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議事録一覧

中央環境審議会騒音振動部会
自動車単体騒音専門委員会(第8回)会議録


1.日時

平成22年8月19日(木)15:24~17:31

2.場所

東海大学校友会館 富士の間

3.出席者

(委員長) 橋本 竹夫
(委員) 金子 成彦 石濱 正男 押野 康夫
鎌田 実 後藤 新一 田中 丈晴
中野 光雄 並河 良治
(環境省) 鷺坂水・大気環境局長
石飛総務課長
山本自動車環境対策課長
岩田環境管理技術室長
高井環境管理技術室長補佐
傳田係長
吉田係員

4.議題

(1)
最終答申に向けた検討事項の状況について(平成21年度調査結果)
(2)
その他

5.検討資料一覧

資料8-1
自動車単体騒音専門委員会(第7回)議事要旨
資料8-2
自動車単体騒音専門委員会(第7回)議事録(案)
資料8-3
最終答申に向けた全体スケジュール
資料8-4-[1]
加速走行騒音規制に関する検討状況(ISO362の改正)
資料8-4-[2]
加速走行騒音規制に関する検討状況(新ISO362と日本の走行実態との比較)
資料8-5
タイヤ単体騒音規制と定常走行騒音規制に関する検討状況
資料8-6
近接排気騒音規制に関する今後の検討事項
資料8-7-[1]
マフラーの事前認証制度の状況(平成22年8月1日時点)
資料8-7-[2]
音によるエンジン回転数計測に関する検討状況
参考資料
今後の自動車騒音対策の取組方針

6.議事

【高井室長補佐】 それでは、委員の先生、皆さんそろいましたので、少し定刻より早いですけど、開始させていただいてよろしいでしょうか。それでは、中央環境審議会騒音振動部会、第8回自動車単体騒音専門委員会を開会いたします。
 本日の会議は公開とさせていただき、会議資料について、一部を除き公開とさせていただきたいと思います。
 まず初めに、専門委員に変更がございましたので、ご紹介申し上げます。
 警察庁科学警察研究所、交通科学部長、石川博敏委員にかわりまして、ご後任でおられる西田泰様にご就任いただきました。ただし、本日は欠席とのご連絡をいただいております。また、平松幸三委員が本日欠席となっております。
 環境省の事務局にも人事異動がございまして、環境管理技術室の室長補佐が多田から私、高井にかわりました。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、会議に先立ちまして、環境省水・大気環境局の鷺坂局長より、ごあいさつをさせていただきたいと存じます。

【鷺坂局長】 環境省の水・大気環境局長の鷺坂でございます。
 本日は、大変お忙しい中、また大変暑い中、自動車単体騒音専門委員会にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、委員の先生方には、日頃より自動車の騒音問題等につきまして、様々ご指導賜っておりますことを、この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。
 自動車騒音規制でございますけれども、一昨年の中間答申において、そのあり方についての見直しに向けての色々な諸課題をお示しいただいております。そういったことで、この専門委員会がスタートしているわけでございますが、1つ、中間答申にございましたマフラーの事前認証制度につきましては、今年の4月以降、新車について適用が開始されております。今後の認証マフラーの普及等によりまして、いわゆる爆音マフラーといった規制値を超えるようなものの排除、こういったことに効果を発揮できるのではないかと、このように考えているところでございます。
 それから、自動車騒音規制の見直しの中ではございますけれども、加速走行騒音につきましては、昨年度より国内の走行実態調査を実施し、日本の現行試験法、及び国際的な試験法であるISO新試験法との関係、こういったことについても検討しておりますし、また、定常走行騒音につきましても、昨年度よりタイヤ単体騒音対策検討会を立ち上げて検討を行っていると、こういった状況でございます。
 本日は、こういった私どもの調査結果を報告させていただきますとともに、これからの審議、最終的な専門委員会としてのまとめに向けての検討内容、あるいは今後のスケジュール等についてもご審議いただきたい、このように考えておりますので、どうぞ忌憚のないご意見をお出しいただきまして、さらに自動車騒音規制が効果のあるようなものにしていただければと、このように考えているところでございますので、引き続き委員の先生方には色々ご指導賜ると思いますが、宜しくお願いしたいと思います。
 以上で、私からの冒頭のご挨拶にさせていただきます。

【高井室長補佐】 ありがとうございました。
 続きまして、お手元の資料について確認させていただきます。
 まず、議事次第がございまして、その次が委員名簿となっております。その次が、資料8-1として第7回、前回の議事要旨でございます。その次が、詳細な会議録となっております。こちらは委員限りの資料としております。次に、資料8-3で最終答申に向けた全体スケジュールでございます。その次が、資料8-4-[1]、加速走行騒音規制に関する検討状況(ISO362の改正)、こちらは委員限りの資料とさせていただいております。次に、資料8-4-[2]、加速走行騒音規制に関する検討状況(新ISO362と日本の走行実態との比較)でございます。次が、資料8-5、タイヤ単体騒音規制と定常走行騒音規制に関する検討状況の資料でございます。資料8-6、近接排気騒音規制に関する今後の検討事項となっております。次に、資料8-7-[1]、マフラーの事前認証制度の状況、それと資料8-7-[2]、音によるエンジン回転数計測に関する検討状況となっております。あと、もう1つ、参考資料として今後の自動車騒音対策の取り組み方針について、以上でございます。不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、初めに、資料1に第7回専門委員会の議事要旨、資料2に委員限りの資料として専門委員会議事録を提出させていただいております。議事録(案)については、以前頂戴しましたご意見を反映したものとなっておりますが、さらに修正等がございましたら来週27日金曜日までに事務局までお知らせください。ご意見を反映後、速やかにホームページにて公開させていただきます。
 また、参考資料として、環境省が昨年の騒音振動部会においてご報告、報道発表を行いました今後の自動車騒音対策の取組方針についてを提出させていただいております。本方針は、騒音に係る環境基準の告示に定めた施行後10年の達成時期を迎えたことを踏まえ、警察庁、経産省、国交省の協力を得て策定したものであり、本専門委員会において検討中の自動車単体騒音対策に関する検討事項についても記述されておりますので、ご確認いただければと思います。
 それでは、以降の進行は橋本委員長にお願いいたします。

【橋本委員長】 皆様、本日は大変暑い中でございますけれども、この委員会の開催に当たりまして多くの委員の方々に、お忙しい中、参加いただきました。どうもありがとうございます。
 それでは、まず、本日の議題に入りたいと思います。まず、議題の1でございますけれども、最終答申に向けた検討事項の状況についてということでございまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。

【高井室長補佐】 ありがとうございます。
 それでは、資料に基づき説明いたしますが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとしますので、報道関係の方はご承知おきください。
 それでは、資料8-3、最終答申に向けた全体スケジュールをご覧ください。こちらは、最終答申に向けた全体のスケジュールを示しております。
 1ページ目でございますが、加速走行騒音、定常走行騒音及び近接排気騒音の試験による現行の騒音対策、及び平成20年の中間答申に基づく新たな対策の全体のイメージとなっております。中間答申によって、マフラーの事前認証制度が導入されました。中間答申前は加速走行騒音について新車時のみの規制となっておりましたが、マフラーの事前認証制度により、使用過程での加速走行騒音について規制されるという状況になってございます。
 1枚おめくりいただいて2ページ目でございますが、最終答申で現在検討しているすべての事項を反映した場合の対策イメージ、及び、それに向けた検討事項を示しております。騒音対策の検討においては、使用過程時の自動車騒音を新車時よりも増加させないこと、新車時の試験方法は現在の走行実態に合ったものとしつつ、国際競争力確保などの観点から国際基準調和を検討すること、また、規制値は環境の改善を前提に騒音低減技術の効果評価などを踏まえ設定すること、これらを基本的な考え方としております。加速走行騒音には、より現在の実態に合った加速走行騒音試験の導入及び新ISO362への対応による国際調和の検討、定常走行騒音については、タイヤ単体ベースでの規制を導入し現行の定常走行騒音の廃止の検討、近接排気騒音について、新車時の測定値に対する相対値規制の導入及び絶対値規制の廃止の可否の検討を行ってまいります。また、車両騒音取り締まりの実効性を高めるため、街頭検査での計測を容易にする排気音による回転数計測、あるいは常時高騒音車両検出技術の可能性といったことも検討してまいります。
 1枚おめくりいただきまして、最終答申までのスケジュールを示しております。いずれの項目についても後ほど改めて説明しますが、まずは加速走行騒音に係る昨年度の作業としまして、新ISO362の導入を検討するため、日本での車両の走行状態、アクセル開度や加速度の運転領域について、乗用車、商用車に対し実態調査を行い、新ISO362の試験条件との相関について調査しました。今年度も、対象車種を増やして同様の調査を行うこととしております。
 定常走行騒音規制に関しては、昨年度は四輪の市販用タイヤの騒音値について、既にタイヤ単体規制を導入しております欧州の試験法により測定し、定常走行試験とタイヤ単体規制の相関性について調査しました。今年度は、二輪車についても騒音実態調査を行うとともに、タイヤ単体規制による道路交通騒音低減効果の予測などを行ってまいります。近接排気騒音については、相対値規制の実施可能性の検討及び絶対値規制の廃止の可否の検討を始めていきたいと考えていますが、これはマフラーの事前認証制度における近接排気騒音値、加速走行騒音値などの実態、あるいは相対値を定める際にエンジンやマフラーの劣化により、どの程度、騒音値が変化するかという実態の把握、あるいは先ほど説明した加速走行騒音規制の見直しの検討を踏まえて、あわせて行っていく必要があるというふうに考えております。
 近接排気騒音にも関連しますが、本年4月よりマフラーの事前認証制度による規制が始まったところでございます。認証取得状況のフォロー及び将来的な規制値の見直しの検討のための交換用マフラーの技術動向について、調査してまいりたいと考えております。
 音によるエンジン回転数計測については、機器メーカーの開発動向をフォローアップしており、本年度、既に車検場でのトライアルも行ったところでございます。検査機器としての導入、実用化に向けて、引き続きフォローしてまいりたいと考えております。
 また、研究開発について、正直、なかなか厳しい状況ではあるのですが、競争的資金に応募できるような環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
 スケジュールについては、以上でございます。

