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■議事録一覧■

中央環境審議会大気環境部会
 微小粒子状物質環境基準専門委員会(第5回)
 会議録


1.日時

平成21年4月28日(火)14:00〜17:24

2.場所

虎ノ門パストラル 新館5F ミモザ

3.出席者

(委員長)
内山 巌雄
(委員)
上島 弘嗣、香川  順、川本 俊弘
 工藤 翔二、坂本 和彦、佐藤 俊哉
 関澤  純、祖父江友孝、高野 裕久
 田邊  潔、椿  広計、富永 祐民
 内藤 季和、新田 裕史、平木 隆年
 丸山 浩一、溝畑  朗、横山 榮二
(環境省)
白石水・大気環境局長
早水大気環境課長
岡部総務課長
松田総務課課長補佐
        

4.議題

(1)
微小粒子状物質濃度変動に関する統計的特性
(2)
環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討
(3)
その他

5.配付資料

資料1−1微小粒子状物質濃度変動に関する統計的特性について
資料1−2微小粒子状物質変動の地域別トレンド分析について
資料2−1環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討(案)
資料2−2長期曝露影響に関する疫学研究の評価
資料2−3短期曝露影響に関する疫学研究の評価

参考資料微小粒子状物質環境基準専門委員会の検討の進め方について

6.議事

【岡部課長】 皆様、大変お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから第5回微小粒子状物質環境基準専門委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席を賜り、厚く御礼申し上げる次第でございます。
 本日の出席状況につきまして申し上げます。現時点で19名の委員の方々にご出席をいただいてございます。定足数であります過半数に達しているということをご報告させていただきます。
 次に、お手元の配付資料につきましてご確認をお願いいたします。お手元の議事次第の紙の下半分、配付資料のコーナーということでリストを掲げさせていただいております。読み上げさせていただきます。資料1−1、微小粒子状物質濃度変動に関する統計的特性について、資料1−2、微小粒子状物質変動の地域別トレンド分析について、資料2−1、 環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討(案)、資料2−2、長期曝露影響に関する疫学研究の評価、資料2−3、短期曝露影響に関する疫学研究の評価、参考資料としまして、微小粒子状物質環境基準専門委員会の検討の進め方について、以上でございます。
 もし資料の不足等ございますれば、事務局に随時お申しつけをいただければ幸いでございます。
 もし取材のマスコミの方がいらっしゃる場合については、カメラ撮りは恐縮でございますけど、会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、ご協力方お願いいたします。
 ご出席の委員ですが、お話し中に丸山委員にもお見えいただきましたので、今20名の委員の方々ということで、すべてご出席いただいております。
 それでは、これ以降の進行につきまして、内山委員長にお願いを申し上げます。

【内山委員長】 それでは、第5回の専門委員会を開催させていただきたいと思います。きょうは…。

【横山委員】 委員長、議事に入る前にちょっと発言させていただけますか。

【内山委員長】 はい。

【横山委員】 前回の委員会において、EPAの最近の環境基準改正に対して、短期と長期の環境基準の設定方法に関して、重視するデータの解釈について、香川委員と新田委員の間で不一致がございました。これは、意見の不一致だったらば、それはそれであり得ることでございますし、また、一般的な論文であるならば別に問題にすることはないんですけれども、フェデラルレジスターは、この委員会としても、重視すべき海外の資料でございます。その資料の中で最も大事な環境基準の設定について、香川委員は短期影響を重視してと、新田委員は、要するに、それぞれの基準はそれぞれの影響に基づいてという発言でございました。
 私は、もともと新田委員の意見と全面的に同じであったんですけれども、あの当時、自分は不勉強でございましたのでちょっと発言する機会を逸してしまいました。何分にも公の場において重要な海外文献・資料の解釈に不一致があっては、後々問題が起きないとも限りません。
 それで、このことについては、新田委員と香川委員の間でもってお話し合いが行われたのでしょうか。この解釈に違いをどうするかということについて。本日、いよいよ環境基準設定の問題に入りますんで、私としては、何分フェデラルレジスター、特にこの環境基準のEPA長官の通告についての解釈が違っていてはちょっと困るんじゃないかと思いまして、発言させていただいた次第です。

【内山委員長】 わかりました。これは、事務局からでいい、私の方から言いますか。

【松田課長補佐】前回の委員会が終了した後に、事務局の方でフェデラルレジスターの内容を事実確認した上で、香川委員、新田委員それぞれにこのフェデラルレジスターの内容についての見解について聞きました。フェデラルレジスターの内容については、年平均値の基準については長期影響の知見を重視したということではあるのですが、短期の影響も含めた上で長期の基準を決定したということです。その点について、香川委員ともお話をしたんですが、基本的には、そのとおりなんだけれども、ただ、長期の基準、短期の基準をつくる上で、やはり短期の影響の知見というものが、毒性学の知見との整合を見る上でも重要だということで、短期影響の知見というのがやはり基準設定に非常に重要だということでお考えをして、前回の委員会のご発言だったということでお話をお聞きしました。その点について作業会合においてもそのお話をしましたし、また、新田委員にもその旨お伝えしたということでございます。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。また、今度、次回の作業会合においでいただいて、また議論を、議論といいますか、皆さんと一緒に意見を交わしましょうということにはしてございますので、またその結果はご報告したいと思います。

【横山委員】 いや、この間は、この後でチェックするというお話じゃなかったですか、いろいろな問題について。あれから後、作業会合は開かれてない。

【内山委員長】 ないです。

【横山委員】 そうですか。じゃあ、ちょっとまた作業会合を開いていただきたいと思います。私の理解は、ちょっと今の松田補佐の解釈とは少し違うんですけれど、これは解釈問題で、意見の違いではございませんので、これ以上、私は発言はしません。
 どうもありがとうございました。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。新田委員。

【新田委員】 横山委員のご意見、ちょっと補足させていただきますと、短期影響・長期影響に関して、フェデラルレジスターの記述の中で、いわゆる定性的な評価という、因果関係があるのかどうかという部分の議論と、それから、本委員会では定量評価と呼んでおります環境基準の数値をどうするかというときに、短期影響の知見、長期影響の知見をどのように解釈、その評価に基づいて判断をするかというところで議論が少しずつ異なる議論が混在しているというところがございます。
 ですから、定性的な評価という意味では、当然、長期の影響の議論をしているところにも短期の影響の知見が引用されているということもございます。ですから、フェデラルレジスター、前回、私、事実関係をと申し上げましたけれども、事実関係事態も少しフェデラルレジスターの記載も短期と長期の影響が混在しているというようなことかというふうに理解をしております。

【内山委員長】 先ほど私が作業会合は開かれていないと言ったのは、香川委員をお呼びしてのまだ作業会合は開かれていないということでちょっと訂正、その後に作業会合開いておりますけれども、作業会合のワーキンググループ委員以外に香川委員等をお呼びしてご意見を伺うというものはまだ開いていないということでございますので、また正式にご報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

【横山委員】 はい。

【内山委員長】 では、きょうのところはそのぐらいにさせていただいて、きょうの議題に入りたいと思います。
 きょうは、2題、二つ議題が挙がっておりまして、一つ目が、微小粒子状物質の濃度変動に関する統計学的特性、二つ目が、環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討ということでございます。これは、参考資料を見ていただきますと、きょうのところ、全体の検討の進め方でどこら辺に当たるかということをもう1回確認してから始めた方がよろしいかと思います。
 最初の濃度変動に関する統計的特性というのは、1番の、ちょっと戻りますが、微小粒子状物質の大気中の挙動と、それから指針値をつくるに当たってのいろいろな検討に必要な項目ということで4番、5番にかかわってくるかと思います。
 それから、二つ目の議題は、疫学的知見、毒性学的知見に基づく定量評価に関する検討、あるいは、その裏のページの(5)の環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討、ここら辺をきょうご議論いただくということになりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議題1に入りまして、微小粒子状物質濃度変動に関する統計的特性についてでございます。
 前回の委員会でも議論したところですけれども、短期的な影響を踏まえた環境基準や環境濃度が環境基準を達成したかを評価するための評価方法、こういうことを検討するためには、微小粒子状物質の大気中濃度が一定の地域内でも時間的に変化しますために、測定局における年平均値と日平均値の関係について統計的にどういう関連があるかというのは見る必要があるということでございまして、これで作業会合の方で議論を重ねていただきました。また、黄砂による影響をどのように検討すればいいかということもしていただきました。また、椿委員には、微小粒子状物質の長期的な時間変動に関しまして、地域の異なる三つの測定局のデータを実際に用いていただいてトレンド分析をしてシミュレーションをしていただいたということでございますので、きょうは、まず事務局の方から資料1−1の微小粒子状物質濃度変動に関する統計的特性について、ご説明をお願いして、その後、作業会合で取りまとめいただいております坂本委員の方からも追加コメントをいただきたいと思います。
 また、引き続きまして、資料1−2につきましては、椿委員の方にご説明いただきたいということですので、まず事務局の方からよろしくお願いいたします。

