は初めてになります。そういう方もおられると思います。場合によっては元に戻るような議論が多少出るかもしれませんが、フォローアップの結果を踏まえて先へ進むということで、その辺の事情について御審議いただきたいと思います。
 それでは、事務局からその辺の事情も含めて御説明いただきたいと思います。

○山本閉鎖性海域対策室長 それでは、お手元の資料2-1と資料2-2に基づきましてフォローアップについて御説明させていただきたいと思います。前回の開催が昨年の12月ということでございますので、大分時間が経っておりますし、一部委員の方々も替わっておられる方もありますので、おさらいの意味も含めましてこのフォローアップというものがこれまでどういうことをやってきたかをまず御紹介したうえで、今回整理して御議論をいただきたい資料についての御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料2-1ですが、1.で「瀬戸内海環境保全基本計画について」でございます。これは先程の参考資料1で基本計画そのものは後ろについているわけですが、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づきまして、このベースとなる基本的な計画として最初は昭和53年に閣議決定されましたが、その後2度にわたる改定がなされてきております。特に今回、フォローアップということでやっておりますのは平成12年12月に変更されたものということでございまして、この時に従来の規制的な面だけではなくて、ここの(1)に書いてありますような失われた良好な環境の回復の観点。藻場・干潟の保全や回復といった失われた自然を回復していくという方向性をかなり色濃く打ち出した全面的な変更が平成12年12月になされております。
 その後、関係省庁あるいは関係府県におきまして様々な取組がなされてきているということもありまして、それを今回フォローアップしているということでございます。
 ここに平成12年に変更された主な点を御紹介しております。(1)は今申し上げましたようにこういった観点を新たに追加している。
 そのための施策といたしまして、当時、ちょうど第5次総量規制ということで窒素、リンの総量規制が導入された時期に当たりましたので、こういったことを導入した他に、この下にありますような藻場・干潟等の浅い海、浅海域の保全を施策として取り込んでございます。
 それから、海の砂利採取についての環境保全に関する配慮というのも新たにこの時に追加されてございます。
 それから、(2)でありますように良好な環境を回復させる施策ということで、いったん失われたものを回復させるための多様な施策がこの時に位置付けられてございます。
 それから、(3)で幅広い連携と参加の推進とあります。特に住民参加でありますとか、各関係者の連携あるいは情報提供、広報の強化といったようなところで、そういうソフト面での取組をこの時に相当強化するという方向性が打ち出されたわけでございます。
 こういった改訂が平成12年12月に行われたことを受けまして、2のフォローアップの目的のところですが、平成12年12月から5カ年が経過して、その後の関連施策の実施状況はどうだろうかということをこの部会において点検をしていただくということで、フォローアップを開始したという経緯がございます。
 先程部会長からの御紹介がありましたように、これまで2回にわたりまして当部会を開催いたしまして、その中で関連施策の点検をさせていただいております。前々回が第4回ということで、平成18年3月、前回が第5回で18年12月ですが、前々回におきましては国、政府関係省庁における施策をまず全体として御紹介をいたしまして、それについて御意見をいただいたという形になっています。
 それから、第5回におきましては各関係府県におきます施策の実施状況ということで御紹介をさせていただいております。
 それから、第4回の部会におきまして、2つ目の○の後段に書いておりますように特にNPOの活動が非常に活発になってきている。そういう状況を地方環境事務所から紹介できないかという御指摘もございましたので、これを受けて私どもの中国・四国地方環境事務所長より取組の事例ということで第5回に御紹介をさせていただいております。
 その際に様々な有益な御意見をいただいたわけですが、それにつきましては別紙の形で参考1と参考2ということで、この資料2-1の2枚目、3枚目にまとめておりますので、後程簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 裏にまいりまして、4.で、今回の検討事項ということでございます。フォローアップということですから、これまで5カ年を経過して、様々な取組が行われているわけですが、そういった取組につきまして全体を先生方に眺めていただいて、こういったものがもともとの基本計画の改定という内容に即して十分に進捗をしているか。あるいは、欠けている施策、追加すべき施策はないかというような点で御意見をいただけたらと思っております。
 後程資料2-2で御説明いたしますが、こういった関連の施策につきまして基本計画に掲げております10の目標がございます。その10の目標に照らして、今、どんな状況かというのを整理をして、どんなことが論点になるだろうかというのは後程2-2で御紹介をさせていただきますので、そちらを御覧いただきまして御意見をいただければと思っております。
 事務局として今後考えておりますのは、今回、御議論いただいて、それを踏まえて取りまとめに向けた整理を事務局でさせていただきまして、次回、できれば年度内ということで考えておりますが、年度内にもう一度部会を開催させていただいて、そこで今回のフォローアップ結果についての取りまとめをいただければということを考えております。
 本日御紹介する資料なんですけれども、若干事務局の不手際もあって、なかなか十分時間的な余裕を持って整理ができておりませんで、国及び府県の関連施策で現時点のものが完全にカバーされていない、あるいは若干まだ作業が間に合わなくて載っかっていない部分もございます。それにつきましては引き続き作業をさせていただいて、次回の取りまとめに向けて全体をきちんと時点を修正したもので最新の活動状況をもとに御審議をいただきたいと思っております。
 次のページ、参考の1でございます。第4回瀬戸内海部会における主な御意見ということでございます。これはもう大きく2つに分けておりますが、最初に基本計画のフォローアップに関する御意見というところと、それから関連施策に関する御意見ということで個別の施策に関する御意見ということで分けております。
 関連施策に関する御意見というところで書かれているものにつきまして、後程資料2-2の中で各目標に照らしてどうかという中で再整理をさせていただきますので、ここでは御紹介を省かせていただきます。最初のフォローアップに関する御意見のところですが、フォローアップの中で前々回、前回ともやはり色々な施策がなされているという点は評価はしていただいているわけですが、それがどのぐらい、具体的にどういう環境改善につながっているのかとか、定量的な評価だとか、そういう評価の視点からもう少し整理が必要ではないかというような御意見を幾つかいただいております。
 今、評価をするための物差しなり、物差しに照らした情報を十分把握していないので、ある程度今後の課題ということになってくるかもしれませんが、前回、前々回いただいたそういった評価に関する御意見も踏まえながら、今後できる限り整理をしていきたいということであります。とりあえずの整理は今回させていただきましたので、その整理について御意見を賜ればありがたいと思っております。資料2-1につきましては以上でございます。

