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中央環境審議会瀬戸内海部会(第3回)議事録


○日時 平成15年4月15日(金)  13:30 ~15:32
○場所  環境省第1会議室 (中央合同庁舎第5号館22階)

  1. 開会

  2. 議事
    (1) 瀬戸内海の環境及び対策の状況
    (2) 水質総量規制について
    (3) その他

  3. 閉会

    午後 1時30分開会

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会瀬戸内海部会を開会いたします。
     本日は、委員26名のうち、18名の委員にご出席いただいておりますので、定足数が満たされていることをご報告いたします。なお、本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づきまして公開としております。
     まず、会議に先立ちまして環境省水環境部長の甲村からごあいさつ申し上げます。

    ○甲村水環境部長 皆様、きょうはご多忙の中ご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。環境省水環境部長の甲村でございます。本日は委員の方々が改選され、初めての瀬戸内海部会ということで引き続き委員をお引き受けいただいた皆様方、また新しく委員をお引き受けいただいた皆様方、まことにありがとうございます。
     ご存じのように瀬戸内海は古来よりすぐれた景勝地であるとともに国民にとって貴重な漁業資源の宝庫であり、また世界的にも素晴らしい自然条件に恵まれた海でございます。このような瀬戸内海の美しい自然を取り戻し、水質の汚濁を食い止めるために昭和48年に瀬戸内海環境保全臨時措置法が制定されております。この法律は昭和53年には恒久法でございます瀬戸内海環境保全特別措置法に改正されまして、以来、法律に基づき種々の環境保全対策が推進されてまいりました。そして平成12年には瀬戸内海環境保全基本計画が改定されておりまして、従来の規制を中心とした施策に加えまして、失われた環境を回復するという新たな視点に立った施策の展開を図っているところでございます。
     この瀬戸内海部会は、瀬戸内海の環境の保全に関する重要な事項に関することについて調査、審議することを目的として皆様方にお願いいたしております。瀬戸内海の環境を一層改善し、以前にも増して生き生きとよみがえらせ、次の世代に引き継いでいくことは現代にいる私たちに課せられた責務でありますので、委員の皆様方のご意見、ご議論をいただきながら、また関係する皆様のご協力をいただきながら、瀬戸内海の環境保全行政を推進してまいりたいと考えております。
     本日はまず、瀬戸内海の環境及び対策の状況についてご報告させていただきまして、引き続きましてこれは瀬戸内海だけではなくて東京湾、伊勢湾、それから瀬戸内海の閉鎖性海域に関しまして、水質総量規制のあり方につきまして現在、水環境部会の方の総量規制専門委員会で報告案をとりまとめていただいておりますので、それについてもご説明させていただき、両方につきましてご意見等をうかがいたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 それでは、お手元の配布資料を確認させていただきたいと思います。きょうの資料でございますが、まず議事次第の1枚紙がございまして、この紙の下の方に配布資料一覧が書かれております。
     資料1が委員名簿でございます。
     資料2-1が中央環境審議会議事運営規則。
     資料2-2が中央環境審議会の運営方針について。
     資料2-3が中央環境審議会瀬戸内海部会の運営方針について。
     資料3が瀬戸内海の環境と対策の概要。
     資料4が第6次水質総量規制の在り方の検討の経緯及びスケジュール。
     資料5が第6次水質総量規制の在り方について(総量規制専門委員会報告(案))でございます。本日の資料は以上でございますので、もし不足等がございましたらお申しつけくださるようお願いいたします。よろしいでしょうか。
     それでは本日は、委員改選後の初めての瀬戸内海部会でございますので、瀬戸内海部会の委員の方々を紹介させていただきます。資料1に委員名簿がございますので、こちらを参照していただきたいと思います。またこの順番にご紹介させていただきます。
     部会長の須藤委員。
     鷲谷委員。
     秋葉委員と飯泉委員は本日ご欠席でございます。
     浮田委員。
     大西委員は本日ご欠席でございます。
     岡田委員。
     沖委員。
     川嶋委員。
     小森委員は少し遅れているようでございます。
     笹木委員。
     白木委員。
     武岡委員。
     中原委員。
     西山委員。
     野中委員。
     久野委員。
     藤原委員。
     松井委員。
     松田委員。
     道浦委員。
     宮原委員は少し遅れるとの連絡が入っております。
     森委員。
     森脇委員。
     柳委員。
     山口委員は本日ご欠席でございます。
     以上の委員の先生方でございます。
     小森委員がただいま到着いたしました。どうかよろしくお願いいたします。
     次に、環境省水環境部の出席者を紹介申し上げます。先ほどごあいさついたしました水環境部長の甲村でございます。
     その隣が企画課長の谷でございます。
     水環境管理課長の太田でございます。
     私は閉鎖性海域対策室長の坂川でございます。よろしくお願いいたします。それから閉鎖性海域対策室の室長補佐の秋山。
     同じく室長補佐の繁本。
     以上でございます。
     次に、事務局から瀬戸内海部会長についてご報告いたします。中央環境審議会令第6条第3項の規定によりまして、部会に部会長をおき、会長の指名する委員があたると定められております。中央環境審議会の鈴木会長から瀬戸内海部会長として須藤委員が指名を受けておられます。
     それでは、これ以降の会議の進行は、須藤部会長にお願いいたします。

    ○須藤部会長 かしこまりました。それでは、ただいま事務局からご紹介をいただきました須藤でございます。委員の先生方及び事務局の皆様、また多数本日も傍聴の方いらっしゃっていただいていますが、ご参集いただきましてどうもありがとうございます。先ほどご紹介いただきましたとおり、本年の1月初旬に鈴木会長の指名によりまして瀬戸内海部会長を務めさせていただいているわけでございます。何分不慣れではございますが、どうぞ各委員のご協力をいただいて初期の目的を達成するよう努力いたしますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
     先ほどお話がございましたように、瀬戸内海は比類のない美しさを誇る景勝地であるということと同時に、貴重な漁業資源でもあり、またレクリエーションとしても大変いろんな場で使われているということで、多様な利用がなされているわけですが、以前はかなり富栄養化等によりまして環境を損ねたということもございまして、先ほどお話がございましたように1973年から臨時措置法まで加わりますと、もう既に30年以上にわたって特別な環境保全対策がなされていると、こういうことでございまして、この審議会におきましてはその瀬戸内海の環境の保全にかかわる重要な事項に関することを調査、審議するということを目的としているわけでございます。専門のそれぞれの立場の皆さんにご参集いただいておりますので、これからもその目的を達成するよう、どうぞよろしくご配慮いただきたいと思います。
     本日の瀬戸内海部会では、まず瀬戸内海部会の運営について事務局から簡単に説明をいただきたいと思います。次に、瀬戸内海における環境と対策の概要について、これも事務局からご説明を願います。その後、現在検討が行われております第6次水質総量規制の在り方、これは瀬戸内海だけではございませんが、瀬戸内海を含んでおります。について、総量規制専門委員会がとりまとめた報告(案)の内容、その委員長をなさっておられます、またこの部会の委員でもございます岡田先生と、それから詳細について事務局から説明をいただくと。こういうことで進めたいと思います。
     本日の瀬戸内海部会は、以上の内容に質疑応答を含めまして1時半からでございますので、あと2時間、3時半までということでございます。多少時間がタイトになっておりますが、円滑な議事進行のために、これも委員の先生方のご協力とご理解をお願いしたいと思います。それではこれから司会の役を務めさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
     それではまずは、瀬戸内海部会の運営についてということでございますので、これは我々が直接かかわる部分でございますので、事務局の方からご説明を願います。
     では、事務局どうぞ。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 説明に入ります前に、宮原委員が先ほど到着いたしましたので、ご紹介いたします。
     それでは資料2-1と、2-2と2-3でございますが、これらが瀬戸内海の部会の運営 に関する資料でございます。詳細の説明は省略させていただきまして大事な部分だけご説明させていただきたいと思います。
     資料2-1が運営規則でございますけれども、この第4条の部会の規定がございまして、中央環境審議会には13の部会が設けられております。この中の10番目に瀬戸内海部会が位置づけられております。この紙を1枚めくっていただきますと別表というものがございますが、この3ページの別表の左側の方に瀬戸内海部会がございます。「瀬戸内海部会の所掌事務は瀬戸内海の環境の保全に係る重要な事項に関すること」と定められているところでございます。
     次に資料2-2をごらんいただきたいと思います。これは中央環境審議会の総会が決定いたしました運営方針でございます。1ページの最初のところに会議の公開について書かれてございます。右側の[1]のところでございますが、総会は、公開とする。部会については原則として公開すると、このように書かれておりまして、原則公開とされております。ただし、そこに書かれているように例外的に非公開とすることができると定められているところでございます。 次のページ、2ページでございますが、2番に「会議録等について」の記述がございます。いわゆる議事録のことでございますが、この会議録を作成するということになっておりまして、会議録の調製にあたっては会議出席委員の了承を得るものとするということ。それから(3)の[1]のところにございますが、会議録は公開するということになっております。
     続きまして、資料2-3でございますが、これは瀬戸内海部会の運営方針でございます。これは先ほどの総会決定の運営方針にしたがいまして、それに準ずる形で定められているところでございますけれども、この中で3番目の「資料の公開について」というところがございます。資料は原則として部会終了後公開とすると最後に書かれておりますが、しかしながら一定の場合には「部会長は、「委員限り」である旨明記した上で、非公開とすることができる」とされているところでございます。
     以上が瀬戸内海部会の運営に関しまして重要な部分です。

    ○須藤部会長 どうもご説明ありがとうございました。ただいまの瀬戸内海部会の運営について何かご質問なり、ご意見なりございますでしょうか、どうぞ。
      (発言する者なし)

    ○須藤部会長 よろしゅうございますか。それではどうぞこれに基づいて運営をさせていただきますので、ご配慮いただきたいと思います。
     それでは、瀬戸内海の環境及び対策の状況というところに移りたいと思います。その状況について事務局からどうぞご説明ください。

