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■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
 微小粒子状物質環境基準専門委員会(第8回)
 会議録


1.日時

平成21年6月18日(木)14:00〜16:27

2.場所

弘済会館 4F 萩

3.出席者

(委員長)
内山 巌雄
(委員)
安達 修一、上島 弘嗣、香川  順
加藤 順子、工藤 翔二、坂本 和彦
佐藤 俊哉、佐藤  洋、関澤  純
祖父江友孝、高野 裕久、武林  亨
田邊  潔、椿  広計、富永 祐民
内藤 季和、新田 裕史、平木 隆年
丸山 浩一、溝畑  朗
(環境省)
白石水・大気環境局長
早水大気環境課長
岡部総務課長
松田総務課課長補佐
        

4.議題

(1)
微小粒子状物質環境基準専門委員会報告案について
(2)
その他

5.配付資料

資料1微小粒子状物質の健康影響に関する定性的評価
資料2微小粒子状物質の健康影響に関する定量的評価
資料3環境基準設定に当たっての指針値案
資料4微小粒子状物質の特性及び人の生態内での挙動

参考資料1微小粒子状物質環境基準専門委員会の検討の進め方について
参考資料2大気汚染に係る環境基準の設定に当たっての考え方
参考資料3微小粒子状物質環境基準専門委員会報告構成案

6.議事

 

【岡部総務課長】 皆様、お待たせいたしました。ただいまから第8回微小粒子状物質環境基準専門委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の出席状況につきまして申し上げます。現時点で19名の委員の先生方にご出席をちょうだいしてございます。定足数でございます過半数に達しているということをご報告させていただきます。
 続きまして、お手元の配付資料の確認をお願いいたします。議事次第の紙に配付資料の一覧を記載させていただいてございます。読み上げさせていただきます。配付資料1、微小粒子状物質の健康影響に関する定性的評価、資料2、微小粒子状物質の健康影響に関する定量的評価、資料3、環境基準設定に当たっての指針値案、資料4、微小粒子状物質の特性及び生体内での挙動、参考1、微小粒子状物質環境基準専門委員会の検討の進め方について、参考資料2、大気汚染に係る環境基準の設定に当たっての考え方、参考資料3、微小粒子状物質環境基準専門委員会報告構成案、以上でございます。
 もし資料の不足等ございますれば、事務局に随時お申しつけいただければ、幸いでございます。
 報道関係者の方々にお願い申し上げます。カメラ撮りにつきましては、恐縮でございますが、会議の冒頭のみとさせていただいてございます。どうぞご協力をお願い申し上げます。
 それでは、これ以降の進行につきまして、内山委員長にお願いをいたします。よろしくお願いします。

   

【内山委員長】 それでは、早速議事に入りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議題は、微小粒子状物質の環境基準専門委員会報告案についてでございます。本日は参考資料3に示します報告書の構成案に沿いまして、前回の委員会でご意見をいただいた資料について、さらに記述を充実させましたので、その点についてご審議をお願いしたいというふうに思います。
 目次、資料番号、用語の統一等事務的に行うべき作業は多々あると思いますが、現時点の案ということでご審議をお願いしたいというふうに思います。
 本日の審議の進め方でございますけれども、最初に前回の会合におきましてご審議いただきました微小粒子状物質の健康影響に関する定性的評価、それから、微小粒子状物質の健康影響に関する定量的評価、環境基準の設定に当たっての指針値案について、まず、ご審議いただきたいと思います。
 定量的評価に関しましては、前回の大気環境部会の審議で、微小粒子状物質の環境基準の性格についていろいろご意見がございましたが、その点につきまして、前回の本委員会、さらに作業会合で整理をいただいております。そのほか、香川委員からご指摘のありましたACS調査の曝露濃度ですとか、それからピークフローなどの短期影響の知見の記述も追加してございます。
 それから、環境基準の設定に当たっての指針値案に関しましては、前回の専門委員会のご審議を踏まえまして、今までは作業会合でのたたき台ということでお出しいたしておりましたが、前回、大分議論が進みましたので、専門委員会の考え方ということで作業会合の先生方にご協力いただいた上で、資料の構成の変更ですとか、文章の修正を行っております。指針値導入に当たりまして微小粒子状物質の健康リスクの状況、国内外知見の影響が見られる濃度領域の違い、それから国内の循環器疾患の影響、バックグラウンドに近い濃度水準におけるリスクの存在と不確実性、それから近年の科学的知見の充実による信頼性の増加等の議論がありましたので、これらの要素を指針値検討の主要な観点としてまとめてお示しいたしまして、少しわかりやすくなったかと思います。
 その結果を踏まえまして、長期基準につきまして国内外知見ごとに、死亡、それから死亡以外のエンドポイントの健康影響が生ずることが確からしい濃度水準、あるいは主要な観点を踏まえて指針値を導き出すというような方向性がわかるように、修正していただいております。
 また、短期基準につきましても、香川委員からご指摘がありましたように、ピークフロー等の知見でも98パーセンタイル値があるもの等、追加基準をさせていただいております。
 それでは最初に、作業会合で技術的に修正いただいた点を新田委員からご説明いただきまして、次に、環境基準の設定に当たっての指針値案におきましては、専門委員会の議論を踏まえた、4、長期基準及び短期基準の指針値ということについて、これは重要なところですので、事務局から読み上げていただきまして、その後、ご議論いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それではまず、新田先生からお願いいたします。

   

【新田委員】 それでは、私から、前回いろいろご議論いただいた点を作業会合で、主に科学的知見、疫学知見が主でございますけれども、それに基づいて修正、追加すべき点を検討いたした結果、今日、ここでご報告させていただきます。
 まず、資料の1のいわゆる定性的評価でございますが、これに関しましては、大きな構成の変更、記述の追加、修正等はございません。基本的には用語の統一ということで、一部PM2.5というもの、微小粒子状物質という表記のもの、あとは濃度とか曝露というような言葉の不統一であったところの整理をして、統一をとったということでございます。それから、資料2の定量的評価に関しましては、前回までの、特に前回のご議論を踏まえて少し修正をいたしました。
 まず、資料1の1ページ、この専門委員会でご議論、いろいろなご意見が出ておりますが、微小粒子状物質の環境基準の性格につきまして、前回も資料で定量的評価の考え方のところに記載しておりましたが、さらに整理をいたしました。まず、従来の環境基準が定められている二酸化硫黄、二酸化窒素等の環境基準の性格という記述、それから、その後、有害汚染物質の環境基準の性格づけ、ここの記述は変わっておりません。それから、その後に、環境基準全体の維持されることが望ましい基準という内容に関しまして記述を追加いたしました。その後、1ページの最後で微小粒子状物質の場合には、それではどういう性格づけで環境基準設定を考えるかということに関して、前回も記載しておりましたが、さらに整理をしております。修正の主な点は、関澤委員の方からもご指摘いただきましたが、残存リスクという用語を使っておりました。これに関しましては、リスク評価の領域で、ある意味を持たせているということもございましたので、ここでは「残存」という言葉をあえて使う必要がないということで、1ページの下から3行目のあたりですが、「微小粒子状物質の濃度が低い環境下においても、幾らかのリスクがある可能性は否定できないが、他方、不確実性のために明確なリスクの定量的評価ができない濃度領域が存在する」と、こういう言い方に表現を変えております。
 それからもう1点、その後の文章でございますが、「我が国の人口集団における微小粒子状物質への曝露人口分布を予測評価するための基礎的データが不足していることもリスク定量的評価を困難にしている」ということで、その後のいわゆる閾値のない有害大気汚染物質での環境基準で採用されている方法がございますが、それを採用しなかったということを、前回の資料にも書いておりましたが、そこの採用しなかった理由をここではっきりと書き込んでおります。
 あとは、微小粒子状物質の健康影響のあらわれ方ということで、専門委員会の報告書にも書いてあるような記載内容をここに記載しております。基本的なところは変わっておりません。
 それから、その後、脆弱性の問題、エンドポイントの問題というようなことを基本的事項に関しまして記載したということです。
 それから、それ以降、定量的評価で具体的な知見の説明に関しまして、幾つかご指摘の点を反映させております。一部まだ修正が不十分なところはございますけれども、9ページに、その前から長期のコホート調査の定量的評価に資する資料に関しまして記載をしておりますが、Women's Health Initiative Observational StudyというWHI研究に関しましての記載がございます。ここで、専門委員会で初期の段階でご指摘いただいた点ですが、調査地域の数とかという記載が抜けておりました。その修正は反映されておりませんが、次回までにここに記載を追加したいと思っております。
 それから、17ページのところで、三府県コホートに関する濃度−反応関係の情報を持つようなものの記載、17ページの上の3.2の死亡以外のエンドポイントという章の前の段落でございますが、ここの記載と本日の資料3の環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討で記載している内容を、少し整合性を欠くところがございましたので、指針値に関する検討の方で、前回もお示しした内容を、ここに定量的評価の資料のところに詳しく追加的に記載をいたしました。
 それから、修正の点で大きなところは32ページでございます。先ほど、内山委員長からもご説明がありましたが、前回の専門委員会で香川委員からご指摘があった点、短期影響で特に98パーセンタイルの値が示されているもの、死亡に関するものは記載しておりましたが、死亡以外のものの記載がないとご指摘をいただきました。30ページの4.3の冒頭に米国EPA、カリフォルニア州における健康影響評価文書に記載があるものを引用して示したというような記載はしておりましたけれども、ここの実際に98パーセンタイルが示されている資料は、さらに評価文書からまた引用されている文書でしたので、それを明示的に引用して、その内容を32ページに整理して記載をいたしました。入院・受診に関する疫学研究において平均濃度と98パーセンタイルが示されているもの、呼吸器症状、肺機能との関係を報告している疫学知見において、平均濃度と98パーセンタイルを示しているもの、心血管疾患に関して同様のものをここに記載をいたしました。
 定量的評価に関する資料2の主な修正点は、以上でございます。
 続きまして、資料の3の指針値に関する検討というところの追加修正点をご説明させていただきます。
 まず、大きく変更いたしましたのは全体の構成、目次を変更しております。1の長期基準と短期基準の必要性というところは、前回お示しした資料そのままでございます。それから、3ページの2の長期基準の考え方と、前回なっておりますが、それに知見の評価ということで、構成といたしましては、前回の資料ではエビデンス、疫学知見を定量的評価の、本日の資料でいきますと資料2の要約として示した部分と、それに基づいて指針値を導くに当たって判断した部分という記載が一部混在していたところがありますので、それをまず、知見のエビデンスを具体的に定量的評価の資料2の要約という部分と、その個々の疫学知見を評価した部分を、まず、長期に関しましては2の部分に書き、短期基準にかかわるものに関しましては3の部分に書いて、10ページ以降に関しましては、前回の専門委員会でいろいろご意見いただいた点を主要な観点として示した上で、長期基準の指針値、短期基準の指針値という、いわゆる判断を伴うような記載をここにまとめたという構成でございます。ですから、それぞれ3までの知見の具体的な内容と、それに対する評価の大枠は、前回お示ししたものと変わっておりませんが、全体を整理する中で、いろいろ説明がわかりにくいというようなご指摘もいただきましたので、論点がより明確になるように作業会合での議論も踏まえて修正をしております。
 まず、資料3の1ページの1.の長期基準と短期基準の必要性に関しましては、これも前回、専門委員会でご議論をいただいて、必要性を述べるのに、やや不必要な記述があるというご指摘をいただきましたので、そこの部分を削除して、長期基準と短期基準の両者が必要という必要だという論旨に直接関係するものだけ残しております。
 基本的には3番目の段落「死亡のように短期曝露と長期曝露に共通してみられる地域の人口集団への健康影響をエンドポイントとする場合には」というところを、後ろにありました段落とつなげて整理して書いております。その後の記載は、前回とほとんど変わっておりません。
 それから、3ページの2.の長期基準の考え方と知見の評価ということで、前半部分は前回お示しした内容と大きく変わっておりません。少し文言、「てにをは」の整理をしたところがございます。
 5ページのところ、1行あいていますが、「まず」というところ以下では、先ほど申し上げましたように、疫学知見の具体的な内容に関していまして、資料2にお示しした定量的評価を要約するという形でここに記載をしております。
 なお、前回ACS調査の全体の地域の平均値に関してのご指摘をいただきましたので、ここで詳しく、それぞれの疫学知見では調査期間ごとに複数の濃度が示されておりますので、それを具体的に記載をしております。6都市研究では、オリジナル研究で平均濃度が全体で18μg/m3、それから6都市拡張研究では1期、2期と、1期は6都市のオリジナル研究に相当する部分ですけれども、その1期と2期に分けた記述、それからACS研究ではオリジナルの論文に記載されているものが18.2μg/m3、それから、そのオリジナル研究を再解析したhealth effect instituteの報告がございますが、それでは20.0μg/m3、それからACS拡張研究で1979年から1983年の平均値ということで示しされているもの、これが21.1μg/m3と。それから1999年から2000年までの平均値として示されているものが14μg/m3、両者をあわせたものが17.7μg/m3ということで、一つの研究で複数の曝露濃度の記載がされております。この点に関しての変動要因に関しましては、既に資料2の定量的評価、前回お示しした内容でも、本日の資料ですと、また戻っていただきまして、資料の2の24ページの5.2の濃度−反応関係における不確実性というところで記載しておりましたが、それに相当する議論を少し追加しております。
 それから、5ページの最後に、先ほどもご紹介いたしましたWHI研究に関しまして具体的な記載が抜けておりましたので、ここに要約して追加しております。
 その後、三府県コホート研究に関する記載。引き続きまして、死亡以外のエンドポイントに関する研究の内容を具体的にカリフォルニア子供研究、これは肺機能の変化に関するものですが、それから、米国6都市研究、これは先ほどの死亡ではなくて呼吸器症状に関するものということで、具体的に記載をいたしました。
 その後に6ページ、1行あけておりますが、「次に、上述した疫学知見から抽出された指針値の目安となる濃度水準について検討を加えた」ということで、この後は個々の疫学知見に関する評価ということで、具体的に記載されている内容は前回お示しした資料の内容と変わっておりませんが、全体として構成を一部段落の順番等を変えたというところがございます。
 ここの中で、基本的には年平均値として15μg/m3の濃度領域、不確実性が大きいのではないかと。大ざっぱに申しますと、そういう記載。それから、20μg/m3を超えるところでは、国内、国外ともに、ある程度影響があるということが確からしい水準ではないかというところまで、ここの2のところで記載をしたというところです。
 それから、8ページは3の短期基準の考え方と知見の評価ということで、ただいまの長期基準と同様に、前半で具体的にエビデンスを疫学知見に基づくものをお示しして、それから、我が国の現在あるPM2.5の全国の測定値に基づいて年平均値から98パーセンタイルを推定するという方法、考え方と、その具体的な結果をお示ししたところでございます。
 それから、先ほど定量評価のところで申し上げましたように、死亡以外の短期の疫学知見に基づく研究、入院・受診、肺機能、呼吸器症状、心血管疾患系の短期影響に関して、長期の平均濃度と98パーセンタイルが示されているものを追加記述いたしましたけれども、その点も要約して、ここの内容、9ページの中ほどですけれども、「死亡以外のエンドポイントについて、有意な関係を示す単一都市研究における98パーセンタイル値は47〜69」というような要約した記載を追加しております。
 以上が、10ページの4、長期基準及び短期基準の指針値の前までで、前回の専門委員会でご指摘いただいた点等を修正した内容でございます。
 以上です。