○正賀室長補佐 引き続きまして資料2-2を御説明させていただきます。私は閉鎖性海域対策室の正賀と申します。よろしくお願いします。座って御説明させていただきます。
 それでは、資料2-2、それと横綴じの資料2-2、別紙1というもの、それと参考資料1として瀬戸内海環境保全基本計画をお配りさせていただいております。その三つの資料で御説明させていただきたいと思います。
 まず、参考資料1を御覧いただけますでしょうか。この環境保全基本計画、先程室長から御説明しましたように平成12年に全面改定しておりまして、現在、計画の目標が、めくっていただきまして2ページ、水質保全等に関する対応ということで(1)~(5)まで5つ。それと自然景観の保全に関する目標ということで同じく(1)~(5)の5つ、それぞれ目標が掲げられております。
 これらの目標を達成するための基本的な施策としまして、第3ということで3ページ以下を、例えば「1 水質汚濁の防止」ということで、これから最後のページの「19 国の援助措置」というところまで19施策挙げております。
 その中にも、例えば「水質汚濁の防止」ということで、「水質総量規制制度等の実施」ということで、一段細かい事項ということで、それぞれこの場合は4つ設けておりますが、こういうものを数えますと27施策ということになっております。それが環境保全の基本計画の施策でございますが、この27施策を資料2-2のように、それぞれの基本計画の目標ごとに後で御説明します資料2-2の別紙1、横綴じの国とか府県が取組んでおります取組の状況、内容に即しまして、それぞれの目標を達成するために行っている施策ということで、整理をさせていただいておりますのが資料2-2でございます。
 例えば①の「瀬戸内海において水質環境基準が未達成な海域については可及的速やかに達成に務めるとともに、達成された海域についてはこれが維持されていること」という目標につきましては、「1(1) 水質総量規制制度等の実施」、「1(4) その他の措置」ということを挙げております。それと、「10 下水道等の整備の促進」というような基本的な施策を整理させていただいております。
 そこで、例えば資料の横綴じの別紙1を御覧いただきますと、「総量規制制度の取組」というのが一番上にございますが、それは私ども環境省の取組ということで、取組の内容につきましてはそこにありますように総量規制、総量削減計画に基づいて目標を策定する水質総量規制制度を実施しているということで、平成12年度以降の進捗状況として平成16年度の目標量をそれぞれ掲げております。それを評価及び課題ということで、汚濁負荷量は着実に削減され、瀬戸内海では窒素、リンの環境基準はほぼ達成されたが、CODの環境基準達成率は平成17年度で74%にとどまるというような、それぞれの取組状況ごとに評価及び課題を整理させていただいております。
 こういう評価及び課題をもちまして、資料2-2のほうを見ていただきますと、2枚目のほうですね、それぞれの10個の目標につきまして、私どもの方で今課題と考えております論点について整理させていただいております。
 2ページの基本計画の目標、水質保全に関する目標ということで、先程言いました「瀬戸内海において水質環境基準が未達成の海域については、可及的速やかに達成に努めるとともに、達成された海域については、これが維持されていること。」ということにつきましては、論点としまして「様々な施策が展開されてきているが、それにもかかわらず生態系の劣化が進んでいるとの指摘がある。」ということです。
それと「大阪湾等の水質汚濁が著しい海域においては、成層化する夏期を中心として、貧酸素水塊が発生するなど生物の生息状況にとって好ましくない状況が継続し、底生生物の大量斃死の原因となっているとの指摘がある。」
それと3つ目としまして、「大阪湾等における貧酸素水塊の問題は深刻であり、自治体に加えて国のフォローが必要との指摘や貧酸素水塊対策として海側の対策に加えて、流域レベルで考えることが必要との指摘がある。」
4つ目、「各海域の環境変化を定量的に把握するためのデータが不十分であり、特に底層DO、有用魚種類以外の生物、干潟・藻場・浅場等の生物の生息にとって重要な場に関するデータの充実が求められているとの指摘がある。」
「各海域の特性に応じた健全な生態系の確保や利水障害の解消に向け、各海域の利用形態に応じた中長期的に目指すべき海域環境の将来像を明らかにし、その実現に向けた具体的なロードマップを提示する必要があるとの指摘がある。」というように、論点を整理させていただいています。
 申し遅れましたが、この論点につきましては第4回、第5回の委員の方からの御指摘と、それと21世紀環境立国戦略、この6月1日に閣議決定したものですが、それと平成18年度に設置しました今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会、それと瀬戸内海に関係する資料集、そういうものからそれぞれ論点を拾ってきて整理させていただいております。
 次に3ページのほうですが、「瀬戸内海において、赤潮発生が見られ、漁業被害が発生している現状にかんがみ、赤潮発生の機構の解明に努めるとともに、その発生の人為的要因となるものを極力少なくすることを目途とすること。」という目標につきましての論点です。4つ掲げさせていただいております。
 「昭和40年代後半~50年代初めにかけて年間200~300件程度発生していた赤潮については、それ以降減少しているものの、依然年間100件程度発生している。」
 「汚濁負荷量が削減され、水質の改善が見られる海域でも、赤潮による漁業被害が引き続き発生する海域が存在するほか、過去に比べ漁獲量が減少するなど、海域の生物生息環境に異変が起きているとの指摘がある。」
 それと、「生態系変化のメカニズムが分かっておらず、その解明のためには総合的な研究を今後行っていくべきとの指摘がある。」
「藻場、干潟等の保全・再生・創出、閉鎖性海域等の水質汚濁対策、持続的な資源管理等の総合的な取組を推進することにより、多様な魚介類が生息し、人々がこの計画を将来にわたり享受できる「里海」の創生を図る必要がある。」というように整理させていただいています。
 4番につきましては時間もございませんので少し飛ばさせていただきますが、重金属に関する汚染につきましては、そこにありますように「環境基準を超えるダイオキシンが含まれる底質の存在が確認され、除去作業が進められている。」ということ。
 その他の「有害物質について、各湾・灘の底質は10年前と比較して悪化している海域は見受けられず、全ての海域で改善の傾向にある。」というように整理させていただいております。
 それと5ページのほうですが、魚介類の産卵育成の場所となっている藻場、干潟についてですが、これにつきましては「最近については干潟面積の減少、海砂利の採取、埋立ては抑制できている。」
「外から見えないところがひどい状態で、深掘部分や水の流れ、藻場の回復等をしないと海の中は良くならない。これらに焦点を当てて取組むべき。というように整理させていただいています。
 それと、6ページに数字としまして「藻場面積についての調査は平成6~7年以降実施されていない。」ということですね。「埋立てについて瀬戸内海環境保全特別措置法第13条第2項の基本方針に沿って環境保全に十分配慮していくことが必要である。」
「海砂利採取及び埋立てについては環境保全に対する配慮というより厳しい規制が必要とすべきとの指摘がある。」というように整理させていただいております。
 7ページ、水質保全の5つ目の目標ですが、海水浴のほうですね。これにつきましては「環境省の水浴場調査によれば、調査対象となった瀬戸内海における水浴場は全て水浴場として適当な水質を維持しており、引き続き利用に好適な状態で保全されるよう、各種制度の適正な運用を図っていく。」というように整理させていただきたいと思います。
 それと、自然景観保全に関する目標のほうですが、ここにつきましては国立公園とか国定公園につきましては、そこの2つのように整理させていただいております。
 それと、島しょ部、海岸部における草木ということですね。これにつきましてはそこにありますように「瀬戸内海の海岸部における緑の確保に向けた制度の整備が進んでおり、その積極的な運用により緑の維持・創出を図っていく。」ということです
 それと、「埋立地への進出事業者による緑化の取組が不充分であるとの指摘がある。」というように整理させていただいております。
 次は10ページのほうですが、自然環境保全に関する目標3ということで、海面と一体となり優れた景観を構成する自然海岸というところでございますが、これにつきましては「自然海岸による優れた景観を保全するためのガイドラインや制度の整備が進んでいる。」
 それと、「「自然海浜保全地区」における工作物の新築等に関する届出制等の現行制度の適切な運用により自然海岸の適正な保全・再生を図っていく必要がある。」
 それと、「埋立てにより失われた自然の再生努力が不充分であるとの指摘がある。」いうように整理させていただいております。
 それとごみの問題ですが、「回収したごみの受け皿が不充分との指摘がある。」ということ。
それと「放棄された施設、立ち枯れた木等により景観が損なわれている現状があるとの指摘がある。」
それと、「海域及び海浜のごみ等について、住民参加による清掃美化活動や対策事業により撤去・回収されているが、抜本的な解決策となっていない。今後その発生抑制及び適正処理に向けた具体的な対策の検討が必要である。」というように整理させていただいております。
 12ページですが、史跡、名勝、天然記念物等につきましては「文化財の保全に向けた新たな制度の整備が進んでおり、その適切な運用により、瀬戸内海の自然景観と一体をなしている史跡、名勝、天然記念物等の文化財の保全を図っていく。」というふうにさせていただいております。
 あと、残っております「7 健全な水循環機能の維持の回復」、あと「9 島しょ部の環境保全等」の共通的な事項として10項目を整理させていただいておりまして、論点のほうは14ページ、ここは水循環、あと環境教育・環境学習、それと情報提供、広報の充実、三つの項目でそれぞれ論点を整理させていただいております。
 例えば水循環につきましては、「雨水の海への流入について、ダムが水循環にとってどのような影響を与えているのかチェックする必要があるとの指摘がある。」というようなこと。「水循環に関して、下水処理水の利用以上に雨水タンクの設置や小池を作るなどの雨水利用をもっと普及させる必要があるとの指摘がある。」ということ。
 環境教育・環境学習のほうですが、ここはたくさん御意見をいただいておりまして、例えば「自然を守り伝えていくことと子供の学校教育は非常に関連があると思うが、学校教育の中でどの程度実施されているのか。また文部科学省と協力して進めるべきではないかとの指摘がある。」というようなことで整理させていただいております。
 それと、最後15ページですが、情報提供、広報の充実につきましては「せとうちネットに関して、「瀬戸内海の環境情報」に生き物情報が入っていないので、これを載せて欲しいとの指摘がある。」というようなこと。
 「本来、自然に強い関心を持っている俳人や歌人に対しても積極的な情報発信が必要であるとの指摘がある。」というようなことで論点を整理させていただいております。
 時間がない中、たくさんのことを御説明するということでダラダラと読み上げるような形になりまして申し訳ございませんでしたが、よろしくお願いいたします。

○松尾部会長 ありがとうございました。これまでの2回の部会の中で毎回、瀬戸内海環境基本計画の中で進められてきた施策についてのある種の評価と言いましょうか、それをやられて、その中でこういう指摘があった、こういうことでまとめて下さっていると思いますが、従来の方は当然その辺の動きを御存じだと思います。新しくなられた方は改めてこの指摘との関係でどうなのかということで議論になればよいと思いますが、今の御説明について如何でございましょうか。何かあれば、どうぞ遠慮なく御指摘して下さい。

○宮原委員 3ページの論点の2つ目に「過去に比べ漁獲量が減少するなど、海域の生物生育環境に異変が起きているとの指摘がある。」のところでございますが、最近の温暖化という影響を受けているせいかちょっとよく分かりませんが、瀬戸内海にも有明海によく出ておりますナルトビエイ、あれがかなり出現をしておりまして、貝類等をかなり捕食しているというような状況がありまして、温暖化の問題というのも一つ観点の中に入れていただいたら如何かなというふうに思っております。

○松尾部会長 分かりました。非常に貴重な御意見だと思います。ずいぶん幅広いことが影響しそうですね。どういうところに影響しているかということですね。分かりました。水温だけではないかもしれませんね。海水温だけではなくて、色々なこと。
 他にはどうでしょうか。
 私からの質問ですが、指摘があるとか、必要であるとか、現在の段階はこういうことになっていると思うんですが、次回にはなにかしろまとめていかなくてはいけないわけですけれど、そうするとフォローアップという目的に対応させる時に、この指摘がどういう格好で整理させてまとめられていくことになるのか、その方向が分かるともう少し議論がしやすいかと思いますが、如何でしょうか。

○山本閉鎖性海域対策室長 まだはっきりとしたアイデアがあるわけではないんですけれども、今考えておりますのは、これまで御指摘いただいたものを目標に沿ってまず整理してみました。例えば資料2-2の別紙でつくっているようなものも各関係者がやられている施策ということで資料として付けたいと思いますが、それを踏まえて、目標に照らして、今、各施策の進捗状況はどうかというのを、本日御議論いただいて、この御指摘があるというのは、これまで先生方からいただいたもの、あるいはこちらで整理したものですが、その指摘はそういうことだというふうな御了解を得られれば、それを取り込んだ形で、各施策について現時点で評価するとこういうことではないかという取りまとめを事務局として文書の形で整理をします。そして、御指摘があった点について色々裏付けの資料とか必要であればそういうものを整理して、併せて取りまとめとして提示したいと考えております。

○松尾部会長 そういう点では、論点がとにかくこういうふうにあるということを整理していただいている。それで今の温暖化の問題の論点というのは、確かに従来ないことだと思います。そういう意味で、これで欠けていると思われることとか、こういうことまでどうなんだろうかということがあれば、ぜひ追加していく必要があることは非常に重要と思います。