【松田課長補佐】 それでは、事務局の方から資料1−1の微小粒子状物質濃度変動に関する統計的特性についてご説明を申し上げます。
 まず、1ページ目の前書きですけれども、大気汚染物質の環境濃度は、発生源条件や気象条件、地形条件などの影響を受けて、一定の地域内でも時間的に変化をすると。こうした環境濃度の時間的変化を把握するためには、異なる平均化時間における測定値の統計的な相互関連性を解析する必要があると。
 このため、平成13年度から実施してきた微小粒子状物質曝露影響調査などの結果を用いまして、一般局と、あと自排局で測定を行ったPM2.5濃度、これは50度の加熱方式のTEOMの測定法で行ったものですが、それの年平均濃度と日平均濃度のデータを用いて、異なる平均化時間、年平均値と日平均値ですが、それにおける統計的特性を把握するための整理と解析を行っております。
 具体的には、測定局における年平均値と日平均値、この日平均値はいろいろな代表値をとりまして、日最大値、99パーセンタイル値、98パーセンタイル値などの統計的関連性を見るため、全測定局、地域別、測定局種別に経年的な解析を行っております。測定局の地点については、表1.1に地点とその種別、地域について示しておるということでございます。
 次のページに行きまして、まず最初に年平均値と日平均値の統計的関連性ということでございます。これについては、測定局における年平均値と日平均値の統計的関連性を見るため、日平均値の高濃度出現頻度、日最大値、99パーセンタイル値、98パーセンタイル値、95パーセンタイル値、90パーセンタイル値と中央値を選択して解析を行っております。
 全国の測定局の結果、これは後ろの方のちょっとページ数がなくて恐縮なんですが、5ページめくりまして、そこの次のところに表2.1と図2.1がございます。この表2.1に、横に見ていただいて上段から一般局と自排局、測定局を足し合わせたものについての2001年度から2007年度までの測定データと、あとは前年度を足しあわせたもの、それについて日平均値、最大値など、日平均値と年平均値との関係を回帰式と決定係数で示したものを日平均最大値から日平均値、50パーセント値までお出しをしていると、こういうことでございます。
 中段のものについては、一般局のみ、3段目については、一番下の段は自排局のみということで解析をしております。
 また、図2.1の方におきましては、これは一般局と自排局の合計のものだけをお出ししておりますが、これはちょっと小さいグラフで恐縮ですが、一番上段の並びのグラフというのは2001年度、それから一つ下に行くたびに、2002年度、2003年度というふうになりまして、一番下が全部の年度の合計と、あとは2007年度まであるということでなっております。
 それで横の関係を見ますと、一番左のグラフについては、日平均最大値と年平均値、そこから右に行くに従って99パーセンタイル値と年平均値、98パーセンタイル値と年平均値ということでパーセンタイル値がだんだん小さくなっていくと。こういうことで年平均値とそれぞれの日平均値の関係というものをそれぞれ見るということでございます。
 この表とこのグラフをちょっと見ていただきまして、ちょっと資料見にくくて恐縮なんですが、また本文に戻っていただきますと、このデータによりますと、年平均値と日平均値の最大値の関連につきまして、日平均値の最大値との関係で言うとばらつきが大きいと。特に2001年から2004年度にかけての決定係数、これは0.5未満ということになっています。また、パーセンタイル値が小さくなる、99パーセンタイル、98パーセンタイル、90パーセンタイルということで小さくなるに従って、決定係数が大きくなると。年間98パーセンタイル値との比較では、すべての年度で決定係数が0.8以上になり、年間90パーセンタイル値との比較では、すべての年度で決定係数が0.9以上となると、こういうことでございます。一般局と自排局別に見た結果も、パーセンタイル値が小さくなるに従って、決定係数が大きくなる傾向は同様で、これについては、局種の違いによる特徴は明確ではなかったということでございました。
 また、年平均値と日平均値の関連に関する回帰式の傾きにつきましては、日平均値最大値と年平均値の回帰式の傾きについては、非常に年度によって大きく変動していると。パーセンタイル値が小さくなるに従って、その傾きのばらつきというのは小さくなっていくと。年間98パーセンタイル値の回帰式の傾きは、年度によってばらつきがございまして、1.3から2.7の範囲内で推移をして、年間90パーセンタイル値の回帰式の傾きについては、1.3から1.7の範囲内で推移をしているということでございました。一般局と自排局別に見た結果も、パーセンタイル値が小さくなるに従って、年度のばらつきが小さくなる傾向は同様で、局種の違いによる特徴は明確ではないということでございました。
 次に、3ポツの年平均値と日平均値の経年変化の比較ということですが、これは、測定局の年平均値と日平均値の関係を見るため、全国の測定局、あとは地域別の測定局、あとは測定局別に年平均値、日平均値の高濃度出現頻度と中央値の経年変化に関する形状を比較しました。
 全国の測定局の結果、これは図3.1を見ていただきますと、図3.1につきましては、先ほど図2.1についてご説明した次のページ以降の資料になります。8ページから12ページまでということです。8ページの、まずこの図3.1のグラフを見ていただきまして、一番上の左の上にあるグラフというのは、全国の測定局を対象に横軸が年度で縦軸は濃度で、それぞれ凡例に書いてますが、一番上から日平均最大値、その下が99パーセンタイル値と、下に行くに従ってパーセンタイル値が下がりまして、この下のプラスというふうに書かれてあるものが日平均中央値ということになります。この凡例で丸の印が書かれてあるのは、年平均値ということでございます。これが全国のデータで、また、その同じページに地域別のデータがございまして、地域によっては測定局の数が少ないので、その測定局のデータを意味していることもあるんですが、北海道から九州までの同様の資料というものが出ております。
 また、次のページに行きますと、測定局ごとのデータということで、一番最初に北海道札幌市西測定局から、このページでは大阪府の堺市まで、また次のページに行くと、兵庫県神戸市垂水の測定局から守口市の浄水場のところまでのデータが出ております。
 また、その次の11枚目と12枚目の資料につきましては、国設局のデータも出してます。これは、宮城県の涌谷町の箟岳のデータから、次の枚数に行って、尼崎の自排局のものまでのすべてのデータをお出ししているということでございます。これらのそれぞれの測定局の年度ごとの日平均最大値や各パーセンタイル値の形状を見て、特徴について資料に引用しているのが、この2ページ目の3ポツにまた戻りまして、2ページ目に戻りまして、全国の測定局の最初に図3.1で出しておる資料では、2001年度から2007年にかけて年平均値が6μg/m3減少したのに対して、高濃度出現頻度を代表した年間98パーセンタイル値は7μg/m3減少しており、高濃度出現頻度の減少が見られるということでした。
 また、全国的な測定結果から、日平均値の最大値は年平均値やほかの高濃度出現頻度における日平均値の経年変化と比較して年度ごとの変動が激しいと。経年変化のグラフの形状が異なるということでした。99パーセンタイル値から小さい高濃度出現頻度の経年変化のグラフの形状は、年平均のグラフの形状と、そのパーセンタイル値が小さくなるに従って近似をしてくるということでした。
 その一方、地域別測定局の結果を見ると、測定局数の多い関東では99パーセンタイル値より小さい高濃度出現頻度の経年変化の減少傾向というのが見られるということなんですが、東海より西の地域では、高濃度出現頻度における濃度上昇により、経年変化のグラフの形状は年がたつにつれて減少傾向を示すということでなくて、場合によっては濃度が増加したり、グラフの形状が異なる場合も見受けられるということでした。その測定局ごとに見ても、例えば堺市、ページで言いますと、枚数で行きますと図3.1の2枚目のグラフの一番右の大阪府堺市の測定局のデータで、例えば99パーセンタイル値や98パーセンタイル値は2007年度になって増加をしていたり、また、その次のページをめくっていただいて神戸市も同様な傾向を見せていたり、福岡の測定局や日向市の測定局においても増加をしているというようなもの、結果が出ていると。このように、測定局によって異なる形状を示しているということが示されております。
 次に、4ポツ目の年平均値と日平均値の濃度分布ということで3ページ目に戻ります。測定局の年平均値と日平均値の関係を見るため、測定局別に年平均値、日平均値の高濃度出現頻度と中央値の濃度分布から、年平均値と日平均値の関係を見たということです。
 それで、測定局ごとのPM2.5濃度分布と日平均値及び年平均値の頻度分布をつくりまして、その結果を見たということです。それで、表3.1と図3.2について見ていただきたいんですが、先ほど図3.1について資料をご説明しましたが、図3.1の次のページにありますのが表3.1ということで、これについて、年平均値のものと年度ごとの全部の測定局の濃度分布、1パーセント値から最大値までのものと、それと季節ごとの濃度分布と、それとあとは測定局ごとのパーセンタイル値についてそれぞれのデータをお示ししております。
 また、その次のページに行きまして図3.2でございますが、ここでそれぞれの測定局のデータについて、これはどのような順番で並べたかと言うと、一番左の測定局から右に行くに従って年平均値が上がっていくということで、年平均値の低いところから高い方に左から右へ並べたと、札幌市西測定局から守口市浄水場のデータまで並べたと。その測定局の上のグラフが2001年から2007年度までの平均値と。下が2007年度の平均値ということで、それぞれの測定局のパーセンタイル値の濃度分布というのをお出ししております。
 この二つの資料を見て、特徴を3ページ目に書いておりますが、2001年度から2007年度の平均では、測定局ごとの日平均値と年平均値の関係に関するばらつきにつきまして、99パーセンタイル値は年平均値の2.2から2.9倍、98パーセンタイル値は年平均値の2から2.5倍、90パーセンタイル値は年平均値の1.6から1.8倍でした。また、2007年度では、99パーセンタイル値は年平均値の2.3から3.2倍で、98パーセンタイル値は2.1から2.9倍、90パーセンタイル値は1.5から1.9倍と地点によるばらつきが存在したということです。
 2007年度のデータにおきましては、福岡市のデータというのは、年平均値に対する99パーセンタイル値、98パーセンタイル値、90パーセンタイル値の比率がこの地点の中で最も高いということですが、そのばらつきの地域的な傾向というのは確認はできなかったということです。
 それで、その次のページに行きまして4ページからは黄砂による影響ということが資料としてまとめております。それで、測定局で3月から5月までの間に黄砂によって濃度が上昇するのかという部分で黄砂の影響を見るという作業を行いました。それで、先ほどお示しした測定局ごとにPM2.5質量濃度の時間的変動と、あとは質量濃度と成分濃度の関係、それと年間の98パーセンタイル値超過日に占める黄砂観測日の割合というものを確認をしております。2001年から、まず最初に前段として、まず黄砂の観測はどれだけあったかということを調べまして、気象庁のデータをもとに黄砂の規模を反映している黄砂観測延べ日数が多いのが2002年度ということで、これ、表5.1に書かれてまして、黄砂延べ日数、表5.1(2)に合計601日ということで一番多いと。また、2001年度、2006年度が多くなっているということで、黄砂の規模が大きい年というのを抽出したということでございます。
 それで、この黄砂の影響を確認するため、黄砂の観測の延べ日数が多く、黄砂による影響がより大きいと考えられる2002年度及び2006年度のデータを用いるということにしまして、また、黄砂の観測日数が多かったとされています北海道、新潟県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県の測定局を選定して、それでPM2.5の質量濃度の経時変化を見たということです。これは、図5.1(1)と(2)に示しておりまして、そのページ、先ほど図3.1と図3.2をご説明しましたが、この次のページに図5.1(1)、(2)というのが4ページにわたって書かれております。
 最初のページが東日本の2002年度のデータ、2002年4月1日から4月31日の経時変化というものをお出ししております。ここで黄砂観測日というのが地域によって異なりますので、ここは三つの地点のものを出していまして、北海道と新潟県と東京都の資料ですが、これが黄砂の観測日と、地域によっては黄砂が観測されてない日数もありまして、この2002年4月1日から4月30日の間は、北海道と新潟県のみだったということだったんですが、黄砂が観測されたときと、そのときのPM2.5濃度を比較をしているということでございます。これが最初の1枚目が2002年度のものでございまして、その次をめくりまして、次のページに行くと、2006年4月1日から4月30日ということで、こちらの黄砂観測日が8日、18日、19日、24日、25日というふうになっておりますので、こちらの黄砂観測日に濃度が上昇しているかどうかというのを見たということでございます。
 また同様に、図5.1(2)では、西日本の地域の愛知県名古屋市と、あとは大阪の守口市と、あとは福岡県福岡市の測定局のデータについて同様に黄砂観測日によって濃度の変動が見られるかというのをお示ししています。2002年と2006年のものをお出ししております。
 それで、この四つの、4枚のグラフを見ての特徴について、4ページ目にまた戻りますと、全体的な傾向としては、黄砂観測日近辺で明確な濃度上昇が見られると。また、2002年、2006年度ともに1時間値が100μg/m3を超過するなど、黄砂観測日において、特に濃度が高くなった地点もあったということでした。
 それで、実際にじゃあ成分がどうなのかという部分について、これについて2006年度の調査の結果を参考に、黄砂を観測した日と観測していない日の質量濃度の差が明確な2006年度の春季のデータを用いまして、これはSASSによる質量濃度と成分濃度の変動というのを図5.2で見ました。図5.2は、この資料で言うと一番最後の1枚になるんですが、このPM2.5の14の測定局、一般局のデータをもとにSASSによるPM2.5の質量濃度の4月12日から26日までのそれぞれ2日間の資料をもとに成分をそれぞれはかったものですが、それは塩化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、ナトリウムイオンというものと、それと、その次のページに行きまして、アンモニウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、あとは土壌成分などを含むその他の成分と。これが黄砂観測日とどのような関係になるのかというのを見たということでございます。
 それで、その特徴を4ページ目に戻りまして、こちらの方で記述をしておりまして、土壌粒子や水分などで構成されるその他の成分が黄砂観測日に濃度が高い傾向が見てとれるということでした。また、黄砂由来のアルミニウムや鉄などの金属成分、カルシウムなども含まれていると推察されるということでした。あとは4成分のうちカリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなど土壌を構成する成分も同様に黄砂観測日に濃度が高いという傾向が見てとれるということでした。
 あと、SPMの環境基準の非達成率と黄砂観測延べ日数の関係についても図5.3、これは5ページにお示ししていますが、これが、環境基準が非達成、2日以上連続して環境基準を超えたということで非達成となった測定局の割合と、その黄砂の観測の延べ日数との関係を見たということなんですが、黄砂の観測の延べ日数が多い年においては、SPMの環境基準の非達成測定局の割合が高くなっている年度も見られると。例えば平成14年度とか、黄砂の規模によってSPMの環境基準の達成に影響を与えているということが図5.3で示されております。
 一方で、PM2.5濃度が年間98パーセンタイル値を超過した日に占める、1年のうち一番濃度が高い年間最大値から、それから98パーセンタイル値まで、大体年間のうちの約7日間ございますが、そのうち黄砂の観測日数を確認をしたということですが、ゼロから5日と、地域や年度ごとの黄砂の規模によってばらつきが見られたということですが、黄砂の影響が大きかったと考えられる2001年、2002年、2006年度では、その98パーセンタイル値超過日に占める黄砂観測日の割合が大きかったということが表5.2で示されたということでございます。
 以上で資料1−1の説明を終わります。

【内山委員長】 ありがとうございました。坂本委員の方から何か補足コメントございますでしょうか。

【坂本委員】 今、事務局の方から説明があったとおりでございますけれども、いわば99%、98%、90%とかというのは、当然、統計的に見ていけば値が小さくなれば平均値に近づいて、それから相関もよくなるというのが当然の話で、50%値になれば、まさに平均値に近いところへ行くというような形での傾向をあらわしていることは間違いないんですが、測定局によってかなり違う、それから年度によってかなり年平均値と日平均値の関係というのは違うということが全体的には言えるのかなというふうに思います。
 その例としては、2001年から2007年度の平均で比べた場合と、それから単年度で比べた場合にはもっとさらに開きが大きくなるよというような形で数字が示されているところでございます。 
 それから、黄砂のところにつきましても、当然、黄砂が観測された、これ、目視ではございますけれども、そういったときに成分がはかってあるものを見ますと、土壌成分、黄砂の場合も地殻構成成分が飛んでくるということでございますので、そういった関係があるということ。その一方で、例えば図5.3に環境基準非達成率と黄砂観測延べ日数の推移という形で書いてございますけど、これは、黄砂の回数、日数、そういったものの延べ日数であって、黄砂としての非常に大きな黄砂か、小さな黄砂かと、要するに飛んでくる物質の質量については、ここについては情報が入ってないことになりますので、結果的には、例えば2005年、2006年、2007年という形で見ますと、これは平成17年、18年、19年で、例えばここに出ている黄砂の延べ日数だとか環境基準を2日以上で超える日数とかというのは、ほぼ同じような数値が出てございますけれども、表5.2の方を見ますと、2005年ではかなりそういった7分の幾つに相当するかというのは少ないということで、必ずしも全体として見た場合には、そういう比例するような関係にはなっていないということが、全体の統計的に見た特徴かというふうに思います。
 以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございます。そうしましたら、資料1−2をご説明いただいて、ご議論は一緒にということにしたいと思いますので、資料1−2について、椿委員、お願いいたします。