   

【松田課長補佐】 それでは、資料3の4.の長期基準及び短期基準の指針値につきまして、先ほど内山委員長からご説明がございましたが、前回の専門委員会の審議を踏まえまして、専門委員会で審議がされた点について主要な観点と整理をして、その上で長期基準と短期基準の指針値について導き出すというものについて、整理をしたものについて読み上げます。
 4、長期基準および短期基準の指針値。
 4.1、主要な観点。
 以上に示した死亡及び死亡以外の呼吸器症状や肺機能など種々のエンドポイントの健康影響に関する国内外の疫学知見から抽出した、健康影響が生ずることが確からしいとされる濃度水準を出発点として、以下に示した幾つかの観点から評価を行った。
 PM2.5の健康影響については閾値の有無を明らかにすることができない状況であり、そのため多くの疫学研究の対象地域における濃度範囲の下限付近やそれを下回る濃度領域における健康リスクの大きさは、一般人口集団及び高感受性集団を含めて不明確である。
 我が国の人為期限由来粒子の影響が少ないと考えられる地域のPM2.5濃度測定結果では、年平均値6〜12μg/m3であり、この濃度領域においても閾値の有無は明らかでないことから、幾らかの健康リスクは存在する可能性は否定できないが、その健康リスクの存在を明確にすることはできない。この点に関して、不明確なリスクを完全に除去するのではなく、現在、疫学知見において存在することが示唆される健康リスクを低減する観点から指針値を導くことが適切である。
 疫学研究における濃度範囲全域を見た場合に、PM2.5への長期曝露による死亡及び死亡以外のエンドポイントに関するリスク上昇は相対リスク(10μg/m3上昇当たり)としてほとんどが1.5以下であり、多くは1.1〜1.4程度であった。
 PM2.5への短期曝露による死亡及び死亡以外のエンドポイントに関するリスク上昇は10μg/m3上昇当たり数パーセント程度であった。
 この相対リスクは他の曝露要因・リスク要因と比較して必ずしも大きくはなく、集団を構成する個人の個別的な因果関係を推測できるものではないが、公衆衛生の観点から低減すべき健康リスクを示すものである。大気汚染による曝露は、人の嗜好や生活パターンによらず全ての者に健康影響を及ぼしうるものであって、避けることが困難である。
 指針値の検討において、その根拠となる疫学研究で示されている微小粒子状物質の健康影響に関しては、想定されるメカニズムに関連する毒性研究やその他の多くの疫学知見によって支持されるものであり、近年それらの知見はさらに充実している。定量的評価の対象となりうる疫学知見は必ずしも多くはないが、それを支持する多くの毒性学知見と疫学知見が存在する。
 循環器疾患への影響に関しては、国内知見では関連が必ずしも明確ではない等日米の疫学研究の結果が異なる可能性も示されている。この相違については、日本と米国のリスクファクター及び修飾因子の分布や疾病構造の違いによって結果に差が生じていると解釈できるが、将来の日本の疾病構造やリスクファクターが米国に近づく可能性もあることから、健康リスクの大きさは異なるものの、国内外の疫学知見や種々の毒性学知見を踏まえ、国内でも影響が生じる可能性がある。
 大気汚染の人及び人口集団の健康への影響は各種の段階の健康影響として観察されうるが、大気汚染物質と健康影響は両者とも多様性があり、その関係は複雑である。微小粒子状物質は多様な成分により構成されており、ガス状物質を含む環境大気中の挙動の複雑さがこれに加わるために、微小粒子状物質と共存汚染物質による影響とを明確に分離することが困難な場合が多い。一方で、微小粒子状物質は単独でも健康影響を示す知見は存在することから、微小粒子状物質の対策によって健康リスクを低減させる効果をもたらすことも期待される。
 コホート研究における曝露評価においては、調査観察期間のうちのどの期間を曝露期間とするかによっても、濃度−反応関係にかかわる検討結果が変わりうる。しかしながら、現時点では、どの期間が最も健康影響と関係するかについては明らかとなっていない。
 微小粒子状物質の濃度には測定誤差や推計誤差が含まれる。また、疫学研究の対象集団の曝露量には大気中濃度の空間分布や種々の曝露量を規定する要因に関わる変動が加わる。
 4.2、長期基準の指針値。
 国内の死亡に関するコホート研究からは、PM2.5濃度推計誤差も考慮して、20μg/m3を死亡リスクが上昇することが確からしい濃度水準とみなせる。
 国外、特に米国における死亡に関するコホート研究からは、15〜20μg/m3の濃度範囲が長期曝露により死亡リスクが上昇することが確からしい濃度水準の下限領域であるとみなせる。
 国内の死亡以外の疫学研究からは概ね25μg/m3を健康影響が生ずることが確からしい濃度水準であると考えられる。
 国外の死亡以外の疫学研究からは概ね15μg/m3を健康影響が生ずることが確からしい濃度水準であると考えられる。
 コホート研究においては、調査観察期間のうちのどの期間を曝露期間とするかによっても、濃度−反応関係に関わる検討結果が変わりうる。各コホート研究で示されている濃度の経年変化傾向等から推測すると、観察期間中の最も濃度が高い期間と最も濃度が低い期間の平均濃度を比較すると、曝露期間選択の違いによってPM2.5濃度としておよそ2〜3μg/m3の変動幅を考慮する必要がある。
 指針値の導出については、国内知見を出発点とする20μg/m3である。一方、知見が充実している国外知見から見いだされる健康影響が生ずることが確からしい濃度水準は15μg/m3である。
 我が国における微小粒子状物質の健康リスクは20μg/m3以下ではみられず、循環器疾患への健康影響リスクの状況は米国とは異なっているものの、微小粒子状物質の健康影響に関しては、人種差や微小粒子状物質の成分の差によって健康影響が異なることは明らかでないこと。想定されるメカニズムに関連する多くの毒性学知見や疫学知見によって支持されるものであり、その確からしさは新たな知見により年々増していることを踏まえれば、国外知見から見いだされる健康影響が生ずることが確からしい濃度水準15μg/m3を考慮すべきである。そのうえで、主要な観点として前述した内容と疫学知見から抽出した健康影響が生ずることが確からしい濃度水準を総合的に評価した結果、長期基準として年平均値15μg/m3が最も妥当であると判断した。
 この濃度水準は、さまざまな重篤度の健康影響に関して、現時点では我が国における人口集団の健康の保護のために維持されることが望ましい水準であると考えられる。
 4.3.短期基準の指針値。
 短期曝露による健康影響がみられた国内外の複数都研究から導かれた98パーセンタイル値は39μg/m3を超えると考えられた。
 日死亡、入院・受診、呼吸器症状や肺機能などに関して、有意な関係を示す単一都市研究における98パーセンタイル値の下限は30〜35μg/m3の範囲と考えられた。
 健康影響がみられた疫学研究における98パーセンタイル値は、年平均値15μg/m3に対応する国内のPM2.5測定値に基づく98パーセンタイル値の推定範囲に含まれていた。
 以上のことから、長期基準の指針値である年平均値15μg/m3と併せて、日平均値35μg/m3を短期基準の指針値とすることが最も妥当であると判断した。
 PM2.5への短期曝露による死亡、並びに死亡以外の種々のエンドポイントとの有意な関連性を報告している疫学研究の対象地域における年平均値の水準からみれば、年平均値15μg/m3を長期基準とした場合には、濃度分布が平均的に引き下げられることによって短期的な濃度変動幅が低減し、短期曝露影響についても一定程度の健康保護の効果が期待できる。このことにより、微小粒子状物質の長期曝露影響及び短期曝露影響に関して十分な健康の保護が図られるものと考える。
 以上です。