【橋本委員長】 それでは、ただ今の事務局からの説明に対しまして、ご出席の委員の方々から、ご意見・ご質問等がございましたらお願いしたいと思います。
 ただ今の説明は全体のスケジュールということでございましたが、個別に、さらに詳しく、個々の項目について、また説明させていただくということになりますので、この段階で、もしご質問がなければ先に進めさせていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

(なし)

【橋本委員長】 それでは、続きまして資料8-4-[1]でございますけれども、加速走行騒音規制に関する検討状況(ISO362の改正)についての内容でございますが、事務局から説明をお願いいたします。

【高井室長補佐】 ありがとうございます。
 それでは、資料8-4-[1]、加速走行騒音規制に関する検討状況として、前回、専門委員会において新ISO362試験法の制定の経緯を明らかにするようといったご意見がございましたので、その概要について説明したいと思います。なお、ISOのデータについては一般に公表されていないため、取り扱いについてはご注意いただきたいと思います。
 それでは、スライドの方を用いて説明したいと思います。
 こちらは、オリジナルのISO362の概要でございます。ISO362は騒音を評価する手法のベースとなる試験手法でございまして、日本でも試験時の重量、ギヤ位置及びマイクロホンの数などは異なるものの、基本的にISO362の試験方法を導入しております。
 ISO362の改正の背景でございます。オリジナルの規格策定後に道路交通環境、車両の性能あるいは使われ方といったことが変化してきた一方で、オリジナルのISO362は全開加速時の騒音を対象としておりまして、実際の市街地での走行で利用頻度の高い運転条件とは異なっております。また、こちらの左側のグラフでございますが、騒音規制の強化を示しております。その一方で、右のグラフは、こちらはスウェーデンの調査でございますが、道路沿道における通過交通の騒音実測を示しております。1978年、83年、92年と、左のグラフでは騒音規制が強化されておるのですが、必ずしも通過交通の騒音値は下がる傾向とはなっておりません。このように、規制強化が道路交通騒音の十分な改善に必ずしもつながっていないという状況が指摘されて、改正について議論されるようになりました。
 ISO362の改正の経緯を示しておりますが、1993年に四輪について検討が開始されて、2007年に四輪車、2009年には二輪車に係る新試験法が発行されております。
 こちらは、新試験法の概略を示しております。乗用車、小型車及び第2種原付、小型二輪車については、市街地を代表する加速度における騒音値を評価する試験法としております。この加速度をαurbanと呼びます。乗用車及び小型二輪車は、時速50キロ付近での騒音値を計測することになります。市街地を代表する加速度はPMR、Power Mass Ratioの関数として導かれます。一方で、αurbanの加速度を厳密に試験で再現することは困難であるため、フルスロットルでの加速度及び騒音値を測定し、定常走行、クルージング時の騒音値との差と加速度は比例関係にあるという前提のもとで、フルスロットル時の騒音値及びクルージング時の騒音値から線形補間によって算出します。それが右下のグラフでございます。なお、3.5トン超の中型車、大型車、原付、二輪車については、これまで同様にフルスロットルでの騒音値を測定することとしております。
 それでは、どのように定められたか、簡単にご説明したいと思います。先ほど、αurbanでの騒音値は、フルスロットルの加速度と騒音値、またクルージング時の加速度は0となりますが、騒音値から線形補間により算出すると説明しましたが、新試験法の検討時にギヤを固定して時速50キロ付近での加速度と騒音値の関係を示しております。左が7速のCVT車、右が4速のAT車でございますが、いずれも線形性が確認されまして、線形補間による算出方法の妥当性が示されております。
 市街地走行調査及びテストコースにおける走行調査の概要でございます。市街地走行調査では、速度、一般的な加速度、アクセル開度、エンジン回転数について実態を調査し、新試験法の条件を定めることを目的として実施しております。一方、テストコースにおける走行調査は、市街地調査において使用されるエンジン回転数の90パーセンタイル値から全開加速した場合の加速度、αwotを計測し、リファレンスとしてαurban同様にPMRの関数を導いておりますが、これは試験時のギヤを選定するためのリファレンスとして用いられます。PMRとαwotとの相関というのを調べるために、テストコースでの試験も行っております。
 四輪の新試験法については、市街地の走行実態を反映するため、日本、ドイツ、フランスにおける四輪車の市街地走行データが収集されました。日本からは、9台分のデータを提供しております。なお、四輪の試験法の検討は、この3国を中心に提案がなされ審議されております。
 こちらは、新試験法の検討に際し提示されました日本の市街地における走行実態について、速度、エンジン回転数及びアクセル開度について、頻度分布を示しております。左のものは乗用車をあらわしておりますが、時速45キロから50キロ付近にピークがございます。新試験法での進入速度50キロは妥当であるというふうに判断することができると思います。また、エンジン回転数は無次元化しておりますが0.3付近がピークとなっておりまして、0.4より大きいような回転数というのはほとんど使われておりません。アクセル開度については、10から20%程度の範囲で主に使われております。したがって、新試験法では、乗用車、小型商用車については、アクセル全開での騒音値ではなく、市街地走行の代表的な加速度αurbanでの騒音値を求めることとしております。
 一方で、右側の方はトラックのデータを示しております。トラックの車速では時速35から40キロがピークとなっており、新試験法での進入速度35キロというのは妥当な範囲かと考えられます。エンジン回転数についても、無次元数で0.7から0.74にピークがございますが、新試験法では、この回転数領域で時速35キロとなるようなギヤを選択して試験することとしております。アクセル開度についても、トラックではフルスロットルの頻度が一番高いことから、新試験法においても従来どおりフルスロットルで騒音値を計測することとなっております。一番右のグラフはドイツの市街地走行における乗用車の車速の頻度分布も提示しておりますが、やはり時速50キロ付近において最も頻度が高くなっております。
 次に、二輪車に係る市街地の走行実態調査を示しております。こちらでも日本のデータを提供しておりまして、他にドイツを初めとする欧州、アメリカからも走行実態調査のデータが収集されております。なお、二輪車の試験法については、四輪車の試験法での議論を踏まえて、四輪車と同じく全開加速走行時と定常走行時の騒音の補間による走行試験法となっております。四輪と同様に、市街地走行実態調査のデータ及びテストコースでのデータをもとに一般的な加速度などを定めております。
 二輪車に係る新試験法策定の議論において提出されました日本の市街地走行パターンの一例でございます。ちょっとお断りしなければならないのですが、今回の資料を取扱注意としていることもありますが、ISOの方で資料の公表というのが非常に厳しいため、残念ながら頻度分布を示したグラフというのは入手できませんでした。ただ、四輪と同様に車速、エンジン回転数、アクセル開度の頻度分布を提示したもとで議論が行われて、新試験法が策定されているようでございます。棒グラフは各国のデータを集計しました二輪車の車速の頻度分布を示しておりますが、これから小型二輪車については進入速度を時速50キロというふうに判断したということが確認できます。こういったデータをエンジン回転数やアクセル開度の頻度分布としても入手したかったのですけど、ちょっとそこはできませんでした。
 次に、乗用車、小型商用車及び二輪車の騒音計測で用いられる市街地走行の代表加速度の導出ついて、市街地走行における走行実態から車速50キロ付近での加速度について、加速度の頻度分布から、四輪車については90パーセンタイル値、二輪車については95パーセンタイル値を抽出しております。これは、時速50キロ付近での加速の中で、割と大きな加速で割と大きい騒音を排出している状況の代表値とすることと理解できます。すべての車両について、時速50キロ付近の加速度90パーセンタイル値、二輪車は95パーセンタイル値と車両のPMRとの関係を回帰し、ログによる回帰式を定めまして、それぞれの車速のPMRから代表的な加速度を算出できることとなります。こちらのグラフは、四輪車の場合でのPMRと加速度90パーセンタイル値のαurbanの関係を示しております。
 次に、車速50キロ付近から全開加速する場合の加速度を求めます。主に、マニュアル車のギヤを選定するためのリファレンスとして用いるためのものでございます。ただ、マニュアル車だけでなく、ギヤ固定可能なオートマでも、このリファレンス値というのは用いられます。新試験法の策定の審議において、αurbanの加速度を厳密に試験で再現することは困難であるため、全開加速での騒音値から線形補間すべきということとされております。こちらは、まず、市街地走行の結果で、市街地走行におけるエンジン回転数の90パーセンタイル値、二輪車は95パーセンタイル値を求めます。これは、全開加速騒音を求めるための参考とするためのものですが、より高回転で回っている状態の方が、より大きい騒音を出すという考え方から、高めの値を抽出しているものと理解されます。すべての車両について、PMRとエンジン回転数の90パーセンタイル値、二輪車は95パーセンタイル値との関係を回帰し、回帰式を求めます。こちらの右のグラフは、四輪車の場合でのPMRとエンジン回転数の90パーセンタイル値の関係を示しております。
 実際のエンジン回転数計測データとPMRとの関係をプロットしたものでございます。こちらのように、PMRとエンジン回転数での先ほどの回帰式の関係があるということは見ることができます。
 先ほどのエンジン回転数において、時速50キロで全開加速した場合の加速度を求めます。この際、回帰式に基づいて算出された回転数で時速50キロを定常状態で発生させることができる適切なギヤがないということが想定されるため、その回転数を挟むようなギヤiとi+1を見つけます。例えば、このグラフでいえば、あるPMRの車で回帰式から時速50キロでの無次元回転数が仮に0.48ぐらいであったとして、2速で時速50キロを出すのに無次元回転数が0.52ぐらい、3速では0.38ぐらいであるような場合を示しております。このギヤiとi+1のときの加速度をそれぞれ計測し、無次元回転数との線形補間によってαwotというのを算出しております。すべての車両について、PMRとαwotとの関係を回帰し、αwotリファレンスはPMRを変数とする関数となっております。下のグラフは、その関数を示しております。
 四輪車及び二輪車に関し、これまで説明してまいりましたαurban及びαwotリファレンスとPMRとの関係を、改めてグラフにしております。左側が四輪車、右側が二輪車でございます。このようにして、新ISO362試験法の肝となります市街地走行での代表加速度、及び、その際の騒音値の算出方法は定められております。
 なお、左のグラフに赤い点がございますが、これはパーシャルパワーファクターというもので、Lurbanを算出する際の計算式で用いられます。
 こちらは参考資料としますが、新試験法による騒音値の算出方法について、改めて順を追って説明したものでございます。こちらは、ちょっと説明は割愛させていただきたいと思います。
 新ISO362の試験法の制定の経緯に係る説明は、以上でございます。