【椿委員】 それでは、資料1−2について説明させていただきます。今回、東京都板橋区、大阪府守口市、福岡県福岡市に関する測定局、TEOMの測定局で毎時測定ですね。1時間ごとに測定しているデータ、7年間のデータをちょうだいいたしました。PM2.5の濃度データに関して、いわゆるトレンドがどういうふうになっているか。このトレンドという場合には、長期トレンドですね。7年間の長期的な傾向はもちろんのこと、日内の変動、0時から24時までの変動、それから日曜から土曜まで1週間の変動、それから4月1日から3月31日までという1年間の季節的な変動というものがどうなっているかというようなことについて、基本的に調べたところでございます。
 後ほど申し上げますけれども、いわゆる平均値がどういうふうになっているかというような変動成分以外に、平均値周りにどのくらいばらついているか、最近ばらつきが大きくなっているのか小さくなっているかということに関しても追加的に検討させていただきました。
 実は、その前処理というところ、2番にございますけれども、それから申しおくれましたけれども、原則7年間のデータなんですけれども、ちょっとデータの整理の都合上、福岡だけ6年間という形になってしまったことをおわび申し上げます。
 それから、前処理ということになっておりますけれども、PM2.5の濃度の各測定局のヒストグラム、これは1時間ごとの測定でございますけど、これをプロットいたしたものが図1なんですが、これを見ていただきますとすぐわかるように、右にすそをひいた非対称な分布になっているということです。このままデータ解析を進めようかとも思ったんですけれども、若干この非対称性というものを考慮したいということがありまして、事前にいろいろな変換を試みました。いわゆるよくある対数値を分析するとか、種々の分析を行ったんですが、1ページめくっていただきますと、図3というところにあるんですが、これ、どこの地域もろくに理屈づけがあるわけではないんですが、PM2.5の濃度の三乗根、立法根を変換すると非常に対象性がよくなるということに関して共通しているということを見出すことができました。なお、その前のページにございますけれども、表1に板橋、守口、福岡のそれぞれPM2.5の5数要約と言われているもの、最小値ミニマム、ファーストコータイル25%点、Median50%点、Mean単純な算術平均、サードコータイル、75%点、Max最大値というものが記載されております。
 それから、本来、これ、日平均値の98%点というのが規制的には今、問題視されているところですが、これは時間として各1時間ごとの測定値の90%点、95%点、98%点、99%点というのも表2に記載させていただいたところです。もちろん、これ、測定の回数が圧倒的に24時間で大きくなっていますので、それぞれ98%点というのは、先ほどご紹介あったものよりは、相当大きな値になっているということに注意いただければと思います。
 今、申し上げましたように、PM2.5濃度の立方根変換したデータ、若干、正規分布に近くなった形でのデータをトレンド分析させていただいて、立方根値ですので最終的にPM2.5のトレンドにするときには逆変換、すなわち3乗変換をして戻して表示するということを行っております。そういう意味で見ていただければと思いますが、まず、その3地域のPM2.5の平均値のトレンド分析ということで日内変動の成分を取り出すということをいたしました。要するに、24時間の変動です。これが図4に示しました。これは、上段から板橋、守口、福岡という形に、これからすべてグラフはそのように表示いたします。時間原点のゼロになっているのが0時、それから5時、10時、15時、20時、24時という形ですね。また夜中に戻ってくるということになります。これを見ていただきますと、すべての地域においておおむね二山という形になっておりまして、夜中の0時と昼間の12時というのが平均値的には低い時期になっておりまして、朝方の8時とか夕方といいますか18時ぐらいがまた山になっているという形、これが共通した傾向でございます。ただ、福岡のみが、板橋、守口地区と違って、夜も比較的高いレベルを推移しているような印象を持ちました。
 引き続きページをめくっていただきますと、図5が週内変動、1週間の変動でございます。これも時間軸を先に申し上げさせていただきますと、ゼロが日曜日の0時、それから、従って1と書いてあるところが月曜日の0時、2が火曜日の0時、3が水曜日、4が木曜日、5が金、6が土曜日という形になって7が日曜日の0時戻ってくるという形です。これに関しましては、実は平日という観点に関しては、若干、板橋はどういうわけか火曜日が若干下がっているというようなことがございますけれども、3地域ともやはり当然のことながら、日曜と土曜が若干平均としては下がっているということが読めるかと思います。特に日曜日のそういう現象と、福岡に関しては土曜日も相当低い推移になっているというふうに考えられます。
 同様に、先ほど最初に申し上げましたけれども、年間の変動、若干ちょっとデータが歯抜けになっていて大変恐縮なんですが、これを示したものが図6でございまして、これも時間軸を申し上げさせていただきますと、ゼロが4月1日、2がおおむね6月1日、4が8月の初め、6というのが10月の初め、8というのが12月初め、10が2月初めで12がまた4月の初めという形に戻ってくるというパターンです。
 これを見ていただきますと、おおむね冬場が低くて4月に向かって上昇のトレンドがあるということですが、4月から実は5月にかけて、4月が若干高いんですが5月にかけて少し下降トレンドがあって、また福岡等に関しては6月に若干のピークがある、夏場に関しては、板橋に関しては8月もかなり高い状況で推移しているんですが、すみません。守口と板橋に関しては8月も高い段階に推移しているんですが、福岡は一たん下がってまた8月に少し上がるというような形になっております。いずれの地域も、これも当然のことなのかもしれませんが、正月付近は非常に低い段階になっている、それで最初に申し上げましたように、そこから春先に向けての上昇トレンドがあるということです。
 最後に、長期トレンド7年間の推移でございますけれども、これ、全体の平均値のようなもの、移動平均のようなものをプロットしていると直感的に考えていただければいいんでございますが、年内変動、経時変動、季節変動等がありまして、これがグラフになってしまって恐縮なんですが、板橋が最も長期におけるPM2.5の下降トレンドが顕著です。それから、守口も若干緩い下降トレンドを観察することができました。しかしながら、福岡に関しては、明確な下降トレンドを観測することはできませんでした。むしろ最近2年に関しては、少し高い値を推移しているような印象を私は持ちました。今、印象と申し上げましたけど、それぞれのトレンドに関するいわゆる変動というものが統計的に有意であるかないかということに関して言えば、この4成分、いわゆる日内変動成分、週内変動成分、年内変動成分、長期変動成分は、いずれも地区においても統計的に有意ということになります。
 これがメインの解析でございますけれども、実は3地域に関しましては、この予測されるトレンドですね。予測値といいますか、予測される平均値に対して実際に観測されるPM2.5というのは、この平均のトレンドから相当乖離がある、いわゆる予測誤差、残差というものは相当あるという状況になります。実際にその残差を、今、私が抽出しました系統的なトレンドに対する残差をプロットしたものが図8です。実は、これは単に残差をプロットするだけじゃなくて、残差自身を平均ゼロ、分散1、いわゆる標準化という操作をいたしました。これが図8なんですが、これを見ていただきますと、グラフのスケールからすると、いわゆるマイナス4シグマ近くまでぶれているものとか、プラス6シグマぐらいまでの、いわゆる非常に外れ値がたくさん出るような状況になっています。実は、上側にずれるという、先ほどから黄砂等々いろいろなことをご指摘があるところでございますけれども、上側にずれるというよりは、実は下側の4シグマぐらいずれているというもの、この残差が非常に飛び出た形でマイナス4シグマあたりにずっと板橋も守口も福岡もかなり出ているということがあるということが気づきました。これに関しては、また環境的な問題とは別に測定的な問題があるのではないかというようなことに関しても出たところです。議論があったところです。
 実は、この残差がどれくらい大きくなるか、つまり平均値、トレンド周りにどれくらいのばらつきがあるかということに関しても実は日内変動ないしは週変動があるということを今回観察いたしました。もちろんこれがメインの関心事かどうか、主要な関心事かどうかということに関しては疑問もありますけれども、この図9というのは、実は、ばらつき自体、トレンド周りのばらつき自体が日内でトレンドを持っていると。先ほど、昼間の12時ぐらいは最もトレンド平均値は大きくなると申し上げましたけれども、そのばらつき自体の傾向を示したのが図9でございまして、平均的なPM2.5の濃度は12時近辺が低いのですが、ばらつきは逆に高いと、大きいというのが、例えば図9で観察できるところです。それから、朝は比較的PM2.5の濃度が平均値としては高くなっているんですが、そのばらつきは逆に小さいと、そういうような傾向も見ることができます。
 それから、同様な見方ですが、ばらつきのことですからさっきから言いますように本当の関心事かどうかわかりませんが、図10が同様に週内トレンドを見たものです。この週内トレンドに関しては、特徴的なものは板橋と守口に関しては日曜、土曜はばらつきが大きい。日曜・土曜日はPM2.5の平均は低かったわけですが、逆にばらつきは大きい。ところが、福岡は日曜・土曜はPM2.5濃度の平均値も低いけど、ばらつきも比較的小さいという状況が起きているというようなことを観察いたしました。
 あと年間のトレンドに関しては、若干、守口の挙動が非常に複雑な挙動になっているんですが、板橋に関しては12月、1月ぐらいが最もばらつきが大きな山になっている地域で、あとはだんだん下がってくると。ばらつきが小さくなる。4月・6月、非常にばらつきが安定しているということであるということです。福岡に関しては、逆に4月から6月、
 7月ぐらいに関してばらつきが大きい時期があるというような傾向です。
 長期トレンドについて特にプロットしてないんですが、長期トレンドに関しては、守口と福岡に関しては有意性を認めませんでした。一方、板橋に関しては、ばらつきも経年的に小さくなってきているというようなことを有意、そういう傾向を有意であるというふうに抽出しているところです。
 図12は、先ほどの残差の今のような分析を加味して若干修正をして出したものですけれども、ここではやはりマイナス側に少し外れているものが見出せたというようなことを結論的にはよく似てますので、少し紹介を省略させていただければと思います。
 以上の解析をもとに、PM2.5の原系列以外に予測される平均値と平均値プラス2倍の標準偏差、「k倍の標準偏差」と書きましたけれど、2倍の標準偏差ぐらいの区間の中にどれほどのデータが出るかということと、それから、24時間の各1時間値の98パーセント基準との関係性などをグラフ上でチェックするというのが5節でございまして、非常に点が密集してしまって申しわけないんですけれども、図13に示したものが、この黒い点はほとんど密集して何も見えなくなりましたけど、原系列、実際のPM2.5の観測値です。赤く示したものが平均値、平均トレンドとして抽出したものです。このあたりを平均値としている。それから、平均値プラス2シグマという線が、この緑のラインという形になります。その青く直線ですっと示したものが、この各1時間値の98%点です。この98%点ということに関しては、板橋等を見ていただきますと、板橋は経年的に減少トレンド、PM2.5濃度の減少トレンドがありますので、初期の段階は98%点というのは平均値プラス2シグマの点の割と下側の方を通っていたんですけど、だんだん上側の方に行くという形になっているということです。守口に関しては、これ、守口のデータというのは非常にいわゆる外れ値的なアウトライングなデータが多くて、上側部に特に多いんですが、若干スケール感が違って見えますが、緑の線の中に大体98%点が入るということに関しては、共通的な傾向かと思います。福岡に関しましても同様です。
 これは、実は経時データ1時間ごとのデータで分析しておるわけでして、この話を基本的に規制値にかかわります日平均の表示に翻訳してほしいということ、ニーズを作業部会の中で伺いまして、今回抽出したトレンド自体を24時間平均する、それから、そのトレンド自体の信頼区間、2シグマ幅を24時間平均値の2シグマに変換するという操作を最終的に6章で行いました。この場合、実はこの今回のPM2.5の濃度に関しては、大変長い自己相関が続く、つまり、高い時期が続くとかなり高く推移するという傾向がございます。実は、図14というのが自己相関係数というものを原系列に出したものです。24時間、1日後でも自己相関、どの地域でも0.3から0.4ぐらい残って、1時間後や2時間後は相関が0.8以上になっているようなこともあって、24時間平均というのは、実は、実質的には24個のデータを平均するというような効果は全くなくて、私自身が試算したところでは、基本的に24時間値を平均しても実質的にデータ2個分の平均値にもならないぐらいで、1.6個とか1.9個ぐらいの平均をとったぐらいの安定性しか示せないという形になっております。それぐらいつまり系列相関が強いということなんですが、その系列相関で補正して日平均値の信頼区間を再度計算して、日単位で先ほどの図13のようなものを再プロットしたのが図15でございます。今度は点がまばらになっているのは1日ごとのものになっているからです。
 板橋、これも先ほどと同じように赤が日平均のトレンド、それから緑が2シグマ幅としての信頼区間、それから98%点が青という形になっているわけです。この98%点を超える点というのは、春先、黄砂のシーズン点にはもちろんあるんですけれども、それ以外の季節にも散見するということは観測しております。
 それから、次のページの図15bというのが守口でございます。守口に関しては、先ほど1時間単位ではかなり極端な外れ値があったんですけど、24時間平均にすると、その部分に関しては少し落ち着いてきているという状況がございます。
 それから、福岡が図15cですけれども、図の福岡は、これを見ていただきますと、緑のラインより上の点というものに関して、若干、ほかの地域に比べて、守口もそういうことが若干あったんですけれども、ほかの地域に比べると同一季節で外れ値が散見している、多く見られるというような傾向があるかと思います。これは、先ほど黄砂の発生時期ということがありましたけれども、ある季節に関して外れている傾向が出るということでしたら、そういうようなものの影響も考えられると思います。今、発生日等に関して確定情報があれば、この緑のライン、あるいは98%点より上に来たものがどういう気象条件であったか、黄砂に関してどうだったというようなことを確認できればと考えている次第です。
 一応、以上で98%点というものに関しては、98%、97、99、それがどういう意味を持つかということに関しては、なかなか判断できないところですけれども、かなり上側に外れている傾向と、目視で外れている傾向というものに関してトリムした平均という形には少なくともなっていると。ここで可能ならば、この上側に外れている、緑のラインより外れているような状況を98%点で切り、かつこれがどちらかというといわゆる環境を規制するというよりは、自然的な現象ですね。制御できないような現象で起きているようなものが主体であれば、こういうところで切るというのはそれなりの合理性を持つのかなというのが私の私見でございます。
 一応、方法論にどういう方法を使ったかということが最終的に理論的補足というところで若干書きましたけれど、これについては、今回、説明を省略させていただければと思います。
 以上でございます。

【内山委員長】 ありがとうございました。ただいま資料1−1それから1−2につきましてご説明いただきましたが、これは、特に98という数値が随分出てきました。これは後で出てきます短期の健康影響の指針とするのに、この98パーセンタイル値というのが少しかかわってくるので、ここで今、特に、98パーセンタイル値というのが主に中心に解析されているというふうに解釈しました。それでよろしいですか、坂本委員。
 これは、環境基準を満たしているかどうかというのではなくて、短期の影響を決めるときにこの98パーセンタイル値云々ということが後で議論になりますので、その分析を少ししていただいたということになると思います。
 何かご質問、ご意見ございますでしょうか。

【香川委員】 教えていただきたいのですが、NO2の環境基準の改定のときは、長期の値として指針値として0.02から0.03、環境基準はラルセンモデルから2倍にして0.04から0.06ppmという日平均値を決めたのですが、PM2.5の場合、先ほどいろんな地点で2倍から2.5倍とかいろいろありましたけれども、平均的に見ると、どういう値になるのでしょうか。

【内山委員長】 これは事務局の方から。

【松田課長補佐】 限られた測定局のデータしかないということなんですが、ちょっとお待ちください。資料1−1で言うと、2ページ目のところで2ポツ目のところの年平均値と日平均値の統計的な関連性という部分についての回帰式の傾きですね。ここで年平均値と日平均値のいろいろな代表値についての比較をしているということなんですが、年度によってかなりばらつきがありまして、年間98パーセンタイル値の傾きは1.3から2.7の範囲内で推移をしてきているというところでございます。
 それで、グラフは表2.1と図2.1ということですが、ここで、例えば日平均値、表2.1の方を見ていただけると、これもちょっと年度によってばらつきが先ほど言ったとおりあるということなんですが、非常に多くのそれぞれの年度というのを重ね合わせた前年度という部分で言うと、傾きは一般局と自排局、足し合わせたものは傾き1.6と、日平均98パーセンタイル値だと1.6ということが、ここのデータとして示されているということでございます。

【内山委員長】 よろしいですか。そのほかにいかがでしょうか。内藤委員。

【内藤委員】 今、話に出ていた表2.1の話なんですけれども、回帰式の傾きがどうも安定感がないというか、年度でかなりばらついていますけれども、よく見ると、これ、切片もかなりばらついていまして、切片が大きくなると傾きが下がるというのがはっきり見てとれるんですね。ですから、切片をゼロにしてやられた方が何か最終的な目的に近づくんじゃないかと思うんですけれど、それは試されたんでしょうか。

【松田課長補佐】 今、言われたような作業については、現時点では行っておりません。
 ただ、今、内藤委員のご指摘もございましたので、曝露の会合でどのような作業ができるのか、またちょっと議論していただければなあというふうに考えております。技術的にどのような解析を行うのがいいのかという点についてもご指導いただければと思います。

【内山委員長】 では、それはちょっと作業会合の方でまた少し検討していただくことにしまして、そのほかにございますでしょうか。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 2点質問があるんですけれども、1点目は、資料1−1の5ページ目の図5.3で、先ほど坂本委員から若干ご説明はあったんですけれども、黄砂の観測延べ日数と非達成の割合が乖離があるというお話なんですけれども、これ、黄砂の性質が変わってきたというようなことはないんですか。それが第1点目なんです。
 それから、もう1点は、資料1−2の方、ページがないんで3枚目の図8の残差を標準化したデータの時系列プロットというところなんですけれども、これはずっと立方根をとったままこういう計算をされているというふうに理解してよろしいんですか。

【椿委員】 はい、そのとおりです。

【佐藤委員】 上の方にだけ大きくなっているのは、別に分布を戻したから大きくなっているというわけじゃなくて、やっぱり上の方に大きくなっている性質があるというふうに理解すればいいわけなんですか。

【椿委員】 今、まず処理としてはそのとおりでございます。それから、上の方の極端に外れる、プラス6シグマ近くに外れるということに関しては、上側のずれがメインでございまして、実は、そういう性質はあるということはご指摘のとおりです。
 ただ、一方で、頻度的には下側の4シグマ、つまり測定値がゼロになっているというような感じの、そういう外れ性があるという、結構頻繁に起きているということになっているということです。

【佐藤委員】 測定できてないという。

【椿委員】 検出限界以下だということなんだろうと理解しますが。

【松田課長補佐】 あと佐藤委員からご指摘がありました1点目の図5.3の件につきましてですが、まず一つあるのが、SPMの濃度自体が、近年自動車の排出ガス対策などによって、年平均値の濃度自体はかなり年々減少傾向にあると。こういうことで13年、14年、この年は非常に2001年、2002年については黄砂の規模は大きかったという話で、あと2006年も黄砂の規模は大きかったということなんですが、そもそもそのベースになるSPMの濃度自体も減少傾向にあるというのが、この点、環境基準を超える部分が減少してきているということが一つ言えるのではないかと考えております。

【坂本委員】 ちょっと推測しますと、今の話もあるんですが、ここにある情報というのはあくまで黄砂の観測延べ日数という形ですから、先ほど申し上げた黄砂がどのくらい広い範囲で行ったかというのはある程度情報として入ってますけれども、黄砂で飛んできた黄砂の量、質量に関する情報はここには入っていないわけです。
 ですから、同じ回数が少なくても濃度が高いものが来た場合には、当然、超える時期がふえるだろうということで、必ずしも一致しなくても別に構わないんだというふうに私自身は思っています。だから、濃度が高くて、かつ延べ日数が多いときには環境基準を超える日が当然多くなるということでございます。

【内山委員長】 ほかにいかがでしょうか。

【坂本委員】 先ほどの内藤委員のフォースドゼロで相関をとってみてはと、まさにそれはそういったところで、もう一つ先ほどこれは椿委員の解析にもありましたように、マイナスの方での非常にばらつきが大きかったという形で、低濃度側の方のデータにより全体における信頼性が低いものがあるということにもなろうかと思いますけれども、フォースドゼロでやるということは、結果的には値の大きいところのデータが統計データとしてより重要視される解析になるということですので、今の濃度の低いところの誤差とか問題というのは、逆に減ることにはなろうかと思います。

【内山委員長】 ちょっと椿委員に私の方からお伺いしたいんですが、図4の日内変動で板橋と守口は夜間には減少するという、多分、この時間からいくとラッシュ、車のラッシュのときには少し上がってということだろうと思うんですが、福岡は、これは、夜間下がらないということ、これは二次生成粒子のようなことというか、この3地点をたまたま選んだらこういうふうになったということですか。それとも、こういう地域も入れてすべての地域で大丈夫ということを…。