   

【内山委員長】 ありがとうございました。
 ただいま、新田委員、それから事務局からご説明いただきましたが、これにつきましてご議論いただければというふうに思います。
 それから、議論に先立ちまして、前回もお話しいたしましたが、横山委員は、今回もおけがのためにご欠席ということでございますので、前回の議論、それから作業会合での議論、それから、今日、お示ししました資料につきましてもご説明いたしまして、ご意見を伺っております。
 ご意見の概要としましては、前回ご発言がありましたように、横山委員としては15μg/m3というのは日本の環境基準の維持からすると、まだ十分ではないのではないかという意見に変わりはないというご意見でございましたけれども、最終的には専門委員会のご審議に任せるということをいただいております。
 そういうことも踏まえた上で、ただいまの資料につきましてご議論いただければというふうに思います。どうぞ、どなたからでも結構でございますので、ご意見いただければと思います。

   

【関澤委員】 3点ばかり、少しばらばらと飛びますけれども、一つには、この間、非常にタイトなスケジュールの中で、作業グループの委員の皆さんを初め、非常にわかりやすくまとめてくださりつつあることに非常に感謝いたします。
 私は、ここで明確にしておいた方がいいところは、まず第1ですが、国内外のデータを使って結論を導き出そうとしておりますけれども、国内のデータが不十分であるというご指摘と、それから、国外のデータを中心に利用されたということが明確になっておるわけですけれども、この両者の比較において、前回もお話ししたと思うのですけれども、測定法の問題はかなり大きいんではないかなと私は思っておりますので、この点についてご専門の先生からぜひいただきたいんですが、国内のデータがどうも高い傾向が全体にあるということで、専門外の者ですけれども、例えば、水分の影響はかなり響くのではないかと想定するんですけれども、そうしたことを、もし妥当だとされるならば、例えば、資料2の36ページの5.3ですが、その他の考慮すべき観点というところで、6行目でしたか、「また、曝露誤差には微小粒子状物質の測定方法、推計方法の問題もある」というふうに書かれておりますが、5.3の2段目のパラグラフの一番最後に「測定法の違いは国外データを参照する際の注意点の一つである」というような記述を入れた方がよいのではないかというコメントでございます。
 それから引き続き、そんなに難しいことではないので、2番目、3番目と申しますと、資料2の2ページ目、下から5行目ですが、「高感受性者と脆弱性を有する者(以下、「脆弱者」という。)」と略されているのですが、今お読みいただいた資料3では「高感受性集団」という言葉を使っておられます。私は脆弱者という言葉が、この分野で比較的よく使われる言葉なのかどうか、疑問を持っておりまして、場合によって差別的な印象を与えないかという懸念があり、脆弱者という言葉をお使いになる意味を明確にしていただきたいと思いました。
 それから、三つ目でございますが、今お読みいただいた資料3の10ページ、4.1.主要な観点のところで、下から10行目あたりですが、「この点に関して不明確なリスクを完全に除去するのではなく」というフレーズなんですが、これは取ってもよいのではないかなと思いますのは、不明確なリスクを完全に除去するということは何を意味しているかというと、明確にするというふうにも読み取れるんですけれども、そうでなくて、不明確な部分を全部なくすことはできないということが趣旨だとすれば、この点に関して、「現在、疫学的知見において存在することが示唆される健康リスクを低減する観点から指針値を導く」という文章で十分意味が達せられるんじゃないかなと思いました。
 3点、ばらばらといたしましたが、よろしくお願いいたします。

   

【内山委員長】 ありがとうございました。
 それでは、第1点目の測定誤差の点を少し追加記載したらいいのではないかということにつきましては、事務局、あるいは坂本先生から。

   

【坂本委員】 今の測定誤差という点につきまして、まず申し上げておきたいのは、我が国におけるコホート研究において推定をしたときにSPMの値を使っている。そしてSPMはもともと相対湿度50%ではかる形を基準に考えられています。そのことが、ややPM2.5の今の35%と比べると、値が大き目の方にいっている可能性があるのではないか。その一方では、さまざまな調査をある時期からPM2.5にしてございますけれども、その濃度を我が国ではかり始めた当初は、TEOMを50度ではかっていたということで、逆にこれはPM2.5の濃度としては低目の値になっているということでございまして、必ずしも単純にどっちというような形が明確に言えるようなものではない部分がございます。そういう意味では、どちらという形の書き方は不適切だと思います。
 それからもう一つ、一番最初に我が国のいろいろな調査研究がPM2.5で不足をしているのは測定方法の問題ではないかということがございます。必ずしも、これは測定方法の問題であるとは私自身は思いません。システマティックな疫学研究がむしろ少なかったんであろうと、私自身は思うところでございます。今後もいろいろなことを考えた場合には、そういったことをやりつつ、より明確にしていくような努力が今後も必要とされるのではないだろうかというふうに思う次第でございます。
 以上です。

   

【内山委員長】 それでは、SPMとPM2.5では、必ず一方向に振れているわけではないというのが、その解釈をするには隔たりがそれほど、変えるものではないという表現になっているんだと思うんですが、何か。

   

【関澤委員】 私も坂本先生のおっしゃるとおり、全く同感で、どちらの方向ということは、先ほど申し上げた文章でも特に言わないで、測定方法の違いは国外データを参照する際の注意点の一つであるという書き方ぐらいでいいのではないかなと思っています。おっしゃるとおりに、疫学データの不足が大きく関与していると思われますので、注意点の一つであるぐらいに指摘しておいて、そういう問題もあるよということを、二重になるかもしれませんけれども、ここで書いておいてはいかがかと思います。

   

【内山委員長】 その点は特によろしいですか。
  では、その点は、今のところに、そういう趣旨の文章をつけ加えていただくということにしたいと思います。
  それから、第2点、脆弱者の定義。それは確かに指針値の高感受性云々とありますので、そこの整合性が一つと、それから、脆弱性はこのごろよく使われますが、脆弱者は確かにここで定義しただけですので、それが適切かどうかということですが、これは何かご意見ございましょうか。
  新田先生、指針値の設定のところで「高感受性集団を含めて不明確である」ということは、例えば、「高感受性並びに脆弱性を有する者」ということで同じ意味なのか。それと、そうであれば、どういう表現にすればいいか、ご意見いただけますか。

   

【新田委員】 この専門委員会の第1回か第2回でも少し議論があったかと思いますけれども、高感受性という概念に関しまして、susceptibilityとvulnerabilityを含んだような概念で使っている場合と別々に分けて使っている場合、それも海外の評価文書ということですけれども。ですから、最後のところで出てくる高感受性群は脆弱性を持つものも含めて広い概念で使っているということで、ちょっと全体を含めたような広い概念で使っている部分と、特に毒性学的な知見等のところでは、明確に感受性の高いというような限定した意味と、少し混在していることはあるかなと思います。
 ですから少なくとも、今日、お示しした資料の3の高感受性というところでは、脆弱性を持つ群も含めてという趣旨で書いております。ですから、そこを不明確というご指摘だとすれば、両者を含むというような、わかるような表現に変えるべきかなと思います。

   

【内山委員長】 わかりました。そうしますと、そこは全般とあわせるということでよろしいかと思いますが、それを本報告書では「脆弱者」と定義すると言っていますが、その辺でご意見はいかがでしょうか。工藤先生、いかがですか。

   

【工藤委員】 確かに高感受性という意味と、それから脆弱というものは、言っている内容は相当違うと思うんですね。例えば、気管支喘息を持っているような人は気道の過敏性があるわけで、脆弱というよりは非常に反応しやすいという意味なので、通常、ガス状の物質が吸入された場合に、健康人に比べて100倍から1,000倍、言いかえると100分の1から1,000分の1ぐらいの濃度でも反応してしまう。そういうようなことがあるわけですから、脆弱者というのは当たっていないわけですね。
 それで、今までの疫学調査で、例えば超高齢者とか、あるいはがんの末期の人とか、こういう方は確かに脆弱と言えば脆弱なんですけれども、そういう疫学データはあるんですか。私は今までの疫学だと、むしろ高感受性者に限られているんじゃないかというふうに考えていたんですけれども。

   

【新田委員】 ただいまの工藤委員のご質問の件ですけれども、長期の影響、短期の影響を含めて、年齢で、非常に高齢者の方、それから微小粒子状物質で言いますと、糖尿病の患者さんは通常の一般集団と比べて同じ濃度を曝露されたときのリスクがより大きく出るというような意味での疫学知見、それから、かなり社会経済的な因子ですけれども、長期のコホートの結果ですと、教育水準の低いグループほど同じ濃度でより高いリスクを示しているというようなデータは示されておりますし、かなり複数の研究でそういう知見が示されていると、米国でも評価しておりますし、私自身もそう考えております。
 ただ、また話が戻りますが、国内の知見でそういう明確なデータがあるかということになると、少し不足しているということはあると思います。

   

【内山委員長】 香川先生、どうぞ。

   

【香川委員】 これは私の記憶違いかもわかりませんが、vulnerabilityというのは、ここに書いてあるように高曝露を受けやすいこと、つまり沿道に住んでいる人とか、それから、社会経済的な状態を含め。訳がいけないんです、日本語の脆弱性。ですから高感受性と混同して、そういう議論が起こるので、たしかクライテリアドキュメントなんかは、はっきりそこを区別していると思います。このvulnerabilityというのは、脆弱性というよりも、かかりやすい素因的なものを言っているのであって、この日本語訳がそういう誤解を招いているんだと思うので、これはもう1回、原文に戻って、vulnerabilityの定義を考えてほしいと思います。

   

【内山委員長】 vulnerabilityが出てきたのは、地球温暖化のところでもvulnerabilityというのが対策の一番の方向性になっているので、それが脆弱性と訳されていますので、恐らくそのまま、そういう意味にとってきた。それには社会的基盤、あるいはインフラも含めてvulnerability、脆弱性と言っているので、資料2の2ページに書いてありますところ、それの一応定義をしているところが最初の意味で、高曝露を受けやすいこと、社会経済的状態も含めた脆弱性ということで、これはいわゆる公界の高感受性とは違う意味だということで、それをあわせて、高感受性者や脆弱者と言っているのが、これをわかりにくくしているので、資料3の10ページのところの「一般人口集団及び高感受性集団を含めて」というのが、高感受性者及び脆弱性を有する者という意味であるということは、これで書きかえたいと思うんですが、脆弱性を違う日本語にするとなると、非常にまた長い文章になってしまうので、ここに定義しているということで脆弱性という言葉を使いたいんですけれども、私は、ここで「脆弱者」とやらないで「脆弱性を有する者」ぐらいは、そのまま「高感受性者及び脆弱性を有する者」というので、訳さないで…。

   