【橋本委員長】 それでは、これまでの説明に関しまして、委員の皆様方から、ご質問・ご意見等がございましたらお願いいたします。

【石濱委員】 神奈川工科大学の石濱でございます。
 今さら、こんな質問をするのもちょっと恐縮ではありますけれども、前回の議事録のところで、私というよりは、むしろ鎌田先生の発言の中にある趣旨を酌んでいくと、ちょっと論理として、ここがどうなっているのかというのが、少し、私、よく理解ができないところがあるのです。それは、交通の実際の実態、走行速度だとかエンジン回転数だとか、そういうもののいろいろな実態調査がなされているというのは、これは、もう、もちろん重要なデータがあるとは思うのですけれども、そこで、例えば、車速で一番頻度の多い車速帯というのが時速50キロメートルですと。それは、わかりましたと。だから、時速50キロの進入速度で、ある加速度で走行するというものを試験法として採用するという、そこのつながりというのは、必ずしも明確ではないような気がするのです。
 例えば、これは、実際にはそうではないとは私は思いますけれども、車速50キロという走り方をしている車というのは、実際には余りうるさくないのだと。そうすると、頻度の中で一番大きいところの50キロメートルパワーというのを選ぶという根拠は余りなくなるわけです。むしろ、うるさい車について、その走り方、そういうのが実態なのだと。例えば、速度が大きいときとか。そういうふうな見方ということから、ある加速騒音試験をする運転条件を決めるというような考え方も本当はあってもいいのかなと思っているのですけれども。
 これは、ISOで今、こういうふうな動きになっているということのご説明なので、日本の行政に聞く話ではありませんけれども、そこら辺について、何か情報をもしお持ちでしたらちょっと知りたいと思っているのですけれども、いかがでしょうか。

【橋本委員長】 事務局の方で何かご存じでしたら、説明をお願いできればと思いますが。

【高井室長補佐】 今、石濱先生がおっしゃったのは、50キロが多く使われるから50キロというふうに選定するのではなくて、もっとうるさい速度域の騒音を測定した方がいいのではないかと。

【石濱委員】 という考え方もあるかなと思うのです。

【高井室長補佐】 そこについては、答えを正直、持ち合わせておりませんが。

【石濱委員】 わかりました。私は、とりあえず結構です。

【押野委員】 信号交差点からぐっと発進して例えば60キロまでいく間に、エンジン騒音、タイヤ騒音、変わってくるわけですよね。排気騒音も変わってくる。それをシミュレーションで我々はやってみたのですが、信号から発進して50キロぐらいのところで発生騒音がピークになるというシミュレーションがあります。これは、我々がやって、一度、GRBかどこかに公表したこともありますけれども、乗用車にしても大型トラックにしても、50キロで大体、市街地で発生騒音の最大値になるという結果、これが数多い結果ではありませんけど、そういうシミュレーション結果はあります。これは、参考になるかなと思います。

【高井室長補佐】 ちょっと関連してなのですけど、私もISOの議論を調べていたときに、フランスでもやはり同じような意見がありまして、ヨーロッパのどこかの国で30キロぐらいが頻度が高いと。ただ、フランスの意見として50キロのあたりで騒音が一番出るのだと、そういうふうな発言があったと、そういった記録も実は残っておりましたので、ご参考までに。

【橋本委員長】 何か、ほかは、いかがでございましょうか。

【金子委員】 東京大学の金子でございます。
 1つ、皆さん、ご存じの方がおられましたら教えていただきたいのですけれども、先ほどのご説明の中で、95パーセンタイルをとるか90パーセンタイルをとるかという話が何カ所かで出てくるわけでして、欧州の提案というのは90パーセンタイルを使っていて日本の提案は95パーセントを使っていると。あと、四輪は90だけど二輪は95を使っているとか、この辺が、ちょっと説明がないとなかなかわかりにくいところであります。
 ちょっと不思議に思うのは、資料の中でエンジン回転数とPMRの関係(四輪車)という、多分、この二、三枚前だと思うのですけれども、この相関を見ますと、日本の提案している95パーセンタイルの方が、全体を見渡すと、よくフィットしているような感じがするのです。要するに、実線ですね、ここで言う。それに対して、90になっていますヨーロッパ提案というのが、その下の破線なのですが、こちらの方がちょっと外れているような感じがするのです。ですから、この辺、多分、日本の代表の方が95パーセントを主張してこられたというのは、こういうデータからも見てとれるのですが、何でヨーロッパの90に最終的にはなってしまったのですかね。何となく、私は、これ、しっくり来ないものを感じているのですけれども。

【高井室長補佐】 すみません。こちらのプロットしてある点は95パーセンタイルをプロットしておりまして、それぞれの車で95パーセンタイルをプロットしておりますので、実際、90パーセンタイルの点となると、もう少し全体的に下になると思います。

【金子委員】 ああ、データが95パーセンタイルのデータなわけですか。

【高井室長補佐】 ええ、この点がです。

【金子委員】 だから、実線とフィットするわけですか。

【高井室長補佐】 ええ、なので実線によく合うというところなのですけれども。

【金子委員】 では、90のデータもあるわけですね。それは示されてはいないのですか。

【高井室長補佐】 そうですね。そういったデータを正直、入手できませんでした。

【金子委員】 わかりました。

【高井室長補佐】 四輪と二輪で違うというところなのですが、二輪の方は当初から95パーセンタイル値で分析が行われているようで、四輪に比べて二輪ではエンジン回転数に対するノイズの増加の割合というのが比較的高いということがございまして、市街地での最大ノイズとして、より高いエンジン回転数までカバーすべきということから、90ではなく95パーセンタイル値をとったというふうに推定されております。ちょっと、そこも正確な記録として残っているわけではないですが。

【金子委員】 はい、わかりました。

【橋本委員長】 そのほか、いかがでございましょうか。

【鎌田委員】 東大の鎌田と申します。
 ある考え方で、こういうふうな算出法をするという意味では大体理解できたのですけれども、こういうふうに変えたときに、今度は規制値そのものをどう設定するかというあたりについては、どんな議論になっているのでしょうか。

【高井室長補佐】 今、まさに欧州の方では、規制値をどうするかというところは検討しておるところでございます。ちょっと、まだ、結論がいつごろ出るかというところは定かではないですが。

【鎌田委員】 そのためには、かなりいろいろな車種等で計測を何十台というオーダーでやっているという感じなのでしょうか。結局、ある種の相関みたいなものをとらないと、過去の規制値の流れと今回の新しい考えでの、うまく整合性をとってやらないといけないのかなと思うのですけれども。

【高井室長補佐】 おっしゃるとおりでございまして、欧州の方では2年ぐらい前から、そういったデータ集めをしているということでございます。

【橋本委員長】 田中委員、何かありますか。

【田中委員】 この、特に四輪の方の新試験法に絡んでの規制値につきましては、3年ほど前までに小グループがございまして、そこで一応、規制値の議論も行われたのですが、その後、EUの方から、そういう議論については、もっとデータを集めて議論すべきだということになりまして、一たん、規制値の議論については凍結された状態になりまして、今、事務局の方からご説明がありましたとおり、2年間をかけて現行の試験法と新試験法と両方をテストすると、同じ車両についてダブルテストを行うということが2年間、継続されました。これが、EUにおいてもそうですし、ECの関係においても実施されまして、今、データが集計されて、その結果について公表され始めている段階です。規制値についての議論というのは、まだ始まってはいないというふうに理解しています。

【橋本委員長】 いかがでしょうか。特段、この段階でこれ以上のご意見・ご質問がなければ、ひとまず、この件について終了いたしまして、引き続きまして資料の8-4-[2]でございますけれども、加速騒音規制に関する検討状況(新ISO362と日本の走行実態との比較)についてのデータについて、事務局から説明させていただきたいと思います。