【椿委員】 いえ、まだ、私自身は、今回データを分析するに当たって、特にすべての地点というのではなくて典型的な関東と関西と黄砂の影響を受ける可能性がある九州という形で3地点をやっただけですけれども、やはりかなり地点によって違うという印象は、この3地点だけでも相当感じることがありましたので、必要があれば、この地点数をふやしていくというような解析が必要なのかもしれません。

【内山委員長】 わかりました。これは、環境省の方は特に、日内変動をとってみたらこうだったということで、パターンが違うところをやっていただいたというわけではないんですか。

【事務局】 やってみたら違っていたということでございます。

【内山委員長】 そのほかにいかがでしょうか。
 そうしましたら、このところは、また後で短期の影響のところで少しまた議論になるかと思いますので、またそのときにでもさかのぼって一緒にご議論していただくということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に行きたいと思います。次は、議題2の環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討についてということでお願いしたいと思います。これらの資料は、リスク評価手法や、これまでの専門委員会での議論を踏まえまして、抽出した知見をもとに健康影響作業会合で議論を重ねていただいて整理したものでございますので、作業会合でおまとめいただいた新田委員からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【新田委員】 それでは、議題2につきまして、資料2−1、2−2、2−3を通してご説明をさせていただきます。なお、資料2−2と資料2−3につきましては、第3回の本委員会で提出した資料をさらに改訂追加したものでございます。本日は、修正点を中心に資料2−2、2−3に関しましてはご説明させていただきます。
 それでは、まず資料2−1、環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討(案)ということでご説明させていただきます。今後の議論に関しまして、非常に重要な内容を含んでいるかというふうに考えておりますので、読み上げさせていただきます。
 1、はじめに。微小粒子状物質健康影響評価検討報告書(平成20年4月)では、呼吸器系及び循環器系への影響並びに肺がんについて、疫学により観察された死亡、入院・受診、症状及び機能変化の異なる指標ごとに、毒性学知見から想定されるメカニズムとの生物学的妥当性や整合性に関する以下のような評価を行っている。ということで、以下、その報告書の抜粋という趣旨でお示しさせていただいております。
 まず、長期曝露と死亡に関するいくつかのコホート研究において、PM2.5と全死亡、呼吸器・循環器死亡、肺がん死亡との間に関連性がみられている。我が国におけるコホート研究においてもSPMについて肺がん死亡との関連性がみられている。この肺がん死亡との関連に関する結果について、DEPや燃料燃焼由来成分等、発がん性を有すると考えられている物質の関与を否定できない。
 長期曝露と呼吸器症状及び肺機能変化については、呼吸器系疾患の発症との関連は明確に示されないものの、肺機能の低下や呼吸器症状有症率の増加に影響しうることが示されている。これらの疫学知見は炎症反応の誘導、感染抵抗性の低下、アレルギー反応の亢進等の想定されるメカニズムで基本的に説明することは可能である。
 短期曝露と死亡に関する研究において、日単位の曝露と死亡との間に関連性がみられている。これらの知見では、過剰リスク推定値には解析対象地域間でばらつきがみられるものの、関連の方向性については頑健性があり、一貫性が認められた。循環器系疾患の死亡リスクの増加に関する結果は、不整脈、急性心筋梗塞、冠動脈疾患、脳血管疾患等の病態を修飾し、重篤な場合は死亡に至る過程によって基本的に説明が可能である。しかし、呼吸器系疾患の死亡リスクの増加に関する結果については、直接的な死因を推定することや死亡に至るまでの生体反応の過程を説明することは困難であった。
 短期曝露と医療機関への呼吸器系疾患や循環器系疾患による入院・受診との関連性が世界各国の多くの研究においてみられている。これらの関連性は死亡に至る過程を直接示すものではないが、短期曝露と日死亡との関連性に対して整合性を示唆するものである。また、米国ユタバレーでの事例は、疫学研究で観察された入院数の増加と大気中粒子状物質曝露との関連性が気道及び肺の炎症によって説明しうることをヒト志願者及び動物実験の両者によって裏付けたものである。
 次のページですが、短期曝露と循環器系の機能変化との関連性について多くの知見がある。これらの結果は、呼吸器系の刺激や自立神経機能への影響等を介した作用、生理活性物質や過酸化物の増加等を介した作用、血液凝固系の活性化や血栓形成の誘導等を介した作用等の想定されるメカニズムで説明することが可能である。長期曝露と循環器系疾患の発症ならびに死亡との関連性を示す米国における大規模なコホート研究による知見がある。
 短期曝露と呼吸器症状及び肺機能変化に関する疫学研究では、研究デザインや調査対象者が一様でないために結果にばらつきが存在するものの、関連性を示唆する多くの知見があり、呼吸器系疾患による入院・受診に関する知見と整合性も認められる。
 これらを総合的に評価して、「微小粒子状物質が、総体として人々の健康に一定の影響を与えていることは、疫学知見ならびに毒性学知見から支持される。この結論に至る科学的知見の多くは疫学知見から構成されているが、ヒト志願者に対する曝露実験や各種病態モデル動物を含む動物実験の結果に基づく毒性学的メカニズムによって、疫学知見の整合性や生物学的妥当性が十分に存在することが疫学知見による結論をより強固にしている。」と報告書では結論されております。さらに、本報告書で取り上げられた疫学知見、毒性学知見以外にも、近年この結論を支持する知見が増加している。ということで、この点に関しましては本委員会でもお示ししているとおりでございます。
 一方、環境基準の設定に当たっては、濃度−反応関係などに関する詳細な検討が必要であり、そのために、微小粒子状物質リスク評価手法専門委員会では、「微小粒子状物質の定量的リスク評価について」の検討がなされ、疫学知見に基づく曝露量−反応関係から健康影響が生じることが確からしいとされる濃度水準を見いだす作業を出発点とするのが適当であることが示され、さらに、ヒト志願者や動物実験に関する毒性学の知見による用量−効果関係も考慮することとされた。ということでございます。
 こういう前提に基づきまして、2のところでは、長期基準及び短期基準の必要性ということで整理をいたしました。繰り返しになりますけれども、微小粒子状物質の定量的評価手法において示されておりますように、長期曝露では、より低濃度で慢性影響が起こり、短期曝露では、より高濃度で急性影響が起こると考えられる場合には、それぞれの健康影響について環境基準を定めることが妥当であると考えられる。と、こういう報告書でまとめられております。
 死亡のように短期曝露と長期曝露による影響に関するエンドポイントに共通性がある場合には、長期曝露影響に関するコホート研究から得られる健康リスクの上昇には、長期曝露の累積による影響に短期曝露による影響が重なっているとみなすことができる。微小粒子状物質健康影響評価検討会報告書で示されているように、微小粒子状物質への曝露による長期曝露影響と短期曝露影響について、死亡リスクの大きさを比較した場合には一般に長期影響の方が大きいことが示されている。これは、基本的には、微小粒子状物質総体としての健康リスクのうち短期影響として検出できるのは、短期的な濃度変動と関連する部分のみであるということに起因する。例えば、短期的に変動の少ない定常的・持続的な曝露による影響は、濃度変動による健康リスクの上昇をみる時系列解析などの短期影響に関する解析手法では抽出できない。
 一方で、微小粒子状物質への高濃度の短期的な曝露に伴って発現すると考えられる呼吸器系や循環器系に関する種々の症状や機能変化が存在する。これらの症状や機能変化が微小粒子状物質への曝露の短期的変動と関連性がみられることは毒性学知見や疫学知見から示されている。長期曝露影響が短期曝露影響の発現に関わる個人の感受性に関与している可能性はあるものの、長期曝露影響と区別されるこれらの短期的な曝露に伴って発現される種々の影響が存在する。したがって、公衆衛生上の観点からは、長期曝露と短期曝露の両者による健康影響からの保護を目的とした環境基準を設定することが必要である。
 一般に、地域における微小粒子状物質の長期平均濃度(年平均値等)と短期平均濃度(日平均値等)の高濃度出現頻度の間には統計的な関連性が観察される。すなわち、長期平均濃度または短期平均濃度に関する一方の基準を定めて、濃度をその基準以下にするような低減効果が、もう一方の基準に関しても一定程度作用することが期待される、しかしながら、両者の関連性には統計的な誤差変動が含まれること、健康影響の発生に質的な差があると考えられること、また、地域における長期平均濃度の変動を規定する要因と短期平均濃度の変動を規定する要因が発生源条件や気象条件など異なる場合があることを考えれば、曝露濃度分布全体の濃度を平均的に制御する意味での長期平均濃度に関する基準(以下、長期基準といいます。)と、曝露濃度分布のうち高濃度領域の濃度出現を制御する意味での短期平均濃度に関する基準(短期基準)の両者を定めることによって、微小粒子状物質の曝露から人の健康の保護が図られるものと考えられる。ということで、2のところで長期基準と短期基準、両者の必要性をここで整理いたしました。
 3では、それぞれ長期基準の考え方、4では短期基準の考え方をお示ししております。この考え方の基礎となるものが、知見の整理として疫学の評価ということで資料2−2と資料2−3がありますので、ここで資料2−2と2−3をまずご説明した上で、また資料2−1の長期基準の考え方、短期基準の考え方の方に戻りたいというふうに思います。
 それでは、資料2−2ですけれども、先ほど冒頭で申し上げましたように、第3回の本専門委員会で同種の資料をお示ししております。その後、一部追加・修正を加えさせていただいております。まず、長期曝露影響に関する疫学研究の評価につきましては、1ページの整理は、以前のお示しした資料のままでございます。抽出の考え方としては、基本的な疫学研究に関する評価に加えて、曝露評価に関する要件をさらに加えた評価によって疫学研究を抽出して、それを評価したということでございます。
 2ページに全体のまず死亡をエンドポイントとした知見、ここでは長期影響に関する知見でございます。図の形式を前回お示ししたものと少し形式を変えております。図1は全死亡に関する疫学知見のまとめということで、それぞれの疫学知見の対象地域のPM2.5の濃度範囲の中心に対して、それぞれの推定されたリスク比と95%信頼区間をお示ししたのが上側の図。下側の図は、濃度範囲そのものを示して平均値もしくはその中点、中心のところにマークをしております。
 図2は同様に、心・肺疾患死亡に関するもの、それから、図3は肺がん死亡に関するものということで、一部例えば6都市研究、ACS研究に関しましては、それぞれの死亡のデータが示されておりますので、ここに繰り返しそれぞれの死因ごとの図が示されております。
 3ページの下の方から米国の6都市研究の紹介、それから、4ページ目中ほどからACS研究の紹介をしております。基本的な記載の内容は変わりませんけれども、それぞれの調査全体の平均濃度、濃度範囲をここで書き入れております。 
 それから、4ページの下には、アメリカのカリフォルニアでのセブンスデーアドベンティスト派のコホート調査の結果を加えております。
 それから5ページ目には、WHI研究Women's Health Initiativeと呼んでますが、この研究に関する結果、それから3府県コホートに関する結果、5ページの中ほどにお示ししております。本専門委員会において富永委員の方から10年の追跡の結果、15年の追跡の結果、両方を示すべきというご指摘をいただきましたので、この5ページ、10年の追跡結果、15年追跡結果、それぞれお示ししております。
 それから、ヨーロッパの幾つかの調査結果をお示しをしております。5ページの一番下の方以降は、濃度−反応関係に関する情報があるものということで整理をいたしております。基本的には6都市、ACS、それからお示しした内容に関しましては、専門委員会で既に提出した資料と変わるところはございません。
 それから、3府県コホートに関しましては、先ほど申し上げましたように、10年追跡結果を15年追跡結果に加えてお示しをしております。図10、図11、図12が、失礼。図10と図11が10年追跡結果、それから、図12と13が15年追跡結果ということで、全体の傾向としては大きく変わってないというふうに考えております。
 それから、今回、このお示ししました資料2−2に関しましては、14ページ目以降で前回、香川委員の方からご指摘ございました呼吸器疾患に関する長期の影響に関しましても死亡をエンドポイントとしたものと同様にここにまとめております。14ページの冒頭に書いておりますが、1ページに述べましたように、微小粒子状物質の定量的リスク評価手法のこの専門委員会では、長期影響に関してコホート研究による疫学知見を優先することが適当というまとめとなっておりました。呼吸器症状に関しましては、長期影響において、その発症時点を明確につかまえることが困難である等の理由から、多くの知見が横断的研究となっております。ここでは、横断的研究においても有益な情報を持っているという判断で、横断研究に関しましてもここに追加いたしました。なお、例えば、米国の6都市研究の場合には、研究のデザインとしてはコホート研究に、ご承知のように、なっておりますが、個々の疫学知見を示した論文については、横断的な解析結果のみを示しているというようなものもございます。ですから、その点、少し判断難しいところがございまして、これまできちんとまとめた資料になっておりませんでしたが、ここでは横断的研究も含めてということで整理いたしました。
 まず、今、申し上げました15ページ以降ですが、米国6都市における、基本的には小学生の呼吸器症状、それから、それを少し拡大したような形になっております24都市の研究、それから先ほど死亡に関するところでもご紹介しましたセブンスデーアドベンティスト派のコホートの研究、それから、これに関しては既にご紹介しておりますが、米国の南カリフォルニアの子供の調査に関しまして紹介、記載をしております。その他、ヨーロッパの幾つかの出生コホートに関する研究がここに含まれております。
 それから、我が国におきましては、環境省が過去に幾つか調査を行っております。17ページ以降に、その中でSPMとの関係を示したものをここに掲載をしております。図14は、窒素酸化物等健康影響調査継続観察調査で示されたもの、それから、18ページは微小粒子状物質曝露影響調査での結果をここでお示しいたしました。
 それから、19ページは、呼吸器以外の循環器疾患への影響を示したものということで、先ほどご紹介しましたけれどもWomen's Health Initiative、WHI研究では、死亡のみならず発症に関しても検討をしております。濃度範囲等の情報は、全く先ほど既にお示ししたものと変わりません。
 それから、そのほか動脈硬化に関係する長期の研究をここで掲載をいたしました。
 20ページ以降は、濃度−反応関係に関する情報ということで、基本的に濃度−反応関係を推測するような死亡以外の長期の影響に関する研究では、WHI研究とカリフォルニアの子供調査と限られているということで、これも既にお示ししたものですけれども、整理をいたしました。
 それから、24ページ以降は、この資料2−1の議論の前提としてコホート研究における濃度−反応関係での不確実性のポイントということで、これまで整理してこなった点を少しお示しをしております。Exposure time windowと呼ばれております問題ですけれども、長期のコホートの中でどの曝露時期、どの期間が健康影響出現に最も関係するのかという議論でございます。これは、第1回の専門委員会等でも幾つか個々の知見に関しまして少し議論がございましたけれども、長期影響を検討するのに基本的に用いられているCox比例ハザードモデルということがございます。このCox比例ハザードモデルの前提になっているような考え方、これは曝露要因が時間的に変化しないということを仮定しているということがございます。この仮定が妥当かどうかということ、それから、長期の曝露のトレンドがあるということで、25ページの図21、22、23に米国それから6都市の対象地域、それから我が国の傾向を示しておりますが、コホート調査の場合には、1970年から80年ぐらいから開始されたものもございますので、その中でどの曝露期間が重要かによって濃度−反応関係の濃度の部分に少し誤差もしくは偏りが生じる可能性があるということをここで議論して整理をいたしました。
 現時点では、さまざまな研究が行われておりますが、結論的なことは出ていないということで、すなわち、それぞれのエンドポイントに対応してどの時期、どの期間の長さの曝露が一番、濃度−反応関係において重要かという結論は出ていないというふうに考えております。したがって、その部分、個々の疫学知見でどのようなExposure time windowを用いているかということを十分に把握した上で議論するべきであろうというふうに考えております。
 ここまでが資料2−2、長期の曝露影響に関する疫学知見の評価ということで、以前の本専門委員会でお示しした資料をさらに追加・改訂したものでございます。
 それでは、資料2−1の方にまた戻ってご説明をさせていただきたいと思います。今お話ししましたような基本的な長期曝露影響に関する疫学研究の評価に基づいて長期基準をどのように考えるかということで作業会合の議論を踏まえて整理したものでございます。また、読み上げさせていただきます。
 3.長期基準の考え方。先に述べたように長期平均濃度と短期平均濃度の高濃度出現頻度の間には統計的な関連性が観察されることから、長期基準は短期曝露による健康影響に関しても一定の低減効果を持つことが期待できるが、長期曝露による健康影響を低減することが第一義的な役割である。
 これまで行われてきた微小粒子状物質への長期曝露影響に関する疫学研究では、数年から数十年という調査期間における曝露と影響との関連性が検討されてきた。どの程度の長さの曝露によって健康影響が生ずるのか、また、どの程度の期間の曝露が最も健康影響と関連するかについては明確とはなっていない。しかしながら、長期基準として年平均値基準を採用した場合には、1年を越える期間の累積的な曝露による健康影響についても保護することができると考えられる。長期基準として1年よりも長い期間の平均化時間を採用することは大気汚染状況の評価の時間的な遅れを生じさせることになる。また、1年よりも短い季節や数カ月間の曝露による健康影響に関する知見は現時点では限られており、長期基準として1年よりも短い平均化時間を採用することは困難である。したがって、長期基準として年平均値基準を採用することが妥当であると考えられる。
 通常、疫学研究では大気汚染物質の健康影響の大きさを示す場合に、大気汚染物質の単位濃度あたりのリスク比という表現をしばしば用いている。これは濃度−反応関係が対数をとったスケールで相加的であり、かつ線形であることを仮定したものである。また、この表現では、検討する大気汚染物質の濃度−反応関係に閾値が存在しないことを暗黙に前提としているが、微小粒子状物質の場合には閾値の有無については判断できないとの前提に立って定量的リスク評価を行うことは2008年11月にとりまとめられた中央環境審議会大気環境部会微小粒子状物質専門委員会報告「微小粒子状物質の定量的リスク評価手法」において示されているとおりである。
 基本的に濃度−反応関係の傾き(リスク比の大きさ)と濃度範囲に関する情報はほとんど全ての疫学知見において示されているが、濃度−反応関係の形状を推測できる情報が示されている知見又は統計学的な信頼関係を示した知見は限られている。一方、濃度−反応関係の形状を推測できる情報が示されている場合であっても、疫学知見選択の条件に完全には合致しないために、参考情報に留まるものもある。
 統計学的に有意な相対リスクを示す知見において、対象地域の濃度の平均値又は濃度範囲の中点付近よりも高濃度領域は、研究対象のデータが最も集中するため、最も影響が確からしい水準と考えられるが、これらの水準を併せて、濃度−反応関係の統計学的信頼区間の幅の広がりや相対リスクの上昇についても留意して、複数の知見から影響が確からしい濃度を見いだすための評価を行った。
 長期影響評価資料において示したように、死亡やその他の種々のエンドポイントについてPM2.5への長期曝露との関連性を報告しているコホート研究の多くで、対象地域の平均的濃度は13〜30μg/m3であった。これは先ほどの資料2−2に基づいたまとめということでご理解いただければと思います。
 続けます。循環器系に対する影響については、国内知見と米国知見の結果が異なっている可能性が示されているが、リスクファクターの分布や疾患構造の違いによって結果に差が生じていると解釈できる。現時点において、日本では影響が顕在化していないものの、米国の疫学知見の結果や種々の毒性学研究の結果を踏まえれば、心疾患に関するリスクが高い者に関して、PM2.5による影響を受けている可能性も否定するものではない。このことから、国外の疫学知見も含めて評価することは公衆衛生の観点から妥当と考えられる。
 このうち、PM2.5濃度が20μg/m3以上の範囲については、多くの疫学知見において対象地域の濃度範囲の平均を越える水準であり、濃度−反応関係に関する検討においても健康影響が生じることが確からしいとされる濃度水準とみなせる。PM2.5への長期曝露による健康影響を報告している疫学研究の中で、曝露評価や対象集団の構成・規模等から、特に注目すべき研究は米国6都市研究、その拡張研究、ACS研究及びその拡張研究である。これらの研究において、対象地域の平均濃度は、概ね年平均値18μg/m3であった。なお、米国における環境基準設定においては、疫学知見による濃度−反応関係はデータが集中する長期平均値付近で最も強くなることを認識し、年平均基準はこれらの死亡リスクに関する主要な研究における平均値よりも若干下回る値にすることを適切と考えている。
 PM2.5への長期曝露との関連性を報告しているコホート研究のなかで、対象地域のPM2.5平均濃度が15、以下、単位をちょっと省略させていただきます。15を下回っているものにWHI研究がある。また、ACS拡張研究においても12〜13を下回る領域から濃度−反応関係の信頼区間の幅が広がることが示されていた。しかしながら、この濃度領域に関する疫学知見は非常に限られており、濃度−反応関係に関する不確実性も大きいと考えられることから、PM2.5濃度が15を下回る濃度領域については、現時点では健康影響が生じることが確からしいとされる濃度水準とみなすことは困難である。と、このようにまとめております。
 次に、短期基準の考え方に関しましてお話しさせていただきます。短期基準に関しましては、基本的な疫学知見の資料は、資料2−3ということで、これも前回お示ししたものをさらに整理した形で、きょう資料2−3としております。基本的な資料の構成は変わりませんが、まず、基本的な考え方として複数都市研究を重視して整理しているということ、それから、我が国の研究に関しましては、複数都市研究以外に曝露影響調査の報告における個々の調査結果も追加してお示しをいたしました。5ページの最後の方に我が国での結果をお示ししております。先ほどの議論から、日平均値の98パーセンタイルということが判断上重要だということで、原データに戻って個々の知見の98パーセンタイルもあわせて5ページにお示しをさせていただいております。
 また、我が国の日死亡に関する検討に関しまして、図2、図3にお示ししておりますが、これのそれぞれの地域の統計的な濃度の分布に関しましては、先ほど資料1−1で示されたものも含めてご参照いただければというふうに思います。
 それでは、資料2−1にまた戻らせていただきます。
 4、短期基準の考え方。微小粒子状物質への高濃度の短期曝露に伴って発現すると考えられる呼吸器系や循環器系に関する種々の症状や機能変化をはじめとするさまざまな健康影響が示されている。短期基準は、これら健康影響からの保護が第一の役割と考えられる。そのため、長期平均濃度と短期平均濃度の高濃度出現頻度に関する統計的な関連性を考慮した上で、長期基準では制御することが困難である短期的な高濃度曝露による健康影響を防止する観点で短期基準を設定することが考えられる。
 微小粒子状物質への短期曝露による多くの疫学研究では日平均値もしくは数日平均に基づいた関連性が報告されている。24時間よりも短い1時間から数時間の曝露による影響を報告している疫学研究も存在するが、これらの知見は限定的であり、かつ、日平均値基準によっても、それらより短い平均化時間の曝露による健康影響からも一定程度保護できると考えられる。さらに、数日間持続するエピソードによる健康影響についても日平均値基準によって保護することが可能である。したがって、短期基準として日平均値基準を採用することが妥当であると考えられる。
 1年間の日平均値の頻度分布を考慮した場合、年平均値を一定水準以下に保つためには日平均値の分布全体が低濃度方向に移動し、その際、高濃度領域も同時に低下傾向を示すことが期待できる。一方で、日平均値の年間最高値やそれに近い高濃度領域の変動傾向は分布全体の挙動とは異なる場合がある。したがって、長期基準では制御することが困難である高濃度領域において、統計的な安定性を勘案すれば98パーセンタイルを超える高濃度領域を制御するために短期基準を設定することが適切であると考えられる。すなわち、長期基準(年平均値)を設定することによって濃度分布の大部分を制御するとともに、補完的に日平均の年間98パーセンタイル水準を目安として短期基準を設定することによって、長期及び短期曝露による健康影響それぞれを適切に防止することができると考えられる。
 その観点から、まず年平均値の指針値に対応する日平均値の年間98パーセンタイルを求め、次にその水準を日平均値基準の目安として、短期影響に関する疫学知見及び毒性学知見において、その目安を下回る濃度領域で健康影響がみられるかどうかを検証することによって、日平均値の指針値を定めることが考えられる。
 この短期基準の考え方は米国EPAや米国カリフォルニア州におけるPM2.5の日平均値基準設定の考え方と類似している。一方で、年平均値と日平均値の年間98パーセンタイルとの統計的な関連性は地域によって異なり、米国における両者の関係が日本においても保たれているという保証はない。また、両者の関係は経年的にも変動するなど、発生源やエピソード的な高濃度出現の影響を受けていることも考えられる。
 したがって、年平均値の指針値に対応する日平均値の年間98パーセンタイルの算出に当たっては、日本の大気環境を反映することが妥当であり、また、気象等の要因による年毎の変動やその他の誤差要因も考慮して、これまでPM2.5濃度の実測期間に関する測定データによって算出された回帰式に基づいて行うことによって、最も安定した値を見いだすことができると考えられる。ということでまとめております。
 少し補足しますと、先ほど資料1−1、資料1−2で基づいた検討、それをもとに日平均値の98パーセンタイルの性格づけをして、年平均値の指針値に対応するようなものの求め方も含めて、ここで記載したということでございます。
 以上です。