【関澤委員】 今の香川先生のご説明、私もそういう二種類あるということは従前より承知しているつもりですけれども、高曝露を受ける方たちと、比較的影響を受け易い方たちがおられるので、脆弱者というのは、自然の場合には脆弱性ということで別に問題はないんですけれども、何かちょっと差別的な印象を持たれやすいので、「影響を受ける可能性の高い人たち」とか、そういうふうに言えば、高曝露の人と感受性の高い人と両方含まれるので、例えば、そういうふうに少し言いかえることもできるのではないかと思います。ちょっと脆弱者という言葉にひっかかりを持つ次第です。

   

【岡部総務課長】 事務局から形式的なことで、すみません。先ほど内山委員長がおっしゃっていた話、大体いいかなと私ども思いますけれども、中央環境審議会の答申などで使っている用語が参考になるかもしれませんので、次回の会合までに、その点の関係も少しチェックをさせていただければと思っております。ありがとうございました。

   

【内山委員長】 今のご質問は、主に10ページのところの高感受性集団が両方含むという意味ですので、そこは書きかえるといたしまして、言葉の使い方については、次回までに事務方とも検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それから3番目のご指摘で、「不明確なリスクを完全に除去するのではなく」というのを取ってしまってもいいのではないかというご指摘ですが、これはそのとおり取ってしまっても問題ないと思いますが、新田先生、よろしいですか。
 では、ここはこの点に関して「現在、疫学知見において」ということで、「不明確なリスクを完全に除去するのではなく」というところは削除ということでお願いします。

   

【工藤委員】 大変細かいところなんですけれども、24都市研究のときは、PM2.5ではなくてPM2.1ですね。

   

【新田委員】 実際に2.1という記載になっています。細かいあれは、いろいろ測定法上の問題があって、実際、後で評価したら2.1だったと聞いております。

   

【工藤委員】 そうだと思うんですが、資料2の18ページの上のところと、それから資料3の6ページのところに、24都市研究のところだけいきなりPM2.1が出てくるわけです。ほかに、例えばPM2.3とか2.4がいろいろあればいいんですが、あとは全部2.5ですので、ここの部分だけは脚注をつけられた方がいいんじゃないでしょうかね。そうしないと誤植ではないかと思われますので。
 それからもう1点目は、指針に関する検討の資料3の11ページで、共存汚染物質との関係で書いてあるところで気になるのは、かくかくの理由から「微小粒子状物質の対策によって健康リスクを低減させる効果をもたらすことも期待される」と書いてあるんですけれども、私やっぱり期待ですから、「が期待される」でないと、これは余りにもぼかしているんじゃないかなというふうに思うので、これは大変微妙な表現かなと思うんですけれども。どういうニュアンスで「も」にしたのかということで、私は「が」にした方がいいんじゃないかと思っています。

   

【内山委員長】 ありがとうございました。
 それでは、第1点目に関しては、脚注をどこかでわかりやすい、誤解のないようにつけ加えさせていただきたいと思います。
 それから、2点目のご指摘の11ページ、「効果をもたらすも期待される」、これは意識されてこうしたのか、あるいは「が」でよろしいのか。

   

【新田委員】 私も工藤委員と同様に「が」ではないかなと思います。

   

【内山委員長】 特にほかにご意見がなければ「が」に、「効果をもたらすことが期待される」ということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 (はい)

   

【内山委員長】 ありがとうございました。
 そのほかにいかがでしょうか。

   

【富永委員】 全然別の視点から。資料3の11ページ、三つ目の黒ポツの「大気汚染の人及び」というところの5行目から6行目にかけて、「一方で、微小粒子状物質は単独でも健康影響を示す知見は存在することから」とありますが、この知見というのは短期影響ですか、長期影響でしょうか。あるいは何か曝露実験のような知見でしょうか。これはどういうことでしょう、具体的に教えていただけませんか。

   

【内山委員長】 これは人のボランティアという意味ですか。

   

【新田委員】 直接的な証拠はそういうことです。

   

【内山委員長】 人のボランティアを用いた実験的研究で…。

   

【富永委員】 やや高濃度になりますか。低濃度で?

   

【内山委員長】 人ですから、それほど高濃度ではない。

   

【富永委員】 ないですね。それは、チェンバーなどでやるのはちょっと異常な状態ですから、そこは強調しなくても、次の行で、微小粒子状物質対策によってほかの汚染物質も除去されますので、「健康リスクを低減させる効果をもたらすことも期待されている」は、単独での健康影響を示す知見というのは、ちょっと言い過ぎではないかと思います。

   

【香川委員】 ここの文章は、微小粒子状物質と共存汚染物質による影響を明確に分離することが困難な場合が多い。「一方で、微小粒子状物質は単独でも健康影響を示す知見は存在することから、微小粒子状物質対策によって健康リスクを低減させる効果をもたらすことも期待される」というので、確かにここの「単独でも」というところをもうちょっと柔らかく、これがないと、では何で微小粒子の環境基準を決めるのかということになっちゃいますから、たしか疫学調査で短期及び長期もいろいろな統計指標を用いてみると、微小粒子状物質がほかの汚染物質よりもより強く影響しているのではないかということが、いろいろな統計手法でも示されているわけですね。ですから、そういうニュアンスのことを書き加えないと、この後の微小粒子状物質の対策のところへつながらないと思うので、ですから、「困難な場合が多いが、微小粒子状物質が単独でも…」とか、何かいい言葉ありませんかね、今のニュアンスを反映するような。「微小粒子状物質がより主役を演じている」とか。

   

【新田委員】 私も明確に今文案は思い浮かびませんが、富永委員のご指摘は、私の基本的な考えとして、少なくとも疫学知見で評価できるような現実の曝露は単独ではあり得ないということ、常に共存汚染物質と同時に曝露しているということからすれば、疫学知見だけで単独というような表現が言い過ぎではないかというご趣旨かなと理解しました。
 一方で、動物実験、それから人の志願者の曝露実験で、単独で曝露されて影響が見られている。全体としては総合的な評価、直接的な証拠として人志願者の実験ということを申し上げたのはそういう趣旨なんですけれども、単独という状況は、その前の段階で常に共存しているということの前提で、ただし、香川委員ご指摘のように、その上で微小粒子状物質の環境基準を決めるという意義は当然あるんだというところの論理が最後の文章と、ちょっとやっぱりつながりが悪いのかなという気がいたしますので、今の富永委員、香川委員のご意見を踏まえて、もう少し文案を練りたいと思いますが、趣旨としてはご理解いただいているのかなというふうに思いますが。

   

【香川委員】 これは毒性だけじゃないと思うのです。疫学調査でも微小粒子が高い地域と低い地域で複合汚染を考えて死亡率への影響とか、入院の影響とかを調べますと、やはり微小粒子がインディペンデントにという表現を使っていたと思いますけれども、インディペンデントリーに作用しているという表現、これは疫学の文献でよく見られますので、そういう言葉を入れられたほうがいいのではないかなと思います。

   

【冨永委員】 インディペンデントリー、つまり独立して影響が残っているということを言おうとすると、疫学的な手法から言うと単位量解析…って、ほかのファクターの影響を除去しないといけないんですけど、大気汚染物質のようにほとんどよく似た動向を示しているものは、そういうことは実際にできないんです。データはあるんですけれども、我々もそれはやっていないんです。だから、それは単独の影響はわからないということ。それから、私は三府県コホートに深くかかわっておりまして、その三府県コホートの大気汚染データ、大気汚染の健康影響、汚染物質を見ると、PM2.5といってもSPMに0.7掛けただけですけど、それに負けない、あるいはそれ以上のファイダルフィーなどを示しているものですから、そういうふうな調査は一体あったのかというのが最初の質問です。ですから、それは統計的手法でも、それははっきりできないと思いますので。できれば、それは構わないと思います。

   

【香川委員】 できないから、さっき言いましたように地域選定を考えているわけですね。粒子状物質が高い地域と低い地域、それでガス状物質は両方とも同じような地域、そういうところで粒子状物質の影響をできるだけ取り出して評価ができるような地域選定をやっているわけで、もちろん、そういう地域選定をやらないで幾ら統計処理しても、それは微小粒子状物質の影響がインディペンデントに作用しているかどうかという評価は難しいと思いますけれども、そういうことをしようとして、いろんな地域選定を工夫して行っているわけです。これは何も微小粒子に限ったことではなくて、NO2の健康影響調査のときも微小粒子状物質は深くかかわるから、粒子状物質の濃度は同じだけれども、NO2が高いところと低いところを調べて、NO2がどの程度インディペンデントに作用しているかというのは疫学調査でよくやられていることですから、私は冨永委員の発言に素直には…。

   

【冨永委員】 先生のお気持ちはわかりますけれども、実際のデータで、そういう理想的な設定になっていないんですよ。三府県コホートにしても1983、84、85年、3年かけて、それから延々と20年近くやってきておりまして、そういう組み合わせを環境基準設定のためのデータを得るという目的で、きちんと最初から計画してやれば、そういう調査対象地区が選定できるかもしれませんけれども、これは、今は存在しないわけですから将来の検討課題になると思います。

   

【香川委員】 我が国はどうか知りません。これは新田先生のほうがお詳しいと思いますので、お答えいただけたらと思います。

   

【新田委員】 私も長期影響のコホート研究に関しましては、独立して微小粒子状物質が健康影響をもたらしているのかということに関しては、冨永委員ご指摘のようにかなり難しいと思います。例えば、米国の6都市調査の最初のオリジナルの研究報告でも、最後の結論部分は、微小粒子もしくはそのミクスチャーというような表現で結論を導いているのは、やっぱりそういうことを考慮した上での結論だったろうというふうに思います。
  ただ、短期影響で言えば、もう少し状況は独立した影響を見られる状況にあるということ。それと毒性学の研究、私としては確かに単独という言葉は少し表現として強すぎるかなという気も、今ご議論を伺っていていたしますけれども、基本的には総合的に見て、こういう独立でというほうが適切のような気もしますけれども、微小粒子状物質、ほかの共存汚染物質がない状況でも影響があり得るということは、全体的な知見を見ればこういう表現は可能かなというふうに思っております。

   

【内山委員長】 少しここは、もしこの会議が終わるまでにいい案が出ましたら…。

   

【工藤委員】 主要な観点という、ここの部分は物すごく重要な、要するに物を考えるときの、特にコントラバーシャルな部分とか、そういうところについてどういう立場をとっているかということを書いている部分ですから非常に重要なんですが、10項目あるんですけれども、これは本当にこの10項目でいいのかということとか、それからこういう並べ方で本当にいいのかという問題、それから今ご議論のあった下から3番目の部分は、実はいろんなものが含まれ過ぎておって、例えば微小粒子状物質は多様な成分によって構成されているということと、それから共存汚染物質ですね。これはそれぞれ違うというか、一緒になっているわけですよ。そういうことでいろいろ混乱を招いていると思います。
  それで、単独でもというのは、これは疫学では示せないかもしれませんけど、その他もろもろでは示せているわけだし、それから、例えばそれが共存の場合には相乗作用になるのか、相加作用になるのかわかりません。その辺のところとかですね。この共存については共存の考え方として、ちゃんとまとめられたほうがいいんではないかなと。
  それから、物質の多様性についてはまた別だろうと思いますし、ちょっとこの辺はもう一度並べ方も含めてご検討いただいたほうがいいのかなと思います。全体に振り出しに戻ってしまうのでは困るのではないかと。やっぱり微小粒子状物質に対する対策を今考えているわけですから、この影響はわからないということになった振り出しですので、そういう議論ではないように思います。ぜひよろしくお願いします。