    ○秋山室長補佐 それでは、資料3について説明させていただきます。資料3の最初のところに瀬戸内海環境保全特別措置法、これが制定された経緯を記しております。ちょっと内容は省略させていただきたいと思います。1ページの1番としまして「瀬戸内海の環境の現況」以下を説明させていただきたいと思います。文章よりも7ページをごらんいただきたいと思います。7ページの表1に瀬戸内海等の平均的な水質濃度、これを表で表しております。瀬戸内海の化学的酸素要求量の平均値、CODの平均値ですが、瀬戸内海全体で見てみますと1.9 mg/L となっております。これは大阪湾と大阪湾以外に分けますと、大阪湾が3.2、大阪湾以外が1.8 mg/L となっております。
     これの推移を見てみますと、9ページをごらんいただきたいと思います。9ページの図4のいちばん上でございますが、これがCOD化学的酸素要求量の3カ年移動平均の推移を表しております。いちばん下の青い○でスポットとしておりますのが大阪湾を除きます瀬戸内海です。これが若干増加傾向を示しております。紫色の○でスポットしております、これが大阪湾ですが、濃度は高いのですが低下傾向を示しております。
     大阪湾を除く瀬戸内海について濃度が若干上昇しているわけですが、その原因として考えられますものが、10ページをごらんいただきたいと思います。10ページの図5、これは黒潮の流路に近接します太平洋沿岸県の環境基準点、自治体が測定している地点ですが、その中で閉鎖性海域、港湾などを除いた比較的陸の影響を受けにくいところ、そういう地点のデータを平均したものでございます。瀬戸内海だけでなく太平洋沿岸につきましても増加傾向を示しております。これが大阪湾以外で濃度が上昇している一つの原因だろうというふうに考えております。
     7ページに戻りまして、7ページの図1、これに瀬戸内海のCODの分布を表しております。薄い青あるいは青色以外の色がついている比較的濃度が高いところが大阪湾、若干見づらいのですが、緑色のついているのが播磨灘、あと備讃瀬戸の奥の方でちょっと緑色がついております。あと広島湾にも若干緑色がついているところがございます。CODについては以上のような状況です。
     続きまして、窒素と燐です。これは富栄養化の物質でありますが、瀬戸内海全体で見てみますと7ページの表1ですが、窒素について0.25 mg/L となっております。燐については0.023 mg/L です。大阪湾については高くて窒素が0.68 mg/L 、燐については0.049 mg/L 、大阪湾以外ですと窒素が0.21、燐については0.021 mg/L となっております。これも9ページにまいりまして濃度の推移を表しております。窒素、燐とも大阪湾については濃度が高く低下傾向を示しております。大阪湾以外の瀬戸内海についてはおおむね横ばいですが、最近は低下傾向を示しております。そういう状況です。
     8ページにまいりまして、窒素、燐についても濃度分布を表しております。8ページの上の図2ですが、窒素濃度の高いところ、薄青色以外の色がついているところは、窒素についての大阪湾と播磨灘です。燐につきましては大阪湾とあと児島湖の沖あたりで緑色が若干ついております。以上のような状況です。
     続きまして資料の11ページをごらんください。資料の11ページにはCOD、窒素、燐の環境基準を載せております。環境基準と申しますのは河川、海域などの公共用水域の我々行政の目標となる基準でございますが、表にはCODについて表しております。CODにつきましてはA、B、Cの3種類の類型を指定しております。この類型を各水域にあてはめることによって各水域の基準が決まる、そのようになっております。11ページの下の表3ですが、これは窒素、燐の環境基準でございます。窒素、燐についてはローマ数字のI、II、III、IVの4種類の類型を設定しておりまして、これが各海域にあてはめるようになっております。
     資料12ページをごらんいただきたいと思います。資料12ページの図6ですが、上側にCODの環境基準の達成状況を載せております。青い○でスポットしておりますのが瀬戸内海、大阪湾以外ですが、これについては改善が見られておりません。紫色の大阪湾についても改善が見られていない、そういう状況でございます。図6の下側の窒素と燐の環境基準達成状況でございますが、青色でスポットしております瀬戸内海、大阪湾以外ですが、環境基準達成率は平成15年度に96.5%に達成しており、改善傾向が見られております。大阪湾についても改善傾向は見られておりまして、紫色ですが、平成15年度に100%を達成しております。13ページに平成15年度の各水域の類型別の水域数と達成水域数を一覧表にしております。
     続きまして、資料の14ページをごらんいただきたいと思います。14ページには水域の具体的な障害としまして赤潮発生状況を載せております。昭和50年前後には赤潮の発生件数が200件乃至300件あったわけでございますが、最近は100件前後で推移しております。そのうち、このグラフの中で白い部分ですが、これが漁業被害のあった赤潮発生件数ですが、昭和46年の39件をピークにしまして減少しており、最近は10件前後の発生になっております。これは件数で表しておりますが、14ページの下の図8では平成15年の水域面積当たりの年間の延赤潮面積を載せております。やはり大阪湾が2.96と飛び抜けて大きくなっております。続いて広島湾、播磨灘、周防灘という順番になっております。
     15ページには漁業被害のあった赤潮のうち被害金額1億円以上の年を掲載したもので、水域別にプランクトンと被害内容、被害金額を一覧表にしております。
     16ページを続いてごらんください。これは貧酸素水塊の状況を表しております。閉鎖性水域では夏場を中心としまして底層、海の底が酸素が少ない状態になることが知られておりますけれども、これは大阪湾の平成14年の状況を表しております。図9の左上から左下、続いて真ん中の列というふうに順になっておりますが、左下の6月17日、ここで網かけが生じております。図の下の方に書いておりますけれども、薄いハッチ(網かけの部分)が酸素飽和度40%以下、濃いハッチ(網かけの部分)が酸素飽和濃度10%以下を示しております。6月17日に網かけが生じまして、7月1日、18日、8月5日、6日と継続しております。で、8月22日にいったん網かけが消えておりますが、再び9月2日に網かけが発生して、10月8日にまた消えている、そのような状況でございます。大阪湾については夏場を中心としまして底層の酸素がない状態がかなり広範囲に長期間継続しております。
     続きまして資料17ページの図10をごらんいただきたいと思います。これは同じく底層の酸素濃度を表しておりますが、これは環境省が毎年、年4回実施しております調査のうち、夏場のデータだけを3カ年平均したものでございます。赤い色が酸素が豊富にある状態、青い方が酸素が少ない状態を表しております。大阪湾については環境省の調査でも3カ年でいずれも濃度が低く、青い色になっております。それ以外では播磨灘、広島湾、周防灘で若干色がついております。ただしいずれも3 mg/L 未満のデータは認められません。3 mg/L といいますのはほとんどの生物が悪影響を受ける濃度とされております。ただし、燧灘の東部、この地図でいきますと真ん中あたりですが、燧灘などで局地的に貧酸素水塊が発生している、そのようなデータもございます。
     続きまして、資料18ページをごらんいただきたいと思います。18ページの図11、これは干潟の面積を表しております。干潟といいますのは多様な生物の生息や繁殖の場ではあるわけですが、それが過去開発によって大きく減少しております。昭和24年から平成7年までおおむね約2割減少しております。18ページの下側の図12、これは藻場の面積を表しておりますが、これについても昭和53年から平成7年までおおむね4割減少している、そういう状況でございます。図13は瀬戸内海における海岸線延長の推移を表しております。
     3ページにお戻りいただきたいと思います。1ページから2ページについては今までグラフを見ながら瀬戸内海の環境の状況についてご説明したわけですが、ここでは瀬戸内海の環境保全対策について説明させていただきたいと思います。
     (1)番としまして、「瀬戸内海環境保全基本計画」について記しております。瀬戸内法第3条の規定に基づきまして、瀬戸内海の環境の保全に関し、長期にわたる基本的な計画として策定されるものとして瀬戸内海環境保全基本計画がございます。
     昭和53年5月に最初の基本計画が策定されておりますが、その後の瀬戸内海をめぐる環境や社会経済の状況の変化を踏まえまして、平成9年9月に環境庁長官から瀬戸内海環境保全審議会に対して「瀬戸内海における新たな環境保全・創造施策のあり方について」諮問がなされて、平成11年1月に答申が出されております。答申の中では、今後の瀬戸内海における環境保全の取組みに対する基本的な考え方として、保全型施策の充実、失われた良好な環境を回復させる施策の展開、幅広い連携と参加の推進が必要であり、その推進方策の一つとして瀬戸内法に基づく「瀬戸内海環境保全基本計画」の見直しが必要であると提言されております。その後、平成12年12月に瀬戸内海環境保全審議会からの答申を踏まえまして、同年同月に現在の基本計画が決定されております。
     [2]番としまして「基本計画の目標」でございますが、「水質保全等に関する目標」として以下の6点が掲げられております。2)番目の「自然景観の保全に関する目標」としまして以下の2点が掲げられております。3)番の「目標達成のための基本的な施策」として以下の点が挙げられております。
     (2)番としまして「特定施設の設置に係る規制について」説明させていただきたいと思います。4ページの(2)の[1]番ですが、「特定施設の設置等に係る許可制度」です。水質汚濁防止法では、工場・事業場から公共用水域に水を排出する者は特定施設、これは水質汚濁防止法の施行令で大きく分けて101種類指定されておりますけれども、特定施設の設置に際して、所定の事項を知事あるいは政令市長に対して届け出るようになっております。瀬戸内法においては13府県のうち瀬戸内海に関係する地域において、公共用水域に水を排出する者は事業場の排出量が最大50m3/日未満であるものを除きまして、許可が必要となっております。
     許可の事業場数ですが、資料の20ページに事業場数の推移が載っております。これは瀬戸内海環境保全特別措置法の許可対象事業場数の推移でございます。昭和57年から平成8年ぐらいまでは大きな変動はないわけですが、最近は若干減少気味になっております。
     続きまして資料5ページでございます。「水質総量規制制度」でございます。これは昭和53年の法改正のときに設けられた制度です。目的としましては、人口・産業が集中して汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域の水質改善を図るために、汚濁負荷の総量の削減目標量、目標年度等を定めて、総合的かつ計画的な水質保全対策を推進するものとしております。対象水域は瀬戸内海、東京湾、伊勢湾の3水域でございます。対象項目は当初は化学的酸素要求量(COD)だけでしたが、現在行なっております第5次総量規制からは窒素、燐が加わっております。
     対策の概要ですが、大きく分けて3本柱がございまして、1番としまして「事業の実施」、これは生活排水などの汚濁負荷を削減するために、下水道、合併処理浄化槽等の整備を進めることとしております。2番目としまして、「総量規制基準による規制」、排水量が50 m3/日以上、これは日平均でございますが、これの事業場を対象としまして排出が許容される汚濁負荷量(排水濃度×排水量)により規制をするというふうにしております。3番目としまして「削減指導等」として、小規模事業場及び畜産・農業に対して汚濁負荷の削減指導を行うこととしております。
     汚濁負荷の削減状況につきましては資料21ページに載せております。いちばん上がCOD、真ん中が窒素、いちばん下が燐の削減状況です。このグラフの中で濃い部分がその他系、農業やあるいは土地系です。薄い部分が産業系、いちばん下の白いところが生活系の汚濁負荷量でございます。瀬戸内海が3水域の中でいちばん大きいわけですが、海が大きいですから面積当たりで見れば瀬戸内海がいちばん少ないという状況でございます。
     資料5ページですが、戻りまして[6]番としまして「第6次総量規制の在り方に関する検討」、これは次の事項で説明させていただきたいと思います。
     5ページの(4)ですが、「埋立てに関する特別な配慮」としまして、瀬戸内法第13条第1項により、瀬戸内海における埋立てについては、瀬戸内海の特殊性について十分配慮するということが規定されております。その運用につきましては、瀬戸内海環境保全審議会において審議されまして、昭和49年5月に「瀬戸内法第13条第1項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針について」が答申されております。資料の20ページをごらんください。20ページの下の図16ですが、これは瀬戸内海における埋立て面積の推移を表しておりますが、昭和48年を境に埋立て面積の増加に歯止めがかかっている状況です。最近3年は非常に少ない状況となっております。
     続きまして資料の6ページ、最後の章ですが、「自然海浜の保全」です。瀬戸内法の中で瀬戸内海関係府県が条例によりまして、瀬戸内海の海浜等を自然海浜保全地区として指定できるようになっております。23ページをごらんいただきたいと思います。23ページの表8は自然海浜保全地区の指定状況を表しております。和歌山県、徳島県では条例はあるわけですが、具体的な指定されている地区がございません。それ以外については全部で93地区が指定されております。
     24ページには瀬戸内海環境保全特別措置法の概要について付けております。説明は省略させていただきます。
     資料3については以上のとおりです。