【高井室長補佐】 ありがとうございます。
 新ISO362に関しまして、日本での走行実態との比較について、昨年度、実態調査し、TRIAS試験の問題点あるいは新試験法の妥当性及び日本の走行実態との整合性に関しまして検証いたしました。調査概要と今年度の計画について、説明したいと思います。
 走行実態調査の概要でございます。小型四輪車6台について、調査を実施しております。調査路線は、自動車交通騒音の状況として総量的に大きく、また交通量も多く、全国的な平均旅行速度が出るような路線としまして、国道20号線の杉並区から府中の間、また国道16号線の八王子から瑞穂の間で計測しました。時間帯については午前10時と午後2時あたりでございまして、比較的、交通量の多い時間帯に実施しております。計測項目としまして、速度、エンジン回転数、スロットル開度で、これらの頻度分布を作成しております。また、同じ車両でテストコースにおいても試験をしまして、TRIAS加速及び新ISO362によるエンジン回転数、加速度などを計測し、試験法による走行実態の再現性について検証するとともに、市街地走行実態に対し現行の加速走行試験法及び新ISO362試験法の試験条件の妥当性というものも検証しました。さらには、テストコースにおいて加速度及び騒音値を計測し、それらの線形性についても検証したところでございます。
 試験車両は、こちらの6つのタイプを使用しました。それぞれの諸元は、表に書いてあるとおりでございます。いずれもオートマ車でして、BとD以外はオートマ車ですがギヤロックが可能なものというふうになっております。
 こちらは、試験を行った市街地走行コースの自動車交通騒音データ、交通量データを示しております。騒音値については、すべての地点において、昼、夜とも環境基準または要請限度を超える騒音レベルでございます。また、交通量について、我が国の国道での混雑時旅行平均速度は平成17年で時速21.3キロという統計がございますが、今回の走行コースでの旅行速度は全国の国道平均に近い値となっております。
 試験走行での市街地走行速度における、時速5キロごとに区切った速度頻度分布を示しております。停車の状態の頻度が一番高くなっていますが、走行時については、いずれも時速45から50キロ、及び50から55キロの頻度がピークとなっております。こちらは車両AからCについてでして、次が車両DからFについてでございます。こちらも同様な傾向でして、これらの結果から、走行時には時速45から55キロの速度域の使用頻度が高いということがわかりました。新ISO362では、これらの車種については、市街地走行データより時速45から55キロのデータを抽出しましてαurbanの回帰式を作成し、また、試験時の進入速度を時速50キロとしていますが、我が国の実態と照らし合わせて妥当である可能性が高いというふうに言えると考えております。
 次に、こちらは車両AからFにつきまして、市街地走行調査における時速45キロから55キロの間での加速状態におけるエンジン回転数、スロットル開度を調査したものでございます。また、白い矢印はTRIAS試験でのエンジン回転数、入り口から出口で、オートマでは普通、ギヤがキックダウンするでしょうから回転数が伸びていますが、エンジン回転数の帯域を矢印の長さとして示しております。これは、アクセル開度100%のところに本当はありますが、赤い矢印と重なってわからなくならないように、ちょっと下の方に移しております。赤い矢印は何かといいますと、新試験法でαwot、フルスロットルの状態の加速度を計測した際の回転数を示しております。また、白い丸は、新試験法であわせて定常走行状態、クルージングの状態も計測するため、αwotとなるギヤと同じギヤで定常走行しますので、割と高いエンジン回転数としてプロットしております。
 ちょっと、この図だと小さいと思うので、1つサンプルで車両Aを見てみたいと思います。ちょっと飛びますが、一応、アニメーションをつけて説明しますので、ご覧いただければと思います。
 車両Aをサンプルとして見ますが、赤い領域ほど、より高い頻度で使用されていることを示しております。まず、実態走行とTRIAS加速との比較について、実態走行ではアクセル開度がせいぜい40%ぐらいまでしか使われていないのに対し、TRIASでは100%開度としているという点は、実態にそぐわないということがわかるかと思います。一方で、新試験法では、PMRよりαwotリファレンスを算出しまして、あるギヤでのαwotリファレンスに近い加速度、αwotでの騒音値と同じギヤでの定常走行での騒音値を計測しまして、線形補間をしてαurbanでの騒音値を算出することになりますが、実際にαurbanとなるようなアクセル開度というのは、必ずしも100%、フルスロットルの状態ではなくて、割と市街地走行で使われるアクセル開度に近い領域となると考えられます。あくまでも参考ではございますが、この車両Aの市街地走行調査での実測値でαurbanと同じ加速度を持った際の実測のアクセル開度は32%であったという報告も受けております。
 一方で、特に回転数については、頻度分布の色のついた実走行領域から、まだ離れているのではないかというご指摘もあるかと思います。これは、市街地走行調査は、先ほど説明したように、昼間に割と混雑しているような時間帯で混雑の多い道路で調査した点の影響があるかもしれないと考えております。ドライバーは周囲の交通によって制限されており、必ずしも自分の意思でアクセルを踏める状況ではなかったというふうに想像されます。つまり、もう少し道路が空いた状態であれば、よりアクセル開度が大きく、回転数も大きい領域で運転していることが予想されます。その場合、新試験法での試験領域に、より近づくというふうに想像されます。
 こちらの車両Aは4速オートマでギヤロックが可能なものでしたので、新試験法に基づいて割と低いギヤで高いエンジン回転数が試験条件となりましたが、ギヤロック不可なものとして、車両Bについてはギヤロックが不可なものでございますが、新試験法での全開加速はTRIASと大きな違いはございませんで、定常は実使用領域の範囲内というふうになっております。ただし、算出する騒音値というのは、全開の加速時ではなくてαurbanにより補間された矢印と白い丸との間のところの領域というふうになるので、より実走行に近い領域というふうに考えることができるかと思います。
 次に、市街地走行調査におけるエンジン回転数と加速度の頻度を示したものについて、説明したいと思います。
 こちらも、時速45から55キロの間で、加速状態におけるエンジン回転数と加速度の頻度分布をあらわしております。その上に白線で、TRIAS試験における入り口から出口のエンジン回転数の帯域を示しております。なお、入り口での速度及び出口での速度の差から加速度を算出しておりまして、加速度は一定という線になっております。また、同じ長さで少し上の方に水色の矢印を引いておりますが、こちらは試験区間の入り口ではなく、真ん中から出口の間の速度の差から算出した加速度となっております。回転数については変えておりませんで、入口から出口の帯域とさせていただいております。一方、赤い矢印は、新試験法でのαwotを計測した際の回転数となっております。また、ピンクの線はαurban、これはPMRにより一義的に定まります。一方で、黄色い線は、実測における加速度の95パーセンタイル値でございます。
 また、先ほどと同じように、1つサンプルとして見てみたいと思います。今回、こちらは車両Cをサンプルとして見たいと思います。こちらも、またアニメーションで説明したいと思います。
 いずれも今回、オートマ車で試験をしておりまして、TRIASでの加速度が実測でのα95よりも下回る、あるいはぎりぎりのところというふうになっております。作業委員会の先生もいらっしゃるため、作業委員会のときに同じようなグラフも示したのですが、今回、ちょっと見直した点を補足させていただきたいと思っております。TRIAS試験区間内での加速度は、オートマトランスミッションの設定で急加速による危険回避あるいは燃費への影響といった制御が考えられると思います。ですので、こちらのグラフでちょっとイメージで書いたのですが、TRIASの試験区間の入口AAから出口BBにかけて緩やかに加速度が上がっていくというふうに考えることができます。白い矢印は、TRIASの試験区間の入口AAから出口BBの間の平均加速度となっています。こちらのイメージのグラフでは黒い矢印で引っ張っておりますが、一方で、青い線については試験区間の真ん中のPPから出口のBBの間の平均加速度として出しております。前回、作業委員会では白の矢印しか出しておりませんでしたので、今回、青の矢印を追加させていただいております。
 これでも、なお、TRIASでの全開加速による平均加速度と市街地でほとんど全開加速ではない状態での計測値から出されたα95あるいはαurbanとの差が、それほど大きくないというふうなご指摘があるかと思います。これは、TRIASでは時速50キロの定常走行で試験区間に入って一気に踏み込むという試験法である一方、α95などの市街地走行では、加速状態で時速45キロから55キロまで一気に加速しているようなケースというふうなものも含んでおりまして、TRIASでの全開加速よりも加速度が高いものも含まれているのではないかというふうに考えられます。
 新試験法では、ギヤ固定が可能な場合はギヤ固定によって進入し、試験区間AA、BB間での平均加速度を求めていますが、Dレンジで進入するTRIASに比べれば、アクセルに対する反応というのはギヤ固定であれば比較的、早いと。車両が本来、持っている加速性能を発揮しやすい状況下で騒音値というのを計測できるというメリット、これが考えられると思います。
 なお、今回の車両Cでのαwotリファレンス参照加速度を実現するためには、2速と3速で挟み込むような状態となっておりますので、2つのギヤで計測しております。
 あと、こちらの表については、TRIAS試験と新ISO362の試験法、あとは市街地走行での実測での条件の違いというのを整理したものを載せております。
 これでも車両AからF、いずれでも言えることなのですが、日本の市街地で実測したα95と新試験法のαurbanとを比較しますと、α95、95パーセンタイルであるにもかかわらず下回っているという状況でございます。こちらは、先ほども説明しましたが、今回の実測での走行というのが混雑の多い状況で、ドライバーは周囲の交通により制限されているような状況でして、ドライバーが自分の意思でアクセルを踏めるという状況ではなかったのではないかと、そういった影響であるというふうに考えられます。
 次のグラフですが、こちらは加速度と騒音レベルの関係を示しております。新試験法では加速度と騒音レベルが線形の関係にあると仮定しまして、全開加速時及び定常走行時の騒音値からαurbanでの騒音値を算出することにしていますが、試験車両においてはさまざまな加速度で騒音測定し、線形性の確認を行っております。縦軸は騒音レベル、横軸は加速度となっておりまして、赤い線については、それぞれ定常走行時及び全開加速時の騒音値を結ぶ直線となっております。青い縦の線はαurbanを示しておりまして、2つのギヤで計測している車両を除いては、赤い線と青い線の交点、すなわち緑の水平な線というのが新試験法によって算出される騒音値となります。
 それぞれの加速度での騒音値を計測しましたところ、おおむね赤い線よりも下となっておりますが、ある程度の線形性というのは確認できるかと思います。参考までに、黒い点線を引っ張っておりますが、これは計測したすべての加速度、騒音値をもとに線形回帰分析をした際の直線としておりまして、いずれもr2値が0.8から0.9の間となっていて、線形性というのが有意であるということが確認できるかと思います。こちらは車両EとFについても同じような傾向でございまして、新試験法で用いられている加速度と騒音レベルが線形関係にあるという仮定は妥当であるのではないかというふうに考えております。
 全体のまとめでございますが、まず我が国の走行実態については、速度域は時速45から55キロの使用頻度が高いこと、スロットル開度は最大でも40%程度の部分加速であること、新試験法によるαurbanに対し今回の市街地走行によるα95、時速50キロ付近の加速度の95パーセンタイル値を比較したところ、全般的にαurbanよりも小さいということが判明しました。
 次に、現行の加速走行騒音試験方法、TRIASの問題点でございますが、通常走行では使用しない領域の騒音、全開加速での騒音を評価していることにあります。TRIAS加速は全開加速でも市街地走行と同程度の加速程度のものもありまして、車両が本来、持っている加速度ではない状態の騒音を測定している、そういった可能性もあるかと考えております。
 新試験法の妥当性についてですが、まず、TRIASよりも運転条件についてはアクセル開度が市街地走行で使われる領域に近いというところで、割と、その中でも厳しい条件にしているということが1つ考えられます。また、TRIASに比べまして全開加速走行時の加速度は大きく、車両が本来、持っている加速性能を発揮する状況下の騒音値を計測しているというふうに考えられます。さらに、加速度と騒音レベルの関係については、おおむね線形性であることが確認されまして、αurbanでの騒音値を算出するために、加速度と騒音レベルが線形関係にあるという仮定をして、定常走行騒音試験と全開加速走行試験での騒音値より線形補間により算出するということは妥当であるというふうに考えられます。ただし、新ISO362における試験速度域というのは我が国でも使用頻度の高い速度域ではありますが、αurbanに比べまして今回の実態調査から求めたα95というものは小さく、新ISO362の代表的な加速度を我が国でも適用することが妥当かどうかというのは、引き続き検討を行う必要があるというふうに考えております。
 最後に、今年度の調査計画でございます。昨年度同様に調査を実施し計測したいと考えておりますが、今年度は試験車両について、重量車あるいは二輪車も含めて実施したいと考えております。また、これまでも説明しましたとおり、昨年度の調査は混雑している道路、時間帯で計測したため、もう少し交通の流れがスムーズで、比較的、運転者が自分の意思で走行できるような、そういう状況での走行調査も行いたいと考えておりまして、こちらは昨年度対象とした四輪車について、時間帯あるいは道路、路線を変えまして実態調査を行いたいというふうに考えております。調査で得たデータから走行状態を解析しまして、TRIAS試験及び新試験法による走行実態の再現性について、引き続き検証を行いたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【橋本委員長】 それでは、今の事務局の説明に対しまして、委員の皆様方から、また、ご意見・ご質問等がありましたらお願いしたいと思います。