【内山委員長】 大変長い資料を読み上げていただきまして詳しく説明していただきました。
 それでは、内容が少し長くなりますので、それぞれの項目について分けて少しご議論いただいて、最後にまた全体でご議論いただければというふうに思いますので、最初にまず資料2−1の「はじめに」のところは、最初の前回まで、前回といいますか、平成20年4月までの報告書に述べられているようなことの要約ですので、2の長期基準及び短期基準の必要性というあたりですね。それから、「はじめに」のところでのまた書き振りでも結構ですが、その2ぐらいまでを、1と2をあわせたようなところで少しご議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。前回、ご指摘ありましたように、この報告書の中で基準の設定の必要性であるというところを少し議論しておくということも必要ではないかというご指摘もありましたので、この点に関してもう一度書き加えていただいたということになると思います。いかがでしょうか。横山委員、どうぞ。

【横山委員】 確認ですが、この検討案が、本委員会の最終というか、ファイナルの報告として指針値のバックになる文書であるというふうに理解してよろしいですか。

【内山委員長】 はい、そうです。

【横山委員】 そうしますと、拝見して若干意見というか、疑問点がございます。今委員長がおっしゃいましたように、「はじめに」の部分のところと2番のところで、まず、教えていただきたい点が1点あります。それは、2の長期基準及び短期基準の必要性のところでもって、長期曝露の影響と短期曝露の影響とが区別できるというスタンスをとられているようですけれども、ちょっと私の知識の範囲では、こんなに明瞭に分けられるのかというのが一つ疑問で、これを教えていただきたいと思います。
 あとは、意見です。まず、「はじめに」の2番目の点、要するに長期曝露の影響では、呼吸器・循環器系の疾患のほかに肺がんの問題があることは前から指摘されております。これにはようにDEPや他の因子との関与が考えられるというふうにしたことも承知しておりますが、じゃあこれを踏まえて、指針値の設定においてこの肺がんの問題にどういうふうにアプローチするのか、これは、この委員会で論議したかどうか、僕ちょっとここのところ欠席していますので、あるいはしてあったのならばお許し願いますけれども、この肺がんの問題をどういうふうにお取り扱いになるのか、後を見ても長期曝露の基準の考え方の中で必ずしも触れられておりませんので、この点はどのようにこれから考えていくべきなのか。
 もう1点、この案は、まさに国際的な、あるいはアメリカ版の報告書のような印象を受けます。さっき確認しましたように、この委員会の最終報告の案になる文書であるとするならば、日本のデータについて、少なくともこの初めに何も触れられていないということはいかがなものなんだろうか。例えば、長期曝露と呼吸器症状、肺機能変化については、このように書いてございますけれども、日本でも、これは健康影響評価報告書には書いてありますけれども、曝露影響調査でもって5年間の追跡調査を日本の子供たちにやったけど影響ありの結果は出なかったというデータもあるわけです。この調査は、僕の知る範囲では、PMと呼吸器症状との関連の疫学調査の中ではいろいろな面でピカ一だと思うんです。確かに対象地域の濃度差が余りなかったという欠点はあったのは事実でしょう。でも、それを採用するかしないかは別として、そこら辺のところを論じないで、このまま進めるということは、いかがなものでしょうか。
 繰り返しますけれども、確かにいろいろと調査の設定上、不備があったということでございますけれども、それはしようがない。でも、ここで日本のことが一つも触れられてないのが最終文書として生きるということはいかがなものか。
 要するに、長期と短期の影響が質的な差があるということについての疑問点。それと、肺がんをどのように取り扱うべきか論じるべきである事、もう1点は、日本のデータをもつと取り扱うべきである事、これらは、私の意見です。
 以上です。

【内山委員長】 ありがとうございます。これは、新田委員からまずとりあえずお答えいただいて、後でまたご議論いただきたいと思いますが。

【新田委員】 まず最初のご指摘の点、長期影響と短期影響を明確に本当に区別できるのかというご趣旨だったかと思うんですけれども、この資料2−1の2ページ目ですね。2ページ目の後半の方から書いておりますように、例えば、死亡の場合にはご指摘のように、長期の影響の中には短期影響も含んだような累積の形で長期影響で見られているということで、そういう意味からすれば、長期影響の中に短期影響も含まれて評価されているというふうに解釈できます。
 ですから、エンドポイントが完全に共通している死亡のようなものに関しましては、区別、完全にはできていないということかもしれません。ただ、短期影響では長期影響にかかわりなく、例えば循環器・呼吸器の症状機能変化等で短期的な曝露の変動と非常に時間的に密接に関係するような形で影響が出現したと判断できるようなものがあると。それは、長期影響とはかかわりなくあらわれていると判断できるものがあるという意味で、質的に違いがあるものが存在するというふうな書き方をいたしております。
 まず、1点目は、ここできょうの資料2−1でお示しした趣旨に関して、今ちょっとお話をさせていただきました。
 それから、2点目の肺がんに関しましては、今回の評価全体にかかわることですが、基本的にエンドポイントを個別の評価というよりは、全体を見て、定量的な評価という方向で議論を進めておりますので、発がんと非発がんというような観点は、特に定量評価においては取り上げずに、疫学知見個々で示されている曝露濃度と死亡なりのエンドポイントの関係に基づいて解析、定量的な評価を行うということを基本的な考え方としているということで、発がんのメカニズム等にはここでは言及をしておりません。
 それから、日本のデータの評価に関しまして、3点目ですけれども、ネガティブなものもあるということで、今回の評価の中では基本的に定性評価においてはポジティブなもの、ネガティブなものを含めて評価をした上で、この定量評価、指針値の検討に当たってはポジティブなものを取り上げて指針値の検討に資するということを基本的な考え方として採用いたしました。それで、ネガティブだった曝露影響調査、我が国でのご指摘の調査結果、このきょうの資料2−1、それから長期の影響を示した資料2−2においても、ポジティブだった成人の影響に関してお示ししているだけという、現時点で資料の整理になっております。この点に関しましては、少しご議論いただいて、今後、作業会合で必要があれば、さらなる検討をしたいというふうに思っております。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。特に3番目のご質問の件は、前回の健康影響評価の検討会の報告書のときでも随分ご議論いただいて加えさせていただいたという面もありますが、その次のリスク評価の手法のところで、原則こういうものを用いて評価を行っていくというときのところで、先ほど今おっしゃったような新田委員のポジティブなものを中心に、あるいはコホートを中心にという幾つかの条件で合致していくと、こういう記述になるということだと思うんですが、横山委員おっしゃるように、これは日本の報告書であるということを考えると、少し範囲を広げて記述してもいいというご議論もあると思いますので、少しそこら辺のところをまた皆さんでご検討いただいて、また作業会合の方でご検討していただくということにしたいと思いますが、少し議論させていただいて、長期と短期の違いについて、これほど明確ではないんではないかというご質問に対してのお答えですが、横山委員、それでよろしいでしょうか、何か。