    ○須藤部会長 どうもご説明ありがとうございました。それでは、ただいまの瀬戸内海の環境の現状と、それから対策がどのように進んできたかということについてお話をいただいたわけですが、どうぞご質問なりご意見なりございましたら出してください。お願いいたします。
     宮原委員どうぞ。

    ○宮原委員 ちょっと質問なんですけれども、3ページのところにあります基本計画の目標の3)の「目標達成のための基本的な施策」の中に、水産資源の保護という言葉がないのですが、なぜこういう概念がこの中に入れられなかったのか教えていただければありがたいと思います。

    ○須藤部会長 事務局どうぞ。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 ちょっと確認させていただきますので少し時間をいただければと思います。後ほどお答えいたします。

    ○須藤部会長 当然それは文章はともかくとしても当然だと思うんですが、それでは次の質問を承ります。いかがでしょうか、ご意見でも結構です。
     では、森委員どうぞ。

    ○森委員 18ページ、藻場・干潟の話なのでありますが、ここのデータが非常に古いのではないかと。ここだけどうしてこんなに古いのかという気がします。特に3ページの平成12年に答申を出しておきながら、そのあとがトレースされていないというのが読み取れるわけですけれども、実態をお教えいただきたいと思います。

    ○須藤部会長 それと関連して、森委員はその当時大変ご苦労していただいて、これをまとめていただいたと私は記憶しているんですが、私も同じに考えて、12年からもう17年ですから5年経っているんですよね、そういう中でこの基本計画を改定してそれを踏まえた展開がどうなされたかというのが、別にデータなくてもいいので、どういうふうに進んでいるかぐらいは今の森委員への回答と併せてご説明いただければありがたいです。

    ○繁本室長補佐 干潟と藻場の面積につきましては環境省の自然環境局の自然環境計画課の方で自然環境保全基礎調査という調査をやっておりまして、現在第6回の調査を行っておりまして、それをとりまとめているところと聞いております。7回の調査がたしか平成17年度から開始されることになっているかと思いますが、今回ちょっとお出しする資料には間に合わなかったということもございます。ですから、たしかに古いデータのまま使用しておりますが、残念ながら今回は。

    ○須藤部会長 今何年とおっしゃったんですか、何年の資料を今まとめているとおっしゃったんですか。

    ○繁本室長補佐 今ここで出している平成6年から7年の干潟・藻場の資料が……。

    ○須藤部会長 ええ、これはわかりますね。

    ○繁本室長補佐 第5回の調査ですね。で、第6回の調査が平成16年度まで行われておりまして、この数値が報告書としてまだまとまっていないかと思います。

    ○須藤部会長 そうですか、そうすると結構間隔が開いているわけですが、これが出てくれば今の森委員とか今の私の質問に対してお答えできるわけですよね、そういうことになるわけですね、それが出てくれば。

    ○繁本室長補佐 そうですね、はい。実は先ほど入った情報によりますと、第6回調査以降、調査全体が生物に関する調査項目にかなり重点をおくようになったそうで、干潟の面積、藻場の面積は調査項目として入っていないそうですので、大変失礼いたしました。更新をするには別の形をちょっと考えなければいけないといった状況でございます。

    ○須藤部会長 ということで、これと合わすデータが次がないようですね。

    ○繁本室長補佐 非常に関係のある重要な指標かと思っておりますので、環境省としては努力していきたいと思います。

    ○森委員 私のみならず前回のときに苦労された諸先生方かなりおられて、今のこの18ページの下の藻場のこの6年から7年のドーンと落ちている。これを見ただけで「えーっ」と、こういう落差が非常に大きいと思うんですね。こういうデータが出てくること自体、したがって今のような事情が仮にあるとしたら、このデータの説明をもう少し丁寧にするとか何か工夫をされた方がいいと思いますし、それから状況ももっと努力をされて把握されたらどうでしょうか。その調査を待つまでもなく方法があり得ると思うんですが、少し努力をお願いしたいと思います。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 ご指摘のとおりこれからちょっといろいろ対策を考えたいと思いますが、先ほど部会長からもちょっとご指摘がありましたが、この基本計画が平成12年にできておりますのでそろそろ5年が経つということで、この基本計画に書かれているいろいろな対策がどの程度進捗をしているのかということを、これから関係省庁、関係府県の協力を得ましてまとめていきたいと思っております。そういうことについてはまたこの部会でもご説明させていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
     それから先ほどの水産資源のところのご質問でございますが、まず資料の3ページの1)のところでありますけれども、まず目標のところに「藻場及び干潟については、水産資源上等で重要な藻場及び干潟が保全され」云々とこう記述があるというのが1点と、それからご指摘の3)の「目標達成のための基本的な施策」なんですが、この中の3つ目のポツに「浅海域の保全等」というのがございまして、ここに書かれていることなんでございますけれども、まず2つありまして、1つは、「水産資源保全上、必要な藻場及び干潟について保護水面の指定等により極力保全をする」ということと、それからもう1点が「水産資源増殖の見地から積極的に魚介類の幼稚仔育成場の整備の施策を推進する」というようなことが書かれておりまして、水産資源の保全、こういう保全または確保ということに関しましても基本計画の中に記述があるところでございます。

    ○須藤部会長 宮原委員よろしゅうございますか、これだけ短くしてしまうとそれは消えてしまってはいるんですけれども、よろしゅうございますか。
     はい、道浦委員どうぞ。

    ○道浦委員 私は言葉の関係で具体的なことはわからないのですけれども、たとえばこういう文章上で出てくるというものと目標に上げるというのはまったく違うと思うんですね。ですから今、宮原委員がおっしゃいました水産資源を大切にすることなどは基本計画の目標としてきちんと項目に挙げていただきたい。私はそう考えますけれどもいかがでしょうか。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 この基本計画は平成12年にできたときに、この項目だけ抜き出すとこういう形になってしまったわけでございますけれども、内容として水産資源の保全というものも含まれているということでございます。ご指摘の点につきましては、またこの基本計画もいずれ見直す時期がくると思いますので、そのときにはまたそういうことにも配慮していきたいと思っております。

    ○道浦委員 ぜひ、ご検討くださいませ。

    ○須藤部会長 どうぞその辺もよろしくご配慮いただきたいと思います。ほかにいかがでございましょうか、川嶋委員どうぞ。

    ○川嶋委員 先ほどの干潟の調査の話でございますけれども、今までずっと5回まで面積を中心に藻場もお考えになって調べてこられたということであったら、6回目からやっぱりその指標がなくなるというのは少しおかしいんじゃないかという気もいたしまして、で、藻場・干潟のことについてたまたま私、土木学会の環境省の審査をさせていただくときがありまして、瀬戸内海で百島のあたりで36ヘクタールだったですか、そのぐらいの干潟を造成したということがありまして、それに対して何か8ヘクタールぐらいのアマモの群生地ができたというようなことが報告されておりましたので、それは環境省にお渡しするように推薦をさせていただいた経緯があるのですが、そういうことも含めて出入りといいますかなくなったり、また増えたとものというのはあると思われますので、やはり同じような手法で続けてお調べをいただいたうえでどうなっている分析をしていただくことが大事かと思いますが、ありがとうございました。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございました。先ほどご説明いただきましたように別の局でこの辺のお仕事をやられているということで、多分目が行き届かなかった点はあるんだろうと思いますけれども、こういう重要なものについてはどうぞ同じ章の中なので、ぜひ今日の発言は自然環境局ですか、ぜひお伝えをいただいて継続をいただくようにお願いをしたいと、こう思います。
     では、野中委員どうぞお願いします。

    ○野中委員 初めて委員会に出させていただくのですが、きょうのご説明の中で瀬戸内海の状況について傾向的なご説明はあったわけですけれども、もともとこの瀬戸内法というのはかなり理想の高い法律だったと思うんですね。したがいまして、環境基準等がどういうレベルで決まっているかということに関連をすると思うんですけれども、そもそも全体的に、先ほど藻場、干潟の問題もありましたけれども、環境基準等との関係もございまして、全体としてこの瀬戸内地域の水質環境というのはよくなっているというふうに評価をするのかですね、それとも本当に徐々にしか改善していなくてなかなか不十分だというのか、その辺の全体的な評価というのを事務局といいますか環境省としてはどういうふうにごらんになっているのかというのを、ちょっと一つ教えていただきたいと思うのです。

    ○須藤部会長 ありがとうございました。それでは坂川室長がよろしいですか、この答えは。どうぞお願いします。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 そこのところは次の議題でもご説明いたしますが、総量規制専門委員会の中でも東京湾、伊勢湾と合せて瀬戸内海の水質についてもどのようになってきているのかと、どの程度改善されているのかというところをご検討いただいたところでございます。その結果を簡潔に申し上げますと、例えば赤潮の発生件数は少なくなってきていると。それから窒素、燐に関しましては環境基準の達成率がかなり上がってきているということから、こういう面についてはかなり改善が見られる。
     ただ、一方でCODで関してはなかなか環境基準の達成率が改善しないと、そこをどう評価するかというのがなかなか難しいところだったわけでございますが、そういうことがございまして、トータル的に申し上げますと改善が見られるけれども、まだ完全に目的に達したわけではないと、そういうことかと思います。

    ○須藤部会長 いい方向には向かっているけれども、目標にはまだ少し乖離があると、こういうことのようですけれども、よろしゅうございますか。
     ほかはいかがでございましょうか。はい、どうぞ。