【押野委員】 質問ではなくて意見なのですけれども、本来、αurbanとα95というのが、ほぼ同じぐらいになるはずだろうと思うのですけど、自動車研究所の方でもいろいろ測定していまして、試験のドライバーに頼むときに「試験だよ」と頼みますと、制限速度をぴったり守ったり。ですから、50キロ以上出さないとか、そういうこともあるものですから、我々は頼むときに、もう、とにかく自由に走ってきてくれと言うと、実情に合ったデータが得られます、比較的。そうしますと、αurbanとα95というのが大体同じような値になってくると。我々は、そういう経験をしています。ですから、ここで懸念されているようなこともないのではないかなと、私は思っております。これからいろいろ検討されると思いますけど、参考にしていただきたいと思います。

【中野委員】 東京工科大の中野です。
 先ほど石濱先生からのご意見があったのですが、この資料で、私も、ちょっと今さらというところもあるのですが、新試験法の従来のものと、先ほどの8-4-[1]の2ページの、要する騒音規制は年々厳しくなってきているにもかかわらず、市街地騒音はほとんど変わっていないというこのグラフがあって、それで、これではまずいから、実際、もっと下げるようにしたいと、実際に合うようにしたいということから話が始まっていると思うんですが、先ほど、石濱先生からもお話があったと思うんですけれども、それでは、なぜ合わないのというところの話の展開が少しやはり薄いというか、少ないので、試験法自体の説明をずっとしていても、今度の試験法だとこれがぴたり合うんだと、今度の試験法に基づいて規制値を強化すれば、従来のようなそういうアンマッチが生じないんだという、その論理が、実際にはこの中に含まれているんだと思うんですが、もう少し明快に何か表現できないものかなというのを少し感じているんです。
 一般に今までの試験法というのは、フルアクセルでやっているわけですから、普通考えると、一番厳しい条件でやっているんじゃないのかと思われるところがあるわけですが、ただ、ギア段が固定されているというところがもしかしたらポイントになっている可能性もあるわけですよね。
 ですから、今度の試験法だと、全部のギア段をチェックして、その中の一番厳しいもので考えていくという、そこに今度の新試験法の方がより実態に合うんだというところの話と結びつかないと、何かわかりにくいのかなという印象を持っております。
 以上です。

【橋本委員長】 一貫して委員の方々から出ている質問のポイントが、やっぱり新しい試験法の、言ってみれば妥当性というか、これまでの試験法に比べて新しい試験法を採用することによって、よりマッチングがよくなるというようなことにつながるのかどうかということについての指摘だというように思っておりますけれども、この場での回答はなかなか難しいと私も考えますけれども、今後の方向として、その辺をうまく説明していく必要があるんじゃないかなという気がいたします。

【高井室長補佐】 わかりました。今後、今日、ご指摘のあった点を踏まえて、どういうふうにお答えできるかどうか、ちょっとこれから調べていきたいと思いますが、新試験法の導入によって、どういうふうによくなるのかというところを、もう少し明快にしてまいりたいというふうに考えております。

【橋本委員長】 あと、もう一つ、先ほどの押野委員から指摘があったことで気になることがあるんですが、今年度また新たに実態調査を行う場合に、時間帯とか、路線の選定もさることながら、テストドライバーにどういうインストラクションをするかによって、データがそういう差がもし出るとすると、その辺をやっぱり気をつけてやらないと、ちょっとバイアスがかかったデータになる可能性があるという指摘だと思います。その辺は、ぜひ、今年度の実態調査のときには気をつけていただくといいんじゃないかという気がします。

【高井室長補佐】 その点についても、いろいろとアドバイスをいただいて、今年度はしっかり試験を実施したいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。

【橋本委員長】 そのほか、いかがでございましょうか。

【田中委員】 今の走行実態調査の点について、ちょっと意見なんですけれども、資料の8-4-[1]で、6ページですけれども、市街地走行調査ということで、これは新ISO362の議論のための走行実態調査が行われたところのくだりのことが書かれているわけですけれども、ここの1の(2)の走行条件のところを見ますと、走行方法については特に指定なしというふうに書かれているんです。ということは、走行実態調査をされるときに、特にドライバーに、このような走り方をしなさいよとかという指示がなくて、自由に走られて、恐らくデータが集められたということは、交通流に乗ったデータもあるでしょうけれども、交通流から外れて、非常に過激なというか、積極的な運転もされるケースも。それは交通流によっては、そういうものは可能なケースもあるかと思いますし。先ほど、どこかで見た棒グラフを見ますと、ドイツの結果ですが、50キロ規制のところが80キロまでの初速の頻度分布、8ページですね、同じ資料の8ページに出ていますし、そこから類推しますと、さまざまな走り方をしたデータがすべて一緒くたになって整理されて、αurbanとPower Mass Ratioとのカーブがつくられてきたのかなというふうに思いました。ただ、その場合に、やはり50キロというところに着目されて50キロ±5キロの範囲での90パーセンタイルか、四輪の場合は90パーセンタイルになりますけれども、そういう加速度値がデータ収集されたということでつくられたのではないかというふうに思います。最終的にそういうカーブになった。
 今回、走行実態調査を実施した結果からいきますと、どちらかというと、20号線と16号線につきましては、当交通安全環境研究所の方でこの調査をさせていただいたのですが、交通流にできるだけ乗って乱さない走り方をするという指示を出して、データの収集を行っています。
 その結果から50キロ±5キロの範囲での加速度変動の頻度分布をとって、それの95パーセンタイルをとりますと、どちらかといいますと、やはり、定常走行に近い走り方が多くなるのは自然なことかと思うんです。
 ですから、そういうデータで95パーセンタイル値が今回得られているということで、そこから逆に考えますと、αurbanの加速度の走り方と言いますのは、むしろ交通流に乗った走り方よりも、もう少し激しい走り方をする。例えば、前との間の車間距離を少しあけると、急激に加速して前に詰めるとか、あと、車線が何車線もあるところだと、追い越し加速をかけていって、さらに前に出ていくとか、そういう積極的な走り方をした場合の加速度値を示しているんではないかなというふうに思われます。
 ですから、本当にそのようなことであるのかどうかは、22年度の調査の中でもデータの収集に当たっては考慮されていただければというふうに思います。

【高井室長補佐】 ありがとうございます。ご意見のとおり、少し意図的に運転させるというのは、ちょっとあれかなとは思うんですけれども、うまく、試験ではなくて、普段の状態で走行できるというふうなシチュエーションを再現できるように何か工夫をしていきたいというふうに考えております。

【石濱委員】 少々、枝葉末節的な話ですけれども、この道は、私、時々走るんですけれども、例えば国道20号線の杉並区から世田谷区の外れ調布あたりにかけてというのは、非常に車線の幅が狭くて、余り思うように走れないところで、時々右折の車がいたりして、スピードが上がらないところだと思うんです。そこを外れて調布に入って味の素スタジアム前というのは直線で、すごく走れるんですが、そこはいわゆるネズミ捕りといいますか、白バイがいまして、よく知っている人はスピードを出さないというようなところだったり、幾つか特殊な状況もあったりしますので、これは警察のご協力もちょっと得たりしないといけないかもしれないなと思いますね、試験の前については。そういうことがありますので、ちょっと細かいことですけれども。

【橋本委員長】 そのほかはいかがでございましょうか。

【鎌田委員】 市街地走行実態の議論は、今、十分あったので、私が気になっているのは、むしろ車の種類によってどうなるかというところで、前回、私、作業部会にも出て、今日のご説明でAA-BBのところを途中Pというのを入れて比較していただいたんで、どんな加速になったのかなというのが、少しよくわかってきたんですけれども、トランスミッションの違いとか、それから、エンジンがターボ過給で、ターボラグがあって、少しおくれて加速するとか、そういうところがどういうふうに結果に影響を及ぼすのか、あるいは、余り及ぼさないのかとか、そんなようなのもことしの車種の選択において、ぜひ、考慮していただければと思います。よろしくお願いします。