   

【内山委員長】 今日お示ししている重要な観点は、大体前回のときのこの専門委員会で出たご議論を項目別に分けてやっていると思いますので、今日また追加で物足りないんじゃないかということをご指摘いただければ、次回にでもまたということも考えられます。それで今、一つは大気汚染物質の成分の違いと、それから共存汚染物質が二つ一緒になっているということは、ここは分けて書くことも可能なんでしょうか。

   

【新田委員】 私は、大気の生成機構とか動態、専門ではありませんが、私の理解では微小粒子状物質の成分の多様性と共存汚染物質というところは、基本的には生成機構、動態からすると分けられない部分かなと思っていますけど、ちょっとご専門の先生のご意見を。

   

【内山委員長】 坂本先生か溝畑先生、いかがでしょうか。

   

【坂本委員】 厳密に言えば、私たちは粒子状物質としてはかっていても、そこに一部のガスが吸着することは逃れられません。そしてまた、その粒子状物質がはかっているものが水分を例えばより含んでいれば、その中に溶け込むガス成分の量は増えます。これは物理化学的に平衡を考えればそういう要素がもともとあって、そして気象変化によってそういうものが、まさにダイナミックビヘイビアとしているものを私たちは取り出してはかっているということになります。ですから、それを主たるものとして考えるのか、それから微小粒子状物質の組成という形で考えた場合と、それから先ほど来、香川委員のお話でございましたように、もともと交絡因子を除くような形で設計したときの他の汚染物質という形のときとでは、やや違うから、少し書きようはあるかなというふうに思います。

   

【溝畑委員】 今、坂本先生から説明があったような形で、実際の粒子というのは、どういう形になっているかというのが一番問題なので、本来言ったら、ここの「多様な成分から構成されている」というところが一番の重要なポイントで、皆さん方は一緒だと思うんですけれども、ガス濃度だけでみんな一緒なのかというのは必ずついて回ると思うんですけれども、そういう意味から言うと、ここが一番重要なところで、なおかつ、それがガスと反応して、粒子として取り出したら確かに粒子なんですけれども、その作用というところから見たら非常に複雑な状態になっていると。それは単独のものだけではないということが、またもう一つ重要なことだと思いますので、余りぎゅうぎゅうと詰めていくと、かえってわかりにくくなるんじゃないかなという感じがします。

   

【高野委員】 今の点に関してなんですけれども、最初のころは、共存物質との影響を明確に分離することが困難な場合が多いことともに、共存物質と実際によく相関した動きをしているという一文がたしか入っていたように思うんですが。ですから、その一文が入ると、もう少しここの文章はわかりやすくなってくると思いますので、共存物質と並行していることが多いのだけれども、単独で影響を及ぼすという知見もあることから…というような流れにするといいのではないかと感じました。

   

【内山委員長】 では、ここのところ、言いたいことは、微小粒子状物質の基準なり対策が必要であるということの一つの根拠となっているところだと思いますので、少しそこのところを考えていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

   

【岡部総務課長】 すみません、事務局から差し出がましいことは言うべきではないんですが、共存汚染物質の影響の有無がどうかというところが重要な論点だと思います。それで、最後のセンテンスで、ちょっと私から言うのもあれなんですけれども、単独で影響を示す知見が存在することから、効果をもたらすことが期待できるというような、こういうつながりは実はなくて、恐らく単独で影響があるのか、ないのかという議論と、対策によって健康リスクを低減する効果をもたらすか、もたらさないかということは、実は別の事柄なのかなという気もしますので、ちょっと全体の整理、工藤先生、香川先生、いろいろご指摘いただきましたので、また検討いただければと思っています。

   

【内山委員長】 ここのところの趣旨は皆さんご理解していただいていると思いますので、少しこの項目は、分ける分けないも含めて、もう一回検討させていただきたいと思います。
 そのほかにどうでしょうか。

   

【香川委員】 細かいことを最初ちょっと言わせていただきますと、これは例えば、資料3の11ページの2ポツの「日本と米国のリスクファクター及び修飾因子」、それからまた「リスクファクター」が出てきております。それから、その前の4ページにも、丸ポツの1番のところ、リスクファクター及び修飾因子、これは疫学の先生にちょっと検討していただいて、ここで言いたいことの一番適切な用語を選んでいただきたいと思います。リスクファクターはリスクファククターの定義がありますよね。ある因子を投与したときにリラティブリスクが2以上になるような因子をリスクファクターと定義すると。これは疫学の教科書で定義をしておりますし、修飾因子はコントロールできるものとできないものがあったり、それから、交絡因子も見方によければ、リスクファクターであるということにもなりますので、ちょっと、ここは用語をきちんと定義していただきたい。明確にした方がいいと思います。こういう文書が出ますと、リスクファクターって何だ、ここで言っている修飾因子って何だということが起こってまいりますので、そこを考えて用語をきちんと統一していただきたいと思います。
 それから、7ページのところの2段落目、「ACS拡張研究では」というので、「しかしながら、低濃度領域における信頼区間の幅の広がりは低濃度領域における対象地域数にも」、「も」が入っているからいいのかもわかりませんけれども、これは地域数だけじゃないと思うのですね。いろいろな不確定要因が入ってきて広がっているわけですし、別に低濃度領域でなくても高濃度領域だって信頼区間の幅は広がるわけですから、この「地域数にも」の「も」が入っているから、いいのかもわかりませんけれども、何か地域数が強調され過ぎているんじゃないかと思います。
 それから、7ページの後半のところ、「死亡より重篤度の低い呼吸器症状や肺機能変化等の健康影響は常に死亡のような重度の健康影響より」と、幾つかのところに死亡ということがイコール重度、つまり三角形のピラミッドの一番上に死亡があるので確かに死亡は重度なんですけれども、微小粒子で死亡の増加が起こっているのは早期死亡なんですよね。だから、本来なら二、三日おくれて死ぬ人が少し早まって死亡する。それは肺機能に変化を起こしたりとか、もともと死にかけ、ちょっと言葉は悪いんですけれども、そういう人に微小粒子が作用して、肺機能とか心血管系にトリガーとして働いて死亡するんで、ちょっとイメージが違うと思うのです。だから死亡のところによくこの重度というのが入ってきているのは、ちょっと私は抵抗を感じます。
 そこで一応区切りましょうか。

   

【内山委員長】 それでは、答えられるところからでも結構ですが。新田先生、ご意見あるところで、いかがでしょうか。

   

【新田委員】 ちょっとリスクファクターの定義というところは承知していないので、少しご専門の先生にご意見伺いたいと思います。
 それから、信頼区間の広がりに関しましても、ここで強調したかったのは、やっぱり一番広がりに影響を与えているのは対象地域数ではないかという趣旨で書かれているかなというふうに思います。
 それから、最後の点のプリマチュア・デスに関しましては、長期影響の場合と短期影響の場合はちょっと状況が異なるのかなと思います。それから、短期影響の場合に数日程度の寿命の短縮ということをハーベースティングとか、モータリティ・デス・プレスメントというような表現で大分議論をされておりますが、私の理解は、そういう部分もあるけれども、単純にもともとある一定の死亡数があって、その死亡する方が早期に、時間的なずれがあるだけということではなくて、死亡率全体を押し上げる影響も微小粒子にはあるという、そういうことを両方含んでいると、私は死亡というエンドポイントの性格としてそう考えております。

   

【香川委員】 では、次に移ってよろしいですか。

   

【内山委員長】 よろしいですか、今の答えで。特にプリマチュア・デスに関しては、私も新田先生のように思っていたんですが。

   

【香川委員】 私はプリマチュア・デスの関与が非常に大きいと思うんです。両方、新田先生はおっしゃったので、よろしいんじゃないかと思います。
 次へ移ってよろしいでしょうか。

   

【内山委員長】 結構です。

   

【香川委員】 12ページの長期基準の指針値と短期基準の指針値ということで、12ページの上の方から「コホート研究からは、15〜20μg/m3濃度範囲が長期曝露により死亡リスクが上昇することが確からしい」、次も「25μg/m3が健康影響を生ずることが確からしい」、それから次の「国外の死亡以外の疫学研究も生ずることが確からしい濃度水準」、「確からしい」という言葉が次から次出てくるんですね。そしてまた、その中間のところでも「健康影響が生ずることが確からしい濃度水準は15μg/m3」と出てきて、それで一番最後に「この濃度水準はさまざまな重篤度の健康影響に関して、現時点では我が国における人口集団の健康の保護のために維持されることが望ましい水準であると考える」。私、ここはつながらないような気がするんです。横山先生、今日いらっしゃいませんけれども、これは本当に「確からしい」のであれば、やっぱり何か安全係数的なものを考えないといけないので、私は、「生ずることが確からしい」という表現は、12ページの上のこの文章は、どこから来ているかというと、長期間の平均値が証拠を非常に重みづけているという文章がどこかにあったと思いますけれども、要するに、これは死亡とか、そういった影響指標と曝露との関連を示す証拠が非常に強いということで平均値を取り上げているわけですよね、もともとEPAの考え方というのは。だから、私はそれを素直に書いた方がいいと思うんです。この書き方でいくと、閾値を評価、最初の方は、いや閾値は認められないと言いながら、ここは「確からしい、確からしい」というと、もう閾値を見つけたような誤解を与える文章になっているので、これはもとの考え方に基づいて、閾値ははっきりしないんだけれども、例えば、いろいろな調査の中で平均値的なもののところが、これは長期曝露ですね、長期曝露に関しては、そういった関係の関連の強さを強く示しているところだと。同じことを言っているのかもわかりませんけれども、ちょっと私はニュアンスが違うと思うので、この書き方でいくと、最後の基準の提案の「健康の保護のために維持されることが望ましい水準」のところへ結びつかないような気がいたします。

   

【内山委員長】 ありがとうございます。
 それでは、いかがでしょうか。ここのところの「確からしい」という表現、前は「最も確からしい」というのに対して「確からしい」という表現でしたね。以前は「最も確からしい」という濃度域が出ていたような気がするんですが。

   

【新田委員】 「確からしい」という言葉を疫学知見に専ら基づいて判断するということだと思います。私自身の理解は、ここでさまざまな疫学知見で濃度−反応関係を示しているもの、その情報があるものから、私の「確からしい」という濃度水準の理解は、非常に一定の因果関係を示すような濃度−反応関係が確かだというような濃度水準という意味ではなくて、さまざまな疫学知見で示されているような濃度と影響の関係から、疫学知見で濃度−反応関係を推測できるぎりぎりの水準というふうに、私自身は理解しています。そういう意味で、環境基準の維持されることが望ましい水準につながっていくというふうに、私自身は考えております。ですから、そこに関しては、余りこれまでリスク評価の専門委員会でも詰めた議論をしていなかった部分があるのかなと思いますけれども、私自身は今申し上げたような考え方で、環境基準の健康を保護する上で維持されることが望ましいということが、疫学知見で最大限知見を重視して濃度−反応関係があると説明できる一番低い水準という趣旨で、「健康影響が生ずることが確からしい濃度水準」という表現をしていたと、そういうつもりでおります。

   