    ○武岡委員 このCODとかNPの濃度が基本的には上層の濃度が出ていると思うんですけれども、成層している海域ですと上層は小さく出やすい傾向がありますね、特に貧酸素の起きやすい成層の強い海域ほどそういう傾向が出てくるわけですが、実際にはデータは深いところにはないんでしょうか。

    ○須藤部会長 武岡委員からのただいまのご質問について、今のお答えは坂川室長でよろしいでしょうか、どうぞ。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 環境省が実施しております広域総合水質調査では、上層とこれに合せまして底層の水質も測定しておりますのでデータはございます。今回ちょっと上層しかお示ししていないのですが、底層の経年変化を見ましても上層とあまり変化の傾向としては変わらないという状況でございまして、CODなどは底層の方が少し低いレベルで推移をしているというようなことがわかっております。

    ○武岡委員 経年変化の傾向はあまり変わらないと思うんですが、いわゆる基準の達成云々の前のその絶対値ですね、こちらの方に影響はないのかというのがちょっと気になるんですけれども。

    ○須藤部会長 基準値を設定してそれで合せるという話をいただかないとよろしくないんじゃないですか、今のご質問は。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 環境基準の評価のときに窒素、燐は表層を使うということになっておりますので、これは特に問題はないと。それからCODに関しては海がどのくらい深いかによってちょっと変わるのでございますが、原則として表層とそれから中層を測るとなっておりまして、これは各県が公共用水域の水質測定をやっておりまして、その結果をもとに先ほどの環境基準達成率というものを出しておりますので、そこは必ずしも表層だけではなくて表層、中層ということで測っているという状況でございます。

    ○須藤部会長 ですから中層、下層の方でも特に違う傾向をしているというわけではないということで、今のお答えについてはそれでよろしいですね。
     ほかはいかがでしょうか。久野委員どうぞお願いします。

    ○久野委員 NPの環境基準がほぼ100%に達しているのは非常に喜ばしいことだと思うんですが、この7ページの表を見てみますと、瀬戸内海全体で窒素濃度が燐濃度の10倍ですね、大阪湾はそれに対して十数倍となっているんですが、これはこういう個性だと見ていいんでしょう、それとも大阪湾では環境基準達成していてもさらに窒素を削減する必要があるというふうに評価されるのでしょうか、これどちらか教えていただきたいと思います。

    ○須藤部会長 これは次の議題の中で一緒の方がいいですかね、いいですか、今で。お答えあればどうぞお願いします。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 そうですね、では、次の議題の中でご説明させていただきます。

    ○須藤部会長 うかがっていると次の議題に出てくる話題でございますので、その中で。もし、さらにご質問あればそのときいただきたいと思います。
     ほかはよろしゅうございますか。それではもう窒素、燐の負荷がどうというようなお話にもなりましたので、次の議題に進めさせていただきます。
     次の議題は、「水質総量規制について」ということでございまして、最初にご案内したとおりでございます。まず事務局から第6次水質総量規制の在り方を検討するに至った経緯とスケジュールを最初にご説明ください。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 それでは資料4をごらんいただきたいと思います。総量規制に関しましては第1次から第5次まで5年ごとに行ってまいりまして、平成16年、昨年度が第5次総量規制の目標年度であったわけでございます。そこで第6次の総量規制をどうすべきかということに関しまして、昨年から検討を進めてまいっております。その経緯をご説明いたします。
     平成16年2月26日に環境大臣から中央審議会会長に対しまして、「第6次水質総量規制の在り方について」諮問をしております。この資料の裏にその諮問文書のコピーが載せられておりますので、ごらんいただきたいと思いますけれども、環境大臣から審議会の会長に宛てまして第6次水質総量規制の在り方について審議会の意見を求めるという内容になっているわけでございます。これを受けまして中央環境審議会の水環境部会に付議されまして、その後、去年の4月から総量規制専門委員会で検討が進められてまいりました。そして約1年かけまして3月30日の第8回の総量規制専門委員会で報告(案)がまとまったところでございます。この案につきまして現在パブリックコメントを募集していると、そういう状況でございます。
     そして本日は、この瀬戸内海部会でこの総量規制専門委員会報告の(案)に関しましてご説明させていただきます。そして委員の先生方のご意見をいただきたいと思っております。そしてこのあと、4月25日にもう一度総量規制専門委員会を開催いたしまして、そこでパブリックコメントで出された意見、そして本日の瀬戸内海部会で出された意見、そういうものを踏まえまして必要に応じて報告書を修正いたしまして、そして報告をとりまとめると。こういうことを考えているわけでございます。そしてその後、5月に水環境部会を開催することを今考えておりまして、この水環境部会で了承されれば答申としてまとめていただくことになるというスケジュールになっております。よろしくお願いいたします。

    ○須藤部会長 どうもご説明ありがとうございました。水質総量規制そのものあるいは最初がCODで現在、窒素、燐を含めてやっているわけですが、それについてのご質問あるかもしれませんが、時間の関係もございますので先ほどお話いたしましたように、総量規制専門委員会がとりまとめた第6次水質総量規制の在り方に関する報告(案)というのがもう既にパブリックコメントにかけられているということでございますので、その総量規制専門委員会の委員長である岡田先生から概要を説明いただきたいと思います。そのあとでもう少し報告(案)の解説を事務局からお願いいたします。
     最初に、では、岡田先生どうぞ。

    ○岡田委員 専門委員会の委員長を務めさせていただいております岡田でございます。お手元の資料5がございます。これが現在の報告(案)ということになります。この表紙をめくっていただきますと目次がございます。この目次にございますように当専門委員会におきましては今までの総量規制の効果を評価するという目的で、まず総量規制がどのように実施されてきたかという実施状況、それからそれに伴いまして水環境、指定水域における水環境の状況がどうなってきたかということをレビューいたしました。同時にこの指定水域における水質汚濁のメカニズムについても検討を加えます。これらの結果を踏まえまして最後の4にございますような第6次水質総量規制の在り方についてという検討をさせていただいております。
     その結果、第5次の総量規制までは東京湾、それから伊勢湾、それから当審議会で係わる瀬戸内海、すべて海域によって異なるということではなくて同様ということで行ってきました。これに対して第6次水質総量規制におきましては、今までと同じということではなくて、それぞれの海域の水環境の状況を踏まえると、対策の在り方が海域ごとに異なってもいいのではないかという前提で議論を進めてまいりました。
     その検討の結論といたしまして、東京湾、伊勢湾、大阪湾、これは今までの総量規制の実施により水質の改善が見られると、しかしながらまだ必ずしも十分とはいえないという結論に至りました。環境基準も達成されておりませんし、夏場には底層において貧酸素水塊が発生すると。当然生物にとっても生息しにくい環境になっているということが明らかになりました。したがいまして、このような水環境、すなわち東京湾、伊勢湾、大阪湾という水環境に関しましては、さらに改善する必要があるということになりました。
     したがいまして、従来の手法と同じではございますが、汚濁負荷をさらに削減すること。それから先ほど議論が出てまいりました干潟というような生態系を再生するというような対策を進めることも必要というふうにされました。ところが、大阪湾を除く瀬戸内海、これにつきましてはお手元の資料の10ページの下の方に、「一方、瀬戸内海(大阪湾を除く)においては」というふうに書かれておりますが、まず窒素、燐の環境基準がほぼ達成されているということが明らかになりました。したがいまして、窒素、燐濃度に関しては既に望ましい濃度レベルにあるといえるかと思います。CODに関しましては環境基準の達成率は必ずしも十分に改善されたというふうにはいえませんけれども、東京湾、伊勢湾等に比較いたしまして濃度が低いレベルに維持されている。で、貧酸素水塊の発生も比較的少ないということで大阪湾を除く瀬戸内海に関しましては、現在の水質が悪化しないように必要な対策を講じつつ、で、目標とすべき水質を検討することが適切であるという結論に至っております。目標すべき水質の話は後でさせていただきます。
     ということから、瀬戸内海に関しましては大阪湾とそれ以外の湾灘では今後の対策の在り方が異なるものということで整理をさせていただいております。大阪湾につきましては他の東京湾等と同じようにさらに汚濁負荷を削減することが必要である。下水道の整備など生活排水対策、工場排水対策をさらに強化していく必要があるというふうに結論しております。これに対して大阪湾以外の瀬戸内海、汚濁負荷がこれ以上増加しないように生活排水対策を引き続き進める。工場排水に関しても従来の対策を継続する。強化ということではなくて継続するということが適当というふうに考えられました。
     専門委員会における議論の中で今後の課題もいくつか最後に挙げられております。13ページのところにまとめられております。その1つが13ページの(1)というところにございます「目標とすべき水質の検討」ということになります。これは排水処理等の対策が進んだことにより、海水中の有機物の性状地、別の言い方をしますとCODとして測定される有機物の性状が、必ずしもCODにかからない有機物もありますけれども、海水中の有機物の性状が変化してきている可能性があると。すなわち生物分解によって酸素消費がなかなか進まない、酸素消費量が少ない有機物、分解しにくい有機物に変化しているという可能性があるということで、そのことに関する知見を充実させ、したがいまして、目標とする水質レベルもあらためて検討すべきという結論に至っております。これは今後の瀬戸内海の環境を考えるうえで大変重要であるということで、環境省におかれましては今後すぐにというわけにはいかないと思いますが、今後ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいということが報告書の中に盛り込まれております。
     以上が報告(案)の重要な部分でございますので、残りの詳しい点につきましては事務局からご説明をお願いしたいと思います。