【高井室長補佐】 その点について、ISOでの議論がどうだったかというところを調べまして、やはり、ドイツから、例えばターボラグがあるので、試験区間というのが20メートルというのは短いのではないかとか、そういうふうな意見もあったんですが、結果として、その試験区間内でαwotに近い値は実現できるというふうな、そういう議論があったというふうに記録がございましたので、そこは実際にはこの試験区間内でできるのかなということは考えているんですが、できればことしの調査でもやっていきたいというふうに考えております。
 あと、ドライブのレンジで計測するというところで、いろいろとねらっている全開加速が本当に全開なのかどうか、出ないんじゃないかというふうなご意見があると思うんですが、今回、あくまでもαurbanの状態での騒音値というのを計算するために全開加速をして、そこから線形補間で出すというプロセスなので、αwotというのが、割とαurbanに近いような領域でも、結果としてαurbanを算出できるのであれば、そんなに問題はないのではないかというふうに考えております。
 運転の状況というのを再現するというよりも、実際の走行の状況で使用されているギア段ですとか、あるいは回転数、そういった自動車の状況を再現するということが、今回の試験法の主眼にあるのではないかというふうに考えております。すみません、少しご質問の趣旨とは外れているかもしれないんですが。

【橋本委員長】 今の鎌田先生の話の中にあった車両の種類というか、その辺についてはいかがでしょうか。

【高井室長補佐】 今回はギア段が固定できるもの、固定できないものといった種類で分けてやったんですが、ターボ過給があるもの、ないものとか、その辺もちょっと今年度の車種として考慮していきたいというふうに考えております。

【橋本委員長】 ほかはいかがでございましょうか。
 それでは、ちょっとこの件につきましては、ひとまず終了とさせていただきたいと思います。
 次は資料の8-5でございます。タイヤ単体騒音規制と定常走行騒音規制に関する検討状況ということにつきまして事務局から説明をお願いいたします。

【高井室長補佐】 次は資料8-5に基づいて説明いたします。タイヤ単体騒音と定常走行騒音規制に関する検討状況でございます。
 タイヤ単体騒音対策についての検討でございますが、背景として平成20年の中間答申でタイヤ単体騒音規制について検討する旨の提言がなされており、昨年度より検討会を設置して検討を実施しているところでございます。
 検討事項としては、道路交通騒音低減効果の評価を踏まえたタイヤ単体騒音規制の導入の可否、タイヤ単体騒音規制を導入することとした場合の規制値、現状の定常走行騒音規制を廃止することの可否について、平成23年度を目途に結論を出すこととしております。
 こちらは検討会検討員の名簿です。専門委員の金子委員には座長として検討会を取りまとめていただいており、また、石濱委員、押野委員にも検討員として加わっていただいております。
 検討課題と実施する調査について、まず、大きく四輪と二輪に分かれております。四輪については、タイヤ単体騒音規制導入に関する検討を行っております。
 具体的には、タイヤ単体騒音の実態として、実測調査、区分別の販売数量等を調査しております。また、効果予測手法について、これは平成12年ごろに同様な検討を行いましたが、その際にJARIの方で道路交通騒音低減効果を評価するシミュレーションモデルを作成しましたので、そちらを改良して利用することとしております。
 二つ目の検討課題としましては、定常走行騒音規制の廃止に関する検討でして、タイヤ単体規制を導入する場合、タイヤ単体騒音と定常走行騒音の間の相関性、タイヤ単体騒音規制適合タイヤを装着した車両が定常走行騒音規制に適合するか否かなどを検討します。
 また、タイヤ単体規制を導入しないこととなった場合でも、これまでどおり定常走行騒音規制を実施するか、あるいは、国際基準調和の観点から定常走行騒音規制を廃止するかについて、例えば、加速走行騒音と定常走行騒音の相関性などを考慮しつつ検討をしていきます。
 一方、二輪についてですが、そもそもタイヤ単体騒音の計測法が全くない状況でして、二輪車用タイヤの単体騒音の実態を把握する手法をまず検討する必要があると。試験法が決まれば、四輪と同じような検討を行ってまいりたいと考えております。
 全体のスケジュールの概要でございますが、昨年度は検討会を2回開催しまして、また、乗用車、商用車のタイヤ騒音を計測しました。また、今年度も既に事務局は選定しておりまして、秋を目途に第1回検討会を開催する予定でございます。
 昨年度の調査結果について説明します。タイヤの騒音実態を調査するために試験を実施しております。乗用車と商用車を調査しましたが、乗用車については、コンパクトカー、ミニバン、SUVを調査しました。タイヤについては、標準装備されている標準タイヤ、一般的な交換タイヤ、タイヤパターンから見て騒音が大きいと考えられる交換用タイヤの3種類を各車種につきそれぞれ試験しております。
 同じく商用車についても、小型車、中型車、大型車について3種類のタイヤで実施しております。
 こちらは欧州で導入されているタイヤ単体騒音の測定方法でございます。2軸車に4つのタイヤをつけまして、乗用車については80キロ、商用車については70キロ付近で進入し、エンジンを切った状態で惰性での惰行走行により騒音を計測します。その他タイヤ、空気圧、荷重などの諸条件について記載しております。
 こちらは欧州での現行規制値及び新規制値案を示しております。乗用車用のC1、小型商用車用C2、中型、大型商用車用のC3とカテゴライズされております。
 こちらは乗用車の試験結果でございます。左上の上段でございますが、現行の定常走行騒音、TRIAS試験での騒音レベル、エンジン停止をした状態の惰行走行での騒音レベルを示しております。
 下の段は、両者から算出したタイヤ騒音の寄与度を示しております。タイヤ騒音の寄与度、寄与率は82%以上、平均で91%となっております。一方で右上の方は時速100キロでの高速走行の定常走行時騒音レベルについて調査しておりまして、タイヤ騒音寄与率は84%以上、平均で92%となっております。
 なお、現行の加速走行騒音試験及び新ISO362試験法による加速状態でのタイヤ騒音寄与率も示しておりますが、定常走行に比べれば寄与率は小さいということが見てとることができるというふうに思います。
 こちらは商用車の試験結果でございます。定常走行騒音試験におけるタイヤの寄与率は、小型商用車では、すみません、配付した資料では82%以上と書いておるんですが、94%の誤りでございます、94%以上でございます。
 一方で、中型あるいは大型車のタイヤ寄与率では低くなっておりまして、今、白いスペースのところに赤い丸を示しましたが、ここの領域というのは、パワーユニット系の騒音の影響、これが大きいということが見てとることができるかと思います。
 加速走行騒音試験でのタイヤ騒音寄与率も下のほうに示しておりますが、こちらはかなり小さいレベルというふうになっております。
 タイヤ単体騒音の測定結果と欧州での現行規制値及び次期規制値の関係でございます。
 左側は乗用車、右側は商用車でございます。グラフ中に引いてある、まず青の二重線のラインが欧州の現行規制値、赤のラインが欧州の次期規制値案でございます。
 乗用車用のタイヤについては、すべて現行規制には適合しておりますが、次期規制値案について一部適合しないものも見受けられます。一方で商用車用タイヤについては、現行規制値にも適合していないものもあり、また、次期規制値案となると、適合しないものがふえてきます。
 規制値にもよるかとは思いますが、タイヤ単体騒音規制を導入することで、現在よりもタイヤ単体での騒音低減効果があるものというふうに考えております。
 定常走行騒音規制とタイヤ単体騒音規制では、荷重や空気圧といったタイヤの設定条件が異なりますので、その影響について、これらの違いによる騒音への影響が大きくあらわれると考えられます大型車用のタイヤで調べております。
 こちらのまず左のグラフはタイヤの荷重の影響ということで、最大荷重比に対しそれぞれのパーセンテージで、どの程度の騒音レベルになるかを示しております。タイヤの種類については、リブパターンとミックスパターンについて調査しておりますが、荷重による影響はそれほど大きくないというふうに見てとることができます。
 一方で、右側のグラフについてはタイヤの空気圧を変えた状態で計測した騒音値を示しております。リブパターンについては大きな違いはない一方で、ミックスパターンとなりますと、最大で1.6デシベルぐらい上がるということで、空気圧については、若干影響があるというふうに考えられます。その理由としては、接地面積が小さくなり接地圧が上昇して、路面とトレッド面との間でのトレッドパターンによる加振入力が大きくなったこと。あるいは、タイヤ振動特性で、パターン加振による共振が起きやすくなったことなどが考えられます。
 次、こちらはちょっとアニメーションにしていますが、定常走行騒音規制廃止に関する検討ということで、タイヤ単体騒音規制を導入した場合に定常走行騒音規制を廃止できるかどうかということを検討しました。具体的には、タイヤ単体規制に適合していれば、今の定常走行騒音規制に適合しているかどうかという観点から、タイヤ単体騒音値から定常走行騒音値を推定しまして、定常走行騒音の実側値との整合性を確認しております。
 これから説明するグラフですが、横軸が走行速度で、縦軸が騒音レベルとなっております。大型車を例にとっておりますが、大型車用のタイヤ単体騒音試験では、時速70キロで騒音値を計測しております。これを星印であらわしておりますが、定常走行騒音規制については、時速は50キロとなりますので、騒音値には速度依存性がありますことから、速度依存により時速50キロでの見かけの騒音値というものを出しております。そこから今度、空気圧の違い、あるいはタイヤの車輪数、これはタイヤ単体騒音試験では、3軸の車であっても、車輪を外して四輪のみで計測するため、定常走行騒音での試験条件と異なりますので、これら補正していきます。さらに、ここからパワーユニット系の騒音を追加し、定常騒音規制での見かけ上の値として算出しております。
 なお、算出に当たりましては、速度依存性の係数を最小値として、空気圧の影響を考慮した厳し目の予測値、また、速度依存性の係数を平均値とし、空気圧の影響を考慮しない平均的な予測値の2種類を算出しております。
 次のスライドが、それぞれのタイヤについて、今、説明しましたタイヤ単体規制から算出しました2種類の定常走行試験予測値及び実測値をあわせて掲載しております。
 これらは乗用車用タイヤ9種類の結果でございます。予測と書いているところの低いレベルが平均的な予測、高いレベルの方が厳し目の予測値となっております。おおむね平均的な予測値と実測値が同レベルとなっており、タイヤ単体騒音と定常走行騒音の間には一定の相関はあるというふうに考えることはできます。
 また、タイヤ騒音については、欧州の次期規制値案に適合しているタイヤでは、平均的な予測値、最も厳しい予測値での予測値、両方とも定常走行騒音規制値を満足している状況でございます。
 一方で、定常走行騒音規制に適合しているタイヤでも、適合している車両でも、欧州の次期規制案に適合しないものもあります。乗用車については、欧州の次期タイヤ単体騒音規制の導入というのは、定常走行騒音規制の強化となることが考えられます。
 一方で商用車についてですが、中型や大型では時速70キロでエンジン停止した状態での騒音値に比べまして、定常走行騒音試験での予測値及び実測値の方が大きくなっていますが、パワーユニット系の騒音の寄与率が大きいということが原因です。乗用車同様に欧州の次期タイヤ単体騒音規制の導入というのは、定常走行騒音規制の強化となることは考えることはできるかと思います。
 昨年度の検討のまとめでございますが、タイヤ単体騒音規制の導入に関し、欧州の次期タイヤ単体規制案というのは、定常走行騒音規制の強化に相当することが判明しました。ただ、検討会において、試験タイヤの位置づけ、あるいは試験用路面と一般路面における騒音の関係を明確にしておく必要があるといったご意見もございました。
 タイヤ単体騒音規制は、すべてのタイヤに適用されるため、道路交通騒音低減効果が期待できます。
 今後はシミュレーションによる道路交通騒音低減効果の予測、あるいはヒアリングなどによって課題を踏まえまして規制導入を検討したいというふうに考えております。
 定常走行騒音規制廃止の可能性については、タイヤ単体騒音規制導入の場合、タイヤ単体騒音の測定値をもとに予測した値は、実測値とおおむね近い値となっております。タイヤ単体騒音が欧州の次期規制値案に適合している場合については、厳し目の予測値でも定常走行騒音規制値以下となっていることが確認できました。
 一方で、中型車、大型車については、パワーユニット系の騒音の寄与というものも大きく、これらの騒音低減対策もあわせて行っていく必要があると。これは加速騒音に関する検討の中でも対応するということも一つ考えられるのではないかというふうに考えております。
 今後は、自動車業界へのヒアリングなどを通じまして、加速走行騒音と定常走行騒音の低減技術などについて調査し、定常走行騒音規制廃止の可能性について技術的な観点から検討していきたいというふうに考えております。
 一方で、タイヤ単体騒音規制を導入しない場合というのは、四輪については入れる方向でよいのかなというふうには考えておりますが、導入しない場合についてはヒアリングなどを通じて加速走行騒音と定常走行騒音の低減対策の関係について調査し、定常走行騒音規制の廃止の可否を検討していくということで考えております。
 今年度の実施計画でございますが、まずは二輪車のタイヤ単体騒音の検討ですが、欧州のタイヤ単体騒音試験法では四輪車用タイヤのみを対象としており、二輪車用を対象としておりません。その理由として、走行時のタイヤ騒音のタイヤ寄与率が低い可能性があります。そこで、まずはタイヤ騒音寄与率を調査したいと考えておりますが、現段階では公な測定方法というものがございませんので、タイヤ騒音の測定方法を検討する必要がございます。
 二輪車ではエンジンを切った状態でもチェーンの回転がありますので、摺動音が発生します。ですので、チェーンを外した状態で牽引により手前で切り離して惰性の走行を行うと。それによって、騒音値を計測するといった手法を検討し、タイヤ騒音の寄与率を調査していきたいというふうに考えております。試験車両については、オンロードとオフロードのバイクで考えております。
 タイヤ単体騒音規制導入による道路交通騒音低減効果予測について、まずは予測手法に必要な入力データとして、タイヤ区分別の販売数量のデータを入手し、整理します。先ほど申し上げたとおり、昨年度抽出したタイヤというのが、今売られているタイヤすべてを網羅するようなものであるかどうか、位置づけについて明確にすべきといったご意見がございましたので、明確化したいということを考えております。
 予測モデルについて、既にあるモデルをさらに改良しまして、タイヤ単体騒音規制導入によって道路交通騒音の低減効果予測を行っていきたいと考えております。
 また、昨年度の調査結果、あるいは二輪車用タイヤの騒音実態調査や道路交通騒音の低減効果予測を踏まえまして、タイヤ単体規制導入、あるいは定常走行騒音規制の廃止の可否について、引き続き検討会を設置し検討していきたいと。特に検討会ではタイヤメーカー、自動車メーカーに、ここに掲げてありますような項目についてヒアリングもあわせて実施していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【橋本委員長】 それでは、ただいまの事務局の説明に対しましてご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。