○須藤委員 論点の整理で、内容的には2回分、全部網羅されていると思いますし、今の温暖化の問題はその時の議論には当然なかったわけですが、有明、八代等の温度の上昇、ナルトビエイの食害なんていうのを多分類似のことが瀬戸内海でも起こっているのでしょうから、それを入れていただくのは当然よろしいかと思いますよね。
 それともう1つ、この論点の整理でよろしいんですが、大阪湾がやはり特異な水域ですよね、瀬戸内海の中で。共通のところがほとんどだけれど、大阪湾だけに言える話も結構ありますよね。それなので、そこが分かりやすく整理されたほうが、水質等の総量規制等も違っていますよね、今度ね。ですから、大阪湾だけの話の部分というのは何か分かりやすく分けてというか、記載されては如何でございましょうか。これからまとめていく段階では如何でしょうか。

○山本閉鎖性海域対策室長 そのようにしたいと思います。

○松尾部会長 他にはどうでしょうか。
 余談ですけれども、景観みたいな話も入っています。この間、深夜番組で安藤忠雄さんが話しているのを聞いて、瀬戸内海の島が今荒れてきて非常に酷いんだということを言っておられたのを印象深く聞いているんですが、緑化とか何かというのも環境保全基本計画の中では当然扱われるわけなんですね。安藤さんが言っておられた、私はよく実態は分からないんですが、島が荒れてきて非常に困っているんだというような、非常に一般的な発言であったんですが、新たに差し迫って問題になっているこというのは何かあるんですか。それはあまり具体的にはなっていないんですか。
 もう、ごみの埋立てみたいなものはないですね。不法投棄みたいな問題はもうほとんどないんですね。

○山本閉鎖性海域対策室長 特に漂流漂着ごみですとか、海辺に投棄されたごみの問題はこれまでの部会でも御指摘がありましたし、やはり問題としては残っている。それを集める労力も大変なんですけれども、その後、きちっと処理するための体制というか、システムが十分にできていないというようなことがありまして、そこは問題点として指摘されております。

○松尾部会長 宮原委員。

○宮原委員 5ページの目標達成のための具体的な施策の中で、瀬戸内海の漁業の中で一番大きなのはノリの養殖なんですが、最近、ノリの色落ちというものがかなり進んでおりまして、この対策をこの目標達成のための具体的な施策の中のどこかに入れていただくことが可能かどうかお尋ね申し上げます。

○松尾部会長 それは如何でしょうか。

○山本閉鎖性海域対策室長 先程須藤先生から御指摘いただいたこととも関連すると思うんですが、瀬戸内海については、特に大阪湾とその他というところで大分取組のアプローチを変えなければいけないということが指摘されております。特にノリの問題につきましては、むしろ窒素、リン等の栄養塩をどううまく管理するのかということが重要なことでございまして、それにつきましては環境省もどうやってうまく管理すればノリにとってもよいし、水環境にとってもよいという状況がつくっていけるのか。かなり難しい問題でありますが、そういった取組はしておりますので、それは何らかの形で位置付けることはできると思います。

○松尾部会長 他にはどうでしょうか。

○森委員 今の5ページなのでありますが、論点の中で「最近については干潟面積の減少、海砂利の採取、埋立ては抑制出来ている。」という断定的な書き方になっているのですけれども、ここは一番経済活動と相関するところで、この5年間の変動が反映しているのだろうと思いますけれども、やや断定的なので少し気になるところであります。というのは、これまでの長い歴史の中でいつもここは大きな論点、争点でありましたので、記述には慎重を期したほうがよいのではないかという気がします。

○松尾部会長 ありがとうございます。他にはありますでしょうか。

○青山委員 先程お話がありましたように大阪湾とその他の海域というふうにまとめてしまってよいのかどうか、一連の流れの中でそれぞれの都道府県が海洋の基準値を持っていますけれども、多分、現場の人は隣の府県との関係においてどう定められているかよく分からないままに、その数字だけを目標で減らすということをやっているようですが、そういう一連の流れの中で分かるような記述というか、欲しいなと思います。
 それから、先程部会長から島の話がありました。もちろん全部が全部は見えないですが、人が住んでいる島と人が住んでおられない島があって、人の住んでいる島は最近人口の低下が激しいんですね。そのことによる島の悪化が瀬戸内海全体に対する景観を含めた悪化につながっているので、果たして瀬戸内海の問題は島の人の生活まで含めた形で取組むのかどうかということも大きな課題かな、という感じがいたしますけれども。

○松尾部会長 環境保全基本計画の枠組みが今のお話になってくると変わりそうな議論にまでなるんですけれども、あまり手を広げるのも難しいでしょうけれども、何か感想はありますか。

○山本閉鎖性海域対策室長 特に瀬戸内海というところを取り巻いている県の連続性ということはこれまでも御指摘いただいているので、その整理のところは先程の須藤先生の御指摘も踏まえながら工夫をしたいと思います。
 それから、人の生活みたいな御指摘が今ございました。後程御説明しますが、特に瀬戸内海は里海ということで、様々なそういったことにつながっている取組を今後強めていこうという動きがある中で、環境省としても平成20年度の予算要求の中でそういうものを要求していこう。まさに里海というのは人がいかに海と係わってということですから、人の暮らしというものとも密接に係わってくるということでございますので、そういったところにも関連する、アプローチとしては水環境の側からですけれども、施策もありますので、そういった観点もうまく取り込んで整理をしたいと思います。

○松尾部会長 ありがとうございます。他には。

○道浦委員 先程、景観のことについて部会長から安藤さんのお話がありました。その内容は私は分からないですが、例えば私が知っています例で申し上げますと、和歌山県で大阪との県境に近い雑賀崎というところがあります。昔から万葉集にも出てきます景勝地で、海が綺麗なところなんですが、その雑賀崎の突端に立ちますと左半分を見ますと美しい海なんですが、右半分は絶対に見ないというか、荒れたままで全然使われていない埋立地が延々と続いていて、真正面の海から右は埋立地の荒涼とした景色、左は綺麗な海というふうにはっきりと分かれます。
 それで、10ページに書かれているんですが、「埋立てにより失われた自然の再生努力が不充分との指摘がある。」という前にも御指摘があったと思うんですけれども、一度埋立ててしまった、それが全く利用されていないという場所が各地にあるように私も感じているんですが、そういうものの再生ということに対してはどのような計画をお持ちなのか、少し教えて下さい。

○松尾部会長 それは多そうですね。ここだけではなくて日本中何かありそうな印象を持ちますが、どうですか。

○山本閉鎖性海域対策室長 大変重要な御指摘だと思います。今、手元に御説明できる材料がございませんので、またその辺は実態等も含めて整理をさせていただいて御説明させていただきたいと思います。

○松尾部会長 どうぞ。

○白木委員 道浦委員がおっしゃったような人工的な埋立地の再生の問題では、そういう広い、誰も使っていない草原のような場所にキジの親子が棲み始めているとか、フクロウが現れるとか、そういうようなことも私たちの周りでは起きています。そのようなこともきちんと捉まえた上で、その場所をどうするのか、現場に即した自然再生というのを考えていただきたい。単に公園をつくればよいとか、そういうのではなく。
 これもいつも申し上げていることなのですが、干潟の調査時に面積だけではなくて、そこに棲む生き物の変遷(先程温暖化の話でも言われていたように、私たちの周りでも今までにいなかった生物がどんどん棲みついていくので)などの状況を早く調べていただいて、その生き物の変化、警告みたいなものに、環境省も一般の方々も関心を持って欲しいと思います。

○松尾部会長 ありがとうございました。それでは、今のようなある意味でだんだん質の高い環境を求める気持ちというか、要請は強くなってくると思うので、従来のある種の環境指標を超えるような要請も場合によってはこのフォローアップの中で考えていってよいことになるのかもしれませんね。
 まだこういう議論はありそうですが、時間も予定は4時までということになっていますので、少し先へ進めさせていただいて、その後の時間に余裕があれば、また戻るということで一つ先へ進めさせていただきたいと思います。
 2番目のことは、若干今の色々な議論に関係があると思うのでありますけれども、今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会と中長期ビジョンの策定についてということで、もしかしたら今のようなことにも係わって議論をさせていただけるかもしれません。事務局のほうからこの辺の御説明をいただきたいと思います。