    ○須藤部会長 岡田先生、要領よくご説明いただきましてありがとうございました。それでは、もう少し詳細に事務局の方から解説をしていただきたいと思います。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 それではただいまの資料5でございますが、資料5の表紙の裏に専門委員会の名簿がございますが、委員長は岡田先生でございますけれども、本部会の松田委員にも総量規制専門委員会委員として加わっていただきましたので、ご紹介いたします。
     それでは、この専門委員会報告の中身でございますが、最初の実施状況、それから水環境の状況のところにつきましては、うしろの図表でご説明した方がおそらくわかりやすいと思いますので、そこをご説明させていただきたいと思います。
     14ページをごらんいただきたいと思います。これは先ほどの議題の中でも出てきた図でありますけれども、CODについては昭和54年から第1次総量規制から総量規制を実施しておりまして、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海ともこのような形で負荷量が削減されてきているところでございます。生活系、産業系、その他系、それぞれ削減されてきている状況にございます。また窒素と燐、これは植物プランクトンの増殖の原因になりますので、富栄養化の重要な原因物質でございますけれども、この窒素と燐については第5次総量規制から対象になっております。それ以前は都府県が指導ベースで削減指導というものを行ってまいったわけでございまして、その関係で削減はされてきておりましたけれども、総量規制の中に取り込みましたのが現在の第5次総量規制からということになります。その削減状況もこの図に示すとおりでございます。
     15ページからは、この内訳をもっと詳しくしたものを載せているわけでございまして、瀬戸内海に関しましては大阪湾が17ページ、それから大阪湾を除く瀬戸内海が18ページということになるわけでございます。内訳として例えば生活系の中を分けてみて、それが下水処理水なのか合併浄化槽なのか単独浄化槽なのか、し尿処理場なのか。また処理されていない雑俳水、垂れ流しの部分であるのかと、そういう内訳を示しております。また産業系に関しましては、指定地域内事業場と書かれておりますのがいわゆる総量規制の対象となる産業系の部分でございます。そして下水道に取り込まれている産業系の負荷、またさらに小規模なもの、未規制なものということで総量規制基準の対象になっていない、そのようなものの内訳もわかるようにしております。その他系の中では土地系と畜産系に分けてここでは表しております。
     それからその後、ちょっと飛びまして22ページをごらんいただきたいと思います。ここからは水質がどのように変化してきたのかということでございまして、22ページの図の8、下の図をごらんいただきますと、これが海域別のCODの推移でございます。ここでは第1次から第5次までのそれぞれの5年間に対応するように、5年間の平均値として見て、長期的にどう変化してきたのかということを示しているものでございます。いちばん上の▲が東京湾でございます。東京湾は右下がり、つまり濃度が低下してきている、改善してきているという傾向にございます。白い三角(△)が大阪湾でございまして、こちらも低下をしてきているというような状況でございます。大阪湾を除く瀬戸内海は黒い四角(■)でございまして、これを見ますといちばん最初が1.5mg/Lからスタートいたしましたけれども、現在は1.7mg/Lということで0.2mg/Lほど上昇しているということになるわけでございますが、先ほどの議題の中でご説明いたしましたように、どうも太平洋沿岸が全体的に濃度が上がってきているようであるということでございまして、それが白い三角(△)の部分でございます。
     このように少し上がってきておりますので、この上昇部分を差し引くとどうなるかということを示しましたのが23ページの上の図9でございます。そういたしますと瀬戸内海に関しましても1.5mg/Lからスタートしたのが一時ちょっと上がりましたけれども、また少し下降してきていると、こういうことになるのではないかということでございます。外海の太平洋沿岸の濃度の変化分を差し引いたCODをここでは補正CODというふうに呼んでおりまして、このようにしてみると瀬戸内海についても最近若干低下しているというふうにも見られるいうことでございます。
     そして次、23ページの下の図が窒素濃度の推移でございまして、CODと大体同様な傾向にございますが、東京湾が高くて大阪湾がその次に高い。で、伊勢湾を間にはさんで、大阪湾除く瀬戸内海がいちばん下にあるということになっております。燐についても同様でございます。
     そしてその次、24ページの下の図でございますけれども、瀬戸内海に関しましては最近窒素、燐の環境基準の達成率が上がってまいっておりますので、そういうことでもう少し細かく単年度ごとの窒素、燐の濃度の推移を見てどうなるかというのが図12でございます。これは窒素濃度でございます。類型別に表しておりますが、全体の平均値、白い丸(○)のところをごらんいただきたいと思いますけれども、窒素の濃度が平成11年度頃から比べますと、14年、15年は少し下がってきているということでございまして、このような濃度の低下が環境基準達成率の向上につながっているのではないかと考えております。
     次の25ページの上の図13は燐についてでございますが、こちらも同様に平成11年度ごろから比較いたしますと、14年、15年が少し濃度が低くなっていると、このような傾向にあるわけでございます。その結果といたしまして26ページの図15にありますように瀬戸内海の窒素、燐の環境基準達成率が近年非常に向上してきておりまして、ほぼ達成されるに至っているということでございます。またここで大阪湾でございますが、大阪湾は平成15年度に100%達成したわけでございます。しかしながら、かなり濃度が変動しておりますので、平成16年度の状況も見る必要があるということでございまして、16年度はまだ必ずしも数字が確定していないのでありますが、速報値で判断する限り16年度は100%ではなくて、また67%にまで下がるという見込みでございます。
     その状況をもう少し丁寧に説明すると26ページの図16、下の図でございますけれども、これが大阪湾の窒素濃度の推移を類型別に示したものでございます。平成15年に非常に濃度が下がりまして、窒素が全部環境基準を達成したわけでございます。16年度はほんの少しですが上がっておりまして、いちばん下のII類型のところの環境基準が0.3mg/Lでございます。ですから(II類型のところが環境基準とまったく同じ値、ぎりぎり達成ということにはなりますが、本当にぎりぎりだということでございます。それからIII類型の環境基準は0.6mg/Lでございますから0.48mg/Lということで達成をしていると。それからIV類型の環境基準は1.0mg/Lでございますので、0.7mg/Lということで達成をしているという状況でございます。
     また、燐に関しましては、27ページの図17でございます。こちらも14年、15年と非常に低い状況だったのですが、16年度はII類型のいちばん下のところが0.032mg/Lという数字がございます。ここの環境基準は0.03mg/Lですので、この部分がわずかではございますが、環境基準を超過しているということです。それからIII類型は0.049mg/Lという数字ですが、ここの環境基準が0.05mg/Lですので、これもぎりぎり達成ではございますが、まさにぎりぎりであると。それからIV類型は0.068mg/Lという数字がございますが、環境基準は0.09mg/Lでございますので、ここは達成をしていると。こういう状況でございまして、大阪湾に関しましてはぎりぎりのところで達成するかしないかという状況であるということです。
     28ページの頭は先ほどご説明いたしましたので省略をいたしまして、29ページからが貧酸素水塊の発生状況を少し丁寧に見てみたものです。29ページの図は東京湾の例ですが、千葉県水産研究センターが整理した図でございまして、3月から11月までの貧酸素水塊の発生状況を表したものです。ここでは水色の部分が2 mL/L 以下、ちょっと濃い青が1以下ということでして、この辺は非常に酸素濃度が低いところになっているわけでございますが、5月ぐらいから貧酸素水塊が発生いたしまして、一時的に解消されることもあるようですが、かなり長期にわたって東京湾の奥部または中央部のあたりに貧酸素水塊が発生しているという状況です。
     30ページは伊勢湾でございまして、こちらはまたちょっと表し方が異なっておりまして恐縮ですが、酸素濃度が2とか3 ppmを下回る非常に低い濃度のところが見受けられます。また31ページの図は先ほどご説明したとおりです。
     また32ページは東京湾で、それでは底生生物、海の底に棲んでいる生物がいるのかいないのかということを調査した例がございましたので、その結果ですけれども、図24の左側、夏8月において0分の0という数字がございますけれども、これは個体数、種類数とも0であったということです。つまり東京湾において湾の奥部では、夏場ほとんど生物がいないと、海の底の方に生物がいないというそういう状況にあるということです。
     また34ページですけれども、これはそれぞれの湾の比較もあって作ってみた図ですが、横軸に水域面積当たりのCOD負荷量というものをとっております。負荷量だけを見ますと瀬戸内海が非常に多いのですが、海の面積が瀬戸内海は非常に大きいものですから水域面積当たりにしますと、瀬戸内海はかなり左の方、つまり少ないということになります。また縦軸はCOD濃度の平均値、先ほどご説明したようもものと同じ数字でございますけれども、それをとってみたものです。
     そして第1次から第5次までの総量規制の期間に対応して5年ごとにどう変ってきたのかということを示した図でございまして、東京湾を例にいたしますと、いちばん右上の方から第1次からだんだん左下の方に向かってきているということです。つまり負荷量が減少してきているとともに、濃度も低下傾向にあるということになるわけです。大阪湾についても東京湾と同様の傾向がございます。しかし大阪湾を除く瀬戸内海に関しては、顕著な変化が見られないというような傾向にあるわけです。
     35ページには同じような作業を窒素と燐について行ってみたものを示しておりまして、CODと似た傾向にございます。このような水環境の現状になっているわけでございます。
     それではこのようなことを踏まえまして、今後の総量規制の在り方をどうするのかということを検討していただいたわけでございます。10ページをごらんいただきたいと思います。10ページの途中から4として「第6次水質総量規制の在り方について」の記述がございます。まず4-1の指定水域における水環境改善の必要性ですが、今回専門委員会におきましては、この水環境改善の必要性を検討するにあたりまして、環境基準の達成状況というものが大変重要な指標ではございますけれども、それだけではなくて貧酸素水塊の発生により、底生生物が生息しにくい環境になっているという問題がある場合には、そのような問題にも着目すべきであると、このような考え方で検討が進められました。
     その結果といたしまして、東京湾、伊勢湾、大阪湾においては環境基準達成率が低く、しかも大規模な貧酸素水塊が発生しているので、さらに、水環境改善を進める必要があるという結論に至ったわけです。なお、大阪湾の窒素、燐に関しましては先ほどちょっとごらんいただきましたように、平成15年度に環境基準が100%達成されたということですが、16年度に燐が達成されないという見込みになっていると。また一方では窒素はぎりぎりではありますが、達成しているわけですけれども、しかしながら窒素に関してもさらに水質を改善するための取組みが必要とされたところでございます。
     その理由として[1]としては、平成16年度には年間平均値が環境基準値とまったく同じ値となっておりまして、水質の変動に伴って17年度以降、また環境基準を達成しないおそれがあるということ。それから[2]として、大阪湾においては貧酸素水塊が発生しており、また赤潮についても他の湾中で比較して発生していると、こういう問題がありますので大阪湾においては窒素、燐についても引き続き環境改善を進めていく必要があるということです。また一方、大阪湾を除く瀬戸内海に関しましてしては、ここのところは先ほど岡田委員長からご説明いただいたとおりでございまして、窒素、燐の環境基準はほぼ達成されましたので、窒素、燐は望ましいレベルに達しているということです。
     それからCODに関しましても比較的低い状態で推移してきている、また貧酸素水塊に関しては一部の限られた水域での発生にとどまっている。このようなことから11ページでございますが、窒素、燐に関しては現在の水質を維持することが適当である。またCODに関しましては現在の水質が悪化しないように必要な対策を講じつつ、目標とすべき水質を検討することが適切であるという結論になっているところです。なお、瀬戸内海をもう少し湾灘ごとに細かく見てみますと、赤潮により養殖漁業への被害が生じている水域がございます。播磨灘でございますとか豊後水道でそういう海域がございます。それから近年CODが上昇傾向の水域も一部、燧灘等ございますので、これらの問題について引き続き水域ごとに対策を検討していく必要があるとされたところです。
     そして4-2ですが、「対策の在り方」ですけれども、東京湾、伊勢湾、大阪湾におきましては各種の対策を進めていくということです。11ページの下の方からですけれども、まず生活系の排水に関しましては、まだ負荷量の割合が多いということから下水道等の生活排水処理施設の整備を進めるとともに高度処理を推進するということです。
     また、その次のポツですが、工場・事業場、指定地域内事業場に関しましては今までCOD、窒素、燐とも総量規制により削減が図られてきたわけですけれども、今までの対策の状況も踏まえつつ総量規制基準を設定するということです。また総量規制基準の対象とならない小規模なものに関しましては、引き続き排水規制でありますとか削減指導、下水道の整備等による処理の対策を進めます。農業に関しましては環境保全型農業の推進、また畜産に関しては家畜排せつ物の処理の適正化、魚類養殖に関しましても魚類養殖の負荷を低減するための対策というものを進めるとされております。また合流式下水道に関しましては、雨が大量に降りますと一部未処理で放流されるという問題がございましたので、その改善を図って負荷を削減するということです。そして大阪湾を除く瀬戸内海に関しましては、生活排水対策を進めるとともに従来の工場・事業場の排水対策など各種の施策を継続して実施していくということになっております。
     汚濁負荷削減以外に(2)にありますように干潟の保全・再生、それから底質環境を改善するために底泥の除去や覆砂等の対策を推進することとされております。
     また、目標年度に関しましては、従来5年ごとに目標年度を設定してまいりまして、その都度いろいろな状況を踏まえながら新たに対策を進めてまいったところでして、第6次に関しましても5年後を目標年度とすることが適当とされたところです。
     最後に今後の課題でございますが、先ほど岡田委員からご説明があった「目標とすべき水質の検討」ということに加えまして(2)にありますような「調査研究の推進」、それから「情報発進、普及・啓発」、このようなことがご指摘を受けたところでございます。以上がこの総量規制専門委員会報告の内容でございまして、本日これに関しましてご意見をいただきたいと思っております。