【石濱委員】 書かれている内容そのものについては、私もメンバーに入っておりまして、このとおりだなというふうに思うんですけれども、一番表紙は、タイヤ単体騒音規制と定常走行騒音規制に関する検討状況ということになっているわけですよね。それで、現実には、例えば、平成22年度の実施計画ということを見ると、1番が実態調査、これは17ページと18ページのところにかかわってくる、書いてあることですけれども、実態調査をしますと。それから、タイヤ単体騒音規制導入、これは今までは単体騒音じゃなくて定常走行騒音みたいなものだったのをタイヤ単体騒音規制を導入することによる道路交通騒音低減効果予測なんだということですけれども、これは実際に騒音規制の値を幾つかに設定して予測をするということに、多分なるわけですね。
 今度は、3番目がこれは規制導入及び定常走行騒音規制の廃止の検討なんだということであって、あくまで規制をいろいろどういうふうな規制を入れるかという検討ということなんですよね。
 これで、いわゆるタイヤ騒音、これは高速で走ったときのほとんどと言っていいほど大きな寄与率を占めているタイヤ騒音についての検討は確かに進むんですけれども、それが下がるというふうな方向のものがちょっと何かないような気がするんです。
 だから、これはちょっと後の全体の今後の自動車騒音対策の取組方針についてというところで少しディスカッションした方がいいかなとは思うんですけれども、ややもすると、やはり、欧州の方でいろんなものが動きがあって、特に規制方法をどうするかとか、測り方をどうするか、そういうことへの対応にどうしても追われがちになるんですけれども、もうちょっと先に進めて、タイヤの騒音をもうちょっと下げられないかと。要するに、加速走行騒音もタイヤ騒音も静かな方がいいに決まっているわけです。だけど、やっぱりそれには何らかの障害があって、タイヤでいえば、いろんな制動性能が悪くなっちゃうとか、乗り心地が悪くなるとか、燃費が悪くなるとか、コストがかさむとか、いろんな障害があるから、現状の音が出ているわけで、そこを何らかの形で突破しないと、突破というのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、技術的な面で改善がない限りは、今よりも余り静かにはならないとは思うんです。そういう観点のところを、今後は計画の中にだんだん入っていくようにすべきではないかというふうには思います。
 少々コメント的なところで恐縮ですけれども。

【高井室長補佐】 タイヤそのものをどういうふうに考えていくか、石濱先生がおっしゃった燃費とか、あるいは制動性への影響、そういったところをちょっとどういうふうに検討していくのかなというのは、すぐお答えすることはできないんですけれども、一つのタイヤ単体騒音規制導入で、使用過程で交換されるタイヤも規制対象になるということで、そこは道路交通騒音低減効果の予測をしますので、そういった点では効果評価ということを検討して、さらに規制値をこうした場合にこれぐらいの低減効果があるといった議論はできるんではないかというふうに考えております。

【橋本委員長】 そのほかいかがでございましょうか。
 特段のご質問、ご意見がなければ、次の項目に進めさせていただきたいんですが、次が資料の8-6でございまして、近接排気騒音規制に関する今後の検討事項についてということで、事務局から説明をお願いいたします。

【高井室長補佐】 ありがとうございます。
 近接排気騒音規制に関する今後の検討課題について、資料8-6に基づいてご説明します。
 近接排気騒音規制については、新車時から騒音を増加させないという考え方に基づき、現行の絶対値規制から相対値規制に変更した場合に、新車時での規制がかからないということになりますので、相対値規制への変更の検討に当たっては、現在の絶対値規制に適合しない車種、新車というのが導入されないかどうか、これを中心に検討を行っていく必要があると、一つ考えております。
 具体的な調査検討内容としては、相対値規制導入と絶対値規制の廃止について検討すべきと考えておりまして、まず本年の4月からマフラー認証制度が始まったところでございますが、市販の交換用マフラーが事前認証制度規制値に対し、どの程度の余裕をもって、あるいは、どれぐらいぎりぎりのところで適応しているのかと。相対値規制に変更した場合に、その効果についてどの程度のものかということを確認したいと考えております。
 また、相対値規制を導入する場合に、規制値については、必ずしも新品の状態だけでなくて、使用過程において騒音値というのがどのように変化するか、これもあわせて考慮する必要があると考えております。
 一方で、絶対値規制の廃止に当たっては、加速走行騒音試験の方である程度担保がされておれば、廃止の可能性もあるのではないかと考えております。
 したがって、近接排気騒音と加速走行騒音との関係につきまして、騒音低減技術に違いがあるか、すなわち加速走行騒音を下げれば近接排気騒音も下がる関係にあるかどうかと、そういったことを検討したいというふうに考えております。
 スケジュールでございますが、今年度はマフラー事前認証制度において認証されております交換マフラーの近接排気騒音、それと加速走行騒音の認証値についてデータ収集し分析したいと考えております。
 また、近接排気騒音と加速走行騒音との関係について、加速走行騒音試験法の見直しについて検討しているところもあり、その結果を踏まえつつ、次年度に検討したいと考えております。
 なお、使用過程での騒音値の変化というのは、認証制度が開始されたばかりでございまして、規制対象となるような二輪車、四輪車のタマが少ないということもありまして、次年度以降に調査していくのかなというふうに考えております。
 以上でございます。