【佐藤(洋)委員】 今の新田先生のご説明を聞いて、それで納得というか、わかったんですけれども、ただ表現の上からいくと、やっぱり「確からしい」というのはうまくないですよね。香川先生がおっしゃるような意味に普通はとるんだろうと思うんですよ。ですから全体を見ていると、前回、私、申し上げたように、事実の記述とエキスパティーズ・ジャッジメントというんですか、分けられていて、この間より大変わかりやすくなったようには思うんですけれども、先ほど読み上げのときに、「確からしい」というところで、やっぱりかなり違和感を持っていたので、ここは今、新田先生がおっしゃったような言葉を上手に書きかえて、「確からしい」ではなくて、もうちょっと誤解を招かないような言い方に書きかえていただく方がいいだろうと思いますけれども。

   

【内山委員長】 例えば、ここで少し議論して、どういう表現にするか、新田先生は科学的には「確からしい」というのを、作業会合としては「確からしい」という表現になりますとおっしゃるだろうと思いますので、同じことを専門委員会ではこういう表現をしたということで、議論してこうなったということだと思うんですが。

   

【富永委員】 「確からしい」という言葉を残すとしたら、先ほど内山委員長が言われた「最も確からしい」と言った方が、やや控えめでいいんじゃないかなと思います。これは英語で言えばprobablyで、ぴたっとした日本語になりませんけれども、最も確からしいの方が、いろいろあるけれども、可能性が大きいとか、そういう趣旨になりますので、「最も」を入れたら少しやわらかくなるような気がしますが。

   

【内山委員長】 新田先生、「最も確からしい」と前に言っていたのとはちょっと違うんですよね、この15から20μg/m3というのは。

   

【新田委員】 言葉の使い方は難しいなと思うんですけれども、「最も」というと強調とているように受け取るという作業会合での議論もあって、今の表現になっているんですけれども、私自身は、「確からしい」というのが「確か」の方に重みがある受け取られ方と「らしい」の方に受け取られる方と、やはり非常に難しいなという印象を持っております。

   

【内山委員長】 何かいい表現方法といいますか、ここをどういうふうにすれば、一番最後の方につながっていくのか。

   

【岡部総務課長】 皆様方のお手元に20年11月の定量的リスク評価手法についてというレポートのコピーをお配りしております。ご参考までに申し上げるんですが、これの5ページをごらんいただきたいと思うんです。これは米国のEPAの手法が書いてあるところで、5ページの一番下のところに、このときに、「疫学知見の確実性を考慮すれば、基準をゼロリスクレベルに設定するのではなく、疫学知見に基づく曝露量−反応関係から健康影響が生ずることが確からしい濃度水準を見出し」ということを書いてあって、恐らくこれを参考に使っているということで、「確からしい」ということは、先ほど新田先生が言われたような意味合いであるということは、恐らく専門委員会の中でも議論した上での話かと思うので、少し言葉をそういう意味で補うことは有益なのかもしれませんと思っております。よろしくご審議お願いします。

   

【坂本委員】 全然専門外だからあれなんですけれども、むしろ今の言葉を比較的使うような形で、濃度と影響の関係が見出される何々とかという形のものを前に補ってしまったらどうなんでしょう。そして、それが「確からしい」となるのはなぜかというと、あるところではこういう濃度、それから別のところではこういう濃度というのがあって、そして最後にこの辺という形で考えているわけですよね。「確からしい」という言葉の中に、今、あらかじめ濃度と影響の関係が見出される最低の水準でしたか、例えばそういうような話のものがもう入ってしまっているという理解で、作業グループとか、それぞれの先生方がおやりになっていた部分を、そこへ補うような形でいけば、もう少しわかりやすくなるかなというような気もいたしますが。これは全く門外漢の発言です。

   

【工藤委員】 私も門外漢の発言で。これは外国のこの手の論文の中では、どういう表現になっているんですか。メイビー何とかとか、そういうことなんですか。要するに、確実と思われるという意味でしょうか。これは、学術的に非常にしっかりした「確からしい濃度水準」というのは、そのとおりだと思うんだけれども、これは世の中へ出ていったときには、こんな難しい言葉は使いませんから、多分、生ずると思われる濃度水準ぐらいになっちゃいますよね。ですから、その辺も考慮をして言葉を最終的に決めていただくのがいいんじゃないかなと思いますけど。学術的には非常に正確な表現をしようとして「確からしい」なんでしょうけれども。

   

【香川委員】 12ページの2行目は、「国外、特に米国における死亡に関するコホート研究からは15〜20μg/m3の濃度範囲が死亡と長期曝露の間の関連の強い証拠を示している濃度とみなせる」、その後は「健康影響が観察される濃度水準であると考えられる」、あと「生ずることが確からしい」というところを「健康影響が観察される濃度水準である」というふうに、もうちょっとやわらかい表現にして、そして最後のところは、下から7行目、「国外知見から見だされる健康影響が観察される濃度水準15μg/m3を考慮をすべきである」、その上で「主要な観点として前述した内容を疫学知見から抽出した健康影響が生ずることが観察される濃度水準及びこれらに固有の不確定要因を総合的に評価した結果、長期基準として年平均値15μg/m3」というふうに、上のところはきちんとした死亡と長期影響との間の、いわゆる疫学関係の量−反応関係のところから関連の強い、ですから米国の考え方は、平均値のところが確からしい、それ以下になってくると不確定要因が強くなると。今の段階では不確定要因のところで、15μg/m3以下は不確定要因になると言いながら、より低い濃度を考えている人もいるわけですよね。でも、そこも含めて、これらの固有の不確定要因を総合的に評価して、こういう値を提示したというふうにされたらどうかと思います。

   

【新田委員】 香川先生ご指摘のとおり、11ページの最後の部分から12ページの前半ですが、国内の知見と国外の知見で「確からしい」という、その確からしさに違いがあるというのはご指摘のとおりかと思いますので、そこの健康影響が特に国内の知見に関しては、「観察される」というような表現、国外の死亡に関するコホート研究は、もう少し確からしい程度で表現をすると、そうすべきかなというふうに、ご指摘のとおりかと思います。その上で、生ずることが確からしいというところ、疫学知見を示す内容にあわせて表現を変えるということに関しては、私もそのとおりかと思います。
 ただ、最後の部分ですけれども、長期基準として年平均値15μg/m3が最も妥当であるというところの前にある「健康影響が生ずることが確からしい濃度水準を総合的に評価した結果」というところは、基本的には定量的リスク評価専門委員会で報告書に明確に書かれている部分ですし、ここはやはり「確からしい」というところをもとに環境基準を決めるという考え方が、最後の部分に関してはやはり「確からしい」と言うべきかなと、私自身は思いました。

   

【内山委員長】 これは新田先生がおっしゃったように、確からしい点をまず見出して、そこを出発点として、いろいろなことを考えてみましょうということがリスク評価手法として皆さんの合意を得ていますので、これが出発点となるということは、皆さんが合意いただいた、皆さんというか前回の専門委員会で合意いただいた点ですので、香川先生がおっしゃっていただいたことを酌んで、「健康影響が観察される濃度水準」ということが国内ですね。それから国外の場合は、「観察される濃度」ということでも間違いではないと

   

【新田委員】 私もそう思います。ただ、もう少しやはり重みが、「確からしい」の程度は違うと思います。

   

【香川委員】 その重みを、もっと重いという意味で、この冒頭のところに「死亡と長期曝露の間の関連の強い証拠を示している濃度」、これは米国がそういう表現で…。

   

【内山委員長】 評価しておいて、あとは「健康影響が観察される濃度」ということで統一してしまって、最後のところは「疫学知見から抽出した健康影響が生ずることが確からしい濃度水準及びこれらの不確定性を総合的に評価した結果、長期基準は15である」というような、最後はまた、そこに表現は戻るということでどうでしょうか。

   

【香川委員】 それと12ページの4.3の上の「この濃度水準は」というのと、それから、13ページの上のほう、日平均値の指針値を提案しておりますよね。私は12ページの「この濃度水準は」というところは取って、全部ひっくるめて…。

   

【内山委員長】 短期もひっくるめて。

   

【香川委員】 ええ。ですから、「上記に示した長期及び短期基準の指針値は、我が国における人口集団の健康への悪影響を防止し、健康の保護のために維持されることが望ましい水準であると考える」というので、一まとめにした方がいいんじゃないかと思いました。

   

【内山委員長】 これは最初のところで、長期と短期はセットで基準をつくって、それを両方守ることによって一定の効果が得られるというふうに定義しておりますので、今おっしゃるように、確かに「この濃度水準は」というのは一番最後の短期と長期を言った後で、「上記の二つの長期基準及び短期基準の濃度水準は」ということで、二つセットで、今おっしゃってくださったような表現にすると。これはその方がいいと思いますね。ありがとうございます。

   

【香川委員】 あともう一つ、前のときも言いましたのですけれども、この委員会、環境基準という言葉が使われていますよね、委員会の名称に。ここは指針値を提案しておりますよね。指針値と環境基準の関係というのか、何かそれはどこかで。

   

【内山委員長】 指針値というのは、時々断っているんですが、環境基準を設定するための指針値ということで、最終的に決めていただくのは大気部会だろうと思うんです。これは環境基準を決めるための指針となる値というので、従前がそういう表現なんですね。いつも環境基準専門委員会はこういう表現で出して、大気部会で決めていただいて。

   

【香川委員】 そうすると、極端なことを言いますと、我々が提案した指針値と異なる環境基準になる場合もあるわけですね。

   

【内山委員長】 それは、以前はどうだったかわかりませんが、ステップとしては、私はそういうことになっているんではないかと思います。昔、一度差し戻されたことがあったような気がするんですが。大気部会で、もう一回検討してくれということで、その値が変わったか、そのまま出ていったか、ちょっと忘れましたが。これはあくまでも大気部会の中の下の専門委員会ということだと。これは、この委員会では環境基準値を上に上げるのではなくて、環境基準値を設定していただくための数値を提案すると、そういう意味ですね。

   

【岡部総務課長】 すみません、一つ補足を申し上げますと、先生方ご案内のとおり、環境基準そのものは、環境大臣の告示という形式をもって確定的に定められるというものでございますので、従来、中央環境審議会に設定を諮問しまして、そこで環境基準の設定に係る判定条件と指針のご提案をいただくというような流れで答申をいただくというようなことを例にしておりますので、今までの用語の使い方等を踏まえた形で、必要な表示を専門委員会としても行うように調整してまいりたいと思います。

   

【上島委員】 先ほどの香川先生の質問のところですが、資料3の4ページ、ポツ1の「リスクファクター及び修飾因子の分布や」というところですが、「リスクファクターの分布や」でいいんじゃないかなという気がします。修飾因子をとって単純化してもいいんじゃないかなという気がします。

   

【内山委員長】 わかりました。そうすると、先ほどのリスクファクターの定義というのは特によろしいですか。

   

【上島委員】 一般的な共通概念ですので、いいんじゃないでしょうか。

   

【内山委員長】 香川先生、それでよろしいですか。

   

【香川委員】 さっきも言いましたように、これは教科書を見ますと、リスクファクターというのには、交絡因子も含めて考えたりとか、修飾因子も一緒に考えたりとか、それぞれいろいろ書き方が違っているので、これはこの形で出てきますと、修飾因子って、では具体的にどういうことを言っているのかという質問が当然出てきますので。

   