【横山委員】 若干意見はあるんですけれど、また少し勉強させてください。例えば、確かに肺がんの問題を全体の中に含めて論ずるということで、この委員会は進んできたことも僕も承知しております。ただ、僕が聞いているのは、これは最終の報告であるということで、果たしてそれでいいのかということで、これは、実は自分自身はっきりとした意見を持っておりませんので、もう少し考えさせていただきます。
 それから、日本のデータに関連して、これは確認ですけれども、外国、国際的なデータでもネガティブなデータは全部捨ててポジティブなデータだけをおとりになったというふうに理解できるんでしょうか。

【新田委員】 まだきょう、資料2、2−3、未定稿という形で出させていただいておりますが、基本的には、その方針で作業を進めております。

【横山委員】 そこのところですね。きょうこれ以上の発言は、もう少し勉強させていただきますけれども、ネガティブのデータはとらないというんだったら、一体研究というのは、調査研究というのは、どういう意義があるのかなということにちょっとひっかかるんです。その点の発言はこの辺でやめておきます。

【新田委員】 私も非常に難しい問題であることは認識しておりますし、作業会合でもそのような議論があったかと思います。きょうちょっと冒頭で申し上げたことと少し関係しますけれども、因果関係の判断というのは、定性的なものに関しましては、当然、ネガティブな情報というのは非常に重要な意味を持っているかと思います。ある程度何かの因果関係の判断ができた上で、指針値なり環境基準値を見出すということ、今回は健康影響が確からしい濃度水準を見出すということが、一つのキーポイントになっているかというふうに理解しておりますけれども、そのような濃度水準を導き出すときには、ポジティブな知見を用いるということが、基本的にはネガティブな知見からは指針値の健康影響が確からしい濃度水準を見出すという作業のベースとしてはネガティブな知見は使えないと。ただ、全体的な環境基準をどのように考えていくかというような全体論の議論に関しましては、もちろん定量評価であってもネガティブな知見が、つまりこの濃度では影響が見られなかったという知見は重要であるというふうに考えております。

【内山委員長】 先ほど一番最初にお示しした参考資料の恐らく検討事項の(3)のところで「微小粒子状物質の健康影響」ということを1回議論していただきましたが、そこでは、日本のデータも資料に載っていたと思います。ですから、ここで検討していただいた事項は、報告書全体としてまとまりますので、この委員会の報告書の中には必ず出てきている。ただ、きょうお示ししているところでは、今、新田委員おっしゃったようにポジティブなものを中心に定量評価に向かっているというような感じだと思うんですが、ここでももう1回触れるべきだということであれば、また少し考えさせていただきたいと思います。

【横山委員】 今、委員長がおっしゃったとおりだとは思うんですけれども、繰り返しますけれども、これがファイナルであるとするならば、前の報告書にこうありましたからといって、その報告書に100%縛られることは勘弁してほしいんですよ。やっぱり人間の考えとか、いろんなことは、勉強したりなんかすれば、前の報告書からあと少し変わってくることだってあり得るわけです。

【内山委員長】 先生、この参考資料のここで議論した参考資料に載っているのは、この委員会で議論したことですので、これが報告、この専門委員会の報告書に載りますので、この(3)で議論したところも載りますので、それは、この委員会の報告書としてまた改めて記載されるということでございます。十分に考慮いたします。
 そのほかに。関澤委員。

【関澤委員】 横山委員と少し似ているところがありますが、最終指針値を決めるための文書としては、私は大きな違和感はありませんが、環境基準を決めるということが最終目標だとしますと、環境基準についての考え方が「はじめに」の一番初めにあるべきではと思います。皆さん、当然ご存じのように、我が国の環境基準というのが維持されることが望ましい基準であって、行政の政策目標であるというふうに書いてあります。一方、アメリカの環境基準では、プライマリースタンダードの方はprotect public health including the health of sensitive populations such as asthmatic, children and elderlyと書かれています。
 話が長くなって恐縮ですけれども、我が国での当初の環境基準というのは、激甚な公害などに対して対応するということから出発して、その後、私も幾分お手伝いさせていただいた有害大気汚染物質については、まだ目に見えた大きな被害は起こっていなくても、かなり予防的に考えて、がんなどから予防するという観点が導入されたかと思います。今ここで非常に不確実性が高い、現在入手可能な証拠に基づいて、どこまで基準というものがはっきり決められるか、なかなか難しいということでご議論が進んできたと思います。
 ところが、アメリカの環境基準では具体的に、sensitive populationを守るんだということを目標にはっきり掲げていて、その中で幼児や高齢者、それからぜんそくの患者さんということを挙げておられます。ここで微小粒子でどういう方が影響を受けるかということを考えてみますと、恐らくそういった方々ではないかと思われます。しかも、日本の現在の状況というのは、世界でトップの高齢先進国になってきて、高齢者が2,800万人ですか、それでもうあと数年たつと3,000万人を超えるという状況になってきている中で、こういう国民のかなりの部分を占める高齢者、また次世代を担う子供たちや弱い人を守るということが、かなり大事な政策目標になるのではないかと思います。環境基準は、ここにおいて非常に不確実性が高い中で、どういう人たちを守るためにこの微小粒子というものを考えたかというようなことは、私は昨年からこの前身である委員会に参加させていただいたので、もうそれはすでに議論済みであるということであれば、ご説明いただければよろしいし、また、その点について何らかの形でここに「はじめに」のまた一番初めぐらいに書いておかれた方が政策目標を決めるという意味で非常にはっきりするのではないかと思います。

【岡部課長】 環境基準の議論が出てますので、事務局から少しコメントを申し上げます。お手元に微小粒子状物質の定量的評価手法について11月の専門委員会の報告をお配りさせていただいてございます。恐縮でございますが、その中で、これは4ページ、5ページ、6ページのあたりをちょっとご参照いただきたいと思うのですが、このときに4ページの2.3といたしまして微小粒子状物質の環境目標値設定の考え方ということで、この時点においてご整理いただいた考え方というのがございます。
 今、先生からご指摘いただいた点は、これにさらに必要な検討を加えて全体の専門委員会報告なり答申にどういう形で議論するかというところの議論が必要というふうに事務局としては認識いたしまして、それにつきましては、次回以降の専門委員会でどこかで話す機会が必要なのかなというふうに、私は、事務局としては思っています。
 それで、関連して手続的なことを申し上げますと、本日、この会議で専門委員会が最終ということでは実はなくて、先ほど内山委員長からお示しいただいた参考資料の中で検討事項としてどういう論点があるかということをご注意を促していただいたわけでございますけれども、本日は、その中で指針値に関する検討ということで、こういうパーツの中での議論として新田委員からたたき台の文章をご提示いただいたということかと思いますし、このこと自体につきましても次回以降、必要な議論が必要であるのと、中央環境審議会の大気部会に実は中間的な審議状況の報告を求められておりまして、これについても委員長とご相談しながら、またそれをしなきゃいけないかと思います。
 それで、私ども、今申し上げました大気環境部会の中間報告につきましては、ある程度本日のたたき台としてお示しいただいたものをベースにある程度の考え方の固めつつあるものをまとめたものを出して、そこで恐らく部会の先生方からまたご議論があると思いますので、そのご意見を踏まえて、さらに専門委員会に議論をフィードバックして、それで詰めていくと、そんな流れを考えております。その専門委員会の方でもいつまでにというところでは、今のところ決まったものもないと思っておりますので、先生方のご議論次第でそこは判断していきたいと。手続的な話と構成的なもの等については、そういうふうに一応思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

【関澤委員】 ちょっとつけ加えさせていただきますと、次回以降にご議論されるということなので安心しましたけれども、特に幼児や高齢者あるいはぜんそくの症状をお持ちの方を守るというようなことをはっきりもしうたうとすれば、そういう方たちについてのデータが、非常に限られている面があると思いますけれども、どうであったかということを示すことによって、よりセンシティブな人たちもこれで守れるだろうということをはっきりうたえれば非常によろしいかなと思ったわけで、その辺のデータについてのより明確な記述がされればよいのかなと思いました。

【内山委員長】 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 今、横山委員や関澤委員がおっしゃった話につけ加えさせていただきたいんですけれども、やはり今回、指針値ということで数字を出すのかもしれないんですけれども、それが環境基準につながるというようなことであれば、ここで出すそういった数値は、環境基準としてどういう意味合いを持つのかというのをきちっと議論しておく必要があるかと思います。それはやっぱり従来からの環境基準とやっぱり違うような気がするんですね。今までのリスク評価を見ていても、リラティブリスクはかなり低いところにあるわけだし、あるいはバックグラウンド等かなり近いような、バックグラウンドそのものが本当はわかってないのかもしれないんですけれども、そういうようなこともあるので、性格について十分議論しておく必要が私はあるだろうと思います。
 そのときもう一つ注意しておかなきゃいけないのは、指針値なり環境基準を出すところと、それから環境マネジメントしていくところが同じ場所だということなんですね。私の頭の中に今あるのは、食品安全委員会のことなんですけれども、食品安全委員会は耐容摂取量を出しますけれども、それはもうリスク評価だけなんですね。その後、別なリスクマネジメントが管理機関がやりますというようなことで、そこの間に離れているというか、リスク評価はリスク評価でできるようなところがあって、独立してお互いにやっている部分があるんで、そのリスク管理機関が、その後、行政的な観点からいろんなことを決めていくんだろうと思うんです。
 例えば、魚の中のメチル水銀の場合も耐容摂取量を食品安全委員会が出して、その後、魚の食べ方、妊婦さんの魚の食べ方という形でリスク管理機関が勧告を出しているわけですけれども、それはやっぱり分かれていたからできたようなところが多分あるんだろうと思うんですけれども、今回の場合は、大気の場合にはそうでないということもちょっと頭の片隅に置いておいた方がいいだろうというふうに私は考えていますけれども、いずれにしても、そういう基準の、先ほど短期・長期というお話もありましたけれども、それだけじゃなくて、基準の性格そのものの議論というようなものは必要になってくるだろうと思うし、今の話だとスケジュールに入っているというふうに理解いたしましたので、ぜひその辺もよく議論していただきたいと思っています。

【内山委員長】 ありがとうございます。私が最終と申し上げてしまったのでちょっと誤解されてしまって大変申しわけございませんが、スケジュール的には、今、課長がおっしゃったようなスケジュールでございますので、きょうが最終ということではございませんので訂正させていただきます。
 ほかにございますか。横山委員。

【横山委員】 もちろんこの委員会は環境基準を決めるんじゃなくて、環境基準設定の参考となる指針値と出すわけですけれども、そこの向こうにある環境基準というものはどういうものかということは、もう大分今まで何度も論じてきたことだと僕自身は思っています。これ以上、論じる必要はないんじゃないか。
 ただ、今、佐藤委員がおっしゃったように、リスクアセスメント、リスクマネジメントを完全に別にするということについては、昔はそう思っておりました。昔は。ただし、リスクマネジメントがいかに行われるかという条件等の考慮を全く抜きにしてリスクアセスメントを行うということは、問題を呈するんじゃないかなと、僕は今では思っています。

【内山委員長】 ありがとうございます。そのほかにございますでしょうか。香川委員、どうぞ。

【香川委員】 前回にも発言しましたが、この基準の必要性ですね。横山委員もさっきおっしゃったように、我が国にデータがない、あっても肺がん以外は余りはっきりしたデータがない。そういう中で、ここに提示されているデータは全部ほとんど欧米のものであって、私ちょっと伺いたいのですが、この死亡率の増加の研究の、これはたしかACS拡張研究の中で明らかにされてきたことだと思いますが、死亡率の増加をもたらしている死亡の中身は、ほとんどが心血管系疾患と肺がんなのです。これはたしか書かれていたと思います。そうしますと、我が国のデータでは肺がんはそういう結果が出ていますが、心血管系に関しては、今のところきちんとしたデータが示されてない。アメリカの場合も基準を決める根拠は、要するに短期及び長期で心血管系、呼吸器系それから死亡率というふうに分けて、それぞれ影響があるから基準を決めて健康影響を防止しましょうという視点で決められてますが、残念ながら我が国のデータは積極的に基準を決めるだけのデータがない。そういう中で基準を決める理論的な根拠は何かというのを、前回、私、予防的な視点で決めることになると思うと発言しました。
 それで、これは上島委員が前回、間違っていたら訂正していただきたいのですが、我が国のたばこの研究で、たばこと肺がんの研究、あるいは心血管系の研究が、当初、ポジティブに出なかったと。それが何年かたってきちんとやり直すと影響が欧米並みのリスクを伴って出てきたと。私は、PM2.5も現状のままでいけば、将来、欧米並みのリスクが出てくる可能性があるんじゃないかということを、その上島委員のたばこのお話を聞きながら伺ったんで、そういう視点で、そういうものが将来起こるかもわからないから予防的に決めるという、その辺のところが何らかの形で説明しないと、先ほど長期及び短期の影響のデータを見てみますと、横山委員が、ほとんど欧米のデータじゃないか、我が国のデータではポジティブなものがない、そういう中で基準を、あるいは指針値を出していくという意義がはっきりしない。だから、そういうところを何らかの形で、私が今言ったようなことをもっとスマートに何か表現したものが冒頭に要るんじゃないかと思います。

【内山委員長】 わかりました。前回もご指摘いただいて少し、以前から将来というか、現在得られないことに関して、それを否定できるものではない、あるいは、予防的に日本でも将来的に起こることが可能だから、公衆衛生学的に放置できないというようなことはいろんなところで入っていると思いますが、新田委員、その辺のところもう少し作業会合の方で工夫していただけますでしょうか。基本的には、考え方は随分これまで議論してきていると思うんですが。

【新田委員】 記述内容はできる限り疫学知見、以前から申し上げておりますように広範囲に、エンドポイントも含めて広範囲に収集して評価して総合的に判断というような基本方針はご了解いただいているところだというふうに思います。
 ただ、1点、これは作業会合での議論ということではなくて、私の個人的な意見として申し上げたいと思いますけれども、我が国のデータと諸外国のデータ、特に今回の微小粒子状物質に関しましては、米国のデータがかなりの知見の骨格をなしているということは事実としてあります。ただ、大気汚染の影響に関する疫学知見の蓄積の度合いは、微小粒子状物質に限らず、米国が圧倒的に多くの知見を出しているという現状があって、米国と同程度の知見が我が国で蓄積されていないと、我が国でのリスク評価ができないとか何か行政的な施策が出せないというふうには私自身は考えておりません。ここはいろいろそれぞれの物質とかリスク評価の対象によって状況が異なるのではないかなというふうに思っておりますが、こと大気汚染、古典的大気汚染に関しましては、特にそのような現実として状況があった上での判断が求められているというふうに思います。