【橋本委員長】 今の事務局の説明に対して何かご意見、ご質問等がありましたら、お願いしたいと思います。
 特段のご意見、ご質問等がないようでしたら、次の項目に進めさせていただきたいと思いますが。
 続きまして、その他の報告事項といたしまして、資料8-7-[1]と、これはマフラーの事前認証制度の状況でございますが、資料7-[2]が、音によるエンジン回転計測に関する検討状況というこの2件につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【高井室長補佐】 ありがとうございます。
 まずは資料8-7-[1]、マフラーの事前認証制度の状況についての報告でございます。
 平成20年の中環答申を受けまして、国交省の方で関係法令を改正し、平成21年度に登録性能等確認機関として4者が登録されております。また、本年4月より規制が開始されており、4月1日以降に製造される自動車が規制の対象となりました。
 マフラーの認証状況ですが、8月1日現在で872本が認証されています。大半が第1種後付消音器でございまして、四輪用のマフラーが600本弱、二輪用のマフラーが291本、300本弱となっております。
 加速走行騒音値が新車の規制値を超えないマフラーに表示されますS表示でございますが、四輪用のマフラーは3分の2に当たる400本弱がS表示ありとなっていますが、残念ながら二輪車用のマフラーについてはS表示がついたものはございません。
 今後、認証制度導入による効果などについてもフォローして報告してまいりたいと考えております。
 マフラーの事前認証制度の状況は以上でして、引き続きまして、8-7-[2]の音によるエンジン回転数計測に関する検討状況について報告します。
 近接排気騒音試験では、定められたエンジン回転数での騒音値を計測しておりますが、エンジン回転数を把握する必要があります。現在は点火のパルスを計測する方法で対応しておりますが、自動車によって構造上把握が困難なものもございまして、計測器メーカーの協力のもとで、排気音の周波数からエンジン回転数を容易に計測できるシステムの開発、これを進めてきております。中間答申でもこのような装置が早期導入される環境整備を図る旨、提言がなされております。
 本年の7月に計測器メーカーの1社が車検場において装置のトライアルを実施しました。装置概要の絵がございますが、マイクロホンからADコンバータに信号を入力してパソコンへ繋ぐといったシンプルな構造ではございます。実質的にソフトウエアでの周波数の解析を行っております。
 裏面の方に参考として測定原理、アウトプットイメージというのを書いておりますのが、ベイズ原理というものに従って、エンジンの連続回転情報を自動追従できるような、そういうシステムとなっております。
 トライアルの方ですが、計測できたケースでは、現行のエンジン回転数と概ね同じような値が計測できました。一方で周辺環境、特に車検場では複数台を同時に計測している状況もございますので、そういった状況では測定車両以外の車両の音に反応し、誤判定するようなケースというのも見られました。
 今後のメーカーでの対応として、周辺環境の変化への対応性を含む問題点などに関して、さらなる研究というのが必要ではないかと考えておりますが、開発実用化に向けた環境整備に向けて、引き続き環境省として協力できるところは協力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【橋本委員長】 今の事務局の説明に対しましてご意見、ご質問等がございましたらお願いしたいと思います。

【鎌田委員】 後半の方の音によるトライアルですけれども、トライアルの趣旨がいまいちよくわからなくて、前、自技会で結構いろんな車種、車型、それから計測器メーカー3社の協力で、いろんなトライアルをやっていまして、それに対してどういう進歩があったのかとか、何を調べているのかというあたりを、もう少しご説明いただけるとありがたいんですけれども。

【高井室長補佐】 その点については、実際に使用しますのは、車検場あるいは街頭検査であれば、道路の沿道等でございまして、暗騒音が強いような環境の中で、ちゃんと計測できるかどうかと、そういった点を主眼に置いてトライアルを行っております。あとは使い勝手がいいかどうか、そういったところも含めて、車検場の検査員が使いやすいかどうか、そういったことも含めてトライアルを行いました。

【鎌田委員】 やった内容としては、近接排気騒音をこれで測ってみたということですか。

【高井室長補佐】 そうです。近接排気騒音を、車検場に既存の計測機器もありますので、計測機器と並べてあわせて計測をしたと。既存の計測機器によるエンジン回転数の計測値と、実際開発されている機器との数値が合っているかどうか、そういった確認を行いました。

【鎌田委員】 乗用車と二輪車のエンジンの諸元はわかりますか。

【高井室長補佐】 乗用車はこれは車検場の所有車でして、これはセレナでした。ちょっと諸元値は今持ち合わせておりません。二輪車はスズキのインパルス、400ccのオートバイで、継続車検車両でやっております。

【鎌田委員】 ありがとうございます。セレナであれば、4サイクルの4気筒と思っていればいいですね。昔の経験だと、結構V6のエンジンで苦労したような経験がありますので、また、こういうのをやるんであれば、少しそういった過去の経験をもとに、難しいやつをやって、それでも大丈夫かというようなチェックもできればお願いしたいと思います。

【高井室長補佐】 実はその点なんですが、トライアルを3日間用意しまして、さまざまな車種でというふうなことを目的にしてはおったんですが、マイクの接続等の問題とか、そういったところで、ちょっとうまく計測できないケースもありまして、結果的に計測できたのが、この3日間でこの2台しかできなかったというところはございます。もう少しn数を増やすというか、いろんな車種で計測するといったことをやっていきたいというふうに考えています。

【石濱委員】 ちょっと簡単な文面なんで、よくわからないところがあるんですけれども、エンジン回転速度の計測が必要なときというのは、近接排気騒音そのものが測定できているときだと思うんです。その結果という文章、2行目のところがちょっとよくわからないので、「一方、測定車両以外の車両の音に反応するケースもみられた」ということで、もしあるとすれば、そのときは近接排気騒音そのものがうまく測れていないと、そういう環境なんだと。だから、そもそもエンジン回転数計測どころじゃないんだと。そういうことなのかなというふうに、ちょっと、この文章だけからだと思ってしまったんですけれども、それはどうなんですね。

【高井室長補佐】 今回の計測では、先生がおっしゃっているとおり、騒音値自体の整合性というところは確認が実はとれておりません。ですので、そういったところも、おっしゃるとおり、課題ではあるというふうに考えております。

【石濱委員】 わかりました。だから、そうすると、今後の課題というのは、必ずしも「周辺環境の変化への対応性について更なる研究が必要」ということも言えなくて、要するに、今回は余りきちんとした測定ができなかったから、もう一回やり直すということの方が適切なんじゃないかなと思うんですけれども。

【高井室長補佐】 ちょっと、私どもの一存で、また測り直しますということはできないので、そこはちょっとこういうふうな表現とさせていただきましたが、思いとしては、もう一回同じように、今度はちゃんと3日間丸々計測できるような、そういう条件に、まずはメーカーの方で、そういう改良をしてもらって、それでまた国交省の方にご協力を求めてお願いしてまいりたいというふうに考えております。

【橋本委員長】 そのほかいかがでございましょうか。

【田中委員】 ちょっと戻るんですが、資料の8-5のところの17ページの平成22年度の実施計画[1]というところで、二輪車用タイヤ騒音の実態調査というところなんですが、これは希望なんですけれども、二輪についてはECEのR117は対象になっていませんので、タイヤ単体騒音の規制を二輪に対して実施するとなると、またどのような試験を行うのかなというふうには、そこにちょっと一つ疑問があるんですが、この調査の結果をもって二輪車に対してのタイヤの単体騒音規制の実施が必要かどうかを判断したり、また定常走行騒音の規制を廃止するか、いや継続するかということの検討を行うということになっているかと思うんですが、これまで我々の方でも二輪車について、騒音の測定をしてきた経験から言いますと、定常走行騒音については、タイヤの騒音の寄与もありますけれども、やはり、ここで書かれていますチェーンのそういう駆動系の音というのは、非常に寄与率が高い、無視できないんですね。いろいろチェーンとスプロケットのところでのかみ合いで発生する音を低減するためのさまざまな工夫がされているということもございます。そういうことで、ここの寄与率を調べられるときは、タイヤだけに着目するということではなくて、定常走行騒音測定時のほかの寄与率、エンジン排気もありますけれども、駆動系についても詳しく測定をしていただくということをお願いしたいと思います。
 それと、あと、試験車両なんですけれども、ここではオンロード、オフロードの2台ということになっているんですが、これは費用の関係で難しいのかもしれませんけれども、排気量250ccクラスとなっていますけれども、やはり、排気量や車種、原付にまで幅を広げて調査をしていただければというふうに思います。
 もし、それが難しければ、ヒアリングも並行して、業界へのヒアリングも行われるということですので、そこのヒアリングの中にもそういう内容を盛り込んで、できる限り客観的なデータを収集していただくということでお願いしたいと思います。

【高井室長補佐】 わかりました。少なくとも業界へのヒアリングの際に、そういったところも聞いてまいりたいということは考えております。実際に車両で試験できるかどうかというのは、ご指摘のとおり、予算の兼ね合いもございますので、ちょっとそこはする余裕があるかどうか最終的に判断してやっていきたいというふうに思います。

【橋本委員長】 そのほかにいかがでございましょうか。
 特段の何かご意見、ご質問等がなければ、本日、準備をいたしました議題はすべて終了いたしましたので、今回、各委員の方々から出たご意見、ご指摘等を踏まえて今後の検討をお願いしたいと思います。
 これで進行を事務局の方にまたお渡ししたいと思います。

【高井室長補佐】 ありがとうございます。
 先ほど、石濱先生からこちらの参考資料のときの議論でということを…。

【石濱委員】 これあくまで参考資料、またの機会でいいです。

【高井室長補佐】 申しわけございません。
 本日、いただきましたご意見、ご指摘を踏まえ検討を進めてまいりたいと考えております。今後は検討の進捗に応じて専門委員会にご報告し、ご意見を仰ぎたいというふうに考えております。
 それでは、本日は、これで終了いたします。どうも長い時間、ありがとうございました。