【内山委員長】 では、これは逆に何も書かずに、リスクファクターの分布といえば、超あいまいにみんな理解していただくということでよろしいでしょうか。佐藤先生も別によろしいですか。

   

【佐藤(俊)委員】 私は、ここで修飾因子と書いてあるのは、多分、微小粒子状物質と何かの相互作用があって、循環器疾患のリスクの高まるような因子ということで、いわゆる循環器疾患のリスクファクターと違う要因も考慮してという意味で書かれているのかなと思っていたんですけれども、もちろん、修飾因子というだけでは、多分、意味が通じにくいの、香川先生、ご指摘のとおり、もう少し追加する必要があるかと思いますけれども、そういう因子の分布とか、そういうものが日米、あるいは欧米と日本で違っているからというようなことは加える必要はないんでしょうか。

   

【内山委員長】 これは新田先生、この修飾因子というのはそういう意味を含んでおられたかどうか。

   

【新田委員】 今、佐藤委員のコメントと同じように私自身は理解していたんですが、ただ、交絡因子もリスクファクターの一つ、修飾因子もリスクファクターの一つという包含関係もありますので、ただ、一般的にはリスクファクターと言うと、ある疾病の発症にかかわるような要因ということで、今回のこの文脈で微小粒子の影響に限定した話というのは大前提にあるんですが、この文章だけ単独で取り出すと、いろんな状況を考え得るということはあるかと思います。私自身は、微小粒子の健康影響のことを議論しているという大前提がありますので、その枠の中で言えば、リスクファクターの分布ということで十分説明として間違いないのかなと思います。

   

【内山委員長】 それは佐藤先生、よろしいですか。
 ありがとうございます。
  そのほかに。

   

【坂本委員】 先ほど香川先生から15μg/m3と、それから35μg/m3ですか、いわば短期基準と長期基準、これをまとめて表現をしてはどうかというお話がありましたけれども、いろいろ議論の経緯、それから、どちらかというと、この15μg/m3というものから派生的に出てきた部分もあり得るのかなと思うんですね。そうした場合に、今のような形の表現でいいのか。どちらかというと長期基準が先にあって、そして初めて今意図するものが私たちはできるという形を考えて、短期基準を考えたのではないだろうかということで、やはりもとに戻して、少し表現ぶりは変えた方がいいと思うんですけれども。私はむしろそういう気がしました。

   

【香川委員】 これはおっしゃるとおりになっているんじゃないですか。私が言っているのは、最後のまとめの基準の提案のところですから。それを長期で述べたことと同じことを、また短期で同じことを述べる必要はない。坂本委員がご指摘のことは、11ページから13ページに長期と短期のことが詳しく書かれているわけですよね。最後のところで水準を提案しているわけですから、同じ文章を2回繰り返すことはないと思います。

   

【内山委員長】 私がさっき申し上げたのは、一番最初のところ、あるいは長期基準と短期基準の必要性というところで、出し方はいずれにせよ、長期と短期と両方を設定することによって健康保護にいいんだということですので、それが誤解のないように、まとめのところで「上記のように」という前置きは必要かと思いますが、位置としては最後に持っていきたいと思いますけれども。
 何か今のところの位置がいいんだというようなご意見があれば、またあれですが。いいでしょうか、最後に持っていかせていただいて、また次回にでも、やはりもとに戻した方がいいということがあれば、またご議論いただきたいと思いますが、今回はとりあえず最後のところにこれを持っていって、文脈を考えるということで修正させていただきたいと思います。
 そのほかにございますでしょうか。

   

【田邊委員】 ちょっと私、気がついていなかったというと言い過ぎかもしれませんが、関澤先生が先ほど測定方法の違いの話をされて、坂本先生が説明をされていたんですが、三府県コホートの曝露のPM2.5の推計濃度の部分に関しては、SPMから推計しています。したがって、諸外国のPM2.5の濃度と比べる場合には、除湿、35%調湿で測定するというメソドロジーに合わせようとすると、確かこれは濃度が下がるんですね。そのことに関する誤差の記述は今のものにはきちんとは書いていないので、恐らくそれを書き足した方がいいだろうと思います。ただし、結論は、これは場所によっても湿度調整の効果は違いますし、季節によっても環境中の湿度が違うのでまちまちで、正確にどれぐらいずれるとは言いがたいのですが、今までの、現在得られているデータを見る限りですと、装置によってこれはまた違うのですが、2割とか、そういうオーダーのものです。要するに、湿度を35%に下げてしまうと重量が軽くなるということがあります。正確な予測ができませんが、結論として書かれている20μg/m3という数字には影響はないとは思いますが、そのコメントは書き足した方がいいのではないかと思います。
 それに関連して、資料2の三府県コホートに関するPM2.5濃度という記述は、この本文の中に「SPMから推定された」という言葉を明記する方がいいと思いますので、すべて「推定されたPM2.5」という書き方をしていただければ、誤解がないのではないかと思います。

   

【内山委員長】 わかりました。SPM濃度から推定というのは、最初の定量的評価のところにも書いてある。それと、私もちょっと誤解していたんですが、諸外国がすべてPM2.5を測定しているわけではなくて、諸外国も年度によって、あるいは地域によってはPM10からPM2.5を推計しているというところも多々あると。これももとの定量的評価のところには詳しく書いてあるのを、またそこまでは繰り返さないで、指針のところにはそのままの数値が書いてあると思います。
 それから、私よりは新田先生がいいんですが、その誤差の範囲はある程度見込んだ20ということでよろしかったでしょうか。

   

【新田委員】 まず、三府県コホートでのPM2.5の推計は、SPMと一部PM2.5を同時にはかった日から換算したということで、その換算も0.6から0.8ぐらいという幅を持って推計して、その中に、今、田邊委員ご指摘の誤差も含まれているのかなと、私自身は考えておりました。±5μg/m3程度という、かなり大きい誤差要因があるだろうということを含めて、さらに、明確に表現をした長期のトレンドの中でどこの曝露期間を選ぶかということに関して、さらに2から3μg/m3の変動幅があると。それを考慮して、最終的に三府県コホートから観察されるリスクの上昇の下限として20μg/m3ではないかという、今日、お示しした数字になったということです。ですから、20μg/m3ということに関して、田邊委員、ただいまご指摘の点は含んでいると理解しております。ですから、その辺が明確になるように追加するということは、もう少し詳しくということでしたら追加修正したいと思いますけれども。

   

【内山委員長】 それでは、田邊先生も20μg/m3というものに影響はないだろうとおっしゃった意味はそういうことだろうと思いますので、少しそこは誤解のないように追加を。

   

【新田委員】 先ほど内山委員長もお話しされましたように、推計の仕方にはいろいろありますが、例えば米国の6都市研究も後期のほうは、実際のPM10とその他の情報からPM2.5を推計した値を示していると。
 それから、曝露評価については、私自身は測定の仕方以上のいろいろな変動要因、誤差要因があるということで、評価できていない部分があると。全体を本当の意味で総合的に評価してということですので、三府県コホートだけ推計とあえて言うと、ちょっと全体の評価としてはバランスがとれなくなるのかなと思っています。

   

【内山委員長】 それから、この報告書の、今のまとめてとはちょっと関係ないかもしれませんが、最近のHEIの報告書で、再分析の結果が出たと認識しておりますが、その点について、ちょっとご紹介いただけば。

   

【新田委員】 ここ1週間、2週間ぐらいで、Health effect instituteからACS研究のさらに解析結果が出ておりまして、先ほど申し上げたように、曝露期間はどれを選ぶべきかという、米国6都市研究に関しましては、いろいろ議論かあったんですが、ACS研究に関していろいろ検討されて、どの期間が一番死亡に関係するかということに関しては結論づけられないという形の報告になっているようです。直接、今回の議論に影響は与えないとは思いますけれども、今日の資料3で示されてあるような内容をさらに裏づけるというか、その判断に関して支持する報告書が出ていたということです。

   

【内山委員長】 ありがとうございました。
  前回の委員会で報告された一番新しい区間の平均濃度を反映しているのではないかというようなご意見も出たんですが、HEIの最新の報告書では、必ずしもそうではないということで、最新のデータを用いますと、だんだん平均濃度が低くなってくるわけですけれども、必ずしもすべてそうではないというような報告であったということで、幅が出るのはやむを得ない。その中でも最低のところをとったということでございます。
  そのほかに何か。

   

【香川委員】 資料3の2ページの一番上です。「短期曝露と長期曝露による健康影響の発生パターンには差がある」と。これはどういう差があるのか、ちょっと教えていただきたいのですが。これは健康影響の質というのだったら、より理解しやすいんですけれども、発生パターンに差があるって、どこかにちゃんとそれが述べられているのであれば、ちょっと教えていただきたい。

   

【新田委員】 ここの趣旨は、定性評価のところで疫学研究の長期の影響での健康影響を検出する手法、それから短期影響で検出する手法という、異なる手法で検出されるというものがあるという趣旨で、発生パターンに差があるというふうに書いております。ですから、どちらかというと研究の手法上で、手法に依存して短期影響、長期影響、異なる研究手法で影響を把握しているんだと、そういう趣旨の表現になっております。そういう理解がしにくいということであれば、表現を変えたいと思います。
 もう一点、質の差があるのではないかということに関して、実は同じような趣旨、専門委員会で、最初にこの関係の資料を提出したものの中には同じような、今、香川先生ご指摘のような趣旨で書いておりました。横山委員から、その質の差に関してよくわからないというご指摘があったので、手法で違いがあるという確実な表現に変えたという経緯がございます。

   

【香川委員】 要するに、ここで述べていることは、長期基準及び短期基準の必要性を述べているわけですから、短期曝露と長期曝露の健康影響がそれぞれありますよと、もっと単純に書くだけでいいんじゃないかと思うんですけれども。

   

【内山委員長】 わかりました。では、そこはわかるように少し表現を修正させていただきたいと思います。
 そのほかにいかがでしょうか。

   

【平木委員】 この中に十分書き込んであるとおっしゃられるかもしれないんですが、今後の対策については、この場で議論するべきことじゃないと承知しているんですが、現状として、非常に現状の大気中濃度の平均値より低いところに環境基準を設定しようという答申をするということなので、原因究明は今のところ難しい状況であるということなので、そこら辺を考えて、あえて15μに設定するという、そういう「あえて」というような言葉をどこかに使っていただいて、苦渋の選択をしているというところも見せていただいた方がいいんじゃないかと思います。

   

【内山委員長】 最後のところの環境基準の理念に照らし合わせてというところが、そこが「あえて」と、「あえて」と言えるかどうかわかりませんが、そういうことも考慮してということになろうかと思うんですが、何かご意見ございますか。
  この後にももう一回まとめがありますが、それは今後の課題でいろいろなことを少し書き込む予定ですので、そこら辺のところにもご発言のようなことを入れられればと思いますが。ほかに、この点に関してご意見。

   