○山本閉鎖性海域対策室長 お手元の資料3につきまして御説明させていただきます。今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会と中長期ビジョン策定についてということであります。
 まずここの今後の閉鎖性海域対策に関する懇談会ということですが、資料の7ページを開いていただきますと、7ページに懇談会の目的、構成員が書いてございます。当部会におかれましては岡田先生に御参画をいただいておりますが、ここに書いてありますように海域に関する有識者の方々と、それから関係各省庁の行政関係者に参加をいただきまして議論をしているものでございます。
 平成18年度、昨年度を4回開催いたしまして、今後の閉鎖性海域対策を考えるうえでの様々な論点を議論いただいて整理をしていただいた。その論点に沿いまして、今後、環境省としては取組を進めていきたいと思っておりますので、本日はどのような論点整理がなされているかということと、それを受けて環境省が今どんなことをやろうとしているかというのを御紹介させていただきまして、先生方の御意見をいただければありがたいと思っております。
 それでは、最初のページに戻りまして1ページ目でございます。「閉鎖性海域を取り巻く課題」というところですが、これはもう皆様御存じのとおりですので、あまり説明するまでもないかと思いますが、有機汚濁あるいは栄養塩の流入によりまして赤潮の発生、それから貧酸素水塊の発生、それが底泥から栄養塩の窒素、リンの溶出あるいは硫化水素の溶出というようなことにつながっていって、悪い循環がなかなか解決されないということで、問題点に指摘されておりますように魚介類の斃死というのもありますけれども、種が変化していくとか、漁場が変化していくというようなことがございます。特に生物の生息の場、生態としての環境というのは、決して良好な状況ではないということでございます。
 その次の2ページ目は閉鎖性海域における取組ということで、これも御存じのとおりかと思いますが、海水交換の悪い、いわゆる閉鎖性海域を日本では88か所指定しております。こういったところはうまく対策をしないと富栄養化の恐れがあるということでありまして、窒素、リンの排水規制に加えて、3大海域、東京湾・伊勢湾・瀬戸内海では総量規制を実施しているという状況でございます。
 次のページ、3ページ目でございますが、こちらは水質総量規制制度の概要というところであります。そこの四角囲みの中に書いてありますように昭和54年から5年ずつ5次にわたって実施してきておりまして、現在、第6次の総量規制をやっている。COD、窒素、リンにつきまして総量規制をやっておりまして、窒素、リンがそこにありますように第5次から追加されて取組をしている。
 ここにグラフは見にくいですけれども、負荷量としてはそれぞれCOD、窒素、リンとも相当3つの海域で下げてきているという状況がございます。
 4ページ目に「水質総量規制制度の体系」ということがございます。これも制度の説明ということでありますが、国が全体の基本の方針をつくって、それに従って都道府県が具体の削減計画をつくるということですが、ことに目標となる削減目標量というものを、かなり細かな事業所の実態等も調べまして、その上で各県あるいは発生源ごとに削減をして総量を決めているという、かなり大がかりにやっている制度でございます。
 その次のページからが本題になりますが、6ページ目でございます。第6次水質総量規制と今後の課題というところでございます。こちらですが、第5次まで総量規制を進めてまいりまして、全体として水環境はかなり改善が進んだということはあるのですが、一方で先程申し上げたように生物にとっての生息環境ということでは必ずしも十分改善ができていないのでありますとか、特に東京湾、伊勢湾、大阪湾といったような部分ではまだまだ改善が必要な状況が続いているというような状況がございます。
 この第6次総量規制のところでは、先程、須藤先生からありましたように、ここで海域の状況としましては大きく2つに分けて、瀬戸内海の中でも大阪湾と大阪湾を除いた瀬戸内海ということで分けさせていただきまして、ここに書いてありますように評価をしてございます。
 対策の方向性としましては、東京湾、伊勢湾、大阪湾につきましてはさらに負荷を削減していくことが必要だということでありますが、大阪湾を除く瀬戸内海については悪化をしないような現在の施策を維持するというのが対策の方向性ということで、さっきも申し上げたように、むしろいかにうまくコントロールしていくかということが大阪湾を除く瀬戸内海の場合は課題ということになっております。
 そういう対策の方向性を踏まえて、第6次の総量削減基本方針がつくられておりまして、現在、それに従って第6次の総量規制が動いているという状況でございます。
 本日、お話をしたい部分はその隣の今後の課題というところでございます。総量規制は第6次の総量規制を今実施しているのですが、その過程でやはり今の制度について様々な課題が指摘されているというところでございます。その主なものを提示したのがこちらでございます。
 まず最初の①といたしまして、目標とすべき水質の検討というのが課題であるということであります。指摘の中身といたしましては、CODという物差しで有機物を測っているわけですが、CODはだんだんと対策が進んでいって、要は分解されにくい、海に入っても酸素を消費しにくいCOD成分が増えてきているというようなこともありまして、同じCODの値であってもその中身が変わってきているのではないかというような御指摘がございます。そういったようなこともあるので、実際にCODの数字とは別に海域環境が変わってきている部分がある。そういったところをしっかり掴まえたうえで今後どういった水質を目標とすべきか。どういうふうに評価をしていくのかというところについて検討が必要ではないかというのが大きな宿題としてこの第6次総量規制の方針を決めていただく過程の中で出てきたものでございます。
 それを受けまして、②に調査研究の推進と対策の検討ということであります。その中身をしっかり見ていくためには、もっとメカニズムをしっかり解明していかなければいけない。陸から入ってきます汚濁負荷もありますし、海の中で内部生産される負荷もあります。それから外の海との交換による影響もあります。それから、埋立て等で地形が変わってきていることによって流れが変わってきている。それによる影響というものもあります。
 それから、これまで十分評価されていなかった藻場にも浄化機能があると言われていますが、そういったものをどう評価するのか。本当に適切な対策を考えていくうえで、まだまだ解明しなければいけないものがあるということで、こういった具体的な宿題をいただいているというところです。
 それを踏まえて、効果的な対策のあり方について検討をする。総量規制制度自体はこれまで大きな成果を上げてきたわけですが、総量規制以外にも様々な対策があるという中で、どういった対策を今後は組み合わせる。どのように組み合わせてやっていくのがよいのか。そういった対策のあり方についてしっかりと検討する。こういったことを、第6次総量を実施する傍らでしっかり検討するように、ということが今後の課題として整理されてございます。
 これを受けまして具体的に、じゃあどんなふうにこれを検討していったらよいのかということを先程御紹介いたしました懇談会の有識者のメンバーの先生方、それから各省にも御協力をいただいて論点を整理したというものでございます。
 本日、お配りをしております参考資料2、こちら側が本体になっておりまして、今、私が口頭で申し上げたようなことが丁寧に書いてございますので、またそちらを御一読いただければ大変ありがたいと思いますが、本日は時間の都合もありますので簡単にこのスライドの資料に沿って御説明させていただきます。
 6ページ目は水域面積当たりのCODと補正CODの推移ということですが、これは大体全体で見ていただきますと分かりますように、左下がりの図になっておりますから、それは水域面積当たりのCOD負荷量を下げていけばCOD自体は改善されるということですが、ここにありますように大阪湾については、そういうことで負荷量を下げてCODも下がるという状況ですが、大阪湾を除く瀬戸内海についてはもう点がお団子になっているような状況で、年代によっても、ほとんどCODという指標で見た場合には変化がとれないというような状況だというグラフでございます。
 それから、7ページ目が先程御紹介した懇談会のメンバーですので、次に8ページ目を御覧いただけますでしょうか。8ページ目が懇談会における主な論点ということでございます。
 ここは先程のおさらいになりますが、様々な対策が採られているということではありますけれども、そこに書いてありますように一定程度は赤潮も減少したけれども、最近は横ばいになっているということもありますし、様々な課題が残っているという認識がございます。
 9ページが、具体的にどんな課題があるのかということですが、「残された課題」というところでございます。①で利水障害等の実海域での問題点として生態系の劣化とあります。まず、左側は伊勢湾の例ですけれども、貧酸素水塊が発生する。これは左から7月から8、9、10、11ということですから、相当長期にわたって貧酸素水塊が継続して発生しているという状況で、こういった状況であれば底生生物はほとんど斃死してしまうというような状況でありますので、生態系としては大きなダメージを受けるということがございます。
 それから、大阪湾以外の瀬戸内海につきましても、こういった大規模な貧酸素水塊ということではないんですけれども、よく言われていますように漁業で見ると漁獲が減ってきているというようなこともありまして、さっき申し上げたように生物の生息環境自体がやはり変化をしてきている、あるいは藻場、干潟といったような生息の場が失われていっているという実態がございます。
 そういった状況を踏まえて、対策を講じるうえでの課題ということで、1つは目標設定に関する課題ということですが、例えば現在の環境基準、CODにしてもDOにしてもそうなんですけれども、海域でも表層の部分を見ています。例えば底生生物が棲んでいる底層の溶存酸素を見ているわけではありませんから、そこが悪くても環境基準に直接は跳ねてこないということで、こういったところをきちんと守っていくためには目標設定をより生息環境とリンクしたものにしていく必要があるのではないかというような課題があります。
 それから市民に分かりやすい目標ということで、CODが幾つと言ってもなかなか普通の人が分からないということもありますので、住民参加が色々な取組に求められる中でこういった市民に分かりやすい目標というものも必要であろう。
 それから、ある程度中長期、あるいはその途中段階での目標といったような目標設定も重要であろうというような課題が整理されております。
 そのための手法というようなことで、モニタリングを従来のようなやり方からさらに充実を図っていく部分がありますし、栄養塩類の管理という意味でも、単純に窒素、リンということではなくて、有機なのか無機なのかといったような栄養塩の形態によっても影響が違ってきますので、そういったことも含めた管理が必要ではないかというようなことですとか、生物にとってかなり底質の環境が大きな原因となっているということで、そこを如何に改善していくのか。そういったことが大きな課題として指摘されております。
 それから、あと個別の工場、事業所からの発生というのは、相当きちんと測られて量的にも正確に把握されているんですが、その他の市街地あるいは田畑等が面源から発生してくる負荷というのが、必ずしも十分な制度で捉えられていないのではないかという指摘もあります。そういったような課題が論点としては整理されてございます。
 次のページ、10ページ目でございますが、こういった閉鎖性水域での水環境を検討するうえでの論点整理といたしまして、今申し上げたようなことを踏まえて考えると、まず1つに閉鎖性海域の水環境改善には時間がかかるということで、長期的な取組が必要でありますので、色々なことをやっても目標とする数字、指標が変わらないということだとなかなか取組が辛いということもあります。国民の皆さん、住民の方々に理解をして、一緒にやっていただくといううえでは、最終的にはどういった海域環境を目指すのかという像と、そこにどうやって到達するのかという具体的な道筋をしっかり示していくということが重要ではないかということが論点として整理されております。
 その際の目指すべき水環境の目標ということですが、1つには先程大阪湾と大阪湾を除く瀬戸内海と申し上げましたが、大阪湾を除く瀬戸内海といってもやはり都市部の例えば広島湾とその先というところでは全然水環境が変わってきますから、その海域ごとにもう少しきめ細かに地理的な特性だとか、実際にどんな形で利用されているのかといったような利用形態を考えていくということが重要ではないかというのが論点として整理をされてございます。
 それを実際に目標とするための指標の要件ということでありますが、先程と基準の考え方とかぶるところがありますけれども、もちろん定量的な評価が可能でなければなりませんし、施策の効果が適切に反映される。色々な施策をやって、それが評価すべき指標に反映されないといけないということがありますので、そういった観点。それから市民に分かりやすいという観点と最初申し上げたような生物の生息環境とうまくリンクをしているということ。それから将来予測はできる。こういったようなことを満たした指標が必要ではないかという整理をされております。
 今申し上げたようなことをある程度整理いたしまして、11ページでございますが、今後の検討の進め方ということで、検討の進め方の論点を整理いたしますと、まず最初の箱にありますように、水環境の目標の設定というところが大事なんですが、その際に海の状態を表す状態指標、それから施策によるコントロール可能な制御指標に分けて設定する。これは例えば状態指標の候補というのがその下に書いてありますように、例えば海の透明度だとか、それから先程申し上げたように底層の溶存酸素量だとか、そういった海が今どういう状態にあるかというのを直接的に示す指標というのがいるだろうということと、それとは別に例えば工場、事業所の排水で何を削減するのかといったような、施策で実際に削減なりコントロールをする制御する指標と、その二つを考える必要があるだろうというのがこの懇談会での整理でございます。
 状態指標の候補を検討したうえで、具体的にそれぞれの海域でどんな利用実態にあるかということも踏まえまして、状態指標の目標値を設定するということで、目標値でその海域ではどんなところまでそれをもっていくのかという将来像を示していくということが必要なわけですが、その時に重要になってくるのは、このシミュレーションの部分でありまして、具体的に色々な対策をとっていった時に、それがどういうふうに改善に効いてくるのか。
 例えば状態指標と実際に対策、施策をコントロールする制御指標との関係がうまくシミュレーションで再現できるようになっていなければいけませんし、そういったものに従って、じゃあその制御指標に決めた指標を目標のところまで減らしていくためには、どんな対策が必要なのかというところのシナリオ設定というのが重要になってきますので、その具体のシナリオでもって実際にシミュレーションをしてみて、先程の状態指標で考えた海域の将来像にうまく到達できるかどうかということをしっかりと確認をしていくというようなプロセスが必要です。
 そうなってきますと、最終的には海域の将来像を実現するためにはここで制御指標として考えたものでどれだけ海域では負荷として許容できるのかという、許容負荷量といったものが海域ごとに設定できるのではないか。こういったことを今後やっていく必要があるのではないかというのが論点整理でございます。
 次のページでございますが、このような論点整理をしていただいたことを受けまして、環境省としましては真ん中の箱にありますように閉鎖性海域の中長期ビジョンの策定ということで調査予算を今年度から3か年で準備をいたしまして、この懇談会でまとめていただいたものを受けて次のステップに進めていきたいと考えております。中身は先程申し上げましたような懇談会で論点整理いただいたことを踏まえて、具体的にどんな指標で目標を設定していくのか。海域ごとにどんな目標を置いていくのかということをシミュレーションモデルを整理しながら、一方で考えていく。その時に対策シナリオの検討ということで、現行の総量規制というものもあるわけで、それも1つの手段でございますが、それ以外の様々な取組、改善のための施策がありますので、そういったものの対策を一定の費用対効果も見ながら考えていって、これで具体的に目標を達成していくという具体的なシナリオをつくっていくという作業に着手をしたいと考えております。
 これは、具体的に準備はしている状況で、まだ動いておりませんが、早ければ来月にもこれまで御検討いただいた懇談会を受けて、新たな懇談会のような形で検討をスタートしたいと考えております。
 若干分かりにくい説明であったかもしれませんが、事務局からの説明は以上でございます。