    ○須藤部会長 どうもご説明ありがとうございました。最初に、先ほどの久野委員のご質問は今のご説明の中で大体尽きているかと思いますが、大阪湾だけ除いて別に瀬戸内海は別途考えるということでよろしいですか。ご理解いただいたということでよろしいですか、先ほどのご質問。

    ○久野委員 はい。

    ○須藤部会長 ということでございますので、それではただいまのご説明に対しまして環境の保全の方でも対策の方でも結構でございます。どうぞご質問お願いいたします。あるいはコメントでも結構でございます。
     はい、松田委員どうぞお願いします。

    ○松田委員 松田でございますけれども、総量規制の専門委員会で議論に加わらせていただきましたので、ちょっと補足させていただきますが、この資料集の36ページに図の30「漁獲による海域からの窒素及び燐の回収率」という図が出ておりますけれども、これは発生負荷のうち、海に一回入った窒素や燐を水産業の漁獲等によりまして、かきですとかのりの養殖でもいいわけですが、どれだけの割合が回収されたかというものの値でございます。上が窒素、下が燐でそれぞれ3本の線がありますが、いちばん上が瀬戸内海、それから2番目が伊勢湾、いちばん下が東京湾ということで、窒素についても燐についても瀬戸内海がこの割合が非常に高いというのが特徴です。
     特に燐につきましては発生負荷のうち、もちろん海域によって違うのですが、大ざっぱにいいまして15%から20%以上という非常に高い回収率があるわけで、これはある意味では発生負荷を減らしたのと同じような効果があるわけですね。最近ではこのことは水産業の多面的機能というような言い方で、水産業って単に既産物を生産するだけではなくて、このような物質循環の大きな機能を果たしていることが水産基本法にも盛られておりますし、昨年また学術会議の方でも出まして、いろいろと政策も進められていると思いますけれども、特に瀬戸内海では先ほど宮原委員からもご意見がありましたように、健全な水産量を維持していくということが環境保全の面からも非常に重要であるということが特徴的であると思います。
     以上です。

    ○須藤部会長 どうもご説明を加えていただきましてありがとうございました。水産業は先ほど宮原委員からございましたですね。浮田委員、どうぞ。

    ○浮田委員 今の関連ですけれども、36ページの燐の回収率が窒素に比べてかなり大きめになっておりますが、私も昔、計算したことありますが、さほど差がなかったように思うんですね。で、先ほど久野委員のご質問に関連するかと思いますが、やや燐の負荷量の見積りがちょっと低いのではないかなという気がするんですね。大阪湾は比較的生活下水が多い所ですからね、しかしそれを除く瀬戸内海は面源負荷が多いと思うんですね。その面源負荷、特に燐なんかは降雨時の流失ですね、これが主体になるのでそのあたり原単位とか計算法に十分反映されているのかですね、おそらくややちょっと低いんじゃないのかなという気がいたします。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございました。大変貴重なご意見だし、これは湖沼なんかのときでも同じような議論があったような気もいたしますが、坂川室長、それはコメントとして承っておくということで、今お答えありますか。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 たしかに面源のところは先生ご承知のようになかなか把握するのが難しいところがございます。実際には面源は原単位という方法で農地であれば1ヘクタール当たりどのくらいかと、そういう原単位を設定して計算をしているわけですけれども、そういったことについてももう少し精度を上げていくための努力というものは今後必要になるかと思っております。

    ○須藤部会長 この辺の問題は先ほどの課題の中の、推進の中に入っていることになるわけですね。今後検討の課題になるわけですね、今のような面源のとらえ方については。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 面源のところが明示的にここに書かれているわけではございませんが、従来からずっと長きにわたる課題として理解をしております。

    ○須藤部会長 ということで、これは浮田先生のご専門の分野なのでまたいろいろとご指導をいただきたいと、こういうふうに思います。
     ほかにどうぞ。はい、白木委員どうぞお願いします。

    ○白木委員 13ページなんですけれども、3番に「情報発進、普及・啓発」というところがあります。「様々な主体による社会経済活動の結果として発生するものであるため、その削減に当たっては、すべての関係者」というところがあるのですが、私などが関係するのはその「すべての関係者」です。窒素や燐が、例えば大阪湾では基準値を達成しているから、このまま続けようといわれても、それはどうすることなのか具体的には浮かんできません。普通の人たちが、窒素や燐の結果を聞いて、何をしたらいいのかなど環境省がもっと具体的に示してほしいといつも思っているんです。
     例えば私は先ほどから話題になっている大阪湾の埋立地の中にある小さな博物館にいるんですが、同僚が小さな網を持って、仕事の合間に怪しげな格好をして近くの海へ行き、底をその網で1メートルぐらい引きずってきて、その網の中に生物がどれぐらいいるかを見ます。本当にびっくりするぐらいの生き物の数です。
     4mmで大きいような、小っちゃなカニが何十匹もいたり、調査するたびに違った種類のウミウシが出てきたりとかするんですね。そういう生きものがこんなにここにはたくさんいるけれども、ここはいないとか、さっき東京湾の夏には生物がいないとありましたが、そういうことの方が我々普通の、窒素や燐やCODなどがよく分からない者にとっては、わかりやすいと思うんですね。生きもので表した結果だとか普及だとかいうのが聞こえてこないのです。私にはそういうことしかできないので、いつもそんなことを思っています。
     例えばコンサルさんなんかが少ない費用で調査を請け負ったときに、たいていうちのような小さな所へ資料が欲しいと来られ、資料をきれいにまとめて結果を出されます。そうした資料に対する不信感みたいなのがあって、環境省の作られる報告書にはそういうものはないと思うんですが、世の中の資料というものはみんなそういうものじゃないか、みたいな気持ちがあるので、もっと身近な分かりやすい啓発、普及を考えてほしいなといつも思っております。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございました。白木委員は1年間この問題についてこの場でも何回もご主張なさってられたと思いますので当然ではございますが、どうですか。環境省は環境省として、では、谷課長どうぞお願いします。

    ○谷企画課長 普及・啓発の方を担当しております企画課長の谷でございます。ご指摘のように本当にだれもがわかって参加できる水環境行政大切と思っております。水生生物の方は以前から国土交通省などとも協力をいたしまして水生生物調査のいろいろな方のご参加を得てやってきておりますものの、おそらくご指摘のとおりあまり知られている広がりが今一つというところはあるかもしれません。
     それでこの3月に、ちょっとこれはもう少し目立つようにといいますか、子どもホタレンジャー大臣表彰という新しいことを小池環境大臣のご提案で始めました。これはホタルに着目して子どもたちが水環境を守る活動をするという事例を全国から募集いたしまして、これは非常にいいという事例を大臣表彰などいたしまして、発表会をこの3月末にいたしました。まだこれからそういう事例につきましてホームページに載せたり本みたいなものつくりまして、普及をしていきたいと考えておりまして、第1回目は須藤先生にも選考委員に入っていただきまして、本当にいい子どもたちの活動が集まりましたので、また引き続き今年度も実施してまいりたいと考えております。そのほかにもいろいろな形でだれにもわかる水環境をどのようにして評価していったらいいか今年度も考えてまいりたいと思います。ご意見をお寄せいただきたいと思います。
     あと、ちょっとこの機会をいただきまして普及・啓発の一つご指摘ございましたので、ご紹介させていただきますと、来週月曜日、18日に、ちょっとこれは私的な感じなんですが、本を小池環境大臣とそのほかの環境の関連で事業、仕事をやっている女性たちで発売をいたします。名前を『環境ビジネスウィメン』という本でございまして、日経BPからの発売でございますが、私も1章書かせていただきまして、その中で水環境を守るということを行政官としてということもありますが、個人の生活の中でどういうことをやろうとしているかというようなことのご紹介もさせていただきました。あらゆる機会をとらえて多くの方々にご理解いただき、実感していただける水環境の普及・啓発を考えてまいりたいと思います。どうぞご指導くださいませ。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございます。ややもするとこの水環境って川が中心で湖は多少入るんでしょうけれども、海がなかなか入りにくいことが多いんですよね、従来からね。そんなことで海辺の本体も今後、そのホタルの話にするのは難しいとは思いますけれども、水環境にいろいろ活動したお子さんとか住民の方とかそういうことがとらえられるような、海まで含めたものを、ぜひお願いしたいと思います。どうぞお願いします。
     では、課長お答えください。その次に……。

    ○谷企画課長 海の話で一つ補足をさせていただきます。まだちょっと発表に至っておりませんが、あとしばらくしたら発表しようとしておりますことで、海水浴場その他の選定がございます。これまで水浴場55選あるいは水浴場88選という形で選定発表をしてまいりましたけれども、今月新しい考え方での選定につきまして発表する予定でございます。そこで出す新しい考え方の中にいろいろ、例えば環境教育ですとかもっとさまざまな観点からの環境の側面をより取り入れた形で考え方を今月発表いたしまして、一夏置いておくことによっていろいろな海辺での活動の成果が反映されるような形を考えまして、その後、この秋、冬にかけまして選定をいたしまして来年の春から初夏ごろに発表できればと思っております。海についても一生懸命やってまいりたいと思います。