【坂本委員】 先ほど関澤委員のお話があったとき、この委員会だったので疫学研究という形であえて申し上げましたけれども、要は全般に微小粒子状物質に関する研究が体系的にやられたものがないということが、今のような話にもつながってくることになります。結局、発生源の情報をこれから相当とっていかないと、その後のことを進めるのには非常に情報が不足している状況にあります。
 それからもう一つは、測定機も、測定機がおくれているというよりは、例えば米国の場合ですとスーパーサイトというような形をつくって、新たな測定機が開発された場合に、そこへ持ち込むことによって前の装置と並行運転ができて、新たな装置が開発されたものが一般に使われるかどうかの性能チェックができるような仕組みだとか、そういったものができているわけです。そういうようなものも含めて今後の環境基準、ないし、そういったものが決まっていった場合に、今後やるべき課題としてはかなりのものがあるんではないと思いますが、それは今この段階ではなくて、今後の課題というところで十分書き込む必要があるところではないかと思います。これはまさに平木委員のおっしゃられたものと、私、同じことを思っているところでございます。

   

【内山委員長】 それでは、その部分に少し書き込むということでやっていきたいと思います。これは次回以降にまたお示しいたします。
 そのほかにございますでしょうか。

   

【佐藤(洋)委員】 ちょっと直接は関係ないと思うんですけれども、坂本先生が研究の不足ということでご指摘なさったので、一言発言させていただきたいんですけれども、日本の科学技術なりの政策の中で、長期にわたる疫学研究みたいなことは非常にやりにくい状況にあるわけですよね。そういう中でも、富永先生を初めがんをやっている方々は一生懸命やってきたし、私どもも三府県コホートには協力してきたわけですけれども、今は子供のコホート調査みたいなこともやっていますけれども、そういうのがやっぱりいろいろ原因してデータがないということになったので、こういうリスク評価なり基準を決めるときに、日本のデータはないのかと言われて、ありませんとしか言いようがないんですけれども、やっぱり、そういうところが原因しているんだということを、ちょっと一言だけつけ加えさせていただきたいと思います。

   

【内山委員長】 ありがとうございました。
 今いただいたような意見も、できるだけ今後の課題というところに書き込んで、またお示ししたいと思います。

   

【関澤委員】 さらに何かつけ加えになるかもしれませんが、今、平木先生がおっしゃったのは、主に発生源対策を頭に置かれてのご発言だったと思うのですけれども、ここの委員会の議論にならないかもしれませんが、測定法と基準値というのは必ずセットで提案されますよね。その測定法がどうなるかということで、実際にそれを担当される方や、それから今後の基準値もかなり影響を受けるのではないかと思うんですけれども、海外のように標準化する、日本では連続測定がしやすい方法をとっておられて、アメリカはフィルタを用いて測定しているという違いが大きなところがあるとは思うのですけれども、それを海外に合わせていくおつもりなのかどうかということも、かなり重要なファクターとなると思いますので、測定法の検討はかなり重要な課題であるということを明記された方がいいんじゃないかなと思いました。

   

【早水大気環境課長】 測定法につきましては前回も少し申し上げましたが、経過などをご説明しますと、今週の16日に第4回の専門委員会がございまして、そこで標準測定法とするフィルタを使った手分析の方法の考え方と基本的な条件とその手順、それから、実際のモニタリングに使う自動測定機につきましては、標準測定法との透過性の評価をした上で使うということになるので、そういった自動測定機が満たすべき基本的条件と等価性の評価方法ですね、機種の認定という形になると思いますが、その評価のやり方についての議論をしております。
 アメリカでも標準測定法はフィルタ法ですが、これと等価性の評価をして、自動測定をしているという状況ですので、日本の今後のモニタリングも、それほどアメリカと違ってこなくなると思います。もちろん、これから整備をしなくてはいけないことなので、実際にはまだ今はステーションは少ないですけれども、これからはふやしていきたいということなんですが、そういうことになると。
 測定法の専門委員会の中で、今後の課題も報告書に、報告案は一部まだ細かい修正はあるという前提で、火曜日に一応報告案は了承をされております。それについて、この委員会の報告とあわせて部会に報告されることになると思いますが、その中に、今後の委員会の報告の中で、今後の課題の中に今後の測定法の開発などについても、一応、今後の課題ということでは書かれております。

   

【坂本委員】 少し補足をさせていただきますと、まさにフィルタ法が標準法であっても、その運用、それから、その後のいろいろな行政的に監視行政をやっていく、そういったことを考えた場合に、やはり自動測定機のほうが機能性がある。それから、日本の場合には非常に大陸からの影響を受けやすいとか、そういった短時間での変化も同時にとっていく必要があるという状況を考えて、自動測定法をなるべくフィルタ法と等価性を認定して、ただし、それをすべての機械に厳密にそういったことをやると非常に大変ですので、いわば開発した当初の最初の機械についてはそういう形でチェックした後、今度、その機械とは別の次の孫機というか、そういったものをチェックするような形で、より監視行政がやりやすい形を考えようという形で、全体の構成を考えたものを、今、事務局から説明があったようなものを考えているところです。
 その等価性の評価のところには、やや苦労した部分がございましたけれども、一応ある方法をとれば、それなりの評価ができるであろうというところまでを一昨日ですか、今、事務局から話があったようにまとめ、最終的な文言調整等を含めてやって、最終的にこちらの委員会とあわせた形で、今後の課題を見ていただければ、測定方法に関しても、それから監視行政についても、それから対策で今後どういったことが必要とされるものがあり得るかというのがわかるような構成になるんではないかと思います。

   

【内山委員長】 ありがとうございました。
 それでは、大体ご議論も出尽くしたと思いますので、今日のご議論を踏まえまして、本日の資料を最終的に修正して、次回の委員会でまたご議論いただきたいと思います。
 また、今日で大体の数値、あるいは根拠というものがまとまってきたと思いますので、本日の議論を受けて、まとめが最後に残っておりますので、そのまとめの案を私と事務局でつくらせていただいて、次回にご提案できればと思っておりますので、よろしいでしょうか。
 それでは、次にいきたいと思います。
 微小粒子状物質の特性及び人の生体内の挙動に関して、修正点について、まずご確認いただきたいと思います。これらに関する前回からの修正点につきまして、事務局からまずご説明をお願いいたします。

   

【松田課長補佐】 それでは、事務局から資料4の微小粒子状物質の特性及び人の生体内での挙動について、修正点についてご説明をいたします。
 前回の専門委員会でも同じような形で説明をしたところなんですが、その中で内藤委員から粒径分布に関連しまして、今2ページ目にお示ししている1.1.1の図が、この粒径分布について、もう少し適切に説明をしているものもあるのではないかというご意見がありました。そこで、図の1.1.1については、概念図としてお示しをした上で、また別途、坂本委員からも図の1.1.2に関連して、粒径の分布に関連する図を提供いただきましたので、この図について追加をしたということでございます。それが3ページ目につけているものでございます。
 また、それに関連しまして、この微小粒子状物質の環境基準専門委員会報告の全体にかかわることなんですが、この粒径分布のところで、微小粒子状物質と粗大粒子に関する定義づけというのを1.1の冒頭のところでつけ加えております。
 1ページに戻っていただきまして、粒子状物質の粒径分布について三つのピークが存在するということで、粗大粒子領域とあとは蓄積領域と核形成領域ということでお示ししているものがあるんですが、粗大粒子領域に存在する粒子を粗大粒子、または粗大粒子状物質、また蓄積領域及び核形成領域に存在する粒子を微小粒子、または微小粒子状物質と言うということで、概念上このような形で定義づけをいたしました。また、微小粒子状物質のうち、特に小さい粒子について、超微小粒子、ナノ粒子ということで紹介をしております。
 また、先ほど図の1.1.2を追加したということですが、粒子状物質の中でもいろいろな指標があるということで、ここでSPMに関する定義というものもお示しをして、また、PM10に関する定義、PM2.5に関する定義、PM10-2.5に関する定義も最初に紹介をしております。
 この報告では、大気環境濃度の測定によって粒子状物質を測定した場合や測定結果を用いた疫学研究、また濃縮した粒子状物質を用いた毒性学研究においては、それぞれの調査研究で使用されている粒子状物質の指標で表示をしたということで整理をしております。
 ですから、概念として微小粒子状物質ということで示している部分もあれば、例えば、調査研究等でPM2.5で測定をしている場合についてはPM2.5で表示をするという形で、冒頭のところで整理をしたということでございます。
 説明としては、以上でございます。

   

【内山委員長】 ありがとうございます。前回ご指摘いただいたところを中心に修正されたということですが、よろしいでしょうか。

   

【加藤委員】 今、超微小粒子とナノ粒子のお話が出てきたんですけれども、最近はナノ粒子と超微小粒子を分けないで、0.1以下をナノと言っているケースが多いように思うんですけれども。0.1以下をナノ粒子と言っているケースが多いと思うので、ちょっとその辺の確認をしていただいて、書いていただけたらと思いますけれども。

   

【松田課長補佐】 前回の委員会でも同様のご意見があったかと思うんですが、そこで坂本委員からもお話がありましたが、研究領域によってそういう定義が異なるということですが、大気環境に関する分野としては、このような粒径の整理ではないかということで、こちらに書かせていただいています。ただ、今、加藤委員からのご指摘もございましたので、その点についてはまた、関係する先生方と相談をしまして、表記を考えていきたいと思います。

   

【内山委員長】 よろしいでしょうか。そのほかにいかがでしょうか。
 前回、ご質問をしていただいた内藤委員、よろしいでしょうか。

   

【内藤委員】 私が言いたかったのは、図の1.1.1に、1ミクロンに谷があるのが気に入らないなといった話で、実際、文章にも1ミクロンのことが出てきて、図を一つ追加していただいたので、実際は、図の1.1.2とか、1.1.3の話のところで、概念図的なことを入れられれば、一番私の希望に合うんですけれども。ただ、概念図なので、ちゃんとオリジナルの文献もありますし、勝手に書きかえるわけにもいかないんだろうなとは思うんですが、どうなんでしょうかね。

   

【松田課長補佐】 今、まさに内藤委員からもご指摘がありましたが、やはり論文から引用して記述しているという部分もございますので、そこは尊重した上で、適切と考えられる図を追加をしたということでございます。

   

【内山委員長】 よろしいでしょうか。図1.1.1では概念を示したいということで、こういう図があって、ただし、ここは文献からの引用ですので、余り変えることはできないと思うのですけれどもね。実際のものは1.1.2ということで、PM2.5、PM10というふうに、あるいは粗大粒子、それから、全浮遊粒子という形で示されたということですが、よろしいでしょうか。
 そのほかにございますか。
 (なし)

   

【内山委員長】 それでは、資料4に関しては、このような修正でいきたいと思います。ありがとうございました。
 それから、用語の統一等につきましては、冒頭に申しましたように、全体の報告書の中で統一がとれるように順次進めていくということですので、これも次回以降にお願いいたします。
 それでは、今日の議論を予定したのは以上ですけれども、全体を通じて何かございますか。
 (なし)

   

【内山委員長】 そうしましたら少し時間は早いですが、そのほか、事務局よりございますでしょうか。

   

【岡部総務課長】 委員の皆様には、本日、長時間にわたりまして熱心なご討議いただきました。どうもありがとうございます。
 本日の議事要旨、議事録の扱いについて申し上げます。各委員の先生方に後日ご確認をいただいた上で、公開の扱いにさせていただきたいと存じます。
 次回の専門委員会につきましてご連絡を申し上げます。次回の専門委員会は6月26日の午後3時から。場所でございますけれども、新霞ヶ関ビルにございます全国社会福祉協議会灘尾ホールというところで行いたいと思いますので、よろしくご出席方、お願いいたします。
 以上でございます。ありがとうございました。

   

【内山委員長】 それでは、今日の会議はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。