○松尾部会長 ありがとうございました。如何でしょうか。何か御質問はありましょうか。

○鷲谷委員 懇談会で整理された論点であるとか、指標の考え方についてよく理解できたんですが、総合的な指標として生物指標、バイオインディケータということになりますが、生物そのものを指標とするということも考えてもよいのではないかと思います。と申しますのは、今提案されているのは環境のそれぞれ個別の面の指標なんですけれども、ある生物がそこで生息できるということは、色々な環境の問題がクリアされて初めてできるので、総合性があるということと、ここでは市民に分かりやすい目標とか指標ということが1つ挙げられていますので、そうすると生物は分かりやすいのではないかということなんですね。
 瀬戸内海の自然をよく見ていらっしゃる方がふさわしいバイオインディケータの御提案をされるとは思うのですが、例えば陸域では今こちらの地方だとコウノトリがすごく重要な指標になっています。里地、里山の環境の健全性の指標となり、また地域づくりの目標の中に取り入れられて、兵庫県の豊岡市等ではそれを軸に自然と共生する社会で、経済と環境とリンクした戦略が進められていると思うんですが、そういう観点から考えると、もしかすると瀬戸内海の干潟を指標としているカブトガニとか、何かそういうようなものが考えられるのではないかと思います。それが1点です。
 もう1点なんですけれども、そういう質的なことの他に地形の改変というのがとても大きな課題であるというのは、これは伺っていてもよく分かったんですけれども、直接的な埋立ての他に流砂系の変化、すなわち河川から供給される土砂でありますとか、それが海に入ってからの流れ等の変化ということも地況の改変とか、これから自然再生等で色々手を加えた後にどうなるかということを予測するうえでも重要ではないかと思いますので、それも把握することが必要、直接埋立ては非常に把握しやすいですけれども、流砂系という観点から瀬戸内海でどういうことが起こっているかについても把握する必要があるのではないかと思います。以上です。

○松尾部会長 ありがとうございます。岡田先生、何かございますか。

○岡田委員 鷲谷先生の御指摘のとおりでございます。実は先生が御指摘になったことは、この議論の中ではそれなりに入っております。例えば底層のDOというものが新しい状態指標の候補で入ってまいりました。底層のDOを指標に入れるべきだというのはほぼ委員の全員がといってよいくらい各先生方が御指摘されたことです。
 ただ、底層のDO、今、海の窒素とリンの環境基準の一番下のランク5だったと思いますが、そこに3㎎/lというのがございます。じゃあ、それをそのままここの底層のDOの状態指標に入れるかというと、ベントスの最低限のものが守れる程度のものでございますから、多分そういう想定には委員の先生方はなっていないと思います。
 そういたしますと、ではどういう魚を守るためには底層のDOを何㎎/l以上にすべきか。しかも、そのDOは年間を通じてこのレベルにすべきか。夏期の間、1週間は何㎎/lを守らなければいけないとか、生物種によってかなりきめ細かく決めておく必要があるだろうというふうに考えております。そういう議論もされました。
 なぜそういうことになったかというと、先を越されているというか、アメリカのチェサピーク湾ではそういう非常にきめ細かい、こういう生物種を守るためにはこういうDOである、そういうことをいちいち決めています。では、我が国でそれと同じようなことをどこまでできるかというのは、現実に得られるデータという問題があるかもしれませんが、一応委員の中ではそういう議論がございます。
 同じように透明度につきましても、透明度は基本的には例えばアマモの生育下限水深をできる限り広げるためということになります。そうするとアマモに必要な光量はどのぐらいで、そのためには透明度をどのぐらいにすべきかというようなことで、瀬戸内海は主にアマモだと思いますが、それ以外の例えば海草、藻類をターゲットにするとなれば、また透明度の基準も変わってくるということで、やはり先生の御指摘の生物種をきちんと考えてこの状態指標をつくっていく時代となっているというふうに考えております。
 それから地形改変の御指摘でございますが、これは懇談会で直接議論があったかさほど深くは記憶しておりませんが、シミュレーションを海域ごとにやっていくというところに地形改変のアイデアが当然入ってくるというふうに思っております。例えば総量規制、第5次まではどこの海域もみんな一緒。護送船団と悪口を言ったら叱られるかもしれませんが、今度、大阪湾以外の瀬戸内海とその他のところが分かれました。シミュレーションをやろうということになりますと、各海域を1つひとつ見ていく。それは私どもが今仕事をしております広島ですと、広島湾のシミュレーションをやるということがどうしても自動的に想定されますので、そういう意味では地形改変のことも頭に入れながらこのシミュレーションをやって、状態指標を満足するためにはどういうふうに制御指標をコントロールすればよいかというようなストーリーになるかと思います。
 御指摘ありがとうございます。御指摘の趣旨をもう少し明快に生かすように今後多分議論が進むだろうと思います。以上でございます。

○松尾部会長 ありがとうございました。

○須藤委員 関連でよろしいですか。鷲谷先生、岡田先生のおっしゃっておられることを私も全く同感で、異議があって申し上げるわけではなくて、今後、水域の改善の目標をどう立てていくかという時の状態指標はどうすべきかというのは当然大切なんですが、このモニタリングの中でそういうデータを蓄積しないといけませんよね。その時に、これは私も地方環境研究所の会長もやったことがあるんですが、環境省がやれと言わないことはやらないんです、一言で言ってしまうと。もちろん基準になったら環境省がやれと言われなくてもやるんだけれど、基準にならない前は環境省がやれと言わない限りやらないです、これは。私が何を申し上げたいかというと、今、岡田先生がおっしゃっているとおりなんだけれども、そのデータの蓄積はおそらくそれぞれ瀬戸内海の地方環境研究所の方がやるでしょうし、水産試験場がやるでしょうし、同じことが川でも湖でもあるんですが、義務になっていることは、これは予算があろうがなかろうが何とかやるんだけれども、義務になっていない、特に生物の指標のことは生物調査をしなくてはいけないと言いつつ、上からすれば余分なことをやるなということなんです。関係者は言っていないんだから、余分なことはやるな。こうなるんですね。
 それなんで、ぜひ今日お願いしたかったことは、岡田先生が言うデータを蓄積するためにも補助指標でも何でもよいから、水生生物の時にそれを調べてから水生生物の類型把握もしないと。今やっていますね、亜鉛のやつを。それをやっているのは非常によいことですが、あれもあまり義務ではないんですね。もうちょっと強く亜鉛の基準を決める時には水生生物の調査をやったうえで決めて下さい。はっきり言っていただいたほうがよいので、これからDOにしても透明度にしてもやるので、それとその生物の特殊な生物を調査したうえで、これと水質を関連させて下さい、こういうふうにやっていただくと、基準まではすぐいかなくても、補助指標でよいんで、ぜひ環境省からそういうふうにやらないと、皆さんがやってくれないので、岡田先生がいくらおっしゃられてもデータの蓄積にならないだろう、私はいつもそう思っていますので、ぜひそのためにも御指示をいただきたいと思います。(拍手)