【香川委員】 結局、私がさっき言ったことと同じことと考えていいわけですね。

【内山委員長】 基本的には、今、香川委員おっしゃったようなことは、大分前から議論されてきていると思いますので、そこはもう少しおっしゃるように明確に文章でもう1回書ければと思いますので、そこら辺、また作業会合で工夫させていただければと思いますが。
 ほか、加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】 先ほど日本では見られていないけれども予防的にという話の関係ですけれど、循環器系への影響。ページ数ついておりませんけれども、資料2−1の2枚目、ページがあったとしたら4ページ目の最後のところで、最後の2行目からですね。「循環器系に対する影響については、国内知見と米国知見の結果が異なっている可能性が示されているが、リスクファクターの分布や疾患構造の違いによって結果に差が生じていると解釈できる。現時点において日本では影響が顕在化してないものの、米国の疫学知見の結果や種々の毒性学研究の結果を踏まえれば、心疾患に関するリスクが高いものに関してPM2.5による影響を受けている可能性も否定するものではない。このことから、国外の疫学知見も含めて評価することは、公衆衛生の観点から妥当と考える。」という文言が入っておりまして、これが、まさに香川委員がおっしゃってらっしゃったことになるのかなというふうに私は思っておりました。
 ですから、位置の問題とかあるかもしれませんが、作業会合でもそのことは検討して、そういう考えでこれをつくっているというふうに、私は作業会合に参加していて理解をしておりました。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。そのほかによろしいでしょうか。香川委員。

【香川委員】 これ、先に進んでもよろしいんですか。

【内山委員長】 では、先に進みましょう。どうぞ。

【香川委員】 先ほど関澤委員から敏感な人の話がありましたが、これも私、前回もsusceptibility感受性のある人とvulnerability、要するにより高い曝露を受けている人たちのデータ、何らかの形でまとめた方がいいんじゃないかということで、きょうの資料の中でvulnerabilityのデータは、前回も二、三入っておりましたけれども、感受性のある人たちに関しては、幾つかデータが蓄積されてきていると思うのです。年配者、65歳以上の人は心血管系の健康影響がより高く出てきているとか、それから子供の呼吸器の、これは一部取り上げられております。それからぜんそく患者とか、それから呼吸器疾患患者の中、呼吸器疾患を持っている人は死亡の増加が見られるとか、それから糖尿病患者は心血管系の入院や救急外来で受診する率が高くなるとかというデータがあるので、これは、よく見ればどこかに出ているのかもわかりませんが、やはり基準を設定していく上で、我が国の基準の中には、当然、敏感な人とかvulnerabilityの人も保護するという考えが当然含まれておりますので、そういった視点のわかりやすい整理も必要だと思いますが、個別には幾つか入っていますが、以上です。

【内山委員長】 わかりました。何かご意見、新田委員。

【新田委員】 今のご指摘の点は、当然、センシティブな方でより一般集団よりも低い濃度で何か影響が見られることがないかどうかをきちっと整理すべきではないかというご指摘かというふうに理解いたしました。そういう整理の仕方が必要であるというふうに、私自身も考えております。
 ただ、1点だけ申し上げますと、疫学知見の評価という作業で言えば、センシティブな方は、基本的には少数、数が少ない。それから、反応の仕方は一般集団の反応の仕方よりもよりさらにばらつきが大きいということで、定量評価の具体的な一つ一つの知見の評価の際には、一般集団で多数の集団で安定した結果を示すものと比較した場合に評価がより困難だという状況があるということはご理解いただきたいというふうに思います。

【香川委員】 それは言うまでもないことで、通常、そういうデータの蓄積が多ければ、指針値とか基準値を決めるときの安全幅というか、そういうことを考慮するときに助けになるという意味です。

【内山委員長】 ありがとうございます。今、長期基準あるいは短期基準の方に入っていると思うんですが、長期基準の考え方、3のところですね。そのところあたりを中心にご議論を進めさせていただきたいと思いますが、特にここでは長期基準として年平均値を採用するということですとか、それから、死亡をまずエンドポイント、非常にこれも随分前からご議論いただいて確からしさの一番堅固のところは、死亡がエンドポイントにとられている疫学調査が多いというところで、その死亡の量−反応関係から出発点となるところを見出すということでご議論いただいていたところだと思います。その辺のところを決めて、それから、ここでその後の、前回の報告書以降も含まれていましたけれども、WHI研究というものも出てきまして、これは少し低いところもやっているけれども、ここでは数が少ないということで、ACSですとか6都市研究を中心に中央値あるいは平均値を求めているということなんですが、そこら辺のところを中心にご議論いただければと思いますが、このような方向でいいかどうかということですね。

【香川委員】 これ、2−2含めて。

【内山委員長】 結構です。2−2の方に含めて、長期の方を含めてくださって結構です。どうぞ。

【香川委員】 先ほど言いましたように、長期間、短期間も含めて、心血管系への影響というのは非常に注目されていて、私、前回も、横山委員から先ほど冒頭に指摘がありましたが、心血管系への影響は、メインになっていますね、長期間も短期間も。
 その中で短期間の曝露の影響が非常に研究が進んでいて、そして、長期間曝露の因果的な評価にも非常に役立っていますが、まず、新田委員にお伺いしたいのですが、ここでの疫学研究の評価は、いわゆる疫学のことしかまとめてなくて、例えば長期間ですとアテローム性の動脈硬化性に関した研究、これは疫学研究の中に入っておりますよね。冠動脈の石灰化とか、それから腹部大動脈の石灰化とか、それから頚動脈の内膜と中膜の肥厚がPM2.5に関連しているというデータがパネル研究的な形でなされて、これは、アメリカのドキュメントでは疫学の中に入っていますが、それはどうして省かれたのですか。

【新田委員】 資料2の19ページの最後の部分に記載している文献とは別の文献ということでしょうか。

【香川委員】 これは、多分同じだと思います。どうも失礼しました。これ、血管内膜の詳しくは、例えば頚動脈です、たしか。

【新田委員】 そうです、頚動脈です。

【香川委員】 それと、じゃあ同じことが短期間曝露の方の心血管機能については書かれているのでしょうか。例えば、HRVとか心電図の異常とか血管運動機能とか全身性の炎症とか凝固とか酸化ストレス、これも疫学のパネル研究で結構あると思うのですが。

【新田委員】 資料2−3の短期影響の評価に関しましては、特に最近出ている循環器系疾患の短期影響の個々のものの量−反応関係までは今のところ見ておりません。資料2−3では整理しておりません。
 基本的には、先ほど申し上げましたように、ちょっと短期の影響の話になってしまいますけれども、統計的な関連性に基づいて目安を得た上で、その目安よりも下回るところでそのような循環器系への影響も含めて影響を示しているものがないかどうかを次の段階で検索していくというような作業というか、検討手順ということで、きょう資料2−1の4の短期基準の方は考え方をお示ししております。ですから、長期基準の方は網羅的に疫学研究を評価した上で指針値を見出す。短期基準の方は長期基準にも対応した98パーセンタイルというのを目安にして、それを下回るものがないかを検索していくというような長期の基準とはやや異なるプロセスで検討をすることでどうかということできょうお示しさせていただいたということでございます。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。そのほかにございますか。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 資料2−2に関してちょっと質問させていただきたいことがあるんですが、9ページ目から図7それから図8、11ページに図9というのがあるんですね。これは、要するにPM2.5の濃度とリラティブリスクをあらわした図だろうというふうに思うんですけれども、その図9は素直に理解できるんですね。濃度が11ぐらいでしたっけ、のところを1として、あとリラティブリスクが高濃度によってこう変わりますよというのはよくわかるんですが、図7と図8については、10μg/m3増加に対する相対リスクというようなことが書いてあるんですね。それでちょっとわかんなくなっちゃってちょっと原点を見ようと思ったんですけれども、手元にないものだから教えていただきたいんですが、これ、要するに、例えばこの図7でも図8でもいいんですけれども、例えば横軸で10のところからさらに10を上がるときにリラティブリスクが、図8だとlogであらわしてますけれども、マイナスゼロ点幾つということは、この領域だと10μg/m3ふえてもリラティブリスクが下がると、そういうふうに読む絵なんですか、これは。
 10μgの増加に対するリラティブリスクの変化ということですよね。その10μgの増加に対するという部分がよくわかんなかったんですけれど。

【内山委員長】 椿委員か新田委員、よろしいですか。

【椿委員】 これは、私が経緯から申し上げますと、もちろんこのマイナス0.1とかマイナス0.2をリラティブリスクの減少量をプロットしたものではないと考えます。これは、この分野で一般化下方モデルというのが使われて、なかなかこれが最近の方法でということで理解が難しいということはあるんですけれども、純粋に本当は平均的なレベルというものが本来出ているといいんですが、基本的にはリラティブリスクが単調増加であるということを示しているに過ぎないで、これ、いわゆる平均的なレベルが0.0という点にある。リラティブリスクの平均的なレベルは、ここには表示されておりませんけれども、それが0.0であって、したがって、例えば図7の場合ですと、10から20までのやはり差分量は自分ではかるという形になってまいります。10から20までの影響と20から30までの影響というのが、いわゆる一般的なリニアなモデルでしたら同じなんですけれども、そこがこういうカーブの状況になっていて少し違っているという形に素朴に読んでいただければと考えております。こういういわゆる偏回帰とか偏在差プロットと言われているようなものになっているわけです。

【新田委員】 確かにご指摘の点、図7、図8、図9いずれも原著論文から直接引用したもので、それぞれ縦軸に関しては、少しずつ意味の違うものが縦軸になっておりますので、ちょっと図の説明、もう少し詳しく追加を、ちょっと修正をしたいというふうに思います。

【佐藤委員】 じゃあそうすると、この10μgの増加に対するというところはちょっと変だというふうに考えてよろしいわけですか、椿委員の説明を聞きますと。

【椿委員】 そう考えていただいて結構かと思います。普通の回帰のプロットの原点を少し調整して書いてあるというふうに考えていただければと思います。

【佐藤委員】 ありがとうございます。

【内山委員長】 そこら辺の混乱のないようにもう少しわかりやすく解説していただきたいと思います。
 そのほかによろしいでしょうか。香川委員、どうぞ。

【香川委員】 新田委員にお伺いしたいのですが、最近いろんなところに、特に死亡率に関しては、以前の研究は過小評価していたんじゃないかということがいろいろ書かれているのですが、それはどこか、この資料2−2の中に入っているのでしょうか。

【新田委員】 香川委員ご指摘の文献は、メディケアコホートに関するものかと思うんですが、本専門委員会でも最新の論文としてご紹介いたしましたけれども、作業会合の評価ではメディケアコホートに関する研究は、交絡因子の調整が性・年齢以外はエコロジカルな調整だったということで、今回の定量評価に使用するのは難しいんではないかという作業会合での判断で、この資料2−2には含まれておりません。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。それは、採用しなかったということを記述する必要はありますか。それは特に。

【新田委員】 先ほどネガティブの研究ということに関して、横山委員のご指摘と少し共通しているんですが、採用しなかったものに関しては、一つ一つはここでこういう理由でというようなことは資料2−2には含んでおりません。
 ただ、非常に重要だと思われるようなWomen's Health Initiativeのような研究に関しては、資料2−1でも少し記述しておりますけれども、疫学研究の評価においてやはりまだ評価が定まっていないというような判断のものを一つ一つここで取り上げて採用しないというような作業は、ちょっと実際上は、作業上、難しいのかなと思ってますけれども。

【香川委員】 あともう一つ教えていただきたいのですが、最近の長期・短期を含めて、長期ですと年平均値が5μg/m3ぐらいから、それから死亡ですと12μg/m3ぐらいからの地域で関連が見られて、どっちかというと、この報告では15以下のところでははっきりしないということを書かれていますが、片一方でそういう報告も幾つかあるのですが、それは先生の方はどういうふうに、やっぱり15以下では、何か最近は15、むしろ12とか13あたりぐらいまで言えるんじゃないかとかという記載があるような気もするのですが。

【新田委員】 その辺の細かいところは、次回以降の専門委員会でもう少し具体的に、作業会合でもいろいろ議論した上で資料をお示ししたいというふうに思っております。
 基本的な方針としては、資料1の1ページ目で申し上げたような評価の方針に従って、すみません、資料2−2の1ページ目ですね。失礼しました。疫学研究の抽出の考え方にのっとって抽出した資料に関してということで、今のところは15、特にそれよりもさらに低いようなところの研究が存在していることは私も承知していますが、この資料2−2のところで示した評価の抽出の考え方で、それが採用できるようなものはないのかなというふうに判断して、資料2−1の長期基準の考え方の15以下のところは確からしいと判断することは困難であるというような書きぶりに、今のところなっているというふうにご理解いただければと思います。

【内山委員長】 加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】 この検討の手順なんですけれども、健康影響評価委員会の報告が出まして、その後でリスク評価手法の検討会を開いて報告が出て、そして、ここで今環境基準に資するような数値を見出すための検討会が開かれているということで、どうしても時間のタイムラグがあるんですね。ですから、健康評価の検討をしたときには出てなかった新しい論文というのが出てきているわけですけれども、それを全部ここの場所で追いかけてやるというのがなかなか難しいということが現実問題としてはあると思います。
 ここでは、基本的にはリスク評価手法にのっとって数値を探していくという作業になっているわけですけれども、非常に重大な新しい知見があったら、それを無視することはできないということは確かなんですけれども、そういうタイムラグがあって、なかなかここの中で全部について評価、そのデータを評価した結果まで入れ込めないというところが多分あると、そういうことかなと思います。
 それについてどういうふうにキャッチアップしていくか、どういうふうに処理していくかということはあるかなと思いますが、それは、作業会合で新田委員のご指示に従って必要なものは別途入れるのか、あるいは、注釈としてどこかに入れるのか、アメリカの場合にはクライテリアドキュメントという文書を使って基準を決めるということが法律の中に決まっておりまして、クライテリアドキュメントというのが2004年にできて、最終的な判断は2006年で、その間2年間に新しいデータが出たのをどうするかというので、それは正式には使ってないんですが、一たんレビューをしてみて暫定的なレビューをしてみて知見を変えるようなものはなかったということでクライテリアドキュメントに載っている論文を根拠に最終的な数値を決めたという経緯がありますので、やはり同じ問題がここでも起こっているかなと思いますので、その辺は新田委員を中心とした作業会合でも考えた上で、対象を決めるのがいいのかなというふうに思いますけれど。

【内山委員長】 ありがとうございました。一方で、先ほど横山委員おっしゃったように、前の報告書にすべてとらわれる必要はなくて、新しいものが出てきたらそれぞれのところでということですので、適宜重要な新しい事項が出たら、そこでご報告いただいてということになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでまだ議論もあると思いますが、もう一つ、短期影響についてということで、これは少し新しい方法といいますか、今までと違った手法での提案がされておりますので、そちらを少し最後に議論しておきたいと思います。
 先ほど最初の方で98パーセンタイル値がどのような位置にあるかという統計的なことをお示しいただいたことともかかわってくるわけですが、この辺あたりについて何かご意見なりご質問、ございますでしょうか。どうぞ。