    ○須藤部会長 ありがとうございました。それでは中原委員、続いて鷲谷委員とまいりますので、どうぞ。

    ○中原委員 海の環境改善とは、これ人間だけでは絶対無理だと思うのね。海の環境改善はやっぱり海の生物と人間との共同作業でなかったらだめだと思うんですね。だから例えば11ページから12ページに掲げている対策の在り方も1番が汚濁負荷削減対策で2番が干潟の保全、これ逆だと思うんですよ。要は海も今これだけ悪くなって、どんどん今よくなっているのは要は生物が棲めるようになって少しよくなった。だからまず、もう少し生物の棲める環境をよくしていって、それからあと負荷の削減対策は要らないというわけではないんだけれども、そっちをまずメインとして考えるべきではないかと、この順番はちょっと逆ではないかというふうにちょっと感じたのですけれども、その辺いかがですか。

    ○須藤部会長 それでは、鷲谷先生からうかがったうえで、お答えいただきます。どうぞ。

    ○鷲谷委員 先ほどのご意見もありますし、若干生物が出てくるところでは種数と個体数ということが出てきたんですけれども、おそらくどんな生物かというようなことの方が重要で、それぞれの海域の生態系の厳然性を指標するような、例えば在来のカニとか貝類など指標数みたいなものを取り上げたモニタリングというのも重要ではないかと思うんですけれども、水質の影響を受けて非常に大きく生物群集として変っていて、種類組成が変っていると思います。で、変わった組成がまた水環境に影響を与える。それはそんなに大きな影響ではないかもしれませんけれども、そういうこともあると思うんですね。
     例えば東京湾の貧酸素水塊が発達することも、そこの場その時期にはほとんどの生き物が生きていられないんですけれども、それが発達することによって在来のカニと地中海ミドリガニという外来のカニのバランスが大きく変っていて、それはそれらの生態を介しての変化なんですけれども、地中海ミドリガニが増えているということもあるんですね。
     で、どんな水が健全な水環境をどんな生き物が指標しているかということに関しては、私は海こと専門ではないんですけれども、専門の方はご存じなんだろうと思うんです。それぞれの海域ごとに適切な指標ということもあるのではないかと思いますので、そういうモニタリングもあるともう少し水質も身近なものになってくると思いますし、こういうCODとか窒素、燐ということだけでは見えない問題というのも見えてくるのではないかという気がいたします。

    ○須藤部会長 それでは今、お二人の先生からの……まだございますか。では、宮原委員どうぞ。

    ○宮原委員 我々漁業サイドからいいますと、やっぱり生物指標を、今の鷲谷先生と同じ意見でございますけれども、ぜひとも設定をしていただいてこれをモニタリングするということをやっていただきたい。それからもう1つ、CODとか言っておられますけれども生物にとっては残存酸素量、DO、ここにも二十何ページかに出ておりますけれども、DOの基準の設定をしていただければありがたいなと思っております。
     それにもう1つ、すみません、下水道の処理の中で塩素処理というのが非常に我々今問題になっておりますので、紫外線処理が進めるような形を、この水質をよくするためにも入れていただきたいと思います。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございます。

    ○藤原委員 よろしいですか、関連です。

    ○須藤部会長 どうぞ関連で。

    ○藤原委員 いろいろ委員から生物指標とか漁業の話も出て、そのことについては全然反対でもなく賛成なんですが、この資料5そのものは水質総量規制の在り方ということなので、で、この資料の中の14ページを見ると、今までの数次わたる総量規制で負荷量がずいぶん下がってきております。これは総量規制なかりせばどういうふうになっていたか、というふうに考えると、このグラフが右下がりではなくて右上がりにひょっとしたらなっていたのではないか。この総量規制というのは、そういう意味でこの負荷量を下げるということについては、私は非常に効果があったのではないかなと思うんですね。当時、産業活動が非常に盛んでなかなか負荷量を落とすこと自体が大変むずかしいころに、この総量規制制度が導入されてこういうふうに負荷量も下がってきたというのは、これは容易なことではない。非常に努力もされてこうなってきたというふうに思うのですが。
     このこと自体、この14ページを見ていると大変効果があったなということなんですが、それでは水質の状況にどういうふうに反映したかというところが若干問題でありますね。そこで岡田先生からも報告あったのですが、13ページの真ん中あたりに今後水域の目標とするべき水質とその評価方法について検討を行うと書いてありますから、これ具体的にどういうふうなことをやられるのか、あまり具体的なお話はなかったですが、こういうのが重要な課題だとは思います。
     したがって、この瀬戸内海の全体の環境保全をよくするにはいろんな手段というのかあるんですが、これは総量規制負荷量とする道具ということですので、これはこれで非常に重要なツールというふうに考えるべきではないかなと。そのほかのいろんなことも合せてやらなければいけないけれども、総量規制の制度としてはやはり負荷量の削減というのは、これは重要であったし、今後も重要ではないかなと。今後引き続きどの程度やらなければいけないかというところはいろいろ検討はあろうかと思いますけれども。

    ○須藤部会長 久野委員。今のは関連だけでいいですか。では、その辺で1回お答えいただいたほうがいいと思うので。では、久野委員お願いします。

    ○久野委員 今、藤原委員おっしゃったように、ぜひこれは総量削減、総量規制の話なので、たしかに今までの先生のおっしゃった点はもっともなんですけれども、その点はむしろこれではなくて、多分近々くるであろう例えば埋立ての基本方針だとか、あるいは基本計画の見直しだとか、そういう場で大いに議論をして、そして直していくべき課題ではないかなという気がいたしております。
     それと最後に藤原委員のおっしゃった点で、私も1つ質問があるのですが、13ページで目標とすべき水質の見直しとおっしゃっているのですが、11ページの上の方では瀬戸内海についてと書いてあるんですね。「瀬戸内海において目標とすべき水質を検討する」と書いてあるのですが、13ページのところではこれは総量規制水域全域なのかあるいはそれこそ海域全域なのか、その辺ちょっと私読んでわからなかったものですから教えていただきたいと思います。

    ○須藤部会長 それでは前半のお二人の先生方からは特に生物関連あるいは生息場の関係が重要であるので、そういうモニタリングなり評価項目を入れることの重要性。それからあと、お二人の委員の方からは総量規制の従来からの継続した効果が非常に高かったのではないかということで、岡田先生のご説明のところでは特に総量規制の在り方が中心なんですけれども、こういうところに各所に総量規制だけでは達成し得ない問題を含んでいますので、そういうことであとで岡田先生にもう一度お答えいただきますが、先に坂川室長の方から今の4人の先生の部分のところで何かお答えがあればしてください。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 最初に中原委員からご指摘のあったところで汚濁負荷削減対策と干潟の保全・再生対策と順番のところなんですが、おそらくどちらがより重要かというのは海域よって変っているのかなというふうに考えておりまして、例えば東京湾、大阪湾のように非常に汚濁負荷がまだまだ多いという所は、やはり汚濁負荷を削減するということの重要性というのはかなりあるんじゃないかなと思っております。ただ、今回のこの報告書の中でも大阪湾を除く瀬戸内海はちょっと違う扱いにしておりますが、そういうようなところはひょっとすると(2)番の干潟の方が大事なのかもしれないということで、そこはそれぞれの海の状況によって違っているんじゃないかなと思っております。
     参考までに今回、先ほどご説明はしなかったのですが、水質予測シミュレーションというのをやっておりまして、39ページからその資料を載せているのですが、もし汚濁負荷を削減したら、また干潟を再生したらどのくらい水質が改善されるのかというのを、東京湾を例にシミュレーションで予測をした結果がございます。それが40ページでございますけれども、40ページのいちばん上の図が現況を再現したもので、左下の(2)の汚濁負荷量30%削減した場合、(3)それに加えて干潟を2,700ヘクタール再生した場合どうなるのかということでございまして、そういたしますと東京湾の場合には汚濁負荷を削減するとかなり水質の改善効果があると。それに加えて干潟を再生すると、今のそれに加えてまたさらに水質が改善されると。こういう結果になりましたので、おそらくいずれも大事なんだろうというふうには思っておりますけれども、東京湾のように汚濁負荷がかなり多い所ではやはりまだ汚濁負荷量の削減というものが重要なのではないかなと、このように考えているところでございます。
     それからあと、生物指標に関しましていくつかご指摘がございまして、そこはまったくおっしゃるとおりだと思っております。今までどうしてもCODとか窒素、燐とかそういうもののモニタリングが中心でございましたけれども、特に貧酸素水塊の生物に与える影響というものに着目をしてきておりまして、ようやく底生生物のモニタリングというものを近年になってはじめてきていると、こういうような状況ではございますけれども、こういうものを引き続き進めるとともに、底生生物に限らず生物指標についても検討していきたいと思っております。
     それから久野委員からご指摘があったところなんですが、13ページの(1)の最後の方ですが「指定水域の目標と」というところですが、指定水域というのは総量規制の対象海域ということでございまして、ここではこれが総量規制専門委員会の報告なものですから、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海ですね、大阪湾を含む瀬戸内海、このすべての水域の目標とすべき水質とその評価方法についてと、このように読んでいただきたいと思っております。しかしながら、この検討を進めていけば当然それは海域全体にかかわることになるだろうというふうには考えております。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございました。では、岡田委員何か先ほどご質問の検討をどういうふうにするかというようなことで。

    ○岡田委員 今、坂川室長がお答えになって、私からは特段ないんですが、1つだけ藤原委員がおっしゃった汚濁負荷を削減してきたと、しかしながらその場合には水質改善が必ずしも思いどおりではないというご指摘がございました。これは委員会の中でも随分議論があったところでございます。それを検証するというか、そのなぜか。それから今後もっと削減すれば本当にきれいになるかというところは、今坂川室長からご説明あったシミュレーションで検証するということで、ここで40ページで繰り返しになりますが、東京湾で負荷を30%削減した。30%削減にもかかわらず水質があまり変わらないとすると、いままで何だったんだという、これ以上やってはいけないという議論になるかと思いますが、予想どおりというかやはり30%削減すればこうなるということで、やはり我々としては今後負荷を削減することがまず第一義的に必要であると。
     で、干潟と、これはあまり明快にいうとよくないのかもしれませんが、干潟をさらに再生した場合、その期待したほど効果は大きくないんですね、ですからまず汚濁負荷削減の方が第一義だろうというふうに考えております。
     以上でございます。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございました。それではそのほかのことで。
     では、沖委員どうぞお願いします。