○松尾部会長 ぜひ環境省に頑張っていただいて、予算も取っていただかなくてはいけないかもしれませんが。他には。どうぞ。

○藤原委員 指標のことで関連して申し上げたいと思います。この総量規制の制度ではCODが採用されています。状態指標もCODで、制御指標もCODですよね。これありきで来ているんですが、須藤先生もおられるし、岡田先生もおられるのでお聞きしたいんですけれど、TOCをなぜ使わないのかということです。少なくとも状態指標は、TOCのほうが今はよいのではないか。閉鎖性水域の色々なところで、たとえば世界中を見ると色々なところがありますが、そういうところの汚濁状態の表示法として国際会議なんかでもどういう指標が一番よく使われているのかなと。私は学者でないですからよく知りませんけれど、そういう時にこういうCODなんかはあまり使っていないのではないか。TOCのほうが使われているのではないかというふうに思うんです。
 これは法律の制度ですから、それはCODでやるんだと書いてあるのに変えられないかもしれませんけれど、少なくとも状態指標の1つとして入れるというのは如何なものかなと思いますけれども。

○岡田委員 御指摘のようにTOCを入れるべきだという御意見はこの懇談会でも当然出てきております。諸外国もTOCに近いことも承知しております。ただ、そうは申しましても今のCODの値を例えばそのまま何らかの係数をかけてTOCにすれば、環境基準の体系が「はい、それで終わり」というわけには現代はいかないだろうというふうに考えております。今、例えばCODが2と決めたら、それはかくかくしかじかの利用目的、水産一級と、あとは自然環境保全となっていますね、そのCODに対応するのがTOCで、幾つか分かりませんが1点何とかとすると、それを変えただけでこの環境基準を認めてくれというふうに言えば、それは大丈夫ですか、30年前決めたことと換算係数を変えただけでOKにしますか、というのはやっぱりちょっと無理ではないか。そうすると、新しいTOCに対してCODはもちろん1対1でありません。多少違いがありますから、その辺も踏まえて、ある利用目的に対して幾つのTOCが妥当かというのをきちっと科学的に国民に説明しなければいけないということになると、大変なことになるのではないかというふうに思いますし、今の利用目的と書かれている言葉が十分かということも先程の懇談会で御指摘を色々いただいているところですので、科学者、技術者としてはもちろん藤原委員のおっしゃるとおりですが、なかなか踏み出せないのではないか。難しいところだというふうに思っております。この辺で勘弁して下さい。須藤先生にバトンタッチします。

○須藤委員 続きは私が少しやらせていただきます。岡田先生を委員長として、これは別に瀬戸内海だけではなくて、これからの生活環境項目の測定項目の、要するに状態指標ですね。あるいは制御指標でもよいんですが、それをどうやるべきかということについて、何年間になるのでしょうか。2年目、3年目になるんですかやっていまして、報告書もできているんで、それはどうぞ御覧になっていただきたいと思いますが、私もTOCに部分的に変えるだけでは済まないだろうな。全部をちゃんと見て、30年前ですね。おそらく漁連がやって下さったころよりもっと前になりますね。それで例えばこうやるべきだと決めるのならよいんだけれども、今のCODのところだけはTOCで岡田先生が言うように、例えばそれを1.5にしようとか、それではまずかろうと思うので、全面的にさっきのDOも亜鉛も全部混ぜて、それでつくり直すというのであればよいと思うので、将来は私はそうするべきだと、岡田先生も提言しているんだけれども、今のところのCODの部分だけTOCに変えてしまうというのでは、極めて不十分だし、多分非常に混乱を招くし、それから岡田先生が言う換算係数ですか、さっき申し上げたように、私のところもそうなんだけれど、現場に行ってCODは基準項目だから測ってきますよね。だけどTOCは一緒に測りません。研究者が研究する時は測るんだけど、データがないんです。同じところのCODとTOCと。皆さんからすると、何でそんなことができないのかと言ったって、環境省がやれと言わない限りはやらないんですよ。ですから、さっきの生物指標と同じです。TOCが必要なんだったら環境省はTOCを測ってくれと全部の環境研に言って下さいね。そうするとデータは揃いますよ。そうすると、これは換算ができるかもしれない。

○松尾部会長 分かりました。この議論は根が深そうで、実は時間のかかる議論です。

○松井委員 下水道行政に長く携わっていましたけれども、底層のDOでも透明度でもきちんと決められていることは結構なことです。では、排出基準として何を決めればよいかということについて、少なくとも議論をしてもらいたいということだけであります。

○松尾部会長 私はどちらかというと早くCODはやめろ、こう言いたいほうなんですけれど、そういう意味で環境省はもっと動くべきだと思いますね。理由はいくらでもあるんです。岡田さんも言われたし、須藤先生も従来からというふうになるんだけれども、これから先のことを考えたら早く変えたほうがよいし、必要ならば全部見直したらよいのではないかと思いますけれども、一言だけ言わせていただいて、座長の権限で先に進ませていただきたいと思いますが、1つだけ言うと、制御指標と言うんだけど、最終的にはノンポイントをきちっと押さえる方法を考えないと、結局発生源という産業系だけを押さえる、下水道処理場だけを押さえるという形になって、必ず不満が最終的なところで出てくるんですね。ですから、やはりノンポイントということは非常に重要な要素であって、面源とか書いてありますけれども、どういうものが出ているのかということも含めて、これは自然界に影響のないCODなんだと言うのなら、それでもよいと思います。ですから、そこははっきりさせないと基本的に制御できないだろうと思うんです。後の総量規制の最大の問題はそこへ行き着くわけで、水環境部会のほうでも最後はそこで議論していて、しかし他にコントロールできるのがないので、当面は人間から発生するものについてやりましょうというふうにならざるを得ないんです。しかし、そろそろもうノンポイントを本気で考える時期に来ており、今の指標の問題という言い訳はもうよいと思うんです。時間はもう過ぎているし、やっぱりやるべきで、30年前と今が違うのは当然なんで、これからどうするかという時にどういう指標で対応すべきかということで、私はやはり考えるべきだと思います。
私だけ権限を発揮させていただきましたが、時間の都合もあるので、先に報告を幾つかいただいて、また少し時間を残しておきたいと思いますので、手短に予算その他、報告をしていただきたいと思います。

○正賀室長補佐 それでは、資料4のほうを御覧いただけますでしょうか。平成20年度予算概算要求新規事項ということで、先程も申し上げましたが、里海創生支援事業ということで平成20年度予算要求をしております。
 里海という言葉というか位置付けなんですが、資料4の中段辺り四角く囲っておりますが、今年の6月1日に閣議決定されました21世紀環境立国戦略において位置付けられております。そこにありますように藻場、干潟、珊瑚礁等の保全・再生・創出、閉鎖性海域等の水質汚濁対策、持続的な資源管理等の統合的な取組を推進することにより、多様な魚介類等が生息し、人々がその計画を将来にわたり享受できる恵み豊かな豊穣の里海の創生を図るということで、今後、1、2年のうちに重点的に着手すべき環境施策ということで位置付けられております。
 1枚めくっていただきまして、ポンチ絵をめくっていただきまして、今後、3年間でこの里海創生支援事業ということをやっていこうと思っております。
 まず初年度、そこにありますように委員会等を設置しまして、モデル海域の選定基準を各海域と言いますか里海となるようなところを選びまして、水質等を調査したうえで選定基準を策定します。また、その水質調査等の現場の状況も踏まえまして現地調査等を実施します。それからモデル海域の公募とか選定を行いまして、2年目に物質循環の調査、水質とか生物調査を行いますとともに、普及啓発を兼ねた市民参加型のモニタリングですね。先程おっしゃられたように、魚とかそういうものがいるとか、あとこれも山の関係もございます。山が荒れますと、海のほうも荒れるということで、そういう植林の山のリーダーと言いますか、植林活動と言いますか、そういうものも進めていって里海創生支援事業ということでやっていきたいと思っております。
 3年目には里海づくりのマニュアルの作成ということで、現地調査の結果からをそういうマニュアルを策定しまして、シンポジウムの開催とか広報活動を通じまして里海という概念を普及啓発させていきたいと思います。また、里海という概念を海外にも情報発信していきたいというようなことで、3年間でやっていくということで、一応平成20年度は5,000万円の要求をするということになっております。以上です。