【香川委員】 新田委員に教えていただきたいのですが、アメリカのフェデラルレジスターでは、24時間値を決めるに当たって、原著論文には記載されてないPM2.5の98パーセンタイル値を原著者から取り寄せて、それで評価していますが、私の記憶では、NO2とか過去の汚染物質の影響評価では、そんなことをしたことはない、記憶ないんですね。PM2.5はどうしてそういうことをするのでしょうか。
 論文には全部24時間値で出てますね。たまに幾つかの論文が95パーセンタイル値を表示している論文が数編ある中で、今までは論文に書かれている日平均値で閾値的なものを評価して指針値を出していた。NO2の場合もそうですが。PM2.5はどうしてそういうことをするのですか。私が知る限りでは、前回も申し上げましたように、もっと短時間の、24時間じゃなくて数時間の影響も、心血管系への影響があるから、そういうものも含めて対応できるように24時間値の98パーセンタイル値をわざわざ原著論文にない値を取り寄せて評価している。NO2の場合には1時間値のデータが、これ、ヒトの曝露研究でありましたが、PM2.5は何でそんな仕方をしたのでしょうか。

【新田委員】 これは、私の解釈ということでお話しさせていただければと思うんですが、まず、一番のもとというか考え方は、短期曝露による影響に関して閾値の有無に関して判断ができないということがまず大きくあるんだと思います。
 その中で、長期基準とセットで短期基準を考えていくというようなことで、今回も全体の資料2−1で短期基準の考え方、米国等、カリフォルニア等の考え方と類似しているというような書き方をしておりますが、その上でやはり短期基準の必要性もあるということで、98パーセンタイルの値の意味づけは、統計的な性格づけと短期的な高濃度曝露を守るという、その二つのことから見出してきたと。ですから、そのために特に長期平均の濃度が低いところで短期影響が見られたものに関しては、やはり98パーセンタイルを示す必要があったので、原著論文になくてもその資料を示したということだと思います。カリフォルニアEPAの出したスタッフペーパーには、その点が米国EPAの文書よりもより明確に書かれておりました。そういう解釈をしております。

【香川委員】 そうしたら、この委員会も同じ方法をとるのでしょうか。

【新田委員】 作業会合としては、そういう提案をしたいということでございます。

【内山委員長】 加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】 私の記憶がはっきりしてないので申し訳ないのですけれども、アメリカの環境基準の決め方ですけれども、NO2の基準を決めたのが八十何年かですね。そのころは基準の達成、未達成の判断基準が、超過が1回までは認めると、2回以上超過しないことというフォームになっていたんですね。基準達成を判断するやり方です。そういうやり方をしますと、濃度分布の全体を評価していることにならないわけで、それで、その後、だんだんアメリカで環境基準の達成をどういうふうに判断するかというときに、パーセンタイルフォームで98パーセンタイル値がある数値を超えないことというようなフォームに変わってきているんですね。ですから、多分、香川委員がおっしゃってらっしゃったNO2の時代には超過が2回以上ない、1回までの超過は認める、そういうフォームを使っていたのが、PM2.5のときにはパーセンタイルフォームになったために、その達成・未達成の判断が必要ということで98パーセンタイル値を使うようになったのではないかと。そのときに98パーセンタイルにするか、99パーセンタイルにするかという議論もあったんですけれども、最終的にはEPAは98パーセンタイルを採用しているんですが、多分、そういう経緯もあって原著論文の98パーセンタイルまでを調べたということもあったのではないかと思うんです。想像ですので、確かではありませんが、そういう側面もあったのではないかというふうに思います。

【香川委員】 これ、新田委員に確認したいのです。私、原著論文は24時間値の平均値で書かれていますね。そこを98パーセンタイル値、原著論文にない値を持ってきて、原著論文の内容の影響は、あたかも98パーセンタイル値で関連しているように評価しているのでしょうか。私、そんなことして、原著論文は24時間値で評価しているものを、98パーセンタイル値で同等の扱いでしていいのかどうか、いかがなんでしょうか。

【新田委員】 私も米国のEPAのクライテリアドキュメント、スタッフペーパーの記述、それからカリフォルニアEPAのスタッフペーパーの記述を見ますと、例えば短期の死亡とか入院・受診で影響が見られているというようなものに関して、長期平均濃度がある一定の濃度に対応して98パーセンタイルは濃度幾らでしたという記述のみで、そこを超えると影響が見られたというようなことは明確には書かれていないというふうに思います。
 ですから、基本的な使い方としては、その濃度水準の目安を出すために、それと比較参照するために98パーセンタイルを原著論文にないものをあえて取り出してきたということだと思っております。ですから、基本は、年平均値に対応する98パーセンタイルの値があって、それと短期影響の個々の知見を比較するために導き出したと。カリフォルニアEPAのスタッフペーパーには日死亡に関して原著論文にもともと書いてある平均濃度と98パーセンタイルを一覧表にしたものを示されておりますけれども、そこの記述は明らかにそれを超えると影響があるというようなことではなくて、先ほど加藤委員の方からご紹介ありました、評価のフォームと対応づける、対応した意味での短期の基準の導き方というようなことで、健康影響に基づく、リスクベースと言われているような考え方なんですが、やはり長期影響の意味でのリスクベースの健康影響に基づく指針値なり環境基準値の導き方とは、やはり短期の場合にはかなりアプローチ、米国においても違っていると。今回もこの専門委員会でも具体的に両者が必要だというようなことを受け入れれば、短期の基準を長期の基準の補完として高濃度曝露による影響をどう、そこから健康を保護するかという観点から何か指針を見出すための手順としては、やはり米国、カリフォルニアで採用したようなものが最も適切なのではないかと考えて、作業会合でも議論をしたということです。
 そこの判断、道筋としてはいろいろ考え得るというふうに思っています。ただ、具体的な短期基準は必要だという前提に立てば、疫学知見に基づいて指針値なりを見出す道のりとしては、選択肢、それほどないのかなと逆に思っております。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。溝畑委員、どうぞ。

【溝畑委員】 最初に、椿委員がデータをいろいろ解析されたときにも出ていたように、短期の高濃度の原因が黄砂みたいなものになったときに、果たしてその辺を考慮しないと、端的に言えば、成分も考慮しないと意味があるのかどうか。現実に非常に高濃度になるというのはわかっているわけですし、それに対して疫学的な知見があればいいんですけれども、どうもそういうことが日本でないとすれば、その辺の数値をどういうふうな扱いで解釈すればいいのかというのは、非常に疑問になるんですけれども。

【内山委員長】 先生のおっしゃるのは、成分も考慮しないということですか。

【溝畑委員】 基本的に言ったら、やっぱりアメリカと成分、いわゆるマス濃度として見た場合に、それを今余り議論してないというか、その違いを議論してないんで、その辺がやっぱりいわゆるヒトへの影響、人体への影響の一番のポイントだと思うんですけれどもそれをどの程度斟酌しないといけないのか、今はそういうデータなしに議論しているんですけれども、その辺がずっとPM2.5については、私自身は非常に疑問に思っているというか、ひっかかるところなんですけれど。

【内山委員長】 その点について、新田委員か、坂本先生は、今ちょっと中座されてますが。

【新田委員】 成分の影響というのは、恐らく多分、健康影響の分野の人間、だれしも成分によって影響が違うと多分思っていると思います。ただ、具体的には疫学知見から見ると、明確にそれを示すというか、非常に一貫性のある結果にはなってないと。一方でこれまで専門委員会で資料、日米の成分濃度の比較というのも、私の解釈は、違いは一部あるけれども、健康影響が違うというほどの成分の違いはないというようなことかと思っております。ただ、黄砂のように短期の非常にエピソード的なものに関しては、何らかの形で達成の評価なりのところで考えるべきことで、健康影響は、基本的な考え方はいろいろ成分によって違いがあったにしても、質量濃度で健康影響を総体として見るというのが、粒子状物質の影響の考え方というところから踏み出すのは、難しいのかなと私自身思っております。

【内山委員長】 これは、随分前から議論しているところなんですが、なかなか難しい面もあると思うんですが。佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 成分の違いというのは、私も随分昔から気にしてたんですけれども、それ以上に、粒径分布の違いみたいなものがあるようなんで、ちょっとこの資料2−2なんですけど、25ページの図なんですね。図21で米国でのPM10とPM2.5の濃度の経年変化というところを見ると、PM10に対してPM2.5の濃度は20%ぐらいなんですね、この絵を見ると。3府県コホートの評価をしたときにたしかSPMの7割ぐらいがPM2.5でいいだろうというような話だったと思うんですけれども、それで、裏に日本のデータも出ていますけれども、それを見ると半分はPM2.5だと思うんですよ。こっちはSPMですけれども。そうすると、アメリカの粒子状物質の粒径分布というのは、日本と随分違うんじゃないかという感じがするんですけれども、一方、図22を見ると都市部なんかでは結構高いところもあったりするんですけれども、これは、何か測定局の位置の関係でこういうふうに見えているのか、あるいは、実際に粒径分布がかなり違っているのか、もしかしてアメリカのデータを持ってきてやるんだとすると、その辺のところもちゃんと押さえておかないといけないんじゃないかなというふうに思ったんですけれども、この絵を見て。

【内山委員長】 坂本委員、どうぞ。

【坂本委員】 まず、粒径分布はおっしゃられるように当然いろいろありますけれども、PM10とPM7というか、SPMとの違いはSPMの場合ですと、ある程度大きい方の分布の中途半端なところをとってますよね。そういう関係でかなりratioというのは変わってますから、ある程度それはそういう部分を反映しているんではないかというふうには思いますが。
 それから、あと先ほど出ました、私ちょっとトイレ行っていて失礼しましたけれども、成分の関係については、先ほど新田委員がおっしゃられたような形で、まず今あるデータから我々がどういう判断をできるかということで考えたら、物質ということではなく、ただし今後のいろいろなことをやっていく場合に、成分を押さえた形でこの後のことを考えた場合には、データをとっていく必要があるんだということではないかと思います。

【内山委員長】 よろしいでしょうか。
 先ほど新田委員から、作業会合としては98パーセンタイル値を長期影響の98パーセンタイル値で短期影響・長期影響の影響を補正する形で短期影響の指針値、基準となる値を求めたらどうかというご提案ですが、その点に関して、それ以外にないのではないか、あるいは、こういう考え方もあるのではないかという議論ももしありましたらもう少しやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それで、先ほどの椿委員のデータに戻ると、2シグマのところが98パーセンタイル値以下になる、大体その間かその下になっているということは、より合理的と考えていいんでしょうか。その98パーセンタイル値をとるということは。

【椿委員】 もともとのPM2.5のデータ自体ゆがんでいたので、普通に計算すれば正規分布のようなデータでしたら2シグマというのは大体上側の2.5%ということになるわけですね。実際には、それよりもっと何か、通常の2シグマ基準だとうまくいってなかったような印象を持っていたんですけど、さっき申し上げましたように、3分の1乗根変換ぐらいの世界でモデル化をしておくと、ちょうどつじつまが合っている形に、いろんなトレンドを除去すればつじつまが合っていると。
 ただ、さっき申し上げましたように、このデータ自体には経年変化があって板橋等は着実にPM2.5が下がっているという状況で、今それを全体7年分ぐらいのデータの中の98%点というのをやっておりますので、実際にはどれくらいの期間の中で、現在の状態の中での98%点とか、そういう配慮は必要かと思います。
 いずれにせよ、プラス2シグマぐらいの外に入る部分に関しては、日常的な生活空間とは違った状態が起きているという前提を合理的にすれば、そこをコントロールするというような意味はあるのではないかというふうに考えます。

【内山委員長】 工藤委員、どうぞ。

【工藤委員】 先ほどちょっと黄砂のお話が出ていましたけれど、椿委員のデータの中で、特に福岡がちょっと年間の動きがほかと違っておりますよね。4月、5月非常に高いんですけれども、それが、例えばどういう、黄砂の影響かわかりませんが、どういう影響によるものかとか、あるいは、6シグマを超えたようなポイントが幾つか、これ、守口やなんかでも見えられていますよね。これは、日にちを恐らく特定できるんでしょうから、何かそこに特別なイベントがあるのかというようなことを、もしできればはっきりさせておいた方がいいんではないかなというふうには思います。
 それからもう一つ、全体的な指針値に関する検討の書き方というか、あれなんですが、いきなり「はじめに」から入っているんですけれども、先ほどもご議論があったように、やっぱり「はじめに」の初めに、これ、「はじめに」じゃなくてもう少し総論的なものの考え方をイントロダクションにつけて、それで、この「はじめに」の部分はむしろ検討の土台として、微小粒子状物質健康被害評価検討会の報告を土台にしてやるんだということで、それのサマライズしたものという、むしろ見出しにした方がいいんではないかということと、それから、あと横山委員の方から肺がんの問題も出されました。これ、肺がんについては、この「はじめに」の部分の冒頭に肺がんのことが書いてあるわけですけれども、後ろの方の文章の長期影響評価、これ4ページ目になりますか、下から3行目ぐらいのところですね。もし国内のデータをきちっと重視するんであれば、これ、国内外全部包括した値が書いていますけど、ちなみに我が国におけるあれではこうであったというようなことを幾つかの場所のところに入れられると思うんですよね。そういう意味では、国内データというのは非常に重要だということは全くそのとおりなので、やはりそこはあえてやっぱり強調して挿入された方がいいんじゃないかというふうに思います。
 以上です。

【内山委員長】 ありがとうございました。
 非常に具体的にご指摘いただきましたが、じゃあそれはまた作業会合の方で少し練っていただいて、ご報告させていただきたいと思います。
 そのほかによろしいでしょうか。大体きょうのところはこんなところかと思いますが、田邊委員、どうぞ。

【田邊委員】 98パーセンタイル値を長期影響に関して求めて、その後、それ以下で短期影響が出ないかどうかを確かめるという、その確かめ方をちょっと教えていただけませんか。

【新田委員】 具体的にまだ書いてなかった点があるんですが、今後ちょっと作業会合で検討したいと思っています。米国等の考え方を参照するとすれば、短期影響である目安として長期の指針値を下回っているような、長期平均が下回っているような短期影響のものがないかどうかということと、有意な影響を示しているような短期影響の98パーセンタイルの値が入手可能な場合には、具体的に長期の指針値に対応して統計的に求めた日平均値の98パーセンタイルと個々の疫学知見の、影響を示している疫学知見の個々の98パーセントタイル、両者を比較すると。両方の検討になるのかなと思います。

【内山委員長】 ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。
 そうしましたら、大体5時半近くになってきましたので、きょうのところは、きょうの資料をもとにした議論はこのぐらいにしたいと思いますが、あと、先ほどお話ありましたようなスケジュールになりますので、事務局の方で少しそこら辺を説明いただけますでしょうか。

【岡部課長】 どうもありがとうございました。本日、微小粒子状物質の濃度変動に関する統計的特性や環境基準の設定に当たっての指針値等についてご議論をいただいたところでございます。今後、本日の議論も踏まえてさらに健康影響、曝露情報に関する二つの作業会合において検討を進めていただいた上で、本専門委員会に検討成果をご報告いただき、さらに議論したいと思います。
 先ほど申し上げましたように、中央環境審議会大気環境部会に現在の専門委員会の審議経過を報告することになっております。5月15日にこの部会が開催される予定です。本日の討議資料を踏まえて審議経過を報告させていただきたいと思います。
 それから、本日のご審議に加えて、先生方の皆様から追加のコメントがもしあれば、事務局に適宜お寄せいただければまことに幸いに存じます。
 なお、本日の議事要旨それから議事録につきましては、各委員にご確認をいただいた上で公開の取り扱いにさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次回のこの専門委員会の日程につきましてご案内申し上げます。次回の日にちですが、5月28日の午後2時から三田共用会議所の大会議室で開催したいと思いますので、よろしくご出席方、お願い申し上げます。
 事務局からの伝達は以上でございます。

【内山委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、中央環境審議会大気環境部会が間に入りますけれども、また28日、そのときのご意見も踏まえた上でまた議論をしたいというふうに思いますので、きょうはこのぐらいにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。