    ○沖委員 今の岡田先生のお話をうかがっていて思ったんですが、私も海域ではないんですが、淡水の方では干潟造成をいたしておりまして、その水質浄化機能等々見ております。おっしゃるとおりあまり効果は大きくないというのは事実なんですが、先ほどから私も生物屋でございますので生物が気になるんですが、この汚濁負荷削減対策のところにもう少し生物的な話が入ってもいいのではないか。例えば先ほどご説明ありました36ページのところですね、ここで岡山、広島等々はかきの養殖、かき殻が非常に多く出てまいります。これをやはり水質浄化等々に使えるということもあります。ここに生物増殖もございますし、この辺のところですね、もう少し活用するような方向というのも考えていいのではないかと。
     となりますと、この11ページから12ページに書いていらっしゃいます汚濁削減負荷対策のところの農業については魚類、養殖については云々とございますけれども、もう少しこの辺をミックスアップされたような形で考える。例えばかき殻を今のように水質浄化に使ったあと、今度は環境保全型農業の方にこれを持っていくと、今は単なる産業廃棄物で廃棄されていると。非常にもったいないこともございますので、こういうところも今後考えていってもいいのではないかというふうに思っております。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございます。この問題はここではないんですが、湖沼の方のことを検討するうえでも同様のことがございまして、自然浄化機能、要するに生物の機能をどう活用していくかということを重要な項目として取り上げた経緯がございますので、海も同様でございましょうから今の問題も、総量の削減の量に入れるかどうかというのは、これはまだ問題があると思いますが、それは一つの政策として今後検討していただくということにさせていただきます。ほかにいかがでございましょうか。
     はい、武岡委員どうぞお願いします。

    ○武岡委員 ちょっと二、三あるんですけれども。今の干潟の話ですね、干潟を造成してもあまり効果がないという話がありましたが、これは水質の改善には効果がないかもしれませんけれども、干潟そのものに価値があることはあるわけで……。

    ○須藤部会長 そういう意味ですね。

    ○沖委員 それはよくわかります。

    ○武岡委員 そこのところがあるような気がしました。それから今後の課題で、さっきからも何度も出ていますが、今後水質の量ですね、従来だとCODでやれていたわけですけれども、CODの少し中身に踏み込んで酸素消費の速い遅いという話までいっているようなんですが、さらに踏み込んで、特に内部生産CODといわれているようなものの中のプランクトンとか、これはやはり海にとって必要なものもあるわけですから、減らすことがいいという考えではなくて、いわゆるコレステロールの中に善玉、悪玉があって善玉減らしたらこうなると、そのように減らすと海が死んでしまうということになりかねないところがありますので、CODの中身でももっと突っ込んだ、これは結局生物――という話になってくるので、さっきまで出ているのはもう少しマクロな生物の話なんですが、水質そのものに、特にCODにかかわっているような生物をですね、そういうようなものにもう少し踏み込んでいただきたいというのがコメントです。
     それからもう1点、10ページのところに貧酸素水塊ですね、大阪湾はいまだに起こっているけれども、大阪湾以外では一部を除く瀬戸内海だという、その一部の部分が燧灘東部だと思うんですが、これに関してはいちばん下のところに、10ページのいちばん下ですね。「貧酸素水塊の発生原因は有機物の酸素消費速度が速いためではなく、海域の物理的特性による底層水の強い停滞性によるものである」と、これはおっしゃるとおりで私も以前、燧灘を調査したときに、実際に東京湾とか三河湾とかと比べて同程度の貧酸素化が起こるにもかかわらず、酸素消費は小さい。したがってそれは物理的な底層が強いことが主な原因であるというようなことは、もう以前私も書いたことがあって、これ自体は賛成なんですが、しかし物理原因だけで起こるわけではなくて、非常にそれが強く働いているということは定性的には言えるのですが、それだけで起こるわけではない。
     で、自然の状態でも、つまり人為的インパクトがまったくない状態でも起こるところでは貧酸素水塊というのは起こるわけで、非常に停滞性の強いところですね、この燧灘の東部海域というのは既にそういうところまで回復していて、人間活動の影響がなくても起こることは防げないという、毎年起こっているわけではないと思うんですが、既にそこまでいっているのか、まだ人為的影響が加わっているのか、そこのところ遠い過去のデータが十分ないと思いますので、十分はまだわからないと思うんですけれども、少しそこの現状の燧灘の貧酸素の発生原因についてもう少し、この話はかなり定性的な話にとどまっているんですが、定量的な検討をしておく必要があるのではないかと。こういう形で切り捨てるように見えなくもないんですが、これもしようがないよと、物理特性だからしようがないよというふうに言えなくないんですが、本当にそうなのかどうかというところは、まだ検討の余地があるのではないかという気がします。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございました。1番目の問題は干潟の価値は当然皆さん認めていただいているわけですから、ただ水質にという意味だったと思います。
     2番目は、CODの中身の問題にも言及しなくてはいけなくなるわけですが、これについてはほかの部会でもあるいは専門委員会でもさまざまな形で出ている問題なんですね。これはここの問題だけではなくて総括的になるべく速やかに検討を加えなくてはいけない問題だと理解をしております。このままでいいということでは多分私はないだろうと思います。
     3番目については事務局からどうぞ。

    ○坂川閉鎖性海域対策室長 燧灘に関しましてはたしかに貧酸素水塊があると。年によってちょっと発生状況が変っているのでございますがあるということで、私どももここはどうすべきかかなり悩んだところではあるんですが、武岡先生おっしゃるようにこれが本当にどうしようもないものなのか、やはりある程度まだ人為的な影響があるのかというところは、今後の検討課題だというふうに思っておりまして、そこを、ではどのように調べればそれがわかるのかというところ、私どもまだ今のところよくわからないというのが本当のところでございまして、ぜひとも武岡先生にご指導をいただければと、こういうふうに思っておりますのでよろしくお願いいたします。

    ○須藤部会長 それでは武岡先生、ご専門でいらっしゃいましょう。今のところはどうぞご指導をよろしくお願いしたいと思います。
     予定した時間に近づいてまいりましたので……。

    ○浮田委員 ちょっといいですか。

    ○須藤部会長 では、浮田先生。少し簡潔にご意見をお願いします。

    ○浮田委員 目標とすべき水質の検討のところなんですけれども、我々は周防灘の方で水質を毎年評価をしたりしておりますけれども、C海域の8 ppmですね、これはちょっと高いんじゃないかなと。それからA海域の……これはやむを得ないとしてですね、A海域の設定地点が陸に近過ぎるというかもう少し沖合に設定してやってもいいんじゃないかなという、ちょっと感想を持っております。
     それから岡田先生の報告で海域ごとに考えるという、それを瀬戸内海でもやはり地域ごとに水質の目標なんかをもう少し考えて今後の対策を考えていくといいますか、そういうふうな指導を環境省の方でしていただくことは可能かどうかですね。そういう感想を持ちますけれども。

    ○須藤部会長 どうもありがとうございました。それでは最後になりました鷲谷先生どうぞ。

    ○鷲谷委員 シミュレーションの結果が大変興味深いのでそれについてうかがいたいんですけれども、海域の生態系もおそらく負荷に対して単に線形に反応するのではなくて、このシミュレーションの中でも、これ見せていただきますと栄養塩類の溶出については非定常ということで考えていらっしゃるようですが、だとするとあるところでシフトが起きるはずなんですけれども、そのシフトを起こすような負荷量の限界値というのがこのシミュレーションから明らかになっているのかどうかということと、このシミュレーションがどのぐらい有効かを何らかの過去のデータなどで、どういう手段で検証をしていらっしゃるかということについてうかがえればと思います。

    ○須藤部会長 それでは、浮田先生の方はどちらかというとコメントということで理解して、今の鷲谷先生のはシミュレーションの再現性というかそれについてどういうふうにやられているかという……。

    ○鷲谷委員 反応の在り方、線形じゃない在り方。

    ○繁本室長補佐 シミュレーションについて私の方からご説明させていただきますが、今回、非定常で解いておりますので、1年間の中に日別にどう水が動いているかというのがわかってきたわけです。鷲谷先生のご指摘されたようなどこまで負荷を下げて、あるいは何年ぐらい下げ続ければシフトが起きるのかというのは多年度の計算をずっとやれば出てくるかもしれない。ただ、今回そこまではやっていません。1年間だけです。

    ○鷲谷委員 何か飛躍するような負荷の限界図みたいなのが見出せると、その値というのは役に立つものになるのではないかと思うんですけれども、目標の目安としてですね。

    ○繁本室長補佐 そうですね。水質改善のスイッチが入るその負荷のレベルはどれぐらいかというのがこのシミュレーションでできるかということかと思いますが……。

    ○鷲谷委員 そうですね、負荷が増加していくときと、非定常ですから減らしていくときは違う曲線をたどると思うんですが、そういうようなことに関しても知見が得られるようなモデルになっているのかちょっと中身が、ここを読んだだけなので。非定常というかそれにシフトをもたらす要素としてはここでは底泥からの溶出という要素だけのようにお見受けしたんですけれども、どんな感じのシフトが表れているのかが関心がありまして。

    ○繁本室長補佐 そのシフトを考えるにあたってはやはり底泥からの溶出でありますとか、底層におけるDOというのがすごく重要になってくるかと思いますが、このモデルではそういう検討ができるかと事務局の方では考えておりますが、まだそういった検討まではやっていなくて、今後の課題としたいと思います。

    ○須藤部会長 東京湾ではもう少し詳しくやっているよね。

    ○繁本室長補佐 東京湾のシミュレーションについては……。

    ○須藤部会長 やっていなかった。

    ○繁本室長補佐 瀬戸内海についてはやっていないです。東京湾についてだけやっております。

    ○須藤部会長 あっ、そうだ。ごめんなさい。瀬戸内海についてはやっていないんですね。
     それではどうもありがとうございました。本日のご意見さまざまいただきましたが、最終的には専門委員会報告をとりまとめるにあたって、ぜひ参考にしていただきたいと思います。岡田先生と事務局では、どうぞ先生方のご意見を反映させるようどうぞよろしくご配慮いただきたいと思います。
     それでは、最後の議題「その他」でございます。ここでは本日お集まりいただいております委員の方々から瀬戸内海の環境保全についていろいろ自由にご意見をいただいたと、こういうふうに思っております。限られた時間ではございますが、総量規制以外にもご意見をいただいたということで意見交換にこれをさせていただきたいと思いますが、その他として事務局何かございますでしょうか、よろしいですか。
     それでは、瀬戸内海部会を閉会する時間となりましたので、いろいろのご意見についてうかがいましたので、これを今後の瀬戸内海の環境保全に取り組む上で参考にさせていただきたいと考えます。
     それでは、本日予定されているすべての議題は終了させていただきました。これにて第3回中央環境審議会瀬戸内海環境部会を閉会とさせていただきます。議事の進行についてちょうどぴったりというよりちょっと2分ほど過ぎてしまいましたが、皆様のご協力に感謝申し上げます。どうもお疲れさまでございました。

    午後3時32分 閉会