○松尾部会長 次お願します。

○篠田主査 引き続きまして、瀬戸内海の環境の保全に関する府県計画の改定についてと瀬戸内海における干潟実態調査の結果について資料5と資料6を御報告いたします。
 私は環境省閉鎖性海域対策室で瀬戸内海の担当をしております篠田と申します。どうぞよろしくお願いします。座って説明させていただきます。
 まず、資料5を御覧下さい。こちらは瀬戸内海の環境の保全に関する府県計画の見直しについてですけれども、めくっていただいて3ページに府県計画に関する参考条文を掲載させていただきました。瀬戸内海の環境保全に関する府県計画とは、瀬戸内海環境保全特別措置法第3条に定める瀬戸内海環境保全基本計画に基づき、関係13府県がそれぞれ定める計画でございまして、当該府県の区域において瀬戸内海の環境保全に関し実施すべき施策を具体的に定めてございます。
 この府県計画につきましては、前回の見直しを平成14年に行っておりまして、それ以降5カ年が経過しまして、各機関それぞれ様々な施策の展開を図っていること。また、府県計画の主要な施策の1つである水質総量規制につきまして、今月9月1日から第6次の総量削減計画が施行されたこともありまして、こういった状況を踏まえて見直しをすることとなっておりますので、その主な見直し内容を御報告させていただきます。
 資料を戻っていただきまして1ページ目の下になりますが、1の水質汚濁の防止に関する内容としましては、水質総量規制の内容が現在は第5次の内容になっておりますので、適宜切り換えていくことになっております。
 一番下の2の自然景観の保全ですけれども、国立公園等の見直しであるとか、景観3法が制定されましたので、そういった取組がありました府県につきましてはそれを記述いただくことになっております。
 続きまして、その下になりますけれどもごみ対策等を実施しているような機関、府県がございますので、そういった対策についても記述いただくことを考えております。
 その下にいきまして、海砂利採取、4になります。こちらにつきましては平成14年の府県計画見直し時にまだ採取を禁止していなかった県で、それ以降に禁止された県が何県がございます。また、まだ採取している県につきましても、今後どうしていくかという議論の内部でされている県もございまして、その状況であるとか、今後の方針というものを府県計画に位置付けていただくことを考えております。
 下に行きまして、8になりますけれど、失われた良好な環境の回復としましては、例えば山口県等がされているんですけれども、自然再生事業を実施されていまして、そういった取組。 あと大阪湾等において深掘り等があるんですけれど、こういった深掘り等を埋め戻すというような検討をされている県とかございまして、こういったものを位置付けでいくことになると考えております。
 下の方の環境保全に関する調査研究及び技術の開発等になるんですけれども、環境省のほうで実施しております環境技術実証モデル事業であるとか、県が特に調査研究であるとか技術開発しているようなものがありましたら、そういったものを個別に具体的に記述していくことになると考えております。
 最後に3ページ目の17番になります。広域的な連携の強化等ということになりますが、ちょっと基づくものは違うんですけれども、大阪湾であれば大阪湾再生、瀬戸内海ではもう1か所、広島湾再生という取組が行われておりまして、これは関係府県であるとか、国の機関、その他様々な方が参画して水質調査であるとか、環境回復といった取組をされております。こういった取組を関係府県においては17番の広域的な連携の強化という感じで書いていただくことになる、そういうふうに考えております。
 瀬戸内海の環境省保全に関する府県計画ですけれども、対応について雑駁ですが以上のとおりとなります。なお、見直しなんですけれども、手続き的な話になるんですけれども、平成20年度5から6月、来年の初夏の時期に告示される見通しです。
 引き続きまして資料6になりますけれども、瀬戸内海における干潟実態調査結果について御報告いたします。資料6を御覧いただければと思います。
 干潟なんですけれども、今日も何度か議論に出ていたんですけども、藻場等ともに浅海域における、特異な生態系を構成する場でございまして、生物生息機能であるとか、水質を浄化する機能であるとか、様々な機能を有しているという観点で、環境保全上は大変重要なものであると認識しております。しかしながら高度成長期にその多くが埋立てしやすいという理由で埋立てられておりまして、瀬戸内海においても昭和初期から平成までに約半減しております。
その中で、取りまとめました第6次の水質総量規制のあり方答申において、干潟はそういった多様な機能を有しており、水質浄化に資することから、今後保全するとともに失われた干潟を再生していくことを位置付けておりますし、また環境省の環境基本計画の中で、そのフォローアップのための幾つかの取組についての進捗状況を把握する指標というものを設定しておりまして、環境保全上、健全な水循環の確保に向けた取組、こういった取組を評価する指標として主要な閉鎖性海域の干潟面積というものが挙げられております。
 しかしながら干潟の面積なんですけれども、平成7年ぐらいに実施されました第5回自然環境保全基礎調査以降、面積として把握する取組がありませんでしたので、昨年度、閉鎖性海域対策室の方で調査を行いました。その結果が4ページになります。5.の調査結果、これは表で大変恐縮なんですけれども、こちらが対照図になります。その下に参考という形で干潟面積の推移というものが載っているんですけれども、その一番右側、平成18年度のところ、こちらが昨年度の調査結果になります。結果を一言で申しますと、過去大きく減少していった明治31年から昭和53年ぐらいにかけて大体半減しているんですけれども、平成以降、微増と言いますか、ほぼ横ばいで推移しているという結果になりました。
 その後ろに3枚カラーでA3の紙をつけております。1枚目が、これは平成18年度、昨年度の調査結果で、色がついている箇所は今干潟がある場所という形になっております。めくっていただいて2枚目、こちらのほうも同じように干潟分布が載っているんですが、これは平成6から7年に実施されました第5次の自然環境保全基礎調査での結果、把握された干潟の位置になります。これだけでは分かりにくいというのがありましたので、もう1枚つけさせていただきました。3枚目になります。こちらは前回の第5回から昨年度実施した調査の差分になります。大変細かくて申し訳ないんですけれども、青い場所がこの10年間ぐらいの間に干潟が広がったところ、逆に橙のところがそれ以降に干潟が減少したところになります。
 個別の干潟の面積の増減について、その要因につきましては正直、今回の調査では追いきれておりませんでして、そういった知見につきましては地元の府県さんのほうが知見をお持ちでしょうから、そういった府県と今後連携して整理できるものだけでも整理していきたいと考えているところでございます。以上で瀬戸内海の環境保全に関する府県計画の改定についてと干潟実態調査についての御報告とさせていただきます。

○三輪係員 引き続きまして閉鎖性海域における環境改善技術実証モデル事業を資料7にて御報告させていただきます。私は環境省閉鎖性海域対策室で審査係を担当しております三輪と申します。よろしくお願いします。失礼ですが、座って説明をさせていただきます。
 1ページ目から説明させていただきます。環境技術実証モデル事業は既に適用可能な段階にありながら、環境保全効果等についての客観的な評価が行われていないために普及が進んでいない先進的環境技術について、その環境保全効果等を第三者が客観的に実証する事業をモデル的に実施することにより環境技術実証の手法、体制の確立を図るとともに、環境技術の普及を促進し、環境保全と環境産業の発展を促進することを目的とした事業であります。
 次のページに行っていただきまして、閉鎖性海域における水環境改善技術分野は平成17年度に新規分野として追加されまして、平成18年度に実証試験要領が策定され、実証機関として宮城県、大阪府、兵庫県の3府県が選定されました。平成19年度は4月から実証機関が実証技術を公募し、各府県の技術実証委員会等において申請された技術の形式的要件、実証可能性、技術の先進性及び環境保全効果等の観点から検討を行い、宮城県が3件、大阪府1件、兵庫県1件の実証対象技術が選定されました。
 平成19年度の対象技術は水質及び底質を現地で改善する技術か生物生息環境の改善に資する海域に直接適用可能な技術とされております。
 現在は各実証機関において実証対象技術ごとの実証試験計画が策定され、実証試験を順次実施中でございます。
 平成19年度の瀬戸内海、大阪湾関連の実証試験の概要を説明します。まず大阪府ですが、高石漁港にて実証試験を行っており、対象技術は直接曝気方式、マイクロアクアシステムという技術を選定しております。
 ページ数を打っておらず申し訳ございませんが、4ページ目を御覧下さい。こちらに概要が載っております。マイクロアクアシステムを簡単に説明しますと、空気と対象水を混合・圧縮し、微細気泡が混入した混合水として、対象水域に拡散することにより溶存酸素濃度を向上させるものであります。現在の試験の進捗状況でございますが、台風や機器の異変等の影響はあったものの、順調に試験は進んでいると御報告を受けています。データの採取等は11月上旬まで行う予定であります。
 続きまして兵庫県ですが、南芦屋浜にて実証試験を行う予定としております。対象技術は海底耕耘機によるマイクロバブルエアレーションという技術を設定しております。最後のページを御覧下さい。こちらに概要が載っておりまして、海底耕耘機によるマイクロバブルエアレーションとはエア駆動で海底を自走し、耕耘・エアレーションを行う海底耕耘機で、海底を耕耘及び圧力水によるエジェクター方式のマイクロバブル発生装置による酸素供給により貧酸素海域の解消を図るというものでございます。実証試験の予定でございますが、9月の中旬頃、現地にて実証試験を行う予定と伺っております。
 今後の予定ですけれども、1月に各実証機関の実証試験結果の取りまとめを行い、2月に実証試験要領の改定、3月に平成20年度実証機関の選定を行う予定となっております。参考資料としてお手元のほうにモデル事業のパンフレットをお配りしておりますので、是非御一読していただければと思います。
 以上で閉鎖性海域における環境改善技術モデル事業の報告を終わります。

○松尾部会長 ありがとうございました。今、里海創生支援事業、府県計画の見直し、干潟の実態調査結果、環境改善技術の実証のための事業についての御報告をいただいたのですが、如何でしょうか。何か特にこれはということがございましょうか。御発言ありますか。
 それでは、今のものも含めてですが、最初に戻っても結構ですし、2番目だけでもよいんですが、今から4時まで10分ですけれども、5分ぐらい延ばすとして15分ぐらいの時間で自由な御意見をいただきたいと思いますが、どうぞ。

○松田委員 先程の今後の中長期ビジョンの説明、まとめていただいて大変結構ですけれども、これは先程の話では平成18年度に4回やられてということで、その後の制度上の大きな枠組みの変化として先の国会で海洋基本法が制定されたということがございます。海洋基本法は、御承知のようにごく最近7月20日に施行になったということですから、まだ法律としては非常に新しいものですけれども、あの中に沿岸域については重要なテーマとして沿岸域の総合的な管理が入っています。それで、先程もまさに閉鎖性海域というのは陸域と非常に密接で、こういった模式図にも山から土地利用からずっと海まで書いてあるわけですけれども、海洋基本法の方は今、海洋基本法に基づく海洋基本計画を検討中と伺っているんですけれども、特にこの瀬戸内海の環境保全はこういった総量規制とか陸域との関係も今までに経験ございますし、沿岸域の総合管理とかなり関係が深い面があると思うんですけれども、おそらくあれは陸と海と合わせて管理するということ、それからいわゆる省庁の壁みたいなものをなるべく取り払っていくというような指導のように思いますけれども、今後、海洋基本法関係の枠組みというか制度と、瀬戸内海の制度と言いますかやり方がどのようにリンクしていくのかということについて、あるいは今後の予測等ありましたら、そこを教えていただきたいんですけれども。もちろん環境省関係の方も加わっていると思うんですけれども、その辺はどういう予測になるのでしょうか。
 これは今後のビジョンということですので、少し中長期的に考えると海洋基本法もそういう意味では関係してくるのかなと思うわけですけれども如何でしょうか。

○山本閉鎖性海域対策室長 今御指摘がありました基本計画の具体的な内容等はまだ明らかになってきておりませんが、先生御指摘のとおり海洋基本法ということですから基本となるべき法律ですので、これは海域に関する色々な施策に密接に関係していくだろう。ですから、その計画そのものもありますし、それとの関係でもって先程御紹介したような今後の検討についても、そこは十分意を払いながらやっていきたいと思います。今のところ、そこら辺の見通しはまだ十分持っていないという状況です。

○松尾部会長 よろしいでしょうか。
 他には。

○川井委員 先程かなり議論の進んだところを蒸し返すようですが、もう少し重ねてお願いというか意見を述べさせていただきたいんですが。
 全体を通して生物の多様性そのものを指標とするとか、あるいは目標とするという部分が色々なところにできています。ところが、意外とじゃあ何をもって生物指標とするかという議論は今日の資料全体を見せていただいてもあまり出てきていません。
 ところが、例えば里海創生支援事業の表を見据えていただいても一番下には期待される効果の中に生物多様性の保全ということが出てきます。ですから、じゃあ瀬戸内の生物の多様性をどう評価するかということ自体は、実際にはあまり取り上げられていないように感じたんです。ただ、実際に私は大阪湾の辺りをフィールドにしておりますけれども、見ていますと生物種の多様性もそれぞれの海域でみれば指標にできますし、指標種という考え方ももちろん導入できるのでしょうし、それからもう1つは最近ですと、移入種と在来種の比率というものもいかにそこの環境が荒れているかということの視点からも見ることができると思います。
 あともう1つ、それに関して危惧していますのは環境の荒れたところが移入種のオアシスのようになっていて、周辺の在来の生態系の残っているところへ侵入していくきっかけをつくっているということもあります。
 それからもう1つ、今まではあまり考えなかった視点として、特に貧酸素水塊のことを考えますと、1年を通して生物が生き残れる環境かどうか、つまり多年性の生物が生き残れる環境かどうかということも指標として使えるのではないかなと思うんです。
 ですから、色々な視点で生物を単に指標生物を探すだけではなくて、指標として使うことをもう少し検討していただきたいというか、含めていただくということと、里海という議論が出てきてから、やはりどうしても利用面のほうにストレスが置かれているというか、そちらのほうの議論が中心になってきています。ただ、瀬戸内海にはまだ保全しなければいけない生物多様性というものもありますので、現況の把握を図るためにも種の生物多様性の調査というものも、まだ十分には済んではいないのではないかと思いますので、その辺のところを全体を通して生物多様性ということに関してもう少し盛り込んでいただければありがたいと思います。

○松尾部会長 非常に大きな課題だと思いますが、そういうような今の御発言のようなことはどういうふうな扱い方で対応できるのですか。この事業の中でできるのか、それとももう少し違う枠組みが必要なのかというようなところですけれども。

○山本閉鎖性海域対策室長 先程、岡田先生から補足していただきましたように、事務局の資料は確かにその辺りが十分に説明できていなかったかと思いますが、さっき申し上げましたように、やはりどのような生物がどんなふうに生息できる環境を目指すのかというところはまさに目標の肝となるところでございますので、今、川井先生から御指摘があった点は十分考慮しながら、ただ今年度、まずそういった生物の生息という意味で色々な情報を、今利用できる情報を極力集めて、それでどこまで検討できるかというのを見極めていこうということですが、どれだけのデータがあって、どれだけのことができるかというのはまだ十分に見えていないところがありますけれども、そこは最大限頑張っていきたい。
 やはり足りないところは今後、そういうものもしっかり調べていかなければいけないことも出てくるのかなと思っておりますが、本日の御意見を踏まえてしっかりやっていきたいと思っております。

○松尾部会長 他に。どうぞ。

○本仲委員 私は徳島のほうからまいったんですけれども、徳島の場合、大型工事をする時に環境影響評価というものをやっておりまして、非常に大きなお金をかけて事業の前6年間、それから事業をやっている年間、それから事後6年間というものをずっと環境の影響評価をやっております。それから、海浜植生、移植を行って、それがどうなっているかとか、それからもちろん魚だとか、非常に細かく徳島では大きなお金をかけて評価をしている訳です。そういうのがどこか他の県もあれば、そういうのを集めてやれば、おそらく年間、県も何億というお金をかけて評価書をつくっていますので、そういうのを集めてある程度地盤をつくれば大分よいのかなと思います。
 特に、この環境系のほうはお金があまり使われていないような気がします。それと、各県が現在のところからどれだけのCODをどういうふうに削減するかみたいなことを調査されたと思うんですけれども、そういうのをやはり県はある程度細かく区切って瀬戸内海関係のところで、それぞれが少しずつ削減していけば完全に削減されるということになりますので、そういうことももうちょっとこの細かく検討をしていってはどうかと思います。
 大阪湾と分けたというのは非常にやりやすいことであろうと思います。どうかそういう資料をお持ちのところを集めていただければと思います。

○松尾部会長 今のも非常に重要な指摘なんですね。環境部局とアセスメントをやっているところがまた縦割りになっている可能性があって、さっきの環境省が言ってくれなければできないということはあるけれども、県がそれぞれ地元でやっておられる部分でもまたそれがうまく使われていない、結果として使われていないことも起きているかもしれませんね。
 それはまた機会があれば環境省からもよろしくお願いいたします。

○須藤委員 今日はお願いばかりで、部会長の時にはお願いができないのでやらせていただきますが、今の川井先生のおっしゃったことを私は大変重要なことだと思っております。ここの場の仕事というのは生物でいうと生息環境を主としたことをやるんですよね、色々ね。生物の多様性というのは役所で言うと自然環境局の仕事なんです。そうなってしまっているので、両方で多分それぞれ遠慮があるのだろうと私は理解しているんですが、いわゆる縦割り行政が進んでいるんです。ですから、この水の中にいる生物のことについて扱う時は大気・水局、それから生物そのものについては自然環境局、こういうことになっていて、先程の生物指標になってしまうと多分そちらの皆さん(水・大気環境局)はなかなかやりにくいのだと私は理解しています。それなので、私もいつも色々なことを言っているんですが、ぜひこういう場所にも自然環境局と一体となって、それが一緒にできる指標にしていただかないと、先程の鷲谷先生がおっしゃったようなことは実現できないんですよね。ということを申し上げて、ぜひそれを突破していただきたい、克服していただきたいということをお願いしておきます。

○松尾部会長 これまた重要な指摘です。岡田先生は色々なところに係わっているわけです。岡田先生はとにかく現場で頑張ってもらって、非常に重要なことではないかと思うので、ぜひよろしくお願いします。
 他にはどうでしょうか。
 資料3の1ページですが、地球温暖化の話は非常に大事だと思っていて、この図の中にどこかもっと外から地球温暖化というか、環境変化というものを書き込んで、気象とか海象とかそういう変化があるんだということだけでも図の中に入っているとおそらく忘れないで済むと思うんです。ですから、閉鎖性海域を取り巻く、閉鎖性だけではないんだけど、とにかく閉鎖性を取り巻く課題の中に1つ矢印でもよいから地球温暖化問題が気象と海象変化を通じて影響を与えるかもしれない。それについてすぐに今対策をとれといっても、そういう話ではないことは当たり前なんですけど、要素を取り込んでおくという意味ではそういうのを少し考えていただいて、忘れないで済むという意味で重要ではないかと思います。
 他には。あと5分ぐらい時間はよいですが。どなたか発言はありますか。ないようであれば、事務局からその他で何か補足的なことはありますか。

○山本閉鎖性海域対策室長 本日は大変貴重な御意見、なかなか重たい御意見もいただきましたが、どうもありがとうございました。次回はこのフォローアップに関しては年度内を目指して調整をさせていただきたいと思いますので、御意見を踏まえてもう一度再整理をしまして、御審議いただければと思っております。
 その他、特に今後の閉鎖性海域対策を考えていくうえでの色々な御指摘につきましては、懇談会を継続するような形で発展させていきたいと思っておりますので、その中でしっかり受け止めて進めていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

○松尾部会長 一言。府県計画というものがありますね。それは今回のフォローアップのこととは関係なく独立に府県計画の見直しが進むんですか。それとも、このフォローアップが色々と……。

○山本閉鎖性海域対策室長 この府県計画は一応独立しているんですが、一方で府県の方にもこういった審議会は公開で、情報提供をしておりますので、ここでなされた議論で今から府県計画見直しの際に取り込めるところは取り込んでいただけることを期待したいと思います。

○松尾部会長 それではよろしいでしょうか。これで今日は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

午後16時03分 閉会